(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】シート貼着装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241209BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20241209BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241209BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20241209BHJP
B26D 3/10 20060101ALI20241209BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/78 L
H01L21/304 622J
B26D3/00 601B
B26D3/10 C
B26D7/18 E
(21)【出願番号】P 2021019394
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 良典
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-028591(JP,A)
【文献】特開2006-140251(JP,A)
【文献】特開2006-005131(JP,A)
【文献】特開2016-039298(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0273740(US,A1)
【文献】特開2020-031166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/301
H01L 21/304
B26D 3/00
B26D 3/10
B26D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被加工物にシートを貼着し、シート付き被加工物を形成するシート貼着装置であって、
被加工物に、被加工物より大きい面積のシートを貼着するシート貼着部と、
該シート貼着部で貼着された該シートを該被加工物の外周に沿って該被加工物から切り離すシートカット部と、を備え、
該シートカット部は、
該被加工物より小さい保持面で該被加工物を保持するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持された該被加工物に貼着した該シートの外周部分を着脱自在に保持するシート保持部と、
該被加工物の外周に沿って該シートを切断するカット部と、
切断され、該シート保持部による保持が解除されて落下する該シートを収容するシート収容部と、を有し、
該カット部は、
カッターと、切断された該シートを該シート収容部に向かって押圧する押圧部と、を備えるシート貼着装置。
【請求項2】
該押圧部は、該カッターと共に該シートに対し相対的に移動しながら該シートを押圧する回転ローラである請求項1に記載のシート貼着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスが形成されたウェーハを研削したり、レーザー光線や切削ブレードで加工したりする際、デバイスを保護するためにウェーハに粘着テープや熱可塑性樹脂などのシートを貼着するシート貼着装置が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に示されたシート貼着装置では、ウェーハより大きい幅のシートをウェーハに貼着後、はみ出したシートをカットするが、ロールに巻かれた状態でシートを貼ってくり抜く場合は、ロールを巻き取ることで切り抜かれたシートが取り除かれる。しかしながら、ロールから切り出したシートを貼った後、シートをくり抜く場合、くり抜いた不要なシートを除去する機構が必要になる。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、貼着後のシートの不要部分を容易に除去することができるシート貼着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のシート貼着装置は、板状の被加工物にシートを貼着し、シート付き被加工物を形成するシート貼着装置であって、被加工物に、被加工物より大きい面積のシートを貼着するシート貼着部と、該シート貼着部で貼着された該シートを該被加工物の外周に沿って該被加工物から切り離すシートカット部と、を備え、該シートカット部は、該被加工物より小さい保持面で該被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物に貼着した該シートの外周部分を着脱自在に保持するシート保持部と、該被加工物の外周に沿って該シートを切断するカット部と、切断され、該シート保持部による保持が解除されて落下する該シートを収容するシート収容部と、を有し、該カット部は、カッターと、切断された該シートを該シート収容部に向かって押圧する押圧部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記シート貼着装置において、該押圧部は、該カッターと共に該シートに対し相対的に移動しながら該シートを押圧する回転ローラでも良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、貼着後のシートの不要部分を容易に除去することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るシート貼着装置のシート貼着部及びシートカット部の構成例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るシート貼着装置によりシートが貼着された被加工物の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示されたシートカット部の平面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示されたシートカット部がチャックテーブルに保持した被加工物に貼着したシートにカッターが切り込んでいる状態を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示されたシートカット部を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示されたシートカット部がチャックテーブルに保持した被加工物に貼着したシートを切断してシートの不要部分をシート収容部に収容した状態を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示されたシートカット部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るシート貼着装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るシート貼着装置のシート貼着部及びシートカット部の構成例を模式的に示す断面図である。
図2は、実施形態1に係るシート貼着装置によりシートが貼着された被加工物の斜視図である。
図3は、
図1に示されたシートカット部の平面図である。
【0012】
実施形態1に係る
図1に示されたシート貼着装置1は、
図2に示された被加工物200の表面203にシート210を貼着し、シート付き被加工物211を形成する装置である。実施形態1に係るシート貼着装置1によりシート210が貼着される被加工物200は、シリコン(Si)、サファイア(Al
2O
3)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板201とする円板状の半導体ウェーハ、光デバイスウェーハ等のウェーハである。
【0013】
被加工物200は、
図2に示すように、交差する複数の分割予定ライン202で区画された表面203の各領域それぞれにデバイス204が形成されている。デバイス204は、例えば、IC(Integrated Circuit)、あるいやLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等である。
【0014】
実施形態1において、被加工物200は、表面203側にシート210が貼着され、シート210を介して表面203側が研削装置のチャックテーブルに保持された状態で表面203の裏側の裏面205が研削されて、所定の仕上げ厚さまで薄化される。被加工物200は、薄化された後、分割予定ライン202に沿って個々のデバイス204に分割される。
【0015】
シート210は、熱可塑性樹脂によりシート状に形成され、平面形状の面積が被加工物200の面積よりも大きなシート状に形成されている。実施形態1では、シート210は、平面形状が幅と長さの双方が被加工物200の外径よりも大きな矩形状に形成されている。実施形態1では、シート210は、円柱状のロールに巻き付けられたものから所定長さが切り出された後に、シート貼着装置1により被加工物200の表面203に貼着される。
【0016】
シート210は、表面及び裏面の双方が平坦に形成されている。シート210は、柔軟性と非粘着性の熱可塑性樹脂により構成され、粘着性を有する樹脂で構成された糊層を備えないものである。また、シート210を構成する熱可塑性樹脂は、伸縮性を有するとともに、軟化点を超えて加熱されると軟化し、更に加熱されると収縮する。実施形態1では、シート210は、可視光に対して透明または半透明な樹脂により構成されている、実施形態1では、シート210は、アルケンをモノマーとして合成されるポリマーのシートであり、例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリスチレン等により構成されている。実施形態1において、シート210の厚みは、50μm以上でかつ150μm以下である。
【0017】
実施形態1に係るシート貼着装置1は、被加工物200に所定長さに切り出された
図2中に点線で示すシート210を貼着し、シート210を被加工物200の外周である外縁206に沿って切断して、
図2中に実線で示すシート付き被加工物211を形成する装置である。
【0018】
シート貼着装置1は、
図1に示すように、被加工物200に被加工物200よりも平面形状が大きい面積の矩形状のシート210を貼着するシート貼着部2と、シート貼着部で貼着されたシート210を被加工物200の外縁206に沿って切断して、被加工物200からシート210の不要部分212(
図6に示す)を切り離すシートカット部20と、シート貼着部2からシート210が貼着された被加工物200をシートカット部20に搬送する図示しない搬送部とを備える。なお、不要部分212とは、被加工物200に貼着された矩形状のシート210の外縁206よりも外周側にはみ出した部分をいう。
【0019】
シート貼着部2は、
図1に示すように、減圧チャンバー3と、支持テーブル4と、加熱ユニット5とを備える。減圧チャンバー3は、シート210の外周部分213(シート210の不要部分212のうちの外周側の領域である)を互いの間に挟んで、シート210を固定する上部筐体6と、下部筐体7と、筐体6,7それぞれに接続された減圧ユニット8,9と、筐体6,7それぞれに接続された大気開放ユニット10,11とを備える。
【0020】
減圧チャンバー3は、筐体6,7間にシート210を挟むと、上部筐体6とシート210との間及びシート210と下部筐体7との間が気密に保たれる。減圧ユニット8,9は、それぞれ、筐体6,7内を減圧する。大気開放ユニット10,11は、筐体6,7内を大気開放する。
【0021】
支持テーブル4は、下部筐体7内に配置され、上面に被加工物200の裏面205が載置される。加熱ユニット5は、支持テーブル4内に設置され、支持テーブル4、被加工物200を介してシート210を加熱する。
【0022】
シート貼着部2は、支持テーブル4の上面に被加工物200が載置され、減圧チャンバー3の筐体6,7の間にシート210を挟んで、シート210を固定する。シート貼着部は、減圧ユニット8,9により筐体6,7内を減圧し、加熱ユニット5で支持テーブル4を介して被加工物200を加熱する。シート貼着部2は、上部筐体6に接続した大気開放ユニット10により上部筐体6内を大気開放して、筐体6,7内の気圧差によりシート210を被加工物200の表面203に密着させ、シート210を加熱ユニット5により加熱、軟化させて、被加工物200の表面203に接着する。
【0023】
シートカット部20は、
図1及び
図3に示すように、シート収容部21と、チャックテーブル30と、シート保持部40と、カット部50とを有する。
【0024】
シート収容部21は、被加工物200の外縁206に沿って切断され、シート保持部40による保持が解除されて落下するシート210の不要部分212を収容するものである。シート収容部21は、水平方向と平行な底板22と底板22の外縁から立設した複数の周板23とを備える。シート収容部21の底板22の平面形状は、被加工物200の外縁206に沿って切断される前のシート210の平面形状よりも大きな矩形状に形成されている。
【0025】
チャックテーブル30は、被加工物200よりも小さい保持面31で被加工物200を保持するものである。チャックテーブル30は、シート収容部21の底板22の中央に設置され、外径が被加工物200の外径よりも小さい円板状に形成されている。チャックテーブル30は、上面に被加工物200が載置されて、被加工物200を保持する保持面31である。チャックテーブル30は、保持面31に表面203にシート210が貼着された被加工物200の裏面205を保持する。
【0026】
シート保持部40は、チャックテーブル30に保持された被加工物200に貼着したシート210の外周部分213を着脱自在に保持するものである。シート保持部40は、シート収容部21の互いに相対する一対の周板23(以下、符号23-1で示す)それぞれに設けられている。各シート保持部40は、周板23-1と平行な板状に形成され、かつ周板23-1と平行な方向に並べられた一対のシート保持板41を備える。各シート保持部40のシート保持板41は、互いに近接して上面にシート210の外周部分213を保持する
図3に実線で示す保持位置と、互いに離れてシート210の外周部分213を保持しない
図3に点線で示す保持解除位置とに亘って、図示しない移動ユニットにより周板23-1に沿って移動する。
【0027】
各シート保持部40のシート保持板41の上面には、図示しない真空駆動源に接続した吸引孔42が複数設けられている。吸引孔42は、シート保持板41の長手方向に沿って間隔をあけてシート保持板41の上面に配置されている。シート保持部40は、保持位置に位置付けられたシート保持板41の吸引孔42が真空吸引源により吸引されることで、シート保持板41の上面にシート210の外周部分213を吸引保持する。
【0028】
シート保持部40は、吸引孔42の吸引が停止され、シート保持板41を保持解除位置に位置付けることで、シート210の外周部分213の保持を解除する。こうして、シート保持部40は、シート保持板41の保持位置と保持解除位置とに亘る移動、真空吸引源による吸引、吸引の停止により、チャックテーブル30に保持された被加工物200に貼着したシート210の外周部分213を着脱自在に保持することとなる。なお、各シート保持部40のシート保持板41の上面は、チャックテーブル30の保持面31よりも上方に配置されている。
【0029】
カット部50は、被加工物200の外縁206に沿って、チャックテーブル30に保持された被加工物200に貼着されたシート210を切断するものである。カット部50は、シート210に切り込んで、シート210を切断するカッター51と、切断されたシート210の被加工物200よりも外周側の不要部分212をシート収容部21に向かって押圧する押圧部である回転ローラ52と、シート210をチャックテーブル30との間に挟む挟持ローラ53と、カッター51、回転ローラ52及び挟持ローラ53を昇降させるとともに、チャックテーブル30の周方向に移動させる移動ユニット54(
図1に示す)とを備える。
【0030】
カッター51は、移動ユニット54により支持され、切り刃の下端がチャックテーブル30に保持された被加工物200の外縁206上に配置される。カッター51は、移動ユニット54によりチャックテーブル30に保持された被加工物200の外縁206に沿って移動される。
【0031】
回転ローラ52は、移動ユニット54に支持された支持柱55の下端部に回転自在に支持され、カッター51よりもチャックテーブル30の外周側に配置されている。回転ローラ52の下端は、カッター51の切り刃の下端と同じ高さに配置されている。
【0032】
挟持ローラ53は、移動ユニット54に支持された支持柱56の下端部に回転自在に支持され、カッター51よりもチャックテーブル30の内周側に配置されている。挟持ローラ53の下端は、回転ローラ52の下端及びカッター51の切り刃の下端よりも上方に配置されている。
【0033】
移動ユニット54は、カッター51、回転ローラ52及び挟持ローラ53を一体に昇降するとともに、カッター51、回転ローラ52及び挟持ローラ53を一体にチャックテーブル30の周方向に移動させる。回転ローラ52及び挟持ローラ53は、カッター51と共にシート210に対してチャックテーブル30の周方向に移動するとともに、回転ローラ52は、シート210に対して相対的に移動しながらシート210上を転動し、シート210をシート収容部21に向かって押圧し、挟持ローラ53は、シート210に対して相対的に移動しながらシート210上を転動し、シート210をチャックテーブル30の保持面31に向かって押圧する。このとき、挟持ローラ53の下端が、回転ローラ52の下端及びカッター51の切り刃の下端よりも上方に配置されているので、回転ローラ52は、シート210に切り込むカッター51と共にシート210に対して周方向に相対的に移動しながらシート210の不要部分212をシート収容部21に向かって押圧する。
【0034】
制御ユニット100は、シート貼着装置1を構成する各構成要素を制御して、200の表面203側にシート210を貼着し、被加工物200の外縁206に沿ってシート210を切断するシート貼着動作をシート貼着装置1に実行させるものである。制御ユニット100は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。
【0035】
制御ユニット100の演算処理装置は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、シート貼着装置1を制御するための制御信号を生成する。制御ユニット100の演算処理装置は、生成した制御信号を入出力インタフェース装置を介してシート貼着装置1の各構成要素に出力する。
【0036】
また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットと接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0037】
次に、前述した構成のシート貼着装置1のシート貼着動作を図面に基づいて説明する。
図4は、
図1に示されたシートカット部がチャックテーブルに保持した被加工物に貼着したシートにカッターが切り込んでいる状態を模式的に示す断面図である。
図5は、
図4に示されたシートカット部を模式的に示す平面図である。
図6は、
図4に示されたシートカット部がチャックテーブルに保持した被加工物に貼着したシートを切断してシートの不要部分をシート収容部に収容した状態を模式的に示す断面図である。
図7は、
図6に示されたシートカット部を模式的に示す平面図である。
【0038】
前述した構成のシート貼着装置1は、制御ユニット100が各構成要素を制御して、シート貼着動作を実行する。シート貼着動作では、シート貼着装置1のシート貼着部2が、前述したように、被加工物200の表面203にシート210を貼着する。シート貼着装置1は、搬送ユニットが表面203にシート210を貼着した被加工物200をシート貼着部2からシートカット部20に搬送し、被加工物200をチャックテーブル30の保持面31に載置するとともに、シート210の外周部分213を保持位置に位置付けられたシート保持板41の上面に載置する。このとき、シート貼着装置1は、チャックテーブル30と被加工物200とを互いに同軸となる位置に配置する。
【0039】
シート貼着装置1は、シート保持部40のシート保持板41の上面にシート210の外周部分213を吸引保持し、移動ユニット54によりカット部50のカッター51、回転ローラ52及び挟持ローラ53を下降させ、
図4及び
図5に示すように、カッター51の切り刃をシート210に切り込ませ、かつ回転ローラ52をシート210の不要部分212に押圧するとともに、挟持ローラ53をチャックテーブル30の保持面31上のシート210に押圧する。シート貼着装置1は、移動ユニット54によりカット部50のカッター51、回転ローラ52及び挟持ローラ53をチャックテーブル30の周方向に少なくとも一周回転させて、カッター51により被加工物200の全周に亘ってシート210を外縁206に沿って切断する。このとき、回転ローラ52の下端が挟持ローラ53の下端よりも下方に配置されているので、切断されたシート210の被加工物200の外縁206よりも外周側の不要部分212が被加工物200に貼着された部分よりも下方に位置付けられる。また、シート210を切断する際、回転ローラ52はチャックテーブルの周方向に移動するカッター51より移動方向後方に位置付けられており、カッター51によって切断された後のシート210を回転ローラでシート収容部に向かって確実に押し下げる。
【0040】
シート貼着装置1は、シート保持部40のシート保持板41のシート210の吸引を停止し、シート保持板41を保持解除位置に移動するとともに、移動ユニット54によりカッター51、回転ローラ52及び挟持ローラ53を上昇する。すると、
図6及び
図7に示すように、シート210の切断前の被加工物200の外縁206よりも外周側の不要部分212が、シート収容部21内に落とされ、シート収容部21内に収容される。こうして、シート貼着装置1は、
図2に実線で示すシート付き被加工物211(被加工物200と、被加工物200に貼着されかつ被加工物200と同径の円板状のシート210とを含むもの)を形成する。
【0041】
以上説明した実施形態1に係るシート貼着装置1は、カット部50により切断されたシート210の不要部分212をシート収容部21に向かって押圧する押圧部である回転ローラ52を備えるので、シート210の不要部分212を被加工物200に貼着されたシート付き被加工物211を形成する部分から確実に分離できるようにした。その結果、シート貼着装置1は、貼着後のシート210の不要部分212が被加工物200に接触して落下しにくくなる現象を解消することができ、貼着後のシート210の不要部分212を容易に除去することができるという効果を奏する。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 シート貼着装置
2 シート貼着部
20 シートカット部
21 シート収容部
30 チャックテーブル
31 保持面
40 シート保持部
50 カット部
51 カッター
52 回転ローラ(押圧部)
200 被加工物
206 外縁(外周)
210 シート
211 シート付き被加工物
212 不要部分
213 外周部分