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特許7598120水蒸気吸着材を担持した除湿・結露防止部材及び該除湿・結露防止部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】水蒸気吸着材を担持した除湿・結露防止部材及び該除湿・結露防止部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/28 20060101AFI20241204BHJP
   B01J 20/16 20060101ALI20241204BHJP
   B01J 20/32 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B01D53/28
B01J20/16
B01J20/32 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023139994
(22)【出願日】2023-08-30
【審査請求日】2024-04-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】519342965
【氏名又は名称】株式会社ホリケン
(74)【代理人】
【識別番号】100140198
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 保子
(74)【代理人】
【識別番号】100199691
【弁理士】
【氏名又は名称】吉水 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100127513
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 悟
(74)【代理人】
【氏名又は名称】奥井 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100206829
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 悟
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正哉
(72)【発明者】
【氏名】森本 和也
(72)【発明者】
【氏名】万福 和子
(72)【発明者】
【氏名】堀 峰也
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 卓正
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-078135(JP,U)
【文献】特開2006-240956(JP,A)
【文献】特開2019-072686(JP,A)
【文献】特開平07-023801(JP,A)
【文献】特開昭54-141375(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2023-0106812(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第111021061(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109537279(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112940148(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
B01J 20/00-20/28
B01J 20/30-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性スポンジの細孔内に、相対湿度が低くなることだけで放湿可能な水蒸気吸着材が担持された除湿・結露防止部材であって、
前記水蒸気吸着材が、アルミニウムケイ酸塩、ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体、及び水溶性バインダーを含有する、除湿・結露防止部材。
【請求項2】
前記スポンジの平均細孔径が90~1000μmである、請求項に記載の除湿・結露防止部材。
【請求項3】
前記スポンジにおける前記水蒸気吸着材の担持密度が0.04g/cm以上である、請求項1又は2に記載の除湿・結露防止部材。
【請求項4】
前記アルミニウムケイ酸塩が、非晶質アルミニウムケイ酸塩、又は低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩とからなるアルミニウムケイ酸塩複合体である、請求項1又は2に記載の除湿・結露防止部材。
【請求項5】
前記水溶性バインダーが、ポリビニルアルコールである、請求項1又は2に記載の除湿・結露防止部材。
【請求項6】
吸水性スポンジの細孔内に、相対湿度が低くなることだけで放湿可能な水蒸気吸着材が担持された除湿・結露防止部材の製造方法であって、
アルミニウムケイ酸塩、ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体、及び水溶性バインダーを含有する水系スラリーを、吸水性スポンジに含浸させる工程、及び
前記水系スラリーが含浸されたスポンジを乾燥させる工程、
を含む、除湿・結露防止部材の製造方法。
【請求項7】
前記水系スラリーを前記スポンジに含浸させる工程において、前記水系スラリーに振動を与える、請求項に記載の除湿・結露防止部材の製造方法。
【請求項8】
前記スポンジの平均細孔径が、90~1000μmである、請求項6又は7に記載の除湿・結露防止部材の製造方法。
【請求項9】
前記アルミニウムケイ酸塩が、非晶質アルミニウムケイ酸塩、又は低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩とからなるアルミニウムケイ酸塩複合体である、請求項6又は7に記載の除湿・結露防止部材の製造方法。
【請求項10】
前記水溶性バインダーが、ポリビニルアルコールである、請求項6又は7に記載の除湿・結露防止部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気吸着材を担持した、除湿や結露防止に用いる部材(以下、「除湿・結露防止部材」という)、及び該除湿・結露防止部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
夏の高温多湿と冬の結露は、日常生活において大きな問題であり、快適な生活空間を形成するため、様々な除湿剤を用いた除湿や結露防止について検討がなされてきた。
そのような中、ナノサイズの細孔を有する多孔質無機材料は、その特異な微細構造に基づいて、水蒸気吸着性能を有することから、除湿剤、結露防止剤、自律的調湿材料などの応用が期待されている。
【0003】
上記背景の中、本発明者は、アルミニウムケイ酸塩の優れた水との親和性に着目し、その除湿剤としての性能向上のため、幅広い湿度帯にて吸放湿が可能な高性能水蒸気吸着材の開発を進め、非晶質アルミニウムケイ酸塩からなる物質(特許文献1参照)、或いは低結晶性層状粘土と非晶質アルミニウムケイ酸塩とのアルミニウムケイ酸塩複合体からなる物質(特許文献2参照)を見出した。
【0004】
また、上記アルミニウムケイ酸塩の吸着性能をさらに向上させるため、アルミニウムケイ酸塩に、ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を添加することにより、幅広い湿度帯にて吸放湿が可能であり、特に、中~高湿度領域における吸着性能が向上した水蒸気吸着材が得られることを見出した(特許文献3参照)。
しかしながら、上記特許文献1~3に記載された水蒸気吸着材は粉体そのものであり、そのままでは、除湿・結露部材あるいは除湿装置および結露防止装置として機能させることができず、装置あるいは単体で機能させるための部材の開発が必要となる。
【0005】
水蒸気吸着材(除湿剤)を配合した基材あるいは水蒸気吸着材(除湿剤)を塗布又は含浸した基材を用いて、除湿装置あるいは除湿部材とすることはすでに提案されている。
例えば、特許文献4,5には、除湿剤として、シリカゲル等の多孔質金属酸化物、或いはアルミニウムケイ酸塩と該シリカゲル等の多孔質金属酸化物と吸湿性塩との混合物を用い、該除湿剤と繊維状物とを混合して抄紙する、又は該除湿剤をシート状基材上に塗布することにより、除湿シート及び除湿用フィルタとすることが提案されている。
これらの特許文献に記載された除湿用シート及び除湿用フィルタは、40℃~80℃未満の低温で再生することができることから、デシカント空調機の除湿ローターとして好適に使用できる。
【0006】
また、特許文献6には、特定の水和含鉄アルミニウム酸化物を含む粒状調湿剤を用いた床下の調湿方法が提案されており、床下に防湿シートを敷設し、この防湿シートの上に前記粒状調湿剤の層を設けること(請求項7参照)、又は前記粒状調湿剤が配合され且つ少なくとも上方表面が通気性であるシートを床下に敷設すること(請求項8参照)が記載されている。また、該特許文献には、水和含鉄アルミニウム酸化物を天然繊維や合成繊維と水に分散し、これを混抄して抄紙を得ること、水和含鉄アルミニウム酸化物を水に分散しシート基材に含浸させてシート状消臭剤を得ること、あるいは繊維類を原料として不織布の形態にすること(段落[0036])が記載されている。
【0007】
さらに、特許文献7には、内部に除湿剤が充填された複数の金属製の筒と、該複数の筒を保持し、脚部を有する枠体から成る除湿器が提案されており、前記除湿剤が、不織布、スポンジまたはパイプに含浸させた塩化カルシウムまたは塩化リチウムであること(請求項6参照)が記載されている。そして、実施例(第3欄第16~18行)には、多数の孔が設けられた金属製筒の内部に、塩化カルシウム水溶液を含浸させた後に乾燥させたパルプ材を充填したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-128499号公報
【文献】特開2019-026487号公報
【文献】特願2022-211946号
【文献】特開2012-200644号公報
【文献】特開2011-194352号公報
【文献】特開2003-033624号公報
【文献】特開2002-326011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のとおり、アルミニウムケイ酸塩は、幅広い湿度帯にて吸放湿が可能な水蒸気吸着材を提供することができることから、主成分としてアルミニウムケイ酸塩を担持した、除湿・結露防止部材の開発が求められている。
【0010】
前記特許文献4、5に記載の除湿用シート及び除湿用フィルタは、デシカント空調機の除湿ローターとして好適に使用できる。しかしながら、除湿剤の再生(吸着した水蒸気の脱離)には、低温に加熱された空気の送風が必要であるため、例えば、家屋の床下、天井等の所望の箇所に設置して、夏の高温多湿と冬の結露とを防止する除湿・結露防止部材としては、不向きであるという課題がある。
また、除湿剤を繊維状物と混合して抄紙することで除湿用シートとする場合は、抄紙という工程が必要になるばかりでなく、得られるシートの厚みや形状に限りがあり、除湿剤の担持量を増やすことが難しいという課題もある。
【0011】
前述の特許文献6に記載された、特定の水和含鉄アルミニウム酸化物の粒状物からなる粒状調湿剤を得るには、押出成形等により粒状物にする工程が別途必要となり、簡便な方法とはいえない。また、該特許文献には、前記水和含鉄アルミニウム酸化物を繊維と混合して、抄紙するか又は不織布とすることも記載されているが、前記と同様に、得られるシートの厚みや形状に限りがあり、調湿剤の担持量を増やすことが難しいという問題がある。さらに、該特許文献におけるシート基材については、前述の繊維を用いて抄紙する又は不織布とするもの以外に、具体的な開示はされていない。
さらに、前記特許文献7には、基材に、塩化カルシウムまたは塩化リチウムの水溶液を含浸させることが記載されているだけで、アルミニウムケイ酸塩については、開示されていない。
【0012】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、主成分であるアルミニウムケイ酸塩を担持する基材として、厚みや形状に制限されずに充分な量のアルミニウムケイ酸塩を簡便に担持し得るものを用いて、幅広い湿度帯にて吸放湿が可能であり、特に、中~高湿度領域において高性能な吸着性能を有する除湿・結露防止部材を提供すること、及び該除湿・結露防止部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、アルミニウムケイ酸塩の粉体、水溶性バインダー、及び水、あるいはさらにヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を混合した水系スラリーを、吸水性スポンジに含浸させることにより、幅広い湿度帯にて吸放湿が可能であり、特に、中~高湿度領域における吸着性能が向上した除湿用および結露防止用部材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、上記課題を解決するための本発明は、以下の態様を含む。
[1]アルミニウムケイ酸塩及び水溶性バインダーを含有する水蒸気吸着材が、吸水性スポンジの細孔内に担持された除湿・結露防止部材。
[2]前記水蒸気吸着材が、ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を含有する[1]に記載の除湿・結露防止部材。
[3]前記スポンジの平均細孔径が90~1000μmである、[1]又は[2]に記載の除湿・結露防止部材。
[4]前記スポンジにおける前記水蒸気吸着材の担持密度が0.04g/cm以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の除湿・結露防止部材。
[5]前記アルミニウムケイ酸塩が、非晶質アルミニウムケイ酸塩、又は低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩とからなるアルミニウムケイ酸塩複合体である、[1]~[4]のいずれかに記載の除湿・結露防止部材。
[6]前記水溶性バインダーが、ポリビニルアルコールである、[1]~[5]のいずれかに記載の除湿・結露防止部材。
[7]アルミニウムケイ酸塩及び水溶性バインダーを含有する水系スラリーを、吸水性スポンジに含浸させる工程、及び
前記水系スラリーが含浸された前記スポンジを乾燥させる工程、
を含む、除湿・結露防止部材の製造方法。
[8]前記水系スラリーが、ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を含有する、[7]に記載の除湿・結露防止部材の製造方法。
[9]前記水系スラリーを前記スポンジに含浸させる工程において、前記水系スラリーに振動を与える、[7]又は[8]に記載の除湿・結露防止部材の製造方法。
[10]前記スポンジの平均細孔径が、90~1000μmである、[7]~[9]のいずれかに記載の除湿・結露防止部材の製造方法。
[11]前記アルミニウムケイ酸塩が、非晶質アルミニウムケイ酸塩、又は低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩とからなるアルミニウムケイ酸塩複合体である、[7]~[10]のいずれかに記載の除湿・結露防止部材の製造方法。
[12]前記水溶性バインダーが、ポリビニルアルコールである、[7]~[11]のいずれかに記載の除湿・結露防止部材の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基材として吸水性スポンジを用い、該スポンジの細孔内に、主成分であるアルミニウムケイ酸塩とともに水溶性バインダーを含有する水蒸気吸着材を担持させることにより、前記基材の厚みや形状に制限されずに前記アルミニウムケイ酸塩の充分な担持量を確保しつつ、幅広い湿度帯にて吸放湿が可能であり、特に、中~高湿度領域において高性能な吸着性能を有する除湿・結露防止部材を簡便な工程にて供給することができる。
また本発明によれば、水蒸気吸着材に、さらにヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を含有させることにより、前記アルミニウムケイ酸塩が備える性能を著しく向上させるとともに、担持体である吸水性スポンジの細孔内により多くの量の水蒸気吸着材を担持させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)における除湿・結露防止部材及びその製造方法ついて、順に記載するが、本発明は以下の本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、数値範囲等を「~」を用いて表す場合、その下限及び上限として記載された数値をも含む意味である。
【0017】
≪除湿・結露防止部材≫
本実施形態の除湿・結露防止部材は、アルミニウムケイ酸塩及び水溶性バインダーを含有する水蒸気吸着材が、吸水性スポンジの細孔内に担持されていることを特徴としている。
【0018】
<水蒸気吸着材>
本実施形態の水蒸気吸着材は、アルミニウムケイ酸塩及び水溶性バインダーを含むものであり、好ましくは、さらにヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を含むものである。
【0019】
(アルミニウムケイ酸塩)
本実施形態の水蒸気吸着材に用いられるアルミニウムケイ酸塩は、水蒸気吸着材の主成分であって、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)及び水素(H)を構成元素とし、多数のSi-O-Al結合で組み立てられた水和ケイ酸アルミニウムである。
具体的には、本実施形態で用いられるアルミニウムケイ酸塩は、非晶質アルミニウムケイ酸塩、又は低結晶性層状粘土鉱物と非晶質アルミニウムケイ酸塩からなるアルミニウムケイ酸塩複合体(以下、単に「アルミニウムケイ酸塩複合体」ということもある)である。
【0020】
本実施形態の水蒸気吸着材に用いられるアルミニウムケイ酸塩は、通常、ケイ素源となる原料として無機ケイ素化合物を用い、アルミニウム源となる原料として無機アルミニウム化合物を用い、これらの水溶液又は水分散液を混合攪拌して得られた前駆体を、脱塩処理(洗浄)及び加熱処理することにより人工的に得ることが可能である(前記特許文献1,2等参照)が、市場から入手することもできる。
【0021】
(水溶性バインダー)
本実施形態の水蒸気吸着材は、前記の主成分であるアルミニウムケイ酸塩とともに、水溶性バインダーを含んでいる。
本発明の水蒸気吸着材は、水溶性バインダーを含有させることによって、アルミニウムケイ酸塩の吸放湿性能に影響を与えることなく、担持体であるスポンジの細孔内に充分な量の水蒸気吸着材を担持させることが可能となる。
【0022】
本発明の水蒸気吸着材に用いられる水溶性バインダーは、水溶性であり、アルミニウムケイ酸塩の粉末とともに水と混合した際に、水系スラリーを形成できるものであれば特に限定されない。
水溶性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、糖質、フェノール樹脂、ポリカルボン酸樹脂等が挙げられる。これらの中では、安価であり、安全性が高く、入手が容易であることから、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましい。ポリビニルアルコール(PVA)は、ビニルアルコール単位以外に酢酸ビニル単位を有していてもよい。
【0023】
(アルミニウムケイ酸塩と水溶性バインダーの含有量)
本実施形態の水蒸気吸着材における、アルミニウムケイ酸塩と水溶性バインダーの含有量は、乾燥時の質量パーセントで、アルミニウムケイ酸塩は80~99質量パーセント、水溶性バインダーは1~20質量パーセントであり、より好ましくは、アルミニウムケイ酸塩は85~95質量パーセント、水溶性バインダーは5~15質量パーセントである。
【0024】
(ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体)
本実施形態の水蒸気吸着材は、更にヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を含むことが好ましい。
本実施形態の水蒸気吸着材に用いられるヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体は、吸湿性を有する親水性高分子である。
本実施形態の水蒸気吸着材において、アルミニウムケイ酸塩とともにヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を含むことによって、アルミニウムケイ酸塩が備える性能を著しく向上させるものであり、具体的には、幅広い湿度帯における吸放湿性能が一層高いものとなり、特に、中~高湿度領域において高性能な吸着性能を発揮する水蒸気吸着材となる。
さらに、本実施形態の水蒸気吸着材において、前記水溶性バインダーに加えて、ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を含むことによって、担持体であるスポンジの細孔内により充分な量の水蒸気吸着材を担持させることが可能となる。
【0025】
本実施形態において、用いられるヒアルロン酸は、特に限定されるものではないが、例えば、平均分子量5万~1000万ダルトンである、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンとから成る二糖の重合体であってよい。ヒアルロン酸は公知の手法により製造することもできるし、ヒアルロン酸自体を市場から入手することもできる。
【0026】
本実施形態においては、遊離のヒアルロン酸を用いても、その塩を用いてもよい。本発明に用いられるヒアルロン酸の塩は、特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、アンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などが挙げられる。このようなヒアルロン酸塩は、上記の通り、市場から容易に入手することができる。また、市場から入手したヒアルロン酸を、周知の方法で塩とすることで、ヒアルロン酸塩を調製することもできる。
【0027】
また、ヒアルロン酸誘導体としては、ヒアルロン酸に例えば、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基等の親水性基を側鎖又は主鎖に有するものや、ヒアルロン酸に更に水酸基やカルボキシル基を増やしたもの、あるいは、ヒアルロン酸に含まれるカルボキシル基をナトリウムイオンやカリウムイオン等でヒアルロン酸塩としたものを挙げることができる。中でも、本実施形態の水蒸気吸着材に用いられるヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体としては、ヒアルロン酸塩が好ましく、かかるヒアルロン酸塩は市場から容易に入手できる。
【0028】
本実施形態に用いることができるヒアルロン酸誘導体としては上記の、分子内に親水性基を導入したものに加え、ヒアルロン酸から誘導されるヒアルロン酸骨格を有する物質であってもよい。このようなヒアルロン酸誘導体としては、特に限定はされるものではないが、例えば、ヒアルロン酸中の一つ以上のカルボキシル基がエステル化されている物質、ヒアルロン酸をホルムアルデヒドで部分的に架橋し更に高分子化した物質、ヒアルロン酸中の一つ以上のヒドロキシ基がアセチル化されているアセチル化ヒアルロン酸等が挙げられる。
【0029】
本実施形態においては、ヒアルロン酸の少なくとも1種のみ、又はヒアルロン酸誘導体の少なくとも1種のみが用いられても、ヒアルロン酸の少なくとも1種とヒアルロン酸誘導体の少なくとも1種とが組み合わされて使用されていてもよい。
【0030】
(ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体の含有量)
本実施形態の水蒸気吸着材が、ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を含有する場合には、水蒸気吸着材全体におけるヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体の含有量は、乾燥時の質量パーセントで、0.01~10質量パーセントであり、より好ましくは、0.01~0.1質量パーセントである。
【0031】
(その他の成分)
本実施形態の水蒸気吸着材は、上記した必須成分、及び任意成分であるヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の別の成分を含んでいてもよい。
【0032】
<吸水性スポンジ>
本実施形態の除湿・結露防止部材において、吸水性スポンジは、その細孔内に、上記のアルミニウムケイ酸塩及び水溶性バインダー、あるいは更にヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を含有する水蒸気吸着材を担持させる担持体として用いられる。
したがって、本実施形態における吸水性スポンジは、その細孔内に少なくともアルミニウムケイ酸塩及び水溶性バインダーを担持することができるものであればよく、特に限定されない。具体的には、連続気泡を有するスポンジであれば、天然スポンジ及び合成スポンジのいずれでもよく、例えば海綿、ウレタンスポンジ、ウレタンフォームなどが挙げられる。
本実施形態において、吸水性スポンジは、その平均細孔径が90~1000μmのものが好ましい。
【0033】
本実施形態の除湿・結露防止部材において、吸水性スポンジの形状は特に限定されず、後述する除湿・結露防止材の用途に応じて、シート状またはシート状以外の任意の形状とすることができる。
また、本実施形態の除湿・結露防止部材において、吸水性スポンジの厚みも特に限定されないが、後述する実施例において示すように、厚さが増えると水蒸気吸着材の担持密度が減少する。一方で、厚さを薄くすると、担持量が減少するため、その場合には、基材である吸水性スポンジを重ねて用いることにより解決できる。
【0034】
(吸水性スポンジにおける水蒸気吸着材の担持密度)
本実施形態の除湿・結露防止部材において、吸水性スポンジの細孔内に担持される水蒸気吸着材の担持密度は、後述する実施例において示すように、用いる吸水性スポンジの平均細孔径及び厚み、前記水蒸気吸着材におけるヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体の有無、あるいは後述する含浸工程において、振動を与えるか否かによって変更することができるが、これらの条件を組み合わせることにより、0.04g/cm以上とすることができる。
【0035】
≪除湿・結露防止部材の製造方法≫
本実施形態における除湿・結露防止部材の製造方法は、
(I)アルミニウムケイ酸塩及び水溶性バインダーを含有する水系スラリーを、吸水性スポンジに含浸させる工程、及び
(II)前記水系スラリーが含浸された前記スポンジを乾燥させる工程、
を含む。
【0036】
(水系スラリーの調製)
アルミニウムケイ酸塩の粉体に、水溶性バインダーの水溶液、及び水、或いはアルミニウムケイ酸塩の粉体に、水溶性バインダーの水溶液、ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体、及び水を添加し、よく混合することにより、水系スラリーを調製する。
前記アルミニウムケイ酸塩の粉体の粒径は、担持させるスポンジの細孔径よりも十分に小さいことが必須であり、0.5~100μmであることが好ましく、1~10μmであることがより好ましい。
含浸用水系スラリーの調製に先立って、アルミニウムケイ酸塩の粉体の粒径を調節するために、必要に応じて、粉砕や分級を行ってもよい。
【0037】
(含浸工程・乾燥工程)
水系スラリーを吸水性スポンジに含浸させる方法は特に限定されないが、上記にて調製した水系スラリーに吸水性スポンジを浸漬して、前記水系スラリーを含浸させることが好ましい。
水系スラリーにスポンジを浸漬させる際に、水系スラリーに振動を与えることによって、吸水性スポンジの細孔内部まで水系スラリーを含浸させることができる。
水系スラリーに振動を与える方法は、特に限定されないが、例えば、DENBA株式会社製、DENBA+2.0等の空間電位発生装置を用いて、水系スラリーに20~100Hzの低周波振動を与える方法が挙げられる。
次いで、前記水系スラリーが含浸された前記スポンジを乾燥させる。乾燥温度及び時間は、スポンジが熱により溶けることがなければ、特に限定されないが、20~70℃であることが好ましく30~60℃であることがより好ましい。
なお、乾燥後、スポンジの細孔内に担持されずにスポンジの外表面に付着している固形分のスポンジからの脱離を防ぐために、スポンジの外表面に付着している固形分を取り除いてもよい。
【0038】
<除湿・結露防止部材の用途>
本実施形態の除湿・結露防止部材は、幅広い湿度帯にて吸放湿が可能であり、特に、中~高湿度領域において高性能な吸着性能を有するので、その用途は、特に限定されるものではなく、除湿・結露防止部材が求められる各種用途に用いることができる。
具体的には、例えば、家屋の床下、天井等の所望の箇所に設置して、夏の高温多湿と冬の結露を防止する他、押入やタンス用の除湿シート、壁紙や床材等の内装材料等にも利用することができる。
【実施例
【0039】
以下、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0040】
<アルミニウムケイ酸複合体の製造>
実施例においては、アルミニウムケイ酸複合体の粉末を用いた。アルミニウムケイ酸塩複合体の粉体は、ケイ素源(Si源)として、Si濃度が495mmol/Lの水ガラス水溶液1000mLを用い、アルミニウム源(Al源)として、Al濃度が450mmol/Lの硫酸アルミニウム水溶液1000mLを用いて製造した。
【0041】
硫酸アルミニウム水溶液に水ガラス水溶液を加え、約15分間攪拌を行った。このときのSi/Alモル比は、1.1とした。攪拌後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を、pHが7程度になるまで添加し、懸濁液を得た。水酸化ナトリウム水溶液の滴下量は12mLであった。得られた懸濁液を1時間攪拌し、前駆体懸濁液を調製した。調製した1000mLの前駆体懸濁液を、遠心分離にて3回洗浄し、再度1000mLの前駆体懸濁液とした。得られた前駆体懸濁液の70mLをテフロン(登録商標)製容器に入れ、200℃で6時間加熱した。続いて、60℃で1日乾燥させた後に粉砕して、粒径1~10μmの粉体を得た。
【0042】
得られた粉体について、粉末X線回折測定を行った。粉末X線回折図形には、2θ=20°、26°、35°、40°付近にブロードなピークが見られ、アルミニウムケイ酸塩複合体が生成していることが確認された。
【0043】
<水系スラリーの調製>
上記で得られたアルミニウムケイ酸塩複合体の粉体60gに、10%ポリビニルアルコール(カネヨ石鹸株式会社製、カネヨノール)水溶液50g、及び水140gを添加し、よく混合することにより、水系スラリー(1)を調製した。
また、上記で得られたアルミニウムケイ酸塩複合体の粉体60gに、ヒアルロン酸ナトリウム(株式会社ホルス製、ヒアルロン酸ナトリウム末)0.3g、10%ポリビニルアルコール水溶液50g、及び水140gを添加し、よく混合することにより、水系スラリー(2)を調製した。
さらに、上記で得られたアルミニウムケイ酸塩複合体の粉体60gに、水140gを添加しよく混合することにより、水系スラリー(3)を調製した。
【0044】
<除湿・結露防止部材の作製>
比較例1)
上記で得られたヒアルロン酸を含まない水系スラリー(1)に、縦3cm、横3cm、厚さ2.5cm、平均細孔径1000μmのウレタンスポンジ(株式会社八幡ねじ製、凹凸クッション30小波)を15分間浸漬し、40℃にて乾燥後、表面の固形分を取り除くことにより、除湿・結露防止部材を得た。
(実施例
水系スラリーとして、上記で得られたヒアルロン酸を含む水系スラリー(2)を用いた以外は、比較例1と同様にして、除湿・結露防止部材を得た。
(比較例
水系スラリーとして、上記で得られた水系スラリー(3)を用いた以外は、比較例1と同様にして、除湿・結露防止部材を得た。
【0045】
<除湿・結露防止部材における水蒸気吸着の担持密度>
実施例1及び比較例1、2にて得られた除湿・結露防止部材において、各部材に担持された水蒸気吸着材の担持量(g)及び担持密度(g/cm)を表1に示す。
なお、担持量(g)は、水系スラリーを含浸させていないスポンジを40℃で24時間乾燥させた後に秤量し、実施例1及び比較例1、2で得られた除湿・結露防止部材を秤量した質量(g)から、前記水系スラリーを含浸させていないスポンジの質量(g)を引いた値とした。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示す結果から、PVAを用いなかった比較例では、PVAを用いた比較例1と比べて(いずれもヒアルロン酸なし)、担持量は64%程度と少なくなっていることが明らかとなった。
また、実施例1では、ヒアルロン酸(アルミニウムケイ酸に対する質量比0.5%)を併用することにより、担持量(g)を増加させることができることがわかる。
【0048】
<水蒸気吸着量評価>
比較例1、及び実施例1で得られた除湿・結露防止部材について、水蒸気吸着量評価を行った。
(評価方法)
比較例1、及び実施例1で得られた除湿・結露防止部材、及び前記水系スラリーを含浸させていないスポンジを用いて評価を行った。それぞれの部材を40℃にて24時間乾燥させて、表面の固形分を取り除いた後、秤量を行い、前記水系スラリーを含浸させていないスポンジの質量を引いた値を、各部材の乾燥質量とした。次に25℃相対湿度95%の恒温恒湿槽に入れ水蒸気を吸着させ、0.5時間後、1時間後、1.5時間後、3時間後、6時間後、24時間後の質量を測定し、前記水系スラリーを含浸させていないスポンジの質量を引いた値を、吸着後の質量とした。乾燥質量と吸着後の質量から、以下の式により吸着率を求めた。
吸着率(%)=(吸着後の質量-乾燥質量)÷乾燥質量×100
さらに24時間吸着後に、25℃相対湿度60%の恒温恒湿槽に入れ再生12時間後(合計36時間後)の質量を測定し、上記と同様に再生12時間後の吸着率(%)を求めた。
水蒸気吸着量評価結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に示す結果から、ヒアルロン酸を含むことによって、アルミニウムケイ酸塩が備える性能を向上させることができることがわかる。
【0051】
以上の結果より、含浸用水系スラリーには、ヒアルロン酸が含まれていることが望ましいことから、以下の実施例においては、前記含浸用水系スラリー(2)を用いて、細孔径および振動の効果についての検討を行った。
【0052】
《細孔径の検討》
<除湿・結露防止部材の作製>
(実施例
上記で得られた水系スラリー(2)に、縦5cm、横5cm、厚さ0.1cm、平均細孔径25μmのウレタンスポンジ(アイオン社製、品番PU-N1T)を15分間浸漬し、40℃にて乾燥後、表面の固形分を取り除くことにより、除湿用及び結露防止用部材を得た。
【0053】
(実施例
上記で得られた水系スラリー(2)に、縦5cm、横5cm、厚さ0.5cm、平均細孔径25μmのウレタンスポンジ(アイオン社製、品番PU-N5T)を15分間浸漬し、40℃にて乾燥後、表面の固形分を取り除くことにより、除湿用及び結露防止用部材を得た。
【0054】
(実施例
上記で得られた水系スラリー(2)に、縦5cm、横5cm、厚さ0.5cm、平均細孔径90μmのウレタンスポンジ(富士ケミカル社製、品番1mmサイズ1200×600mm)を15分間浸漬し、40℃にて乾燥後、表面の固形分を取り除くことにより、除湿用及び結露防止用部材を得た。
【0055】
(実施例
上記で得られた水系スラリー(2)に、縦5cm、横5cm、厚さ0.1cm、平均細孔径150μmのウレタンスポンジ(富士ケミカル社製、品番5mmサイズ1200×600mm)を15分間浸漬し、40℃にて乾燥後、表面の固形分を取り除くことにより、除湿用及び結露防止用部材を得た。
【0056】
<除湿・結露防止部材における吸着剤の担持密度>
前記実施例と同様にして、実施例にて得られた除湿用及び結露防止用部材において、部材に担持された水蒸気吸着材の担持密度を求めた。
結果を、実施例で得られた結果とともに、表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
表3に示されるように、厚みが同じ実施例5、実施例の結果から、除湿用及び結露防止用部材における水蒸気吸着材の担持密度は、細孔径が大きくなるほど、増加することが明らかとなった。
【0059】
《除湿・結露防止部材の作製における振動効果》
(実施例10
上記で得られた水系スラリー(2)を、振動装置(DENBA株式会社製、DENBA+2.0)を用いて振動させながら、該スラリーに吸水性スポンジを浸漬した以外は、それぞれ実施例、及び実施例と同様にして、実施例10の除湿・結露防止部材を得た。
【0060】
<除湿・結露防止部材における水蒸気吸着の担持密度>
実施例及び実施例10にて得られた除湿・結露防止部材において、浸漬時に振動あり及びなしの条件に分けて、除湿・結露防止部材に担持された水蒸気吸着材の担持密度を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
表4に示されるように、平均細孔径が150~1000μmでは、振動ありの方が担持密度は大きいことが明らかとなった。
【0063】
<水蒸気吸着量評価>
実施例10で得られた除湿・結露防止部材について、水蒸気吸着量評価を行った。
(評価方法)
実施例10で得られた除湿・結露防止部材、及び前記水系スラリーを含浸させていないスポンジを用いて評価を行った。それぞれの部材を40℃にて24時間乾燥させた後、秤量を行い、前記含浸用水系スラリーを含浸させていないスポンジの質量を引いた値を、各部材の乾燥質量とした。次に25℃相対湿度95%の恒温恒湿槽に入れ水蒸気を吸着させ、0.5時間後、1時間後、1.5時間後、3時間後、6時間後、24時間後の質量を測定し、前記水系スラリーを含浸させていないスポンジの質量を引いた値を、吸着後の質量とした。乾燥質量と吸着後の質量から、以下の式により吸着率を求めた。
吸着率(%)=(吸着後の質量-乾燥質量)÷乾燥質量×100
さらに24時間吸着後に、25℃相対湿度60%の恒温恒湿槽に入れ再生12時間後(合計36時間後)の質量を測定し、上記と同様に再生12時間後の吸着率(%)を求めた。
得られた水蒸気吸着量評価結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
【0065】
表5の結果より、厚さが0.1cmの部材(実施例)は、0.5~1時間までの吸着量が多く、ほぼ1時間にて水蒸気の吸着が終了しているが、厚さが0.5cm以上の部材(実施例:0.5cm、実施例10:2.5cm)は、吸着時間とともに水蒸気吸着量が増加しており、吸着が終了するのは約3時間頃となっていた。
単位体積当たりの吸着量は、細孔径90μm以上の部材(実施例10)では、0.5時間での吸着量は10wt%を超えることが明らかとなった。
また、24時間吸着後に、相対湿度を60%に下げた際に、どの部材においても、吸着された水分が脱着しており、相対湿度が低くなることで乾燥できることが明らかとなった。
【要約】
【課題】主成分としてアルミニウムケイ酸塩を用いて、幅広い湿度帯にて吸放湿が可能であり、特に、中~高湿度領域において高性能な吸着性能を有する除湿・結露防止部材を提供する。
【解決手段】アルミニウムケイ酸塩の粉体、水溶性バイダー、及び水、あるいはさらにヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を混合した水系スラリーを、吸水性スポンジに含浸させることで、前記スポンジの細孔内に、アルミニウムケイ酸塩を主成分とする水蒸気吸着材が担持された除湿・結露防止部材とする。
【選択図】なし