IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KOKUSAI ELECTRICの特許一覧

特許7599546基板処理方法、基板処理装置、プログラムおよび半導体装置の製造方法
<>
  • 特許-基板処理方法、基板処理装置、プログラムおよび半導体装置の製造方法 図1
  • 特許-基板処理方法、基板処理装置、プログラムおよび半導体装置の製造方法 図2
  • 特許-基板処理方法、基板処理装置、プログラムおよび半導体装置の製造方法 図3
  • 特許-基板処理方法、基板処理装置、プログラムおよび半導体装置の製造方法 図4
  • 特許-基板処理方法、基板処理装置、プログラムおよび半導体装置の製造方法 図5
  • 特許-基板処理方法、基板処理装置、プログラムおよび半導体装置の製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】基板処理方法、基板処理装置、プログラムおよび半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20241206BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/455
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023500456
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2021006327
(87)【国際公開番号】W WO2022176155
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】石橋 清久
(72)【発明者】
【氏名】村上 孝太郎
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-082986(JP,A)
【文献】特開2013-222725(JP,A)
【文献】特開2020-170752(JP,A)
【文献】特開2020-043262(JP,A)
【文献】特開平08-250435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板に対して、第14族元素含有ガスを供給する工程と、
(e)(b)前記基板に対して、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する工程と、(c)前記基板に対して、第1還元ガスを供給する工程と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する工程と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う工程と、
を有し、
(e)における少なくとも最後の前記サイクルにおいて、(d)における前記供給する時間が、(a)における前記供給する時間より長くする基板処理方法。
【請求項2】
(e)における全ての前記サイクルにおいて、(d)における前記供給する時間が、(a)における前記供給する時間より長い請求項に記載の基板処理方法。
【請求項3】
(a)基板に対して、第14族元素含有ガスを供給する工程と、
(e)(b)前記基板に対して、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する工程と、(c)前記基板に対して、第1還元ガスを供給する工程と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する工程と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う工程と、
(f)(e)の後、前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する工程
を有する基板処理方法。
【請求項4】
(g)(a)の前に、前記基板に対して、ハロシラン系ガスを供給する工程、を含む請求項1~請求項のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
(g)において、2種類の前記ハロシラン系ガスを供給する請求項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
(g)において、前記ハロシラン系ガスを供給した後、第2還元ガスを供給する請求項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記第2還元ガスが、Si元素を含有する請求項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記第14族元素含有ガスが、SiHガス、Siガス、Siガス、GeHガス、GeガスまたはGeガスのいずれかである請求項1~請求項のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記ドーパントガスが、B元素を含有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記ドーパントガスが、Cl元素を含有する請求項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記第1還元ガスが、水素含有ガスである請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記基板の表面に、前記基板の面内方向に延在する第1凹部が形成されている請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記基板の表面に、前記第1凹部の長手方向に垂直に連通しており、かつ、前記基板の面内方向に延在する複数の第2凹部が形成されている請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
基板に対して第1供給部より第14族元素含有ガスを供給する第1供給系と、
前記基板に対して第2供給部より第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する第2供給系と、
前記基板に対して第3供給部より第1還元ガスを供給する第3供給系と、
(a)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する処理と、
(e)(b)前記基板に対して、前記第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する処理と、(c)前記基板に対して、前記第1還元ガスを供給する処理と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する処理と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う処理と、
(e)における少なくとも最後の前記サイクルにおいて、(d)における前記供給する時間を、(a)における前記供給する時間より長くする処理と、
を行わせるように、前記第1供給系、前記第2供給系、および前記第3供給系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項15】
(a)基板に対して、第14族元素含有ガスを供給する手順と、
(e)(b)前記基板に対して、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する手順と、(c)前記基板に対して、第1還元ガスを供給する手順と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する手順と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う手順と、
(e)における少なくとも最後の前記サイクルにおいて、(d)における前記供給する時間を、(a)における前記供給する時間より長くする手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項16】
(a)基板に対して、第14族元素含有ガスを供給する工程と、
(e)(b)前記基板に対して、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する工程と、(c)前記基板に対して、第1還元ガスを供給する工程と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する工程と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う工程と、
を有し、
(e)における少なくとも最後の前記サイクルにおいて、(d)における前記供給する時間を、(a)における前記供給する時間より長くする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
基板に対して第1供給部より第14族元素含有ガスを供給する第1供給系と、
前記基板に対して第2供給部より第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する第2供給系と、
前記基板に対して第3供給部より第1還元ガスを供給する第3供給系と、
(a)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する処理と、
(e)(b)前記基板に対して、前記第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する処理と、(c)前記基板に対して、前記第1還元ガスを供給する処理と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する処理と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う処理と、
(f)(e)の後、前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する処理と、
を行わせるように、前記第1供給系、前記第2供給系、および前記第3供給系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項18】
(a)基板に対して、第14族元素含有ガスを供給する手順と、
(e)(b)前記基板に対して、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する手順と、(c)前記基板に対して、第1還元ガスを供給する手順と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する手順と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う手順と、
(f)(e)の後、前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する手順と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項19】
(a)基板に対して、第14族元素含有ガスを供給する工程と、
(e)(b)前記基板に対して、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する工程と、(c)前記基板に対して、第1還元ガスを供給する工程と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する工程と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う工程と、
(f)(e)の後、前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理が行われることがある(例えば、特開2010-118462号公報参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、第13族元素または第15族元素でドープされ、かつ、第14族元素を主元素として含む、表面粗さが小さな膜を基板上に形成することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によれば、
(a)基板に対して、第14族元素含有ガスを供給する工程と、
(e)(b)前記基板に対して、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する工程と、(c)前記基板に対して、第1還元ガスを供給する工程と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する工程と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う工程と、
を行う技術が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本開示によれば、表面粗さが小さな膜を基板上に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面図で示す図である。
図2図2は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の一部の概略構成図であり、処理炉202部分を図1のA-A線断面図で示す図である。
図3図3は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置のコントローラ121の概略構成図であり、コントローラ121の制御系をブロック図で示す図である。
図4図5は、本開示の一態様の処理シーケンスを示すフロー図である。
図5図4は、本開示の一態様の処理シーケンスを示す図である。
図6図6は、本開示の一態様で用いられる基板の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<本開示の一態様>
以下、本開示の一態様について、図1図6を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0008】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は温度調整器(加熱部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0009】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属材料により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。反応管203はヒータ207と同様に垂直に据え付けられている。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成される。処理容器の筒中空部には処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。この処理室201内でウエハ200に対する処理が行われる。
【0010】
処理室201内には、第1~第5供給部としてのノズル249a~249eが、マニホールド209の側壁を貫通するようにそれぞれ設けられている。ノズル249a~249eには、ガス供給管232a~232eがそれぞれ接続されている。ノズル249a~249eはそれぞれ異なるノズルであり、ノズル249b,249dのそれぞれは、ノズル249cに隣接して設けられている。ノズル249a,249eのそれぞれは、ノズル249b,ノズル249dの249cと隣接する側とは反対側に隣接して設けられている。
【0011】
ガス供給管232a~232eには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a~241eおよび開閉弁であるバルブ243a~243eがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a~232eのバルブ243a~243eよりも下流側には、ガス供給管232f~232jがそれぞれ接続されている。ガス供給管232f~232jには、ガス流の上流側から順に、MFC241f~241jおよびバルブ243f~243jがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a~232eは、例えば、SUS等の金属材料により構成されている。
【0012】
図2に示すように、ノズル249a~249eは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a~249eは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。平面視において、ノズル249cは、処理室201内に搬入されるウエハ200の中心を挟んで後述する排気口231aと一直線上に対向するように配置されている。ノズル249b,249dは、ノズル249cと排気口231aの中心とを通る直線Lを、反応管203の内壁(ウエハ200の外周部)に沿って両側から挟み込むように配置されている。また、ノズル249a,249eのそれぞれは、ノズル249b,ノズル249dの249cと隣接する側とは反対側に、直線Lを、反応管203の内壁に沿って両側から挟み込むように配置されている。直線Lは、ノズル249cとウエハ200の中心とを通る直線でもある。すなわち、ノズル249dは、直線Lを挟んでノズル249bと反対側に設けられているということもできる。また、ノズル249eは、直線Lを挟んでノズル249aと反対側に設けられているということもできる。ノズル249b,249dは、直線Lを対称軸として線対称に配置されている。また、ノズル249a,249eは、直線Lを対称軸として線対称に配置されている。ノズル249a~249eの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a~250eがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a~250eは、それぞれが、平面視において排気口231aと対向(対面)するように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a~250eは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
【0013】
ガス供給管232aからは、処理ガスとして、第14族元素含有ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0014】
ガス供給管232bからは、ドーパントガスとして、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0015】
ガス供給管232cからは、還元ガスとして、第1還元ガスが、MFC241c、バルブ243c、ノズル249cを介して処理室201内へ供給される。
【0016】
ガス供給管232dからは、処理ガスとして、第1ハロシラン系ガスが、MFC241d、バルブ243d、ノズル249dを介して処理室201内へ供給される。
【0017】
ガス供給管232eからは、処理ガスとして、第2ハロシラン系ガスが、MFC241e、バルブ243e、ノズル249eを介して処理室201内へ供給される。
【0018】
ガス供給管232f~232jからは、不活性ガスが、それぞれMFC241f~241j、バルブ243f~243j、ガス供給管232a~232e、ノズル249a~249eを介して処理室201内へ供給される。不活性ガスは、パージガス、キャリアガス、希釈ガス等として作用する。
【0019】
主に、ガス供給管232a,232d,232e、MFC241a,241d,241e、バルブ243a,243d,243eにより、処理ガス供給系が構成される。ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bを処理ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cにより、還元ガス供給系が構成される。また、主に、ガス供給管232f~232j、MFC241f~241j、バルブ243f~243jにより、不活性ガス供給系が構成される。なお、本開示では、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aを含むガス供給系を、第1供給系とも称する。ガス供給管232f、MFC241f、バルブ243fを第1供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bを含むガス供給系を、第2供給系とも称する。ガス供給管232g、MFC241g、バルブ243gを第2供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cを含むガス供給系を、第3供給系とも称する。ガス供給管232h、MFC241h、バルブ243hを第3供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管232d、MFC241d、バルブ243dを含むガス供給系を、第3供給系とも称する。ガス供給管232i、MFC241i、バルブ243iを第3供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管232e、MFC241e、バルブ243eを含むガス供給系を、第3供給系とも称する。ガス供給管232j、MFC241j、バルブ243jを第3供給系に含めて考えてもよい。
【0020】
上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a~243jやMFC241a~241j等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a~232jのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a~232j内への各種ガスの供給動作、すなわち、バルブ243a~243jの開閉動作やMFC241a~241jによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a~232j等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
【0021】
反応管203の側壁下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口231aが設けられている。図2に示すように、排気口231aは、平面視において、ウエハ200を挟んでノズル249a~249e(ガス供給孔250a~250e)と対向(対面)する位置に設けられている。排気口231aは、反応管203の側壁の下部より上部に沿って、すなわち、ウエハ配列領域に沿って設けられていてもよい。排気口231aには排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0022】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。マニホールド209の下方には、シールキャップ219を降下させボート217を処理室201内から搬出した状態で、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sは、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0023】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が多段に支持されている。
【0024】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0025】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0026】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本開示においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0027】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241j、バルブ243a~243j、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s等に接続されている。
【0028】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241gによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a~243gの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0029】
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ、SSD等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本開示において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0030】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理シーケンス例について、主に、図4図5を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0031】
図4図5に示す処理シーケンスでは、
基板としてのウエハ200に対して、第14族元素含有ガスを供給するステップAと、
ウエハ200に対して、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給するステップBと、ウエハ200に対して、第1還元ガスを供給するステップCと、ウエハ200に対して、第14族元素含有ガスを供給するステップDと、をこの順に含むサイクルをステップAの後に所定回数(n回、nは2以上の整数)行うステップEと、
を行う。
更に、ステップEの後に、ウエハ200に対して、第14族元素含有ガスを供給するステップFを行う。
これにより、ウエハ200上に、第13族元素または第15族元素が添加(ドープ)された、第14族元素を主元素として含む膜を形成するステップ(膜形成ステップ)を行う。本開示では、第13族元素または第15族元素がドープされた、第14族元素を主元素として含む膜を、ドープ膜とも称する。
【0032】
具体的には、膜形成ステップでは、
ウエハ200に対してノズル249aより処理ガスとしての第14族元素含有ガスを供給するステップAと、
ウエハ200に対してノズル249bよりドーパントガスとしての第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給するステップBと、ウエハ200に対してノズル249cより第1還元ガスを供給するステップCと、ウエハ200に対してノズル249aより処理ガスとしての第14族元素含有ガスを供給するステップAと、をこの順に含むサイクルをステップAの後に所定回数行うステップEと、
を行う。
更に、ウエハ200に対してノズル249aより処理ガスとしての第14族元素含有ガスを供給するステップFを行う。
【0033】
また、図4図5に示す成膜シーケンスでは、ステップAの前に、ウエハ200に対して、2種類のハロシラン系ガスを供給するステップGを行う。これにより、ウエハ200上に、シード層を形成するステップ(シード層形成ステップ)を行う。
【0034】
具体的には、シード層形成ステップでは、
ステップAの前に、ウエハ200に対してノズル249dより第1ハロシラン系ガスを供給するステップG1と、
ステップ1の後、ウエハ200に対してノズル249eより第1ハロシラン系ガスとは異なる第2ハロシラン系ガスを供給するステップG2と、を行う。
【0035】
本開示では、上述の成膜シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の変形例等の説明においても、同様の表記を用いる。
【0036】
第1ハロシランガス→第2ハロシランガス→第14族元素含有ガス→(第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガス→第1還元ガス→第14族元素含有ガス)×n→第14族元素含有ガス
【0037】
本開示において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本開示において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本開示において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本開示において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0038】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0039】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の成膜温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。処理室201内の排気、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0040】
(シード層形成ステップ)
その後、シード層形成ステップとして、ステップ、すなわち、第1ハロシラン系ガスを供給するステップG1、第1ハロシラン系ガスとは異なる第2ハロシラン系ガスを供給するステップG2を順次実行する。
【0041】
[ステップG1]
このステップでは、処理室201内のウエハ200に対して、ノズル249dより第1ハロシラン系ガスを供給し、ノズル249a~249c,249eのそれぞれより不活性ガスを供給する。
【0042】
具体的には、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内へ第1ハロシラン系ガスを流す。第1ハロシラン系ガスは、MFC241dにより流量調整され、ノズル249dを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200に対して第1ハロシラン系ガスが供給される。また、このとき、バルブ243f~243h,243jを開き、ノズル249a~249c,249eのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。
【0043】
後述する処理条件下でウエハ200に対して第1ハロシラン系ガスを供給することにより、第1ハロシラン系ガスの持つトリートメント作用(エッチング作用)により、ウエハ200の表面から自然酸化膜や不純物等を除去することができ、この面を清浄化させることが可能となる。
【0044】
ウエハ200の表面が清浄化された後、バルブ243dを閉じ、処理室201内へのハロシラン系ガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243f~243jを開き、ノズル249a~249eを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。ノズル249a~249eより供給される不活性ガスは、パージガスとして作用し、これにより、処理室201内がパージされる(パージステップ)。
【0045】
第1ハロシラン系ガスとしては、例えば、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)ガス、モノクロロシラン(SiHCl、略称:MCS)ガス、テトラクロロシラン(SiCl、略称:STC)ガス、トリクロロシラン(SiHCl、略称:TCS)ガス、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガス、オクタクロロトリシラン(SiCl、略称:OCTS)ガス等のクロロシラン系ガスを用いることができる。また、第1ハロシラン系ガスとしては、例えば、テトラフルオロシラン(SiF)ガス、テトラブロモシラン(SiBr)ガス、テトラヨードシラン(SiI)ガス等を用いることができる。すなわち、第1ハロシラン系ガスとしては、例えば、クロロシラン系ガスの他、フルオロシラン系ガス、ブロモシラン系ガス、ヨードシラン系ガス等のハロシラン系ガスを用いることができる。
【0046】
[ステップG2]
ステップG1が終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、清浄化されたウエハ200の表面に対して、ノズル249eより第2ハロシラン系ガスを供給し、ノズル249a~249dのそれぞれより不活性ガスを供給する。
【0047】
具体的には、バルブ243eを開き、ガス供給管232e内へ第2ハロシラン系ガスを流す。第2ハロシラン系ガスは、MFC241eにより流量調整され、ノズル249eを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200に対して第2ハロシラン系ガスが供給される。また、このとき、バルブ243f~243iを開き、ノズル249a~249dのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。
【0048】
後述する処理条件下でウエハ200に対して第2ハロシラン系ガスを供給することにより、ステップG1で清浄化されたウエハ200の表面に、第2ハロシラン系ガスに含まれるSi元素を吸着させ、シード(核)を形成することが可能となる。後述する処理条件下では、ウエハ200の表面に形成される核の結晶構造は、アモルファス(非晶質)となる。
【0049】
ウエハ200の表面に核が形成された後、バルブ243eを閉じ、処理室201内への第2ハロシラン系ガスの供給を停止する。そして、ステップG1のパージステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。
【0050】
第2ハロシラン系ガスとして、第1ハロシラン系ガスについて上述したハロシラン系ガスを用いることができる。
【0051】
ステップG1における処理条件としては、
第1ハロシラン系ガス供給流量:100~1000sccm
第1ハロシラン系ガス供給時間:1~30分
不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):1000~3000sccm
処理温度(第1温度):300~500℃
処理圧力:2~1000Pa
が例示される。
【0052】
ステップG2における処理条件としては、
第1ハロシラン系ガスまたは第2還元ガス供給流量:50~1000sccm
第1ハロシラン系ガスまたは第2還元ガス供給時間:10秒~5分
が例示される。他の処理条件は、ステップG1における処理条件と同様な処理条件とする。
【0053】
ここで、本開示における「2~1000Pa」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「2~1000Pa」とは「2Pa以上1000Pa以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。なお、処理温度とはウエハ200の温度のことを意味し、処理圧力とは処理室201内の圧力のことを意味する。また、ガス供給流量:0sccmとは、そのガスを供給しないケースを意味する。これらは、以下の説明においても同様である。
【0054】
不活性ガスとしては、例えば、Nガス、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。この点は、後述する昇温ステップや膜形成ステップ等においても同様である。
【0055】
(昇温ステップ)
シード層形成ステップが終了した後、処理室201内の温度を、上述の第1温度よりも高い第2温度へ変更させるように、ヒータ207の出力を調整する。本ステップを行う際、バルブ243f~243jを開き、ノズル249a~249eを介して処理室201内へ不活性ガスを供給し、処理室201内をパージする。処理室201内の温度が第2温度に到達して安定した後、後述する膜形成ステップを開始する。
【0056】
(膜形成ステップ)
膜形成ステップとして、
第14族元素含有ガスを供給するステップAと、
第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給するステップBと、第1還元ガスを供給するステップCと、第14族元素含有ガスを供給するステップDと、をこの順に含むサイクルをステップAの後に所定回数行うステップEと、
を順次実行する。
更に、ステップEの後、第14族元素含有ガスを供給するステップFを実行する。
【0057】
[ステップA]
このステップでは、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成されたシード層の表面に対して、ノズル249aより第14族元素含有ガスを供給し、ノズル249b~249eのそれぞれより不活性ガスを供給する。
【0058】
具体的には、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へ第14族元素含有ガスを流す。第14族元素含有ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。また、このとき、バルブ243g~243jを開き、ノズル249b~249eのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。
【0059】
後述する処理条件下でノズル249aよりウエハ200に対して第14族元素含有ガスを供給することにより、ウエハ200の表面上、すなわち、ウエハ200上に形成されたシード層上に、第14族元素を主元素として含む膜を形成することができる。
【0060】
ステップAにおける処理条件としては、
第14族元素含有ガス供給流量:100~3000sccm
第14族元素含有ガス供給時間:1~30分
不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):100~2000sccm
処理温度(第2温度):300~600℃
処理圧力:1~1000Pa
が例示される。ここに示した処理条件は、処理室201内において、第14族元素含有ガスが単独で存在した場合に第14族元素含有ガスが熱分解する条件、すなわち、CVD反応が生じる条件である。すなわち、ここに示した処理条件は、ウエハ200上への第14族元素の吸着(堆積)にセルフリミットがかからない条件、つまり、ウエハ200上への第14族元素の吸着がノンセルフリミットとなる条件である。
【0061】
第14族元素含有ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH、略称:MS)ガス、ジシラン(Si、略称:DS)ガス、トリシラン(Si)ガス、テトラシラン(Si10)ガス、ペンタシラン(Si12)ガス、ヘキサシラン(Si14)ガス等の水素化ケイ素ガス、ゲルマン(GeH)ガス、ジゲルマン(Ge)ガス、トリゲルマン(Ge)ガス、テトラゲルマン(Ge10)ガス、ペンタゲルマン(Ge12)ガス、ヘキサゲルマン(Ge14)ガス等の水素化ゲルマニウムガスを用いることができる。
第14族元素含有ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH、略称:MS)ガス、ジシラン(Si、略称:DS)ガス、トリシラン(Si)ガス、ゲルマン(GeH)ガス、ジゲルマン(Ge)ガス、またはトリゲルマン(Ge)ガスのいずれかであることが好ましい。これらは比較的容易に反応(分解)するため、成膜速度を向上させることができる。
【0062】
[ステップE]
ステップEにおいて、下記のステップB,C,Dをこの順に含むサイクルを所定回数(n回、nは2以上の整数)行う。これにより、ウエハ200上に、第13族元素または第15族元素がドープされ、かつ、第14族元素を主元素として含む、表面粗さが小さな膜を形成することができる。
【0063】
[ステップB]
ステップAが終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された、第14族元素を主元素として含む膜の表面に対して、ノズル249bより第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給し、ノズル249a,249c~249eのそれぞれより不活性ガスを供給する。
【0064】
具体的には、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内へドーパントガスを流す。ドーパントガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。また、このとき、バルブ243f,243h~243jを開き、ノズル249a,249c~249eのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。
【0065】
後述する処理条件下でノズル249bよりウエハ200に対してドーパントガスを供給することにより、ウエハ200上に形成された、第14族元素を主元素として含む膜上に、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を主成分として含む膜を形成することができる。
【0066】
第13族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスとしては、トリクロロボラン(BCl)ガス等の第13族元素であってそれ単独で固体となる元素(硼素(B)等)を含むガス等を用いることができる。
また、第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスとしては、例えば、三塩化リン(PCl)ガス等の第15族元素であってそれ単独で固体となる元素(P,砒素(As)等)を含むガスを用いることができる。
【0067】
ドーパントガスとしては、B元素を含有するものが好ましい。例えば、BCl含有ガスを用いることにより、ウエハ200の表面が微細構造を有する場合であっても、容易に成膜することができる。
【0068】
ドーパントガスとしては、B元素に加えて、Cl元素を含有するものが好ましい。例えば、第14族元素を主元素として含む膜に吸着したBClのCl元素は、第14族元素含有ガスの上記膜への吸着を阻害するが、ステップCで容易に還元されてCl元素が脱離する。そのため、ステップD,ステップFにおいて、第14族元素含有ガスの上記膜への吸着が促進され、成膜速度を向上させることができる。
【0069】
[ステップC]
ステップBが終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を主成分として含む膜の表面に対して、ノズル249cより第1還元ガスを供給し、ノズル249a,249b,249d,249eのそれぞれより不活性ガスを供給する。
【0070】
具体的には、バルブ243cを開き、ガス供給管232c内へ第1還元ガスを流す。第1還元ガスは、MFC241cにより流量調整され、ノズル249cを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。また、このとき、バルブ243f,243g,243i,243jを開き、ノズル249a,249b,249d,249eのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。
【0071】
後述する処理条件下でノズル249cよりウエハ200に対して第1還元ガスを供給することにより、ウエハ200の表面上、すなわち、ウエハ200上に形成された、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を主成分して含む膜のハロゲン元素を還元して取り除くことができる。これにより、第13族元素または第15族元素を主元素とする膜を形成することができる。
【0072】
第1還元ガスとしては、例えば、水素(H)ガス、水素含有ガス、活性化した水素ガス等の水素系ガスを用いることができる。活性化した水素ガスとしては、例えば、プラズマにより活性化したものが挙げられる。
【0073】
第1還元ガスとしては、水素含有ガスを用いることが好ましい。これにより、第14族元素含有ガスの膜への吸着を阻害するハロゲン元素が容易に還元されて脱離する。そのため、ステップD,ステップFにおいて、第14族元素の膜への吸着が促進され、成膜速度を向上させることができる。
【0074】
[ステップD]
ステップCが終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された、第13族元素または第15族元素を主元素とする膜の表面に対して、ノズル249aより第14族元素含有ガスを供給し、ノズル249b~249eのそれぞれより不活性ガスを供給する。
【0075】
具体的には、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へ第14族元素含有ガスを流す。第14族元素含有ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。また、このとき、バルブ243g~243jを開き、ノズル249b~249eのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。
【0076】
後述する処理条件下でノズル249aよりウエハ200に対して第14族元素含有ガスを供給することにより、ウエハ200の表面上、すなわち、ウエハ200上に形成された、第13族元素または第15族元素を主元素とする膜上に、第14族元素を主元素とする膜を形成することができる。
【0077】
第14族元素含有ガスとしては、ステップAについて上述したものを用いることができる。
【0078】
ステップBにおける処理条件としては、
ドーパントガス供給流量:10~400sccm
ドーパントガス供給時間:1~30分
不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):300~5000sccm
処理温度(第2温度):350~550℃
処理圧力:0.1~1000Pa
が例示される。
【0079】
ステップCにおける処理条件としては、
第1還元ガス供給流量:10~3000sccm
第1還元ガス供給時間:1~30分
が例示される。他の処理条件は、ステップBにおける処理条件と同様な処理条件とする。
【0080】
ステップDにおける処理条件としては、
第14族元素含有ガス供給流量:10~3000sccm
第14族元素含有ガス供給時間:0.1~30分
が例示される。他の処理条件は、ステップBにおける処理条件と同様な処理条件とする。
【0081】
[ステップF]
ステップEが終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された、第14族元素を主元素として含む膜の表面に対して、ノズル249aより第14族元素含有ガスを供給し、ノズル249b~249eのそれぞれより不活性ガスを供給する。
【0082】
具体的には、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へ第14族元素含有ガスを流す。第14族元素含有ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。また、このとき、バルブ243g~243jを開き、ノズル249b~249eのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。
【0083】
後述する処理条件下でノズル249aよりウエハ200に対して第14族元素含有ガスを供給することにより、ウエハ200の表面上、すなわち、ウエハ200上に形成された、第14族元素を主元素として含む膜上に、更に、第14族元素を主元素として含む膜を形成することができる。
【0084】
第14族元素含有ガスとしては、ステップAについて上述したものを用いることができる。
【0085】
ステップFにおける処理条件としては、
第14族元素含有ガス供給流量:10~5000sccm
第14族元素含有ガス供給時間:1~30分
不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):300~3000sccm
処理温度(第2温度):350~550℃
処理圧力:0.1~1000Pa
が例示される。他の処理条件は、ステップBにおける処理条件と同様な処理条件とする。
【0086】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
Si膜形成ステップが終了した後、ノズル249a~249cのそれぞれからパージガスとしてのNガスを処理室201内へ供給し、排気口231aより排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0087】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、マニホールド209の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0088】
(3)本態様による効果
本態様によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0089】
(a)膜形成ステップにおいて、ステップAにより、シード層上に、第14族元素を主元素として含む膜が形成される。これにより、ステップBにおいて、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を主成分として含む膜を形成した際、表面粗さの増加を抑制することができる。
【0090】
(b)ステップCにより、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を主成分として含む膜のハロゲン元素を還元して取り除き、第13族元素または第15族元素を主元素として含む膜を形成することができる。そのため、ステップDにおいて、第14族元素含有ガスの膜への吸着がハロゲン元素により阻害されることを抑制することができる。
【0091】
(c)ステップDにより、第13族元素または第15族元素を主元素として含む膜上に、第14族元素を主元素として含む膜をCap層として設けることにより、膜からのドーパント(すなわち、第13族元素または第15族元素)の抜けを抑制することができる。
【0092】
(d)また、ステップDにより、第13族元素または第15族元素を主元素として含む膜上に、第14族元素を主元素として含む膜をCap層として設けることにより、膜からのドーパントの抜けによる、表面粗さの増加を抑制することができる。
【0093】
(e)このようなステップB~ステップDをこの順に含むサイクルを所定回数行うステップEにより、第13族元素または第15族元素がドープされ、かつ、第14族元素を主元素として含む、表面粗さが小さな膜を形成することができる。
【0094】
(f)膜形成ステップにおいて、更にステップFを行うことにより、ウエハ200上の膜のCap層を厚くすることができ、膜からのドーパントの抜けを更に抑制することができる。
【0095】
(g)シード層形成ステップにおいて、シード層を形成することにより、ウエハ200上に形成される膜の表面粗さを小さくすることができる。
【0096】
(4)変形例
本態様における成膜ステップは、図4図5に示す態様に限定されず、以下に示す変形例のように変更することができる。これらの変形例は任意に組み合わせることができる。特に説明がない限り、各変形例の各ステップにおける処理手順、処理条件は、上述の基板処理シーケンスの各ステップにおける処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【0097】
(変形例1)
図4図5に示す成膜シーケンスでは、すなわち、シード層形成ステップを実施する例について説明したが、ステップGを不実施としてもよい。
【0098】
(変形例2)
図4図5に示す成膜シーケンスでは、ステップC、すなわち、第1還元ガスを供給するステップを実施する例について説明したが、ステップCを不実施としてもよい。
【0099】
(変形例3)
図4図5に示す成膜シーケンスでは、ステップBにおいて、第13元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントを用いたが、第13元素または第15族元素の非ハロゲン化合物、例えば、水素化物を含有するドーパントを用いてよい。
第13元素の水素化物を含有するドーパントガスとしては、ボラン(BH)、ジボラン(B)ガス等の第13族元素であってそれ単独で固体となる元素(硼素(B)等)を含むガス等を用いることができる。
また、第15族元素の水素化物を含有するドーパントガスとしては、ホスフィン(PH、略称:PH)ガス、アルシン(AsH)ガス等の第15族元素であってそれ単独で固体となる元素(P,砒素(As)等)を含むガスを用いることができる。
なお、第13元素または第15族元素の非ハロゲン化合物の場合、本開示における第15族元素には、窒素(N)は含まない元素が選択される。
【0100】
(変形例4)
図4図5に示す成膜シーケンスではステップFを実施する例について説明したが、ステップFを不実施としてもよい。
【0101】
(変形例5)
ステップEにおける少なくとも最後のサイクルにおいて、ステップDにおける第14族元素含有ガス供給時間は、ステップAにおける第14族元素含有ガス供給時間より長く設定してよい。これにより、ステップAにおける成膜時間を短縮しつつ、ステップEにおいて形成されるCap層を厚くすることで、ウエハ200上の膜からのドーパントの抜けを抑制することができる。
また、ステップEにおける全てのサイクルにおいて、ステップDにおける第14族元素含有ガス供給時間は、ステップAにおける第14族元素含有ガス供給時間より長く設定してよい。これにより、ステップDで形成される全ての膜を厚くすることできるため、ウエハ200上の膜からのドーパントの抜けを更に抑制することができる。
【0102】
ステップDにおける第14族元素含有ガス供給時間は、例えば、ステップAにおける第14族元素含有ガス供給時間の1~10倍であってよい。
【0103】
(変形例6)
図4図5に示す成膜シーケンスでは、ステップGにおいて、ステップG1,G2をこの順に1回ずつ実施する例について説明したが、ステップG1,G2を交互に、すなわち、同期させることなく非同時に行うサイクルを所定回数(m回、mは1以上の整数)行ってよい。これにより、ウエハ200上に、上述の核が高密度に形成されてなるシード層を形成することができる。
【0104】
(変形例7)
図4図5に示す成膜シーケンスでは、ステップGにおいて、ステップG2を実施する例について説明したが、ステップG2を不実施としてもよい。
【0105】
(変形例8)
図4図5に示す成膜シーケンスでは、ステップGのステップG2において、第2ハロシラン系ガスを供給する例について説明したが、第2ハロシラン系ガスの代わりに第2還元ガスを供給してよい。第2ハロシラン系ガスの代わりに第2還元ガスを供給する場合、第2ハロシラン系ガスを用いる場合と同様の処理手順でステップG2を行ってよい。
【0106】
第2還元ガスとしては、例えば、水素(H)ガス、モノシラン(SiH、略称:MS)ガス、ジシラン(Si、略称:DS)ガス、トリシラン(Si)ガス、テトラシラン(Si10)ガス、ペンタシラン(Si12)ガス、ヘキサシラン(Si14)ガス等の水素化ケイ素ガスを用いることができる。第2還元ガスとしては、Si元素を含有するものを用いてよい。第2還元ガスを用いることにより、ウエハ200上に形成される膜の表面粗さを小さくすることができる。
【0107】
第2還元ガスがSi元素を含む場合、ステップG1で清浄化されたウエハ200の表面に、第2還元ガスに含まれるSiを吸着させ、シード(核)を形成することが可能となる。また、第2還元ガスに含まれるH元素により、ステップG1で清浄化されたウエハ200の表面の、第1ハロシランガスに由来するハロゲン元素を還元して取り除くことができる。これにより、ウエハ200上に形成される膜の表面粗さを小さくすることができる。
【0108】
(変形例9)
膜形成ステップにおいて、例えば、以下に示す成膜シーケンスにより、ウエハ200上に膜を形成してよい。
【0109】
MS→(BCl→H→MS)×n
MS→(BCl→H→MS)×n→MS
【0110】
(変形例10)
シード層形成ステップ、すなわち、ステップGにおいて、例えば、以下に示す成膜シーケンスにより、ウエハ200上にシード層を形成してよい。
【0111】
(MS→HCDS)×m
(DCS→DS)×m
(HCDS→H)×m
(HCDS→SiH)×m
(HCDS→Si)×m
【0112】
(変形例11)
基板としてのウエハ200は、予め表面に微細加工が施されて、微細構造を有するものであってよい。例えば、図6に示すように、ウエハ200の表面に、ウエハ200の面に対して垂直方向に延在する第1凹部D1が形成されていてよい。また、例えば、図6に示すように、第1凹部D1の長手方向に垂直に連通しており、かつ、ウエハ200の面内方向に延在する複数の第2凹部D2が形成されていてよい。第1凹部D1は、トレンチやホールを意味し、第2凹部D2は、トレンチやホール内に形成されたフローティングゲートが形成される空間を意味する。本開示の膜形成ステップでは、この第1凹部D1や第2凹部D2内に膜が形成される。本開示の膜形成ステップにより、ウエハ200が微細構造を有する場合であっても、表面粗さが小さい膜を形成することができる。即ち、第1凹部D1と第2凹部D2内に、均一に膜を形成することが可能となる。
【0113】
<他の態様>
以上、本開示の態様を具体的に説明した。但し、本開示は上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0114】
上述の態様では、ノズル249a~249eが隣接(近接)して設けられている例について説明したが、本開示はこのような態様に限定されない。例えば、ノズル249a,249b,249d,249cは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間のうち、ノズル249cから離れた位置に設けられていてもよい。
【0115】
上述の態様では、第1~第5供給部がノズル249a~249eにより構成され、処理室201内に5本のノズルが設けられる例について説明したが、本開示はこのような態様に限定されない。例えば、第1~第5供給部のうち少なくともいずれかの供給部が2本以上のノズルにより構成されていてもよい。また、処理室201内に第1~第5供給部以外のノズルを新たに設け、このノズルを用いて不活性ガスや各種処理ガスをさらに供給するようにしてもよい。処理室201内にノズル249a~249e以外のノズルを設ける場合、この新たに設けるノズルは、平面視において排気口231aと対向する位置に設けてもよく、対向しない位置に設けてもよい。すなわち、新たに設けるノズルは、ノズル249a~249eから離れた位置であって、例えば、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間のうち、ウエハ200の外周に沿ってノズル249a~249eと排気口231aとの間の中間位置、或いは、その中間位置の近傍の位置に設けてもよい。
【0116】
基板処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、処理を迅速に開始できるようになる。
【0117】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0118】
上述の態様では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の態様では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本開示は上述の態様に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
【0119】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の態様や変形例と同様なシーケンス、処理条件にて成膜を行うことができ、これらと同様の効果が得られる。
【0120】
また、上述の態様や変形例等は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の態様の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【0121】
本開示で述べた各種効果は、基板上への膜形成を、基板に対して供給した処理ガスが熱分解するような条件下(セルフリミットがかからない条件下)だけでなく、基板に対して供給した処理ガスが熱分解しないような条件下(セルフリミットがかかる条件下)でも同様の傾向で得られることとなる。ただし、上述の各種効果のうち、特に、面内膜厚分布の調整に関する効果は、基板上への膜形成を、基板に対して供給した処理ガスが熱分解し、CVD反応が生じる条件下で行う場合に、特に効果的に得られる。
【0122】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0123】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
(a)基板に対して、第14族元素含有ガスを供給する工程と、
(e)(b)前記基板に対して、第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する工程と、(c)前記基板に対して、第1還元ガスを供給する工程と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する工程と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0124】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、
(e)における少なくとも最後の前記サイクルにおいて、(d)における前記供給する時間が、(a)における前記供給する時間より長い。
【0125】
(付記3)
付記2に記載の方法であって、
(e)における全ての前記サイクルにおいて、(d)における前記供給する時間が、(a)における前記供給する時間より長い。
【0126】
(付記4)
付記1~3のいずれか1つに記載の方法であって、
(f)(e)の後、前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する工程、を含む。
【0127】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つに記載の方法であって、
(g)(a)の前に、前記基板に対して、ハロシラン系ガスを供給する工程、を含む。
【0128】
(付記6)
付記5に記載の方法であって、
(g)において、2種類の前記ハロシラン系ガスを供給する。
【0129】
(付記7)
付記5に記載の方法であって、
(g)において、前記ハロシラン系ガスを供給した後、第2還元ガスを供給する。
【0130】
(付記8)
付記7に記載の方法であって、
前記第2還元ガスが、Si元素を含有する。
【0131】
(付記9)
付記1~8のいずれか1つに記載の方法であって、
前記第14族元素含有ガスが、SiHガス、Siガス、Siガス、GeHガス、GeガスまたはGeガスのいずれかである請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0132】
(付記10)
付記1~9のいずれか1つに記載の方法であって、
前記ドーパントガスが、B元素を含有する。
【0133】
(付記11)
付記10に記載の方法であって、
前記ドーパントガスが、Cl元素を含有する。
【0134】
(付記12)
付記1~11のいずれか1つに記載の方法であって、
前記第1還元ガスが、水素含有ガスである。
【0135】
(付記13)
付記1~12のいずれか1つに記載の方法であって、
前記基板の表面に、前記基板の面内方向に延在する第1凹部が形成されている。
【0136】
(付記14)
付記13に記載の方法であって、
前記基板の表面に、前記第1凹部の長手方向に垂直に連通しており、かつ、前記基板の面内方向に延在する複数の第2凹部が形成されている。
【0137】
(付記15)
本開示の他の態様によれば、
(a)基板に対して、第14族元素含有ガスを供給する工程と、
(e)(b)前記基板に対して、第13族元素または第15族元素含有ガスを供給する工程と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する工程と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0138】
(付記16)
本開示の他の態様によれば、
基板が処理される処理室と、
前記処理室内の基板に対して第1供給部より第14族元素含有ガスを供給する第1供給系と、
前記処理室内の基板に対して第2供給部より第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する第2供給系と、
前記処理室内の基板に対して第3供給部より第1還元ガスを供給する第3供給系と、
前記処理室内において、
(a)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する処理と、
(e)(b)前記基板に対して、前記第13族元素または第15族元素のハロゲン化物を含有するドーパントガスを供給する処理と、(c)前記基板に対して、前記第1還元ガスを供給する処理と、(d)前記基板に対して、前記第14族元素含有ガスを供給する処理と、をこの順に含むサイクルを(a)の後に所定回数行う処理と、
を行わせるように、前記第1供給系、前記第2供給系、および前記第3供給系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0139】
(付記17)
本開示の他の態様によれば、
付記1における各手順(各工程)をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム、または、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6