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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】表示装置、及び表示方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/50 20200101AFI20241203BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241203BHJP
   G03B 21/10 20060101ALI20241203BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241203BHJP
   H04N 13/393 20180101ALI20241203BHJP
【FI】
G02B30/50
G03B21/00 D
G03B21/10 Z
G09F9/00 361
H04N13/393
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021047764
(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022146673
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】木野田 和正
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103885280(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1971340(CN,A)
【文献】特開2000-287225(JP,A)
【文献】特表2002-506590(JP,A)
【文献】特開2004-012477(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101425242(CN,A)
【文献】米国特許第06183088(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00-30/60
H04N 13/00-13/398
G03B 35/00-35/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
残像により3次元像を表示する表示装置であって、
照射された画像光を反射領域で反射することで、像を表示する被照射部材と、
前記被照射部材を支持する支持部材と、
前記支持部材を所定の軸周りに回転させる回転機構と、
前記回転機構を駆動させる駆動部と、
前記支持部材の仮想的な回転軸方向から前記被照射部材に前記画像光を照射する照射部と、を有し、
前記回転機構が前記画像光の照射の邪魔にならず、
前記支持部材は、透明な素材を含んで構成された筒状部材を含み、前記筒状部材の内側を前記反射領域以外の領域に接触させて前記被照射部材を支持する表示装置。
【請求項2】
残像により3次元像を表示する表示装置であって、
照射された画像光を反射領域で反射することで、像を表示する被照射部材と、
前記被照射部材を支持する支持部材と、
前記支持部材を所定の軸周りに回転させる回転機構と、
前記回転機構を駆動させる駆動部と、
前記支持部材の仮想的な回転軸方向から前記被照射部材に前記画像光を照射する照射部と、を有し、
前記回転機構が前記画像光の照射の邪魔にならず、
前記照射部は、前記回転機構を挟んで前記被照射部材とは反対側に設けられ、前記回転機構を通過又は透過するように前記画像光を前記支持部材の仮想的な回転軸に沿って照射する表示装置。
【請求項3】
残像により3次元像を表示する表示装置であって、
照射された画像光を反射領域で反射することで、像を表示する被照射部材と、
前記被照射部材を支持する支持部材と、
前記支持部材を所定の軸周りに回転させる回転機構と、
前記回転機構を駆動させる駆動部と、
前記支持部材の仮想的な回転軸方向から前記被照射部材に前記画像光を照射する照射部と、を有し、
前記回転機構が前記画像光の照射の邪魔にならず、
前記回転機構は、前記駆動部による駆動力が伝達される被伝達部を側面に含む表示装置。
【請求項4】
残像により3次元像を表示する表示装置であって、
照射された画像光を反射領域で反射することで、像を表示する被照射部材と、
前記被照射部材を支持する支持部材と、
前記支持部材を所定の軸周りに回転させる回転機構と、
前記回転機構を駆動させる駆動部と、
前記支持部材の仮想的な回転軸方向から前記被照射部材に前記画像光を照射する照射部と、を有し、
前記回転機構が前記画像光の照射の邪魔にならず、
前記被照射部材は、前記回転機構を底部とする柱状の空間内に配置されている表示装置。
【請求項5】
前記画像光を平行光に変換する平行化光学系をさらに有し、
前記平行光は、前記回転機構を通過又は透過するように照射される請求項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記回転機構は、開口部を含み、
前記照射部は、前記開口部を通過するように前記画像光を照射する請求項又はに記載の表示装置。
【請求項7】
前記回転機構は、透明な素材を含んで構成され、
前記照射部は、前記回転機構を透過するように前記画像光を照射する請求項又はに記載の表示装置。
【請求項8】
前記駆動部は、前記回転機構を挟んで前記被照射部材とは反対側に設けられている請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
立体画像データを変換する制御部を有し、
前記照射部は、前記立体画像データに基づく前記画像光を照射する請求項1乃至の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
残像により3次元像を表示する表示装置による表示方法であって、前記表示装置が、
回転機構により被照射部材を支持する支持部材を所定の軸周りに回転させる工程と、
前記支持部材の仮想的な回転軸方向から前記被照射部材に画像光を照射する工程と、
前記被照射部材が前記画像光を反射領域で反射することで像を表示する工程と、を行い、
前記回転機構が前記画像光の照射の邪魔にならず、
前記支持部材は、透明な素材を含んで構成された筒状部材を含み、前記筒状部材の内側を前記反射領域以外の領域に接触させて前記被照射部材を支持する表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示装置、及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元的な所定空間内を周期的に走査するスクリーンと、表示対象物を複数の断面画像によって集合的に表現した2次元画像データ群を取得する画像データ取得手段と、2次元画像データ群に関連付けられた、表示対象物の実寸を表わす寸法データを取得する寸法取得手段と、2次元画像データ群を基に複数の断面画像を順次に生成する断面画像生成手段と、断面画像生成手段によって生成された断面画像を前記スクリーンに投影する投影手段と、表示手段と投影手段との間において断面画像の光学的な変倍を行う光学変倍手段と、寸法データに基づいて、スクリーンに表示される立体画像が前記表示対象物のほぼ実寸となるように光学変倍手段による倍率を制御する変倍制御手段と、を備える構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の構成では、像の真上からの方向等、像が見えない方向がある。
【0004】
本発明は、像が見えない方向を少なくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る表示装置は、残像により3次元像を表示する表示装置であって、照射された画像光を反射領域で反射することで、像を表示する被照射部材と、前記被照射部材を支持する支持部材と、前記支持部材を所定の軸周りに回転させる回転機構と、前記回転機構を駆動させる駆動部と、前記支持部材の仮想的な回転軸方向から前記被照射部材に前記画像光を照射する照射部と、を有し、前記回転機構が前記画像光の照射の邪魔にならず、前記支持部材は、透明な素材を含んで構成された筒状部材を含み、前記筒状部材の内側を前記反射領域以外の領域に接触させて前記被照射部材を支持する
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、像が見えない方向を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る表示装置の全体構成例のブロック図である。
図2】第1実施形態に係る表示装置の全体構成例の斜視図である。
図3】第1実施形態に係る情報処理部のハードウェア構成例のブロック図である。
図4】第1実施形態に係る情報処理部の機能構成例のブロック図である。
図5】第1実施形態に係る情報処理部による処理例を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態に係る螺旋スクリーンの構成例の図である。
図7】第1変形例に係る表示装置の全体構成例の斜視図である。
図8】第2変形例に係る表示装置の全体構成例の斜視図である。
図9】第3変形例に係る表示装置の全体構成例の斜視図である。
図10】第4変形例に係る表示装置の全体構成例の斜視図である。
図11】第5変形例に係る表示装置の全体構成例の斜視図である。
図12】第6変形例に係る表示装置に入力される3次元モデルデータを変換するための構成の図であり、図12(a)は第1例の図、図12(b)は第2例の図、図12(c)は第3例の図である。
図13】基準角度と画像データ群との関係の一例を示す図である。
図14】第2実施形態に係る表示装置の構成の図であり、図14(a)は第1例の図、図14(b)は第2例の図である。
図15】第2実施形態に係る表示装置の全体構成例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための表示装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0010】
実施形態に係る表示装置は、残像により3次元像を表示する表示装置であって、照射された画像光を反射領域で反射することで、像を表示する被照射部材と、被照射部材を支持する支持部材と、支持部材を所定の軸周りに回転させる回転機構と、回転機構を駆動させる駆動部と、支持部材の仮想的な回転軸方向から被照射部材に画像光を照射する照射部と、を有するものである。
【0011】
3次元像とは、3次元空間上に表示され、人間が視認可能な体積を持った立体的な像をいう。また反射領域とは、被照射部材に含まれる領域であって、画像光を反射する領域をいう。実施形態に係る表示装置は、画像光のうちの反射領域で反射された光により3次元像を表示する。
【0012】
例えば、表示装置が回転軸部材を有すると、表示装置が表示する像に回転軸部材が含まれる場合がある。回転軸部材は、被照射部材が取り付けられ、被照射部材を支持する棒状部材である。回転軸部材は、モータ等の駆動部の軸心部と棒状部材とが結合し、駆動部から伝達される駆動力により棒の軸周りに回転する。回転軸部材が回転することで被照射部材が回転する。
【0013】
被照射部材の回転軸と回転軸部材における棒の軸は略一致する。回転軸部材は、被照射部材における反射領域に接触して被照射部材を支持するため、表示装置が表示する像を回転軸部材が遮ることで、像を表示する際に回転軸部材が表示装置のユーザから見える。像を表示した際に見える回転軸部材は、意図したものではない不要物である。
【0014】
加えて、像を表示する際に、被照射部材の軸の部分があることで軸のある部分に点が表示できないので、立体表示できない領域がでる。また、回転軸部材が被照射部材の内部に入っていて、被照射部材に覆われていても上記の理由により立体表示に影響が出る。
【0015】
実施形態では、回転機構が画像光の照射の邪魔にならない。例えば、回転機構は、透明な素材を含んで構成されている。これにより、表示装置が表示する像を回転機構が遮らないようにして、像が見えない方向を少なくする。
【0016】
以下、実施形態に係る表示装置について説明する。
【0017】
なお、以下に示す図でX軸、Y軸及びZ軸により方向を示す場合があるが、X軸に沿うX方向は、実施形態に係る表示装置が備える螺旋スクリーンの回転軸に略直交する平面内での予め定められた方向を示す。Y軸に沿うY方向は、上記平面内で上記の予め定められた方向に直交する方向を示す。Z軸に沿うZ方向は、上記の螺旋スクリーンの回転軸に沿う方向を示す。
【0018】
また、X方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記し、Z方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向と表記する。表示装置は+Z方向に画像光を照射するものとする。但し、これらは表示装置の向きを制限するものではなく、表示装置は任意の向きで配置可能である。
【0019】
[第1実施形態]
<表示装置1の全体構成例>
まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る表示装置1の全体構成について説明する。図1は、表示装置1の全体構成の一例を説明するブロック図である。
【0020】
図1に示すように、表示装置1は、情報処理部10と、プロジェクタ20と、螺旋スクリーン30と、モータ40と、モータ制御部41とを有する。
【0021】
表示装置1は、3次元モデルデータ901を受信して、表示装置1のユーザに3次元像を視認させる。3次元モデルデータ901は、ユーザに3次元像を視認させるための3次元モデルを示すデータであって、例えば、3次元ボクセルごとの画素値を示すデータである。具体的には、3次元モデルデータ901は、情報処理部10に入力される。
【0022】
情報処理部10は、入力された3次元モデルデータ901に基づく画像情報903を生成する。具体的には、情報処理部10は、モータ制御部41に回転指示信号201を送信し、回転の開始を指示する。指示を受けたモータ制御部41は、例えば規定された略一定の速度で螺旋スクリーン30を回転させるように、回転制御信号202を送信してモータ40を駆動させる。
【0023】
螺旋スクリーン30は、照射された画像光を反射領域で反射することで、像を表示する被照射部材の一例である。この螺旋スクリーン30については、別途図5を参照して詳述する。
【0024】
モータ40は、支持部材を所定の軸周りに回転させることで、螺旋スクリーン30を回転させる駆動部の一例である。モータ40には、ステッピングモータ、DC(Direct Current)モータ又はAC(Alternating Current)モータ等を適用できる。
【0025】
モータ40にはロータリエンコーダが取り付けられている。ロータリエンコーダは、モータ40の軸心の回転角度を示すエンコーダ信号203をモータ制御部41に送信する。モータ制御部41は、受信したエンコーダ信号203に基づいて、螺旋スクリーン30の回転角度を示す回転角度情報904を生成し、情報処理部10に送信する。
【0026】
情報処理部10は、受信した回転角度情報904に基づいて、螺旋スクリーン30の回転角度に応じた画像情報903を生成し、プロジェクタ20に送信する。画像情報903は、2次元画像を示す情報である。
【0027】
プロジェクタ20は、螺旋スクリーン30に画像光Lを照射する照射部の一例である。プロジェクタ20は、情報処理部10から出力された画像情報903に基づく画像光Lを螺旋スクリーン30に照射できる。換言すると、プロジェクタ20は、駆動される螺旋スクリーン30の位置に基づき生成された画像光Lを照射することができる。
【0028】
表示装置1は、高速に回転される螺旋スクリーン30に照射された画像光Lのうち、螺旋スクリーン30で反射された光及び螺旋スクリーン30を透過した後、螺旋スクリーン30により反射された光で残像効果を利用して、カラーの3次元像をユーザに視認させることができる。
【0029】
次に図2は、表示装置1の全体構成の一例を説明する斜視図である。図2に示すように、表示装置1は、情報処理部10、プロジェクタ20、モータ40、モータ制御部41及び回転テーブル70を筐体50の内部に設けている。また表示装置1は、筐体50の+Z方向側に、螺旋スクリーン30及びスクリーンケース60を設けている。
【0030】
筐体50は、板金等を含むパネル板を組み合わせて構成された箱状部材である。筐体50は、筐体50の内部に連通する貫通孔52を上面パネル51に設けている。
【0031】
スクリーンケース60は円筒状の部材であり、螺旋スクリーン30を支持する支持部材の一例である。スクリーンケース60は、円筒の内側を螺旋スクリーン30の反射領域以外の領域に接触させ、接触した部分を接着剤等により固定することで、螺旋スクリーン30を支持している。スクリーンケース60は、透明な樹脂又はガラス等の材料を含んで構成されている。スクリーンケース60の内側に支持された螺旋スクリーン30は、スクリーンケース60の外側から視認可能である。
【0032】
なお、スクリーンケース60は円筒状の部材に限定されるものではなく、断面が楕円状や断面が多角形状の筒状部材であってもよい。また筒の中心軸に沿う方向における画像光Lが入射する側とは反対側の端部は、開放されていてもよいし、平板や中空の半球状部材等で閉鎖されていてもよい。
【0033】
スクリーンケース60は、筐体50の貫通孔52を通じて一部が筐体50の内部に挿入され、筐体50の内部に収容された回転テーブル70の+Z方向側の面にスクリーンケース60の-Z方向側の端部が接触し、接着剤等により固定されている。
【0034】
スクリーンケース60は、回転テーブル70を底部とし、Z軸に沿って延伸する円柱状の空間を構成する。螺旋スクリーン30はこの円柱状の空間内に配置されている。
【0035】
回転テーブル70は、スクリーンケース60を回転軸A周りに回転させる回転機構の一例である。回転テーブル70は、螺旋スクリーン30の回転軸Aに沿う中心軸を有する環状の形状に形成されている。回転軸Aは所定の軸の一例である。
【0036】
回転テーブル70は、筐体50の内部に収容され、筐体50の底面パネル上に支柱を介して回転可能に固定されている。回転テーブル70の材質に特段の制限はないが、例えば樹脂材料又は金属材料等を適用可能である。
【0037】
回転テーブル70は、外周部に歯形G2が形成又は取り付けられ、モータ40の軸心40aに取り付けられたギアG1と歯形G2が噛み合っている。ギアG1は、モータ40による駆動力を回転テーブル70に伝達する伝達部材である。歯形G2は、モータ40による駆動力が伝達される被伝達部の一例である。
【0038】
回転テーブル70は、ギアG1と歯形G2を介して駆動力が伝達されることで、回転軸A周りに回転する。回転テーブル70の回転によりスクリーンケース60が回転し、螺旋スクリーン30がスクリーンケース60とともに回転軸A周りに回転可能になっている。螺旋スクリーン30の回転軸Aは、プロジェクタ20が照射する画像光Lの中心軸に沿うように構成されている。
【0039】
プロジェクタ20は、回転テーブル70を挟んで螺旋スクリーン30とは反対側に設けられ、回転テーブル70に形成された環状領域71を通過するようにして、回転軸Aに沿う方向に画像光Lを照射する。環状領域71は、環状の形状に形成された回転テーブル70における内側の中空部分を指す。環状領域71は開口部の一例である。
【0040】
プロジェクタ20が照射する画像光Lは、回転テーブル70の-Z方向側から環状領域71を通過し、回転テーブル70の+Z方向側に設けられた螺旋スクリーン30に照射される。
【0041】
情報処理部10は、画像光Lの照射方向に沿うZ軸を含む3次元座標によって、螺旋スクリーン30の位置を特定する。具体的には、情報処理部10は、各xy座標(x,y)における螺旋スクリーン30の+Z方向の高さz(x,y)を算出する。
【0042】
算出される高さz(x,y)は、螺旋スクリーン30の回転軸Aに沿った高さであり、螺旋スクリーン30の表面に画像光Lが照射される位置に対応する。情報処理部10は、螺旋スクリーン30の回転に応じて変化する高さz(x,y)をリアルタイムに算出して、高さz(x,y)に応じた画像情報903を生成する。
【0043】
なお、本実施形態では、情報処理部10、プロジェクタ20、モータ40、モータ制御部41及び回転テーブル70が筐体50の内部に設けられた構成を例示するが、これに限定されるものではなく、これらの一部又は全部が筐体50の外部に設けられていてもよい。
【0044】
<情報処理部10のハードウェア構成例>
次に図3を参照して、情報処理部10のハードウェア構成について説明する。図3は情報処理部10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0045】
情報処理部10は、コンピュータによって構築されており、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、外部機器接続I/F(Interface)105と、ネットワークI/F106とを有する。
【0046】
CPU101は、各種の演算処理を含む制御処理を実行する。ROM102は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。HDD104は、プログラム等の各種データを記憶する。
【0047】
外部機器接続I/F105は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、プロジェクタ20、モータ制御部41等の機器である。
【0048】
ネットワークI/F106は、通信ネットワーク等を介して、他の機器との間でデータ通信をするためのインターフェースである。例えば、情報処理部10は、ネットワークI/F106を介して、3次元モデルデータ901を受信する。
【0049】
<情報処理部10の機能構成例>
次に図4を参照して、情報処理部10の機能構成について説明する。図4は情報処理部10の機能構成の一例を示す図である。
【0050】
図4に示すように、情報処理部10は、記憶部11と、回転角度取得部12と、算出部13と、画像生成部14と、出力部15とを有する。
【0051】
記憶部11は、各種の情報を記憶する。具体的には、記憶部11は、3次元モデルデータ901、3次元ボクセルデータ902及び画像情報903を記憶する。これらのうち、3次元モデルデータ901は、外部から入力されるポイントクラウドデータである。3次元ボクセルデータ902は、3次元モデルデータ901をボクセルごとの輝度に変換した画像データである。画像情報903は、画像生成部14によって生成される情報である。
【0052】
記憶部11は、CPU101がROM102等に格納されたプログラムに規定された処理を実行し、RAM103またはHDD104等を制御することによって実現される。
【0053】
回転角度取得部12は、螺旋スクリーン30の回転角度を示す情報を取得する。具体的には、回転角度取得部12は、定期的に、例えば、1秒ごとに、モータ制御部41から回転角度情報904を受信する。また、回転角度取得部12は、螺旋スクリーン30の回転速度が略一定であることを利用して、螺旋スクリーン30の回転を開始してから経過した時間に基づく回転角度の算出を行うことによって、螺旋スクリーン30の回転角度を示す情報を取得してもよい。
【0054】
なお、回転角度取得部12は、モータ制御部41から受信した回転角度情報904と、経過時間に基づく回転角度の算出とを組み合わせることによって、螺旋スクリーン30の回転角度を示す情報を取得してもよい。例えば、回転角度取得部12は、螺旋スクリーン30の回転を開始してから経過した時間に基づく回転角度の算出の結果を、定期的に受信する回転角度情報904に基づいて補正する。これによって、回転角度取得部12は、モータ40の実際の回転速度と規定の速度との間に誤差が生じても、定期的に受信する回転角度情報904に基づいて、現実の回転角度に修正することができる。
【0055】
回転角度情報904は、螺旋スクリーン30の回転角度を示す情報である。
【0056】
回転角度取得部12は、CPU101がROM102等に格納されたプログラムに規定された処理を実行し、外部機器接続IF105等を制御することによって実現される。
【0057】
算出部13は、螺旋スクリーン30の回転角度に基づいて、螺旋スクリーン30の回転角度ごとで、各xy座標におけるZ軸方向の高さを算出する。
【0058】
画像生成部14は、3次元モデルデータ901を3次元ボクセルデータ902に変換する。具体的には、例えば、算出部13は、ポイントクラウドのポイントごとの各座標の輝度値を、対応する各座標のボクセルにコピーする。また、画像生成部14は、ディザリング処理によって、3次元ボクセルデータ902を減色する。
【0059】
また、画像生成部14は、算出部13によって算出された高さに応じた輝度を有する画像情報903を生成する。具体的には、画像生成部14は、3次元モデルデータ901に示される3次元像を人に視認させるために、各xy座標に応じた輝度を決定し、2次元で画像情報903を生成する。
【0060】
算出部13および画像生成部14は、CPU101がROM102等に格納されたプログラムに規定された処理を実行することによって実現される。
【0061】
出力部15は、画像生成部14によって生成された画像情報903を出力する。具体的には、出力部15は、画像情報903をプロジェクタ20に送信する。
【0062】
出力部15は、CPU101がROM102等に格納されたプログラムに規定された処理を実行し、外部機器接続IF105等を制御することによって実現される。
【0063】
<表示装置1の動作例>
次に、表示装置1の動作について説明する。
【0064】
情報処理部10は、3次元モデルデータ901を受信し、ユーザ等の操作を受けて制御処理を開始する。
【0065】
図5は、情報処理部10による処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
まず、ステップS11において、画像生成部14は、3次元モデルデータ901をボクセル化する。3次元モデルデータ901は、例えば、点群情報(ポイントクラウド)及びメッシュ情報を含む。点群情報(ポイントクラウド)は、xyz座標とRGB輝度の点データの集合である。メッシュ情報は、立体を構成する三角形あるいは四角形の頂点のxyz座標と、三角形または四角形の面の色またはテクスチャ等を示す情報である。
【0067】
画像生成部14は、ポイントクラウドのポイントごとの各座標の輝度値を、対応する各座標のボクセルにコピーすることによって、3次元ボクセルデータ902を生成する。
【0068】
続いてステップS12において、画像生成部14は、3次元ボクセルデータ902をディザリングする。具体的には、画像生成部14は、RGB各8bitの色深度を持つボクセルを、RGB1bitを持つボクセルに変換する。例えば、画像生成部14は、誤差拡散によるディザリングをRGBチャンネルごとに行う。その際、画像生成部14は、一般的な2次元の誤差拡散ではなく、高精度な3次元の誤差拡散を行うことが望ましい。
【0069】
なお、誤差拡散は、像の色数や階調数を減らす際に擬似的に中間色を表現するディザリング手法の一つで、ある点を減色する際に元の色との誤差を近傍の点の色情報に上乗せする方式である。画像生成部14は、2次元画像では、誤差を平面近傍のxy座標の2次元方向のピクセルに上乗せするが、3次元で行う場合には、誤差をxyz座標の3次元方向近傍のボクセルに上乗せする。ただし、計算負荷が問題になる場合には、画像生成部14は、3次元の誤差拡散ではなく、2次元の誤差拡散をZ軸方向にXY平面ごとに独立に行ってもよい。
【0070】
続いて、ステップS13において、情報処理部10は、モータ40の回転開始をモータ制御部41に指示する。モータ制御部41は、螺旋スクリーン30を予め規定された略一定の速度で回転させるように、モータ40を制御する。
【0071】
以下、情報処理部10は、ステップS14からステップS19までの処理を、表示を終了するまで繰り返し実行する。動画像を表示する場合には、生成される画像情報は、時刻ごとに表示される内容が変化するため、それぞれの処理においては、時刻tにおいて表示される画像情報を生成および送信する。時刻tは、生成された画像情報に基づく画像光をプロジェクタ20が照射する時刻である。
【0072】
続いて、ステップS14において、回転角度取得部12は、時刻tにおける回転角度情報904を取得する。具体的には、回転角度取得部12は、モータ制御部41から螺旋スクリーン30の回転角度を示す情報を取得する。なお、回転角度取得部12は、予め規定された速度に基づいて、回転角度を算出してもよく、それによって回転角度を示す情報を取得してもよい。また、測定時刻と時刻tとにずれがある場合は、回転角度取得部12は、測定時刻と時刻tとの差分に基づいて、時刻tにおける螺旋スクリーン30の回転角度を予測して算出する。
【0073】
続いて、ステップS15において、算出部13は、各xy座標における高さz(x,y)を算出する。具体的には、算出部13は、螺旋スクリーン30の回転角度に基づく演算によって、高さz(x,y)を算出する。
【0074】
続いて、ステップS16において、画像生成部14は、画像情報903を生成する。具体的には、画像生成部14は、時刻tにおいて表示する画像情報903として、算出された高さz(x,y,t)に応じた輝度を有する画像情報903を生成する。
【0075】
例えば、3次元ボクセルデータ902が静止画像の場合、画像生成部14は、Voxel(x,y,z)を、Pixel(x,y,t)に変換する。Voxel(x,y,z)は、ボクセルごとの輝度、色または透過率等を示す値である。また、Pixel(x,y,t)は、時刻tにおいて照射する画像光の基になる画像情報903に含まれる画素値である。
【0076】
他方、3次元ボクセルデータ902が動画像の場合、時刻tを含むボクセルごとの輝度、色または透過率等を示す値であるVoxel(x,y,z,t)をPixel(x,y,t)に変換する。
【0077】
3次元ボクセルデータ902が静止画像および動画像のいずれの場合であっても、画像生成部14は、時刻tにおける各xy座標の螺旋スクリーン30の高さz(x,y,t)および色Color(x,y,t)に基づいて、時刻tにおける画素値Pixel(x,y,t)を算出する。画像生成部14は、生成した画像情報903を記憶部11に記憶させる。
【0078】
続いて、ステップS17において、出力部15は、画像生成部14によって生成された画像情報903をプロジェクタ20に送信する。
【0079】
続いて、ステップS18において、情報処理部10は、表示を終了するか否かを判定する。ユーザによる表示終了を示す操作を受けるか、3次元モデルデータ901が動画像の場合においてすべての動画像に基づく画像情報903の送信が完了した場合に、情報処理部10は、表示を終了すると判定する。
【0080】
ステップS18で表示を終了しないと判定された場合には(ステップS18、No)、情報処理部10は処理をステップS14に戻し、次の時刻t、例えば1秒後の時刻tにおいて表示される画像情報903に関する処理を実行する。
【0081】
一方、ステップS18で表示を終了すると判定された場合には(ステップS18、Yes)、情報処理部10は処理を終了する。
【0082】
このような情報処理部10による処理により、表示装置1は3次元像を表示できる。
【0083】
<螺旋スクリーン30の構成例>
次に図6を参照して、螺旋スクリーン30の構成について説明する。図6は、螺旋スクリーン30の構成の一例を説明する図である。
【0084】
図6に示すように、螺旋スクリーン30は、+Z方向側から視て時計回りの螺旋となる螺旋形状を有する。但し、螺旋スクリーン30は、+Z方向側から視て反時計回りの螺旋となる螺旋形状を有してもよい。ここで、螺旋とは回転しながら回転面に垂直な方向へ移動する3次元曲線の一種をいう。螺旋形状とは、外形が螺旋を描くように形成され、螺旋面を含む形状をいう。
【0085】
螺旋スクリーン30は、螺旋形状の捻れ方向35に交差する回転軸A周りに回転可能である。螺旋スクリーン30は、1つの板状部材が捻れることで螺旋形状を形成している。但し、これに限定されるものではなく、螺旋形状に形成された複数の羽根部材を組み合わせて被照射部材を構成することもできる。
【0086】
捻れ方向35とは螺旋が巻く方向をいう。時計回りの場合は右巻きであり、図6に示す捻れ方向35は、図中右(+X方向)側に向かう方向に対応する。反時計回りの場合は左巻きであり、図中左(-X方向)側に向かう方向に対応する。
【0087】
表示装置1は、回転軸A周りに螺旋スクリーン30が回転するように、モータ40を駆動させてスクリーンケース60を回転させる。回転軸Aは捻れ方向35に略直交する。
【0088】
回転軸Aに沿って画像光Lが照射され、螺旋スクリーン30に含まれる螺旋面31は、画像光Lを反射する。螺旋面31は、照射された画像光Lを反射する反射領域の一例である。螺旋スクリーン30を構成する板状部材の表裏両面がそれぞれ螺旋面31を構成し、反射領域に対応する。
【0089】
また螺旋面31は、左側領域30Lと、右側領域30Rとを含む。左側領域30Lは、螺旋面31の回転軸Aより左側の領域であり、右側領域30Rは、螺旋面31の回転軸Aより右側の領域である。図6では、-X方向側は左側に対応し、+X方向側は右側に対応する。
【0090】
画像光LLは、画像光Lのうちの左側領域30Lに照射される光を示し、画像光LRは、画像光Lのうちの右側領域30Rに照射される光を示している。
【0091】
プロジェクタ20が-Z方向側から回転軸Aに沿う方向に螺旋スクリーン30に画像光Lを照射すると、螺旋面31は、プロジェクタ20により照射された画像光Lを反射し、また画像光Lを透過させるスクリーンとして機能する。
【0092】
画像光LLは、左側領域30Lで反射され、左側領域30Lを透過する。画像光LRは、右側領域30Rで反射され、右側領域30Rを透過する。なお、反射は正反射と拡散反射の両方を含み、透過は拡散を伴わない透過と拡散透過の両方を含む。右側領域30Rを透過した光は、螺旋面31の裏面で反射する。螺旋面31で反射される光は、螺旋面31の両面で反射される光を含む。
【0093】
螺旋スクリーン30に照射された画像光Lのうち、螺旋面31で反射された光は、表示装置1が表示する3次元像に寄与し、螺旋スクリーン30を構成する板状部材の端面領域で反射された光は、表示装置1が表示する3次元像にほとんど寄与しない。このような端面領域は、被照射部材における反射領域以外の領域に対応する。
【0094】
図6に示す端面領域61は、螺旋スクリーン30における+X方向側の端面領域である。また端面領域62は、螺旋スクリーン30における-X方向側の端面領域である。スクリーンケース60は、筒状部材の内側を螺旋スクリーン30における端面領域61及び62等の螺旋面31以外の領域に接触させて螺旋スクリーン30を支持する。
【0095】
<表示装置1の効果>
次に表示装置1の効果について説明する。
【0096】
表示装置1は、照射された画像光Lを螺旋面31(反射領域)で反射することで、像を表示する螺旋スクリーン30(被照射部材)と、螺旋スクリーン30を支持するスクリーンケース60(支持部材)と、スクリーンケース60を回転軸A(所定の軸)周りに回転させる回転テーブル70(回転機構)と、回転テーブル70を駆動させるモータ40(駆動部)と、螺旋スクリーン30に画像光Lを照射するプロジェクタ20(照射部)とを有する。
【0097】
実施形態では、回転テーブル70(回転機構)が画像光の照射の邪魔にならない。例えば、回転テーブル70は、画像光Lに対して透明な素材を含んで構成されている。これにより、表示装置が表示する像を回転機構が遮らないようにして、像が見えない方向を少なくすることができる。例えば、真上からも見ることができる3次元像を表示できる。真下から見たい場合は、回転テーブル70やプロジェクタ20を上につけると良い。
【0098】
スクリーンケース60は、透明な素材を含んで構成された筒状部材を含み、筒状部材の内側を螺旋スクリーン30の端面領域61及び62(反射領域以外の領域)に接触させて螺旋スクリーン30を支持する。これにより、回転軸部材を用いずに被照射部材を支持し、また表示装置1が表示する像をスクリーンケース60が遮らないようにして、像を表示した際に見える不要物を低減することができる。
【0099】
また本実施形態では、回転テーブル70は、モータ40による駆動力が伝達される歯形G2を側面に含む。この構成により、画像光Lを遮ることなくモータ40及びギアG1を設置し、スクリーンケース60を介して螺旋スクリーン30を回転させることができる。なお、伝達部材としてギアG1を例示したが、ベルト、チェーン、プーリ、摩擦駆動ローラ又はこれらの組合せ等の他の伝達部材を適用してもよい。
【0100】
また本実施形態では、モータ40は、回転テーブル70を挟んで螺旋スクリーン30とは反対側に設けられている。プロジェクタ20は、回転テーブル70を挟んで螺旋スクリーン30とは反対側に設けられ、回転テーブル70に形成された環状領域71(開口部)を通過するようにして、回転軸Aに沿う方向に画像光Lを照射する。
【0101】
これにより、回転テーブル70を挟んで螺旋スクリーン30の反対側から螺旋スクリーン30に画像光Lを照射することができ、反射光学系等の複雑な構成を用いることなく、簡単な構成で螺旋スクリーン30に画像光Lを照射できる。
【0102】
また本実施形態では、スクリーンケース60は、回転テーブル70を底部とし、Z軸に沿って延伸する円柱状の空間を構成する。螺旋スクリーン30はこの円柱状の空間内に配置されている。これにより、スクリーンケース60により支持した螺旋スクリーン30を回転テーブル70により回転させることができる。なお、円柱状の空間はこれに限定されるものではなく、柱状の空間であってもよい。
【0103】
<表示装置1の各種変形例>
ここで、表示装置1の構成は、上述した実施形態で示した構成に限定されるものではなく、各種変形が可能である。以下、各種変形例について説明する。なお、上述した実施形態で説明したものと同一の構成部には同一の部品番号を付し、重複する説明を適宜省略する。この点は、以降に示す変形例及び実施形態においても同様である。
【0104】
(第1変形例)
図7は、第1変形例に係る表示装置1aの全体構成の一例を説明する斜視図である。図7に示すように、表示装置1aは筐体50aを有する。筐体50aは、内部に中板パネル53を設け、中板パネル53上にプロジェクタ20と、回転テーブル70を載置する。
【0105】
情報処理部10及びモータ制御部41は、中板パネル53の-Z方向側に設置され、中板パネル53を介してモータ40及び回転テーブル70等の機構部と、情報処理部10及びモータ制御部41等の電装部が離隔されている。
【0106】
この構成により、プロジェクタ20を螺旋スクリーン30により近づけて配置可能にするとともに、機構部と電装部を離隔配置できる。
【0107】
(第2変形例)
次に図8は、第2変形例に係る表示装置1bの全体構成の一例を説明する斜視図である。図8に示すように、表示装置1bは、スクリーンケース60bと、筐体50bとを有する。筐体50bは、内部に支柱54を有する。支柱54は筐体50bの底面パネルに固定されており、回転テーブル70を回転可能に支持する。
【0108】
スクリーンケース60bは、透明な中空の半球状部材で+Z方向側の端部が閉鎖された形状を有する。この構成により、スクリーンケース60bの内部にゴミ又は埃等が侵入して、螺旋スクリーン30に付着すること等を防止できる。
【0109】
(第3変形例)
次に図9は、第3変形例に係る表示装置1cの全体構成例を説明する斜視図である。図9に示すように、表示装置1cは、摩擦駆動ローラR1を有する。
【0110】
摩擦駆動ローラR1は、モータ40による駆動力を回転テーブル70に伝達する伝達部材である。摩擦駆動ローラR1は、モータ40の軸心40aに取り付けられ、回転テーブル70の外周部に設けられた歯形G2に接触している。モータ40の回転による駆動力が摩擦駆動ローラR1及び歯形G2を介して伝達されることで、回転テーブル70が回転する。摩擦駆動ローラR1により駆動力を伝達することで、伝達部材としてギアを用いた場合におけるバックラッシ等の誤差要因をなくし、精密な回転駆動を行わせることができる。
【0111】
(第4変形例)
次に図10は、第4変形例に係る表示装置1dの全体構成例を説明する斜視図である。図10に示すように、表示装置1dは、回転テーブル70aと、摩擦駆動ローラR2及びR3とを有する。
【0112】
スクリーンケース60は、筐体50の内部に設けられた回転テーブル70aのテーブル面上に固定されている。なお、図10では回転テーブル70aのテーブル面のみを表示している。
【0113】
摩擦駆動ローラR1、R2及びR3は、筐体50の内部に設けられ、筐体50の内部でスクリーンケース60を3つの方向から囲むようにして、スクリーンケース60の外周部に接触している。摩擦駆動ローラR1は軸心R1aに、摩擦駆動ローラR2は軸心R2aに、摩擦駆動ローラR3は軸心R3aにそれぞれ取り付けられ、モータ40による駆動力によりそれぞれが回転する。
【0114】
モータ40による駆動力が摩擦駆動ローラR1、R2及びR3を介してスクリーンケース60に伝達されることで、スクリーンケース60と、スクリーンケース60の内側に支持された螺旋スクリーン30とが回転可能になっている。
【0115】
3つの摩擦駆動ローラR1、R2及びR3を用いることで、螺旋スクリーン30をより安定して回転させることができる。
【0116】
(第5変形例)
次に図11は、第5変形例に係る表示装置1eの全体構成例を説明する斜視図である。図11に示すように、表示装置1eは、摩擦駆動ローラR4を有する。摩擦駆動ローラR4は軸心R4aに取り付けられ、モータ40による駆動力により回転する。
【0117】
摩擦駆動ローラR2、R3及びR4は、筐体50の内部に設けられ、筐体50の内部でスクリーンケース60を3方向から囲むようにして、スクリーンケース60の外周部に接触している。また摩擦駆動ローラR1は、筐体50の内部に設けられ、回転テーブル70aに接触している。
【0118】
モータ40による駆動力が摩擦駆動ローラR2、R3及びR4を介してスクリーンケース60に伝達され、また摩擦駆動ローラR1を介して回転テーブル70aに伝達されることで、スクリーンケース60と、スクリーンケース60の内側に支持された螺旋スクリーン30とが回転可能になっている。
【0119】
4つの摩擦駆動ローラR1、R2、R3及びR4を用いることで、螺旋スクリーン30をさらに安定して回転させることができる。
【0120】
(第6変形例)
次に、図12は、表示装置に入力される3次元モデルデータを変換するための構成を示す図である。図12(a)は第1例、図12(b)は第2例、図12(c)は第3例を示している。
【0121】
情報処理部10は、入力した3次元モデルデータを表示装置1に適したデータ形成に変換した変換データに変換する。3次元モデルデータは立体画像データの一例である。3次元モデルデータのデータ形式は、例えば3D-CADデータ等であり、3次元空間の座標で位置が表される画素に色情報を付加したデータ、或いはテクスチャ情報又はモーション情報等をさらに付加されたデータ等を含む。変換データの形式は、ply形式、obj形式又はfbx形式等を含む。
【0122】
表示装置1は、螺旋スクリーン30の回転数をユーザによって設定された値、又は情報処理部10から受信した形式データに基づいた値に設定する。形式データは、螺旋スクリーン30を回転させるための回転数又はプロジェクタ20のリフレッシュレート等の情報である。
【0123】
図12(a)及び図12(b)は、情報処理部10が表示装置1の外部に設けられた構成を示し、図12(c)は情報処理部10が表示装置1の内部に設けられた構成を示している。図12(a)及び図12(b)の構成では、情報処理部10はPC(Personal Computer)又はスマートフォン等の外部装置に設けられている。
【0124】
また図12(a)の構成では、情報処理部10はサーバ300と協働して変換処理を実行する。サーバ300はネットワークを経由して通信可能なクラウドサーバ等である。サーバ300は情報処理部10から3次元モデルデータを受信した後、変換処理の一部又は全部を実行後の変換データを情報処理部10に送信する。情報処理部10は、必要な処理を適宜実行した後、変換データを表示装置1に送信する。サーバ300との間で処理を分担することで、負荷が大きい処理であっても処理時間を短縮できる。処理時間の短縮により、3次元像のリアルタイム表示を実現しやすくなる。
【0125】
表示装置1は、モータ40に取り付けられたロータリエンコーダが出力するエンコーダ信号203に基づき、螺旋スクリーン30の回転角度を示す回転角度情報904を取得できる。表示装置1は、回転角度情報904に基づき、像を表示するための基準角度を検知し、基準角度に応じてプロジェクタ20が表示する画像データ群を含む画像光Lを照射する。
【0126】
図13は、基準角度と画像データ群との関係の一例を示す図である。基準角度131は予め定められた回転角度であり、1回転につき1つの基準角度131が設定されてもよいし、複数の基準角度131が設定されてもよい。
【0127】
プロジェクタ20は、基準角度131の信号を受信した際に、基準角度131をスタートとして、画像データ群DatA、DatB及びDatCに含まれる各画像データを含む画像光Lを回転角度に応じて順次照射する。
【0128】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る表示装置1fについて説明する。図14は、表示装置1fの構成を説明する図であり、図14(a)は第1例を示す図、図14(b)は第2例を示す図である。
【0129】
図14に示すように、表示装置1fは、コリメートレンズ21を有する。コリメートレンズ21は、プロジェクタ20が照射する画像光Lを平行光束に変換する平行化光学系の一例である。コリメートレンズ21は画像光Lを屈折させることで平行光束に変換する。なお、平行光束とは、画像光Lの光束全体が画像光Lの中心軸に沿う方向に伝搬する光束をいう。
【0130】
コリメートレンズ21の材質は、ガラス材料又は樹脂材料等を適宜選択可能である。コリメートレンズ21は、1枚のレンズで構成されてもよいし、複数のレンズを組み合わせて構成されてもよい。またプリズム又はミラー等の他の光学素子を含んで平行化光学系の機能を実現してもよい。
【0131】
図14(a)の第1例では、コリメートレンズ21は、プロジェクタ20と、回転テーブル70に形成された環状領域71の間に設けられている。一方、図14(b)の第2例では、コリメートレンズ21は、回転テーブル70に形成された環状領域71と、螺旋スクリーン30の間に設けられている。
【0132】
図15は、表示装置1fの全体構成の一例を示す斜視図である。図15に示す表示装置1fでは、コリメートレンズ21は、プロジェクタ20と、回転テーブル70に形成された環状領域71の間に設けられている。表示装置1fは、画像光Lのうち、螺旋スクリーン30で反射された光により3次元像90を表示する。
【0133】
プロジェクタ20は、コリメートレンズ21により平行光束に変換された画像光Lを螺旋スクリーン30に照射することができる。これにより、画像光Lの広がりを抑え、画像光Lの光利用効率を向上させることができる。
【0134】
以上、実施形態を説明してきたが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0135】
また、実施形態は表示方法を含む。例えば、表示方法は、残像により3次元像を表示する表示装置による表示方法であって、回転機構により被照射部材を支持する支持部材を所定の軸周りに回転させる工程と、前記支持部材の仮想的な回転軸方向から前記被照射部材に画像光を照射する工程と、前記被照射部材が前記画像光を反射領域で反射することで像を表示する工程と、を行い、前記回転機構が前記画像光の照射の邪魔にならない。このような表示方法により上述した表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0136】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0137】
また、機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、及び/又は、一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【符号の説明】
【0138】
1 表示装置
10 情報処理部
20 プロジェクタ(照射部の一例)
21 コリメートレンズ(平行化光学系の一例)
30 螺旋スクリーン(被照射部材の一例)
30L 左側領域
30R 右側領域
31 螺旋面(反射領域の一例)
35 捻れ方向
40 モータ(駆動部の一例)
41 モータ制御部
40a 軸心
50 筐体
51 上面パネル
52 貫通孔
53 中板パネル
54 支柱
60 スクリーンケース(支持部材の一例)
61、62 端面領域(反射領域以外の領域の一例)
70 回転テーブル(回転機構の一例)
71 環状領域(開口部の一例)
90 3次元像(像の一例)
A 回転軸
L、LL、LR 画像光
G1 ギア
G2 歯形(被伝達部の一例)
R1、R2、R3、R4 摩擦駆動ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【文献】特開2001-346227号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15