(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
F21V 13/02 20060101AFI20241205BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20241205BHJP
H01L 33/56 20100101ALI20241205BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20241205BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20241205BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20241205BHJP
F21V 3/06 20180101ALI20241205BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241205BHJP
【FI】
F21V13/02 400
H01L33/60
H01L33/56
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V3/00 510
F21V3/02 500
F21V3/00 320
F21V3/06 110
F21V3/06 130
F21Y115:10 700
(21)【出願番号】P 2024019382
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2019207030の分割
【原出願日】2019-11-15
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】白▲瀬▼ 丈明
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-229703(JP,A)
【文献】特開2013-182730(JP,A)
【文献】国際公開第2013/111542(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 13/02
H01L 33/60
H01L 33/56
F21V 19/00
F21V 3/00
F21V 3/02
F21V 3/06
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面上に設けられ、光出射側面を有する発光素子と、
前記基板の前記表面上であり、前記発光素子の前記光出射側面の側方の領域に設けられる、第1透光性樹脂と前記第1透光性樹脂中に含まれる第1光反射材とを有する透光性部材と、
前記基板の前記表面上
に設けられ、前記透光性部材の周囲の少なくとも一部を囲み、第2透光性樹脂と前記第2透光性樹脂中に含まれる第2光反射材とを有する光反射部材と、
を備え、
前記第1透光性樹脂に対する前記第1光反射材の重量比は、前記第2透光性樹脂に対する前記第2光反射材の重量比よりも低い発光装置。
【請求項2】
前記第1透光性樹脂に対する前記第1光反射材の重量比は、0.1重量%以上2重量%以下である請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2透光性樹脂に対する前記第2光反射材の重量比は、5重量%以上40重量%以下である請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1透光性樹脂はシリコーン樹脂であり、前記第1光反射材は酸化チタンである請求項1~3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
前記第2透光性樹脂はシリコーン樹脂であり、前記第2光反射材は酸化チタンである請求項1~4のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
前記光反射部材は、前記発光素子の上面を覆っている請求項1~5のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
前記透光性部材は、透光性フィラーをさらに含む請求項1~6のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項8】
前記透光性部材が少なくとも2層の構造で形成されている請求項1~7のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1透光性樹脂の厚さ方向、または前記透光性部材の面方向において、前記第1透光性樹脂中の前記第1光反射材の濃度は勾配をもつ請求項1~8のいずれか1つに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば道路灯などの屋外灯では、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置に、レンズ(2次レンズ)やリフレクタを組み合わせて道路側を照らすように配光が制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一態様は、発光装置自体の構造で配光制御可能な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、発光装置は、基板と、前記基板の表面上に設けられ、光出射側面を有する発光素子と、前記基板の前記表面上であり、前記発光素子の前記光出射側面の側方の領域に設けられる、第1透光性樹脂と前記第1透光性樹脂中に含まれる第1光反射材とを有する透光性部材と、前記基板の前記表面上であり、前記透光性部材の周囲の少なくとも一部を囲み、第2透光性樹脂と前記第2透光性樹脂中に含まれる第2光反射材とを有する光反射部材と、を備え、前記第1透光性樹脂に対する前記第1光反射材の重量比は、前記第2透光性樹脂に対する前記第2光反射材の重量比よりも低い。
本発明の一態様によれば、発光装置の製造方法は、基板の表面上に、光出射側面を有する発光素子を配置する工程と、前記基板の前記表面上であり、前記発光素子の前記光出射側面の側方の領域に、前記発光素子の前記光出射面を覆うように、第1光反射材を含み流動性を有する第1透光性樹脂を供給する工程と、前記第1透光性樹脂を硬化し、透光性部材を形成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、発光装置自体の構造で配光制御可能な発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明の第1実施形態の発光装置の模式上面図である。
【
図2】本発明の実施形態の発光装置の指向光度特性図である。
【
図3A】本発明の第1実施形態の発光装置の製造方法を示す模式上面図である。
【
図3B】本発明の第1実施形態の発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
【
図4A】本発明の第1実施形態の発光装置の製造方法を示す模式上面図である。
【
図4B】本発明の第1実施形態の発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
【
図5A】本発明の第2実施形態の発光装置の模式断面図である。
【
図5B】本発明の第3実施形態の発光装置の模式断面図である。
【
図6A】本発明の第4実施形態の発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
【
図6B】本発明の第4実施形態の発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
【
図7】本発明の第5実施形態の発光装置の模式断面図である。
【
図8A】本発明の第6実施形態の発光装置の模式上面図である。
【
図9】本発明の第7実施形態の発光装置の模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
【0009】
実施形態によれば、発光装置は、基板と、前記基板の表面上に設けられ、光出射側面を有する発光素子と、前記基板の前記表面上であり、前記発光素子の前記光出射側面の側方の領域に設けられる、第1透光性樹脂と前記第1透光性樹脂中に含まれる第1光反射材とを有する透光性部材と、を備える。前記透光性部材の上面から出射する光は、前記基板の前記表面に垂直な軸からずれた角度に光度ピークをもつ。
実施形態によれば、発光装置は、基板と、前記基板の表面上に設けられ、光出射側面を有する発光素子と、前記基板の前記表面上であり、前記発光素子の前記光出射側面の側方の領域に設けられる、第1透光性樹脂と前記第1透光性樹脂中に含まれる第1光反射材とを有する透光性部材と、前記基板の前記表面上であり、前記透光性部材の周囲の少なくとも一部を囲み、第2透光性樹脂と前記第2透光性樹脂中に含まれる第2光反射材とを有する光反射部材と、を備える。前記第1透光性樹脂に対する前記第1光反射材の重量比は、前記第2透光性樹脂に対する前記第2光反射材の重量比よりも低い。
【0010】
<第1実施形態>
図1Aは、本発明の第1実施形態の発光装置1の模式上面図である。
図1Bは、
図1AのA-A線における模式断面図である。
【0011】
発光装置1は、基板10と、発光素子20と、透光性部材30と、光反射部材40とを備える。
【0012】
(基板)
基板10は、絶縁基板であり、樹脂基板またはセラミック基板である。基板10の表面11には例えば白色樹脂膜が形成され、基板10の表面11は発光素子20が発する光に対する反射性を有する。なお、
図1Aにおいて、基板10の表面11に平行な方向であって、互いに直交する2方向をX方向およびY方向とする。
【0013】
(発光素子)
発光素子20は、基板10の表面11上に設けられている。例えば、発光素子20は、発光層(または活性層)を含む発光部25と、発光部25を実装する台座27と、波長変換部26とを有する。
【0014】
発光部25は、例えば、InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、X+Y≦1)からなる半導体積層体を含み、青色光を発光することができる。発光部25は、青色以外の光を発光してもよい。
【0015】
波長変換部26は、発光部25が発する光によって励起され、発光部25が発する光の波長とは異なる波長の光を発する蛍光体を含む。波長変換部26における蛍光体は、樹脂に覆われていてもよい。波長変換部26は、なくてもよい。
【0016】
発光素子20は、基板10の表面11に対して非平行な光出射側面21を有する。
図1Bには、光出射側面21が基板10の表面11に垂直な例を示すが、光出射側面21は基板10の表面11に対して傾いていてもよい。
【0017】
発光部25の(半導体積層体の)主発光面は、光出射側面21に向いている。波長変換部26は、発光部25の主発光面と、光出射側面21との間に設けられている。または、発光部25の半導体積層体が基板10の表面11に平行な方向に広がり、その側面(または端部)から出射する光が光出射側面21を通じて発光素子20の外部に出射される構成であってもよい。
【0018】
発光部25および波長変換部26における、光出射側面21に向き合う面以外の部分は台座27に覆われている。台座27は光反射性または遮光性を有し、発光素子20における光出射側面21以外の面からの光の漏れが抑制されている。
【0019】
発光素子20は、基板10の表面11に形成された導電部材(パッドや配線)と電気的に接続され、その導電部材を通じて発光部25に電力が供給され、発光部25が発光する。
【0020】
(透光性部材)
透光性部材30は、基板10の表面11上であり、発光素子20の光出射側面21の側方の領域50に設けられ、発光素子20の光出射側面21を覆っている。光出射側面21の側方の領域50とは、光出射側面21の真横の領域に限らず、光出射側面21から出射した光が入射可能な領域であり、X方向の幅が光出射側面21のX方向の幅よりも大きい領域も「光出射側面の側方の領域」に含まれる。
【0021】
図1Aに示すように、透光性部材30は、例えば4つの辺部34、35、36、37を有する。辺部34および辺部35は、X方向に平行な部分を含み、辺部34は辺部35よりもY方向において発光素子20に近い側に位置し、辺部35は辺部34からY方向に離間し、辺部34よりも発光素子20から遠い側に位置する。辺部36および辺部37は、X方向に互いに離間し、Y方向に平行な部分を含む。
【0022】
透光性部材30は、第1透光性樹脂31と、第1透光性樹脂31中に含まれる第1光反射材32とを有する。第1光反射材32は粒子状(または粉状)であり、第1透光性樹脂31中に分散されている。第1透光性樹脂31は、発光素子20が発する光に対する透光性を有し、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂である。特に、第1透光性樹脂31としては、耐光性および耐熱性に優れたシリコーン樹脂が望ましい。第1光反射材32は、発光素子20が発する光に対する反射性を有し、例えば、酸化チタンである。第1光反射材32の大きさとしては、30μm以下が好ましく、さらに800nm以下が好ましく、特に400nm以下が好ましい。これは、分散性と反射性の両方を満たすからである。第1光反射材32の大きさは、250nm以下、150nm以下、45nm以下の小粒径とすることもできる。第1光反射材32の大きさを小粒径にすることで、第1光反射材32を含んだ状態の第1透光性樹脂31の透光性を高め、光束を高く維持することができるからである。
【0023】
第1透光性樹脂31に対する第1光反射材32の重量比は、光束を低下させないために低い方が好ましく、例えば、0.1重量%以上2重量%以下であり、さらに1重量%以下がより好ましい。透光性部材30は、さらに透光性フィラーを含むことができる。透光性フィラーは、発光素子20が発する光に対する反射率が第1光反射材32よりも低く、例えば、ガラスフィラー、シリカフィラーである。
【0024】
第1光反射材32よりもサイズが小さい透光性フィラーが、第1透光性樹脂31中において第1光反射材32よりも多く含まれ、第1光反射材32が沈み込もうとするところに既に透光性フィラーが存在する。このような透光性フィラーは第1光反射材32の沈降抑制材として機能し、第1光反射材32が第1透光性樹脂31の下方に偏在することが抑制される。すなわち、第1光反射材32を、第1透光性樹脂31中の厚さ方向において偏り無く分散させることができる。
【0025】
透光性部材30における第1透光性樹脂31と第1光反射材32と透光性フィラーとの重量比は、例えば、第1透光性樹脂31:第1光反射材32:透光性フィラー=100:0.5:10である。
【0026】
(光反射部材)
光反射部材40は、基板10の表面11上であり、透光性部材30の周囲の少なくとも一部を囲む。
図1Aに示す例では、光反射部材40は、透光性部材30の3つの辺部35、36、37を連続して囲み、さらに辺部34の一部(発光素子20のX方向における両側の部分)を囲んでいる。
【0027】
光反射部材40は、第2透光性樹脂41と、第2透光性樹脂41中に含まれる第2光反射材42とを有する。第2光反射材42は粒子状(または粉状)であり、第2透光性樹脂41中に分散されている。第2透光性樹脂41は、発光素子20が発する光に対する透光性を有し、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂である。特に、第2透光性樹脂41としては、耐光性および耐熱性に優れたシリコーン樹脂が望ましい。第2光反射材42は、発光素子20が発する光に対する反射性を有し、例えば、酸化チタンである。さらに、光反射部材40は、透光性フィラー、例えば、ガラスフィラー、シリカフィラーを含むことができる。透光性フィラーは、粘度調整をすることができる。
【0028】
第2透光性樹脂41に対する第2光反射材42の重量比は、例えば、5重量%以上40重量%以下であり、10重量%以上がさらに好ましく、特に25重量%以下が好ましい。第1透光性樹脂31に対する第1光反射材32の重量比は、第2透光性樹脂41に対する第2光反射材42の重量比よりも低い。すなわち、発光素子20が発する光に対して、光反射部材40における反射率は透光性部材30における反射率よりも高い。
【0029】
発光素子20の光出射側面21から出射した光は、透光性部材30に入射し、透光性部材30中の第1光反射材32によって散乱され、すなわち拡散反射され、透光性部材30の上面33から外部に出射する。透光性部材30に入射し、下方に向かった光は基板10の表面11で反射され、下方への光の漏れが抑制される。透光性部材30に入射し、透光性部材30の周囲に向かった光は光反射部材40で反射され、透光性部材30の周囲からの光の漏れが抑制される。
【0030】
ただし、光反射部材40は、透光性部材30の大きさを大きくすることや第1光反射材32の含有量を多くすることで、光反射部材40に到達する光量を減らすことができるため、光反射部材40をなくすこともできる。
【0031】
第1透光性樹脂31に対する第1光反射材32の重量比を適切に(例えば、0.1重量%以上2重量%以下に)制御することで、透光性部材30の上面33から出射する光の配光を制御することができる。
【0032】
図2は、発光装置1のY方向に沿った指向光度特性図である。横軸の指向角においては、透光性部材30の上面33の中心を基板10の表面11に垂直な軸上から見たときを0°としている。90°は、基板10の表面11に垂直な軸から
図1Bにおける右方に90°変位した軸上から見たときの角度を表す。-90°は、基板10の表面11に垂直な軸から
図1Bにおける左方に90°変位した軸上から見たときの角度を表す。縦軸は、ピークを1としたときの相対光度を表す。
【0033】
本実施形態の発光装置1において透光性部材30の上面33から出射する光は、基板10の表面11に垂直な軸からずれた角度に光度ピークをもつ。すなわち、透光性部材30の上面33を、基板10の表面11に垂直な方向に対して斜め方向から見たときに最も明るく見える。
図2に示す例では、基板10の表面11に垂直な軸から、
図1Bにおける右方に傾いた軸上から見たときに最も明るく見える。
【0034】
このような配光特性をもつ実施形態の発光装置1は、例えば、住宅地などに対する光の漏れを抑えつつ、道路を照明する街路灯などの照明機器に用いることができる。
【0035】
また、実施形態によれば、発光装置1自体で配光制御されている。そのため、発光装置1とは別に備えられる2次レンズやリフレクタを小型化することや、それらの部品数を削減することが可能になる。また、用途によっては、2次レンズやリフレクタを不要にすることも可能である。したがって、そのような発光装置1を搭載した照明機器の小型化、構成の簡略化、部品数の削減が可能になる。
【0036】
次に、実施形態の発光装置1の製造方法について説明する。
【0037】
図3Aは
図1Aと同様の模式上面図であり、
図3Bは
図1Bと同様の模式断面図である。
図3Aおよび
図3Bに示すように、まず、基板10の表面11上に発光素子20を配置する。発光素子20は、その光出射側面21が基板10の表面11に対して垂直または傾いた姿勢をとる。
【0038】
図4Aは
図3Aの工程に続く工程を示す模式上面図であり、
図4Bは
図3Bの工程に続く工程を示す模式断面図である。発光素子20を基板10の表面11上に配置する工程の後、
図4Aおよび
図4Bに示すように、基板10の表面11上に、発光素子20の光出射側面21の側方の領域50を囲むように、第2光反射材42を含む第2透光性樹脂41を供給する。
【0039】
このとき、第2透光性樹脂41は流動性を有する。例えば、液状またはペースト状の未硬化の第2透光性樹脂41が、領域50を囲むように描画される。領域50は、発光素子20および第2透光性樹脂41によって囲まれる。第2透光性樹脂41中の第2光反射材42は、分散させたまま硬化してもよいし、自然沈降をさせてから硬化してもよい。
【0040】
第2光反射材42を含む第2透光性樹脂41で領域50を囲んだ後、その領域50の基板10の表面11上に、
図1Aおよび
図1Bに示すように、第1光反射材32を含む第1透光性樹脂31を供給する。
【0041】
このとき、第1透光性樹脂31は流動性を有する。液状またはペースト状の未硬化の第1透光性樹脂31が、発光素子20の光出射側面21を覆うように、領域50にポッティングされる。領域50を囲む枠状に形成された第2透光性樹脂41は、基板10の表面11上における第1透光性樹脂31の広がり(形成位置)を制限する。
【0042】
第2透光性樹脂41の粘度を調整することで、枠の太さや高さを変えることができる。また、第1透光性樹脂31の粘度を高くすることで、第1透光性樹脂31の流れ出しを抑制できるため、光反射部材40を設けなくてもよい。
【0043】
第1透光性樹脂31中の第1光反射材32は、分散または自然沈降させる。
【0044】
なお、透光性フィラーのような沈降抑制を用いなくても、第1透光性樹脂31の粘度、第1光反射部材32の粒径、材質、密度などの制御により、第1光反射材32の沈降を抑制することが可能である。
【0045】
基板10の表面11上に第1透光性樹脂31と第2透光性樹脂41とを供給した後、第1透光性樹脂31と第2透光性樹脂41とに熱を加えてそれぞれを硬化させる。例えば、第1透光性樹脂31と第2透光性樹脂41とは、基板10の表面上で同時に硬化させる。同時に硬化させることで、樹脂同士の界面がなくなり、光反射部材40と透光性部材30の密着性を良くすることができる。または、先に基板10の表面11上に供給された第2透光性樹脂41を先に硬化してから、未硬化の流動性を有する第1透光性樹脂31を領域50に供給し、硬化させてもよい。
【0046】
第1透光性樹脂31が硬化し、第1透光性樹脂31中に第1光反射材32を含む透光性部材30が形成される。第2透光性樹脂41が硬化し、第2透光性樹脂41中に第2光反射材42を含む光反射部材40が形成される。
【0047】
図5Aは、第2実施形態の発光装置2の、
図1Bと同様の模式断面図である。
図5Bは、第3実施形態の発光装置3の、
図1Bと同様の模式断面図である。
【0048】
第1透光性樹脂31を基板10の表面11上に供給するときや硬化させる際の材料やプロセス条件の制御により、透光性部材30の上面33が曲面を有する構成にすることができる。
【0049】
図5Aは、透光性部材30の上面33に凹状の曲面が形成された例を示す。
図5Bは、透光性部材30の上面33に凸状の曲面が形成された例を示す。
【0050】
発光装置2、3における光出射面である透光性部材30の上面33が曲面を有することで、光束を収束または発散させる効果が得られ、所望の配光に制御することができる。
【0051】
図6Bは、第4実施形態の発光装置4の、
図1Bと同様の模式断面図である。
【0052】
この発光装置4における透光性部材130は、少なくとも2層の構造で形成されている。この透光性部材130を形成する工程は、第1光反射材を含む透光性樹脂を2段階に分けて基板10の表面11上に供給する工程を有する。
【0053】
まず、第1光反射材32を含む透光性樹脂を領域50における基板10の表面11上に供給し、第1光反射材32を基板10の表面11上に遠心沈降させる。第1光反射材32は基板10の表面11を覆うように偏在し、
図6Aに示すように、領域50における基板10の表面11上に反射層61が形成される。あらかじめ、基板10の表面11に白色樹脂膜を形成しておかなくてもよい。
【0054】
反射層61を形成した後、反射層61よりも低い濃度で第1光反射材32を含み、かつ反射層61を形成するときよりも量が多い第1透光性樹脂31を領域50における反射層61上に供給し、反射層61を覆う。この後、反射層61を形成する透光性樹脂および反射層61上の第1透光性樹脂31を硬化させる。反射層61上の第1透光性樹脂31中の第1光反射材32の濃度は、反射層61中の第1光反射材32の濃度よりも低い。
【0055】
発光装置4における透光性部材130は、第1光反射材32の濃度が異なる少なくとも2層構造で形成されている。または、反射層61上の第1透光性樹脂31の厚さ方向において、第1光反射材32の濃度に勾配をもたせてもよい。または、反射層61上に、第1光反射材32の濃度が異なる複数の第1透光性樹脂31を複数段階に分けて形成してもよい。
【0056】
また、透光性部材30の面方向に第1光反射材32の濃度勾配をもたせてもよい。例えば、
図1Bにおいて、発光素子20に相対的に近い領域の第1光反射材32の濃度を、その領域よりも発光素子20に相対的に遠い領域の第1光反射材32の濃度よりも高くすることで、
図2に示す光度ピークを負の指向角側にシフトさせることができる。逆に、
図1Bにおいて、発光素子20に相対的に近い領域の第1光反射材32の濃度を、その領域よりも発光素子20に相対的に遠い領域の第1光反射材32の濃度よりも低くすることで、
図2に示す光度ピークを正の指向角側にシフトさせることができる。
【0057】
図7は、第5実施形態の発光装置5の、
図1Bと同様の模式断面図である。
【0058】
この発光装置5は、発光素子20の上面を覆う光反射部材71をさらに備える。光反射部材71は、発光素子20が発する光に対する反射性を有する。例えば、発光素子20の上面側の台座27の厚さが薄い場合においても、光反射部材71によって発光素子20の上面からの光の漏れを確実に抑制することができる。
【0059】
光反射部材71は、例えば、光反射材を含む白色樹脂である。または、光反射部材71として金属を用いると、ヒートシンクとしても機能させることができる。
【0060】
図8Aは、第6実施形態の発光装置6の模式上面図である。
図8Bは、
図8AのB-B線における模式断面図である。
【0061】
この発光装置6は、複数(この例では3つ)の発光素子20を有する。複数の発光素子20は、X方向に互いに離間して配列されている。また、この例では、発光素子20の上面を、透光性部材30を囲む光反射部材40で覆っている。
【0062】
それぞれの発光素子20の光出射側面21は光反射部材40で覆われず、光出射側面21から出射した光は、透光性部材30に入射可能となっている。光反射部材40は、発光素子20間にも設けられ、発光素子20の光出射側面21以外の側面(Y方向に沿った側面)を覆っている。発光素子20の上面、および光出射側面21以外の側面が光反射部材40で覆われているため、発光素子20の上面、および光出射側面21以外の側面からの光の漏れが抑制される。
【0063】
例えば、基板10の表面11上に複数の発光素子20を配置した後、第2光反射材42を含む第2透光性樹脂41で領域50を囲むとともに、複数の発光素子20の上面および側面(光出射側面21以外の側面)を覆うように連続して枠状に形成することで、
図8Aおよび
図8Bに示す構成を得ることができる。
【0064】
図9は、第7実施形態の発光装置7の模式上面図である。
【0065】
複数の発光素子20を配置した場合において、透光性部材30を囲む光反射部材40とは別に、光反射部材(例えば白色樹脂)72を複数の発光素子20の間に設けてもよい。
【0066】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0067】
1~7…発光装置、10…基板、20…発光素子、21…光出射側面、25…発光部、26…波長変換部、30…透光性部材、31…第1透光性樹脂、32…第1光反射材、40…光反射部材、41…第2透光性樹脂、42…第2光反射材、61…反射層、71…光反射部材、72…光反射部材