(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】整形外科用インプラント準備システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/72 20060101AFI20241209BHJP
A61B 17/88 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
A61B17/72
A61B17/88
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021111570
(22)【出願日】2021-07-05
(62)【分割の表示】P 2017559376の分割
【原出願日】2016-05-13
【審査請求日】2021-08-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-23
(32)【優先日】2015-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・ライアン・ディーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エヌ・イェーガー
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】栗山 卓也
【審判官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0176868(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/88-17/90
A61F2/46
A61B17/16-17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形成ツールであって、
前記形成ツールは、
前記形成ツールの両端部を通って前記形成ツールの内部に延在するガイドスロットであって、前記ガイドスロットは、髄内管内に配置されるように構成されたガイドの挿入を軸線方向において受け入れるように構成されており、前記ガイドスロットは、前記形成ツールの長手方向軸線に垂直な1つ以上の方向において、受け入れられたガイドの周りでの前記形成ツールの直線的な変位を受け入れるサイズを有する、ガイドスロットと、
前記形成ツールの外壁に接続部材によって連結された骨準備装置であって、骨材料を変位させるように構成された骨準備装置と、
を備えており、
前記ガイドスロットは、前記形成ツールの前記長手方向軸線と同じ方向に延在するガイドスロット軸線を有しており、
前記ガイドスロットは、前記ガイドスロットの前記ガイドスロット軸線に垂直な方向に切断したときの断面内で前記ガイドスロット軸線に直交するよう延在する第1の軸線と、前記第1の軸線に直交するよう延在する第2の軸線と、有し、
前記ガイドスロットは、前記ガイドスロット軸線に垂直な方向に切断したときの断面において、前記ガイドスロット軸線を通る前記第
2の軸線を中心として前記断面を二分した場合に画定される第1の側および第2の側を有しており、
前記第1の側は、前記第1の軸線に沿う前記受け入れられたガイドに対する前記形成ツールの直線的な変位を、前記第1の軸線に沿って前記ガイドスロットの前記第2の側によって受け入れられる場合と比較して、より長い距離まで受け入れるように構成されており、
前記第2の側は、前記第2の軸線に沿う前記受け入れられたガイドに対する前記形成ツールの直線的な変位を、前記第2の軸線に沿って前記第1の側によって受け入れられる場合と比較して、より長い距離まで受け入れるように構成されており、
前記第1の軸線は、前記第2の軸線とは異なる、ことを特徴とする形成ツール。
【請求項2】
前記ガイドスロットは、前記ガイドスロット軸線に垂直な方向に切断したときの断面において、前記第2の軸線を分割線として使用しかつ前記ガイドスロットの断面形状を前記分割線で分割した場合に、前記第1の軸線が延在する方向において広がる前記断面形状のうちの一方の側の形状が前記断面形状のうちの他方の側の形状とは異なるような断面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の形成ツール。
【請求項3】
前記ガイドスロットは、前記ガイドスロット軸線に垂直な方向に切断したときの断面において、前記第
1の軸線を対称軸とした場合に、前記第
2の軸線が延在する方向において、線対称である断面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の形成ツール。
【請求項4】
前記ガイドスロット軸線は、前記形成ツールの前記長手方向軸線からずれているように、前記形成ツールの前記長手方向軸線に平行に延在することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれか一項に記載の形成ツール。
【請求項5】
前記外壁の近位端は、インプラント処置ツールからの衝撃力を受けるように構成された一対の対向するアームを含んでおり、
前記一対の対向するアームは、前記形成ツールの前記長手方向軸線に略垂直に延在することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の形成ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施形態は、概略的に、整形外科用インプラントまたは構成要素を骨に埋め込むための準備器具に関するものである。より詳細には、これに限定されないが、本出願の実施形態は、1つ以上の基準軸線に対して、選択的に制限された自由度を伴う、骨幹端インプラントまたはオーグメントおよび/または骨幹インプラントまたはオーグメントのインプラント処置のための器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の構成要素を含む交換ジョイント装置の適切な位置合わせは、多くの場合に、インプラントされたジョイント装置の最適な耐摩耗パフォーマンスを実現するのに寄与することができる。しかしながら身体構造上の差分によって、個々の患者に関してインプラントジョイント装置を適切に整列させる場合にいくつかの課題が示される。例えば、膝関節置換ジョイントのインプラント構築中に、患者の例えば髄内幹などの髄内形状をインプラントに係合することに関して課題が生じることがあり、一方で、顆状置換インプラントを伴う外部ジオメトリと骨幹端形状および/または骨幹形状との両方を関連するインプラントまたはオーグメント構成要素に係合することに関しても課題が生じることがある。さらに骨幹端および/または骨幹インプラントまたはオーグメントをインプラント構成要素に付加することは、多くの場合に、インプラントを調節可能に患者にフィットさせる能力および/またはインプラントのさまざまな構成要素の適切な位置合わせを実現する能力を損なう。このような困難は、時々、患者の身体構造、インプラントの幾何学的制約、および/または準備器具に関連する制約に起因すると考えられる。例えば、骨幹端および/または骨幹インプラントまたはオーグメントの幾何学的制約には、髄内幹および顆状インプラントの両方の配置またはポジションに適応できないことが含まれており、これは、それらインプラントのもしくは他のインプラントの構成要素の接合機構を形成する際の困難に起因すると考えられる。
【0003】
骨幹端および/または骨幹インプラントまたはオーグメントを伴うインプラント構築中の適切な位置合わせを達成することに関する課題は、時々、インプラント装置の少なくともいくつかの構成要素の配置に関して、例えば顆状インプラントのポジションに関して、妥協することによって解決されてきた。しかしながら、そうした妥協は最適な骨の範囲を満たさないことがあり、それによって、骨の皮質縁への構造物の装着性が潜在的に損なわれる可能性がある。他の妥協案として、ステムのポジションをずらすためにステムのサイズを縮小することが挙げられるが、このようにステムのポジションをずらすことによって空けられた領域はセメントで補修される。しかしながら、そのような妥協は、インプラントの耐用期間に悪影響を及ぼし、かつ妥協した関節の位置決めに関連する他の不具合の中でも、沈下、弛緩、応力遮蔽要因、およびインプラント装置への応力の増加に関連する不具合に少なくとも部分的に起因すると考えられる。
【0004】
そのため、完全なインプラント構築物は、他のオーグメントのうち例えばステム、スリーブおよびコーンなどの埋め込まれるオーグメントが関節構成要素および/または他の補強インプラントと干渉しない位置におけるオーグメントの位置決めに対応するようにインプラント手術中に骨が形状付けられない場合には、悪影響を及ぼすことがある。なお、患者のさまざまな身体構造に関して、多くの場合に、最適な位置に補強インプラントを位置決めする能力に関して課題が存在する。例えば、最適な骨の範囲を達成するために、関節構成要素のステム接続(ポスト)軸線は、ステム軸線とは異なる位置にある必要があり得る。さらに、そのような位置決めを達成することができないことによって、他の妥協案の中でも、インプラントされた装置の構造、耐用期間および/またはパフォーマンスの妥協につながることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の一態様は、遠位端および近位端を有する外壁を有する形成ツールに関するものであり、遠位端は、骨材料の変位を容易にするように構成された骨準備装置に形成ツールを連結するように適合された接続部材を有する。形成ツールはさらに、外壁を通って延在するガイドスロットを含む。ガイドスロットは、髄内管内に配置するように構成されたガイドの軸線方向の挿入を受け入れるようなサイズになされる。加えて、ガイドスロットは、ガイドスロット軸線を有しており、かつ形成ツールの長手方向軸線に垂直な1つ以上の方向において、受け入れられたガイドの周りで形成ツールを直線的に移動させるような形状になされている。
【0006】
本出願の別の態様は、骨材料の変位を容易にするために形成ツールを骨準備装置に連結するように適合された接続部材を含む外壁を有する形成ツールに関するものである。形成ツールはさらに、外壁を通って延在するガイドスロットをさらに含み、ガイドスロットは、ガイドスロットのガイドスロット軸線に沿う断面形状において非対称となっている。加えてガイドスロットは、髄内管内に配置するように構成されたガイドの軸線方向の挿入を受け入れるようなサイズになされる。
【0007】
本出願の別の態様は、形成ツールの外壁を通って延在するガイドスロットを有する形成ツールに関するものであり、ガイドスロットは、ガイドスロットのガイドスロット軸線に沿う断面形状において非対称となっている。ガイドスロットは、骨髄管内に配置されるように構成されたガイドの軸線方向の挿入を受け入れるように適合される。加えて、ガイドスロットは、形成ツールの長手方向軸線に垂直な1つ以上の方向において、受け入れられたガイドの周りで形成ツールを直線的に変位させるのに適するようなサイズになされる。形成ツールはまた、接続部材によって外壁に連結された骨準備装置を含んでおり、骨準備装置は、骨材料を変位させるように構成されている。
【0008】
本明細書の説明に関して、いくつかの図を通して同様の参照符号が同様の部分を示す添付図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本出願の図示された実施形態に基づくオーグメントまたはインプラント装置のインプラント処置のために骨を準備するための形成ツールの正面斜視図である。
【
図2】ガイド軸線に沿って延在するとともに患者の髄内管に挿入される、方向参照器具またはガイドの正面斜視図である。
【
図3】
図2に示されたガイドのうち、
図1に示された形成ツール内に配置された少なくとも一部の正面斜視図である。
【
図4A】骨準備装置を伴わない、少なくとも形成ツールの対称的な位置決めに対応するガイドスロットのための例示的な第1の形状を有する、
図1に示す形成ツールの側面斜視図である。
【
図4B】限定された位置自由度を有し、脛骨にわたってかつ参照ガイドまたは器具の周りに配置された、
図3および
図4Aに示す形成ツールの断面図である。
【
図4C】脛骨にわたってかつ参照ガイドまたは器具の周りに配置された非対称位置自由度を有する形成ツールの断面図である。
【
図4D】脛骨にわたってかつ参照ガイドまたは器具の周りに配置された対称的な位置自由度を有する形成ツールの断面図である。
【
図5A】骨準備装置を伴わない、少なくとも形成ツールの非対称的な位置決めに対応するガイドスロットの例示的な第2の形状を有する、
図1に示す形成ツールの側面斜視図である。
【
図6A】骨準備装置を伴わない、少なくとも形成ツールの非対称的な位置決めに対応するガイドスロットの例示的な第3の形状を有する、
図1に示す形成ツールの側面斜視図である。
【
図7A】骨準備装置を伴わない、少なくとも形成ツールの非対称的な位置決めに対応するガイドスロットの例示的な第4の形状を有する、
図1に示す形成ツールの側面斜視図である。
【
図8】本出願の図示された実施形態に基づく例示的な骨準備装置を示す図である。
【
図9A】大腿骨構成要素、オーグメント、およびステムを含む、第1の例示的な大腿骨インプラントの斜視図である。
【
図9B】ステムに対するオーグメントの非対称的な自由度を示す、
図9Aの線9B-9Bに沿った断面図である。
【
図9C】ステムに対するオーグメントの非対称的な自由度を示す、
図9Aの線9C-9Cに沿った断面図である。
【
図10A】脛骨トレイと、オーグメントと、ステムとを含む例示的な脛骨インプラントの正面斜視図を示す。
【
図10B】ステムおよび脛骨構成要素に対する非対称的な自由度を示す、
図10Aの線10B-10Bに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述の概要、ならびに本出願の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、同様の参照符号が同様の特徴、構成要素および方法ステップを示す添付の図面と併せて読むことで、よりよく理解されるであろう。本発明を例示するために、図面に特定の実施形態が示されている。なお本発明は、添付の図面に示された構成および手段に限定されないことを理解されたい。
【0011】
便宜上、特定の用語が上述の説明で使用されているがこれに限定する意図はない。「上」、「下」、「上部」、「下部」、「第1」、および「第2」などの言葉は、図面において参照される方向を意味する。この用語は、上で具体的に述べた言葉、その派生語、および同様の意味の言葉を含む。さらに、単語「a」および「one」は、特に明記しない限り、参照される項目を1つ以上含むものとして定義される。「A、BまたはC」などの2つ以上の項目のリストが続く「少なくとも1つ」とのフレーズは、A、BまたはCのそれぞれ1つ、ならびにその組み合わせを意味する。
【0012】
図1は、本出願の例示的な実施形態に基づくオーグメント装置またはインプラント装置(まとめて「オーグメント」と称する)をインプラントするために骨を準備するための形成ツール100の正面斜視図を示す。形成ツール100は、後述するように、形成ツール100の遠位端104(
図4A)に選択的に連結された骨準備装置102を含む。形成ツール100はまた、例えばハンマーまたは槌で打撃されるかあるいは衝撃を受けるように構成された近位端106などの、インプラント処置ツールと係合するように構成された近位端106を含む。あるいは、近位端106は、例えば振動鋸またはドリルを含む、骨のオーグメント開口部の形成に役立ち得る別の器具に連結されるように構成されている。
【0013】
形成ツール100は、
図2および
図3に示されるように、他のガイドの中でも、例えば髄内ロッド、トライアルステム、リーマまたはオフセットロッドなどの、方向参照器具またはガイド108の少なくとも一部の挿入を受け入れるかあるいは係合するように構成されている。
図2および
図3に示される例によれば、ガイド108は、ガイド軸線110に沿って延在する髄内ロッドであり、患者の骨115内の髄内管112の長手方向軸線111とおおむね位置合わせされてもしなくてもよい。さらに、図示された実施形態によれば、骨準備装置102は、骨115において(
図2では「X」で示される)深さを有するオーグメント開口部114を形成するように適合される。さらに、オーグメント開口部114は、例えば
図2に示されるように、中央オーグメント開口部116の周りに位置決めされており、かつ、例えばガイド軸線110、髄内管112の長手方向軸線111、および/またはインプラント装置またはその構成要素の1つ以上の他の軸線などの基準軸線とおおむね同じ位置に配置されてもよくまたは基準軸線から角度および直線方向にずらされて配置されてもよい。
【0014】
例示された実施形態によれば、形成ツール100の近位端106は、オーグメント開口部114の形成中に衝撃を受けるように構成された1つ以上のプラットホーム118a、118bを含む。さらに、図示された実施形態では、一対のプラットホーム118a、118bは、形成ツール100の長手方向軸線126(
図1)から外側へ向けてプラットホーム軸線128(
図5B)に沿って延在しており、プラットホーム軸線128は、形成ツール100の長手方向軸線126に対して略垂直である。そうした実施形態によれば、プラットホーム118a、118bの両端部130a、130bは、例えばマレットなどのインプラント処置ツールが形成ツール100に衝撃を与えるかまたは係合することを可能にする領域のサイズを大きくできるような直線的な全長をプラットホーム118a、118bに提供する距離だけ、離間することができる。なおプラットホーム118a、118bは、さまざまな他の形状を有してもよく、かつ他の形状および/または形状セグメントのうち、例えば円形、非円形、丸または三角形などの形状を含む構成を有することができる。
【0015】
図示された実施形態によれば、プラットホーム118a、118bは、インプラント処置ツールに直接的にまたは間接的に衝撃を与えるかまたはヒットするように構成された上面120a、120bを含む。プラットホーム118a、118bの外縁壁122a、122bは、プラットホーム118a、118bの上面120a、120bから下面124a、124bまで延在できる。さらに、プラットホーム118a、118bは、プラットホーム118a、118bが打撃装置によって少なくともプラットホーム118a、118bに与えられる衝撃力に耐えるのを容易にする支援となるような所定の厚さを有することができる。プラットホーム118a、118bはまた、少なくとも
図3に示されるようにかつ後述するように、形成ツール100の少なくとも一部分を通って延在するガイドスロット134と流体連通しかつ/またはその延長部である開口部132を含んでもよい。図示された実施形態では、開口部132は、少なくともガイド108および/またはガイド軸線110に対する少なくとも形成ツール100の一部の位置を示すように、ガイドスロット134への視覚的なアクセスをユーザに提供できる。
【0016】
形成ツール100は、少なくともプラットホーム118a、118bと形成ツール100の遠位端104との間に延在する外壁136を含む。さらに、外壁136は、単一の一体構造を有していても、有していなくてもよい。さらに、特定の実施形態によれば、外壁136のサイズおよび形状は、形成ツール100のさまざまな部分に沿って変化してもよい。例えば、図示された実施形態によれば、形成ツール100の第1のセクション138は、プラットホーム118a、118bの下面124a、124bから形成ツール100の第2のセクション140まで延在できる。図示された実施形態では、形成ツール100の第1のセクション138は概して、形成ツール100を把持するかまたは保持するユーザの能力を向上させるように構成できる。したがって、図示された実施形態では、第1のセクション138は、対向する一対の第2の壁144a、144bによって互いに接続された対向する一対の第1の壁142a、142bを含むことができる。第1の壁142a、142bおよび第2の壁144a、144bは、さまざまな形状およびサイズを有することができる。例えば
図1を参照して、特定の実施形態によれば、対向する第1の壁142a、142bは、形成ツール100の長手方向軸線126に略平行な面に沿って延在する略平坦形状または略直線形状を有することができる。さらに、特定の実施形態によれば、第2の壁144a、144bは、第2の壁144a、144bが湾曲した形状または少なくとも部分的に丸みを帯びた形状を有するように所定の半径に沿って延在することができる。なお外壁136の第1のセクション138は、他の同様の形状または異なる形状、他の同様のサイズまたは異なるサイズ、および他の同様の構成または異なる構成を有することができる。
【0017】
図3に示されるように、特定の実施形態によれば、外壁136の第1のセクション138は、第1のセクション138の一部に沿って延在するとともに第1の壁142a、142bを通って延在する1つ以上のオリフィス146a、146bを含むことができる。加えて、図示された実施形態によれば、オリフィス146a、146bは、それぞれ、複数の平行なまたは非平行なオリフィス軸線に沿って延在できる。複数のオリフィス軸線は、形成ツール100の長手方向軸線126に垂直である。さらに、オリフィス146a、146bは、例えば第2のセクション140を通って延在することを含むように外壁136の第1のセクション138に位置決めされるのに加えてまたはその代わりに、さまざまな他の場所に配置することができる。さらに、オリフィス146a、146bは、さまざまな形状およびサイズを有することができる。さらに、そうしたオリフィス146a、146bは、例えば(これに限定されないが)髄内管112、ガイド108および/またはガイド軸線110に対する形成ツール100の相対的なポジションなど、参照インジケータまたは基準軸線に対する形成ツール100のポジションを測定するユーザの能力を容易にすることができるように接続される。
【0018】
特定の実施形態によれば、外壁136の第2のセクション140は、形成ツール100の遠位端104の方向におおむね向けて第1のセクション138から延在することができる。第2のセクション140は、第1のセクション138と同様のサイズおよび形状を有していても有していなくてもよい。例えば、図示された実施形態によれば、第2のセクション140は、一様な形状またはサイズのまたは不均一な形状またはサイズの略円筒形状を有することができる。代替的に、第2のセクション140または第2のセクション140の一部を除去することができ、その代わりに、外壁136の第1のセクション138は、少なくとも
図4Aに図示されるように、形成ツール100の接続部材部分146までおおむね延在してもよい。反対に、他の実施形態によれば、外壁136の第1のセクション138または第1のセクション138の一部分を、除去でき、かつまたは、外壁136の第2のセクション140と交換できる。
【0019】
形成ツール100の接続部材146は、骨準備装置102に直接的にまたは間接的に連結されるように構成できる。さらに、接続部材146には、接続部材146ひいては形成ツール100を骨準備装置102にしっかりと連結するよう利用できるさまざまな異なる構成を付与できる。例えば、少なくとも
図4Aおよび
図8に示されるように、接続部材146は、骨準備装置102の開口部148内の雌ねじと噛合するように構成された雄ねじを含むことができる。他の実施形態によれば、接続部材146および骨準備装置102は、キーまたは形成ツール100からの他の突起の挿入を介して、骨準備装置102のスロットに接続されるかあるいは押し付けられる。他の実施形態によれば、接続部材146および骨準備装置102は、バネ把持機構または他の付勢機構もしくは保持機構によって互いに結合できる。
【0020】
形成ツール100は、形成ツール100の少なくとも一部を通って延在するガイドスロット134を含む。ガイドスロット134は、ガイド108の少なくとも一部の挿入を少なくとも受け入れるようなサイズになされる。
図4Bに示されるように、特定の構成によれば、ガイドスロット134aは、ガイド108と同様の断面サイズおよび/または形状を有することができる。さらに、
図4Bに示されるように、特定の実施形態によれば、ガイドスロット134aは、ガイド108と同様のサイズ、例えばガイド108の外径と同様の内径を有することができ、それによってガイドスロット134aは、ガイド108の挿入を受け入れることができ、挿入されたガイド108の周りでの形成ツール100の限定された変位を可能にする。したがって、ガイドスロット134aおよびガイド108の形状および/またはサイズのそのような類似性は、オーグメント開口部114が形成ツール100の使用によって骨115に形成される位置の調整を制限するかまたは抑える。
【0021】
図4A、
図4Cおよび
図4Dを参照すると、他の実施形態によれば、ガイドスロット134b、134b’は、少なくとも挿入されたガイド108の位置に対する形成ツール100のポジションの調整を可能にするサイズおよび/形状を有することができ、ひいてはオーグメント開口部114を骨115に形成できる位置の調整を可能にするサイズおよび/形状を有することができ、例えば、
図4Aおよび
図4Dには、
図4Bに示すガイドスロット134aと同様のあるいはガイドスロット134aよりも大きい形状を有するガイドスロット134bを含む形成ツール100が示される。ガイドスロット134bのサイズをこのように大きくすることによって、挿入されたガイド108の周りでの形成ツール100の対称的な変位に関する自由度を高めかつ/または増大させることができ、それによって少なくともガイド108に対する少なくとも骨準備装置102ひいてはオーグメント開口部114のポジションの変更に関する自由度を高めかつ/または増大させることができる。したがって、
図4Bに示す直径がより小さなガイドスロット134aが、ガイド108に対する少なくとも形成ツール100の位置の変更をおおむね防止できる一方で、
図4Aおよび
図4Dに示す直径がより大きいガイドスロット134bは、形成ツール100をガイド108の周りでさまざまな異なる方向に移動可能にし、それによって、少なくとも、オーグメント開口部114が形成ツール100の使用によって骨115内に形成可能となる位置における調整が可能となる。
【0022】
図4Cおよび
図4Dは、ガイド108を例えばガイドスロット134b、134bの左下部分におおむね配置できるように、形成ツール100を変位可能とするサイズになされた非対称的かつ対称的なガイドスロット134b、134b’を示す。そうした例によれば、
図4Bに示されるガイドスロット134aとは異なり、
図4Cおよび
図4Dに示されるガイドスロット134b、134b’の形状および/またはサイズは、形成ツール100の長手方向軸線126が、他の軸線のうち(
図4Cの「X」および「Y」の方向によって示される)少なくとも2つの軸線と、これら軸線(X,Y)を併せ持つ複数の方向とに沿ってガイド108のガイド軸線110からずれることができるように、形成ツール100の変位を可能にする。さらに、
図4Dに示すように、この例示的な実施形態では、そうした動きやすさによって、形成ツール100を、ガイド108が骨準備装置102の内壁148と接触するように配置でき、それによってガイド108と内壁148の反対側の面との間の距離を増大できる。さらに、そうした位置決めは、例えば、脛骨ステムおよび/または脛骨トレイから延在するトレイステムに接触するような、オーグメントがインプラント装置の他の構成要素に接触するポジションにオーグメントをインプラントできる。
【0023】
特定の実施形態によれば、ガイドスロット134は、少なくとも2つの軸線(X、Y)およびその組み合わせに沿った変位に加えて、(
図4Cの「Z」方向によって示されているように)形成ツール100の角度方向における調整または変位をある程度実現可能にする。そうした角度方向における変位は、少なくとも特定の状況において、形成ツール100の少なくとも長手方向軸線126および/または結果的に形成されたオーグメント開口部114の中心オーグメント軸線116を、少なくともガイド108のガイド軸線110に対して非平行状態にすることができる。
【0024】
図5A~
図7Bは、ガイド108の周りでの形成ツール100の変位を受け入れかつ/または制限することができるさまざまな形状およびサイズを有するガイドスロット134c~eを有する形成ツール100を示す。例えば、
図5A~
図5Bは、略三角形または三面形状を有するガイドスロット134cを示す。
図5Bに示す方向では、ガイドスロット134cは、図示された形成ツール100の長手方向軸線126に対して垂直でありかつプラットホーム軸線128にほぼ平行な横断中心線150に対して、非対称である。なお、横断中心線150は、例えば、長手方向軸線126および/またはプラットホーム軸線128からずれたものを含むさまざまな位置および/または方向に配置できる。さらに、特定の実施形態によれば、横断中心線150は、図示された形成ツール100の長手方向軸線126に対して垂直でなくてもよく、かつ/またはプラットホーム軸線128に対して非平行であってもよい。
【0025】
図5Aおよび
図5Bに示す構成では、横断中心線150に対するガイドスロット134cの第1の側152
bは、ガイドスロット134cの反対側の第2の側152
aが少なくとも(
図5Bの「X」で示される)第1の軸線に沿ったガイド108の周りでの形成ツール100の直線的な変位を受け入れられる程度に比べて、少なくとも第1の軸線に沿ったガイド108の周りでの形成ツール100の直線的な変位をより大きな程度まで受け入れるよう構成できる。反対に、反対側の第2の側152
aを、ガイドスロット134cの第1の側152
bが受け入れる(
図5Bの「Y」で示す)少なくとも異なる少なくとも第2の軸線に沿ったガイド108の周りでの形成ツール100の直線的な変位と比較して、(
図5Bの「Y」で示す)少なくとも異なる少なくとも第2の軸線に沿ったガイド108の周りでの形成ツール100の直線的な変位をより大きな程度まで受け入れ可能なサイズのものとすることができる。したがって、ガイドスロット134cの三角形状によって、ガイドスロット134cの第1および第2の側152
b、152
aは、第2の軸線(X、Y)の組み合わせに沿ったガイドスロット134cの周りでの形成ツール100の直線的な変位をさまざまな程度まで受け入れることができるようになる。同様にガイドスロット134cのさまざまな形状および/またはサイズによって、ガイドスロット134cの第1および第2の側152
b、152
aは、ガイド108の周りでの形成ツール100の回転変位をさまざまな程度まで対応できるようになる。
【0026】
図5Aおよび
図5Bと同様に、
図6Aおよび
図6Bに示すテーパ形状のガイドスロット134dと、
図7Aおよび
図7Bのガイドスロット134eの異なるサイズの交わった複数の円は、少なくともガイド108に対する形成ツール100の直線的な変位および/または回転変位をさまざまな程度まで受け入れことができる、横断中心線150に対する第1および第2の側152
b、152
aを提供できる。
【0027】
代替的に、他の実施形態によれば、ガイド108は、形成ツール100の少なくとも一部の挿入を受け入れるように構成できる。そうした代替的な実施形態によれば、ガイド108は、形成ツール100の少なくとも一部の挿入を受け入れる開口部を含むことができ、開口部は、ガイド108に対する少なくとも形成ツール100の直線的な変位および/または回転変位が対称的であっても非対称的であっても、その変位の自由度を制限するように構成されている。
【0028】
図8は、本出願の図示された実施形態に基づく形成ツール100の接続部材146に動作可能に取り付けられるように構成された例示的な骨準備デバイス102を示す。図示した実施形態では、骨準備装置102は抜髄針(broach)である。そうした実施形態によれば、形成ツール100の近位端106は、例えば骨115の中に押し込まれる骨準備装置102などのマレットによって打撃されるツールによって係合可能となる。形成ツール100は、骨準備装置102が特定の深さに達するまでかつ/または特定の形状が骨115内に得られるまで、ツールによって係合状態を持続できる。さらに、骨115の特定の深さおよび/または形状を実現すると、骨準備装置102は、接続部材146から取り外されて、より大きな抜髄針などの異なるサイズの骨準備装置102と交換される。このプロセスは、特定のサイズおよび/または特定の形状が骨115内に実現されるまで繰り返されてもよい。なお、抜髄針以外のさまざまな異なるタイプの骨準備装置102は、例えばやすり、リーマ、または他の切断器具を含む形成ツール100とともに使用することもできる。
【0029】
図示された実施形態では、骨準備装置102は、周囲の骨115への骨準備装置102の移動を容易にしかつ/または周囲の骨115からの骨準備装置102の除去を容易にするように適合された外面154を含む。さらに、特定の実施形態によれば、骨準備装置102の外面154は、骨準備装置102の中心切断軸線154の周りに対称的にまたは非対称的に延在することができる。図示された実施形態によれば、使用中、中心切断軸線154はおおむね形成ツール100の長手方向軸線126に沿って配置されてもよい。
【0030】
骨準備装置102の開口148は、接続部材146と骨準備装置102との間の確実な連結を容易にするよう構成できる。図示された実施形態によれば、開口148は、接続部材146の雄ねじと噛み合うように適合された雌ねじを含むことができる。なお、接続部材146および骨準備装置102は、他の保持構成要素の中でも、例えばスロット付き構造、バネ把持構造または付勢構造を含むさまざまな他の方法で、直接的にまたは間接的にともに結合できる。加えて、形成ツール100の上述の例は、骨準備装置102とともに使用することに関する説明であるが、これに限定されないがインプラント装置のためのトライアル構成要素を含むさまざまな他の構成要素を、同様の様式で形成ツール100に取り付けることができる。
【0031】
図9Aは、大腿骨構成要素160、大腿骨オーグメント162、およびステム164を含む例示的な大腿骨インプラント158の斜視図を示す。大腿骨オーグメント162のために、他のオーグメントのうち例えばコーンまたはスリーブオーグメントを含むさまざまな異なるオーグメントを使用できる。
図9Aに示されるように、図示される例によれば、ステム164は、ステム軸線166に沿って延在できる。さらに、大腿骨インプラント158は、ステム軸線166が大腿骨オーグメント162の中心オーグメント軸線168からずれてもずれていなくてもいいように、構成配置できる。
【0032】
図9Aにおいて線9B-9Bに沿って切り取られた断面図である
図9Bは、
図9Aにおける線9C-9Cを用いて見えるようにしたステム164に対する大腿骨オーグメント162のインプラントポジションにおける非対称的な位置自由度の例を示し、
図9Cには、例えば形成ツール100の使用によって利用可能となった大腿骨構成要素160の大腿骨ステムなどの、ステム164および大腿骨構成要素160に対する大腿骨オーグメント162のインプラントポジションにおける非対称的な位置自由度の例を示す。例示するために、
図9Bおよび
図9Cは、(
図9Bおよび
図9Cにおいて「X
1」によって示される)第1の変位方向と、(
図9Bおよび
図9Cにおいて「Y
1」によって示される)第2の方向と、を示す。第2の方向は、オーグメント開口部114を、骨115内にひいてはオーグメント162がステム164、大腿骨構成要素160および/またはガイド108に対して変位されるかまたはずれる位置において、位置決めできかつ/または形成できる略垂直方向に対応できる。図示した例では、オーグメント開口部114の位置決めにおける非対称的な自由度ひいてはオーグメント162の位置は、少なくとも部分的に、第1の方向(X
1)に沿った長さと第2の方向(Y
1)に沿った長さとにおける差異によって提供されてもよい。さらに、例えば
図5A~
図6Bに示されている非対称的なガイドスロット134c、134dのような非対称的なガイドスロット134を有する形成ツール100を使用することによって、少なくとも髄内管112、ガイド108、ステム164、および/または大腿骨構成要素160に対するオーグメント162のポジションにおけるそうした非対称的な自由を提供できる。
【0033】
さらに、概略的に2つの変位方向について説明してきたが、少なくとも
図9A~
図9Cに関連して上述した非対称的な位置自由度は、第1の方向X
1および第2の方向Y
1の間もしくは第1の方向X
1および第2の方向Y
1の組み合わせを含む他の方向において、かつ例えば
図4Cで基準にされる「Z」軸線に沿うような第3の軸線に沿って、延在してもよい。
【0034】
図10Aおよび
図10Cは脛骨インプラント172のオーグメント176を示しており、このものにおいて、脛骨トレイ174、脛骨オーグメント176およびステム178をさらに含む例示的な脛骨インプラント172を示す。加えて、
図10Bは、例えば脛骨ベースまたはトレイ174、脛骨オーグメント176、ステム178および/または他の脛骨コンポーネント180を含む脛骨インプラント172の構成要素と、これらの構成要素の完全性と、少なくとも形成されるかまたは形状付けられたオーグメント開口部114および/または関連する骨115(
図2)の完全性に関する基準とが、形成ツール100の配置に関しておよび/または関連するオーグメント開口部114または骨115におけるオーグメント176の配置に関して得ることができる不規則なつまり一貫性のない自由度をもたらす。例えば、
図10Bに示されるように、オーグメント開口部114の形成に利用可能な自由度と、(
図10Bの「X
1」によって示される)第1の方向に沿った少なくともオーグメント176とステム178および/またはトレイステム180の結果的に生じる相対的なポジションとは、(
図10Bの「Z
1」で示される)第2の隣接しかつ垂直でない方向に沿った利用可能な自由度と比べて、より大きくすることができる。
【0035】
本発明について、最も実践された好ましい実施形態であると目下のところ考えられているものに関連して説明してきたが、本発明が、開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲に含まれるさまざまな変更および同等の構成を包含するよう意図されたものであり、その範囲は、法律の下で許容されるようなすべてのそうした変更および同等の構造を包含するように最も広い解釈が与えられる。さらに、上述の説明における好ましい、好ましくは、または好ましいとの言葉の使用は、そのように記載された特徴がより望ましいことを意味するが、必須のものではなくてもよく、かつそうした特徴を伴わない実施形態が、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に考慮され得る。特許請求の範囲に関して、「a」、「an」、「少なくとも1つ」、および「少なくとも一部分」などの用語が使用される場合、特許請求の範囲で具体的に記載されていない限り、特許請求の範囲を1つの項目のみに限定する意図はないよう意図されている。さらに、「少なくとも一部分」および/または「一部分」との用語が使用される場合、その項目は、特に具体的に記載されない限り、その項目の一部および/またはその全体を含んでもよい。
【符号の説明】
【0036】
100 形成ツール
102 骨準備装置
104 遠位端
106 近位端
108 ガイド
110 ガイド軸線
111 長手方向軸線
112 髄内管
114 オーグメント開口部
115 骨
116 中心オーグメント軸線
118a、118b プラットホーム
126 長手方向軸線
134 ガイドスロット
138 第1のセクション
140 第2のセクション
146 接続部材
150 中心線
162 オーグメント