(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび光学機器
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20241210BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20241210BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
G02B15/20
G03B5/00 J
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2022205805
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2021151608の分割
【原出願日】2016-12-09
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2015240654
(32)【優先日】2015-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】真杉 三郎
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-057801(JP,A)
【文献】特開2015-102587(JP,A)
【文献】特開2014-010425(JP,A)
【文献】特開2010-175899(JP,A)
【文献】特開2014-247758(JP,A)
【文献】特開2013-190534(JP,A)
【文献】特開2015-099174(JP,A)
【文献】特開2015-145914(JP,A)
【文献】特開2011-075975(JP,A)
【文献】米国特許第08982475(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G03B 5/00 - 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群との実質的に5個のレンズ群からなり、
広角端状態から望遠端状態への変倍時に、隣り合う各レンズ群の間隔が変化し、
広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第1レンズ群は物体側に移動し、
前記第1レンズ群は光軸に沿って物体側から順に並んだ、負レンズ及び正レンズの接合レンズを有し、
前記第3レンズ群は正の単レンズを少なくとも2枚有し、物体側から順に並んだ、負レンズ及び正レンズの接合レンズを有し、最も物体側に正の単レンズを配置し、
前記第4レンズ群は負の単レンズを有し、
前記第5レンズ群は
正の単レンズを有し、
下記の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
2.90<|MV5/MV2|<11.50
0.10<(β2t×β4w)/(β2w×β4t)<2.40
但し、MV5:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第5レンズ群の移動する量(なお、前記第5レンズ群の移動する量とは、広角端状態での前記第5レンズ群の位置と望遠端状態での前記第5レンズ群の位置との間の距離に相当する)
MV2:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第2レンズ群の移動する量(なお、前記第2レンズ群の移動する量とは、広角端状態での前記第2レンズ群の位置と望遠端状態での前記第2レンズ群の位置との間の距離に相当する)
β2t:前記第2レンズ群の望遠端状態における倍率
β2w:前記第2レンズ群の広角端状態における倍率
β4t:前記第4レンズ群の望遠端状態における倍率
β4w:前記第4レンズ群の広角端状態における倍率
【請求項2】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群との実質的に5個のレンズ群からなり、
広角端状態から望遠端状態への変倍時に、隣り合う各レンズ群の間隔が変化し、
広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第1レンズ群は物体側に移動し、
広角端状態から望遠端状態への変倍時に、望遠端状態における前記第2レンズ群の位置は、広角端状態における前記第2レンズ群の位置よりも像面側であり、
望遠端状態における前記第5レンズ群の位置は、広角端状態における前記第5レンズ群の位置よりも像面側であり、
前記第1レンズ群は光軸に沿って物体側から順に並んだ、負レンズ及び正レンズの接合レンズを有し、
前記第3レンズ群は正の単レンズを少なくとも2枚有し、最も物体側に正の単レンズを配置し、
前記第5レンズ群は正の単レンズを有し、
下記の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
3.78≦|MV5/MV2|≦7.94
但し、MV5:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第5レンズ群の移動する量(なお、前記第5レンズ群の移動する量とは、広角端状態での前記第5レンズ群の位置と望遠端状態での前記第5レンズ群の位置との間の距離に相当する)
MV2:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第2レンズ群の移動する量(なお、前記第2レンズ群の移動する量とは、広角端状態での前記第2レンズ群の位置と望遠端状態での前記第2レンズ群の位置との間の距離に相当する)
【請求項3】
下記の条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
6.00<|MV4/MV2|<15.00
但し、MV4:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第4レンズ群の移動する量(なお、前記第4レンズ群の移動する量とは、広角端状態での前記第4レンズ群の位置と望遠端状態での前記第4レンズ群の位置との間の距離に相当する)
MV2:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第2レンズ群の移動する量(なお、前記第2レンズ群の移動する量とは、広角端状態での前記第2レンズ群の位置と望遠端状態での前記第2レンズ群の位置との間の距離に相当する)
【請求項4】
前記第3レンズ群は光軸に沿って物体側から順に並んだ、負レンズ及び正レンズの接合レンズを有することを特徴とする請求項2に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記第2レンズ群は正の単レンズを有することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記第4レンズ群は負の単レンズを有することを特徴とする請求項
2~5のいずれかに記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第5レンズ群は広角端状態から望遠端状態への変倍時に像側に移動することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のズームレンズ。
【請求項8】
下記の条件式を満足することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のズームレンズ。
1.50<TLt/ft<5.00
但し、TLt:望遠端状態におけるズームレンズの全長
ft:望遠端状態におけるズームレンズ全体の焦点距離
【請求項9】
下記の条件式を満足することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のズームレンズ。
1.20<β2t/β2w<2.50
但し、β2t:前記第2レンズ群の望遠端状態における倍率
β2w:前記第2レンズ群の広角端状態における倍率
【請求項10】
下記の条件式を満足することを特徴とする請求項
2~9のいずれかに記載のズームレンズ。
0.10<(β2t×β4w)/(β2w×β4t)<2.40
但し、β2t:前記第2レンズ群の望遠端状態における倍率
β2w:前記第2レンズ群の広角端状態における倍率
β4t:前記第4レンズ群の望遠端状態における倍率
β4w:前記第4レンズ群の広角端状態における倍率
【請求項11】
下記の条件式を満足することを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のズームレンズ。
5.0<ωt<25.0
但し、ωt:望遠端状態におけるズームレンズ全体の半画角(単位:度)
【請求項12】
下記の条件式を満足することを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載のズームレンズ。
28.0<ωw<65.0
但し、ωt:広角端状態におけるズームレンズ全体の半画角(単位:度)
【請求項13】
前記第4レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズとすることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載のズームレンズ。
【請求項14】
前記第3レンズ群の少なくとも一部が光軸と垂直方向の変位成分を有することを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載のズームレンズ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のズームレンズを搭載して構成される光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズおよびこれを用いた光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ズーム比が4倍程度の広角ズームレンズとして、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群から構成され、各レンズ群を移動させて変倍を行うズームレンズが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1で提案されているズームレンズは、第1~第4レンズ群を変倍中に可動させることで、4倍程度の変倍比で、F値が2.8~6程度の口径比を達成しているが、更なる大口径化と高変倍化が求められている。特に、固体撮像素子等を用いたビデオカメラ、電子スチルカメラ等に好適な高変倍比のズームレンズが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群との実質的に5個のレンズ群からなり、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、隣り合う各レンズ群の間隔が変化し、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第1レンズ群は物体側に移動し、前記第1レンズ群は光軸に沿って物体側から順に並んだ、負レンズ及び正レンズの接合レンズを有し、前記第3レンズ群は正の単レンズを少なくとも2枚有し、物体側から順に並んだ、負レンズ及び正レンズの接合レンズを有し、最も物体側に正の単レンズを配置し、前記第4レンズ群は負の単レンズを有し、前記第5レンズ群は正の単レンズを有し、下記の条件式を満足する。
【0005】
2.90<|MV5/MV2|<11.50
0.10<(β2t×β4w)/(β2w×β4t)<2.40
但し、MV5:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第5レンズ群の移動する量(なお、前記第5レンズ群の移動する量とは、広角端状態での前記第5レンズ群の位置と望遠端状態での前記第5レンズ群の位置との間の距離に相当する)
MV2:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第2レンズ群の移動する量(なお、前記第2レンズ群の移動する量とは、広角端状態での前記第2レンズ群の位置と望遠端状態での前記第2レンズ群の位置との間の距離に相当する)
β2t:前記第2レンズ群の望遠端状態における倍率
β2w:前記第2レンズ群の広角端状態における倍率
β4t:前記第4レンズ群の望遠端状態における倍率
β4w:前記第4レンズ群の広角端状態における倍率
【0006】
第2の態様に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群との実質的に5個のレンズ群からなり、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、隣り合う各レンズ群の間隔が変化し、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第1レンズ群は物体側に移動し、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、望遠端状態における前記第2レンズ群の位置は、広角端状態における前記第2レンズ群の位置よりも像面側であり、望遠端状態における前記第5レンズ群の位置は、広角端状態における前記第5レンズ群の位置よりも像面側であり、前記第1レンズ群は光軸に沿って物体側から順に並んだ、負レンズ及び正レンズの接合レンズを有し、前記第3レンズ群は正の単レンズを少なくとも2枚有し、最も物体側に正の単レンズを配置し、前記第5レンズ群は正の単レンズを有し、下記の条件式を満足する。
【0007】
3.78≦|MV5/MV2|≦7.94
但し、MV5:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第5レンズ群の移動する量(なお、前記第5レンズ群の移動する量とは、広角端状態での前記第5レンズ群の位置と望遠端状態での前記第5レンズ群の位置との間の距離に相当する)
MV2:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第2レンズ群の移動する量(なお、前記第2レンズ群の移動する量とは、広角端状態での前記第2レンズ群の位置と望遠端状態での前記第2レンズ群の位置との間の距離に相当する)
【0008】
第3の態様に係る光学機器は、上記ズームレンズを搭載して構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の第1実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。
【
図2】
図2(a)、
図2(b)および
図2(c)はそれぞれ、第1実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における諸収差図である。
【
図3】本実施形態の第2実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。
【
図4】
図4(a)、
図4(b)および
図4(c)はそれぞれ、第2実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における諸収差図である。
【
図5】本実施形態の第3実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。
【
図6】
図6(a)、
図6(b)および
図6(c)はそれぞれ、第3実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における諸収差図である。
【
図7】本実施形態の第4実施例に係るズームレンズのレンズ構成を示す断面図である。
【
図8】
図8(a)、
図8(b)および
図8(c)はそれぞれ、第4実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における諸収差図である。
【
図9】本実施形態に係るズームレンズを備えたカメラの構成を示す概略図である。
【
図10】本実施形態に係るズームレンズの製造方法の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願第1及び第2実施形態のズームレンズ、光学機器について図を参照して説明する。本願第1実施形態に係るズームレンズZLの一例としてのズームレンズZL(1)は、
図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを有して構成される。本願第1実施形態に係るズームレンズZLにおいては、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、隣り合う各レンズ群(すなわち、第1~第5レンズ群G1~G5)がそれぞれ
図1に矢印で示すように光軸方向に移動する。本願第1実施形態に係るズームレンズZLは、このような構成の下、下記の条件式(1)を満足する。
【0011】
2.90<|MV5/MV2|<11.50 ・・・(1)
但し、MV5:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第5レンズ群の移動する量
MV2:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第2レンズ群の移動する量
【0012】
本願第1実施形態に係るズームレンズZLは、
図3に示すズームレンズZL(2)、図
5に示すズームレンズZL(3)、
図7に示すズームレンズZL(4)でも良い。
【0013】
本願第1実施形態のズームレンズZLを上述のように構成することにより、レンズ全体のサイズと、コマ収差および非点収差を維持したまま、広角化および高倍率化を達成することができる。本願第1実施形態によれば、固体撮像素子等を用いたビデオカメラ、電子スチルカメラ等に好適なズームレンズを得ることができる。
【0014】
上記条件式(1)は、広角端から望遠端へ変倍する際の、第2レンズ群と第5レンズ群の移動量の比の適正範囲を規定している。この条件式を上回った場合、下回った場合共に、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
【0015】
本願第1実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を3.10とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を3.30とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を3.50とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を11.00とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を10.50とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を10.00とすることが好ましい。
【0016】
本願第1実施形態に係るズームレンズZLは、下記の条件式(3)を満足することが好ましい。
6.00<|MV4/MV2|<15.00 ・・・(3)
但し、MV4:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第4レンズ群の移動する量
【0017】
条件式(3)は、広角端から望遠端へ変倍する際の、第2レンズ群と第4レンズ群の移動量の比の適正範囲を規定している。この条件式を上回った場合、下回った場合共に、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
【0018】
本願第1実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を7.00とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を8.00とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を9.00とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を14.50とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を14.00とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を13.40とすることが好ましい。
【0019】
本願第1実施形態に係るズームレンズZLは、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第5レンズ群G5が光軸に沿って像(I)側に移動することが好ましい。これにより、高倍率化が達成でき、非点収差等の諸収差を少なくすることができる。
【0020】
本願第1実施形態に係るズームレンズZLは、下記の条件式(2)を満足することが好ましい。
1.20<β2t/β2w<2.50 ・・・(2)
但し、β2t:前記第2レンズ群の望遠端状態における倍率
β2w:前記第2レンズ群の広角端状態における倍率
【0021】
条件式(2)は、第2レンズ群の、広角端と望遠端における倍率の比の適正範囲を規定
している。この条件式を上回った場合、下回った場合共に、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
【0022】
本願第1実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を1.25とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を1.30とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を1.35とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を2.10とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を2.30とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を1.90とすることが好ましい。
【0023】
本願第1実施形態に係るズームレンズZLは、下記の条件式(4)を満足することが好ましい。
0.10<(β2t×β4w)/(β2w×β4t)<2.40 ・・・(4)
但し、β4t:前記第4レンズ群の望遠端状態における倍率
β4w:前記第4レンズ群の広角端状態における倍率
【0024】
条件式(4)は、広角端から望遠端へ変倍した際に、第2レンズ群と第4レンズ群の倍率変化比の適正範囲を規定している。この条件式を上回った場合、下回った場合共に、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
【0025】
本願第1実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の下限値を0.40とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.70とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を1.00とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の上限値を2.20とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を2.00とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を1.80とすることが好ましい。
【0026】
本願第1実施形態に係るズームレンズZLは、下記の条件式(5)を満足することが好ましい。
1.50<TLt/ft<5.00 ・・・(5)
但し、TLt:望遠端状態におけるズームレンズの全長
ft:望遠端状態におけるズームレンズ全体の焦点距離
【0027】
条件式(5)は、望遠端における全長と焦点距離の比の適正範囲を規定している。この条件式を上回った場合、下回った場合共に、球面収差、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
【0028】
本願第1実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の下限値を1.70とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を1.90とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を2.10とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の上限値を4.60とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を4.20とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を3.70とすることが好ましい。
【0029】
本願第1実施形態のズームレンズは、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
28.0<ωw<65.0 ・・・(6)
但し、ωw:広角端状態におけるズームレンズ全体の半画角(単位:度)
【0030】
条件式(6)は広角端における半画角の最適な値を規定する条件式である。この条件式を満足することにより、広い半画角を有しつつ、コマ収差、像面湾曲、歪曲収差等の諸収差を良好に補正することができる。
【0031】
本願第1実施形態の効果を確実なものとするために、条件式(6)の下限値を30.0とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の下限値を32.0とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の下限値を35.0とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の下限値を38.0とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の下限値を40.0とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果を確実なものとするために、条件式(6)の上限値を60.0とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の上限値を55.0とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の上限値を50.0とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の上限値を46.0とすることが好ましい。
【0032】
本願第1実施形態のズームレンズは、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
5.0<ωt<25.0 ・・・(7)
但し、ωt:望遠端状態におけるズームレンズ全体の半画角(単位:度)
【0033】
条件式(7)は望遠端における半画角の最適な値を規定する条件式である。この条件式を満足することにより、コマ収差、像面湾曲、歪曲収差等の諸収差を良好に補正することができる。
【0034】
本願第1実施形態の効果を確実なものとするために、条件式(7)の下限値を7.0とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の下限値を9.0とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の下限値を10.0とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の下限値を12.0とすることが好ましい。
【0035】
本願第1実施形態の効果を確実なものとするために、条件式(7)の上限値を23.0とすることが好ましい。本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の上限値を21.0とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の上限値を19.0とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の上限値を17.0とすることが好ましい。また、本願第1実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の上限値を16.0とすることが好ましい。
【0036】
本願第1実施形態に係るズームレンズZLにおいて、第4レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズとするのが好ましい。これにより、合焦時における球面収差、コマ収差等の諸収差の変動を小さくすることができる。なお、無限遠から近距離物体への合焦の際に、合焦レンズを構成する第4レンズ群の少なくとも一部が、光軸方向における像側へ移動する構成である。
【0037】
本願第1実施形態に係るズームレンズZLにおいて、第3レンズ群の少なくとも一部が光軸と垂直方向の変位成分を有する防振レンズ群を構成するのが好ましい。これにより、手振れ補正時におけるコマ収差等の諸収差の変動を小さくすることができる。
【0038】
本願第1実施形態に係る光学機器は、上述した本願第1実施形態に係るズームレンズZLを備えて構成される。その具体例として、上記ズームレンズZLを備えたカメラ(光学機器)を
図9に基づいて説明する。このカメラ1は、
図9に示すように撮影レンズ2として上記本願第1実施形態に係るズームレンズZLを備えたデジタルカメラである。カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、撮像素子3へ到達する。これにより被写体からの光は、当該撮像素子3によって撮像されて、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者はカメラ1による被写体の撮影を行うことができる。なお、このカメラは、ミラーレスカメラでも、クイックリターンミラーを有した一眼レフタイプのカメラであっても良い。
【0039】
以上の構成により、上記本願第1実施形態に係るズームレンズZLを撮影レンズ2として搭載したカメラ1は、固体撮像素子等を用いたビデオカメラ、電子スチルカメラ等に好適であり、レンズ全体のサイズを抑え、非点収差および色収差を維持したまま、広角で高倍率な性能を得ることができる。
【0040】
続いて、
図10を参照しながら、上述の本願第1実施形態に係るズームレンズZLの製造方法について概説する。まず、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを、鏡筒内に並べて配置する(ステップST1)。次に、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、隣り合う各レンズ群G1~G5の間隔が変化するように構成する(ステップST2)。さらに、所定の条件式、すなわち、上記条件式(1)を満足するように構成する(ステップST3)。
【0041】
本願第1実施形態に係る製造方法によれば、諸収差を良好に補正でき、広角大口径で優れた光学性能を有するズームレンズを製造することができる。
【0042】
続いて本願第2実施形態について説明する。本願第2実施形態に係るズームレンズZLの一例としてのズームレンズZL(1)は、
図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを有して構成される。本実施形態に係るズームレンズZLにおいては、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、隣り合う各レンズ群(すなわち、第1~第5レンズ群G1~G5)がそれぞれ
図1に矢印で示すように光軸方向に移動する。本願第2実施形態に係るズームレンズZLは、このような構成の下、下記の条件式(3)を満足する。
【0043】
6.00<|MV4/MV2|<15.00 ・・・(3)
但し、MV4:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第4レンズ群の移動する量
MV2:広角端状態から望遠端状態まで変倍するときにおける、像面を基準とする前記第2レンズ群の移動する量
【0044】
条件式(3)は、広角端から望遠端へ変倍する際の、第2レンズ群と第4レンズ群の移動量の比の適正範囲を規定している。この条件式を上回った場合、下回った場合共に、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
【0045】
本願第2実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を7.00とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を8.00とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を9.00とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を14.50とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を14.00とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を13.40とすることが好ましい。
【0046】
本願第2実施形態に係るズームレンズZLは、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第5レンズ群G5が光軸に沿って像(I)側に移動することが好ましい。これにより、高倍率化が達成でき、非点収差等の諸収差を少なくすることができる。
【0047】
本願第2実施形態に係るズームレンズZLは、下記の条件式(2)を満足することが好ましい。
1.20<β2t/β2w<2.50 ・・・(2)
但し、β2t:前記第2レンズ群の望遠端状態における倍率
β2w:前記第2レンズ群の広角端状態における倍率
【0048】
条件式(2)は、第2レンズ群の、広角端と望遠端における倍率の比の適正範囲を規定している。この条件式を上回った場合、下回った場合共に、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
【0049】
本願第2実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を1.25とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を1.30とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を1.35とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を2.10とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を2.30とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を1.90とすることが好ましい。
【0050】
本願第2実施形態に係るズームレンズZLは、下記の条件式(4)を満足することが好ましい。
0.10<(β2t×β4w)/(β2w×β4t)<2.40 ・・・(4)
但し、β4t:前記第4レンズ群の望遠端状態における倍率
β4w:前記第4レンズ群の広角端状態における倍率
【0051】
条件式(4)は、広角端から望遠端へ変倍した際に、第2レンズ群と第4レンズ群の倍率変化比の適正範囲を規定している。この条件式を上回った場合、下回った場合共に、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
【0052】
本願第2実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の下限値を0.40とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.70とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を1.00とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の上限値を2.20とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を2.00とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限
値を1.80とすることが好ましい。
【0053】
本願第2実施形態に係るズームレンズZLは、下記の条件式(5)を満足することが好ましい。
1.50<TLt/ft<5.00 ・・・(5)
但し、TLt:望遠端状態におけるズームレンズの全長
ft:望遠端状態におけるズームレンズ全体の焦点距離
【0054】
条件式(5)は、望遠端における全長と焦点距離の比の適正範囲を規定している。この条件式を上回った場合、下回った場合共に、球面収差、コマ収差、非点収差が悪化するため、好ましくない。
【0055】
本願第2実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の下限値を1.70とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を1.90とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を2.10とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の上限値を4.60とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を4.20とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を3.70とすることが好ましい。
【0056】
本願第2実施形態のズームレンズは、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
28.0<ωw<65.0 ・・・(6)
但し、ωw:広角端状態におけるズームレンズ全体の半画角(単位:度)
【0057】
条件式(6)は広角端における半画角の最適な値を規定する条件式である。この条件式を満足することにより、広い半画角を有しつつ、コマ収差、像面湾曲、歪曲収差等の諸収差を良好に補正することができる。
【0058】
本願第2実施形態の効果を確実なものとするために、条件式(6)の下限値を30.0とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の下限値を32.0とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の下限値を35.0とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の下限値を38.0とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の下限値を40.0とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果を確実なものとするために、条件式(6)の上限値を60.0とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の上限値を55.0とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の上限値を50.0とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(6)の上限値を46.0とすることが好ましい。
【0059】
本願第2実施形態のズームレンズは、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
5.0<ωt<25.0 ・・・(7)
但し、ωt:望遠端状態におけるズームレンズ全体の半画角(単位:度)
【0060】
条件式(7)は望遠端における半画角の最適な値を規定する条件式である。この条件式を満足することにより、コマ収差、像面湾曲、歪曲収差等の諸収差を良好に補正することができる。
【0061】
本願第2実施形態の効果を確実なものとするために、条件式(7)の下限値を7.0とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の下限値を9.0とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の下限値を10.0とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の下限値を12.0とすることが好ましい。
【0062】
本願第2実施形態の効果を確実なものとするために、条件式(7)の上限値を23.0とすることが好ましい。本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の上限値を21.0とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の上限値を19.0とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の上限値を17.0とすることが好ましい。また、本願第2実施形態の効果をより確実なものとするために、条件式(7)の上限値を16.0とすることが好ましい。
【0063】
本願第2実施形態に係るズームレンズZLにおいて、第4レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズとするのが好ましい。これにより、合焦時における球面収差、コマ収差等の諸収差の変動を小さくすることができる。なお、無限遠から近距離物体への合焦の際に、合焦レンズを構成する第4レンズ群の少なくとも一部が、光軸方向における像側へ移動する構成である。
【0064】
本願第2実施形態に係るズームレンズZLにおいて、第3レンズ群の少なくとも一部が光軸と垂直方向の変位成分を有する防振レンズ群を構成するのが好ましい。これにより、手振れ補正時におけるコマ収差等の諸収差の変動を小さくすることができる。
【0065】
本願第2実施形態に係る光学機器は、上述した本願第2実施形態に係るズームレンズZLを備えて構成される。その具体例として、上記ズームレンズZLを備えたカメラ(光学機器)カメラ1は、
図9に示したカメラと同様な構成で、撮影レンズ2として上記本願第2実施形態に係るズームレンズZLを備えたデジタルカメラである。その構成は、本願第1実施形態に係るズームレンズZLを備えたカメラと同様であるのでその詳細説明は省略する。
【0066】
以上の構成により、上記本願第2実施形態に係るズームレンズZLを撮影レンズ2として搭載したカメラ1は、固体撮像素子等を用いたビデオカメラ、電子スチルカメラ等に好適であり、レンズ全体のサイズを抑え、非点収差および色収差を維持したまま、広角で高倍率な性能を得ることができる。
【0067】
続いて、
図10を参照しながら、上述の本願第2実施形態に係るズームレンズZLの製造方法について概説する。
図10は、本願第1実施形態の製造方法の説明にも用いたが、本願第2実施形態の製造方法についてもこの図を参照して説明する。まず、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを、鏡筒内に並べて配置する(ステップST1)。次に、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、隣り合う各レンズ群G1~G5の間隔が変化するように構成する(ステップST2)。さらに、所定の条件式、すなわち、上記条件式(3)を満足するように構成する(ステップST3)。
【0068】
本願第2実施形態に係る製造方法によれば、諸収差を良好に補正でき、広角大口径で優れた光学性能を有するズームレンズを製造することができる。
【実施例】
【0069】
以下、本願第1及び第2実施形態の実施例に係るズームレンズZLを図面に基づいて説明する。
図1、
図3、
図5、
図7は第1~第4実施例に係るズームレンズZL{ZL(1)~ZL(4)}の構成等を示す断面図である。これらの図の下部に示す矢印は、広角端状態から望遠端状態にズーミング(変倍動作)するときにおける第1~第5レンズ群G1~G5および開口絞りSの移動方向を示している。
【0070】
なお、第4レンズ群G4が合焦レンズとして用いられ、図において、この合焦レンズが無限遠から近距離物体に合焦する際の移動方向を「∞」という記号とともに矢印で示している。また、第3レンズ群G3の全部もしくは少なくとも一部が光軸と垂直な変位成分を有する防振レンズとして用いられる。
【0071】
これらの図において、各レンズ群を符号Gと数字の組み合わせにより、各レンズを符号Lと数字の組み合わせにより、それぞれ表している。この場合において、符号、数字の種類および数が大きくなって煩雑化するのを防止するため、実施例毎にそれぞれ独立して符号と数字の組み合わせを用いてレンズ群等を表している。このため、実施例間で同一の符号と数字の組み合わせが用いられていても、同一の構成であることを意味するものでは無い。
【0072】
以下に表1~表4を示すが、これは第1~第4実施例における各諸元データを示す表である。
【0073】
[レンズ諸元]の表において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序を示し、Rは各光学面の曲率半径(曲率中心が像側に位置する面を正の値としている)、Dは各光学面から次の光学面までの光軸上の距離である面間隔、ndは光学部材の材質のd線(波長587.6nm)に対する屈折率、νdは光学部材の材質のd線を基準とす
るアッベ数を、それぞれ示す。面番号は、光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序を示す。曲率半径の「∞」は平面又は開口を、(絞りS)は開口絞りSを、それぞれ示す。空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。レンズ面が非球面である場合には面番号に*印を付して曲率半径Rの欄には近軸曲率半径を示している。
【0074】
[全体諸元]の表にはズームレンズ全体の諸元を示し、fはレンズ全系の焦点距離、Fno.はFナンバー、ωは半画角(最大入射角、単位は「°(度)」)を示す。BFは無限遠
合焦時の光軸上でのレンズ最終面から像面Iまでの距離(バックフォーカス)を示し、TLはレンズ全長で、光軸上でのレンズ最前面からレンズ最終面までの距離にBFを加えた距離を示す。なお、これらの値は、広角端状態(Wide)、中間焦点距離(Middle)、望遠端状態(Tele)の各変倍状態におけるそれぞれについて示している。
【0075】
[非球面データ]の表には、[レンズ諸元]に示した非球面について、その形状を次式(a)で示す。X(y)は非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸方向に沿った距離(ザグ量)を、Rは基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)を、κは円錐定数を、Aiは第i次の非球面係数を示す。「E-n」は、「×10-n」を示す。例えば、1.234E-05=1.234×10-5である。なお、2次の非球面係数A2は0であり、その記載を省略している。
【0076】
X(y)=(y2/R)/{1+(1-κ×y2/R2)1/2}+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10+A12×y12 ・・・(a)
【0077】
[可変間隔データ]の表は、[レンズ諸元]を示す表において面間隔が「可変」となっている面番号iにおける次の面までの面間隔Diを示す。例えば、第1実施例では、面番
号3,9,19,21,23での面間隔D3,D9,D19,D21,D23を示す。fはズームレンズ全系の焦点距離を示す。
【0078】
[レンズ群データ]の表においては、第1~第4(もしくは第5)レンズ群における群初面(最も物体側の面)の面番号と、各群の焦点距離と、レンズ構成長を示す。
【0079】
[条件式対応値]の表には、上記の条件式(1)~(7)に対応する値を示す。
【0080】
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径R、面間隔D、その他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【0081】
以上、全ての実施例に共通する事項の説明であり、以下における各実施例での重複する説明は省略する。
【0082】
(第1実施例)
第1実施例について、
図1および
図2並びに表1を用いて説明する。
図1は、本実施形態の第1実施例に係るズームレンズZL(1)のレンズ構成を示す図である。このズームレンズZL(1)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを有して構成される。各レンズ群記号に付けている符号(+)もしくは(-)は各レンズ群の屈折力を示す。第5レンズ群G5より像側で像面Iに近接して、フィルターFLが設けられている。フィルターFLは、ローパスフィルタや赤外線カットフィルタ等から構成される。なお、第3レンズ群G3の物体側に位置して開口絞りSが配置されている。この開口絞りSは、第3レンズ群G3とは独立して構成されているが、第3レンズ群G3と一緒に光軸方向に移動する。
【0083】
変倍時には、第1~第5レンズ群G1~G5が、
図1において矢印で示すように、それぞれ軸方向に移動する。このため、これらの面間隔D3,D9,D19,D21,D23が可変であり、その値を[可変間隔データ]の表に示している。
【0084】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面(第1面)を向けた負メニスカスレンズL11および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12の接合レンズから構成される。
【0085】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23と、から構成される。なお、負メニスカスレンズL21の両側面が非球面である。
【0086】
第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と、両凹形状の負レンズL33および両凸形状の正レンズのL34との接合レンズと、両凸形状の正レンズL35と、から構成される。なお、正レンズL31の両側面が非球面である。
【0087】
第4レンズ群G4は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41から構成される。
【0088】
第5レンズ群G5は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL51から構成される
。なお、この正メニスカスレンズL51の物体側の面が非球面である。
【0089】
ズームレンズZL(1)においては、第4レンズ群G4を像面方向へ移動させることにより、無限遠(遠距離物体)から近距離物体への合焦が行われる。また、第3レンズ群G3の全部もしくは少なくとも一部(第3レンズ群G3全体であっても、これを構成するレンズL31~L35のどれかもしくはこれらの組み合わせであっても良い)が光軸と垂直な方向の変位成分を有する防振レンズ群を構成し、像面I上の像ブレ補正(防振、手ブレ補正)を行うようになっている。
【0090】
以下の表1に、第1実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0091】
(表1)
[レンズデータ]
R D nd νd
1 39.599 0.940 1.9459 18.0
2 28.320 5.372 1.8348 42.7
3 161.160 (可変)
4* 121.431 1.074 1.7738 47.2
5* 11.074 6.715
6 -34.223 0.672 1.6968 55.5
7 76.259 0.134
8 30.756 2.283 1.9459 18.0
9 284.646 (可変)
10 ∞ 1.343 (絞りS)
11* 14.154 3.828 1.8208 42.7
12* -49.429 0.134
13 36.789 0.940 1.6666 30.4
14 11.416 3.895
15 -16.584 0.672 1.9962 28.3
16 32.543 3.828 1.5928 68.6
17 -15.861 0.134
18 142.462 3.022 1.8040 46.6
19 -19.075 (可変)
20 168.862 0.672 1.6968 55.5
21 39.344 (可変)
22* 30.318 2.619 1.7725 49.5
23 87.295 (可変)
24 ∞ 3.700 1.5168 63.9
25 ∞ (BF)
像面 ∞
[全体諸元]
Wide Middle Tele
f 12.2 22.3 40.7
開口絞り径 13.9 13.1 13.1
Fno. 1.9 2.4 2.8
ω 43.5 26.4 14.4
BF 0.99 0.99 0.99
空気換算BF 15.70 8.75 7.19
TL 82.94 83.68 100.11
空気換算TL 81.68 82.42 98.85
[非球面データ]
κ A4 A6 A8 A10 A12
第4面 1 -2.808E-05 2.147E-07 -7.556E-10 -2.372E-13 5.361E-15
第5面 1.052 -6.407E-05 -1.124E-08 -8.523E-09 1.324E-10 -1.141E-12
第11面 0.026 1.201E-05 1.731E-07 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
第12面 1 7.117E-05 -9.785E-08 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
第22面 1 -7.376E-06 5.901E-08 -4.201E-10 1.361E-12 0.000E+00
[可変間隔データ]
Wide Middle Tele
f 12.2 22.3 40.7
D3 0.935 6.724 19.177
D9 18.862 6.399 2.131
D19 2.015 10.154 4.509
D21 5.889 12.125 27.566
D23 12.274 5.321 3.761
[ズームレンズ群データ]
群番号 群初面 群焦点距離 レンズ構成長
G1 1 65.8 6.31
G2 4 -15.3 9.54
G3 11 20.5 17.79
G4 20 -73.8 0.67
G5 22 58.9 2.62
[条件式対応値]
条件式(1) |MV5/MV2|=7.94
条件式(2) β2t/β2w =1.70
条件式(3) |MV4/MV2|=12.28
条件式(4) (β2t×β4w)/(β2w×β4t)=1.59
条件式(5) TLt/ft=2.46
条件式(6) ωw=43.5
条件式(7) ωt=14.4
【0092】
上記[条件式対応値]の表に示すように、
図1に示す第1実施例に係るズームレンズZL(1)は、上記条件式(1)~(7)の全てを満たしている。
【0093】
図2(a)、
図2(b)および
図2(c)はそれぞれ、第1実施例に係るズームレンズZL(1)の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。各諸収差図から分かるように、第1実施例に係るズームレンズZL(1)は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有していることがわかる。なお、歪曲収差は撮像後の画像処理により補正可能であり、光学的な補正は必要としない。
【0094】
図2において、FNOはFナンバー、ωは各像高に対する半画角(単位は「°」)をそれぞれ示す。dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)における収差をそれぞれ示す。球面収差図、非点収差図およびコマ収差図において実線はサジタ
ル像面、破線はメリディオナル像面の収差を示す。この説明については、以下の各実施例の収差図全て同様であり、以下における重複する説明は省略する。
【0095】
(第2実施例)
第2実施例について、
図3および
図4並びに表2を用いて説明する。
図3は、本実施形態の第2実施例に係るズームレンズZL(2)のレンズ構成を示す図である。このズームレンズZL(2)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを有して構成される。第5レンズ群G5より像側で像面Iに近接して、フィルターFLが設けられている。なお、第3レンズ群G3の物体側に位置して開口絞りSが配置されている。この開口絞りSは、第3レンズ群G3とは独立して構成されているが、第3レンズ群G3と一緒に光軸方向に移動する。
【0096】
変倍時には、第1~第5レンズ群G1~G5が、
図3において矢印で示すように、それぞれ軸方向に移動する。このため、これらの面間隔D3,D9,D19,D21,D23が可変であり、その値を[可変間隔データ]の表に示している。
【0097】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面(第1面)を向けた負メニスカスレンズL11および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12の接合レンズから構成される。
【0098】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23と、から構成される。なお、負メニスカスレンズL21の両側面が非球面である。
【0099】
第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と、両凹形状の負レンズL33および両凸形状の正レンズのL34との接合レンズと、両凸形状の正レンズL35と、から構成される。なお、正レンズL31の両側面および正レンズL35の両側面が非球面である。
【0100】
第4レンズ群G4は、両凹形状の負レンズL41から構成される。
【0101】
第5レンズ群G5は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL51から構成される。なお、この正メニスカスレンズL51の物体側の面が非球面である。
【0102】
ズームレンズZL(2)においては、第4レンズ群G4を像面方向へ移動させることにより、無限遠(遠距離物体)から近距離物体への合焦が行われる。また、第3レンズ群G3の全部もしくは少なくとも一部が光軸と垂直な方向の変位成分を有する防振レンズ群を構成し、像面I上の像ブレ補正(防振、手ブレ補正)を行うようになっている。
【0103】
以下の表2に、第2実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0104】
(表2)
[レンズデータ]
R D nd νd
1 36.635 1.074 1.9460 18.0
2 28.013 5.372 1.8040 46.6
3 114.144 (可変)
4* 87.223 1.074 1.8514 40.1
5* 11.136 6.849
6 -42.800 0.672 1.6968 55.5
7 58.836 0.134
8 29.612 2.552 2.0027 19.3
9 677.090 (可変)
10 ∞ 1.343 (絞りS)
11* 14.440 3.760 1.7433 49.3
12* -172.482 0.134
13 13.667 2.283 1.7950 28.7
14 9.434 3.358
15 -17.037 0.672 1.7552 27.6
16 13.246 3.492 1.4970 81.7
17 -55.668 0.134
18* 28.527 3.358 1.7725 49.6
19* -16.687 (可変)
20 -131.120 0.806 1.6030 65.4
21 32.989 (可変)
22* 25.536 4.029 1.6935 53.2
23 277.466 (可変)
24 ∞ 1.350 1.5168 63.9
25 ∞ (BF)
像面 ∞
[全体諸元]
Wide Middle Tele
f 12.2 22.3 40.7
開口絞り径 13.6 10.8 12.9
Fno. 1.9 2.9 2.9
ω 42.6 26.1 14.4
BF 2.54 2.54 2.54
空気換算BF 12.08 7.23 6.54
TL 80.65 81.66 98.48
空気換算TL 80.19 81.20 98.02
[非球面データ]
κ A4 A6 A8 A10 A12
第4面 1 -2.244E-05 2.093E-08 1.088E-09 -7.741E-12 1.640E-14
第5面 0.957 -5.462E-05 -1.346E-07 -7.444E-09 1.180E-10 -8.246E-13
第11面 1.121 -3.990E-05 -1.142E-07 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
第12面 1 -7.117E-06 1.245E-07 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
第18面 1 -4.823E-05 1.325E-07 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
第19面 1 1.580E-05 -6.115E-08 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
第22面 1 -8.610E-06 9.380E-08 -5.728E-10 1.509E-12 0.000E+00
[可変間隔データ]
Wide Middle Tele
f 12.2 22.3 40.7
D3 0.824 7.259 20.119
D9 19.217 6.624 2.015
D19 2.015 6.335 2.952
D21 4.966 12.657 25.303
D23 8.650 3.800 3.114
[ズームレンズ群データ]
群番号 群初面 群焦点距離 レンズ構成長
G1 1 69.8 6.45
G2 4 -16.9 11.28
G3 11 19.7 17.19
G4 20 -43.6 0.81
G5 22 40.3 4.03
[条件式対応値]
条件式(1) |MV5/MV2|=3.78
条件式(2) β2t/β2w =1.70
条件式(3) |MV4/MV2|=10.10
条件式(4) (β2t×β4w)/(β2w×β4t)=1.51
条件式(5) TLt/ft=2.42
条件式(6) ωw=42.6
条件式(7) ωt=14.4
【0105】
上記[条件式対応値]の表に示すように、
図3に示す第2実施例に係るズームレンズZL(2)は、上記条件式(1)~(7)の全てを満たしている。
【0106】
図4(a)、
図4(b)および
図4(c)はそれぞれ、第2実施例に係るズームレンズZL(2)の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。各諸収差図から分かるように、第2実施例に係るズームレンズZL(2)は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正しており、優れた結像性能を有している。
【0107】
(第3実施例)
第3実施例について、
図5および
図6並びに表3を用いて説明する。
図5は、本実施形態の第3実施例に係るズームレンズZL(3)のレンズ構成を示す図である。このズームレンズZL(3)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを有して構成される。第5レンズ群G5より像側で像面Iに近接して、フィルターFLが設けられている。なお、第3レンズ群G3の物体側に位置して開口絞りSが配置されている。この開口絞りSは、第3レンズ群G3とは独立して構成されているが、第3レンズ群G3と一緒に光軸方向に移動する。
【0108】
変倍時には、第1~第5レンズ群G1~G5が、
図5において矢印で示すように、それぞれ軸方向に移動する。このため、これらの面間隔D3,D9,D19,D21,D23が可変であり、その値を[可変間隔データ]の表に示している。
【0109】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面(第1面)を向けた負メニスカスレンズL11および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12の接合レンズから構成される。
【0110】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23と、から構成される。なお、負メニスカスレンズL21の両側面が非球面である。
【0111】
第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と、両凹形状の負レンズL33および両凸形状の正レンズのL34との接合レンズと、両凸形状の正レンズL35と、から構成される。なお、正レンズL31および正レンズL35の両側面が非球面である。
【0112】
第4レンズ群G4は、両凹形状の負レンズL41から構成される。
【0113】
第5レンズ群G5は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL51から構成される。なお、この正メニスカスレンズL51の物体側の面が非球面である。
【0114】
ズームレンズZL(3)においては、第4レンズ群G4を像面方向へ移動させることにより、無限遠(遠距離物体)から近距離物体への合焦が行われる。また、第3レンズ群G3の全部もしくは少なくとも一部が光軸と垂直な方向の変位成分を有する防振レンズ群を構成し、像面I上の像ブレ補正(防振、手ブレ補正)を行うようになっている。
【0115】
以下の表3に、第3実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0116】
(表3)
[レンズデータ]
R D nd νd
1 35.049 1.074 2.0027 19.3
2 25.373 5.641 1.8348 42.7
3 110.958 (可変)
4* 188.807 1.074 1.7738 47.2
5* 10.397 6.446
6 -39.303 0.672 1.6968 55.5
7 55.370 0.134
8 29.024 2.485 2.0027 19.3
9 1027.710 (可変)
10 ∞ 1.343 (絞りS)
11* 13.928 3.492 1.7433 49.3
12* -96.886 0.134
13 15.453 1.209 1.8081 22.7
14 10.080 3.895
15 -13.665 0.672 2.0010 29.1
16 53.442 2.887 1.4970 81.7
17 -19.734 0.134
18* 55.578 3.828 1.7725 49.5
19* -14.278 (可変)
20 -5325.655 0.806 1.6030 65.4
21 35.704 (可変)
22* 27.530 3.358 1.6935 53.2
23 158.402 (可変)
24 ∞ 3.210 1.5168 63.9
25 ∞ (BF)
像面 ∞
[全体諸元]
Wide Middle Tele
f 12.2 22.3 40.7
開口絞り径 13.4 10.6 13.4
Fno. 1.9 2.9 2.8
ω 42.6 26.1 14.4
BF 1.31 1.31 1.31
空気換算BF 15.72 7.18 5.78
TL 82.18 83.99 101.28
空気換算TL 81.08 82.90 100.19
[非球面データ]
κ A4 A6 A8 A10 A12
第4面 1 -1.006E-05 -1.100E-07 2.367E-09 -1.481E-11 3.218E-14
第5面 0.983 -5.867E-05 -1.605E-07 -1.814E-08 3.047E-10 -2.240E-12
第11面-1.173 5.293E-05 -1.532E-07 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
第12面 1 -2.009E-06 9.410E-08 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
第18面 1 -4.273E-05 7.466E-08 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
第19面 1 2.000E-05 3.680E-09 0.000E+00 0.000E+00 0.000E+00
第22面 1 -6.307E-06 4.267E-08 -3.049E-10 1.360E-12 0.000E+00
[可変間隔データ]
Wide Middle Tele
f 12.2 22.3 40.7
D3 1.235 7.127 19.303
D9 17.677 6.273 2.594
D19 2.015 10.446 4.847
D21 5.150 12.586 28.387
D23 12.296 3.753 2.349
[ズームレンズ群データ]
群番号 群初面 群焦点距離 レンズ構成長
G1 1 65.8 6.72
G2 4 -15.6 10.81
G3 11 20.4 17.59
G4 20 -58.8 0.81
G5 22 47.5 3.36
[条件式対応値]
条件式(1) |MV5/MV2|=9.57
条件式(2) β2t/β2w =1.71
条件式(3) |MV4/MV2|=12.78
条件式(4) (β2t×β4w)/(β2w×β4t)=1.64
条件式(5) TLt/ft=2.49
条件式(6) ωw=42.6
条件式(7) ωt=14.4
【0117】
上記[条件式対応値]の表に示すように、
図5に示す第3実施例に係るズームレンズZL(3)は、上記条件式(1)~(7)の全てを満たしている。
【0118】
図6(a)、
図6(b)および
図6(c)はそれぞれ、第3実施例に係るズームレンズZL(3)の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。各諸収差図から分かるように、第2実施例に係るズームレンズZL(3)は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正しており、優れた結像性能を有している。
【0119】
(第4実施例)
第4実施例について、
図7および
図8並びに表4を用いて説明する。
図7は、本実施形態の第4実施例に係るズームレンズZL(4)のレンズ構成を示す図である。このズームレンズZL(4)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを有して構成される。第5レンズ群G5より像側で像面Iに近接して、フィルターFLが設けられている。なお、第3レンズ群G3の内部に開口絞りSが配置されている。
【0120】
変倍時には、第1~第5レンズ群G1~G5が、
図7において矢印で示すように、それぞれ軸方向に移動する。このため、これらの面間隔D3,D9,D19,D21,D24が可変であり、その値を[可変間隔データ]の表に示している。
【0121】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12の接合レンズから構成される。
【0122】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、から構成される。なお、負メニスカスレンズL21の両側面が非球面である。
【0123】
第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と、両凹形状の負レンズL33および両凸形状の正レンズのL34との接合レンズと、両凸形状の正レンズL35と、から構成される。なお、正レンズL31および正レンズL35の両側面が非球面である。
【0124】
第4レンズ群G4は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41から構成される。
【0125】
第5レンズ群G5は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL51および像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL52から構成される。
【0126】
ズームレンズZL(4)においては、第4レンズ群G4を像面方向へ移動させることにより、無限遠(遠距離物体)から近距離物体への合焦が行われる。また、第3レンズ群G3の全部もしくは少なくとも一部が光軸と垂直な方向の変位成分を有する防振レンズ群を構成し、像面I上の像ブレ補正(防振、手ブレ補正)を行うようになっている。
【0127】
以下の表4に、第4実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0128】
(表4)
[レンズデータ]
R D nd νd
1 51.721 2.015 1.8467 23.8
2 40.614 7.055 1.6030 65.4
3 730.595 (可変)
4* 366.053 2.015 1.7725 49.5
5* 15.152 9.651
6 -33.575 1.343 1.6030 65.4
7 5551.208 0.271
8 52.110 2.820 1.8467 23.8
9 -4156.714 (可変)
10* 23.190 5.883 1.7725 49.5
11* -75.540 2.015
12 ∞ 2.015 (絞りS)
13 118.818 0.940 1.7380 32.3
14 19.813 5.874
15 -14.724 0.940 1.7380 32.3
16 33.575 6.464 1.8040 46.6
17 -21.843 0.134
18* 29.197 5.666 1.5533 71.7
19* -30.869 (可変)
20 83.361 1.343 1.4875 70.1
21 28.987 (可変)
22 29.079 6.044 1.6030 65.4
23 -42.616 1.074 1.8467 23.8
24 -594.734 (可変)
25 ∞ 1.500 1.5168 63.8
26 ∞ (BF)
像面 ∞
[全体諸元]
Wide Middle Tele
f 12.2 22.2 40.6
開口絞り径 18.6 18.6 18.6
Fno. 1.4 1.7 2.2
ω 42.8 26.7 14.5
BF 1.69 1.69 1.69
空気換算BF 12.92 9.00 4.69
TL 114.12 111.74 135.04
空気換算TL 113.61 111.23 134.53
[非球面データ]
κ A4 A6 A8 A10
第4面 1 -1.006E-05 -1.100E-07 2.367E-09 -1.481E-11
第5面 0.983 -5.867E-05 -1.605E-07 -1.814E-08 3.047E-10
第10面 -1.173 5.293E-05 -1.532E-07 0.000E+00 0.000E+00
第11面 1 -2.009E-06 9.410E-08 0.000E+00 0.000E+00
第18面 1 -4.273E-05 7.466E-08 0.000E+00 0.000E+00
第19面 1 2.000E-05 3.680E-09 0.000E+00 0.000E+00
[可変間隔データ]
Wide Middle Tele
f 12.2 22.2 40.6
D3 0.537 9.250 23.503
D9 27.283 6.864 0.672
D19 1.672 8.741 1.637
D21 7.632 13.813 40.473
D24 10.249 6.327 2.015
[ズームレンズ群データ]
群番号 群初面 群焦点距離 レンズ構成長
G1 1 103.0 9.07
G2 4 -20.1 16.10
G3 10 28.0 29.93
G4 20 -91.9 1.34
G5 22 59.6 7.12
[条件式対応値]
条件式(1) |MV5/MV2|=4.04
条件式(2) β2t/β2w =1.44
条件式(3) |MV4/MV2|=12.07
条件式(4) (β2t×β4w)/(β2w×β4t)=1.25
条件式(5) TLt/ft=3.32
条件式(6) ωw=42.8
条件式(7) ωt=14.5
【0129】
上記[条件式対応値]の表に示すように、
図7に示す第4実施例に係るズームレンズZL(4)は、上記条件式(1)~(7)の全てを満たしている。
【0130】
図8(a)、
図8(b)および
図8(c)はそれぞれ、第4実施例に係るズームレンズZL(4)の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。各諸収差図から分かるように、第2実施例に係るズームレンズZL(4)は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正しており、優れた結像性能を有している。
【0131】
上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0132】
以下の内容は、本実施形態のズームレンズの光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0133】
本実施形態のズームレンズの実施例として5群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、6群等)のズームレンズを構成することもできる。具体的には、本実施形態のズームレンズの最も物体側や最も像面側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0134】
単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としても良い。合焦レンズ群は、オートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モータ等を用いた)モータ駆動にも
適している。
【0135】
レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ブレによって生じる像ブレを補正する防振レンズ群としても良い。
【0136】
レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。
【0137】
レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0138】
開口絞りは第3レンズ群近傍又は中に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。
【0139】
各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し、コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。
【0140】
本実施形態のズームレンズは、変倍比が1.5~7.5程度である。
【符号の説明】
【0141】
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群 G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群 FL フィルター
I 像面 S 開口絞り