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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】被加工物の加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241209BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241209BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20241209BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20241209BHJP
【FI】
H01L21/304 601Z
H01L21/78 B
B23K26/364
B23K26/00 P
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020167468
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059711
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 利夫
(72)【発明者】
【氏名】吉川 敏行
(72)【発明者】
【氏名】本郷 智之
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195219(JP,A)
【文献】特開2016-002585(JP,A)
【文献】特開2018-012132(JP,A)
【文献】特開2005-353935(JP,A)
【文献】特開2001-252776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/301
B23K 26/364
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の被加工物の加工方法であって、
該被加工物の一方の面にテープを貼着すると共に該テープを介して該被加工物とフレームとを一体化するテープ貼着ステップと、
該テープ貼着ステップの後、該テープを介して該被加工物を保持ユニットで保持する保持ステップと、
該保持ステップの後、該一方の面とは反対側に位置する該被加工物の他方の面側から該他方の面へ、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射するレーザービーム照射ステップと、を備え、
該レーザービーム照射ステップでは、該被加工物の該他方の面の法線に対して所定角度だけ傾斜した入射角を有する様に該レーザービームの向きを調整すると共に、該他方の面の中心と、該レーザービームの集光点と、を通り該他方の面に直交する仮想面に対して、該レーザービームの入射面を直交させた状態で、該他方の面において環状に該レーザービームを照射することを特徴とする被加工物の加工方法。
【請求項2】
該保持ステップでは、該他方の面が下側に露出した状態で該被加工物を保持し、
該レーザービーム照射ステップでは、該レーザービームを下方から上方に向かって照射することを特徴とする請求項1に記載の被加工物の加工方法。
【請求項3】
該レーザービーム照射ステップでは、該他方の面側において所定の径を有する加工溝を、該被加工物の外周縁よりも内側に形成することで、該加工溝を境に該被加工物を分離することを特徴とする請求項1又は2に記載の被加工物の加工方法。
【請求項4】
該被加工物は、
該他方の面側に、複数のデバイスが形成されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲み、該被加工物の外周縁から所定距離だけ内側の位置までの範囲である外周余剰領域と、を有し、且つ、
該一方の面側に、該デバイス領域に対応する円形凹部と、該円形凹部の外側を囲み該外周余剰領域に対応する環状凸部と、を有し、
該レーザービーム照射ステップでは、該他方の面側の該デバイス領域と、該外周余剰領域と、の境界部に該レーザービームが照射されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の被加工物の加工方法。
【請求項5】
該被加工物は、
該他方の面側に、複数のデバイスが形成されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲み、該被加工物の外周縁から所定距離だけ内側の位置までの範囲である外周余剰領域と、を有し、且つ、
該一方の面側に、該デバイス領域に対応する円形凹部と、該円形凹部の外側を囲み該外周余剰領域に対応する環状凸部と、を有し、
該レーザービーム照射ステップでは、該外周縁から、該外周縁から所定距離だけ内側まで、の該外周余剰領域に対して該レーザービームを照射することにより、該被加工物の厚さ方向において該外周余剰領域に対応する部分をアブレーションさせて除去することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の被加工物の加工方法。
【請求項6】
円盤状の被加工物の加工方法であって、
該被加工物の一方の面にテープを貼着すると共に該テープを介して該被加工物とフレームとを一体化するテープ貼着ステップと、
該テープ貼着ステップの後、該テープを介して該被加工物を保持ユニットで保持する保持ステップと、
該保持ステップの後、該一方の面とは反対側に位置する該被加工物の他方の面側から該他方の面へ、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射するレーザービーム照射ステップと、を備え、
該レーザービーム照射ステップでは、
該被加工物の該他方の面の法線に対して所定角度だけ傾斜した入射角を有する様に該レーザービームの向きを調整した状態で、該他方の面において環状に該レーザービームを照射し、
他方の面の中心と、該レーザービームの集光点と、を通り該他方の面に直交する仮想面に対して、該レーザービームの入射面を平行にした状態で、該他方の面の中心から該他方の面の外側へ向けて該他方の面に対して斜めに該レーザービームを照射することを特徴とする被加工物の加工方法。
【請求項7】
該レーザービーム照射ステップでは、該他方の面に対面する様に配置されたガルバノスキャナで該レーザービームの照射位置を制御することにより、該仮想面に対して該レーザービームの入射面を平行にした状態で、該レーザービームを照射することを特徴とする請求項に記載の被加工物の加工方法。
【請求項8】
円盤状の被加工物の加工方法であって、
該被加工物の一方の面にテープを貼着すると共に該テープを介して該被加工物とフレームとを一体化するテープ貼着ステップと、
該テープ貼着ステップの後、該テープを介して該被加工物を保持ユニットで保持する保持ステップと、
該保持ステップの後、該一方の面とは反対側に位置する該被加工物の他方の面側から該他方の面へ、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射するレーザービーム照射ステップと、を備え、
該レーザービーム照射ステップでは、該被加工物の該他方の面の法線に対して所定角度だけ傾斜した入射角を有する様に該レーザービームの向きを調整した状態で、該他方の面において環状に該レーザービームを照射し、
該レーザービーム照射ステップは、該レーザービームにより該被加工物に加工溝を形成し、該加工溝が該被加工物を貫通したときに、該加工溝を通過する光を光検知ユニットで検知する検知ステップを含むことを特徴とする被加工物の加工方法。
【請求項9】
該検知ステップでは、該被加工物の加工閾値よりも低い出力を有する光を照射する光源と、該光検知ユニットとを、該被加工物の厚さ方向で該被加工物を挟む様に配置した上で、該加工溝を通過する該光源からの光を該光検知ユニットで検知することを特徴とする請求項8に記載の被加工物の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームで円盤状の被加工物を加工する、被加工物の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化及び軽量化に伴って、デバイスチップの薄型化が進んでいる。薄型のデバイスチップを製造するためには、例えば、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスが表面側に形成された半導体ウェーハ等の被加工物の裏面側を、20μmから100μmの厚さとなる様に研削し(例えば、特許文献1参照)、その後、被加工物を個々のデバイスチップに分割する。
【0003】
しかし、被加工物の表面側及び裏面側の外周部は、通常、面取りされている(即ち、ベベル部が形成されている)。それゆえ、被加工物の裏面側を研削して半分以下の厚さとすると、被加工物の外周部には所謂ナイフエッジ(シャープエッジとも呼ばれる)が形成される。ナイフエッジが形成されると、被加工物の研削中又は搬送中に、被加工物の外周部に、割れや欠けが発生するという問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、面取り部が形成されている外周部を、切削装置で除去するプロセスが提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、チャックテーブルで被加工物の表面側を保持し、被加工物の外周端部よりも所定距離だけ内側に位置付けた切削ブレードの下端部を、被加工物の裏面側に切り込んだ状態で、チャックテーブルを回転させる。
【0005】
しかし、通常直線状の経路に沿って被加工物を切削する切削ブレードで、被加工物の外周に応じた曲線状の経路に沿って被加工物を切削すると、被加工物が応力を受けて、破損することがある。更に、曲線状の経路に沿って被加工物を切削ブレードで切削するのには時間を要するので、生産性が比較的低いという問題がある。
【0006】
そこで、切削ブレードに代えて、被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームで、面取り部が形成されている被加工物の外周部を除去し、その後、裏面側の研削を行う方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-319885号公報
【文献】特開2003-273053号公報
【文献】特開2006-108532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、レーザービームが被加工物の一面に略垂直に照射された場合、一面で反射されたレーザービームがレーザー発振器へ戻ることで、レーザー発振器の状態が不安定になり、加工不良が生じる可能性がある。
【0009】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、レーザー発振器へのレーザービームの戻りを抑制しつつ、レーザービームを用いて被加工物の面取り部を含む領域を除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、円盤状の被加工物の加工方法であって、該被加工物の一方の面にテープを貼着すると共に該テープを介して該被加工物とフレームとを一体化するテープ貼着ステップと、該テープ貼着ステップの後、該テープを介して該被加工物を保持ユニットで保持する保持ステップと、該保持ステップの後、該一方の面とは反対側に位置する該被加工物の他方の面側から該他方の面へ、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射するレーザービーム照射ステップと、を備え、該レーザービーム照射ステップでは、該被加工物の該他方の面の法線に対して所定角度だけ傾斜した入射角を有する様に該レーザービームの向きを調整すると共に、該他方の面の中心と、該レーザービームの集光点と、を通り該他方の面に直交する仮想面に対して、該レーザービームの入射面を直交させた状態で、該他方の面において環状に該レーザービームを照射する、被加工物の加工方法が提供される。
【0011】
好ましくは、該保持ステップでは、該他方の面が下側に露出した状態で該被加工物を保持し、該レーザービーム照射ステップでは、該レーザービームを下方から上方に向かって照射する。
【0012】
また、好ましくは、該レーザービーム照射ステップでは、該他方の面側において所定の径を有する加工溝を、該被加工物の外周縁よりも内側に形成することで、該加工溝を境に該被加工物を分離する。
【0013】
また、好ましくは、該被加工物は、該他方の面側に、複数のデバイスが形成されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲み、該被加工物の外周縁から所定距離だけ内側の位置までの範囲である外周余剰領域と、を有し、且つ、該一方の面側に、該デバイス領域に対応する円形凹部と、該円形凹部の外側を囲み該外周余剰領域に対応する環状凸部と、を有し、該レーザービーム照射ステップでは、該他方の面側の該デバイス領域と、該外周余剰領域と、の境界部に該レーザービームが照射される。
【0014】
また、好ましくは、該被加工物は、該他方の面側に、複数のデバイスが形成されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲み、該被加工物の外周縁から所定距離だけ内側の位置までの範囲である外周余剰領域と、を有し、且つ、該一方の面側に、該デバイス領域に対応する円形凹部と、該円形凹部の外側を囲み該外周余剰領域に対応する環状凸部と、を有し、該レーザービーム照射ステップでは、該外周縁から、該外周縁から所定距離だけ内側まで、の該外周余剰領域に対して該レーザービームを照射することにより、該被加工物の厚さ方向において該外周余剰領域に対応する部分をアブレーションさせて除去する。
【0017】
本発明の他の態様によれば、円盤状の被加工物の加工方法であって、該被加工物の一方の面にテープを貼着すると共に該テープを介して該被加工物とフレームとを一体化するテープ貼着ステップと、該テープ貼着ステップの後、該テープを介して該被加工物を保持ユニットで保持する保持ステップと、該保持ステップの後、該一方の面とは反対側に位置する該被加工物の他方の面側から該他方の面へ、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射するレーザービーム照射ステップと、を備え、該レーザービーム照射ステップでは、該被加工物の該他方の面の法線に対して所定角度だけ傾斜した入射角を有する様に該レーザービームの向きを調整した状態で、該他方の面において環状に該レーザービームを照射し、該他方の面の中心と、該レーザービームの集光点と、を通り該他方の面に直交する仮想面に対して、該レーザービームの入射面を平行にした状態で、該他方の面の中心から該他方の面の外側へ向けて該他方の面に対して斜めに該レーザービームを照射する、被加工物の加工方法が提供される
【0018】
また、好ましくは、該レーザービーム照射ステップでは、該他方の面に対面する様に配置されたガルバノスキャナで該レーザービームの照射位置を制御することにより、該仮想面に対して該レーザービームの入射面を平行にした状態で、該レーザービームを照射する。
【0019】
本発明の更なる他の態様によれば、円盤状の被加工物の加工方法であって、該被加工物の一方の面にテープを貼着すると共に該テープを介して該被加工物とフレームとを一体化するテープ貼着ステップと、該テープ貼着ステップの後、該テープを介して該被加工物を保持ユニットで保持する保持ステップと、該保持ステップの後、該一方の面とは反対側に位置する該被加工物の他方の面側から該他方の面へ、該被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射するレーザービーム照射ステップと、を備え、該レーザービーム照射ステップでは、該被加工物の該他方の面の法線に対して所定角度だけ傾斜した入射角を有する様に該レーザービームの向きを調整した状態で、該他方の面において環状に該レーザービームを照射し、該レーザービーム照射ステップは、該レーザービームにより該被加工物に加工溝を形成し、該加工溝が該被加工物を貫通したときに、該加工溝を通過する光を光検知ユニットで検知する検知ステップを含む、被加工物の加工方法が提供される好ましくは、該検知ステップでは、該被加工物の加工閾値よりも低い出力を有する光を照射する光源と、該光検知ユニットとを、該被加工物の厚さ方向で該被加工物を挟む様に配置した上で、該加工溝を通過する該光源からの光を該光検知ユニットで検知する。
【0020】
本発明の一態様に係る被加工物の加工方法は、被加工物の他方の面へ、被加工物に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを照射するレーザービーム照射ステップを備える。レーザービーム照射ステップでは、被加工物の他方の面の法線に対して所定角度だけ傾斜した入射角を有する様にレーザービームの向きを調整した状態で、他方の面において環状にレーザービームを照射する。
【0021】
レーザービーム照射ステップでは、レーザービームの入射角が、被加工物の他方の面の法線に対して所定角度だけ傾斜しているので、レーザービームが他方の面で反射されたとしても、レーザー発振器へのレーザービームの戻りを抑制できる。従って、レーザー発振器の状態が不安定になり難くなるので、レーザー加工における加工不良の可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】加工方法のフロー図である。
図2図2(A)は被加工物の表面側の斜視図であり、図2(B)は被加工物の裏面側の斜視図である。
図3】テープ貼着ステップを示す図である。
図4】被加工物ユニットの斜視図である。
図5】保持ステップを示す図である。
図6】レーザービーム照射ステップの一態様を示す斜視図である。
図7図6の概略図である。
図8図8(A)は加工溝を形成する様子を示す図であり、図8(B)は検知ステップを示す図である。
図9図9(A)は第1変形例に係る被加工物の斜視図であり、図9(B)は第1変形例に係る被加工物の断面図である。
図10】第2変形例に係る被加工物の斜視図である。
図11】第3の変形例に係るレーザービーム照射ステップを示す図である。
図12図11の概略図である。
図13】第4の変形例に係るレーザービーム照射ステップを示す図である。
図14】第2の実施形態に係る検知ステップを示す図である。
図15図15(A)は第3の実施形態に係るレーザービーム照射ステップの一例を示す図であり、図15(B)は第3の実施形態に係るレーザービーム照射ステップの他の例を示す図である。
図16】第4の実施形態に係るレーザー加工装置を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る加工方法のフロー図である。まず、本実施形態の加工対象である円盤状の被加工物11について説明する。
【0024】
図2(A)は、被加工物11の表面(他方の面)11a側の斜視図であり、図2(B)は、表面11aとは反対側に位置する被加工物11の裏面(一方の面)11b側の斜視図である。
【0025】
図2(A)に示す様に、被加工物11の表面11a側には、複数の分割予定ライン(ストリート)13が格子状に設定されており、複数の分割予定ライン13で区画された複数の領域の各々には、IC、LSI等のデバイス15が形成されている。
【0026】
本実施形態の被加工物11は、シリコン製のウェーハであるが、被加工物11の材料、構造、大きさ等に制限はない。被加工物11は、他の半導体材料で形成されたウェーハであってもよい。同様に、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ等にも制限はない。
【0027】
表面11a側の中央部には、複数のデバイス15を含む円形のデバイス領域17aが存在する。デバイス領域17aの周囲には、デバイス15が形成されておらず、且つ、デバイス領域17aに比べて略平坦な外周余剰領域17bが存在する。
【0028】
外周余剰領域17bは、表面11aにおいて、ノッチ19を除く被加工物11の外周縁11cから所定距離だけ内側の位置までの範囲である。例えば、12インチ(約300mm)の径を有するウェーハの場合、外周縁11cから約3mmの範囲が外周余剰領域17bとなる。
【0029】
図2(A)では、デバイス領域17aと外周余剰領域17bとの境界部17cを、一点鎖線で示す。図2(B)に示す様に、本実施形態の被加工物11において、裏面11b側の中央部には、裏面11b側が所定の厚さだけ薄化されることで形成された円形凹部11dが存在する。
【0030】
円形凹部11dは、被加工物11の厚さ方向においてデバイス領域17aに対応する領域である。円形凹部11dの外側には、円形凹部11dを囲む様に環状凸部11eが形成されている。
【0031】
環状凸部11eは、被加工物11の厚さ方向において外周余剰領域17bに対応する領域である。なお、表面11a側及び裏面11b側の各外周部には、図3に示す様に、面取り部が形成されている。
【0032】
被加工物11を加工する際には、円形のテープ21の中央部に被加工物11の裏面11b側を貼着し、テープ21の外周部に金属製の環状のフレーム23(図3図4参照)を貼着する(テープ貼着ステップS10)。
【0033】
図3は、テープ貼着ステップS10を示す図である。テープ21は、樹脂製の基材層と、基材層の一面全体に設けられた粘着層(糊層)と、を有する。粘着層は、例えば、紫外線硬化型樹脂で形成されている。
【0034】
テープ貼着ステップS10では、例えば、まず、裏面11bが上方を向く様に被加工物11を配置し、次いで、被加工物11の外周部にフレーム23を配置する。その後、被加工物11の裏面11bと、フレーム23の一面とに、テープ21の粘着層側を貼り付ける。
【0035】
これにより、テープ21を介して被加工物11とフレーム23とが一体化された被加工物ユニット25(図4参照)を形成する。図4は、被加工物ユニット25の斜視図である。
【0036】
テープ貼着ステップS10の後、レーザー加工装置2に設けられている円盤状のチャックテーブル(保持ユニット)4で、被加工物ユニット25を吸引保持する(保持ステップS20)(図5参照)。図5は、保持ステップS20を示す図である。
【0037】
ここで、レーザー加工装置2の構成について説明する。上述のチャックテーブル4は、保持面4aが下方を向く様に配置されている。チャックテーブル4は、金属で形成された円盤状の枠体6を有する。枠体6の下部には、円盤状の凹部が形成されている。
【0038】
枠体6の凹部には、多孔質セラミックスで形成された円盤状のポーラス板8が固定されている。枠体6の下面と、ポーラス板8の下面とは、面一となっており、略平坦な保持面4aを構成している。
【0039】
枠体6には、流路(不図示)が形成されている。流路の一端は、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されており、流路の他端は、ポーラス板8に接続されている。吸引源を動作させると保持面4aには負圧が伝達される。
【0040】
枠体6及びポーラス板8の一部には、円柱状の透過部4bが設けられている。透過部4bは、後述するレーザービームLに対して透明性又は透光性を有する材料(例えば、光学ガラス)で形成されている。
【0041】
透過部4bは、ポーラス板8の下面から枠体6の上面まで貫通している。本実施形態の透過部4bは、1つのみ設けられているが、チャックテーブル4の径方向に沿って離散的に複数の透過部4bが設けられてもよい。
【0042】
枠体6の上部には、モータ等を有する回転機構10の出力軸が連結されている。回転機構10は、回転軸10aの周りでチャックテーブル4を回転させることができる。回転機構10の上部には、回転機構10をX軸方向及びY軸方向に移動させるための水平移動機構(不図示)が連結されている。
【0043】
チャックテーブル4の上方、且つ、回転機構10の側部には、光検知ユニット14が配置されている。光検知ユニット14は、パワーメータ、パワーセンサ、減光フィルタ付きカメラ等であり、透過部4bを透過したレーザービームLを検知可能である。
【0044】
回転機構10の側部には、複数のクランプ機構12が設けられている。本実施形態では、チャックテーブル4の周方向に沿って離散的に4つのクランプ機構12が配置されている。なお、図5では、2つのクランプ機構12を示す。
【0045】
表面11aが下側に露出した状態で、保持面4aで被加工物ユニット25を吸引保持すると、被加工物11は、裏面11b側がテープ21を介して保持面4aで保持される。また、フレーム23は、クランプ機構12で挟持される。
【0046】
チャックテーブル4の下方には、レーザービーム照射ユニット16が配置されている(図6参照)。レーザービーム照射ユニット16は、被加工物11に吸収される波長を有するパルス状のレーザービームを生成するためのレーザー発振器(不図示)を含む。
【0047】
レーザー発振器から出射されたレーザービームは、所定の光学系を経て、集光レンズを備える集光器18から上方へ、保持面4aに向かって照射される。なお、集光器18には、集光器18をZ軸方向に沿って移動させるZ軸移動機構(不図示)、レーザービームの入射角度を調整する角度調整ユニット(不図示)が連結されている。
【0048】
レーザー加工装置2には、チャックテーブル4、レーザービーム照射ユニット16、水平移動機構(不図示)、Z軸移動機構(不図示)、角度調整ユニット等の動作を制御する制御部(不図示)が設けられている。
【0049】
制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。
【0050】
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御部の機能が実現される。次に、図6及び図7を参照し、保持ステップS20の後のレーザービーム照射ステップS30について説明する。
【0051】
図6は、レーザービーム照射ステップS30の一態様を示す斜視図であり、図7は、図6の概略図である。なお、図7は、図6とは異なる視点で描かれており、図6及び図7では、便宜上、チャックテーブル4、テープ21、フレーム23等を省略している。
【0052】
レーザービーム照射ステップS30では、被加工物ユニット25の下方に位置する集光器18から(即ち、表面11a側から)、被加工物11の表面11aへ、レーザービームLを照射する。つまり、下方から上方に向かって、レーザービームLを照射する。
【0053】
特に、本実施形態のレーザービーム照射ステップS30では、レーザービームLの入射面22を、表面11aの中心AとレーザービームLの集光点Aとを通り表面11aに直交する仮想面20に対して、直交させた状態とする(図7参照)。
【0054】
更に、表面11aの法線11fに対して所定角度だけ傾斜した入射角α(鋭角)を有する様にレーザービームLの向きを調整し、集光点Aを境界部17c(環状の領域)の一点に位置付ける。
【0055】
この状態で、チャックテーブル4を回転軸10aの周りに回転させることで、レーザービームLを表面11aに照射し、外周縁11cに沿ってアブレーション加工を行うことで、表面11aに直交する態様の加工溝11gを境界部17cに沿って環状に形成する(図8(A)参照)。
【0056】
図8(A)は、加工溝11gを形成する様子を示す図である。レーザー加工条件は、例えば、デバイス領域17aの厚さが100μmの場合、下記の様にする。
【0057】
レーザー発振器のレーザー媒質 :Yb添加ファイバー
波長 :1059nm以上1065nm以下
繰り返し周波数 :50kHz
平均出力 :17W
加工送り速度 :163rpm
集光スポット径 :25μm
【0058】
レーザー加工が進むにつれて、加工溝11gは徐々に深くなり、加工溝11gが被加工物11を貫通すると、加工溝11gを境に被加工物11は、デバイス領域17aと、外周余剰領域17bと、に分離される(図8(B)参照)。
【0059】
本実施形態のレーザービーム照射ステップS30では、被加工物11の表面11aの法線11fに対して所定角度だけ傾斜した入射角αを有する様に、レーザービームLを表面11aへ照射するので、レーザービームLが表面11aで反射されたとしても、反射角αでの反射となり、レーザー発振器へのレーザービームLの戻りを抑制できる。
【0060】
従って、レーザー発振器の状態が不安定になり難くなるので、レーザー加工における加工不良の可能性を低減できる。加えて、レーザービームLを入射角αで入射させることで、反射角αでのレーザービームLの進行方向Bに沿ってデブリ27が飛散する(図6図7参照)。それゆえ、デブリ27の集光レンズへの付着を低減できる。
【0061】
なお、レーザー加工時には、表面11aの中心Aの直下にエア噴射ノズル(不図示)を配置して、中心Aから集光点Aに向けてエアを噴射してもよい。これにより、アブレーション加工で生じるデブリ27がデバイス領域17aに付着することをより確実に防止できる。
【0062】
ところで、本実施形態のレーザービーム照射ステップS30は、加工溝11gが被加工物11を貫通したときに、加工溝11gを通過したレーザービームLを、光検知ユニット14で検知する検知ステップS35を含む。図8(B)は、検知ステップS35を示す図である。
【0063】
光検知ユニット14は、所定値以上の強度の光を受光した場合に、所定の受光信号を制御部へ送信する。それゆえ、光検知ユニット14を利用して、加工溝11gが貫通したか否かを自動的に検知できる。貫通したことが検知された後、レーザービームLの照射は停止される。
【0064】
なお、検知ステップS35の後、且つ、レーザービームLの照射停止前に、上述のレーザー加工条件に比べてレーザービームLを低出力にして、加工溝11g近傍に付着したデブリを除去するクリーニングステップを行ってもよい。
【0065】
レーザービーム照射ステップS30の後、デバイス領域17aからリング状に分離された外周余剰領域17bを、テープ21から除去する(除去ステップS40)。例えば、外周余剰領域17bの周方向の複数箇所において、テープ21と裏面11bとの間に楔(不図示)を差し込んだ状態で、チャックテーブル4を回転させる。これにより、外周余剰領域17bをテープ21から落下させる。
【0066】
除去ステップS40では、楔に代えて、外周余剰領域17bの周方向の複数箇所において、テープ21と裏面11bとの間に爪部(不図示)を差し込んだ状態で、爪部を引き下げることにより、外周余剰領域17bをテープ21から落下させてもよい。
【0067】
(第1の変形例)次に、第1の実施形態における種々の変形例について説明する。図9(A)は、第1変形例に係る被加工物31の斜視図であり、図9(B)は、第1変形例に係る被加工物31の断面図である。
【0068】
第1変形例の被加工物31は、裏面11b側に円形凹部11dが形成されていない点が、上述の被加工物11と異なる。被加工物31に対して、同様に、テープ貼着ステップS10から除去ステップS40までを行うことで、被加工物31の外周縁に形成されている面取り部を含む領域を除去できる。
【0069】
(第2の変形例)図10は、第2変形例に係る被加工物41の斜視図である。被加工物41には、デバイス15が形成されていない。例えば、被加工物41の径よりも小さな径を有する所定の径に沿って加工溝11gを形成することで、被加工物41から、被加工物41よりも小径の被加工物43を形成できる。
【0070】
(第3の変形例)次に、レーザービーム照射ステップS30の変形例について説明する。図11は、第3の変形例に係るレーザービーム照射ステップS30を示す図である。図12は、図11の概略図である。
【0071】
第3の変形例に係るレーザービーム照射ステップS30では、表面11aの中心Aと、レーザービームLの集光点Aと、を通り、表面11aに直交する仮想面24に対して、レーザービームLの入射面26を平行にした状態とする。
【0072】
更に、表面11aの法線11fに対して所定角度だけ傾斜した入射角β(鋭角)を有する様にレーザービームLの向きを調整し、集光点Aを境界部17c(環状の領域)の一点に位置付ける。
【0073】
この状態で、チャックテーブル4を回転軸10aの周りに回転させることで、表面11aの中心Aから表面11aの外側へ向けて斜めにレーザービームLを照射し、外周縁11cに沿ってアブレーション加工を行う。
【0074】
レーザー加工条件は、上述の条件と同じであってよい。レーザー加工が進むにつれて、加工溝11gは徐々に深くなり、加工溝11gが被加工物11を貫通すると、加工溝11gを境に被加工物11は、デバイス領域17aと、外周余剰領域17bと、に分離される。
【0075】
このとき、デバイス領域17a側の被加工物11は逆円錐台状になるので、除去ステップS40において、外周余剰領域17bの内周側面が、デバイス領域17aの外周側面に干渉し難くなるという利点がある。
【0076】
第3の変形例に係るレーザービーム照射ステップS30では、被加工物11の表面11aの法線11fに対して所定角度だけ傾斜した入射角βを有する様に、レーザービームLを表面11aへ照射するので、レーザービームLが表面11aで反射されたとしても、反射角βでの反射となり、レーザー発振器へのレーザービームLの戻りを抑制できる。
【0077】
従って、レーザー発振器の状態が不安定になり難くなるので、レーザー加工における加工不良の可能性を低減できる。加えて、レーザービームLを入射角βとすることで、反射角βでのレーザービームLの進行方向Bに略沿ってデブリ27が飛散する。それゆえ、デブリ27の集光レンズへの付着を低減できる。
【0078】
なお、レーザー加工時には、表面11aの中心Aの直下にエア噴射ノズル(不図示)を配置して、中心Aから集光点Aに向けてエアを噴射してもよい。また、第3の変形例において、検知ステップS35を行ってもよい。検知ステップS35を行うことで、加工溝11gが貫通したか否かを自動的に検知できる。
【0079】
(第4の変形例)次に、第3の変形例を変形した第4の変形例について説明する。図13は、第4の変形例に係るレーザービーム照射ステップS30を示す図である。第4の変形例でも、第3の変形例と同様に、中心Aと集光点Aとを通り表面11aに直交する仮想面24に対して入射面26を平行にした状態で、表面11aの境界部17cにレーザービームLを照射する。
【0080】
但し、第4の変形例では、チャックテーブル4を回転させずに静止させた状態で、保持面4a(つまり、表面11a)に対面する様に配置されたガルバノスキャナ28を用いて、境界部17cに沿って集光点Aを走査しながらレーザービームLの照射位置を制御する。第4の変形例でも、第3の変形例と同様の効果を奏することができる。勿論、光検知ユニット14を用いて検知ステップS35を行ってもよい。
【0081】
次に、図14を参照して第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のレーザー加工装置32は、チャックテーブル4に代えて、保持リング(保持ユニット)34を備える。保持リング34は、リング状の筐体36と、この筐体36の周囲に離散的に設けられた複数のクランプ機構38と、を有する。
【0082】
保持リング34は、チャックテーブル4と同様の回転機構(不図示)に連結されており、筐体36の中心位置を通る回転軸34aの周りに回転可能である。保持リング34の下方には、レーザービームLを上方に照射可能な態様でレーザービーム照射ユニット16が配置されている。
【0083】
水平方向において回転軸34aを間に挟んで、レーザービーム照射ユニット16の集光器18とは反対側には、上述の光検知ユニット14が配置されている。光検知ユニット14の上方には、下方に向かって光を照射する光源40が配置されている。
【0084】
光源40は、例えば、レーザーダイオードである。光源40からのレーザービームは、被加工物11を透過し難く、且つ、テープ21を透過する波長(例えば、紫外線帯域の波長)を有し、被加工物11を加工するレーザービームLに比べて低出力である。
【0085】
より具体的には、光源40からのレーザービームの出力は、被加工物11を加工しない程度に小さい(つまり、被加工物11の加工閾値よりも低い)。光源40からのレーザービームは、光検知ユニット14に向けて照射される。
【0086】
第2の実施形態でも、被加工物11を加工する際には、テープ貼着ステップS10から除去ステップS40までを順次行う。テープ貼着ステップS10で被加工物ユニット25を形成した後、フレーム23を保持リング3で保持することで、テープ21を介して被加工物11を保持する(保持ステップS20)。
【0087】
次いで、第1の実施形態と同様に、レーザービームLの入射面22を、仮想面20に対して直交させた状態で(図7参照)、表面11aの法線11fに対して所定角度だけ傾斜した入射角α(鋭角)を有する様にレーザービームLの向きを調整し、集光点Aを境界部17c(環状の領域)の一点に位置付ける(図6図7参照)。
【0088】
更に、保持リング3を回転軸34aの周りに回転させることで、外周縁11cに沿ってアブレーション加工を行うことで、表面11aに直交する態様の加工溝11gを境界部17cに沿って環状に形成する。
【0089】
勿論、第2の実施形態でも、レーザー発振器へのレーザービームLの戻りを抑制できるので、レーザー発振器の状態が不安定になり難くなる。それゆえ、レーザー加工における加工不良の可能性を低減できる。
【0090】
但し、第2の実施形態の検知ステップS35では、光源40から照射したレーザービームを光検知ユニット14で検知することで、加工溝11gが被加工物11を貫通したか否かを検知する。図14は、第2の実施形態に係る検知ステップS35を示す図である。
【0091】
本実施形態では、低出力の光源40を用いて検知ステップS35を行うことができる。それゆえ、光検知ユニット14に減光フィルタ等を配置する必要がないので、コストを削減できる。また、センサ素子、フィルタ等に焼けが生じ難いので、光検知ユニット14の故障等のトラブルが生じ難いという利点がある。
【0092】
更に、続く除去ステップS40では、円形凹部11dと略同径の遮光板(不図示)を、テープ21上に配置した上で、被加工物11の裏面11b側全体に紫外線を照射する。これにより、環状凸部11eとテープ21との粘着力を低下させた後、上述の爪部等を用いて、円形凹部11dからリング状に分離された外周余剰領域17bを、テープ21から除去する(除去ステップS40)。
【0093】
更に、除去ステップS40では、テープ21の粘着力を低減した上で外周余剰領域17bをテープ21から除去するので、デバイス領域17aをテープ21に安定的に貼着させ、且つ、外周余剰領域17bを容易に除去できる。
【0094】
その他、第1の実施形態と同じ配置、構成等に基づいて、同様の効果を奏することができる。また、第2の実施形態に対して、第1から第4の変形例を適用してもよい。次に、第3の実施形態について説明する。
【0095】
第3の実施形態のレーザービーム照射ステップS30では、被加工物11の厚さ方向において外周余剰領域17bに対応する部分をアブレーションさせて除去する点が、第1及び第2の実施形態と異なる。
【0096】
図15(A)は、第3の実施形態に係るレーザービーム照射ステップS30の一例を示す図である。図15(A)では、便宜上、チャックテーブル4、テープ21、フレーム23等を省略している。
【0097】
図15(A)に示す例では、第1の実施形態(図6から図8(B)参照)の様に、レーザービームLの入射面22を仮想面20に対して直交させた状態で、表面11aの法線11fに対して所定角度だけ傾斜した入射角α(鋭角)を有する様にレーザービームLを照射する。
【0098】
この様にして、集光点Aを外周縁11cに位置付ける。そして、チャックテーブル4を回転軸10aの周りに回転させながら、矢印Cに示す様に回転軸10aを集光点Aに徐々に近づける。なお、レーザービームLの集光点Aの高さ位置を適宜調節してもよい。
【0099】
また、集光点Aを、外周縁11cから所定距離だけ内側の位置から、外周縁11cまで、移動させてもよいし、チャックテーブル4を水平方向には移動させず回転させて、レーザービーム照射ユニット16を水平方向に移動させてもよい。更に、集光点Aのスポット径が十分に大きい場合、チャックテーブル4及びレーザービーム照射ユニット16を水平方向に移動させず、チャックテーブル4を回転させてもよい。
【0100】
外周縁11cから所定距離だけ内側の位置までの外周余剰領域17bに対して、レーザービームLを照射することで、被加工物11の厚さ方向において外周余剰領域17bに対応する部分を除去できる。それゆえ、除去ステップS40を省略できる。
【0101】
また、レーザービーム照射ステップS30では、レーザービームLの入射面22を仮想面20に対して平行にすることで、第1の実施形態の第3変形例(図11図12参照)の様に、被加工物11の厚さ方向において外周余剰領域17bに対応する部分をアブレーションにより除去してもよい。
【0102】
図15(B)は、第3の実施形態に係るレーザービーム照射ステップS30の他の例を示す図である。図15(B)でも、便宜上、チャックテーブル4等を省略している。
【0103】
図15(B)に示す例では、図11から図13の様に、レーザービームLの入射面22を仮想面20に対して平行にした状態で、表面11aの法線11fに対して所定角度だけ傾斜した入射角β(鋭角)を有する様にレーザービームLを照射する。
【0104】
この様にして、集光点Aを外周縁11cに位置付ける。そして、チャックテーブル4を回転軸10aの周りに回転させながら、矢印Cに示す様に回転軸10aを集光点Aに徐々に近づける。なお、レーザービームLの集光点Aの高さ位置を適宜調節してもよい。
【0105】
第3の実施形態でも、図15(A)の説明で述べた様に、集光点Aを被加工物11の内側から外側へ移動させてもよいし、チャックテーブル4を水平方向には移動させず回転させて、レーザービーム照射ユニット16を水平方向に移動させてもよい。更に、集光点Aのスポット径が十分に大きい場合、チャックテーブル4及びレーザービーム照射ユニット16を水平方向に移動させず、チャックテーブル4を回転させてもよい。
【0106】
外周縁11cから所定距離だけ内側の位置までの外周余剰領域17bに対して、レーザービームLを照射することで、被加工物11の厚さ方向において外周余剰領域17bに対応する部分を除去できる。なお、第1の実施形態の第4変形例(図13参照)の様に、ガルバノスキャナ28を適用することもできる。
【0107】
次に、第4の実施形態について説明する。図16は、第4の実施形態に係るレーザー加工装置42を示す一部断面側面図である。レーザー加工装置42では、保持面4aが上方を向く様にチャックテーブル4が配置され、保持面4aの上方にレーザービーム照射ユニット16が配置されている。
【0108】
第4の実施形態でも、第1の実施形態(図6から図8(B)参照)、第1の実施形態の第3変形例(図11図12参照)、又は、第1の実施形態の第4変形例(図13参照)と同様にして、境界部17cに加工溝11gを形成できる。
【0109】
勿論、第1の実施形態の第1変形例に係る被加工物31(図9(A)、図9(B)参照)を加工してもよいし、第1の実施形態の第2変形例に係る被加工物41から、より小径の被加工物43を形成してもよい(図10参照)。
【0110】
また、チャックテーブル4に代えて、第2の実施形態(図14参照)の様に、保持リング3を採用してもよいし、加工溝11gを形成することに代えて、第3の実施形態(図15(A)、図15(B)参照)の様に、被加工物11の厚さ方向において外周余剰領域17bに対応する部分をアブレーションにより除去してもよい。
【0111】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0112】
2,32,42:レーザー加工装置、4:チャックテーブル(保持ユニット)
4a:保持面、4b:透過部
6:枠体、8:ポーラス板、10:回転機構、10a:回転軸
11,31,41,43:被加工物、
11a:表面(他方の面)、11b:裏面(一方の面)
11c:外周縁、11d:円形凹部、11e:環状凸部、11f:法線、11g:加工溝
12:クランプ機構
14:光検知ユニット
13:分割予定ライン、15:デバイス
16:レーザービーム照射ユニット、18:集光器
17a:デバイス領域、17b:外周余剰領域、17c:境界部、19:ノッチ
20,24:仮想面、22,26:入射面
21:テープ、23:フレーム、25:被加工物ユニット、27:デブリ
28:ガルバノスキャナ
34:保持リング(保持ユニット)、34a:回転軸
36:筐体、38:クランプ機構、40:光源
:中心、A:集光点、B,B:進行方向、C:矢印
L:レーザービーム、α:入射角、反射角、β:入射角、反射角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16