(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理システム、操作手順案内方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 1/00 20060101AFI20241210BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H04M1/00 Q
H04N1/00 127Z
(21)【出願番号】P 2020215421
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】淺井 章弘
(72)【発明者】
【氏名】松下 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】武捨 章洋
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-001599(JP,A)
【文献】特開平11-109800(JP,A)
【文献】特開2017-016190(JP,A)
【文献】特開2019-083374(JP,A)
【文献】特開平10-117263(JP,A)
【文献】特開2019-185393(JP,A)
【文献】特開2018-142755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J29/00-29/70
G03G13/34
15/00
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
G10L13/00-13/10
19/00-99/00
H03J9/00-9/06
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04N1/00
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が利用する電子機器と携帯端末とを含む情報処理システムであって、
前記電子機器は、
前記電子機器の状態を取得する状態取得部と、
前記電子機器の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる識別情報を表す音波を出力する音波出力部と、
を有し、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の周辺の音波を解析して、前記識別情報を取得する音波解析部と、
前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す情報を出力する操作手順出力部と、
を有
し、
前記音波出力部は、
予め定められた複数の周波数帯で前記識別情報を表す音波を出力可能であり、
前記複数の周波数帯のうち、他の周波数帯より音圧レベルが低い周波数帯で前記識別情報を表す音波を出力する、
情報処理システム。
【請求項2】
利用者が利用する電子機器と携帯端末とを含む情報処理システムであって、
前記電子機器は、
前記電子機器の状態を取得する状態取得部と、
前記電子機器の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる識別情報を表す音波を出力する音波出力部と、
を有し、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の周辺の音波を解析して、前記識別情報を取得する音波解析部と、
前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す情報を出力する操作手順出力部と、
を有し、
前記音波解析部は、
予め定められた複数の周波数帯で前記識別情報を取得し、
複数の前記識別情報を取得した場合、前記識別情報を取得した複数の周波数帯のうち、他の周波数帯より音圧レベルが高い周波数帯で取得した前記識別情報を有効とする
、
情報処理システム。
【請求項3】
利用者が利用する電子機器と携帯端末とを含む情報処理システムであって、
前記電子機器は、
前記電子機器の状態を取得する状態取得部と、
前記電子機器の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる識別情報を表す音波を出力する音波出力部と、
を有し、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の周辺の音波を解析して、前記識別情報を取得する音波解析部と、
前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す情報を出力する操作手順出力部と、
を有し、
前記操作手順出力部は、前記音波解析部が前記識別情報を所定の時間、取得できない場合、前記電子機器の操作手順を示す情報の出力を中止する
、
情報処理システム。
【請求項4】
前記音波出力部は、前記携帯端末が備えるマイクで取得可能な周波数範囲のうち、16kHz以上の周波数で、前記識別情報を表す音波を出力する、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記所定の状態は、前記電子機器に対する前記利用者による操作が必要な状態を含む、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記操作手順出力部は、前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す表示画面、又は前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す音声を出力する、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記操作手順出力部は、通信ネットワークを介して、前記携帯端末と通信可能に接続されるサーバ装置から、前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を取得する、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
利用者が利用する電子機器と携帯端末とを含む情報処理システムにおいて、
前記電子機器が、
前記電子機器の状態を取得する状態取得処理と、
前記電子機器の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる識別情報を表す音波を出力する音波出力処理と、
を実行し、
前記携帯端末が、
前記携帯端末の周辺の音波を解析して、前記識別情報を取得する音波解析処理と、
前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す情報を出力する操作手順出力処理と、
を実行
し、
前記音波出力処理は、
予め定められた複数の周波数帯で前記識別情報を表す音波を出力可能であり、
前記複数の周波数帯のうち、他の周波数帯より音圧レベルが低い周波数帯で前記識別情報を表す音波を出力する、
操作手順案内方法。
【請求項9】
利用者が利用する電子機器と携帯端末とを含む情報処理システムにおいて、
前記電子機器が、
前記電子機器の状態を取得する状態取得処理と、
前記電子機器の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる識別情報を表す音波を出力する音波出力処理と、
を実行し、
前記携帯端末が、
前記携帯端末の周辺の音波を解析して、前記識別情報を取得する音波解析処理と、
前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す情報を出力する操作手順出力処理と、
を実行し、
前記音波解析処理は、
予め定められた複数の周波数帯で前記識別情報を取得し、
複数の前記識別情報を取得した場合、前記識別情報を取得した複数の周波数帯のうち、他の周波数帯より音圧レベルが高い周波数帯で取得した前記識別情報を有効とする、
操作手順案内方法。
【請求項10】
利用者が利用する電子機器と携帯端末とを含む情報処理システムにおいて、
前記電子機器が、
前記電子機器の状態を取得する状態取得処理と、
前記電子機器の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる識別情報を表す音波を出力する音波出力処理と、
を実行し、
前記携帯端末が、
前記携帯端末の周辺の音波を解析して、前記識別情報を取得する音波解析処理と、
前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す情報を出力する操作手順出力処理と、
を実行し、
前記操作手順出力処理は、前記音波解析処理で前記識別情報を所定の時間、取得できない場合、前記電子機器の操作手順を示す情報の出力を中止する、
操作手順案内方法。
【請求項11】
利用者が利用する電子機器と携帯端末とを含む情報処理システムにおいて、
前記電子機器に、
前記電子機器の状態を取得する状態取得処理と、
前記電子機器の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる識別情報を表す音波を出力する音波出力処理と、
を実行させ、
前記携帯端末に、
前記携帯端末の周辺の音波を解析して、前記識別情報を取得する音波解析処理と、
前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す情報を出力する操作手順出力処理と、
を実行させ、
前記音波出力処理は、
予め定められた複数の周波数帯で前記識別情報を表す音波を出力可能であり、
前記複数の周波数帯のうち、他の周波数帯より音圧レベルが低い周波数帯で前記識別情報を表す音波を出力する、
プログラム。
【請求項12】
利用者が利用する電子機器と携帯端末とを含む情報処理システムにおいて、
前記電子機器に、
前記電子機器の状態を取得する状態取得処理と、
前記電子機器の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる識別情報を表す音波を出力する音波出力処理と、
を実行させ、
前記携帯端末に、
前記携帯端末の周辺の音波を解析して、前記識別情報を取得する音波解析処理と、
前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す情報を出力する操作手順出力処理と、
を実行させ、
前記音波解析処理は、
予め定められた複数の周波数帯で前記識別情報を取得し、
複数の前記識別情報を取得した場合、前記識別情報を取得した複数の周波数帯のうち、他の周波数帯より音圧レベルが高い周波数帯で取得した前記識別情報を有効とする、
プログラム。
【請求項13】
利用者が利用する電子機器と携帯端末とを含む情報処理システムにおいて、
前記電子機器に、
前記電子機器の状態を取得する状態取得処理と、
前記電子機器の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる識別情報を表す音波を出力する音波出力処理と、
を実行させ、
前記携帯端末に、
前記携帯端末の周辺の音波を解析して、前記識別情報を取得する音波解析処理と、
前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す情報を出力する操作手順出力処理と、
を実行させ、
前記操作手順出力処理は、前記音波解析処理で前記識別情報を所定の時間、取得できない場合、前記電子機器の操作手順を示す情報の出力を中止する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、操作手順案内方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の電子機器において、エラー、又は消耗品の交換等の利用者による操作が必要な状態が検知されたときに、利用者による対処方法を示す操作手順等を、電子機器の表示部等に表示することが行われている。
【0003】
また、電子機器にトラブルが発生したときに、電子機器のマニュアルの必要なページを、電子機器と無線通信で接続した携帯端末に表示させる情報表示システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、電子機器にトラブルが発生した場合、サービスマンが現場でトラブルに対応するときに、サービスマンの携帯端末に、サービスマニュアル中の、発生したトラブルに関連する情報を自動的に表示することができること等の効果が記載されている。
【0005】
この方法では、携帯端末が、電子機器と無線通信で接続できるように設定されていることが前提となるが、例えば、画像形成装置等の複数の利用者が共用する電子機器では、利用者の携帯端末が、電子機器と無線通信で接続できるように設定されていない場合がある。
【0006】
このように、電子機器を利用する利用者の携帯端末が、電子機器と無線通信で接続できるように設定されていない場合、従来の技術では、利用者の携帯端末に、電子機器の状態に対応する操作手順等を出力することには困難を伴っていた。
【0007】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、利用者の携帯端末が、電子機器と無線通信で接続できるように設定されていない場合でも、利用者の携帯端末に、電子機器の状態に対応する操作手順等を容易に出力できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、利用者が利用する電子機器と携帯端末とを含む情報処理システムであって、前記電子機器は、前記電子機器の状態を取得する状態取得部と、前記電子機器の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる識別情報を表す音波を出力する音波出力部と、を有し、前記携帯端末は、前記携帯端末の周辺の音波を解析して、前記識別情報を取得する音波解析部と、前記識別情報に対応する前記電子機器の操作手順を示す情報を出力する操作手順出力部と、を有し、前記音波出力部は、予め定められた複数の周波数帯で前記識別情報を表す音波を出力可能であり、前記複数の周波数帯のうち、他の周波数帯より音圧レベルが低い周波数帯で前記識別情報を表す音波を出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、利用者の携帯端末が、電子機器と無線通信で接続できるように設定されていない場合でも、利用者の携帯端末に、電子機器の状態に対応する操作手順等を容易に出力できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の別の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る電子機器のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る情報処理システムの機能構成の例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る情報処理システムが管理する情報の例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る電子機器の処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態に係る携帯端末の処理の例を示すフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態に係る操作手順を示す情報の例について説明するための図である。
【
図10】第2の実施形態に係る携帯端末の処理の例を示すフローチャートである。
【
図11】第3の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図12】第3の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の別の一例を示す図である。
【
図13】第3の実施形態に係る音波の周波数帯について説明するための図である。
【
図14】第3の実施形態に係る電子機器の機能構成の例を示す図である。
【
図15】第3の実施形態に係る電子機器の処理の例を示すフローチャートである。
【
図16】第3の実施形態に係る周波数解析結果の例を示す図である。
【
図17】第3の実施形態に係る携帯端末の処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の一例を示している。
図1の例では、情報処理システム100は、利用者101が利用する電子機器110と携帯端末120とを含む。
【0013】
電子機器110は、一例として、スキャン機能、コピー機能、印刷機能、ファクシミリ機能等を一つの筐体に搭載したMFP(Multifunction Peripheral)、又はプリンタ等の画像形成装置である。ただし、これに限られず、電子機器110は、例えば、プロジェクタ(Projector)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置であっても良い。また、電子機器110は、例えば、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)等であっても良い。さらに、電子機器110は、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であっても良い。ここでは、一例として、電子機器110が、MFP等の画像形成装置であるものとして以下の説明を行う。
【0014】
本実施形態に係る電子機器110は、例えば、エラー、又は消耗品の交換等の利用者101による操作が必要な所定の状態が検知されたときに、電子機器110の状態に対応する識別情報(以下、音波IDと呼ぶ)を表す音波102を出力する。
【0015】
携帯端末120は、周辺の音波を取得するマイクロフォン(以下、マイクと呼ぶ)を備えた、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、又はウェアラブル端末等の情報端末である。携帯端末120は、情報処理システム100に対応するアプリケーションプログラム(以下、アプリと呼ぶ)を実行することにより、電子機器110が出力する音波102が表す音波IDを取得し、音波IDに対応する電子機器110の操作手順を示す情報を出力する。
【0016】
好ましくは、携帯端末120は、複数の音波IDと、各音波IDに対応する電子機器の操作手順を示す情報とを対応付けて記憶した操作手順情報を、携帯端末120の記憶部等に記憶しておく。或いは、携帯端末120は、
図2に示すように、インタネット、又はLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク202を介して、通信可能な外部サーバ(サーバ装置)201等から、音波IDに対応する操作手順を示す情報を取得しても良い。
【0017】
好ましくは、電子機器110は、携帯端末120が備えるマイクで取得可能な周波数範囲(例えば、20Hz~22kHz)のうち、16kHz以上の周波数帯域、好ましくは、18kHz以上の周波数帯域を利用して、音波IDを表す音波102を出力する。16kHz以上の周波数(特に、18kHz以上の周波数)の音波は、一般的な人には聞こえ難く、直線性が高いため、音波102で音波IDを携帯端末120に通知するために好適である。
【0018】
なお、本実施形態では、音波102で音波IDを表す方法について、特に限定しないが、一例として、予め定められた複数の周波数を用いて、各周波数で音波が出力されているときにデジタル値の「1」を表し、音波が出力されていないときにデジタル値の「0」を表すこと等により、複数のビットの識別情報を表すことができる。この場合、携帯端末120は、マイクで取得した音波102を周波数解析して、予め定められた複数の周波数の音波の音圧レベルが閾値以上であるか否かを判断すること等により、音波102から音波IDを取得することができる。
【0019】
上記の構成により、情報処理システム100は、利用者101が利用する電子機器110で所定の状態が発生したときに、電子機器110の所定の状態に対応する操作手順を示す情報(例えば、表示画面、又は音声メッセージ等)を出力することができる。
【0020】
以上、本実施形態によれば、利用者101の携帯端末120が、電子機器110と無線通信で接続できるように設定されていない場合でも、利用者101の携帯端末120に、電子機器110の状態に対応する操作手順等を容易に出力できるようになる。
【0021】
<ハードウェア構成>
(電子機器のハードウェア構成)
ここでは、一例として、電子機器110が画像形成装置であるものとして、以下の説明を行う。
【0022】
図3は、第1の実施形態に係る電子機器のハードウェア構成の例を示す図である。電子機器110は、例えば、コントローラ310、操作パネル320、エンジン制御部330、通信I/F(Interface)340、音入出力回路350、スピーカ351、マイク352、センサI/F360、複数のセンサ361a、361b、・・・、及びバス301等を有する。なお、以下の説明において、複数のセンサ361a、361b、・・・のうち、任意のセンサを示す場合、「センサ361」を用いる。
【0023】
コントローラ310は、電子機器110が備えるコンピュータの一例であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)311、RAM(Random Access memory)312、ROM(Read Only Memory)313、及びストレージデバイス314等を含む。CPU311は、例えば、ストレージデバイス314、ROM313等の記憶媒体に記憶したプログラムを実行することにより、電子機器110の全体を制御する演算装置である。RAM312は、CPU311のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。ROM313は、CPU311の起動用のプログラム、又は設定データ等を記憶する不揮発性のメモリである。ストレージデバイス314は、例えば、OS(Operating System)、アプリ等のプログラム、データ、又は情報等を記憶する大容量の記憶装置であり、例えば、SSD(Solid State Drive)、又はHDD(Hard Disk Drive)等によって実現される。
【0024】
操作パネル320は、利用者による操作を受け付けるタッチパネル、又は操作ボタン等の操作部と、表示画面を表示するディスプレイ等の表示部とを含む。エンジン制御部330は、例えば、印刷処理を実行するプリンタエンジン、読み取り処理を実行するスキャナエンジン、及び各エンジンを制御する制御部等を含み、コントローラからの指示に従って、画像形成処理を実行する。また、エンジン制御部330は、プリンタエンジン、スキャナエンジン、及び制御部等で発生したエラー情報等を含むログ情報を、コントローラ310に通知する。
【0025】
通信I/F340は、他の装置と通信するためのインタフェースである。通信I/F340には、例えば、通信ネットワーク202に接続するためのネットワークI/F、又は電子機器110に接続される他の機器と通信するための機器間通信I/F等が含まれ得る。音入出力回路350は、例えば、音波データを音波信号に変換してスピーカ351に出力する回路、及びマイク352が取得した音波信号を増幅して、音波データに変換する回路等を含む。センサI/F360は、複数のセンサ361a、361b、・・・を制御して、電子機器110の各部の状態を検知する。バス301は、上記の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0026】
なお、
図3に示す電子機器110のハードウェア構成は一例である。本実施形態に係る電子機器110は、コンピュータの構成と、音波を入出力可能な構成とを有していれば、任意のハードウェア構成であって良い。
【0027】
(携帯端末のハードウェア構成)
図4は、一実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成の例を示す図である。携帯端末120は、例えば、CPU401、ROM402、RAM403、ストレージデバイス404、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ405、撮像素子I/F406、加速度・方位センサ407、メディアI/F409、GPS(Global Positioning System)受信部410等を備えている。
【0028】
これらのうち、CPU401は、所定のプログラムを実行することにより携帯端末120全体の動作を制御する。ROM402は、例えば、IPL(Initial Program Loader)等のCPU401の起動に用いられるプログラムを記憶する。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。ストレージデバイス404は、OS、アプリ等のプログラム、及び各種のデータ等を記憶する大容量の記憶装置であり、例えば、SSD、フラッシュROM等によって実現される。
【0029】
CMOSセンサ405は、CPU401の制御に従って被写体(主に自画像)を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、携帯端末120は、CMOSセンサ405に代えて、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像手段を有していても良い。撮像素子I/F406は、CMOSセンサ405の駆動を制御する回路である。加速度・方位センサ407は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサである。メディアI/F409は、フラッシュメモリ等のメディア(記憶メディア)408に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。GPS受信部410は、GPS衛星からGPS信号を受信する。
【0030】
また、携帯端末120は、遠距離通信回路411、遠距離通信回路411のアンテナ411a、CMOSセンサ412、撮像素子I/F413、マイク414、スピーカ415、音入出力I/F416、ディスプレイ417、外部機器接続I/F418、近距離通信回路419、近距離通信回路419のアンテナ419a、及びタッチパネル420等を備えている。
【0031】
これらのうち、遠距離通信回路411は、例えば、通信ネットワーク202を介して、他の装置と通信する回路である。CMOSセンサ412は、CPU401の制御に従って被写体を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。撮像素子I/F413は、CMOSセンサ412の駆動を制御する回路である。マイク414は、音を電気信号に変える内蔵型の回路である。スピーカ415は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。音入出力I/F416は、CPU401の制御に従ってマイク414及びスピーカ415との間で音波信号の入出力を処理する回路である。
【0032】
ディスプレイ417は、被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。外部機器接続I/F418は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。近距離通信回路419は、各種の近距離無線通信を行う回路である。タッチパネル420は、利用者がディスプレイ417を押下することで、携帯端末120を操作する入力手段の一種である。
【0033】
また、携帯端末120は、バスライン421を備えている。バスライン421は、
図4に示されているCPU401等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等を含む。
【0034】
なお、
図4に示す携帯端末120のハードウェア構成は一例である。本実施形態に係る携帯端末120は、コンピュータの構成、音波を入力可能な構成、及び表示画面を表示可能な構成等を有していれば、任意のハードウェア構成であって良い。
【0035】
<機能構成>
図5は、第1の実施形態に係る情報処理システムの機能構成の例を示す図である。
【0036】
(電子機器の機能構成)
電子機器110は、例えば、
図3のCPU311で所定のプログラムを実行することにより
図5に示す、機器制御部511、状態取得部512、音波出力部513、通信部514、及び記憶部515等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0037】
機器制御部511は、例えば、
図3のエンジン制御部330を用いて、例えば、印刷処理、スキャン処理、又はコピー処理等の画像形成処理を実行する。なお、電子機器110が画像形成装置以外の機器である場合、機器制御部511は、電子機器110が備える機能を制御する。例えば、電子機器110がプロジェクタである場合、機器制御部511は、画像投影処理を実行する。
【0038】
好ましくは、機器制御部511は、機器制御部511で発生した様々なイベント、エラー等の情報を含むログ情報を、記憶部515のログ情報518に記憶する。
【0039】
状態取得部512は、例えば、
図3の複数のセンサ361a、361b、・・・等を用いて、電子機器110の状態を取得する状態取得処理を実行する。電子機器110が画像形成装置である場合、複数のセンサ361a、361b、・・・には、例えば、カバーの開閉状態を検知するセンサ、搬送路上の用紙状態を検知するセンサ、給紙トレイの用紙の量を検知するセンサ、又はトナーの残量センサ等が含まれ得る。状態取得部512は、これらのセンサを用いて、例えば、用紙詰まり、用紙切れ、トナーの残量不足等の電子機器110の状態を取得する。好ましくは、状態取得部512は、現在の電子機器110の状態を示す状態コードを生成する。
【0040】
なお、状態取得部512は、複数のセンサ361a、361b、・・・による検知結果に加えて(又は代えて)、記憶部515に記憶されてログ情報518等に基づいて、電子機器110の状態を取得しても良い。
【0041】
音波出力部513は、電子機器110の状態が所定の状態であるときに、前記所定の状態に応じて異なる音波ID(識別情報)を表す音波102を、例えば、
図3の音入出力回路350、及びスピーカ351等を用いて出力する音波出力処理を実行する。
【0042】
好ましくは、音波出力部513は、
図6(A)に示すような音波ID情報516を、記憶部515等に記憶しておき、状態取得部512が生成した状態コードが音波ID情報516に記憶されている場合、状態コードに対応する音波IDを表す音波を出力する。
【0043】
図6(A)は、音波ID情報516の一例のイメージを示している。
図6(A)の例では、音波ID情報516は、項目として、「分類」、「状態コード」、及び「音波ID」等の情報を含む。「分類」は、電子機器110の状態を分類するときに用いられ、
図6(A)の例では、紙詰まり等の異常(エラー)状態を示す「異常」と、用紙切れ、又はトナー残量小等のメンテナンスが必要な状態を示す「メンテナンス」とを含む。「状態コード」は、電子機器110の状態を示す識別情報であり、例えば、エラーコード等であっても良い。「音波ID」は、状態コードに対応する音波ID(識別情報)である。
【0044】
例えば、状態取得部512が、電子機器110の状態を示す状態コード「E-001」を生成した場合、音波出力部513は、当該状態コードに対応する音波ID「000001」を表す音波102を出力する。このとき、音波出力部513は、音波IDを表す音波102を出力するための音波データを新たに作成しても良いし、記憶部515に記憶した音波データ517から、状態コードに対応する音波IDを表す音波データを取得しても良い。
【0045】
通信部514は、例えば、
図3の通信I/F340を用いて、電子機器110に接続される他の機器との通信、又は通信ネットワーク202を介して、通信可能な外部サーバ201等と通信する通信処理を実行する。好ましくは、通信部514は、通信部514で発生した様々なイベント、エラー等の情報を含むログ情報を、記憶部515のログ情報518に記憶する。
【0046】
記憶部515は、例えば、
図3のCPU311が実行するプログラム、ストレージデバイス314、及びRAM312等によって実現され、音波ID情報516、音波データ517、及びログ情報518等の様々な情報(又はデータ)を記憶する。なお、記憶部515に記憶する情報(又はデータ)は、電子機器110が実行するプログラムが有していても良いし、通信ネットワーク202を介して、外部サーバ201等から取得しても良い。
【0047】
(携帯端末の機能構成)
携帯端末120は、例えば、
図4のCPU401で所定のプログラム(アプリ)を実行することにより、音波取得部521、音波解析部522、操作手順出力部523、通信部524、表示制御部525、音声制御部526、及び記憶部527等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0048】
音波取得部521は、例えば、
図4のマイク414、及び音入出力I/F416等を用いて、携帯端末120の周辺の音波を取得する。例えば、音波取得部521は、マイク414が取得した携帯端末120の周辺の音を所定の形式の音波データに変換して、記憶部527等に記憶する。
【0049】
音波解析部522は、音波取得部521が取得した携帯端末120の周辺の音波を解析して、音波が表す音波IDを取得する音波解析処理を実行する。例えば、音波解析部522は、音波取得部521が、記憶部527等に記憶した音波データをFFT(Fast Fourier Transform Analysis)解析して、予め定められた複数の周波数で表される音波IDを取得する。
【0050】
操作手順出力部523は、音波解析部522が取得した、電子機器110の状態を示す音波IDに対応する電子機器110の操作手順を示す情報を、表示制御部525、又は音声制御部526等を用いて出力する操作手順出力処理を実行する。例えば、操作手順出力部523は、
図6(B)に示すような操作手順情報528を、記憶部527等に記憶して管理し、音波解析部522が取得した音波IDに対応する出力データを、表示制御部525、又は音声制御部526を用いて出力する。
【0051】
図6(B)は、記憶部527に記憶した操作手順情報528の一例のイメージを示している。
図6(B)に示すように、操作手順情報528には、複数の音波IDと、各音波IDに対応する出力データとが記憶されている。出力データには、音波IDに対応する操作手順を示す、静止画像データ、動画像データ、テキストデータ、及び音声データのうち、1つ以上のデータ(又はデータを特定する情報)が記憶されている。
【0052】
また、操作手順情報528は、
図6(C)に示すように、複数の音波IDと、各音波IDに対応する出力データの取得先を示すURL(Uniform Resource Locator)等のリンク情報とが記憶されているものであっても良い。この場合、操作手順出力部523は、通信部524を用いて、
図2に示した外部サーバ201等から、音波IDに対応する出力データを取得する。
【0053】
通信部524は、例えば、
図4の遠距離通信回路411等を用いて、携帯端末120を通信ネットワーク202に接続して、外部サーバ201等と通信する通信処理を実行する。
【0054】
表示制御部525は、例えば、操作手順出力部523からの指示に従って、電子機器110の操作手順を示す静止画像、動画像、及びテキストメッセージのうちの1つ以上を含む表示画面を、ディスプレイ417等の表示部に表示する。
【0055】
音声制御部526は、例えば、操作手順出力部523からの指示に従って、
図4の音入出力I/F416、及びスピーカ415等を用いて、電子機器110の操作手順を示す音声メッセージ等を出力する。
【0056】
記憶部527は、例えば、
図4のCPU401で実行されるプログラム、ストレージデバイス404、及びRAM403等によって実現され、操作手順情報528等の様々な情報、又はデータを記憶する。
【0057】
<処理の流れ>
続いて、第1の実施形態に係る操作手順案内方法の処理の流れについて説明する。
【0058】
(電子機器の処理)
図7は、第1の実施形態に係る電子機器の処理の例を示すフローチャートである。電子機器110は、例えば、画像形成処理等の電子機器110の本来の機能と並行して、
図7に示す処理を繰り返し実行する。
【0059】
ステップS701において、電子機器110の状態取得部512は、複数のセンサ361a、361b、・・・から取得したセンサ情報、又は記憶部515に記憶されたログ情報518等に基づいて、電子機器110の状態を取得する。例えば、状態取得部512は、複数のセンサ361a、361b、・・・から取得したセンサ情報に基づいて、電子機器110が、紙詰まり、用紙切れ、トナーの残量不足等、利用者101による操作が必要な状態を含む所定の状態であるか否かを判断する。また、状態取得部512は、電子機器110が所定の状態である場合、電子機器110の状態を示す状態コードを取得する。
【0060】
ステップS702において、電子機器110の音波出力部513は、例えば、
図6(A)に示すような音波ID情報516から、電子機器110の状態に対応する音波IDを取得する。例えば、音波出力部513は、音波ID情報516から、状態取得部512が取得した状態コードに対応する音波IDを取得する。
【0061】
ステップS703において、音波出力部513は、電子機器110の状態に対応する音波IDを取得できた場合、処理をステップS704に移行させる。一方、音波出力部513は、電子機器110の状態に対応する音波IDを取得できない場合、処理をステップS706に移行させる。
【0062】
ステップS704に移行すると、音波出力部513は、取得した音波IDを表す音波データを取得、又は生成する。例えば、音波出力部513は、記憶部515に記憶した音波データ517から、取得した音波IDに対応する音波データを取得する。なお、音波出力部513は、記憶部515に記憶した音波データ517に限られず、通信部514を用いて、外部サーバ201等から、取得した音波IDに対応する音波データを取得しても良い。また、音波出力部513は、取得した音波IDを表す音波データを生成しても良い。
【0063】
ステップS705において、音波出力部513は、取得(又は生成)した音波データを用いて、電子機器110の状態を示す音波IDを表す音波102を出力する。
【0064】
一方、ステップS703からS706に移行すると、音波出力部513は、音波102を出力中であるか否かを判断する。音波102を出力中である場合、音波出力部513は、処理をステップS707に移行させ、音波の出力を停止する。一方、音波102を出力中でない場合、音波出力部513は、
図7の処理を終了する。
【0065】
上記の処理により、電子機器110は、電子機器110が所定の状態(例えば、利用者による操作が必要な状態)である場合、電子機器110の所定の状態に対応する音波IDを表す音波を出力する。
【0066】
(携帯端末の処理)
図8は、第1の実施形態に係る携帯端末の処理の例を示すフローチャートである。携帯端末120は、情報処理システム100に対応するアプリを実行することにより、例えば、
図8に示すような携帯端末の処理を繰り返し実行する。
【0067】
ステップS801において、携帯端末120の音波取得部521は、携帯端末120の周辺の音波を取得し、音波解析部522は、取得した音波を解析して、音波IDを取得する。
【0068】
ステップS802において、音波解析部522が音波IDを取得できた場合、音波解析部522は、処理をステップS803に移行させる。一方、音波解析部522が音波IDを取得できない場合、携帯端末120は、
図8の処理を終了する。
【0069】
ステップS803に移行すると、携帯端末120の操作手順出力部523は、取得した音波IDに対応する出力データを取得する。例えば、操作手順出力部523は、
図6(B)に示すような操作手順情報528から、音波解析部522が取得した音波IDに対応する出力データを取得する。或いは、操作手順出力部523は、
図6(C)に示すような操作手順情報528を参照して、外部サーバ201等から、音波解析部522が取得した音波IDに対応する出力データを取得する。
【0070】
ステップS804において、操作手順出力部523は、取得した出力データを用いて、電子機器110の操作手順を示す情報を出力する。
【0071】
上記の処理により、携帯端末120は、電子機器110の所定の状態に対応する電子機器110の操作手順を示す表示画面、及び音声メッセージのうちの少なくとも1つを出力する。これにより、電子機器110を利用する利用者は、電子機器110で所定の状態が発生したときに、電子機器110との無線通信の接続設定等を行わなくても、アプリを起動するだけで、利用者が実行すべき電子機器110の操作手順を示す情報を得ることができる。
【0072】
<操作手順を示す情報の例>
図9は、第1の実施形態に係る操作手順を示す情報の例について説明するための図である。例えば、電子機器110が画像形成装置であり、電子機器110で「用紙詰まり」が発生したものとする。この場合、電子機器110は、
図7に示した処理により、電子機器110の状態「用紙詰まり」に対応する音波ID(例えば、音波ID「101001」)を表す音波102を出力する。
【0073】
一方、利用者101は、電子機器110で何らかの不具合が発生した場合、例えば、携帯端末120で、情報処理システム100に対応するアプリを起動する。これにより、携帯端末120は、
図8に示した処理により、音波ID「101001」に対応する操作手順を示す情報として、例えば、
図9に示す表示画像911を表示するとともに、メッセージ912を音声出力する。なお、メッセージ912は、音声出力に代えて(又は加えて)、表示画像911とともに、表示画面に表示しても良い。
【0074】
利用者101が操作手順に従ってカバーを開くと、電子機器110の状態が「用紙詰まり」+「カバー開」の状態に変化し、電子機器110は、状態「用紙詰まり」+「カバー開」に対応する音波ID「101002」を表す音波102を出力する。これにより、携帯端末120は、音波ID「101002」に対応する操作手順を示す情報として、例えば、
図9に示す表示画像921を表示するとともに、メッセージ922を音声出力(又は表示画面に表示)する。
【0075】
利用者101が操作手順に従って、用紙を取り除くと、電子機器110の状態が「カバー開」(用紙詰まりなし)の状態に変化して、電子機器110は、状態「カバー開」(用紙詰まりなし)に対応する音波ID「101003」を表す音波102を出力する。これにより、携帯端末120は、音波ID「101003」に対応する操作手順を示す情報として、例えば、
図9に示す表示画像931を表示するとともに、メッセージ932を音声出力(又は表示画面に表示)する。
【0076】
以上、本実施形態に係る情報処理システム100によれば、携帯端末120が、電子機器110と無線通信で接続できるように設定されていない場合でも、アプリを起動するだけで、携帯端末120に電子機器の状態に対応する操作手順等を出力することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る情報処理システム100によれば、電子機器110の状態の変化に応じて、異なる操作手順を示す表示画面、又は音声メッセージ等を、タイムリーに利用者に提供することができる。
【0078】
さらに、本実施形態に係る情報処理システム100は、電子機器110が、画像表示可能なディスプレイを有していないプリンタ等であっても、利用者101の携帯端末120を利用して、
図9に示すような表示画像を、利用者に提供することができる。
【0079】
[第2の実施形態]
第1の実施形態で説明した情報処理システム100において、携帯端末120は、所定の時間、音波IDを取得できない場合、携帯端末120が出力している操作手順を示す情報の出力を中止、又は終了することが望ましい。第2の実施形態では、携帯端末120が、所定の時間、音波IDを取得できない場合に、携帯端末120が出力している操作手順を示す情報の出力を中止、又は終了する処理の例について説明する。
【0080】
なお、第2の実施形態に係る情報処理システム100のシステム構成、ハードウェア構成、及び機能構成等は、第1の実施形態と同様で良い。
【0081】
<処理の流れ>
図10は、第2の実施形態に係る携帯端末の処理の例を示すフローチャートである。携帯端末120は、情報処理システム100に対応するアプリを実行することにより、例えば、
図8に示すような携帯端末の処理を繰り返し実行する。なお、ここでは、第1の実施形態と同様の処理に対する詳細な説明は省略する。
【0082】
ステップS1001において、携帯端末120の音波取得部521は、携帯端末120の周辺の音波を取得し、音波解析部522は、取得した音波を解析して、音波IDを取得する。
【0083】
ステップS1002において、音波解析部522が音波IDを取得できた場合、音波解析部522は、処理をステップS1003に移行させる。一方、音波解析部522が音波IDを取得できない場合、音波解析部522は、処理をステップS1005に移行させる。
【0084】
ステップS1003に移行すると、携帯端末120の操作手順出力部523は、取得した音波IDに対応する出力データを取得する。
【0085】
ステップS1004において、操作手順出力部523は、取得した出力データを用いて、電子機器110の操作手順を示す情報を出力する。
【0086】
一方、ステップS1002からS1005に移行すると、操作手順出力部523は、操作手順を示す情報を出力中であるか否かを判断する。操作手順を示す情報を出力中でない場合、操作手順出力部523は、処理をステップS1010に移行させる。一方、操作手順を示す情報を出力中である場合、操作手順出力部523は、処理をステップS1006に移行させる。
【0087】
ステップS1006に移行すると、操作手順出力部523は、所定の時間の計時を開始しているか否かを判断する。計時を開始していない場合、操作手順出力部523は、処理をステップS1007に移行させて、所定の時間の計時を開始する。一方、所定の時間の計時を開始している場合、操作手順出力部523は、処理をステップS1008に移行させる。
【0088】
ステップS1008に移行すると、操作手順出力部523は、計時を開始してから所定の時間を経過したか否かを判断する。所定の時間を経過していない場合、操作手順出力部523は、
図10の処理を終了する。一方、所定の時間を経過している場合、操作手順出力部523は、処理をステップS1009に移行させて、操作手順を示す情報の出力を中止する。
【0089】
ステップS1010において、操作手順出力部523は、所定の時間の計時を中止する。
【0090】
上記の処理により、携帯端末120は、所定の時間、音波IDを取得できない場合、操作手順を示す情報の出力を中止することができる。これにより、例えば、電子機器110が正常な状態に戻った場合、又は利用者101が電子機器110から離れた場合等に、携帯端末120が操作手順を示す情報の出力を出力し続けることを防止することができる。
【0091】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、利用者101が利用する電子機器110の周辺に、他の電子機器110が設置されている場合の例について説明する。
【0092】
<システム構成>
図11は、第3の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図11の例では、情報処理システム100は、利用者が利用する電子機器110aと携帯端末120、及び電子機器110aの周辺に設置された1つ以上の他の電子機器110b、110c、・・・を含む。ここでは、説明用の一例として、電子機器110a、110b、110c、・・・が、同様の構成を有する画像形成装置であるものとする。
【0093】
図12は、第3の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の別の一例を示す図である。
図12の例では、情報処理システム100は、利用者101が利用する画像形成装置1200と携帯端末120とを含み、画像形成装置1200は、本体110i、及び1つ以上のオプションユニット110j、110k、・・・を含む。
【0094】
本体110iは、例えば、
図3に示すような電子機器110のハードウェア構成を有し、印刷、スキャン、コピー、又はファクス等の画像形成処理を実行する。オプションユニット110j、110kは、例えば、
図3に示すような電子機器110のハードウェア構成を有しているが、操作パネル320、及びエンジン制御部330は有していなくても良い。オプションユニット110j、110k、・・・は、例えば、給紙ユニット、排紙ユニット、フィニッシャー等を含む。
図12の例では、オプションユニット110jは、機器間を接続する専用の通信インタフェース1201を介して、本体110i、及びオプションユニット110kと通信可能に接続されている。なお、本体110i、及び1つ以上のオプションユニット110j、110k、・・・は、本実施形態に係る電子機器110の一例である。
【0095】
このように、携帯端末120が音を取得可能な範囲に複数の電子機器110が設置されている場合、各電子機器110は、例えば、
図13に示すように、複数の周波数帯のうちの一つの周波数帯を用いて、音波IDを表す音波102を出力することが望ましい。
【0096】
図13は、第3の実施形態に係る音波の周波数帯について説明するための図である。
図13の例では、18kHz~20kHzの周波数帯を4つの周波数帯(CH1、CH2、CH3、CH4)に分割している。
【0097】
例えば、
図12に示すように、画像形成装置1200に、本体110i、及びオプションユニット110j、110k、・・・が含まれる場合、設定により、各電子機器110が使用する周波数帯を予め決定しておくものであっても良い。設定の一例として、例えば、本体110iに周波数帯CH1、オプションユニット110jに周波数帯CH2、オプションユニット110kに周波数帯CH3を割り当てしても良い。
【0098】
また、
図11に示すように、複数の電子機器110a、110b、110c、・・・が設置されている場合、各電子機器110が、音波を出力する周波数帯を動的に決定しても良い。なお、
図12に示すように、画像形成装置1200に、本体110i、及びオプションユニット110j、110k、・・・が含まれる場合でも、各電子機器110が、音波を出力する周波数帯を動的に決定しても良い。
【0099】
<機能構成>
(電子機器の機能構成)
図14は、第3の実施形態に係る電子機器110の機能構成の例を示す図である。第3の実施形態に係る電子機器110は、例えば、
図5で説明した第1の実施形態に係る電子機器110の機能構成に加えて、周波数解析部1401を有している。
【0100】
周波数解析部1401は、例えば、
図3のCPU311で実行されるプログラムによって実現され、マイク352で取得した、電子機器110の周辺の音波をFFT解析して、複数の周波数帯(例えば、CH1~CH4)の音圧レベルを取得する。
【0101】
また、第3の実施形態に係る音波出力部513は、複数の周波数帯(例えば、CH1~CH4)のうち、他の周波数帯より音圧レベルが低い周波数帯で、音波IDを表す音波を出力する。
【0102】
なお、第3の実施形態に係る電子機器110の上記以外の機能構成は、基本的に、
図5で説明した第1の実施形態に係る電子機器110の機能構成と同様で良い。
【0103】
(携帯端末の機能構成)
第3の実施形態に係る携帯端末120の機能構成は、基本的に、
図5で説明した第1の実施形態に係る携帯端末120の機能構成と同様で良い。
【0104】
ただし、第3の実施形態では、音波解析部522は、予め定められた複数の周波数帯(例えば、CH1~CH4)で音波IDを取得する。また、音波解析部522は、複数の音波IDを取得した場合、音波IDを取得した複数の周波数帯のうち、他の周波数帯より音圧レベルが高い周波数帯で取得した音波IDを有効とし、他の音波IDを無効とする。
【0105】
<処理の流れ>
(電子機器の処理)
図15は、第3の実施形態に係る電子機器の処理の例を示すフローチャートである。なお、
図15に示す処理のうち、ステップS701~S702、S706~S707の処理は、
図7で説明した第1の実施形態に係る電子機器の処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0106】
ステップS1501において、音波出力部513は、電子機器110の状態に対応する音波IDを取得できた場合、処理をステップS1502に移行させる。一方、音波出力部513は、電子機器110の状態に対応する音波IDを取得できない場合、処理をステップS706に移行させる。
【0107】
ステップS1502に移行すると、音波出力部513は、周波数解析部1401を用いて、マイク352で取得した電子機器110の周辺の音波を周波数解析(FFT解析)し、複数の周波数帯(例えば、
図13のCH1~CH4)の音圧レベルを取得する。
【0108】
ステップS1503において、音波出力部513は、複数の周波数帯(例えば、CH1~CH4)のうち、音圧レベルが他の周波数帯より低い周波数帯で音波IDを表す音波データを取得、又は生成する。
【0109】
図16(A)は、周波数解析部1401による周波数解析結果1601の一例のイメージを示している。
図16(A)において、グラフの横軸は周波数を示し、縦軸は音圧レベルを示している。このように、周波数解析部1401による、電子機器110の周辺の音波の周波数解析結果1601より、音波出力部513は、複数の周波数帯(CH1~CH4)の音圧レベルを取得することができる。
図16(A)の例では、周波数帯CH1の音圧レベルが、他の周波数帯CH2~CH4の音圧レベルより低いので、音波出力部513は、周波数帯CH1で音波IDを表す音波データを、例えば、記憶部515に記憶した音波データ517から取得する。或いは、音波出力部513は、周波数帯CH1で音波IDを表す音波データを新たに生成しても良い。
【0110】
ステップS1504において、音波出力部513は、ステップS1503で取得(又は生成)した音波データを用いて、音波IDを表す音波を出力する。
【0111】
上記の処理により、電子機器110は、周辺に他の電子機器110がある場合、複数の周波数帯のうち、より音波状況が良好な周波数帯を利用して、音波IDを表す音波を出力することができる。
【0112】
(携帯端末の処理)
図17は、第3の実施形態に係る携帯端末の処理の例を示すフローチャートである。携帯端末120は、情報処理システム100に対応するアプリを実行すると、
図17に示す処理を繰り返し実行する。
【0113】
ステップS1701において、携帯端末120の音波取得部521は、携帯端末120の周辺の音波を取得し、音波解析部522は、取得した音波を解析して、予め定められた複数の周波数帯(例えば、
図13のCH1~CH4)で音波IDを取得する。
【0114】
ステップS1702において、音波解析部522は、音波IDを取得できたか否かを判断し、音波IDを取得できた場合、処理をステップS1703に移行させる。一方、音波IDを取得できない場合、音波解析部522は、
図17の処理を終了する。
【0115】
ステップS1703において、音波解析部522は、複数の音波IDを取得したか否かを判断する。複数の音波IDを取得した場合、音波解析部522は、処理をステップS1704に移行させる。一方、複数の音波IDを取得していない場合、音波解析部522は、処理をステップS1705に移行させて、取得した音波IDを有効とする。
【0116】
ステップS1704において、音波解析部522は、音波IDを取得した複数の周波数帯のうち、他の周波数帯より音圧レベルが高い周波数帯で取得した音波IDを有効とし、他の周波数帯で取得した音波IDを無効とする。
【0117】
図16(B)は、携帯端末120の音波解析部522による周波数解析結果1602の一例のイメージを示している。
図16(B)において、グラフの横軸は周波数を示し、縦軸は音圧レベルを示している。このように、音波解析部522による、携帯端末120の周辺の音波の周波数解析結果1602より、音波解析部522は、複数の周波数帯(CH1~CH4)の音圧レベルを取得することができる。
図16(B)の例では、周波数帯CH1の音圧レベルが、他の周波数帯CH2~CH4の音圧レベルより高いので、音波解析部522は、周波数帯CH1で取得した音波IDを有効とする。
【0118】
ステップS1706において、携帯端末120の操作手順出力部523は、有効な音波IDに対応する出力データを取得する。例えば、操作手順出力部523は、
図6(B)に示すような操作手順情報528から、有効な音波IDに対応する出力データを取得する。
【0119】
ステップS804において、操作手順出力部523は、取得した出力データを用いて、電子機器110の操作手順を示す情報を出力する。
【0120】
上記の各処理により、例えば、
図11に示すように、利用者101が利用する電子機器110aの周辺に、他の電子機器110b、110c、・・・がある場合でも、最も近くにある電子機器110aが出力した音波IDを選択的に取得することができる。
【0121】
なお、
図15、17に示す電子機器110の処理、及び携帯端末120の処理は一例であり、様々な変形、又は応用が可能である。例えば、電子機器110は、電子機器110の状態が正常である場合でも、電子機器110の状態が正常であることを示す音波IDを表す音波を出力しても良い。この場合、携帯端末120は、
図17のステップS1706において、音波IDが、電子機器110の状態が正常であることを示す場合、ステップS1706、S1707の処理を中止しても良い。また、第3の実施形態は、第2の実施形態と組み合わせて適用することができる。
【0122】
以上、本発明の各実施形態によれば、利用者101の携帯端末120が、電子機器110と無線通信で接続できるように設定されていない場合でも、利用者101の携帯端末120に、電子機器110の状態に対応する操作手順等を容易に出力できるようになる。
【0123】
<補足>
上記で説明した各実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0124】
また、
図5に示す電子機器110の機能構成のうち、少なくとも一部は、通信ネットワーク202を介して通信可能な外部サーバ201が備えていても良い。例えば、電子機器110の記憶部515に記憶された音波ID情報516、音波データ517、及びログ情報518等は、外部サーバ201が有していても良い。また、電子機器110の音波出力部513は、外部サーバ201等が提供するサービスを利用して、音波IDを表す音波データを作成しても良い。
【0125】
同様に、
図5に示す携帯端末120の機能構成のうち、少なくとも一部は、通信ネットワーク202を介して通信可能な外部サーバ201が備えていても良い。例えば、携帯端末120の記憶部527に記憶された操作手順情報528は、外部サーバ201が有していても良い。
【符号の説明】
【0126】
100 情報処理システム
101 利用者
110 電子機器
120 携帯端末
201 外部サーバ(サーバ装置)
202 通信ネットワーク
414 マイク
512 状態取得部
513 音波出力部
522 音波解析部
523 操作手順出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】