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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】筐体構造、光走査装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20241205BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20241205BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J2/47 101D
G02B26/10 Z
H04N1/113
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021040724
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022140077
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】成田 進
(72)【発明者】
【氏名】山川 健志
(72)【発明者】
【氏名】坂上 嘉信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 令
(72)【発明者】
【氏名】野田 信
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0292383(US,A1)
【文献】実開平05-045327(JP,U)
【文献】実開昭57-143503(JP,U)
【文献】特開2016-148702(JP,A)
【文献】特開2015-135418(JP,A)
【文献】特開2010-056493(JP,A)
【文献】特開2016-217522(JP,A)
【文献】実開昭57-105468(JP,U)
【文献】特開平06-021660(JP,A)
【文献】特開平07-237267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
G02B 26/10
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体と、前記開口部の全部又は一部を覆うカバー部材と、前記カバー部材と前記筐体の開口周縁端面部との間に設けたシール部材と、を備える筐体構造において、
前記シール部材を挟む前記開口周縁端面部と前記カバー部材の少なくとも一方の形状であって前記開口周縁端面部と前記カバー部材における前記開口周縁端面部に対する対向部との間隔又は前記シール部材の幅を規定する形状が、前記開口周縁端面部の角部と該角部に連なる前記開口周縁端面部の直線部とで異なり、前記角部での前記シール部材の幅を前記直線部におけるよりも大きくする形状、又は、前記角部での前記両者の間隔の設定を前記直線部におけるよりも大きくする形状であり、
前記シール部材はホットメルト接着剤を線状に塗布して形成したものであり、
前記規定する形状が前記角部と前記開口周縁端面部の直線部とで異なるのは、前記開口周縁端面部と前記カバー部材のうち、前記ホットメルト接着剤を先に線状に塗布した箇所であって、前記角部は、前記角部に連なる前記開口周縁端面部の直線部に連なる線状の塗布にあたって塗布走査の向きを変えながら塗布する角部であることを特徴とする筐体構造
【請求項2】
求項に記載の筐体構造において、
前記角部での前記シール部材の幅を前記直線部におけるよりも大きくする形状は、前記シール部材の前記開口部よりの縁を規定する壁を前記開口部よりに突出させた形状、および/または、前記シール部材の前記開口部とは反対側の縁を規定する壁を前記開口部とは反対側に突出させた形状であることを特徴とする筐体構造
【請求項3】
求項1又は2に記載の筐体構造において、
前記シール部材は、前記カバー部材を前記筐体に取付けることで、圧縮変形せしめられて前記カバー部材と前記該筐体との間をシールすることを特徴とする筐体構造。
【請求項4】
光源と、
前記光源から発射された光束を主走査方向に偏向走査せしめる偏向手段と、
前記偏向手段によって偏向せしめられた光束を被走査面に導く複数の光学素子と、を筐体内に収納した光走査装置において、
請求項1乃至の何れか一に記載の筐体構造を用いることを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項1乃至の何れか一に記載の筐体構造又は請求項に記載の光走査装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体構造、光走査装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開口部を有する筐体と、開口部の全部又は一部を覆うカバー部材と、カバー部材と筐体の開口周縁端面部との間に設けたシール部材と、を備える筐体構造が知られている。
例えば特許文献1は、係る筐体構造であって、シール部材を粘弾性材料で構成したものが開示している。この粘弾性部材は、カバー部材の外壁部と、内壁部と、底部のうち外壁部と内壁部に挟まれた被着面と、で囲まれた部分に、メルター等によって加熱して流動性を持たせた状態の粘弾性材料を流し込み、冷却硬化させて形成する。このカバー部材は粘弾性部材を圧縮して筐体に組み付ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、シール部材の厚みの偏差によりシールが不完全になったりカバー部材などを変形さてしまったりする虞があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、開口部を有する筐体と、前記開口部の全部又は一部を覆うカバー部材と、前記カバー部材と前記筐体の開口周縁端面部との間に設けたシール部材と、を備える筐体構造において、前記シール部材を挟む前記開口周縁端面部と前記カバー部材の少なくとも一方の形状であって前記開口周縁端面部と前記カバー部材における前記開口周縁端面部に対する対向部との間隔又は前記シール部材の幅を規定する形状が、前記開口周縁端面部の角部と該角部に連なる前記開口周縁端面部の直線部とで異なり、前記角部での前記シール部材の幅を前記直線部におけるよりも大きくする形状、又は、前記角部での前記両者の間隔の設定を前記直線部におけるよりも大きくする形状であり、前記シール部材はホットメルト接着剤を線状に塗布して形成したものであり、前記規定する形状が前記角部と前記開口周縁端面部の直線部とで異なるのは、前記開口周縁端面部と前記カバー部材のうち、前記ホットメルト接着剤を先に線状に塗布した箇所であって、前記角部は、前記角部に連なる前記開口周縁端面部の直線部に連なる線状の塗布にあたって塗布走査の向きを変えながら塗布する角部であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、シール部材の厚みの偏差によりシールが不完全になったりカバー部材などを変形さてしまったりすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】複写機の概略構成図。
図2】光書込ユニットの概略構成図。
図3】カバーを取りはずした状態の同光学ユニットの平面図。
図4】同光学ユニットの従来の密閉方法の説明図。
図5】同光学ユニットの他の密閉方法の説明図。
図6】同他の密閉方法の不具合の説明図。
図7】実施形態に係る密閉構造の構成例の説明図。
図8】他の構成例の説明図。
図9】更に他の構成例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の筐体構造を備えた画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)の一実施形態について説明する。図1は、複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部300という)から構成される。
【0008】
プリンタ部100は、四つのプロセスユニットとしてのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)、中間転写ベルト7、露光手段としての光書込ユニット6、定着手段としての定着装置12等を備えている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラに張架されて図1中の矢印A方向に移動する中間転写体である。
四つのプロセスカートリッジ1の、符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック用の仕様であることを示している。四つのプロセスカートリッジ1(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他は、ほぼ同様の構成になっているので、以下、Y,M,C,Kという添字を省略して説明する。
【0009】
プロセスカートリッジ1は、潜像担持体である感光体2、帯電手段である帯電部材3、現像手段である現像装置4、及び、クリーニング手段である感光体クリーニング装置5を一体的に支持してユニット状とした構成となっている。
【0010】
感光体2は、図中の矢印で示すように、図中の時計周り方向に回転する。帯電部材3は、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。帯電部材3は、作像時に、感光体2の表面を帯電する。
【0011】
光書込ユニット6は、スキャナ部300で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、感光体2の表面に対して露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。光書込ユニット6は、本発明の筐体構造を備えており、後に詳述する。感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーのクリーニングを行う。
【0012】
四つのプロセスカートリッジ1は、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色毎のトナー像を感光体2上に形成する。四つのプロセスカートリッジ1は、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
【0013】
各感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されている。一次転写ローラ8には一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。この一次転写電界が、感光体2の表面上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7の表面に転写する。複写機500は、表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像を順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像を形成する。
【0014】
四つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に配置され、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。複写機500は、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成する。
【0015】
給紙部200の給紙トレイ201から給紙され、図1中の矢印S方向に搬送される転写材である転写紙Pは、二次転写ニップを通過する。この転写紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に形成された二次転写電界によって転写紙Pに転写される。
【0016】
二次転写ニップに対して転写紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した転写紙Pは定着装置12に到達する。そして、定着装置12における加熱及び加圧によって転写紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された転写紙Pは複写機500の装置外に出力される。
一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
【0017】
図1に示すように、中間転写ベルト7の上方には、各色トナーを収容するトナーボトル400(Y,M,C,K)が複写機500本体に対して着脱可能に配置されている。各色のトナーボトル400に収容されたトナーは、各色の現像装置4に供給される。
【0018】
図2は光走査装置である光書込ユニット6の概略構成を示す断面と、各感光体2(Y,M,C,K)に向けて照射されるレーザ光の経路とを示す説明図である。光書込ユニット6は、光源と、光源からの光を所定の位置に導く第一の光学部品群と、第一の光学部品群に導かれた光を回転するミラーに反射させて走査する偏向手段であるポリゴンミラーとを備える。また、光書込ユニット6は、ポリゴンミラーによって走査された光を被走査面である感光体の表面に導く第二の光学部品群と、光源、第一光学部品群、ポリゴンミラー、第二光学部品群らを保持するハウジングとを備えている。
【0019】
具体的には、光書込ユニット6は、正多角形の側面に反射ミラーであるポリゴンミラー61(a、b)を有し、高速回転によりレーザ光を主走査方向に偏向走査させる回転偏向器であるポリゴンスキャナ60を備える。また、ポリゴンスキャナ60が反射した走査ビームの等角度運動を等速直線運動へと変えるfθ補正機能と面倒れ補正機能とを併せ持つ走査レンズ17(a、b、c、d)を備える。
【0020】
また、光書込ユニット6は、走査レンズ17を通過したレーザ光をそれぞれの感光体2(Y,M,C,K)に導く第一反射ミラー18(Y,M,C,K)と第二反射ミラー19(Y,M,C,K)とを備える。さらに、第二反射ミラー19(Y,M,C,K)で反射され、光書込ユニット6の外に向かって照射されるレーザ光が通過する光路上に配置され、塵や埃などのゴミが光書込ユニット6の筐体内に落下することを防止する防塵ガラス20(Y,M,C,K)を備える。
【0021】
光書込ユニット6の筐体構造は、開口部を有する筐体であり、ベース部材であるハウジング10(オプティカルハウジング)と、開口部を覆うカバー部材であるカバー22とからなる。ハウジング10は、ポリゴンスキャナ60や走査レンズ17及び反射ミラー(18、19)等の光学素子が配置される例えば樹脂製の光学箱であり、カバー22も例えば樹脂製であり、光学素子が配置されたハウジング10の内部と外部とを遮蔽する。図示の例では一つのカバー22で開口部の全部を覆っているが、一部を覆う複数のカバーにより開口部全部を覆うようにしてもよい。また、図2では、各感光体2(Y,M,C,K)に向けて照射されるレーザ光の経路を、光路13(Y,M,C,K)として示している。
【0022】
図3は、カバー22を取りはずした状態を示す平面図である。ハウジング10は上方に開口部10aを有し、周壁であるリブ10bの上端面部である開口端面部10cが開口周縁端面部に相当する。図3には、光源部71から照射された光線がポリゴンスキャナ60のポリゴンミラー61に入射するまでに通過する偏向前光学系であるポリゴン前光学系の構成例を示す。
【0023】
ポリゴンスキャナ60への光線は、光源部71から出射し、カップリングレンズ(コリメートレンズ)72にて発散光束から並行光束に変換された後アパーチャにより整形される。整形された光線は、シリンドリカルレンズ74にて副走査方向に集光されてポリゴンスキャナ60のポリゴンミラー61a、61bへ入射する。カップリングレンズ72、シリンドリカルレンズ74は設置位置を調整後、接着剤にてハウジング10に固定される。カップリングレンズ72及びシリンドリカルレンズ74は、光源である光源部71から回転偏向器であるポリゴンスキャナ60までの光線の経路を形成する偏向前の光学部品群(第一の光学部品群)を構成する。
【0024】
ポリゴンスキャナ60のポリゴンミラー61へ入射した光線は偏向されて走査レンズ17に向かい、走査レンズ17を透過した後は図2に示すように感光体2に入射して、感光体2の表面を露光する。走査レンズ17、第一反射ミラー18及び第二反射ミラー19は、回転偏向器であるポリゴンスキャナ60で反射した後の光線の経路を形成する偏向後の光学部品群(第二の光学部品群)を構成する。
【0025】
光書込ユニット6はレンズやミラー、透過ガラスを用いていることから、塵埃などの異物混入を防ぐために光学素子を保持しているハウジング10をカバー22などで蓋をして、ねじなどで固定することで密閉するのが一般的である。しかし、ポリゴンスキャナが高速回転していることから、光書込ユニット6内に負圧が生じ、外部から光書込ユニット6内へ侵入しようとする気流が発生してしまう。ポリゴンスキャナの回転数にもよるが、カバー22でのねじ締めによる密閉だけでは弱くポリゴンミラーやその他光学部品が汚れてしまう場合もある。
【0026】
従来、スポンジシールなどからなるシール材30をカバー22とハウジング10との合わせ部の間に配置し、締結によりシール材を潰すことで密閉する方法がある。図4はこの密閉方法の説明図である。開口部10aを有するハウジング10の周壁であるリブ10bの開口端面部10cと、カバー22の内壁面とで合わせ部を構成し、この合わせ部にシール材30が介在している。この方法だと簡単に密閉することができるが、シール材だと複雑な形状になると材料の取り数が悪くなり高額になりやすい。またシール材だけだと両面テープを使わないと相手部材の面に接着できないため、両面テープが必要であったり、柔らかいと組立時に組み立てにくいことからコシのある両面テープを使用する必要があったりしてコスト増につながる。
【0027】
シール材を用いるのに代えホットメルト接着剤を用いて密閉する方法もある。図5はこの密閉方法の説明図である。ホットメルト接着剤40は、元の材料をメルターで加熱することで溶融し、射出することで半液状の剤を注入し、常温で徐々に固まる熱可塑性樹脂である。半液状の剤をカバー22とハウジング10など密閉したい箇所に塗布し、固めたあとにカバー22かハウジング10で蓋をして締結することで、シール材と同様に密閉することができる。
【0028】
ホットメルト接着剤40のメリットは、射出する際のガンの走査により任意の位置に接着剤を塗布することができ、ガン(射出あるいは吐出装置)から射出してすぐは液状であるため、相手部材の形状への密着度を高くできることである。剤の種類は豊富であり、種類に応じて、硬化後の柔らかさや、タック性を任意に選ぶことができる。また、シール材と異なり、複雑な形状にしても取れ数悪化の懸念はなく、剤の使用量でコストが決まるため、複雑な形状でもコストを抑えることができる。
【0029】
図6(a)に示すように、ハウジング10の全周を覆うカバー22の周囲にホットメルト接着剤40を配置した場合を考える。ハウジング10の開口周縁端面部である外周リブが重なるカバー22の内面の周囲の領域に、ホットメルト接着剤を付けたい。溶融させた接着剤を充てんしたガンをロボットで走査しながら、任意の塗布量を一定スピードで射出することでカバー22の内面の周囲に接着剤を塗布することができる。つまり、ロボットは、ホットメルト接着剤を吐出しながらガンを走査することでホットメルト接着剤を線状に塗布することができる。
【0030】
しかし、曲がり角部ではロボットがガン走査の向きを変えるため速度が一時的に角部で落ち、方向を変えて動作することになる。図6(a)の図中上辺の地点A1から地点A2までは直線部であり、図中右片の地点B1から地点B2までの直線部との間に曲がり角部(角部)が生じる。二点差線で示す円の中の拡大図も示している。カバー22は、ホットメルト接着剤40の塗布領域を規定するために、開口部よりの内側リブ22aと外側の外側リブ22bとを備えている。
【0031】
この間、接着剤は塗布され続けているため、曲がり角部だけ塗布量が多くなることから厚みが他より増してしまう。図6(b)は図6(a)におけるX-X断面を示す。厚み偏差Yができることで、ハウジング10とカバー22を締結することでホットメルト接着剤40が圧縮変形されるのに、そこだけ反発力が大きくなる。この結果、ハウジング10への変形が顕著になることで光学特性が劣化し、所望の光学特性を得られない可能性がある。一定量で射出するのを、曲がり角部近傍で減少させることでその影響を減らすことも考えられるが、今度は曲がり角部手前で減ってしまい、結果として厚み偏差ができてしまう。
【0032】
そこで、本実施形態では、実施形態に係る筐体構造は、ホットメルト接着剤40から形成されるシール部材を挟む開口周縁端面部とカバー部材の少なくとも一方の、両者の間隔又はシール部材の幅を規定する形状が、開口周縁端面部の角部と、この角部に連なる開口周縁端面部の直線部とで異なるものとする。
【0033】
図7は、カバー22、またはハウジング10の曲がり角部を異形状とすることで厚み偏差を無くす、上記間隔又はシール部材の幅を規定する形状の構成例を示す。図7(a)の構成例は、曲がり角部の外側リブ22bに膨らみを持たせる形状とすることで、接着剤の広がる面積を増やすことにより、厚みを減らすことができる。外側への膨らみを増す分だけ、厚みを減らすことができるため、ロボットでのスピードとできた厚み偏差の量で膨らみ量を決めるのが良い。
【0034】
外側に膨らみを持たせる以外に、内側に凹みがある形状を持たせることでも同様の効果が期待できる。図7(b)の構成例は、カバー22の曲がり角部の内側リブ22aの角を、角でなく凹みを持たせる。角部はこの凹みで剤が広がり厚み偏差を抑制できる。
【0035】
この図7(a)、図7(b)にはホットメルト接着剤40を塗布する領域の両側にリブがある場合を示しており、リブがあることでホットメルト接着剤40がその幅の中で塗布されていくことになる。そういった場合は外側に膨らみを持たせることなどが有効であるが、レイアウトの都合上リブがない場合や、膨らみを設けることができない場合も考えられる。そういった場合は、図7(c)に示すようにホットメルト接着剤40が塗布される底面に曲がり角部近傍で傾斜面22cを付けて厚み方向に塗布面を下げる。この構成例は、塗布面が下がった分だけホットメルト接着剤40が盛り下がることになり、結果として一番上の面の厚みが揃うことになり、反発力の偏差がなくなることになる。図7(a)~図7(c)の構成は二以上を組み合わせて用いることもできる。
【0036】
図7(a)~(c)ではカバー22側のホットメルト接着剤の高さ偏差を無くしてハウジング10などの変形を抑制したが、ハウジング10側の合わせ面のリブ10bの高さを下げることでも同様の効果を奏することができる。図8はハウジング10側の合わせ面のリブ10bの高さを、角部において直線部におけるよりも厚み偏差Yだけ低くしたものである。図6(b)における断面と、それに対向するハウジング10側の合わせ面のリブ10bの断面を示す。図7(c)の構成例と図8の構成例とは、合わせ部におけるハウジング10とカバー22との間隔を直線部におけるよりも角部における方が大きくなるようにしたものといえる。
【0037】
図9はホットメルト接着剤40から形成されるシール部材を挟む開口周縁端面部とカバー部材の少なくとも一方の、シール部材の幅を規定する形状を開口周縁端面部の角部と、この角部に連なる開口周縁端面部の直線部とで異なるものとする他の構成例を示す。この構成例では、平面視での幅は、角部と直線部とでは同じであるが、両部の幅が異なる、開口周縁端面部とカバー部材の間隔方向の位置が存在する。2箇所の直線部のZ1-Z1断面とZ2-Z2断面を示す図9(c)のように、ガンの走査ラインLに直交する断面に現れた塗布面の形状が中央が最も低い深さDの弧状になっている。これに対し、角部を含むY-Y断面を示す図9(b)のように、角部においては角部の四角の底面全体が深さDになっている。この形状により、角部における方が直線部におけるよりも走査線当たりのホットメルト接着剤量を多くして、ホットメルト接着剤の高さ偏差を抑える。
【0038】
以上、本実施形態では、ホットメルト接着剤を先に線状に塗布する対象が、カバー22の合わせ部であるが、逆に、ハウジング10の合わせ部に先に塗布してもよい。また、光学走査装置の筐体構造に適用した例であるが、他の装置の筐体構造に適用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 :プロセスカートリッジ
2 :感光体
3 :帯電部材
4 :現像装置
5 :感光体クリーニング装置
6 :光書込ユニット
7 :中間転写ベルト
8 :一次転写ローラ
9 :二次転写ローラ
9a :二次転写対向ローラ
10 :ハウジング
10a :開口部
10b :リブ
10c :開口端面部
11 :転写ベルトクリーニング装置
12 :定着装置
13 :光路
17 :走査レンズ
18 :第一反射ミラー
19 :第二反射ミラー
20 :防塵ガラス
22 :カバー
22a :内側リブ
22b :外側リブ
22c :傾斜面
30 :シール材
40 :ホットメルト接着剤
60 :ポリゴンスキャナ
61 :ポリゴンミラー
61a :ポリゴンミラー
61b :ポリゴンミラー
71 :光源部
72 :カップリングレンズ
74 :シリンドリカルレンズ
100 :プリンタ部
200 :給紙部
201 :給紙トレイ
300 :スキャナ部
400 :トナーボトル
500 :複写機
A :矢印
A1 :地点
A2 :地点
B1 :地点
B2 :地点
D :深さ
L :走査ライン
P :転写紙
Y :厚み偏差
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【文献】特許第6520174号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9