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特許7598040光送信装置、光送信方法及び光伝送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】光送信装置、光送信方法及び光伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/548 20130101AFI20241204BHJP
【FI】
H04B10/548
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022572872
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(86)【国際出願番号】 JP2021000005
(87)【国際公開番号】W WO2022145047
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下羽 利明
(72)【発明者】
【氏名】田邉 暁弘
(72)【発明者】
【氏名】深田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】宮武 遼
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-258441(JP,A)
【文献】特開2009-115945(JP,A)
【文献】特開2002-082323(JP,A)
【文献】特開2012-249122(JP,A)
【文献】特開2012-60674(JP,A)
【文献】特表2020-516136(JP,A)
【文献】特表2014-515909(JP,A)
【文献】特開2008-219760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/548
H04B 10/516
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続された複数の増幅部に変調信号を分配する分配部と、
前記並列接続された複数の増幅部によって電圧が増幅された各変調信号に応じて位相変調された光信号を、第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する縦続接続された複数の位相変調器と、
第2発振周波数に基づくレーザー光と前記光信号とを合波する合波部と、
前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記光信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波部と
前記周波数変調信号に応じて強度変調を実行することによって、強度変調された第2光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する強度変調器と
を備え
前記強度変調器は、強度変調された前記第2光信号を、強度変調された前記第2光信号を光回線終端装置に送信する光加入者線端局装置に送信する、
光送信装置。
【請求項2】
光送信装置が実行する光送信方法であって、
並列接続された複数の増幅部に変調信号を分配する分配ステップと、
前記並列接続された複数の増幅部によって電圧が増幅された各変調信号に応じて位相変調された光信号を、第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて、縦続接続された複数の位相変調器において生成する複数の位相変調ステップと、
第2発振周波数に基づくレーザー光と前記光信号とを合波する合波ステップと、
前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記光信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波ステップと
前記周波数変調信号に応じて強度変調を実行することによって、強度変調された第2光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する強度変調ステップと
を含み、
前記強度変調ステップでは、強度変調された前記第2光信号を、強度変調された前記第2光信号を光回線終端装置に送信する光加入者線端局装置に送信する、
光送信方法。
【請求項3】
光送信装置と、光加入者線端局装置と、光回線終端装置と備える光伝送システムであって、
前記光送信装置は、
並列接続された複数の増幅部に変調信号を分配する分配部と、
前記並列接続された複数の増幅部によって電圧が増幅された各変調信号に応じて位相変調された第1光信号を、第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する縦続接続された複数の位相変調器と、
第2発振周波数に基づくレーザー光と前記第1光信号とを合波する合波部と、
前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記第1光信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波部と、
前記周波数変調信号に応じて強度変調を実行することによって、強度変調された第2光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する強度変調器とを備え、
前記光加入者線端局装置は、強度変調された前記第2光信号を送信し、
前記光回線終端装置は、強度変調された前記第2光信号を取得する、
光伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信装置、光送信方法及び光伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周波数多重(Frequency Division Multiplexing : FDM)信号を周波数変調(Frequency Modulation : FM)信号に一括変換する方式(以下「FM一括変換方式」という。)の光伝送システムが、映像信号の配信システムに導入されている(非特許文献1及び2参照)。
【0003】
図4は、このような光伝送システムの光送信装置に備えられた周波数変調部の構成の第1例を示す図である。周波数変調部100は、第1レーザー発振器101と、第2レーザー発振器102と、位相変調器103と、合波部104と、検波部105とを備える。
【0004】
第1レーザー発振器101は、レーザーダイオードである。第1レーザー発振器101は、第1発振周波数「f1」に基づいてレーザー光を生成する。第1レーザー発振器101には、周波数多重信号におけるケーブルテレビ放送の映像信号(変調信号)が、ヘッドエンド装置(不図示)から入力される。第1レーザー発振器101は、ケーブルテレビ放送の映像信号に応じて直接変調された光信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。
【0005】
第2レーザー発振器102は、レーザーダイオードである。第2レーザー発振器102は、第2発振周波数「f2」に基づいてレーザー光を生成する。以下、位相が反転された映像信号を「逆位相の映像信号」という。第2レーザー発振器102には、周波数多重信号におけるケーブルテレビ放送の逆位相の映像信号が、ヘッドエンド装置(不図示)から入力される。第1レーザー発振器101は、逆位相の映像信号に応じて直接変調された光信号を、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を用いて生成する。
【0006】
位相変調器103には、ケーブルテレビ放送の映像信号に応じて直接変調された光信号が、第1レーザー発振器101から入力される。また、位相変調器103には、周波数多重信号における衛星放送の映像信号(変調信号)が、ヘッドエンド装置(不図示)から入力される。
【0007】
位相変調器103は、ケーブルテレビ放送の映像信号に応じて直接変調された光信号の位相を、衛星放送の映像信号に応じて変調する。位相変調器103は、位相変調された光信号を、合波部104に出力する。
【0008】
合波部104には、位相変調された光信号が、位相変調器103から入力される。また、合波部104には、逆位相の映像信号に応じて直接変調された光信号が、第2レーザー発振器102から入力される。合波部104は、位相変調された光信号と、逆位相の映像信号に応じて直接変調された光信号とを合波する。
【0009】
検波部105は、フォトダイオードを用いて、合波された光信号に対して一括受信処理(光ヘテロダイン検波)を実行する。これによって、検波部105は、線形性の高い周波数変調信号を生成する。この周波数変調信号の中心周波数は、「|f1-f2|」である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】ITU-T J.185 : Transmission equipment for transferring multi-channel television signals over optical access networks by frequency modulation conversion, [online],[令和2年12月21日検索],インターネット<URL:https://www.itu.int/rec/T-REC-J.185-201206-I/en>
【文献】下羽 利明,外2名, “FM一括変換方式を用いた光映像配信技術,” 信学技報 IEICE Technical Report CS2019-84, IE2019-64(2019-12) , [online],[令和2年12月21日検索],インターネット<URL:https://www.ieice.org/ken/paper/20191206T1TI/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
FM一括変換方式では、周波数変調部は、入力された映像信号(変調信号)に応じて直接変調された光信号を、2本のレーザー光を用いて生成する。この2本のレーザー光における、バイアス電流と発振周波数との間の特性には、非常に高い線形性が要求される。このため、各レーザー発振器の選別コストが非常に高いという問題がある。この問題を解決するために、2個のレーザー発振器のうちの1個のレーザー発振器の後段に位相変調器が接続された上で、伝送される全ての映像信号が位相変調器に入力されるようにすることが考えられる。
【0012】
図5は、光伝送システムの光送信装置に備えられた周波数変調部の構成の第2例を示す図である。周波数変調部110は、第1レーザー発振器111と、第2レーザー発振器112と、位相変調器113と、合波部114と、検波部115と、増幅部116とを備える。
【0013】
第1レーザー発振器111は、第1発振周波数「f1」に基づいてレーザー光を生成する。第1レーザー発振器111は、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を、位相変調器113に出力する。第2レーザー発振器112は、第2発振周波数「f2」に基づいてレーザー光を生成する。第2レーザー発振器112は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を、合波部114に出力する。
【0014】
増幅部116には、ケーブルテレビ放送の映像信号と衛星放送の映像信号とが、周波数多重信号として、ヘッドエンド装置(不図示)から入力される。増幅部116は、周波数変調信号において十分な周波数偏移量が得られるようにするために、これらの映像信号の電圧を数ボルト程度まで増幅する。増幅部116は、電圧が増幅された映像信号を、位相変調器113に出力する。
【0015】
位相変調器113は、電圧が増幅された映像信号を用いて位相変調された光信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。合波部114には、位相変調された光信号が、位相変調器113から入力される。また、合波部114には、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光が、第2レーザー発振器112から入力される。
【0016】
合波部114は、位相変調された光信号と、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光とを合波する。検波部115は、フォトダイオードを用いて、合波された光信号に対して一括受信処理(光ヘテロダイン検波)を実行する。
【0017】
しかしながら、周波数変調部110では、増幅部116において映像信号に発生する歪によって信号品質が劣化するので、歪特性を向上させることができない場合がある。
【0018】
上記事情に鑑み、本発明は、歪特性を向上させることが可能である光送信装置、光送信方法及び光伝送システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様は、並列接続された複数の増幅部に変調信号を分配する分配部と、前記並列接続された複数の増幅部によって電圧が増幅された各変調信号に応じて位相変調された光信号を、第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する縦続接続された複数の位相変調器と、第2発振周波数に基づくレーザー光と前記光信号とを合波する合波部と、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記光信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波部とを備える光送信装置である。
【0020】
本発明の一態様は、光送信装置が実行する光送信方法であって、並列接続された複数の増幅部に変調信号を分配する分配ステップと、前記並列接続された複数の増幅部によって電圧が増幅された各変調信号に応じて位相変調された光信号を、第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて、縦続接続された複数の位相変調器において生成する複数の位相変調ステップと、第2発振周波数に基づくレーザー光と前記光信号とを合波する合波ステップと、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記光信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波ステップとを含む光送信方法である。
【0021】
本発明の一態様は、光送信装置と、光加入者線端局装置と、光回線終端装置と備える光伝送システムであって、前記光送信装置は、並列接続された複数の増幅部に変調信号を分配する分配部と、前記並列接続された複数の増幅部によって電圧が増幅された各変調信号に応じて位相変調された第1光信号を、第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する縦続接続された複数の位相変調器と、第2発振周波数に基づくレーザー光と前記第1光信号とを合波する合波部と、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記第1光信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波部と、前記周波数変調信号に応じて強度変調を実行することによって、強度変調された第2光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する強度変調器とを備え、前記光加入者線端局装置は、強度変調された前記第2光信号を送信し、前記光回線終端装置は、強度変調された前記第2光信号を取得する、光伝送システムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、歪特性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態における、光伝送システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態における、周波数変調部の構成例を示す図である。
図3】実施形態における、周波数変調部の動作例を示すフローチャートである。
図4】光伝送システムの光送信装置に備えられた周波数変調部の構成の第1例を示す図である。
図5】光伝送システムの光送信装置に備えられた周波数変調部の構成の第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、光伝送システム1の構成例を示す図である。光伝送システム1は、光信号を伝送するシステム(光伝送ネットワーク)である。以下では、光伝送システム1は、一例として、光信号を用いて映像信号を配信する。映像は、動画像でもよいし、静止画像でもよい。
【0025】
光伝送システム1は、ヘッドエンド装置2と、光送信装置3と、V-OLT4と、伝送路5と、N台(Nは1以上の整数)のV-ONU6と、表示装置7とを備える。光送信装置3は、周波数変調部30と、レーザー発振器31と、強度変調器32とを備える。V-ONU6は、検波部60と、周波数復調部61と、増幅部62とを備える。
【0026】
ヘッドエンド装置2は、映像信号(変調信号)を含む周波数多重信号を、光送信装置3に出力する。なお、ヘッドエンド装置2は、音声信号及びデータ信号等(変調信号)と映像信号とを含む周波数多重信号を、光送信装置3に出力してもよい。
【0027】
光送信装置3は、光信号を送信する装置である。周波数変調部30は、映像信号に応じて位相変調された光信号と逆位相の映像信号に応じて位相変調された光信号との間の光ビートに対して、例えば光ヘテロダイン検波処理を実行する。これによって、周波数変調部30は、周波数変調信号(FM信号)を生成する。
【0028】
レーザー発振器31は、所定の発振周波数に基づく伝送用のレーザー光を生成する。強度変調器32は、周波数変調信号に応じて、伝送用のレーザー光に対して強度変調(Intensity Modulation)を実行する機器である。強度変調器32は、強度変調された光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する。強度変調器32は、強度変調された光信号を、V-OLT4に送信する。
【0029】
V-OLT4(Video - Optical Line Terminal)は、光加入者線端局装置である。V-OLT4は、強度変調器32によって強度変調された光信号を、伝送路5を経由させて各V-ONU6に送信する。伝送路5は、光ファイバを用いて、光信号を伝送する。伝送路5は、光スプリッタを用いて、V-ONU6-1からV-ONU6-Nまでの各V-ONU6に光信号を分配する。
【0030】
V-ONU6(Video - Optical Network Unit)は、光回線終端装置である。検波部60は、フォトダイオードを有する。検波部60は、伝送路5を経由して取得された光信号を、周波数変調信号(電気信号)に変換する。周波数復調部61は、周波数変調信号に対して復調処理を実行することによって、映像信号を含む周波数多重信号を生成する。復調処理は、周波数変調信号の立ち上がりを検出する処理と、周波数変調信号の立ち下がりを検出する処理とを含む。増幅部62は、周波数多重信号における映像信号の電圧を、予め定められたレベルまで増幅させる。
【0031】
表示装置7は、映像を画面に表示する装置である。表示装置7は、予め定められたレベルまで電圧が増幅された映像信号を含む周波数多重信号を、増幅部62から取得する。表示装置7は、周波数多重信号における映像信号に応じて、映像を画面に表示する。
【0032】
次に、周波数変調部30の構成例を説明する。
図2は、周波数変調部30の構成例を示す図である。周波数変調部30は、分配部300と、M台(Mは2以上の整数)の増幅部301と、第1レーザー発振器302と、M台の位相変調器303と、第2レーザー発振器304と、合波部305と、検波部306とを備える。「M」は、例えば、仕様に関するシミュレーション結果又は実験結果に基づいて定められる。
【0033】
図2では、増幅部301-m(mは、1からMまでの整数)の出力が位相変調器303-mに入力されるように、増幅部301-mは、位相変調器303-mに接続されている。このように、周波数変調部30は、増幅部301-mと位相変調器303-mとの組み合わせを備える。
【0034】
M台の位相変調器303は、第1レーザー発振器302の後段において、縦続接続されている。すなわち、前段の位相変調器303の出力が次段の位相変調器303に入力されるように、前段の位相変調器303と次段の位相変調器303とが接続される。
【0035】
分配部300には、映像信号(変調信号)を含む周波数多重信号が、入力信号としてヘッドエンド装置2から入力される。以下では、映像信号は、一例として、ケーブルテレビ放送の映像信号と、衛星放送の映像信号(中間周波数(Intermediate Frequency:IF)信号)とである。
【0036】
ケーブルテレビ放送の映像信号は、例えば70MHzから770MHzまでの帯域に含まれる、アナログ放送用のAM(Amplitude Modulation)と、デジタル放送用のQAM(Quadrature Amplitude Modulation)信号とである。衛星放送の映像信号は、例えば1.0GHzから2.1GHzまでの帯域に含まれる、BS(Broadcast Satellite)の信号と、CS(Communication Satellite)110度の信号とである。
【0037】
分配部300は、映像信号(変調信号)を含む周波数多重信号を、M台の増幅部301に分配(周波数分配)する。各増幅部301には、分配された映像信号が、分配部300から入力される。増幅部301は、入力された映像信号の電圧(振幅)を、所定レベルまで増幅させる。ここで、複数の増幅部301にそれぞれ入力される映像信号(変調信号)の電圧は、単体の増幅部に入力される映像信号の電圧よりも低くすることができる。
【0038】
増幅部301は、電圧が増幅された映像信号を、M台の位相変調器303のうち、自増幅部に接続された位相変調器303に出力する。例えば、増幅部301-1は、電圧が増幅された映像信号を、位相変調器303-1に出力する。例えば、増幅部301-Mは、電圧が増幅された映像信号を、位相変調器303-Mに出力する。
【0039】
第1レーザー発振器302は、レーザーダイオードである。第1レーザー発振器302は、第1発振周波数「f1」に基づいてレーザー光を生成する。第1レーザー発振器302は、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を、位相変調器303-1に出力する。
【0040】
位相変調器303-mには、電圧が増幅された映像信号(変調信号)が、自位相変調器に接続された増幅部301-mから入力される。
【0041】
位相変調器303-1には、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光が、第1レーザー発振器302から入力される。位相変調器303-1は、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。位相変調器303-1は、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、位相変調器303-2に出力する。
【0042】
位相変調器303-(m-1)(この「m」は、3からMまでの整数)は、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、位相変調器303-(m-2)から出力された光信号を用いて生成する。位相変調器303-(m-1)は、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、位相変調器303-mに出力する。
【0043】
位相変調器303-Mは、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、位相変調器303-(M-1)から出力された光信号を用いて生成する。位相変調器303-Mは、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、合波部305に出力する。
【0044】
第2レーザー発振器304は、レーザーダイオードである。第2レーザー発振器304は、第2発振周波数「f2」に基づいてレーザー光を生成する。第2レーザー発振器304は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を、合波部305に出力する。
【0045】
合波部305には、映像信号に応じて位相変調された光信号が、位相変調器303-Mから入力される。また、合波部305には、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光が、第2レーザー発振器304から入力される。合波部305は、映像信号に応じて位相変調された光信号と、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光とを合波する。合波部305は、合波された光信号を検波部306に出力する。
【0046】
検波部306は、フォトダイオードを有する。検波部306は、フォトダイオードを用いて、合波された光信号に対して一括受信処理(例えば、光ヘテロダイン検波処理)を実行する。これによって、検波部306は、周波数変調信号(FM信号)を生成する。検波部306は、広帯域(例えば、500MHzから6GHzまで)の周波数変調信号を、強度変調器32に出力する。
【0047】
次に、周波数変調部30の動作例を説明する。
図3は、周波数変調部30の動作例を示すフローチャートである。分配部300は、入力信号に対する分配処理によって、映像信号(変調信号)を複数の増幅部301に出力する(ステップS101)。
【0048】
各増幅部301は、自増幅部に入力された映像信号の電圧を、所定レベルまで増幅させる。各増幅部301は、電圧が増幅された映像信号を、M台の位相変調器303のうち、自増幅部に接続された位相変調器303に出力する(ステップS102)。
【0049】
位相変調器303-1は、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。位相変調器303-1は、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、位相変調器303-2に出力する(ステップS103-1)。
【0050】
位相変調器303-(m-1)(この「m」は、3からMまでの整数)は、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、位相変調器303-(m-2)から出力された光信号を用いて生成する。位相変調器303-(m-1)は、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、位相変調器303-mに出力する(ステップS103-m)。
【0051】
位相変調器303-Mは、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、位相変調器303-(M-1)から出力された光信号を用いて生成する。位相変調器303-Mは、電圧が増幅された映像信号に応じて位相変調された光信号を、合波部305に出力する(ステップS103-M)。
【0052】
合波部305は、映像信号に応じて位相変調された光信号と第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光とを合波する(ステップS104)。検波部306は、映像信号に応じて位相変調された光信号と第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光とが合波された結果に対して一括受信処理を実行することによって、周波数変調信号を生成する(ステップS105)。
【0053】
以上のように、分配部300は、並列接続された複数の増幅部301に、変調信号を分配する。並列接続された複数の増幅部301は、各変調信号の電圧を増幅する。縦続接続された複数の位相変調器303は、電圧が増幅された各変調信号に応じて位相変調された光信号(第1光信号)を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。合波部305は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光と位相変調された光信号(第1光信号)とを合波する。検波部306は、第2発振周波数に基づくレーザー光と位相変調された光信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって、周波数変調信号を生成する。検波部306は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光と位相変調された光信号(第1光信号)とが合波された結果に対して検波処理(例えば、光ヘテロダイン検波処理)を実行することによって、周波数変調信号(FM信号)を生成する。強度変調器32は、周波数変調信号に応じて強度変調を実行することによって、強度変調された光信号(第2光信号)を、伝送用のレーザー光を用いて生成する。V-OLT4(光加入者線端局装置)は、強度変調された光信号(第2光信号)を送信する。V-ONU6(光回線終端装置)は、強度変調された光信号(第2光信号)を取得する。
【0054】
ここで、複数の増幅部301にそれぞれ入力される映像信号(変調信号)の電圧は、単体の増幅部に入力される映像信号の電圧よりも低くすることができるので、複数の増幅部301の組み合わせにおいて映像信号に発生する歪は、単体の増幅部において映像信号に発生する歪よりも少ない。また、複数の位相変調器303(光位相変調器)にそれぞれ入力される映像信号(変調信号)の電圧は、単体の位相変調器に入力される映像信号の電圧よりも低くすることができるので、複数の位相変調器303の組み合わせにおいて映像信号に発生する歪は、単体の位相変調器において映像信号に発生する歪よりも少ない。
【0055】
これによって、光ビートを用いて周波数変調信号を生成する光伝送システムにおいて、歪特性を向上させることが可能である。
【0056】
このように、歪特性に優れるFM一括変換方式では、複数の位相変調器303にそれぞれ入力される映像信号の電圧を低くできるので、複数の位相変調器303において映像信号に発生する歪を小さく抑えることが可能である。このため、複数の位相変調器303にそれぞれ入力される映像信号の電圧がチャンネル追加及び帯域増加等に応じて高くなった場合でも、映像信号の品質が劣化しにくい。
【0057】
光伝送システム1の各機能部のうちの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)を有する記憶装置とメモリとに記憶されたプログラムを実行することにより、ソフトウェアとして実現される。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記録媒体である。
【0058】
光伝送システム1の各機能部の一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integrated circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いた電子回路(electronic circuit又はcircuitry)を含むハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0059】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、映像配信システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…光伝送システム、2…ヘッドエンド装置、3…光送信装置、4…V-OLT、5…伝送路、6…V-ONU、7…表示装置、30…周波数変調部、31…レーザー発振器、32…強度変調器、60…検波部、61…周波数復調部、62…増幅部、100…周波数変調部、101…第1レーザー発振器、102…第2レーザー発振器、103…位相変調器、104…合波部、105…検波部、110…周波数変調部、111…第1レーザー発振器、112…第2レーザー発振器、113…位相変調器、114…合波部、115…検波部、116…増幅部、300…分配部、301…増幅部、302…第1レーザー発振器、303…位相変調器、304…第2レーザー発振器、305…合波部、306…検波部
図1
図2
図3
図4
図5