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特許7597139交換レンズ、カメラシステム及び情報送信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】交換レンズ、カメラシステム及び情報送信方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/14 20210101AFI20241203BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20241203BHJP
   H04N 23/667 20230101ALI20241203BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20241203BHJP
【FI】
G03B17/14
G03B5/00 J
H04N23/667
H04N23/68
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023040798
(22)【出願日】2023-03-15
(62)【分割の表示】P 2020530211の分割
【原出願日】2019-07-09
(65)【公開番号】P2023073295
(43)【公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2018131043
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100142147
【弁理士】
【氏名又は名称】本木 久美子
(72)【発明者】
【氏名】三家本 英志
(72)【発明者】
【氏名】大石 末之
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特許第5981003(JP,B1)
【文献】特開2017-054030(JP,A)
【文献】特開2010-009010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/04-17/17
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
G02B 7/02-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を有するカメラボディに取り付け可能な交換レンズであって、
前記交換レンズが有するレンズの位置に関する第1パラメータと、前記カメラボディの制御の設定に関する第2パラメータとのそれぞれに対応する情報を記憶する記憶部と、
前記第1パラメータに基づいて選択され、前記第2パラメータに基づいて選択されない、複数の前記第2パラメータに対応する複数の前記情報を送信する送信部と、
を備え、
前記第2パラメータは、前記カメラボディで設定される撮影モードである交換レンズ。
【請求項2】
撮像素子を有するカメラボディに取り付け可能な交換レンズであって、
前記交換レンズが有するレンズの位置に関する第1パラメータと、前記カメラボディの制御の設定に関する第2パラメータとのそれぞれに対応する情報を記憶する記憶部と、
前記第1パラメータに基づいて選択され、前記第2パラメータに基づいて選択されない、複数の前記第2パラメータに対応する複数の前記情報を送信する送信部と、
を備え、
前記第2パラメータは、動画撮影か、静止画撮影かである交換レンズ。
【請求項3】
撮像素子を有するカメラボディに取り付け可能な交換レンズであって、
前記交換レンズが有するレンズの位置に関する第1パラメータと、前記カメラボディの制御の設定に関する第2パラメータとのそれぞれに対応する情報を記憶する記憶部と、
前記第1パラメータに基づいて選択され、前記第2パラメータに基づいて選択されない、複数の前記第2パラメータに対応する複数の前記情報を送信する送信部と、
を備え、
前記第2パラメータは、前記カメラボディにおけるブレ補正の駆動モードである交換レンズ。
【請求項4】
撮像素子を有するカメラボディに取り付け可能な交換レンズであって、
前記交換レンズが有するレンズの位置に関する第1パラメータと、前記カメラボディの制御の設定に関する第2パラメータとのそれぞれに対応する範囲情報を記憶する記憶部と、
前記第1パラメータに基づいて選択され、複数の前記第2パラメータに対応する複数の前記範囲情報を送信する送信部と、を備え、
前記範囲情報は、前記交換レンズの光軸と交わる方向における、前記撮像素子の移動可能な範囲を示す範囲情報である交換レンズ。
【請求項5】
前記送信部は、第1パラメータに基づいて選択され、複数の第2パラメータに対応する複数の前記範囲情報を周期的に送信する、
請求項に記載の交換レンズ。
【請求項6】
前記第1パラメータは、前記交換レンズの焦点距離である、
請求項1~のいずれか一項に記載の交換レンズ。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の交換レンズと、前記カメラボディとを備えるカメラシステム。
【請求項8】
カメラボディへ取り付けられる交換レンズの情報送信方法であって、
前記交換レンズが備えるレンズの位置に関する第1パラメータと、前記カメラボディで設定される撮影モードに関する第2パラメータとのそれぞれに対応する情報を記憶し、
第1パラメータについて選択され、前記第2パラメータについて選択されない、複数の前記第2パラメータに対応する複数の前記情報を送信する、情報送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換レンズ、カメラシステム及び情報送信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラボディの内部に設けられた撮像素子を、手ブレを相殺するように移動させることでブレ補正を行うカメラボディがある(特許文献1参照)。撮像素子を大きく移動させると、画像が劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-274242号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の交換レンズは、撮撮像素子を有するカメラボディに取り付け可能な交換レンズであって、前記交換レンズが有するレンズの位置に関する第1パラメータと、前記カメラボディの制御の設定に関する第2パラメータとのそれぞれに対応する情報を記憶する記憶部と、前記第1パラメータに基づいて選択され、前記第2パラメータに基づいて選択されない、複数の前記第2パラメータに対応する複数の前記情報を送信する送信部と、を備え、前記第2パラメータは、前記カメラボディで設定される撮影モードである構成とした。
また、本発明の交換レンズは、撮像素子を有するカメラボディに取り付け可能な交換レンズであって、前記交換レンズが有するレンズの位置に関する第1パラメータと、前記カメラボディの制御の設定に関する第2パラメータとのそれぞれに対応する情報を記憶する記憶部と、前記第1パラメータに基づいて選択され、前記第2パラメータに基づいて選択されない、複数の前記第2パラメータに対応する複数の前記情報を送信する送信部と、を備え、前記第2パラメータは、動画撮影か、静止画撮影かである構成とした。
さらに、本発明の交換レンズは、撮像素子を有するカメラボディに取り付け可能な交換レンズであって、前記交換レンズが有するレンズの位置に関する第1パラメータと、前記カメラボディの制御の設定に関する第2パラメータとのそれぞれに対応する情報を記憶する記憶部と、前記第1パラメータに基づいて選択され、前記第2パラメータに基づいて選択されない、複数の前記第2パラメータに対応する複数の前記情報を送信する送信部と、を備え、前記第2パラメータは、前記カメラボディにおけるブレ補正の駆動モードである構成とした。
【0005】
また、本発明の交換レンズは、撮像素子を有するカメラボディに取り付け可能な交換レンズであって、前記交換レンズが有するレンズの位置に関する第1パラメータと、前記カメラボディの制御の設定に関する第2パラメータとのそれぞれに対応する範囲情報を記憶する記憶部と、前記第1パラメータに基づいて選択され、複数の前記第2パラメータに対応する複数の前記範囲情報を送信する送信部と、を備え、前記範囲情報は、前記交換レンズの光軸と交わる方向における、前記撮像素子の移動可能な範囲を示す範囲情報である、構成とした。
【0006】
さらに、本発明のカメラシステムは、上記のいずれかに記載の交換レンズと、前記カメラボディとを備える構成とした。
【0007】
さらに、本発明の情報送信方法は、カメラボディへ取り付けられる交換レンズの情報送信方法であって、前記交換レンズが備えるレンズの位置に関する第1パラメータと、前記カメラボディで設定される撮影モードに関する第2パラメータとのそれぞれに対応する情報を記憶し、第1パラメータについて選択され、前記第2パラメータについて選択されない、複数の前記第2パラメータに対応する複数の前記情報を送信する、構成とした。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のカメラシステムのブロック図である。
図2】イメージサークルと、撮像素子の駆動許可範囲とを説明する図であり、(a)は、撮像素子が駆動されていない状態で、(b)は撮像素子11が駆動されて中心がずれた状態である。
図3】交換レンズが保持している撮像素子の駆動許可範囲の情報を説明する図である。
図4】第2実施形態のカメラシステムのブロック図である。
図5】それぞれのモードにおいて、焦点距離が異なる場合の駆動許可範囲の情報を説明する図である。
図6】第3実施形態のカメラシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、第1実施形態のカメラシステム100のブロック図であり、カメラシステム100はカメラボディ1と交換レンズ3とからなる。第1実施形態ではカメラボディ1と交換レンズ3の両方にブレ補正機構がある。
本実施形態においては、図示するように3次元直交座標系が設定される。具体的には、撮影者がZ軸(図1では交換レンズ3の光軸と平行な方向)を水平として横長の画像を撮影する場合のカメラボディ1の位置において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とし、また、Z軸に垂直な平面内でZ軸とX軸とに垂直に交わる軸をY軸とする。
Z軸を中心とする回転方向をロール(Roll)方向、Y軸を中心とする回転方向をヨー(Yaw)方向、X軸を中心とする回転方向をピッチ(Pitch)方向とする。
【0010】
(カメラシステム100)
カメラシステム100は、カメラボディ1と、このカメラボディ1に対して着脱可能に装着される交換レンズ3とを備える。
【0011】
(カメラボディ1)
カメラボディ1は、撮像素子11、撮像素子11をXY平面内で駆動する素子駆動部12、撮像素子11の位置を検出する素子位置検出部13、記録媒体14、レリーズスイッチ15、モード設定部16、表示部17、ブレ検出センサ18、交換レンズ3との通信用のボディ側送受信部19及びボディCPU20を備える。
【0012】
ボディCPU20は、撮像素子11での撮影を制御する撮影制御部21と、撮像素子11で撮影された画像データを処理する画像信号処理部22と、撮像素子11で撮像された画像データより合焦状態を検出する焦点検出部23とを備える。
また、ボディCPU20は、ブレ検出センサ18の信号を処理するセンサ信号処理部24と、センサ信号処理部24により処理されたブレ信号より撮像素子11の目標位置を演算する目標位置演算部25と、目標位置演算部25により演算された目標位置に基づき、後述する駆動許可範囲内での撮像素子の駆動量を演算する素子駆動量演算部26と、を備える。
【0013】
レリーズスイッチ15は、カメラシステム100の撮影操作を行う部材であって、撮影者が撮影動作のタイミング等を操作するスイッチである。
【0014】
撮影制御部21は、レリーズスイッチ15の押下により撮像素子11の撮影制御を行う。レリーズスイッチ15の押下には、レリーズスイッチ15を途中まで押し下げる半押しと最後まで押し下げる全押しがあり、カメラシステム100は、半押しで合焦動作を行い、全押しで撮影動作を行う。半押しと全押しがなく、一度の操作で合焦動作と撮影動作を行っても構わない。
【0015】
モード設定部16は、撮影者が操作する操作部で、静止画撮影モードと動画撮影モードとのいずれかの撮影モードを選択可能である。
さらにモード設定部16は、後述する撮像素子11のブレ補正時における駆動制御が異なる3つの駆動モードのうちのいずれかを選択可能である。3つの駆動モードは「ノーマルモード」と「アクティブモード」と「スポーツモード」である。
【0016】
「ノーマルモード」は、常用で使用可能な通常タイプのブレ補正を行う駆動モードである。特に、撮影者が静止して撮影(立ち止まって撮影)する際などに適している。後述する撮像素子11の「露光前センタリング」が撮影時に行われる。「ノーマルモード」では、ブレを補正するために撮像素子11が移動する範囲(「素子ブレ補正範囲」と呼ぶ)が「大」に設定され、ブレ補正時に撮像素子11は後述する「スポーツモード」が設定されたときよりも広い範囲を移動することができる。
【0017】
「アクティブモード」は、歩きながら撮影する場合や乗り物に乗っている時などに適するブレ補正を行う駆動モードである。「アクティブモード」は、撮影者が動いて静止せずに撮影(立ち止まらずに撮影)する際などに適している。撮影時には「ノーマルモード」と同様に、「露光前センタリング」が行われる。「アクティブモード」でも、ブレを補正するために撮像素子11が移動する素子ブレ補正範囲は「大」に設定される。
【0018】
「スポーツモード」は、動いている被写体を追う場合などに最適な手ブレ補正を行う駆動モードである。「スポーツモード」はスポーツ中の被写体を撮影する際などに適している。「スポーツモード」では、「ノーマルモード」や「アクティブモード」と違い、「露光前センタリング」は行われない。「スポーツモード」では、ブレを補正するために撮像素子11が移動する素子ブレ補正範囲が「小」に設定され、ブレ補正時に撮像素子11は「ノーマルモード」や「アクティブモード」が設定されたときよりも狭い範囲しか移動することができない。
【0019】
「露光前センタリング」は、レリーズスイッチ15の操作に基づき記録画像を生成する撮像素子11の露光の直前に後述する駆動許可範囲R2の中央に撮像素子11の中央を移動することである。また、記録画像を生成する露光の直前以外にも、ライブビューの開始時など撮影者の指示があった場合に、ブレ補正のために動いている撮像素子11を、駆動許可範囲R2の中央に移動することが可能である。センタリングは、撮像素子11の中央を駆動許可範囲R2の中央に移動させることにより、撮像素子11のXY平面内での移動可能距離の偏りをなくし、全方位のブレに対するブレ補正を可能にするものである。レリーズスイッチ15を半押しから全押しする際に撮像素子11の中央を駆動許可範囲R2の中央に移動させ、そこからブレ補正のための移動を行う。
【0020】
「スポーツモード」で「露光前センタリング」を行わないのは、連写中などでは撮影毎に撮像素子11を中央に戻すよりも、戻さない方がライブビュー画像(撮像素子11で連続的に撮像した信号に基づく画像を連続的に表示部17に表示し、被写体を確認しフレーミングを行うための画像)がより安定しフレーミングがしやすいからである。「露光前センタリング」を行うと、撮影する被写体の画像内での位置がずれてしまう。スポーツ撮影の静止画撮影あるいは動画撮影の場合もライブビュー画像が安定しているとフレーミングしやすい。
【0021】
撮像素子11は交換レンズ3の撮影光学系の予定焦点面に設けられ、撮影制御部21の制御に基づいて、交換レンズ3の撮影光学系を介して入射した被写体からの光を光電変換して信号を生成して出力する。撮像素子11は、例えばCCD、CMOSなどにより構成されている。また、撮像素子11は焦点検出用の画素を有する。
【0022】
画像信号処理部22は、撮像素子11により出力された信号に対してノイズ処理やA/D変換等の処理を行い、画像データを生成する。画像信号処理部22は、モード設定部16により静止画撮影が選択されたときは静止画用(又はライブビュー画像)の画像データを作成し、動画撮影が選択されたときは、動画用の画像データを作成する。
【0023】
記録媒体14は、画像信号処理部22で作成された静止画又は動画の画像データを記録するための媒体であり、カードメモリが使用される。内蔵のメモリでも構わない。
【0024】
表示部17は、カメラボディ1の背面に設けられ、画像信号処理部22で作成された画像データに基づく被写体画像(静止画、ライブビュー画像を含む動画)や操作に関連した情報(メニュー)などを表示するディスプレイである。液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどが使用される。
【0025】
焦点検出部23は、撮像素子11の焦点検出用画素を用いて周知の瞳分割式位相差方式により焦点検出処理を行う。または、撮像素子11から出力される画像データを用いて周知のコントラスト方式により焦点検出を行ってもよい。
【0026】
ブレ検出センサ18は、カメラボディ1の内部に配置され、撮影者の手ブレなど、カメラボディ1に加わるブレを検出する。ブレ検出センサ18として、本実施形態においてはピッチング、ヨーイング、ローリングなどの回転ブレを検出する角速度センサと並進ブレを検出する加速度センサが設けられている。
ブレ検出センサ18により、X軸を中心とした回転振動(ピッチング)の角速度、Y軸を中心とした回転振動(ヨーイング)の角速度、Z軸を中心とした回転ブレ(ローリング)の角速度、及びXY平面内の並進ブレが検出される。本実施形態では、少なくともXY平面内の並進ブレとZ軸を中心とした回転ブレ(ローリング)の角速度が可能であればよい。
【0027】
センサ信号処理部24は、ブレ検出センサ18の出力信号を読み込み、この出力信号に基づいて基準値を演算し、出力信号から基準値を減算する等の各種処理を行う。
【0028】
目標位置演算部25は、センサ信号処理部24で処理されたブレ検出センサ18の出力信号から、カメラボディ1のブレを補正するために撮像素子11を移動させる目標位置を演算する。そして、この目標位置は、撮像素子11の有効画素範囲(静止画の画像データを生成するための画素が配置された範囲)が、後述するボディ側送受信部19で交換レンズ3から受信した駆動許可範囲からはみ出さない位置に設定される。
なお、本実施形態において、カメラボディ1で補正するブレは、カメラボディ1のブレのうちのブレ検出センサ18により検出されたXY方向の並進ブレと、ロール方向の回転ブレとである。
【0029】
素子駆動量演算部26は、目標位置演算部25で検出された撮像素子11の目標位置と素子位置検出部13で検出された撮像素子11の位置とから撮像素子11を駆動するための撮像素子11の駆動量を演算する。
【0030】
素子駆動部12は、素子駆動量演算部26で演算された駆動量で撮像素子11をXY方向とロール方向とのそれぞれの方向に移動する。これにより、カメラボディ1に加わるブレの補正が行われ、ブレのない被写体像が撮像される。
また、素子駆動部12は、カメラボディ1のモード設定部16で選択された駆動モードがノーマルモード又はアクティブモードの場合、撮像素子11の露光前センタリングを行い、選択されている駆動モードがスポーツモードの場合は、撮像素子11の露光前センタリングを行わない。
【0031】
撮像素子11には、撮像素子11の位置を検出するための素子位置検出部13が配置されている。本実施形態において素子位置検出部13は、例えばホール素子とマグネットであるが、これに限らず発光部と受光部(PSD)を組み合わせた検出部であってもよい。
【0032】
ボディ側送受信部19は、カメラボディ1に交換レンズ3が装着されたときに、レンズ側送受信部46と接触する。これにより、カメラボディ1と交換レンズ3との信号の送受信が可能となり、カメラボディ1と交換レンズ3との間で情報の授受が行われる。
ボディ側送受信部19は、レンズ側送受信部46から、少なくとも撮像素子11の駆動許可範囲情報を受け取る。
また、ボディ側送受信部19は、フォーカスレンズを駆動するため、焦点検出部23で検出されたデフォーカス量と、モード設定部16で選択された駆動モード情報とを、レンズ側送受信部46に送信する。
【0033】
(交換レンズ3)
次に、交換レンズ3について説明する。交換レンズ3は、ズームレンズ31と、フォーカスレンズ32と、ブレ補正レンズ33と、ズームレンズ駆動部51と、フォーカスレンズ駆動部52と、ブレ補正レンズ駆動部53と、ズームレンズ位置検出部41と、フォーカスレンズ位置検出部42と、ブレ補正レンズ位置検出部43とを備える。
交換レンズ3は、さらに角速度センサ44、レンズ記憶部45、レンズCPU30及びレンズ側送受信部46を備える。
【0034】
レンズ側送受信部46は、上述したように、カメラボディ1に交換レンズ3が装着されると、ボディ側送受信部19と接触し、カメラボディ1と交換レンズ3との信号の送受信が可能となる。
レンズ側送受信部46は、ボディ側送受信部19からデフォーカス量と、駆動モード情報を受信する。また、レンズ側送受信部46は、ボディ側送受信部19に、駆動許可範囲情報を送信する。
【0035】
レンズCPU30は、角速度信号処理部34と、ブレ補正レンズ目標位置演算部35と、レンズ駆動量演算部36と、素子駆動許可範囲情報作成部37とを備える。
【0036】
ズームレンズ31は、例えばズームリングであるズームレンズ駆動部51により駆動され、光軸方向に沿って移動することにより、交換レンズ3の焦点距離を連続的に変化させるレンズ群である。
なお、ズームレンズ駆動部51は、ズームリングの回転等を検出してレンズCPU30からの信号により駆動するモータであってもよい。また、ズーミング操作はズームリングに限らず、ボタン操作等によってズーミングするものであってもよい。
ズームレンズ位置検出部41は、ズームレンズ31の位置を検出する。
【0037】
フォーカスレンズ32は、フォーカスレンズ駆動部52により駆動され、光軸方向に移動して、被写体像を撮像素子11の撮像面に合焦させるレンズ群である。フォーカスレンズ駆動部52はステッピングモータ等の駆動源を備える。
撮像素子11の焦点検出用画素から出力される信号により焦点検出部23により検出されたデフォーカス量(被写体像の位置と撮像素子11の撮像面とのズレ量)は、ボディ側送受信部19からレンズ側送受信部46に送信される。レンズ駆動量演算部36は受信したデフォーカス量から、フォーカスレンズ32の駆動方向および駆動量を演算する。フォーカスレンズ駆動部52は演算した駆動方向および駆動量でフォーカスレンズ32を駆動する。フォーカスレンズ位置検出部42は、フォーカスレンズの位置を検出する。
【0038】
ブレ補正レンズ33は、VCM(ヴォイスコイルモータ)等のブレ補正レンズ駆動部53により光学的にブレ補正を行うために駆動され、XY平面上で移動可能なレンズ群である。
ブレ補正レンズ33は、角速度センサ44により検出された角速度を基に、角速度信号処理部34、ブレ補正レンズ目標位置演算部35、レンズ駆動量演算部36で演算された駆動量で、ブレ補正レンズ駆動部54によりピッチ方向とヨー方向のブレを補正するように駆動される。
ブレ補正レンズ33の位置は、ブレ補正レンズ位置検出部43により位置検出され、検出された位置情報は、ブレ補正レンズ目標位置演算部35の出力にフィードバックされる。
【0039】
角速度センサ44は、交換レンズ3に生じる振れの角速度を検出するセンサである。X軸回り(ピッチ)、Y軸回り(ヨー)、の角速度を検出する振動ジャイロ等のセンサである。なお、角速度センサ44は、さらにZ軸回り(ロール)の角速度も検出してもよい。
【0040】
レンズ記憶部45には、焦点距離に対応したイメージサークル(合焦位置で被写体像が形成される領域)の大きさに関する情報が記憶されている。この情報は交換レンズ固有の情報であり、交換レンズごとに異なっている。また、イメージサークル内において光学性能が動画撮影画像、静止画撮影画像において許容範囲内の領域(「駆動許可範囲」と称する)に関する情報もレンズ記憶部45に記憶されている。
【0041】
レンズCPU30は、角速度信号処理部34、ブレ補正レンズ目標位置演算部35、レンズ駆動量演算部36、素子駆動許可範囲情報作成部37を有する。
【0042】
角速度信号処理部34は、角速度センサ44の出力の出力信号を読み込み、この信号に基づいて基準値を演算し、出力信号から基準値を減算する等の各種処理を行う。
【0043】
ブレ補正レンズ目標位置演算部35は、角速度信号処理部34で処理された角速度センサ44の出力より、ブレ補正レンズ33の目標位置を演算する。
【0044】
レンズ駆動量演算部36は、ブレ補正レンズ目標位置演算部35で演算された目標位置と、ブレ補正レンズ位置検出部43により検出されたブレ補正レンズ33の現在位置から、ブレ補正レンズ駆動部53の駆動量を演算する。
【0045】
ブレ補正レンズ駆動部53は、演算されたブレ補正レンズ33の駆動量に基づき、ブレ補正レンズ33を駆動する。
【0046】
ブレ補正レンズ位置検出部43はブレ補正レンズ33が駆動されると、ブレ補正レンズ33の移動位置を検出し、これを、レンズ駆動量演算部36にフィードバックする。レンズ駆動量演算部36は、フィードバック信号に基づいてブレ補正レンズ33の駆動量を再演算する。
【0047】
レンズ記憶部45は、ズームレンズの位置に対応した交換レンズ3の焦点距離情報、焦点距離に応じた撮影モード(静止画撮影モード、動画撮影モード)及び駆動モード(ノーマルモード、アクティブモード、スポーツモード)によって決まる素子ブレ補正範囲毎の撮像素子11の駆動許可範囲を記憶している。
【0048】
次に交換レンズ3からカメラボディ1に送信される駆動許可範囲について説明する。素子駆動許可範囲情報作成部37はズームレンズ位置検出部41から送られたズームレンズの位置から、レンズ記憶部45に記憶された、ズームレンズの位置に対応した交換レンズ3の焦点距離情報を取得する。この焦点距離情報を基にレンズ記憶部45に記憶されている撮像素子11の駆動許可範囲を読み出して、カメラボディに送信する駆動許可範囲の情報を作成して、レンズ側送受信部46を介してカメラボディ1に送信する。交換レンズ3は、カメラボディ1に、ズームレンズの位置に対応した交換レンズ3の焦点距離での撮影モード及び素子ブレ補正範囲毎の駆動許可範囲の情報を送信する。カメラボディ1では、受信した駆動許可範囲の情報から、カメラボディ1のモード設定部16で設定されている撮影モード及び駆動モードから決められる素子ブレ補正範囲を基に、対応する駆動許可範囲を選択して設定する。
【0049】
また、レンズ記憶部45は焦点距離及び撮影距離に応じた、撮影モード及び素子ブレ補正範囲毎の撮像素子11の駆動許可範囲を2次元のテーブルとして記憶しても良い。その場合は、素子駆動許可範囲情報作成部37はズームレンズ位置検出部41から送られたズームレンズの位置から、レンズ記憶部45に記憶されたズームレンズの位置に対応した交換レンズ3の焦点距離情報を取得する。この焦点距離情報と、フォーカスレンズ位置検出部42から送られたレンズ位置から算出した撮影距離情報とに基づいて、レンズ記憶部45のテーブルに記憶されている撮影モード及び素子ブレ補正範囲毎の撮像素子11の駆動許可範囲を読み出して、カメラボディに送信する情報を作成する。
【0050】
図2はイメージサークルR1と、撮像素子11の駆動許可範囲R2とを説明する図である。イメージサークルR1とは、交換レンズ3を通過した被写体からの光が撮像面に結像する範囲である。イメージサークルR1は、ブレ補正レンズ33の位置に関わらず一定である。駆動許可範囲R2は、イメージサークルR1内において解像度、各種収差、周辺減光等の光学性能が必要な性能を満たす範囲である。ブレ補正レンズ33がブレ補正の為に動く場合、ブレ補正レンズ33の位置に応じて、駆動許可範囲R2の位置または範囲が変化する。
【0051】
図2では、ブレ補正レンズ33の中心が、交換レンズ3の光軸中心にいる場合の駆動許可範囲R2を示している。駆動許可範囲R2の位置または範囲が変化するとは、駆動許可範囲R2の形が円形から歪んだり、小さくなったり、中心位置がずれたりすることである。図2のR3の領域は撮像素子11の有効画素領域である。
【0052】
図2(a)は、撮像素子11およびブレ補正レンズ33が駆動されていない状態で、撮像素子11の有効画素領域R3の中心C3と、交換レンズ3により形成されるイメージサークルR1及び駆動許可範囲R2の中心C2とは一致している。
【0053】
なお、上述した露光前センタリングとは、露光前に、図2(a)のようにC2とC3とを一致させることである。なおイメージサークルR1の中心と駆動許可範囲R2の中心とがずれている場合(ブレ補正レンズ33の中心が、交換レンズ3の光軸中心と一致しない場合等)には、露光前センタリングとして撮像素子11の中心とイメージサークルR1の中心とを一致させる、もしくは撮像素子11の中心と駆動許可範囲R2の中心とを一致させることを行っても構わない。
【0054】
図2(b)は、撮像素子11が駆動された状態である。図示するように、撮像素子11が駆動されて撮像素子11の有効画素領域R3の一部が、イメージサークルR1からはみ出すと、そのはみ出した領域A1は光が十分に入射しないので、暗い画像が形成される。また、撮像素子11の有効画素領域R3が、駆動許可範囲R2からはみ出すと、はみ出した領域A2の画像は劣化する。例えば各種収差が駆動許可範囲R2よりも悪化してしまう。
【0055】
この駆動許可範囲R2は、交換レンズ3ごとに異なり、また、個々の交換レンズ3においても、焦点距離や撮影距離により異なる。
上述したように駆動許可範囲R2は、レンズ記憶部45に記憶されている。なおレンズ記憶部45に記憶せずに、駆動許可範囲R2を焦点距離や撮影距離からその都度算出するようにしても構わない。
【0056】
次に、本実施形態のカメラシステム100の動作について説明する。
カメラボディ1に交換レンズ3を装着し、カメラボディ1の図示しないメインスイッチ(電源スイッチ)をONにする。
【0057】
レリーズスイッチ15が半押しされ、又はモード設定部16により動画撮影(ライブビュー画像を含む)が選択されると、撮像素子11の撮像面に入射した被写体からの光によって取得された画像データを基に、焦点検出部23はデフォーカス量を検出する。
【0058】
デフォーカス量が、ボディ側送受信部19よりレンズ側送受信部46に送信される。受信したデフォーカス量に基づき交換レンズ3レンズ駆動量演算部36はフォーカスレンズ32の駆動方向および駆動量決定し、フォーカスレンズ駆動部52はその駆動方向および駆動量に基づいてフォーカスレンズ32を駆動する。
駆動後のフォーカスレンズ32の位置はフォーカスレンズ位置検出部42によって検出される。フォーカスレンズ32の位置より求められた撮影距離情報を素子駆動許可範囲情報作成部37に入力しても良い。
なお、ボディは検出したデフォーカス量からフォーカスレンズ32の移動量及び駆動方向を算出し、フォーカスレンズの32の移動量及び駆動方向に関する情報を交換レンズ3に送信してもよい。
【0059】
また、ズームレンズ31の位置が、ズームレンズ位置検出部41によって検出されて、レンズ記憶部45に記憶されたズームレンズ31の位置に応じた焦点距離情報が素子駆動許可範囲情報作成部37に送信される。
【0060】
レンズ記憶部45には、焦点距離ごとに撮像素子11の駆動許可範囲として、動画撮影モード用と静止画撮影モード用との2種類の情報が記憶され、それぞれが、さらに素子ブレ補正範囲が「大」の場合、「小」の場合の異なる2種類の情報を有する。すなわち、
(a)動画撮影で素子ブレ補正範囲が「大」。
(b)静止画撮影で素子ブレ補正範囲が「大」。
(c)動画撮影で素子ブレ補正範囲が「小」。
(d)静止画撮影で素子ブレ補正範囲が「小」。
の4つの場合の駆動許可範囲情報がレンズ記憶部45に記憶されている。
上記(a)~(d)の4種類の撮影時の駆動許可範囲R2を3種類の焦点距離のA、B、C(焦点距離はA>B>C)に対して示したテーブルを図3に示す。図3の縦の項目は(a)~(d)の4種類の場合を示し、横の項目は焦点距離を示しており、(1)~(6)は上記の条件の場合での駆動許可範囲R2の形と大きさを示している。
駆動許可範囲R2の形としては円形、正方形、六角形などの形である。駆動許可範囲R2の大きさは円形の場合には円の中心から円周までの距離(半径の長さ)、正方形の場合には正方形の中心から一辺までの垂線の長さ(一辺の長さの半分)などであり、駆動許可範囲R2の中心から駆動許可範囲R2の周辺(縁)までの長さを示している。例えば、(1)の情報としては、形状は円形で大きさは20mmなどになる。駆動許可範囲R2の大きさは、(1)≧(2)≧(3)≧(4)≧(5)≧(6)である。
【0061】
但し、(1)~(6)は1例に過ぎず、図3では(a)動画撮影で素子ブレ補正範囲が「大」の場合の駆動許可範囲R2である(2)と、(b)静止画撮影で素子ブレ補正範囲が「大」の場合の駆動許可範囲R2である(2)が同じであるが、両者で駆動許可範囲R2を異ならせても構わない。また(1)~(6)の複数の駆動許可範囲R2を同じにしても良い。
なお、素子ブレ補正範囲の代わりに駆動モードに対応したテーブルを使用しても構わない。
【0062】
動画撮影の場合、光学性能としての周辺解像度の低下は静止画よりも許容されるので、図3のテーブルに示すように駆動許可範囲R2の大きさは、動画撮影時は静止画撮影時よりも大きな範囲になる(焦点距離が同じ場合)。
また、素子ブレ補正範囲が「大」の場合には、駆動許可範囲R2の大きさは大きく、素子ブレ補正範囲が「小」の場合、素子ブレ補正範囲が「大」の場合よりも駆動許可範囲R2の大きさは小さくなる。
【0063】
素子駆動許可範囲情報作成部37は、ズームレンズ位置検出部41によって検出されたズームレンズ31の位置に基づいて、レンズ記憶部45のテーブル(図3)からカメラボディへ送る情報を選択して、作成する。
すなわち、レンズ記憶部45に記憶されたズームレンズ31の位置に対応した焦点距離を読出し、その焦点距離に対応する(a)~(d)の場合の駆動許可範囲R2に関する情報を抽出する。例えば図3の場合の焦点距離がAの場合には(1)~(4)の情報をカメラボディ1へ送信する情報として抽出する。
【0064】
レンズ側送受信部46は、素子駆動許可範囲情報作成部37で作成された駆動許可範囲R2に関する情報(焦点距離がAの場合には(1)~(4))をボディ側送受信部19に送信する。なお、素子の駆動許可範囲R2に関する情報だけではなく、焦点距離情報や撮影距離情報、絞り値情報を一緒に送っても構わない。
なお、レンズ側送受信部46とボディ側送受信部19との間の通信は、一定の間隔(例えば1ms間隔)で行われている。
【0065】
カメラボディ1では、モード設定部16で設定された撮影モード情報である「静止画撮影モード」または「動画撮影モード」の何れか、駆動モード情報である「ノーマルモード」、「アクティブモード」または「スポーツモード」の何れかの設定情報に基づいて、交換レンズ3から受信した駆動許可範囲R2に関する情報を選択する。なお上述したように、素子ブレ補正範囲については駆動モードにより決定される。
【0066】
例えば、モード設定部16で「アクティブモード」が設定されている場合には素子ブレ補正範囲が「大」であり、さらに「動画撮影モード」が設定されていると、(a)の場合であると判断し、(1)の情報(駆動許可範囲R2の形状、大きさ)を選択する。
【0067】
カメラボディ1では、ブレ検出センサ18によってブレが検出されると、センサ信号処理部24はブレ検出センサ18から出力される信号を読み込み、この信号に基づいてブレ検出の基準値を演算し、ブレ検出センサ18から出力される信号から算出されたブレ検出の基準値を減算する等の各種処理を行う。
【0068】
目標位置演算部25は、センサ信号処理部24で処理されたブレ検出センサ18の出力信号と、レンズ側送受信部から受信し、選択した駆動許可範囲R2の情報とによって、カメラボディ1のブレを補正するための撮像素子11の目標位置を演算する。
目標位置演算部25は、選択した駆動許可範囲R2の情報とブレ検出センサ18の出力とから目標位置を算出するので、撮像素子11の有効画素領域R3の少なくとも一部が、駆動許可範囲R2より外側に移動することなく、撮像素子11の有効画素領域R3全体が駆動許可範囲R2の内側になるように目標位置を制限できる。
【0069】
素子駆動量演算部26は、目標位置演算部25で算出された撮像素子11の目標位置と、素子位置検出部13により検出された撮像素子11の位置とからに撮像素子11を駆動するための撮像素子11の駆動量を演算する。
【0070】
素子駆動部12は、演算された駆動量で撮像素子11を駆動させる。このため、撮像素子11の有効画素領域R3が、駆動許可範囲R2からはみ出すことがない。そのため、撮影された画像は光学性能が良好でない領域で撮影されることがないので画像が劣化することはない。また駆動許可範囲R2はイメージサークルR1の内側にあるので、イメージサークル外で撮影されて画像が暗くなることもない。
【0071】
なお、本実施形態では、交換レンズ3のブレ補正レンズ33によるブレ補正をする、しないに関わらず、レンズ記憶部45は1種類の駆動許可範囲R2の情報(テーブル)を記憶していたが、これに限定されず、ブレ補正レンズ33によるブレ補正をする、しないに応じて、異なる駆動許可範囲R2の情報(テーブル)を記憶していてもよい。その場合、素子駆動許可範囲情報作成部37は、ブレ補正レンズ33によるブレ補正をする、しないに応じてカメラボディへ送る情報を選択する。
【0072】
なお、カメラボディ1のモード設定部16で選択された駆動モードが、ノーマルモード、アクティブモード又はスポーツモードのどれであるかという情報を、レンズ側送受信部46に送信しても構わない。交換レンズ3は受信した駆動モードの情報から素子ブレ補正範囲の「大」・「小」を判断し、カメラボディに送る駆動許可範囲R2の情報を選択しても構わない。
例えば受信した駆動モードが「ノーマルモード」の場合には、素子ブレ補正範囲が「大」と判断し、焦点距離がAの場合には、図3の(1)または(3)の情報をカメラボディに送信する。
【0073】
さらにカメラボディ1から撮影モードの情報を受信しても構わない。撮影モードとして「動画撮影モード」、駆動モードとして「ノーマルモード」を受信し、焦点距離がAの場合には(1)の情報のみをカメラボディ1に送信する、この場合、カメラボディで駆動許可範囲R2の情報を選択する必要はない。
【0074】
また、交換レンズ3のブレ補正レンズをブレ補正のために駆動した場合、撮像素子11の場合と同様に、交換レンズ3が受信した駆動モードがノーマルモード又はアクティブモードの場合は、ブレ補正レンズ33の露光前センタリングを行い、選択されている駆動モードがスポーツモードの場合は、ブレ補正レンズ33の露光前センタリングを行わない。
交換レンズ3のブレ補正レンズをブレ補正のために駆動した場合、ブレ補正レンズの位置情報やブレ補正レンズ33の最大移動範囲である「ブレ補正レンズ最大移動範囲」の情報をカメラボディ1に送っても構わない。カメラボディ1は交換レンズ3から送られてきたブレ補正レンズの位置情報やブレ補正レンズ最大移動範囲の情報を基に、ブレ補正のために撮像素子11を駆動する駆動量を算出する。
【0075】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図4は第2実施形態のカメラシステム200のブロック図である。第2実施形態のカメラシステム200及び交換レンズ203が第1実施形態のカメラシステム2及び交換レンズ3と異なる点は、交換レンズ203がブレ補正レンズ及びブレ補正レンズを駆動する機構を含まない点である。
【0076】
本実施形態においては、カメラボディ201で、XY方向の並進ブレと、ピッチ方向、ヨー方向及びロール方向の回転ブレとを補正する。なお、以下の説明において、カメラシステム200及び交換レンズ203における、第1実施形態のカメラシステム100及び交換レンズ3と同様の部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
本実施形態では素子駆動許可範囲情報作成部37において、
(a)動画撮影モード(b)静止画撮影モードのそれぞれ撮影モードでの撮影距離毎の素子駆動許可範囲R2の情報が作成される。なお、素子ブレ補正範囲が「大」・「小」の条件も追加して、第1実施形態と同様に4つの駆動許可範囲R2の情報を作成しても構わない。
【0078】
図5に示すように、「動画撮影モード」、「静止画撮影モード」のそれぞれのモードにおいて、焦点距離A、B、C(A>B>C)の場合の駆動許可範囲R2の情報を生成し、交換レンズ203の焦点距離に応じた駆動許可範囲R2の情報をカメラボディ201に送信する。
【0079】
カメラボディ201の素子駆動量演算部26には、モード設定部16から動画撮影モードが選択されているか静止画撮影モードが選択されているかの情報が入力される。交換レンズ203から受信した情報である(a)及び(b)から、動画撮影、静止画撮影のいずれかを選択し、駆動許可範囲R2の情報を選択する。選択した駆動許可範囲R2の情報に基づいて、第1実施形態と同様にカメラボディ201の素子駆動量演算部26は、撮像素子11を駆動する駆動量を演算する。
なお、素子ブレ補正範囲が「大」・「小」の条件がある場合には、駆動モードも考慮して(設定されている駆動モードから素子ブレ補正範囲を選択して)駆動許可範囲R2の情報を選択する。
【0080】
第2実施形態においても第1実施形態と同様に、素子駆動部12は、演算された駆動量で撮像素子11を駆動させる。このため、撮像素子11の有効画素領域R3が、駆動許可範囲R2からはみ出すことがない。そのため、撮影された画像は光学性能が良好でない領域で撮影されることがないので画像が劣化することはない。また駆動許可範囲R2はイメージサークルR1の内側にあるので、イメージサークル外で撮影されて画像が暗くなることもない。
【0081】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。図6は第3実施形態のカメラシステム300のブロック図である。第3実施形態のカメラシステム300及び交換レンズ303が第1実施形態のカメラシステム100及び交換レンズ3と異なる点は、素子駆動許可範囲情報作成部を含まない点である。なお、以下の説明において、カメラシステム300及び交換レンズ303における、第1実施形態のカメラシステム100及び交換レンズ3と同様の部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
素子駆動許可範囲情報作成部を含まない交換レンズ303の場合、レンズ側送受信部46は、焦点距離情報をボディ側送受信部19に送信する。また、レンズ記憶部45に記憶されている交換レンズ303の個体情報も送信する。
【0083】
カメラボディ301の素子駆動量演算部26は、モード設定部16より、動画撮影が選択されているか、静止画撮影が選択されているかの情報を入力する。また、モード設定部16より、ノーマルモード、アクティブモード、スポーツモードのいずれのモードが選択されているかの情報を入力する。素子駆動量演算部26は、この交換レンズ3から受信した焦点距離情報及び交換レンズ303の個体情報より、撮像素子11の駆動許可範囲R2を決定する。
【0084】
この場合、焦点距離が短いほど駆動許可範囲R2を小さくし、焦点距離が長いほど駆動許可範囲R2を大きくする。なぜならば、レンズの焦点距離が短いと、焦点距離が長い場合に比べて像高の変化に対する収差及び光量の変化が大きく、さらに、同じ量のブレを補正するための撮像素子の駆動許可範囲は焦点距離が短いほど小さく、焦点距離が長いほど大きくなるためである。
また、交換レンズ303から撮影距離情報をカメラボディ301に送信しても構わない。素子駆動量演算部26は、受信した交換レンズ3の撮影距離情報を用いて算出した撮影倍率を基に撮像素子11の駆動許可範囲を算出してもよい。
【0085】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、素子駆動部12は演算された駆動量で撮像素子11を駆動させる。このため、撮像素子11の有効画素領域R3が、駆動許可範囲R2からはみ出すことがない。そのため、撮影された画像は光学性能が良好でない領域で撮影されることがないので画像が劣化することはない。また駆動許可範囲R2はイメージサークルR1の内側にあるので、イメージサークル外で撮影されて画像が暗くなることもない。
【0086】
なお、上記実施の形態では撮像素子11の駆動許可範囲R2を円形としたが、レンズ記憶部45が記憶する駆動許可範囲R2は円形でなくてもよい。例えば、レンズ記憶部45は、撮像素子11の駆動許可範囲R2の情報として、撮像素子11の長辺方向への駆動許可範囲及び撮像素子11の短辺方向への駆動許可範囲のいずれか短い方の駆動許可範囲を一辺とする正方形を駆動許可範囲R2の形状情報とを記憶してもよい。駆動許可範囲R2の形状情報としては、長方形でもよいし楕円形でもよい。レンズ側送信部46は、これらの駆動許可範囲や形状情報をカメラボディに送信する。
【0087】
なお、上記実施形態では、並進ブレ及び回転ブレを検出してブレ補正を行ったが、並進ブレ及び回転ブレのいずれか一方のみを検出して、ブレ補正を行ってもよい。
【0088】
なお、上記実施形態では、駆動モード(ノーマルモード、アクティブモード、スポーツモード)に応じて、レリーズスイッチ15の操作による撮像素子11の露光前センタリングに関して異なる駆動制御をおこなったが、駆動モードによる制御の違いはこれに限らず、同じ大きさのブレ検出信号に対して、撮像素子11の駆動量を異なる大きさで制御するなどしても良い。
【0089】
なお、上記実施形態では、複数の駆動モード及び複数の撮影モードが設定可能であったが、複数のモードのうちいずれか一つのモードのみを有していてもよい。その場合、レンズ記憶部45は、焦点距離毎に一つの撮像素子11の駆動許可範囲R2の情報を記憶する。
また、上記実施例では、複数の駆動モード及び複数の撮影モードが設定可能で、複数のモードに対して撮像素子11の駆動許可範囲R2はそれぞれ異なる値であったが、複数のモードに対して撮像素子11の駆動許可範囲R2は同じ値であってもよい。その場合に、レンズ記憶部45は、焦点距離毎に一つの撮像素子11の駆動許可範囲R2の情報を記憶してもよい。
【0090】
また、上記実施形態ではズームレンズ位置検出部41により検出される情報は、ズームレンズの位置にする情報であったが、交換レンズ3の焦点距離の値でもよい。また、レンズ記憶部45は3種類の焦点距離毎ではなく、それ以上の複数の焦点距離毎に駆動許可範囲R2を記憶しても良いし、ズームレンズの複数の位置毎に駆動許可範囲R2を記憶していてもよい。
【0091】
なお、レンズ記憶部45は、ズームレンズの焦点距離と撮影距離とに対応した駆動許可範囲R2の情報を保持していてもよい。撮影倍率が高くなると、撮影距離に応じて駆動許可範囲R2の変化が大きくなる為である。その場合、焦点距離と撮影距離との2次元のテーブルに、それぞれの撮影モードに対応する複数の駆動許可範囲情報が記憶されていても良い。
【0092】
また、レンズ記憶部45は駆動許可範囲R2の情報を、焦点距離及び撮影距離の少なくともいずれか一つに関する関数式で保持していてもよい。
【0093】
なお、駆動モードの設定を交換レンズ3に備えられた操作部で行ってもよい。その場合、交換レンズ3は、操作部で設定された駆動モードを交換レンズからカメラボディに送信しても構わない。
【0094】
また、CPUを持たない交換レンズ、又は、交換レンズとの通信ができないマウントアダプタが装着された場合には、カメラボディの目標位置設定部は、メニューからユーザーが設定した焦点距離情報に基づいて、駆動許可範囲R2を決定し、目標位置を演算しても構わない。
【0095】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能なことは当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態、及び、実施形態の要素と変形形態の要素との組み合わせの形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0096】
1,201,301:カメラボディ、3,203,303:交換レンズ、11:撮像素子、12:素子駆動部、13:素子位置検出部、14:記録媒体、15:レリーズスイッチ、16:モード設定部、17:表示部、18:ブレ検出センサ、19:ボディ側送受信部、20:ボディCPU、21:撮影制御部、22:画像信号処理部、23:焦点検出部、24:センサ信号処理部、25:目標位置演算部、26:素子駆動量演算部、30:レンズCPU、31:ズームレンズ、32:フォーカスレンズ、33:ブレ補正レンズ、34:角速度信号処理部、35:ブレ補正レンズ目標位置演算部、36:ブレ補正レンズ駆動量演算部、37:素子駆動許可範囲情報作成部、41:ズームレンズ位置検出部、42:フォーカスレンズ位置検出部、43:ブレ補正レンズ位置検出部、44:角速度センサ、45:レンズ記憶部、46:レンズ側送受信部、51:ズームレンズ駆動部、52:フォーカスレンズ駆動部、53:ブレ補正レンズ駆動部、54:ブレ補正レンズ駆動部、56:レンズ側送受信部、100,200,300:カメラシステム

図1
図2
図3
図4
図5
図6