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  • 特許-貼付材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】貼付材
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/0246 20240101AFI20241210BHJP
   A61F 13/02 20240101ALI20241210BHJP
   A61L 15/26 20060101ALI20241210BHJP
   A61L 15/24 20060101ALI20241210BHJP
   A61L 15/58 20060101ALI20241210BHJP
   A61L 15/42 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61F13/0246
A61F13/02 310D
A61F13/02 355
A61L15/26 100
A61L15/24 100
A61L15/58 100
A61L15/42 100
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020089644
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183051
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-02-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 牧人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 千登志
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-051996(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137699(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/0246
A61F 13/02
A61L 15/26
A61L 15/24
A61L 15/58
A61L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透湿度が2,000g/(m・day)以上の支持体と、透湿度が2,500g/(m・day)以上の粘着剤層とを備えた貼付材であって、
前記粘着剤層が(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体に基づく構成単位を有する重合体を含み、前記ポリオキシアルキレン鎖は、数平均分子量が1,000以上であり、エチレンオキシド単位の含有量が50質量%以下であり、
前記単量体は1分子中に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体aを含み、前記単量体の総質量に対する、前記単量体aの割合は、70~100質量%である、貼付材。
【請求項2】
前記支持体の表面の少なくとも一部に、前記粘着剤層が位置し、前記支持体と前記粘着剤層が重なる部分の透湿度が2,000g/(m・day)以上である、請求項1に記載の貼付材。
【請求項3】
前記粘着剤層の厚さが10~40μmである、請求項1又は2に記載の貼付材。
【請求項4】
前記支持体が、フィルム、多孔質フィルム、織布又は不織布であって、前記支持体の材料が、エーテル系ウレタン樹脂、エステル系ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の貼付材。
【請求項5】
前記粘着剤層の前記支持体が設けられた面の反対側に、剥離可能な状態で担持体を備えた、請求項1~4のいずれか一項に記載の貼付材。
【請求項6】
ヒトの皮膚に対する粘着力が、0.1~1.2N/15mmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の貼付材。
【請求項7】
医療用である、請求項1~6のいずれか一項に記載の貼付材。
【請求項8】
ドレッシング材である、請求項7に記載の貼付材。
【請求項9】
皮膚に直接適用する貼付材である、請求項1~8のいずれか一項に記載の貼付材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付材に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に適用する貼付材は、皮膚からの発汗による水分が貼付材外部に蒸散されるように、透湿性に優れていることが要求される。さらに汗やシャワーによって剥がれないように耐水性に優れることが要求される。
【0003】
特許文献1には、透湿度が3,000g/(m・day)以上の支持体と、透湿度が5,000g/(m・day)以上の粘着剤層とを備えた貼付材が開示されている。前記粘着剤層は、(1)数平均分子量5,000以上かつ平均官能基数2以上のポリオキシアルキレン構造を含有する活性水素化合物と、(2)数平均分子量1,500~5,000の平均官能基数1のポリオキシアルキレン構造を含有する活性水素化合物と、(3)有機ポリイソシアネートと、を反応させて得られるポリウレタン系粘着剤を含む。前記粘着剤を得るのに使用された全活性水素化合物の平均官能基数は2~2.6であり、かつ前記粘着剤中の全活性水素化合物のエチレンオキシド単位の含有量は3~8重量%である。
【0004】
さらに、特許文献1には、前記粘着剤層中のエチレンオキシド単位の割合を多くすることにより、透湿性を向上可能であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5457446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の貼付材の透湿性は充分ではない。そこで、本願の発明者らは、貼付材の透湿度の向上を目的に、特許文献1に記載の貼付材を構成する粘着剤層に含まれる重合体中のエチレンオキシド単位を増やす検討を行った。その結果、貼付材の透湿性は向上するものの、耐水性が不充分となることが判明した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透湿性及び耐水性に優れる貼付材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記[1]~[9]である。
[1] 透湿度が2,000g/(m・day)以上の支持体と、透湿度が2,500g/(m・day)以上の粘着剤層とを備えた貼付材であって、前記粘着剤層が(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体に基づく構成単位を有する重合体を含み、前記ポリオキシアルキレン鎖は、数平均分子量が1,000以上であり、エチレンオキシド単位の含有量が50質量%以下であり、前記単量体は1分子中に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体aを含み、前記単量体の総質量に対する、前記単量体aの割合は、70~100質量%である、貼付材。
[2] 前記支持体の表面の少なくとも一部に、前記粘着剤層が位置し、前記支持体と前記粘着剤層が重なる部分の透湿度が2,000g/(m・day)以上である、[1]に記載の貼付材。
[3] 前記粘着剤層の厚さが10~40μmである、[1]又は[2]に記載の貼付材。
[4] 前記支持体が、フィルム、多孔質フィルム、織布又は不織布であって、前記支持体の材料が、エーテル系ウレタン樹脂、エステル系ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも一種である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の貼付材。
[5] 前記粘着剤層の前記支持体が設けられた面の反対側に、剥離可能な状態で担持体を備えた、[1]~[4]のいずれか一項に記載の貼付材。
[6] ヒトの皮膚に対する粘着力が、0.1~1.2N/15mmである、[1]~[5]のいずれか一項に記載の貼付材。
[7] 医療用である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の貼付材。
[8] ドレッシング材である、[7]に記載の貼付材。
[9] 皮膚に直接適用する貼付材である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の貼付材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、透湿性及び耐水性に優れる貼付材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る貼付材の一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書における用語の定義は以下である。
「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
「単位」とは単量体の重合により直接形成された原子団を意味する。
「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシ及びメタクリロイルオキシのいずれか一方又は両方を意味する。
「官能基数」とは、特にことわりのない場合、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数を意味する。
「平均官能基数」とは、特にことわりのない場合、化学式に基づいて得られる式量当たり又は数平均分子量を1単位とする1分子中の平均の(メタ)アクリロイルオキシ基の数を意味する。
【0011】
数平均分子量(以下、「Mn」ともいう。)は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)で測定して得られるポリスチレン換算分子量である。分子量分布は質量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。Mnと同様にGPCで得られるポリスチレン換算分子量)をMnで除した値(以下、「Mw/Mn」ともいう。)をいう。なお、GPCの測定において、未反応の低分子量成分(単量体等)のピークが現れる場合は、前記ピークを除外してMnを求める。
Mnで規定されていても、Mw/Mnが存在しない場合は、化学式に基づいて得られる式量で表される分子量で代替するものとする。
【0012】
後述の水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物、又は水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物の水酸基価は、JIS K1557(2007年版)に準拠した測定により得られる値である。
水酸基換算分子量は、水酸基価を、「56100/(水酸基価)×(開始剤の水酸基の数)」の式に当てはめて算出した値である。
【0013】
本実施形態の貼付材は、透湿度が2,000g/(m・day)以上の支持体と、透湿度が2,500g/(m・day)以上の粘着剤層とを備える。
本実施形態の粘着剤層は、(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体(以下、「単量体x」という。)に基づく構成単位を有する重合体(以下、「重合体A」という。)を含む。前記ポリオキシアルキレン鎖は、数平均分子量が1,000以上であり、エチレンオキシド単位の含有量が50質量%以下である。
【0014】
<単量体x>
単量体xは、(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体である。
重合体を構成する単量体xは、2種以上でもよい。
単量体x中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数は、得られる重合体の柔軟性の観点から、1~4個が好ましく、1~2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。
単量体x中のウレタン結合の数は、単量体xを含む硬化性組成物が低粘度になることから、1~4個が好ましく、1~2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。
【0015】
単量体xの総量に対する(メタ)アクリロイルオキシ基の割合は、単量体xを含む硬化性組成物の硬化性、及び得られる重合体の柔軟性の観点から、0.15~7.0質量%が好ましく、0.2~2.3質量%がより好ましく、0.22~1.7質量%がさらに好ましい。
単量体xの総量に対するウレタン結合の割合は、単量体xを含む硬化性組成物の硬化性、及び得られる重合体の柔軟性の観点から、0.15~1.6質量%が好ましく、0.18~2.2質量%がより好ましく、0.20~1.4質量%がさらに好ましい。
【0016】
単量体xの総量に対するウレタン結合の割合は、単量体xの製造に用いた化合物中のイソシアネート基の全部が、ウレタン結合(分子量59)を形成しているとみなして、以下の計算式より算出する。
ウレタン結合の含有率(単位:質量%)=Mi×59/Wb×100
Wb:単量体xの総質量
Mi:質量Wbの単量体xの製造に用いた化合物に存在するイソシアネート基の全モル数
【0017】
単量体x中のポリオキシアルキレン鎖のMnは、1,000以上であり、得られる重合体の柔軟性、及び粘着性の観点から、1,000~25,000が好ましく、3,000~24,500がより好ましく、4,000~24,000がさらに好ましい。
単量体x中のポリオキシアルキレン鎖のMw/Mnは、単量体xを含む硬化性組成物が低粘度になることから、1.03~1.2が好ましく、1.04~1.15がより好ましく、1.05~1.14がさらに好ましい。
【0018】
単量体x中のポリオキシアルキレン鎖のエチレンオキシド単位の含有量は、0~50質量%であり、0~40質量%が好ましく、0~25質量%がより好ましい。エチレンオキシド単位の含有量が前記上限値以下であると、単量体xに基づく構成単位を有する重合体を含む粘着剤層を備える貼付材の耐水性が向上する。単量体xのエチレンオキシド含有量はH-NMRにより算出することができる。
【0019】
単量体x中のポリオキシアルキレン鎖のプロピレンオキシド単位の含有量は、50~100質量%が好ましく、60~100質量%がより好ましく、75~100質量%がさらに好ましい。
【0020】
単量体xのMnは、1,000~35,000が好ましく、6,000~30,000がより好ましく、7,000~25,000がさらに好ましい。単量体xのMnが上記範囲であると、単量体xを含む硬化性組成物の粘度を調整しやすく、得られる重合体の粘着性が良好となりやすい。
単量体xのMw/Mnは、1.01~1.30が好ましく、1.03~1.20がより好ましく、1.04~1.15がさらに好ましく、1.05~1.14が特に好ましい。
【0021】
単量体xは、下記単量体a及び単量体bの一方又は両方を含むことが好ましい。
単量体a:1分子中に、1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体。
単量体b:1分子中に、2個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する単量体。
単量体xの総量に対する、単量体a及び単量体bの合計の割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましい。上記範囲内であると、透湿性及び耐水性により優れる貼付材が得られる。
単量体xの総量に対する、単量体aの割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましい。上記範囲内であると、透湿性及び耐水性により優れる貼付材が得られる。
単量体xにおける、単量体aと単量体bの質量比は、単量体a/単量体bとして、50/50~100/0が好ましく、70/30~100/0がより好ましく、80/20~99/1がより好ましい。上記範囲内であると、透湿性及び耐水性により優れる貼付材が得られる。
【0022】
<単量体a>
単量体aは、1分子中に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する。
重合体Aを構成する単量体aは、2種以上でもよい。
【0023】
単量体aは、例えば以下の3つの製造方法(1)~(3)によって得られる。
(1)単量体aは、水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物と、(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物とのウレタン化反応により得られる。
(2)単量体aは、水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物と、イソシアネート基を2個有する化合物とをウレタン化反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、前記プレポリマーのイソシアネート基と、水酸基を1個有し、かつ(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とのウレタン化反応によって得られる。
(3)単量体aは、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物の1個の水酸基と、(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物とのウレタン化反応によって得られる。
本発明の貼付材は、単量体aに基づく構成単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えることにより、前記重合体中のエチレンオキシド単位の含有量が低くても、透湿性に優れる。
【0024】
単量体aの総量に対する(メタ)アクリロイルオキシ基の割合は、単量体aを含む硬化性組成物の硬化性、及び得られる重合体の柔軟性の観点から、0.15~7.0質量%が好ましく、0.2~2.3質量%がより好ましく、0.22~1.7質量%がさらに好ましい。
単量体aの総量に対するウレタン結合の割合は、単量体aを含む硬化性組成物の硬化性、及び得られる重合体の柔軟性の観点から、0.15~1.6質量%が好ましく、0.18~2.2質量%がより好ましく、0.20~1.4質量%がさらに好ましい。
【0025】
単量体a中のポリオキシアルキレン鎖のMnは、1,000以上であり、得られる重合体の柔軟性、及び粘着性の観点から、1,000~25,000が好ましく、3,000~24,500がより好ましく、4,000~24,000がさらに好ましい。
単量体a中のポリオキシアルキレン鎖のMw/Mnは、単量体aを含む硬化性組成物が低粘度になることから、1.03~1.2が好ましく、1.04~1.15がより好ましく、1.05~1.14がさらに好ましい。
【0026】
単量体a中のポリオキシアルキレン鎖のMn及びMw/Mnは、前記3つの製造方法において使用される、水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物、又は水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物のMn及びMwを測定することにより得られる。
【0027】
具体的には、単量体aのウレタン結合をアルカリ条件下で加水分解し、得られた水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物、又は水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物のMn及びMwを測定する。
【0028】
単量体a中のポリオキシアルキレン鎖のエチレンオキシド単位の含有量は、0~50質量%であり、0~40質量%が好ましく、0~25質量%がより好ましい。エチレンオキシド単位の含有量が前記上限値以下であると、単量体aに基づく構成単位を有する重合体を含む粘着剤層を備える貼付材の耐水性が向上する。単量体aのエチレンオキシド含有量はH-NMRにより算出することができる。
【0029】
単量体a中のポリオキシアルキレン鎖のプロピレンオキシド単位の含有量は、50~100質量%が好ましく、60~100質量%がより好ましく、75~100質量%がさらに好ましい。
【0030】
単量体aのMnは、5,000~25,000が好ましく、6,000~24,500がより好ましく、7,000~24,000がさらに好ましい。単量体aのMnが前記範囲であると、単量体aを含む硬化性組成物の粘度を調整しやすい。また、前記範囲の下限値以上であると、得られる重合体の硬化収縮率が低くなりやすく、皮膚に対する粘着性も良好となりやすい。
単量体aを2種以上用いる場合は、それぞれのMnが前記の範囲内であることが好ましい。
単量体aのMw/Mnは1.03~1.20が好ましく、1.04~1.15がより好ましく、1.05~1.14がさらに好ましい。
単量体aを2種以上用いる場合は、それぞれのMw/Mnが前記の範囲内であることが好ましい。
【0031】
単量体aを製造する際、直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を含む原料組成物における水分量は、少ないほど好ましく、直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物に対して、300質量ppm以下が好ましく、250質量ppm以下がより好ましく、50~200質量ppmがさらに好ましい。水分量が上記範囲内であると、水分とイソシアネート基を有する化合物との反応生成物の生成が少なく、得られた単量体aの安定性が向上する。さらに、単量体aを含む硬化性組成物の経時的な外観の変化を抑制しやすく、硬化性組成物から得られる重合体の弾性率、皮膚に対する粘着性が良好となりやすい。
水分とイソシアネート基を有する化合物との反応生成物の含有量は、単量体aの総量に対して、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量以下がより好ましい。
【0032】
単量体aの製造工程においては、生成物(以下、「生成物a」という。)中に上記水分とイソシアネート基含有化合物との反応生成物などの単量体a以外の副生成物が生じる場合がある。
生成物a中の副生成物の合計の割合は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、0質量%が最も好ましい。20質量%以下であると、単量体aとしての機能が充分に発揮されるため、生成物aを単量体aとみなすことができる。
【0033】
単量体aとしては、下式3で表される単量体a-1、下式4で表される単量体a-2、及び後述の単量体a-3が例示される。
【0034】
単量体a-1は下式3aで表される水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(以下、「化合物3a」という。)と、下式3bで表される(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物(以下、「化合物3b」という。)とのウレタン化反応によって得られる。
【0035】
化合物3aと、化合物3bとは、1分子中に存在するウレタン化反応が可能な基が各々1個であるため、単量体a-1の1分子中のウレタン結合を1個に制御しやすい。単量体a-1の1分子中のウレタン結合の数が少ないと単量体aを含む硬化性組成物の粘度が低くなりやすい。したがって、硬化性組成物が低粘度であり、柔軟性、皮膚への粘着性に優れた重合体が得られやすい点で、単量体aが単量体a-1を含むことがより好ましい。
【0036】
【化1】
【0037】
【化2】
【0038】
化合物3aは、1価アルコール又は1価アルコールにアルキレンオキシドを付加した化合物を開始剤としてアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法、又はモノカルボン酸の-OH基にアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法により得られる。アルキレンオキシドの具体例としては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド等が挙げられる。
【0039】
前記式3、3a、3bにおいて、R11は水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
-(OR12-は、アルキレンオキシドに基づく単位から形成される、直鎖のポリオキシアルキレン鎖を表す。
12は炭素数2~4の直鎖又は分岐のアルキレン基であり、1分子中に存在する複数のR12は互いに同じでも異なってもよい。1分子中に2種以上のR12が存在する場合、-OR12-の連鎖はブロックでもよくランダムでもよい。R12はエチレン基及びプロピレン基のいずれか一方又は両方であることが好ましい。エチレン基、プロピレン基としては、1,2-エチレン基、1,2-プロピレン基が好ましい。
13は炭素数1~20のアルキル基、又はR13と結合する酸素原子とともに炭素数1~20のカルボン酸残基を示す。前記カルボン酸残基は、カルボキシ基中の炭素原子を含む炭素数が1~20であるモノカルボン酸からカルボキシ基中の水素原子を1個除いた1価の基である。R13は反応が容易な点で炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数2~8のアルキル基が好ましい。
bは1~8の整数であり、1~4の整数が好ましい。
cは20~600の整数であり、35~500の整数が好ましく、65~250の整数がより好ましい。
【0040】
化合物3aの水酸基価は2.3mgKOH/g以上56.1mgKOH/g未満が好ましく、3~14mgKOH/gがより好ましい。水酸基換算分子量は1,000超25,000以下が好ましく、4,000~15,000がより好ましい。
化合物3aの水酸基換算分子量が前記範囲であれば、単量体a-1のMnを5,000~25,000の範囲に調整することができる。化合物3aの水酸基換算分子量が前記範囲内であれば、生成する単量体a-1の平均官能基数を0.8~1.3に調整しやすい。前記水酸基換算分子量が小さい方が、前記平均官能基数の上限を1.3以下に調整しやすい。
【0041】
化合物3aの製造において減圧脱気などによる水分の除去は特に必要なく、反応系内に投入される原料等に通常含まれる水分量は許容される。例えば、通常、開始剤の水分量は少ないほど好ましく、500質量ppm以下がより好ましく、300質量ppm以下がさらに好ましい。水分量がこの範囲であると、水から生成するジオールの生成量が抑制されるため、最終的に前記ジオールに(メタ)アクリロイルオキシ基が付加した副生成物の生成量が抑制され、前記副生成物と単量体a-1を含む生成物a-1の平均官能基数の上限を1.3以下に調整しやすい。
【0042】
化合物3bは、市販品を用いることができ、例えば、カレンズ-AOI(式3bにおけるR11=H、b=2)、カレンズ-MOI(式3bにおけるR11=CH、b=2)(いずれも、昭和電工株式会社製品名)が挙げられる。
化合物3aと、化合物3bとの反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。これらを反応させる際の、化合物3aに対する、化合物3bの配合比は、インデックス(NCO/OH比)で80~100が好ましく、90~100がより好ましく、100が最も好ましい。インデックスを前記範囲とすることで、生成物a-1の平均官能基数を0.8~1.3の範囲に調整しやすい。
化合物3aは2種以上の混合物であってもよい。この場合、各々の化合物3aは上記範疇に含まれる化合物が好ましい。
【0043】
生成物a-1の総量に対する単量体a-1の割合は、単量体aとしての機能が充分に発揮されるため、80質量%以上が好ましく、85~100質量%がより好ましい。生成物a-1が、前記割合で単量体a-1を含む場合には、単量体aの機能が充分に発揮されるため、生成物a-1を単量体a-1とみなすことができる。
【0044】
単量体a-1のMnは、5,000~25,000が好ましく、6,000~24,500がより好ましく、7,000~24,000がさらに好ましい。単量体a-1のMnが前記範囲であると、単量体a-1を含む硬化性組成物の粘度を調整しやすい。また、前記範囲の下限値以上であると、得られる重合体の硬化収縮率が低くなりやすく、皮膚に対する粘着性も良好となりやすい。
単量体a-1を2種以上用いる場合は、それぞれのMnが前記の範囲内であることが好ましい。
単量体a-1のMw/Mnは1.03~1.20が好ましく、1.04~1.15がより好ましく、1.05~1.14がさらに好ましい。
単量体a-1を2種以上用いる場合は、それぞれのMw/Mnが前記の範囲内であることが好ましい。
【0045】
生成物a-1のMnは、5,000~25,000が好ましく、6,000~24,500がより好ましく、7,000~24,000がさらに好ましい。生成物a-1のMnが前記範囲であると、生成物a-1を含む硬化性組成物の粘度を調整しやすい。また、前記範囲の下限値以上であると、得られる重合体の硬化収縮率が低くなりやすく、皮膚に対する粘着性も良好となりやすい。
生成物a-1を2種以上用いる場合は、それぞれのMnが前記の範囲内であることが好ましい。
生成物a-1のMw/Mnは1.03~1.20が好ましく、1.04~1.15がより好ましく、1.05~1.14がさらに好ましい。
生成物a-1を2種以上用いる場合は、それぞれのMw/Mnが前記の範囲内であることが好ましい。
【0046】
生成物a-1を単量体a-1とみなすことができる場合には、生成物a-1のMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体a-1の平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物a-1における平均官能基数は、0.8~1.3が好ましく、0.9~1.2がより好ましい。前記範囲内である生成物a-1は、硬化時の収縮を低減しやすく、得られる重合体の弾性率を低減しやすく、皮膚に対する粘着性が良好となりやすい。
【0047】
単量体a-1は、前記式3で表される化合物であって、かつ1分子中に存在するR12の全量に対してプロピレン基の割合が50~100質量%である単量体a-1-POを含むことが好ましい。
【0048】
前記単量体a-1-POにおいて、前記R12の全量に対するプロピレン基の割合は57~100質量%がより好ましく、100質量%が特に好ましい。1分子中に存在するR12のうち、プロピレン基以外のアルキレン基はエチレン基であることが好ましい。R12にエチレン基が含まれる場合、前記R12の全量に対するプロピレン基の割合は、66~99質量%が好ましく、74~95質量%がより好ましい。
単量体a-1-POのR12の全量に対するエチレン基の割合は、0~43質量%が好ましく、1~34質量%がより好ましく、5~26質量%がさらに好ましい。
【0049】
前記単量体a-1-POを用いる場合、単量体aの総量に対する、単量体a-1-POの割合は50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましい。前記単量体a-1-POの割合が前記範囲の下限値以上であると単量体a-1-POを含む硬化性組成物がより低粘度であり、得られる重合体がより柔軟性に優れる。
【0050】
単量体a-2は、下式4aで表される水酸基を1個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(以下、「化合物4a」という。)と、下式4bで表されるイソシアネート基を2個有する化合物(以下、「化合物4b」という。)とをウレタン化反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー)を得た後、前記プレポリマーのイソシアネート基に、下式4cで表される水酸基を1個有し、かつ(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(以下、「化合物4c」という。)を反応させることで得られる。
【0051】
【化3】
【0052】
【化4】
【0053】
化合物4aは、1価アルコール又は1価アルコールにアルキレンオキシドを付加した化合物を開始剤としてアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法、又はモノカルボン酸の水酸基にアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法により得られる。アルキレンオキシドの具体例としては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド等が挙げられる。
【0054】
前記式4、4cにおいて、R21は水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
-(OR22-は、アルキレンオキシドに基づく単位から形成される、直鎖のポリオキシアルキレン鎖を表す。
22は炭素数2~4の直鎖又は分岐のアルキレン基であり、1分子中に存在する複数のR22は互いに同じでも異なってもよい。1分子中に2種以上のR22が存在する場合、-OR22-の連鎖はブロックでもよくランダムでもよい。R22はエチレン基及びプロピレン基のいずれか一方又は両方であることが好ましい。エチレン基、プロピレン基としては、1,2-エチレン基、1,2-プロピレン基が好ましい。
23は炭素数1~20のアルキル基、又はR23と結合する酸素原子とともに炭素数1~20のカルボン酸残基を示す。前記カルボン酸残基は、カルボキシ基中の炭素原子を含む炭素数が1~20であるモノカルボン酸からカルボキシ基中の水素原子を1個除いた1価基である。R23は反応が容易な点で炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数2~8のアルキル基が好ましい。
【0055】
24は化合物4bからイソシアネート基を除いた2価の基である。化合物4bとしては、例えば、イソシアネート基を2個有する化合物が挙げられ、無黄変性芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、並びにこれらのジポリイソシアネートの各種変性体(イソシアネート基を2個有する変性体)が挙げられる。ジイソシアネートは2種以上を併用することもできる。
ジイソシアネートとしては、耐光性、耐候性、耐熱性が優れ透明性が維持できることから、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
無黄変性芳香族ジイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
化合物4bとしては、イソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
dは1~8の整数であり、1~4の整数が好ましい。eは20~600の整数であり、35~500の整数が好ましく、65~250の整数がより好ましい。
【0056】
化合物4aの水酸基価は2.3mgKOH/g以上56.1mgKOH/g未満が好ましく、3~14mgKOH/gがより好ましい。水酸基換算分子量は1,000超25,000以下が好ましく、4,000~15,000がより好ましい。
化合物4aの水酸基換算分子量を前記範囲とすることで、単量体a-2のMnを5,000~25,000の範囲に調整することができる。
化合物4aは2種以上の混合物であってもよい。この場合、各々の化合物4aは上記範疇に含まれる化合物が好ましい。
【0057】
化合物4aを製造する際の水分量や、分子量については、前記化合物3aの場合と同様である。化合物4aの製造においても、前記化合物3aの場合と同様に、原料に含まれる水から生成するジオールに(メタ)アクリロイルオキシ基が付加した副生成物と単量体a-2を含む生成物(以下、「生成物a-2」という。)が得られる場合がある。
【0058】
化合物4aと、化合物4bとを反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー)を得る反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。これらを反応させる際の、化合物4aに対する、化合物4bの配合比は、インデックス(NCO/OH比)で100~200が好ましく、180~200がより好ましく、200が最も好ましい。
【0059】
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、化合物4cとの反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。
【0060】
これらを反応させる際の、前記プレポリマーと、化合物4cとの配合比は、前記プレポリマー中のイソシアネート基:化合物4c中の水酸基のモル比が、1:1.0~1:1.1が好ましく、1:1.0~1:1.05がより好ましい。前記範囲内であれば、生成物a-2の平均官能基数を0.8~1.2の範囲に調整しやすい。
生成物a-2の総質量に対する単量体a-2の割合は、単量体aとしての機能が充分に発揮されるため、80質量%以上が好ましく、85~100質量%がより好ましい。生成物a-2が、前記割合で単量体a-2を含む場合には、単量体aの機能が充分に発揮されるため、生成物a-2を単量体a-2とみなすことができる。
【0061】
単量体a-2のMnは、5,000~25,000が好ましく、6,000~24,500がより好ましく、7,000~24,000がさらに好ましい。単量体a-2のMnが前記範囲であると、単量体a-2を含む硬化性組成物の粘度を調整しやすい。また、前記範囲の下限値以上であると、得られる重合体の硬化収縮率が低くなりやすく、皮膚に対する粘着性も良好となりやすい。
単量体a-2を2種以上用いる場合は、それぞれのMnが前記の範囲内であることが好ましい。
単量体a-2のMw/Mnは1.03~1.20が好ましく、1.04~1.15がより好ましく、1.05~1.14がさらに好ましい。
単量体a-2を2種以上用いる場合は、それぞれのMw/Mnが前記の範囲内であることが好ましい。
【0062】
生成物a-2のMnは、5,000~25,000が好ましく、6,000~24,500がより好ましく、7,000~24,000がさらに好ましい。生成物a-2のMnが前記範囲であると、生成物a-2を含む硬化性組成物の粘度を調整しやすい。また、前記範囲の下限値以上であると、得られる重合体の硬化収縮率が低くなりやすく、皮膚に対する粘着性も良好となりやすい。
生成物a-2を2種以上用いる場合は、それぞれのMnが前記の範囲内であることが好ましい。
生成物a-2のMw/Mnは1.03~1.20が好ましく、1.04~1.15がより好ましく、1.05~1.14がさらに好ましい。
生成物a-2を2種以上用いる場合は、それぞれのMw/Mnが前記の範囲内であることが好ましい。
【0063】
生成物a-2を単量体a-2とみなすことができる場合には、生成物a-2のMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体a-2の平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物a-2における平均官能基数は、0.8~1.3が好ましく、0.9~1.2がより好ましい。前記範囲内である生成物a-2は、硬化時の収縮を低減しやすく、得られる重合体の弾性率を低減しやすく、皮膚に対する粘着性が良好になりやすい。
【0064】
単量体a-2は、前記式4で表される化合物であって、かつ1分子中に存在するR22の全量に対するプロピレン基の割合が50~100質量%である単量体a-2-POを含むことが好ましい。
【0065】
前記単量体a-2-POにおいて、前記R22の全量に対するプロピレン基の割合は57~100質量%がより好ましく、100質量%が特に好ましい。1分子中に存在するR22のうち、プロピレン基以外のアルキレン基がエチレン基であることが好ましい。R22にエチレン基が含まれる場合、前記R22の全量に対するプロピレン基の割合は、66~99質量%が好ましく、74~95質量%がより好ましい。
単量体a-2-POのR22の全量に対するエチレン基の割合は、0~43質量%が好ましく、1~34質量%がより好ましく、5~26質量%がさらに好ましい。
【0066】
また前記単量体a-2-POを用いる場合、単量体aの総量に対する、単量体a-2-POの割合は50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましい。単量体a-2-POの割合が前記範囲の下限値以上であると単量体a-2-POを含む硬化性組成物がより低粘度であり、得られる重合体がより柔軟性に優れる。
【0067】
単量体a-3は、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(以下、「化合物5a」という。)と、前記化合物3bとのウレタン化反応によって得られる、官能基数が1の単量体である。
【0068】
化合物5aは、2価アルコール又は2価アルコールにアルキレンオキシドを付加した化合物を開始剤として、アルキレンオキシドを開環付加重合させた、ポリオキシアルキレンジオールである。化合物5aは、開始剤残基とポリオキシアルキレン鎖と開始剤のアルコール性水酸基の数に対応する水酸基を有する。2価アルコールとアルキレンオキシドとの開環付加重合、及び、開始剤とアルキレンオキシドとの開環付加重合は、KOH等のアルカリ性触媒や複合金属シアン化物錯体触媒などの触媒存在下において、従来公知の方法を用いることができる。
前記2価アルコールの炭素数は1~12が好ましく、2~8がより好ましい。2価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングルコール等のポリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等が挙げられる。
【0069】
化合物5aに存在するアルキレンオキシド単位の炭素数は2~4が好ましい。具体的には、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド等が挙げられる。1分子中に存在する複数のアルキレンオキシド単位は互いに同じであっても異なってもよい。1分子中に2種以上のアルキレンオキシド単位の連鎖が存在する場合、ブロック連鎖でもよくランダム連鎖でもよい。
前記アルキレンオキシド単位はエチレンオキシド単位及びプロピレンオキシド単位のいずれか一方又は両方であることが好ましい。アルキレンオキシド単位の全量に対するプロピレンオキシド単位の割合は57~100質量%が好ましく、100質量%がより好ましい。1分子中に存在するアルキレンオキシド単位のうち、プロピレンオキシド単位以外のアルキレンオキシド単位がエチレンオキシド単位であることが好ましい。アルキレンオキシド単位にエチレン基が含まれる場合、アルキレンオキシド単位の全量に対するプロピレン基の割合は、66~99質量%が好ましく、74~95質量%がより好ましい。
アルキレンオキシド単位の全量に対するエチレン基の割合は、0~43質量%が好ましく、1~34質量%がより好ましく、5~26質量%がさらに好ましい。
【0070】
化合物5aの水酸基価は1.6~56.1mgKOH/gが好ましく、3.7~14mgKOH/gがより好ましい。水酸基換算分子量は1,000超25,000以下が好ましく、4,000~15,000がより好ましい。
化合物5aの水酸基換算分子量が前記範囲であれば、単量体a-3のMnを5,000~25,000の範囲に調整できる。化合物5aの水酸基換算分子量が前記範囲内であれば、生成する単量体a-3の平均官能基数を0.8~1.3に調整しやすい。前記水酸基換算分子量が小さい方が、前記平均官能基数の上限を1.3以下に調整しやすい。
化合物5aは2種以上のポリオキシアルキレンジオールの混合物であってもよい。この場合、各々のポリオキシアルキレンジオールはいずれも上記範疇に含まれる化合物であることが好ましい。
【0071】
化合物5aと、化合物3bとの反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。
かかる反応では、化合物5aの両末端の水酸基が化合物3bと反応し得るため、官能基数が1の単量体のほかに、副生成物として、官能基数が2の単量体を含む生成物(以下、「生成物a-3」という。)を生成し得る。
生成物a-3の平均官能基数は0.8~1.3が好ましく、0.9~1.2がより好ましい。
【0072】
かかる反応における、化合物5aに対する化合物3bの配合比は、インデックス(NCO/OH比)で30~50が好ましく、40~50がより好ましく、50が最も好ましい。インデックスが前記範囲内であると、化合物5aの1分子に化合物3bの1分子が反応した化合物が得られやすく、前記生成物a-3の平均官能基数を0.8~1.3の範囲に調整しやすい。
【0073】
生成物a-3の総量に対する単量体a-3の割合は、単量体aとしての機能が充分に発揮されるため、80質量%以上が好ましく、85~100質量%がより好ましい。生成物a-3が、前記範囲内の割合で単量体a-3を含む場合には、単量体aの機能が充分に発揮されるため、生成物a-3を単量体a-3とみなすことができる。
【0074】
生成物a-3を単量体a-3とみなすことができる場合には、生成物a-3のMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体a-3の平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物a-3における平均官能基数は、0.8~1.3が好ましく、0.9~1.2がより好ましい。前記範囲内である生成物a-3は、硬化時の収縮を低減しやすく、得られる重合体の弾性率を低減しやすく、皮膚に対する粘着性が良好になりやすい。
【0075】
単量体a-3のMnは、5,000~25,000が好ましく、6,000~24,500がより好ましく、7,000~24,000がさらに好ましい。単量体a-3のMnが前記範囲であると、単量体a-3を含む硬化性組成物の粘度を調整しやすい。また、前記範囲の下限値以上であると、得られる重合体の硬化収縮率が低くなりやすく、皮膚に対する粘着性も良好となりやすい。
単量体a-3を2種以上用いる場合は、それぞれのMnが前記の範囲内であることが好ましい。
単量体a-3のMw/Mnは1.03~1.20が好ましく、1.04~1.15がより好ましく、1.05~1.14がさらに好ましい。
単量体a-3を2種以上用いる場合は、それぞれのMw/Mnが前記の範囲内であることが好ましい。
【0076】
生成物a-3のMnは、5,000~25,000が好ましく、6,000~24,500がより好ましく、7,000~24,000がさらに好ましい。生成物a-3のMnが前記範囲であると、生成物a-3を含む硬化性組成物の粘度を調整しやすい。また、前記範囲の下限値以上であると、得られる重合体の硬化収縮率が低くなりやすく、皮膚に対する粘着性も良好となりやすい。
生成物a-3を2種以上用いる場合は、それぞれのMnが前記の範囲内であることが好ましい。
生成物a-3のMw/Mnは1.03~1.20が好ましく、1.04~1.15がより好ましく、1.05~1.14がさらに好ましい。
生成物a-3を2種以上用いる場合は、それぞれのMw/Mnが前記の範囲内であることが好ましい。
【0077】
単量体aの総量に対して、単量体a-1の割合は、50~100質量%が好ましく、75~100質量%がより好ましく、80~100質量%がさらに好ましい。
単量体aの総量に対して、単量体a-2の割合は、0~50質量%が好ましく、0~25質量%がより好ましく、0~20質量%がさらに好ましい。
単量体aの総量に対して、単量体a-3の割合は、0~50質量%が好ましく、0~25質量%がより好ましく、0~20質量%がさらに好ましい。
【0078】
単量体aとしては、単量体a-1及び単量体a-2からなる群から選ばれる1種以上を含むことが特に好ましい。
単量体aの総量に対して、単量体a-1と単量体a-2との合計の割合は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
単量体a-1と単量体a-2との合計の割合が前記範囲の下限値以上であると硬化収縮率の低減効果に優れ、得られる重合体の柔軟性が高くなりやすく、皮膚に対する粘着性が良好になりやすい。単量体a-1と単量体a-2との質量比を表す(a-1):(a-2)は、1:0~1:1が好ましい。
【0079】
<単量体b>
単量体bは、1分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基と、ウレタン結合と、直鎖のポリオキシアルキレン鎖とを有する。
硬化速度の点からは、単量体bがアクリロイルオキシ基を有することが好ましい。
重合体Aを構成する単量体bは、2種以上でもよい。
【0080】
単量体bは、例えば以下の2つの製造方法(i)、(ii)によって得られる。
(i)単量体bは、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物の2個の水酸基と、(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物とのウレタン化反応により得られる。
(ii)単量体bは、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物と、イソシアネート基を2個有する化合物とをウレタン化反応させて両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、前記プレポリマーのイソシアネート基と、水酸基を1個有し、かつ(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物とのウレタン化反応によって得られる。
【0081】
製造方法(i)、(ii)において、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物としては、前記化合物5aを用いることができる。
製造方法(i)において、(メタ)アクリロイルオキシ基及びイソシアネート基を有する化合物としては、前記化合物3bを用いることができる。
製造方法(ii)において、イソシアネート基を2個有する化合物としては、前記化合物4bを用いることができる。
製造方法(ii)において、水酸基を1個有し、かつ(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、前記化合物4cを用いることができる。
本発明の貼付材は、単量体bに基づく構成単位を有する重合体を含む粘着剤層を備えることにより、前記重合体中のエチレンオキシド単位の含有量が低くても、透湿性に優れる。
【0082】
単量体bの1分子中のウレタン結合の数は1個以上である。
単量体bの総量に対して、ウレタン結合の含有率は3.90~6.00質量%が好ましく、3.92~5.70質量%がより好ましく、3.95~5.50質量%がさらに好ましい。このようにウレタン結合の濃度(存在割合)が高いことで、得られる重合体の粘着性を向上させることができる。
単量体bの総量に対するウレタン結合の含有率は、前記単量体aの総量に対するウレタン結合の含有率と同様にして算出する。
【0083】
単量体b中のポリオキシアルキレン鎖のMnは、1,000以上であり、得られる重合体の柔軟性、低粘度化の観点から、1,000~35,000が好ましく、5,000~30,000がより好ましく、8,000~25,000がさらに好ましい。
単量体b中のポリオキシアルキレン鎖のMw/Mnは、単量体bを含む硬化性組成物がより低粘度となりやすい点から、1.01~1.30が好ましく、1.03~1.20がより好ましく、1.02~1.10がさらに好ましい。
【0084】
単量体b中のポリオキシアルキレン鎖のMn及びMw/Mnは、前記2つの製造方法において使用した、水酸基を2個有し、かつ直鎖のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物のMn及びMwを測定することにより得られる。
具体的には、前記単量体a中のポリオキシアルキレン鎖のMn及びMw/Mnと同様の方法で測定できる。
【0085】
単量体bのMnは1,000~35,000が好ましく、6,000~30,000がより好ましく、9,000~25,000がさらに好ましい。単量体bのMnが上記範囲であると、硬化性組成物の粘度を調整しやすく、得られる重合体の粘着性が良好となりやすい。
硬化性組成物に単量体bが2種以上含まれる場合は、それぞれの単量体bのMnが上記の範囲内であることが好ましい。
単量体bのMw/Mnは1.01~1.30が好ましく、1.03~1.20がより好ましい。
硬化性組成物に単量体bが2種以上含まれる場合は、それぞれのMw/Mnが上記の範囲内であることが好ましい。
【0086】
単量体bの製造工程において、生成物(以下、「生成物b」という。)中に単量体b以外の副生成物が生じる場合がある。
生成物b中の副生成物の含有量は、20質量%以下が好ましく、15質量以下がより好ましく、10質量%以下が好ましく、ゼロが最も好ましい。20質量%以下であると単量体bとしての機能が十分に発揮されるため、生成物bを単量体bとみなすことができる。
【0087】
生成物bのMnは、1,000~35,000が好ましく、6,000~30,000がより好ましく、9,000~25,000がさらに好ましい。生成物bのMnが前記範囲であると、生成物bを含む硬化性組成物の粘度を調整しやすい。また、前記範囲の下限値以上であると、得られる重合体の硬化収縮率が低くなりやすく、皮膚に対する粘着性も良好となりやすい。
生成物bを2種以上用いる場合は、それぞれのMnが前記の範囲内であることが好ましい。
生成物bのMw/Mnは1.01~1.30が好ましく、1.03~1.20がより好ましい。
生成物bを2種以上用いる場合は、それぞれのMw/Mnが前記の範囲内であることが好ましい。
【0088】
生成物bを単量体bとみなすことができる場合には、生成物bのMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体bの平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物bにおける平均官能基数は、1.6~2.0が好ましく、1.7~2.0がより好ましく、1.8~1.96がさらに好ましい。上記範囲内である生成物bは、得られる重合体の粘着性が良好となりやすい。
【0089】
単量体bは、全オキシアルキレン基に対して、オキシプロピレン基の含有量が57~100質量%であり、かつオキシエチレン基の含有量が0~43質量%である単量体b-POが含まれることが好ましい。
単量体b-POを用いる場合、単量体bに対する、単量体b-POの含有量は50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましい。単量体b-POの含有量が前記範囲内であると、得られる重合体における柔軟性が得られやすい。
【0090】
特に、単量体b-POは、全オキシアルキレン基に対する、オキシプロピレン基の含有量が80~100質量%、かつオキシエチレン基の含有量が0~20質量%、平均水酸基数が2~3、数平均分子量が1,000~35,000のポリオキシアルキレンジオールと、無黄変性のジイソシアネートと、ヒドロキシアルキルアクリレートとの反応生成物であることが好ましい。
無黄変性のジイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート及び無黄変性芳香族ジイソシアネートからなる群から選ばれるジイソシアネートが好ましい。具体的には、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
ヒドロキシアルキルアクリレートとしては、下記化合物2が好ましい。
CH=CH-C(=O)O-R’ …(2)
R’は炭素数1~6のアルキル基の1個の水素原子が水酸基で置換された基を表す。
化合物2の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0091】
<粘着剤層>
本実施形態の粘着剤層は重合体Aを含む。重合体Aは、単量体xに基づく構成単位を有する。本実施形態の重合体は、単量体xの重合反応で得られる。重合は、単量体x、必要に応じた熱重合開始剤、光重合開始剤、他の成分を有する硬化性組成物を用いて、公知の方法により行うことができる。
【0092】
重合体Aは、単量体xに基づく単位のほかに、その他の単量体に基づく単位を有してもよい。その他の単量体は、単量体xと共重合可能であればよい。その他の単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等のアクリルアミド、イソボロン(メタ)アクリレート、テトラヒドロキシフラン(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレートが例示できる。
【0093】
重合体Aの全構成単位に対する単量体xに基づく単位の割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、80~100質量%がさらに好ましい。前記範囲の下限値以上であると重合体Aを含む粘着剤層を備える貼付材の透湿性、耐水性が向上する。
【0094】
重合体Aは、単量体xを含む硬化性組成物を重合させることにより得られる。
本実施形態の硬化性組成物は、光硬化性樹脂組成物であってもよく、熱硬化性樹脂組成物であってもよい。
硬化性組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合、熱重合開始剤を含有することが好ましい。硬化性組成物が光硬化性樹脂組成物である場合、光重合開始剤を含有することが好ましい。低温で重合でき、かつ重合速度が速い点から光硬化性樹脂組成物が好ましい。光硬化性樹脂組成物であれば、より短時間で重合体が得られ、貼付材の生産性により優れる。
【0095】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、波長380nm以下の紫外線に感応する光重合開始剤が、重合反応の制御のしやすさの点から好ましい。
光重合開始剤の例としては、国際公開第2018/173896号の[0147]~[0151]に記載されている光重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤として、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させる水素引抜型光重合開始剤が好ましい。水素引抜型光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-[2-((メタ)アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルギ酸メチルが挙げられる。
光重合開始剤は、2種以上を併用してもよい。
【0096】
光重合開始剤の使用量は、単量体xの100質量部に対して0.1~10質量部が好ましく、0.2~5質量部がより好ましい。光重合開始剤の使用量が前記範囲であると、活性エネルギー線に対する適度な反応感度が得られやすい。
【0097】
(熱重合開始剤)
熱重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤が、反応性の点から好ましい。
熱重合開始剤の例としては、特開2020-35451、特開2020-8877に記載されている熱重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤は、2種以上を併用してもよい。
【0098】
熱重合開始剤の使用量は、単量体xの100質量部に対して0.05~5質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましい。熱重合開始剤の使用量が前記範囲であると、加熱養生時において適度な反応感度が得られやすい。
【0099】
(その他の成分)
本実施形態の硬化性組成物は、単量体x、光重合開始剤、及び熱重合開始剤以外の他の成分として、必要に応じて従来公知の成分を含有してもよい。
その他の成分として、例えばシランカップリング剤、粘着付与樹脂、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、消泡剤、無機粒子等が挙げられる。
必要に応じて、反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を含有してもよい。
必要に応じて、多官能イソシアネート(イソホロンジイソシアネートの変性体、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体、トリレンジイソシアネートの変性体など)を含有してもよい。
必要に応じて、溶媒を含有してもよい。
【0100】
各成分の混合順序は、特に限定されない。また、単量体xの重合は、各成分を混合した後に紫外線を照射してもよいし、熱処理してもよい。
硬化性組成物を構成する各成分は、予め混合してもよく、重合させる直前に混合してもよい。例えば、光重合開始剤以外の成分を予め混合した予備混合物に、重合させる直前に光重合開始剤を添加してもよい。
本実施形態の硬化性組成物は、溶剤を含まなくても使用できる。必要に応じて溶剤を含んでもよい。用いた溶剤は、重合時または重合後に除去することが好ましい。
【0101】
重合体Aは、例えば、硬化性組成物を所望の形状に成形し、紫外線を照射して単量体xを重合させることにより得られる。
硬化性組成物の成形方法は、例えば、後述の支持体上に塗布する方法、押出成形する方法、型に注入する方法が挙げられる。
紫外線の照射量は、0.1~5J/cmが好ましく、0.3~4J/cmがより好ましく、0.5~3J/cmがさらに好ましい。照射量が前記範囲の下限値以上であると得られる粘着剤層の強度がより良好となり、上限値以下であると着色しにくい。
【0102】
硬化性組成物の総量に対する、単量体xの割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、80~100質量%がさらに好ましい。
【0103】
粘着剤層の総量に対する、重合体Aの割合は50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、80~100質量%がさらに好ましい。本実施形態の粘着剤層は、重合体A以外の他の成分として、硬化性組成物で説明した(その他の成分)を含有してもよい。
【0104】
粘着剤層の透湿度は、2,500g/(m・day)以上であり、3,000g/(m・day)以上が好ましく、3,500g/(m・day)以上がより好ましい。
【0105】
透湿度は、試験片を通過する水蒸気の1m当たり1日当たりの量として求める。
透湿度の測定は、40℃雰囲気下、試験片により隔てられる一方側の空間の相対湿度を90%とし、他方側の空間を吸湿剤によって乾燥状態に保ったときに、24時間(1日)に試験片を通過する水蒸気の質量(g)を測定し、試験材料1m当たりに換算する。測定はJIS Z 0208:1976 防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に従って行い、カップの内径より約10mm大きい直径の円形の試験片を約50gの塩化カルシウム吸湿剤を入れたカップに被せ、さらに試験片がずれないようにゴムパッキンとリングを被せてネジ止めする。この試験片の総質量を測定した後、40℃、90%RH雰囲気下の恒温恒湿槽中に入れ、一定時間毎の質量変化を測定し、以下の式に従って透湿度を求める。
透湿度(g/(m・day))=W×240000/S
ただし、Sは透湿面積(cm)を表し、Wは1時間当たりの質量増加(g/hr)を表す。
【0106】
なお、粘着剤層の透湿度は支持体と粘着剤層を貼合わせた貼付材の透湿度と支持体の透湿度から下記の式により求めることができる。
(1/粘着剤層の透湿度)=(1/貼付材の透湿度)-(1/支持体の透湿度)
【0107】
粘着剤層の厚さは、10~40μmが好ましく、12~35μmがより好ましく、15~30μmがさらに好ましい。粘着剤層の厚さが前記範囲内であると、粘着剤層の皮膚表面への密着性がより良好となる。
【0108】
<貼付材>
図1は、本発明に係る貼付材の一実施形態を示す断面図である。貼付材1は、支持体11と、前記支持体の表面に設けられた粘着剤層12とを備える。
支持体の材料としては、例えば、エーテル系ウレタン樹脂及びポリエステル系ウレタン樹脂等のウレタン樹脂、ポリエーテルポリアミドブロックポリマー等のポリアミド樹脂、ポリアクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン/酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリエーテルポリエステル等のポリエステル樹脂が挙げられる。支持体の材料としては、透湿性の点から、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はポリオレフィン樹脂が好ましく、ウレタン樹脂又はアミド樹脂が好ましく、エーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂又はアミド樹脂がより好ましい。支持体の材料は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
支持体の形態は、フィルム、多孔質フィルム、織布又は不織布が好ましい。支持体の形態は、異なる材料から製造された基材フィルムを積層した積層フィルムでもよい。基材フィルムは、織布、不織布、編布又はネット等の布帛と積層できる。
支持体の厚さは、特に限定されないが、支持体としてフィルムを用いる場合の厚さは、1~9μmが好ましく、3~9μmがより好ましい。支持体の厚さがこの範囲内であると、支持体の透湿性により優れ、支持体と粘着剤層が重なる部分の透湿度により優れるとともに、貼付材が破断しにくく、貼付材の皮膚表面への追従性を確保しやすい。支持体として不織布、織布、多孔質フィルム等の通気性を有する布およびフィルムを用いる場合の厚さは、10~250μmが好ましく、20~150μmがより好ましい。支持体の厚さがこの範囲内であると、支持体の透湿性により優れ、支持体と粘着剤層が重なる部分の透湿度により優れるとともに、貼付材が破断しにくく、貼付材の皮膚表面への追従性を確保しやすい。
【0109】
支持体の透湿度は、2,000g/(m・day)以上であり、3,500g/(m・day)以上が好ましく、4,500g/(m・day)以上がより好ましい。
【0110】
貼付材の前記支持体と前記粘着層が重なる部分の透湿度は、2,000g/(m・day)以上が好ましく、2,800g/(m・day)以上がより好ましく、3,000g/(m・day)以上がさらに好ましい。
【0111】
本実施形態の貼付材1は、図1に示すように粘着剤層12の、支持体11が形成された面と反対側の面において、担持体13を剥離可能に積層できる。担持体の素材は、特に限定されないが、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、シリコーン離型処理やフッ素離型処理したポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム及びシリコーン離型処理やフッ素離型処理した上質紙、グラシン紙等の紙基材が好ましい。
【0112】
貼付材のヒトの皮膚に対する粘着力は、0.1~1.2N/15mmが好ましく、0.2~0.8N/15mmがより好ましい。
貼付材のヒトの皮膚に対する粘着力は、JIS Z 0237:2009の粘着テープ・粘着シート試験方法の「10 粘着力」に記載された試験方法に従い、25℃雰囲気下でヒトの皮膚に15mm幅の試験片を貼付し、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復圧着し、20分放置後、剥離角度90度、剥離速度300mm/分の剥離力を測定して得られる粘着力である。
【0113】
貼付材の用途としては、創傷被覆材が挙げられ、皮膚に直接適用される医療用のドレッシング材、ガーゼなどの医療材料を固定するためのフィルム材、絆創膏用の貼付材が好適である。
【実施例
【0114】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0115】
<測定方法・評価方法>
[分子量の測定]
数平均分子量(Mn)は、以下の条件で、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
・分析装置:HLC-8120GPC 東ソー社製品名
・カラム:G7000HXL+GMHXL+GMHXL 東ソー社製品名
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm、計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8mL/min
・注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
【0116】
[貼付材の特性評価]
貼付材について透湿度、ヒトの皮膚に対する粘着力、及び耐水性を評価した。
【0117】
[透湿度]
透湿度は、貼付材を通過する水蒸気の1m当たり1日当たりの質量として求めた。
透湿度は、40℃雰囲気下、貼付材により隔てられる一方側の空間の相対湿度を90%とし、他方側の空間を吸湿剤によって乾燥状態に保ったときに、24時間(1日)に試験片を通過する水蒸気の質量(g)を測定し、貼付材1m当たりに換算して求めた。透湿度の測定はJIS Z 0208:1976の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に従って行った。具体的には、先ず、カップの内径より約10mm大きい直径の円形の貼付材を約50gの塩化カルシウム吸湿剤を入れたカップに被せ、さらに貼付材がずれないようにゴムパッキンとリングを被せてネジ止めした。次に、この貼付材の総質量を測定した後、40℃、90%RH雰囲気下の恒温恒湿槽中に入れ、一定時間毎の質量変化を測定し、以下の式に従って透湿度を求めた。
透湿度(g/m・day)=W×240000/S
式中、Sは透湿面積(cm)を、Wは1時間当たりの質量増加(g/hr)を表す。
透湿度は、以下の基準により評価した。
A・・・2,500g/(m・day)以上
D・・・2,500g/(m・day)未満
【0118】
[ヒトの皮膚に対する粘着力]
ヒトの皮膚に対する粘着力は、JIS Z 0237:2009の粘着テープ・粘着シート試験方法の「10 粘着力」に記載された試験方法に従って行った。具体的には、25℃雰囲気下でヒトの皮膚に15mm幅の貼付材の粘着剤層を貼付し、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復圧着し、20分放置後、剥離角度90度、剥離速度300mm/分の剥離力を測定した。ヒトの皮膚は、イソプロピルアルコールで脱脂した後、風乾してから用いた。
ヒトの皮膚に対する粘着力は、以下の評価基準により評価した。
A・・・0.2~1.2N/15mm
D・・・0.2N/15mm未満、又は1.2N/15mm超
【0119】
[耐水性]
耐水性の評価は、先ず、貼付材の粘着剤層について、ベークライト板に15mm幅の試験片を貼付し、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復圧着し、20分放置した。次いで、水中に20分放置し、ベークライト板からの粘着剤層の剥がれの有無を確認した。
耐水性は、以下の評価基準により評価した。
A・・・剥がれなし。
D・・・剥がれあり。
【0120】
(製造例1-1:化合物P1の製造)
撹拌機及び窒素導入管を備えた耐圧反応容器内に、亜鉛ヘキサシアノコバルテート-tert-ブチルアルコール錯体触媒(以下、「TBA-DMC触媒」という。)を含むスラリー、及び開始剤の1-ブタノールの30gを仕込み、反応液とした。前記スラリーの投入量は、反応液中におけるTBA-DMC触媒の金属の濃度が46ppmとなる量とした。
次いで、耐圧反応容器内を窒素置換した後、反応液を撹拌しながら加熱し、135℃に達したら加熱を止め、撹拌を続けながら、プロピレンオキシド(以下、「PO」ともいう。)の3970gを耐圧反応容器内に供給して反応させた。次いで、反応液の温度上昇が止まったことを確認して、135℃まで冷却を行った。内圧の変化がなくなり、反応が終了したことを確認した後、合成吸着剤(キョーワド600S、協和化学工業社製)を用いて触媒中和、除去を行った。
得られた化合物P1の1分子当たりの水酸基数、Mn(ポリオキシアルキレン鎖のMn)、エチレンオキシド(以下、「EO」ともいう。)単位の割合を表1に示す(以下、同様に示す)。
【0121】
(製造例1-2:化合物P2の製造)
製造例1-1のPOの3970gの供給に代えて、POの3758g及びEOの970gを供給した点を除き、製造例1-1と同様にして、化合物P2を製造した。
【0122】
(製造例1-3:化合物P3の製造)
開始剤を1-ブタノールからグリセリンの38gに変更し、POの3970gの供給に代えて、POの804g及びEOの3217gを供給した点を除き、製造例1-1と同様にして、化合物P3を製造した。
【0123】
(製造例1-4:化合物P4の製造)
開始剤を1-ブタノールからプロピレングリコールに変更した点を除き製造例1-2と同様にして、化合物P4を製造した。
【0124】
このほか、市販の化合物としてAGC(株)社製 PREMINOL 7012(以下、「化合物P5」という。)、PREMINOL S4011(以下、「化合物P6」という)、PREMINOL S1004(以下、「化合物P7」という)を用いた。化合物P4~P7の1分子当たりの水酸基数、Mn(ポリオキシアルキレン鎖のMn)、EO単位の割合を表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
(製造例2-1:単量体a1の製造)
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に、製造例1-1で得た化合物P1の100質量部と、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズAOI、昭和電工社製、以下「AOI」ともいう。)の1.39質量部、2-エチルヘキサン酸ビスマス(以下、「触媒1」という。)の0.008質量部を加え、70℃で3時間反応させて、単量体a1を得た。
単量体a1のOH基に対する2-アクリロイルオキシエチルイソシアネートのNCO基の比率(インデックス(NCO基の数/OH基の数))、単量体a1に対するEO単位の割合、Mnを表2に示す(以下、同様である。)。
【0127】
(製造例2-2:単量体a2の製造)
製造例2-1において、化合物P1の100質量部の代わりに化合物P1の50質量部及び化合物P2の50質量部、及びAOIの使用量を1.32質量部とした他は同様にして単量体a2を得た。
【0128】
(製造例2-3:単量体b1の製造)
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた反応器に、化合物P5の44質量部と、化合物P6の22質量部と、化合物P7の34質量部を加え、40℃で混合してから、ジイソシアネート(D201(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー、旭化成社製)、以下「D201」ともいう。)の6.78質量部、ジブチル錫ジラウレート(以下、「触媒2」という。)の0.02質量部を加え、80℃で反応を開始した。イソシアネートインデックスは90であった。反応により発熱が起こり、内温が約80℃となり、粘度も時間とともに上昇した。適時、酢酸エチルを加えて希釈しながら80℃に保って7時間反応させ、均一透明な液体として、平均水酸基数1.68である単量体b1を得た。
なお、重合体b1における平均水酸基数fnは、下記式(I)より算出した。
fn=Σ(fi×Wi/Mni)/Σ(Wi/Mni) ・・・(I)
ただし、fiは化合物P5、P6及びP7のそれぞれの原料として用いた開始剤1分子あたりの活性水素の数、Wiは化合物P5、P6及びP7のそれぞれの質量部、Mniはそれぞれのオキシアルキレン重合体におけるMnを表す。
【0129】
(製造例2-4:単量体b2の製造)
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた反応器に、化合物P3の30質量部と、化合物P4の40質量部と、化合物P2の30質量部を加え、40℃で混合してから、D201の4.77質量部、ジブチル錫ジラウレートの0.02質量部を加え、80℃で反応を開始した。イソシアネートインデックスは90であった。反応により発熱が起こり、内温が約80℃となり、粘度も時間とともに上昇した。適時、酢酸エチルを加えて希釈しながら80℃に保って7時間反応させ、均一透明な液体として、平均水酸基数1.84である単量体b2を得た。単量体b2の平均水酸基数については、単量体b1と同様にして算出した。
【0130】
【表2】
【0131】
[例1]
表3に示す通り、単量体a1の100質量部と光ラジカル重合開始剤(Irgacure819、BASF社製、以下「光開始剤1」という。)の0.3質量部を混合後脱泡した。得られた調製液を剥離可能な担持体として剥離処理を施したポリエステルフィルム(剥離体、厚み50μm)上にナイフコータを用い乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、次いでHgXeランプで照度100mW/cm、積算光量250mJ/mの光を照射し、単量体a1を仮硬化させた。続いて、得られた仮硬化物に支持体として厚さ70μm、透湿度6,580g/(m・day)のナイロン織布を重ね合わせ、ポリエステルフィルム側からHgXeランプで照度100mW/cm、積算光量2,750mJ/mの光を照射させることで硬化し、担持体付きの貼付材を作製した。透湿度、ヒトの皮膚に対する粘着力および耐水性は担持体を剥がした貼付材について評価した。
得られた貼付材及び粘着剤層の透湿度、ヒトの皮膚に対する粘着力、耐水性の評価結果、並びに粘着剤層のEO単位の割合を表3に示す(以下、同様である。)。
なお、粘着剤層の透湿度は、貼付材の透湿度と支持体の透湿度から下記の式により求めた計算値である。
(1/粘着剤層の透湿度)=(1/貼付材の透湿度)-(1/支持体の透湿度)
【0132】
[例2]
表3に示す通り、単量体a1の100質量部にかえて、単量体a1の50質量部、単量体a2の50質量部を用いた点を除いて、例1と同様にして、貼付材を作製した。
【0133】
[例3]
表3に示す通り、単量体b1の100質量部と硬化剤(コロネートL、東ソー社製品名、以下「硬化剤1」という。)2質量部とを均一に混合した後脱泡し、剥離可能な担持体として剥離処理を施したポリエステルフィルム(剥離体、厚み50μm)上にナイフコータを用い乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、次いで120℃で3分間硬化乾燥させた。
続いて、硬化物に支持体として厚さ70μm、透湿度6,580g/(m・day)のナイロン織布を重ね合わせた後、熱風乾燥機中に50℃の雰囲気下で3日間保存して粘着剤層の架橋反応を完結させて、貼付材を作製した。
【0134】
[例4]
表3に示す通り、単量体b1の100質量部にかえて、単量体b2の100質量部を用いた点を除いて、例3と同様にして、貼付材を作製した。
【0135】
例1及び2は実施例、例3及び4は比較例である。
【0136】
【表3】
【0137】
例1及び例2の貼付材は、透湿度、耐水性ともに評価が「A」となり、エチレンオキシドの含有量によらず、透湿度が高かった。例3の粘着剤層は、透湿度の評価が「D」であり、エチレンオキシド含有量が少ないことに起因すると考えられた。例4の粘着剤層は耐水性の評価が「D」であり、エチレンオキシド含有量が多いことに起因すると考えられた。
【符号の説明】
【0138】
1…貼付材、11…支持体、12…粘着剤層、13…担持体
図1