(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】通信システム、プログラム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 40/36 20090101AFI20241205BHJP
H04W 40/18 20090101ALI20241205BHJP
H04W 40/20 20090101ALI20241205BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20241205BHJP
H04W 72/04 20230101ALI20241205BHJP
G01C 21/20 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
H04W40/36
H04W40/18
H04W40/20
H04W4/44
H04W72/04
G01C21/20
(21)【出願番号】P 2022058020
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 僚晃
(72)【発明者】
【氏名】後藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】謝 炎
(72)【発明者】
【氏名】宮本 凌竹
(72)【発明者】
【氏名】浅見 将弘
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207935(JP,A)
【文献】特開2002-232436(JP,A)
【文献】特開2014-003355(JP,A)
【文献】特開2021-022221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
G01C 21/20
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行情報を無線通信によって取得し、それぞれ異なるエリアに設置される複数の路側機と、
複数の前記路側機が接続される終端装置と、を備え、
前記路側機及び前記終端装置は、ソフトウェアにより実装されるルーティング処理部を有し、
前記ルーティング処理部は、前記走行情報に基づいて
複数の前記路側機のうち前記車両が走行する予定のエリアに設定される前記路側機を予測し、予測された前記路側機に関する情報に基づいてルーティングテーブルを更新し、更新された
前記ルーティングテーブルに基づいて通信処理を行
い、
前記路側機は、自身が前記予定のエリアに設定される前記路側機であると予測された場合に、前記走行情報に基づいて設定したタイミングで、前記車両と通信可能なエリアに前記車両が入る前に無線リソースを該車両に割り当てるとともに、前記終端装置との間の通信を行えるような状態に設定する通信状態設定部を更に備える通信システム。
【請求項2】
前記走行情報は、車両の位置情報、速度情報、目的地情報、及びステアリング情報を含む請求項
1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記終端装置に接続される複数のONUを更に備え、
前記終端装置は、OLTであり、複数のONUとともにPONアクセスシステムを構成する請求項1
又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
車両の走行情報を無線通信によって取得し、それぞれ異なるエリアに設置される複数の路側機と、
複数の前記路側機が接続される終端装置と、を備え、
前記路側機及び前記終端装置は、ソフトウェアにより実装されるルーティング処理部を有し、
前記ルーティング処理部は、前記走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行い、
前記路側機は、前記車両の識別情報を取得し、該識別情報に基づいて前記車両を目的地が予め定められたルート設定車両か否か判定し、
前記車両を前記ルート設定車両であると判定した場合に、前記ルート設定車両の前記目的地までに通過する予定のエリアに設置される複数の前記路側機を予測し、
予測された複数の前記路側機に関する情報に基づいて前記ルーティングテーブルを更新することで予測された複数の前記路側機それぞれと前記終端装置との間の通信経路を設定す
る通信システム。
【請求項5】
それぞれ異なるエリアに設置される複数の路側機と、複数の前記路側機が接続される終端装置と、を備える通信システムが実行する通信方法であって、
車両の走行情報を無線通信によって取得する走行情報取得ステップと、
前記路側機及び前記終端装置にソフトウェアにより実装されたルーティング処理部が、前記走行情報に基づいて
複数の前記路側機のうち前記車両が走行する予定のエリアに設定される前記路側機を予測し、予測された前記路側機に関する情報に基づいてルーティングテーブルを更新し、更新された
前記ルーティングテーブルに基づいて通信処理を行う通信処理ステップ
と、
前記路側機が、前記通信処理ステップにおいて自身が前記予定のエリアに設定される前記路側機であると予測された場合に、前記走行情報に基づいて設定したタイミングで、前記車両と通信可能なエリアに前記車両が入る前に無線リソースを該車両に割り当てるとともに、前記終端装置との間の通信を行えるような状態に設定する通信状態設定ステップと、含む通信方法。
【請求項6】
それぞれ異なるエリアに設置される複数の路側機と、複数の前記路側機が接続される終端装置と、を備える通信システムに含まれるコンピュータに、
車両の走行情報を無線通信によって取得する走行情報取得機能と、
前記路側機及び前記終端装置にソフトウェアにより実装されたルーティング処理部が、前記走行情報に基づいて
複数の前記路側機のうち前記車両が走行する予定のエリアに設定される前記路側機を予測し、予測された前記路側機に関する情報に基づいてルーティングテーブルを更新し、更新された
前記ルーティングテーブルに基づいて通信処理を行う通信処理機能と、
前記路側機が、前記通信処理機能により自身が前記予定のエリアに設定される前記路側機であると予測された場合に、前記走行情報に基づいて設定したタイミングで、前記車両と通信可能なエリアに前記車両が入る前に無線リソースを該車両に割り当てるとともに、前記終端装置との間の通信を行えるような状態に設定する通信状態設定機能と、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、プログラム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両と路側機等の間で行われる路車間通信に関する通信システムが知られている。この種のシステムが記載されているものとして例えば特許文献1、特許文献2がある。特許文献1には、車両から送信される走行予定経路に基づいて、車両が基地局のサービス提供エリアを通過する時間帯に基地局の無線リソースを割り当てるように予約する技術が記載されている。特許文献2には無線を介して車両と通信可能に接続された第1情報処理装置と、走行する車両と次に無線接続可能な蓋然性の高い他の情報処理装置との間に、レイヤ1又はレイヤ2で光パスを動的に設定する技術が記載されている。また非特許文献1には、通信システムに用いられる通信技術の規格としてLAN等の接続方式に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-3355号公報
【文献】特開2019-106674号公報
【非特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、走行中の車両の場合、通信の遮断を生じさせないようにするために、通信する路側機を切り替える動作を円滑に行う必要がある。また、広域にわたってシステムを構築し、該システムを運用し、管理する必要があり、インフラにかかる費用の削減が望まれている。非特許文献1には、車両と通信する路側機を円滑に切り替える技術やインフラにかかる費用を削減する技術について記載されていない。また特許文献1や特許文献2の技術では、路側機と車両との間の通信の設定を事前に行うことができるものの、設備費用の低減という点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、インフラにかかる費用を抑えつつ、走行中の車両と無線通信を行う路側機を円滑に切り替えることができる通信システム、プログラム、及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両の走行情報を無線通信によって取得し、それぞれ異なるエリアに設置される複数の路側機と、複数の前記路側機が接続される終端装置と、を備え、前記路側機及び前記終端装置は、ソフトウェアにより実装されるルーティング処理部を有し、前記ルーティング処理部は、前記走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行う通信システムに関する。
【0008】
前記ルーティング処理部は、前記走行情報に基づいて複数の前記路側機のうち前記車両が走行する予定のエリアに設定される前記路側機を予測し、その予測結果に基づいて前記ルーティングテーブルを更新してもよい。
【0009】
前記路側機は、自身が前記予定のエリアに設定される前記路側機であると予測された場合に、前記走行情報に基づいて設定したタイミングで、前記車両と通信可能なエリアに前記車両が入る前に無線リソースを該車両に割り当てるとともに、前記終端装置との間の通信を行えるような状態に設定する通信状態設定部を更に備えてもよい。
【0010】
前記走行情報は、車両の位置情報、速度情報、目的地情報、及びステアリング情報を含んでもよい。
【0011】
前記終端装置に接続される複数のONUを更に備え、前記終端装置は、OLTであり、複数のONUとともにPONアクセスシステムを構成してもよい。
【0012】
前記路側機は、前記車両の識別情報を取得し、該識別情報に基づいて前記車両を目的地が予め定められたルート設定車両か否か判定し、前記車両を前記ルート設定車両であると判定した場合に、前記ルート設定車両の前記目的地までに通過する予定のエリアに設置される複数の前記路側機を予測し、その予測結果に基づいて前記ルーティングテーブルを更新することで予測された複数の前記路側機それぞれと前記第1終端装置との間の通信経路を設定してもよい。
【0013】
また本発明は、それぞれ異なるエリアに設置される複数の路側機と、複数の前記路側機が接続される終端装置と、を備える通信システムが実行する通信方法であって、車両の走行情報を無線通信によって取得する走行情報取得ステップと、前記路側機及び前記終端装置にソフトウェアにより実装されたルーティング処理部が、前記走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行う通信処理ステップを含む通信方法に関する。
【0014】
また本発明は、それぞれ異なるエリアに設置される複数の路側機と、複数の前記路側機が接続される終端装置と、を備える通信システムに含まれるコンピュータに、車両の走行情報を無線通信によって取得する走行情報取得機能と、前記路側機及び前記終端装置にソフトウェアにより実装されたルーティング処理部が、前記走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行う通信処理機能と、を実行させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、インフラにかかる費用を抑えつつ、走行中の車両と無線通信を行う路側機を円滑に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る通信システムを示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るゲートウェイのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る第1終端装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る路側機のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る車両のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る路側機の機能ブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る第1終端装置の機能ブロック図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るゲートウェイの機能ブロック図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る通信システムにおいて車両と無線通信をしている路側機が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る通信システムにおいて第1終端装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る通信システムにおいてゲートウェイが実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係る通信システムにおいて通信予定路側機とされた路側機が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものでない。また、以下の説明において参照する各図は、本開示の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は、各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものでない。
【0018】
本発明の一実施形態に係る通信システム1の全体的な構成について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る通信システム1を示す概略図である。
【0019】
通信システム1は、道路2上に設置された路側機40と、道路2上に停車または走行する車両6との間での路車間通信を行うためのシステムである。通信システム1は、
図1に示すように、ネットワーク通信網NWに接続されるゲートウェイ10と、複数の第1終端装置20と、複数の第2終端装置30と、道路2上に設置される複数の路側機40を備える。
【0020】
路側機40は、RSU(road side unit)等とも呼ばれる。路側機40は、道路2の周辺(路側)等に設置される。路側機40は、車両6と無線通信することで、V2I(vehicle-to-infrastructure)及びV2N(vehicle-to-network)等のV2X(vehicle-to-everything)通信サービスを提供する。
【0021】
図1に示す通信システム1では、複数の路側機40である路側機41~44は、車両6との間で無線通信可能な通信可能エリアAが重なるように間隔を空けて設置される。路側機41~44は、それぞれの通信可能エリアA内を走行する車両6と無線通信を行うことで車両6から後述する車両情報を取得し、該車両情報を第2終端装置30に送信する。
【0022】
第2終端装置30は、例えば、ONU(optical network unit)である。第2終端装置30は、回線Lと路側機40とを相互に接続する。回線Lは、例えば光ファイバ等の通信回線である。
図1に示す通信システム1では、複数の第2終端装置30である第2終端装置31~34のそれぞれは、1台の路側機40と接続される。具体的には、第2終端装置31が路側機41と接続され、第2終端装置32が路側機42と接続され、第2終端装置33が路側機43と接続され、第2終端装置34が路側機44と接続される。
【0023】
第1終端装置20は、例えば、OLT(optical line terminal)である。第1終端装置20は、回線Lとゲートウェイ10を相互に接続する。
図1に示す通信システム1では、複数の第1終端装置20である第1終端装置21,22のそれぞれは、回線Lを介して複数の第2終端装置30と接続され、PON(passive optical network)を用いたPONアクセスシステム50を形成する。
図1に示す例では、第1終端装置21と第2終端装置31,32によってPONアクセスシステム51が構成され、第1終端装置22と第2終端装置33,34によってPONアクセスシステム52が構成される。なお、
図1では図示を省略しているが、例えば1つの第1終端装置20に対して約6000台以上の第2終端装置30を接続できる。
【0024】
ゲートウェイ10は、複数のPONアクセスシステム50とネットワーク通信網NWを相互に接続する。
【0025】
図1に示すように、通信システム1では、ゲートウェイ10と第1終端装置20と路側機40はvルータ(virtual router)80を有する。即ち、ゲートウェイ10と第1終端装置20と路側機40はソフトウェアにより実装されたルーティング機能を有する。このルーティング機能により、ゲートウェイ10と第1終端装置20と路側機40は、データを受信するとルーティングテーブルを参照して宛先アドレスに向かって転送する。
【0026】
ここで、例えば
図1に示すように車両6が路側機41による通信可能エリアA内の車両6が路側機42に向かって走行している場合、車両6と無線通信を行う路側機40を路側機41から路側機42に切り替える処理(以下、ハンドオーバ処理という)を行う必要がある。無線通信を行う路側機40を切り替える前に、路側機41との通信可能エリアAの外に車両6が出ると、通信が切断されてしまう。特に車両6の走行速度が速く、路側機40の通信可能エリアAが小さいほどハンドオーバ処理の円滑に行う必要がある。近年、5G(第5世代移動通信システム)等の通信可能エリアAの範囲が比較的狭い通信方式への移行が進んでおり、より確実に通信の切断がなく、円滑なハンドオーバ処理を行う技術が求められている。また、路車間通信では、広域にわたってシステムを構築することが多い。
図1では図示を省略しているが、多数のPONアクセスシステム50やPONアクセスシステム50とは異なるネットワークトポロジーが混在する場合もあり、通信システム1の保守や管理に手間やコストがかかる。これに対して、本実施形態に係る通信システム1によれば、インフラにかかる費用を抑えつつ、円滑なハンドオーバ処理を行うことができる。
【0027】
次に、通信システム1に含まれるハードウェアの構成の一例について説明する。まず、ゲートウェイ10のハードウェアの構成の一例について説明する。
図2は、ゲートウェイ10のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0028】
ゲートウェイ10は、一例として、プロセッサ100、ROM(read-only memory)102、RAM(random-access memory)103、補助記憶装置104、第1通信I/F(interface)105、第2通信I/F106を含む。そして、バス107等が、これら各部を接続する。
【0029】
プロセッサ100は、ゲートウェイ10の動作に必要な演算及び制御等の処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ100は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、VPU(vision processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)等である。あるいは、プロセッサ100は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。プロセッサ100は、ROM102又は補助記憶装置104等に記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェア等のプログラムに基づいて、ゲートウェイ10の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサ100は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサ100の回路内に組み込まれていても良い。
【0030】
ROM102及びRAM103は、プロセッサ100を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM102は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM102は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェア等を記憶する。また、ROM102は、プロセッサ100が各種の処理を行う上で使用するデータ等も記憶する。RAM103は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM103は、プロセッサ100が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリア等として利用される。RAM103は、典型的には揮発性メモリである。
【0031】
補助記憶装置104は、プロセッサ100を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶装置104は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)又はフラッシュメモリ等である。補助記憶装置104は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェア等を記憶する。また、補助記憶装置104は、プロセッサ100が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ100での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値等を記憶する。また、補助記憶装置104は、通信システム1内の各路側機40の位置情報を記憶している。また、補助記憶装置104には、装置にルーティング機能を付与するためのソフトウェアが記憶される。
【0032】
第1通信I/F105は、ゲートウェイ10がネットワーク通信網NW等を介して通信するためのインターフェースである。
【0033】
第2通信I/F106は、ゲートウェイ10がPONアクセスシステム50等を介して通信するためのインターフェースである。ゲートウェイ10は、第1通信I/F105及び第2通信I/F106により、ネットワーク通信網NWとPONアクセスシステム50とを相互に接続する。
【0034】
バス107は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバス等を含み、ゲートウェイ10の各部で授受される信号を伝送する。
【0035】
次に、第1終端装置20のハードウェアの構成の一例について説明する。
図3は、第1終端装置20のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0036】
第1終端装置20は、一例として、プロセッサ200、ROM202、RAM203、補助記憶装置204、第1通信I/F205及び第2通信I/F206を含む。そして、バス207等が、これら各部を接続する。なお、第1終端装置20のプロセッサ200と、ROM202と、RAM203と、補助記憶装置204、バス207については、上述したゲートウェイ10が含む同名の機能ブロックと同様の構成であり、その説明を省略する。
【0037】
第1通信I/F205は、第1終端装置20がゲートウェイ10及びネットワーク通信網NW等を介して通信するためのインターフェースである。
【0038】
第2通信I/F206は、第1終端装置20が回線L等を介して通信するためのインターフェースである。第1終端装置20は、第1通信I/F205及び第2通信I/F206により、回線Lとネットワーク通信網NWとを相互に接続する。
【0039】
次に、路側機40のハードウェアの構成の一例について説明する。
図4は、路側機40のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0040】
路側機40は、一例として、プロセッサ400、ROM402、RAM403、補助記憶装置404、第1通信I/F405、第2通信I/F406、GNSSアンテナ408を含む。そして、バス407等が、これら各部を接続する。なお、路側機40のプロセッサ400と、ROM402と、RAM403と、補助記憶装置404、バス407については、上述したゲートウェイ10及び第1終端装置20が含む同名の機能ブロックと同様の構成であり、その説明を省略する。
【0041】
第1通信I/F405は、路側機40がPONアクセスシステム50を介して通信するためのインターフェースである。路側機40は、第1通信I/F405を介して第2終端装置30と接続し、通信する。これにより、路側機40は、第1通信I/F405、第2終端装置30、回線L、第1終端装置20、及びゲートウェイ10を介してネットワーク通信網NWと接続する。
【0042】
第2通信I/F406は、路側機40が周囲の装置と無線によりV2X通信するためのインターフェースである。路側機40は、第2通信I/F406を介して通信可能エリアA内を走行する車両6等と通信する。
【0043】
GNSSアンテナ408は、GNSS信号等を受信する。GNSS信号は、GPS(Global Positioning System)又は準天頂衛星システム等のGNSSを構成する航法衛星等から送信される。プロセッサ400は、GNSS信号等に基づき路側機40の位置情報を取得する。そして、プロセッサ400は、位置情報を他の路側機40や第1終端装置20、ゲートウェイ10等に送信するように第1通信I/F405に対して指示する。この送信の指示を受けて第1通信I/F405は、当該位置情報を他の路側機40や第1終端装置20、ゲートウェイ10に送信する。送信された当該位置情報は、それぞれの補助記憶装置404、204、102に記憶される。また、プロセッサ400は、GNSS信号を用いて時刻合わせも行う。あるいは、プロセッサ400は、NTP(network time protocol)を用いる等のその他の方法で時刻合わせしても良い。
【0044】
次に、車両6のハードウェアの構成の一例について説明する。
図5は、車両6のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0045】
車両6は、車載装置60を備える。車載装置60は、例えば、カーナビゲーション、ITS(intelligent transportation system)及びV2X通信等を使用する機能を備える。車載装置60は、一例として、プロセッサ600、ROM602、RAM603、補助記憶装置604、通信I/F605、表示装置606、GNSSアンテナ608、を含む。そして、バス607等が、これら各部を接続する。なお、車載装置60のプロセッサ600と、ROM602と、RAM603と、補助記憶装置604、バス607については、上述したゲートウェイ10等が含む同名の機能ブロックと同様の構成であり、その説明を省略する。
【0046】
通信I/F605は、車両6が路側機40等とV2X通信等によって通信するためのインターフェースである。車両6は、路側機40を介してPONアクセスシステム50やネットワーク通信網NWと接続する。
【0047】
表示装置606は、車両6の操作者に各種情報を通知するための画面を表示する。表示装置606は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等のディスプレイである。
【0048】
GNSSアンテナ608は、GNSS信号等を受信する。プロセッサ600は、GNSS信号等に基づき車載装置60の位置情報を取得する。
【0049】
次に、通信システム1による路車間通信及びハンドオーバ処理を行うため路側機40の機能的構成について説明する。
図6は路側機40の機能的構成の一部を示す機能ブロック図である。
【0050】
路側機40による路車間通信は、主にプロセッサ400によって実現される。プロセッサ400は、受信処理部410と、路側機予測部420と、ルート設定車両判定部430と、ルーティング処理部440と、通信状態設定部450と、を備える。
【0051】
受信処理部410は、第2通信I/F406を介して車両6からデータの受信するための処理や第1通信I/F405を介して第2終端装置30からのデータの受信するための処理を実行する。
【0052】
受信処理部410は、例えば第2通信I/F406を介して無線通信により、通信可能エリアA内を走行する車両6に関する車両情報を取得する。受信処理部410によって取得される車両情報としては、例えば車両6の走行情報や識別情報が挙げられる。走行情報としては、車両の位置情報、速度情報、目的地情報、走行予定経路の情報、ステアリング情報等が挙がられる。識別情報としては、例えば車載装置60のMACアドレスやIPv6、ナンバープレート情報等が挙げられる。車両情報は、例えば車両6が備える車載装置60から取得される。
【0053】
また受信処理部410は、例えば第1通信I/F405を介してルーティングテーブルと自身と異なる路側機40によって取得された車両情報を受信する。即ち、路側機40は、第2通信I/F406を介して該路側機40による通信可能エリアAを走行する車両6の車両情報を取得可能であるとともに、自身とは異なる路側機40による異なる通信可能エリアAを走行する車両6の車両情報を取得可能に構成される。
【0054】
路側機予測部420は、受信処理部410によって取得された走行情報と補助記憶装置404等に記憶された通信システム1内の他の路側機40の位置情報に基づいて、今後車両6と通信する路側機40(以下、通信予定路側機という)を予測する。即ち、路側機予測部420は、車両6が走行する予定のエリアに設置される路側機40を予測する。具体的には、路側機予測部420は、走行情報に基づいて車両6が走行する予定経路を予測し、予測した走行経路と他の路側機40の位置情報を用いて予測した予定経路に設置される路側機40を特定する。路側機予測部420は、例えば、車両6の位置情報と速度情報、ステアリング情報等から車両6の走行経路を予測してもよく、車両6の位置情報と目的地情報等から走行経路を予測してもよい。また路側機予測部420は、車載装置60に登録された車両6の走行経路を用いて通信予定路側機を予測してもよい。また路側機予測部420は、通信予定路側機の通信可能エリアAに車両6が入るタイミングや自身の通信可能エリアAから車両6が出ていくタイミングを予測してもよく、予測した車両6が入るタイミングと出ていくタイミングを利用して、路側機40と通信予定路側機はハンドオーバが必要となるタイミングの前にハンドオーバに係る処理を実行しても良い。
【0055】
ルート設定車両判定部430は、受信処理部410によって取得された車両6の識別情報に基づいて、車両6がルート設定車両であるか否か判定する。ルート設定車両とは、目的地が予め定められている車両6である。ルート設定車両としては、例えば、バスやタクシー等が挙げられる。
【0056】
路側機予測部420は、ルート設定車両判定部430が無線通信を行っている車両6をルート設定車両であると判定した場合に、ルート設定車両に登録された目的地までに通過する予定のエリアに設置される全ての路側機40を予測し、それらの路側機40を通信予定路側機と判定する。
【0057】
ルーティング処理部440は、ソフトウェアにより路側機40に実装される。ルーティング処理部440は、受信処理部410によって取得された走行情報に基づいて自身のルーティングテーブルを更新する。具体的には、ルーティング処理部440は、路側機予測部420による通信予定路側機の予測結果に基づいて、自身が有するルーティングテーブルを更新する。ルーティング処理部440は、例えば通信予定路側機のアドレスを宛先アドレスとして登録したルーティングテーブルに更新する。
【0058】
またルーティング処理部440は、車両情報とともに、ルーティングプロトコルに基づいて、第2終端装置30を介して他の路側機40や第1終端装置20、ゲートウェイ10等に更新した自身のルーティングテーブルを送信する。この結果、更新した自身のルーティングテーブルに基づいて他の路側機40や第1終端装置20、ゲートウェイ10等のルーティングテーブルが更新される。即ち、ルーティング処理部440は、走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行っている。
【0059】
通信状態設定部450は、他の路側機40からPONアクセスシステム50等を介して送信された車両情報を受信し、該車両情報に基づいて設定したタイミングで自身が車両6と通信可能となるように通信を制御する。例えば通信状態設定部450は、例えば通信可能エリアAに車両6が入るタイミングを参照して、車両6が通信可能エリアAに入る前に路側機40の無線リソースを割り当てるとともに、路側機40とPONアクセスシステム50等との間の通信が可能な状態に設定する。
【0060】
次に、通信システム1による路車間通信のハンドオーバ処理を行うため第1終端装置20の機能的構成について説明する。
図7は、第1終端装置20の機能的構成の一部を示す機能ブロック図である。
【0061】
第1終端装置20の各種の制御を行うプロセッサ200は、受信処理部210と、ルーティング処理部220と、通信状態設定部230と、を備える。
【0062】
受信処理部210は、通信予定路側機のアドレスが宛先アドレスとして登録されたルーティングテーブルと車両情報を受信する処理を実行する。
【0063】
ルーティング処理部220は、ソフトウェアにより第1終端装置20に実装される。ルーティング処理部220は、受信処理部210によって受信されたルーティングテーブルを用いて自身が有するルーティングテーブルを更新する。具体的には、ルーティング処理部220は、走行予定路側機のアドレスを宛先アドレスとして登録した内容のルーティングテーブルに更新する。
【0064】
ルーティング処理部220は、車両情報を隣接する第2終端装置30やゲートウェイ10等に送信する処理を実行する。このとき、ルーティング処理部220は、車両情報とともに、ルーティングプロトコルに基づいて、他の第1終端装置20、ゲートウェイ10、路側機40等に更新した自身のルーティングテーブルを送信する。この結果、更新した自身のルーティングテーブルに基づいて第1終端装置20、ゲートウェイ10、路側機40等のルーティングテーブルが更新される。即ち、ルーティング処理部220は、走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行っている。
【0065】
通信状態設定部230は、受信した車両情報に基づいて設定したタイミングで第2終端装置30又はゲートウェイ10との間でデータを送受信可能な状態に設定する。
【0066】
次に、通信システム1による車両6のハンドオーバ処理を行うためゲートウェイ10の機能的構成について説明する。
図8は、ゲートウェイ10の機能的構成の一部を示す機能ブロック図である。
【0067】
ゲートウェイ10の各種の制御を行うプロセッサ100は、受信処理部110と、ルーティング処理部120と、通信状態設定部130と、を備える。
【0068】
受信処理部110は、路側機40から第1終端装置20を介して送信された通信予定路側機が宛先として登録されたルーティングテーブルや車両情報を受信する処理を実行する。
【0069】
ルーティング処理部120は、ソフトウェアによりゲートウェイ10に実装される。ルーティング処理部120は、受信処理部110によって受信されたルーティングテーブルを用いて自身が有するルーティングテーブルを更新する。具体的には、ルーティング処理部120は、走行予定路側機のアドレスを宛先アドレスとして登録した内容のルーティングテーブルに更新する。
【0070】
ルーティング処理部120は、車両情報を隣接する第1終端装置20やネットワーク通信網NW等に送信する処理を実行する。このとき、ルーティング処理部120は、車両情報とともに、ルーティングプロトコルに基づいて、第1終端装置20やネットワーク通信網NW等に更新した自身のルーティングテーブルを送信する。この結果、更新した自身のルーティングテーブルに基づいて第1終端装置20やネットワーク通信網NW等のルーティングテーブルが更新される。即ち、ルーティング処理部120は、走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行っている。
【0071】
通信状態設定部130は、受信した車両情報に基づいて設定したタイミングで第1終端装置20又はネットワーク通信網NWとの間でデータを送受信可能な状態に設定する。
【0072】
次に、本実施形態に係る通信システム1によるハンドオーバ処理の流れについて
図9~
図12を参照しながら説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
図9は、車両6と無線通信をしている路側機40による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ400は、例えば、ROM402又は補助記憶装置404等に記憶されたプログラムに基づいて
図9の処理を実行する。
図10は、第1終端装置20のプロセッサ200による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ201は、例えば、ROM202又は補助記憶装置204等に記憶されたプログラムに基づいて
図10の処理を実行する。
図11は、ゲートウェイ10のプロセッサ100による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ100は、例えば、ROM102又は補助記憶装置104等に記憶されたプログラムに基づいて
図11の処理を実行する。
図12は、通信可能エリアAに車両が入る前に、通信予定路側機と判定された路側機40のプロセッサ400による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ400は、例えば、ROM402又は補助記憶装置404等に記憶されたプログラムに基づいて
図12の処理を実行する。
【0073】
プロセッサ400の受信処理部410は、
図9に示すように路側機40の通信可能エリアAを走行する車両6から無線通信によって車両情報を取得する(ステップS11)。具体的には、受信処理部410は、車両6の車載装置60から車両6の位置、速度、目的地、走行予定経路、ステアリング等を含む走行情報や車載装置60のMACアドレスやIPv6、ナンバープレート情報等の車両6の識別情報を取得する。
【0074】
路側機予測部420は、ステップS11で取得された車両情報と補助記憶装置404等に記憶された通信システム1内の他の路側機40の位置情報に基づいて、通信予定路側機を予測する(ステップS12)。なお、ルート設定車両判定部430が無線通信を行っている車両6がルート設定車両であると判定した場合、路側機予測部420は、車両6に登録された目的地までに通過する予定経路に設置される全ての路側機40を予測し、それらの路側機40を通信予定路側機と判定する。
【0075】
ルーティング処理部440は、ステップS12で予測された通信予定路側機の予測結果に基づいて、自身が有するルーティングテーブルを更新する(ステップS13)。具体的には、ルーティング処理部440は、ステップS13で予測された通信予定路側機のアドレスを宛先アドレスとしてルーティングテーブルに追加する処理等を実行する。
【0076】
ルーティング処理部440は、更新されたルーティングテーブルと車両情報を第2終端装置30に送信する(ステップS14)。
【0077】
次に、第1終端装置20が実行する処理について説明する。
【0078】
図10に示すように、第1終端装置20のプロセッサ200は、路側機40から第2終端装置30を介してステップS14で送信されたルーティングテーブルと車両情報を受信したか否かを判定する(ステップS21)。プロセッサ200は、受信処理部210がルーティングテーブルと車両情報を受信したと判定した場合(ステップS21:Yes)、処理をステップS22に移行する。一方で、プロセッサ200は、ルーティングテーブルと車両情報を受信していないと判定した場合(ステップS21;No)、同じ処理を繰り返す。
【0079】
ルーティング処理部220は、受信処理部210によって受信されたルーティングテーブルを用いて自身が有するルーティングテーブルを更新する(ステップS22)。
【0080】
ルーティング処理部220は、ステップS22で更新されたルーティングテーブルと車両情報を自身と隣接する第2終端装置30やゲートウェイ10等に送信する(ステップS23)。
【0081】
次に、ゲートウェイ10が実行する処理について説明する。
【0082】
図11に示すように、ゲートウェイ10のプロセッサ100は、路側機40からPONアクセスシステム50を介してステップS23で送信されたルーティングテーブルと車両情報を受信したか否かを判定する(ステップS31)。プロセッサ100は、受信処理部110がルーティングテーブルと車両情報を受信したと判定した場合(ステップS31:Yes)、処理をステップS32に移行する。一方で、プロセッサ100は、ルーティングテーブルと車両情報を受信していないと判定した場合(ステップS31;No)、同じ処理を繰り返す。
【0083】
ルーティング処理部120は、受信処理部110によって受信されたルーティングテーブルを用いて自身が有するルーティングテーブルを更新する(ステップS32)。
【0084】
ルーティング処理部120は、ステップS32で更新されたルーティングテーブルと車両情報を自身と隣接する第1終端装置20等に送信する(ステップS33)。
【0085】
次に、通信可能エリアAに車両6が入る前に、通信予定路側機であると判定された路側機40が実行する処理について説明する。
【0086】
図12に示すように、路側機40のプロセッサ400は、自身のアドレスが宛先として登録されたルーティングテーブルと、他の路側機40によって取得された車両情報を受信したか否かを判定する(ステップS41)。プロセッサ400は、受信処理部410が自身のアドレスが宛先として登録されたルーティングテーブルと、他の路側機40によって取得された車両情報を受信したと判定した場合(ステップS41:Yes)、処理をステップS42に移行する。一方で、プロセッサ400は、上記ルーティングテーブルと車両情報を受信していないと判定した場合(ステップS41;No)、同じ処理を繰り返す。
【0087】
路側機40の通信状態設定部450は、ステップS41で受信した車両情報に基づいて、路側機40の通信可能エリアAを走行する予定の車両6との無線通信を行うための処理を開始する(ステップS42)。具体的には、通信状態設定部450は、ステップS41で受信した車両情報に基づいて設定したタイミングで、車両6が通信可能エリアAに入る前に路側機40の無線リソースを該車両6に割り当てるとともに、路側機40とPONアクセスシステム50等との間の通信の接続状態を調整する。即ち、路側機40は、自身が、車両6が走行する予定のエリアに設置される路側機40であると予測された場合に、走行情報に基づいて設定したタイミングで、通信可能エリアAに車両6が入る前に無線リソースを車両6に割り当てるとともに、第1終端装置20との間の通信を行えるような状態に設定する。ステップS42の処理の後、通信予定路側機と判定された路側機40が実行するハンドオーバ処理が終了する。
【0088】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0089】
本実施形態に係る通信システム1は、車両6の走行情報を無線通信によって取得し、それぞれ異なるエリアに設置される複数の路側機40と、複数の路側機40が接続される第1終端装置20と、を備え、路側機40及び第1終端装置20は、ソフトウェアにより実装されるルーティング処理部220,440を有し、ルーティング処理部220,440は、走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行う。
【0090】
これにより、車両6の走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行うので、通信システム1内の路側機40及び第1終端装置20のルーティングテーブルが更新される。即ち、車両6の走行情報をネットワーク内で共有し、今後車両6が走行する予定のエリアに設置される他の路側機40において車両6と通信するための設定を予め行うことができる。また、異なるネットワークの区間を跨ぐ柔軟な通信経路P2の決定が実現できる。よって、ネットワークトポロジーに依存せずに、予測された路側機が車両と通信するための接続設定を予め行うことが可能となるので、車両に対する無線リソースの事前の割り当てを円滑に行うことができる。さらに、ソフトウェアであるvルータによってルーティングを行っているので、インフラの設備費用を抑えることや保守、管理が容易になる。
【0091】
本実施形態に係る通信システム1において、ルーティング処理部220,440は、走行情報に基づいて複数の路側機40のうち車両6が走行する予定のエリアに設定される路側機40を予測し、その予測結果に基づいてルーティングテーブルを更新する。
【0092】
これにより、車両6が今後通信すると予測された路側機40と第1終端装置20との間の通信経路P2を設定できるので、設定した通信経路P2の接続状態の設定や車両6に対する無線リソースの割り当てを事前に行うことができる。
【0093】
本実施形態に係る通信システム1において、路側機40は、自身が予定のエリアに設置される路側機40であると予測された場合に、走行情報に基づいて設定したタイミングで、車両6と通信可能な通信可能エリアAに車両6が入る前に無線リソースを車両6に割り当てるとともに、第1終端装置20との間の通信を行えるような状態に設定する通信状態設定部450を更に備える。
【0094】
これにより、円滑なハンドオーバ処理を確実に行うことができる。
【0095】
本実施形態に係る通信システム1において、走行情報は、車両6の位置情報、速度情報、目的地情報、及びステアリング情報を含む。
【0096】
これにより、車両6が今後走行するエリアをより正確に予測できる。
【0097】
本実施形態に係る通信システム1は、第1終端装置20に接続される複数の第2終端装置30(ONU)を更に備え、第1終端装置20は、OLTであり、複数の第2終端装置30とともにPONアクセスシステム50を構成する。
【0098】
これにより、第2終端装置30を介して複数の路側機40を1つの第1終端装置20にまとめて繋げているので、光ファイバ等の回線Lの敷設費用を抑制できる。また、PONアクセスシステム50では1つの第1終端装置20に対して複数の路側機40を接続するので、光ファイバを流れる信号の衝突の可能性が高くなるものの、事前に車両2に対する路側機40の無線リソースの割り当てや通信経路P2における接続状態の設定等を行うことができる。よって、インフラの設備費用をより低減できるとともに、円滑なハンドオーバ処理を行うことができる。
【0099】
本実施形態に係る通信システム1において、路側機40は、車両6の識別情報を取得し、該識別情報に基づいて車両6を目的地が予め定められた公共用車両か否か判定し、車両6を公共用車両であると判定した場合に、公共用車両の目的地までに走行する予定のエリアに設置される複数の路側機40を予測し、その予測結果に基づいてルーティングテーブルを更新することで予測された複数の路側機40それぞれと第1終端装置20との間の通信経路P2を設定する。
【0100】
これにより、目的地までに通過する複数の路側機40の予測等を一度に行うことができるので、処理コストを低減できる。
【0101】
本実施形態に係る通信方法は、それぞれ異なるエリアに設置される複数の路側機40と、複数の路側機40が接続される第1終端装置20と、を備える通信システム1が実行する通信方法であって、車両6の走行情報を無線通信によって取得する走行情報取得ステップと、路側機40及び第1終端装置20にソフトウェアにより実装されたルーティング処理部220,440が、走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行う通信処理ステップを含む。
【0102】
これにより、車両6の走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行うので、通信システム1内の路側機40及び第1終端装置20のルーティングテーブルが更新される。即ち、車両6の走行情報をネットワーク内で共有し、今後車両6が走行する予定のエリアに設置される他の路側機40において車両6と通信するための設定を予め行うことができる。また、異なるネットワークの区間を跨ぐ柔軟な通信経路P2の決定が実現できる。よって、ネットワークトポロジーに依存せずに、予測された路側機が車両と通信するための接続設定を予め行うことが可能となるので、車両に対する無線リソースの事前の割り当てを円滑に行うことができる。さらに、ソフトウェアであるvルータによってルーティングを行っているので、インフラの設備費用を抑えることや保守、管理が容易になる。
【0103】
本実施形態に係るプログラムは、それぞれ異なるエリアに設置される複数の路側機40と、複数の路側機40が接続される第1終端装置20と、を備える通信システム1に含まれるコンピュータに、車両6の走行情報を無線通信によって取得する走行情報取得機能と、路側機40及び第1終端装置20にソフトウェアにより実装されたルーティング処理部440,220が、走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行う通信処理機能と、を実行させる。
【0104】
これにより、車両6の走行情報に基づいて更新されたルーティングテーブルに基づいて通信処理を行うので、通信システム1内の路側機40及び第1終端装置20のルーティングテーブルが更新される。即ち、車両6の走行情報をネットワーク内で共有し、今後車両6が走行する予定のエリアに設置される他の路側機40において車両6と通信するための設定を予め行うことができる。また、異なるネットワークの区間を跨ぐ柔軟な通信経路P2の決定が実現できる。よって、ネットワークトポロジーに依存せずに、予測された路側機が車両と通信するための接続設定を予め行うことが可能となるので、車両に対する無線リソースの事前の割り当てを円滑に行うことができる。さらに、ソフトウェアであるvルータによってルーティングを行っているので、インフラの設備費用を抑えることや保守、管理が容易になる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0106】
上記実施形態では、通信システム1は複数の路側機40とネットワーク通信網NWとの間にPONアクセスシステム50のようなP2MP(Point to Multi Point)のネットワーク通信網を含んでいたが、PONアクセスシステム50以外にP2P(Point to Point)のネットワーク通信網やリングネットワーク等の複数のネットワークトポロジーを含んでいてもよい。また、PONアクセスシステム50以外にL2SW(Layer 2 Switch)等の装置を含んでいてもよい。
【0107】
また上記実施形態では、路側機40のみが路側機予測部420を備えていたが、路側機40ではなく、ゲートウェイ10又は第1終端装置20が車両6の走行情報に基づいて通信予定路側機を予測し、その予測結果に基づいて自身が有するルーティングテーブルを更新してもよい。またはゲートウェイ10、第1終端装置20又は路側機40の少なくとも何れかが路側機予測部を備える構成であってもよい。
【0108】
また例えば、通信システム1はネットワーク通信網NWやゲートウェイ10を介して第1終端装置20に接続されたサーバ装置を備える構成であってもよい。この場合、サーバ装置にSNDコントローラとしての機能を付与し、サーバ装置がゲートウェイ10や第1終端装置20、路側機40の通信を管理するコントロールプレーン制御を実行してもよい。即ち、サーバ装置が車両6の走行情報に基づいてルーティングテーブルの内容を決定し、ゲートウェイ10や第1終端装置20、路側機40がサーバ装置によって決定されたルーティングテーブルに基づいて自身のルーティングテーブルの更新及び転送を行う構成であってもよい。また例えば、ゲートウェイ10にSNDコントローラとしての機能を付与し、第1終端装置20、路側機40の通信を管理するコントロールプレーン制御を実行してもよい。また例えば、第1終端装置20にSNDコントローラとしての機能を付与し、ゲートウェイ10、路側機40の通信を管理するコントロールプレーン制御を実行してもよい。また例えば、路側機40にSNDコントローラとしての機能を付与し、ゲートウェイ10、第1終端装置20の通信を管理するコントロールプレーン制御を実行してもよい。これにより、各通信機器を個別に設定する必要がなくなり、通信システム1全体の管理が容易になる。
【0109】
また例えば、路側機40は、ルート設定車両判定部430を備えない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 通信システム
6 車両
20 第1終端装置(終端装置)
40 路側機
120,220,440 ルーティング処理部
200 プロセッサ
400 プロセッサ