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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】検査治具、および検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20241203BHJP
   G01R 1/06 20060101ALI20241203BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241203BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20241203BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G01R1/073 E
G01R1/06 D
G01R31/26 J
G01R31/28 K
H01L21/66 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023078386
(22)【出願日】2023-05-11
(62)【分割の表示】P 2021512047の分割
【原出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2023106466
(43)【公開日】2023-08-01
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2019073138
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】ニデックアドバンステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 穣
(72)【発明者】
【氏名】藤野 真
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/203848(WO,A1)
【文献】実開昭58-148935(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第109490588(CN,A)
【文献】特開平03-209738(JP,A)
【文献】特開平08-105915(JP,A)
【文献】特開2004-003911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06-1/073
G01R 31/26-31/28
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2基板と電気的に接続される中間部材に対し脱着可能な検査治具であって、
板状の絶縁部材と、
第1電極及び前記第1電極と電気的に接続される第2電極を有する第1基板と、
接触端子と電気的に接続される導線と、
前記第1基板に取り付けられて厚み方向に貫通する収容部を有する、板状の収容部材と、を備え、
前記第2電極は、前記収容部を通して露出し、
前記収容部には、前記中間部材が収容可能であり、
前記絶縁部材には、厚み方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記導線の一端部は、前記貫通孔に配置され、
前記導線の他端部は、前記第1電極に接続される、検査治具。
【請求項2】
板状の板部材をさらに備え、
前記第1基板は、前記収容部材と前記板部材との間に位置する、請求項1に記載の検査治具。
【請求項3】
前記収容部材の外形が、四角形状である、請求項1に記載の検査治具。
【請求項4】
前記収容部材は、前記第1基板を覆うように構成される請求項1に記載の検査治具。
【請求項5】
前記板部材は、前記第1基板を覆うように構成される請求項2に記載の検査治具。
【請求項6】
前記貫通孔に配置され、前記導線の一部を前記絶縁部材に固定させる固定部材をさらに備える、請求項1に記載の検査治具。
【請求項7】
前記固定部材は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を含む、請求項6に記載の検査治具。
【請求項8】
前記導線の前記一端部の端面は、前記貫通孔の内部に位置し、
前記端面に第1金属層が設けられ、
前記第1金属層は、前記導線よりも硬度が高い、請求項1に記載の検査治具。
【請求項9】
前記第1金属層に、第2金属層が連接される、請求項8に記載の検査治具。
【請求項10】
前記導線と電気的に接続される接触端子をさらに備える請求項1に記載の検査治具。
【請求項11】
前記厚み方向に延びる接続部材をさらに備え、
前記接続部材は、前記厚み方向に圧縮可能なばね部を有する、請求項1に記載の検査治具。
【請求項12】
前記厚み方向に延びる接続部材と、
前記第2基板と、
をさらに備え、
第3電極は、前記第2基板の一方側面に配置され、
第4電極は、前記第2基板の他方側面に配置され、
前記第3電極と前記第4電極とは、電気的に接続され、
前記第4電極間のピッチは、前記第3電極間のピッチより広く、
前記接続部材の一方側端部は前記第2電極と接触し、
前記接続部材の他方側端部は前記第3電極と接触する、請求項1に記載の検査治具。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の検査治具と、
前記第1電極と電気的に接続される検査処理部と、を備える検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象の検査に用いられる検査治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプローブカード装置の一例は、特許文献1に開示される。
【0003】
上記特許文献1のプローブカード装置は、DUTのテストを制御するためのテスタと、当該電子デバイスとの間のインタフェースとして機能する。プローブカード装置は、主要サブアセンブリと、プローブヘッドと、を有する。
【0004】
主要サブアセンブリは、配線構造物と、プローブヘッド・インタフェースと、を含む。配線構造物は、プリント回路基板などである。プローブヘッド・インタフェースは、一方の側の電気的端子と、もう一方の側の電気接点と、上記電気的端子から上記電気接点への電気接続部と、を含む。配線構造物は、ワイヤによって上記電気的端子と接続される。
【0005】
プローブヘッドは、プローブ挿入部を含む。プローブ挿入部は、プローブヘッドの一方の側のコネクタと、プローブヘッドのもう一方の側から延びるプローブと、を含む。電気接続部は、コネクタをプローブに接続する。コネクタの数およびパターンは、プローブヘッド・インタフェースの電気接点の数およびパターンに対応する。従って、コネクタは電気接点に電気的に接続される。プローブの数およびパターンは、テストすべきDUTの端子の数およびパターンに対応する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2016-524139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のプローブヘッドは、DUTの端子のパターンに対応するプローブと、プローブヘッド・インタフェースの電気接点のパターンに対応するコネクタとを電気的に接続する。このため、DUTの端子のパターンが確定しないと、製造を開始することは困難であると考えられる。
【0008】
そして、上記プローブヘッドは、DUTの端子に対応する位置に配置されるプローブと、プローブヘッド・インタフェースの電気接点に対応する位置に配置されるコネクタとを電気的に接続する。このため、プローブヘッドの製造には所定の製造期間が必要と考えられる。
【0009】
従って、特許文献1ではプローブカード装置の製造期間が長くなると推測される。
【0010】
上記状況に鑑み、本発明は、製造期間を短縮できる検査治具、およびこれを用いた検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の例示的な検査治具は、第2基板と電気的に接続される中間部材に対し脱着可能である。前記検査治具は、板状の絶縁部材と、第1電極及び前記第1電極と電気的に接続される第2電極を有する第1基板と、接触端子と電気的に接続される導線と、前記第1基板に取り付けられて厚み方向に貫通する収容部を有する、板状の収容部材と、を備え、前記第2電極は、前記収容部を通して露出し、前記収容部には、前記中間部材が収容可能であり、前記絶縁部材には、厚み方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記導線の一端部は、前記貫通孔に配置され、前記導線の他端部は、前記第1電極に接続される構成としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の例示的な検査治具は、製造期間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る検査装置の要部の概略的な縦断面図である。
図2図2は、導線を絶縁部材の貫通孔に挿通させる工程を示す図である。
図3図3は、貫通孔に挿通させた導線の突出部を折り曲げる工程を示す図である
図4図4は、導線を第1電極に接合させる工程を示す図である。
図5図5は、硬化性樹脂を絶縁部材の凹部および貫通孔に配置させる工程を示す 図である。
図6図6は、導線の切断面を研磨する工程を示す図である。
図7図7は、導線にエッチング加工を施す工程を示す図である。
図8図8は、導線の端面に対してメッキ加工を行う工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、後述する絶縁部材22は板状を有しており、図面において絶縁部材22の厚み方向をX方向として、X方向の一方側をX1、X方向の他方側をX2として示す。また、X方向に垂直な方向をY方向として、Y方向の一方側をY1、Y方向の他方側をY2として示す。また、X方向およびY方向に垂直な方向をZ方向として、Z方向の一方側をZ1、Z方向の他方側をZ2として示す。また、絶縁部材22のX方向に延びる中心軸J(図1図2)周りの方向を「周方向」と称する。また、中心軸Jに対する径方向を「径方向」と称する。
【0015】
<1.検査装置の全体構成>
ここでは、本発明の一実施形態に係る検査装置の全体構成について、図1を参照して説明する。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る検査装置5は、検査対象10の電気的検査を行う。図1において、一方X1側が下側、他方X2側が上側となる。また、一方Y1側が紙面左側、他方Y2側が紙面右側となる。また、一方Z1側が紙面手前側、他方Z2側が紙面奥側となる。
【0016】
検査対象10は、例えば、シリコンなどの半導体基板に複数の回路が形成された半導体ウェハである。半導体ウェハは、ダイシングされることにより、上記回路の個々を有する半導体チップに個片化される。なお、検査対象10は、半導体ウェハ以外にも例えば、半導体チップ、CSP(Chip size package)、または半導体素子等の電子部品とすることができる。
【0017】
また、検査対象10は、基板としてもよい。この場合、検査対象10は、例えば、プリント配線基板、ガラスエポキシ基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、半導体パッケージ用のパッケージ基板、中間部材基板、フィルムキャリア等の基板であってもよく、液晶ディスプレイ、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ等のディスプレイ用の電極板、またはタッチパネル用の電極板であってもよい。
【0018】
また、EMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)と呼ばれるパッケージング技術による製品を検査対象10としてもよい。EMIBでは、シリコンブリッジと呼ばれる小さなシリコン基板をパッケージ樹脂基板に埋め込み、シリコンブリッジの表面に微細且つ高密度な配線を形成することで、隣り合うシリコンダイをパッケージ樹脂基板に近接搭載する。
【0019】
検査装置5は、検査治具2と、検査処理部(スキャナー)3と、を備える。本実施形態では、一例として検査処理部3の数は6つとしている。但し、検査処理部3の数は、6つ以外の複数でもよいし、単数でもよい。
【0020】
検査治具2は、プローブヘッド1を有する。プローブヘッド1は、複数の接触端子11と、支持部材12と、を有する。すなわち、検査治具2は、接触端子11を備える。
【0021】
接触端子11は、上下方向に延びる棒状に形成される。本実施形態では、一例として、接触端子11は、筒状体111と、第1導体(プランジャー)112と、第2導体(プランジャー)113と、を有する。筒状体111は、円筒状に形成され、例えば約25~300μmの外径と、約10~250μmの内径とを有するニッケル或いはニッケル合金のチューブを用いて形成される。また、筒状体111の内周面には、金メッキ等の導電層が形成されることが好ましい。さらに、筒状体111の外周面を必要に応じて絶縁被覆してもよい。
【0022】
第1導体112および第2導体113は、例えばパラジウム合金などの導電性材により形成される。第1導体112は、一方X1側から筒状体111へ挿入され、その挿入部の一方X1側端部は、筒状体111に圧入などにより固定される。第1導体112が筒状体111に固定された状態で、第1導体112の一部は、筒状体111から一方X1側へ突出する突出部となる。当該突出部の一方側端部は、接触端子11の一方側端部11Aとなる。一方側端部11Aは、検査対象10の検査点10Aに接触可能である。
【0023】
第2導体113は、他方X2側から筒状体111へ挿入され、その挿入部の他方X2側端部は、筒状体111に圧入などにより固定される。第2導体113が筒状体111に固定された状態で、第2導体113の一部は、筒状体111から他方X2側へ突出する突出部となる。当該突出部の他方側端部は、接触端子11の他方側端部11Bとなる。
【0024】
筒状体111は、上下方向の途中においてばね部を有する。これにより、筒状体111は、上下方向に伸縮可能となる。また、第1導体112、筒状体111、および第2導体113を介した導通経路が形成される。
【0025】
支持部材12は、複数の接触端子11を支持する。より具体的には、例えば、支持部材12には上下方向に貫通する貫通孔が形成され、当該貫通孔に接触端子11が収容される。この場合、接触端子11と当該貫通孔との寸法関係により、接触端子11を当該貫通孔に挿入した際に接触端子11は一方X1側への脱落が防止される。
【0026】
検査治具2は、プローブヘッド1の他に、第1収容部材21と、絶縁部材22と、第1基板23と、複数の導線24と、固定部25と、第2収容部材26と、中間部材27と、第3収容部材28と、第2基板29と、を有する。
【0027】
第1収容部材21は、上下方向視で外形として四角形状を有する板状であり、例えばアルミニウムを有する金属から形成される。第1収容部材21は、他方X2側へ凹んで構成される第1収容部21Aを有する。第1収容部21Aには、絶縁部材22が収容される。
【0028】
絶縁部材22は、一方X1側へ凹んだ凹部22Aを有する板状の部材であり、絶縁材により形成される。絶縁部材22は、例えば絶縁材としてのセラミック、樹脂等から形成される。当該樹脂の一例としては、スミカスーパー(登録商標)を用いることができる。
【0029】
すなわち、検査治具2は、凹部22Aを有する板状の絶縁部材22を備える。
【0030】
絶縁部材22には、凹部22Aの底部221を貫通する貫通孔221Aが設けられる。貫通孔221Aは、複数設けられ、一例として、接触端子11の位置に合せて形成される。
【0031】
貫通孔221Aには、導線24の一端部24Aが挿入される。導線24は、例えばエナメル線により形成される。エナメル線は、銅線を絶縁性被膜により覆って形成される。すなわち、導線24は、絶縁性の被膜を有する。これにより、貫通孔221A間のピッチが狭く、導線24同士が接触し易い場合でも導線24同士が短絡することを抑制できる。
【0032】
導線24の一端部24Aの端面を含んで第5電極E5が形成される。第5電極E5は、底部221の一方側面221S1に形成される。第5電極E5に第2導体113の他方側端部、すなわち接触端子11の他方側端部11Bを接触しつつ、支持部材12が底部221の一方側面221S1に固定される。この状態でプローブヘッド1は、絶縁部材22の一方X1側に配置される。これにより、筒状体111のばね部が上下方向に圧縮され、ばね部の弾性力により他方側端部11Bは第5電極E5に押し当てられる。これにより、接触端子11と第5電極E5との導通状態が安定化される。すなわち、検査治具2は、接触端子11と電気的に接続される導線24を備える。
【0033】
このように、一つの貫通孔221Aに対して一つの導線24の一端部24Aが挿入され、当該一つの導線24に対して一つの接触端子11が電気的に接続される。すなわち、貫通孔221Aの数は、導線24の数および接触端子11の数と同じである。
【0034】
第1基板23は、第1収容部材21の他方側面21S上に配置される。第1基板23は、絶縁部材22の他方X2側に配置される。第1基板23は、一例として上下方向に視て外形として四角形状を有する。第1基板23は、上下方向に貫通する基板貫通孔23Aを中央位置に有する。すなわち、第1基板23は、絶縁部材22の厚み方向に貫通する基板貫通孔23Aを有する。
【0035】
1基板23の他方側面23Sにおいて基板貫通孔23Aの周囲には、複数の第1電極231が配置される第1電極領域231Rが複数周方向に配置される。検査治具2は、第1電極231を有する第1基板23を備える。第1電極領域231Rは、三角形から扇形を除いた形状に形成される。第1電極領域231Rの各々に配置される第1電極231の群は、複数設けられる検査処理部3の各々と電気的に接続される。本実施形態では、検査処理部3の数が6つであるので、第1電極領域231Rの数も6つとしている。

【0036】
また、図に示すように、第1収容部材21は、上下方向に貫通する貫通孔21Cを中央位置に有する。基板貫通孔23Aは、貫通孔21Cの他方X2側に連接される。導線24は、底部221の他方側面221S2より他方X2側へ引き出され、貫通孔21Cおよび基板貫通孔23Aを通して第1電極231に接続される。すなわち、導線24の他端部24Bが第1電極231に接続される。これにより、接触端子11は、導線24を介して第1電極231と電気的に接続される。言い換えると、導線24は、基板貫通孔23Aに配置される。導線24は、一方X1側に視た平面視で、第1電極231から基板貫通孔23Aへ径方向内側に延びる。これにより、導線24と電気的に接続される接触端子11のピッチを狭くし、検査対象10の検査点10Aの狭ピッチ化に対応できる。
【0037】
ここで、図1に示すように、第1基板23は、絶縁部材22における凹部22A側に配置され、絶縁部材22の厚み方向に視た場合に絶縁部材22と重なる部分を有する。このような構成の場合のX方向(上記厚み方向)から視た平面視において、貫通孔221Aの位置と第1電極231の位置との間の距離は、第1基板23が絶縁部材22と重ならない場合よりも短くなる。このため、導線24の長さを短くし、導通経路の電気抵抗値を低減できる。
【0038】
ここで、第1基板23における第1電極231の数は、導線24の本数よりも多い。すなわち、他端部24Bが接続されない第1電極231が存在する。これにより、検査対象10の品種ひいてはプローブヘッド1の品種が切替わっても、第1基板23を共通化することができ、検査治具2の製造期間を短縮できる。
【0039】
なお、導線24の他端部24Bは、先述のように第1基板23における一部の第1電極231に接続されることに限らず、第1基板23における全部の第1電極231に接続されてもよい。すなわち、導線24の他端部24Bは、第1電極231に接続される。
【0040】
固定部25は、その一部が底部221の他方側面221S2に載置されて凹部22Aに収容される。固定部25は、後述するように硬化性樹脂から形成されるモールド部であり、導線24の一部を絶縁部材22に固定する機能を有する。
【0041】
なお、絶縁部材22、第1基板23、導線24、固定部25、および第5電極E5による構成の製造方法については後述する。
【0042】
1基板23の他方側面23Sにおいて第1電極領域231RのY方向一方Y1側およびY方向他方Y2側にそれぞれZ方向に3つ並んで、複数の第2電極232が配置される第2電極領域232Rが配置される。第2電極領域232Rの各々に配置される第2電極232の群は、複数設けられる検査処理部3の各々と電気的に接続される。検査処理部3の数が6つであるので、第2電極領域232Rの数も6つとしている。第2電極232は、第1基板23における基板部230(図参照)内部に配置される配線(不図示)によって第1電極231と電気的に接続される。
【0043】
すなわち、第1基板23は、第1電極231と電気的に接続されて第1基板23の他方側面23Sに配置される第2電極232を有する。これにより、第1基板23の他方X2側に配置される検査処理部3と第1基板23との電気的接続を容易化できる。
【0044】
第2収容部材26は、上下方向視で外形として四角形状を有する板状であり、例えばアルミニウムを有する金属から形成される。第2収容部材26は、厚み方向に貫通する孔部26Aを中央位置に有する。第1電極領域231Rは、上方視で孔部26Aを通して上方に露出する。これにより、導線24を孔部26A内部に配置させることができる。
【0045】
第2収容部材26は、Y方向一方Y1側およびY方向他方Y2側それぞれにZ方向に3つ並んだ第2収容部26Bを有する。第2収容部26Bは、厚み方向(X方向)に貫通する孔部である。第2電極領域232Rは、上方視で第2収容部26Bを通して上方に露出する。
【0046】
中間部材27は、一部が第3収容部材28から一方X1側に突出し、上下方向に視て一例として外径として略四角形を有する。
【0047】
1に示すように、中間部材27は、接続部材271を有する。接続部材271は、例えば、上下方向に伸縮可能なばね部材2711と、第1プランジャー2712と、第2プランジャー2713と、を有する。第1プランジャー2712は、ばね部材2711の一方側端部2711Aに固定される。第2プランジャー2713は、ばね部材2711の他方側端部2711Bに固定される。ばね部材2711、第1プランジャー2712、および第2プランジャー2713は、導電性材により形成される。
【0048】
第3収容部材28は、Y方向に2つ並んで配置される。それぞれの第3収容部材28は、一方X1側へ凹んだ凹部28Aを有し、例えばアルミニウムを有する金属により形成される。凹部28Aは、Z方向に3つ並んで配置される。それぞれの第2基板29は、それぞれの凹部28Aに収容される。すなわち、第2基板29は、6つ設けられる。第3収容部材28は、凹部28Aの一方X1側に連接される貫通孔28Bを有する。
【0049】
第2基板29の一方側面29S1には、第3電極291が形成される。第2プランジャー2713を貫通孔28B内で第3電極291に接触させつつ中間部材27を第3収容部材28に固定する。これにより、ばね部材2711が上下方向に圧縮され、ばね部材2711の弾性力により第2プランジャー2713は第3電極291に押し当てられる。従って、第2プランジャー2713と第3電極291との導通状態が安定化される。
【0050】
そして、それぞれの中間部材27をそれぞれの第2収容部26Bに挿入し、第1プランジャー2712を第2電極232に接触させつつ第3収容部材28を第2収容部材26に固定する。これにより、ばね部材2711が上下方向に圧縮され、ばね部材2711の弾性力により第1プランジャー2712は第2電極232に押し当てられる。従って、第1プランジャー2712と第2電極232との導通状態が安定化される。
【0051】
また、それぞれの第2基板29の他方側面29S2において、複数の第4電極292が配置される第4電極領域292Rが配置される。Y方向一方Y1側の基板29のそれぞれにおいては、第4電極領域292RはY方向一方Y1側に配置される。Y方向他方Y2側の基板29のそれぞれにおいては、第4電極領域292RはY方向他方Y2側に配置される。
【0052】
第4電極領域292Rの各々に配置される第4電極292の群は、複数設けられる検査処理部3の各々と電気的に接続される。検査処理部3の数が6つであるので、第4電極領域292Rの数も6つとしている。第4電極292は、検査処理部3の端子3A(図1参照)と接触する。
【0053】
第3電極291と第4電極292は、第2基板29の基板部内部の配線により電気的に接続される。第4電極292間のピッチは、検査処理部3の端子3A間のピッチによって決まり、第3電極291間のピッチよりも広い。
【0054】
すなわち、検査治具2は、絶縁部材22の厚み方向に延びる接続部材271と、第2基板29と、を備える。第3電極291は、第2基板29の一方側面29S1に配置される。第4電極292は、第2基板29の他方側面29S2に配置される。第3電極291と第4電極292とは、電気的に接続される。第4電極292間のピッチは、第3電極291間のピッチより広い。接続部材271の一方側端部271Aは、第2電極232と接触する。接続部材271の他方側端部271Bは、第3電極291と接触する。
【0055】
これにより、第2電極232間のピッチを、検査処理部3との接続用の第4電極292間のピッチへ変換できる。また、接続部材271は、上記厚み方向に圧縮可能なばね部2711を有する。これにより、第2電極232と第3電極291との導通状態を安定化できる。
【0056】
以上のような構成により、接触端子11は、第5電極E5、導線24、第1電極231、第2電極232、接続部材271、第3電極291、および第4電極292を介して、検査処理部3と電気的に接続される。
【0057】
検査対象10の検査時には、図1に示すように、検査対象10の検査点10Aに接触端子11の一方側端部11Aを接触させる。このとき、筒状体111のばね部が上下方向に圧縮されるので、当該ばね部の弾性力により一方側端部11Aが検査点10Aに押し当てられる。これにより、一方側端部11Aと検査点10Aとの導通状態が安定化される。
【0058】
このような検査対象10の検査時には、検査点10Aと検査処理部3とが電気的に接続される。検査処理部3によって接触端子11を介して検査点10Aに検査用信号が順次出力され、それに応じて検査点10Aから検査用信号が取得される。これらの検査用信号に基づいて検査処理部3により検査点10A間の導通の有無などが検出され、検査対象10における断線または短絡の有無等の検査が行われる。
【0059】
また、仮に接触端子11を導線24を介して直接、第2基板29の電極に電気的に接続する構成の場合は、検査対象10の仕様が変更されるごとに、第2基板29を交換する必要がある。それに対し、本実施形態であれば、検査対象10の仕様が変更されても、プローブヘッド1、第1収容部材21、絶縁部材22、第1基板23、導線24、固定部材25、および第2収容部材26を有する部分を交換すればよく、中間部材27、第3収容部材28および第2基板29を有する部分は交換する必要がない。従って、サイズの大きい6つ分の第2基板29を共通化でき、サイズの小さい第1基板23を交換すればよいので、ランニングコストを削減できる。特に、第3電極291間のピッチは、第4電極292間のピッチよりも狭いので、接続部材271間のピッチおよび第2電極232間のピッチを狭くし、第1基板23のサイズを6つ分の第2基板28のサイズよりも、より小さくでき、ランニングコストを削減できる。
【0060】
なお、接触端子11は、屈曲可能な弾性を有するワイヤ状の検査用接触子であってもよい。接触端子11は、上下方向から傾いた姿勢で支持部材12に支持される。そして、検査点10Aを接触端子11の一方側端部11Aに接触させることで、接触端子11を屈曲させる。接触端子11を傾けて支持させることで、屈曲する方向を決めることができる。上記のようなワイヤ状の検査用接触子を用いることで、より高集積化された検査対象10の検査に対応することが可能となる。
【0061】
<2.接触端子と第1基板との電気的接続構成の製造方法>
次に、検査治具2における接触端子11と第1基板23とを電気的に接続させる構成の製造工程について、図~図を参照して説明する。
【0062】
なお、図~図の工程は、絶縁部材22および第1基板23を第1収容部材21に収容した状態で行う。すなわち、検査治具2は、凹んで構成されて絶縁部材22を収容する第1収容部21Aを有する収容部材21を備える。これにより、後述するように導線24と第1電極231とを接続するための絶縁部材22の位置決めを容易に行える。
【0063】
まず、プローブヘッド1は品種が切替わり、品種ごとに接触端子11の配置位置が変化する。プローブヘッド1の品種が決まると、絶縁部材22の底部221における接触端子11の配置に応じた位置に貫通孔221Aを形成する。なお、貫通孔221Aをマトリクス状に形成し、接触端子11の位置に合わせた位置の貫通孔221Aを使用してもよい。すなわち、貫通孔221Aの数は、接触端子11の数よりも多い。これにより、マトリクス状の貫通孔221Aを有する絶縁部材22を予め用意でき、プローブヘッド1の品種が確定してから絶縁部材22を製造する必要がなくなる。また、底部221の厚みは薄いので、貫通孔221Aを形成することは容易である。ここで図に示すように、貫通孔221Aは、底部221の一方側面221S1に開口部221A1を有し、底部221の他方側面221S2に開口部221A2を有する。そして、図に示すように、導線24を開口部221A2側から貫通孔221Aに挿通させる。
【0064】
次に、導線24における開口部221A1から突出した突出部分24Tを、図に示すように折り曲げる。これにより、導線24の貫通孔221Aからの抜けを抑制できる。
【0065】
そして、図に示すように、導線24のうち開口部221A2から引き出された部分の途中に位置する接合部分24Sを第1基板23の第1電極231に接合させる工程が行われる。ここでは、ワイヤボンディング技術を用いて接合が行われる。例えば、接合部分24Sを第1電極231に押し付けつつ、接合部分24Sに超音波振動を付与する。これにより、接合部分24Sと第1電極231との接触面に摩擦を生じさせ、摩擦熱により接合部分24Sと第1電極231とを接合する。このとき、接合部分24Sと第1電極231とは、電気的に接続される。
【0066】
なお、図に示す第1電極231は、第1基板23の基板部230から突出した膜状のパッドであるが、これに限らず、基板部230内部に配置されたパッド等でもよい。
【0067】
その後、導線24における第1電極231との接合箇所の貫通孔221A側でない側を、上記接合箇所から切り離す。
【0068】
そして、凹部22Aにおける開口部221A2の周囲箇所に固定部材が流し込まれる。固定部材には、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が用いられる。固定部材は、硬化前は液状である。凹部22Aに流し込まれた固定部材は、貫通孔221Aと導線24との隙間に流れ込んだ後、底部221の一方側面221S1まで達する。熱または光の供給によって凹部22Aの固定部材は、硬化して第1固定部材25A(図参照)となる。熱または光の供給によって貫通孔221Aと導線24との隙間の固定部材は、硬化して第2固定部材25B(図参照)となる。熱または光の供給によって一方側面221S1の固定部材は、硬化して第3固定部材25C(図参照)となる。
【0069】
第1固定部材25A、第2固定部材25B、および第3固定部材25Cが形成された後、導線24における折り曲げられた突出部24T(図参照)が切断工程により切り離される。そして、導線24の切断面および第3固定部材25Cが研磨される。これにより、図に示すように、研磨後の導線24の端面241は、底部221の一方側面221S1と面一となる。図に示す状態で、第1固定部材25Aと第2固定部材25Bとから固定部材25が形成される。
【0070】
なお、上記では研磨により第3固定部材25Cを除去したが、第3固定部材25Cを除去せず第1固定部材25Aを除去してもよいし、第1固定部材25Aと第3固定部材25Cの両方を除去してもよい。また、図では、第1固定部25Aと第2固定部材25Bの両方が設けられるが、第1固定部25Aと第2固定部材25Bのいずれか一方を除去してもよい。
【0071】
次に、図に示すように、エッチング加工により、導線24の端面24TSを開口部221A1より貫通孔221A内部側に位置させる。そして、このような端面24TSにニッケルによるメッキが施され、第1金属層が形成される。第1金属層の先端は、開口部221A1より突出した位置に位置される。そして、第1金属層の先端は研磨され、一方側面221S1と面一となる。
【0072】
次に、第1金属層に対して金によるメッキが施され、第2金属層が形成される。これにより、図に示すように、導線24の一端部24Aは貫通孔221Aに配置され、一端部24Aの端面24TSの一方X1側に第1金属層M1、第2金属層部M2が順に積層される。端面24TS、第1金属層M1、および第2金属層M2から第5電極E5が構成される。第2金属層M2に接触端子11の他方側端部11Bが接触される。すなわち、接触端子11は、第2金属層M2および第1金属層M1を介して端面24TSと電気的に接続される。つまり、接触端子11は、導線24と電気的に接続される。
【0073】
なお、第2金属層M2を形成せず、端面24TSおよび第1金属層M1から第5電極E5を構成してもよい。または、第1金属層M1を形成せず、端面24TSおよび第2金属層M2から第5電極E5を構成してもよい。または、第1金属層M1および第2金属層M2を形成せず、端面24TSが第5電極E5を構成してもよい。
【0074】
または、エッチング加工は行わずに、第1金属層M1および第2金属層M2のうち少なくとも一方を端面241(図参照)に形成してもよい。または、エッチング加工は行わずに、端面241に対して第1金属層M1および第2金属層M2を形成しなくてもよい。または、図の状態で突出部24Tを切断し、その切断面を研磨せずに第5電極E5としてもよい。
【0075】
このように本実施形態によれば、接触端子11の配置位置が確定すると、接触端子11の位置に合せて絶縁部材22に貫通孔221Aを形成し、導線24の一端部を貫通孔221Aに配置させつつ、導線24の他端部を第1基板23に接続させる。第1基板23および絶縁部材22は、あらかじめ用意しておくことができる。また、絶縁部材22の加工は貫通孔221Aの形成で済む。さらに、凹部22Aを設けることで絶縁部材2の底部221の厚みは薄いので、貫通孔221Aは形成しやすい。従って、検査対象10の検査点10Aの位置、ひいては接触端子11の配置位置が確定した後の検査治具2の製造期間を短縮できる。なお、先述したように、マトリクス状の貫通孔221Aを形成した絶縁部材22を予め用意できる場合は、製造期間をさらに短縮できる。
【0076】
特に、導線24と第1電極231との接続には、ワイヤボンディング技術を用いることで、接続の自動化を図り易い。導線24の本数は数千本に及ぶ場合もあり、その場合に手作業にて半田付により接続を行うことは非常に作業時間がかかることになり、接続の自動化により製造効率を大幅に向上できる。
【0077】
このように、本実施形態に係る検査装置5は、検査治具2と、第1電極231と電気的に接続される検査処理部3と、を備える。これにより、検査対象10と検査処理部3とを電気的に接続させるために用いられる検査治具の製造効率を向上できる。
【0078】
また、検査治具2は、凹部22Aと貫通孔221Aのうち少なくとも一方に配置され、導線24の一部を絶縁部材22に固定させる固定部材25を備える。これにより、導線24の絶縁部材22からの抜けを抑制できる。
【0079】
また、固定部材25は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂は、硬化する前は液状であるので、貫通孔221Aと導線24との隙間に流し込みやすい。また、固定部材25が凹部22Aに配置される場合は、液状の熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が絶縁部材22の外部に漏れ出すことを抑制できる。
【0080】
なお、固定部材25は、上記に限らず、熱可塑性樹脂または接着剤を含んでもよい。また、固定部材25は必須ではなく、導線24を貫通孔221Aに圧入により固定してもよい。
【0081】
また、導線24の一端部24Aの端面24TSは、貫通孔221Aの内部に位置する。端面24TSに第1金属層M1が設けられる。第1金属層M1は、例えばニッケルにより形成され、エナメル線である導線24の導体である銅よりも硬度が高い。すなわち、第1金属層M1は、導線24よりも硬度が高い。第1金属層M1は、貫通孔221A内でメッキ形成が行われることにより形成されるので、第1金属層M1の厚みを厚くすることが容易である。導線24よりも硬度の高い第1金属層M1の厚みが厚くされると、第1金属層M1が摩耗して導線24が露出することを抑制できる。
【0082】
さらに、第1金属層M1に、第2金属層M2が連接される。これにより、第2金属層M2により第1金属層M1の表面が覆われるので、第1金属層M1の腐食を抑制できる。
【0083】
<3.その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、各種検査対象の電気的検査に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1・・・プローブヘッド
11・・・接触端子
111・・・筒状体
112・・・第1導体
113・・・第2導体
12・・・支持部材
2・・・検査治具
21・・・第1収容部材
22・・・絶縁部材
221・・・底部
221A・・・貫通孔
22A・・・凹部
23・・・第1基板
231・・・第1電極
232・・・第2電極
24・・・導線
25・・・固定部材
26・・・第2収容部材
27・・・中間部材
271・・・接続部材
28・・・第3収容部材
29・・・第2基板
291・・・第3電極
292・・・第4電極
3・・・検査処理部
5・・・検査装置
10・・・検査対象
E5・・・第5電極
M1・・・第1金属層
M2・・・第2金属層
J・・・中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8