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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】端子金具、及び電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20241205BHJP
   H01R 12/58 20110101ALI20241205BHJP
【FI】
H05K1/18 U
H01R12/58
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021097463
(22)【出願日】2021-06-10
(65)【公開番号】P2022189087
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】石井 健太
(72)【発明者】
【氏名】郡 智之
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009611(JP,A)
【文献】特開平10-106653(JP,A)
【文献】実開平03-127774(JP,U)
【文献】特開平03-245477(JP,A)
【文献】実開昭60-124063(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0141776(US,A1)
【文献】特開2013-048505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H01R 12/00 - 12/91
H01R 24/00 - 24/86
H02G 3/08 - 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板端子と基板とを電気的に接続する端子金具であって、
前記平板端子の厚み方向に前記平板端子を把持する略板状で、所定方向に並置された複数の端子本体と、
前記基板の挿入孔に挿入され、前記基板の導電部に半田付けされる少なくとも二つ以上の脚部と、
前記所定方向に隣接する前記端子本体を連結する連結部とが備えられ、
複数の前記端子本体が、
前記平板端子を把持する一対の腕部をそれぞれ備え、
前記連結部が、
前記腕部の基部よりも前記脚部側で、前記端子本体を連結する構成である
端子金具。
【請求項2】
前記連結部が、
前記所定方向を短手方向とする形状に形成された
請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
前記脚部が、
前記端子本体の数と同数だけ設けられた
請求項1または請求項2に記載の端子金具。
【請求項4】
前記端子本体及び前記連結部が、
前記基板の主面に当接する略平面状の端面を有している
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の端子金具。
【請求項5】
前記所定方向における前記端子本体の縁端から延設されるとともに、前記基板に当接する端面を有する突出部が備えられた
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の端子金具。
【請求項6】
前記突出部が、
前記端子本体の厚み方向から見て前記所定方向に直交する方向を長手方向とする略板状に形成された
請求項5に記載の端子金具。
【請求項7】
前記連結部が、
前記基板の主面に当接する略平面状の端面を有し、
前記突出部の前記平板端子側の端面が、
前記端子本体の厚み方向から見て前記所定方向に直交する方向において、前記連結部における前記平板端子側の端面と略同じ位置に形成された
請求項5または請求項6に記載の端子金具。
【請求項8】
前記突出部の前記平板端子側の端面が、
前記端子本体の厚み方向から見て前記所定方向に直交する方向において、前記連結部における前記平板端子側の端面よりも前記脚部側の位置に形成された
請求項5または請求項6に記載の端子金具。
【請求項9】
前記脚部の基部に隣接するとともに、前記基板の主面に対向する端面を切り欠いて形成された切欠き部が設けられた
請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の端子金具。
【請求項10】
複数の前記端子本体が、
前記平板端子を把持する一対の腕部をそれぞれ備え、
少なくとも二つの前記脚部が、
前記一対の腕部のうち、隣接する前記端子本体側の腕部とは逆側の腕部と略同じ前記所定方向の位置に形成された
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の端子金具。
【請求項11】
少なくとも二つの前記脚部が、
前記所定方向の略中央から略同じ間隔を隔てた位置に形成された
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の端子金具。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の端子金具と、
該端子金具の脚部が挿入される挿入孔、及び前記端子金具の前記脚部が半田付けされる導電部を有する基板と、
前記端子金具が装着された前記基板を収容保持する接続箱本体とが備えられた
電気接続箱。
【請求項13】
前記接続箱本体が、
所定方向で隣接する前記端子金具の端子本体の間に配置されるとともに、前記基板から前記端子金具が離間する方向への前記端子金具の移動を規制する位置規制部を備えた
請求項12に記載の電気接続箱。
【請求項14】
前記端子金具が、
前記所定方向における端子本体の縁端から延設されるとともに、前記基板に当接する端面を有する突出部を備え、
前記接続箱本体が、
前記端子金具の前記突出部と略同じ所定方向の位置に配置されるとともに、前記基板から前記端子金具が離間する方向への前記端子金具の移動を規制する端部位置規制部を備えた
請求項12または請求項13に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば平型ヒューズを把持するとともに、平型ヒューズと基板とを電気的に接続するような端子金具及び電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に搭載される電気接続箱では、リレーや平型ヒューズの平板端子と基板の導電部とが、端子金具を介して電気的に接続されている。
このような端子金具としては、例えば特許文献1のように、平型端子(タブ端子)の厚み方向に平型端子を把持する一対の腕部(圧接片部)と、基板に半田付けされる一対の脚部(リード部)とを備えた音叉端子が知られている。
【0003】
ところで、昨今、電気接続箱は、車両の電動化に伴ってリレーや平型ヒューズの数が増加するだけでなく、所望される許容電流値も大きくなっている。このため、特許文献1のような端子金具では、通電に伴う温度上昇によって比較的高温となることがあった。
【0004】
この際、端子金具で生じた熱が、基板の導電部との接続箇所や周辺部品に伝わることで、基板の温度及び周辺部品の温度が許容温度を超えるおそれがある。このような場合、端子金具、基板、あるいは周辺部品に温度上昇に伴う意図しない不具合が生じるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-185243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑み、温度上昇に伴う意図しない不具合を防止して、許容電流値の増加に対応できる端子金具、及び電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、平板端子と基板とを電気的に接続する端子金具であって、前記平板端子の厚み方向に前記平板端子を把持する略板状で、所定方向に並置された複数の端子本体と、前記基板の挿入孔に挿入され、前記基板の導電部に半田付けされる少なくとも二つ以上の脚部と、前記所定方向に隣接する前記端子本体を連結する連結部とが備えられ、複数の前記端子本体が、前記平板端子を把持する一対の腕部をそれぞれ備え、前記連結部が、前記腕部の基部よりも前記脚部側で、前記端子本体を連結する構成であることを特徴とする。
【0008】
上記平板端子は、例えばリレーや平型ヒューズに用いられる板状の端子のことをいう。
上記端子本体は、基板と平型端子との間に介在するとともに、端子金具の厚み方向から見て所定方向に直交する仮想直線に沿って端子金具を区切った部分のことをいう。
この発明によれば、端子金具は、温度上昇に伴う意図しない不具合を防止して、許容電流値の増加に対応することができる。
【0009】
具体的には、隣接する端子本体が連結部によって連結されたことにより、端子金具は、端子本体で発生した熱を、連結部で放熱しながら、連結部を介して比較的低温の部位へ伝達することができる。
つまり、端子金具は、端子本体を連結するだけでなく、通電に伴って発生した熱を伝達分散する熱伝導部位として、連結部を機能させることができる。
【0010】
これにより、端子金具は、比較的高い電流値の電流が流れる端子本体、及び当該端子本体の近傍に位置する基板や周辺部品の温度上昇を抑制することができる。このため、端子金具は、温度上昇に伴う意図しない不具合を防止して、許容電流値の増加に対応することができる。
【0011】
加えて、複数の端子本体を連結部で連結しているため、端子金具は、基板に組付けられる平板端子の数量に対して、基板に装着される端子金具の数量を低減することができる。このため、端子金具は、複数の端子金具が基板に接続される場合であっても、基板への組付け性を向上することができる。
【0012】
また、複数の前記端子本体が、前記平板端子を把持する一対の腕部をそれぞれ備え、前記連結部が、前記腕部の基部よりも前記脚部側で、前記端子本体を連結する構成である。
【0013】
この構成により、端子本体の一方の腕部同士が連結部を介して連結されないため、端子金具は、一方の腕部の撓み変形が連結部によって阻害されることがない。
これにより、端子金具は、一対の腕部による平板端子の把持を容易にして、平板端子を確実に把持することができる。このため、端子金具は、平板端子の組付け性を確保することができる。
【0014】
この発明の態様として、前記連結部が、前記所定方向を短手方向とする形状に形成されてもよい。
この構成によれば、端子金具は、所定方向を長手方向とする形状の連結部に比べて、所定方向に直交する方向に沿った断面積を大きくすることができる。
【0015】
このため、端子金具は、隣接する端子本体を剛性の高い連結部で連結することができる。これにより、端子金具は、例えば平板端子が着脱される際、端子本体が傾倒するように変形することを、連結部及び隣接する端子本体によって抑制できる。
【0016】
さらに、断面積及び表面積が大きくなるため、連結部は、端子本体の熱をより放熱しながら、比較的低温な部位へより効率よく伝達させることができる。このため、端子金具は、比較的高い電流値の電流が流れる端子本体、及び当該端子本体の近傍に位置する基板や周辺部品の温度上昇をより抑制することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記脚部が、前記端子本体の数と同数だけ設けられてもよい。
この構成によれば、端子金具は、平板端子と基板の導電部との間の導通経路を、接続される平板端子の数量に応じて確保することができる。このため、端子金具は、端子本体の数に対して脚部の数が少ない場合に比べて、通電に伴う脚部の基部近傍の温度上昇を抑制することができる。
【0018】
さらに、例えば端子本体と略同じ所定方向の位置に脚部を設けた場合、端子金具は、基板に接続された状態において、端子本体をそれぞれ安定した状態で支持することができる。このため、端子金具は、平板端子の着脱に伴う荷重が端子本体に加わった際、端子本体が傾倒するように変形することを抑制できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記端子本体及び前記連結部が、前記基板の主面に当接する略平面状の端面を有してもよい。
この構成によれば、脚部が基板の挿入孔に挿入される際、端子金具は、基板に対する相対位置の位置決めを、端子本体の端面及び連結部の端面と基板との当接によって容易にすることができる。このため、端子金具は、脚部への半田付けを容易にして、基板に対する組付け性の向上を図ることができる。
【0020】
さらに、平板端子が端子本体に装着される際、端子金具は、平板端子の装着方向への端子金具の移動を阻止するとともに、平板端子が装着される際の荷重を、端子本体の端面及び連結部の端面を介して基板に伝達することができる。
このため、端子金具は、平板端子が端子本体に装着される際、半田付け部分が剥離することを防止できるとともに、脚部の基部近傍が変形することを防止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記所定方向における前記端子本体の縁端から延設されるとともに、前記基板に当接する端面を有する突出部が備えられてもよい。
この構成によれば、脚部が基板の挿入孔に挿入される際、端子金具は、基板に対する相対位置の位置決めを、突出部の端面と基板との当接によって容易にすることができる。このため、端子金具は、脚部への半田付けを容易にして、基板に対する組付け性の向上を図ることができる。
【0022】
さらに、平板端子が端子本体に装着される際、端子金具は、平板端子の装着方向への端子金具の移動を阻止するとともに、平板端子が装着される際の荷重を、突出部の端面を介して基板に伝達することができる。
このため、端子金具は、平板端子が端子本体に装着される際、半田付け部分が剥離することをより防止できるとともに、脚部の基部近傍が変形することをより防止できる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記突出部が、前記端子本体の厚み方向から見て前記所定方向に直交する方向を長手方向とする略板状に形成されてもよい。
上記所定方向に直交する方向を長手方向とする略板状とは、例えば端子本体の厚み方向から見て、所定方向に直交する方向に長い略矩形の板状、あるいは略台形の板状、もしくは略三角形の板状のことをいう。
この構成によれば、端子金具は、所定方向を長手方向とする突出部に比べて、平板端子が装着される際の荷重を、突出部の端面を介して基板に確実に伝達することができる。
【0024】
さらに、端子金具は、端子本体の熱を、略板状の突出部を介して放熱することができる。このため、端子金具は、比較的高い電流値の電流が流れる端子本体、及び当該端子本体の近傍に位置する基板や周辺部品の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記連結部が、前記基板の主面に当接する略平面状の端面を有し、前記突出部の前記平板端子側の端面が、前記端子本体の厚み方向から見て前記所定方向に直交する方向において、前記連結部における前記平板端子側の端面と略同じ位置に形成されてもよい。
【0026】
この構成によれば、端子金具は、平板端子が装着される際の荷重を、連結部と突出部とにバランス良く分散させることができる。このため、端子金具は、平板端子が装着される際の荷重を、連結部の端面と、突出部の端面を介して基板に効率よく伝達することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記突出部の前記平板端子側の端面が、前記端子本体の厚み方向から見て前記所定方向に直交する方向において、前記連結部における前記平板端子側の端面よりも前記脚部側の位置に形成されてもよい。
この構成によれば、所定方向に直交する方向における突出部の長さを短くできるため、端子金具は、突出部を設けた場合であっても、重量増加を抑えることができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記脚部の基部に隣接するとともに、前記基板の主面に対向する端面を切り欠いて形成された切欠き部が設けられてもよい。
この構成によれば、端子金具は、切欠き部が設けられていない場合に比べて、脚部の基部近傍を撓み変形し易くすることができる。
【0029】
これにより、端子金具は、例えば脚部の間隔が僅かに広がるように、基板の挿入孔に脚部が挿入される場合であっても、挿入孔への脚部の挿入を容易にすることができる。このため、端子金具は、基板の挿入孔への組付け性を向上することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、複数の前記端子本体が、前記平板端子を把持する一対の腕部をそれぞれ備え、少なくとも二つの前記脚部が、前記一対の腕部のうち、隣接する前記端子本体側の腕部とは逆側の腕部と略同じ前記所定方向の位置に形成されてもよい。
【0031】
この構成によれば、端子金具は、隣接する前記端子本体側の腕部と略同じ所定方向の位置に脚部を設けた場合に比べて、少なくとも二つの脚部の間隔を広く確保することができる。このため、端子金具は、複数の端子本体を基板に対して安定した状態で接続することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、少なくとも二つの前記脚部が、前記所定方向の略中央から略同じ間隔を隔てた位置に形成されてもよい。
この構成によれば、端子金具は、複数の端子本体を基板に対してより安定した状態で接続することができる。
【0033】
またこの発明は、上記の端子金具と、該端子金具の脚部が挿入される挿入孔、及び前記端子金具の前記脚部が半田付けされる導電部を有する基板と、前記端子金具が装着された前記基板を収容保持する接続箱本体とが備えられた電気接続箱であることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、電気接続箱は、温度上昇に伴う意図しない不具合を防止して、許容電流値の増加に対応することができる。
さらに、電気接続箱は、平板端子の数量に対して端子金具の数量を低減できるため、基板への端子金具の組付け工数を軽減することができる。このため、電気接続箱は、基板に対する端子金具の組付け性を向上することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記接続箱本体が、所定方向で隣接する前記端子金具の端子本体の間に配置されるとともに、前記基板から前記端子金具が離間する方向への前記端子金具の移動を規制する位置規制部を備えてもよい。
【0036】
この構成によれば、電気接続箱は、端子金具から平板端子を取外す際、基板から端子金具が離脱することを位置規制部によって防止できる。このため、電気接続箱は、基板に対する端子金具の接続状態を安定して維持することができる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記端子金具が、前記所定方向における端子本体の縁端から延設されるとともに、前記基板に当接する端面を有する突出部を備え、前記接続箱本体が、前記端子金具の前記突出部と略同じ所定方向の位置に配置されるとともに、前記基板から前記端子金具が離間する方向への前記端子金具の移動を規制する端部位置規制部を備えてもよい。
【0038】
この構成によれば、電気接続箱は、端子金具から平板端子を取外す際、基板から端子金具が離脱することを端部位置規制部によって防止できる。このため、電気接続箱は、基板に対する端子金具の接続状態をより安定して維持することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明により、温度上昇に伴う意図しない不具合を防止して、許容電流値の増加に対応できる端子金具、及び電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本実施形態における電気接続箱の外観を示す外観斜視図。
図2】分解状態における電気接続箱の外観を示す分解斜視図。
図3】接続箱本体を取外した状態における要部の外観を示す要部外観斜視図。
図4】下方から見た基板及び端子金具の外観を示す分解斜視図。
図5図1中のA-A矢視における要部の断面を示す要部断面図。
図6】第1端子金具の外観を示す側面図。
図7】通電時における端子金具の温度分布を説明する説明図。
図8】別の実施形態における第1端子金具を示す側面図。
図9】別の実施形態における第1端子金具を示す側面図。
図10】別の実施形態における第1端子金具の概略を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態は、例えば自動車などの車両に搭載され、バッテリーと電気機器を接続するとともに、平型ヒューズが装着される電気接続箱1について、図1から図6を用いて説明する。
【0042】
なお、図1は本実施形態における電気接続箱1の外観斜視図を示し、図2は分解状態における電気接続箱1の分解斜視図を示し、図3は接続箱本体6を取外した状態における要部の要部外観斜視図を示している。
【0043】
さらに、図4は下方から見た基板3及び端子金具の分解斜視図を示し、図5図1中のA-A矢視における要部断面図を示し、図6は第1端子金具4の側面図を示している。
また、図2中において、図示を明確にするために、接続箱本体6における箱下部61の図示を省略している。
【0044】
また、図1中の上側を電気接続箱1の上方とし、図1中の下側を電気接続箱1の下方とする。さらに、図中の矢印Xは平面視における電気接続箱1の前後方向(以下、前後方向Xと呼ぶ)を示し、矢印Yは平面視における電気接続箱1の幅方向(以降、幅方向Yと呼ぶ)を示している。
【0045】
本実施形態の電気接続箱1は、図1及び図2に示すように、図示を省略したバッテリーと電気機器との間の電気回路上に配置される複数の平型ヒューズ2と、平型ヒューズ2が接続される基板3とを備えている。
【0046】
さらに、電気接続箱1は、図1及び図2に示すように、平型ヒューズ2を基板3に電気的に接続する一つの第1端子金具4及び二つの第2端子金具5と、第1端子金具4及び第2端子金具5が接続された基板3を収容保持する合成樹脂製の接続箱本体6とを備えている。
【0047】
詳述すると、平型ヒューズ2は、図3に示すように、略板状の一対の平板端子21と、平板端子21同士を接続する合金部材(図示省略)と、平板端子21及び合金部材を一体的に保持する合成樹脂製のカバー部22とを備えている。
【0048】
この平型ヒューズ2は、定格電流以上の電流が流れた際、合金部材が溶断することでバッテリーから電気機器への電力供給を遮断している。
なお、平型ヒューズ2は、図3に示すように、基板3に組付けた状態において、一方の平板端子21が第1端子金具4に接続され、他方の平板端子21が第2端子金具5に接続されている。
【0049】
また、基板3は、図2から図4に示すように、前後方向Xに長い平面視略矩形の平板であって、絶縁性の基材31の下面に導電性を有する導体である上流導電部32及び二つの下流導電部33がプリント配線されている。
なお、基板3に供給される電気は、上流導電部32から平型ヒューズ2を介して下流導電部33に流れるものとする。
【0050】
さらに、基板3には、図2から図4に示すように、接続箱本体6に締結固定する締結部材(図示省略)が挿通される複数の貫通孔34と、第1端子金具4及び第2端子金具5が挿入される複数のスルーホール35とが上下方向に開口形成されている。
なお、第1端子金具4が挿通されるスルーホール35が上流導電部32を貫通して形成され、第2端子金具5が挿通されるスルーホール35が下流導電部33を貫通して形成されている。
【0051】
具体的には、上流導電部32は、基板3に接続された電線(図示省略)を介して、バッテリーと第1端子金具4とを電気的に接続する導体であって、スルーホール35を貫通した第1端子金具4が半田付けされている。
【0052】
一方、二つの下流導電部33は、基板3に接続された電線(図示省略)を介して、電気機器と第2端子金具5とを電気的に接続する導体であって、それぞれ独立した導体で構成されている。この下流導電部33には、スルーホール35を貫通した第2端子金具5が半田付けされている。
【0053】
また、第1端子金具4は、導電性を有する金属製板材を所望される形状に打ち抜いて形成されている。この第1端子金具4は、図3に示すように、基板3の上面に対して起立した状態で配置され、平型ヒューズ2における一方の平板端子21と基板3の上流導電部32とを電気的に接続している。
【0054】
具体的には、第1端子金具4は、図3及び図5に示すように、厚み方向が幅方向Yとなるように基板3に配置されるとともに、半田付けによって基板3の上流導電部32に接続されている。
【0055】
この第1端子金具4は、図5及び図6に示すように、平型ヒューズ2における一方の平板端子21をそれぞれ把持する二つの端子本体41と、基板3のスルーホール35に上方から下方へ向けて挿入され、基板3の上流導電部32に半田付けされる一対の脚部42とを備えている。
【0056】
さらに、第1端子金具4は、図5及び図6に示すように、隣接する端子本体41を連結する連結部43と、端子本体41の縁端から前後方向Xへ延設された一対の突出部44とを備えている。
なお、二つの端子本体41、連結部43、及び一対の突出部44は、第1端子金具4の厚み方向から見て前後方向Xに直交する方向(上下方向)に沿った仮想直線で第1端子金具4を区切った部位であって、前後方向Xに沿って並置されている。
【0057】
詳述すると、2つの端子本体41は、図5及び図6に示すように、幅方向Yに厚みを有する略板状であって、前後方向Xに所定間隔を隔てて並置されている。この端子本体41は、図5及び図6に示すように、平板端子21の厚み方向(前後方向X)に平板端子21を把持する一対の腕部45と、腕部45を支持する側面視略矩形の板状部46とで構成されている。
【0058】
具体的には、腕部45は、図6に示すように、幅方向Yから見た側面視において、上下方向に長い略矩形の矩形部分45aと、他方の腕部45へ向けて矩形部分45aの端面から略半円状に突出した半円部分45bとで形成されている。
この一対の腕部45は、図5に示すように、前後方向Xにおける半円部分45bの間隔が、平板端子21の厚みよりも僅かに狭い間隔となるように形成されている。
【0059】
また、板状部46は、図5及び図6に示すように、幅方向Yから見た側面視において、上下方向に長い略矩形の平板であって、下端面が基板3の上面に当接可能に形成されている。つまり、端子本体41は、基板3の上面に当接可能な略平面状の下端面を有する形状に形成されている。
【0060】
なお、板状部46は、図6に示すように、前後方向Xの端面が腕部45の端面に連続して上下方向に延びる平面となる形状に形成されている。
さらに、端子本体41の下端には、図6に示すように、後述する脚部42に隣接して切り欠かれた外側切欠き部41a及び内側切欠き部41bが形成されている。
【0061】
具体的には、外側切欠き部41aは、図6に示すように、前後方向Xの略中央から離間する方向、すなわち前後方向Xの外方側で脚部42に隣接して形成されている。
この外側切欠き部41aは、前後方向Xにおける脚部42の端面に連続するように、端子本体41の下端面を上方へ突出する側面視略半円状に切り欠いて形成されている。
【0062】
一方、内側切欠き部41bは、図6に示すように、前後方向Xの略中央へ向かう方向、すなわち前後方向Xの内方側で脚部42に隣接して形成されている。
この内側切欠き部41bは、前後方向Xにおける脚部42の端面に連続するように、端子本体41の下端面を上方へ突出する側面視略半円状に切り欠いて形成されている。なお、内側切欠き部41bは、外側切欠き部41aよりも大径の略半円状に切り欠かれている。
【0063】
また、一対の脚部42は、図5及び図6に示すように、前後方向Xの略中央から略同じ前後方向Xの間隔、かつ基板3のスルーホール35よりも僅かに広い前後方向Xの間隔を隔てた位置に形成されている。さらに、一対の脚部42は、基板3のスルーホール35を貫通する上下方向の長さで、端子本体41の下端から下方へ向けて延設されている。
【0064】
このため、脚部42は、図5に示すように、前後方向Xの間隔を僅かに広げるように変形しながら、基板3のスルーホール35に対して圧入される。そして、脚部42は、スルーホール35を貫通した先端が基板3の上流導電部32に半田付けされることで、半田付け部分Sを介して上流導電部32に導通可能に接続されている。
【0065】
具体的には、脚部42は、図6に示すように、一対の腕部45のうち、隣接する端子本体41側の腕部45とは逆側の腕部45と略同じ前後方向Xの位置に形成されている。換言すると、脚部42は、前後方向Xの略中央から最も離間した腕部45と略同じ前後方向Xの位置に形成されている。
【0066】
さらに詳述すると、脚部42は、図6に示すように、前後方向Xにおける腕部45の端面の間に位置するとともに、他方の脚部42との前後方向Xの間隔が下方へ向かうほど僅かに広くなるように延設されている。
【0067】
さらに、脚部42には、図5及び図6に示すように、前後方向Xにおいて、他方の脚部42とは逆方向へ突出するとともに、基板3のスルーホール35の縁端に係止される係止部分42aが形成されている。
【0068】
また、連結部43は、図6に示すように、端子本体41と略同じ厚みの板状であって、一対の腕部45の基部よりも下方の位置において、前後方向Xで隣接する端子本体41を連結している。この連結部43は、基板3の上面に当接可能な略平面状の下端面を有する形状に形成されている。
【0069】
具体的には、連結部43は、図6に示すように、幅方向から見た側面視において、前後方向Xを長手方向とする略矩形の板状であって、その下端が端子本体41の下端と略同じ上下方向の位置となるように配置されている。
【0070】
また、一対の突出部44は、図6に示すように、幅方向Yから見た側面視において、端子本体41を挟んで連結部43に対向配置された平板状に形成されている。換言すると、突出部44は、前後方向Xの略中央から離間する方向、すなわち前後方向Xの外方側へ向けて、端子本体41の下部から突出した形状に形成されている。
【0071】
具体的には、突出部44は、図6に示すように、幅方向Yから見た側面視において、上下方向に長い略矩形であって、連結部43とは逆側の端子本体41の端面から前後方向Xへ向けて突設されている。
【0072】
さらに、突出部44は、基板3の上面に当接可能な略平面状の下端面を有する形状に形成されている。
なお、突出部44は、連結部43と略同じ上下方向の長さに形成されている。このため、突出部44は、連結部43の上端面と略同じ上下方向の位置に上端面を有している。
【0073】
また、二つの第2端子金具5は、導電性を有する金属製板材を所望される形状に打ち抜いて形成されている。この二つの第2端子金具5は、図3に示すように、基板3の上面に対して起立した状態で配置され、平型ヒューズ2における他方の平板端子21と基板3の下流導電部33とをそれぞれ電気的に接続している。
【0074】
具体的には、二つの第2端子金具5は、図3及び図4に示すように、厚み方向が幅方向Yとなるように基板3に配置されている。さらに、二つの第2端子金具5は、一方の第2端子金具5が、第1端子金具4における一方の端子本体41に対して幅方向Yに所定間隔を隔てて対向配置され、他方の第2端子金具5が、第1端子金具4における他方の端子本体41に対して幅方向Yに所定間隔を隔てて対向配置されている。
【0075】
そして、二つの第2端子金具5は、半田付けによって下流導電部33にそれぞれ接続されている。
このような第2端子金具5は、図3及び図4に示すように、平型ヒューズ2における他方の平板端子21を把持する一つの端子本体51と、基板3のスルーホール35に上方から下方へ向けて挿入され、基板3の下流導電部33に半田付けされる一対の脚部52とを備えている。
【0076】
さらに、第2端子金具5は、図3及び図4に示すように、前後方向Xにおける端子本体51の縁端からそれぞれ延設された一対の突出部53を備えている。
なお、第2端子金具5の端子本体51、一対の脚部52、及び一対の突出部53は、それぞれ第1端子金具4の端子本体41、一対の脚部42、及び一対の突出部44と略同じ形状のため、その詳細な説明を省略する。
【0077】
また、接続箱本体6は、図1及び図2に示すように、第1端子金具4及び第2端子金具5が装着された基板3を収容保持する略ボックス状であって、前後方向Xに長い平面視略矩形に形成されている。この接続箱本体6は、基板3が締結固定される箱下部61と、箱下部61に対して上方から下方へ向けて組付けられる箱上部62とで構成されている。
【0078】
より詳しくは、箱下部61は、基板3よりも大きい平面視略矩形であって、上方が開口した略ボックス状に形成されている。
箱上部62は、図2及び図5に示すように、下方が開口した略ボックス状であって、上下方向に貫通した複数の装着孔Hが上面部分に開口形成されている。この装着孔Hは、内部に収容された第1端子金具4及び第2端子金具5に平型ヒューズ2を接続するために開口形成されている。
【0079】
さらに、箱上部62の上面には、図5に示すように、平型ヒューズ2のカバー部22に当接して、平型ヒューズ2の下方への移動を規制する被当接部63が、装着孔Hの縁端から前後方向Xへ突設されている。
【0080】
このような箱上部62の内部には、図5に示すように、基板3に対して第1端子金具4及び二つの第2端子金具5が上方へ向けて移動することを規制する第1位置規制部64及び一対の第2位置規制部65が、装着孔Hに隣接して形成されている。
【0081】
具体的には、第1位置規制部64は、図5に示すように、前後方向Xに沿った縦断面において、第1端子金具4の連結部43に対向する上面から下方へ向けて延びる断面略矩形に形成されている。
この第1位置規制部64は、その下端が第1端子金具4の連結部43における上端面に近接する上下方向の長さで形成されている。
【0082】
なお、第1位置規制部64は、幅方向Yへ延びて、幅方向Yで第1端子金具4の連結部43に対向する第2端子金具5の突出部53の上方に位置している。これにより、第1位置規制部64は、基板3に対して第1端子金具4及び二つの第2端子金具5が上方へ向けて移動することを規制している。
【0083】
一方、第2位置規制部65は、図5に示すように、前後方向Xに沿った縦断面において、第1端子金具4の突出部44に対向する上面から下方へ向けて延びる断面略矩形に形成されている。
この第2位置規制部65は、その下端が第2端子金具5の突出部44における上端面に近接する上下方向の長さで形成されている。
【0084】
なお、第2位置規制部65は、幅方向Yへ延びて、第1端子金具4の突出部44に対向する第2端子金具5の突出部53の上方に位置している。これにより、第2位置規制部65は、基板3に対して第1端子金具4及び二つの第2端子金具5が上方へ向けて移動することを規制している。
【0085】
引き続き、上述した構成の電気接続箱1において、通電時における第1端子金具4の温度分布について図7を用いて説明する。なお、第2端子金具5と同一形状の比較金具を、第1端子金具4に代えて基板3の上流導電部32に接続した場合を、比較例として説明する。
【0086】
また、図7は通電時における端子金具の温度分布を説明する説明図であり、図7(a)は比較例の温度分布を説明する説明図であり、図7(b)は本実施形態の温度分布を説明する説明図である。なお、図7中において、図示を明確にするために突出部の図示を省略している。
【0087】
また、電気接続箱1には、0Aの平型ヒューズ2Aと、13Aの平型ヒューズ2Bとが装着されるものとする。
まず、比較例は、図7(a)に示すように、0Aの平型ヒューズ2Aが第1の比較金具7と第2端子金具5とによって把持され、13Aの平型ヒューズ2Bが第2の比較金具8と第2端子金具5とによって把持されている。
【0088】
この比較例では、図7(a)に示すように、13Aの平型ヒューズ2Bを把持する第2の比較金具8の温度が、0Aの平型ヒューズ2Aを把持する第1の比較金具7に比べて高温であることがわかる。
このため、比較例では、図7(a)に示すように、第2の比較金具8の近傍における基板3の温度が、第1の比較金具7の近傍に比べて高温となっている。
【0089】
これに対して、本実施形態では、図7(b)に示すように、0Aの平型ヒューズ2Bを把持する端子本体41の温度が、比較例の第1の比較金具7に比べて高温であることがわかる。
【0090】
一方、本実施形態では、図7(b)に示すように、13Aの平型ヒューズ2Bを把持する端子本体41の温度が、比較例の第2の比較金具8に比べて脚部42に近いほど低温となっている。このことから、本実施形態では、13Aの平型ヒューズ2Bを把持する端子本体41の熱が、0Aの平型ヒューズ2Bを把持する端子本体41に、連結部43を介して伝達されていることがわかる。
【0091】
さらに、本実施形態では、図7(b)に示すように、13Aの平型ヒューズ2Bを把持する端子本体41の近傍における基板3の温度が、比較例の第2の比較金具8の近傍に比べて高温の範囲が狭くなっている。
このため、本実施形態は、比較例に比べて、第1端子金具4及び基板3の温度の均一化が図れていることがわかる。
【0092】
以上のように、本実施形態における第1端子金具4は、平板端子21と基板3とを電気的に接続する端子金具である。
この第1端子金具4は、平板端子21の厚み方向に平板端子21を把持する略板状で、前後方向Xに並置された二つの端子本体41と、基板3のスルーホール35に挿入され、基板3の上流導電部32に半田付けされる一対の脚部42とが備えられたものである。
【0093】
さらに、第1端子金具4は、前後方向Xに隣接する端子本体41を連結する連結部43が備えられたものである。
この構成によれば、第1端子金具4は、温度上昇に伴う意図しない不具合を防止して、許容電流値の増加に対応することができる。
【0094】
具体的には、隣接する端子本体41が連結部43によって連結されたことにより、第1端子金具4は、端子本体41で発生した熱を、連結部43で放熱しながら、連結部43を介して比較的低温の部位へ伝達することができる。
つまり、第1端子金具4は、端子本体41を連結するだけでなく、通電に伴って発生した熱を伝達分散する熱伝導部位として、連結部43を機能させることができる。
【0095】
これにより、第1端子金具4は、比較的高い電流値の電流が流れる端子本体41、及び当該端子本体41の近傍に位置する基板3や周辺部品の温度上昇を抑制することができる。このため、第1端子金具4は、温度上昇に伴う意図しない不具合を防止して、許容電流値の増加に対応することができる。
【0096】
加えて、二つの端子本体41を連結部43で連結しているため、第1端子金具4は、基板3に組付けられる平板端子21の数量に対して、基板3に装着される端子金具の数量を低減することができる。このため、第1端子金具4は、複数の端子金具が基板3に接続される場合であっても、基板3への組付け性を向上することができる。
【0097】
また、脚部42は、端子本体41の数と同数だけ設けられたものである。
この構成によれば、第1端子金具4は、平板端子21と基板3の上流導電部32との間の導通経路を、接続される平板端子21の数量に応じて確保することができる。このため、第1端子金具4は、端子本体41の数に対して脚部42の数が少ない場合に比べて、通電に伴う脚部42の基部近傍の温度上昇を抑制することができる。
【0098】
さらに、端子本体41と略同じ前後方向Xの位置に脚部42を設けたことにより、第1端子金具4は、基板3に接続された状態において、端子本体41をそれぞれ安定した状態で支持することができる。このため、第1端子金具4は、平板端子21の着脱に伴う荷重が端子本体41に加わった際、端子本体41が傾倒するように変形することを抑制できる。
【0099】
また、端子本体41及び連結部43は、基板3の主面に当接する略平面状の端面を有するものである。
この構成によれば、脚部42が基板3のスルーホール35に挿入される際、第1端子金具4は、基板3に対する相対位置の位置決めを、端子本体41の端面及び連結部43の端面と基板3との当接によって容易にすることができる。このため、第1端子金具4は、脚部42への半田付けを容易にして、基板3に対する組付け性の向上を図ることができる。
【0100】
さらに、平板端子21が端子本体41に装着される際、第1端子金具4は、平板端子21の装着方向(上方から下方)への第1端子金具4の移動を阻止するとともに、平板端子21が装着される際の荷重を、端子本体41の端面及び連結部43の端面を介して基板3に伝達することができる。
【0101】
このため、第1端子金具4は、平板端子21が端子本体41に装着される際、半田付け部分Sが剥離することを防止できるとともに、脚部42の基部近傍が変形することを防止できる。
【0102】
また、第1端子金具4は、前後方向Xにおける端子本体41の縁端から延設されるとともに、基板3に当接する端面を有する突出部44が備えられたものである。
この構成によれば、脚部42が基板3のスルーホール35に挿入される際、第1端子金具4は、基板3に対する相対位置の位置決めを、突出部44の端面と基板3との当接によって容易にすることができる。このため、第1端子金具4は、脚部42への半田付けを容易にして、基板3に対する組付け性の向上を図ることができる。
【0103】
さらに、平板端子21が端子本体に装着される際、第1端子金具4は、平板端子21の装着方向(上方から下方)への第1端子金具4の移動を阻止するとともに、平板端子21が装着される際の荷重を、突出部44の端面を介して基板3に伝達することができる。
このため、第1端子金具4は、平板端子21が端子本体に装着される際、半田付け部分Sが剥離することをより防止できるとともに、脚部42の基部近傍が変形することをより防止できる。
【0104】
また、突出部44は、上下方向を長手方向とする略矩形の板状に形成されたものである。
この構成によれば、第1端子金具4は、前後方向Xを長手方向とする突出部に比べて、平板端子21が装着される際の荷重を、突出部44の端面を介して基板3に確実に伝達することができる。
【0105】
さらに、第1端子金具4は、端子本体41の熱を、略板状の突出部44を介して放熱することができる。このため、第1端子金具4は、比較的高い電流値の電流が流れる端子本体41、及び当該端子本体41の近傍に位置する基板3や周辺部品の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0106】
また、連結部43は、基板3の上面に当接する略平面状の下端面を有するものである。さらに、突出部44の上端面は、連結部43の上端面と略同じ上下方向の位置に形成されたものである。
【0107】
この構成によれば、第1端子金具4は、平板端子21が装着される際の荷重を、連結部43と突出部44とにバランス良く分散させることができる。このため、第1端子金具4は、平板端子21が装着される際の荷重を、連結部43の端面と、突出部44の端面を介して基板に効率よく伝達することができる。
【0108】
また、二つの端子本体41は、平板端子21を把持する一対の腕部45をそれぞれ備えたものである。そして、連結部43は、腕部45の基部よりも脚部42側で、端子本体41を連結する構成である。
【0109】
この構成によれば、端子本体41の一方の腕部45同士が連結部43を介して連結されないため、第1端子金具4は、一方の腕部45の撓み変形が連結部43によって阻害されることがない。
【0110】
これにより、第1端子金具4は、一対の腕部45による平板端子21の把持を容易にするとともに、平板端子21を確実に把持することができる。このため、第1端子金具4は、平板端子21の組付け性を確保することができる。
【0111】
また、第1端子金具4は、脚部42の基部に隣接するとともに、基板3の主面に対向する端面を切り欠いて形成された外側切欠き部41a及び内側切欠き部41bが設けられたものである。
この構成によれば、第1端子金具4は、外側切欠き部41a及び内側切欠き部41bが設けられていない場合に比べて、脚部42の基部近傍を撓み変形し易くすることができる。
【0112】
これにより、第1端子金具4は、例えば脚部42の間隔が僅かに広がるように、基板3のスルーホール35に脚部42が挿入される場合であっても、スルーホール35への脚部42の挿入を容易にすることができる。このため、第1端子金具4は、基板3のスルーホール35への組付け性を向上することができる。
【0113】
また、複数の端子本体41は、平板端子21を把持する一対の腕部45をそれぞれ備えたものである。そして、一対の脚部42は、一対の腕部45のうち、隣接する端子本体41側の腕部45とは逆側の腕部45と略同じ前後方向Xの位置に形成されたものである。
【0114】
この構成によれば、第1端子金具4は、隣接する端子本体41側の腕部45と略同じ前後方向Xの位置に脚部42を設けた場合に比べて、一対の脚部42の間隔を広く確保することができる。このため、第1端子金具4は、複数の端子本体41を基板3に対して安定した状態で接続することができる。
【0115】
また、一対の脚部42は、前後方向Xの略中央から略同じ間隔を隔てた位置に形成されたものである。
この構成によれば、第1端子金具4は、複数の端子本体41を基板3に対してより安定した状態で接続することができる。
【0116】
また、本実施形態の電気接続箱1は、上記の第1端子金具4と、第1端子金具4の脚部42が挿入されるスルーホール35、及び第1端子金具4の脚部42が半田付けされる上流導電部32を有する基板3と、第1端子金具4が装着された基板3を収容保持する接続箱本体6とが備えられたものである。
【0117】
この構成によれば、電気接続箱1は、温度上昇に伴う意図しない不具合を防止して、許容電流値の増加に対応することができる。
さらに、電気接続箱1は、平板端子21の数量に対して端子金具の数量を低減できるため、基板3への端子金具の組付け工数を軽減することができる。このため、電気接続箱1は、基板3に対する第1端子金具4の組付け性を向上することができる。
【0118】
また、接続箱本体6は、前後方向Xで隣接する第1端子金具4の端子本体41の間に配置されるとともに、基板3から第1端子金具4が離間する方向への第1端子金具4の移動を規制する第1位置規制部64を備えたものである。
【0119】
この構成によれば、電気接続箱1は、第1端子金具4から平板端子21を取外す際、基板3から第1端子金具4が離脱することを第1位置規制部64によって防止できる。このため、電気接続箱1は、基板3に対する第1端子金具4の接続状態を安定して維持することができる。
【0120】
また、第1端子金具4は、前後方向Xにおける端子本体41の縁端から延設されるとともに、基板3に当接する端面を有する突出部44を備えたものである。さらに、接続箱本体6は、第1端子金具4の突出部44と略同じ前後方向Xの位置に配置されるとともに、基板3から第1端子金具4が離間する方向への第1端子金具4の移動を規制する第2位置規制部65を備えたものである。
【0121】
この構成によれば、電気接続箱1は、第1端子金具4から平板端子21を取外す際、基板3から第1端子金具4が離脱することを第2位置規制部65によって防止できる。このため、電気接続箱1は、基板3に対する第1端子金具4の接続状態をより安定して維持することができる。
【0122】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の端子金具は、実施形態の第1端子金具4に対応し、
以下同様に、
厚み方向及び所定方向は、前後方向Xに対応し、
挿入孔は、スルーホール35に対応し、
導電部は、上流導電部32に対応し、
基板の主面は、基板3の上面に対応し、
切欠き部は、外側切欠き部41a及び内側切欠き部41bに対応し、
離間する方向は、下方から上方に対応し、
位置規制部は、第1位置規制部64に対応し、
端部位置規制部は、第2位置規制部65に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0123】
例えば、上述した実施形態において、平型ヒューズ2が装着される電気接続箱1としたが、これに限定せず、リレーのタブ端子が第1端子金具4及び第2端子金具5を介して基板3に接続される電気接続箱であってもよい。
また、前後方向Xに端子本体41を連結した第1端子金具4としたが、これに限定せず、幅方向Yに端子本体を連結した第1端子金具であってもよい。
【0124】
また、基板3の下面に上流導電部32及び下流導電部33を設けた構成としたが、これに限定せず、基板3の上面に上流導電部及び下流導電部を設けた構成であってもよい。この場合、スルーホール35に挿入した第1端子金具4及び第2端子金具5を、それぞれ基板3の上面に半田付けによって接続する。
【0125】
また、二つの端子本体41を連結した第1端子金具4としたが、これに限定せず、複数の端子本体を連結した第1端子金具であってもよい。例えば別の実施形態における第1端子金具9の側面図を示す図8のように、三つの端子本体91が二つの連結部92で連結された第1端子金具9であってもよい。
【0126】
この場合、第1端子金具9の脚部93は、少なくとも二つ以上あればよく、例えば図8に示すように、端子本体91の数と同じ三つであってもよい。さらに、三つの脚部93のうち、一つの脚部93は、図8に示すように、第1端子金具9の前後方向Xの略中央に配置してもよい。
【0127】
また、前後方向Xを長手方向とする形状の連結部43としたが、これに限定せず、例えば別の実施形態における第1端子金具4の側面図を示す図9のように、前後方向Xを短手方向とする形状の連結部47であってもよい。この場合、連結部47は、腕部45の基部よりも下方の位置において、端子本体41の板状部46を連結する形状が好ましい。
【0128】
この構成によれば、第1端子金具4は、前後方向Xを長手方向とする形状の連結部43に比べて、幅方向Yに沿った断面積を大きくすることができる。
このため、第1端子金具4は、隣接する端子本体41を剛性の高い連結部47で連結することができる。これにより、第1端子金具4は、例えば平板端子21が着脱される際、端子本体41が傾倒するように変形することを、連結部47及び隣接する端子本体41によって抑制できる。
【0129】
さらに、断面積及び表面積が大きくなるため、連結部47は、端子本体41の熱をより放熱しながら、比較的低温な部位へより効率よく伝達させることができる。このため、第1端子金具4は、比較的高い電流値の電流が流れる端子本体41、及び当該端子本体41の近傍に位置する基板3や周辺部品の温度上昇をより抑制することができる。
【0130】
また、連結部43の上端面と略同じ上下方向の位置に上端面を有する第1端子金具4の突出部44としたが、これに限定せず、連結部43の上端面よりも下方の位置に上端面を有する突出部であってもよい。
この構成によれば、上下方向における突出部の長さを短くできるため、第1端子金具4は、突出部を設けた場合であっても、重量増加を抑えることができる。
【0131】
また、前後方向Xの両端に突出部44を備えた第1端子金具4としたが、これに限定せず、突出部44が設けられていない第1端子金具であってもよい。あるいは、例えば別の実施形態における第1端子金具4の側面図を示す図10(a)のように、側面視略矩形の板状ではなく、連結部43の上端面よりも下方の位置に上端面を有するとともに、端子本体41側が長辺となる側面視略台形の突出部48であってもよい。
【0132】
この構成であっても、第1端子金具4は、上方から下方への移動を規制することができる。さらに、上下方向における突出部の長さを短くできるため、第1端子金具4は、突出部48を設けた場合であっても、重量増加を抑えることができる。この場合、接続箱本体6には、下方から上方への第1端子金具4の移動を規制する第2位置規制部65を設けなくともよい。
【0133】
また、一対の脚部42が、一対の腕部45のうち、隣接する端子本体41側の腕部45とは逆側の腕部45と略同じ前後方向Xの位置に形成された第1端子金具4としたが、これに限定しない。例えば図10(b)に示すように、一対の脚部49が、隣接する端子本体41側の腕部45と略同じ前後方向Xの位置に形成された第1端子金具4であってもよい。
【0134】
この際、一対の脚部49は、図10(b)に示すように、前後方向Xにおける他方の脚部49との間隔が下方へ向かうほど僅かに狭くなるように延設されてもよい。さらにこの場合、脚部49の係止部分49aは、隣接する脚部49側へ突出する形状に形成する。
【符号の説明】
【0135】
1…電気接続箱
3…基板
4,9…第1端子金具
6…接続箱本体
21…平板端子
32…上流導電部
35…スルーホール
41,91…端子本体
41a…外側切欠き部
41b…内側切欠き部
42,49,93…脚部
43,47,92…連結部
44,48…突出部
45…腕部
64…第1位置規制部
65…第2位置規制部
X…前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10