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特許7599805パーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】パーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/46 20060101AFI20241209BHJP
   C08G 77/385 20060101ALI20241209BHJP
   C08G 77/24 20060101ALI20241209BHJP
   C08G 77/20 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
C08G77/46
C08G77/385
C08G77/24
C08G77/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022008666
(22)【出願日】2022-01-24
(65)【公開番号】P2023107460
(43)【公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 嵩之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智幸
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-021158(JP,A)
【文献】国際公開第2021/251151(WO,A1)
【文献】特開2012-007124(JP,A)
【文献】特開2009-132826(JP,A)
【文献】特開2008-088412(JP,A)
【文献】特開平09-241381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00-77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される、パーフルオロポリエーテルブロック及びオルガノポリシロキサンブロックを有するパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーであって、前記オルガノポリシロキサンブロックの側鎖に、アラルキル基及びオキシアルキレン単位を有する基から選ばれる1種以上の基を有する、パーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーであって、下記の式(A)又は式(B)中のR 1 及びR 1' のうち1つ以上が、(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基である、パーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー
【化1】
[式(1)中、
Rfは下記式(2)
【化2】
(式(2)中、zは1~4の数であり、v、w、x及びyはそれぞれ独立に0~200の数であり、v+w+x+y=3~200である。また、各繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよい。各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
で表されるパーフルオロポリエーテルブロックであり、
W1は下記式(A)
【化3】
(式(A)中、R1は独立して炭素数1~18のアルキル基、フェニル基及び(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基から選ばれる基である。R2は炭素数7~18のアラルキル基である。R3は下記式(3)で表される炭素数6~300のオキシアルキレン単位を有する基である。
【化4】
(式(3)中、R4は炭素数2~4のアルキレン基であり、R5は炭素数1~4のアルキル基であり、mは3~4の数であり、nは1~60の数である。なお、上記nで括られたオキシアルキレン単位は1種または2種以上で構成されたものであり、2種以上で構成される場合の各単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
p1、q1、及びr1はそれぞれ0~1,000の数である。各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
で表される2価のオルガノポリシロキサンブロックであり、
W2はそれぞれ独立に下記式(B)
【化5】
(式(B)中、R1は独立して炭素数1~18のアルキル基、フェニル基及び(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基から選ばれる基である。R2は炭素数7~18のアラルキル基である。R3は上記式(3)で表される炭素数6~300のオキシアルキレン基を含む基である。R1’は独立して炭素数1~18のアルキル基、フェニル基及び(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基から選ばれる基である。p2、q2及びr2はそれぞれ0~1,000の数である。各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
で表される1価のオルガノポリシロキサンブロックであり、
但し、上記式(A)のq1及びr1並びに上記式(B)のq2及びr2は同時に0とならない。
Qは炭素数2~12の2価の有機基であり、また、上記式(1)中、QはRfの末端の炭素原子、W1の末端のケイ素原子又はW2の末端のケイ素原子のいずれかと結合しており、
gは0以上の数である。]
【請求項2】
数平均分子量が3,000~500,000であり、1分子中のオルガノポリシロキサンブロック含有量が50%以上である、請求項1に記載のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項3】
式(A)及び式(B)において、q1+q2>1であり、かつr1+r2=0である請求項1又は2に記載のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項4】
式(A)及び式(B)において、q1+q2=0であり、かつr1+r2>1である請求項1又は2に記載のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー。
【請求項5】
Rfで表されるパーフルオロポリエーテルブロックが、下記式(4)で表される基である、請求項1~のいずれか1項に記載のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー。
【化6】
(式(4)中、v及びwはそれぞれ0~200の数で、但しv+w=3~200である。また、(OC24)の繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよい。各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーフルオロポリエーテル基含有化合物は、その表面自由エネルギーが非常に低いため、耐薬品性、潤滑性、離型性、撥水撥油性などを有する。その性質を利用して、工業的には、磁気記録媒体の滑剤、精密機器の防油剤、離型剤、紙・繊維・ガラス・樹脂などの撥水撥油防汚剤、化粧料、保護膜などとして、幅広く利用されている。
【0003】
しかし、パーフルオロポリエーテル基含有化合物の表面自由エネルギーが低いために、他の物質との相溶性、親和性が非常に低く、パーフルオロポリエーテル基含有化合物を各種工業材料等に添加して上記性質を付与しようとすると、分散安定性や反応性などに問題が生じ、パーフルオロポリエーテル基含有化合物の各種工業材料等への配合は困難であった。
これを鑑みて、パーフルオロポリエーテル基含有ジオールと2-イソシアネートエチルメタクリレートとの反応物からなるウレタンアクリレートが提案されている(特許文献1)。
【0004】
一方、ポリシロキサン化合物も、その表面自由エネルギーが低いため、撥水性・潤滑性・離型性などの性質を有する。そして、ポリシロキサン化合物は、パーフルオロポリエーテル化合物に比べて他の物質に対する親和性が良く、各種変性をすることでさらに分散安定性を向上させることも可能である。そのため、ポリシロキサン化合物は各種工業材料等に添加してシリコーンの性質を容易に付与することができ、幅広い分野で性能向上用の添加剤として利用されている。パーフルオロポリエーテル基とポリシロキサン鎖を有する化合物として、パーフルオロポリエーテル変性のポリシロキサン化合物がある(特許文献2)。
しかし、このポリシロキサン化合物において、パーフルオロポリエーテル基の性質を高めようとしてフッ素変性率を上げると、他の工業材料に対する親和性が著しく低下してしまう。このため、分散安定性や反応性などに問題を生じることがある。
【0005】
これを鑑みて、パーフルオロポリエーテルとポリシロキサン双方の特性を有し、非フッ素系有機化合物との親和性に優れた、パーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロック共重合体が開発されている(特許文献3、4)。
また、非フッ素系有機化合物との親和性に優れる化合物として、パーフルオロポリエーテル基含有ポリエーテル変性ポリシロキサンが開発されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-349651号公報
【文献】特開2006-321764号公報
【文献】特開2008-088412号公報
【文献】特開2011-021158号公報
【文献】特開2012-007124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3及び特許文献4に開示されたパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロック共重合体は高極性な非フッ素系有機化合物に対する親和性が低く、分散安定性や反応性などに問題を生じることがある。
また、特許文献5に開示されたパーフルオロポリエーテル基含有ポリエーテル変性ポリシロキサンは、高極性な非フッ素系有機化合物との親和性が良いが、分子構造が環状であるため、その分子中に導入可能なシロキサン単位数やポリエーテル基数が限定的であり、非フッ素系有機化合物に対する相溶性の制御や(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基の導入が難しい。
したがって、本発明は、パーフルオロポリエーテル基を有し、ブロックコポリマーを構成する各単位の数、オルガノポリシロキサンブロックの側鎖に導入する基の変性率等の分子構造の制御が可能であり、非フッ素系有機化合物との親和性に優れるパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー(以下、単にブロックコポリマーと略記することがある)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、下記パーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーが、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は下記のものである。
【0009】
[1]
下記式(1)で表される、パーフルオロポリエーテルブロック及びオルガノポリシロキサンブロックを有するパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーであって、前記オルガノポリシロキサンブロックの側鎖に、アラルキル基及びオキシアルキレン単位を有する基から選ばれる1種以上の基を有する、パーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー。
【化1】
[式(1)中、
Rfは下記式(2)
【化2】
(式(2)中、zは1~4の数であり、v、w、x及びyはそれぞれ独立に0~200の数であり、v+w+x+y=3~200である。また、各繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよい。各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
で表されるパーフルオロポリエーテルブロックであり、
W1は下記式(A)
【化3】
(式(A)中、R1は独立して炭素数1~18のアルキル基、フェニル基及び(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基から選ばれる基である。R2は炭素数7~18のアラルキル基である。R3は下記式(3)で表される炭素数6~300のオキシアルキレン単位を有する基である。
【化4】
(式(3)中、R4は炭素数2~4のアルキレン基であり、R5は炭素数1~4のアルキル基であり、mは3~4の数であり、nは1~60の数である。なお、上記nで括られたオキシアルキレン単位は1種または2種以上で構成されたものであり、2種以上で構成される場合の各単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
p1、q1、及びr1はそれぞれ0~1,000の数である。各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
で表される2価のオルガノポリシロキサンブロックであり、
W2はそれぞれ独立に下記式(B)
【化5】
(式(B)中、R1は独立して炭素数1~18のアルキル基、フェニル基及び(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基から選ばれる基である。R2は炭素数7~18のアラルキル基である。R3は上記式(3)で表される炭素数6~300のオキシアルキレン基を含む基である。R1’は独立して炭素数1~18のアルキル基、フェニル基及び炭素数4~12の(メタ)アクリロイル基を有する基から選ばれる基である。p2、q2及びr2はそれぞれ0~1,000の数である。各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
で表される1価のオルガノポリシロキサンブロックであり、
但し、上記式(A)中のq1及びr1並びに上記式(B)中のq2及びr2は同時に0とならない。
Qは炭素数2~12の2価の有機基であり、また、上記式(1)中、QはRfの末端の炭素原子、W1の末端のケイ素原子又はW2の末端のケイ素原子のいずれかと結合しており、gは0以上の数である。]

[2]
数平均分子量が3,000~500,000であり、1分子中のオルガノポリシロキサンブロック含有量が50%以上である、[1]に記載のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー。

[3]
式(A)及び上記式(B)において、q1+q2>1であり、かつr1+r2=0である[1]又は[2]に記載のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー。

[4]
式(A)及び上記式(B)において、q1+q2=0であり、かつr1+r2>1である[1]又は[2]に記載のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー。

[5]
式(A)又は式(B)中のR1及びR1'のうち1つ以上が、(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基である、[1]~[4]のいずれかに記載のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー。

[6]
Rfで表されるパーフルオロポリエーテルブロックが、下記式(4)で表される基である、[1]~[5]のいずれかに記載のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー。
【化6】
(式(4)中、v及びwはそれぞれ0~200の数で、但しv+w=3~200である。また、(OC24)の繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよい。各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
【発明の効果】
【0010】
本発明のブロックコポリマーは、パーフルオロポリエーテルブロックを有し、シロキサン含有量が多く、分子鎖の両末端にオルガノポリシロキサンブロックを有している。さらに、オルガノポリシロキサンブロックの側鎖に非フッ素系有機化合物との親和性に優れるアラルキル基及びオキシアルキレン単位を有する基から選ばれる1種以上の基を有している。このため、パーフルオロポリエーテルブロックを有しながらも非フッ素系有機化合物と相溶しやすく、硬化性組成物等に添加した際に不均一部や白濁部が生じにくい。また、本発明のブロックコポリマーは、オルガノポリシロキサン単位の数やオルガノポリシロキサンブロックの側鎖が有する基の変性率が容易に制御でき、また、反応性官能基である(メタ)アクリロイル基の導入も容易である。
従って、本発明のブロックコポリマーは、非フッ素系有機樹脂の表面改質剤等の用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0012】
本発明のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーは、下記式(1)で表される。上記ブロックコポリマーは、パーフルオロポリエーテルブロック(Rf)と、オルガノポリシロキサンブロック(W1又はW2)が、交互に存在する。
【化7】
【0013】
上記オルガノポリシロキサンブロックは非フッ素系有機化合物との親和性に優れるアラルキル基及びオキシアルキレン単位を有する基から選ばれる1種以上の基を有しているため、式(1)で表される本発明のブロックコポリマーは非フッ素系有機化合物と相溶しやすく、硬化性組成物等に添加した場合に不均一部が生じにくい。
【0014】
上記式(1)のブロックコポリマーは、1分子中のオルガノポリシロキサンブロック含有量が50%以上、99%以下であることが好ましく、60%以上、90%以下であることがより好ましい。オルガノポリシロキサンブロック含有量が上記下限値以上であれば、非フッ素系有機化合物との相溶性に優れ、上記上限値以下であれば、パーフルオロポリエーテル基の性質が発現しやすい。該オルガノポリシロキサンブロック含有量は、式(1)のブロックコポリマーの1H-NMRスペクトルで、上記式(1)中のQのアルキレン由来のピークと、W1及びW2中のケイ素原子上の有機基由来のピークとの積分比から、分子量既知のパーフルオロポリエーテルブロックRfと、オルガノシロキシ単位とのモル比を求め、このモル比を分子量の比に換算して算出した値である。なお、通常、式(1)のブロックコポリマーは構造に分布を有するため、上記オルガノポリシロキサンブロック含有量は1分子当たりの平均値である。
【0015】
オルガノポリシロキサンブロックW1及びW2のうち1つ以上は、下記式(5)または式(6)で表されるシロキサン単位を有する。
【化8】
【0016】
上記式(5)中、R2は炭素数7~18のアラルキル基であり、上記式(6)中、R3はヒドロキシ基を有さない炭素数6~300のオキシアルキレン単位を有する基である。
【0017】
式(5)中のR2は、好ましくは下記式(7)で表されるアラルキル基である。
【化9】
式(7)中、R6は水素原子、メチル基又はフェニル基であり、好ましくはメチル基である。
【0018】
式(6)中のR3は、好ましくは下記式(3)で表される炭素数6~300のオキシアルキレン単位を有する基である。
【化10】
式(3)中、R4は炭素数2~4のアルキレン基であり、好ましくは炭素数2~3のアルキレン基である。R5は炭素数1~4のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。mは3~4の数であり、好ましくは3である。nは1~60の数であり、好ましくは2~12の数である。上記nで括られたオキシアルキレン基の繰り返し単位は1種または2種以上で構成されたものであり、2種以上で構成される場合の各単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。
【0019】
アラルキル基及びオキシアルキレン単位を有する基から選ばれる1種以上の基を有するシロキサン単位は、上記式(1)中に1つ以上存在し、2個以上存在することが非フッ素系有機化合物との相溶性の観点から好ましい。なお、オルガノポリシロキサンブロックW1及びW2における式(5)または式(6)のシロキサン単位は、互いに同じでも異なっていてもよい。
【0020】
上記式(1)中、オルガノポリシロキサンブロックW1は、下記式(A)で表される2価の基である。
【化11】
【0021】
上記式(A)中、R1は独立して炭素数1~18のアルキル基、フェニル基及び(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基から選ばれる基である。ここで、炭素数1~18のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基の例としては、下記式(8)で表される(メタ)アクリロイル基を有する基が挙げられる。
【化12】
上記式(8)中、R7は水素原子又はメチル基である。Xは酸素原子又は-NH-で示される基であり、好ましくは酸素原子である。hは1~8の数であり、好ましくは3~8の数である。
1の好ましい例としては、メチル基、フェニル基、3-アクリロキシプロピル基、3-メタクリロキシプロピル基が挙げられ、特に好ましくは、メチル基である。
【0022】
上記式(A)中、R2及びR3の例としては、式(5)のR2及び式(6)中のR3で前記したものと同様のものが挙げられる。
【0023】
上記式(A)中、p1、q1、及びr1はそれぞれ0~1,000の数であり、好ましくは0~500の数であり、より好ましくは0~200の数である。各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。
【0024】
上記式(A)で表される基の例として、下記式(9)~(17)で表される基等が挙げられるが、下記式に限定されるものではない。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0025】
上記式(1)中、オルガノポリシロキサンブロックW2は、下記式(B)で表される1価の基である。
【化17】
【0026】
上記式(B)中、R1は独立して炭素数1~18のアルキル基、フェニル基及び(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基から選ばれる基である。R2は炭素数7~18のアラルキル基である。R3は上記式(3)で表される炭素数6~300のオキシアルキレン基を含む基である。R1、R2及びR3のそれぞれの好ましい態様について、上記式(A)で挙げたものと同じものを挙げることができる。R1’は独立して炭素数1~18のアルキル基、フェニル基、(メタ)アクリロイル基を有する炭素数4~12の有機基から選ばれる基であり、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、アクリロキシメチル基、3-アクリロキシプロピル基、メタクリロキシメチル基、3-メタクリロキシプロピル基であり、より好ましくはブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基である。
【0027】
上記式(B)中、p2、q2及びr2はそれぞれ0~1,000の数であり、好ましくは0~500の数であり、より好ましくは0~200の数である。なお、各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。但し、上記式(A)中のq1及びr1並びに上記式(B)中のq2及びr2は同時に0とならない。
【0028】
式(B)で表される基の例として、下記式(18)~(26)で表される基等が挙げられるが、下記式に限定されるものではない。
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【0029】
上記式(1)中のパーフルオロポリエーテルブロックRfは、下記式(2)で示されるものである。
【化22】
【0030】
式(2)中、zは1~4の数であり、v、w、x及びyはそれぞれ独立に0~200の数であり、好ましくはそれぞれ0~50の数であり、但し、v+w+x+y=3~200であり、好ましくは10~50であり、各繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよく、各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。
【0031】
上記式(2)で示されるパーフルオロポリエーテルブロックRfの各繰り返し単位は、例えば下記繰り返し単位等が挙げられる。
【化23】
【0032】
中でも、上記式(2)において、z=1であり、x及びyが0である下記式(4)のパーフルオロポリエーテルブロックが、非フッ素系有機化合物との相溶性に優れるため好ましい。
【化24】
【0033】
式(4)中、v及びwはそれぞれ0~200の数であり、好ましくはそれぞれ0~50の数であり、但し、v+w=3~200であり、好ましくは10~50であり、(OC24)の繰り返し単位は直鎖状でも分岐状であってもよく、各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。
【0034】
上記各式で表されるパーフルオロポリエーテルブロックは、通常、構造に分布を有したものであり、v、w、x及びyはそれぞれ1分子当たりの平均値である。
【0035】
上記式(1)中、Qは炭素数2~12、好ましくは炭素数3~6の2価の有機基である。また、上記式(1)中、QはRfの末端の炭素原子、W1の末端のケイ素原子又はW2の末端のケイ素原子のいずれかと結合している。なお、Qは酸素原子や窒素原子を含んでいてもよい。具体的には、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、及び2級アミノ基などが挙げられる。Qの具体例としては下記の基等が挙げられる。
【化25】
(式中、*はRfに結合する遊離基、**はW1またはW2に結合する遊離基を示す。)
【0036】
上記Qの具体例の中でも、オルガノポリシロキサンブロックとパーフルオロポリエーテルブロックの連結が容易である点で、*-CH2OCH2CH2CH2**が好ましい。
【0037】
式(1)のブロックコポリマーの数平均分子量は3,000~500,000が好ましい。数平均分子量がこの範囲内の数であると、非フッ素系有機化合物への溶解性に優れ、取り扱いも容易な傾向にある。なお、本明細書において、数平均分子量は、下記条件でGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定により求めたポリスチレン換算値である(以下同様)。
【0038】
[測定条件]
展開溶媒:トルエン
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-H
TSKgel SuperH5000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×1)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:50μL(濃度0.3質量%のトルエン溶液)
【0039】
上記式(1)中、gは0以上の数であるが、式(1)のブロックコポリマーの数平均分子量が3,000~500,000を満たす数であることが好ましい。具体的には、gは0~50の数であることが好ましく、0~10の数であることがより好ましい。
【0040】
[パーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーの製造方法]
本発明のブロックコポリマーは、以下に述べる方法で製造できる。
(a)成分:下記式(27)で表されるパーフルオロポリエーテルブロックを有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
と、
(b)成分:末端炭素-炭素二重結合を有する炭素数7~18のアラルキル化合物及び下記式(28)で表される末端炭素-炭素二重結合を有する炭素数6~300のオキシアルキレン単位を有する化合物から選ばれる1種以上
とを、
(c)成分:ヒドロシリル化反応触媒
の存在下で(a)成分と(b)成分のヒドロシリル化反応を行うことにより、上記式(1)で表されるブロックコポリマーを得ることができる。
【0041】
【化26】
【0042】
【化27】
(式(28)中、R4、R5、m及びnはそれぞれ上記式(3)に示すものと同じである。なお、上記nで括られた繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。また、上記オキシアルキレン単位は1種または2種以上で構成されたものである。)
【0043】
上記式(27)において、Rfは上記式(2)で示されるパーフルオロポリエーテルブロックであり、g’は0以上の数である。
【0044】
式(27)中、オルガノポリシロキサンブロックW3は、それぞれ独立に下記式(A’)で表される2価の基である。
【化28】
上記式(A’)中、R1は上記式(A)中のものと同じである。p1’及びs1’はそれぞれ0~1,000の数であり、好ましくは0~200の数である。なお、各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。
【0045】
式(27)中、オルガノポリシロキサンブロックW4は、それぞれ独立に下記式(B’)で表される1価の基である。
【化29】
上記式(B’)中、R1、及びR1’は上記式(B)中のものと同じである。p2’及びs2’はそれぞれ0~1,000の数であり、好ましくは0~200の数である。なお、各繰り返し単位の配列順序は限定されず、ランダムであってもブロックであってもよい。
但し、上記式(A’)のハイドロジェンシロキサン単位の数s1’と上記式(B’)のハイドロジェンシロキサン単位の数s2’は同時に0とならないものである。
【0046】
上記式(27)中、Qは炭素数2~12の2価の有機基である。また、QはRfの末端の炭素原子、W3の末端のケイ素原子又はW4の末端のケイ素原子のいずれかと結合している。
【0047】
(b)成分:末端炭素-炭素二重結合を有する炭素数7~18のアラルキル化合物は、好ましくは下記式(29)で表される化合物である。
【化30】
(式(29)中、R6は上記式(7)中のものと同じである。)
【0048】
(c)成分:ヒドロシリル化反応触媒は、例えば、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム触媒であり、好ましくは白金触媒である。白金触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液又はアルデヒド溶液、塩化白金酸の各種オレフィン又はビニルシロキサンとの錯体、白金と各種オレフィン又はビニルシロキサンとの錯体等が挙げられる。
【0049】
上記(c)成分:ヒドロシリル化反応触媒は、いわゆる触媒量でよく、上記(a)成分と(b)成分の合計に対して、金属原子重量換算で0.1~200ppmであることが好ましい。
【0050】
上記(a)成分と(b)成分のヒドロシリル化反応による、上記式(1)のオルガノポリシロキサンの製造方法において、任意で(d)成分:有機溶媒を加えてヒドロシリル化反応を行ってもよい。本反応は無溶媒下でも可能であるが、有機溶媒を加えることにより、(a)成分と(b)成分が相溶しやすくなり、ヒドロシリル化反応が効率よく進行することがある。
【0051】
上記(d)成分:有機溶媒は、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールなどのアルコール類;(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどのフッ素化芳香族炭化水素等を挙げることができ、上記(a)成分及び(b)成分との相溶性が良いトルエンが好ましい。
【0052】
上記(d)成分:有機溶媒の使用量は、上記(a)成分と(b)成分が相溶する量であれば特に制限はないが、(a)成分と(b)成分の合計に対して、10~300質量%であることが好ましい。
【0053】
上記(a)成分:上記式(27)で表されるパーフルオロポリエーテルブロックを有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、以下の方法などを用いて製造することができる。
【0054】
詳細には、(e)成分:下記式(30)で表されるパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーと、(f)成分:オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(g)成分:酸触媒と、必要に応じて(h)成分:下記式(31)及び下記式(32)で表されるポリシロキサンから選ばれる1種以上とを混合して、(e)成分と(f)成分及び(h)成分とのシロキサン間の交換反応を行う。
【0055】
【化31】
【0056】
【化32】
(式(31)中、R1は上記式(A’)中のものと同じである。t1は3~10の数であり、好ましくは3~8の数である。)
【0057】
【化33】
(式(32)中、R1は上記式(B’)中のものと同じである。R7は独立してヒドロキシ基、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基であり、好ましくはヒドロキシ基、メチル基又はメトキシ基である。t2は0~5,000の数であり、好ましくは2~1,000の数である。)
【0058】
上記式(30)において、Rfは上記式(27)中のものと同じであり、g”は0以上の数である。
式(30)中、オルガノポリシロキサンブロックW5は、それぞれ独立に下記式(A”)で表される2価の基である。
【化34】
上記式(A”)中、R1は上記式(A’)中のものと同じである。p”は0~1,000の数であり、好ましくは0~500の数であり、より好ましくは0~200の数である。
【0059】
上記式(30)中、オルガノポリシロキサンブロックW6は、下記式(B”)で表される1価の基である。
【化35】
上記式(B”)中、R1は上記式(B’)中のものと同じである。R1”は独立して炭素数1~18のアルキル基又はフェニル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基であり、より好ましくはブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基である。q”は0~1,000の数であり、好ましくは0~500の数であり、より好ましくは0~200の数である。
【0060】
上記式(30)中、Qは炭素数2~12の2価の有機基である。また、QはRfの末端の炭素原子、W5の末端のケイ素原子又はW6の末端のケイ素原子のいずれかと結合している。
【0061】
上記(f)成分:オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよいが、例えば下記のシロキサン等を挙げることができる。
【化36】
【0062】
上記(g)成分:酸触媒は、上記(e)成分及び(f)成分のシロキサン結合を加水分解できるものであれば、特に制限はないが、硫酸、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸等が好ましい。
【0063】
上記(h)成分:上記式(31)及び上記式(32)で表されるポリシロキサンとして、例えば下記のシロキサン等を挙げることができる。
【化37】
【0064】
上記シロキサン間の交換反応による上記式(27)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの製造方法において、任意で(i)成分:有機溶媒を加えて、シロキサン間の交換反応を行ってもよい。本反応は無溶媒下でも可能であるが、有機溶媒を加えることにより、(e)成分:パーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーと、(f)成分及び(h)成分のポリシロキサンが相溶しやすくなり、シロキサン間の交換反応を効率よく進行させることができる。
【0065】
(i)成分:有機溶媒の使用量は、上記(e)成分、(f)成分及び(h)成分が相溶する量であれば特に制限はないが、(e)成分、(f)成分及び(h)成分の合計に対して、10~300質量%であることが好ましい。
【実施例
【0066】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例において、数平均分子量は、上記した測定条件に基づくGPC測定により求めたポリスチレン換算値である。また、下記例において、繰り返し単位数gは、29Si-NMRスペクトルにおいて上記式(1)に基づくSi(R33-O-構造のSiに由来する積分値Mと、上記式(1)に基づく-Q-Si(R12-O-構造のSiに由来する積分値M’とから算出される値であり、g=(M’/M)-1である。
【0067】
[実施例1]ブロックコポリマー(1-1)の合成
反応容器に、下記式(27-1)で示されるパーフルオロポリエーテルブロックを有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン3.0gと、イソプロペニルベンゼン0.52gと、溶媒としてトルエン3.5gを入れて、80℃で5分攪拌した。次いで、白金のビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.01gを加え、110℃で4時間攪拌した。次いで、過剰量のイソプロペニルベンゼンと溶媒であるトルエンを減圧留去して、液状生成物3.2gを得た。
【0068】
【化38】
【0069】
得られた生成物の各NMRスペクトルの測定結果は次の通りであった。
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
以上の結果から、生成物は下記式(1-1)で表される構造を有し、分子中のオルガノポリシロキサンブロック含有量は77%のブロックコポリマーであることが分かった。また、該ブロックコポリマーのGPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は6,950であった。
【化39】
【0073】
[実施例2]ブロックコポリマー(1-2)の合成
反応容器に、下記式(27-2)で示されるパーフルオロポリエーテルブロックを有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン3.5gと、下記式(28-2)で示される末端炭素-炭素二重結合を有するポリエーテル1.4gと、溶媒としてトルエン4.9gを入れて、80℃で5分攪拌した。次いで、白金のビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.02gを加え、100℃で2時間攪拌した。次いで、溶媒であるトルエンを減圧留去して、液状生成物4.7gを得た。
【0074】
【化40】
【0075】
得られた生成物の各NMRスペクトルの測定結果は次の通りであった。
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
以上の結果から、生成物は下記式(1-2)で表される構造を有し、分子中のオルガノポリシロキサンブロック含有量は50%のブロックコポリマーであることが分かった。また、該ブロックコポリマーのGPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は4,070であった。
【化41】
【0079】
[実施例3]ブロックコポリマー(1-3)の合成
反応容器に、下記式(27-3)で示されるパーフルオロポリエーテルブロックを有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン3.3gと、下記式(28-3)で示される末端炭素-炭素二重結合を有するポリエーテル1.2gと、溶媒としてトルエン6.8gを入れて、80℃で5分攪拌した。次いで、白金のビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.02gを加え、80℃で5時間攪拌した。次いで、溶媒であるトルエンを減圧留去して、液状生成物4.2gを得た。
【0080】
【化42】
【0081】
得られた生成物の各NMRスペクトルの測定結果は次の通りであった。
【表7】
【0082】
【表8】
【0083】
【表9】
【0084】
以上の結果から、生成物は下記式(1-3)で表される構造を有し、分子中のオルガノポリシロキサンブロック含有量は84%のブロックコポリマーであることが分かった。また、該ブロックコポリマーのGPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は10,130であった。
【0085】
【化43】
【0086】
[実施例4]ブロックコポリマー(1-4)の合成
反応容器に、上記式(27-1)で示されるパーフルオロポリエーテルブロックを有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン3.0gと、上記式(28-3)で示される末端炭素-炭素二重結合を有するポリエーテル0.60gと、溶媒としてトルエン3.6gを入れて、80℃で5分攪拌した。次いで、白金のビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.01gを加え、80℃で4時間攪拌した。次いで、イソプロペニルベンゼン0.26gと、白金のビニルシロキサン錯体のトルエン溶液0.01gを加え、100℃で6時間攪拌した。過剰量のイソプロペニルベンゼンと溶媒であるトルエンを減圧留去して、液状生成物3.6gを得た。
【0087】
得られた生成物の各NMRスペクトルの測定結果は次の通りであった。
【表10】
【0088】
【表11】
【0089】
【表12】
【0090】
以上の結果から、生成物は下記式(1-4)で表される構造を有し、分子中のオルガノポリシロキサンブロック含有量は80%のブロックコポリマーであることが分かった。また、該ブロックコポリマーのGPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は8,440であった。
【0091】
【化44】
【0092】
[比較例1(分子中のオルガノポリシロキサンブロック含有量:71%)]
特許第4,900,854号に準じて、下記式(30-1)で示されるパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーを合成した。また、該ブロックコポリマーのGPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は7,110であった。
【0093】
【化45】
【0094】
[比較例2(分子中のオルガノポリシロキサンブロック含有量:68%)]
反応容器に、上記式(30-1)で示されるパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー6.7gと、下記式(32-1)で示されるメタクリロイル基を有するポリシロキサン0.86gと、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン7.5gを入れて、25℃で5分攪拌し、トリフルオロメタンスルホン酸15mgを追加して、さらに60℃で7時間攪拌した。次いで、トリフルオロメタンスルホン酸を中和する目的で、吸着剤であるキョーワード500(協和化学工業社製)100mgを加えて、25℃で3時間攪拌した。得られた混合物を濾過し、溶媒である1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを減圧留去して、下記式(30-2)で示されるパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマー5.5gを得た。該ブロックコポリマーのGPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量は4,900であった。
【0095】
【化46】
【0096】
【化47】
【0097】
[非フッ素系有機化合物への溶解性の評価]
上記の実施例及び比較例のブロックコポリマー1gを、下記の非フッ素系有機化合物9gと混合し、その混合液を目視で観察して、下記の基準により溶解性を評価した。
評価基準
○:混合液が透明である。
△:混合液が白濁している。
×:混合液が二相に分離している。
【0098】
【表13】
【0099】
表13の結果から、オルガノポリシロキサンブロックの側鎖にアラルキル基及びオキシアルキレン単位を有する基から選ばれる1種以上の基を有する本発明のパーフルオロポリエーテル-オルガノポリシロキサンブロックコポリマーは、オルガノポリシロキサンブロックの側鎖にアラルキル基及びオキシアルキレン単位を有する基をいずれも有さない比較例のブロックコポリマーよりも、非フッ素系有機化合物への溶解性に優れることがわかった。本発明のブロックコポリマーは樹脂組成物等への配合物として有用である。