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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241205BHJP
   B41J 29/17 20060101ALI20241205BHJP
   B65H 5/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G03G21/00 370
B41J29/17
B65H5/00 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020138675
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2022034798
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄大
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-143648(JP,A)
【文献】特開2008-310272(JP,A)
【文献】特開2006-058792(JP,A)
【文献】特開2014-235285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路を通過するシートに対向する基準位置に設置されて、当該搬送経路の一部を構成する搬送ガイド板と、
前記搬送ガイド板を、前記基準位置と、前記搬送経路を通過するシートに接触可能又は近接可能な特定位置と、の間を移動させる移動機構と、
前記搬送ガイド板に対して上流側に設置されて、前記搬送経路においてシートに接触可能な上流側部材と、
を備え、
前記移動機構によって前記搬送ガイド板を前記基準位置から前記特定位置に移動させた状態で、前記搬送経路でシートを搬送させて前記搬送ガイド板に付着した付着物を清掃する清掃モードが実行可能に構成され、
前記清掃モードが実行されるときに、前記搬送ガイド板に付着する付着物の極性とは異なる極性の電圧を、前記上流側部材を介して前記搬送経路を搬送されるシートに印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記上流側部材は、像担持体との間に転写ニップを形成する転写ローラと、前記転写ニップの下流側に設置された除電部材と、のうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
搬送経路を通過するシートに対向する基準位置に設置されて、当該搬送経路の一部を構成する搬送ガイド板と、
前記搬送ガイド板を、前記基準位置と、前記搬送経路を通過するシートに接触可能又は近接可能な特定位置と、の間を移動させる移動機構と、
を備え、
前記移動機構によって前記搬送ガイド板を前記基準位置から前記特定位置に移動させた状態で、前記搬送経路でシートを搬送させて前記搬送ガイド板に付着した付着物を清掃する清掃モードが実行可能に構成され、
前記清掃モードが実行されるときに、前記搬送ガイド板に付着する付着物の極性と同じ極性の電圧を、前記搬送ガイド板に印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
搬送経路を通過するシートに対向する基準位置に設置されて、当該搬送経路の一部を構成する搬送ガイド板と、
前記搬送ガイド板を、前記基準位置と、前記搬送経路を通過するシートに接触可能又は近接可能な特定位置と、の間を移動させる移動機構と、
前記搬送ガイド板と前記搬送経路を搬送されるシートとの距離を検知する検知手段と、
を備え、
前記移動機構によって前記搬送ガイド板を前記基準位置から前記特定位置に移動させた状態で、前記搬送経路でシートを搬送させて前記搬送ガイド板に付着した付着物を清掃する清掃モードが実行可能に構成され、
前記移動機構は、前記清掃モードが実行されるときに、前記検知手段の検知結果に基づいて前記搬送ガイド板が前記搬送経路を搬送されるシートに接触しないように前記特定位置を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
搬送経路を通過するシートに対向する基準位置に設置されて、当該搬送経路の一部を構成する搬送ガイド板と、
前記搬送ガイド板を、前記基準位置と、前記搬送経路を通過するシートに接触可能又は近接可能な特定位置と、の間を移動させる移動機構と、
前記搬送ガイド板と前記搬送経路を通過するシートとの距離を検知する検知手段と、
を備え、
前記移動機構によって前記搬送ガイド板を前記基準位置から前記特定位置に移動させた状態で、前記搬送経路でシートを搬送させて前記搬送ガイド板に付着した付着物を清掃する清掃モードが実行可能に構成され、
前記移動機構は、前記清掃モードが実行されるときに、前記搬送経路を搬送されるシートの先端が前記搬送ガイド板に接触した後に前記検知手段の検知結果に基づいて前記搬送ガイド板が当該シートに接触しないように前記特定位置を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
搬送経路を通過するシートに対向する基準位置に設置されて、当該搬送経路の一部を構成する搬送ガイド板と、
前記搬送ガイド板を、前記基準位置と、前記搬送経路を通過するシートに接触可能又は近接可能な特定位置と、の間を移動させる移動機構と、
を備え、
前記移動機構によって前記搬送ガイド板を前記基準位置から前記特定位置に移動させた状態で、前記搬送経路でシートを搬送させて前記搬送ガイド板に付着した付着物を清掃する清掃モードが実行可能に構成され、
前記搬送ガイド板の幅方向両端部にそれぞれ設置されて、前記清掃モードが実行されるときに、前記搬送ガイド板に対して前記搬送経路を搬送されるシートに近づく方向に移動して当該シートに接触する可動ガイド部材を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
搬送経路を通過するシートに対向する基準位置に設置されて、当該搬送経路の一部を構成する搬送ガイド板と、
前記搬送ガイド板を、前記基準位置と、前記搬送経路を通過するシートに接触可能又は近接可能な特定位置と、の間を移動させる移動機構と、
を備え、
前記移動機構によって前記搬送ガイド板を前記基準位置から前記特定位置に移動させた状態で、前記搬送経路でシートを搬送させて前記搬送ガイド板に付着した付着物を清掃する清掃モードが実行可能に構成され、
前記清掃モードが実行されるときに、
前記搬送ガイド板は、前記搬送経路を搬送されるシートに摺接することにより、前記搬送ガイド板に付着する付着物の極性と同じ極性に摩擦帯電し、
前記シートは、前記搬送ガイド板に摺接することにより、前記搬送ガイド板に付着する付着物の極性と異なる極性に摩擦帯電することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記清掃モードが実行されるときに、前記搬送経路において同じシートを正逆方向の交互に搬送することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記搬送経路を通過したシートを再び前記搬送経路に導く別の搬送経路を備え、
前記清掃モードが実行されるときに、前記搬送経路において同じシートを前記別の搬送経路を経由して繰り返し搬送することを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記搬送経路において前記搬送ガイド板に対して上流側に設置されて、シートを搬送する上流側搬送部と、
前記搬送経路において前記搬送ガイド板に対して下流側に設置されて、シートを搬送する下流側搬送部と、
を備え、
前記清掃モードが実行されるときに、通常の画像形成時に比べて、前記上流側搬送部によるシートの搬送速度を増速するか、前記下流側搬送部によるシートの搬送速度を減速するか、前記上流側搬送部によるシートの搬送速度を増速するとともに前記下流側搬送部によるシートの搬送速度を減速するか、することを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記搬送経路は、像担持体の表面に形成されたトナー像をシートに転写する転写部から、当該シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる定着部に至る搬送経路であることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記清掃モードは、通常の画像形成がおこなわれるタイミングとは異なる非画像形成時のタイミングで実行されることを特徴とする請求項1~請求項11のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、転写部から定着部に至る搬送経路に設置された搬送ガイド板などの部材に付着したトナーを清掃する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における画像形成装置は、搬送経路においてシート状のクリーニング部材を逆方向に搬送させた後に正方向に搬送させることによって、搬送経路に設置された部材を清掃している。
また、特許文献2における画像形成装置は、搬送経路においてシートを撓ませた状態で搬送して、搬送経路に設置された部材に接触させることで、その部材を清掃している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、搬送経路を通過するシートに対向する対向部材に、トナーなどの付着物が付着してしまった場合に、その付着物を充分に清掃できなかった。そのため、対向部材に付着した付着物がシートに付着して、シートが汚れてしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、搬送経路を通過するシートに対向する対向部材に付着した付着物を、充分に清掃することができる、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における画像形成装置は、搬送経路を通過するシートに対向する基準位置に設置されて、当該搬送経路の一部を構成する搬送ガイド板と、前記搬送ガイド板を、前記基準位置と、前記搬送経路を通過するシートに接触可能又は近接可能な特定位置と、の間を移動させる移動機構と、前記搬送ガイド板に対して上流側に設置されて、前記搬送経路においてシートに接触可能な上流側部材と、を備え、前記移動機構によって前記搬送ガイド板を前記基準位置から前記特定位置に移動させた状態で、前記搬送経路でシートを搬送させて前記搬送ガイド板に付着した付着物を清掃する清掃モードが実行可能に構成され、前記清掃モードが実行されるときに、前記搬送ガイド板に付着する付着物の極性とは異なる極性の電圧を、前記上流側部材を介して前記搬送経路を搬送されるシートに印加するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送経路を通過するシートに対向する対向部材に付着した付着物を、充分に清掃することができる、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】画像形成装置の要部における、(A)通常印刷時の動作を示す図と、(B)清掃モード時の動作を示す図と、である。
図3】変形例1としての、画像形成装置の要部における清掃モード時の動作を示す図である。
図4】変形例2としての、画像形成装置の要部における清掃モード時の動作を示す図である。
図5】変形例3としての、画像形成装置の制御を示すフローチャートである。
図6】変形例4としての、画像形成装置の要部を示す図である。
図7図6の画像形成装置でおこなわれる清掃モード時の制御を示すフローチャートである。
図8図6の画像形成装置でおこなわれる清掃モード時の別形態の制御を示すフローチャートである。
図9】変形例5としての、搬送ガイド板の、(A)通常印刷時の動作を示す図と、(B)清掃モード時の動作を示す図と、である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、本実施の形態における画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78(像担持体)に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
画像形成装置本体1の下方には、用紙等のシートPが複数枚重ねて収納された給紙部12(給紙カセット)が設置されている。
また、画像形成装置本体1の右上方には、シートPをスタック部100に向けて搬送(排紙)したり、シートPを反転(スイッチバック)させて両面搬送経路K5に向けて搬送したりするための搬送部が設けられている。
【0011】
各作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kが配設されている。また、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ、帯電部75、現像装置76、クリーニング装置77、除電部(不図示)、等が配設されている。そして、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面に各色の画像が形成されることになる。
【0012】
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、メインモータによって図1の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部75の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3(書込み部)から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0013】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像装置76との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写ローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置(1次転写ニップ)に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0014】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング装置77との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング装置77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0015】
その後、現像工程を経て各感光体ドラムの表面に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト78の表面に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト78の表面にカラー画像が形成される。
ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写ローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写対向ローラ82、クリーニング対向ローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング装置80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82~84によって張架・支持されるとともに、メインモータに連結された1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
【0016】
4つの1次転写ローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ79Y、79M、79C、79Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写ローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78の表面に重ねて1次転写される(1次転写工程である。)。
【0017】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト78は、転写部としての2次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ82が、2次転写ローラ89(転写装置)との間に中間転写ベルト78を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送されたシートP上に転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト78には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング装置80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0018】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体1の下方に配設された給紙部12から、第1搬送経路K1を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部12には、転写紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ31が図1中の反時計方向に回転駆動されると、給紙ローラ31とフリクションパッド32との間に挟まれた一番上のシートPが、第1搬送経路K1を形成するガイド板に案内されながら、レジストローラ対33(タイミングローラ対)のローラ間に向けて給送される。
【0019】
レジストローラ対33(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対33のローラニップ(ニップ部)の位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対33が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップ(転写部)に向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0020】
その後、2次転写ニップ(画像形成部)の位置でカラー画像が転写されたシートPは、搬送ガイド板50(対向部材)に案内されながら定着部としての定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置(定着部材としての定着ベルト21と加圧部材としての加圧ローラ22とが圧接して形成された定着ニップである。)で、熱と圧力とにより、表面に担持されたトナー像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
ここで、本実施の形態では、定着部材として定着ベルトを用いたが、定着部材として定着ローラや定着フィルムなどを用いることもできる。また、本実施の形態では、加圧部材として加圧ローラを用いたが、加圧部材として加圧ベルトや加圧パッドなどを用いることもできる。
また、本実施の形態では、2次転写ニップと搬送ガイド板50との間であって、シートPの非転写面に対向する位置に、除電部材60(図2(A)参照)が設置されている。この除電部材60は、2次転写工程後のシートPに蓄積された電荷を除去(除電)するためのものである。これにより、2次転写工程後のシートPが搬送ガイド板50に静電的に吸着してしまう不具合などを軽減することができる。
【0021】
そして、定着工程後のシートPは、搬送ローラ対によって搬送されながら分岐爪(不図示)によって排紙搬送経路K2に案内されて、排紙ローラ対41によって、装置外へと排出される。排紙ローラ対41によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0022】
ここで、上述した給紙部12からスタック部100に至るシートP(又は、画像形成装置1)の動作は、片面印刷モード(シートPのオモテ面のみに画像を形成するモードである。)が選択されている場合のものである。
なお、片面印刷モード時(又は、両面印刷モード時において両面への印刷が終了した後のシートPをスタック部100に排出するとき)には、排紙搬送経路K2を開放して中継搬送経路K3を閉鎖するように、不図示の分岐爪が回動することになる。
【0023】
これに対して、両面印刷モード(シートPのオモテ面とウラ面とにそれぞれ画像を形成するモードである。)が選択されている場合には、以下のようにシートP(又は、画像形成装置1)が動作することになる。
給紙部12から給送されたシートPが、第1搬送経路K1、2次転写ニップを経由して定着装置20に達するまでの工程は、片面印刷モード時のものと同様である。そして、定着工程後のシートP(オモテ面に画像が形成された状態のものである。)は、中継搬送経路K3を経由してスイッチバック搬送経路K4に案内される。このとき、排紙搬送経路K2を閉鎖して中継搬送経路K3を開放するように分岐爪(不図示)が回動することになる。
そして、スイッチバック搬送経路K4において、シートPの後端部(搬送方向の後端部である。)がスイッチバックローラ42のニップ部に達すると(シートPの後端部が中継搬送経路K3と両面搬送経路K5との分岐点を通過すると)、スイッチバックローラ42の回転駆動を一時的に停止させる。このとき、シートP(オモテ面に対して定着工程が施された後のシートPである。)は、スイッチバックローラ42によって後端部が保持された状態で、先端部の側が露呈部として装置の外部(スタック部100の上方の位置である。)に露呈した状態になる。
その後、スイッチバックローラ42を逆方向に回転駆動することで、シートPの搬送方向を逆転させて、両面搬送経路K5に向けてシートPを搬送する。このとき、中継搬送経路K3を閉鎖して排紙搬送経路K2(及び、両面搬送経路K5)を開放するように分岐爪(不図示)が回動する。
【0024】
その後、図1を参照して、両面搬送経路K5に導かれたシートPは、両面搬送経路K5に設置された複数の搬送ローラ対46、47によって搬送されて、2次転写ニップの位置に導かれる。そして、シートPは、この位置で、オモテ面への2次転写工程時と同じように、ウラ面への2次転写工程がおこなわれて、その後に定着装置20に向けて搬送されて、ウラ面への定着工程がおこなわれる。
そして、定着工程後のシートP(両面への印刷が終了した後のシートPである。)は、先に説明したように、排紙搬送経路K2を経て排紙ローラ対41のニップ部に導かれて、排紙ローラ対41によって装置外へと排出されて、スタック部100上に順次スタックされる。
【0025】
以下、図2にて、本実施の形態の画像形成装置1における特徴的な構成・動作について詳述する。
図2に示すように、2次転写ローラ89(像担持体としての中間転写ベルト78の表面に形成されたトナー像をシートPに転写する転写部である。)から、そのシートPに転写されたトナー像をシートPに定着させる定着装置20(定着部)に至る搬送経路には、対向部材としての搬送ガイド板50が設置されている。対向部材としての搬送ガイド板50は、搬送経路を構成する複数の構成部材のうちの1つであって、搬送経路を通過するシートPに対向する基準位置(図2(A)に示す位置である。)に設置されている。
【0026】
この搬送ガイド板50は、図2(A)に示すように、先に図1を用いて説明したような通常の画像形成(印刷)がおこなわれるときに、2次転写ニップから定着ニップに向けてシートPを案内するものである。具体的に、シートPは、2次転写ローラ89(及び、中間転写ベルト78、2次転写対向ローラ82)やレジストローラ対33に挟持・搬送されながら、搬送ガイド板50に沿うように移動して、定着装置20の定着ニップに送入されることになる。搬送ガイド板50は、シートPの非転写面(未定着状態のトナー像が担持されていない面である。)に対向するように配置されている。
【0027】
ここで、本実施の形態における画像形成装置1には、対向部材としての搬送ガイド板50を、図2(A)に示す基準位置と、搬送経路を通過するシートPに接触可能又は近接可能な特定位置(図2(B)にて実線で示す位置である。)と、の間を移動させる移動機構55が設けられている。
すなわち、移動機構55は、搬送ガイド板50を、図2(A)(又は、図2(B)の破線)に示す基準位置から図2(B)に示す特定位置に移動したり、図2(B)に示す特定位置から図2(A)(又は、図2(B)の破線)に示す基準位置に移動したり、することができるように構成されている。 なお、移動機構55としては、リンク機構を用いたもの、カム機構を用いたもの、ソレノイドなどのアクチュエータを用いたもの、など種々の形態のものを用いることができる。
【0028】
そして、本実施の形態では、所定のタイミングで、移動機構55によって搬送ガイド板50(対向部材)を基準位置から特定位置に移動させた状態(図2(B)の状態である。)で、搬送経路でシートを搬送させる「制御モード」が実行される。
この「制御モード」は、搬送ガイド板50に付着したトナーなどの付着物をシートPによって積極的に清掃するための制御モードであって、以下、適宜に「清掃モード」と呼ぶことにする。
また、清掃モード時(制御モード時)における搬送ガイド板50の「特定位置」は、以下、適宜に「清掃位置」と呼ぶことにする。
【0029】
また、「清掃モード(制御モード)」をおこなう「所定のタイミング」は、通常の画像形成(印刷)がおこなわれるタイミングとは異なる非画像形成時のタイミングである。
したがって、先に図1を用いて説明した通常の印刷(ユーザーの指定に基づいた所望の画像に対応する印刷である。)がおこなわれるタイミングとは別のタイミングで、清掃モードが実行されることになる。
具体的に、清掃モードは、通常の印刷が開始される前や終了した後のタイミング(非画像形成時のタイミングである。)で、予め設定された実行タイミングに基づいて、又は、ユーザーやサービスマンなどの操作者の操作による任意のタイミングに基づいて、実行されることになる。
そして、清掃モード時に用いられる(搬送される)シートPは、給紙部12(図1参照)から給紙ローラ31によって給紙されて、レジストローラ対33、2次転写ニップを経て、搬送ガイド板50に付着したトナーなどの付着物を除去した後に、定着ニップを経て、排紙ローラ対41によって装置外に排出される。
すなわち、清掃モード時には、搬送ガイド板50が清掃位置(特定位置)に移動される点と、2次転写ニップでシートPにトナー像が転写されない点(白紙のシートPを定着ニップに向けて搬送する点)と、を除き、通常の印刷時とほぼ同様に画像形成装置1が動作することになる。
ここで、清掃モード時に用いられる(搬送される)シートPは、通常印刷が施されるものではないため、以下、適宜に「ダミーシート」と呼ぶことにする。
【0030】
なお、本実施の形態において、清掃モードは、通常印刷がおこなわれるタイミングとは異なるタイミングでおこなわれるものであれば良く、完全に白紙のダミーシートPを定着ニップに向けて搬送する場合の他、測定用の画像(例えば、色ズレ測定や画像濃度測定のためのダミー画像(パッチパターン))が2次転写ニップで転写されたダミーシートPを定着ニップに向けて搬送する場合なども含むものとする。そして、本願明細書等では、そのようなタイミングでおこなわれる清掃モードも、非画像形成時のタイミングでおこなわれるものと定義する。
【0031】
このように、本実施の形態では、移動機構55によって搬送ガイド板50をダミーシートPに接触又は近接する清掃位置(特定位置)に移動させた状態(図2(B)の状態である。)で、ダミーシートPによって搬送ガイド板50の汚れを除去する「清掃モード(制御モード)」を所定タイミングで実行している。
そのため、搬送ガイド板50に付着したトナーなどの付着物が、ダミーシートPによって機械的かつ静電的に拭き取られて、充分に清掃されることになる。したがって、その後におこなわれる通常印刷において、搬送ガイド板50に付着したトナーなどの付着物がシートPに付着して、シートP(印刷物)が汚れてしまう不具合も生じにくくなる。
【0032】
さらに、上述した本発明の効果について、補足説明する。
図2(A)を参照して、通常印刷時における搬送ガイド板50の位置(基準位置)は、2次転写ニップから送出されたシートPの先端がスムーズに定着ニップに導かれることに重きをおいて設定されている。そのため、通常印刷時に、2次転写ニップから送出されたシートPは、その先端が基準位置の搬送ガイド板50のガイド面を擦るように移動した後に定着ニップに送入される軌道を概ね描くことになる。そして、シートPが、そのような軌道を描くことにより、シート面の大部分がガイド面を擦るように移動する場合に比べて、搬送時の摺動抵抗が小さいので、2次転写工程で転写ズレなどの転写不良が生じにくくなる。
したがって、搬送ガイド板50を基準位置に固定したまま、白紙のダミーシートPを搬送してガイド面を清掃しようとしても、ガイド面上の付着物の一部がダミーシートPの先端に僅かに移行するだけで、清掃効率が低くなってしまう。また、白紙のダミーシートPの先端以外のシート面は、基準位置の搬送ガイド板50からある程度離れるため、ダミーシートPが摩擦帯電していたとしても、ガイド面上の付着物が静電的にダミーシートPに移行することはほとんどない。
これに対して、本実施の形態では、清掃モード時に搬送ガイド板50をダミーシートPに接触又は近接する位置(清掃位置)まで近づけているため、ダミーシートPのシート面の大部分が、搬送ガイド板50のガイド面に擦れるように接触しやすくなる。そのため、搬送ガイド板50のガイド面上に付着した付着物が、機械的にも静電的にもダミーシートPに移行しやすくなって、清掃効率が向上する。
【0033】
なお、本実施の形態では、清掃モード時において搬送ガイド板50を清掃位置(特定位置)に移動してダミーシートPを搬送したときに、ダミーシートPの先端が定着ニップにスムーズに送入されないような場合には、搬送ガイド板50の搬送方向に対する角度をも調整するようにしても良い。
また、搬送ガイド板50に付着する付着物としては、主として装置内に浮遊するトナーであって、印刷枚数(通紙枚数)の増加にともない、その付着量が増加する。
【0034】
ここで、本実施の形態において、2次転写ローラ89(及び、中間転写ベルト78、2次転写対向ローラ82)は、清掃モードをおこなう搬送経路において搬送ガイド板50(対向部材)に対して上流側に設置されて、シートPを搬送する上流側搬送部として機能している。
また、定着装置20(定着ローラ21、加圧ローラ22)は、清掃モードをおこなう搬送経路において搬送ガイド板50(対向部材)に対して下流側に設置されて、シートPを搬送する下流側搬送部として機能している。
そして、本実施の形態では、「清掃モード(制御モード)」が実行されるときに、通常の画像形成時(通常印刷時)に比べて、上流側搬送部によるシートPの搬送速度を増速するか、下流側搬送部によるシートPの搬送速度を減速するか、上流側搬送部によるシートPの搬送速度を増速するとともに下流側搬送部によるシートPの搬送速度を減速するか、している。
すなわち、清掃モード時には、通常印刷時に比べて、2次転写ニップにおけるシートPの搬送速度V1と、定着ニップにおけるシートPの搬送速度V2と、の速度差(V1-V2)が大きくなるようにしている。具体的には、2次転写ローラ89を回転駆動する2次転写モータ90の回転数や、定着ローラ21を回転駆動する定着モータ25の回転数などを調整することになる。
このような制御をおこなうことで、清掃モード時には、通常印刷時に比べて、2次転写ニップから定着ニップに至る搬送経路におけるシートPの撓みの程度が大きくなる。したがって、清掃モード時において、ダミーシートPを清掃位置の搬送ガイド板50にさらに接触又は近接させやすくなる。そのため、搬送ガイド板50のガイド面上に付着した付着物が、機械的にも静電的にもダミーシートPに移行しやすくなって、清掃効率がさらに向上する。
【0035】
また、本実施の形態では、中間転写ベルト78(像担持体)との間に転写ニップ(2次転写ニップ)を形成する転写ローラとしての2次転写ローラ89と、転写ニップ(2次転写ニップ)の下流側に設置された除電部材60と、はそれぞれ、搬送ガイド板50(対向部材)に対して上流側に設置されていて、搬送経路においてシートPに接触可能な上流側部材として機能している。
そして、本実施の形態において、「清掃モード(制御モード)」が実行されるときに、搬送ガイド板50(対向部材)に付着するトナーなどの付着物の極性とは異なる極性の電圧を、その上流側部材を介して搬送経路を搬送されるシートPに印加している。
具体的に、清掃モード時に、2次転写ローラ89に2次転写電流(電圧)を印加する2次転写電源91を制御してトナーの極性(マイナス極性)とは異なる極性(プラス極性)の電圧を印加して、2次転写ニップを通過するダミーシートPがプラス極性に帯電するようにしている。また、清掃モード時に、除電部材60に電圧を印加可能な除電電源61を制御してトナーの極性(マイナス極性)とは異なる極性(プラス極性)の電圧を印加して、除電部材60の位置を通過するダミーシートPがプラス極性に帯電するようにしている。
これにより、清掃モード時に、搬送ガイド板50に付着したトナーがダミーシートPに静電的に移行しやすくなるため、清掃効率が向上することになる。
なお、本実施の形態では、清掃モード時に2次転写ローラ89と除電部材60とにそれぞれプラス極性の電圧を印加したが、どちらか一方のみにプラス極性の電圧を印加しても良い。
【0036】
また、本実施の形態では、「清掃モード(制御モード)」が実行されるときに、搬送ガイド板50(対向部材)に付着する付着物の極性と同じ極性の電圧を、搬送ガイド板50に印加している。
具体的に、清掃モード時に、清掃モード時に、搬送ガイド板50に電圧を印加可能な電源56を制御してトナーの極性(マイナス極性)と同じ極性(マイナス極性)の電圧を印加して、搬送ガイド板50に付着したトナーが静電的に離間しやすいようにしている。
これにより、清掃モード時に、搬送ガイド板50に付着したトナーがダミーシートPに静電的に移行しやすくなるため、清掃効率が向上することになる。
【0037】
ここで、本実施の形態において、清掃モード(制御モード)が実行されるときに、搬送ガイド板50(対向部材)は、搬送経路を搬送されるシートP(ダミーシート)に摺接することにより、搬送ガイド板50に付着するトナー(付着物)の極性と同じ極性(マイナス極性である。)に摩擦帯電して、そのシートP(ダミーシート)は、搬送ガイド板50に摺接することにより、搬送ガイド板50に付着するトナーの極性と異なる極性(プラス極性である。)に摩擦帯電することが好ましい。
すなわち、搬送ガイド板50は、少なくとも、そのガイド面がマイナス極性に帯電しやすい材料で形成されることが好ましい。また、ダミーシートPは、少なくとも、そのシート面がプラス極性に帯電しやすい材料で形成されることが好ましい。
詳しくは、搬送ガイド板50(対向部材)は、清掃モード(制御モード)が実行されるときに搬送経路を搬送されるシートP(ダミーシート)よりも、帯電列における順位が、搬送ガイド板50に付着する付着物の極性に近くなるように設定することになる。
帯電列の具体例として、プラスに帯電しやすい材料として、毛皮、ガラス、ナイロン、レーヨン、木材などがある。また、マイナスに帯電しやすい材料として、テフロン、塩化ビニール、セロファン、ポリエチレン、ウレタン、アクリルなどがある。
このような帯電列に基づいて、ダミーシートPの帯電列の順位より、搬送ガイド板50の帯電列の順位が、付着物としてのトナーの極性(マイナス極性)に近くなるように、例えば、ダミーシートPとしてナイロンで形成されたものを用いて、搬送ガイド板50としてテフロンで形成されたりガイド面がコーティングされたりしたものを用いることができる。
これにより、清掃モード時に、搬送ガイド板50に付着したトナーがダミーシートPに静電的に移行しやすくなるため、清掃効率が向上することになる。
【0038】
<変形例1>
変形例1では、図3(A)~(C)に示すように、「清掃モード(制御モード)」が実行されるときに、搬送経路において同じシートP(ダミーシート)を正逆方向の交互に搬送するように制御している。
詳しくは、定着装置20を駆動する定着モータ25や、2次転写ローラ89を駆動する2次転写モータ90は、正逆双方向回転型のモータであって、2次転写ニップと定着ニップとの挟持されたダミーシートPを正方向にも逆方向にも搬送可能に構成されている。
そして、まず、図3(A)に示すように、清掃モードにおいて、搬送ガイド板50を清掃位置に移動した後に、2次転写ニップと定着ニップとの間で、ダミーシートPを正方向に搬送して、搬送ガイド板50のガイド面を清掃する。その後、ダミーシートPの後端(正方向後端)が2次転写ニップを抜ける前に、図3(B)に示すように、ダミーシートPの搬送方向を逆転して、逆方向に搬送されるダミーシートPによって搬送ガイド板50のガイド面をさらに清掃する。その後、ダミーシートPの先端(正方向先端)が定着ニップを抜ける前に、図3(C)に示すように、ダミーシートPの搬送方向を正転して、正方向に搬送されるダミーシートPによって搬送ガイド板50のガイド面をさらに清掃する。そして、このようなダミーシートPの往復搬送を所定回数繰り返した後に、清掃後のダミーシートPを装置外に排出する。
このような制御をおこなうことで、清掃モード時において、搬送ガイド板50に付着したトナーが繰り返しダミーシートPによって清掃されるため、充分な清掃が可能になる。
なお、変形例1では、清掃モード時に、搬送ガイド板50を清掃位置(特定位置)に固定した状態で、ダミーシートPを往復搬送した。これに対して、清掃モード時に、搬送ガイド板50を基準位置(図2(A)の位置である。)に固定した状態で、ダミーシートPを往復搬送して静電的な清掃を繰り返して、最後に搬送ガイド板50を清掃位置(特定位置)に移動してダミーシートPを搬送して機械的な清掃と静電的な清掃とをするようにしても良い。
【0039】
<変形例2>
先に図1を用いて説明したように、画像形成装置1には、2次転写ニップから定着ニップに至る搬送経路を通過したシートPを、再びその搬送経路に導く別の搬送経路としての両面搬送経路K5が設けられている。
そして、変形例2では、図4(A)、(B)に示すように、「清掃モード(制御モード)」が実行されるときに、搬送経路において同じシートP(ダミーシート)を両面搬送経路K5(別の搬送経路)を経由して繰り返し搬送するように制御している。
詳しくは、清掃モードにおいて、先に図1を用いて説明した「両面印刷モード」と同じようにダミーシートPを繰り返し、清掃位置に向けて搬送するように制御している。
具体的に、まず、図4(A)に示すように、清掃モードにおいて、搬送ガイド板50を清掃位置に移動した後に、2次転写ニップと定着ニップとの間で、ダミーシートPを正方向に搬送して、搬送ガイド板50のガイド面を清掃する。その後、両面印刷モード時と同様に、ダミーシートPを、反転して両面搬送経路K5を経由して、再び搬送ガイド板50の位置に搬送する。そして、図4(B)に示すように、ダミーシートPによって搬送ガイド板50のガイド面をさらに清掃する。そして、このようなダミーシートPの搬送を所定回数繰り返した後に、清掃後のダミーシートPを装置外に排出する。
このような制御をおこなうことで、清掃モード時において、搬送ガイド板50に付着したトナーが繰り返しダミーシートPによって清掃されるため、充分な清掃が可能になる。特に、ダミーシートPの両面を用いて清掃をおこなうことになるので、片面のみを用いて清掃をおこなう場合に比べて、充分な清掃が可能になる。
なお、変形例2では、清掃モード時に、搬送ガイド板50を清掃位置(特定位置)に固定した状態で、ダミーシートPを繰り返し搬送した。これに対して、清掃モード時に、搬送ガイド板50を基準位置(図2(A)の位置である。)に固定した状態で、ダミーシートPを所定回数搬送して静電的な清掃を繰り返して、その後に搬送ガイド板50を清掃位置(特定位置)に移動してダミーシートPを所定回数搬送して機械的な清掃と静電的な清掃とをするようにしても良い。
【0040】
<変形例3>
図5にて、変形例3としての画像形成装置1の清掃モード時の制御について説明する。
図5に示すように、まず、ユーザーによる操作によって通常印刷が開始されると(ステップS0)、その印刷中(ジョブ中)にジャム(紙詰り)が発生したり、トナー吐出モードが実行されたりしていないかが判別される(ステップS1)。
そして、ジャムの発生やトナー吐出モードの実行があった場合には、搬送ガイド板50へのトナー付着が生じやすい状態であるものとして、その印刷を中断して、清掃モードを実行する(ステップS3)。すなわち、搬送ガイド板50を基準位置から清掃位置(特定位置)に移動して、ダミーシートPを搬送する。そして、清掃モードが終了した後に、搬送ガイド板50を基準位置に戻して(ステップS4)、通常の印刷を再開する(ステップS5)。
これに対して、ステップS1にて、ジャムの発生もトナー吐出モードの実行もなかった場合には、前回実行した清掃モードからの通紙枚数が所定枚数Aに達していないかが判別される(ステップS2)。その結果、通紙枚数が所定枚数Aに達している場合には、印刷時間の増加とともに、搬送ガイド板50のトナー汚れが進行しているものとして、ステップS3以降の制御がおこなわれる。
これに対して、ステップS2で、通紙枚数が所定枚数Aに達していない場合には、搬送ガイド板50のトナー汚れが進行していないものとして、そのまま通常印刷がおこなわれる(ステップS5)。
なお、「トナー吐出モード」とは、現像装置76(図1参照)内に収容されたトナーの劣化を軽減するために、所定のタイミングで、シートPの搬送をともなわないダミーの画像形成プロセスによって現像装置76からトナーを強制的に排出するモードである。このようなトナー吐出モードが実行されると、装置内に浮遊するトナー量が増加するため、搬送ガイド板50のトナー汚れが生じやすくなる。
また、印刷時にジャムが発生する場合には、トナー(トナー像)を担持していた作像部の種々の部材が意図せず強制的に駆動停止するため、それらの部材に担持されていたトナーが衝撃により装置内に浮遊して、搬送ガイド板50のトナー汚れが生じやすくなる。
【0041】
<変形例4>
図6に示すように、変形例4における画像形成装置1は、搬送ガイド板50(対向部材)と、搬送経路を搬送されるシートP(ダミーシート)と、の距離(対向距離)を検知する検知手段としての測距センサ58が設けられている。具体的に、測距センサ58(検知手段)は、搬送ガイド板50に設置されていて、その位置を通過するダミーシートPとの距離を光学的に検知する。
そして、移動機構は、清掃モード(制御モード)が実行されるときに、測距センサ58(検知手段)の検知結果に基づいて搬送ガイド板50が搬送経路を搬送されるシートPに接触しないように(シートPに非接触で)、清掃位置(特定位置)を調整している。具体的に、清掃モード時に、搬送ガイド板50は基準位置から清掃位置に移動されるが、シートPに接触せずに一定の微小な対向距離が維持されるように、搬送ガイド板50が細かに位置調整される。
このような制御は、清掃モード時において、機械的な清掃をなるべく避けて、静電的な清掃を優先したい場合に有用である。そのような場合としては、ダミーシートPの搬送ガイド板50に対する摺動抵抗が大きくなってしまう場合などがある。
これにより、ダミーシートPの搬送性を良好に維持しながら、搬送ガイド板50を良好に清掃することができる。また、搬送ガイド板50の摩擦による摩耗劣化を軽減することができる。
具体的に、図7に示すように、まず、清掃モードが開始にともない搬送ガイド板50が基準位置から清掃位置(特定位置)に移動される(ステップS10)。その後、ダミーシートPの先端が定着ニップに達すると、測距センサ58でダミーシートPとの距離を検知しながら、ダミーシートPに接触しないように搬送ガイド板50の清掃位置を微調整し続ける(ステップS11、S12)。そして、ダミーシートPの後端が2次転写ニップを通過した後に、清掃モードを終了する(ステップS13、S14)。
なお、変形例4では、搬送ガイド板50とダミーシートPとの距離を検知する検知手段として測距センサ58を用いたが、検知手段はこれに限定されることなく、種々の形態のものを用いることができる。
【0042】
なお、変形例4の別形態として、図8のフローチャートに示すような制御をおこなうこともできる。
この別形態において、移動機構55は、清掃モード(制御モード)が実行されるときに、搬送経路を搬送されるシートP(ダミーシート)の先端が搬送ガイド板50に接触した後に測距センサ58(検知手段)の検知結果に基づいて搬送ガイド板50がダミーシートPに接触しないように清掃位置(特定位置)を調整している。具体的に、清掃モード時に、搬送ガイド板50は基準位置から清掃位置に移動されて、ダミーシートPの先端が接触した後に、ダミーシートPが接触せずに一定の微小な対向距離が維持されるように、搬送ガイド板50が細かに位置調整される。
このような制御は、清掃モード時において、搬送ガイド板50によってダミーシートPを良好に定着ニップに導きたく、機械的な清掃をなるべく避けて静電的な清掃を優先したい場合に有用である。また、搬送ガイド板50の摩擦による摩耗劣化を軽減することができる。
これにより、ダミーシートPの搬送性を良好に維持しながら、搬送ガイド板50を良好に清掃することができる。
具体的に、図8に示すように、まず、清掃モードが開始にともない搬送ガイド板50が基準位置からシート先端が接触可能な清掃位置(特定位置)に移動される(ステップS20)。その後、ダミーシートPの先端が搬送ガイド板50に接触して(ステップS21)、その後に定着ニップに達すると、測距センサ58でダミーシートPとの距離を検知しながら、ダミーシートPに接触しないように搬送ガイド板50の清掃位置を微調整し続ける(ステップS11、S12)。そして、ダミーシートPの後端が2次転写ニップを通過した後に、清掃モードを終了する(ステップS13、S14)。
【0043】
<変形例5>
図9に示すように、変形例5における搬送ガイド板50(対向部材)には、その幅方向(搬送方向に直交する方向であって、図2の紙面垂直方向である。)の両端部にそれぞれ可動ガイド部材51が設置されている。また、これらの可動ガイド部材51は、不図示の第2の移動機構によって、搬送経路に近づく方向(又は、遠ざかる方向)に移動可能に構成されている。この可動ガイド部材51は、シートPの搬送領域内であって、画像領域外(余白部分)に設置されることが好ましい。
そして、これらの可動ガイド部材51は、通常印刷時には、図9(A)に示すように、搬送ガイド板50のガイド面から搬送経路の側に突出しないように、第2の移動機構によって位置調整される。
これに対して、これらの可動ガイド部材51は、清掃モード(制御モード)が実行されるときには、図9(B)に示すように、搬送ガイド板50に対して搬送経路を搬送されるシートP(ダミーシート)に近づく方向(矢印方向である。)に移動(突出)してシートP(ダミーシート)に接触するように、第2の移動機構によって位置調整される。このとき、搬送ガイド板50は、静電的な清掃が可能な清掃位置まで白矢印方向に移動されることになる。
このような制御は、清掃モード時において、機械的な清掃をなるべく避けて、静電的な清掃を優先したい場合に有用である。特に、搬送ガイド板50に対してダミーシートPを確実に接触させたくない場合に有用である。具体的に、変形例5における構成は、先に変形例4で説明したような制御をおこなうときに、併用して採用することができる。
これにより、ダミーシートPの搬送性を良好に維持しながら、搬送ガイド板50を良好に清掃することができる。また、搬送ガイド板50の摩擦による摩耗劣化を軽減することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置1は、搬送経路を通過するシートPに対向する基準位置に設置された搬送ガイド板50(対向部材)が設けられている。また、搬送ガイド板50を、基準位置と、搬送経路を通過するシートPに接触可能又は近接可能な特定位置と、の間を移動させる移動機構と55が設けられている。そして、所定のタイミングで、移動機構55によって搬送ガイド板50を基準位置から特定位置に移動させた状態で、搬送経路でシートPを搬送させる清掃モード(制御モード)が実行される。
これにより、搬送経路を通過するシートPに対向する搬送ガイド板50に付着した付着物を、充分に清掃することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、中間転写ベルト78(像担持体)に担持されたトナー像が転写部としての2次転写ローラ89によってシートP上に転写されるカラー画像形成装置1に対して本発明を適用したが、像担持体としての感光体ドラム(又は、感光体ベルト)に担持されたトナー像が転写部としての転写ローラ(又は、転写ベルト)によってシートP上に転写されるモノクロ画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、清掃モード(制御モード)の対象となる対向部材として、2次転写ニップから定着ニップに至る搬送経路に設置された搬送ガイド板50を用いた。しかし、本発明の適用はこれに限定されず、搬送経路においてシートに対向する対向部材(例えば、シート検知センサや搬送ローラ対などである。)であれば、清掃モード(制御モード)の対象として、本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
20 定着装置(定着部、下流側搬送部)、
50 搬送ガイド板(対向部材)、
51 可動ガイド部材、
55 移動機構、
58 測距センサ(検知手段)、
60 除電部材(上流側搬送部材)、
89 2次転写ローラ(転写部、上流側搬送部材、上流側搬送部材)、
K5 両面搬送経路(別の搬送経路)、
P シート。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【文献】特開2006-58792号公報
【文献】特開2011-26036号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9