(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】画像形成装置及び搬送制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241210BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 301
B65H7/02
(21)【出願番号】P 2021076670
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020085249
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】林 智明
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-093241(JP,A)
【文献】特開2012-106404(JP,A)
【文献】特開2019-001153(JP,A)
【文献】特開2018-158573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0074854(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送機構と、
前記記録媒体に印刷を行う印刷部と、
前記搬送機構に設けられた原点検出部と、
撮像部により所定時間毎に撮像された前記記録媒体の撮像画像の相関に基づいて、前記記録媒体の移動量を算出すると共に、算出した各移動量を、順次、累積処理して累積移動量を算出する移動量算出部と、
前記原点検出部で検出される前記搬送機構の所定周期毎に、前記搬送機構の機械的構成から得られる所定周期分の前記記録媒体の基準移動量に、前記累積移動量を
補正する補正部と、
前記補正部で補正された前記累積移動量に基づいて、前記搬送機構を制御して、前記記録媒体を搬送制御すると共に、搬送制御される前記記録媒体に対して、前記印刷部を制御して印刷を行う制御部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記累積移動量の初期値と現在の累積移動量を、前記搬送機構の所定周期毎に比較する比較部と、
現在の累積移動量が、前記初期値以上であった場合に、前記搬送機構の熱膨張を検知する検知部を、さらに備えること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送機構の冷却部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記検知部で前記搬送機構の熱膨張が検出された場合に、前記冷却部の冷却強度を制御して前記搬送機構を冷却すること
を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検知部で前記搬送機構の熱膨張が検出された場合に、少なくとも前記搬送機構を停止制御すること
を特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷部は、前記記録媒体にインクを吐出して印刷を行い、
前記制御部は、前記検知部で検出された前記搬送機構の熱膨張量に応じて、前記印刷部から吐出されるインクの吐出量を制御すること
を特徴とする請求項2から請求項4のうち、いずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検知部で前記搬送機構の熱膨張が検出された際に、報知部を介して所定の報知制御を行うこと
を特徴とする請求項2から請求項5のうち、いずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
搬送機構により搬送される記録媒体を撮像部で所定時間毎に撮像する撮像ステップと、
移動量算出部が、撮像部により所定時間毎に撮像された前記記録媒体の撮像画像の相関に基づいて、前記記録媒体の移動量を算出すると共に、算出した各移動量を、順次、累積処理して累積移動量を算出する移動量算出ステップと、
前記搬送機構に設けられた原点検出部で検出される前記搬送機構の所定周期毎に、補正部が、前記搬送機構の機械的構成から得られる所定周期分の前記記録媒体の基準移動量に、前記累積移動量を
補正する補正ステップと、
制御部が、前記補正ステップで補正された前記累積移動量に基づいて、前記搬送機構を制御して、前記記録媒体の搬送制御を行う搬送制御ステップと、
を有する搬送制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び搬送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、ヘッド前の従動ローラに取り付けられたエンコーダで検出した、ロール状の記録媒体(ウェブ又は巻取紙)の移動量に応じて、インク滴の吐出タイミングを補正し、印刷品質の低下を防止する技術が知られている。
【0003】
また、特許文献1(特開2003-266828号公報)には、用紙の種類及び状態に関わらず、常に高精度の用紙搬送を可能とした画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、用紙搬送路に設けられたモーションセンサが、用紙の搬送と共に回転するアイドルローラの外周面に、半導体レーザからのレーザ光を照射する。モーションセンサは、レーザ光の反射光を2次元半導体イメージセンサで受光する。そして、用紙位置検出部は、反射光により得られたスペックルパターンに基づいて、用紙の位置を検出する。これにより、正確に用紙の位置を検出でき、高精度の用紙搬送を可能とすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術を含め、ウェブの従来の移動量検出手法は、従動ローラが熱膨張して径が変化した場合、又は、従動ローラに偏芯が生じている場合等に、正しいウェブ移動量の検出が困難となり、印刷品質が低下する問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、記録媒体の移動量を高精度に検出して、印刷品質の向上を図ることができるような画像形成装置及び搬送制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記録媒体の搬送機構と、記録媒体に印刷を行う印刷部と、搬送機構に設けられた原点検出部と、撮像部により所定時間毎に撮像された記録媒体の撮像画像の相関に基づいて、記録媒体の移動量を算出すると共に、算出した各移動量を、順次、累積処理して累積移動量を算出する移動量算出部と、原点検出部で検出される搬送機構の所定周期毎に、搬送機構の機械的構成から得られる所定周期分の記録媒体の基準移動量に、累積移動量を補正する補正部と、補正部で補正された累積移動量に基づいて、搬送機構を制御して、記録媒体を搬送制御すると共に、搬送制御される記録媒体に対して、印刷部を制御して印刷を行う制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録媒体の移動量を高精度に検出して、印刷品質の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態の画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態の画像形成装置の要部の構成を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態の画像形成装置に設けられているセンサデバイスのブロック図である。
【
図4】
図4は、センサデバイスの外観を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態の画像形成装置の要部のブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の画像形成装置に設けられている計算部の機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、ピーク位置探索部におけるピーク値の探索手法を説明するための図である。
【
図8】
図8は、相互相関関数の相関強度分布を示す図である。
【
図9】
図9は、実際のウェブの搬送位置及びエンコーダ信号に基づいて算出したウェブの搬送位置をそれぞれ示す図である。
【
図10】
図10は、ウェブに対するインクの着弾位置のズレ量を示す図である。
【
図11】
図11は、累積移動量の算出動作を説明するための図である。
【
図12】
図12は、累積移動量の補正動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施の形態の画像形成装置の説明をする。
【0010】
(全体構成)
図1は、ロール状の記録媒体(ウェブ又は巻取紙)に対して、インク滴を吐出して画像を形成する、実施の形態の画像形成装置の外観を示す斜視図である。この
図1において、画像形成装置110は、ローラ130等により、ウェブ120の張力の調整等を行い、搬送方向10にウェブ120を搬送する。そして、画像形成装置110は、搬送されるウェブ120に対して、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のそれぞれのインクを吐出して所望の画像を形成する。なお、以下、搬送方向10に直交する方向を「直交方向20」とする。
【0011】
(要部の構成)
図2は、画像形成装置110の要部の構成を概略的に示す図である。この
図2に示すように、画像形成装置110は、4色のそれぞれのインクを吐出するため、4つの液体吐出ヘッドユニットを有する。各液体吐出ヘッドユニットは、搬送方向10に搬送されるウェブ120に対して、各色のそれぞれの液体を吐出する。ウェブ120は、2対のニップローラ(nip roller)及び搬送ローラ230(搬送機構の一例)等で搬送される。以下、この2対のニップローラのうち、各液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるニップローラを「第1ニップローラNR1」という。一方で、第1ニップローラNR1及び各液体吐出ヘッドユニットより下流側に設置されるニップローラを「第2ニップローラNR2」という。
【0012】
また、画像形成装置110は、エンコーダENC(原点検出部の一例)を有する。エンコーダENCは、回転板と回転板の表面情報を読み取る回転検知センサを備えたデバイスである。エンコーダENCの回転板は、搬送ローラ230の回転軸に設置される。そして、搬送ローラ230が回転すると、回転板が回転し、回転検知センサが回転量に応じたパルスであるエンコーダパルスENPを出力する。
【0013】
後述するが、実施の形態の画像形成装置110は、エンコーダパルスENPに基づいて、搬送ローラ230が例えば1周する毎に(又は所定周毎に)、算出したウェブ移動量を補正する。
【0014】
各液体吐出ヘッドユニット(印刷部の一例)は、上流側から下流側に向かって、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の順に設置されるとする。すなわち、最も上流側には、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kが設けられている。また、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの次に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cが設けられている。また、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの次に、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mが設けられている。また、最も下流側には、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yが設けられている。
【0015】
各液体吐出ヘッドユニットは、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所に、各色のインクをそれぞれ吐出する。ウェブ120に対して吐出されたインクの着弾位置は、液体吐出ヘッドユニットの吐出位置の略直下となる。
【0016】
この例では、ブラックのインクは、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kのブラック着弾位置PKに吐出され、シアンのインクは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cのシアン着弾位置PCに吐出される。同様に、マゼンタのインクは、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mのマゼンタ着弾位置PMに吐出され、イエローのインクは、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yのイエロー着弾位置PYに吐出される。
【0017】
各液体吐出ヘッドユニットにおけるインクの吐出タイミングの制御、及び、各液体吐出ヘッドユニットに設けられたアクチュエータACTの制御は、各液体吐出ヘッドユニットに接続される制御部110F30が行う。
【0018】
また、液体吐出ヘッドユニットには、それぞれ複数の従動ローラが設けられている。複数の従動ローラは、各液体吐出ヘッドユニットを挟んで、上流側及び下流側にそれぞれ設けられる。すなわち、ウェブ120の搬送経路において、液体吐出ヘッドユニット毎に、各着弾位置の上流側にウェブ120を支持する第1ローラがそれぞれ設けられ、また、各着弾位置から下流側にウェブ120を支持する第2ローラがそれぞれ設けられる。
【0019】
すなわち、ブラック着弾位置PKのウェブ120の搬送方向上流側にブラック用第1ローラCR1Kが設けられる。これに対して、ブラック着弾位置PKからウェブの搬送方向下流側にブラック用第2ローラCR2Kが設けられる。
【0020】
同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cがそれぞれ設けられる。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mがそれぞれ設けられる。また、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yがそれぞれ設けられる。
【0021】
(センサデバイスの構成)
次に、画像形成装置110は、
図2に示すように、搬送ローラ230とブラック用第1ローラCR1Kとの間に、センサデバイスSENが設けられている。
図3は、センサデバイスSENのブロック図である。この
図3に示すように、センサデバイスSENは、光源LG、撮像部OS、制御回路52、記憶装置53及び制御部110F30を有する。光源LGとしては、赤外線光を発光する光源、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro Luminescence)等を用いることができる。
【0022】
撮像部OSとしては、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等を用いることができる。また、撮像部OSとしては、グローバルシャッタを備えることが好ましい。グローバルシャッタの場合、ローリングシャッタ等と比較して、移動速度が速い被写体に対して、シャッタを切るタイミングのズレによって発生する、いわゆる画像ズレを抑制できる。
【0023】
制御回路52は、センサデバイスSEN内部の撮像部OS、光源LG等を制御する。具体的には、制御回路52は、例えば、トリガ信号を撮像部OSに対して出力して、撮像部OSがシャッタを切るタイミングを制御する。また、制御回路52は、撮像部OSから、2次元画像を取得できるように制御する。そして、制御回路52は、撮像部OSにより撮像された時刻毎の画像情報を記憶部53供給する。記憶部53は、制御回路52等から供給された時刻毎の画像情報をそれぞれ記憶する。
【0024】
制御部110F30は、記憶部53に記憶された時刻毎の画像情報の画像間の相関に基づいて、ウェブ120の移動量を算出して累積処理する。これにより、ウェブ120の移動量を精度よく認識できる。詳しくは、後述する。
【0025】
図4は、センサデバイスSENの外観を示す図である。この
図4に示すように、センサデバイスSENは、光源LGから検出用の光をウェブ120に照射する。具体的には、センサデバイスSENは、まず、半導体レーザ若しくはLED(発光ダイオード)等の光源(LG)及びコリメート光学系等の光学系を有する。また、センサデバイスSENは、撮像パターン等が写る画像を撮像するため、撮像部OSの一例であるCMOSイメージセンサと、CMOSイメージセンサに撮像パターンを集光結像するためのテレセントリック撮像光学系(TO)とを有する。
【0026】
(要部の詳細な構成)
図5は、画像形成装置110の要部のブロック図である。この
図5に示すように、画像形成装置110のセンサデバイスSENは、上述の光源LGを備えた撮像部OS、制御回路52及び記録部53を有する。撮像部OSは、搬送方向10に搬送されるウェブ120を撮像する。
【0027】
制御回路52は、シャッタ制御部141A及び画像取込部142Aを有する。画像取込部142Aは、撮像部OSで時刻毎に撮像される画像の画像情報を取得する。シャッタ制御部141Aは、時刻毎の画像を撮像するように、撮像部OSの撮像タイミングを制御する。記録部53は、画像取込部142Aが撮像部OSから取得した時刻毎の画像情報を記憶する。
【0028】
また、
図5に示すように、画像形成装置110は、計算部53F、計測部110F20、調整部110F40、冷却部250及び報知部251を有する。
【0029】
計算部53Fは、記憶部53に記憶された各時刻の画像の画像情報に基づいて、ウェブ120が有するパターンの位置、ウェブ120が搬送される移動速度及びウェブ120が搬送される移動量を算出する。計算部53Fで算出された移動量等の出力は、調整部110F40及び制御部110F30に供給される。調整部110F40は、計算部53Fで算出された移動量等の出力に基づいて、シャッタ制御部141Aを介して撮像部OSのシャッタ制御を行う。
【0030】
制御部110F30(制御部の一例)は、計算部53Fで算出されたウェブ120の移動量に基づいて、搬送ローラ230の熱膨張を検出し、所定以上の熱膨張が発生している場合に、冷却部250を介して搬送ローラ230を冷却処理する。また、制御部110F30は、所定以上の熱膨張が発生している場合、画像形成装置110を停止制御する(システム停止)。さらに、制御部110F30は、所定以上の熱膨張が発生している場合、報知部251を介して、所定のエラーメッセージの表示又は(及び)警告音の発音制御等の所定の報知制御を行う。
【0031】
計測部110F20は、
図2に示す搬送ローラ230に取り付けられたエンコーダENCの出力するエンコーダパルスENPをカウントすることで、搬送ローラ230が1回転する毎に(又は複数回転毎でもよい)、タイミングパルスを計算部53Fに供給する。上述のように、計算部53Fは、時刻毎の画像の相関に基づいてウェブ120の移動量を算出して累積処理するが、この累積処理を継続すると、画像取得周期間のウェブの実挙動との差分が大きくなるおそれがある。このため、計算部53Fは、搬送ローラ230が例えば1周する毎に、画像取得周期間のウェブの実挙動との差分をリセットする。これにより、ウェブ120の移動量の累積処理による誤差の累積を防止できる。
【0032】
(撮像パターン)
ウェブ120は、表面又は内部に散乱性を有する部材である。このため、ウェブ120にレーザ光を照射すると、反射光が拡散反射する。この拡散反射により、ウェブ120に、斑点のパターン(撮像パターン)が形成される。
【0033】
ウェブ120が搬送されると、ウェブ120の撮像パターンも一緒に搬送される。このため、計算部53Fは、異なる時間にそれぞれ撮像された同一の撮像パターンの撮像画像に基づいて、ウェブ120の移動量を算出する。また、計算部53Fは、この移動量を単位時間あたりに換算することで、ウェブ120の移動速度を算出する。
【0034】
(計算部の機能ブロック構成)
図6は、計算部53Fの機能ブロック図である。この
図6に示すように、計算部53Fは、センサデバイスSENによって所定の時刻毎に取得される画像データD1(n)及びD2(n)に対して、相互相関演算を行う。以下、相互相関演算によって生成される画像を「相関画像」という。計算部53Fは、相関画像に基づいて、ずれ量ΔD(n)を計算する。
【0035】
相互相関演算は、以下の(1)式に基づいて算出される。以下の(1)式において、画像データD1(n)は、所定の時刻毎に連続して撮像された2つの画像データのうち、先の時刻に撮像された撮像データである。また、以下の(1)式において、画像データD2(n)は、所定の時刻毎に連続して撮像された2つの画像データのうち、後の時刻に撮像された撮像データである。また、(1)式において、「F[]」はフーリエ変換を示し、「F-1[]」は逆フーリエ変換を示す。また、(1)式において、「*」は複素共役を示し、「★」は相互相関演算を示す。
【0036】
D1★D2*=F-1[F[D1]・F[D2]*]・・・(1)
【0037】
この(1)式に示すように、画像データD1及びD2に対して、相互相関演算「D1★D2」を行うと、各画像の相関を示す相関画像データを得ることができる。なお、画像データD1及び画像データD2が2次元画像データであると、相関画像データは、2次元画像データとなる。これに対して、画像データD1及びD2が1次元画像データであると、相関画像データは、1次元画像データとなる。
【0038】
このような相関画像データにおいて、例えば各領域で、あまり差が無い輝度分布(ブロードな輝度分布)が問題となる場合には、以下の(2)式に示す位相限定相関法を用いてもよい。なお、(2)式において、「P[]」は、複素振幅において位相のみを取り出すことを示す。また、振幅は、すべて「1」とする。
【0039】
D1★D2*=F-1[P[F[D1]]・P[F[D2]*]]・・・(2)
【0040】
このような位相限定相関法を用いることで、ブロードな輝度分布であっても、相関画像に基づく、ずれ量ΔD(n)の計算を容易化できる。
【0041】
相関画像は、画像データD1及び画像データD2の相関関係を示す。具体的には、画像データD1及び画像データD2の一致度が高いほど、相関画像の中心に近い位置には、急峻なピーク、いわゆる相関ピークとなる輝度が出力される。そして、画像データD1及び画像データD2が一致すると、相関画像の中心及びピークの位置は、重なる。
【0042】
(相関演算例)
相関演算の詳細内容を説明する。
【0043】
図6に示すように、計算部53Fは、第1の2次元フーリエ変換部FT1、第2の2次元フーリエ変換部FT2、相関画像データ生成部DMK、ピーク位置探索部SR、演算部CAL及び変換結果記憶部MEMを有する。演算部CALは、移動量算出部、補正部、比較部及び検知部の一例である。
【0044】
第1の2次元フーリエ変換部FT1は、第1画像データD1を変換する。具体的には、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bを有する構成である。
【0045】
直交方向用のフーリエ変換部FT1aは、直交方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bは、直交方向用のフーリエ変換部FT1aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。このようにして変換された変換結果を、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
【0046】
同様に、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、第2画像データD2を変換する。具体的には、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、直交方向用のフーリエ変換部FT2a、搬送方向用のフーリエ変換部FT2b及び複素共役部FT2cを有する構成である。
【0047】
直交方向用のフーリエ変換部FT2aは、直交方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bは、直交方向用のフーリエ変換部FT2aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。
【0048】
次に、複素共役部FT2cは、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bによる変換結果の複素共役を計算する。そして、複素共役部FT2cが計算した複素共役を、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
【0049】
続いて、相関画像データ生成部DMKは、第1の2次元フーリエ変換部FT1から出力される第1画像データD1の変換結果と、第2の2次元フーリエ変換部FT2から出力される第2画像データD2の変換結果とに基づいて、相関画像データを生成する。
【0050】
相関画像データ生成部DMKは、積算部DMKa及び2次元逆フーリエ変換部DMKbを有する構成である。
【0051】
積算部DMKaは、第1画像データD1の変換結果と、第2画像データD2の変換結果とを積算処理し、この積算出力を2次元逆フーリエ変換部DMKbに供給する。2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaによる積算結果を2次元逆フーリエ変換する。このように、2次元逆フーリエ変換が行われると、相関画像データが生成される。
【0052】
積算部DMKaは、第1画像データD1の変換結果及び第2画像データD2の変換結果の積算処理に続いて、第2画像データD2の変換結果及び第3画像データD3の変換結果、第3画像データD3の変換結果及び第4画像データD4の変換結果・・・・を、順次、積算処理する。2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaから供給される積算結果を、順次、2次元逆フーリエ変換処理して相関画像データを生成し、ピーク位置探索部SRに供給する。
【0053】
一例ではあるが、相関画像データとしては、マトリクス状の輝度値を用いることができる。ピーク位置探索部SRは、このような相関画像データにおいて、最も急峻に立ち上がるピーク輝度(ピーク値)を探索する。
【0054】
図7は、ピーク位置探索部SRにおけるピーク値の探索手法を説明するための図である。この
図7は、横軸が、相関画像データが示す画像における搬送方向の位置を示し、縦軸が、相関画像データが示す画像の輝度を示す。
【0055】
以下、相関画像データが示す輝度のうち、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3の3つのデータを例に説明する。つまり、この例では、ピーク位置探索部SRは、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3を繋ぐ曲線kにおけるピーク位置Pを探索する。
【0056】
まず、ピーク位置探索部SRは、相関画像データが示す画像の輝度の各差分を計算する。そして、ピーク位置探索部SRは、計算した差分のうち、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせを抽出する。
【0057】
次に、ピーク位置探索部SRは、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせに隣接する組み合わせを抽出する。これにより、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3のように、3つのデータを抽出できる。ピーク位置探索部SRは、抽出した3つのデータを繋いで曲線kを算出し、ピーク位置Pを探索する。
【0058】
これにより、サブピクセル処理等の演算量を少なくでき、より高速にピーク位置Pを探索できる。なお、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせの位置が、最も急峻な位置となる。
【0059】
また、相関画像データとして用いられる輝度は、エリアセンサの画素ピッチ間隔(画素サイズ間隔)で並ぶ。このため、ピーク値の探索は、いわゆるサブピクセル処理後に行うことが好ましい。サブピクセル処理を行うことで、ピーク位置を精度良く探索できる。そして、精度の良い、位置、移動量及び移動速度等の算出が可能となる。
【0060】
次に、
図8は、相互相関関数の相関強度分布を示す図である。この
図8のX軸及びY軸は、画素の通し番号を示す。この
図8に「相関ピーク」として例示するピーク値が、ピーク位置探索部SRによって探索される。
【0061】
次に、
図6に示す演算部CALは、ウェブ120の相対位置、移動量又は移動速度等を演算する。例えば、演算部CALは、所定の時間毎に撮像された画像データに対応する各相関画像データの各ピーク値の位置の差を計算して、相対位置及び移動量を算出すると共に、算出した移動量を、所定分、累積処理する。また、演算部CALは、移動量を時間で除算処理することで、移動速度を算出する。演算部CALは、このように算出した相対位置、移動量、及び、移動速度の各情報を、
図5に示す調整部110F40及び制御部110F30に供給する。
【0062】
ここで、各液体吐出ヘッドユニット210の下側には、一対の第1ローラCR1及び第2ローラCR2が設けられ、各液体吐出ヘッドユニット210の直下におけるウェブ120のばたつきを抑制している。また、各液体吐出ヘッドユニット210の上流側に設けられた搬送ローラ230の回転軸にはエンコーダENCが設けられている。ウェブ120を搬送するために搬送ローラ230が回転すると、エンコーダENCからエンコーダ信号が出力される。
図5に示す制御部110F30は、このエンコーダ信号に基づいて、各液体吐出ヘッドユニット210のインクの吐出タイミングを制御する。
【0063】
通常、各液体吐出ヘッドユニット210は、エンコーダENCが設けられた搬送ローラ230の周長の整数倍の位置に設けられており、搬送ローラ230の回転周期に同期した搬送ローラ偏心によるズレをキャンセル可能となっている。また、液体吐出ヘッドユニット210のメカニカルな位置ズレに対しても、印刷開始前に実施するテストプリントの結果からインクの吐出タイミングを補正して、キャンセルするのが通常である。
【0064】
しかし、インクを吐出する液体吐出ヘッドユニット210の直下のウェブ120の位置と、エンコーダ信号から算出された位置には、搬送ローラ230の熱膨張、ウェブ120及び搬送ローラ230間の滑り、ウェブ120自体の伸び等の要因により、ズレが生ずるのが普通である。
図9の点線のグラフは、実際のウェブ120の搬送位置、実線のグラフは、エンコーダ信号に基づいて算出したウェブ120の搬送位置を示している。この点線のグラフ及び実線のグラフを見比べて分かるように、エンコーダ信号に基づいて各液体吐出ヘッドユニット210を吐出制御すると、ウェブ120上の着弾を希望する位置からズレた位置(δ)にインクが着弾する不都合を生ずる。
【0065】
図10に示す実線のグラフは、エンコーダENCが配置された搬送ローラ230の偏心が生じている場合におけるインクの着弾位置のズレ量を示している。また、点線のグラフは、搬送ローラ230の偏心及び熱膨張が生じている場合におけるインクの着弾位置のズレ量を示している。また、一点鎖線のグラフは、搬送ローラ230の偏心及びウェブ120と搬送ローラ230の間に滑りが生じている場合におけるインクの着弾位置のズレ量を示している。
【0066】
通常、搬送ローラ230の偏心によるズレ(
図10:点線のグラフ)は、搬送ローラ230の回転周期と同期した周期を有し、毎回同じようにズレが発生する。また、ズレ量は偏心量に比例して大きくなるが累積はしない。
【0067】
一方、搬送ローラ230の線膨張及びウェブ120と搬送ローラ230間の滑りは、累積すると共に、印刷毎に状態が異なる。このため、搬送ローラ230に設けられたエンコーダENCからのエンコード信号では、インクの着弾位置のズレ量を補正することは、大変困難である。
【0068】
この他、ウェブ120の蛇行を抑制するためにテンションを掛けることで生じるウェブ120の伸びも、ウェブ厚み、ウェブ幅、インク塗布量により状態が異なり、印刷毎に状態が異なるズレである。このため、このようなズレも補正が困難である。
【0069】
(累積した移動量による各部のタイミング制御)
このようなことから、実施の形態の画像形成装置110の場合、
図6に示す計算部53Fの演算部CALが、
図11に示すように、上述の所定の時刻毎に撮像した画像に基づく相関演算で算出した各画像間の移動量を、順次、累積処理する。具体的には、撮像部OSにより撮像された撮像画像と、撮像部OSにより撮像された1つ前の撮像画像との間の移動量を画像相関演算によって算出し、算出した各移動量を、以下のように累積演算する。
【0070】
移動量=(L1+L2+L3+L4+L5+・・・+Ln)
【0071】
このように累積演算により算出された移動量を、上述のエンコーダ信号の代わりに用いることで、ウェブ120の移動量を精度よく認識することができ、各部を正確にタイミング制御することができる。すなわち、累積演算により算出された移動量は、調整部110F40及び制御部110F30に供給される。
【0072】
調整部110F40は、ウェブ120の移動量に基づいて、シャッタ制御部141Aを介して、撮像部OSのシャッタ制御を行う。これにより、ウェブ120の正確な移動量に基づいて、最適なタイミングで撮像部OSのシャッタ制御を行うことができるため、ウェブ120の正確な移動位置で、ウェブ120の撮像を行うことができる。
【0073】
また、制御部110F30は、ウェブ120の移動量に基づいて、移動部110F80を介して、各液体吐出ヘッドユニット210を吐出制御する。これにより、ウェブ120上の目的とする位置に対して、インクを正確に着弾させることができ、印刷精度を向上させることができる。
【0074】
(搬送ローラの熱膨張の検出動作)
次に、実施の形態の画像形成装置110の計測部110F20は、搬送ローラ230のエンコーダENCからのエンコード信号に基づいて、搬送ローラ230が1周する毎に、1発のエンコードパルスを計算部53Fに供給する。
【0075】
計算部53Fの演算部CALは、調整時に基準となる用紙にて累積演算されたローラ1周当たりの用紙移動量(初期移動量)を記憶しており、計測部110F20が供給される毎に、その時に累積演算された移動量から求められる1周当たりの用紙移動量と初期移動量との差分を検出する。すなわち、演算部CALは、搬送ローラ230が1周する毎(複数周する毎でもよい)に、現在の累積移動量から求められる1周当たりの用紙移動量と、初期移動量との差分を検出して、制御部110F30に供給する。
【0076】
制御部110F30は、現在の累積移動量と、初期移動量との差分が、所定以上であった場合に、搬送ローラ230に対して熱膨張が発生しているものと判別する。
【0077】
(搬送ローラの熱膨張に応じた吐出動作)
制御部110F30は、搬送ローラ230に対して熱膨張が発生しているものと判別した場合、熱膨張の度合いに応じたインクの吐出量となるように、各液体吐出ヘッドユニット210の吐出量を制御する。これにより、適正なインク量での印刷を可能とすることができ、印刷精度を向上させることができる。
【0078】
(熱膨張の報知動作)
制御部110F30は、搬送ローラ230に対する熱膨張の発生を検出すると、
図5に示す報知部251を介して、熱膨張の発生を報知するための報知制御を行う。例えば、報知部251がモニタ装置の場合、制御部110F30は、モニタ装置に対して「搬送ローラが高温になっています」等のエラーメッセージを表示制御する。また、報知部251がスピーカ部の場合、制御部110F30は、音響メッセージ又は電子音等の音響出力で、搬送ローラ230に熱膨張が発生していることをユーザに報知する。この報知動作により、ユーザは、搬送ローラ230が熱膨張前の状態に戻るまで、例えば画像形成装置110を一旦停止させる等の措置をとることができる。
【0079】
なお、モニタ装置に対する表示制御と、スピーカ部を介した音響出力制御は、併用してもよい。また、制御部110F30は、ネットワークを介して管理者等に搬送ローラ230が熱膨張を通知してもよい。
【0080】
(搬送ローラの冷却動作)
また、制御部110F30は、搬送ローラ230に対する熱膨張の発生を検出すると、
図5に示す搬送ローラ230を冷却している冷却部250の冷却強度を、所定分、強めるように冷却部250を制御する。これにより、搬送ローラ230を冷却することができ、搬送ローラ230を熱膨張前の状態に戻すことができる。
【0081】
(システムの停止制御)
また、制御部110F30は、搬送ローラ230に対する熱膨張の発生を検出すると、例えば電源部を停止制御し、又は、電源制御部を介して搬送ローラ230等を停止制御する。なお、搬送ローラ230のみ停止制御してもよい。これにより、搬送ローラ230の熱膨張の進行を停止させることができ、搬送ローラ230を熱膨張前の状態に戻すことができる。
【0082】
(累積移動量の補正動作)
次に、実施の形態の画像形成装置110の場合、所定の時刻毎に撮像した撮像画像の相対的な移動量のみ検出するため、検知周期以下の用紙挙動、スリップ、速度変動等が発生した場合、実搬送量との間の誤差が発生することが考えられる。上述の累積演算により、このような誤差が累積されると、画像取得周期間のウェブ120の実挙動との差分が大きくなるおそれがある。
【0083】
このため、計算部53Fの演算部CALは、搬送ローラ230が1周する毎に計測部110F20から供給されるエンコードパルスにより、累積移動量を補正する。すなわち、搬送ローラ230の1周分に対するウェブ120の移動量は、搬送ローラ230の径で求められる移動量である。このため、演算部CALは、エンコードパルスをトリガとして、累積移動量を、搬送ローラ230の径で求めた移動量に一致させる補正処理を行う。
【0084】
図12は、このような補正処理を示しており、実線が累積移動量のグラフであり、点線が搬送ローラ230の径で求めた移動量である。この
図12に示すように、演算部CALは、エンコードパルス(出力パルス信号)が供給されたタイミングで、実線の累積移動量を、搬送ローラ230の径で求めた点線の移動量に一致させる。これにより、搬送ローラ230が1周する毎に、誤差分をキャンセルできるため、より精度良く、ウェブ120の移動量を算出することができる。
【0085】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の画像形成装置110は、所定の時刻毎に撮像したウェブ120の撮像画像の相関演算を行うことで算出した移動量を所定分累積して累積移動量を算出する。この累積移動量を、ウェブ120の搬送ローラ230が1周(又は複数周でもよい)する毎に、ウェブ120の搬送ローラ230の径から算出された移動量に一致させる補正動作を行う。これにより、累積移動量に発生している誤差をキャンセルでき、より精度のよいウェブ120の移動量に基づいて、各部を制御することができる。
【0086】
(変形例)
上述の実施の形態の説明では、搬送ローラ230の1周毎のエンコードパルス(出力パルス信号)で、
図12に示した「実際のウェブ移動量」を求めて補正目標値(
図12の点線)を決定することとした。
【0087】
しかし、搬送ローラ230が1周するタイミングで、画像センサで検知したウェブ移動量の累積値を求め、その複数回転分(例えば10回転分)の平均値をとり、補正目標値としてもよい。これにより、スリップを含んだ実際のウェブ移動量を補正目標値とすることができ、より精度のよいウェブ120の移動量に基づいて、各部を制御することができる。
【0088】
最後に、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態及び各実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
110 液体を吐出する装置
120 ウェブ
210K ブラック液体吐出ヘッドユニット
210C シアン液体吐出ヘッドユニット
210M マゼンタ液体吐出ヘッドユニット
210Y イエロー液体吐出ヘッドユニット
SENK ブラック用センサデバイス
SENC シアン用センサデバイス
SENM マゼンタ用センサデバイス
SENY イエロー用センサデバイス
520 コントローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】