IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

特許7600097ポリウレタン発泡体を製造するためのシリコーン非含有の発泡安定剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】ポリウレタン発泡体を製造するためのシリコーン非含有の発泡安定剤
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20241209BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20241209BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20241209BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20241209BHJP
【FI】
C08G18/00 H
C08G18/00 J
C08L75/04
C08L71/02
C08G101:00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021504249
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019069181
(87)【国際公開番号】W WO2020020709
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】18185412.6
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】トモフィク,ツェリコ
(72)【発明者】
【氏名】クローニヒ,ザブリナ
(72)【発明者】
【氏名】メラー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ズゾフ,マルクス
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-506663(JP,A)
【文献】特表2013-538916(JP,A)
【文献】特開2009-073867(JP,A)
【文献】特表2014-511425(JP,A)
【文献】特表2001-505941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00- 18/87
C08G71/00- 71/04
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリイソシアネート、
(b)イソシアネート反応性基を有するポリマー化合物、
(c)シリコーン非含有の発泡安定剤、
(d)任意に鎖延長剤および/または架橋剤、
(e)触媒、
(f)発泡剤、
(g)任意に助剤および/または添加剤
を混合して反応混合物を提供し、前記反応混合物を反応させてポリウレタンを提供することを含み、
前記シリコーン非含有の発泡安定剤(c)は、官能価1~官能価8のスターター分子をアルキレンオキシドでアルコキシル化することによって得ることができ、用いる前記アルキレンオキシドの0質量%~5質量%はエチレンオキシドであり、用いる前記アルキレンオキシドの0質量%~10質量%は1,2-プロピレンオキシドであり、および用いる前記アルキレンオキシドの少なくとも90質量%は4個から10個の炭素原子を含み、前記シリコーン非含有の発泡安定剤(c)の数平均分子量は500~20000g/モルであり、シリコーンベースの発泡安定剤の含有量は、化合物(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の合計質量に基づいて0.3質量%未満であり
シリコーン非含有の発泡安定剤(c)の割合が、前記化合物(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の合計質量に基づいて、0.01質量%~10質量%であり、且つ
前記イソシアネート反応性基を有するポリマー化合物(b)が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびこれらの混合物の群から選択される化合物である、ポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項2】
前記シリコーン非含有の発泡安定剤(c)は、官能価1~官能価8のスターター分子をアルキレンオキシドでアルコキシル化することによって得ることができ、用いる前記アルキレンオキシドの0質量%~2質量%はエチレンオキシドであり、用いる前記アルキレンオキシドの0質量%~5質量%は1,2-プロピレンオキシドであり、および用いる前記アルキレンオキシドの少なくとも95質量%は、4個から10個の炭素原子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコーン非含有の発泡安定剤(c)の製造において用いる前記アルキレンオキシドの100質量%が、4個から10個の炭素原子を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコーン非含有の発泡安定剤(c)の製造において用いる前記アルキレンオキシドが、エポキシブタン、エポキシペンタン、エポキシヘキサン、エポキシヘプタン、エポキシオクタン、エポキシノナン、エポキシデカンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコーン非含有の発泡安定剤(c)の製造のためのスターター分子の平均官能価が、1~3の官能価を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記シリコーン非含有の発泡安定剤(c)の保持されたOH基の一部またはすべてが、アルコキシル化後にキャップされる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
イソシアネート反応性基を有する前記ポリマー化合物が、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの混合物をスターター分子上に加えることによって得ることができるポリエーテルアルコール(b1)を含み、ポリエーテルアルコール(b1)の製造に使用される前記アルキレンオキシドの少なくとも90質量%は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシドおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
シリコーンベースの発泡安定剤を用いない、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリウレタン発泡体が、DIN53421/DIN EN ISO604に準拠した10%圧縮で15kPa以下の圧縮応力、および10~100g/Lの密度を有する軟質ポリウレタンフォームである、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒(e)が、組み込み可能なアミン触媒を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
(b)イソシアネート反応性基を有するポリマー化合物、
(c)シリコーン非含有の発泡安定剤、
(d)任意に鎖延長剤および/または架橋剤、
(e)触媒、
(f)発泡剤、および
(g)任意に助剤および/または添加剤
を含み、
前記シリコーン非含有の発泡安定剤(c)は、官能価1~官能価8のスターター分子をアルキレンオキシドでアルコキシル化することによって得ることができ、用いる前記アルキレンオキシドの0質量%~5質量%はエチレンオキシドであり、用いる前記アルキレンオキシドの0質量%~10質量%は1,2-プロピレンオキシドであり、および用いる前記アルキレンオキシドの少なくとも90質量%は4個から10個の炭素原子を含み、前記シリコーン非含有の発泡安定剤(c)の数平均分子量は500~20000g/モルであり、且つシリコーン非含有の発泡安定剤(c)の割合が、前記化合物(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の合計質量に基づいて、0.01質量%~10質量%であり、シリコーンベースの発泡安定剤の含有量は、化合物(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の合計質量に基づいて0.3質量%未満であり、
前記イソシアネート反応性基を有するポリマー化合物(b)が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびこれらの混合物の群から選択される化合物である、ポリオール混合物。
【請求項12】
前記シリコーン非含有の発泡安定剤(c)は、官能価1~官能価8のスターター分子をアルキレンオキシドでアルコキシル化することによって得ることができ、用いる前記アルキレンオキシドの0質量%~2質量%はエチレンオキシドであり、用いる前記アルキレンオキシドの0質量%~5質量%は1,2-プロピレンオキシドであり、および用いる前記アルキレンオキシドの少なくとも95質量%は4個から10個の炭素原子を含む、請求項11に記載のポリオール混合物。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法により得ることができるポリウレタン発泡体
【請求項14】
請求項13によるポリウレタン発泡体を閉鎖空間または車両の内部で使用する方法。
【請求項15】
マットレスまたはシートクッションまたは車両のシートクッションまたはヘッドレストを製造するための請求項14による使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)ポリイソシアネート、(b)イソシアネート反応性基を有するポリマー化合物、(c)シリコーン非含有の安定剤、(d)任意に鎖延長剤および/または架橋剤、(e)触媒、(f)発泡剤、および(g)任意に助剤および/または添加剤を混合して反応混合物を提供し、この反応混合物を反応させてポリウレタンを提供することを含む、ポリウレタン発泡体の製造方法に関する。ここでシリコーン非含有の安定剤(c)は、官能価1~官能価8のスターター分子をアルキレンオキシドでアルコキシル化することによって得ることができ、用いるアルキレンオキシドの0質量%~9質量%はエチレンオキシドであり、用いるアルキレンオキシドの0質量%~50質量%は1,2-プロピレンオキシドであり、および用いるアルキレンオキシドの少なくとも50質量%は少なくとも4個の炭素原子を含み、シリコーン非含有の安定剤(c)の数平均分子量は500~20000g/モルであり、シリコーンベースの発泡安定剤の含有量は、化合物(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の合計質量に基づいて0.3質量%未満である。本発明はさらに、シリコーン非含有の安定剤(c)を含むポリオール成分に関し、本発明による方法によって得ることができるポリウレタン発泡体に関し、および本発明によるポリウレタン発泡体を閉鎖空間においてまたは車両の内部において使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン発泡体の製造において、液体のポリイソシアネートを、通常は、イソシアネート反応性の高分子量基を含む同様に液体の化合物および発泡剤と混合し、反応させてポリウレタン発泡体を提供する。用いられる発泡剤には、イソシアネート基と反応して二酸化炭素を形成する化学的発泡剤、および/またはポリウレタンの製造中に放出される熱の結果として蒸発する物理的発泡剤が含まれる。これにより、ポリウレタンを形成する反応および発泡反応が実質的に同時に進行する。安定した発泡体の形成を確実にするために、発泡安定剤を使用するのが慣例である。これらの化合物は、ポリウレタン反応中に形成されたガスが反応混合物から漏れないこと、および得られる発泡体が、もはや崩壊できない程度にポリウレタン反応が完了するまで安定したままであることを確実にする。
【0003】
通常用いられる発泡安定剤は、ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンコポリマー/ポリエーテルシロキサンである。そのようなシロキサンベースの発泡安定剤は、例えば、「Kunststoffhandbuch」、第7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第3.4.4.2章に記載されている。これらのシリコーン安定剤は、通常は極めて高価であり、多くの場合、ポリウレタン発泡体の製造において最も高価な成分である。従って、シリコーンベースの発泡安定剤を、同じ効果を有する他の物質で置き換える試みがなされてきた。よって、WO2016095128は、ポリウレタン発泡体を製造するための、イソシアネートを含有し、パーフルオロベースの界面活性物質を記載している。WO95/16721は、ポリウレタン発泡体の製造における発泡安定剤としてのシリコーン非含有のポリエーテル化合物をさらに記載している。これらは特に硬質ポリウレタン発泡体の製造に用いられ、ポリエーテル中のオキシアルキレン単位の質量分率に基づいて、10質量%~90質量%のオキシエチレン単位および90質量%~10質量%のオキシアルキレン単位を含み、少なくとも4個の炭素原子を有し、オキシプロピレン単位を実質的に含まない、ポリエーテルからなる。これらの発泡安定剤の欠点は、特に、軟質ポリウレタン発泡体の製造における有用性が乏しいことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2016095128
【文献】WO95/16721
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって本発明は、慣例のシリコーンベースの発泡安定剤を使用せずに、微細な気泡のポリウレタン発泡体、特に軟質ポリウレタン発泡体をもたらすポリウレタン発泡体を製造するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、(a)ポリイソシアネート、(b)イソシアネート反応性基を有するポリマー化合物、(c)シリコーン非含有の安定剤、(d)任意に鎖延長剤および/または架橋剤、(e)触媒、(f)発泡剤、および(g)任意に助剤および/または添加剤を混合して反応混合物を提供し、この反応混合物を反応させてポリウレタンを提供することを含む、ポリウレタン発泡体の製造方法により達成される。ここでシリコーン非含有の安定剤(c)は、官能価1~官能価8のスターター分子をアルキレンオキシドでアルコキシル化することによって得ることができ、用いるアルキレンオキシドの0質量%~9質量%はエチレンオキシドであり、用いるアルキレンオキシドの0質量%~50質量%は1,2-プロピレンオキシドであり、および用いるアルキレンオキシドの少なくとも50質量%は少なくとも4個の炭素原子を含み、シリコーン非含有の安定剤(c)の数平均分子量は500~20000g/モルであり、シリコーンベースの発泡安定剤の含有量は、化合物(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の合計質量に基づいて0.3質量%未満である。
【0007】
本発明において、ポリウレタン発泡体という用語は、あらゆる既知の発泡したポリイソシアネート重付加生成物を含む。これらはイソシアネートおよびアルコールに由来する付加生成物を含み、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、尿素構造、カルボジイミド構造、ウレトンイミン構造、ビウレット構造、および他のイソシアネート付加生成物を含むことができる修飾ポリウレタンも包含する。本発明によるこれらのポリウレタン発泡体は特に、ポリウレタンをベースとする軟質発泡体、半硬質発泡体、硬質発泡体または一体型発泡体を含む。本発明におけるポリウレタン発泡体という用語は、ポリウレタンおよびさらなるポリマーを含む発泡したポリマーブレンドをさらに含むと理解される。本発明によるポリウレタン発泡体は、好ましくは、以下に説明するポリウレタン単位(a)~(g)およびそれらの反応生成物に加えて、さらなるポリマーを含まないポリウレタン発泡体である。本発明において、「ポリウレタン発泡体」とは、DIN7726による発泡体を意味すると理解される。本発明による軟質ポリウレタン発泡体は、DIN53421/DIN EN ISO604による10%圧縮/圧縮強度で、15kPa以下、好ましくは1~14kPaおよび特に4~14kPaの圧縮応力、および好ましくは10~100g/Lの密度を有する。本発明による半硬質ポリウレタン発泡体は、DIN53421/DIN EN ISO604による10%圧縮で、15kPaを超え80kPa未満の圧縮応力を有する。DIN ISO4590によれば、本発明による半硬質ポリウレタン発泡体および軟質ポリウレタン発泡体は、好ましくは85%を超える、特に好ましくは90%を超える連続気泡含有量を有する。本発明による軟質ポリウレタン発泡体および半硬質ポリウレタン発泡体についてのさらなる詳細は、「Kunststoffhandbuch」、第7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第5章に見出される。
【0008】
本発明による硬質ポリウレタン発泡体は、10%圧縮で、80kPa以上、好ましくは120kPa以上、特に好ましくは150kPa以上の圧縮応力を呈する。さらに、硬質ポリウレタン発泡体は、DIN ISO4590によれば、80%を超える、好ましくは90%を超える独立気泡含有量を有する。本発明による硬質ポリウレタン発泡体についてのさらなる詳細は、「Kunststoffhandbuch」、第7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第6章に見出される。
【0009】
本発明において、「エラストマーポリウレタン発泡体」とは、DIN7726によるポリウレタン発泡体を意味し、DIN53577によりその厚さを短時間で50%変形させた10分後に、その最初の厚さの2%を超える持続的な変形を示さないものとして理解されるべきである。硬質ポリウレタン発泡体、半硬質ポリウレタン発泡体、または軟質ポリウレタン発泡体が関連する場合がある。
【0010】
「一体型ポリウレタン発泡体」とは、DIN7726によるポリウレタン発泡体を意味し、成形プロセスの結果として中心部よりも高い密度を有する縁領域を有するものとして理解されるべきである。中心部および縁領域にわたって平均した全体的な見掛け密度は、好ましくは100g/Lを超える。本発明において、一体型ポリウレタン発泡体は、硬質ポリウレタン発泡体、半硬質ポリウレタン発泡体または軟質ポリウレタン発泡体であってもよい。本発明による一体型ポリウレタン発泡体に関するさらなる詳細は、「Kunststoffhandbuch」、第7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第7章に見出される。
【0011】
本発明によるポリウレタンは、ポリイソシアネート(a)を、イソシアネート反応性基を有するポリマー化合物(b)、シリコーン非含有の安定剤(c)、任意に鎖延長剤および/または架橋剤(d)、触媒(e)、発泡剤(f)および任意に助剤および添加剤(f)と混合して反応混合物を提供し、この反応混合物を反応させてポリウレタンを提供することによって得られる。
【0012】
好ましい実施形態では、本発明によるポリウレタン発泡体は、10~850g/Lの平均密度を有するポリウレタン発泡体、好ましくは半硬質ポリウレタン発泡体または軟質ポリウレタン発泡体または硬質ポリウレタン発泡体、特に好ましくはエラストマー軟質ポリウレタン発泡体、半硬質ポリウレタン発泡体、またはエラストマー一体型ポリウレタン発泡体である。エラストマー一体型ポリウレタン発泡体は、中心部および縁領域にわたって平均して150g/L~500g/Lの密度を有することが好ましい。軟質ポリウレタン発泡体は、10g/L~100g/Lの平均密度を有することが好ましく、半硬質ポリウレタン発泡体は、70~150g/Lの平均密度を有することが好ましく、および硬質ポリウレタン発泡体は、30~120g/Lの平均密度を有することが好ましい。
【0013】
本発明によるポリウレタンは、内部、例えば建物または輸送手段の内部、特に好ましくは輸送手段、例えば船舶、飛行機、貨物自動車(lorries)、乗用車またはバス、さらに好ましくは乗用車またはバス、および特に乗用車の、内部に用いることが好ましい。乗用車またはバスの内部を、以下に自動車内部部品という。軟質ポリウレタン発泡体は家具製造において、例えばシートクッションとして、マットレスとして、またはカーペット裏地発泡体として、半硬質ポリウレタン発泡体はドアトリム要素または計器パネルの裏地発泡体として、一体型ポリウレタン発泡体はステアリングホイール、シフトノブまたはヘッドレストとして、および硬質ポリウレタン発泡体はヘッドライニングとして、使用してよい。
【0014】
本発明によるポリウレタンの製造に使用するポリイソシアネート成分(a)には、ポリウレタンの製造で知られているあらゆるポリイソシアネートが含まれる。これは、先行技術から知られている脂肪族、脂環式、および芳香族の二価または多価のイソシアネート、およびそれらの任意の所望の混合物を含む。例として、ジフェニルメタン2,2'-、2,4'-、および4,4'-ジイソシアネート、モノマーのジフェニルメタンジイソシアネートとジフェニルメタンジイソシアネートのより多数の環を有する同族体との混合物(ポリマーMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)およびそのオリゴマー、トリレン2,4-または2,6-ジイソシアネート(TDI)およびこれらの混合物、テトラメチレンジイソシアネートおよびそのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)およびそのオリゴマー、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、およびこれらの混合物が含まれる。
【0015】
2,4-および/または2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)またはこれらの混合物、モノマーのジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはジフェニルメタンジイソシアネートの高級核同族体(ポリマーMDI)およびこれらの混合物が好ましい。さらなる可能なイソシアネートは、例えば、「Kunststoffhandbuch」、第7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第3.2章および3.3.2章に列挙されている。
【0016】
ポリイソシアネート成分(a)は、ポリイソシアネートプレポリマーの形態で用いてよい。このポリイソシアネートプレポリマーは、過剰量の上記ポリイソシアネート(構成要素(a-1))を、イソシアネート反応性基を有するポリマー化合物(b)(構成要素(a-2))および/または鎖延長剤(d)(構成要素(a-3))と、例えば20℃~100℃、好ましくは約80℃の温度で反応させて、イソシアネートプレポリマーを提供することによって、得ることができる。
【0017】
イソシアネート反応性基(a-2)および鎖延長剤(a3)を有するポリマー化合物は当業者に知られており、例えば「Kunststoffhandbuch(プラスチックハンドブック)、第7巻、「Polyurethane(ポリウレタン)」、Carl Hanser Verlag、第3版1993年、第3.1章に記載されている。よって、イソシアネート反応性基(a-2)を有するポリマー化合物として、以下に(b)で記載するイソシアネート反応性基を有するポリマー化合物も用いることができる。
【0018】
用いることができるイソシアネート反応性基を有するポリマー化合物(b)には、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素原子を有するあらゆる既知の化合物、例えば、2~8の官能価および400~20000g/モルの数平均分子量を有するものが含まれる。よって例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびこれらの混合物の群から選択される化合物を使用することが可能である。
【0019】
ポリエーテルオールは例えば、エポキシド、例えばプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドから、またはテトラヒドロフランから、水素活性開始化合物、例えば脂肪族アルコール、フェノール、アミン、カルボン酸、水、および天然物質ベースの化合物、例えばスクロース、ソルビトールまたはマンニトールと共に、触媒を使用して製造される。これらには、例えばPCT/EP2005/010124、EP90444またはWO05/090440に記載されているような塩基性触媒または複金属シアン化物触媒が含まれる。ポリエーテルオールの数平均分子量Mは、式
【数1】
(F、式中Fは、スターター分子の官能価を表し、スターター分子の混合物の場合、スターター分子の数平均官能価を表し、およびOHNは滴定によって決定されるヒドロキシル数を表す)
から決定される。
【0020】
ポリエステルオールは例えば、脂肪族または芳香族ジカルボン酸および多価アルコール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル化ポリアセタールおよび/またはヒドロキシル化脂肪族ポリカーボネートから、好ましくはエステル化触媒の存在下で、製造される。さらなる可能なポリオールは、例えば、「Kunststoffhandbuch」、第7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第3.1章に列挙されている。
【0021】
記載したポリエーテルオールおよびポリエステルオールに加えて、ポリマーポリエーテルオールまたはポリマーポリエステルオールとしても知られている充填剤含有ポリエーテルオールおよびポリエステルオールも、用いることができる。そのような化合物は、熱可塑性物質(例えば、アクリロニトリル、スチレン、メタクリレート、メタクリル酸および/またはアクリルアミドなどのオレフィン系モノマーから構成される)の分散粒子を含むことが好ましい。そのような充填剤含有ポリオールは知られており、市販されている。その製造は、例えば、DE111394、US3304273、US3383351、US3523093、DE1152536、DE1152537、WO2008/055952およびWO2009/128279に記載されている。
【0022】
特に好ましい実施形態では、イソシアネート反応性基(b)を有する用いられるポリマー化合物は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシドまたはこれらの混合物をスターター分子上に加えることによって得ることができるポリエーテルオール(b1)である。これらのポリエーテルオールが、1.8~3の平均官能価、20~120、特に好ましくは25~100および特に30~80KOH/gのOH価を有する場合が特に好ましい。ポリエーテルアルコール(b1)の製造に使用されるアルキレンオキシドの総合計質量に基づくプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの割合は、好ましくは少なくとも80質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%、さらに好ましくは特に95質量%、および特に100質量%である。
【0023】
シリコーン非含有の安定剤(c)は、官能価1~官能価8のスターター分子をアルキレンオキシドでアルコキシル化することによって得ることができ、用いるアルキレンオキシドの0質量%~9質量%はエチレンオキシドであり、用いるアルキレンオキシドの0質量%~50質量%は1,2-プロピレンオキシドであり、および用いるアルキレンオキシドの少なくとも50質量%は少なくとも4個の炭素原子を含み、シリコーン非含有の安定剤(c)の数平均分子量は500~20000g/モル、好ましくは1000~15000g/モル、特に好ましくは1500~8000g/モル、さらに好ましくは1800~7000g/モル、および特に2000~5000g/モル、およびなおさらに好ましくは2500~4500g/モルである。
【0024】
シリコーン非含有の発泡安定剤(c)の製造に用いることができるスターター分子には、1~8の官能価を有するあらゆる既知のスターター分子が含まれる。これらは、ポリエーテルオールを製造するための上記のスターター分子を含む。そのようなスターター分子は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、糖誘導体、例えばスクロース、ヘキソルビトール誘導体、例えばソルビトール、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、トルイジン、トルエンジアミン、ナフチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’-メチレンジアニリン、1,3-プロパンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよび他の一価、二価または多価アルコール、または一価または多価アミン、またはこれらの混合物である。ポリエーテルポリオール、例えばポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシドも、スターター分子として用いることができる。ポリアルキレンオキシドがスターター分子として用いられる場合、これらは好ましくは2~6の官能価、および200~5000、特に好ましくは300~3000、さらに好ましくは500~2000、および特に500~1000g/モルの数平均分子量を有する。ポリウレタン反応を加速する基を含む化合物も、スターター分子として用いることができる。そのようなスターター分子の例は、3-(ジメチルアミノ)-1-プロピルアミンおよび3-(ピロリジン-1-イル)プロパン-1-アミンである。シリコーン非含有の安定剤(c)を製造するためのスターター分子の平均官能価、好ましくは平均ヒドロキシル官能価が1~6、さらに好ましくは1~4、さらに好ましくは1~3、特に好ましくは1.5~2.5、および特に2である場合が好ましい。好ましいスターター分子は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、および特に好ましくは水またはジプロピレングリコールである。
【0025】
シリコーン非含有の発泡安定剤を製造するためのアルキレンオキシドとして用いられるのは、少なくとも4個の炭素原子を有する、例えば4~20、好ましくは4~12個、および特に4~10個の炭素原子を有する少なくとも50質量%のアルキレンオキシドであり、例えばエポキシブタン、エポキシペンタン、エポキシヘキサン、エポキシヘプタン、エポキシオクタン、エポキシノナンまたはエポキシデカンである。これらの化合物の1,2-エポキシドを用いることがさらに好ましい。少なくとも4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドが、1,2-エポキシブタンおよび/または1,2-エポキシペンタン、特に1,2-エポキシブタンを含む場合が特に好ましい。特に好ましい実施形態では、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドは、1,2-エポキシブタン、1,2-エポキシペンタンまたはこれらの混合物、特に1,2-エポキシブタンからなる。成分(c)の製造中に少なくとも4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドの割合が、各場合ともシリコーン非含有の発泡安定剤(c)の製造に使用されるアルキレンオキシドの合計質量に基づいて、少なくとも70質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%、さらに好ましくは少なくとも95質量%、および特に100質量%である場合が好ましい。
【0026】
シリコーン非含有の発泡安定剤(c)を製造するためのアルキレンオキシドは、9質量%未満、好ましくは5質量%未満、さらに好ましくは2質量%未満のエチレンオキシドをさらに含み、特にエチレンオキシドを含まない。プロピレンオキシド、好ましくは1,2-プロピレンオキシドが存在する場合、プロピレンオキシドの割合は、各場合ともシリコーン非含有の発泡安定剤(c)の製造に使用されるアルキレンオキシドの合計質量に基づいて、50質量%未満、好ましくは5質量%~40質量%、および特に好ましくは10質量%~30質量%である。さらなる同様に好ましい実施形態では、化合物(c)を製造するためにプロピレンオキシドを使用しない。アルキレンオキシドは、鎖に沿ってランダムにまたはブロック様の様式で配置されていてよく、例えば、スターター分子上に、最初にブチレンオキシドのブロック、その後続いてプロピレンオキシド、または最初にプロピレンオキシド、そして次にブチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとブチレンオキシドとの混合物を、加えることが可能である。ポリアルコキシル化のための慣例の触媒を、触媒として用いてよい。これらは例えば、PCT/EP2005/010124、EP90444またはWO05/090440に記載されているように、塩基性触媒または複金属シアン化物触媒を含んでよい。
【0027】
シリコーン非含有の安定剤(c)の保持されたOH基のすべてまたは一部は、アルコキシル化後に「キャップ」されてよい。これは、ポリオールヒドロキシル基の反応、例えば、a)例えば、イソシアネートを用いてウレタンを提供する、b)例えば、無水物、酸塩化物などとのエステルを提供する、c)例えば、アルキル化剤またはスルホン酸誘導体を用いてエーテルを提供する、またはd)例えば、シランまたはシリルハライドを用いてシリルエーテルを提供する、ことを指すものとして理解される。これにより、イソシアネートに対する官能性が低下し、すべてのOH基が完全に変換されたときに、イソシアネート非反応性安定剤(c)をもたらすことができる。シリコーン非含有の発泡安定剤(c)が1~8個、特に好ましくは1.5~4個、および特に1.8~2.5個のイソシアネート反応性基、特にヒドロキシル基を含む場合が好ましい。成分(c)がイソシアネート反応性基を含む場合、それはイソシアネート反応性基を有する化合物(b)の一部である。化合物(c)がイソシアネート反応性基を含む場合、イソシアネート反応性基を有するシリコーン非含有の発泡安定剤(c)に加えて、イソシアネート反応性基を有するさらなる化合物、特に好ましくはポリエーテルオール、特にポリエーテルオール(b1)を用いることが好ましい。
【0028】
化合物(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の合計質量に基づくシリコーン非含有の発泡安定剤(c)の割合は、好ましくは0.01質量%~10質量%、さらに好ましくは0.05質量%~5質量%、さらに好ましくは0.05質量%~3質量%、特に好ましくは0.1質量%~2質量%、なおさらに好ましくは0.1質量%~1.5質量%、なおさらに好ましくは0.1質量%~1質量%、および特に0.1質量%~0.5質量%であり、異なるシリコーン非含有の発泡安定剤の混合物も用いてよい。
【0029】
用いることができる鎖延長剤および架橋剤(d)には、少なくとも2個のイソシアネート反応性基および400g/モル未満の分子量を有する化合物が含まれ、ここで、2個のイソシアネート反応性水素原子を有する分子は鎖延長剤と呼ばれ、2個を超えるイソシアネート反応性水素を有する分子は架橋剤と呼ばれる。しかしながら、ここでは、鎖延長剤または架橋剤を省略することも可能である。しかしながら、鎖延長剤、架橋剤、または任意にこれらの混合物の添加は、機械的特性、例えば硬度を改変するために有利であることが証明される。
【0030】
鎖延長剤および/または架橋剤(d)を用いる場合、ポリウレタンの製造でよく知られている鎖延長剤および/または架橋剤を使用してよい。これらは、好ましくは、イソシアネート反応性官能基を有する低分子量化合物、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、グリコールおよびジアミンである。さらに可能な低分子量鎖延長剤および/または架橋剤は、例えば、「Kunststoffhandbuch」、第7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第3.2章および第3.3.2章に列挙されている。
【0031】
触媒e)は、ポリオール(b)および任意に鎖延長および架橋剤(d)および化学発泡剤(f)と、有機の任意に修飾されたポリイソシアネート(a)との反応を大幅に加速する。触媒(e)は、例えば有機化合物の排出を可能な限り低くする場合、組み込み可能なアミン触媒を好ましくは含む。前記触媒は、少なくとも1個、好ましくは1~8個、および特に好ましくは1~2個のイソシアネート反応性基、例えば第1級アミン基、第2級アミン基、ヒドロキシル基、アミドまたは尿素基、好ましくは第1級アミン基、第2級アミン基、ヒドロキシル基を有する。組み込み可能なアミン触媒は、特に自動車の内部に用いられる低排出ポリウレタンの製造に主に使用される。そのような触媒は知られており、例えばEP1888664に記載されている。それらは、イソシアネート反応性基(複数可)に加えて、好ましくは1個以上の第3級アミノ基を含む化合物を含む。組み込み可能な触媒の第3級アミノ基のうち少なくとも1個が、少なくとも2個の脂肪族炭化水素ラジカル(好ましくはラジカルあたり1~10個の炭素原子を有し、特に好ましくはラジカルあたり1~6個の炭素原子を有する)を有する場合が好ましい。第3級アミノ基が、メチルラジカルおよびエチルラジカルから独立して選択される2個のラジカルに加えて、さらなる有機ラジカル、例えばピロリジニルラジカルを有する場合が特に好ましい。用いることができる組み込み可能な触媒の例は、例えば、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、ビス(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)カルバメート、ジメチルアミノプロピル尿素、N,N,N-トリメチル-N-ヒドロキシエチルビス(アミノプロピルエーテル)、N,N,N-トリメチル-N-ヒドロキシエチルビス(アミノエチルエーテル)、ジエチルエタノールアミン、ビス(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)アミン、ジメチルアミノプロピルアミン、3-(ピロリジン-1-イル)プロパン-1-アミン、3-ジメチルアミノプロピル-N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、ジメチル-2-(2-アミノエトキシエタノール)および(1,3-ビス(ジメチルアミノ)プロパン-2-オール)、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)-2-ヒドロキシエチルアミン、N,N,N-トリメチル-N-(3-アミノプロピル)-ビス(アミノエチルエーテル)、3-ジメチルアミノイソプロピルジイソプロパノールアミンまたはこれらの混合物である。
【0032】
ポリウレタンを製造するためのさらなる慣例の触媒を、組み込み可能なアミン触媒に加えて用いてもよい。例にはアミジン、例えば2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-メチル-、N-エチル-およびN-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン、および好ましくは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、およびアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-およびN-エチルジエタノールアミンおよびジメチルエタノールアミンが含まれる。同様に考えられるのは、有機金属化合物、好ましくは有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキサノエートおよびスズ(II)ラウレート、および有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエートおよびジオクチルスズジアセテート、およびビスマスカルボキシレート、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエートおよびビスマスオクタノエート、またはこれらの混合物が含まれる。有機金属化合物は、単独で、または好ましくは強塩基性アミンと組み合わせて使用することができる。成分(b)がエステルである場合、アミン触媒のみを使用することが好ましい。特に好ましい実施形態では、触媒(e)として組み込み可能な触媒のみを用いる。
【0033】
触媒(e)を用いる場合、これらは例えば、成分(b)の質量に基づく触媒/触媒の組み合わせとして、例えば、0.001質量%~5質量%、特に0.05質量%~2質量%の濃度で用いてよい。
【0034】
ポリウレタンの製造で知られているあらゆる発泡剤を、発泡剤(f)として用いてよい。これは、化学的および/または物理的発泡剤を含んでよい。そのような発泡剤は、例えば、「Kunststoffhandbuch」、第7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第3.4.5章に記載されている。「化学的発泡剤」とは、イソシアネートとの反応によりガス状生成物を形成する化合物を意味すると理解される。そのような発泡剤の例は、水またはカルボン酸である。「物理的発泡剤」とは、ポリウレタン製造の投入材料中に溶解または乳化され、ポリウレタン形成の条件下で蒸発する化合物を意味すると理解される。その例として、炭化水素、ハロゲン化炭化水素および他の化合物、例えばペルフルオロ化アルカン、例えばペルフルオロヘキサン、クロロフルオロヒドロカーボン、およびエーテル、エステル、ケトン、アセタールおよび/または液体二酸化炭素が含まれる。発泡剤は、任意の所望の量で用いてよい。発泡剤は、得られるポリウレタン発泡体が10~850g/L、特に好ましくは20~800g/L、および特に25~500g/Lの密度を有するような量で用いることが好ましい。水を含む発泡剤、特に水を唯一の発泡剤として用いることが、特に好ましい。
【0035】
助剤および/または添加剤(g)も用いてよい。ここでは、ポリウレタンの製造で知られているあらゆる補助物質および添加物質を用いてよい。例として、界面活性物質、気泡調節剤、離型剤、充填剤、染料、顔料、難燃剤、加水分解安定剤、静真菌性および静菌性物質が含まれる。これらの物質は既知であり、例として「Kunststoffhandbuch、Band 7、Polyurethane」(プラスチックハンドブック、第7巻、ポリウレタン)、Carl Hanser Verlag、第3版1993年、第3.4.4章および第3.4.6章~第3.4.11章に記載されている。既知のシリコーンベースの発泡安定剤も用いてよい。用いられるシリコーンベースの発泡安定剤は、ポリオール(b)の表面張力を低下させ、その中で少なくとも2個のケイ素原子がそれぞれ酸素原子を介して接続しているシリコーンベースの化合物である。これらの化合物は、好ましくは両親媒性構造を有する化合物であり、すなわち、異なる極性の2つの分子部分を含む。シリコーンベースの気泡安定剤は、好ましくは、有機ケイ素単位を含む分子部分、例えばジメチルシロキサンまたはメチルフェニルシロキサン、およびポリオール(b)に類似した化学構造を有する分子部分を有する。これらは、好ましくはポリオキシアルキレン単位である。シリコーンベースの発泡安定剤として特に好ましく用いられるのは、ポリオキシアルキレン単位の合計割合に基づいて75質量%未満のオキシエチレン割合を有するポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマーである。これらは好ましくは、ポリエチレンオキシドおよび/またはポリプロピレンオキシド単位を有する。ポリオキシアルキレン側鎖の分子量は、好ましくは少なくとも1000g/モルの側鎖である。これらの化合物は知られており、例えば、「Kunststoffhandbuch」、第7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第3.4.4.2章に記載されており、例えば、シロキサン、例えばポリジメチルシロキサンの、ポリオキシアルキレン、特にポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのコポリマーとの反応によって生成される。これにより、オキシアルキレン鎖を末端基または1個以上の側鎖として有するポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを得ることが可能になる。シリコーンベースの発泡安定剤はOH基を含んでよいが、好ましくは、OH基を含有しない。これは、ポリオキシアルキレンを製造するために用いられるスターターがブタノールなどの一価アルコールである場合に達成される。用いることができるシリコーンベースの気泡安定剤には、例えば既知のシリコーンベースの発泡安定剤、例えばMomentive社のNiax Silicone L1501、L1505、L1540、L1593、L1602またはL1609;Air Products社のDabco(登録商標)DC193、Dabco(登録商標)DC3041、Dabco(登録商標)DC3042、Dabco(登録商標)DC3043、Dabco(登録商標)DC5000、Dabco(登録商標)DC5169、Dabco(登録商標)DC2525、Dabco(登録商標)DC2584、Dabco(登録商標)SI1101、Dabco(登録商標)SI1103またはDabco(登録商標)DC5160;Goldschmidt社のTegostab(登録商標)BF2270、Tegostab(登録商標)BF2370、Tegostab(登録商標)BF2470、Tegostab(登録商標)B8110、Tegostab(登録商標)B8225、Tegostab(登録商標)B8255、Tegostab(登録商標)B8317、Tegostab(登録商標)B8325、Tegostab(登録商標)B8905、Tegostab(登録商標)B8946PF、Tegostab(登録商標)B8948、Tegostab(登録商標)B8950、Tegostab(登録商標)B8952、Tegostab(登録商標)B8960、Tegostab(登録商標)B8715LF2、Tegostab(登録商標)B8734LF2、Tegostab(登録商標)B8736LF2、Tegostab(登録商標)B8761LF2、Tegostab(登録商標)B8724LF2、Tegostab(登録商標)B8738LF2、Tegostab(登録商標)B8742LF2、Tegostab(登録商標)B8747LF2、Tegostab(登録商標)B8745LF2、Tegostab(登録商標)B8749LF2またはTegostab(登録商標)B8486が含まれる。本発明において、化合物(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の合計質量に基づいて、0.3質量%未満のシリコーンベースの安定剤が用いられる。本発明の好ましい実施形態では、化合物(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の合計質量に基づいて、0.2質量%未満、特に好ましくは0.1質量%未満、さらに好ましくは0.01質量%未満のシリコーンベースの発泡安定剤が用いられ、および特にシリコーンベースの発泡安定剤は用いられない。
【0036】
本発明によるポリウレタンの製造は一般に、化合物(a)~(g)を、ポリイソシアネート(a)のNCO基の、成分(b)、(c)、(e)および(f)および任意に(d)および(g)の反応性水素原子の総計に対する当量比が、0.60~1.5:1、好ましくは0.70~1.25:1、および特に好ましくは0.80~1.10:1であるような量で反応させることを含む。気泡プラスチックが少なくとも部分的にイソシアヌレート基を含む場合、ポリイソシアネート(a)のNCO基の、成分(b)、(c)、(e)、(f)および任意に(d)および(g)の反応性水素原子の総計に対する比は、1.5~20:1、好ましくは1.5~8:1および特に好ましくは1.50~5:1で、通常は使用する。ここで1:1の比は、イソシアネート指数100に対応する。
【0037】
本発明によるポリウレタンを製造するための特定の出発物質(a)~(g)は、製造する本発明のポリウレタンが軟質発泡体、半硬質発泡体、硬質発泡体または一体型発泡体である場合、各場合とも、量的および質的にわずかに異なるのみである。さらに、本発明によるポリウレタンの弾性および硬度は、例えば、少なくとも2個の反応性水素原子を有する高分子量化合物の官能価および鎖長によって変えることが可能である。そのような変更は当業者に知られている。
【0038】
軟質発泡体を製造するための反応物は、例えばPCT/EP2005/010124およびEP1529792に、半硬質発泡体を製造するための反応物は、「Kunststoffhandbuch」、第7巻、「Polyurethane」、Carl Hanser Verlag、第3版、1993年、第5.4章に、硬質発泡体を製造するための反応物は、PCT/EP2005/010955に、および一体型発泡体を製造するための反応物は、EP364854、US5506275またはEP897402に記載されている。そしてこれらの文献に記載されている反応物に、各場合ともシリコーン非含有の発泡安定剤(c)を加える。本発明によるポリウレタン発泡体が軟質ポリウレタン発泡体である場合が特に好ましい。
【0039】
いわゆる「二成分プロセス」は、本発明によるポリウレタン発泡体を製造するためにしばしば使用される。これは、イソシアネート反応性成分と、しばしば非反応性成分(例えば補助物質および添加物質(g)の群から)も組み合わせて、ポリウレタン発泡体の製造中にイソシアネート成分のイソシアネートと混合されるポリオール成分を提供することを含む。イソシアネート成分は、イソシアネート(a)だけでなく、さらなる化合物も含んでよい。よって本発明は、(b)イソシアネート反応性基を有するポリマー化合物、(c)シリコーン非含有の安定剤、(d)任意に鎖延長剤および/または架橋剤、(e)触媒、(f)発泡剤および(g)任意に助剤および添加剤を含むポリオール成分も提供する。シリコーン非含有の安定剤(c)は、官能価1~官能価8のスターター分子をアルキレンオキシドでアルコキシル化することによって得ることができ、用いるアルキレンオキシドの0質量%~9質量%はエチレンオキシドであり、用いるアルキレンオキシドの0質量%~50質量%は1,2-プロピレンオキシドであり、および用いるアルキレンオキシドの少なくとも50質量%は少なくとも4個の炭素原子を含み、シリコーン非含有の安定剤(c)の数平均分子量は500~20000g/モルであり、シリコーンベースの発泡安定剤の含有量は、化合物(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の合計質量に基づいて0.3質量%未満である。特にシリコーン非含有の安定剤(c)がイソシアネート反応性基を含まない場合、シリコーン非含有の安定剤(c)をイソシアネート成分に添加してもよい。
【0040】
本発明は、本発明による方法だけでなく、本発明による方法によって得ることができるポリウレタン発泡体も提供する。本発明によるポリウレタンは、驚くべきことに、有機物質をほんの少量しか排出せず、従って好ましくは閉鎖空間において、例えば居住用建物の断熱材料として、例えばパイプおよび冷蔵庫用の絶縁体として、家具構築において、例えばシートクッションとして、マットレスとしておよび車両の内部において、例えばステアリングホイール、ダッシュボード、ドアトリム、カーペット発泡体裏地、音響発泡体(acoustic foam)として、例えばヘッドライナーとして、およびヘッドレストまたはギアノブとして、使用する。最後に、本発明によって、本発明のシリコーン非含有の安定剤(c)、特に、官能価1~官能価8のスターター分子を1,2-エポキシブタンおよび/または1,2-エポキシペンタンでアルコキシル化することによって得ることができるシリコーン非含有の安定剤(c)も提供する。安定剤(c)の製造に使用するアルキレンオキシドの少なくとも50質量%は1,2-エポキシブタンおよび/または1,2-エポキシペンタンであり、およびシリコーン非含有の安定剤(c)の数平均分子量は500~20000g/モルである。
【0041】
本発明を以下に実施例を参照して説明する。
【実施例
【0042】
以下の投入材料を使用した。
【0043】
ポリオールA:平均OH価28mgKOH/gおよびポリエーテルの合計質量に基づいて84質量%のプロピレンオキシド含有量を有する、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドに基づくグリセロール開始ポリエーテルポリオール。
【0044】
ポリオールB:平均OH価42mgKOH/gおよびポリエーテルの合計質量に基づいて74質量%のエチレンオキシド含有量を有する、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドに基づくグリセロール開始ポリエーテルポリオール。
【0045】
イソシアネート1:41.5質量%の4,4’-MDI、25.3質量%の2,4’-MDI、および33.2質量%のジフェニルメタンジイソシアネートとジフェニルメタンジイソシアネートの高級核同族体との混合物の、混合物(BASF SE社のLupranat(登録商標)M20S)。
【0046】
触媒1:Lupragen(登録商標)N201、BASF SE社のアミン触媒。
触媒2:Niax A-1、Momentive社のアミン触媒。
触媒3:Jeffcat(登録商標)ZF10、Huntsman社のアミン触媒。
触媒4:Jeffcat(登録商標)Z-130、Huntsman社のアミン触媒。
【0047】
安定剤1:Tegostab(登録商標)B8715LF2、Evonik社のオルガノシロキサン-ポリエーテル共重合体、従来のシリコーンベースの発泡安定剤
安定剤2:平均OH価74mgKOH/gを有し、各場合ともポリエーテルポリオールの合計質量に基づいて、53.7質量%のブチレンオキシドおよび42.2質量%のエチレンオキシドを含む、1,2-プロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。エチレンオキシドを末端ブロックとして使用した。
安定剤3:平均OH価34mgKOH/gを有し、各場合ともポリエーテルポリオールの合計質量に基づいて、79質量%のブチレンオキシドおよび19.3質量%のエチレンオキシドを含む、1,2-プロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。エチレンオキシドを末端ブロックとして使用した。
安定剤4:平均OH価26mgKOH/gを有し、各場合ともポリエーテルポリオールの合計質量に基づいて、60.6質量%のブチレンオキシドおよび38.3質量%のエチレンオキシドを含む、1,2-プロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。エチレンオキシドを末端ブロックとして使用した。
安定剤5:アルキレンオキシドとして1,2-エポキシブタンのみを含み、平均OH価44mgKOH/gを有するジプロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。
安定剤6:アルキレンオキシドとして1,2-エポキシブタンのみを含み、平均OH価33mgKOH/gを有するジプロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。
安定剤7:アルキレンオキシドとして1,2-エポキシブタンのみを含み、平均OH価26mgKOH/gを有するジプロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。
安定剤8:アルキレンオキシドとして1,2-エポキシブタンのみを含み、平均OH価21mgKOH/gを有するジプロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。
安定剤9:アルキレンオキシドとして1,2-エポキシペンタンのみを含み、平均OH価47mgKOH/gを有するジプロピレングリコール開始ポリエーテルポリオール。
【0048】
シリコーン非含有の発泡安定剤の合成
発泡安定剤の安定剤1~8の製造は、鋼反応器内で2工程のプロセスで実施した。これは、KOH触媒下でプロピレングリコール/ジプロピレングリコールをブトキシル化して前駆体を製造する第1の工程と、続いて、同様にKOH触媒下で、前駆体をブトキシル化および任意にエトキシル化する第2の工程とを含んでいた。得られたポリオールのヒドロキシル価は、精製および乾燥後の滴定によって決定した。安定剤9の製造は類似の手順によるが、KOHの代わりにCsOHを使用した。
【0049】
実施例および比較例を製造するために、94質量部のポリオールA、6質量部のポリオールB、0.6質量部の触媒1、0.1質量部の触媒2、3.3質量部の水および表1に報告するそれぞれの量の安定剤を、実験用ミキサーを用いて室温で2分間混合し、30分間放置した。続いて、イソシアネート1を添加し、イソシアネート指数90で、混合物を実験用ミキサーを用いて1800rpmで5秒間混合し、反応させてビーカー内にポリウレタン発泡体を提供した。自由に発泡させた(free-rise)密度は、約45g/Lであった。発泡体の品質、気泡構造、および外観を評価した。反応混合物を8リットル(40cm×40cm×5cm)の体積を有する型に入れ、混合後50℃に温度制御することによって、成形した発泡体を同様に得た。使用量は、成形した発泡体の平均密度が53g/Lとなるように選定した。4分後、フィルムを型から外し、曲げてから室温で24時間静置した。機械的測定および排出量測定用の試験片を、成形した発泡体から採取した。自由に発泡させた発泡体と成形した発泡体の品質は、これらが寸法的に安定していて収縮せず、連続した微細な気泡構造および欠陥のない均一な表面を有している場合に「良好」と評価した。発泡体が粗い気泡構造を有し、発泡体の中心部と表面に穴がある場合、これらは「不良」と評価した。
【0050】
【表1】
【0051】
機械的測定
表2の機械的測定値は、次のように決定した。
密度:DIN EN ISO845
圧縮強度およびヒステリシス:DIN EN ISO3386
引張強度および破断点伸び:DIN EN ISO1798
圧縮残留歪み:DIN EN ISO1856
通気性:DIN EN ISO7231
反発弾性:DIN EN ISO8307
【0052】
【表2】
【0053】
表1および2の結果は、本発明によるシリコーン非含有の発泡安定剤の使用が、通常はシリコーンベースの発泡安定剤を使用したときにのみ得られる発泡体をもたらすことを実証している。
【0054】
さらに、本発明による発泡安定剤は、著しく低い有機物質排出値を示す。これを表4に示す。
【0055】
排出量
発泡体試験片は、排出値を決定するために、上記の実施例および比較例と同様に製造した。表3に示す投入材料を使用した。イソシアネート成分としてイソシアネート1を使用した。イソシアネート指数90を使用した。得られた発泡体の密度は約50kg/mであった。排出量は以下に特定するように決定した。
【0056】
【表3】
【0057】
ホルムアルデヒドは、ASTM D-5116-06と同様の手順で決定した。チャンバーの寸法は4.7リットルであった。使用したポリウレタン試料は、発泡体の内部からの寸法が100mmx100mmx25mmの切片であった。測定中の測定チャンバー内の温度は65℃、相対湿度は50%であった。空気交換率は毎時3.0リットルであった。ポリウレタンからの揮発性アルデヒドを含む排気空気流を、2,4-ジニトロフェニルヒドラジンでコーティングされたシリカを含むカートリッジに120分にわたって通した。次いで、DNPHカートリッジをアセトニトリルと水との混合物で溶出した。溶出液中のホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの濃度をHPLCで測定した。この設定において、検出限界は、ホルムアルデヒド排出量が≦11μg/mであり、アセトアルデヒド排出量が≦6μg/mであった。
【0058】
VOCおよびFOGは、VDA278により決定した。
【0059】
【表4】