(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】誤接続防止システム、誤接続防止方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/0873 20220101AFI20241203BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H04L41/0873
H02G1/06
(21)【出願番号】P 2023567349
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2021046099
(87)【国際公開番号】W WO2023112161
(87)【国際公開日】2023-06-22
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 玲
(72)【発明者】
【氏名】藤本 智也
(72)【発明者】
【氏名】中島 求
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/045366(WO,A1)
【文献】特開2019-170058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
41/00-101/695
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ポートの電力変化が検知されると、通信線と電力線に関する物理的な接続関係を表す物理構成情報を参照して、前記電力線を介して前記電力ポートと接続される第1の機器と、前記通信線を介して前記第1の機器と接続される通信ポートとを特定するように構成されている第1の特定部と、
前記通信ポートに接続されている機器に対して、前記第1の機器に対応する設定情報の設定を指示するように構成されている設定指示部と、
前記設定情報の設定に成功した場合、機器間の論理的な接続関係を表す論理構成情報を参照して、前記第1の機器の対向に存在する第1の対向機器を特定するように構成されている第2の特定部と、
前記第1の対向機器に対して、前記第1の対向機器の対向に存在する第2の対向機器との疎通確認を指示するように構成されている疎通確認指示部と、
前記設定情報の設定に失敗した場合又は前記疎通確認に失敗した場合、前記通信線と前記電力線の少なくとも一方に接続誤りあることを通知するように構成されている通知部と、
を有する誤接続防止システム。
【請求項2】
前記第1の特定部は、
前記電力ポートに電力変化が生じたことを表す電力変化情報を、前記電力ポートの電力を測定する測定機器又は前記電力ポートを備える電力分配装置から受信すると、前記電力ポートの電力変化を検知するように構成されている、請求項1に記載の誤接続防止システム。
【請求項3】
前記通知部は、
前記疎通確認に成功した場合、前記通信線と前記電力線に接続誤りはないことを通知するように構成されている、請求項1又は2に記載の誤接続防止システム。
【請求項4】
前記物理構成情報は、事前設計された物理的な接続関係を表す情報であり、かつ、機器と通信ポートを接続する通信線の物理的な接続関係と、機器と電力ポートを接続する電力線の物理的な接続関係とを表す情報である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の誤接続防止システム。
【請求項5】
電力ポートの電力変化が検知されると、通信線と電力線に関する物理的な接続関係を表す物理構成情報を参照して、前記電力線を介して前記電力ポートと接続される第1の機器と、前記通信線を介して前記第1の機器と接続される通信ポートとを特定する第1の特定手順と、
前記通信ポートに接続されている機器に対して、前記第1の機器に対応する設定情報の設定を指示する設定指示手順と、
前記設定情報の設定に成功した場合、機器間の論理的な接続関係を表す論理構成情報を参照して、前記第1の機器の対向に存在する第1の対向機器を特定する第2の特定部と、
前記第1の対向機器に対して、前記第1の対向機器の対向に存在する第2の対向機器との疎通確認を指示する疎通確認指示手順と、
前記設定情報の設定に失敗した場合又は前記疎通確認に失敗した場合、前記通信線と前記電力線の少なくとも一方に接続誤りあることを通知する通知手順と、
をコンピュータが実行する誤接続防止方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1乃至4の何れか一項に記載の誤接続防止システムとして機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤接続防止システム、誤接続防止方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信事業者等のデータセンタでは、通信リソースの増強や機器の更改等といった様々な目的のために、通信装置の新規設置や撤去等が行われる。通信機器の新規設置や撤去の際には、通信線や電力線を事前設計通りに正しく接続又は撤去する必要がある。このため、これらの作業を担当する作業者は、設計図面を参照しながら、通信線や電力線が正しく接続又は撤去されているか否かを確認している。また、通信線や電力線の撤去の際には、誤撤去を防止するためにリング通しと呼ばれる手法が用いられることもある(例えば、非特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】撤去ケーブル特定「NKリング」,インターネット<URL:https://www.exeonw.co.jp/products_list.html>
【文献】「NKリング」作成・活用で安心・安全施工,インターネット<URL:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/2015/sakuhin7/images/n159_1.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通信線や電力線が事前設計通りに正しく接続されているか否かの確認には多くの稼働を要する。これは、通信線や電力線は一般に包縛されていることが多く、また二重床の下を通ることが多いためである。このため、限られた作業時間の中で確認作業が不十分になり、通信線や電力線の誤接続が発生する可能性がある。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、通信線及び電力線の誤接続を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、一実施形態に係る誤接続防止システムは、電力ポートの電力変化が検知されると、通信線と電力線に関する物理的な接続関係を表す物理構成情報を参照して、前記電力線を介して前記電力ポートと接続される第1の機器と、前記通信線を介して前記第1の機器と接続される通信ポートとを特定するように構成されている第1の特定部と、前記通信ポートに接続されている機器に対して、前記第1の機器に対応する設定情報の設定を指示するように構成されている設定指示部と、前記設定情報の設定に成功した場合、機器間の論理的な接続関係を表す論理構成情報を参照して、前記第1の機器の対向に存在する第1の対向機器を特定するように構成されている第2の特定部と、前記第1の対向機器に対して、前記第1の対向機器の対向に存在する第2の対向機器との疎通確認を指示するように構成されている疎通確認指示部と、前記設定情報の設定に失敗した場合又は前記疎通確認に失敗した場合、前記通信線と前記電力線の少なくとも一方に接続誤りあることを通知するように構成されている通知部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
通信線及び電力線の誤接続を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る誤接続防止システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】通信装置の新規設置時における作業及び誤接続防止処理の流れの一例を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係る検知装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る監視装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る誤接続防止処理において検知装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る誤接続防止処理において監視装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、通信事業者等のデータセンタといった拠点を対象として、その拠点に通信装置を新規設置(交換・更改等も含む)する際に通信線と電力線の誤接続を防止することができる誤接続防止システム1について説明する。本実施形態に係る誤接続防止システム1によれば、通信装置の新規設置時における通信線と電力線の誤接続が防止されるため、通信線や電力線の誤接続を起因とする障害等を防止することができる。例えば、複数の電力供給装置に接続されることで冗長性を担保する設計になっているシステム構成のはずが、電力線の誤接続により1つの電源のみに通信装置が接続されており、その結果、電力供給装置の故障によりサービス影響が出てしまう等といった障害を防止することが可能となる。
【0010】
<誤接続防止システム1の全体構成例>
本実施形態に係る誤接続防止システム1の全体構成例を
図1に示す。
図1に示すように、本実施形態に係る誤接続防止システム1には、検知装置10と、監視装置20と、コンフィグサーバ30と、1以上の通信装置40と、1以上の電力分配装置50と、1以上の集線装置60とが含まれる。これらはデータセンタ等といった拠点内に設置されており、検知装置10、監視装置20、コンフィグサーバ30、通信装置40及び集線装置60は、例えば、拠点内ネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0011】
検知装置10は、通信装置40と電力分配装置50の電力ポートとが電力線で接続されたことを検知し、その電力ポートに接続されるべき通信装置40等を特定するコンピュータ又はコンピュータシステムである。
【0012】
監視装置20は、通信線又は電力線の少なくとも一方に関して誤接続の可能性がある場合に、誤接続の可能性がある旨の警告を所定の通知先に通知するコンピュータ又はコンピュータシステムである。
【0013】
コンフィグサーバ30は、監視装置20からの指示に応じて、この指示に対応する通信装置40のコンフィグを実施するコンピュータ又はコンピュータシステムである。なお、コンフィグとはコンフィグレーションの省略であり、通信装置40に設定ファイルを反映することをいう。
【0014】
通信装置40は、例えば、ネットワーク機器(スイッチ、ルータ等)である。ただし、これに限られず、通信装置40は、例えば、サーバ(ラックマウント型サーバ等)であってもよい。なお、通信装置40は、一般に、ラックと呼ばれる設備内に設置等される。
【0015】
電力分配装置50は、PDU(Power Distribution Unit)等と呼ばれる機器であり、電力供給装置(例えば、系統電源やUPS(Uninterruptible Power Supply)等といった各種電源)からの電力を分配・供給する。電力分配装置50には、電力線(電力ケーブル)と接続される複数の電力ポート(
図1に示す例では、電力ポートP
1~P
N)が存在する。なお、1つの電力ポートには1つの通信装置40のみが接続され、複数の通信装置40が1つの電力ポートに接続されることはないものとする。
【0016】
集線装置60は、例えば、ハブ、スイッチ、ルータ等といったネットワーク機器である。集線装置60には、通信線(LAN(Local Area Network)ケーブル)と接続される複数の通信ポート(
図1に示す例では、通信ポートQ
1~Q
M)が存在する。
【0017】
なお、
図1に示す誤接続防止システム1の全体構成は一例であって、これに限られるものではない。例えば、検知装置10と監視装置20とコンフィグサーバ30の全部又は一部が一体で構成されていてもよい。
【0018】
<通信装置40の新規設置時における作業及び誤接続防止処理の流れ>
以下では、通信装置40の新規設置時における作業及び誤接続防止処理の流れについて、
図2を参照しながら説明する。以下では、新規に設置される通信装置40を「新規通信装置40-1」とする。通信装置40の新規設置時には以下の作業1及び2が行われると共に、誤接続防止処理として以下のS1~S13が実行される。
【0019】
作業1)作業者は、新規通信装置40-1と電力分配装置50の電力ポートとを電力線で接続する。このとき、作業者は、例えば、設計図面を参照して、電力分配装置50の電力ポートP1~PNのうちの予め決められた電力ポートに電力線を接続する。
【0020】
作業2)また、作業者は、新規通信装置40-1と集線装置60の通信ポートとを通信線で接続する。このとき、作業者は、例えば、設計図面を参照して、集線装置60の電力ポートQ1~QMのうちの予め決められた通信ポートに通信線を接続する。
【0021】
S1)新規通信装置40-1と電力分配装置50の電力ポートとが電力線で接続されると、検知装置10は、その電力ポートに電流変化が生じたことを表す電流変化情報を受信する。これにより、検知装置10は、新規通信装置40-1と電力分配装置50の電力ポートとが電力線で接続されたことを検知する。
【0022】
S2)検知装置10は、物理構成情報と電流変化情報から、電流変化が生じた電力ポートに接続される通信装置40の識別情報(以下、通信装置IDという。)とその通信装置40が接続される通信ポートの識別情報(以下、通信ポートIDという。)とを特定する。ここで、物理構成情報とは、通信装置40と電力分配装置50の電力ポートとの間の正しい物理的な接続構成と、通信装置40と集線装置60の通信ポートとの間の正しい物理的な接続構成とを表す情報(つまり、予め設計された物理的な接続構成を表す情報)のことである。なお、通信ポートIDはどの集線装置60のどの通信ポートであるかを識別する識別情報である。
【0023】
S3)検知装置10は、上記のS2で特定された通信装置IDと通信ポートIDを監視装置20に送信する。
【0024】
S4)監視装置20は、通信装置IDと通信ポートIDを受信すると、これら通信装置IDと通信ポートIDとが含まれるコンフィグ指示をコンフィグサーバ30に送信する。
【0025】
S5)コンフィグサーバ30は、コンフィグ指示を受信すると、このコンフィグ指示に含まれる通信ポートIDの通信ポートに接続されている通信装置40に対して、当該コンフィグ指示に含まれる通信装置IDに対応する設定ファイルのコンフィグを実施する。ここで、コンフィグサーバ30は、例えば、通信装置ID毎にその通信装置IDの通信装置40に反映する設定ファイルをデータベース等に保持している。なお、設定ファイルは通信装置40の稼働に必要な設定に関する情報のことであり、例えば、通信装置40がルータ等である場合にはルーティング情報等が含まれる。
【0026】
S6)コンフィグサーバ30は、上記のS5でコンフィグを実施した通信装置40からコンフィグ結果を受信する。コンフィグ結果には、コンフィグが成功又は失敗のいずれであるかを表す情報が少なくとも含まれている。
【0027】
S7)コンフィグサーバ30は、上記のS6で受信したコンフィグ結果を監視装置20に送信する。
【0028】
S8)監視装置20は、コンフィグ失敗を表すコンフィグ結果を受信した場合、通信線と電力線の少なくとも一方に誤接続があることを表す警告を所定の通知先に通知する。これは、コンフィグが失敗した場合、上記のS2で特定された通信ポートIDの通信ポートには誤った通信装置40(つまり、例えば、設定ファイルが反映できない種別の通信装置40等)が接続されていることを意味しており、通信線と電力線の少なくとも一方の物理的な接続関係が誤っていると考えられるためである。
【0029】
S9)監視装置20は、コンフィグ成功を表すコンフィグ結果を受信した場合、論理構成情報と通信装置IDから、この通信装置IDの通信装置40の対向となる通信装置4-0(以下、対向通信装置40という。)を特定する。以下、この対向通信装置40を「対向通信装置40-2」とする。ここで、論理構成情報とは、通信装置40間の論理的な接続関係を表す情報(つまり、予め設計された論理的な接続関係を表す情報)のことである。
【0030】
S10)監視装置20は、上記のS9で特定された対向通信装置40-2に対して、その対向となる通信装置40との疎通確認指示を送信する。
【0031】
S11)対向通信装置40-2は、自身の対向となる通信装置40との間で疎通確認を行う。
【0032】
S12)監視装置20は、対向通信装置40-2から疎通確認結果を受信する。疎通確認結果には、対向通信装置40-2の対向となる通信装置40との疎通確認が成功又は失敗のいずれであるかを表す情報が少なくとも含まれている。
【0033】
S13)監視装置20は、上記のS12で疎通確認失敗を表す疎通確認結果を受信した場合、通信線と電力線の少なくとも一方に誤接続があることを表す警告を所定の通知先に通知する。これは、疎通確認が失敗した場合、上記のS2で特定された通信ポートIDの通信ポートには誤った通信装置40(つまり、対向通信装置40-2と対向関係にない通信装置40等)が接続されていることを意味しており、通信線と電力線の少なくとも一方の物理的な接続関係が誤っていると考えられるためである。
【0034】
なお、
図2に示す例では、簡単のため、作業1及び2のみを記載しているが、新規通信装置40の設置にあたって、これら以外にも様々な作業が実施されることは言うまでもない。一例として、通信線及び電力線の誤接続がないことが確認された場合には、新規通信装置40を遠隔から監視可能にするための設定作業等が挙げられる。
【0035】
<検知装置10及び監視装置20の機能構成例>
以下、本実施形態に係る検知装置10及び監視装置20の機能構成例について説明する。
【0036】
≪検知装置10≫
本実施形態に係る検知装置10の機能構成例を
図3に示す。
図3に示すように、本実施形態に係る検知装置10は、電力ポート特定部101と、接続関係特定部102とを有する。これら各部は、例えば、検知装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサに実行させる処理により実現される。また、本実施形態に係る検知装置10は、物理構成情報DB103を有する。当該DBは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等といった補助記憶装置により実現される。なお、物理構成情報DB103は、例えば、検知装置10と通信可能に接続された記憶装置(データベースサーバ等)により実現されてもよい。
【0037】
電力ポート特定部101は、電力分配装置50の電力ポートに電流変化が生じたことを表す電流変化情報を受信すると、この電流変化情報から電力ポートを特定する。電流変化情報には、その電力ポートの識別情報(以下、電力ポートIDという。)が少なくとも含まれる。ここで、電流変化情報は、例えば、電力分配装置50の各電力ポートの電流をそれぞれ測定する機器(例えば、クランプメーター等)が、電流の変化を検出した場合に送信してもよいし、電力分配装置50自体が各電力ポートの電流を測定し、或る電力ポートで電流の変化を検出した場合に送信してもよい。これ以外にも、例えば、電力分配装置50の各電力ポートの電流をそれぞれ測定する機器(例えば、クランプメーター等)からの電流測定値を検知装置10が受信し、電力ポート特定部101が、それらの電流計測値から電流の変化を検出すると共に電力ポートを特定してもよい。なお、電力ポートIDはどの電力分配装置50のどの電力ポートであるかを識別する識別情報である。
【0038】
接続関係特定部102は、物理構成情報DB103に格納されている物理構成情報と、電力ポート特定部101が特定した電力ポートとを用いて、この電力ポートに接続される通信装置40の通信装置IDとその通信装置40が接続される通信ポートの通信ポートIDとを特定する。また、接続関係特定部102は、特定した通信装置IDと通信ポートIDを監視装置20に送信する。
【0039】
物理構成情報DB103は、物理構成情報を格納する。物理構成情報とは、上述したように、通信装置40と電力分配装置50の電力ポートとの間の正しい物理的な接続構成と、通信装置40と集線装置60の通信ポートとの間の正しい物理的な接続構成とを表す情報のことである。具体的には、物理構成情報には、通信装置IDと電力ポートIDとの対応付けと、通信装置IDと通信ポートIDとの対応付けとが含まれる。
【0040】
≪監視装置20≫
本実施形態に係る監視装置20の機能構成例を
図4に示す。
図4に示すように、本実施形態に係る監視装置20は、コンフィグ指示部201と、対向装置特定部202と、疎通確認指示部203と、通知部204とを有する。これら各部は、例えば、監視装置20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU等のプロセッサに実行させる処理により実現される。また、本実施形態に係る監視装置20は、論理構成情報DB205を有する。当該DBは、例えば、HDDやSSD等といった補助記憶装置により実現される。なお、論理構成情報DB205は、例えば、監視装置20と通信可能に接続された記憶装置(データベースサーバ等)により実現されてもよい。
【0041】
コンフィグ指示部201は、検知装置10から通信装置IDと通信ポートIDを受信すると、これらの通信装置IDと通信ポートIDが含まれるコンフィグ指示をコンフィグサーバ30に送信する。また、コンフィグ指示部201は、当該コンフィグ指示に対するコンフィグ結果をコンフィグサーバ30から受信する。
【0042】
対向装置特定部202は、コンフィグ成功を表す情報が含まれるコンフィグ結果をコンフィグサーバ30から受信した場合、論理構成情報DB205に格納されている論理構成情報と、検知装置10から受信した通信装置IDとを用いて、この通信装置IDの通信装置40の対向となる対向通信装置40を特定する。
【0043】
疎通確認指示部203は、対向装置特定部202により特定された対向通信装置40に対して、その対向となる通信装置40との疎通確認指示を送信する。また疎通確認指示部203は、当該疎通確認指示に対する疎通確認結果を受信する。
【0044】
通知部204は、コンフィグ失敗を表す情報が含まれるコンフィグ結果をコンフィグサーバ30から受信した場合又は疎通確認失敗を表す情報が含まれる疎通確認結果を対向通信装置40から受信した場合、通信線と電力線の少なくとも一方に誤接続があることを表す警告を所定の通知先に通知する。一方で、通知部204は、疎通確認成功を表す情報が含まれる疎通確認結果を対向通信装置40から受信した場合、新規通信装置40の設置が成功したことを表す情報を所定の通知先に通知する。なお、所定の通知先としては、例えば、監視装置20が備えるディスプレイ等の表示装置であってもよいし、監視装置20と通信可能に接続された端末(スマートフォン、タブレット端末、PC等)等であってもよい。
【0045】
論理構成情報DB205は、論理構成情報を格納する。論理構成情報とは、上述したように、通信装置40間の論理的な接続関係を表す情報のことである。具体的には、論理構成情報には、通信装置40の通信装置IDと、その通信装置40の対向となる対向通信装置40の通信装置IDとの対応付けが含まれる。
【0046】
<誤接続防止処理において検知装置10及び監視装置20が実行する処理例>
以下、本実施形態に係る誤接続防止処理において検知装置10及び監視装置20が実行する処理の流れについて説明する。なお、以下では、新規通信装置40が設置され、作業者によって上記の作業1及び2が実施されたものとする。
【0047】
≪検知装置10が実行する処理の流れ≫
本実施形態に係る誤接続防止処理において検知装置10が実行する処理の流れの一例について、
図5を参照しながら説明する。
【0048】
電力ポート特定部101は、電流変化情報を受信すると、この電流変化情報から電力ポートを特定する(ステップS101)。すなわち、電力ポート特定部101は、当該電流変化情報に含まれる電力ポートIDを取得する。
【0049】
次に、接続関係特定部102は、物理構成情報DB103に格納されている物理構成情報と、上記のステップS101で特定された電力ポートとを用いて、この電力ポートに接続される通信装置40の通信装置IDとその通信装置40が接続される通信ポートの通信ポートIDとを特定する(ステップS102)。
【0050】
そして、接続関係特定部102は、上記のステップS102で特定された通信装置IDと通信ポートIDを監視装置20に送信する(ステップS103)。
【0051】
≪監視装置20が実行する処理の流れ≫
本実施形態に係る誤接続防止処理において監視装置20が実行する処理の流れの一例について、
図6を参照しながら説明する。
【0052】
コンフィグ指示部201は、検知装置10から通信装置IDと通信ポートIDを受信すると、これらの通信装置IDと通信ポートIDが含まれるコンフィグ指示をコンフィグサーバ30に送信する(ステップS201)。これにより、コンフィグ指示を受信したコンフィグサーバ30では、このコンフィグ指示に含まれる通信ポートIDの通信ポートに接続されている通信装置40に対して、当該コンフィグ指示に含まれる通信装置IDに対応する設定ファイルのコンフィグが実施される。また、コンフィグサーバ30では、コンフィグの成功又は失敗のいずれであるかを表す情報が少なくとも含まれるコンフィグ結果を通信装置40から受信すると、このコンフィグ結果が監視装置20に送信される。
【0053】
コンフィグ指示部201は、上記のステップS201で送信したコンフィグ指示に対するコンフィグ結果をコンフィグサーバ30から受信する(ステップS202)。
【0054】
上記のステップS202でコンフィグ成功を表す情報が含まれるコンフィグ結果を受信した場合(ステップS203でYES)、対向装置特定部202は、論理構成情報DB205に格納されている論理構成情報と、検知装置10から受信した通信装置IDとを用いて、この通信装置IDの通信装置40の対向となる対向通信装置40を特定する(ステップS204)。
【0055】
次に、疎通確認指示部203は、上記のステップS204で特定された対向通信装置40に対して、当該対向通信装置40の対向となる通信装置40(つまり、検知装置10から受信した通信装置IDの通信装置40)との疎通確認指示を送信する(ステップS205)。これにより、疎通確認指示を受信した対向通信装置40では、当該対向通信装置40の対向となる通信装置40に対する疎通確認が行われる。また、対向通信装置40では、この疎通確認が成功又は失敗のいずれであるかを表す情報が少なくとも含まれる疎通確認結果が監視装置20に送信される。なお、疎通確認は既存技術(例えば、L2レイヤでの疎通確認であればリンクアップ有無、L3レイヤでの疎通確認であればping等)により行えばよい。
【0056】
疎通確認指示部203は、上記のステップS205で送信した疎通確認指示に対する疎通確認結果を受信する(ステップS206)。
【0057】
上記のステップS206で疎通確認成功を表す情報が含まれる疎通確認結果を受信した場合(ステップS207でYES)、通知部204は、新規通信装置40の設置が成功したことを表す情報(又は、通信線と電力線に接続誤りはないことを表す情報)を所定の通知先に通知する(ステップS208)。
【0058】
一方で、上記のステップS202でコンフィグ失敗を表す情報が含まれるコンフィグ結果を受信した場合(ステップS203でNO)又は上記のステップS206で疎通確認失敗を表す情報が含まれる疎通確認結果を受信した場合(ステップS207でNO)、通知部204は、新規通信装置40の通信線と電力線の少なくとも一方に接続誤りがあることを表す警告を所定の通知先に通知する(ステップS209)。これにより、例えば、新規通信装置40の設置作業を行う作業者等は、通信線と電力線の少なくとも一方に接続誤りがあることを知ることができる。
【0059】
<ハードウェア構成例>
本実施形態に係る検知装置10と監視装置20は、例えば、
図7に示すコンピュータ500のハードウェア構成により実現される。なお、コンフィグサーバ30も同様に、
図7に示すコンピュータ500のハードウェア構成により実現されてもよい。
【0060】
図7に示すコンピュータ500は、入力装置501と、表示装置502と、外部I/F503と、通信I/F504と、プロセッサ505と、メモリ装置506とを有する。これらの各ハードウェアは、それぞれがバス507を介して通信可能に接続される。
【0061】
入力装置501は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、各種物理ボタン等である。表示装置502は、例えば、ディスプレイ、表示パネル等である。なお、コンピュータ500は、例えば、入力装置501及び表示装置502のうちの少なくとも一方を有していなくてもよい。
【0062】
外部I/F503は、記録媒体503a等の外部装置とのインタフェースである。記録媒体503aとしては、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(Secure Digital memory card)、USB(Universal Serial Bus)メモリカード等が挙げられる。
【0063】
通信I/F504は、コンピュータ500を拠点内ネットワーク等の通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。プロセッサ505は、例えば、CPU等の各種演算装置である。メモリ装置506は、例えば、HDD、SSD、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の各種記憶装置である。
【0064】
なお、
図7に示すコンピュータ500のハードウェア構成は一例であって、他のハードウェア構成であってもよい。例えば、コンピュータ500は、複数のプロセッサ505や複数のメモリ装置506を有していてもよいし、図示したハードウェア以外の種々のハードウェアを有していてもよい。
【0065】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る誤接続防止システム1では、通信装置40を新規に設置(交換・更改等も含む)する際に、通信装置40に対する通信線及び電力線の物理的な構成を表す物理構成情報と、通信装置40間の論理的な接続関係を表す論理構成情報とを用いてコンフィグや疎通確認を行い、それが失敗した場合には通信線と電力線の少なくとも一方の接続が誤っていることを警告する。これにより、通信装置40を新規に設置する作業者は、その通信装置40の通信線と電力線の少なくとも一方の接続関係が誤っていることを知ることができる。このため、作業者は、設計図面等を参照して、通信線と電力線が正しいか否かを確認することが可能となり、誤接続を防止することができる。
【0066】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲の記載から逸脱することなく、種々の変形や変更、既知の技術との組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 誤接続防止システム
10 検知装置
20 監視装置
30 コンフィグサーバ
40 通信装置
50 電力分配装置
60 集線装置
101 電力ポート特定部
102 接続関係特定部
103 物理構成情報DB
201 コンフィグ指示部
202 対向装置特定部
203 疎通確認指示部
204 通知部
205 論理構成情報DB
500 コンピュータ
501 入力装置
502 表示装置
503 外部I/F
503a 記録媒体
504 通信I/F
505 プロセッサ
506 メモリ装置
507 バス