(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】基板処理チャンバ向けのチャッキングのプロセス及びシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241206BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20241206BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20241206BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/31 C
C23C16/458
H02N13/00 D
(21)【出願番号】P 2021552812
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 US2020020127
(87)【国際公開番号】W WO2020185413
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-21
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クマール, バスカー
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニアン, ガネーシュ
(72)【発明者】
【氏名】シャー, ヴィヴェーク バラト
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ, ジヘン
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0090613(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0330926(US,A1)
【文献】特表2002-505036(JP,A)
【文献】特表2017-527115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0084650(US,A1)
【文献】特開2011-138878(JP,A)
【文献】特開平05-036806(JP,A)
【文献】特開平11-251420(JP,A)
【文献】国際公開第2011/118159(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/31
C23C 16/458
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理チャンバ内で一又は複数の基板をチャックする方法であって、
基板がペデスタルの支持面上に配置されている状態で前記ペデスタルにチャック電圧を印加することと、
前記チャック電圧を
、印加
された電圧からランピングさせることと、
前記チャック電圧をランピングさせている間に、インピーダンスシフトを検出することと、
前記インピーダンスシフトが発生した、対応するチャック電圧を特定することと、
前記インピーダンスシフトと前記対応するチャック電圧とに基づいて、リファインされたチャック電圧を特定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記インピーダンスシフトが、前記基板処理チャンバに高周波エネルギーを供給する高周波エネルギー生成装置のインピーダンスシフトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インピーダンスシフトを検出することが、前記インピーダンスシフトを測定することを含み、前記方法が、堆積プロセス中に、前記リファインされたチャック電圧を印加することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ペデスタルに前記チャック電圧を印加することが、前記インピーダンスシフトが発生するまで前記チャック電圧をランプ上昇させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リファインされたチャック電圧が、前記ペデスタルの前記支持面に前記基板をチャックする最小電圧値であり、前記リファインされたチャック電圧は前記基板の反りを低減し、前記方法が、プラズマを生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
一又は複数の追加の基板に対して、前記ペデスタルに前記チャック電圧を印加することと、前記インピーダンスシフトを検出することと、前記リファインされたチャック電圧を特定することとが反復される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基板処理チャンバ内で一又は複数の基板をチャックする方法であって、
基板がペデスタルの支持面上に配置されている状態で、予め選択された値
に向けてチャック電圧をランプ上昇させることによって、前記ペデスタルに
前記チャック電圧を印加することと、
前記チャック電圧をランプ上昇させている間に、インピーダンスシフトを検出することと、
前記インピーダンスシフトに基づいて、リファインされたチャック電圧を特定することと、
前記リファインされたチャック電圧を使用して、印加される前記チャック電圧を調整することと、を含む、方法。
【請求項8】
前記インピーダンスシフトが、前記基板処理チャンバに高周波エネルギーを供給する高周波エネルギー生成装置のインピーダンスシフトである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記インピーダンスシフトを検出することが、前記インピーダンスシフトを測定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
堆積プロセスを実施することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記インピーダンスシフトが発生するまで、前記予め選択された値に向けて前記チャック電圧をランプ上昇させることを
更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記リファインされたチャック電圧が、前記ペデスタルの前記支持面に前記基板をチャックする最小電圧値であり、前記リファインされたチャック電圧は前記基板の反りを低減し、前記方法が、プラズマを生成することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
一又は複数の追加の基板に対して、前記ペデスタルに前記チャック電圧を印加することと、前記インピーダンスシフトを検出することと、前記リファインされたチャック電圧を特定することとが反復される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
基板処理チャンバシステム向けのコントローラであって、
プロセッサと、
コンピュータ命令のセットとを備え、前記コンピュータ命令のセットは、実行されると、前記プロセッサに、
直流電圧生成装置に、ペデスタルにチャック電圧を印加させ、
前記チャック電圧を、印加された電圧からランピングさせ、
前記チャック電圧をランピングさせている間に、インピーダンス検出器に基板処理チャンバの構成要素のインピーダンスシフトを検出させ、更に
前記インピーダンスシフトに基づいて、リファインされたチャック電圧を特定する
よう指示する
、コントローラ。
【請求項15】
前記コンピュータ命令のセットは、実行されると、前記プロセッサに、前記リファインされたチャック電圧をメモリに記憶するよう指示する、請求項14に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
技術分野
[0001]本開示の態様は概して、基板をチャックする方法を含む、基板処理チャンバを動作させるための方法及びシステムに関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]基板の処理中、基板は、基板処理チャンバ内でペデスタルにチャックされることがある。例えば、反って(bowed)いる基板が、処理中にペデスタルにチャックされることがある。しかし、ペデスタルの特性のばらつき及び/又は基板の特性のばらつきにより、処理中にペデスタルに印加されるべきチャック電圧を特定することは、困難であり、かつ費用と時間のかかることである。印加されるチャック電圧が低すぎると、基板処理中にアーク放電が発生しうる。印加されるチャック電圧が高すぎると、基板が裏面損傷(backside damage)を受けることもあり、このことは、欠陥及び基板処理工程の歩留まり低下につながる。
【0003】
[0003]したがって、裏面損傷及びアーク放電を減少させるか又はなくし、かつコストパフォーマンスの良い様態で歩留まりを向上させる、基板をチャックする改良型の方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示の実行形態は概して、基板をチャックする方法を含む、基板処理チャンバを動作させるための方法及びシステムに関する。
【0005】
[0005]一実行形態では、基板処理チャンバ内で一又は複数の基板をチャックする方法は、ペデスタルにチャック電圧を印加することを含む。基板はペデスタルの支持面上に配置される。この方法は、チャック電圧を印加電圧からランピングさせる(ramping)こと、チャック電圧をランピングさせている間に、インピーダンスシフトを検出すること、及びインピーダンスシフトが発生した、対応するチャック電圧を特定することも、含む。方法は、インピーダンスシフト及びそれに対応するチャック電圧に基づいて、リファインされた(refined)チャック電圧を特定することも含む。
【0006】
[0006]一実行形態では、基板処理チャンバ内で一又は複数の基板をチャックする方法は、予め選択された値を使用して、ペデスタルにチャック電圧を印加することを含む。基板はペデスタルの支持面上に配置される。この方法は、インピーダンスシフトを検出すること、インピーダンスシフトに基づいて、リファインされたチャック電圧を特定すること、及びリファインされたチャック電圧を使用して印加されるチャック電圧を調整することも、含む。
【0007】
[0007]一実行形態では、基板処理チャンバシステム向けのコントローラは、プロセッサを含む。コントローラはコンピュータ命令のセットを含み、このコンピュータ命令のセットは、実行されると、直流電圧生成装置にペデスタルにチャック電圧を印加させるよう、プロセッサに指示する。コンピュータ命令のセットは、実行されると、インピーダンス検出器に高周波エネルギー生成装置のインピーダンスシフトを検出させ、かつ、インピーダンスシフトに基づいてリファインされたチャック電圧を特定する。
【0008】
[0008]上述した本開示の特徴を詳しく理解しうるように、上記で簡潔に要約した本開示のより詳細な説明が、実行形態を参照することにより得られる。実行形態の一部は付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実行形態も許容しうるので、付随する図面は、この開示の共通の実行形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]一実行形態による、基板処理チャンバシステムの概略部分断面図である。
【
図2】[0010]一実行形態による、基板処理チャンバ内で基板をチャックする方法の概略図である。
【
図3】[0011]一実行形態による、インピーダンスシフトを示す画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0012]理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実行形態で開示されている要素は、具体的な記述がなくとも、他の実行形態で有益に利用されうると、想定される。
【0011】
[0013]本開示は、基板処理チャンバ内で基板をチャックするための方法及びシステムに関する。
図1は、一実行形態による、基板処理チャンバシステム101の概略部分断面図を示している。基板処理チャンバシステム101はチャンバ100を含み、チャンバ100内にはペデスタル138が配置されている。チャンバ100は、例えば、化学気相堆積(CVD)チャンバ、プラズマCVD(PECVD)チャンバ、又は物理的気相堆積(PVD)チャンバでありうる。チャンバ100はチャンバ本体102とチャンバリッド104とを有する。チャンバ本体102は、その中の内部空間106と、ポンピング経路108とを含む。内部空間106は、チャンバ本体102及びチャンバリッド104によって画定された空間である。ポンピング経路108は、ポンピングプレート114内に形成されたポンピング空間112に連結された、チャンバ本体102内に形成された経路である。ポンピング経路108により、内部空間106からのガスの除去が促進される。
【0012】
[0014]チャンバ100は、一又は複数のガスの流れを処理領域110内に供給するために、チャンバリッド104に連結されかつ/又はチャンバリッド104内に配置されたガス分配アセンブリ116を含む。処理領域110は、内部空間106の、基板支持体138とチャンバリッド104との間に位置する部分を含む。ガス分配アセンブリ116によって供給されるガスは、例えば、一又は複数の処理ガス(例えば一又は複数の不活性ガス、及び/又は一又は複数の前駆体ガス)を含みうる。一例では、一又は複数の処理ガスは、基板136上に膜を形成するための、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含む前駆体ガスを含む。ガス分配アセンブリ116は、チャンバリッド104内に形成されたガス注入通路120に連結されたガスマニホールド118を含む。ガスマニホールド118は、一又は複数のガス源122(2つのガス源を図示している)からのガス流を受容する。一又は複数のガス源122から受容されたガス流は、ガスボックス124内に分散し、バッキング板126の複数の開口を通って流れ、更に、バッキング板126及び面板130によって画定されたプレナム128内に分散する。次いで、このガス流は、面板130の複数の開口132を通って、内部空間106の処理領域110に流入する。処理領域110内の圧力を制御し、処理領域110からポンピング空間112及びポンピング経路108を通してガス及び副生成物を排出するために、ポンプ133が、導管134によってポンピング経路108に接続される。
【0013】
[0015]内部空間106はペデスタル138を含み、ペデスタル138は、チャンバ100内で、ペデスタル138の支持面138a上に基板136を支持する。ペデスタル138は、ペデスタル138内に配置された電極140を含む。電極140は、導電メッシュ(例えばタングステンを含有するか、銅を含有するか、又はモリブデンを含有する導電メッシュ)を含みうる。電極140は、交流(AC)コイルを含む、加熱に使用される任意の材料を含みうる。電極140は電源159(直流(DC)電圧生成装置など)に連結される。電極140は、DC電圧生成装置159から受信されたチャック電圧を、ペデスタル138に供給するよう構成される。チャック電圧は、基板136がペデスタル138の支持面138aにチャックされるように、基板136にチャック力を印加する。基板136に静電力が印加されることにより、基板が電極140の方へと引き寄せられて、支持面138aへの基板136のチャッキングが促進される。基板136にチャック力が作用することで、基板136の反りをなくすこと又は基板136を平らにすることが促進される。
【0014】
[0016]電極140は、高周波(RF)エネルギー生成装置156に連結される。電極140は、RFエネルギー生成装置156から受信したRFを、ペデスタル138を通じて処理領域110内へと伝播させるよう構成される。電極140は、例えば、一又は複数の処理ガスが処理領域110内に存在している間にRFエネルギーを伝播させることが可能であり、これにより、処理領域110内にプラズマ141が生成される。
【0015】
[0017]電極140は、電極140に加熱電力を供給する加熱電源180に連結される。加熱電力は、例えば、交流(AC)でありうる。電極140は、加熱電源180から受信した加熱電力を用いて、ペデスタル138を加熱するよう構成される。
【0016】
[0018]電極140は、導電ロッド160及び整合回路158を通じて、RFエネルギー生成装置156、加熱電源180、及びDC電圧生成装置159に連結される。インピーダンス検出器190が、RFエネルギー生成装置156に連結される。インピーダンス検出器190は、DC電圧生成装置159が電極140を通じてペデスタル138にチャック電圧を印加している間に、RFエネルギー生成装置156のインピーダンスシフトを検出するよう構成される。他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、インピーダンス検出器190は、追加的又は代替的に、基板処理チャンバシステム101の他の構成要素に連結される。例えば、インピーダンス検出器190は、基板136、ペデスタル138、電極140、加熱電源180、DC電圧生成装置159、チャンバ本体102、チャンバリッド104、支持面138a、面板130、バッキング板126、及び/又は第2RFエネルギー生成装置166、のうちの一又は複数に連結されてよく、かつ、これらのうちの一又は複数におけるインピーダンスシフトを検出するよう構成されうる。本開示では、インピーダンス検出器190が、基板処理チャンバシステム101のどの構成要素のインピーダンスシフトも検出するよう、かつ、かかる情報を本書で開示している態様にしたがって使用するよう、構成されうると、想定されている。
【0017】
[0019]ペデスタル138は、リフトシステムに連結されたステム142によって可動であるように、内部空間106内に配置される。ペデスタル138が動くことで、チャンバ本体102を通るように形成されたスリットバルブを通じての、内部空間106を出入りする基板136の移送が促進される。ペデスタル138は、基板136の処理のために、種々の処理位置に動かされることも可能である。ペデスタル138は、ペデスタル138を貫通して配置された開口を有してもよく、複数のリフトピン150が、この開口を通って可動であるように配置されうる。下降位置では、複数のリフトピン150が、チャンバ本体の底部154に連結されたリフトプレート152に接触することによって、ペデスタル138から突出する。リフトピン150が突出することで、基板136がペデスタル138から離間関係に配置されて、基板136の移送が促進される。
【0018】
[0020]基板処理中、ガスが処理領域110に流入している時に、電極140はペデスタル138を加熱する。また、基板処理中、処理領域110内でのプラズマ生成を促進するため、かつ/又はペデスタル138への基板136のチャッキングを促進するために、電極140は、高周波(RF)エネルギー、交流電流(AC)、又は直流電流(DC)を伝播させる。熱、ガス、及び電極140からのエネルギーにより、基板処理中の、基板136上への膜の堆積が促進される。
【0019】
[0021]面板130(チャンバ本体102への連結を介して接地されている)及び電極140により、プラズマ141の生成が促進される。例えば、RFエネルギー生成装置156は、ペデスタル138とガス分配アセンブリ116の面板130との間でのプラズマ141の生成を促進するために、ペデスタル138内の電極140にRFエネルギーを提供する。RFエネルギー生成装置156は接地171に接続されている。第2RFエネルギー生成装置166も、チャンバ100にRFエネルギーを提供するよう構成される。第2RFエネルギー生成装置166は接地173に接続されている。第2RFエネルギー生成装置166を図示しているが、本開示では、第2RFエネルギー生成装置166の代わりに又は第2RFエネルギー生成装置166と併せて、他の電源も使用されうると、想定されている。例えば、第2交流(AC)電源又は第2直流(DC)電源が使用されることもある。本開示では、第2AC電源及び/又は第2DC電源はインピーダンス検出器190に連結されうると、想定されている。
【0020】
[0022]基板処理チャンバシステム101は、基板処理チャンバシステム101の構成要素のうちの一又は複数を制御するよう構成されている、コントローラ192を含む。コントローラ192は、中央処理装置(CPU)193と、サポート回路194と、関連する制御ソフトウェア196を包含するメモリ195とを含む。CPU193はプロセッサを含みうる。制御ソフトウェア196はコンピュータ命令のセットを含み、このコンピュータ命令のセットは、実行されると、基板処理チャンバシステム101の一又は複数の構成要素を使用して一又は複数の工程の実施を引き起こすよう、コントローラ192のCPU193に指示する。コントローラ192は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために産業用設定で使用されうる、任意の形態の汎用コンピュータプロセッサを含みうる。CPU193は、任意の好適なメモリ195(ランダムアクセスメモリ、読出専用メモリ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、ハードディスク、又は、ローカル若しくはリモートの、その他の任意の形態のデジタル記憶装置など)を使用しうる。様々なサポート回路が、チャンバ100をサポートするために、CPU193に連結されうる。コントローラ192は、個々のチャンバ構成要素の近隣に配置される別のコントローラに連結されることもある。コントローラ192とチャンバ100の他の様々な構成要素との間の双方向通信は、多数の信号ケーブル(集合的に信号バスと称され、その一部を
図1に示している)を通じて処理される。
【0021】
[0023]
図1に示しているコントローラ192は、少なくとも、一又は複数のガス源122、ポンプ133、RFエネルギー生成装置156、DC電圧生成装置159、第2RFエネルギー生成装置166、加熱電源180、及びインピーダンス検出器190を制御するよう構成される。他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、コントローラ192は、プロセッサ(CPU193など)によって実行されると、
図2の方法200に示している工程のうちの一又は複数の実施を引き起こすよう構成される。一例では、制御ソフトウェア196はコンピュータ命令のセットを含み、このコンピュータ命令のセットは、実行されると、
図2の方法200に示している一又は複数の工程の実施を引き起こすよう、コントローラ192のCPU193に指示する。
【0022】
[0024]
図2は、基板処理チャンバ内で基板をチャックする方法200の概略図である。工程201において、基板がペデスタルの支持面上に配置されている状態でペデスタルにチャック電圧が印加され、かつ/又は、基板処理チャンバに高周波(RF)エネルギーが供給される。他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、チャック電圧は、チャック電圧として予め選択された値を使用して印加される。この予め選択された値は、例えば、処理チャンバ、基板、ペデスタル、若しくは電極の仕様、又はこれらの材料に基づいて、取得されうる。予め選択された値は、先の基板処理又はチャッキングの工程から取得されることもある。一例では、予め選択された値は、基板処理工程において新しいペデスタル、チャンバ、及び/又は基板が使用される時に、一又は複数の実験運転(run)を使用して取得される。
【0023】
[0025]オプションの工程203において、プラズマ(不活性プラズマなど)が生成される。オプションの工程205において、インピーダンスシフトが発生するまでチャック電圧のランプ上昇又はランプ下降が行われる。あるいは、印加電圧と、それより大きな、インピーダンスシフトが発生する第2電圧との間の電圧を特定するために、チャック電圧は、印加電圧からより大きな第2電圧まで、ランプ上昇しうる。他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、より大きな第2電圧は、予め選択された値である。工程207において、インピーダンスシフトが検出される。インピーダンスシフトは、基板がペデスタルの支持面にチャックされていることを信号伝達する。
【0024】
[0026]他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、チャック電圧は、インピーダンスシフトが発生するまで、一又は複数の電圧増分でランプ上昇又はランプ下降する。一例では、チャック電圧は、インピーダンスセンサの安定化を可能にするために、インピーダンスシフトが発生するまで、50ボルトの増分であって、各々が5秒以上、例えば10秒以上にわたって印加される増分で、上方へとランピングされる。一例では、チャック電圧は、インピーダンスシフトが発生するまで、100ボルトの増分であって、各々が5秒以上、例えば10秒以上にわたって印加される増分で、下方へとランピングされる。
【0025】
[0027]インピーダンスシフトは、少なくとも所定の量(例えば0.5オーム以上)の、インピーダンスのシフトである。他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、第1インピーダンス値は、ブロック201においてチャック電圧が印加された後に、所定の期間(例えば5秒間以上、例としては10秒間以上)にわたって測定される。かかる実施形態では、ブロック205においてチャック電圧をランピングさせ、ランピングされたチャック電圧を、別の等しい又は異なる期間(例えば約5秒間以上、例としては10秒間以上)にわたって印加した後に、第2インピーダンス値が測定される。所定の期間にわたってチャック電圧を印加することで、正確な測定のためにインピーダンス値が安定することが可能になる。第1インピーダンス値と第2インピーダンス値との差が、インピーダンスシフトを示す。測定されたインピーダンス値間のデルタが所定の閾値量を超えていれば、シフトが発生したと考えられる。一例では、0.5オーム以上のシフトは、基板がチャックされていること、及び/又は、基板の反りが減少している若しくはなくなっていることを示す。しかし、その他のシフト値も想定されることに留意されたい。
【0026】
[0028]他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、インピーダンスシフトは、基板がチャックされていること、及び/又は、基板の反りが減少している若しくはなくなっていることを、検証するために使用される。かかる実施形態では、基板がペデスタルにチャックされていることを検証するために、ターゲット値を下回る値(例えば0.1オーム以下)の、ブロック207におけるインピーダンスシフトが使用される。一例では、ブロック207においてインピーダンスシフトが測定された後に、第2インピーダンスシフトが測定される。第2インピーダンスシフトが、ターゲット値以下(例えば0.1オーム以下)である場合には、ペデスタルへの基板のチャッキングが検証される。第2インピーダンスシフトが、チャックを確認するための所定のターゲット値を上回っている場合には、基板が、少なくとも部分的に、ペデスタルから非チャック状態になっている可能性がある。
【0027】
[0029]理論に束縛されるものではないが、インピーダンスシフトは、基板と基板処理チャンバシステムのその他の構成要素(複数可)との間の電荷の流れの変化によって引き起こされると、考えられている。例えば、基板をチャックすることで基板の反りが除去され、これにより、基板がペデスタルの支持面に向かって平らになり、基板と支持面との間の一又は複数の間隙が減少しうる。基板と支持面との間の一又は複数の間隙が減少することにより、基板とその他の構成要素(複数可)(ペデスタルなど)との間の電荷の流れに変化が生じる。この電荷の流れの変化が、基板処理チャンバシステムの一又は複数の構成要素におけるインピーダンスシフトを引き起こす。
【0028】
[0030]他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、インピーダンスシフトを検出する工程は、インピーダンスシフトを測定することを含む。インピーダンスシフトを検出及び/又は測定するために、インピーダンス検出器(例えば、上述したインピーダンス検出器190)といったデバイスが使用されうる。他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、インピーダンスシフトは、基板処理チャンバに高周波エネルギーを供給する高周波(RF)エネルギー生成装置のインピーダンスシフトである。本開示では、インピーダンスシフトは、基板処理チャンバのいかなる構成要素についても検出及び/又は測定されうると、想定されている。工程209において、インピーダンスシフトを使用して、リファインされたチャック電圧が特定される。他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、リファインされたチャック電圧は、例えばいかなる反りも伴わずに、ペデスタルの支持面に基板をチャックする、最小電圧値である。一例では、リファインされたチャック電圧は、インピーダンスシフトが発生する瞬間に印加されているチャック電圧である。リファインされたチャック電圧を特定し、使用することで、色々な特性を有する基板、チャンバ、又はペデスタルが関与する工程において、基板がペデスタルの支持面にチャックされる確率の上昇が促進される。基板をチャックすることで、基板の反りを減少させること又はなくすことが促進され、かつ、基板支持面と基板の裏面との間の間隙が除去されるか又は軽減されることによる、アーク放電の発生確率の低減が促進される。アーク放電の確率の低減により、基板欠陥の低減、及び基板処理工程の歩留りの向上が促進される。リファインされたチャック電圧を使用することで、オペレータにとって、基板処理中に基板に裏面損傷を引き起こしうる高いチャック電圧を使用しないという選択肢も可能になる。裏面損傷の確率を減少させることで、基板欠陥の確率も減少し、基板処理工程の歩留まりが向上する。
【0029】
[0031]一例では、リファインされたチャック電圧は、インピーダンスシフトの瞬間におけるチャック電圧に、チャッキングを確実にするための追加の電圧量を加えたものに、基づきうる。例えば、リファインされたチャック電圧は、インピーダンスシフトの瞬間におけるチャック電圧に、5パーセント、10パーセント、15パーセント、20パーセント、25パーセントなどを加えたものに、等しくなりうる。かかる例では、リファインされたチャック電圧は、第1基板又は基板の第1バッチについて特定されてよく、その後、複数の処理運転に適用されうる。追加の電圧量を含むことで、処理中に個々の基板に対して方法200を実施することを必要とせずに、リファインされたチャック電圧によってチャッキングが促進され、多くのプロセス基板に本書に記載の利点がもたらされる可能性が上昇する。リファインされたチャック電圧が個々の基板に最適なチャック電圧となるように、方法200が処理中に各基板に対して実施されうることも、想定されている。
【0030】
[0032]他の実施形態と組み合わされうるオプションの一実施形態では、リファインされたチャック電圧は、印加チャック電圧及び/又はランピングされたチャック電圧が所定の期間(例えば5秒以上)にわたって基板に印加されている間に測定される、第1インピーダンストレース(例えば、一又は複数の印加電圧に関するインピーダンス値対時間のグラフ)の第1画像を生成することによって、特定される。第1インピーダンストレースの第1画像は、同じ期間にわたって別の基板に印加された同じ電圧について測定される、第2インピーダンストレースの第2画像と比較される。一例では、この別の基板は、反りを含まない、平坦なシリコン基板である。第1インピーダンストレースが第2インピーダンストレースと合致している場合には、第1インピーダンストレースの印加電圧は、リファインされたチャック電圧であると判定される。第1インピーダンストレースが第2インピーダンストレースと合致しない場合には、第1インピーダンストレースが第2インピーダンストレースと合致するまで、印加電圧はランピングされる。一例では、第1インピーダンストレースが第2インピーダンストレースと合致していることは、上述したように、リファインされたチャック電圧が所定の量を使用して特定される場合に、リファインされたチャック電圧としての適切な電圧値を確認するために使用される。
【0031】
[0033]リファインされたチャック電圧を特定するためにインピーダンスシフトを使用することによって、基板処理工程中に、リファインされたチャック電圧がリアルタイムで特定されうる。基板処理工程で、印加チャック電圧が十分であるか否かを判定するために基板が検査されるように基板に対する堆積プロセスが終了するまで、待機することは必要ない。これにより、基板処理工程の時間及びコストの節約が促進され、歩留まりの向上も促進される。
【0032】
[0034]オプションの工程211において、印加チャック電圧が、リファインされたチャック電圧に調整される。印加チャック電圧を、後続の処理のためのリファインされたチャック電圧に調整することで、本書に記載のリファインされたチャック電圧に関する利点が、適時に、かつコストパフォーマンスの良い様態で実現されうる。リファインされたチャック電圧により、基板処理工程が、種々の基板間で変動する特性に効率的に対処し、適応することも可能になる。例えば、基板処理工程において新しいペデスタルが使用される場合、このペデスタルは、その前に使用されていたペデスタルとは異なる熱伝導率を有していることがある。リファインされたチャック電圧を使用して印加チャック電圧を調整することで、基板処理工程が、先のペデスタルとは異なる新しいペデスタルの特性に効率的に適応することが可能になる。これは、新しいペデスタルが使用されるたびに行われうる。別の例としては、リファインされたチャック電圧は、新しいペデスタルの仕様から取得された、予め選択された値を調整するために使用されることもある。一態様においては、基板処理工程において新しいペデスタルが使用されるたびに、方法200の一又は複数の工程が実施される。
【0033】
[0035]別の例としては、基板処理チャンバ内で新しい基板が使用される場合、この新しい基板は、その前に処理された基板とは異なる反り特性を有していることがある。異なる反り特性には、その基板の反りをなくしうる、異なるチャック電圧が関与しうる。本書で開示している態様を利用することで、反りをなくすか又は軽減するチャック電圧が、過剰になることなく、基板に印加され、これにより、背面損傷の可能性が低減されうる。
【0034】
[0036]オプションの工程213において、リファインされたチャック電圧は記憶される。他の実施形態と組み合わされうる一実施形態では、リファインされたチャック電圧は、後続の基板処理工程で使用されるように、メモリに記憶される。オプションの工程215において、リファインされたチャック電圧が印加される。オプションの工程217では、リファインされたチャック電圧の印加に応じて、一又は複数の基板がペデスタルの支持面にチャックされる。オプションの工程217の一又は複数の基板は、工程201で使用される基板を含みうる。オプションの工程217の一又は複数の基板は、工程201で使用される基板とは異なることもある。オプションの工程217の一又は複数の基板は、工程201で使用される基板とは異なる第2基板及び/又は第3基板を含むこともある。
【0035】
[0037]オプションの工程219において、リファインされたチャック電圧の印加に応じて、一又は複数の基板の反りが低減されるか又はなくなる。オプションの工程219の一又は複数の基板は、工程201で使用される基板を含みうる。オプションの工程219の一又は複数の基板は、工程201で使用される基板とは異なることもある。オプションの工程219の一又は複数の基板は、工程201で使用される基板とは異なる第2基板及び/又は第3基板を含むこともある。
【0036】
[0038]オプションの工程221において、リファインされたチャック電圧を印加している間に堆積プロセスが実施される。例えば、一又は複数のプロセスガスを使用して一又は複数の基板上に膜が堆積されてよく、かつ、一又は複数の基板上に膜を堆積させる処理プラズマが生成されうる。
【0037】
[0039]オプションの工程223において、一又は複数の追加の基板に対して、工程201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、及び/又は221のうちの一又は複数が反復される。オプションの工程223の一又は複数の追加の基板は、工程201で使用される基板とは異なる第2基板及び/又は第3基板を含みうる。
【0038】
[0040]方法200は、
図2に示している工程のシーケンス又は数に限定されず、工程201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、221、及び/又は223のうちの一又は複数を並べ替えること、反復すること、追加すること、及び/又は除去することを含む、その他の実行形態も含みうる。
【0039】
[0041]
図3は、一実行形態による、インピーダンスシフトを示す画像300の図である。画像300は、チャック電圧がランプ上昇した後に発生する、インピーダンスシフトを示している。図示している実行形態では、第1チャック電圧(例えば550ボルト)が、所定の期間(例えば20秒)にわたって基板に印加される。第1チャック電圧が印加されている間、20秒間にわたってインピーダンスを測定することによって、第1インピーダンストレース301が生成される。所定の期間が経過した後に第1インピーダンス値302が測定される。チャック電圧は、所定の(例えば50ボルトの又は約10パーセントの)電圧増分だけランプ上昇し、第2チャック電圧(例えば600ボルト)が、同じ基板に、追加の期間にわたって印加される。一例では、追加の期間は第1期間と同じ(例えば20秒間)である。第2チャック電圧が印加されている間、追加の20秒間にわたってインピーダンスを測定することによって、第2インピーダンストレース303が生成される。第2期間(例えば20秒間)が経過した後に、第2インピーダンス値304が測定される。図示しているように、第2インピーダンストレース303のインピーダンスは、追加の20秒間が経過した後には実質的に安定する。このプロセスが反復され、少なくとも閾値のインピーダンスのシフトが特定されるまで、安定したインピーダンスとその前に安定したインピーダンスとが比較される。
【0040】
[0042]第2インピーダンス値304と第1インピーダンス値302との間の差305が、少なくとも閾値(例えば0.5オーム)であることは、基板の反りが低減されているか、又はなくなっていることを示す。このインピーダンスシフトは、第2チャック電圧が、支持面への基板のチャックが発生するチャック電圧に対応することを示す。ゆえに、チャッキングのための電力の過剰な印加が不要になる。
【0041】
[0043]画像300は一例にすぎず、他の画像も生成又は検出されうることに留意されたい。本開示の利点は、アーク放電の低減、ペデスタル支持面への基板のチャッキングの改善、背面損傷の低減、機器特性の変化への適時かつ効率的な適応、歩留まりの向上、及び運転コストの削減、を含む。本開示の態様は、ペデスタルにチャック電圧を印加することと、予め選択された値を使用して、ペデスタルにチャック電圧を印加することと、インピーダンスシフトが発生するまで、チャック電圧をランプ上昇させることと、インピーダンスシフトを検出することと、インピーダンスシフトに基づいて、リファインされたチャック電圧を特定することと、印加チャック電圧をリファインされたチャック電圧に調整することと、を含む。
【0042】
[0044]本書で開示している上記の態様のうちの一又は複数は組み合わされることがあると、想定される。更に、かかる態様のうちの一又は複数は、前述した利点の一部又は全部を含みうると想定される。
【0043】
[0045]上記の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されうる。本開示では、本書に記載の実施形態の一又は複数の態様が、記載されているその他の態様のうちの一又は複数で置換されうるとも、想定されている。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。