(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】容器及び吐出製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20241204BHJP
B65D 47/42 20060101ALI20241204BHJP
B65D 47/12 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B65D83/00 J
B65D47/42
B65D47/12 200
(21)【出願番号】P 2021050874
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】笠川 郁
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067321(JP,A)
【文献】特開2001-122301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 47/42
B65D 47/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、
前記容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップと、
を備え、
前記容器本体は、
開口を有し、内容物を収容可能な本体部と、
前記開口から延びる円筒状の外周壁と、前記外周壁の前記開口とは反対側の端部を閉じるように形成された、天壁とを有し、前記外周壁に雄ネジが形成された取付部と、
前記取付部の天壁から突出し、前記本体部の内容物を排出可能な筒状の排出部と、
を有し、
前記本体部、前記取付部、及び前記排出部は、内部が連通するように、樹脂材料によって一体的に形成され、
前記キャップの内壁面には、前記雄ネジと螺合する雌ネジが形成され、
前記排出部の外周面及び前記取付部の天壁の少なくとも一部に亘って、線状に延びるように形成された少なくとも1つの隆起部をさらに備え
、
前記隆起部は、前記排出部の外周面に設けられる第1部位と、前記取付部の天壁に設けられる第2部位と、を備える、容器。
【請求項2】
前記隆起部は、薄板状に形成されている、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記隆起部の隆起高さは、前記外周壁からの前記雄ネジの突出高さの10%以上である、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記隆起部が2個設けられ、
2個の前記隆起部は、前記排出部の軸線を挟んで対向する位置に設けられている、請求項1から3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記排出部に取り付けられ、前記排出部から排出された内容物を前記排出部の径方向外方に排出させるための規制部材をさらに備えている、請求項1から4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記隆起部は、
前記取付部の外周壁に設けられる第3部位
、をさらに備え、
前記第3部位の隆起高さは、前記第1部位及び前記第2部位の隆起高さよりも小さい
請求項1から5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の容器と、
前記本体部に収容された前記内容物と、
を備える吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器及び吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、流動性を有する洗浄剤を収容する容器本体と、この容器本体に取り付けられるキャップとを有している。容器本体から排出された洗浄剤は、トイレの便器などに塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の容器本体は樹脂材料を成形することで製造される。その後、成形された容器本体に対してキャップを螺合することで、容器が完成する。しかしながら、容器本体の製造方法によっては、肉厚が薄くなり、剛性が低くなる可能性がある。この場合、容器本体にキャップを取り付けると、キャップの螺合によるねじりの力が容器本体に作用し、容器本体が変形するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、キャップの取付時に容器本体が変形するのを抑制することができる、容器及び吐出製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る容器は、容器本体と、前記容器本体に着脱自在に取り付けられるキャップと、を備え、前記容器本体は、開口を有し、内容物を収容可能な本体部と、前記開口から延びる円筒状の外周壁と、前記外周壁の前記開口とは反対側の端部を閉じるように形成された、天壁とを有し、前記外周壁に雄ネジが形成された取付部と、前記取付部の天壁部から突出し、前記本体部の内容物を排出可能な筒状の排出部と、を有し、前記本体部、前記取付部、及び前記排出部は、内部が連通するように、樹脂材料によって一体的に形成され、前記キャップの内壁面には、前記雄ネジと螺合する雌ネジが形成され、前記排出部の外周面及び前記取付部の天壁の少なくとも一部に亘って、線状に延びるように形成された少なくとも1つの隆起部をさらに備えている。
【0007】
上記容器において、前記隆起部は、薄板状に形成することができる。
【0008】
上記容器において、前記隆起部の隆起高さは、前記外周壁からの前記雄ネジの突出高さの10%以上とすることができる。
【0009】
上記容器においては、前記隆起部を2個設けることができ、2個の前記隆起部は、前記排出部の軸線を挟んで対向する位置に設けることができる。
【0010】
上記容器においては、前記排出部に取り付けられ、前記排出部から排出された内容物を前記排出部の径方向外方に排出させるための規制部材をさらに備えることができる。
【0011】
上記容器において、前記隆起部は、前記排出部の外周面に設けられる第1部位と、前記取付部の天壁に設けられる第2部位と、前記取付部の外周壁に設けられる第3部位と、を備えることができ、前記第3部位の隆起高さは、前記第1部位及び前記第2部位の隆起高さよりも小さくすることができる。
【0012】
本発明に係る吐出製品は、上述したいずれかの容器と、前記本体部に収容された前記内容物と、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、キャップの取付時に容器本体が変形するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吐出製品の正面図である。
【
図2】
図1の容器からキャップを取り外した状態を示す正面図である。
【
図4】取付部及び排出部の拡大正面図(a)及び平面図(b)である。
【
図5】規制部材の正面図(a)及び平面図(b)である。
【
図6】容器の使用方法を示す正面図(a)及び対象面側から見た図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る容器及び吐出製品の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る吐出製品の正面図、
図2は
図1の容器からキャップを取り外した状態を示す正面図、
図3は
図1の容器の分解図である。本実施形態に係る吐出製品100は、容器10と、この容器10に収容される内容物A(
図6参照)と、を備える。容器10は、内容物Aを収容する容器本体1と、この容器本体1に取り付けられ、内容物Aの排出方向を規定する規制部材2と、容器本体1に取り付けられるキャップ3と、を備えている。そして、後述するように使用時には、
図2に示すように、容器本体1からキャップ3を取り外して内容物Aを排出する。内容物Aは、例えば、トイレの便器を洗浄するためのゲル状の洗浄剤である。本実施形態に係る吐出製品100は、洗浄製品である。以下、各部材について説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜のため、
図1に示す方向にしたがって説明を行うが、本発明はこの方向に限定されるものではない。
【0016】
<1.容器本体>
容器本体1は、洗浄剤が収容される本体部11と、この本体部11の上部に取り付けられ、キャップ3が取り付けられる取付部12と、この取付部12の上端から上方に突出する排出部13と、を備え、これらが可撓性のある樹脂材料によって一体的に形成されている。そのような樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。
【0017】
本体部11は、複数の曲面を組み合わせた外面を有し、洗浄剤を収容する内部空間が形成されている。そして、この本体部11の上部には開口(図示省略)が形成されており、この開口から上方に延びるように取付部12が形成されている。
【0018】
取付部12は円筒状に形成された外周壁121と、この外周壁121の上部を塞ぐように設けられた円板状の天壁122とを備えている。外周壁121の外面には、雄ネジ123が形成されている。なお、取付部12の内壁面は、雄ネジ123が形成されている箇所においては、雄ネジ123に沿うように窪んでいる。
【0019】
そして、天壁122の中央には貫通孔(図示省略)が形成されており、この貫通孔から上方に延びるように筒状の排出部13が形成されている。したがって、本体部11、取付部12、及び排出部13の内部空間は連通しており、本体部11に収容された洗浄剤は、取付部12を介して排出部13から排出されるようになっている。排出部13の外周面には、環状の係合部131が形成されており、この係合部131は、上述した規制部材2に係合するように構成されている。
【0020】
図4は取付部及び排出部の拡大正面図(a)及び平面図(b)である。
図4に示すように、排出部13の外周面及び取付部12の天壁122、外周壁121に亘っては、2個の線状の隆起部4が形成されている。より詳細に説明すると、この隆起部4は、排出部13の外周面を上下方向に延びる第1部位41と、この第1部位41の下端から天壁122上をその外縁まで径方向外方に延びる第2部位42と、第2部位42の端部から外周壁121及び雄ネジ123に沿って下方に延びる第3部位43と、を備えている。
図5に示すように、2個の隆起部4は、排出部13の軸線Xを挟んで対向する箇所に形成されている。
【0021】
これら隆起部4は、特には取付部12の剛性を高めるために設けられており、隆起部4の第1部位41及び第2部位42の隆起高さは、例えば、0.13mm以上0.19mm以下とすることができる。また、雄ネジ123の外周壁121からの突出高さHを基準とすると、例えば、第1部位41及び第2部位42の隆起高さは、突出高さHの10%以上とすることができ、15%以上であることが好ましい。一方、隆起高さは、突出高さHの25%以下であることが好ましい。排出部13の先端部における外径Dを基準にすると、例えば、第1部位41及び第2部位42の隆起高さは、外径Dの1%以上とすることができ、1.5%以上であることが好ましい。一方、隆起高さは、外径Dの2.5%以下であることが好ましい。隆起部4の隆起高さは低すぎると、後述するように容器本体1の剛性が得られがたくなり、高すぎると、キャップ3が取り付けにくくなる。そのため、上記のような範囲することが好ましい。また、第3部位43の隆起高さは、第1部位41及び第2部位42の隆起高さよりも小さい。第3部位43の隆起高さは、例えば、0.03mm以上0.09mm以下とすることができる。これにより、容器10は、容器本体1の剛性を高くすることができ、且つキャップ3が取り付けにくくなることを抑制できる。すなわち、容器10は、容器本体1の剛性の向上と、キャップ3が取り付けやすさとを両立できる。なお、
図4以外は、隆起部4の一部を省略している。
【0022】
<2.規制部材>
図5は規制部材の正面図(a)及び平面図(b)である。
図5に示すように、規制部材2は、円筒状の本体部21と、この本体部21の上端から上方に突出する複数の突出部22とを備えている。本体部21の内部には、容器本体1の排出部13を収容する収容部(図示省略)が設けられ、この収容部に排出部13の係合部131が係合することで、規制部材2が容器本体1に固定されるようになっている。
【0023】
突出部22の個数は特には限定されないが、本実施形態では5個としている。そして、これら複数の突出部22は、本体部21の上端に沿って周方向に等間隔で配置されている。なお、規制部材2は、容器本体1と同様の材料で形成することができるが、異なる材料であってもよい。
【0024】
<3.キャップ>
図3に示すように、キャップ3は、上部が閉じ、下部が開口する円筒状の本体部31と、この本体部31の下端から径方向に突出するフランジ32と、備えている。本体部31の上部は半球状に形成されており、本体部31の内壁面には取付部12の雄ネジ123と螺合する雌ネジ(図示省略)が形成されている。なお、キャップ3は、容器本体1と同様の材料で形成することができるが、異なる材料であってもよい。
【0025】
<4.容器の製造方法>
容器本体1を製造する方法は特には限定されないが、例えば、ブロー成形により形成することができる。すなわち、パリソンを成形型内に供給した後、成形型内に空気を注入し、容器本体1を形成する。但し、この方法に限定されず、他の方法でよい。規制部材2及びキャップ3は射出成形などで形成することができる。そして、成形後の容器本体1に対し、規制部材2を取り付けた後、キャップ3を螺合させれば、
図1に示すように、容器が完成する。なお、洗浄剤は、キャップ3を取り付ける前であれば、いつでも容器本体1内に収容することができる。本体部11に洗浄剤を充填することによって、吐出製品100が完成する。また、ブロー成形の手法は特には限定されず、例えば、シャトル型のほか、ロータリー型など種々の手法を採用することができる。
【0026】
<5.容器の使用方法>
次に上記のように構成された容器の使用方法について、
図6を参照しつつ説明する。まず、
図6(a)に示すように、容器本体1からキャップ3を取り外した状態で、洗浄剤を塗布する対象面Sに対し、規制部材2の全ての突出部22を接触させる。この状態で、容器本体1の本体部11を押圧すると、本体部11が押しつぶされ、内部の洗浄剤Aが排出部13から排出する。このとき、排出部13から排出された洗浄剤Aは規制部材2の本体部21を通過して対象面Sに当たった後、隣接する突出部22の間から径方向外方へ、対象面Sに沿って排出される。その結果、排出された洗浄剤Aは、
図6(b)に示すように、花弁型の形状をなすように塗布される。
【0027】
<6.特徴>
本実施形態によれば、容器本体1の排出部13の外周面、取付部12の天壁122、及び外周壁121に亘って、線状の隆起部4が形成されているため、取付部12の剛性を強くすることができる。したがって、例えば、製造方法に起因して容器本体1の肉厚が薄くなった場合、組立時にキャップ3を取り付けるときに、容器本体1が変形するのを防止することができる。キャップ3は、取付時に容器本体1に対してねじりの力を及ぼすが、このような変形に対し、上下方向に延びる隆起部4によって容器本体1が変形するのを抑制することができる。
【0028】
<7.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0029】
<7-1>
隆起部4の形状は特には限定されず、概ね上下方向に延びる線状に形成されていればよい。また、バリのような薄板状であってもよい。したがって、製造時にバリが形成されるように調節することで、隆起部4を形成することもできる。その他、リブ状に形成されていてもよい。
【0030】
また、隆起部4は、容器本体1の排出部13の外周面及び取付部12の天壁122、外周壁121の全体に亘って設けられていなくてもよく、少なくとも排出部13の外周面及び取付部12の天壁122に形成されていればよい。また、排出部13の外周面及び取付部12の天壁122の全体に亘って隆起部4が設けられていなくてもよく、これらの一部に設けられていてもよい。
【0031】
隆起部4の数は特には限定されず、少なくとも1つ形成されていればよい。また、上記実施形態では、隆起部4は排出部13の軸線Xに沿うように上下方向に延びているが、多少であれば傾いてもよい。
【0032】
<7-2>
上記実施形態は、本発明に係る容器をトイレの便器を洗浄するための洗浄剤用の容器に適用したが、これに限定されるものではない。すなわち、容器本体1に収容される内容物の種類は、特には限定されず、例えば、薬剤、食品を挙げることができる。また、内容物の形態についても、特には限定されず、例えば、ゲル状、液状、粒状等の内容物とすることができる。
【0033】
上記のようにトイレの便器に内容物を塗布するという用途以外であれば、例えば、規制部材2を設けなくてもよい。また、本発明の容器は、内容物が収容されているもの、あるいは予め内容物が収容されているもののいずれも含む。
【0034】
<7-3>
本体部11、取付部12、排出部13、規制部材2、キャップ3の形状は特には限定されず、適宜変更が可能である。例えば、本体部は内容物が収容できればよく、必ずしも押込みによって内容物を排出できなくてもよい。取付部は、雄ネジが形成されていればよい。
【符号の説明】
【0035】
1 容器本体
11 本体部
12 取付部
121 外周壁
121 天壁
13 排出部
2 規制部材
3 キャップ
4 隆起部