(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ラミネート処理装置、画像形成装置、及び、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20241210BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20241210BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20241210BHJP
B41J 13/02 20060101ALI20241210BHJP
B41J 11/50 20060101ALI20241210BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20241210BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20241210BHJP
B65H 29/62 20060101ALI20241210BHJP
B65H 29/54 20060101ALI20241210BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65H7/14
B65H37/04 Z
B65H41/00 B
B41J13/02
B41J11/50
B65H5/06 F
B65H29/58 A
B65H29/62 Z
B65H29/54
B29C63/02
(21)【出願番号】P 2020123850
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-05-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】松田 昂大
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-068115(JP,A)
【文献】特開2000-263644(JP,A)
【文献】特開平05-338039(JP,A)
【文献】特開2018-180400(JP,A)
【文献】特開平06-278906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0021603(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/14
B65H 37/04
B65H 41/00
B41J 13/02
B41J 11/50
B65H 5/06
B65H 29/58
B65H 29/62
B65H 29/54
B29C 63/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のシートが重ね合されて一端側が接合部として接合された重合シートの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の前記2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部と、
前記シート剥離部によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の前記重合シートにラミネート処理を施すラミネート処理部と、
少なくともラミネート処理がおこなわれる前に、前記重合シートと前記中シートとのサイズ差を検知する検知手段と、
を備え、
前記検知手段によって、前記重合シートのサイズに比べて前記中シートのサイズが小さくて、そのサイズ差が所定の閾値を超える状態が検知された場合に、異常があったものと判断して、ラミネート処理を中止することを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項2】
2枚のシートが重ね合されて一端側が接合部として接合された重合シートの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の前記2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部と、
前記シート剥離部によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の前記重合シートにラミネート処理を施すラミネート処理部と、
少なくともラミネート処理がおこなわれる前に、前記重合シートと前記中シートとのサイズ差を検知する検知手段と、
を備え、
前記検知手段の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、前記重合シートと前記中シートとを前記ラミネート処理部を通過させずに、排出部に排出することを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項3】
2枚のシートが重ね合されて一端側が接合部として接合された重合シートの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の前記2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部と、
前記シート剥離部によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の前記重合シートにラミネート処理を施すラミネート処理部と、
少なくともラミネート処理がおこなわれる前に、前記重合シートと前記中シートとのサイズ差を検知する検知手段と、
を備え、
予め設定された条件のもと前記検知手段の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、ラミネート処理を中止し、
前記条件は、操作者の操作によって変更可能であることを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項4】
2枚のシートが重ね合されて一端側が接合部として接合された重合シートの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の前記2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部と、
前記シート剥離部によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の前記重合シートにラミネート処理を施すラミネート処理部と、
少なくともラミネート処理がおこなわれる前に、前記重合シートと前記中シートとのサイズ差を検知する検知手段と、
を備え、
前記シート剥離部は、
所定の回転方向に回転して前記重合シートを巻き付ける巻付けローラと、
前記巻付けローラとの間に形成された搬送経路において前記巻付けローラに向けて前記重合シートの前記一端側の反対側の他端側を先頭にして前記重合シートを搬送する搬送ローラ対と、
前記巻付けローラによって前記他端側から巻き付けられて、前記搬送ローラ対によって前記一端側が挟持された状態の前記重合シートに対して、前記巻付けローラと前記搬送ローラ対との間で前記2枚のシートの間に形成される隙間に挿入される剥離部材と、
前記剥離部材によって剥離された前記2枚のシートを、別々の方向に分岐する2つの分岐搬送経路に導く切替部材と、
を具備し、
予め設定された条件のもと前記検知手段の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、ラミネート処理を中止することを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項5】
前記検知手段によって前記重合シートのサイズに比べて前記中シートのサイズが大きい状態が検知された場合に、異常があったものと判断することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のラミネート処理装置。
【請求項6】
前記検知手段によって、前記重合シートのサイズに比べて前記中シートのサイズが小さくて、そのサイズ差が所定の閾値を超える状態が検知された場合に、異常があったものと判断することを特徴とする請求項2~請求項5のいずれかに記載のラミネート処理装置。
【請求項7】
前記閾値は、操作者の操作によって変更可能であることを特徴とする請求項1又は請求項6に記載のラミネート処理装置。
【請求項8】
前記検知手段の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、前記重合シートと前記中シートとを前記ラミネート処理部を通過させずに、排出部に排出することを特徴とする請求項1、請求項3~請求項7のいずれかに記載のラミネート処理装置。
【請求項9】
2つの前記排出部を備え、
検知手段の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、剥離処理及び挿入処理のうち少なくとも挿入処理をおこなわず、前記重合シートと前記中シートとを前記ラミネート処理部を通過させずに、前記2つの排出部の一方に前記重合シートを排出して他方に前記中シートを排出することを特徴とする請求項2又は請求項8に記載のラミネート処理装置。
【請求項10】
前記検知手段の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、前記重合シートと前記中シートとが前記ラミネート処理部に達する前に、前記重合シートと前記中シートとの搬送を停止することを特徴とする請求項1、請求項3~請求項7のいずれかに記載のラミネート処理装置。
【請求項11】
前記検知手段の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、その旨を報知することを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載のラミネート処理装置。
【請求項12】
前記検知手段は、前記重合シートと前記中シートとの搬送方向及び幅方向の少なくとも一方のサイズを検知することを特徴とする請求項1~請求項11のいずれかに記載のラミネート処理装置。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれかに記載のラミネート処理装置と、
シートに画像を形成する画像形成装部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1~請求項12のいずれかに記載のラミネート処理装置と、
シートに画像を形成する画像形成装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中シートが挿入された重合シートにラミネート処理を施すラミネート処理装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置と、画像形成システムと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、2枚のシートが重ね合されて一端側が接合部で接合された重合シートを剥離した状態で中シートを挿入して、その後にラミネート処理を施すラミネート処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
詳しくは、特許文献1におけるラミネート処理装置は、一端側の1辺が接合されたラミネートシート(重合シート)における2枚のシートを分離(剥離)して、その間に保護紙(中シート)を挿入している。そして、保護紙が挿入されたラミネートシートを、ヒータが設置された部分(ラミネート処理部)に搬送して、加熱してラミネート処理を施している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のラミネート処理装置は、操作者が所定サイズとは異なる重合シートや中シートをセットしてしまうなどして、重合シートと中シートとのサイズ差が正常でない場合であっても、そのまま重合シートに中シートが挿入された状態でラミネート処理が施されていた。そのため、シートが無駄になってしまう不具合や、見映えの悪いラミネート処理が施されてしまう不具合などが生じてしまっていた。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、重合シートと中シートとのサイズ差が正常でない場合に、そのまま重合シートに中シートが挿入された状態でラミネート処理が施される不具合が生じにくい、ラミネート処理装置、画像形成装置、及び、画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明におけるラミネート処理装置は、2枚のシートが重ね合されて一端側が接合部として接合された重合シートの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の前記2枚のシートの間に中シートを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部と、前記シート剥離部によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の前記重合シートにラミネート処理を施すラミネート処理部と、少なくともラミネート処理がおこなわれる前に、前記重合シートと前記中シートとのサイズ差を検知する検知手段と、を備え、前記検知手段によって、前記重合シートのサイズに比べて前記中シートのサイズが小さくて、そのサイズ差が所定の閾値を超える状態が検知された場合に、異常があったものと判断して、ラミネート処理を中止するものである。
【0006】
本発明によれば、重合シートと中シートとのサイズ差が正常でない場合に、そのまま重合シートに中シートが挿入された状態でラミネート処理が施される不具合が生じにくい、ラミネート処理装置、画像形成装置、及び、画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の実施の形態におけるラミネート処理装置を示す全体構成図である。
【
図2】(A)把持部材が把持位置に移動した状態を示す側面図と、(B)把持部材が退避位置に移動した状態を示す側面図と、である。
【
図3】(A)把持部材が把持位置に移動した状態を示す斜視図と、(B)把持部材が退避位置に移動した状態を示す斜視図と、である。
【
図5】
図4に続くラミネート処理装置の動作を示す図である。
【
図6】
図5に続くラミネート処理装置の動作を示す図である。
【
図7】
図6に続くラミネート処理装置の動作を示す図である。
【
図8】
図7に続くラミネート処理装置の動作を示す図である。
【
図9】
図8に続くラミネート処理装置の、(A)正常時の動作と、(B)異常時の動作と、を示す図である。
【
図10】剥離爪が重合シートに挿入された状態を幅方向に示す図である。
【
図12】ラミネート処理装置でおこなわれる制御を示すフローチャートである。
【
図15】操作表示パネルにおける表示画面の一例を示す図である。
【
図16】変形例1としての、ラミネート処理装置でおこなわれる制御を示すフローチャートである。
【
図17】重合シートと中シートとのサイズ差と、ラミネート処理の実行の可否と、の関係を示す表図である。
【
図18】変形例2としての、ラミネート処理装置でおこなわれる制御を示すフローチャートである。
【
図19】変形例3としての、ラミネート処理装置でおこなわれる制御を示すフローチャートである。
【
図20】変形例4としての、シートのサイズを検知するセンサを示す図である。
【
図21】変形例5しての、ラミネート処理装置を示す全体構成図である。
【
図22】
図21のラミネート処理装置でおこなわれる、(A)正常時の動作と、(B)異常時の動作と、を示す図である。
【
図23】
図21のラミネート処理装置でおこなわれる、別形態の異常時の動作を示す図である。
【
図24】変形例6としての、画像形成装置を示す図である。
【
図25】変形例7としての、画像形成システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
まず、
図1にて、ラミネート処理装置50における全体の構成・動作について説明する。
ラミネート処理装置50には、シート剥離部1、ラミネート処理部51、排出トレイ13、排出部としての第2排出トレイ55、などが設けられている。
また、シート剥離部1には、第1、第2給送トレイ11、12、第1、第2給送ローラ2、3、第1~第3搬送ローラ対4~6、第1~第8センサ41~48、巻付けローラ20、移動機構30、剥離部材としての剥離爪16(
図6、
図11等参照)、などが設けられている。
【0010】
シート剥離部1は、2枚のシートP1、P2が重ね合されて一端側が接合部Aとして接合された重合シートPJ(
図11等参照)の非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の2枚のシートP1、P2の間に中シートPM(中紙)を挿入する挿入処理をおこなう機構である。
特に、本実施の形態において、重合シートPJとして、2枚のシートP1、P2を重ね合わせて、4辺のうち1辺を接合部Aとして接合したものを用いている。すなわち、重合シートPJ(2枚のシートP1、P2)は、1辺(接合部A)のみが熱溶着などによって繋がっていて、その他の部分は接合されていない。また、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2としては、透明なラミネートフィルムを用いることができる。
そして、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2を剥離して(接合部Aの接合を維持した状態で2枚のシートP1、P2の接合部Aの反対側の他端側を分離して)、剥離した2枚のシートP1、P2の間に中シートPM(少なくとも1枚の普通紙、写真などのシートである。)を挿入する動作が、シート剥離部1でおこなわれることになる。
【0011】
ラミネート処理部51は、シート剥離部1によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の重合シートPJにラミネート処理を施す機構である。
詳しくは、ラミネート処理部51は、シート剥離部1によって剥離された2枚のシートP1、P2(重合シートPJを構成する2枚のシートである。)の間に中シートPMが挿入された状態の重合シートPJにラミネート処理(熱と圧力とを加えて非接合部を接合する処理である。)を施す機構であって、シート剥離部1の下流側(順方向下流側であって、
図1の左方である。)に設置されている。ラミネート処理部51には、中シートPMが挿入された状態の重合シートPJを順方向に搬送しながら、その重合シートPJに熱と圧力とを与える複数の熱加圧ローラ対が搬送方向に並設されている。また、第3搬送ローラ対6とラミネート処理部51との間には第4搬送経路K6が設けられている。
【0012】
排出トレイ13(第1排出トレイ)は、ラミネート処理装置50から排出されたラミネート処理後の重合シートPJ(及び、中シートPJ)が載置されるためのものである。
第2排出トレイ55は、ラミネート処理を施さないシートを載置されるためのものである。なお、この第2排出トレイ55は、重合シートPJや中シートPMのサイズ不良があったときに、それらのシートにラミネート処理を施さずに装置外に排出するための排出部としても機能するが、これについては
図9等を用いて後で詳しく説明する。
【0013】
また、ラミネート処理装置50には、第1搬送経路K1、第2搬送経路K2、第3搬送経路K3、第1分岐搬送経路K4、第2分岐搬送経路K5、第4搬送経路K6、などの複数の搬送経路が形成されている。これらの搬送経路K1~K6は、それぞれ、シート(重合シートPJや中シートPMである。)の搬送を案内するためのものであって、対向する2つの搬送ガイド部材(ガイド板)によって形成されている。
特に、本実施の形態において、第1分岐搬送経路K4と第2分岐搬送経路K5とは、巻付けローラ20と第3搬送経路K3との間で第3搬送経路K3を挟んで別々の方向に分岐している。
また、第4搬送経路K6は、シート剥離部1(第3搬送ローラ対6)からラミネート処理部51に至る搬送経路である。第4搬送経路K6と、第2排出トレイ55に至る搬送経路とは、第3搬送ローラ対6の下流側(
図1の左側である。)で、別々の方向に分岐している。
【0014】
図1等に示すように、第1給送トレイ11には、重合シートPJが積載されている。そして、第1給送トレイ11上の最上方の重合シートPJが第1給送ローラ2によって給送されて、第1搬送ローラ対4によって第1搬送経路K1に沿って搬送されることになる。
このように、第1給送トレイ11や第1給送ローラ2などが、重合シートPJを給送する第1給送手段として機能することになる。そして、第1給送手段は、制御部(制御手段)による制御によって、第1給送ローラ2を回転駆動して、第1給送トレイ11から重合シートPJを給送することになる。
また、第2給送トレイ12には、中シートPMが積載されている。そして、第2給送トレイ12上の最上方の中シートPMが第2給送ローラ3によって給送されることになる。
このように、第2給送トレイ12や第2給送ローラ3などが、中シートPM(非接合部が剥離された重合シートPJの2枚のシートP1、P2の間に挿入されるシートである。)を給送する第2給送手段として機能することになる。そして、第2給送手段は、制御部(制御手段)による制御によって、第2給送ローラ3を回転駆動して、第2給送トレイ12から中シートPMを給送することになる。
【0015】
そして、本実施の形態におけるラミネート処理装置50は、第1給送手段2、11によって重合シートPJが給送された後であって、重合シートPJの非接合部を剥離する動作が終了する前に、第2給送手段3、12によって中シートPMの給送が開始されるように制御している。
すなわち、本実施の形態では、重合シートPJの給送と中シートPMの給送とをそれぞれ別々の操作(ユーザーによる操作表示パネル49の操作である。)でおこなうのではなくて、それらを1回の操作でおこなうことができる。具体的に、ユーザーが、操作表示パネル49のボタンを1回押して処理動作を開始することで、その1回の指令に基づいて、重合シートPJが給送されておこなわれる剥離処理と、剥離された重合シートPJの間に中シートPMが挿入される挿入処理と、ラミネート処理と、が自動で一括しておこなわれることになる。
【0016】
ここで、第1~第3搬送ローラ対4~6や排出ローラ対7は、いずれも、駆動ローラと従動ローラとからなり、そのニップに挟持されたシートを搬送するものである。第3搬送経路K3には、上流側から、第2搬送ローラ対5、巻付けローラ20、第3搬送ローラ対6が設置されている。特に、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6とは、正転・逆転可能であって、第3搬送ローラ対6は、シートを順方向(
図1の左方向である。)にも逆方向(
図1の右方向である。)にも搬送可能に構成されている。また、第3搬送ローラ対6は、シートをラミネート処理部51又は第2排出トレイ55に向けて搬送する搬送ローラ対としても機能する。また、排出ローラ対7は、ラミネート処理後の重合シートPJ(及び、中シートPM)を排出トレイ13に向けて排出するための搬送ローラ対である。
【0017】
なお、第3搬送ローラ対6の順方向下流側(
図1の左方である。)には、シートPを、ラミネート処理部51に向けて搬送したり、第2排出トレイ55に向けて搬送したり、切り替えるための切替爪17(切替手段)が設置されている。
すなわち、切替爪17は、第4搬送経路K6を開放して第2排出トレイ55に至る搬送経路を閉鎖する第1状態(
図9(A)の状態である。)と、第4搬送経路K6を閉鎖して第2排出トレイ55に至る搬送経路を開放する第2状態(
図9(B)の状態である。)と、を切替える切替手段として機能する。
ユーザーによって選択されたモードによって、又は、サイズ異常が検知されたときに、切替爪17が制御されて、シートPの搬送先(排出先)が適宜に切替えられることになる。
この切替手段としての切替爪17の動作については、後で
図9等を用いて詳しく説明する。
【0018】
図1を参照して、シート検知センサとしての第1~第5センサ41~45や第7、第8センサ47、48は、いずれも、その位置にシートが存在するか否かを光学的に検知する反射型フォトセンサである。第1センサ41は第1搬送ローラ対4の下流側近傍に配置され、第2センサ42は第2給送ローラ3の下流側近傍に配置され、第3センサ43は第2搬送ローラ対5の下流側近傍に配置され、第4センサ44は巻付けローラ20の下流側(
図1において巻付けローラ20の左側である。)近傍であって第3搬送ローラ対6の上流側(
図1において第3搬送ローラ対6の右側である。)に配置され、第5センサ45はシート剥離部1からラミネート処理部51に至る第4搬送経路K6(
図1において第3搬送ローラ対6の左側(下流側)である。)に配置されている。また、第7センサ47は第1分岐搬送経路K4に配置され、第8センサ48は第2分岐搬送経路K5に配置されている。
なお、第1センサ41と第2センサ42とは、重合シートPJと中シートPMとのサイズ差を検知する検知手段としても機能するが、これについては後で詳しく説明する。
また、第6センサ46は、剥離動作時における異常状態を検知する異常検知手段として機能するものであるが、これについても後で詳しく説明する。
【0019】
図2、
図3、
図5(B)~(D)、
図6(A)等を参照して、巻付けローラ20は、巻付け開始位置W(
図5(B)参照)で、重合シートPJの他端側(接合部Aが形成された側の反対側である。)を被把持部Bとして、把持部材32(把持部)によって被把持部Bを把持した状態で所定の回転方向(
図5において反時計回り方向である。)に回転して重合シートPJを巻き付けるローラ部材である。巻付けローラ20は、制御部によって制御される駆動モータの駆動によって、回転軸20aを中心に正逆方向に回転可能に構成されている。
具体的に、重合シートPJは、第1給送トレイから第1搬送経路K1を経由して、第2搬送ローラ対5によって第3搬送経路K3を順方向に搬送されて、一旦、巻付けローラ20の巻付け開始位置Wを通過して第3搬送ローラ対6の位置(重合シートPJの後端が、第4センサ44を通過して、第3搬送ローラ対6を通過する手前の位置である。)まで搬送される。その後、重合シートPJは、逆転された第3搬送ローラ対6によって巻き付けローラ20の位置(巻付け開始位置W)まで逆方向に搬送されて、把持部材32に把持される。そして、重合シートPJは、その把持された状態でさらに搬送されて、
図1の反時計回り方向に回転する巻付けローラ20によって巻き付けられることになる。
【0020】
そして、
図5(C´)等を参照して、巻付けローラ20によって重合シートPJが巻き付けられていくとき、巻付き長さがローラ径に比例するため、ローラ内周面側の第1のシートP1の巻付き長さがローラ外周面側の第2のシートP2の巻付き長さよりも短くなる。そのため、接合部A及び被把持部B以外の第1のシートP1と第2のシートP2とが密着している部分(張り付いている部分)にずれが生じて、そのずれによって第2のシートP2に対して第1のシートP1が撓み(弛み)、
図5(D)、
図6(A)等に示すように、重合シートPJの接合部Aの側(一端側)で2枚のシートP1、P2の間に隙間C(上方の第1のシートP1が上方に撓んでできる隙間Cである。)が形成されることになる。このようにして、2枚のシートP1、P2が、隙間なく密着した状態から、剥離(分離)した状態になる。
特に、本実施の形態では、上述したような隙間Cを顕著に形成する(シートP1、P2の巻付き長さの差を大きくする)ために、重合シートPJを巻付けローラ20に少なくとも1周以上巻き付けている。
このように、本実施の形態では、重合シートPJを巻き付ける巻付けローラ20を設置することで、ラミネート処理装置50がそれほど大型化・高コスト化することなく、重合シートPJの剥離を可能にしている。
【0021】
ここで、本実施の形態において、把持部材32は、
図5(B´)に示すように、重合シートPJの他端側(被把持部Bの側である。)の端面に接触することなく、被把持部Bを把持するように構成されている。
詳しくは、把持部材32は、重合シートPJの他端側の端面をいかなる部材に接触させることなく、巻付けローラ20の受部20bとの間で被把持部Bを挟み込んで把持するように構成されている。受部20bは、巻付けローラ20の外周部において、外側に露呈して把持部材32に対向可能に形成されている。
具体的に、重合シートPJは、その他端側端面(先端面)が特定の部材(例えば、把持部材32自体である。)に突き当たった状態で把持部材32と受部20bとに挟まれ把持されるのではなくて、その他端側端面(先端面)がいかなる部材にも突き当たることなく、外側の把持部材32と内側の受部20bとによって挟まれて把持されることになる。
そのため、先端面を突き当てる場合に比べて、重合シートPJ(特に、先端の部分である。)が傷ついてしまう不具合を軽減することができる。特に、重合シートPの先端面が傷ついてしまうと、その部分をラミネート処理しようとしても、しにくくなってしまうため、本発明の構成が有用になる。
なお、本実施の形態において、巻付けローラ20に巻き付けられる重合シートPJは、被把持部Bとなる他端側の反対側の一端側に接合部Aが形成されたものである。
【0022】
ここで、本実施の形態では、把持部材32(把持部)と受部20bとのうち少なくとも一方が、ゴムなどの弾性材料で形成されている。
これにより、把持部材32と受部20bとの双方を金属材料や樹脂材料などの剛体で形成する場合に比べて、重合シートPJに対する把持力を高めることができるとともに、重合シートPJの表面に傷をつけにくくなる。特に、把持部材32と受部20bとの双方を弾性材料で形成した場合には、そのような効果が顕著に得られる。
【0023】
図2、
図3に示すように、移動機構30は、把持部材32を、重合シートPJを把持可能な把持位置(
図2(A)、
図3(A)に示す位置である。)と、把持位置から退避した退避位置(
図2(B)、
図3(B)に示す位置である。)と、の間を移動させるものである。
詳しくは、移動機構30は、アーム部材31、付勢部材としての圧縮スプリング33、カム34、カム34を正逆方向に回転駆動するモータ(不図示)、などで構成されている。
アーム部材31は、把持部材32を保持するとともに、支軸31aを中心に把持部材32とともに回動可能に巻付けローラ20に保持されている。本実施の形態では、把持部材32がアーム部材31の先端部に一体的に形成(保持)されている。これに対して、把持部材32をアーム部材31とは別部材にして、アーム部材31に把持部材32を設置(保持)するように構成することもできる。いずれにしても、把持部材32を保持したアーム部材31は、巻付けローラ20とともに回転軸20aを中心に回転することになる。
圧縮スプリング33は、把持部材32が
図2(B)に示す退避位置から
図2(A)に示す把持位置に移動するようにアーム部材31を付勢する付勢部材として機能している。具体的に、圧縮スプリング33は、その一端が回転軸20aの近傍の固定位置に接続され、その他端がアーム部材31の一端側(支軸31aを挟んで把持部材32が設けられた側の反対側である。)に接続されている。
カム34は、把持部材32が
図2(A)に示す把持位置から
図2(B)に示す退避位置に移動するように、圧縮スプリング33(付勢部材)の付勢に抗してアーム部材31を押動するものである。カム34は、制御部に制御されるモータによって所望の回転角度で正逆方向に回転駆動されることになる。カム34は、巻付けローラ20とは独立して、カム軸34aを中心に回転可能に装置筐体に保持されている。
【0024】
このように構成された移動機構30は、
図2(A)、
図3(A)に示すように、カム34がアーム部材31に接触していない状態では、アーム部材31が圧縮スプリング33に付勢されて、把持部材32が受部20bに圧接する状態(閉状態)になる。この閉状態は、重合シートPJを把持可能な状態である。
これに対して、
図2(B)、
図3(B)に示すように、カム34がアーム部材31を押圧した状態では、アーム部材31が圧縮スプリング33の付勢に抗するように、支軸31aを中心に
図2(B)の反時計回り方向に回転して、把持部材32が受部20bから離間した状態(開状態)になる。この開状態は、重合シートPJを把持できない状態(把持解除状態)である。
【0025】
なお、本実施の形態では、
図3に示すように、巻付けローラ20のローラ部を軸方向に複数(7つである。)に分割するとともに、その分割位置に合わせるように、カム34も軸方向に複数に分割している。
このように重合シートPJを把持する位置を、軸方向の全域とするのではなくて、軸方向に分割することで、重合シートPJを把持するために必要な負荷を分散することができる。このような構成は、必要な把持力が大きくなってしまう場合に有用である。
【0026】
ここで、
図1、
図4(D)、
図5(A)等に示すように、本実施の形態におけるラミネート処理装置50には、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間に搬送される重合シートPJを検知する第4センサ44(シート検知センサ)が設置されている。そして、第3搬送ローラ対6により巻付けローラ20に向けて搬送される重合シートPJの先端を検知する第4センサ44の検知結果に基づいて移動機構30が制御されている。
詳しくは、第4センサ44は、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間の搬送経路に配置されている。そして、
図4(D)、
図5(A)等に示すように、重合シートPJが、被把持部Bの側を先頭にして、第3搬送ローラ対6によって巻付けローラ20の位置に向けて逆方向に搬送されるときに、その先端(逆方向搬送時の先端である。)を第4センサ44によって検知する。そして、その検知タイミングをトリガにして、重合シートPJを把持位置に停止させるタイミングと、把持部材32によって被把持部Bを把持するタイミングと、を調整制御している。具体的に、重合シートPJの先端を第4センサ44によって検知してから、所定時間が経過した後に、第3搬送ローラ対6による重合シートPJの逆方向の搬送を停止して、把持部材32が
図2(B)に示す退避位置から
図2(A)に示す把持位置に移動するように、カム34を回動してアーム部材31(移動機構30)を回転させる。
このような制御をおこなうことで、重合シートPJの端面をいかなる部材に突き当てることなく把持部材32と受部20bとによって挟み込む動作が、精度良くおこなわれることになる。
【0027】
ここで、第3搬送ローラ対6は、先に説明したように、巻付けローラ20との間に形成された第3搬送経路K3(搬送経路)において巻付けローラ20(巻付け開始位置W)に向けて他端側(被把持部Bの側である。)を先頭にして重合シートPJを搬送する搬送ローラ対である。
【0028】
また、
図6(A)~(C)、
図10、
図11(A)~(E)、
図14等を参照して、剥離部材としての剥離爪16は、重合シートPJに対して所定位置で2枚のシートP1、P2の間に形成される隙間Cに、
図11(A)に示す待機位置から移動して挿入される爪状の部材である。
さらに具体的に、剥離爪16は、巻付けローラ20によって他端側(被把持部Bの側)から巻き付けられて、第3搬送ローラ対6(搬送ローラ対)によって一端側(接合部Aの側)が挟持された状態の重合シートPJに対して、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で2枚のシートP1、P2の間に形成される隙間Cに、幅方向端部の待機位置から挿入されるものである。
【0029】
さらに詳しくは、本実施の形態において、剥離爪16は、幅方向(
図6の紙面垂直方向であって、
図10、
図14の左右方向である。)の両端にそれぞれ配置された一対の剥離爪である。また、剥離爪16は、
図11に示すように、幅方向中央側の先端から幅方向外側の後端にかけて、その上下方向(重合シートPJの厚さ方向である。)の長さが徐々に増加するように形成されている。さらに、剥離爪16は、制御部により制御される移動機構76(
図14参照)によって、幅方向に移動可能に構成されている。
このように構成された剥離爪16は、通常時に、第3搬送経路K3において重合シートPJなどのシートの搬送を妨げない待機位置(
図11(A)に示すように、シートPの幅方向外側の位置である。)に待機している。そして、剥離爪16は、重合シートPJ(2枚のシートP1、P2)を分離するときに、
図10、
図11(B)等に示すように、重合シートPJの隙間Cに入り込んで、その隙間Cを確保することになる。
【0030】
図14に示すように、一対の剥離爪16をそれぞれ幅方向に移動する移動機構76は、モータ77、ギア・プーリ78、プーリ79、タイミングベルト80等で構成されている。ギア・プーリ78は、モータ77のモータ軸に設置されたモータギアに噛合するギアと、プーリ79とともにタイミングベルト80を張架・支持するプーリと、が段状に形成されている。一対の剥離爪16のうち、一方の剥離爪16の固定部16aはタイミングベルト80の一方のベルト面(
図14の上方のベルト面である。)の一部に固定されていて、他方の剥離爪16の固定部16aはタイミングベルト80の他方のベルト面(
図14の下方のベルト面である。)の一部に固定されている。
このように構成された移動機構76によって、モータ77のモータ軸が
図14の矢印方向(時計回り方向)に回転駆動されると、ギア・プーリ78が反時計回り方向に回転され、タイミングベルト80が反時計回り方向に回転され、一対の剥離爪16が幅方向外側から幅方向中央部に向けて移動することになる(一対の剥離爪16が互いに近づく方向への移動である。)。これに対して、モータ77のモータ軸が
図14の矢印方向に対して逆方向に回転駆動されると、一対の剥離爪16が幅方向中央側から幅方向外側に向けて移動することになる(一対の剥離爪16が互いに遠ざかる方向への移動である。)。
【0031】
この剥離爪16は、重合シートPJに対して隙間Cに挿入された状態で一端側(接合部Aの側である。)から他端側B(被把持部Bの側である。)に向けて相対的に移動した後に、重合シートPJの他端側の端部において2枚のシートP1、P2の間で幅方向に移動する。
詳しくは、制御部による移動機構76(
図14参照)の制御によって、一対の剥離爪16は、
図11(B)、(C)に示すように、重合シートPJに対して隙間Cの幅方向両端部にそれぞれ挿入された状態で他端側に向けて相対的に他端側の端部が16aを過ぎた位置まで移動した後に、
図11(D)に示すように、重合シートPJの他端側端部において2枚のシートP1、P2の間で幅方向両端部から幅方向中央部にそれぞれ移動する。このような一対の剥離爪16の動作を可能にするため、移動機構76は、一対の剥離爪16が待機位置から互いに近接する位置まで移動できるように構成されている。
【0032】
このような巻付けローラ20による巻付けと、剥離爪16の挿入と、によって重合シートPJを剥離する機構は、バキュームなどの大掛かりな装置を用いて剥離する機構に比べて、装置を小型化することができる。すなわち、ラミネート処理装置50が大型化することなく、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2を良好に剥離することができる。
特に、本実施の形態では、重合シートPJの幅方向他端側(後端)において剥離爪16が幅方向のほぼ全域にわたって移動することになるため、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2に対して、接合部Aの反対側の他端側の端部を充分に剥離(分離)することができる。そのため、接合部Aの反対側の他端側端部が充分に剥離されずに、重合シートPJの他端側から中シートPM(
図11(E)参照)を挿入しようとしても挿入できない不具合なども生じにくくなる。さらに、次に説明する剥離爪16の切替部材としての機能(2枚のシートP1、P2を2つの分岐搬送経路K4、K5に別々に導く機能である。)が発揮されやすくなる。
【0033】
ここで、本実施の形態において、剥離部材としての剥離爪16は、剥離爪16によって剥離された2枚のシートP1、P2を、別々の方向に分岐する2つの分岐搬送経路K4、K5にそれぞれ別々に導く切替部材としても機能する。
詳しくは、
図7(C)等に示すように、2つの分岐搬送経路K4、K5は、剥離爪16(剥離部材)と巻付けローラ20との間で第3搬送経路K3を挟んで別々の方向に分岐している。具体的に、第1分岐搬送経路K4は第3搬送経路K3から上方に向けて分岐するように形成され、第2分岐搬送経路K5は第3搬送経路K3から下方に向けて分岐するように形成されている。
そして、
図7(A)~(C)に示すように、隙間Cに剥離爪16が挿入された後に、重合シートPJの他端側の巻付けローラ20への巻付けが解除されるように第3搬送ローラ対6によって重合シートPJを一端側(
図7の左側である。)に搬送する(
図11(A)~(C)参照)。その後、
図11(D)に示すように、剥離爪16を幅方向中央部に移動した後に、その状態を維持して、第3搬送ローラ対6によって重合シートPJを再び他端側(
図7の右側である。)に搬送して、剥離爪16によって剥離された2枚のシートP1、P2を剥離爪16によって2つの分岐搬送経路K4、K5にそれぞれ別々に導く。すなわち、第1のシートP1は第1分岐搬送経路K4に導かれ、第2のシートP2は第2分岐搬送経路K5に導かれる。そして、その後に、
図8(A)~(C)、
図11(E)に示すように、剥離爪16を待機位置に移動させて、剥離された状態の2枚のシートP1、P2の間に中シートPMが挿入されるように中シートPMを第3搬送経路K3の一端側に向けて搬送する。
【0034】
このように、本実施の形態における剥離爪16は、重合シートPJを構成する2枚のシートP1、P2の非接合部を剥離(分離)する剥離部材として機能するとともに、その剥離した2枚のシートP1、P2を2つの分岐搬送経路K4、K5にそれぞれ別々に導く切替部材として機能する。そのため、剥離部材と切替部材とを別々に設ける場合に比べて、ラミネート処理装置50を小型化・低コスト化することができる。すなわち、重合シートJPを構成する2枚のシートP1、P2を効率的に良好に剥離することができる。
第7センサ47は、剥離された第1のシートP1が第1分岐搬送経路K4に正常に搬送された状態を光学的に検知するものである。また、第8センサ48は、剥離された第2のシートP2が第2分岐搬送経路K5に正常に搬送された状態を光学的に検知するものである。
なお、本実施の形態では、剥離爪16が剥離部材として機能するとともに切替部材としても機能するように構成したが、剥離部材として機能する剥離爪16とは別に切替部材として機能する部材を設置することもできる。
【0035】
ここで、
図6(A)、(C)等を参照して、第1ガイド部材25は、第3搬送経路K3において剥離爪16と巻付けローラ20との間で、重合シートPJの2つのシートP1、P2のうち巻付けローラ20において内側に巻きつけられる第1のシートP1の弛み量(撓み量)を制限する制限部材として機能している。
詳しくは、制限部材としての第1ガイド部材25は、第3搬送経路において仮想面S1(巻付けローラ20の巻付け開始位置Wと第3搬送ローラ対6のニップとを通る仮想平面であって、
図6(A)参照)に対して巻付けローラ20が配置された側(仮想面S1の上方である。)に配置された搬送ガイド部材である。また、第1ガイド部材25は、巻付けローラ20の外周に沿って所定の間隔をあけて、その外周の一部を覆うように略三角柱状に形成されていて、第3搬送経路K3と第1分岐搬送経路K4との搬送ガイド部材としても機能している。すなわち、第1ガイド部材25によって、第3搬送経路K3を搬送されるシートや、第1分岐搬送経路K4を搬送されるシートや、巻付けローラ20に巻き付けられるシートが、案内されることになる。
特に、第3搬送経路K3においては、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で、重合シートPJの上方への撓み(特に、第1のシートP1の上方への撓みである。)が第1ガイド部材25によって制限されるため、第1ガイド部材25と第3搬送ローラ対6との間で、重合シートPJの隙間C(特に、第1のシートP1の上方への撓みである。)が集中的に形成されることになる。そのため、重合シートPJの巻付けローラ20への巻付け量を大きくしなくても隙間Cの間隔を大きくできて、隙間Cに剥離爪16を挿入して重合シートPJを剥離する動作を不具合なくおこなうことができる。
【0036】
また、
図6(A)、(C)等を参照して、第2ガイド部材26は、第3搬送経路K3において剥離爪16と巻付けローラ20との間で、重合シートPJの2つのシートP1、P2のうち巻付けローラ20において外側に巻きつけられる第2のシートP2を案内する案内部材として機能している。
詳しくは、案内部材としての第2ガイド部材26は、第3搬送経路において仮想面S1(
図6(A)参照)に対して巻付けローラ20が配置されていない側(仮想面S1の下方である。)に配置された搬送ガイド部材である。また、第2ガイド部材26は、第2搬送ローラ対5の上流側近傍から第3搬送ローラ対6の下流側近傍にかけて、シートの下面に対向するように配置されている。すなわち、第2ガイド部材26によって、第3搬送経路K3を搬送されるシートが案内されることになる。
特に、第3搬送経路K3においては、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で、第1ガイド部材25と第2ガイド部材26との間隔が、最大のシート厚さのシートが搬送可能な値に設定されていて、第1ガイド部材25と第2ガイド部材26との間で重合シートPJのシートP1とシートP2との間隔が大きくならないように制限されるため、重合シートPJの隙間C(特に、第1のシートP1の上方への撓みである。)が集中的に形成されることになる。そのため、隙間Cに剥離爪16を挿入して重合シートPJを剥離する動作を不具合なくおこなうことができる。
【0037】
ここで、
図6等を参照して、第6センサ46(異常検知センサ)は、剥離爪16の待機位置からの移動(
図14に示す待機位置から
図10、
図11(A)に示す剥離位置への移動である。)がおこなわれる前に、所定位置(第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20との間である。)で2枚のシートP1、P2の間に所定の間隔を超える隙間Cが形成されていない異常状態を検知する異常検知手段として機能するものである。すなわち、異常検知手段としての第6センサ46は、剥離爪16が隙間Cに挿入される前に、所定位置で2枚のシートP1、P2の間に所定の間隔を超える隙間Cが形成されていない異常状態を検知する。
さらに換言すると、異常検知手段としての第6センサ46は、
図5(D)、
図6(A)に示すように2枚のシートP1、P2の間に隙間Cが形成されるべきタイミングで、まったく隙間Cが形成されていない状態や、充分な間隔の隙間Cが形成されていない状態を、異常状態として検知するものである。
そして、本実施の形態では、第6センサ46(異常検知手段)によって異常状態が検知されたときに、異常状態が生じた旨を通知するようにしている。詳しくは、
図1に示すように、ラミネート処理装置50の外装部には、ラミネート処理装置50における種々の情報を表示したり種々の指令を入力したりするための操作表示パネル49(操作表示部)が設置されている。そして、第6センサ46によって重合シートPJに充分な間隔の隙間Cが形成されていない状態が検知されると、操作表示パネル49に異常が検知された旨が表示される。そのような表示は、例えば、「異常が生じたため、中シートを挿入する処理を中止します。給送トレイにおける重合シートのセット方向を確認してください。また、セット方向が正しくて、同じような異常が繰り返される場合にはサービスマンに連絡してください」などである。
このような第6センサ46(異常検知手段)としては、所定の間隔を超えた隙間Cが形成された重合シートPJ(上方の第1のシートP1である。)に接触するレバー式センサなどを用いることができる。
【0038】
ここで、本実施の形態におけるラミネート処理装置50には、少なくともラミネート処理がおこなわれる前に、重合シートPJと中シートPMとのサイズ差を検知する検知手段としての第1、第2センサ41、42が設けられている。
第1センサ41は、その位置を通過する重合シートPJの先後端(通過時間)を検知する。そして、制御部で、その通過時間と、重合シートPJの搬送速度(予め定められた時間である。)と、から重合シートPJの搬送方向のサイズL1を求める。同様に、第2センサ42は、その位置を通過する中シートPMの先後端(通過時間)を検知する。そして、制御部で、その通過時間と、中シートPMの搬送速度(予め定められた時間である。)と、から中シートPMの搬送方向のサイズL2を求める。そして、重合シートPJのサイズL1と、中シートPMのサイズL2と、からそれらのサイズ差(L1-L2)を求める。
【0039】
そして、本実施の形態では、予め設定された条件のもと第1、第2センサ41、42(検知手段)の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、ラミネート処理を中止している。
詳しくは、第1、第2センサ41、42(検知手段)によって重合シートPJのサイズL1に比べて中シートPMのサイズL2が大きい状態(L1<L2)が検知された場合に、異常があったものと判断する。
そして、そのように第1、第2センサ41、42(検知手段)の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、重合シートPJと中シートPMとをラミネート処理部51を通過させずに、
図9(B)に示すように、排出部としての第2排出トレイ55に排出する。
【0040】
具体的に、重合シートPJに比べて中シートPMが小さい場合(L1≧L2なる関係がある場合)には、正常なサイズ関係であるものとして、
図9(A)に示すように、挿入処理後の重合シートPJ(中シートPMが挿入されたものである。)を切替爪17によって第4搬送経路K6に導いて、ラミネート処理部51でラミネート処理を施す。
これに対して、重合シートPJに比べて中シートPMが大きい場合(L1<L2なる関係がある場合)には、重合シートPJに挿入される中シートPMが、重合シートPMからはみ出してしまい、不良品となってしまう。そして、そのような不良品にラミネート処理を施してしまうと、重合シートPJに挿入された中シートPMを分離して再利用することができずに、そのまま破棄するしかなく、シート(重合シートPJ、中シートPM)が無駄になってしまう。そのため、
図9(B)に示すように、挿入処理後の重合シートPJ(中シートPMが挿入されたものである。)が、ラミネート処理部51に搬送されないように、切替爪17によって、第2排出トレイ55に排出する。
これにより、重合シートPJと中シートPMとのサイズ差が正常でない場合に、そのまま重合シートPJに中シートPMが挿入された状態でラミネート処理が施される不具合を防止することができる。
【0041】
なお、このように、重合シートPJと中シートPMとのサイズ差が異常となってしまう不具合は、ユーザーなどの操作者が所定サイズとは異なる重合シートPJや中シートPMをそれぞれ第1、第2給送トレイ11、12にセットしてしまう場合などに生じる。
通常、操作者は、
図15に示すような操作表示パネル49の表示画面を開いて、重合シートPJ(ラミネートフィルム)のサイズと、中シートPM(中紙)のサイズと、を設定する。このとき、重合シートPJに比べて中シートPMが大きくなるようなサイズ設定がされた場合には、ラミネート処理を実行できない旨の表示がされることになる。しかし、操作者が、設定したサイズとは異なるサイズの重合シートPJや中シートPMを混載してセットしまい、そのままラミネート処理の実行ボタンを押してしまうことなどにより、上述したサイズ差の異常が生じ得る。
そして、本実施の形態では、そのようなサイズ差の異常が生じてしまっても、そのような組み合わせの重合シートPJと中シートPMとにはラミネート処理をおこなわずに第2排出トレイ55に排出するため、シートの無駄を避けることができる。
【0042】
ここで、本実施の形態では、このように第1、第2センサ41、42(検知手段)の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、その旨を報知している。
具体的に、第1、第2センサ41、42によって重合シートPJと中シートPMとのサイズ差の異常が検知されると、その旨が操作表示パネル49(
図1参照)に表示される。そのような表示は、例えば、「重合シートと中シートとのサイズ異常が検知されたため、ラミネート処理を中止して第2排出トレイに排出します。給送トレイにおける重合シートや中シートのサイズを確認してください。また、第2排出トレイから重合シートと中シートとを取り出してください。これらのシートは再利用可能です」などである。
このような報知をおこなうことで、操作者の作業性が向上することになる。
【0043】
以下、
図4~
図9を参照して、ラミネート処理装置50の動作について説明する。
また、その動作説明において、適宜に、
図10、
図11を用いて剥離爪16の動作を説明するとともに、
図12、
図13のフローチャートを用いて制御フローを説明する。
まず、重合シートPJが第1給送トレイから第1給送ローラ2と第1搬送ローラ対4とによって給送されると(
図12:ステップS1)、
図4(A)に示すように、第3搬送経路K3において、接合部Aを先頭にして第2搬送ローラ対5によって順方向(
図4の右方から左方に向かう方向である。)に搬送される。
このとき、把持部材32が把持位置に位置するように移動機構30が制御されている。すなわち、カム34は、アーム部材31を押圧しない回転位置に移動している。このように把持部材32が把持位置に位置しているとき、把持部材32によって第3搬送経路K3におけるシートの搬送が妨げられることはない。また、剥離爪16は、第3搬送経路K3におけるシートの搬送を妨げない待機位置(
図11(A)の位置である。)に待機している。また、第1センサ41によって、重合シートPJのサイズが検知される。
そして、
図4(B)に示すように、重合シートPJの接合部A(順方向先端、一端側)が第3センサ43によって検知されるタイミングをトリガにして、重合シートPJの被把持部B(順方向後端、他端側)が巻付けローラ20の位置を通過するまで第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X1搬送させる(
図12:ステップS2、S3)。
そして、
図4(C)に示すように、その状態で一時的に第3搬送ローラ対6による重合シートPJの搬送を停止させるとともに、把持部材32を把持位置から退避位置へ移動する(
図12:ステップS4)。すなわち、カム34を、アーム部材31を押圧する回転位置に移動させる。この状態は、把持部材32と受部20bとの間に重合シートPJの被把持部Bを受入可能な状態である。
そして、
図4(D)に示すように、第3搬送ローラ対6を逆回転して、重合シートPJの逆方向の搬送を開始する(
図12:ステップS5)。このとき、第4センサ44によって、重合シートPJの被把持部B(逆方向先端、他端側)が検知される。
【0044】
そして、
図5(A)に示すように、重合シートPJの被把持部Bが第4センサ44によって検知されるタイミングをトリガにして、重合シートPJの被把持部Bが巻付けローラ20の位置(巻付け開始位置W)に達するまで第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X2搬送して停止する(
図12:ステップS6、S7)。
そして、
図5(B)に示すように、その状態で把持部材32を退避位置から把持位置へ移動させる(
図12:ステップS8)。すなわち、カム34を、アーム部材31を押圧しない回転位置に移動する。この状態は、
図5(B´)に示すように、重合シートPJの他端側端面がいかなる部材にも突き当たることなく、把持部材32と受部20bとの間で被把持部Bが把持された状態である。
そして、
図5(C)に示すように、把持部材32によって重合シートPJを把持した状態で巻付けローラ20を逆方向(反時計回り方向)に回転するとともに、第3搬送ローラ対6を再び逆転する。このとき、巻付けローラ20の回転が進められると、
図5(D)に示すように、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で、重合シートPJの2枚のシートP1、P2の間に隙間Cが形成されていく。このとき、重合シートPJは、巻付けローラ20の近傍で第1、第2ガイド部材25、26によって、撓みが制限された状態になる。そのため、重合シートPJの隙間Cは、第3搬送ローラ対6に近い位置に集中的に形成されることになる。
【0045】
このように、第3搬送ローラ対6に対して逆方向下流側に配置された第4センサ44によって重合シートPJの逆方向先端を検知して、そのタイミングをトリガにして把持部材32によって重合シートPJを把持するタイミングを定めているため、必要なシート搬送量X2に対するシート長のばらつき(同じサイズのシートであっても存在する誤差である。)に関わらず、重合シートPJの被把持部Bを所望の把持位置に精度良く搬送することができる。
また、第4センサ44によって重合シートPJの逆方向先端を検知から必要なシート搬送量X2をシート長によらず短くすることができるので、搬送量X2のばらつきを抑えて、重合シートPJの被把持部Bを所望の把持位置に精度良く搬送することができる。
このようなことから、第4センサ44は、巻付けローラ20に近い位置に配置されることが好ましい。
【0046】
また、先に
図5(C´)を用いて、巻付けローラ20に重合シートPJを巻き付けることで、巻付けローラ20と第3搬送ローラ対6との間で重合シートPJに隙間Cが生じるメカニズムについて説明した。
以下、そのメカニズムについて、さらに重ねて補足説明する。
巻付けローラ20に巻き付けられる重合シートPJは、把持部材32に把持されてシートずれが規制された状態になるため、巻付けローラ20で周長差分のスリップが生じて、内側のシートP1の搬送量が外側のシートP2の搬送量に比べて少なくなる。その結果、第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20のニップ間で、内側シートP1に撓み(弛み)が生じることになる。このとき、巻付けローラ20に重合シートPJを1周以上巻き付けることで、それ以降はシートの厚み分で内周と外周で周長差が生じて、同じように撓み(弛み)が発生することになる。
詳しくは、内側のシートP1の厚さをΔRとして、巻付けローラ20の回転軸20a(軸中心)から内側のシートP1までの距離をRとすると、巻付けローラ20の回転軸20a(軸中心)から外側のシートP2までの距離はR+ΔRとなる。内側のシートP1の厚みΔRだけ半径が異なるため、重合シートPJを巻付けローラ20に1周巻き付けると、内側シートP1と外側シートP2とに2×ΔR×πの周長差が生じる。したがって、巻付けローラ20に重合シートPJを巻き付ける回数をM回とすると、2×ΔR×π×Mだけ内側シートP1に弛みが生じることになる。
そして、最終的に、第3搬送ローラ対6と巻付けローラ20との間に撓み(弛み)が集まって、2枚のシートP1、P2の間に、2×ΔR×π×Mに相当する隙間Cが形成されることになる。
【0047】
その後、
図6(A)に示すように、巻付けローラ20による重合シートPJの巻付けが開始されてから、第3搬送ローラ対6による搬送量が所定量X3に達した時点で、第3搬送ローラ対6による搬送が停止されるとともに、巻付けローラ20による重合シートPJの巻付けが停止される(
図12:ステップS9)。この状態は、重合シートPJが巻付けローラ20に1周以上巻き付けられた状態であって、正常であれば、重合シートPJの隙間C(シートP1とシートP2との間の距離)が充分に広がった状態になる。
このとき、重合シートPJに所定の間隔F以上の間隔の隙間Cが形成されているものと第6センサ46によって検知されたかが判別される(
図12:ステップS29)。
その結果、所定の間隔F以上の充分な間隔の隙間Cが形成されているものと判別された場合には、その後に剥離爪16による剥離動作をおこなっても問題が生じないものとして、
図6(B)に示すように、充分に広げられた重合シートPJの隙間Cに剥離爪16が挿入される(
図12:ステップS10)。すなわち、
図10、
図11(A)に示すように、一対の剥離爪16が、それぞれ、待機位置から剥離位置に移動される。
そして、
図6(C)に示すように、剥離爪16が隙間Cに挿入された状態で、第3搬送ローラ対6の正転が開始されるとともに、巻付けローラ20の正方向(時計回り方向)の回転が開始される(
図12:ステップS11)。すなわち、
図11(A)~(C)に示すように、重合シートPJに対して隙間Cに挿入された剥離爪16が一端側Aから他端側Bに向けて相対的に移動することになる。なお、本実施の形態において、このような相対的な移動は、剥離爪16の搬送方向の位置は変化せずに、重合シートPJ自体が
図11(A)~(C)に示す矢印方向に移動することで達成されている。
【0048】
なお、
図12のステップS29で、第6センサ46によって異常が検知されたものと判別された場合、すなわち、重合シートPJに所定の間隔F以上の充分な間隔の隙間Cが形成されていない場合には、その後に剥離爪16による剥離動作をおこなうと種々の問題が生じるものとして、剥離爪16の待機位置から剥離位置への移動はおこなわない。このとき、操作表示パネル49(
図1参照)に、異常が生じたことにより剥離動作や中シートPMの挿入動作を中止した旨を通知する(
図12:ステップS30)。
【0049】
その後、
図7(A)に示すように、第3搬送ローラ対6に正転による重合シートPJの搬送が所定量X4おこなわれた後に、第3搬送ローラ対6の正転と巻付けローラ20の正転とがそれぞれ停止される(
図12:ステップS12)。このとき、重合シートPJの被把持部Bは、第3搬送経路K3(
図5(B)に示す巻付け開始位置W)上に位置した状態である(把持解除可能な状態である。)。また、
図11(C)に示すように、剥離爪16は、重合シートPJに対して隙間Cに挿入されて他端側Bに向けて相対的に移動した後に他端側端部で停止することになる。
そして、その状態で把持部材32を把持位置から退避位置へ移動させる(
図12:ステップS13)。すなわち、カム34を、アーム部材31を押圧しない回転位置に移動させる。この状態は、把持部材32による重合シートPJの把持が解除された状態である。なお、本実施の形態では、カム34(移動機構30)を移動させて把持部材32による把持を解除したが、把持部材32による把持力よりも第3搬送ローラ対6の搬送による引抜き力が大きい場合には、カム34(移動機構30)の移動をせずに、第3搬送ローラ対6の搬送による引抜きによって、把持部材32による把持を解除することもできる。
その後、
図7(B)に示すように、第3搬送ローラ対6を再び正転させて、重合シートPJの順方向の搬送を開始する(
図12:ステップS14)。また、重合シートPJの被把持部B(順方向後端、一端側)が、第3搬送経路K3と分岐搬送経路K4、K5との分岐部を通過した後に、把持部材32を退避位置から把持位置へ移動させる。さらに、このとき、第4センサ44によって、重合シートPJの被把持部B(順方向後端、他端側)が検知される。そして、重合シートPJの順方向後端が第4センサ44によって検知されるタイミングをトリガにして、第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X5搬送して停止した後に、
図11(D)に示すように剥離爪16の幅方向の移動をおこなう(
図12:ステップS15、S31)。これにより、
図7(B)に示すように、重合シートPJにおける2枚のシートP1、P2の順方向後端が大きく分離して開かれた状態になる(
図11(D)参照)。このとき、重合シートPJの剥離(分離)が開始されることになる。
そして、
図7(C)に示すように、第3搬送ローラ対6を逆転して重合シートPJの逆方向の搬送を開始する(
図12:ステップS16)。このとき、剥離爪16は、第3搬送経路K3への重合シートPJの進入を遮断する切替位置(
図11(D)に示す位置である。)に位置しているため、剥離された状態の2枚のシートP1、P2は、
図7(C)に示すように、2つの分岐搬送経路K4、K5にそれぞれ導かれていくことになる。このとき、第5センサ45(
図1参照)によって、重合シートPJの接合部A(逆方向後端、一端側)が検知される。そして、重合シートPJの逆方向後端が第5センサ45(
図1参照)によって検知されるタイミングをトリガにして、第2給送トレイ12からの第2給送ローラ3による中シートPMの給送が開始される(
図12:ステップS17、S18)。このとき、第2センサ42によって中シートPMのサイズが検知される。
なお、中シートPMの給送を開始するタイミングは、これに限定されることなく、剥離処理及び挿入処理に要する時間が短くなるように設定することが好ましい。
【0050】
そして、
図8(A)に示すように、重合シートPJの逆方向後端が第5センサ45(
図1参照)によって検知されるタイミングをトリガにして、第3搬送ローラ対6で重合シートPJを所定量X6搬送して停止する(
図12:ステップS19)。このとき、重合シートPJの接合部Aは、第3搬送ローラ対6のニップの位置か、ニップよりも僅かに左方の位置にある。すなわち、重合シートPJの一端側が第3搬送ローラ対6に挟持された状態である。そして、この状態が重合シートPJの剥離動作が終了した状態である。
また、中シートPMは、重合シートPJの剥離動作が終了する前に、既に第2給送トレイ12から給送開始されている。そのため、
図8(A)に示すように、重合シートPJの剥離動作が終了した時点では、中シートPMの先端(順方向先端、一端側)が、重合シートPJの間の挿入位置に近づいた状態になっている。
一方、第3センサ43によって、中シートPMの先端(順方向先端、一端側)が検知される。そして、その検知タイミングをトリガにして、
図8(B)に示すように、中シートPMに干渉しないタイミングで、剥離爪16を待機位置に移動させる。
さらに、
図8(C)、
図11(E)に示すように、中シートPMの順方向先端が第3センサ43によって検知されるタイミングをトリガにして、第2搬送ローラ対5で中シートPMを所定量X7搬送した後に、第3搬送ローラ対6による重合シートPJの順方向の搬送を再開する(
図12:ステップS20、S21)。このとき、中シートPMは、2枚のシートP1、P2の間の所望位置に、精度よく挟まれた状態になる。
こうして、重合シートPJにおける2枚のシートP1、P2の間に中シートPMを挿入する工程(挿入処理)が終了する(
図12:ステップS22)。
【0051】
このとき、ステップS2で検知した重合シートPJのサイズが、ステップS18で検知した中シートPMのサイズよりも小さくないかが判別される(
図13:ステップS32)。その結果、重合シートPJが中シートPMよりも小さくない場合には、正常であるものとして、
図9(A)に示すように、切替爪17によって第4搬送経路K6を開放して、重合シートPJ(剥離後に中シートPMが挿入されたものである。)をラミネート処理部51に搬送してラミネート処理を施す(
図13:ステップS33)。すなわち、重合シートPJは、ラミネート処理部51において搬送されながら、中シートPMが内部に挿入された状態で全域が接合されていくことになる。その後、ラミネート処理が施された重合シートPJ(及び、中シートPM)は、排出ローラ対7によって装置外に排出されて、排出トレイ13上に載置されることになる。
これに対して、ステップS32で、重合シートPJが中シートPMよりも小さいと判別された場合には、異常であるものとして、
図9(B)に示すように、切替爪17によって第4搬送経路K6を閉鎖して、重合シートPJ(剥離後に中シートPMが挿入されたものである。)を第2排出トレイ55に排出する(
図13:ステップS34)。すなわち、重合シートPJと中シートPMとは、ラミネート処理が施されることなく、再利用可能な状態で第2排出トレイ55に排出されることになる。その後、操作表示パネル49にサイズ異常があった旨を表示する(
図13:ステップS35)。
【0052】
<変形例1>
図16は、変形例1としてのラミネート処理装置50でおこなわれる制御を示すフローチャートであって、
図12に続く制御を示すものである。
変形例1では、第1、第2センサ41、42(検知手段)によって、重合シートPJのサイズL1に比べて中シートPMのサイズL2が小さくて、そのサイズ差が所定の閾値Aを超える状態(L1-L2>A)が検知された場合に、異常があるものと判断している。
これは、重合シートPJに比べて中シートPMが小さすぎると、重合シートPJから中シートPMがはみ出さないものの、余白部分が広くなってしまって見映えが悪くなるためである。
詳しくは、
図12のステップS22の挿入処理が終了した後に、上述したL1-L2>Aなる関係があるかが判別される(
図16:ステップS36)。その結果、L1-L2>Aなる関係がない場合には、正常であって見映えがよい仕上がりになるものとして、
図9(A)に示すように、切替爪17によって第4搬送経路K6を開放して、重合シートPJ(剥離後に中シートPMが挿入されたものである。)をラミネート処理部51に搬送してラミネート処理を施す(
図16:ステップS33)。その後、ラミネート処理が施された重合シートPJ(及び、中シートPM)は、排出ローラ対7によって装置外に排出されて、排出トレイ13上に載置されることになる。
これに対して、ステップS36で、L1-L2>Aなる関係がある場合には、異常である(見映えが悪い仕上がりになる)ものとして、
図9(B)に示すように、切替爪17によって第4搬送経路K6を閉鎖して、重合シートPJ(剥離後に中シートPMが挿入されたものである。)を第2排出トレイ55に排出する(
図16:ステップS34)。その後、操作表示パネル49にサイズ異常があった旨を表示する(
図16:ステップS35)。
なお、ステップS36の判別と、
図13のステップS32の判別と、を合わせておこなうこともできる。
【0053】
ここで、変形例1において、ステップS36の閾値Aを、操作者の操作によって変更可能とすることもできる。
すなわち、重合シートPJに比べて中シートPMが小さいときには、重合シートPJから中シートPMがはみ出さず、ラミネート処理自体は可能であるため、余白部分について操作者が許容できる範囲を任意で設定できるようにしている。このような閾値Aの変更は、操作表示パネル49の操作によっておこなわれる。
さらに補足すると、
図17は、重合シートPJ(ラミネートフィルム)と中シートPM(中紙)とのサイズ差と、ラミネート処理の実行の可否と、の関係を示す表図である。
図17において、サイズは、「A5-SEF」、「A5-LEF」、「A4-SEF」、「A4-LEF」、「A3-SEF」の順に大きくなる。また、
図17において、「○」はサイズ差がなくてラミネート処理を実行可能であって、「×」は重合シートPJより中シートPMが大きくてラミネート処理の不良が生じ、「△」は重合シートPJより中シートPMが小さくてラミネート処理を実行可能であるものの余白のある仕上がりになってしまうことを意味する。したがって、具体的に、上述した閾値Aの変更は、
図17の「△」となるサイズの組み合わせからラミネート処理の可否を操作者が自由に設定することになる。
【0054】
<変形例2>
図18は、変形例2としてのラミネート処理装置50でおこなわれる制御を示すフローチャートであって、
図12に続く制御を示すものである。
変形例2では、第1、第2センサ41、42(検知手段)の検知結果に基づいて異常があるものと判断された場合に、重合シートPJと中シートPMとがラミネート処理部51に達する前に、重合シートPJと中シートPMとの搬送を停止している。
詳しくは、
図12のステップS22の挿入処理が終了した後に、重合シートPJに比べて中シートPMが大きいかが判別される(
図18:ステップS32)。その結果、重合シートPJに比べて中シートPMが大きくない場合には、正常であるものとして、
図9(A)に示すように、切替爪17によって第4搬送経路K6を開放して、重合シートPJ(剥離後に中シートPMが挿入されたものである。)をラミネート処理部51に搬送してラミネート処理を施す(
図18:ステップS33)。その後、ラミネート処理が施された重合シートPJ(及び、中シートPM)は、排出ローラ対7によって装置外に排出されて、排出トレイ13上に載置されることになる。
これに対して、ステップS32で、重合シートPJに比べて中シートPMが大きいと判別された場合には、異常であるものとして、
図9(B)に示すように、切替爪17によって第4搬送経路K6を閉鎖して、重合シートPJ(剥離後に中シートPMが挿入されたものである。)を第2排出トレイ55に排出する(
図18:ステップS34)。その後、操作表示パネル49にサイズ異常があった旨を表示する(
図18:ステップS35)。
なお、ステップS32の判別と、
図16のステップS36の判別と、を合わせておこなうこともできる。
【0055】
<変形例3>
図19は、変形例3としてのラミネート処理装置50でおこなわれる制御を示すフローチャートであって、
図12に続く制御を示すものである。
変形例3では、重合シートPJと中シートPMとのサイズ差の異常を判断するときの条件や、異常シートに対する処理条件を、操作者の操作によって変更可能としている。
詳しくは、
図12のステップS22の挿入処理が終了した後に、重合シートPJと中シートPMとのサイズ差が予め設定された条件内であるかが判別される(
図19:ステップS38)。このとき、設定し得る条件は、
図13のステップS32で説明した条件(L1>L2)や、
図16のステップS36で説明した条件(L1-L2>A:閾値Aは変更可能)などである。
その結果、サイズ差が予め設定された条件内である場合には、正常であるものとして、
図9(A)に示すように、切替爪17によって第4搬送経路K6を開放して、重合シートPJ(剥離後に中シートPMが挿入されたものである。)をラミネート処理部51に搬送してラミネート処理を施す(
図18:ステップS33)。その後、ラミネート処理が施された重合シートPJ(及び、中シートPM)は、排出ローラ対7によって装置外に排出されて、排出トレイ13上に載置されることになる。
これに対して、ステップS38で、サイズ差が予め設定された条件内でない場合には、異常であるものとして、ラミネート処理を中止して予め定めた条件で処理する(
図19:ステップS39)。その後、操作表示パネル49にサイズ異常があった旨を表示する(
図19:ステップS35)。なお、ステップS39で設定し得る処理条件は、
図9(B)で説明した第2排出トレイ55に排出する処理や、
図18のステップS37で説明した搬送停止する処理などである。
このように、ラミネート処理を中止するときの条件を変更可能に構成することで、ユーザーのニーズに合った選択が可能になる。なお、上述した条件の変更は、操作者による操作表示パネル49の操作でおこなうことができる。
【0056】
<変形例4>
図20に示すように、変形例4では、重合シートPJと中シートPMとのサイズ差を検知する第1、第2センサ41、42(検知手段)として、重合シートPJと中シートPMとの搬送方向及び幅方向のサイズを検知するラインセンサ(CIS)を用いている。
図20に示すように、第1、第2センサ41、42は、それぞれ、複数のフォトセンサが幅方向(白矢印で示すシートの搬送方向に直交する方向であって、
図20の左右方向である。)に並設されたものである。そして、それらの複数のフォトセンサのうち、出力がオンとなるものの領域とオフとなるものの領域とを把握することで、重合シートPJや中シートPMの幅方向サイズを検知する。また、第1、第2センサ41、42の位置を通過する重合シートPJや中シートPMの通過時間と、重合シートPJや中シートPMの搬送速度(予め定められた時間である。)と、から重合シートPJや中シートPMの搬送方向サイズを求める。そして、重合シートPJと中シートPMとの搬送方向と幅方向とのサイズ差に基づいて異常の有無を判断している。
具体的に、
図13のステップS32で説明した条件や、
図16のステップS36で説明した条件で、異常の有無を判断する場合、搬送方向と幅方向とのサイズ差のうちいずれか一方でもサイズ差が異常である場合には異常があるものと判断する。これにより、より精度の高い異常判断をおこなうことができる。
なお、サイズ差を検知する検知手段は、重合シートPJと中シートPMとの搬送方向及び幅方向の少なくとも一方のサイズを検知するものであれば、重合シートPJと中シートPMとのサイズ差が正常でない場合に、そのまま重合シートPJに中シートPMが挿入された状態でラミネート処理が施される不具合を軽減する効果が生じることになる。
【0057】
<変形例5>
図21に示すように、変形例5におけるラミネート処理装置50には、シートを、ラミネート処理部51を通過させずに排出トレイ13(第1排出トレイ)に排出するための退避搬送経路K7が設けられている。
そして、変形例5では、第2排出トレイ55に加えて、排出トレイ13も、サイズ差の異常があったものと判断された場合に重合シートPJや中シートPMをラミネート処理部51を通過させずに装置外に排出するための排出部として機能させている。
詳しくは、退避搬送経路K7は、ラミネート処理部51の上流側で第4搬送経路K6から分岐して、ラミネート処理部51の上方を通過して排出トレイ13の上方に形成された排出口(第2排出ローラ対8が設置されている。)に至るように形成されている。また、第4搬送経路K6と退避搬送経路K7との分岐部には、第4搬送経路K6を開放して退避搬送経路K7を閉鎖する状態(
図22(A)の状態である。)と、第4搬送経路K6を閉鎖して退避搬送経路K7を開放する状態(
図22(B)の状態である。)と、を切替えるための切替爪18(第2切替手段)が設置されている。
そして、第1、第2センサ41、42(検知手段)の検知結果に基づいてサイズ差の異常があったものと判断された場合に、剥離処理及び挿入処理のうち少なくとも挿入処理をおこなわず、重合シートPJと中シートPMとをラミネート処理部51を通過させずに、2つの排出トレイ13、55(排出部)の一方に重合シートPJを排出して他方に中シートPMを排出している。
【0058】
具体的に、変形例5において、重合シートPJと中シートPMとのサイズ関係が正常であると判断された場合には、
図22(A)に示すように、挿入処理後の重合シートPJ(中シートPMが挿入されたものである。)を切替爪17、18によって第4搬送経路K6に導いて、ラミネート処理部51でラミネート処理を施す。
これに対して、重合シートPJと中シートPMとのサイズ関係が異常であると判断された場合には、
図22(B)に示すように、挿入処理前の先行の重合シートPJを切替爪17、18によって退避搬送経路K7に導いてラミネート処理を施すことなく排出トレイ13(第1排出トレイ)上に排出して、挿入処理前の後行の中シートPMを切替爪17によって第2排出トレイ55に排出する。
このように制御した場合には、異常時に重合シートPJと中シートPMとが別々に排出されるため、その後におこなわれる再利用時に、重合シートPJと中シートPMとの仕分け作業が不要になる。
なお、変形例5では、異常時に重合シートPJと中シートPMとを別々の排出トレイ13、55に排出したが、
図23に示すように、異常時に重合シートPJと中シートPMとを退避搬送経路K7を介して排出トレイ13(第1排出トレイ)に排出するようにすることもできる。
また、変形例5において、異常が生じていない場合であっても、ユーザーの操作表示パネル49の操作による設定によって、重合シートPJに中シートPMを挿入した状態のもの(剥離処理と挿入処理とが完了したものである。)を、ラミネート処理をおこなうことなく、退出搬送経路K7を介して排出トレイ13に排出することもできる。このような設定は、ユーザーが、重合シートPJに中シートPMが挿入された最終生産物のイメージを、ラミネート処理を施さずに、把握したい場合などに用いられる。このような設定をした場合には、重合シートPJと中シートPMとは、ラミネート処理されたものではないため、イメージを確認した後に再利用が可能になる(シートが無駄にならない)。
【0059】
<変形例6>
図24に示すように、変形例6としての画像形成装置100は、シートPに画像を形成する画像形成装置本体に、
図1に示すラミネート処理装置50が設置されている。ただし、この画像形成装置100では、画像形成装置本体100に設置された給送装置112から給送ローラ197によって給送され搬送されたシートPが中シートPMとしてラミネート処理装置50に搬送されることになる。
図24を参照して、画像形成装置100において、まず、原稿Dが、原稿搬送装置110の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送(給送)されて、原稿読込装置102上を通過する。このとき、原稿読込装置102では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込装置102で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、書込み装置103に送信される。そして、書込み装置103から、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光が、色ごとに、それぞれの感光体ドラム105Y、105M、105C、105K上に向けて発せられ、露光工程がおこなわれる。
そして、それぞれの作像部104Y、104M、104C、104Kの感光体ドラム105Y、105M、105C、105K上で帯電工程、露光工程、現像工程がおこなわれて、感光体ドラム105Y、105M、105C、105K上に所望の画像がそれぞれ形成される。
その後、感光体ドラム105Y、105M、105C、105K上にそれぞれ形成された画像は、カラー画像として中間転写ベルト178上に重ねて転写される。さらに、中間転写ベルト178上に形成されたカラー画像は、2次転写ローラ189との対向位置で、第2給送手段としての給送装置112から給送ローラ197によって給送され搬送されたシートP(中シートPMとなるシートである。)に転写される。
その後、カラー画像が転写されたシートP(中シートPM)は、定着装置120の位置に搬送される。そして、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
その後、シートPは排出ローラ対131によって画像形成装置本体100から排出されて、中シートPMとしてラミネート処理装置50に送入される。このとき、ラミネート処理装置50では、先に
図4~
図7を用いて説明した工程(重合シートPJを剥離する剥離処理である。)が終了していて、ラミネート処理装置50に中シートPMが挿入された後に
図8を用いて説明した工程(重合シートPJに中シートPMを挿入する工程である。)がおこなわれることになる。さらに、中シートPMが挿入された重合シートPMに対するラミネート処理がラミネート処理部51でおこなわれた後に、その重合シートPJが排出ローラ対8によって装置外に排出されて排出トレイ13上に載置されることになる。
こうして、画像形成装置1における一連の画像形成プロセス(印刷動作)と、画像形成された中シートPMを用いた一連のシート剥離処理及びラミネート処理と、が完了することになる。
そして、変形例6においても、第1、第2センサ41、42(検知手段)の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、ラミネート処理を中止している。
なお、画像形成装置100には、操作表示パネル49が設けられている。そして、第6センサ46(異常検知センサ)によって異常が検知されたものと判別された場合、異常が生じたことにより剥離動作や中シートPMの挿入動作を中止した旨が操作表示パネル49に表示されるようになっている。
また、変形例6では、カラーの画像形成装置100に対して本発明を適用したが、モノクロの画像形成装置に対しても当然に本発明を適用することができる。また、変形例6では、電子写真方式の画像形成装置100に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に対しても本発明を適用することができる。
【0060】
<変形例7>
図25に示すように、変形例7としての画像形成システム200は、画像形成部101が設置された画像形成装置本体100に対して、シート剥離部1やラミネート処理部51が設置されたラミネート処理装置50が着脱可能に設置されている。また、変形例7においても、画像形成装置本体100に設置された給送装置112から給送ローラ197によって給送され搬送されたシートPが中シートPMとしてラミネート処理装置50に搬送されることになる。
図25を参照して、画像形成システム200において、先に
図24を用いて説明した画像形成プロセスを経て、画像形成装置100の排出ローラ対131から排出されたシートP(所望の画像が形成された中シートPMである。)は、ラミネート処理装置50に送入された後に、同じように重合シートPJに挿入されて、その後にラミネート処理が施され、排出ローラ対7によって排出されて排出トレイ13上に載置されることになる。また、変形例7においても、ラミネート処理を施そうとして、第1、第2センサ41、42(検知手段)の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合には、そのラミネート処理を中止している。
他方、もともとラミネート処理が選択されておらず、ラミネート処理を施さない場合には、画像形成システム200において、画像形成プロセスを経て画像が形成されたシートPは、画像形成装置100の第2の排出ローラ対132から装置外に排出されて、第2の排出トレイ150上に載置されることになる。
ここで、ラミネート処理装置50は、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されていて、ラミネート処理装置50が不要であるときには、画像形成装置100から取り外すことができる。そして、そのようにラミネート処理装置50を取り外した場合には、ラミネート処理装置50が載置されていた載置面149が排出トレイとして機能して、排出ローラ対131から装置外に排出されたシートP(所望の画像が形成されたシートPである。)が載置されることになる。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態におけるラミネート処理装置50は、2枚のシートP1、P2が重ね合されて一端側が接合部Aとして接合された重合シートPJの非接合部を剥離する剥離処理をおこなって、剥離した状態の2枚のシートP1、P2の間に中シートPMを挿入する挿入処理をおこなうシート剥離部1が設けられている。また、シート剥離部1によって剥離処理及び挿入処理がおこなわれた後の重合シートPJにラミネート処理を施すラミネート処理部51が設けられている。さらに、少なくともラミネート処理がおこなわれる前に、重合シートPJと中シートPMとのサイズ差を検知する第1、第2センサ41、42(検知手段)が設けられている。そして、予め設定された条件のもと第1、第2センサ41、42(検知手段)の検知結果に基づいて異常があったものと判断された場合に、ラミネート処理を中止している。
これにより、重合シートPJと中シートPMとのサイズ差が正常でない場合に、そのまま重合シートPJに中シートPMが挿入された状態でラミネート処理が施される不具合を軽減することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、2つの分岐搬送経路K4、K5を、剥離爪16(剥離部材)と巻付けローラ20との間で第3搬送経路K3(搬送経路)を挟んで別々の方向に分岐するように構成した。これに対して、2つの分岐搬送経路K4、K5を、剥離爪16(剥離部材)の位置で第3搬送経路K3(搬送経路)を挟んで別々の方向に分岐するように構成することもできる。
また、本実施の形態では、2つの分岐搬送経路K4、K5を分岐部から
図2の右方に広がるように略U字状に形成したが、2つの分岐搬送経路K4、K5の形状はこれに限定されず、例えば、2つの分岐搬送経路K4、K5を分岐部から
図2の左方に広がるように略U字状に形成することもできるし、2つの分岐搬送経路K4、K5(
図21参照)を分岐部から左右の異なる方向に広がるように略S字状に形成することもできる。
また、本実施の形態では、少なくともラミネート処理がおこなわれる前に重合シートPJと中シートPMとのサイズ差を検知する検知手段として、第1、第2センサ41、42を用いたが、検知手段は、ラミネート処理がおこなわれる前のサイズ差を検知できるものであれば、これらに限定されることはない。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0064】
なお、本願明細書等において、重合シートの「端面」とは、重合シートのオモテ面とウラ面とに繋がる厚さ方向の面(側面)であるものと定義する。したがって、矩形の重合シートの端面は、前後左右4つあることになる。
【符号の説明】
【0065】
1 シート剥離部、
6 第3搬送ローラ対(搬送ローラ対)、
11 第1給送トレイ、
12 第2給送トレイ、
13 排出トレイ、
16 剥離爪(剥離部材、切替部材)、
20 巻付けローラ、
41 第1センサ(検知手段)、
42 第2センサ(検知手段)、
50 ラミネート処理装置、
51 ラミネート処理部(定着部)、
55 第2排出トレイ(排出部)、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
200 画像形成システム、
PJ 重合シート(ラミネートフィルム)、 A 接合部、
PM 中シート(中紙)、
K4、K5 分岐搬送経路、
K6 第4搬送経路(搬送経路)、 K7 退避搬送経路。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】