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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】基材処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20241209BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20241209BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20241209BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20241209BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/205
H01L21/316 X
C23C16/04
G03F7/20 521
G03F7/20 503
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020125331
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2021027343
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】62/880,491
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イーフォ・ラーイマケルス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエーレ・ピウミ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン・ジュルコフ
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィット・デ・ルースト
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ギヴンス
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-035956(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0292752(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/205
H01L 21/316
C23C 16/04
G03F 7/20
G03F 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に犠牲マスキング層を作製するための基材処理装置であって、
前記基材処理装置とリソグラフィー投影装置との間で基材を搬送するためのリソ入出力ポートと、
前記犠牲マスキング層を作製するために、反応チャンバー内に、放射線改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、前記放射線改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択される第一の前駆体を供給するための選択的堆積装置と、
前記リソ入出力ポートと前記選択的堆積装置との間で基材を搬送するための基材ハンドラーと、
前記基材ハンドラーおよび前記選択的堆積装置に動作可能に連結し、プログラムを備えるメモリを備える制御システムと、を備え、
前記プログラムは、前記制御システムで実行される場合、
前記リソ入出力ポートを介して基材をピックアップし、それを前記選択的堆積装置に移動させるように前記基材ハンドラーを制御し、
前記犠牲マスキング層を作製するために、前記反応チャンバー内に、放射線改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、前記放射線改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択される第一の前駆体を供給するように前記選択的堆積装置を制御し、
前記基材処理装置は、前記基材上に放射線改質可能層を堆積させ、前記放射線改質可能層上に自己組織化単分子層を堆積させるための放射線改質可能層堆積装置を備える、
基材処理装置。
【請求項2】
前記メモリは、前記制御システムで実行される場合、前記第一の前駆体が前記反応チャンバーに供給された後、前駆体分配除去システムを作動させ前記第一の前駆体の一部を前記反応チャンバーから除去するためのプログラムを備える、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項3】
前記前駆体分配除去システムは、気体の第二の前駆体を前記反応チャンバーへ供給し、および前記反応チャンバーから除去するための一つまたは複数の反応チャンバーバルブを備え、前記メモリに記憶された選択的堆積プロセスは、前記前駆体分配除去システム、および反応チャンバー内に放射線改質層部分および未改質層部分の一方と反応し、反応チャンバー内に放射線改質層部分および未改質層部分の他方と反応しない第二の前駆体を供給し、犠牲マスキング層を作製する、請求項2に記載の基材処理装置。
【請求項4】
前記メモリに記憶された選択的堆積方法は、前記反応チャンバーから前記第二の前駆体の一部を除去するために、前記前駆体分配除去システムを作動させることをさらに含む、請求項3に記載の基材処理装置。
【請求項5】
前記選択的堆積装置は、放射線改質層部分および未改質層部分の一方に金属を選択的に堆積させるように構成および配置される、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項6】
前記選択的堆積装置の前駆体分配除去システムは、前記反応チャンバー内に金属ハロゲン化物を供給するように構成および配置される、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項7】
前記選択的堆積装置の前駆体分配除去システムは、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、リチウム(Li)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、およびスズ(Sn)を含む群からの金属を含む前駆体を前記反応チャンバー内に供給するように構成および配置される、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項8】
前記選択的堆積装置の前駆体分配除去システムが、酸化剤を含む前駆体を前記反応チャンバー内に供給するように構成および配置される、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項9】
前記選択的堆積装置の前駆体分配除去システムが、シリコンを含む前駆体を前記反応チャンバー内に供給するように構成および配置される、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項10】
前記選択的堆積装置は、前記反応チャンバーの温度を20~450℃の値に制御するように構成および配置される、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項11】
前記選択的堆積装置は、前記反応チャンバーの圧力を0.001~1000Torrの値に制御するように構成および配置される、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項12】
前記放射線改質可能層堆積装置は、前記基材を回転させるための回転可能な基材テーブルと、前記基材の表面に液体を供給するための液体ディスペンサと、を備える、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項13】
前記基材処理装置と半導体ファブとの間で基材を搬送するファブ入出力ポートと、
前記基材上に放射線改質可能層を堆積させるための放射線改質可能層堆積装置と、
前記基材ハンドラー、前記放射線改質可能層堆積装置、および前記選択的堆積装置に動作可能に連結し、プログラムを備えるメモリを備える制御システムと、を備え、
前記プログラムは、前記制御システムで実行される場合、
前記ファブ入出力ポートから基材をピックアップし、それを前記放射線改質可能層堆積装置に移動させるように前記基材ハンドラーを制御し、
前記基材上に放射線改質可能層を堆積させるように前記放射線改質可能層堆積装置を制御し、
前記放射線改質可能層堆積装置から前記基材をピックアップし、前記リソ入出力ポートを介してそれをリソグラフィー投影装置に移動させるように前記基材ハンドラーを制御し、前記リソグラフィー投影装置の露光放射線で前記基材上の前記放射線改質可能層を局所的に改質した後に、
前記リソ入出力ポートを介して前記基材をピックアップし、それを前記選択的堆積装置に移動させるように前記基材ハンドラーを制御し、
前記犠牲マスキング層を作製するために、前記反応チャンバー内に、放射線改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、前記放射線改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択される第一の前駆体を供給するように前記選択的堆積装置を制御し、
前記基材を前記選択的堆積装置からピックアップし、それを前記ファブ入出力ポートへ移動させるための前記基材ハンドラーを制御する、請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項14】
犠牲マスキング層を作製するための基材処理方法であって、
放射線改質可能層を局所的に改質するために、放射線改質可能層を備える基材をリソグラフィー投影装置に供給することと、
放射線に曝される前記放射線改質可能層を改質するために、前記リソグラフィー投影装置の露光放射線で前記基材の前記放射線改質可能層を局所的にパターニングすることと、
前記基材を前記リソグラフィー投影装置から選択的堆積装置の反応チャンバーに移動させることと、
前記犠牲マスキング層を作製するために、反応チャンバー内に、放射線改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、前記放射線改質層部分および未改質層部分のうち
の他方と反応しないように選択される第一の前駆体を供給することと、
含み、
前記放射線改質可能層の改質は、前記放射線改質可能層上に自己組織化単分子層を堆積することと、EUV放射線を用いることによって前記自己組織化単分子層から一つ又は複数の官能基を除去することと、を含む、
基材処理方法。
【請求項15】
前記放射線改質可能層は、少なくとも一つの単分子層の厚さを有する、請求項14に記載の基材処理方法。
【請求項16】
前記放射線改質可能層は、二つ以上の単分子層の厚さを有する、請求項14に記載の基材処理方法。
【請求項17】
前記放射線改質可能層は、0.1~20nmの厚さを有する、請求項14に記載の基材処理方法。
【請求項18】
前記放射線改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応するように選択される第一の前駆体が供給された後、前駆体分配除去システムが、前記第一の前駆体の未反応部分および/または反応副生成物を前記反応チャンバーから除去する、請求項14に記載の基材処理方法。
【請求項19】
前記第一の前駆体の一部が前記反応チャンバーから除去された後、前記前駆体分配除去システムは、第二の前駆体を反応チャンバーに提供する、請求項18に記載の基材処理方法。
【請求項20】
前記第二の前駆体が供給された後、前記前駆体分配除去システムは、前記第二の前駆体の未反応部分および/または反応副生成物を前記反応チャンバーから除去する、請求項19に記載の基材処理方法。
【請求項21】
パターン形成された基材を作製するための基材処理方法であって、
請求項14に記載の基材処理方法によって犠牲マスキング層を作製することと、
前記犠牲マスキング層を通して前記基材をエッチングすることと、
前記犠牲マスキング層を除去することと、を含む基材処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね犠牲マスキング層を作製するための基材処理装置および方法に関する。
【0002】
基材上に犠牲マスキング層を作製するための基材処理装置は、基材処理装置とリソグラフィー投影装置との間で基材を搬送するためのリソ入出力ポートを備えることができる。
【0003】
犠牲マスキング層を作製するための基材処理方法は、
パターンニングするためのリソグラフィー投影装置に放射線改質可能層を有する基材を供給することと、
放射線に曝される放射線改質可能層を改質するために、リソグラフィー投影装置の露光放射線で基材の放射線改質可能層をパターニングすることと、を含む。
【背景技術】
【0004】
基材処理装置(例えば、トラックまたはコーター)を使用して、基材上のレジスト層にパターンを形成する前および/または後で基材上に別の処理工程を行なうことができる。例えば、汚染が基材上に存在する場合、化学処理によりそれらを除去することができる。基材を、基材上に存在する可能性がある水分を追い出すのに十分な温度に加熱することができる。基材上へのレジストの接着を促進するために接着促進剤を塗布することができる。
【0005】
基材処理装置のレジスト堆積装置では、例えば、レジストをスピンコーティングすることにより、基材をレジスト層で覆うことができる。粘性のレジスト溶液を基材上に分注してもよく、基材を回転させて薄い均一層を形成してもよい。そして、レジストコートウェーハをベークしてレジスト溶剤を蒸発させることができる。
【0006】
レジスト層を有する基材は、基材処理装置からリソグラフィー投影装置に搬送されることができる。リソグラフィー投影装置では、レジスト層を有する基材は(極端)紫外線のパターン付き放射ビームに露光されることができる。放射線への露光は、層をパターニングするレジスト層に化学変化を引き起こす。
【0007】
EUVリソグラフィーの場合、レジスト層は非常に薄くなり得る。このような薄い層は、エッチング耐性があまり高くない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第10343186号明細書
【文献】米国特許第8152922号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の概要は、概念の選択を簡略化した形で紹介するように提供する。これらの概念について、以下の本開示の例示的な実施形態の「発明を実施するための形態」において、更に詳細に説明される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図していない、または特許請求される主題の範囲を限定するために使用することも意図していない。
【0010】
いくつかの実施形態では、基材上に犠牲マスキング層を作製するための基材処理装置が設けられてもよい。基材処理装置は、基材処理装置とリソグラフィー投影装置との間で基材を搬送するためのリソ入出力ポートを備えてもよい。基材処理装置には、犠牲マスキング層を作製するために、反応チャンバー内に、放射線改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、放射線改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択される第一の前駆体を供給するように、選択的な堆積装置を設けられることができる。装置は、リソ入出力ポートと選択的堆積装置との間で基材を搬送する基材ハンドラーを備えることができる。装置は、基材ハンドラーおよび選択的堆積装置に動作可能に連結される制御システムを備えることができる。制御システムは、制御システム上で実行される場合に、リソ入出力ポートから基材をピックアップし、それを選択的堆積装置に移動させるように基材ハンドラーを制御し、犠牲マスキング層を作製するために、反応チャンバー内に、放射線改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、放射線改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択される第一の前駆体を供給するように選択的堆積装置を制御するためにプログラムを備えるメモリを備えることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、犠牲マスキング層を作製するための基材処理方法が開示される。基材処理方法は、パターニングするためのリソグラフィー投影装置に放射線改質可能層を有する基材を供給することを含むことができる。基材処理方法は、放射線に露光される放射線改質可能層を改質するために、リソグラフィー投影装置の露光放射線で基材の放射線改質可能層をパターニングすることをさらに含む。基材は、リソグラフィー投影装置から選択的堆積装置の反応チャンバーに移動されることができる。犠牲マスキング層を作製するために、反応チャンバー内に、改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択される第一の前駆体が供給されることができる。
【0012】
本発明と先行技術を超えて達成された利点とを要約する目的で、本発明の特定の目的および利点が本明細書において上記に説明されている。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点のすべてが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それ故に、例えば本明細書に教示または示唆する通り、一つの利点または一群の利点を達成または最適化する様態で、本明細書で教示または示唆されうる通りの他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本発明が具体化または実行されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0013】
これらの実施形態のすべては、本明細書に開示する本発明の範囲内であることが意図されている。当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のある特定の実施形態の詳細な説明から容易に明らかとなり、本発明は、開示されるいかなる特定の実施形態にも限定されない。
【0014】
本明細書は、本発明の実施形態とみなされるものを具体的に指摘し、明確に特許請求する特許請求の範囲で結論付ける一方で、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある特定の実施例の説明から、より容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の少なくとも一つの実施形態による基材処理方法である。
図2図1の基材処理方法に好適な基材処理装置である。
図3図2の基材処理装置のための選択的堆積装置である。
図4】本開示の実施形態によるレジストパターニング方法である。
図5】本開示の実施形態によるレジストパターニング方法である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、それらは、本発明が具体的に開示する本発明の実施形態および/または用途、ならびにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それ故に、開示される本発明の範囲は、以下に説明される特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。本明細書に示される図は、任意の特定の材料、構造またはデバイスの実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態について記載するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0017】
本明細書で使用する通り、「基材」という用語は、使用される場合がある、またはその上にデバイス、回路もしくはフィルムが形成される場合がある、あらゆる下層材料または複数の下層材料を指してもよい。さらに、用語「改質可能層」は、追加の種、例えば原子、分子、またはイオンを導入することができる任意の材料を指してもよい。「半導体デバイス構造」という用語は、半導体基材の上またはその中に形成される半導体デバイスの能動部品または受動部品の少なくとも一部分である、またはそれらを含むまた画定する、処理された半導体構造または部分的に処理された半導体構造の任意の部分を指す場合がある。例えば、半導体デバイス構造としては、集積回路の能動部品および受動部品、例えばトランジスタ、メモリ素子、トランスデューサ、キャパシタ、抵抗器、導電線、導電性ビア、導電性コンタクトパッドなどが挙げられてもよい。
【0018】
本明細書で使用される用語、「前駆体」は、別の化合物を生成する化学反応に参加する化合物、および具体的には膜のマトリックスまたは膜の主骨格を構成する化合物を指すことができる。用語「反応物」は、用語前駆体と互換的に使用されることができる。前駆体は、常温常圧(NTP)の気体である材料、気化した固体および/または気化した液体を含むことができ、状況に応じて単一の気体または気体の混合物で構成されることができる。
【0019】
用語、「原子層堆積」は、堆積サイクル、典型的には複数の連続堆積サイクルがプロセスチャンバー内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。本明細書で使用される原子層堆積という用語は、関連する用語、例えば、前駆体/反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合、化学蒸着原子層堆積、原子層エピタキシー(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス供給源MBE、または有機金属MBE、ならびに化学ビームエピタキシー、により示されるプロセスを含むことも意味する。
【0020】
一般的に、ALDサイクルでは、各サイクル中に、前駆体が反応チャンバーに導入され、堆積表面(例えば、以前のALDサイクルから以前に堆積した材料または他の材料を含みうる、基材表面)に化学吸着され、別の前駆体と容易に反応しない材料の単分子層またはサブ単分子層を形成する(すなわち、自己制御反応)。その後、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料に変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体又は反応ガス)をその後プロセスチャンバー内に導入することができる。反応物質は、前駆体とさらに反応することができる。パージ工程は、一つまたは複数のサイクルの間、例えば各サイクルの各工程の間に利用されて、過剰な前駆体をプロセスチャンバーから除去し、および/または過剰な反応物質および/または反応副生成物を反応チャンバーから除去する。
【0021】
本開示の実施形態を通じて多くの例示的な材料が与えられることができ、例示的な材料のそれぞれに与えられる化学式は限定的であると解釈されるべきではなく、与えられる非限定的な例示的な材料はある例示的な化学量論によって限定されるべきではないことに留意されたい。
【0022】
本開示の一つの目的は、フォトリソグラフィーレジストと下にある層との間で起こる可能性のある接着の問題を回避するパターニングデバイスおよび方法を提供することである。
【0023】
本開示の別の目的は、レジスト/空気界面への光酸分離を回避するパターニングデバイスおよび方法を提供することである。
【0024】
本開示の別の目的は、スカム欠陥および/またはレジストの断線を実質的に受けないリソグラフィー手順を可能にするパターニングデバイスおよび方法を提供することである。
【0025】
本開示の別の目的は、パターンつぶれの影響を実質的に受けないリソグラフィー手順を可能にするパターニングデバイスおよび方法を提供することである。
【0026】
本開示の別の目的は、高いエッチングバジェットを有するリソグラフィー層の堆積を可能にするパターニングデバイスおよび方法を提供することである。
【0027】
図1は、少なくとも一つの実施形態による例示的な基材処理方法を図示する。実施形態は、犠牲マスキング層を作製するための基材処理方法を含むことができる。
【0028】
基材処理方法30は、工程32において、例えば改質可能層堆積装置に基材を供給することと、工程34において、改質可能層堆積装置において基材上に放射線改質可能層を堆積させることと、工程36において、局所的改質、例えばパターニングのため放射線改質可能層を備える基材をリソグラフィー投影装置に移動させることと、を含むことができる。改質可能層を有する基材は、ほかの場所から入手することもできる。
【0029】
実際、改質可能層はまた、基材のトップ面またはトップ面として設けられる層であってもよい。EUVの高エネルギー放射線は、トップ面の特性を変化させる可能性があり、これにより、エッチングマスクを作製するための選択的堆積プロセスの選択性が形成されることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、改質可能層は、炭素を含み、C-C、C-N、およびC-O結合からなるリストから選択される化学結合を含むことができる。このような結合は、EUV放射線によって好適に破壊され、それにより、露光領域の改質可能層の特性を局所的に改質することができる。そして、このような局所的な改質は、領域選択的な堆積に利用されることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、放射線改質可能層は、Sn、Sb、Hf、In、およびTeからなるリストから選択される一つまたは複数の元素を含む。代替的にまたは追加的に、Sn、Sb、Hf、In、およびTeからなるリストから選択される元素は、上に放射線改質可能層が堆積される下地層に提供されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、放射線改質可能層を堆積させるプロセスは、Sn、Sb、Hf、In、およびTeからなるリストから選択される元素を含む下地層上に放射線改質可能層を堆積させることを含む。下地層は、例えば、SiOCおよび/またはSiOCNを含んでもよく、また、例えば、PECVDまたはPEALDを用いる方法として知られている堆積方法であってもよい。本発明が任意の理論にも特定の動作モードにも拘束されることなく、これらの元素は、EUV光子の比較的高い捕捉断面を通るEUV放射線に対する改質可能層の感度を改善すると考えられる。
【0032】
リソグラフィー投影装置では、工程38において、基材の放射線改質可能層は、リソグラフィー投影装置の露光放射線でパターン形成されて、放射線に露光される放射線改質可能層を改質することができる。そして、工程40において、基材をリソグラフィー投影装置から選択的堆積装置の反応チャンバーに移動させることができる。工程42において、選択的堆積装置では、犠牲マスキング層を作製するために、反応チャンバー内に、改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択される第一の前駆体が供給されることができる。
【0033】
第一の前駆体は、改質層部分および未改質層部分の一方とのみ反応し、改質層部分および未改質層部分の他方と反応しないので、犠牲マスキング層は、放射線改質可能層の厚さとは無関係であることができる耐エッチング性を備えて作製されることができる。工程34で設けられる放射線改質可能層は、一つの単分子層の厚さを有することができる。放射線改質可能層は、二つ以上の単分子層の厚さを有してもよい。放射線改質可能層は0.1~50nmの厚さ、または0.5~40nmの厚さ、より好ましくは5~20nmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、放射線改質可能層は、少なくとも0.1nm~最大0.5nm、または、少なくとも0.5nm~最大1.0nm、または少なくとも1.0nm~最大2.0nm、または少なくとも2.0nm~最大5.0nm、または少なくとも5.0nm~10.0nm、または少なくとも10.0nm~最大20.0nm、または少なくとも20.0nm~最大50.0nmの厚さを有することができる。
【0034】
本開示によれば、リソグラフィー投影装置の露光放射線でパターニングした直後に、特別な現像液で放射線改質可能層の一部を除去する必要がない場合がある。非常に小さな形体サイズでは、放射線改質可能層の一部を削除した後にパターンつぶれのリスクがある可能性がある。放射線改質可能層が厚くなると、パターンつぶれのリスクが増加する可能性がある。現像液で放射線改質可能層の一部を除去しないことにより、放射線改質可能層はより安定化されることができる。
【0035】
第一の前駆体は、改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択されることができる。耐エッチング性は、第一の前駆体が改質層部分および未改質層部分のうちの一つと反応することにより変化することができ、それにより犠牲マスキング層が作製されることができる。基材は、犠牲マスキング層を介してエッチングされてもよく、それにより、改質層部分および未改質層部分の一方が除去されてもよい。エッチング後、犠牲マスキング層は不要になった場合、完全に除去される。
【0036】
したがって、本開示のいくつかの実施形態では、放射線改質可能層を使用して、基材に複数の凹部を形成することができる。このような実施形態では、犠牲マスキング層は、放射線改質可能層部分および未改質層部分のいずれか一つに適切に堆積されてもよい。犠牲マスキング層は、例えば、プラズマ強化原子層堆積(ALD)、熱ALD、ラジカル強化ALD(RETD)、プラズマ強化化学気相堆積(CVD)、または熱CVDによって堆積されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、犠牲マスキング層は、xが1~3の整数であるCH基と比較して、OH基に対して反応性の高い前駆体を使用する選択的ALDプロセスによって堆積される。有利には、そのような実施形態で使用される前駆体は、xが1~3の整数であるCH基に対して実質的に反応性ではなく、それはOH基に対して反応性が高い。CH基よりもOH基に対して反応性がより高い可能性がある前駆体を使用するプロセスの例としては、TiClおよびNHもしくはHO TDMAT(テトラキス(ジメチルアミド)チタン)およびHO、ならびに/またはTTIP(チタンテトライソプロポキシド)およびHOを使用するTiNまたはTiOのALDが挙げられる。OH基に対して反応性がより高い可能性がある前駆体を使用するプロセスの別の例としては、EBECHRu(エチルベンゼンエチル‐1,4‐シクロヘキサジエンルテニウム)によるRuのALDが挙げられる。本発明が特定の理論にも動作モードにも限定されることなく、これらのプロセスは、OH終端面に対してCH終端面上での核形成遅延を示すと考えられ、このことを利用して、CH終端面上とOH終端面上で選択的な成長をもたらすことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、犠牲マスキング層は、xが1~3の整数であるCH基と比較してOH基に対して反応性が低い前駆体を使用する選択的ALDプロセスによって堆積される。有利には、このような実施形態で使用される前駆体は、xが1~3の整数であるCH基に対して反応性が高く、それはOH基に対して反応性が低いかまたは非反応性である。このようなプロセスは、CH終端面上とOH終端面上の犠牲マスキング層の選択的堆積に使用されることができる。例えば、前駆体は四酸化ルテニウムを含むことができ、Hは試薬として使用されることができる。したがって、ルテニウム含有犠牲マスキング層は、例えば、熱ALDまたはプラズマ増強ALDによってCH終端面上とOH終端面上に選択的に堆積させることができる。
【0039】
犠牲マスキング層が堆積された後、基材にエッチング工程を行ってもよい。このような好適なエッチング工程は、当該技術分野で公知である。犠牲マスキング層は、それ自体が公知の技術を使用して、必要に応じてエッチング工程の後に除去されることができる。
【0040】
必要に応じて、犠牲マスキング層堆積工程およびエッチング工程は、一つの同一の反応チャンバー内で実行されてもよい。必要に応じて、任意の犠牲マスキング層除去工程は、同じ反応チャンバー内で実行されることもできる。
【0041】
本開示の基材処理装置の非限定的な例を、本開示の実施形態による例示的な基材処理装置1の概略図を含む図2に例示する。図2に例示する基材処理装置1は例示的な基材処理装置の簡略化された概略図であり、あらゆる要素、即ち、例えば本開示の基材処理装置の製造に利用されることができるすべてのバルブ、ガスライン、発熱体、および反応器構成要素等を含むわけではないことに留意されたい。
【0042】
例示的な基材処理装置1は、複数の基材15を有するカセット3を配置することができるカセットハンドリング部2を備えることができる。カセットハンドリング部2は、基材処理装置とカセット3の残りのファブとの間で基材15を搬送するファブ入出力ポートとして機能することができる。基材処理装置1は、図1の基材処理方法に好適であることができる。
【0043】
基材処理装置は、リソ入出力ポート5を有することができる。基材は、リソグラフィー投影装置にリソ入出力ポート5を介して搬送されてもよい。
【0044】
基材処理装置は、処理部分4を有することができる。処理部分4において、基材上に放射線改質可能層を堆積させるための改質可能層堆積装置7を備えてもよい。
【0045】
改質可能層堆積装置7は、基材上の放射線改質可能材料(例えば、レジスト)をコーティングするための放射線改質可能コーティング装置を備えることができる。改質可能層堆積装置7は、基材を回転させるための回転可能な基材テーブル17、および基材の表面に液体を供給するための液体ディスペンサを備えることができる。液体の放射線改質可能材料(例えば、レジスト)は、基材が10~100回転/秒で20~60秒間回転される間、基材に供給されることができる。
【0046】
処理部4において、カセットハンドリング部2におけるカセット3と、改質可能層堆積装置7と、リソ入出力ポート5との間で基材を搬送する基材ハンドラー6が備えられることができる。基材ハンドラー6は、この目的のために水平方向および垂直方向に移動可能な基材ホルダーを有してもよい。
【0047】
処理部4において、反応チャンバー12および反応チャンバー12内に基材を保持するための基材テーブル13が設けられる選択的堆積装置11が備えられることができる。マスキング層を作製するために、反応チャンバー内に、放射線改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、放射線改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択される第一の前駆体が供給されることができる。選択的堆積装置は、反応チャンバー12に気体の第一の前駆体を供給し、および反応チャンバー12からそれを除去するために、一つまたは複数の反応チャンバーバルブを備える前駆体分配除去システム14を備えることができる。基材ハンドラー6は、基材を選択的堆積装置11におよび選択的堆積装置11から移動させるために構成および配置されることができる。
【0048】
基材処理装置1には、基材ハンドラー6、放射線改質可能層堆積装置7および選択的堆積装置11に動作可能に接続される制御システム8が設けられることができ、ならびにプログラムを備えるメモリMが設けられることができる。メモリM内のプログラムが制御システム8で実行される場合、それは、
カセットハンドリング部2においてカセット3から基材15をピックアップし、基材を改質可能層堆積装置7に移動させ、それを回転可能な基材テーブル17上に配置するように基材ハンドラー6を制御し、
回転可能な基材テーブル17上の基材上に放射線改質可能層を堆積させるように放射線改質可能層堆積装置7を制御し、
回転可能な基材テーブル17から基材をピックアップし、基材をリソ入出力ポート5を介して、例えばリソ入出力ポート5の第一および第二の基材テーブル16を介してリソグラフィー投射装置へ移動させるように基材ハンドラー6を制御することができる。リソグラフィー投影装置内の露光放射線で放射線改質可能層を局所的に改質した後、基材をリソ入出力ポート5を介して基材処理装置に戻すことができる。
【0049】
コントローラ8のメモリMのプログラムを実行して、
リソ入出力ポート5を介して基材をピックアップし、基材を選択的堆積装置11に移動させるように基材ハンドラー6を制御し、
犠牲マスキング層を作製するための前駆体分配除去システム14を備える、反応チャンバー内で放射線改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択される第一の前駆体を供給するように選択的堆積装置11を制御し、
基材を選択的堆積装置11からピックアップし、基材をファブ入出力ポート2へ移動させるように基材ハンドラー6を制御することができる。
【0050】
加熱ステーション9および冷却ステーション10を、それぞれ基材をベーキング、冷却するために処理部4に設けてもよい。加熱ステーション9および冷却ステーション10は、基材ハンドラー6によって基材を供給されてもよい。基材をリソグラフィー投影装置に搬送する前に、加熱および/または冷却が必要とされる場合がある。
【0051】
例えば、放射線改質可能層7を有する基材が他の場所から取得される場合、改質可能層堆積装置は省略されてもよい。このような場合、基材ハンドラーは、基材を改質可能層堆積装置に、および改質可能層堆積装置から移動させる必要がなく、基材をリソ入出力ポートを介してリソグラフィー投影装置に移動させることができる。
【0052】
図3は、図2の基材処理装置1のための非限定的な選択的堆積装置11を例示する。選択的堆積装置11は、上に放射線改質可能層106を備える少なくとも基材15を保持するよう構成および配置される反応チャンバー12を備えてもよい。
【0053】
(第一の)前駆体を選択的に堆積するために使用されることができる反応チャンバー12は、原子層堆積(ALD)プロセス、またはプラズマ強化原子層堆積(PEALD)、またはラジカル強化原子層堆積(REALD)を構成する反応チャンバー、ならびに化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)、または金属有機CVD(MOCVD)プロセスを構成する反応チャンバーを含むことができる。反応チャンバー12はまた、プラズマエッチング能力のために設計された、その場での方向性プラズマエッチングが可能である、または反応チャンバー12bに連結されることが可能である、のいずれかであることができる。いくつかの実施形態によれば、シャワーヘッド反応チャンバーを使用することができる。いくつかの実施形態によれば、クロスフロー、バッチ、ミニバッチ、浸漬または空間的ALD反応チャンバーを使用することができる。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態では、バッチ式反応チャンバーを使用することができる。いくつかの実施形態では、縦型バッチ式反応チャンバーを使用することができる。他の実施形態では、バッチ式反応チャンバーは、10枚以下のウェーハ、8枚以下のウェーハ、6枚以下のウェーハ、4枚以下のウェーハ、または2枚以下のウェーハを収容するように構成されたミニバッチ式反応器を備える。
【0055】
上に、すなわち基材15の上面に配置される放射線改質可能層106を有する少なくとも一つの基材15を有する基材ホルダー13が反応チャンバー12内に配置されることができ。本開示のいくつかの実施形態では、基材15は平面基材またはパターン化された基材を備えることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、放射線改質可能層の形成は、基材上に下地層の堆積、例えば、アモルファスカーボン(sp/spカーボン)下地層の堆積を含む。アモルファスカーボン下地層は、例えば、炭化水素含有前駆体およびプラズマ、例えば希ガスプラズマ、例えばヘリウムプラズマまたはアルゴンプラズマによって堆積されてもよい。放射線改質可能層は、別のプラズマ処理によって下地層の表面上に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、放射線改質可能層は、アモルファスカーボン下地層上に表面官能基、例えばNH、Cl、F、およびCH官能基を含むことができる。例示的な実施形態では、F、Cl、N、および/またはHを含むプラズマが用いられるプラズマ処理を下地層に行うことによって、アモルファスカーボン下地層の表面上に、このような基を形成することができる。このようにして形成されたNH、Cl、F、および/またはCH官能基は、C-NH、C-Cl、C-F、および/またはC-CH結合の切断により、極端紫外線(EUV)放射線の露光時に損傷を受ける可能性があり、そしてウェーハが酸素に曝される場合、C-OH基に置き換わる場合がある。酸素は、例えば、反応器チャンバー内での曝露によって、または基材を大気空気に曝露することによってもたらされることができる。
【0057】
(i)いくつかの実施形態では、放射線改質可能層の形成は、自己組織化単分子層(SAM)の堆積を含む。この場合、EUV放射線を使用して、SAMから一つまたは複数の官能基を除去し、それによって放射線改質可能層を改質することができる。EUV放射線によって除去されることができる例示的な官能基は、NH、Cl、F、I、Br、およびCHを含む。これらの官能基のうちの一つまたは複数を除去することは、SAM被覆基材の露光される領域の表面特性を劇的に変えることができる。いくつかの実施形態では、SAMを、浸漬モードでCVDによって、すなわち、基材上のSAM吸着が飽和に達するまで基材をSAM蒸気に曝すことによって、堆積させることができる。あるいは、SAMは、複数のSAM前駆体パルスによって堆積されてもよい。これにより、SAM層の緻密化が改善される場合がある。パルスは、例えば、0.1~1.0秒、または1.0~2.0秒、または2.0~5.0秒、または5.0~10.0秒、または10.0~20.0秒続く場合がある。
【0058】
いくつかの実施形態では、放射線改質可能層はポリマー膜を含む。このようなポリマー膜は、例えば、分子層堆積によって堆積されることができる。好適な膜には、ポリイミド、ポリアミド、およびポリ尿素膜が含まれる。例示的なポリマー膜は、米国特許第US10343186B2号に開示される方法により堆積されてもよく、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
基材15は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ゲルマニウムスズ(GeSn)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコンゲルマニウムスズ(SiGeSn)、炭化シリコン(SiC)、またはIII‐V族半導体材料、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、もしくは窒化ガリウム(GaN)を含む一つまたは複数の材料を含むことができるが、これらに限定されない。本開示のいくつかの実施形態では、基材15は、表面半導体層がバルク支持部上に配置され、介在する埋め込み酸化物(BOX)がその間に配置される加工基材を含む。
【0060】
パターン形成された基材は、基材の表面内または表面上に形成された半導体デバイス構造を含むことができる基材を備えることができ、例えば、パターン形成された基材は、部分的に製造された半導体デバイス構造、例えばトランジスタおよび/またはメモリ素子を含むことができる。いくつかの実施形態では、基材は、単結晶表面および/または、多結晶表面および/または非結晶表面などの非単結晶表面を含み得る一つ以上の二次表面を含み得る。単結晶表面は、例えば、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ゲルマニウムスズ(GeSn)、またはゲルマニウム(Ge)のうちの一つ以上を含み得る。多結晶または非結晶表面は、誘電体材料、例えば酸化物、酸窒化物または窒化物、例えば酸化ケイ素および窒化ケイ素などを含むことができる。
【0061】
本開示のいくつかの実施形態では、基材15は、上に配置される、すなわち基材15の上面上に配置される放射線改質可能層106を有する。放射線改質可能層106は、放射線の露光後に(第一の)前駆体と選択的に反応して、放射線改質可能層106上に選択的にマスキング層を成長させることができる任意の材料を含むことができる。
【0062】
本開示のいくつかの実施形態では、放射線改質可能層106は、ポリマーレジスト、例えばフォトレジスト、極端紫外線(EUV)レジスト、液浸フォトレジスト、化学増幅レジスト(CAR)、または電子線レジスト(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA))等のうちの少なくとも一つを含むことができる。放射線改質可能層106はまた、金属、酸化物、自己組織化単分子層(SAM)または任意の他の材料であってもよい。追加的または代替的に、放射線改質可能層106は、C、N、H、および/またはOを含んでもよい。必要に応じて、放射線改質可能層は、C-F結合、C-Cl結合、および/またはC-NH結合を含む。これらの結合は、EUV光子の照射によって破壊される可能性があり、それによって層の特性が局所的に変化し、ドライおよび/またはウェットエッチング速度に影響を与える可能性がある。追加的または代替的に、それは、露光された領域と露光されていない領域上に選択的な堆積、例えば領域選択的犠牲マスキング層堆積を可能にすることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、放射線改質可能層は、Sn、Sb、Hf、In、およびTeからなるリストから選択される一つまたは複数の元素をさらに含む。代替的にまたは追加的に、Sn、Sb、Hf、In、およびTeからなるリストから選択される元素は、上に放射線改質可能層が堆積される下地層に提供されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、放射線改質可能層を堆積させるプロセスは、Sn、Sb、Hf、In、およびTeからなるリストから選択される元素を含む下地層上に放射線改質可能層を堆積させることを含む。本発明が任意の理論にも特定の動作モードにも拘束されることなく、これらの元素は、EUV光子の比較的高い捕捉断面を通るEUV放射線に対する改質可能層の感度を改善することができると考えられる。
【0064】
本開示のいくつかの実施形態では、放射線改質可能層106は、多孔質材料、例えばスピンオングラス(SOG)、およびスピンオンカーボン(SOC)を含む多孔質材料、例えばマイクロ多孔質および/またはナノ多孔質材料を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、放射線改質可能層106は、炭化ホウ素、アモルファスカーボン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、および酸窒化ケイ素を含むがこれらに限定されない一つまたは複数の犠牲マスキング層材料を備えることができる。
【0065】
本開示のいくつかの実施形態では、放射線改質可能層106は、パターン形成された放射線改質可能材料、例えば、一つまたは複数の形体を備えるパターン形成されたレジストまたはパターン形成された犠牲マスキング層を備えることができる。形体を、後続のエッチングプロセス中に下にある基材に転写することができる。形体は、露光および関連する現像プロセスに応じて形成されることができる任意の形状を含むことができ、ライン形体、ブロック形体、開気孔形体、および円形形体を含むことができるが、これらに限定されない。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態では、放射線改質可能層106は、局所改質の後、その後のプロセスの間にパターン形成されることができる平坦な放射線改質可能材料を備えることができる。例えば、放射線改質可能層106は、その後のリソグラフィー露光工程の間にパターン形成されることができる平坦なレジスト、または放射線改質可能層106を備えることができる。
【0067】
基材15は、反応チャンバー12内に配置され、その上に少なくとも一つの基材を保持するように構成される基材ホルダー13によって定位置に保持されることができる。本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に開示の選択的堆積プロセスは、基材15および関連する放射線改質可能層106を好適なプロセス温度に加熱するプロセスを利用することができる。したがって、基材ホルダー13は、放射線改質可能層106をその上に配置した基材15を加熱するように構成されることができる一つまたは複数の発熱体110を備えることができる。
【0068】
発熱体110は、基材15を、20~450℃、好ましくは50~150℃、より好ましくは60~120℃、最も好ましくは70~100℃の温度に、例えば85℃に加熱するように構成されてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、選択的堆積装置11は、反応チャンバー内の圧力を0.001~1000、好ましくは0.1~500、最も好ましくは1~100Torrの値に制御するように構成および配置されている。
【0069】
本開示のいくつかの実施形態では、選択的堆積装置11は前駆体分配除去システム14を備えることができる。前駆体分配除去システムは、いくらかの前駆体の蒸気を供給し、関連する蒸気を反応チャンバー12に分配するように構成および配置された一つまたは複数の前駆体源114Aおよび114Bを更に含むことができるガス供給システム112を備えることができる。ガス供給システム112はまた、本明細書に記載の例示的な選択的堆積プロセスのパージサイクルで利用されることができるパージガスを貯蔵および分配するように構成される供給源容器116を備えることができる。ガス供給システム112はまた、本明細書に記載の例示的な選択的堆積プロセスで利用されるように前駆体を収容して反応チャンバー12に分配するように構成される反応物質供給源容器118を備えることができる。非限定的な例として、選択的堆積装置11は、第一の前駆体の蒸気を供給するように構成および配置される第一の前駆体源114Aを備えることができる。いくつかの実施形態において、第一の前駆体源114Aは、第一の前駆体を蒸発させるように構成および配置された第一の前駆体蒸発器を備えることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、第一の前駆体源114Aは、好適な作動条件下で第一の前駆体を貯蔵および収容するように構成された供給源容器を備えることができる。例えば、第一の前駆体は固体前駆体、液体前駆体、または気相前駆体を含むことができ、供給源容器は好適な作動条件下で固体、液体、または気相前駆体を貯蔵および収容するように構成されることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、第一の前駆体源は、第一の前駆体を好適な作動温度に加熱し、それにより第一の前駆体の一部を制御可能に蒸発させることができる、一つまたは複数の制御可能な発熱体を備えることができる第一の前駆体蒸発器を備えることができ、蒸発した蒸気は、続いて、放射線改質可能層上へ選択的に堆積する好適な手段によって反応チャンバー12に分配される。いくつかの実施形態では、第一の前駆体源114Aと関連付けられた一つまたは複数の発熱体は、第一の前駆体の蒸気圧を制御するように構成されてもよい。更に、流量コントローラ120A、例えば質量流量コントローラ(MFC)は、第一の前駆体源114Aと更に関連付けられてもよく、第一の前駆体源114A、例えば、第一の前駆体蒸発器から生成される蒸気の質量流量を制御するように構成されることができる。流量コントローラ120Aに加えて、バルブ122A、例えば遮断弁を第一の前駆体源114Aと関連付けることができ、第一の前駆体源114Aを反応チャンバー12から切リ離すために利用することができる。即ち、バルブ122Aが閉位置にある場合には、第一の前駆体源114Aによって生成された蒸気が反応チャンバー12内に流入するのを防ぐことができる。
【0072】
更なる実施形態では、第一の前駆体源114Aは、キャリアガス(例えば、窒素)を第一の前駆体上を通過させる、または第一の前駆体を通ってバブリングさせることができるようなキャリアガス投入装置(図示せず)を更に備えることができ、その結果、第一の前駆体をキャリアガス中に取り込むことができ、その後、キャリアガス/第一の前駆体蒸気を適切な手段によって反応チャンバー12に供給することができる。
【0073】
本開示のいくつかの実施形態では、選択的堆積装置11(図3)は、反応チャンバー12に第一の前駆体源114Aからの第一の前駆体の蒸気を供給し、反応チャンバー12から第一の前駆体の蒸気を除去するように構成および配置される前駆体分配除去システム14を備えることができる。
【0074】
本開示のいくつかの実施形態では、選択的堆積装置11は、元素、例えば金属または半導体、例えばIV族半導体を含む第一の前駆体源114Aからの第一の前駆体の蒸気を反応チャンバー12に供給するように構成および配置される前駆体分配除去システム14を備えることができる。反応チャンバー12内の元素、例えば金属または半導体は、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)リチウム(Li)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)およびスズ(Sn)を含む群から選択されることができる。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態では、選択的堆積装置11は、アルキルアミド前駆体、例えば金属アルキルアミド前駆体またはIV族半導体アルキルアミド前駆体を含む前駆体を反応チャンバー12内に供給するよう構成および配置される前駆体分配除去システム14を備えることができる。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態では、選択的堆積装置11は、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、およびジメチルアルミニウムヒドリド(DMAH)を含む群から選択される前駆体を供給するように構成および配置される前駆体分配除去システム14を備えることができる。それによって、選択的堆積装置は、金属、例えばアルミニウムを、レジストなどの改質または非改質層部分のうちの一つに、またはその上に選択的に供給することができる。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態では、選択的堆積装置11は、反応チャンバー12に第一の前駆体源114から第一の前駆体の蒸気を供給するように構成および配置される前駆体分配除去システム14を備えることができ、反応チャンバー12内に金属ハロゲン化物またはIV族半導体のハロゲン化物を含むことができる。
【0078】
本開示のいくつかの実施形態では、選択的堆積装置11の前駆体分配除去システム14は、SnI4またはSnCl4を含む前駆体を反応チャンバー内に供給するように構成および配置される。本開示のいくつかの実施形態では、例示的な選択的堆積装置11は、テトラエチルスズ、テトラメチルスズ、またはアセチルアセトネートスズを含む群から選択される前駆体を反応チャンバー内に供給するように構成および配置される前駆体分配除去システムを備えることができる。それによって、選択的堆積装置11は、金属、例えばスズを、レジストなどの改質または非改質層部分のうちの一つに、またはその上に選択的に供給することができる。
【0079】
本開示のいくつかの実施形態では、例示的な選択的堆積装置11は、反応チャンバー12に第一の前駆体源114から第一の前駆体の蒸気を供給するように構成および配置される前駆体分配除去システム14を備えることができ、金属またはIV族半導体、例えば、マグネシウムおよび/またはカルシウムを反応チャンバーに含むことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、選択的堆積装置11は、例えば、レジストなどの改質層部分および未改質層部分の一方に、またはその上にシリコンを選択的に堆積させるように構成および配置されることができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、第一の前駆体源114Aは、アミノシランの蒸気を供給するように構成および配置されてもよい。
【0082】
より詳細には、前駆体分配システムは、ガス供給システム112、および一つまたは複数のガスライン、例えば第一の前駆体源114Aと流体連通するガスライン124、第二の前駆体源114Bと流体連通するガスライン126、供給源容器116と流体連通するガスライン128、および反応物質供給源容器118と流体連通するガスライン130を備えることができる。非限定的な例として、ガスライン124は第一の前駆体源114Aに流体連通しており、第一の前駆体の蒸気を反応チャンバー12に供給するように構成されていてもよい。
【0083】
前駆体分配システムはさらに、第一の前駆体の蒸気を反応性チャンバー12内および放射線改質可能層106が上に配置された基材15上に分配するように構成されるガスディスペンサ132を備えることができ、ガスディスペンサ132は、ガスライン126、128、および130と流体連通することに加えて、ガスライン124と流体連通する。
【0084】
非限定的な例示的実施形態として、図3にブロック形状で例示するように、ガスディスペンサ132はシャワーヘッドを備えることができる。シャワーヘッドはブロック形状で例示されているが、シャワーヘッドは比較的複雑な構造であることができることに留意されたい。別の実施形態では、シャワーヘッドは、シャワーヘッドに導入された複数の蒸気間の分離を維持するように構成されてもよく、複数の蒸気は反応チャンバー12内に配置された基材15の近傍でのみ互いに接触する。更に、シャワーヘッドは、反応チャンバー12内への垂直方向または水平方向のガスの流れを供給するように構成されてもよい。例示的なガス分配器は、米国特許第8,152,922号に記載されており、その内容は、本開示と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
図3に例示するように、前駆体分配システムは、ガス供給システム112、少なくともガスライン124、126、128、および130、ならびにガス分配器132を備えることができるが、前駆体分配システムは図3に例示しない別の構成要素、例えば別のガスライン、バルブ、アクチュエータ、シール、および発熱体を備えることができることに留意されたい。
【0086】
前駆体分配システムに加えて、選択的堆積装置11の前駆体分配除去システム14はまた、反応チャンバー12からガスを除去するように構成および配置される除去システムを備えることができる。いくつかの実施形態では、除去システムは、反応チャンバー12の壁内に配置される排気口134と、排気口134と流体連通する排気ライン136と、排気ライン136と流体連通し反応チャンバー12内からガスを排気するように構成される真空ポンプ138とを備えることができる。一つまたは複数のガスが真空ポンプ138を利用して反応チャンバー12から排出されると、それらは別の排気ライン140に沿って運ばれて別のステーション11を出ることができ、そこで更なる削減プロセスを受けることができる。
【0087】
反応チャンバー12内からの前駆体ガス、すなわち反応性蒸気の除去を更に助けるために、除去システムは、ガスライン128を介してガス分配器132に流体連通する供給源容器116を更に備えることができる。例えば、供給源容器116は、パージガス、例えばアルゴン(Ar)、窒素(N)、またはヘリウム(He)を収容および貯蔵するように構成されてもよい。供給源容器116に関連付けられた流量コントローラ120Cおよびバルブ122Cは、ガスライン128を通ってガス分配器132へ、そして反応チャンバー12内へと供給されるパージガスの流量、特に質量流量を制御することができる。パージガスは、反応チャンバー12内から気相前駆体ガス、不活性ガス、および副生成物の除去を助け、特に、改質可能層106の露光面から前駆体ガスおよび未反応副生成物を取り除くことができる。パージガス(および任意の関連する前駆体および副生成物)は、真空ポンプ138を利用して排気口134を経由して反応チャンバー12から出ることができる。
【0088】
本開示のいくつかの実施形態では、選択的堆積装置11は、前駆体分配システムおよび除去システムに動作可能に接続され、シーケンスコントローラ142上で実行される場合に放射線改質層および未改質層のうちの一つの上またはそこで選択的堆積を実行するためのプログラムを備えるメモリ144を備えるシーケンスコントローラをさらに備えることができる。
シーケンスコントローラ
【0089】
より詳細には、例示的な選択的堆積装置11は、制御ライン144A、144B、および144Cも含むことができるシーケンスコントローラ142を備えることができ、制御ラインは選択的堆積装置11の様々なシステムおよび/または構成要素をシーケンスコントローラ142に連結させることができる。例えば、制御ライン144Aは、シーケンスコントローラ142をガス供給システム112と結合させることができ、それによってガスライン124、126、128、および130、ならびにガス分配器132を含む前駆体分配システムを制御することができる。制御ライン144Bは、シーケンスコントローラ142を反応チャンバー12と結合させ、それによって、プロセス圧力および基材テーブル13温度を含むがこれらに限定されない反応チャンバーの作動を制御することができる。制御ライン144Cは、ガス除去システムの操作および制御がシーケンスコントローラ142によって提供されることができるように、シーケンスコントローラ142を真空ポンプ138と結合させることができる。シーケンスコントローラ142は、制御システム8(図2)に動作可能に接続することができる。
【0090】
図3に例示するように、シーケンスコントローラ142は三本の制御ライン144A、144B、および144Cを備えるが、多数の制御ライン、即ち電気的および/または光学的に接続した制御ラインを利用して、選択的堆積装置11を備える所望のシステムおよび構成要素をシーケンス制御装置142と連結し、それによって装置全体を制御することができる。
【0091】
本開示のいくつかの実施形態では、シーケンスコントローラ142は、例示的な選択的堆積装置11に含まれるバルブ、ヒーター、流量コントローラ、マニホールド、ポンプ、および他の機器を選択的に操作するための電子回路を備えることができる。このような回路および構成要素は、前駆体ガスおよびパージガスをそれぞれの前駆体源114A、114B、反応物質供給源容器118、およびパージガス供給源容器116から導入するように動作する。シーケンスコントローラ142はまた、前駆体パルスシーケンスのタイミング、基材および反応チャンバー12の温度、ならびに反応チャンバーの圧力、ならびに選択的堆積装置11を適切に作動させるために必要な他の様々な作動を制御することができる。いくつかの実施形態では、シーケンスコントローラ142はまた、反応チャンバー12内に入り、そこから出て行く前駆体およびパージガスの流量を制御するための制御ソフトウェアおよび電気的または空気圧で制御されるバルブを備えることができる。本開示のいくつかの実施形態では、シーケンスコントローラ142は、シーケンスコントローラ上で実行される場合、選択的堆積を放射線改質可能層上またはそこで実行するためのプログラムを備えるメモリ144を備えることができる。例えば、シーケンスコントローラ142は、モジュール、例えば特定の選択的堆積プロセスを行うソフトウェアまたはハードウェアコンポーネント、例えばFPGAもしくはASICを備えることができる。モジュールは、シーケンスコントローラ142のアドレス指定可能な記憶媒体上に常駐するように構成されることができ、一つまたは複数の選択的堆積プロセスを実行するように構成されることができる。
【0092】
本開示のいくつかの実施形態では、シーケンスコントローラ142のメモリ144は、反応チャンバー内で改質層部分および未改質層部分のうちの一方と反応し、改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないように選択される前駆体を供給し、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて前駆体の蒸気を反応チャンバー12内の基材15上の放射線改質可能層106に供給し、それによって前駆体は基材15上の放射線改質可能層106の改質層部分および未改質層部分のうちの一方と選択的に反応することによって、犠牲マスキング層を作製するプログラムを備えることができる。
【0093】
本開示のいくつかの実施形態では、例示的な選択的堆積装置11は、第二の前駆体源114B、例えば第二の前駆体蒸発器を備えることができる。より詳細には、第二の前駆体源114Bは、第二の前駆体の蒸気を供給するように構築および配置されてもよい。例えば、第二の前駆体源114Bは、第二の前駆体を蒸発させるように構築および配置されることができる第二の前駆体蒸発器を備えることができる。いくつかの実施形態では、第二の前駆体源114Bは、第一の前駆体源114Aと同一または実質的に同一であってもよく、したがって、第二の前駆体源114Bに関する詳細は、簡潔のために省略される。
【0094】
いくつかの実施形態では、前駆体分配システムおよび除去システム14は、反応チャンバー12に第二の前駆体源114Bから第二の前駆体の蒸気を供給するように構成および配置されてもよい。例えば、ガスライン126は、流量コントローラ120Bおよびバルブ122Bを介して第二の前駆体源114Bに流体連通することができ、第二の前駆体の蒸気を第二の前駆体源114Bからガス分配器132に、続いて反応チャンバー12内に供給することができる。いくつかの実施形態では、メモリ144内のプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行される場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて第二の前駆体の蒸気を反応チャンバー12に供給し、それによって第二の前駆体は、反応チャンバー内で改質層部分106および未改質層部分のうちの一方と反応し、改質層部分および未改質層部分のうちの他方と反応しないで基材15上に犠牲マスキング層を作製することによって、放射線改質可能層106上またはそこで選択的堆積を実行するようにプログラムされることができる。
【0095】
本開示のいくつかの実施形態では、メモリ144内のプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行される場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて、第一の前駆体の後に第二の前駆体を供給する、即ち、第一の前駆体源114Aは、第一の前駆体の蒸気を反応チャンバー12内に供給し、第一の前駆体を有する放射線改質可能層106上またはそこで材料を選択的に堆積させることができ、続いて、第二の前駆体源114Bは、第二の前駆体の蒸気を反応チャンバー12に供給し、放射線改質可能層106上またはそこで第二の前駆体を選択的に堆積させることによって、放射線改質可能層106上に選択的な堆積を実行するようにプログラムされることができる。メモリ144に記憶されたプログラムの選択的堆積サイクルは、シーケンスコントローラ142上で実行される場合、放射線改質可能層106上またはそこで選択的堆積を実行するために第二の前駆体の蒸気を供給する第三期間よりも長い第一の前駆体の蒸気を供給する第一の期間を有してもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、シーケンスコントローラ142は、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて第二の前駆体の後に第一の前駆体を供給するためにメモリ144上でプログラムを実行してもよい。即ち、第二の前駆体源114Bは、第二の前駆体の蒸気を反応チャンバー12に供給して放射線改質可能層106に選択的に堆積させることでき、続いて、第一の前駆体源114Aは第一の前駆体の蒸気を反応チャンバー12に供給して改質可能層106上に第一の前駆体の蒸気を選択的に堆積させることができる。
【0097】
本開示のいくつかの実施形態では、メモリ144に記憶されたプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行される場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて、第一の前駆体を反応チャンバー12に供給し、続いて、パージサイクルを行って過剰な第一の前駆体およびあらゆる副生成物を反応チャンバーから除去し、その後第二の前駆体を反応チャンバーに供給し、続いて第二のパージサイクルを行って過剰な第二の前駆体およびあらゆる副生成物を反応チャンバーから除去することによって、放射線改質可能層106上に選択的堆積を実行するようにプログラムされることができる。
【0098】
より詳細には、シーケンスコントローラ142のメモリ144内のプログラムは、最初に第一の前駆体源114Aを活性化し、第一の前駆体の蒸気を反応チャンバー12に供給し、放射線改質可能層106上またはそこで選択的に堆積させることができ、その後、第一の前駆体源114Aが非活性化され、第一の前駆体源114Aと反応チャンバー12との間の反応チャンバー12への流体連結が、例えば、第一の前駆体源114Aに関連付けられるバルブ122Aによって解放されることができる。第一の前駆体源114Aの作動を停止させ、そして反応チャンバー12から分離すると、シーケンスコントローラ142のメモリ144に搭載されたプログラムは、真空ポンプ138と係合させし、または係合させ続けて、第一の前駆体の過剰な蒸気およびあらゆる副生成物を反応チャンバー12から排出させることができる。更なる実施形態では、真空ポンプ138を利用して第一の前駆体の過剰な蒸気およびあらゆる副生成物を反応チャンバー12から排出することに加えて、シーケンスコントローラ142のメモリ144に搭載されたプログラムはパージガスの供給源を含む供給源容器116を、例えば、供給源容器116に関連付けられたバルブ122Cを開くことによって作動させることができる。パージガスは、ガス分配器132を介してガスライン128を通って反応チャンバー12内に流れ込み、反応チャンバー12をパージし、具体的には基材15上に配置される改質可能層106をパージすることができる。シーケンスコントローラ142のメモリ144に搭載されたプログラムは、その後、反応チャンバー12を通るパージガスの流れを停止させ、続いて第二の前駆体源114Bを作動させ、それによって第二の前駆体の蒸気を反応チャンバー12に供給し、特に放射線改質可能層106上に第二の蒸気源114Bによって供給される第二の前駆体蒸気を選択的に堆積させることができる。シーケンスコントローラ142のメモリ144に搭載されたプログラムは、続いて第二の前駆体の蒸気の反応チャンバー12への流れを停止させ、その後供給源容器116を作動させて反応チャンバーを再びパージする、例えば第二の前駆体の過剰な蒸気を除去することができる。
【0099】
本開示のいくつかの実施形態では、メモリ144に保存されるプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行される場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて第二の前駆体の蒸気を反応チャンバーに供給し、続いてパージサイクルを行い第二の前駆体の過剰な蒸気およびあらゆる副生成物を反応チャンバーから除去し、その後第一の前駆体の蒸気を反応チャンバーに供給し、続いてパージサイクルを行い第一の前駆体の過剰な蒸気およびあらゆる副生成物を反応チャンバーから除去することによって、放射線改質可能層106上またはそこで選択的堆積を実行するようにプログラムされることができる。
【0100】
本開示の更なる実施形態では、第一の前駆体源114Aおよび第二の前駆体源114Bに加えて、例示的な別のステーション11は、反応物質供給源容器118および反応物供給ライン、即ち、酸素前駆体を含む反応物質を反応チャンバー12に供給するように構築および配置されるガスライン130を更に備えることができる。
【0101】
本開示のいくつかの実施形態では、反応物質供給源容器118は、固相の、液相の、または気相の反応物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、反応物質供給源容器118は反応物質蒸発器を備えることができ、即ち、一つまたは複数の発熱体が反応物質供給源容器と関連付けられ、反応物質の蒸発を可能にし、それによって酸素前駆体を含む気化反応物質を反応チャンバー12に提供することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、酸素前駆体を含む蒸気反応物質の反応チャンバーへの流量の制御は、共に反応物質供給源容器118に関連付けられたバルブ122Dおよび流量コントローラ120Dを使用することによって達成されることができる。反応物質供給源容器118が反応物質蒸発器を更に備える本開示のいくつかの実施形態では、反応物質蒸発器は、酸素前駆体を含む反応物質として水(HO)または過酸化水素(H)のうちの少なくとも一つを蒸発させるように構築および配置されることができる。
【0103】
本開示のいくつかの実施形態では、反応物質供給源容器118は、反応物質供給ライン130およびガス分配器132を介して気体の酸素前駆体を反応チャンバー12に貯蔵および分配することができる。いくつかの実施形態では、気体の酸素前駆体は、オゾン(O)または分子状酸素(O)のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0104】
本開示のいくつかの実施形態では、例示的な選択的堆積装置11は必要に応じてプラズマ発生装置146を更に備えることができる。プラズマ発生器146は、気体の酸素前駆体からプラズマを発生させ、それによって原子状酸素、酸素イオン、酸素ラジカル、および酸素の励起種のうちの一つまたは複数を反応チャンバー12に供給するように構築および配置されることができ、それによって、プラズマ発生器146によって生成される酸素系プラズマは、基材15の上に配置される層106と反応することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、プログラムシーケンスの各工程の後に、真空ポンプ138を利用して反応チャンバー12を排気し、必要に応じて供給源容器116からパージガスを流すことによって反応チャンバーから過剰な前駆体および副生成物を除去するパージサイクルを行うことができる。いくつかの実施形態では、酸素前駆体を供給し、続いて第一の前駆体の蒸気を供給するプログラムシーケンスを、一回または複数回繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、プログラムシーケンスの各工程の後に、真空ポンプ138を利用して反応チャンバー12を排気し、必要に応じて供給源容器116からパージガスを流すことによって反応チャンバーから過剰な前駆体および副生成物を除去するパージサイクルを行うことができる。
【0106】
本開示のいくつかの実施形態では、メモリ144内のプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行する場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて、第一の前駆体、続いて反応物質、続いて第二の前駆体、そして続いて反応物質を供給することによって、層106上またはそこで選択的堆積を実行するようにプログラムされる。
【0107】
いくつかの実施形態では、メモリ144内のプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行する場合、前駆体分配システムおよび除去システム14を作動させて、第一の前駆体、続いて反応物質、続いて第二の前駆体、そして続いて反応物質を供給することを複数回繰り返すことによって、層106上またはそこで選択的堆積を実行するようにプログラムされることができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、メモリ144内のプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行する場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて、第一の前駆体、続いて反応物質、続いて第二の前駆体、そして続いて反応物質を供給する各工程の間に、前駆体および/または反応物質を反応チャンバーから除去することによって、層106上またはそこで選択的堆積を実行するようにプログラムされることができる。
【0109】
本開示のいくつかの実施形態では、メモリ144内のプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行する場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて、第一の前駆体を供給し、続いて第二の前駆体を供給し、そして続いて反応物質を供給することによって、層106上またはそこで選択的堆積を実行するようにプログラムされることができる。いくつかの実施形態では、第一の前駆体を供給し、続いて第二の前駆体を供給し、そして続いて反応物質を供給するプログラムシーケンスを、一回または複数回繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、プログラムシーケンスの各工程の後に、真空ポンプ138を利用して反応チャンバー12を排気し、必要に応じて供給源容器116からパージガスを流すことによって反応チャンバーから過剰な前駆体および副生成物を除去するパージサイクルを行うことができる。
【0110】
本開示のいくつかの実施形態では、メモリ144内のプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行する場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて、第二の前駆体を供給し、続いて第一の前駆体を供給し、そして続いて反応物質を供給することによって、層106上またはそこで選択的堆積を実行するようにプログラムされることができる。いくつかの実施形態では、第二の前駆体を供給し、続いて第一の前駆体を供給し、そして続いて反応物質を供給するプログラムシーケンスを、一回または複数回繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、プログラムシーケンスの各工程の後に、真空ポンプ138を利用して反応チャンバー12を排気し、必要に応じて供給源容器116からパージガスを流すことによって反応チャンバーから過剰な前駆体および副生成物を除去するパージサイクルを行うことができる。
【0111】
本開示のいくつかの実施形態では、メモリ144内のプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行する場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて、第一の前駆体を供給し、続いて反応物質を供給し、そして続いて第二の前駆体を供給することによって、層106上またはそこで選択的堆積を実行するようにプログラムされることができる。いくつかの実施形態では、第一の前駆体を供給し、続いて反応物質を供給し、そして続いて第二の前駆体を供給するプログラムシーケンスを、一回または複数回繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、プログラムシーケンスの各工程の後に、真空ポンプ138を利用して反応チャンバー12を排気し、必要に応じて供給源容器116からパージガスを流すことによって反応チャンバーから過剰な前駆体および副生成物を除去するパージサイクルを行うことができる。
【0112】
本開示のいくつかの実施形態では、メモリ144内のプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行する場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて、反応物質を供給し、続いて第一の前駆体を供給し、続いて第二の前駆体を供給し、そして続いて反応物質を供給することによって、層106上またはそこで選択的堆積を実行するようにプログラムされることができる。いくつかの実施形態では、反応物質を供給し、続いて第一の前駆体を供給し、続いて第二の前駆体を供給し、そして続いて反応物質を供給するプログラムシーケンスを、一回または複数回繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、プログラムシーケンスの各工程の後に、真空ポンプ138を利用して反応チャンバー12を排気し、必要に応じて供給源容器116からパージガスを流すことによって反応チャンバーから過剰な前駆体および副生成物を除去するパージサイクルを行うことができる。
【0113】
本開示のいくつかの実施形態では、メモリ144内のプログラムは、シーケンスコントローラ142上で実行する場合、前駆体分配システムおよび除去システムを作動させて、反応物質を供給し、続いて第一の前駆体を供給し、続いて反応物質を供給し、そして続いて第二の前駆体を供給することによって、層106上またはそこで選択的堆積を実行するようにプログラムされることができる。いくつかの実施形態では、反応物質を供給し、続いて第一の前駆体を供給し、続いて反応物質を供給し、そして続いて第二の前駆体を供給するプログラムシーケンスを、一回または複数回繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、プログラムシーケンスの各工程の後に、真空ポンプ138を利用して反応チャンバー12を排気し、必要に応じて供給源容器116からパージガスを流すことによって反応チャンバーから過剰な前駆体および副生成物を除去するパージサイクルを行うことができる。
【0114】
図4は、本開示の一実施形態によるレジストレスパターニング方法を例示する。パネル1)は、基材(430)上に堆積される放射線改質可能層(410)を示す。例示するように、基材(430)と放射線改質可能層(410)との間に任意の下地層(420)を設けることができる。いくつかの実施形態では、放射線改質可能層(410)は、下地層(420)の表面からなってもよい。別の実施形態では、放射線改質可能層(410)は、基材上に直接堆積されてもよく、したがって下地層(420)を必要としないことは言うまでもない。パネル2)は、放射線改質可能層(410)が極端紫外線(EUV)放射線にどのように露光され、それによって複数の放射線改質層部分(411)および複数の未改質層部分(412)を作製するかを示す。次に、犠牲マスキング層は、パネル3b)に示されるように放射線改質層部分(411)上に、またはパネル3a)に示されるように未改質層部分(412)上のいずれかに選択的に堆積されることができる。パネル4aおよび4bに示すように、後続のエッチング工程により、凹部(450)が形成される。特に、パネル4bは、犠牲マスキング層(440)が放射線改質層部分(411)上に堆積された場合、凹部(450)が未改質層部分(412)の下にどのようにエッチングされるかを示す。パネル4aは、犠牲マスキング層(440)が未改質層部分(412)上に堆積される場合、凹部(450)が放射線改質層部分(411)の下にどのようにエッチングされるかを示す。必要に応じて、犠牲マスキング層堆積工程およびエッチング工程は、一つの同一の反応チャンバー内で実行されてもよい。必要に応じて、任意の犠牲マスキング層除去工程は、同じ反応チャンバー内で実行されることもできる。
【0115】
図5は、本開示の一実施形態によるレジストレスパターニング方法を例示する。パネル1)は、基材(430)上に堆積される放射線改質可能層(410)を示す。放射線改質可能層(410)は、C、N、H、および/またはOを含む有機化合物を含んでもよく、光子、例えば極端紫外線(EUV)光子によって局所的に改質されてもよい。これにより、ウェットまたはドライエッチングプロセスに対して、エッチング速度が局所的に変化する可能性がある。
【0116】
例示するように、基材(430)と放射線改質可能層(410)との間に任意の下地層(420)を設けることができる。いくつかの実施形態では、放射線改質可能層(410)は、下地層(420)の表面からなってもよい。別の実施形態では、放射線改質可能層(410)は、基材上に直接堆積されてもよく、したがって下地層(420)を必要としないことは言うまでもない。パネル2)は、放射線改質可能層(410)が極端紫外線(EUV)放射線にどのように露光され、それによって複数の放射線改質層部分(411)および複数の未改質層部分(412)を作製するかを示す。パネル3)は、層除去工程において未改質層部分(412)がどのように除去されるかを示しているが、放射線改質層部分(411)は元の位置に残る。別の実施形態では(図示せず)では、未改質層部分は層除去工程によって影響を受けないため元の位置に残り、放射線改質層部分(411)は層除去工程の間に除去される。
【0117】
パネル3)のエッチング工程の後、犠牲マスキング層は選択的に堆積されることができる。犠牲マスキング層は、例えば、パネル4a)に示されるように放射線改質層部分(411)上に、またはパネル4b)に示されるように露光された下地層上に堆積されてもよい。下地層が存在しない場合、犠牲マスキング層は、基材(430)上に直接堆積されてもよい(実施形態には図示せず)。放射線改質層部分が除去され、層除去工程中に未改質層部分が元の位置に残る場合、犠牲マスキング層は未改質層部分上に堆積されることができる(実施形態には図示せず)。
【0118】
次に、犠牲マスキング層の堆積の後にエッチング工程が続き、これにより、例えばパネル5aおよび5bに示すように、犠牲マスキング層が堆積されていない領域に凹部(450)が形成される。特に、パネル5aは、犠牲マスキング層(440)が放射線改質層部分(411)上に堆積された場合、凹部(450)が未改質層部分(412)の位置でどのようにエッチングされるかを示す。パネル5bは、犠牲マスキング層(440)が未改質層部分(412)上に堆積された場合、凹部(450)が放射線改質層部分(411)の位置でどのようにエッチングされるかを示す。もちろん、同じ原理が他の実施形態にも当てはまる:犠牲マスキング層が堆積されていない領域はエッチング工程中にエッチングされ、犠牲マスキング層が堆積された領域はエッチング工程中にエッチングされない、または実質的にエッチングされない。必要に応じて、エッチング工程の後で、犠牲マスキング層は除去されることができる。必要に応じて、犠牲マスキング層堆積工程およびエッチング工程は、一つの同一の反応チャンバー内で実行されてもよい。必要に応じて、任意の犠牲マスキング層除去工程は、同じ反応チャンバー内で実行されることもできる。
【0119】
好適な放射線改質可能層(410)は、アモルファスカーボン層、例えば、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)によって、またはプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)によって堆積させたアモルファスカーボン層を含む。アモルファスカーボン層は、spおよびsp炭素を含むことができる。換言すると、アモルファスカーボン層は、C-C、C=C、およびC-H結合を含むことができる。さらに、アモルファスカーボンは、C-N結合および/またはC-O結合を含んでもよい。アモルファスカーボン層の領域がEUV光に露光されると、C=C、C-H、C-N、およびC-O結合が切断される場合がある。本発明が任意の特定の理論にも動作モードにも限定されることなく、結果として生じる損傷は、露光されるアモルファスカーボン層部分を、低温で、例えば100℃未満の温度で、または90℃未満の温度で、または80℃未満の温度で、または70℃未満の温度で、または60℃未満の温度で、または50℃未満の温度で、または40℃未満の温度で、Hラジカルによって選択的にエッチング可能にすることができると考えられる。Hラジカルは、例えばリモートプラズマツールで生成されてもよい。未露光のアモルファスカーボン層部分はこれらの低温でHラジカルによってエッチングされないのは、未露光のアモルファスカーボン層部分はEUV露光によって損傷されていないため、およびアモルファスカーボンのC-C結合はHラジカルによって実質的にエッチングされないためであると考えられる。さらに、本発明が任意の特定の理論にも動作モードにも限定されることなく、Hラジカルはアモルファスカーボン層の表面を水素化し、したがってその結果、表面上にCH末端基が形成されると考えられる。したがって、犠牲マスキング層の堆積中にブロッキング層または活性層として使用することができる、CHで終端されたアモルファスカーボンを有する領域がこのように形成されることができると考えられる。
【0120】
CHで終端されたアモルファスカーボン上に選択的に堆積されることができる犠牲マスキング層の一例は、RuOであり、例えば、有機溶媒中にRuOを含む前駆体を用いて開始する。有機溶媒中にRuOを含む組成物は市販されている。
【0121】
CHで終端されたアモルファスカーボン上ではなく、下地層または基材上に選択的に堆積させることができるマスキング層の例としては、TiO(すなわち酸化チタン)、TiO(すなわち、オキシ炭化チタン)、またはハロゲン化チタン前駆体、例えばTiClによるTiNの原子層堆積、ハロゲン化ハフニウム前駆体、例えばHfClによる酸化ハフニウムの原子層堆積、およびEBECHRuによるルテニウムの原子層堆積が挙げられる。これらの材料がCHで終端されたアモルファスカーボンに対して選択的に堆積されることができる下地層および基材には、金属系下地層、シリコン系下地層、ならびに基材、例えば単結晶シリコン、スピンオンシリコン、および低誘電率誘電体が含まれる。マスキング層が酸化チタン、窒化チタンおよびルテニウムから選択される場合、CHで終端されたアモルファスカーボンに対して選択的堆積ための好適な下地層は、SiO、SiN、および/またはSiONを含むことができる。マスキング層が酸化チタンまたは窒化チタンから選択される場合、CHで終端されたアモルファスカーボンに対して選択的堆積ための好適な下地層は、ルテニウムを含むことができる。そして、ルテニウムがマスキング層として用いられる場合、CHで終端されたアモルファスカーボンに対して選択的堆積ための好適な下地層は、酸化チタンまたは窒化チタンを含むことができる。いくつかの実施形態では、前述の下地層は、スズをさらに含んでもよく、これにより、適切な露光を達成するために必要なEUV線量を低減することができる。
【0122】
本方法およびデバイスは、堆積、エッチング、および/または他の目的に使用される場合、多数の利点を提供する。例えば、レジストつぶれに関連する問題を回避する場合がある。逆に、厚いレジストライン(例えば、30nmの厚さ)を用いる従来技術では、レジストと下地層との間の接着力が十分に強くない場合、ウェット現像工程中にレジストラインのつぶれを受ける場合がある。さらに、本明細書に開示される方法は、光酸発生剤(PAG)、例えばPAG分離およびPAGクエンチングを含むレジストを使用する場合に生じる可能性がある問題を回避する。さらに、本発明の方法は、非常に薄い下層のみを必要とし、非常に高い解像度、例えば13nmの解像度、または高開口数が用いられる場合は約8nmの解像度を提供されても、エッチング目的で使用される場合、優れたエッチングバジェットを有する犠牲マスキング層の選択的堆積を可能にする。
【0123】
上に記載した本開示の例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその法的等価物により定義される、本発明の実施形態の単なる例であるため、これらの実施形態によって本発明の範囲は限定されない。いかなる同等の実施形態も、本発明の範囲内にあることを意図している。実際に、記載した要素の代替の有用な組み合わせなど、本明細書に示し記載したものに加えて、本開示の様々な改変が、記載から当業者に明らかとなってもよい。このような改変及び実施形態もまた、添付の特許請求の範囲に入ると意図される。
【符号の説明】
【0124】
410 放射線改質可能層
411 放射線改質層部分
412 未改質層部分
420 下地層
430 基材
440 犠牲マスキング層
450 凹部
図1
図2
図3
図4
図5