(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】Si-ヒドロキシル結合を架橋するための硬化方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20241205BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2021531555
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(86)【国際出願番号】 US2019062833
(87)【国際公開番号】W WO2020117496
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-22
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シーモンズ, マーティン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アン, ビョン グク
(72)【発明者】
【氏名】リャン, チンメイ
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0004806(US,A1)
【文献】特開平08-306681(JP,A)
【文献】特表2009-539265(JP,A)
【文献】特開2002-093790(JP,A)
【文献】特開2006-310448(JP,A)
【文献】特開平05-343336(JP,A)
【文献】特開2001-156061(JP,A)
【文献】特開2010-182963(JP,A)
【文献】特開2014-183218(JP,A)
【文献】特開2002-118102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
基板上の1つ以上のトレンチ内にケイ素および酸素含有層を配置することであって、当該ケイ素および酸素含有層が末端シラノール基を有し、且つ前記1つ以上のトレンチが、
幅が10ナノメートル(nm)以下であり、
アスペクト比が2:1以上であり、前記アスペクト比が、前記1つ以上のトレンチの前記幅に対する深さの比によって定義される、
ケイ素および酸素含有層を配置することと、
前記ケイ素および酸素含有層が載った前記基板をチャンバ内に移送することと、
前記チャンバ内で前記基板を加熱することと、
前記チャンバの処理空間全体に分配されたアンモニアまたはアミン基含有触媒に、前記ケイ素および酸素含有層を曝露することと、
前記ケイ素および酸素含有層を前記アンモニアまたはアミン基含有触媒に曝露した後、前記ケイ素および酸素含有層をUV硬化することと、
を含み、
UV硬化後の前記ケイ素および酸素含有層は、8オングストローム/分(Å/分)未満のウェットエッチング速度と1E-6
A/cm
2
未満のリーク電流密度を有する、方法。
【請求項2】
前記基板を置くことが、
前記基板を前記チャンバの基板支持体に移送することと、
前記基板支持体と前記チャンバのシャワーヘッドとの間の0.25インチから5インチのプロセス距離の上昇処理位置まで前記基板支持体を上昇させることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チャンバ内の圧力が、0.5トルから600トルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
UV硬化後の前記ケイ素および酸素含有層は、さらに、12%未満の収縮量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
方法であって、
1つ以上のトレンチを有する基板をチャンバ内の基板支持体上に置くことであって、前記1つ以上のトレンチが、
幅が10ナノメートル(nm)以下であり、
アスペクト比が2:1以上であり、前記アスペクト比が、前記1つ以上のトレンチの前記幅に対する深さの比によって定義される、
1つ以上のトレンチを有する基板を置くことと、
末端シラノール基を有するケイ素および酸素含有層を、前記1つ以上のトレンチ内に堆積させることと、
前記基板が載った前記基板支持体を100℃から1000℃の温度に加熱することと、
処理空間全体に分配されたアンモニアまたはアミン基含有触媒に、前記ケイ素および酸素含有層を曝露することと、
前記ケイ素および酸素含有層を前記アンモニアまたはアミン基含有触媒に曝露した後、前記ケイ素および酸素含有層をUV硬化することと、
を含み、
前記曝露することが、隣接する末端シラノール基を架橋して、重合されたケイ素および酸素含有層を形成することを含み、
UV硬化後の前記ケイ素および酸素含有層は、8オングストローム/分(Å/分)未満のウェットエッチング速度と1E-6
A/cm
2
未満のリーク電流密度を有する、方法。
【請求項6】
前記ケイ素および酸素含有層を堆積させることが、
前記チャンバの前記処理空間に酸素ラジカルおよびケイ素含有前駆体を導入し、前記酸素ラジカルが前記ケイ素含有前駆体を重合し、前記末端シラノール基を有する前記ケイ素および酸素含有層を前記1つ以上のトレンチ内に堆積させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸素ラジカルおよび前記ケイ素含有前駆体を導入する前に、前記基板支持体を、前記基板支持体と前記チャンバのシャワーヘッドとの間の0.5インチから5インチの第1のプロセス距離に上昇させることと、
前記ケイ素および酸素含有層を前記アンモニアまたはアミン基含有触媒に曝露する前に、前記基板支持体を、前記基板支持体と前記シャワーヘッドとの間の0.25インチから5インチの第2のプロセス距離に上昇させることと、
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ケイ素含有前駆体が、シロキサン、カルボシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、テトラエトキシシラン(TEOS)、ビス(トリメチルシリル)メタン(BTMSM)、メチレンビス(ジメチルシラン)、メチレンビス(メチルシラン)、メチレンジシラン、シラン、ジシラン、トリシリルアミン、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ケイ素および酸素含有層を前記アンモニアまたはアミン基含有触媒に曝露している間の前記チャンバ内の圧力が、0.5トルから50トルである、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記アンモニアまたはアミン基含有触媒が、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のトレンチが、その中に配置された窒化ケイ素層および窒化チタン層を含み、前記ケイ素および酸素含有層が、前記窒化ケイ素層および前記窒化チタン層の上に形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
UV硬化後の前記ケイ素および酸素含有層は、さらに、12%未満の収縮量を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
方法であって、
1つ以上のトレンチを有する基板を第1のチャンバ内の基板支持体上に置くことであって、前記1つ以上のトレンチが、
幅が10ナノメートル(nm)以下であり、
アスペクト比が5:1以上であり、前記アスペクト比が、前記1つ以上のトレンチの前記幅に対する高さの比によって定義される、
1つ以上のトレンチを有する基板を置くことと、
ケイ素および酸素含有層を堆積させることであって、前記第1のチャンバの処理空間に酸素ラジカルおよびケイ素含有前駆体を導入し、前記酸素ラジカル及び前記ケイ素含有前駆体が、末端シラノール基を有するケイ素および酸素含有層を前記1つ以上のトレンチ上に堆積させることと、
前記第1のチャンバから前記基板を取り出し、前記基板を第2のチャンバ内に配置することと、
前記第2のチャンバ内の前記基板が載った基板支持体を10℃から1000℃の温度に加熱することと、
処理空間全体に分配されたアンモニアまたはアミン基含有触媒に、前記ケイ素および酸素含有層を曝露することであって、当該曝露することが、隣接する末端シラノール基を架橋して、重合されたケイ素および酸素含有層を形成することを含み、当該重合されたケイ素および酸素含有層を形成することがH
2Oを生成する、前記ケイ素および酸素含有層を曝露することと、
前記処理空間から前記H
2Oを排出することと、
前記ケイ素および酸素含有層を前記アンモニアまたはアミン基含有触媒に曝露した後、前記ケイ素および酸素含有層をUV硬化することと、
を含み、
UV硬化後の前記ケイ素および酸素含有層は、8オングストローム/分(Å/分)未満のウェットエッチング速度と1E-6
A/cm
2
未満のリーク電流密度を有する、方法。
【請求項14】
前記アンモニアまたはアミン基含有触媒が、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
UV硬化後の前記ケイ素および酸素含有層は、さらに、12%未満の収縮量を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記アンモニアまたはアミン基含有触媒が、0.1SLMから25SLMの流量で前記処理空間に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
不活性ガスが、1SLMから10SLMの流量で前記処理空間に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記アンモニアまたはアミン基含有触媒が、アンモニアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記アンモニアまたはアミン基含有触媒が、0.1SLMから25SLMの流量で前記処理空間に導入される、請求項5に記載の方法。
【請求項20】
不活性ガスが、1SLMから10SLMの流量で前記処理空間に導入される、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、一般に、半導体デバイスの製造に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、ケイ素および酸素含有層を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体製造では、様々なフィーチャが形成され得る。このようなフィーチャには、高アスペクト比のトレンチが含まれる。多くの半導体デバイス製造プロセスでは、ケイ素および酸素含有層をトレンチに堆積させることによってトレンチを埋める必要がある。層は、流動性化学気相堆積(FCVD)、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、高密度プラズマ化学気相堆積(HDP-CVD)、オゾンベースCVD、熱CVD、またはその他のプロセスのいずれかによって堆積させることができる。堆積されたケイ素および酸素含有層は、末端シラノール(Si-OH)基を含み、その結果、高いウェットエッチング速度および大きいリーク電流がもたらされる。従来、ウェットエッチング速度とリーク電流を下げるために、ケイ素および酸素含有層は、UV放射に曝露され、末端Si-OH基を架橋することによって共有Si-O-Si結合を形成する。しかしながら、UV放射が高アスペクト比のトレンチの底部近くの末端Si-OH基に到達することは困難である。したがって、高アスペクト比で末端Si-OH基を架橋することができる、共有Si-O-Si結合を有するケイ素および酸素含有層を形成する方法が必要である。
【発明の概要】
【0003】
[0003]1つ以上の実施形態で、方法が提供され、方法は、基板をチャンバ内に配置することを含み、基板は、10ナノメートル(nm)以下の幅および2:1以上のアスペクト比を有する1つ以上のトレンチを有する。アスペクト比は、1つ以上のトレンチの幅に対する深さの比によって定義される。ケイ素および酸素含有層が、1つ以上のトレンチ内に配置され、ケイ素および酸素含有層は、末端シラノール(Si-OH)基を有する。この方法はまた、基板を約100℃から約1000℃の温度に加熱することと、ケイ素および酸素含有層を、チャンバの処理空間全体に分配されたアンモニアまたはアミン基含有前駆体に曝露することと、を含む。
【0004】
[0004]別の実施形態で、方法が提供される。この方法は、基板をチャンバ内に配置することを含む。基板は、10ナノメートル(nm)以下の幅および2:1以上のアスペクト比を有する1つ以上のトレンチを有する。アスペクト比は、1つ以上のトレンチの幅に対する深さの比によって定義される。この方法は、1つ以上のトレンチ上にケイ素および酸素含有層を堆積させることと、基板を約10℃から約150℃の温度に加熱することと、ケイ素および酸素含有層を、チャンバの処理空間全体に分配されたアンモニアまたはアミン基含有前駆体に曝露することと、をさらに含む。ケイ素および酸素含有層は、末端シラノール(Si-OH)基を有する。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態で、方法が提供される。この方法は、基板を第1のチャンバ内に配置することを含む。基板は、10ナノメートル(nm)以下の幅および5:1以上のアスペクト比を有する1つ以上のトレンチを有する。アスペクト比は、1つ以上のトレンチの幅に対する高さの比によって定義される。ケイ素および酸素含有層が堆積される。ケイ素および酸素含有層を堆積させることは、酸素ラジカルおよびケイ素含有前駆体を第1のチャンバの処理空間に供給することを含む。酸素ラジカルは、[O-Si-(CH3)x]y鎖を重合させて、末端シラノール(Si-OH)基を有するケイ素および酸素含有層を1つ以上のトレンチ上に堆積させる。この方法は、第1のチャンバから基板を取り出し、基板を第2のチャンバに配置することと、基板を約100℃から約1000℃の温度に加熱することと、ケイ素および酸素含有層を処理空間全体に分配されたアンモニアまたはアミン基含有前駆体に曝露することと、をさらに含む。
【0006】
[0006]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上で簡単に要約された開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、そのいくつかは添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示は他の同等に有効な実施形態を認めることができるので、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書で説明され論じられている1つ以上の実施形態によるシステムの概略図である。
【
図2】本明細書で説明され論じられている1つ以上の実施形態による堆積チャンバの概略図である。
【
図3A】本明細書で説明され論じられている1つ以上の実施形態による、熱触媒硬化プロセスの概略図である。
【
図3B】本明細書で説明され論じられている1つ以上の実施形態による、熱触媒硬化プロセスの概略図である。
【
図4】本明細書で説明され論じられている1つ以上の実施形態による、ケイ素および酸素含有層を形成する方法の流れ図である。
【
図5A】本明細書で説明され論じられている1つ以上の実施形態による、ケイ素および酸素含有層を形成する方法の工程中の基板の概略図である。
【
図5B】本明細書で説明され論じられている1つ以上の実施形態による、ケイ素および酸素含有層を形成する方法の工程中の基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0012]理解を容易にするために、可能な場合は、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照番号が使用されている。ある実施形態の要素および特徴は、さらに詳説することなく、他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図されている。
【0009】
[0013]本明細書に記載の実施形態は、末端シラノール(Si-OH)基を架橋することにより共有Si-O-Si結合を有するケイ素および酸素含有層を形成する方法を提供する。この方法は、基板をチャンバ内に配置することを含む。基板は、10ナノメートル(nm)以下の幅および2:1以上のアスペクト比を有する1つ以上のトレンチを有する。アスペクト比は、1つ以上のトレンチの幅に対する深さの比によって定義される。ケイ素および酸素含有層が、1つ以上のトレンチ内に配置される。ケイ素および酸素含有層は、末端シラノール(Si-OH)基を有する。基板が加熱され、ケイ素および酸素含有層が、処理空間全体に分配されたアンモニアまたはアミン基含有前駆体に曝露される。
【0010】
[0014]
図1は、本明細書に記載の末端Si-OH基を架橋することにより共有Si-O-Si結合を有するケイ素および酸素含有層を形成する方法に利用されるシステム100の概略図である。
図1に示されるように、一対の前方開口型統一ポッド(FOUP)102が、基板を供給し、基板は、ロボットアーム104によって受け取られ、保持領域106に配置され、その後、堆積チャンバ108、熱硬化チャンバ110、および紫外線(UV)硬化チャンバ112のうちの1つに配置される。第2のロボットアーム114を使用して、基板を保持領域106から堆積チャンバ108、熱硬化チャンバ110、およびUV硬化チャンバ112へ、ならびに堆積チャンバ108、熱硬化チャンバ110、およびUV硬化チャンバ112の間で搬送することができる。堆積チャンバ108は、基板の1つ以上のフィーチャを充填するために、1つ以上のフィーチャの上に、末端Si-OH基を有するケイ素および酸素含有層を堆積させるために利用される。
【0011】
[0015]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載の実施形態によれば、堆積チャンバ108はまた、末端Si-OH基をSi-O-SiおよびH
2Oに架橋する、例えば、触媒作用を及ぼす、または重合させるための、ケイ素および酸素含有層の熱触媒硬化に利用される。熱硬化チャンバ110が、ケイ素および酸素含有層を熱触媒硬化させるためにさらに利用され得る。UV硬化チャンバ112が、末端Si-OH基をSi-O-SiおよびH
2Oに架橋するための、ケイ素および酸素含有層の任意選択の追加のUV硬化に利用される。システムコントローラ116が、システム100に連結され、システム100の堆積チャンバ108、熱硬化チャンバ110、およびUV硬化チャンバ112のそれぞれを制御して、本明細書に記載の末端Si-OH基を架橋することによりSi-O-Si結合(例えば、共有結合)を有するケイ素および酸素含有層を形成する方法を実行する。さらに、システムコントローラ116は、堆積チャンバ108のコントローラ226(
図2に示されている)とインターフェース接続されている。システム100は、説明の目的で示されているが、他のシステムが開示に従って利用され得ることが企図されている。他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、堆積および硬化の両方が堆積チャンバ108内で起こることが企図されている。そのような例では、熱硬化チャンバ110およびUV硬化チャンバ112は、省略され得る。他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態では、材料の堆積は、堆積チャンバ108内で起こり、材料の硬化は、熱硬化チャンバ110内で起こる。そのような実施形態では、UV硬化チャンバ112は、任意選択で省略され得る。
【0012】
[0016]
図2は、チャンバ本体202を含む堆積チャンバ108の概略図である。チャンバ本体202は、基板201を支持するためにその中に配置された基板支持体206を有する処理空間204を含む。基板支持体206は、加熱要素210と、静電チャック、真空チャック、基板保持クランプなどの、基板支持体206の上面207上に基板201を保持する機構(図示せず)とを含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の1つ以上の実施形態では、加熱要素210は、熱交換器に連結された流体チャネルである。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載のいくつかの実施形態では、加熱要素210は、抵抗ヒーター要素である。基板支持体206は、開口部212を通ってシステム100との間を行き来する基板201の移送を容易にする、上昇処理位置と下降位置との間で基板支持体206を移動させるリフトシステム(図示せず)に接続されたステム208に連結され、ステム208によって処理空間204内に移動可能に配置されている。上昇処理位置は、上面207とシャワーヘッド214との間のプロセス距離228である。
【0013】
[0017]堆積チャンバ108は、プロセスガスを処理空間204全体に分配するために使用されるシャワーヘッド210に連結されたラジカル源216、ケイ素含有前駆体源218、およびアンモニアまたはアミン基含有前駆体源220を含む。ラジカル源216は、ラジカルを生成することができる任意の適切な源であり得る。ラジカル源216は、高周波(RF)もしくは超高周波(VHRF)容量結合プラズマ(CCP)源、誘導結合プラズマ(ICP)源、マイクロ波誘導(MW)プラズマ源、電子サイクロトロン共鳴(ECR)チャンバ、または高密度プラズマ(HDP)チャンバなどの遠隔プラズマ源であり得る。あるいは、ラジカル源216は、紫外線(UV)源またはホットワイヤ化学気相堆積(HW-CVD)チャンバのフィラメントであり得る。ラジカル源216は、1つ以上のガス入口230を含み得、ラジカル源216は、ラジカル導管232によってシャワーヘッド214に連結され得る。1種以上のラジカル形成ガスが、1つ以上のガス入口230を介してラジカル源216に入ることができる。1種以上のプロセスガスは、酸素含有ガス、窒素含有ガス、および水素含有ガスのうちの少なくとも1つを含む。ラジカル源216で生成されたラジカルは、ラジカル導管232を通ってシャワーヘッド214内に移動する。ラジカル源216、アンモニアまたはアミン基含有前駆体源220、およびケイ素含有前駆体源218は、別個の導管を通ってシャワーヘッド214に連結されるように示されているが、1つ以上の共通の導管を利用できることが企図されている。さらに、本明細書に開示される工程を容易にするために、ラジカルおよび/またはプラズマのインシトゥ(例えば、処理空間204内での)生成が企図されている。
【0014】
[0018]ケイ素含有前駆体源218は、少なくとも1種のキャリアガスと少なくとも1種のケイ素含有前駆体との流体混合物を供給するように構成され得る。キャリアガスには、アルゴン(Ar)とヘリウム(He)のうちの少なくとも1つが含まれる。ケイ素含有前駆体は、オルガノシラン、またはSi-C結合および/もしくはSi-O結合のうちの1つ以上を含むものを含む化合物などのケイ素含有化合物を含む。ケイ素含有前駆体は、シロキサン、カルボシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、テトラエトキシシラン(TEOS)、ビス(トリメチルシリル)メタン(BTMSM)、メチレンビス(ジメチルシラン)(C5H16Si2)、メチレンビス(メチルシラン)(C3H12Si2)、メチレンジシラン(CH8Si2)、シラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、トリシリルアミン((H3Si)3N)、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含むことができる。処理空間204内のラジカルを使用してアルキルシロキサン鎖を重合することにより、末端Si-OH基を有するケイ素および酸素含有層が、基板201上に堆積される。いくつかの例において、アルキルシロキサン鎖は、トリメチルシリル基および/またはヒドロキシル基で終端またはキャップされたポリジメチルシロキサンであり得るか、またはそれらを含み得る。1つ以上の例では、アルキルシロキサン鎖は、[-OSi(CH3)x-]yの化学式を有することができ、ここで、Xは、1、2、または3、例えば2であり、Yは、2から約100、約200、または約500までの整数であり、例えば2から約20である。アルキルシロキサン鎖は、線状または分枝状であり得、トリメチルシリル基および/またはヒドロキシル基で終端またはキャップされ得る。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つ以上の実施形態では、ケイ素含有前駆体のアルキルシロキサン鎖が、重合される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態では、アルキルシロキサン鎖は、ケイ素含有前駆体および酸素ラジカルから形成される。不活性ガス源222が、チャンバ本体202に連結されている。不活性ガス源222は、処理空間204に不活性ガスを提供して、処理空間204を加圧し、前駆体ガスの流れを促進し、処理空間204をパージするなどのように動作可能である。不活性ガス源222は、ケイ素含有前駆体源218、ラジカル源216、および/またはアンモニアまたはアミン基含有前駆体源220のうちの1つ以上と共通の入力を共有し得ることが企図されている。ポンプ224が、処理空間204内の圧力を制御するためにチャンバ本体202に連結されている。
【0015】
[0019]アンモニアまたはアミン基含有前駆体源220は、アンモニアまたはアミン基含有前駆体を含む。アンモニアまたはアミン基含有前駆体のアンモニアまたはアミン基は、末端Si-OH基と相互作用する孤立電子対を有するアンモニア(NH
3)およびアミンのうちの少なくとも1つを含み得る。アンモニアまたはアミン基含有前駆体は、NH
3、メチルアミン(CH
5N)、ジメチルアミン(C
2H
7N)、トリメチルアミン(C
3H
9N)、エチルアミン(C
2H
7N)、ジエチルアミン((CH
3CH
2)
2NH)、トリエチルアミン(N(CH
2CH
3)
3)、もしくはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上であり得るか、またはそれらを含み得る。末端Si-OH基を有するケイ素および酸素含有層が堆積された後、アンモニアまたはアミン基含有前駆体がシャワーヘッド214に供給され、処理空間204全体に分配されて、基板201をアンモニアまたはアミン基含有前駆体に曝露する。アンモニアまたはアミン基含有前駆体が処理空間204全体に分配されるとき、処理空間204内の基板支持体206は、加熱要素210によって約10℃から約1000℃の温度に維持される。例えば、基板支持体206は、約100℃~約500℃、約150℃~約500℃、または約100℃~約150℃などの、約100℃~約750℃の温度に維持される。
図3Aに示すように、アンモニアまたはアミン基含有前駆体の、NH
3などのアンモニアまたはアミン基は、Si-OHのヒドロキシル基を引き寄せ、隣接するSi-OH基とSi-O-Si結合を形成し、副生成物としてH
2O蒸気を生成する1つ以上の電気陰性孤立電子対を有している。コントローラ226が、堆積チャンバ108に連結されて、本明細書に記載の末端Si-OH基を架橋することにより共有Si-O-Si結合を有するケイ素および酸素含有層を形成する方法を実行するように、堆積チャンバ108を制御する。
【0016】
[0020]
図4は、末端Si-OH基を架橋することにより共有Si-O-Si結合を有するケイ素および酸素含有層を形成する方法400の流れ図である。説明を容易にするために、
図4は、
図1、
図2、
図5A、および
図5Bを参照して説明される。しかしながら、
図1のシステム100以外のシステム、ならびに
図1および
図2の堆積チャンバ108以外の堆積チャンバが、方法400と組み合わせて利用され得ることに留意されたい。
図5Aおよび
図5Bは、方法400の工程中の基板201の概略図である。
【0017】
[0021]工程401で、ケイ素および酸素含有層502が、基板201の1つ以上のフィーチャ504(3つの高アスペクト比のトレンチとして示される)上に堆積されて、1つ以上のフィーチャ504を充填する。工程中、基板201は、堆積チャンバ108内に配置され、基板支持体206の上面207上に配置されている。工程401中、上面207は、シャワーヘッド214からプロセス距離228に配置されている。工程401中のプロセス距離228は、約0.5インチから約5インチ、例えば、約2.0インチから約3.0インチである。ただし、他の距離も企図されている。
【0018】
[0022]酸素ガス(O2)などの酸素含有ガスが、1つ以上のガス入口230を介してガス供給部(図示せず)からラジカル源216に供給される。ラジカル源216で生成された酸素ラジカルが、シャワーヘッド214内に移動し、処理空間204に導入される。1つ以上の実施形態では、ラジカル源216は、誘導結合プラズマ(ICP)または容量結合プラズマ(CCP)などのプラズマ源を含み得る。酸素ラジカルは、約100sccmから約5000sccmの流量で処理空間204に供給される。ケイ素含有前駆体源218が、キャリアガスとケイ素含有前駆体との流体混合物をシャワーヘッド214内に導入し、流体混合物は、処理空間204に導入される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書に記載の1つ以上の実施形態では、流体混合物は、OMCTSと、ArおよびHeのうちの1つ以上とを含む。アルゴンは、約0.2SLMから約5SLM、例えば、約0.6SLMから約1.5SLMの流量で処理空間204に供給される。OMCTSは、約0.3グラム/分(g/分)から約5g/分、例えば、約1g/分から約2g/分の流量で処理空間204に供給される。処理空間204内のラジカルを使用してアルキルシロキサン鎖を重合することにより、末端Si-OH基を有するケイ素および酸素含有層が、基板201上に堆積される。
【0019】
[0023]工程402において、熱触媒硬化プロセスが実行される。ステム208は、基板支持体206を、上昇処理位置にまだない場合、上昇処理位置に移動させる。上昇処理位置は、上面207とシャワーヘッド214との間のプロセス距離228を規定する。工程402中のプロセス距離228は、約0.25インチから約5インチ、例えば、約2インチから約3インチである。他のプロセス距離228もまた企図されている。アンモニアまたはアミン基含有前駆体源220が、アンモニアおよび/または1種以上のアミン基含有前駆体をシャワーヘッド214内に導入し、流体混合物は、処理空間204に導入される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載の1つ以上の実施形態では、アンモニアは、約0.1SLMから約5SLM、例えば0.9SLMの流量で処理空間204に供給されるか、または導入される。処理空間204は、約1トルおよび20トルなどの、約0.5トルから50トルの圧力に維持される。不活性ガス源222が、Arなどの不活性ガスを処理空間204に供給して、処理空間204を加圧する。不活性ガスは、約1SLMから約2SLMなどの、約1SLMから約10SLMの流量で供給される。アンモニアまたはアミン基含有前駆体が、約1秒間から約100分間、例えば約1秒間から約60分間、例えば約3秒間から約60分間の曝露時間の間、処理空間204全体に分配されるとき、基板201は、加熱要素210によって、約10℃から約150℃、例えば約80℃の温度に維持される。ケイ素および酸素含有層502が、処理空間204全体に分配されたアンモニアまたはアミン基含有前駆体に曝露される。アンモニアまたはアミン基含有前駆体は、末端Si-OH基を架橋、例えば触媒または重合して、Si-O-Si結合(例えば、共有結合)を形成し、処理空間から排出されるH2Oおよび窒素ガスを生成する。
【0020】
[0024]任意選択の工程403で、UV硬化プロセスが実行される。工程402の後、ステム208が、基板の除去を容易にするために基板支持体206を下降させ、基板201は、システム100の第2のロボットアーム114によってUV硬化チャンバ112の1つに移送される。UV硬化チャンバ112内で、UV放射が、ケイ素および酸素含有層502に投射される。1つ以上の実施形態では、UV硬化プロセスの持続時間は、約30秒間から約30分間の範囲であり、例えば、約5分間であり得る。UV硬化チャンバ112内の圧力は、約1トルから約50トルであり得、例えば、約20トルであり得る。1つ以上の実施形態では、UV放射源は、約250nmから約450nmの波長で放射する広帯域UV電球である。
図3Bに示すように、UV放射は、残りの末端Si-OH基を架橋して、共有Si-O-Si結合を形成し、H
2O蒸気を生成する。
【0021】
[0025]従来、ケイ素および酸素含有層502は、熱触媒硬化プロセスを実行せずに、UV硬化される。しかしながら、フィーチャ504が、10ナノメートル(nm)以下の幅506を有し、約5:1以上などの約2:1以上のアスペクト比(深さ508:幅506)を有する場合、UV硬化は、トレンチの下部での架橋には効果がない。例えば、UV放射は、一般に、高アスペクト比のフィーチャ504の点510にある末端Si-OH基に到達しない。さらに、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、
図5Bに示されるように、1つ以上のフィーチャ504は、窒化チタン含有層の上に配置された窒化ケイ素含有層を含む。1つ以上の例では、窒化ケイ素含有層は、Si
3N
4であるかまたはSi
3N
4を含むことができ、原子層堆積(ALD)プロセスによって堆積、形成、または他の方法で生成することができる。熱触媒硬化プロセスを実行せずに、ケイ素および酸素含有層502を硬化するためにUV硬化プロセスを実行すると、UV硬化プロセスの欠点のため、ケイ素および酸素含有層502の収縮ならびに窒化チタン含有層からの窒化ケイ素含有層の層間剥離を引き起こす可能性がある。UV硬化プロセスの欠点には、電磁(EM)干渉パターンからの影響の受けやすさと、UV放射の減衰による侵入深さの制限とが含まれる。
【0022】
[0026]本明細書に記載の方法400の実施形態は、末端Si-OH基を架橋することにより共有Si-O-Si結合を有するケイ素および酸素含有層502を形成する。方法400によって形成されたケイ素および酸素含有層502は、8オングストローム/分(Å/分)未満、例えば、1Å/分未満のウェットエッチング速度、1E-6MV/cm(A/cm2)未満、例えば、1E-9MV/cm(A/cm2)未満のリーク電流密度、および12%未満の収縮量、例えば、8%未満、5%未満、3%未満、1%未満、または約0%の収縮量を有する。いくつかの実施形態では、ウェットエッチング速度は、約0.001Å/分である。
【0023】
[0027]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態では、末端Si-OH基を架橋することによって共有Si-O-Si結合を有するケイ素および酸素含有層502は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、高密度プラズマ化学気相堆積(HPD-CVD)、オゾンベースCVD、および熱CVDのうちの1つによって堆積される。これらのプロセスでは、シロキサン、カルボシラン、OMCTS、TMCTS、OTS、HMDSO、TMDSO、TEOS、BTMSM、C5H16Si2、C3H12Si2、CH8Si2、SiH4、Si2H6、トリシリルアミン((H3Si)3N)、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む前駆体を利用する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態では、工程401の後、ステム208は、基板支持体206を下降位置に移動させ、基板201は、システムの100の第2のロボットアーム114によって熱硬化チャンバ110の1つに移送される。熱硬化チャンバ110は、チャンバ本体202、基板支持体206、開口部212、シャワーヘッド214、不活性ガス源222、ポンプ224、およびアンモニアまたはアミン基含有前駆体源220を含む。工程402において、基板201の温度は、約100℃から約1000℃であり、熱硬化チャンバ110内の圧力は、約0.5トルから約600トルであり、アンモニアまたはアミン基含有前駆体の流量は、約0.1SLMから約25SLM、例えば約0.1SLMから約10SLMであり、プロセス距離228は、約0.25インチから約5インチであり、不活性ガスは、約1SLMから約25SLM、例えば約2SLMから約5SLMの流量で供給される。
【0024】
[0028]要約すると、末端Si-OH基を架橋することにより共有Si-O-Si結合を有するケイ素および酸素含有層を形成する方法が提供される。熱触媒硬化を利用することで、UV硬化が効果的でないアスペクト比で、末端Si-OH基をSi-O-Siに架橋し、H2Oと窒素を放出することが可能になる。熱触媒硬化を利用することで、収縮の減少、8A/分未満のウェットエッチング速度、および1E-6MV/cm(A/cm2)未満のリーク電流密度も可能になる。
【0025】
[0029]上記は、本開示の実施例に向けられているが、本開示の他のさらなる実施例が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されることができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。