(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】自動分析装置及びその運用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20241209BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
G01N35/02 J
G01N35/00 A
G01N35/00 E
(21)【出願番号】P 2023551286
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 JP2022034262
(87)【国際公開番号】W WO2023053951
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2021157808
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】深谷 直彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正幸
(72)【発明者】
【氏名】圷 正志
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-172764(JP,A)
【文献】特開2014-070900(JP,A)
【文献】特開昭63-229369(JP,A)
【文献】特開2009-204409(JP,A)
【文献】特開2000-258430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/02
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作端末と、
同一検体について初回検査後に必要になり得る再検査を前記初回検査と並行して実施する積極検査の機能を備えた分析装置と、
前記分析装置と通信可能なコンピュータと
を備えた自動分析装置であって、
前記コンピュータは、
過去に実施された検査の実績データに基づき、前記積極検査の機能を有効にした場合に、前記積極検査の機能を無効にした場合に比べて分析時間が短くなるかの判定処理を実行し、
前記判定処理の判定データを前記操作端末又は前記分析装置に出力する
ように構成されていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1の自動分析装置であって、
検体1つ当たりの搬送時間をT1、検体1つ当たりの反応時間をT2、検体1つ当たりの分注時間T3、初回検査の分析数をN1、再検査の分析数をN2としたとき、
前記コンピュータは、
次の条件式が満たされる場合、前記積極検査の機能を有効にしたときに分析時間が短くなると判定し、
前記条件式が満たされない場合、前記積極検査の機能を有効にしても分析時間は短くならないと判定する
ことを特徴とする自動分析装置。
T1+T2+T3×(N2+1)>T3×N1×2
【請求項3】
請求項2の自動分析装置において、
前記再検査の分析数は、前記実績データに基づき、初回検査をした後に再検査に移行する分析の割合から演算された予想値である
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1の自動分析装置であって、
検体1つ当たりの搬送時間をT1、検体1つ当たりの反応時間をT2、検体1つ当たりの分注時間T3、初回検査の分析数をN1、再検査の分析数をN2としたとき、
前記コンピュータは、
次の2つの条件式がいずれも満たされる場合、前記積極検査の機能を有効にしたときに分析時間が短くなると判定し、
前記2つの条件式の少なくとも一方が満たされない場合、前記積極検査の機能を有効にしても分析時間は短くならないと判定する
ことを特徴とする自動分析装置。
T1+T2+T3×(N2+1)>T3×N1×2
T1+T2>T3×(N1-1)
【請求項5】
請求項4の自動分析装置において、
前記再検査の分析数は、前記実績データに基づき、初回検査をした後に再検査に移行する分析の割合から演算された予想値である
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1の自動分析装置において、
前記コンピュータは、
前記判定データとして、前記積極検査の機能の推奨設定を、前記操作端末に出力するように構成されており、
前記積極検査の機能を有効にすることで前記分析時間が短くなると前記判定処理で判定した場合、前記積極検査の機能の有効化を推奨する前記推奨設定を前記操作端末に出力し、
前記積極検査の機能を有効にしても前記分析時間は短くならないと前記判定処理で判定した場合、前記積極検査の機能の無効化を推奨する前記推奨設定を前記操作端末に出力する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項1の自動分析装置において、
前記コンピュータは、
前記判定データとして、前記積極検査の機能を有効にする有効指令、又は前記積極検査の機能を無効にする無効指令を、前記分析装置に出力するように構成されており、
前記積極検査の機能を有効にすることで前記分析時間が短くなると前記判定処理で判定した場合、前記分析装置に前記有効指令を出力し、
前記積極検査の機能を有効にしても前記分析時間は短くならないと前記判定処理で判定した場合、前記分析装置に前記無効指令を出力する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1の自動分析装置において、
前記コンピュータは、前記実績データに基づく機械学習で得られた学習済みデータを用い、前記積極検査の機能を有効にした場合と無効にした場合の分析時間を分析依頼データから演算し、前記判定処理を実行することを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1の自動分析装置において、
前記コンピュータは、前記実績データに含まれる、検体ID、テスト名、積極検査の実施の有無、及び前記検体IDの分析に要した時間のデータセットを機械学習して得られた学習済みデータを用い、前記検体ID及び前記テスト名に基づき、前記積極検査の機能を有効にした場合と無効にした場合の分析時間を演算し、前記判定処理を実行することを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
同一検体について初回検査後に必要になり得る再検査を前記初回検査と並行して実施する積極検査の機能を備えた自動分析装置の運用方法であって、
過去に実施された検査の実績データに基づき、前記積極検査の機能を有効にした場合に、前記積極検査の機能を無効にした場合に比べて分析時間が短くなるかを判定し、
前記積極検査の機能を有効にすると分析時間が短くなる場合に、前記積極検査の機能を有効化し、
前記積極検査の機能を有効にしても分析時間は短くならない場合に、前記積極検査の機能を無効化する
ことを特徴とする自動分析装置の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検査において複数の検体(生体試料)を自動的に分析する自動分析装置及びその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疾病診断に関する検体の分析において、初回の検査の値が高い場合、再検査で同一の又は異なる分析項目を分析する場合がある。特許文献1は、緊急に分析する必要がある緊急検体について、分析時間短縮のために、予め条件設定された再検査を初回検査と併せて実施する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術を、緊急検体に限らず一般検体に適用することも考えられる。ただ、同文献の技術では要否に関わらず初回検査時に再検査相当の検査を実施するが、再検査をする必要がない検体もある。従って、全ての緊急検体について初回検査時に一律に再検査相当の分析を実施するのでは、結果として必要のない検査を多く実施することになり、不要な検査に時間が費やされてしまう。
【0005】
本発明は、同一検体について初回検査と併せて再検査を実施すべきか否かを判定し、必要以上の再検査の実施を抑制して分析時間を短縮することができる自動分析装置及びその運用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、操作端末と、同一検体について初回検査後に必要になり得る再検査を前記初回検査と並行して実施する積極検査の機能を備えた分析装置と、前記分析装置と通信可能なコンピュータとを備えた自動分析装置であって、前記コンピュータは、過去に実施された検査の実績データに基づき、前記積極検査の機能を有効にした場合に、前記積極検査の機能を無効にした場合に比べて分析時間が短くなるかの判定処理を実行し、前記判定処理の判定データを前記操作端末又は前記分析装置に出力する自動分析装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、同一検体について初回検査と併せて再検査を実施すべきか否かを判定し、必要以上の再検査の実施を抑制して分析時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る自動分析装置の一構成例を示す模式図
【
図2】本発明の第1実施形態に係る自動分析装置を構成する分析装置の一構成例を示す模式図
【
図3】検査実績データのデータテーブルの一例を示す図
【
図4】分析時間統計データのデータテーブルの一例を示す図
【
図6】積極検査を実施しない場合におけるオペレーションの処理の進捗の例を示すガントチャート
【
図7】積極検査を実施する場合におけるオペレーションの処理の進捗の例を示すガントチャート
【
図8】積極検査を実施しない場合におけるオペレーションの処理の進捗の例を示すガントチャート
【
図9】本発明の第3実施形態に係る自動分析装置で用いられる学習済みデータの概念図
【
図10】本発明の第4実施形態に係る自動分析装置で用いられる学習済みデータの概念図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
1.自動分析装置
図1は本発明の第1実施形態に係る自動分析装置の一構成例を示す模式図である。
図1に示した自動分析装置の分析装置2には、積極検査の機能が備わっている。積極検査とは、同一検体について初回検査後に必要になり得る再検査を、初回検査と並行して実施する機能である。積極検査の設定が有効である場合、分析装置2では、要否に関わらず初回検査と並行して再検査が見込みで実施される。積極検査の設定が無効である場合、分析装置2では、初回検査後に必要に応じて再検査が実施され、初回検査で必要が生じない場合には再検査は実施されない。再検査は、初回検査と同一項目を同一条件で行う検査、初回検査と同一項目を希釈率等の条件を変えて行う検査、初回検査とは異なる項目の検査のいずれかであり、予め設定されている。
【0011】
自動分析装置は、同図が示すように、コンピュータ1、分析装置2、及び操作端末3を含んで構成される。操作端末3は、自動分析装置のユーザインタフェースとなる端末であり、CPU等の処理装置やHDD等の記憶装置を備えたコンピュータや、モニタ及び入力装置を含んで構成することができる。操作端末3に演算機能を要しない場合、操作端末3はモニタと入力装置のみで構成し、データの表示と入力のみを行う構成とすることもできる。
【0012】
2.分析装置
図2は分析装置2の構成例を示す模式図である。分析装置2は、少なくとも1つの分析機構部201、及び検体を搬送する搬送ライン(不図示)から構成される。分析機構部201には、反応ディスク204、試薬ディスク202、検体プローブ(不図示)、試薬プローブ203等の多数の機器が搭載されている。反応ディスク204は、検体を試薬と化学反応させて特定成分を測定するための反応セル(不図示)を複数搭載し、反応セルを所定位置に移動させるディスク状の搬送装置である。試薬ディスク202は、試薬容器(不図示)を複数搭載し、試薬容器を所定位置に移動させるディスク状の搬送装置である。検体プローブは、検体容器(試験管)から反応セルに検体を分注する分注装置である。試薬プローブ203は、試薬容器から反応セルに試薬を分注する分注装置である。
【0013】
分析機構部201には、搬送ラインを介して検体容器が搬送される。分析機構部201では、検体プローブにより検体容器から検体が吸引され、吸引された検体が反応ディスク204により所定位置に搬送された反応セルに分注される。他方、試薬ディスク202により所定位置に搬送された所定の試薬容器から試薬プローブ203により試薬が吸引され、吸引された試薬が反応セルに分注されて検体に混合される。反応容器で試薬と化学反応した検体が入った反応容器に光源ランプ(不図示)の光が照射され、吸光度センサ(不図示)で観測された吸光度の変化により検体の特定成分が測定され、検体が分析される。
【0014】
分析装置2による分析結果は、実績データとして、ネットワーク4及びネットワークインタフェース30を介してコンピュータ1に送信される。分析装置2からコンピュータ1に送信される実績データには、検査実績データ22(
図1、
図3)及び分析時間統計データ23(
図1、
図4)が含まれる。コンピュータ1に入力された検査実績データ22及び分析時間統計データ23は、記憶装置20に格納されて蓄積される(
図2)。
【0015】
2-1.検査実績データ
図3は検査実績データ22のデータテーブルの一例を示す図である。検査実績データ22は、分析装置2で過去に実施された検査の履歴データである。この検査実績データ22には、分析装置2による過去のデータに加えて又は代えて、分析装置2と同一又は同等の機種の少なくとも1台の分析装置による過去のデータを用いることもできる。検査実績データ22のデータテーブルには、分析ID221、検体ID222、テスト名223、再検査有無224、オペレーションID225、及び分析時間226が含まれている。
【0016】
分析ID221は、分析装置2で実施された分析毎に付与される固有のIDである。
【0017】
検体ID222は、検体毎(患者毎)に付与された固有のIDである。
【0018】
テスト名223は、分析種別について予め定義された名称である。
【0019】
再検査有無224は、各分析ID221について再検査を実施したかどうかを示す値であり、「有り」又は「無し」のデータが択一的に登録される。例えば
図3の例の分析ID「1」では検体ID「1」を対象として初回検査だけでなく再検査が実施されたことを表しており、分析ID「2」の分析は検体ID「1」を対象として初回検査のみで完了したことを表している。
【0020】
オペレーションID225は、分析装置2のオペレーション(連続して実施される1回の稼働単位)に付与される固有のIDである。1つのオペレーションID225には複数の分析IDが含まれる。オペレーションID225は、分析装置2により予め設定した規則に従って自動的に付与される。
【0021】
分析時間226は、分析ID221毎の分析開始時刻から分析終了時刻までの時間(分析ID226の所要時間)である。再検査を実施した分析においては、初回検査と再検査の合計時間が記録される。
【0022】
2-2.分析時間統計データ
図4は分析時間統計データ23のデータテーブルの一例を示す図である。分析時間統計データ23は、分析装置2で過去に実施された分析の所要時間や積極検査の設定についてのデータである。この分析時間統計データ23には、分析装置2による過去のデータに加えて又は代えて、分析装置2と同一又は同等の機種の少なくとも1台の分析装置による過去のデータを用いることもできる。分析時間統計データ23のデータテーブルには、オペレーションID225(検査実績データ22のオペレーションID225と同一)、積極検査有無231、オペレーション時間232が含まれている。
【0023】
オペレーションID225は、検査実績データ22のオペレーションID225と同一の情報である。
【0024】
積極検査有無231は、オペレーションID225で特定されるオペレーションが、積極検査の機能を有効にして行われたか無効にして行われたかの実績を表すデータである。
【0025】
オペレーション時間232は、オペレーションID225で特定されるオペレーションの開始時刻から終了時刻までに要した時間(オペレーションID225の実所要時間)である。
【0026】
3.コンピュータ
コンピュータ1は、積極検査の機能を有効化すべきか無効化すべきかの判定処理をする機能を備えている。この判定処理をするために、コンピュータ1は、検査実績データ22に基づき、初回検査をした後に再検査に移行する分析の割合Rから再検査の分析数の予想値(後述する分析数N2)を演算する(後述)。そして、コンピュータ1は、所定の複数の分析(本例ではオペレーション)について、積極検査の機能を有効にした場合に、積極検査の機能を無効にした場合に比べて全体の分析時間が短くなるかの判定処理を実行する。本実施形態において、判定処理の判定データ(判定結果)は、積極検査の推奨設定として操作端末3に出力される。
【0027】
図1に示したように、コンピュータ1は、処理装置10、記憶装置20、ネットワークインタフェース30等を備えている。このコンピュータ1は、ネットワーク4に接続され、ネットワーク4を介して分析装置2や操作端末3と通信可能である。ネットワーク4にはインターネット等の広域ネットワークやLANを含めることもできるが、単なるデータ伝送用のケーブルでネットワーク4を構成することもできる。コンピュータ1は、単一のコンピュータであっても良いし、互いに通信可能な複数のコンピュータであっても良い。
【0028】
3-1.処理装置
処理装置10は、記憶装置20に格納されたプログラムを実行することで、様々な制御や演算の処理を実行する。処理装置の具体例は、1つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)である。この処理装置10は、記憶装置20に格納されたプログラムに従って、積極検査の機能について、有効(オン)及び無効(オフ)の設定を択一的に切り換える設定処理11、有効及び無効のいずれの設定が推奨設定であるのかを判定する判定処理12を実行する。本実施形態の設定処理11は、操作端末3で操作者により設定された積極検査設定データ21を記憶装置20に格納する処理である。また、本実施形態の判定処理12は、検査実績データ22及び分析時間統計データ23に基づき、所定数の検体の合計の分析時間を短縮する観点で積極検査の機能の有効及び無効のどちらの設定が推奨されるかを操作者に知らせる推奨情報を生成する処理である。
【0029】
なお、処理装置10は、例えば単一のCPUで構成しても良いし、複数のCPUで構成しても良い。処理装置10を複数のCPUで構成する場合、設定処理11と判定処理12を別々のCPUで分担する構成としても良い。この場合、複数のCPUを単一のコンピュータに搭載する構成としても良いし、別々のコンピュータに搭載する構成としても良い。また、操作端末3にコンピュータを採用する場合、設定処理11が操作端末3で実行される構成としても良い。
【0030】
3-2.記憶装置
記憶装置20は、プログラムやデータを永続的に記憶するものであり、例えば1つ又は複数のHDDやSSD等で構成される。この記憶装置20には、積極検査設定データ21、検査実績データ22、及び分析時間統計データ23が記憶される。積極検査設定データ21は、積極検査の機能の有効及び無効を設定する択一的なデータであり、積極検査設定データ21として有効のデータが記憶されていれば積極検査の機能が有効になり、無効のデータが記憶されていれば積極検査の機能が無効になる。検査実績データ22及び分析時間統計データ23については先に述べたが、例えば直近の設定期間分(又は指定された記憶容量分)のデータが記憶装置20に記憶される。
【0031】
なお、記憶装置20は、例えば単一のHDDで構成しても良いし、複数のHDDで構成しても良い。記憶装置20を複数のHDDで構成する場合、積極検査設定データ21、検査実績データ22及び分析時間統計データ23を複数のHDDで分担して記憶する構成としても良い。この場合、複数のHDDを単一のコンピュータに搭載又は接続する構成としても良いし、別々のコンピュータに搭載又は接続する構成としても良い。また、操作端末3にコンピュータを採用する場合、積極検査設定データ21、検査実績データ22及び分析時間統計データ23の一部(例えば積極検査設定データ21)を操作端末3に搭載又は接続されたHDDに記憶される構成としても良い。更には、記憶装置20は、データサーバ等のコンピュータ1がアクセス可能な外部記憶装置でも良い。
【0032】
3-3.ネットワークインタフェース
ネットワークインタフェース30は、ネットワーク4を介して分析装置2や操作端末3との間でデータを授受するための入出力部である。操作端末3や分析装置2から出力されたデータが、ネットワーク4及びネットワークインタフェース30を介してコンピュータ1に入力される。また、コンピュータ1から出力されたデータが、ネットワークインタフェース30及びネットワーク4を介して操作端末3や分析装置2に入力される。例えば上記の検査実績データ22及び分析時間統計データ23は、分析装置2において分析結果が出た時にネットワーク4及びネットワークインタフェース30を介し、分析装置2からコンピュータ1に入力される。
【0033】
3-4.設定処理
図5は設定処理11で処理装置10が操作端末3に表示する積極検査設定画面の一例を表す図である。同図に示した積極検査設定画面110には、積極検査推奨設定112、及び積極検査設定ラジオボタン111が表示されている。
【0034】
積極検査推奨設定112は、積極検査の推奨設定(分析時間を短縮する観点で積極検査の機能を有効にした方が良いか無効にした方が良いか)を表示するユーザインタフェースである。積極検査の推奨設定は、コンピュータ1において現在の条件下で判定処理12(後述)を実行することで決定され、コンピュータ1からのデータを受信することにより操作端末3の積極検査設定画面110に表示される。
【0035】
図5は積極検査推奨設定112に「積極検査ON推奨」の表示がされている例を表しているが、これは表示通り積極検査の機能を有効にすることを操作者に推奨する例である。この場合、判定処理12を実行した結果、積極検査の機能を有効化した方が分析装置2の分析時間が短くなる状況であるとコンピュータ1が判定したことを表している。
【0036】
反対に、積極検査推奨設定112に例えば「積極検査OFF推奨」と表示することで、積極検査の機能を無効にすることが操作者に推奨される。この場合、判定処理12を実行した結果、積極検査の機能を無効化した方が分析装置2の分析時間が短くなる状況であるとコンピュータ1が判定したことを表している。
【0037】
積極検査設定ラジオボタン111は、積極検査の機能を有効にするか無効にするかの設定を操作者が入力する(切り換える)ユーザインタフェースである。積極検査設定ラジオボタン111は、操作者が積極検査の有効化を選択した場合、積極検査設定データ21は有効に設定される。操作者が積極検査の無効化を選択した場合、積極検査設定データ21は無効に設定される。この有効及び無効の設定の際に積極検査推奨設定112の表示が参考となる。
【0038】
こうして設定された積極検査設定データ21が、操作端末3からコンピュータ1に送信される。コンピュータ1では、受信した積極検査設定データ21の有効又は無効の設定に基づいて設定処理11を処理装置10で実行し、記憶装置20の積極検査設定データ21の設定を更新すると共に、積極検査設定データ21を分析装置2に送信する。分析装置2は、積極検査設定データ21が有効であれば各分析について積極検査を実施し、同一の検体について次の検体の分析に移行する前に初回検査と再検査とを併せて実施する。反対に積極検査設定データ21が無効であれば、初回検査を終えたら同一の検体について再検査を併せて実行することなく次の検体の分析に移行する。
【0039】
3-5.判定処理
コンピュータ1は、処理装置10で判定処理12を実行し、積極検査の有効又は無効の推奨設定を判定し、この判定結果を操作端末3に出力するように構成されている。本実施形態において、コンピュータ1は、積極検査の機能を有効にすることで分析時間が短くなると判定処理12で判定した場合、積極検査の機能の有効化を推奨する推奨設定を操作端末3に出力する。反対に、コンピュータ1は、積極検査の機能を有効にしても分析時間は短くならないと判定処理12で判定した場合、積極検査の機能の無効化を推奨する推奨設定を操作端末3に出力する。ここで比較する分析時間は、現在入力(予約)されている分析依頼の全体の分析に要する時間、又は次に実施するオペレーションの分析に要する時間とすることができる。
【0040】
例えば、コンピュータ1は、処理装置10で判定処理12を実行し、次の条件式1A,1Bがいずれも満たされる場合、積極検査の機能を有効にすることが推奨されると判定する。条件式1A,1Bの少なくとも一方が満たされない場合、処理装置10は、積極検査の機能を無効にすることが推奨されると判定する。
T1+T2+T3×(N2+1)>T3×N1×2…(1A)
T1+T2>T3×(N1-1)…(1B)
T1:検体1つ当たりの搬送時間、
T2:検体1つ当たりの反応時間、
T3:検体1つ当たりの分注時間、
N1:初回検査の分析数(入力値)、
N2:再検査の分析数(予想値)
また、T1,T2,T3は、分析装置2において定まった不変の定数であるとする。初回検査の分析数N1は、操作端末3等から分析装置2に入力される分析依頼データに含まれる値であり、分析依頼データの入力時に分析装置2の制御装置の記憶装置に保存される。コンピュータ1は、処理装置10で判定処理12を実行する際に、ネットワークインタフェース30を介して分析装置2からN1の値を取得することができる。
【0041】
条件式1A,1Bについて次に順次説明する。
【0042】
3-5-1.条件式1Aについて
条件式1Aは、積極検査を実施する場合の全体所要時間Tonが、積極検査を実施しない場合の全体所要時間Toffより短くなる条件から規定される。
【0043】
-全体所要時間Toff-
積極検査を実施しない場合の全体所要時間Toffは、次の式2で表すことができる。
Toff=Ta+Tb-Tc…(2)
但し、Taは初回検査の合計所要時間、Tbは再検査の合計所要時間、TcはTaとTbの重複時間である。
【0044】
Ta,Tb,Tcは、それぞれ次のように定義される。
Ta=T1+T3×N1+T2
Tb=T1+T3×N2+T2
Tc=T3×(N1-1)
式2の説明のため、
図6に積極検査を実施しない場合におけるオペレーションの処理の進捗の例を表すガントチャートを示す。簡単のため、同図では3つの検体I,II,IIIの分析を含むオペレーションにおいて、検体I,II,IIIの全てについて初回検査後に再検査を行う例を図示している。
【0045】
積極検査を実施しない場合、まず全ての検体I,II,IIIの初回検査を実施する。検体I,II,IIIについて、搬送工程、分注工程、反応工程をそれぞれ順番に実施していく。搬送工程及び反応工程は並行して実施可能であるが、分注工程は検体I,II,IIIについて同一のプローブを用いる場合、並行して実施できず時間をずらす必要がある。そのため、
図6から分かるように、検体I,II,IIIの初回検査を開始してから検査結果が出力されるまでの所要時間Taは、前述した通りTa=T1+T3×N1+T2で表せることが分かる。同様に、初回検査の結果が出力された後に実施する再検査の所要時間Tbも、前述した通りTb=T1+T3×N2+T2で表される。
【0046】
また、検体Iの初回検査の結果が出力されたら、検体II,IIIの初回検査の結果の出力前であっても最初の検体Iの再検査を開始することができ、検体II,IIIについても初回検査後に順次再検査に移行できる。これによる初回検査と再検査の重複時間Tcは、初回検査時の検体I,IIIの分析工程の時間差に等しいため、前述した通りTc=T3×(N1-1)で表せることが分かる。
【0047】
以上から、積極検査を実施しない場合のオペレーションの処理の全体所要時間Toffは、上記の式2で表せる。
【0048】
-全体所要時間Ton-
積極検査を実施する場合の全体所要時間Tonは、次の式3で表すことができる。
Ton=T1+T3×N1×2+T2…(3)
式3の説明のため、
図7に積極検査を実施する場合におけるオペレーションの処理の進捗の例を表すガントチャートを示す。同図においては、
図6に合わせて検体I,II,IIIの分析を含むオペレーションを例示している。
【0049】
積極検査を実施する場合、検体I,II,IIIのそれぞれについて、初回検査の分注工程に続けて再検査の分注工程が行われる。検体I,II,IIIの初回検査及び再検査の計6回の分注工程が連続して実施される。そのため、
図7から分かるように、積極検査を実施する場合のオペレーションの処理の全体所要時間Tonは、上記の式3で表せることが分かる。
【0050】
Toff>Tonを等式変形すると、前述した条件式1Aが得られる。
【0051】
-再検査の分析数の予想-
積極検査の有効又は無効の推奨設定を判定するためには、再検査の分析数N2を予想する必要がある。コンピュータ1は、処理装置10で判定処理12を実行する過程で、検査実績データ22に基づいて再検査の分析数N2を予想する。
【0052】
再検査で予想される分析数N2は、次式で求めることができる。
N2=N1×R
R:初回検査の分析のうち再検査に移行する割合
割合Rは、検査実績データ22に基づいて次式で計算される。
R=Nr/Nall
Nr:検査実績データ22の再検査有無224が「有り」である分析ID221の数
Nall:検査実績データ22の分析ID221の全数
3-5-2.条件式1Bについて
図8は積極検査を実施しない場合におけるオペレーションの処理の進捗の例を示すガントチャートである。
図8に示した処理の時系列自体は、
図6に示したものと同様である。
【0053】
積極検査を実施しない場合でも、初回検査の最後の分析の分注工程を終えた時点で再検査の最初の分析の分注工程を開始することができれば、分析装置2の動作に無駄な待ち時間は発生しない。従って、例えば分析数が少ないオペレーションで積極検査を実施しない場合、待ち時間が発生して分析時間が長くなる場合がある。
【0054】
図8に示したように最初の検体Iについて初回検査の分注工程を完了してから再検査の分注工程を開始するまでの時間Tiは、Ti=T1+T2で表される。初回検査において、各分析の分注工程が連続的に時間Tiよりも長く継続すれば、初回検査の最後の分析の分注工程を完了した時点で再検査の最初の分注工程に移行できるので、分析装置2の動作に無駄な待ち時間は発生しない。
【0055】
初回検査において最初の検体Iの分注工程を終えてから最後の検体の分注工程を終えるまでの時間はTcと同じくT3×(N1-1)で表されるため、Ti>Tcの条件から、条件式1Bが導かれる。
【0056】
コンピュータ1は、以上の条件に従って、処理装置10で判定処理12を実行し、積極検査の有効又は無効の推奨設定を判定する。本実施形態では、この判定結果が、操作者による積極検査の有効又は無効の設定の参考のために操作端末3に表示される(
図5)。操作者により積極検査の機能の有効又は無効が手動で設定されたら、その設定のデータが分析装置2及びコンピュータ1に送信される。分析装置2では、設定のデータに応じて検体の分析について積極検査、或いは通常の検査を実施する。コンピュータ1では、処理装置10で設定処理11を実行し、積極検査設定データ21を記憶装置20に記憶する。
【0057】
4.自動分析装置の運用方法
本実施形態の場合、自動分析装置を運用するに当たり、上記のように判定処理12で判定された推奨設定に従って積極検査の機能を有効化又は無効化することが推奨される。つまり、積極検査の機能を有効にすると分析時間が短くなる場合(積極検査推奨設定112に「積極検査ON推奨」が表示される場合)には、積極検査設定ラジオボタン111で「積極検査ON」を選択し、分析装置2の積極検査の機能を有効化する。また、積極検査の機能を有効にしても分析時間は短くならない場合(積極検査推奨設定112に「積極検査OFF推奨」が表示される場合)には、積極検査設定ラジオボタン111で「積極検査OFF」を選択し、分析装置2の積極検査の機能を無効化する。
【0058】
5.効果
(1)本実施形態では、積極検査の機能を有効にすることで分析時間が短くなるかどうかが、検査実績データ22に基づき判定される。本実施形態の場合、この判定の結果は操作端末3に出力され、積極検査の推奨設定を知らせる積極検査推奨設定112として操作者に提示される。この提示に従って積極検査の機能を操作者が有効化した場合、分析装置2においては積極検査が実施されることにより分析時間が短縮され得る。一方、提示に従って積極検査の機能をユーザが無効化した場合、分析装置2においては必要以上の再検査の実施が抑えられ、無駄な分析時間の発生を抑制することができる。
【0059】
このように、本実施形態によれば、同一検体について初回検査と併せて再検査を実施すべきか否かを判定し、必要以上の再検査の実施を抑制して分析時間を短縮することができる。また、必要以上の再検査の実施を抑制することで、試薬等の消耗品の浪費を抑制することもできる。
【0060】
(2)積極検査の推奨設定は、上記条件式1A,1Bにより判定される。条件式1A,1Bは四則演算を用いてシンプルに構築されており、コンピュータ1の演算負荷を抑えることができる。
【0061】
但し、上記条件式1A,1Bは積極検査の推奨設定の一例であり、条件式は適宜変更可能である。また、条件式1A,1Bの双方を満たした場合に積極検査を推奨することとしたが、条件式1Bを省略し、条件式1Aのみで積極検査の推奨設定を判定する構成としても一定の効果は期待できる。
【0062】
(第2実施形態)
第1実施形態では、コンピュータ1が推奨設定を操作端末3に表示する例を説明したが、本実施形態において、コンピュータ1は、設定処理11において、判定処理12による判定データとして分析装置2に対する積極検査の設定指令を出力するように構成される。積極検査の設定指令とは、積極検査の機能を有効にする有効指令、又は積極検査の機能を無効にする無効指令である。操作端末3に推奨設定の判定データを表示する場合、
図5の積極検査推奨設定112の表示に代え、例えば分析装置2の積極検査の機能が現在有効に設定されているのか無効に設定されているのかの表示をする。
【0063】
例えば、
図1において、コンピュータ1は、積極検査の機能を有効にすることで分析時間が短くなると判定処理12で判定した場合、ネットワークインタフェース30及びネットワーク4を介して分析装置2に有効指令を出力する。有効指令を受信した分析装置2の制御装置は、分析装置2を制御して積極検査を実施する。
【0064】
反対に、コンピュータ1は、積極検査の機能を有効にしても分析時間は短くならないと判定処理12で判定した場合、ネットワークインタフェース30及びネットワーク4を介して分析装置2に無効指令を出力する。無効指令を受信した分析装置2の制御装置は、分析装置2を制御して通常の検査(同一検体について、初回検査の結果に応じて必要な場合に再検査を実施する検査)を実施する。
【0065】
その他の事項について、本実施形態は第1実施形態と同様である。
【0066】
本実施形態によれば、操作者が手動で設定操作しなくても、分析装置2の積極検査の機能の有効及び無効が、分析依頼の予約状況に応じて自動で切り換わる。これにより操作者の労力を抑えることができ、操作者が適時に積極検査の機能を設定できないような業務状況であっても、積極検査の機能を適正かつ安定に運用することができる。
【0067】
(第3実施形態)
第3実施形態では、積極検査を有効にすべきか無効にすべきかの判定処理12に、条件式1A,1Bではなく、実績データに基づく学習済みデータを用いる。学習済みデータは、AIのプログラムに学習用データとして実績データ(検査実績データ22、分析時間統計データ23)を機械学習させて生成されたもの(例えばニューラルネットワーク)であり、分析依頼データから分析に要する時間を出力する。学習済みデータは例えば記憶装置20に格納され、コンピュータ1は、学習済みデータを用い、積極検査の機能を有効にした場合と無効にした場合の分析時間を分析依頼データから演算し、判定処理12を実行する。以下、具体例を説明する。
【0068】
【0069】
コンピュータ1は、オペレーションID225をキーとして実績データのレコードを検索し、AI学習用のデータを生成する。例えば、検査実績データ22から検体ID222及びテスト名223、分析時間統計データ23から積極検査有無231及びオペレーション時間232が、オペレーションID225毎に抽出される。検体ID222及びテスト名223については、同一のオペレーションID225で検査実績データ22から複数抽出される場合がある(
図3)。学習用のデータセットは、適宜変更可能である。コンピュータ1は、オペレーションID225毎のデータセットを機械学習し、検体ID222、テスト名223及び積極検査有無231からオペレーション時間232を推定するニューラルネットワーク24を生成し、記憶装置20に保存する。なお、ニューラルネットワーク24は、コンピュータ1で生成したものに限らず、他のコンピュータで生成したものであっても良い。
【0070】
コンピュータ1は、判定処理12の際にニューラルネットワーク24を用い、分析装置2から取得した分析依頼データ(検体IDとテスト名のデータを1組以上含む)について、積極検査を有効にする場合と無効にする場合のオペレーション時間を推定する。積極検査を有効にする設定と無効にする設定のうち、推定されるオペレーション時間が短い方の設定が推奨設定に決定される。コンピュータ1は、このようにして推奨設定を判定し、第1実施形態のように操作端末3に推奨情報として操作者に提示したり、第2実施形態のように分析装置2に設定を指令したりする。
【0071】
その他の点について、本実施形態は第1実施形態又は第2実施形態と同様である。本実施形態においても、第1実施形態又は第2実施形態と同様の効果が得られる。また、学習済みデータは、分析装置2で分析が実施される度に更新することができるので、自動分析装置の運用に伴ってオペレーション時間の推定精度が向上する。
【0072】
(第4実施形態)
第4実施形態は、第3実施形態と同じく、実績データに基づく学習済みデータを用いて判定処理12を実行する例である。第4実施形態が第3実施形態と異なる点は、検体ID221(患者)とテスト名223の組毎に、分析を実施する際に積極検査を有効にすべきか無効にすべきかを判定する点である。以下、具体例を説明する。
【0073】
【0074】
コンピュータ1は、オペレーションID225をキーとして実績データのレコードを検索し、AI学習用のデータを生成する。本実施形態では、検査実績データ22から検体ID222、テスト名223及び分析時間226、分析時間統計データ23から積極検査有無231が、オペレーションID225毎に抽出される。コンピュータ1は、オペレーションID225毎のデータセットを機械学習し、検体ID222、テスト名223及び積極検査有無231から分析時間226を推定するニューラルネットワーク25を生成し、記憶装置20に保存する。なお、ニューラルネットワーク25は、他のコンピュータで生成したものであっても良い。
【0075】
コンピュータ1は、判定処理12の際にニューラルネットワーク25を用い、分析装置2から取得した分析依頼データ(検体IDとテスト名の組)について、積極検査を有効にする場合と無効にする場合の分析時間を推定する。積極検査を有効にする設定と無効にする設定のうち、推定されるオペレーション時間が短い方の設定が、対象とする分析についての推奨設定に決定される。コンピュータ1は、このようにして推奨設定を判定し、第1実施形態のように操作端末3に推奨情報として操作者に提示したり、第2実施形態のように分析装置2に設定を指令したりする。
【0076】
その他の点について、本実施形態は第1実施形態又は第2実施形態と同様である。本実施形態においても、第1実施形態又は第2実施形態と同様の効果が得られる。また、学習済みデータは、分析装置2で分析が実施される度に更新することができるので、自動分析装置の運用に伴ってオペレーション時間の推定精度が向上する。
【0077】
(変形例)
添付図面は本発明の原理に則った具体例を示している。しかし、これらは発明の理解のためのものであり、本発明を限定する趣旨のものではない。例えば、上記の各実施形態では、
図3や
図4に示したように、テーブル構造のデータを例示したが、データ構造はテーブル構造には限定されず、リスト、DB、キューその他のデータ構造を採用することもできる。
【符号の説明】
【0078】
1…コンピュータ、2…分析装置、3…操作端末、12…判定処理、21…積極検査設定データ(判定データ)、22…検査実績データ(実績データ)、23…分析時間統計データ(実績データ)、24,25…ニューラルネットワーク(学習済みデータ)、112…積極検査推奨設定(推奨設定)、222…検体ID、223…テスト名、226…分析時間(検体IDの分析に要した時間)、231…積極検査有無(積極検査の実施の有無)、N1…初回検査の分析数、N2…再検査の分析数、T1…搬送時間、T2…反応時間、T3…分注時間、Toff,Ton…全体所要時間(分析時間)