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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】加工システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/02 20140101AFI20241210BHJP
【FI】
B23K26/02 A
【請求項の数】 85
(21)【出願番号】P 2022539857
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2020029000
(87)【国際公開番号】W WO2022024246
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真路
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-169397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0210011(US,A1)
【文献】特開平02-229687(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082309(WO,A1)
【文献】特開2005-337912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と
を備え、
前記第1計測装置は、前記最終光学要素に対して固定された位置に配置され、且つ、前記物体の位置を計測し、
前記第3計測装置は、前記最終光学要素に対して固定された位置に配置された反射部に対して計測光を照射し、前記反射部によって反射された計測光を検出して、前記反射部の位置を計測する加工システム。
【請求項2】
前記第1計測装置は、少なくとも前記加工光の照射方向と交わる方向における前記物体の位置を計測し、
前記第2計測装置は、前記照射光学系の少なくとも一部を介して、前記加工光の照射方向における前記物体の位置を計測し、
前記第3計測装置は、前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する
請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と、
前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置と
を備え、
前記駆動装置は、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置を駆動す
る加工システム。
【請求項4】
前記移動装置は、前記第3計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置を移動させ、
前記移動装置により前記照射装置が移動している間又は移動した後に、前記第1計測装置による計測が開始される
請求項3に記載の加工システム。
【請求項5】
前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置と、
前記加工光の焦点位置を変更させる焦点位置変更装置と
を更に備え、
前記移動装置は、前記第3計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置及び前記第1計測装置を移動させ、
前記駆動装置は、前記移動装置により前記照射装置が移動している間又は移動した後に、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、少なくとも一つの方向において前記照射装置を駆動し、
前記焦点位置変更装置は、前記駆動装置により前記照射装置が駆動されている間又は駆動された後に、前記第2計測装置による計測結果に基づいて、前記加工光の焦点位置を変更する
請求項3又は4に記載の加工システム。
【請求項6】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と、
前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置と、
前記加工光の焦点位置を変更させる焦点位置変更装置と
を備え、
前記移動装置は、前記第3計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置及び前記第1計測装置を移動させ、
前記駆動装置は、前記移動装置により前記照射装置が移動している間又は移動した後に、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、少なくとも一つの方向において前記照射装置を駆動し、
前記焦点位置変更装置は、前記駆動装置により前記照射装置が駆動されている間又は駆動された後に、前記第2計測装置による計測結果に基づいて、前記加工光の焦点位置を変更する
加工システム。
【請求項7】
前記加工システムは、前記第1計測装置による計測結果、前記第2計測装置による計測結果、及び、前記第3計測装置による計測結果に基づいて、前記物体を加工する
請求項3から6のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項8】
前記第2計測装置は、前記照射光学系の少なくとも一部を介して計測光源からの計測光源光を照射し且つ前記照射光学系を介して前記物体からの前記計測光源光を検出することで、前記物体の位置を計測する
請求項3から7のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項9】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と
を備え、
前記第2計測装置は、前記照射光学系の少なくとも一部を介して計測光源からの計測光源光を照射し且つ前記照射光学系を介して前記物体からの前記計測光源光を検出することで、前記物体の位置を計測する
加工システム。
【請求項10】
前記照射装置から前記物体までの間の距離は、前記第3計測装置と前記照射装置との間の距離よりも短い
請求項3から9のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項11】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と
を備え、
前記照射装置から前記物体までの間の距離は、前記第3計測装置と前記照射装置との間の距離よりも短い
加工システム。
【請求項12】
前記第1計測装置の計測分解能及び前記第2計測装置の計測分解能は、前記第3計測装置の計測分解能よりも高い
請求項3から11のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項13】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と、
を備え、
前記第1計測装置の計測分解能及び前記第2計測装置の計測分解能は、前記第3計測装置の計測分解能よりも高い
加工システム。
【請求項14】
前記物体の加工を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、
前記第1計測装置の計測結果に基づいて前記物体の所定の領域を認識し、認識された前記所定の領域に対して前記照射装置を静止させる制御を行う
請求項3から13のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項15】
前記物体の加工を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、
前記第3計測装置の計測結果に基づいて、前記物体の所定の領域に向けて前記照射装置を移動させるように、前記移動装置を制御し、
前記第1計測装置の計測結果に基づいて前記所定の領域を認識し、認識された前記所定の領域に対して前記照射装置を静止させる制御を行い、
前記第2計測装置の計測結果に基づいて加工を行うように前記照射装置を制御する
請求項3から14のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項16】
物体を加工する加工システムであって、
可動アームと、
可動アームに接続され、かつ、前記物体を加工するためのエンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタに対して固定され、かつ、前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
照射光学系を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記エンドエフェクタから離れた位置から前記エンドエフェクタに向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記エンドエフェクタの位置を計測する第3計測装置と
を備える加工システム。
【請求項17】
前記加工システムは、前記第1計測装置による計測結果、前記第2計測装置による計測結果、及び、前記第3計測装置による計測結果に基づいて、前記物体を加工する
請求項1から2及び16のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項18】
前記第1計測装置の計測分解能及び前記第2計測装置の計測分解能は、前記第3計測装置の計測分解能よりも高い
請求項1から2及び16から17のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項19】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と
を備え、
前記第1計測装置の計測分解能及び前記第2計測装置の計測分解能は、前記第3計測装置の計測分解能よりも高い
加工システム。
【請求項20】
前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置を更に備え、
前記駆動装置は、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置を駆動する
請求項1又は2に記載の加工システム。
【請求項21】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と、
前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置と
を備え、
前記駆動装置は、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置を駆動する
加工システム。
【請求項22】
前記移動装置は、前記第3計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置を移動させ、
前記移動装置により前記照射装置が移動している間又は移動した後に、前記第1計測装置による計測が開始される
請求項1から2、20及び21のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項23】
前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置と、
前記加工光の焦点位置を変更させる焦点位置変更装置と
を更に備え、
前記移動装置は、前記第3計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置及び前記第1計測装置を移動させ、
前記駆動装置は、前記移動装置により前記照射装置が移動している間又は移動した後に、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、少なくとも一つの方向において前記照射装置を駆動し、
前記焦点位置変更装置は、前記駆動装置により前記照射装置が駆動されている間又は駆動された後に、前記第2計測装置による計測結果に基づいて、前記加工光の焦点位置を変更する
請求項1から2及び20から22のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項24】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と、
前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置と、
前記加工光の焦点位置を変更させる焦点位置変更装置と
を備え、
前記移動装置は、前記第3計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置及び前記第1計測装置を移動させ、
前記駆動装置は、前記移動装置により前記照射装置が移動している間又は移動した後に、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、少なくとも一つの方向において前記照射装置を駆動し、
前記焦点位置変更装置は、前記駆動装置により前記照射装置が駆動されている間又は駆動された後に、前記第2計測装置による計測結果に基づいて、前記加工光の焦点位置を変更する
加工システム。
【請求項25】
前記第2計測装置は、前記照射光学系の少なくとも一部を介して計測光源からの計測光源光を照射し且つ前記照射光学系を介して前記物体からの前記計測光源光を検出することで、前記物体の位置を計測する
請求項1から2及び20から24のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項26】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と
を備え、
前記第2計測装置は、前記照射光学系の少なくとも一部を介して計測光源からの計測光源光を照射し且つ前記照射光学系を介して前記物体からの前記計測光源光を検出することで、前記物体の位置を計測する
加工システム。
【請求項27】
前記照射装置から前記物体までの間の距離は、前記第3計測装置と前記照射装置との間の距離よりも短い
請求項1から2及び20から26のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項28】
前記物体の加工を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、
前記第1計測装置の計測結果に基づいて前記物体の所定の領域を認識し、認識された前記所定の領域に対して前記照射装置を静止させる制御を行う
請求項1から2及び20から27のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項29】
前記加工システムは、照射光学系を介して加工光を前記物体に照射して前記物体を加工し、
前記エンドエフェクタは、前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置を含み、
前記可動アームは、前記照射装置を移動させる移動装置である
請求項16に記載の加工システム。
【請求項30】
前記可動アームの移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置を更に備え、
前記駆動装置は、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置を駆動する
請求項29に記載の加工システム。
【請求項31】
前記可動アームは、前記第3計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置を移動させ、
前記可動アームにより前記照射装置が移動している間又は移動した後に、前記第1計測装置による計測が開始される
請求項29又は30に記載の加工システム。
【請求項32】
前記可動アームの移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置と、
前記加工光の焦点位置を変更させる焦点位置変更装置と
を更に備え、
前記可動アームは、前記第3計測装置による計測結果に基づいて、前記照射装置及び前記第1計測装置を移動させ、
前記駆動装置は、前記可動アームにより前記照射装置が移動している間又は移動した後に、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、少なくとも一つの方向において前記照射装置を駆動し、
前記焦点位置変更装置は、前記駆動装置により前記照射装置が駆動されている間又は駆動された後に、前記第2計測装置による計測結果に基づいて、前記加工光の焦点位置を変更する
請求項29から31のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項33】
前記第2計測装置は、前記照射光学系の少なくとも一部を介して計測光源からの計測光源光を照射し且つ前記照射光学系を介して前記物体からの前記計測光源光を検出することで、前記物体の位置を計測する
請求項29から32のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項34】
前記照射装置から前記物体までの間の距離は、前記第3計測装置と前記照射装置との間の距離よりも短い
請求項29から33のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項35】
前記物体の加工を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、
前記第1計測装置の計測結果に基づいて前記物体の所定の領域を認識し、認識された前記所定の領域に対して前記照射装置を静止させる制御を行う
請求項29から34のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項36】
前記第1計測装置は、前記物体を撮像可能な撮像装置を含む
請求項1から35のいずれか一項のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項37】
前記撮像装置は、前記物体に形成された物体マーカを撮像可能である
請求項36に記載の加工システム。
【請求項38】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工システムであって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、
前記照射装置を移動させる移動装置と、
前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、
前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、
前記照射装置の位置を計測する第3計測装置と
を備え、
前記第1計測装置は、前記物体を撮像可能な撮像装置を含み、
前記撮像装置は、前記物体に形成された物体マーカを撮像可能である
加工システム。
【請求項39】
前記第1計測装置は、前記照射光学系を介することなく測定光を前記物体に照射し且つ前記照射光学系を介することなく前記物体からの前記測定光を検出することで前記物体の位置を計測可能な第1光学計測装置を含む
請求項1から15のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項40】
前記第1計測装置は、少なくとも前記最終光学要素を介することなく前記物体の位置を計測する
請求項1から15及び39のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項41】
前記第2計測装置は、前記照射光学系を介して計測光源からの計測光源光を照射し且つ前記照射光学系を介して前記物体からの前記計測光源光を検出可能な第2光学計測装置を含む
請求項1から15及び39から40のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項42】
前記計測光源は、第1の計測光源であり、
前記第2計測装置は、前記照射光学系を介した前記物体からの前記計測光源光と、第2の計測光源からの参照光との干渉光を検出可能である
請求項8、9、25、26、33又は41に記載の加工システム。
【請求項43】
前記計測光源光及び前記参照光の少なくとも一方は、周波数軸上で等間隔に並んだ周波数成分を含むパルス光を含む
請求項42に記載の加工システム。
【請求項44】
前記第3計測装置は、前記計測光を照射し且つ前記照射装置からの前記計測光を検出可能な第3光学計測装置を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項45】
前記第3計測装置は、前記照射装置及び前記物体から離れた位置から、前記照射装置及び前記物体の少なくとも一方の位置を計測可能な位置計測装置を含む
請求項1から15、39から41及び44のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項46】
前記第1計測装置は、第1の計測軸に沿った方向、前記第1の計測軸に交差する第2の計測軸に沿った方向、並びに、第1及び第2の計測軸の双方に交差する第3の計測軸廻りの回転方向の少なくとも一つにおける前記物体の位置を計測可能である
請求項1から45のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項47】
前記第2計測装置は、第1の計測軸及び前記第1の計測軸に交差する第2の計測軸の双方に交差する第3の計測軸に沿った方向における前記物体の位置を計測可能である
請求項1から46のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項48】
前記第2計測装置は、計測光源からの計測光源光を照射し且つ前記物体からの前記計測光源光を検出することで、前記物体の位置を計測し、
前記第3の計測軸に沿った方向は、前記計測光源光の照射方向に沿った方向と平行である
請求項47に記載の加工システム。
【請求項49】
前記第2計測装置は、前記物体の表面の複数個所のそれぞれに計測光源からの計測光源光を照射し且つ前記照射光学系を介して前記複数個所からの計測光源光を検出することで、前記物体の表面の形状を検出可能である
請求項1から48のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項50】
前記第2計測装置は、第1の計測軸及び前記第1の計測軸に交差する第2の計測軸の双方に交差する第3の計測軸に沿った方向、前記第1の計測軸廻りの回転方向、並びに、前記第2の計測軸廻りの回転方向の少なくとも一つにおける前記物体の位置を計測可能である
請求項1から49のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項51】
前記第3計測装置は、前記照射装置の角速度を検出可能な角速度検出装置を含む
請求項1から15、39から41及び44から45のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項52】
前記第3計測装置は、前記エンドエフェクタの角速度を検出可能な角速度検出装置を含む
請求項16及び29から35のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項53】
前記第3計測装置は、衛星測位システムを用いて、前記照射光学系及び前記物体の少なくとも一方の位置を計測可能な衛星測位装置を含む
請求項1から15、39から41、44から45及び51のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項54】
前記第3計測装置は、衛星測位システムを用いて、前記エンドエフェクタの位置を計測可能な衛星測位装置を含む
請求項16、29から35及び52のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項55】
前記第3計測装置は、第1の計測軸に沿った方向、前記第1の計測軸に交差する第2の計測軸に沿った方向、第1及び第2の計測軸の双方に交差する第3の計測軸に沿った方向、前記第1の計測軸廻りの回転方向、前記第2の計測軸廻りの回転方向、並びに、前記第3の計測軸廻りの回転方向の少なくとも一つにおける前記照射装置の位置を計測可能である
請求項1から15、39から41、44から45、51及び53のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項56】
前記第3計測装置は、第1の計測軸に沿った方向、前記第1の計測軸に交差する第2の計測軸に沿った方向、第1及び第2の計測軸の双方に交差する第3の計測軸に沿った方向、前記第1の計測軸廻りの回転方向、前記第2の計測軸廻りの回転方向、並びに、前記第3の計測軸廻りの回転方向の少なくとも一つにおける前記エンドエフェクタの位置を計測可能である
請求項16、29から35、52及び54のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項57】
前記加工システムは、照射光学系を介して加工光を前記物体に照射して前記物体を加工し、
前記エンドエフェクタは、前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置を含み、
前記可動アームは、前記照射装置を移動させる移動装置である
請求項16に記載の加工システム。
【請求項58】
前記移動装置は、第1移動装置であり、
前記第1移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置と、
前記第1移動装置の移動ストロークよりも大きな移動ストロークで前記照射装置を移動させる第2移動装置と
を更に備え、
前記照射光学系は、前記加工光の焦点位置を変更させることで前記物体の表面における前記加工光の照射位置を変更する焦点位置変更装置を含み、
前記駆動装置は、
前記照射装置に接続される第1接続部材と、
前記第1移動装置に接続される第2接続部材と、
前記第1接続部材と前記第2接続部材との相対的な位置関係を変更することで前記物体に対して前記照射装置を移動させる駆動部材と、
前記第1接続部材と前記第2接続部材とを結合する弾性部材と
を含み、
前記第1移動装置は、
前記駆動装置に接続される第3接続部材と、
前記第2移動装置に接続される第4接続部材と、
前記第3接続部材と前記第4接続部材との相対的な位置関係を変更するように移動可能な可動部材と
を含み、
前記第2移動装置は、
前記第1移動装置に接続される第5接続部材と、
前記物体に対して第5接続部材を移動させる移動機構と
を含む請求項1から15、39から41、44から45、51、55及び57のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項59】
前記可動部材は、複数のアーム部材と、前記複数のアーム部材を可動自在に接続するジョイント部材とを含む
請求項58に記載の加工システム。
【請求項60】
前記移動機構は、前記物体に干渉することなく自走可能な自走装置及び前記物体から離れた位置を飛行可能な飛行装置の少なくとも一方を含む
請求項58又は59のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項61】
前記駆動装置の移動精度は、前記第1移動装置の移動精度よりも高く、
前記第1移動装置の移動精度は、前記第2移動装置の移動精度よりも高い
請求項58から60のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項62】
前記照射光学系が前記物体の表面のショット領域に前記加工光を照射可能となる位置に前記照射装置が移動するように、前記第3計測装置の計測結果及び前記ショット領域の位置に関する位置情報に基づいて、前記第1及び第2移動装置の少なくとも一方を制御する第1動作を行い、
前記第1動作を行った後、前記ショット領域と前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素との相対的な位置関係が固定されるように、前記第1計測装置の計測結果に基づいて、前記駆動装置を制御し、且つ、前記ショット領域の所望位置に前記加工光が照射されるように、前記第2計測装置の計測結果及び前記ショット領域の加工内容を示す加工内容情報に基づいて、前記焦点位置変更装置を制御する第2動作を行う
請求項58から61のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項63】
前記第1動作が行われている期間中は、前記駆動装置は、前記照射装置を移動させず、且つ、前記焦点位置変更装置は、前記焦点位置を変更せず、
前記第2動作が行われている期間中は、前記第1及び第2移動装置は、前記照射装置を移動させない
請求項62に記載の加工システム。
【請求項64】
前記第1動作が行われている期間中は、前記第2移動装置が前記照射装置を移動させた後に、前記第1移動装置が前記照射装置を移動させる
請求項62又は63のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項65】
物体を加工する加工システムであって、
第1加工光を前記物体に照射する第1照射光学系のうち少なくとも第1最終光学要素を有する第1照射装置と、
第2加工光を前記物体に照射する第2照射光学系のうち少なくとも第2最終光学要素を有する第2照射装置と、
前記第1及び第2照射装置の位置を計測する計測装置と、
前記第1照射装置を移動させる第1移動装置と、
前記第2照射装置を移動させる第2移動装置と、
前記第1及び第2移動装置を制御する制御装置と
を備え、
前記第1照射装置は、前記物体の第1領域を加工し、
前記第2照射装置は、前記物体の第2領域を加工し、
前記計測装置は、前記第1照射装置、前記第2照射装置及び前記物体から離れた位置から、前記第1及び第2照射装置の位置を計測可能であり、
前記制御装置は、前記計測装置の結果に基づいて、前記第1照射装置と前記第2照射装置とが衝突しないように、前記第1及び第2照射装置を移動させる
加工システム。
【請求項66】
前記第1照射装置は、第1加工空間に配置され、
前記第2照射装置は、前記第1加工空間とは異なる第2加工空間に配置される
請求項65に記載の加工システム。
【請求項67】
前記計測装置は、第1計測装置であり、
第3加工光を前記物体に照射する第3照射光学系のうち少なくとも第3最終光学要素を有する第3照射装置と、
前記第3照射装置の位置を計測する第2計測装置と
を備え、
前記第3照射装置は、前記物体の第3領域を加工し、
前記第2計測装置は、前記第3照射装置及び前記物体から離れた位置から、前記第3照射装置の位置を計測可能である
請求項65又は66に記載の加工システム。
【請求項68】
物体を加工する加工システムであって、
第1加工光を前記物体に照射する第1照射光学系のうち少なくとも第1最終光学要素を有する第1照射装置と、
第2加工光を前記物体に照射する第2照射光学系のうち少なくとも第2最終光学要素を有する第2照射装置と、
第3加工光を前記物体に照射する第3照射光学系のうち少なくとも第3最終光学要素を有する第3照射装置と、
前記第1及び第2照射装置の位置を計測する第1計測装置と、
前記第3照射装置の位置を計測する第2計測装置と
を備え、
前記第1照射装置は、前記物体の第1領域を加工し、
前記第2照射装置は、前記物体の第2領域を加工し、
前記第3照射装置は、前記物体の第3領域を加工し、
前記第1計測装置は、前記第1照射装置、前記第2照射装置及び前記物体から離れた位置から、前記第1及び第2照射装置の位置を計測可能であり、
前記第2計測装置は、前記第3照射装置及び前記物体から離れた位置から、前記第3照射装置の位置を計測可能である
加工システム。
【請求項69】
前記第1照射装置を移動させる第1移動装置と、
前記第2照射装置を移動させる第2移動装置と、
前記第3照射装置を移動させる第3移動装置と、
前記第1から第3移動装置を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記第1計測装置の計測結果に基づいて、前記第1及び第2照射装置を移動させ、
前記制御装置は、前記第2計測装置の計測結果に基づいて、前記第3照射装置を移動させる
請求項67又は68に記載の加工システム。
【請求項70】
前記制御装置は、前記第1及び第2計測装置の結果に基づいて、前記第1照射装置と前記第2照射装置と前記第3照射装置とが衝突しないように、前記第1から第3照射装置を移動させる
請求項69に記載の加工システム。
【請求項71】
前記第1照射装置は、第1加工空間に配置され、
前記第2照射装置は、前記第1加工空間とは異なる第2加工空間に配置される
前記第3照射装置は、前記第1及び第2加工空間とは異なる第3加工空間に配置される
請求項67から70のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項72】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測することと、
第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
移動装置を用いて、前記照射装置を移動させることと
を備え、
前記第1計測装置は、前記最終光学要素に対して固定された位置に配置され、且つ、前記物体の位置を計測し、
前記第3計測装置は、前記最終光学要素に対して固定された位置に配置された反射部に対して計測光を照射し、前記反射部によって反射された計測光を検出して、前記反射部の位置を計測する加工方法。
【請求項73】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測することと、
前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
移動装置を用いて、前記照射装置を移動させることと、
前記第1計測装置による計測結果に基づいて、前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置を用いて、前記照射装置を駆動することと
を備える加工方法。
【請求項74】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測することと、
前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
前記第3計測装置による計測結果に基づいて、移動装置を用いて、前記照射装置及び前記第1計測装置を移動させることと、
前記移動装置により前記照射装置が移動している間又は移動した後に、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置を用いて、前記照射装置を駆動することと、
前記駆動装置により前記照射装置が駆動されている間又は駆動された後に、前記第2計測装置による計測結果に基づいて、前記加工光の焦点位置を変更することと
を備える加工方法。
【請求項75】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測することと、
前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
移動装置を用いて、前記照射装置を移動させることと
を備え、
前記第2計測装置は、前記照射光学系の少なくとも一部を介して計測光源からの計測光源光を照射し且つ前記照射光学系を介して前記物体からの前記計測光源光を検出することで、前記物体の位置を計測する加工方法。
【請求項76】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測することと、
前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
移動装置を用いて、前記照射装置を移動させることと
を備え、
前記照射装置から前記物体までの間の距離は、前記第3計測装置と前記照射装置との間の距離よりも短い
加工方法。
【請求項77】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測することと、
前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
移動装置を用いて、前記照射装置を移動させることと
を備え、
前記第1計測装置の計測分解能及び前記第2計測装置の計測分解能は、前記第3計測装置の計測分解能よりも高い
加工方法。
【請求項78】
物体を加工する加工方法であって、
可動アームに接続されたエンドエフェクタであって、かつ、前記物体を加工するためのエンドエフェクタに対して固定された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、照射光学系を介して前記物体の位置を計測することと、
前記エンドエフェクタから離れた位置から前記エンドエフェクタに向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記エンドエフェクタの位置を計測する第3計測装置を用いて、前記エンドエフェクタの位置を計測することと
を備える加工方法。
【請求項79】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測することと、
第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
移動装置を用いて、前記照射装置を移動させることと
を備え、
前記第1計測装置の計測分解能及び前記第2計測装置の計測分解能は、前記第3計測装置の計測分解能よりも高い
加工方法。
【請求項80】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測することと、
第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
移動装置を用いて、前記照射装置を移動させることと、
前記第1計測装置による計測結果に基づいて、前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置を用いて、前記照射装置を駆動することと
を備える加工方法。
【請求項81】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測することと、
第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
前記第3計測装置による計測結果に基づいて、移動装置を用いて、前記照射装置及び前記第1計測装置を移動させることと、
前記移動装置により前記照射装置が移動している間又は移動した後に、前記第1計測装置による計測結果に基づいて、前記移動装置の移動ストロークよりも小さな移動ストロークで前記照射装置を駆動させる駆動装置を用いて、前記照射装置を駆動することと、
前記駆動装置により前記照射装置が駆動されている間又は駆動された後に、前記第2計測装置による計測結果に基づいて、前記加工光の焦点位置を変更することと
を備える加工方法。
【請求項82】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測することと、
第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
移動装置を用いて、前記照射装置を移動させることと
を備え、
前記第2計測装置は、前記照射光学系の少なくとも一部を介して計測光源からの計測光源光を照射し且つ前記照射光学系を介して前記物体からの前記計測光源光を検出することで、前記物体の位置を計測する加工方法。
【請求項83】
照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工方法であって、
前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置に配置された第1計測装置を用いて、前記物体の位置を計測することと、
第2計測装置を用いて、前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測することと、
第3計測装置を用いて、前記照射装置の位置を計測することと、
移動装置を用いて、前記照射装置を移動させることと、
前記物体を撮像可能な撮像装置を用いて、前記物体に形成された物体マーカを撮像することと
を備える加工方法。
【請求項84】
物体を加工する加工方法であって、
第1加工光を前記物体に照射する第1照射光学系のうち少なくとも第1最終光学要素を有する第1照射装置を用いて、前記物体の第1領域を加工することと、
第2加工光を前記物体に照射する第2照射光学系のうち少なくとも第2最終光学要素を有する第2照射装置を用いて、前記物体の第2領域を加工することと、
前記第1照射装置、前記第2照射装置及び前記物体から離れた位置から、前記第1及び第2照射装置の位置を計測可能な計測装置を用いて、前記第1及び第2照射装置の位置を計測することと、
前記第1照射装置を移動させる第1移動装置及び前記第照射装置を移動させる第2移動装置を用いて、前記計測装置の結果に基づいて、前記第1照射装置と前記第2照射装置とが衝突しないように、前記第1及び第2照射装置を移動させることと
を備える加工方法。
【請求項85】
物体を加工する加工方法であって、
第1加工光を前記物体に照射する第1照射光学系のうち少なくとも第1最終光学要素を有する第1照射装置を用いて、前記物体の第1領域を加工することと、
第2加工光を前記物体に照射する第2照射光学系のうち少なくとも第2最終光学要素を有する第2照射装置を用いて、前記物体の第2領域を加工することと、
第3加工光を前記物体に照射する第3照射光学系のうち少なくとも第3最終光学要素を有する第3照射装置を用いて、前記物体の第3領域を加工することと、
前記第1照射装置、前記第2照射装置及び前記物体から離れた位置から、前記第1及び第2照射装置の位置を計測可能な第1計測装置を用いて、前記第1及び第2照射装置の位置を計測することと、
前記第3照射装置及び前記物体から離れた位置から、前記第3照射装置の位置を計測可能な第2計測装置を用いて、前記第3照射装置の位置を計測することを
を備える加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を加工する加工システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
物体を加工可能な加工システムとして、特許文献1には、物体の表面に加工光を照射して物体を加工する加工システムが記載されている。この種の加工システムでは、加工光を物体に照射する照射装置(つまり、物体を加工する加工装置)及び物体の少なくとも一方の位置を適切に計測することが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2000/054925号パンフレット
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工システムであって、前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、前記照射装置を移動させる移動装置と、前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置とを備える加工システムが提供される。
【0005】
第2の態様によれば、照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工システムであって、前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、前記照射装置を移動させる移動装置と、前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、前記照射光学系を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、前記照射装置の位置を計測する第3計測装置とを備える加工システムが提供される。
【0006】
第3の態様によれば、照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工システムであって、前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、前記照射装置を移動させる移動装置と、前記最終光学要素に対して固定された位置に配置され、且つ、前記物体の位置を計測する第1計測装置と、前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、前記最終光学系に対して固定された位置に配された反射部に対して計測光を照射し、前記反射部によって反射された計測光を検出して、前記反射部の位置を計測する第3計測装置とを備える加工システムが提供される。
【0007】
第4の態様によれば、物体を加工する加工システムであって、可動アームと、可動アームに接続され、かつ、前記物体を加工するためのエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタに対して固定され、かつ、前記物体の位置を計測する第1計測装置と、照射光学系を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、前記エンドエフェクタから離れた位置から前記エンドエフェクタに向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記エンドエフェクタの位置を計測する第3計測装置とを備える加工システムが提供される。
【0008】
第5の態様によれば、照射光学系を介して加工光を物体に照射して物体を加工する加工システムであって、前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、少なくとも前記加工光の照射方向と交わる方向における前記物体の位置を計測する第1計測装置と、前記照射装置及び前記第1計測装置を移動させる移動装置と、前記照射光学系の少なくとも一部を介して、前記加工光の照射方向における前記物体の位置を計測する第2計測装置と、前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置とを備える加工システムが提供される。
【0009】
第6の態様によれば、物体を加工する加工システムであって、第1加工光を前記物体に照射する第1照射光学系のうち少なくとも第1最終光学要素を有する第1照射装置と、第2加工光を前記物体に照射する第2照射光学系のうち少なくとも第2最終光学要素を有する第2照射装置と、前記第1及び第2照射装置の位置を計測する計測装置とを備え、前記第1照射装置は、前記物体の第1領域を加工し、前記第2照射装置は、前記物体の第2領域を加工し、前記計測装置は、前記第1照射装置、前記第2照射装置及び前記物体から離れた位置から、前記第1及び第2照射装置の位置を計測可能である加工システムが提供される。
【0010】
第7の態様によれば、照射光学系を介して加工光を物体に照射して前記物体を加工する加工システムであって、前記照射光学系のうち少なくとも最終光学要素を有する照射装置と、前記照射装置を移動させる移動装置と、前記照射装置に配置され且つ前記物体の位置を計測する第1計測装置と、前記照射光学系のうち少なくとも前記最終光学要素を介して前記物体の位置を計測する第2計測装置と、前記照射装置から離れた位置から前記照射装置に向けて計測光を照射し、前記計測光を検出して前記照射装置の位置を計測する第3計測装置とを備える加工システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る加工システムの全体構造の一例を模式的に示す模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る加工システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
図3図3は、ワークに形成されたワークマーカの一例を示す平面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る加工システムの加工ヘッドの構造を示すブロック図である。
図5図5は、ワークの複数個所に照射される計測光を示す斜視図である。
図6図6は、自走駆動系及びアーム駆動系の構造を示す模式図である。
図7図7は、微動駆動系の構造を示す模式図である。
図8図8は、計測装置の外観を示す正面図である。
図9図9は、計測装置の構造を示すブロック図である。
図10図10は、計測装置の他の構造を示すブロック図である。
図11図11は、加工装置が加工するワークの一具体例を示す模式図である。
図12図12は、加工動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図13図13は、ショット領域SAを示す斜視図である。
図14図14は、加工対象ショット領域に対して加工光を照射することができない位置に位置する加工ヘッドを示す模式図である。
図15図15は、加工対象ショット領域に対して加工光を照射可能な位置に位置する加工ヘッドを示す模式図である。
図16図16は、複数のショット領域に形成されたワークマーカの一例を示す平面図である。
図17図17は、第2実施形態に係る加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図18図18は、第3実施形態に係る加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図19図19は、第4実施形態に係る加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図20図20は、第5実施形態に係る加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図21図21は、第5実施形態に係る加工システムの加工装置の外観を示す正面図である。
図22図22は、第6実施形態に係る加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図23図23は、第6実施形態に係る加工システムの複数の加工装置の配置位置を示す平面図である。
図24図24は、第7実施形態に係る加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図25図25は、第7実施形態に係る加工システムの複数の加工装置の配置位置を示す平面図である。
図26図26は、エンドエフェクタを備える加工ヘッドの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、加工システムの実施形態について説明する。以下では、加工光ELを用いてワークWという物体を加工する(つまり、ワークWを対象とする加工処理を行う)加工システムSYSを用いて、加工システムの実施形態を説明する。但し、本発明が以下に説明する実施形態に限定されることはない。
【0013】
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、加工システムSYSを構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。以降、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向であり且つZ軸方向が鉛直方向となる座標系を、加工システムSYSaにおいて基準として用いられる基準座標系と称する。以下の説明では、特段の説明がない場合には、X軸、Y軸及びZ軸は、基準座標系におけるX軸、Y軸及びZ軸をそれぞれ意味していてもよい。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。
【0014】
(1)第1実施形態に係る加工システムSYSa
初めに、第1実施形態に係る加工システムSYS(以降、第1実施形態に係る加工システムSYSを、“加工システムSYSa”と称する)について説明する。
【0015】
(1-1)加工システムSYSaの構造
初めに、図1及び図2を参照しながら、第1実施形態に係る加工システムSYSaの構造について説明する。図1は、第1実施形態に係る加工システムSYSaの外観を模式的に示す側面図である。図2は、第1実施形態に係る加工システムSYSaのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、加工システムSYSaは、加工装置1と、計測装置2と、制御装置3とを備えている。
【0017】
加工装置1は、制御装置3の制御下で、ワークWを加工可能である。ワークWは、加工装置1によって加工される物体である。ワークWは、例えば、金属であってもよいし、合金(例えば、ジュラルミン等)であってもよいし、半導体(例えば、シリコン)であってもよいし、樹脂であってもよいし、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)等の複合材料であってもよいし、塗料(一例として基材に塗布された塗料層)であってもよいし、ガラスであってもよいし、それ以外の任意の材料から構成される物体であってもよい。
【0018】
ワークWは、支持面SS上に配置される。図1に示すように、ワークWは、支持面SS上でワークを支持する支持部材SMを介して支持面SS上に配置されてもよい。或いは、ワークWは、支持面SS上に直接配置されてもよい。ワークWが支持面SS上に配置されてもよいことから、支持面SSは配置面と称されてもよい。
【0019】
加工装置1は、ワークWを加工するために、ワークWに対して加工光ELを照射する。加工光ELは、ワークWに照射されることでワークWを加工可能である限りは、どのような種類の光であってもよい。第1実施形態では、加工光ELがレーザ光である例を用いて説明を進める。但し、加工光ELは、レーザ光とは異なる種類の光であってもよい。更に、加工光ELの波長は、ワークWに照射されることでワークWを加工可能である限りは、どのような波長であってもよい。例えば、加工光ELは、可視光であってもよいし、不可視光(例えば、赤外光、紫外光及び極端紫外光等の少なくとも一つ)であってもよい。加工光ELは、パルス光(例えば、発光時間がピコ秒以下のパルス光)を含んでいてもよい。或いは、加工光ELは、パルス光を含んでいなくてもよい。言い換えると、加工光ELは、連続光であってもよい。
【0020】
加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射することでワークWの一部を除去する除去加工を行ってもよい。除去加工を行う場合には、加工装置1は、リブレット構造をワークWに形成してもよい。リブレット構造は、ワークWの表面の流体に対する抵抗(特に、摩擦抵抗及び乱流摩擦抵抗の少なくとも一方)を低減可能な構造を含んでいてもよい。リブレット構造は、流体とワークWの表面とが相対的に移動するときに発生する騒音を低減可能な構造を含んでいてもよい。リブレット構造は、例えば、ワークWの表面に沿った第1の方向(例えば、Y軸方向)に沿って延びる溝が、ワークWの表面に沿っており且つ第1の方向に交差する第2方向(例えば、X軸方向)に沿って複数配列された構造を含んでいてもよい。尚、ここでいう流体とは、ワークWの表面に対して流れている媒質(例えば、気体及び液体の少なくとも一方)を意味する。例えば、媒質自体が静止している状況下でワークWの表面が媒質に対して移動する場合には、この媒質を流体と称してもよい。尚、媒質が静止している状態は、所定の基準物(例えば、支持面SS又は地表面)に対して媒質が移動していない状態を意味していてもよい。
【0021】
除去加工を行う場合には、加工システムSYSaは、ワークWの表面上に、任意の形状を有する任意の構造を形成してもよい。任意の構造の一例として、ワークWの表面上の流体の流れに対して渦を発生させる構造があげられる。任意の構造の他の一例として、ワークWの表面に疎水性を与えるための構造があげられる。任意の構造の他の一例としては、規則的又は不規則的に形成されたマイクロ・ナノメートルオーダの微細テクスチャ構造(典型的には凹凸構造)があげられる。微細テクスチャ構造は、流体(気体及び/又は液体)による抵抗を低減させる機能を有するサメ肌構造及びディンプル構造の少なくとも一方を含んでいてもよい。微細なテクスチャ構造は、撥液機能及びセルフクリーニング機能の少なくとも一方を有する(例えば、ロータス効果を有する)ハスの葉表面構造を含んでいてもよい。微細なテクスチャ構造は、液体輸送機能を有する微細突起構造(米国特許公開第2017/0044002号公報参照)、親液性機能を有する凹凸構造、防汚機能を有する凹凸構造、反射率低減機能及び撥液機能の少なくとも一方を有するモスアイ構造、特定波長の光のみを干渉で強めて構造色を呈する凹凸構造、ファンデルワールス力を利用した接着機能を有するピラーアレイ構造、空力騒音低減機能を有する凹凸構造、液滴捕集機能を有するハニカム構造、並びに、表面上に形成される層との密着性を向上させる凹凸構造、摩擦抵抗を低減するための凹凸構造等の少なくとも一つを含んでいてもよい。ここで、微細なテクスチャ構造は特定の機能を有していなくてもよい。尚、加工システムSYSaは、ワークWの表面を平滑化してもよい。ここで、表面を平滑化することは、加工前の表面に対して加工後の表面の方が滑らかになるように表面を加工することを意味してもよい。また、加工システムSYSaは、ワークWの表面に存在するバリを除去してもよい。
【0022】
加工装置1は、除去加工に加えて又は代えて、ワークWに加工光ELを照射して、ワークWに新たな構造物を付加する付加加工を行ってもよい。この場合、加工装置1は、付加加工を行うことで、上述したリブレット構造をワークWの表面に形成してもよい。加工装置1は、除去加工及び付加加工の少なくとも一方に加えて又は代えて、ワークWに加工光ELを照射して、ワークWの表面に所望のマークを形成するマーキング加工を行ってもよい。
【0023】
加工装置1は更に、制御装置3の制御下で、ワークWを計測可能である。加工装置1は、ワークWを計測するために、ワークWに対して計測光ML2を照射する。計測光ML2は、ワークWに照射されることでワークWを計測可能である限りは、どのような種類の光であってもよい。第1実施形態では、計測光ML2がレーザ光である例を用いて説明を進める。但し、計測光ML2は、レーザ光とは異なる種類の光であってもよい。更に、計測光ML2の波長は、ワークWに照射されることでワークWを計測可能である限りは、どのような波長であってもよい。例えば、計測光ML2は、可視光であってもよいし、不可視光(例えば、赤外光、紫外光及び極端紫外光等の少なくとも一つ)であってもよい。計測光ML2は、パルス光(例えば、発光時間がピコ秒以下のパルス光)を含んでいてもよい。或いは、計測光ML2は、パルス光を含んでいなくてもよい。言い換えると、計測光ML2は、連続光であってもよい。
【0024】
計測光ML2の波長は、加工光ELの波長と異なっていてもよい。例えば、計測光ML2の波長は、加工光ELの波長よりも短くてもよい。一例として、計測光ML2として266nm又は355nmの波長帯の光が用いられ、加工光ELとして532nm、1μm又は10μmの波長帯の光が用いられてもよい。この場合、ワークW上での計測光ML2のスポット径が、ワークW上での加工光ELのスポット径よりも小さくなる。その結果、加工光ELによる加工分解能よりも、計測光ML2による計測分解能が高くなる。尚、加工分解能は、加工光ELによる加工の細かさの限界値(例えば、加工可能な最小サイズ)を意味していてもよい。計測分解能は、計測光ML2による計測の細かさの限界値(例えば、計測可能な最小サイズ)を意味していてもよい。但し、計測光ML2の波長は、加工光ELの波長よりも短くなくてもよい。計測光ML2の波長は、加工光ELの波長と同じであってもよい。
【0025】
加工装置1は、計測光ML2を用いて、ワークWの状態を計測可能であってもよい。ワークWの状態は、ワークWの位置を含んでいてもよい。ワークWの位置は、ワークWの表面の位置を含んでいてもよい。ワークWの表面の位置は、ワークWの表面を細分化した各面部分のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一つにおける位置を含んでいてもよい。ワークWの表面の位置は、ワークWの表面を細分化した各面部分のθX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおける位置を含んでいてもよい。つまり、加工装置1は、計測光ML2を用いて、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおけるワークWの位置を計測可能であってもよい。ここで、ワークWのθX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおける位置はワークWの姿勢と称してもよい。尚、各面部分のθX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおける位置は、各面部分の姿勢(つまり、各面部分の向き(例えば、各面部分の法線の向き)であり、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに対する各面部分の傾斜量と実質的に等価)と等価であるとみなしてもよい。尚、ここで言う各面部分の傾斜量は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つと各面部分の法線とがなす角度を意味していてもよい。この場合、ワークの状態は、実質的には、ワークWの形状(例えば、3次元形状)を含んでいるとも言える。また、ワークWの状態は、ワークWの大きさ(例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一つにおける大きさ)を含んでいてもよい。また、加工装置1は、計測光ML2を用いて、ワークWの特性を計測可能であってもよい。ワークWの特性は、ワークWの表面の面粗さを含んでいてもよい。面粗さは、ISO25178で定義されている面粗さを意味していてもよい。ワークWの特性は、所定の波長の光に対するワークWの反射率の少なくとも一方を含んでいてもよい。尚、所定の波長の光に対するワークWの反射率は、ワークWに入射した所定の波長の光の光束に対する、ワークWで反射した所定の波長の光の光束の比率を意味していてもよい。ここで、ワークWの反射率は、波長毎の反射率を含んでいてもよい。つまり、ワークWの特性は、ワークWの色を含んでいてもよい。尚、ワークWの色は、ワークWの表面からの光の組成(つまり、ワークWの表面からの光を構成する波長成分)によって感知される視知覚(色知覚又は白刺激)を意味していてもよい。
【0026】
ワークWを加工及び計測するために、加工装置1は、加工光ELを生成する加工光源11と、計測光ML2を生成する計測光源12と、加工ヘッド13と、ヘッド駆動系14と、撮像装置15とを備える。
【0027】
加工ヘッド13は、加工光源11からの加工光ELをワークWに照射し且つ計測光源12からの計測光ML2をワークWに照射する。このため、加工ヘッド13は、照射装置と称されてもよい。加工光EL及び計測光ML2をワークWに照射するために、加工ヘッド13は、加工光学系131と、計測光学系132と、合成光学系133と、対物光学系134を備える。加工ヘッド13は、加工光学系131、合成光学系133及び対物光学系134を介して、加工光ELをワークWに照射する。このため、加工ヘッド13は、加工光学系131、合成光学系133及び対物光学系134を介して、ワークWを加工しているとみなしてもよい。この場合、加工光学系131、合成光学系133及び対物光学系134を含む光学系は、加工光ELをワークWに照射するための照射光学系として機能するとみなしてもよい。また、加工ヘッド13は、計測光学系132、合成光学系133及び対物光学系134を介して、計測光ML2をワークWに照射する。このため、加工ヘッド13は、計測光学系132、合成光学系133及び対物光学系134を介して、ワークWを計測しているとみなしてもよい。この場合、計測光学系132、合成光学系133及び対物光学系134を含む光学系は、計測光ML2をワークWに照射するための照射光学系として機能するとみなしてもよい。尚、加工ヘッド13の構造の詳細については、図4を参照しながら、後に詳述する。
【0028】
ヘッド駆動系14は、加工ヘッド13を移動させる。具体的には、ヘッド駆動系14は、ワークWに対して加工ヘッド13を移動させる。このため、ヘッド駆動系14は、移動装置と称されてもよい。加工ヘッド13を移動させるために、ヘッド駆動系14は、自走駆動系141と、アーム駆動系142と、微動駆動系143とを備える。但し、ヘッド駆動系14は、自走駆動系141、アーム駆動系142及び微動駆動系143の少なくとも一つを備えていなくてもよい。移動装置と称されるヘッド駆動系14は、加工ヘッド13を移動させることで、加工ヘッド13に設けられた最終光学要素(具体的には、加工光ELの光路上に配置される複数の光学要素のうちの最終段のパワーを有する光学要素であり、例えば、後述のfθレンズ1342)を移動させる。尚、自走駆動系141、アーム駆動系142及び微動駆動系143のそれぞれの構造については、図6から図7を参照しながら、後に詳述する。但し、自走駆動系141、アーム駆動系142及び微動駆動系143の概要について、以下に簡単に説明する。
【0029】
自走駆動系141は、ワークWを支持又は配置する支持面SS上を自走可能である。尚、ここで言う「自走駆動系141が支持面SS上を自走する状態」は、自動駆動系141が、自走駆動系141自身が生成した動力を用いて支持面SSに対して移動する状態を意味していてもよい。自走駆動系141には、アーム駆動系142及び微動駆動系143を介して加工ヘッド13が接続されている(言い換えれば、結合又は連結されている)。このため、自走駆動系141は、自走することで加工ヘッド13を移動させる。このため、自走駆動系141は、移動装置又は自走装置と称されてもよい。
【0030】
アーム駆動系142は、ロボットアームとして機能可能な駆動系である。アーム駆動系142には、微動駆動系143を介して加工ヘッド13が接続されている。アーム駆動系142は、ロボットアームのように動くことで、加工ヘッド13を移動させる。このため、アーム駆動系142は、移動装置と称されてもよい。
【0031】
アーム駆動系142は、自走駆動系141よりも小さな移動ストロークで加工ヘッド13を移動してもよい。言い換えれば、自走駆動系141は、アーム駆動系142よりも大きな移動ストロークで加工ヘッド13を移動してもよい。尚、移動ストロークは、一の方向における最大移動量を意味していてもよい。但し、アーム駆動系142は、自走駆動系141と同じ又はより大きな移動ストロークで加工ヘッド13を移動してもよい。一方で、アーム駆動系142による加工ヘッド13の移動精度(言い換えれば、移動分解能)は、自走駆動系141よる加工ヘッド13の移動精度よりも高くてもよい。言い換えれば、自走駆動系141による加工ヘッド13の移動精度は、アーム駆動系142よる加工ヘッド13の移動精度よりも低くてもよい。尚、移動精度(移動分解能)は、移動の細かさの限界値(例えば、最小移動量)を意味していてもよい。但し、アーム駆動系142による加工ヘッド13の移動精度は、自走駆動系141よる加工ヘッド13の移動精度と同じであってもよいし、低くてもよい。尚、図1に示すように、加工ヘッド13は、ロボットアームとして機能可能なアーム駆動系142に接続されているため、エンドエフェクタと称されてもよい。
【0032】
微動駆動系143は、アーム駆動系142よりも小さな移動ストロークで加工ヘッド13を移動する(言い換えれば、駆動させる)。このため、微動駆動系143は、移動装置又は駆動装置と称されてもよい。一方で、微動駆動系143による加工ヘッド13の移動精度は、アーム駆動系142よる加工ヘッド13の移動精度よりも高い。このため、第1実施形態では、後に詳述するように、加工システムSYSaは、自走駆動系141及びアーム駆動系142を用いて、ワークWに対して加工ヘッド13を相対的に粗い又は低い精度で位置合わせしてもよい。その後、加工システムSYSaは、微動駆動系143を用いて、ワークWに対して加工ヘッド13を相対的に細かい又は高い精度で位置合わせしてもよい。
【0033】
ヘッド駆動系14は、電源144を備えていてもよい。尚、図1に示す例では、電源144は、自走駆動系141に配置されているが、電源144の配置位置が図1に示す位置に限定されることはない。電源144は、自走駆動系141が加工ヘッド13を移動させるために用いる電力を自走駆動系141に供給してもよい。電源144は、アーム駆動系142が加工ヘッド13を移動させるために用いる電力をアーム駆動系142に供給してもよい。電源144は、微動駆動系143が加工ヘッド13を移動させるために用いる電力を微動駆動系143に供給してもよい。電源144は、電力ケーブルを介して、自走駆動系141、アーム駆動系142及び微動駆動系143の少なくとも一つに電力を供給してもよい。電源144は、非接触給電方式(言い換えれば、ワイヤレス給電方式)を用いて、自走駆動系141、アーム駆動系142及び微動駆動系143の少なくとも一つに電力を供給してもよい。電源144は、充電ケーブルを介して電源144の外部から供給される電力によって充電されてもよい。電源144は、非接触給電方式(言い換えれば、ワイヤレス給電方式)を用いて電源144の外部から供給される電力によって充電されてもよい。
【0034】
自走駆動系141、アーム駆動系142及び微動駆動系143のそれぞれは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って加工ヘッド13を移動させる。尚、加工ヘッド13をθX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って移動させることは、加工ヘッド13のX軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つの廻りの姿勢を変更することと等価であるとみなしてもよい。
【0035】
加工ヘッド13が移動すると、加工ヘッド13とワークWとの位置関係が変わる。更には、ワークWと加工ヘッド13との位置関係が変わると、ワークWと加工ヘッド13が備える各光学系(つまり、加工光学系131、計測光学系132、合成光学系133及び対物光学系134の少なくとも一つ)との位置関係が変わる。更には、ワークWと加工ヘッド13との位置関係が変わると、ワークW上での加工光EL及び計測光ML2のそれぞれの照射位置が変わる。従って、加工ヘッド13を移動させることは、ワークW上での加工光EL及び計測光ML2のそれぞれの照射位置を変更することと等価である。加工ヘッド13を移動させることは、ワークWに対する加工光EL及び計測光ML2のそれぞれ集光位置を変更することと等価であるとみなしてもよい。
【0036】
撮像装置15は、加工ヘッド13に配置されている(つまり、取り付けられている又は固定されている)。このため、撮像装置15は、加工ヘッド13に対して固定された位置に配置されている。加工ヘッド13が上述した各光学系を備えているため、撮像装置15は、加工ヘッド13が備える各光学系に対して固定された位置に配置されているとみなしてもよい。上述したように、ヘッド駆動系14が加工ヘッド13を移動させると、加工ヘッド13に取り付けられた撮像装置15もまた移動する。このため、ヘッド駆動系14は、撮像装置15を移動させる移動装置として機能しているとみなしてもよい。或いは、ヘッド駆動系14は、加工ヘッド13と撮像装置15とを共に移動させる移動装置として機能しているとみなしてもよい。尚、撮像装置15は、加工ヘッド13以外の部材に配置されていてもよい。この場合においても、撮像装置15は、加工ヘッド13に対して固定された位置に配置されていてもよい。
【0037】
撮像装置15は、ワークWを撮像可能である。例えば、撮像装置15は、測定光と称されてもよい照明光ML1でワークWを照明し、照明光ML1で照明されたワークWを撮像してもよい。或いは、撮像装置15は、ワークWを照明光ML1で照明することなく、環境光(或いは、撮像装置15以外の装置が射出した照明光)で照明されたワークWを撮像してもよい。
【0038】
撮像装置15は、加工ヘッド13が備える各光学系の少なくとも一部を介することなく、ワークWを撮像してもよい。尚、「光学系の少なくとも一部を介することなくワークWを撮像する」ことは、「光学系の少なくとも一部を通過したワークWからの光を受光することなくワークWを撮像する」ことを意味していてもよい。「光学系の少なくとも一部を介することなくワークWを撮像する」ことは、「光学系の少なくとも一部を通過していないワークWからの光を受光することでワークWを撮像する」ことを意味していてもよい。例えば、撮像装置15は、加工光学系131、計測光学系132、合成光学系133及び対物光学系134を介することなく、ワークWを撮像してもよい。例えば、撮像装置15は、少なくともfθレンズ1342を介することなく、ワークWを撮像してもよい。
【0039】
撮像装置15は、ワークWを撮像することでワークWの位置を計測する。このため、撮像装置15は、計測装置と称されてもよい。尚、上述したように撮像装置15が加工ヘッド13の各光学系の少なくとも一部を介することなくワークWを撮像する場合には、撮像装置15は、加工ヘッド13の各光学系の少なくとも一部を介することなくワークWの位置を計測する計測装置として機能しているとみなしてもよい。尚、「光学系の少なくとも一部を介することなくワークWの位置を計測する」ことは、「光学系の少なくとも一部を通過したワークWからの光を用いることなくワークWの位置を計測する」ことを意味していてもよい。「光学系の少なくとも一部を介することなくワークWの位置を計測する」ことは、「光学系の少なくとも一部を通過していないワークWからの光を用いてワークWの位置を計測する」ことを意味していてもよい。
【0040】
具体的には、撮像装置15が撮像したワークWの画像(以降、“ワーク画像”と称する)は、撮像装置15から制御装置3に出力される。制御装置3は、ワーク画像を解析することで、ワークWの位置を算出する。例えば、制御装置3は、ワーク画像を解析することで、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおけるワークWの位置を算出する。この場合、撮像装置15は、上述した計測光ML2を用いてワークWの位置を計測する方法とは異なる方法で、ワークWの位置を計測していると言える。例えば、撮像装置15は、加工ヘッド13が備える各光学系を介することなく、ワークWの位置を光学的に計測していると言える。
【0041】
撮像装置15が加工ヘッド13に取り付けられているため、撮像装置15は、加工ヘッド13を基準に定まるヘッド座標系内でのワークWの位置を計測してもよい。つまり、制御装置3は、撮像装置15が撮像したワーク画像に基づいて、ヘッド座標系内でのワークWの位置を算出してもよい。尚、ヘッド座標系は、加工ヘッド13が備える対物光学系134の光軸(特に、後述するfθレンズ1342の光軸AX、図4参照)に沿った軸をZ軸とし、且つ、fθレンズ1342の光軸AXに直交し且つ互いに直交する二つの軸をX軸及びY軸とする座標系であってもよい。つまり、ヘッド座標系は、基準座標系内での加工ヘッド13の位置(姿勢を含む)に応じて基準座標系に対する位置及び姿勢が定まる三つの座標軸によって基準座標系内に定義される座標系である。但し、基準座標系内で加工ヘッド13がヘッド駆動系14によって移動するがゆえに、基準座標系内での加工ヘッド13の位置は、制御装置3にとって既知の情報である。このため、制御装置3は、基準座標系内での加工ヘッド13の位置に基づいて、基準座標系の座標をヘッド座標系の座標に変換し、且つ、ヘッド座標系の座標を基準座標系の座標に変換可能である。このため、ヘッド座標系内でのワークW(或いは、任意の物体)の位置を計測する動作は、実質的には、基準座標系内でのワークW(或いは、任意の物体)の位置を計測する動作と等価であるとみなしてもよい。
【0042】
尚、後述するように、加工ヘッド13は、fθレンズ1342の光軸AXに沿って進行する計測光ML2をワークWに照射する。このため、ヘッド座標系は、計測光ML2の新方向(つまり、照射方向)に沿った軸をZ軸とし、且つ、計測光ML2の進行方向に直交し且つ互いに直交する二つの軸をX軸及びY軸とする座標系であってもよい。また、後述するように、加工ヘッド13は、fθレンズ1342の光軸AXに沿って進行する加工光ELをワークWに照射する。このため、ヘッド座標系は、加工光ELの進行方向(つまり、照射方向)に沿った軸をZ軸とし、且つ、加工光ELの進行方向に直交し且つ互いに直交する二つの軸をX軸及びY軸とする座標系である。
【0043】
撮像装置15は、ワークWの位置を計測するために、ワークWの特徴点を撮像してもよい。ワークWの特徴点は、ワークWのうち特徴的な位置に存在する部分を含んでいてもよい。特徴的な位置は、例えば、ワークWの角、ワークWの端、ワークWの中心及びワークW上で加工光ELによって加工された領域と加工光ELによって未だ加工されていない領域との境界のうちの少なくとも一つに対応する位置を含んでいてもよい。ワークWの特徴点は、ワークWのうち特徴的な形状を有する部分を含んでいてもよい。特徴的な形状は、例えば、周囲から突き出た凸状の形状及び周囲から窪んだ凹状の形状の少なくとも一つを含んでいてもよい。この場合、制御装置3は、ワーク画像内での特徴点の位置を算出することで、ヘッド座標系内でのワークWの位置を算出してもよい。例えば、制御装置3は、ワーク画像内での一つの特徴点の位置を算出することで、ヘッド座標系内でのX軸方向、Y軸方向及びθZ方向のうちのいずれか一つにおけるワークWの位置を算出してもよい。例えば、制御装置3は、ワーク画像内での二つの特徴点の位置を算出することで、ヘッド座標系内でのX軸方向、Y軸方向及びθZ方向のうちのいずれか二つにおけるワークWの位置を算出してもよい。例えば、制御装置3は、ワーク画像内での三つ以上の特徴点の位置を算出することで、ヘッド座標系内でのX軸方向、Y軸方向及びθZ方向のそれぞれにおけるワークWの位置を算出してもよい。
【0044】
撮像装置15は、ワークWの位置を計測するために、ワークWに形成されたマーカ(以降、“ワークマーカWM”と称する)を撮像してもよい。尚、ワークマーカWMは、ワークWという物体に形成されるマーカであるため、物体マーカと称されてもよい。ワークマーカWMの一例が図3に示されている。図3に示すように、ワークWには、ワークWの表面上で所定の位置関係を有する少なくとも三つのワークマーカWMを含むマーカク群WMGが形成されていてもよい。この場合、撮像装置15は、マーカ群WMG(つまり、少なくとも三つのワークマーカWM)を撮像してもよい。この場合、制御装置3は、ワーク画像内での一つのワークマーカWMの位置を算出することで、ヘッド座標系内でのX軸方向、Y軸方向及びθZ方向のいずれか一つにおけるワークWの位置を算出してもよい。制御装置3は、ワーク画像内での二つのワークマーカWMの位置を算出することで、ヘッド座標系内でのX軸方向、Y軸方向及びθZ方向のいずれか二つにおけるワークWの位置を算出してもよい。制御装置3は、ワーク画像内での三つ以上のワークマーカWMの位置を算出することで、ヘッド座標系内でのX軸方向、Y軸方向及びθZ方向のそれぞれにおけるワークWの位置を算出してもよい。また、制御装置3は、ワーク画像内での少なくとも三つのワークマーカWMの形状及びサイズの少なくとも一つを算出することで、ヘッド座標系内でのZ軸方向、θX方向及びθY方向のそれぞれにおけるワークWの位置を算出してもよい。
【0045】
再び図1及び図2において、計測装置2は、加工ヘッド13の位置を計測可能である。このため、計測装置2は、位置計測装置と称されてもよい。具体的には、計測装置2は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおける加工ヘッド13の位置を計測可能である。ここで、加工ヘッド13のθX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおける位置は、加工ヘッド13の姿勢と称してもよい。尚、計測装置2の構造自体については、後に図7及び図8を参照しながら詳述する。但し、計測装置2の動作内容の概要について以下に簡単に説明する。
【0046】
加工ヘッド13の位置を計測するために、計測装置2は、計測光ML3を用いてもよい。具体的には、計測装置2は、加工ヘッド13に対して計測光ML3を照射し、加工ヘッド13からの計測光ML3(つまり、加工ヘッド13からの計測光ML3の戻り光)を検出することで、加工ヘッド13の位置を計測してもよい。加工ヘッド13からの計測光ML3の戻り光は、加工ヘッド13による計測光ML3の反射光及び加工ヘッド13による計測光ML3の散乱光の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0047】
加工ヘッド13に対して計測光ML3を照射するために、計測装置2は、加工ヘッド13から離れた位置に配置されていてもよい。尚、加工ヘッド13から離れた位置は、加工ヘッド13が存在する位置とは異なる位置及び加工ヘッド13との間に空間が存在する位置の少なくとも一方を意味していてもよい。例えば、計測装置2は、計測装置2から加工ヘッド13までの距離が、加工ヘッド13からワークWまでの距離よりも長くなる状態を実現できる程度に加工ヘッド13から離れた位置に配置されていてもよい。言い換えれば、計測装置2は、加工ヘッド13からワークWまでの距離が、計測装置2から加工ヘッド13までの距離よりも短くなる状態を実現できる程度に加工ヘッド13から離れた位置に配置されていてもよい。この場合、計測装置2は、加工ヘッド13から離れた位置から、加工ヘッド13に対して計測光ML3を照射してもよい。計測装置2は、加工ヘッド13からの計測光ML3の戻り光を、加工ヘッド13から離れた位置において検出してもよい。
【0048】
計測装置2は、加工ヘッド13の任意の部分に向けて計測光ML3を照射し、加工ヘッド13の任意の部分からの計測光ML3を検出してもよい。或いは、計測装置2は、加工ヘッド13が備え且つ計測光ML3を反射可能(典型的には、再帰反射可能)なリフレクタ136に向けて計測光ML3を照射し、リフレクタ136からの計測光ML3を検出してもよい。リフレクタ136は、加工ヘッド13に対して固定された位置に配置されていてもよい。リフレクタ136は、加工ヘッド13に対する位置関係が変わらない位置に配置されていてもよい。典型的には、リフレクタ136は、加工ヘッド13(例えば、加工ヘッド13の外観を構成するヘッド筐体135)に配置されていてもよい。この場合、計測装置2は、リフレクタ136の位置を計測することになる。但し、リフレクタ136が加工ヘッド13に対して固定された位置に配置されているため、リフレクタ136の位置を計測する動作は、加工ヘッド13の位置を計測する動作と等価であるとみなしてもよい。尚、再帰反射可能なリフレクタ136に加えて又は代えて、ツーリングボールが用いられてもよい。
【0049】
計測装置2は、加工ヘッド13の位置に加えて又は代えて、ワークWの位置を計測してもよい。具体的には、計測装置2は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおけるワークWの位置を計測してもよい。ワークWの位置を計測するために、計測装置2は、ワークWに対して計測光ML3を照射し、ワークWからの計測光ML3(つまり、ワークWからの計測光ML3の戻り光)を検出することで、ワークWの位置を計測してもよい。ワークWからの計測光ML3の戻り光は、ワークWによる計測光ML3の反射光及びワークWによる計測光ML3の散乱光の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0050】
ワークWに対して計測光ML3を照射するために、計測装置2は、ワークWから離れた位置に配置されていてもよい。例えば、計測装置2は、計測装置2からワークWまでの距離が、加工ヘッド13からワークWまでの距離よりも長くなる状態を実現できる程度にワークWから離れた位置に配置されていてもよい。言い換えれば、例えば、計測装置2は、加工ヘッド13からワークWまでの距離が、計測装置2からワークWまでの距離よりも短くなる状態を実現できる程度にワークWから離れた位置に配置されていてもよい。この場合、計測装置2は、ワークWから離れた位置から、ワークWに対して計測光ML3を照射してもよい。計測装置2は、ワークWからの計測光ML3の戻り光を、加工ヘッド13から離れた位置において検出することで、ワークWの位置を計測してもよい。
【0051】
計測装置2は、ワークWの任意の部分に向けて計測光ML3を照射し、ワークWの任意の部分からの計測光ML3を検出してもよい。或いは、計測装置2は、ワークWに配置され且つ計測光ML3を反射可能(典型的には、再帰反射可能)なリフレクタW136に向けて計測光ML3を照射し、リフレクタW136からの計測光ML3を検出してもよい。リフレクタW136は、ワークWに対して固定された位置に配置されていてもよい。リフレクタW136は、ワークWに対する位置関係が変わらない位置に配置されていてもよい。典型的には、リフレクタW136は、ワークWに配置されていてもよい。この場合、計測装置2は、リフレクタW136の位置を計測することになる。但し、リフレクタW136がワークWに対して固定された位置に配置されているため、リフレクタW136の位置を計測する動作は、ワークWの位置を計測する動作と等価であるとみなしてもよい。尚、再帰反射可能なリフレクタW136に代えて或いは加えて、ツーリングボールが用いられてもよい。
【0052】
後に詳述するように、計測装置2による計測結果(つまり、計測光ML3を用いた加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置の計測結果)は、主として、移動精度が相対的に低い自走駆動系141及びアーム駆動系142を制御するために用いられてもよい。一方で、撮像装置15による計測結果(つまり、撮像装置15を用いたワークWの位置の計測結果)は、主として、移動精度が相対的に高い微動駆動系143を制御するために用いられてもよい。加工ヘッド13による計測結果(つまり、計測光ML2を用いたワークWの位置の計測結果)は、主として、加工光ELの照射位置(例えば、集光位置)を高精度に制御可能な後述のガルバノミラー1341を制御するために用いられてもよい。この場合、計測装置2の計測分解能(つまり、計測光ML3を用いた加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置の計測結果の分解能)は、撮像装置15の計測分解能(つまり、撮像装置15を用いたワークWの位置の計測結果の分解能)よりも低くてもよい。計測装置2の計測分解能は、加工ヘッド13の計測分解能(つまり、計測光ML2を用いたワークWの位置の計測結果の分解能)よりも低くてもよい。言い換えれば、撮像装置15及び加工ヘッド13のそれぞれの計測分解能は、計測装置2の計測分解能よりも高くてもよい。
【0053】
制御装置3は、加工システムSYSaの動作を制御する。例えば、制御装置3は、ワークWの加工条件を設定すると共に、設定した加工条件に従ってワークWが加工されるように加工装置1及び計測装置2を制御してもよい。つまり、制御装置3は、ワークWの加工を制御してもよい。例えば、制御装置3は、ワークWの計測条件を設定すると共に、設定した計測条件に従ってワークWが計測されるように加工装置1及び計測装置2を制御してもよい。
【0054】
第1実施形態では、制御装置3は、撮像装置15による計測結果、加工ヘッド13による計測結果、及び、計測装置2による計測結果に基づいて、ワークWを加工するように加工装置1を制御してもよい。つまり、加工システムSYSaは、撮像装置15による計測結果、加工ヘッド13による計測結果、及び、計測装置2による計測結果に基づいて、ワークWを加工してもよい。尚、撮像装置15による計測結果、加工ヘッド13による計測結果、及び、計測装置2による計測結果に基づいて、ワークWを加工する動作については、図12等を参照しながら後に詳述する。
【0055】
制御装置3は、例えば、演算装置と記憶装置とを含んでいてもよい。演算装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit))の少なくとも一方を含んでいてもよい。制御装置3は、演算装置がコンピュータプログラムを実行することで、加工システムSYSaの動作を制御する装置として機能する。このコンピュータプログラムは、制御装置3が行うべき後述する動作を制御装置3(例えば、演算装置)に行わせる(つまり、実行させる)ためのコンピュータプログラムである。つまり、このコンピュータプログラムは、加工システムSYSaに後述する動作を行わせるように制御装置3を機能させるためのコンピュータプログラムである。演算装置が実行するコンピュータプログラムは、制御装置3が備える記憶装置(つまり、記録媒体)に記録されていてもよいし、制御装置3に内蔵された又は制御装置3に外付け可能な任意の記憶媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。或いは、演算装置は、実行するべきコンピュータプログラムを、ネットワークインタフェースを介して、制御装置3の外部の装置からダウンロードしてもよい。
【0056】
制御装置3は、加工システムSYSaの内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置3は、加工システムSYSa外にサーバ等として設けられていてもよい。この場合、制御装置3と加工システムSYSaとは、有線及び/又は無線のネットワーク(或いは、データバス及び/又は通信回線)で接続されていてもよい。有線のネットワークとして、例えばIEEE1394、RS-232x、RS-422、RS-423、RS-485及びUSBの少なくとも一つに代表されるシリアルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、パラレルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、10BASE-T、100BASE-TX及び1000BASE-Tの少なくとも一つに代表されるイーサネット(登録商標)に準拠したインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、電波を用いたネットワークが用いられてもよい。電波を用いたネットワークの一例として、IEEE802.1xに準拠したネットワーク(例えば、無線LAN及びBluetooth(登録商標)の少なくとも一方)があげられる。無線のネットワークとして、赤外線を用いたネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、光通信を用いたネットワークが用いられてもよい。この場合、制御装置3と加工システムSYSaとはネットワークを介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されていてもよい。また、制御装置3は、ネットワークを介して加工システムSYSaにコマンドや制御パラメータ等の情報を送信可能であってもよい。加工システムSYSaは、制御装置3からのコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して受信する受信装置を備えていてもよい。或いは、制御装置3が行う処理のうちの一部を行う第1制御装置が加工システムSYSaの内部に設けられている一方で、制御装置3が行う処理のうちの他の一部を行う第2制御装置が加工システムSYSaの外部に設けられていてもよい。
【0057】
尚、演算装置が実行するコンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW及びBlu-ray(登録商標)等の光ディスク、磁気テープ等の磁気媒体、光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ、及び、その他プログラムを格納可能な任意の媒体の少なくとも一つが用いられてもよい。記録媒体には、コンピュータプログラムを記録可能な機器(例えば、コンピュータプログラムがソフトウェア及びファームウェア等の少なくとも一方の形態で実行可能な状態に実装された汎用機器又は専用機器)が含まれていてもよい。更に、コンピュータプログラムに含まれる各処理や機能は、制御装置3(つまり、コンピュータ)がコンピュータプログラムを実行することで制御装置3内に実現される論理的な処理ブロックによって実現されてもよいし、制御装置3が備える所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウェアによって実現されてもよいし、論理的な処理ブロックとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウェアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【0058】
(1-2)加工ヘッド13の構造
続いて、図4を参照しながら、加工ヘッド13の構造の一例について説明する。図4は、加工ヘッド13の構造の一例を示す断面図である。
【0059】
図4に示すように、加工ヘッド13には、光ファイバ等の光伝送部材111を介して、加工光源11が生成した加工光ELが入射する。加工光源11は、加工ヘッド13の外部に配置されていてもよい。例えば、上述した図1に示すように、加工光源11は、自走駆動系141に配置されていてもよい。この場合、光伝送部材111は、アーム駆動系142を介して又はアーム駆動系142に沿って加工光源11から加工ヘッド13まで延びていてもよい。但し、加工光源11の配置位置が図1に示す配置位置に限定されることはない。加工光源11は、加工ヘッド13の外部の任意の位置に配置されていてもよいし、加工ヘッド13の内部に配置されていてもよい。
【0060】
加工光源11は、加工光ELを生成可能である。加工光ELがレーザ光である場合には、加工光源11は、例えば、レーザダイオードを含んでいてもよい。更に、加工光源11は、パルス発振可能な光源であってもよい。この場合、加工光源11は、パルス光(例えば、発光時間がピコ秒以下のパルス光)を加工光ELとして生成可能である。尚、加工光源11は、CW(連続波)を生成するCW光源であってもよい。
【0061】
加工ヘッド13は、上述したように、加工光学系131と、計測光学系132と、合成光学系133と、対物光学系134とを備える。加工光学系131、計測光学系132、合成光学系133及び対物光学系134は、ヘッド筐体135内に収容されている。但し、加工光学系131、計測光学系132、合成光学系133及び対物光学系134の少なくとも一つが、ヘッド筐体135内に収容されていなくてもよい。
【0062】
加工光学系131は、加工光源11からの加工光ELが入射する光学系である。加工光学系131は、加工光学系131に入射した加工光ELを、合成光学系133に向けて射出する光学系である。加工光学系131が射出した加工光ELは、合成光学系133及び対物光学系134を介してワークWに照射される。
【0063】
加工光学系131は、例えば、位置調整光学系1311と、角度調整光学系1312と、集光位置調整光学系1313とを含んでいてもよい。位置調整光学系1311は、加工光学系131からの加工光ELの射出位置を調整可能である。位置調整光学系1311は、例えば、加工光ELの進行方向に対して傾斜可能な平行平面板を備え、平行平面板の傾斜角を変えることで加工光ELの射出位置を変更してもよい。角度調整光学系1312は、加工光学系131からの加工光ELの射出角度(つまり、射出方向)を調整可能である。角度調整光学系1312は、例えば、加工光ELの進行方向に対して傾斜可能なミラーを備え、このミラーの傾斜角を変えることで加工光ELの射出角度を変更してもよい。集光位置調整光学系1313は、加工光ELの進行方向における加工光ELの集光位置を調整可能な光学部材である。集光位置調整光学系1313は、例えば、加工光ELの進行方向に沿って並ぶ複数枚のレンズを含んでいてもよい。この場合、複数枚のレンズのうちの少なくとも一つがその光軸方向に沿って移動することで、加工光ELの集光位置が調整される。或いは、集光位置調整光学系1313は、例えば、加工光ELを偏向することで加工光ELの集光位置を所望の方向に沿って移動可能な光学部材(典型的には、ガルバノミラー)を含んでいてもよい。但し、加工光学系131は、位置調整光学系1311、角度調整光学系1312及び集光位置調整光学系1313の少なくとも一つを含んでいなくてもよい。
【0064】
加工光学系131から射出された加工光ELは、合成光学系133に入射する。合成光学系133は、ビームスプリッタ(例えば、偏光ビームスプリッタ)1331を含む。ビームスプリッタ1331は、ビームスプリッタ1331に入射した加工光ELを、対物光学系134に向けて射出する。図4に示す例では、ビームスプリッタ1331に入射した加工光ELは、ビームスプリッタ1331の偏光分離面を通過することで対物光学系134に向けて射出される。このため、図4に示す例では、加工光ELは、偏光分離面を通過可能な偏光方向(例えば、偏光分離面に対してp偏光となる偏光方向)を有する状態でビームスプリッタ1331の偏光分離面に入射する。
【0065】
合成光学系133から射出された加工光ELは、対物光学系134に入射する。対物光学系134は、対物光学系134に入射した加工光ELを、ワークWに向けて射出する。対物光学系134は、ガルバノミラー1341と、fθレンズ1342とを備える。
【0066】
対物光学系134に入射した加工光ELは、ガルバノミラー1341に入射する。ガルバノミラー1341は、加工光ELを偏向する(つまり、加工光ELの射出角度を変更する)。ガルバノミラー1341は、加工光ELを偏向することで、fθレンズ1342の光軸AXに交差する面内(つまり、ヘッド座標系におけるXY平面に沿った面内)における加工光ELの集光位置を変更する。このため、ガルバノミラー1341は、集光位置変更装置と称されてもよい。通常、図4に示すように、加工ヘッド13は、fθレンズ1342の光軸AXとワークWの表面とが交差する状態で、ワークWに加工光ELを照射する。このため、光軸AXに交差する面内における加工光ELの集光位置が変更されると、ワークWの表面における加工光ELの照射位置が、ワークWの表面に沿った方向において変更される。つまり、ヘッド座標系におけるX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に沿って、加工光ELの照射位置が変更される。このため、ガルバノミラー1341は、ワークWの表面における加工光ELの照射位置をワークWの表面に沿って変更可能な照射位置変更装置として機能可能である。
【0067】
ガルバノミラー1341は、X走査ミラー1341Xと、Y走査ミラー1341Yとを含む。X走査ミラー1341X及びY走査ミラー1341Yのそれぞれは、ガルバノミラー1341に入射する加工光ELの光路に対する角度が変更される傾斜角可変ミラーである。X走査ミラー1341Xは、ワークW上での加工光ELの照射位置をヘッド座標系におけるX軸方向に沿って変更するよう、加工光ELを偏向する。この場合、X走査ミラー1341Xは、ヘッド座標系におけるY軸廻りに回転又は揺動可能であってもよい。Y走査ミラー1341Yは、ワークW上での加工光ELの照射位置をヘッド座標系におけるY軸方向に沿って変更するよう、加工光ELを偏向する。この場合、Y走査ミラー1341Yは、ヘッド座標系におけるX軸廻りに回転又は揺動可能であってもよい。
【0068】
尚、加工光学系131は、ガルバノミラー1341に加えて又は代えて、加工光ELを偏向可能な任意の偏向光学部材を備えていてもよい。このような偏向光学部材の一例として、角度が異なる複数の反射面を有するポリゴンミラーがあげられる。ポリゴンミラーは、加工光ELが一の反射面に照射されている期間中に当該一の反射面に対する加工光ELの入射角度を変更し且つ加工光ELが照射される反射面を複数の反射面の間で切り替えるように回転可能である。また、このような偏向光学部材の他の一例として、音響光学素子、電気光学素子、MEMSミラー及び二軸方向に回転(揺動)可能な二次元ミラー等のうちの少なくとも一つがあげられる。
【0069】
或いは、ワークWの表面における加工光ELの照射位置は、上述したヘッド駆動系14がワークWに対して加工ヘッド13を移動させた場合にも変更される。このため、加工装置1は、ガルバノミラー1341を備えていなくてもよい。
【0070】
fθレンズ1342には、ガルバノミラー1341からの加工光ELが入射する。fθレンズ1342は、ガルバノミラー1341からの加工光ELを、ワークWに照射する。具体的には、fθレンズ1342は、fθレンズ1342の光軸AXに沿った方向に向けて加工光ELを射出する。その結果、fθレンズ1342が射出した加工光ELは、光軸AXに沿った方向に沿って進行することでワークWに入射する。
【0071】
fθレンズ1342は、ガルバノミラー1341からの加工光ELを、ワークW上に集光する。この場合、fθレンズ1342から射出された加工光ELは、パワーを有する他の光学要素(言い換えれば、光学部材であって、例えばレンズ等)を介することなく、ワークWに照射されてもよい。この場合、fθレンズ1342は、加工光ELの光路上に配置される複数の光学要素のうちの最終段のパワーを有する光学要素(つまり、最もワークWに近い光学要素)であるため、最終光学要素と称されてもよい。
【0072】
尚、加工ヘッド13がワークWに加工光ELを照射するためには、加工ヘッド13は、少なくともfθレンズ1342を備えていればよい。この場合、加工ヘッド13には、加工ヘッド13の外部に配置された加工光学系131、合成光学系133及びガルバノミラー1341を介して、加工光ELが入射してもよい。加工ヘッド13は、加工ヘッド13に入射した加工光ELを、fθレンズ1342を介してワークWに照射してもよい。
【0073】
加工ヘッド13には更に、光ファイバ等の光伝送部材121を介して、計測光源12が生成した計測光ML2が入射する。計測光源12は、加工ヘッド13の外部に配置されていてもよい。例えば、上述した図1に示すように、計測光源12は、自走駆動系141に配置されていてもよい。この場合、光伝送部材121は、アーム駆動系142を介して又はアーム駆動系142に沿って計測光源12から加工ヘッド13まで延びていてもよい。但し、計測光源12の配置位置が図1に示す配置位置に限定されることはない。計測光源12は、加工ヘッド13の外部の任意の位置(例えば支持面SS上)に配置されていてもよいし、加工ヘッド13の内部に配置されていてもよい。
【0074】
計測光源12は、光コム光源を含んでいてもよい。光コム光源は、周波数軸上で等間隔に並んだ周波数成分を含む光(以降、“光周波数コム”と称する)をパルス光として生成可能な光源である。この場合、計測光源12は、周波数軸上で等間隔に並んだ周波数成分を含むパルス光を、計測光ML2として射出する。但し、計測光源12は、光コム光源とは異なる光源を含んでいてもよい。
【0075】
図4に示す例では、加工システムSYSaは、複数の計測光源12を備えている。例えば、加工システムSYSaは、計測光源12#1と、計測光源12#2とを備えていてもよい。複数の計測光源12は、互いに位相同期され且つ干渉性のある複数の計測光ML2をそれぞれ射出する。例えば、複数の計測光源12は、発振周波数が異なっていてもよい。このため、複数の計測光源12がそれぞれ射出する複数の計測光ML2は、パルス周波数(例えば、単位時間当たりのパルス光の数であり、パルス光の発光周期の逆数)が異なる複数の計測光ML2となる。一例として、計測光源12#1は、パルス周波数が25GHzとなる計測光ML2#1を射出し、計測光源12#2は、パルス周波数が25GHz+α(例えば、+100kHz)となる計測光ML2#2を射出してもよい。但し、加工システムSYSaは、単一の計測光源12を備えていてもよい。
【0076】
計測光源12から射出された計測光ML2は、計測光学系132に入射する。計測光学系132は、計測光学系132に入射した計測光ML2を、合成光学系133に向けて射出する光学系である。計測光学系132が射出した計測光ML2は、合成光学系133及び対物光学系134を介してワークWに照射される。つまり、計測光学系132は、ワークWを計測するために、合成光学系133及び対物光学系134を介して、計測光ML2をワークWに照射する。
【0077】
計測光学系132は、例えば、ミラー1320と、ビームスプリッタ1321と、ビームスプリッタ1322と、検出器1323と、ビームスプリッタ1324と、ミラー1325と、検出器1326と、ミラー1327と、ガルバノミラー1328とを備える。
【0078】
計測光源12から射出された計測光ML2は、ビームスプリッタ1321に入射する。具体的には、計測光源12#1から射出された計測光ML2(以降、“計測光ML2#1”と称する)は、ビームスプリッタ1321に入射する。計測光源12#2から射出された計測光ML2(以降、“計測光ML2#2”と称する)は、ミラー1320を介して、ビームスプリッタ1321に入射する。ビームスプリッタ1321は、ビームスプリッタ1321に入射した計測光ML2#1及びML#2を、ビームスプリッタ1322に向けて射出する。
【0079】
ビームスプリッタ1322は、ビームスプリッタ1322に入射した計測光ML2#1の一部である計測光ML2#1-1を検出器1323に向けて反射する。ビームスプリッタ1322は、ビームスプリッタ1322に入射した計測光ML2#1の他の一部である計測光ML2#1-2をビームスプリッタ1324に向けて射出する。ビームスプリッタ1322は、ビームスプリッタ1322に入射した計測光ML2#2の一部である計測光ML2#2-1を検出器1323に向けて反射する。ビームスプリッタ1322は、ビームスプリッタ1322に入射した計測光ML2#2の他の一部である計測光ML2#2-2をビームスプリッタ1324に向けて射出する。
【0080】
ビームスプリッタ1322から射出された計測光ML2#1-1及びML#2-1は、検出器1323に入射する。検出器1323は、計測光ML2#1-1と計測光ML2#2-1とが干渉することで生成される干渉光を検出する。具体的には、検出器1323は、干渉光を受光することで、干渉光を検出する。このため、検出器1323は、光を受光可能な受光素子(受光部であり、典型的には、光電変換素子)を備えていてもよい。検出器1323の検出結果は、制御装置3に出力される。
【0081】
ビームスプリッタ1322から射出された計測光ML2#1-2及びML#2-2は、ビームスプリッタ1324に入射する。ビームスプリッタ1324は、ビームスプリッタ1324に入射した計測光ML2#1-2の少なくとも一部をミラー1325に向けて射出する。ビームスプリッタ1324は、ビームスプリッタ1324に入射した計測光ML2#2-2の少なくとも一部をミラー1327に向けて射出する。
【0082】
ビームスプリッタ1324から射出された計測光ML2#1-2は、ミラー1325に入射する。ミラー1325に入射した計測光ML2#1-2は、ミラー1325の反射面(反射面は、参照面と称されてもよい)によって反射される。具体的には、ミラー1325は、ミラー1325に入射した計測光ML2#1-2をビームスプリッタ1324に向けて反射する。つまり、ミラー1325は、ミラー1325に入射した計測光ML2#1-2を、その反射光である計測光ML2#1-3としてビームスプリッタ1324に向けて射出する。この場合、計測光ML2#1-3は、参照光と称されてもよい。ミラー1325から射出された計測光ML2#1-3は、ビームスプリッタ1324に入射する。ビームスプリッタ1324は、ビームスプリッタ1324に入射した計測光ML2#1-3をビームスプリッタ1322に向けて射出する。ビームスプリッタ1324から射出された計測光ML2#1-3は、ビームスプリッタ1322に入射する。ビームスプリッタ1322は、ビームスプリッタ1322に入射した計測光ML2#1-3を検出器1326に向けて射出する。
【0083】
一方で、ビームスプリッタ1324から射出された計測光ML2#2-2は、ミラー1327に入射する。ミラー1327は、ミラー1327に入射した計測光ML2#2-2をガルバノミラー1328に向けて反射する。つまり、ミラー1327は、ミラー1327に入射した計測光ML#2-2をガルバノミラー1328に向けて射出する。
【0084】
ガルバノミラー1328は、計測光ML#2-2を偏向する(つまり、計測光ML#2-2の射出角度を変更する)。ガルバノミラー1328は、計測光ML2#2-2を偏向することで、fθレンズ1342の光軸AXに交差する面内(つまり、ヘッド座標系におけるXY平面に沿った面内)における計測光ML2#2-2の集光位置を変更する。通常、図4に示すように、加工ヘッド13は、fθレンズ1342の光軸AXとワークWの表面とが交差する状態で、ワークWに計測光ML2#2-2を照射する。このため、光軸AXに交差する面内における計測光ML2#2-2の集光位置が変更されると、ワークWの表面における計測光ML2#2-2の照射位置が、ワークWの表面に沿った方向において変更される。つまり、ヘッド座標系におけるX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に沿って、計測光ML2#2-2の照射位置が変更される。このため、ガルバノミラー1341は、ワークWの表面における計測光ML2#2-2の照射位置をワークWの表面に沿って変更可能な照射位置変更装置として機能可能である。
【0085】
ガルバノミラー1328は、X走査ミラー1328Xと、Y走査ミラー1328Yとを含む。X走査ミラー1328X及びY走査ミラー1328Yのそれぞれは、ガルバノミラー1328に入射する計測光ML2#2-2の光路に対する角度が変更される傾斜角可変ミラーである。X走査ミラー1328Xは、ワークW上での計測光ML2#2-2の照射位置をヘッド座標系におけるX軸方向に沿って変更するよう、計測光ML2#2-2を偏向する。この場合、X走査ミラー1328Xは、ヘッド座標系におけるY軸廻りに回転又は揺動可能であってもよい。Y走査ミラー1328Yは、ワークW上での計測光ML2#2-2の照射位置をヘッド座標系におけるY軸方向に沿って変更するよう、加工光ELを偏向する。この場合、Y走査ミラー1328Yは、ヘッド座標系におけるX軸廻りに回転又は揺動可能であってもよい。
【0086】
ガルバノミラー1328からの計測光ML2#2-2は、合成光学系133に入射する。合成光学系133のビームスプリッタ1331は、ビームスプリッタ1331に入射した計測光ML2#2-2を、対物光学系134に向けて射出する。図4に示す例では、合成光学系133に入射した計測光ML2#2-2は、偏光分離面において反射されることで対物光学系134に向けて射出される。このため、図4に示す例では、計測光ML2#2-2は、偏光分離面で反射可能な偏光方向(例えば、偏光分離面に対してs偏光となる偏光方向)を有する状態でビームスプリッタ1331の偏光分離面に入射する。
【0087】
ここで、上述したように、ビームスプリッタ1331には、計測光ML2#2-2に加えて加工光ELが入射する。つまり、計測光ML2#2-2及び加工光ELの双方がビームスプリッタ1331を通過する。ビームスプリッタ1331は、ビームスプリッタ1331に異なる方向からそれぞれ入射してきた加工光EL及び計測光ML2#2-2を、同じ方向に向けて(つまり、同じ対物光学系134に向けて)射出する。従って、ビームスプリッタ1331は、実質的には、加工光EL及び計測光ML2#2-2を合成する合成光学部材として機能する。
【0088】
尚、加工光ELの波長と計測光ML2の波長とが異なる場合には、合成光学系133は、合成光学部材として、ビームスプリッタ1331に代えて、ダイクロイックミラーを備えていてもよい。この場合であっても、合成光学系133は、ダイクロイックミラーを用いて、加工光EL及び計測光ML2#2-2を合成する(つまり、加工光ELの光路と計測光ML2#2-2の光路とを合成する)ことができる。
【0089】
ビームスプリッタ1331から射出された計測光ML2#2-2は、ガルバノミラー1341に入射する。ガルバノミラー1341は、加工光ELを偏向する場合と同様に、計測光ML2#2-2を偏向する。このため、ガルバノミラー1341は、ワークWの表面における計測光ML2#2-2の照射位置を、ワークWの表面に沿った方向において変更可能である。
【0090】
上述したように、ガルバノミラー1341には、計測光ML2#2-2に加えて加工光ELが入射する。つまり、ガルバノミラー1341には、ビームスプリッタ1331が合成した加工光EL及び計測光ML2#2-2が入射する。従って、計測光ML2#2-2及び加工光ELの双方が同じガルバノミラー1341を通過する。このため、ガルバノミラー1341は、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML2#2-2の照射位置とを同期して変更可能である。つまり、ガルバノミラー1341は、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML2#2-2の照射位置とを連動して変更可能である。
【0091】
一方で、上述したように、計測光ML#2-2は、ガルバノミラー1328を介してワークWに照射される一方で、加工光ELは、ガルバノミラー1328を介することなくワークWに照射される。このため、加工システムSYSaは、ガルバノミラー1328を用いて、ワークW上での加工光ELの照射位置に対して、ワークW上での計測光ML#2-2の照射位置を独立して移動させることができる。加工システムSYSaは、ワークW上での加工光ELの照射位置と、ワークW上での計測光ML#2-2の照射位置とを独立して変更することができる。加工システムSYSaは、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置との位置関係を変更することができる。尚、ワークW上での加工光ELの照射位置とワークW上での計測光ML#2-2の照射位置との間の位置関係を変更しない場合には、加工システムSYSaは、ガルバノミラー1328を備えていなくてもよい。
【0092】
ガルバノミラー1341から射出された計測光ML2#2-2は、fθレンズ1342に入射する。fθレンズ1342は、ガルバノミラー1341からの計測光ML2#2-2を、ワークWに照射する。具体的には、fθレンズ1342は、fθレンズ1342の光軸AXに沿った方向に向けて計測光ML2#2-2を射出する。その結果、fθレンズ1342が射出した計測光ML2#2-2は、光軸AXに沿った方向に沿って進行することでワークWに入射する。
【0093】
fθレンズ1342は、ガルバノミラー1341からの計測光ML2#2-2を、ワークW上に集光してもよい。この場合、fθレンズ1342から射出された計測光ML2#2-2は、パワーを有する他の光学要素(言い換えれば、光学部材であって、例えばレンズ等)を介することなく、ワークWに照射されてもよい。
【0094】
ワークWに計測光ML2#2-2が照射されると、計測光ML2#2-2の照射に起因した光がワークWから発生する。つまり、ワークWに計測光ML2#2-2が照射されると、計測光ML2#2-2の照射に起因した光がワークWから射出される。計測光ML2#2-2の照射に起因した光(言い換えれば、計測光ML2#2-2の照射に起因してワークWから射出される光)は、ワークWで反射された計測光ML2#2-2(つまり、反射光)、ワークWで散乱された計測光ML2#2-2(つまり、散乱光)、ワークWで回折された計測光ML2#2-2(つまり、回折光)、及びワークWを透過した計測光ML2#2-2(つまり、透過光)のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0095】
計測光ML2#2-2の照射に起因してワークWから射出される光の少なくとも一部(以下、この光を“計測光ML2#2-3”と称する)は、対物光学系134に入射する。対物光学系134に入射した計測光ML2#2-3は、fθレンズ1342及びガルバノミラー1341を介して、合成光学系133に入射する。合成光学系133のビームスプリッタ1331は、ビームスプリッタ1331に入射した計測光ML2#2-3を、計測光学系132に向けて射出する。図4に示す例では、ビームスプリッタ1331に入射した計測光ML2#2-3は、偏光分離面において反射されることで計測光学系132に向けて射出される。このため、図4に示す例では、計測光ML2#2-3は、偏光分離面で反射可能な偏光方向を有する状態でビームスプリッタ1331の偏光分離面に入射する。
【0096】
ビームスプリッタ1331から射出された計測光ML2#2-3は、計測光学系132のガルバノミラー1328に入射する。ガルバノミラー1328は、ガルバノミラー1328に入射した計測光ML2#2-3をミラー1327に向けて射出する。ミラー1327は、ミラー1327に入射した計測光ML2#2-3をビームスプリッタ1324に向けて反射する。ビームスプリッタ1324は、ビームスプリッタ1324に入射した計測光ML2#2-3の少なくとも一部をビームスプリッタ1322に向けて射出する。ビームスプリッタ1322は、ビームスプリッタ1322に入射した計測光ML2#2-3の少なくとも一部を検出器1326に向けて射出する。
【0097】
上述したように、検出器1326には、計測光ML2#2-3に加えて、計測光ML2#1-3が入射する。つまり、検出器1326には、ワークWを介して検出器1326に向かう計測光ML2#2-3と、ワークWを介することなく検出器1326に向かう計測光ML2#1-3とが入射する。検出器1326は、計測光ML2#1-3と計測光ML2#2-3とが干渉することで生成される干渉光を検出する。具体的には、検出器1326は、干渉光を受光することで、干渉光を検出する。このため、検出器1326は、光を受光可能な受光素子(受光部)を備えていてもよい。検出器1326の検出結果は、制御装置3に出力される。
【0098】
制御装置3は、検出器1323の検出結果及び検出器1326の検出結果に基づいて、ワークWの状態(典型的には、上述したように、ワークWの位置)を算出する。具体的には、計測光ML2#1のパルス周波数と計測光ML2#2のパルス周波数とが異なるため、計測光ML2#1-1のパルス周波数と計測光ML2#2-1のパルス周波数とが異なる。従って、計測光ML2#1-1と計測光ML2#2-1との干渉光は、計測光ML2#1-1を構成するパルス光と計測光ML2#2-1を構成するパルス光とが同時に検出器1323に入射したタイミングに同期してパルス光が現れる干渉光となる。同様に、計測光ML2#1-3のパルス周波数と計測光ML2#2-3のパルス周波数とが異なる。従って、計測光ML2#1-3と計測光ML2#2-3との干渉光は、計測光ML2#1-3を構成するパルス光と計測光ML2#2-3を構成するパルス光とが同時に検出器1326に入射したタイミングに同期してパルス光が現れる干渉光となる。ここで、検出器1326が検出する干渉光を作るパルス光の位置(時間軸上の位置)は、加工ヘッド13とワークWとの位置関係に基づいて変動する。なぜならば、検出器1326が検出する干渉光は、ワークWを介して検出器1326に向かう計測光ML2#2-3と、ワークWを介することなく検出器1326に向かう計測光ML2#1-3との干渉光であるからである。一方で、検出器1323が検出する干渉光を作るパルス光の位置(時間軸上の位置)は、加工ヘッド13とワークWとの位置関係に基づいて変動することはない。このため、検出器1326が検出する干渉光を作るパルス光と検出器1323が検出する干渉光を作るパルス光との時間差は、加工ヘッド13とワークWとの位置関係(典型的には、加工ヘッド13とワークWとの間の距離)を間接的に示していると言える。このため、制御装置3は、検出器1326が検出する干渉光を作るパルス光と検出器1323が検出する干渉光を作るパルス光との時間差に基づいて、ワークWの状態を算出することができる。具体的には、制御装置3は、検出器1326が検出する干渉光を作るパルス光と検出器1323が検出する干渉光を作るパルス光との時間差に基づいて、ワークWのうち計測光ML2#2-2が照射された被照射部分の位置を算出することができる。特に、制御装置3は、fθレンズ1342から射出された計測光ML2の照射方向(つまり、ヘッド座標系のZ軸方向)における、ワークWの被照射部の位置を算出することができる。つまり、制御装置3は、ヘッド座標系のZ軸方向におけるワークWの位置を算出することができる。
【0099】
加工ヘッド13は、図5に示すように、ガルバノミラー1328及び1341の少なくとも一方を用いて計測光ML2#2-2を偏向することで、ワークWの複数個所に順に計測光ML2#2-2を照射してもよい。或いは、加工ヘッド13は、ガルバノミラー1328及び1341の少なくとも一方を用いて計測光ML2#2-2を偏向することで、計測光ML2#2-2でワークWの表面を走査してもよい。この場合、制御装置3は、fθレンズ1342から射出された計測光ML2の照射方向(つまり、ヘッド座標系のZ軸方向)における、ワークWの複数の被照射部の位置を算出することができる。その結果、制御装置3は、ワークWの表面の形状を算出してもよい。更には、制御装置3は、ヘッド座標系のZ軸方向におけるワークWの少なくとも三つの被照射部の位置に基づいて、ヘッド座標系のX軸周りの回転方向及びヘッド座標系のY軸周りの回転方向の少なくとも一つにおけるワークWの位置を算出してもよい。
【0100】
このように、加工装置1は、制御装置3と協働して、計測光学系132(更には、合成光学系133及び対物光学系134)を介してワークWに照射される計測光ML2を用いて、ワークWの位置を計測可能である。特に、加工装置1は、制御装置3と協同して、少なくともfθレンズ1342を介してワークWに照射される計測光ML2を用いて、ワークWの位置を計測可能である。例えば、加工装置1は、制御装置3と協同して、ヘッド座標系のZ軸に沿った方向、ヘッド座標系のX軸周りの回転方向及びヘッド座標系のY軸周りの回転方向の少なくとも一つにおけるワークWの位置を計測可能である。このため、計測光ML2をワークWに照射するために用いられる計測光学系132等は、計測装置と称されてもよい。
【0101】
(1-3)ヘッド駆動系14の構造
続いて、ヘッド駆動系14の構造の一例について説明する。上述したように、ヘッド駆動系14は、自走駆動系141と、アーム駆動系142と、微動駆動系143とを備えている。このため、以下では、自走駆動系141と、アーム駆動系142と、微動駆動系143とについて順に説明する。
【0102】
(1-3-1-1)自走駆動系141の構造
初めに、図6を参照しながら、自走駆動系141について説明する。図6は、自走駆動系141の構造を示す断面図である。
【0103】
図6に示すように、自走駆動系141は、台車1411と、モータ1412とを備えている。台車1411は、車輪が取り付けられた台である。台車1411は、支持面SS上に配置されている。台車1411の車輪は、モータ1412の動力を用いて回転可能である。その結果、台車1411は、制御装置3の制御下で駆動するモータ1412の動力を用いて、支持面SS上を移動可能である。つまり、台車1411は、モータ1412の動力を用いて、支持面SS上を自走可能である。この場合、モータ1412は、台車1411を移動させる移動機構として機能しているとみなしてもよい。
【0104】
台車1411には、アーム駆動系142が接続されている。このため、台車1411は、アーム駆動系142が接続される接続部材と称されてもよい。具体的には、台車1411には(図6に示す例では、台車1411の上面には)、アーム駆動系142が取り付けられている(つまり、固定されている)。このため、台車1411が移動すると、アーム駆動系142もまた移動する。更に、アーム駆動系142には、微動駆動系143が接続されている。具体的には、アーム駆動系142には、微動駆動系143が取り付けられている(つまり、固定されている)。このため、台車1411が移動すると、微動駆動系143もまた移動する。更に、微動駆動系143には、加工ヘッド13が接続されている。具体的には、微動駆動系143には、加工ヘッド13が取り付けられている(つまり、固定されている)。このため、台車1411が移動すると、加工ヘッド13もまた移動する。このため、自走駆動系141は、自走することで加工ヘッド13を移動させる移動装置として機能することが可能である。
【0105】
後に詳述するように、制御装置3は、計測装置2による計測結果に基づいて、自走駆動系141を制御してもよい。つまり、制御装置3は、計測装置2が計測した加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置に基づいて、ワークWに対して加工ヘッド13を移動させるように自走駆動系141を制御してもよい。例えば、上述したように、計測装置2は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおける加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置を計測可能である。このため、制御装置3は、計測装置2による計測結果に基づいて、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って加工ヘッド13を移動させるように自走駆動系141を制御してもよい。但し、制御装置3は、加工ヘッド13による計測結果及び撮像装置15による計測結果の少なくとも一方に基づいて、自走駆動系141を制御してもよい。
【0106】
(1-3-1-2)アーム駆動系142の構造
続いて、図6を参照しながら、アーム駆動系142の構造について説明する。図6は、アーム駆動系142の構造を示す断面図である。
【0107】
図6に示すように、アーム駆動系142は、架台1420を備えている。架台1420は、自走駆動系141(具体的には、台車1411)に接続されている。つまり、架台1420は、台車1411に取り付けられている(つまり、固定されている)。このため、架台1420は、自走駆動系141に接続される接続部材と称されてもよい。架台1420には、ロボットアーム1421の一方の端部が取り付けられている。架台1420は、ロボットアーム1421を支持する。架台1420は、ロボットアーム1421を支持するためのベース部材として用いられる。
【0108】
尚、図6に示すように、上述した加工光源11及び計測光源12は、台車1411のうちの架台1420が接続されている部分の近傍に配置されている。但し、加工光源11及び計測光源12の配置位置が図6に示す例に限定されることはない。例えば、加工光源11及び計測光源12の少なくとも一方は、アーム駆動系142に配置されていてもよい。例えば、加工光源11及び計測光源12の少なくとも一方は、外部から見えなくなるように、自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方を構成する外装部材の内部に配置されていてもよい。
【0109】
ロボットアーム1421は、複数のアーム部材1422を備えている。複数のアーム部材1422は、少なくとも一つのジョイント部材1423を介して可動自在に連結されている。このため、ロボットアーム1421は、可動アームと称されてもよい。尚、ロボットアーム1421は、3軸以上の自由度を持つマニピュレータであってもよい。従って、アーム駆動系142は、いわゆる垂直多関節構造を有するロボットとして機能してもよい。尚、アーム駆動系142は、垂直多関節構造を有するロボットには限定されず、例えば、水平多関節構造を有するロボット極座標型ロボット、円筒座標型ロボット、直角座標型ロボット、又はパラレルリンク型ロボットとして機能してもよい。アーム駆動系142は、単一の関節(つまり、ジョイント部材1423によって規定される駆動軸)を備えていてもよい。或いは、アーム駆動系142は、複数の関節を備えていてもよい。
【0110】
ジョイント部材1423は、ジョイント部材1423に接続されている一方のアーム部材1422に対して、ジョイント部材1423に接続されている他方のアーム部材1422が一の駆動軸(例えば、X軸周りの回転軸、Y軸周りの回転軸及びZ軸周りの回転軸の少なくとも一つ)廻りに回転可能となるように、少なくとも二つのアーム部材を連結してもよい。ジョイント部材1423は、ジョイント部材1423に接続されている一方のアーム部材1422に対して、ジョイント部材1423に接続されている他方のアーム部材1422が一の駆動軸(例えば、X軸に沿った移動軸、Y軸に沿った移動軸及びZ軸に沿った移動軸の少なくとも一つ)に沿って移動可能となるように、少なくとも二つのアーム部材を連結してもよい。
【0111】
ジョイント部材1423を介して連結されている二つのアーム部材1422は、各関節に対応するアクチュエータ1424によって動く。図6は、四つのジョイント部材1423に対応してアーム駆動系142が四つのアクチュエータ1424を備えている例を示している。その結果、少なくとも一つのアーム部材1422が移動する。このため、少なくとも一つのアーム部材1422は、ワークWに対して移動可能である。つまり、少なくとも一つのアーム部材1422は、少なくとも一つのアーム部材1422とワークWとの相対的な位置関係が変更されるように移動可能である。
【0112】
ロボットアーム1421には、微動駆動系143が接続されている。具体的には、複数のアーム部材1422のうちの架台1420から最も遠い位置に位置する一のアーム部材1422”に、微動駆動系143が接続されている(つまり、取り付けられている又は固定されている)。以下、説明の便宜上、微動駆動系143が取り付けられる一のアーム部材1422を、先端アーム部材1425と称する。微動駆動系143は、先端アーム部材1425に直接取り付けられていてもよいし、他の部材を介して先端アーム部材1425に間接的に取り付けられていてもよい。先端アーム部材1425は、微動駆動系143が接続される接続部材と称されてもよい。
【0113】
上述したアクチュエータ1424によって先端アーム部材1425が移動すると、架台1420に対して先端アーム部材1425が移動する。つまり、先端アーム部材1425が移動すると、架台1420と先端アーム部材1425との相対位置が変わる。その結果、先端アーム部材1425に取り付けられている微動駆動系143もまた移動する。このため、アーム駆動系142は、微動駆動系143を移動させることができる。具体的には、アーム駆動系142は、ワークWに対して微動駆動系143を移動させることができる。アーム駆動系142は、微動駆動系143とワークWとの相対的な位置関係が変更されるように、微動駆動系143を移動させることができる。また、微動駆動系143が移動すると、微動駆動系143に取り付けられている加工ヘッド13もまた移動する。このため、アーム駆動系142は、加工ヘッド13を移動させる移動装置として機能することが可能である。尚、先端アーム部材1425に取り付けられる微動駆動系143に加えて又は代えて、複数のアーム部材1422の間に微動駆動系143を配置してもよい。また、アーム部材1422とジョイント部材1423との間、及び/又はジョイント部材1423と架台1420との間に微動駆動系143を配置してもよい。
【0114】
後に詳述するように、制御装置3は、計測装置2による計測結果に基づいて、アーム駆動系142を制御してもよい。つまり、制御装置3は、計測装置2が計測した加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置に基づいて、加工ヘッド13を移動させるようにアーム駆動系142を制御してもよい。例えば、上述したように、計測装置2は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つにおける加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置を計測可能である。このため、制御装置3は、計測装置2による計測結果に基づいて、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って加工ヘッド13を移動させるようにアーム駆動系142を制御してもよい。但し、制御装置3は、加工ヘッド13による計測結果及び撮像装置15による計測結果の少なくとも一方に基づいて、アーム駆動系142を制御してもよい。
【0115】
(1-3-1-2)微動駆動系143の構造
続いて、図7を参照しながら、微動駆動系143の構造について説明する。図7は、微動駆動系143の構造を示す断面図である。
【0116】
図7に示すように、微動駆動系143は、支持部材1431と、支持部材1432と、エアスプリング1433と、ダンパ部材1434と、駆動部材1435とを備える。
【0117】
支持部材1431は、アーム駆動系142に接続されている。具体的には、支持部材1431は、アーム駆動系142の先端アーム部材1425に取り付けられている(つまり、固定されている)。このため、支持部材1431は、アーム駆動系142に接続される接続部材と称されてもよい。支持部材1432は、加工ヘッド13に取り付けられている。このため、支持部材1432は、加工ヘッド13に接続される接続部材と称されてもよい。
【0118】
支持部材1431と支持部材1432とは、エアスプリング1433、ダンパ部材1434及び駆動部材1435を介して結合されている(言い換えれば、連結されている、或いは、接続されている)。つまり、エアスプリング1433、ダンパ部材1434及び駆動部材1435のそれぞれは、支持部材1431と支持部材1432とを結合するように、支持部材1431及び1432に取り付けられている。支持部材1431にアーム駆動系142が取り付けられ且つ支持部材1432に加工ヘッド13が取り付けられているため、エアスプリング1433、ダンパ部材1434及び駆動部材1435のそれぞれは、実質的には、アーム駆動系142と加工ヘッド13とを結合するように、支持部材1431及び1432に取り付けられているとみなしてもよい。
【0119】
エアスプリング1433は、制御装置3の制御下で、気体(一例として空気)の圧力に起因した弾性力を、支持部材1431及び1432の少なくとも一方に付与する。エアスプリング1433は、制御装置3の制御下で、気体の圧力に起因した弾性力を、支持部材1431及び1432の少なくとも一方を介してアーム駆動系142及び加工ヘッド13の少なくとも一方に付与する。特に、エアスプリング1433は、支持部材1431と支持部材1432とが並ぶ方向(例えば、アーム座標系におけるZ軸方向であり、一例として重力方向)に沿って、気体の圧力に起因した弾性力を、支持部材1431及び1432の少なくとも一方に付与してもよい。尚、エアスプリング1433は、弾性部材と称されてもよい。
【0120】
気体の圧力に起因した弾性力を付与するために、エアスプリング1433には、気体供給装置14361から配管14362及びバルブ14363を介して気体が供給される。制御装置3は、エアスプリング1433内の気体の圧力を計測する圧力計1436の計測結果に基づいて、気体供給装置14361及びバルブ14363の少なくとも一方を制御する。尚、微動駆動系143は、気体供給装置14361、配管14362及びバルブ14363を備えていなくてもよい。この場合、エアスプリング1433は、制御装置3の制御とは無関係に、内部の気体の圧力に起因した弾性力を、支持部材1431及び1432の少なくとも一方に付与してもよい。
【0121】
エアスプリング1433は、制御装置3の制御下で、弾性力を利用して、支持部材1432の重量を支持してもよい。具体的には、エアスプリング1433は、弾性力を利用して、支持部材1431と支持部材1432とが並ぶ方向(例えば、ヘッド座標系におけるZ軸方向)に沿って支持部材1432の重量を支持してもよい。支持部材1432に加工ヘッド13が取り付けられているため、エアスプリング1433は、弾性力を利用して、支持部材1432に取り付けられた加工ヘッド13の重量を支持してもよい。具体的には、エアスプリング1433は、弾性力を利用して、アーム駆動系142(特に、先端アーム部材1425)と加工ヘッド13とが並ぶ方向に沿って加工ヘッド13の重量を支持してもよい。この場合、エアスプリング1433は、加工ヘッド13の自重をキャンセルする自重キャンセラとして機能してもよい。尚、エアスプリング1433は、制御装置3の制御とは無関係に、弾性力を利用して、支持部材1432の重量を支持してもよい。
【0122】
エアスプリング1433は、制御装置3の制御下で、弾性力を利用して、アーム駆動系142と加工ヘッド13との間で微動駆動系143を介して伝達される振動を低減してもよい。つまり、エアスプリング1433は、弾性力を利用して、アーム駆動系142と加工ヘッド13との間で微動駆動系143を介して伝達される振動を減衰してもよい。具体的には、エアスプリング1433は、弾性力を利用して、アーム駆動系142から微動駆動系143を介して加工ヘッド13へと向かう(つまり、伝達される)振動を低減(減衰)してもよい。この場合、制御装置3は、圧力計1436の計測結果に基づいて、アーム駆動系142と加工ヘッド13との間で微動駆動系143を介して伝達される振動が低減される(つまり、減衰される)ように、気体供給装置14361及びバルブ14363の少なくとも一方を制御してもよい。尚、エアスプリング1433は、制御装置3の制御とは無関係に、弾性力を利用して、アーム駆動系142と加工ヘッド13との間で微動駆動系143を介して伝達される振動を低減してもよい。
【0123】
ダンパ部材1434は、空気の圧力とは異なる要因に起因した弾性力を、支持部材1431及び1432の少なくとも一方に付与する。ダンパ部材1434は、空気の圧力とは異なる要因に起因した弾性力を、支持部材1431及び1432の少なくとも一方を介してアーム駆動系142及び加工ヘッド13の少なくとも一方に付与する。特に、ダンパ部材1434は、支持部材1431と支持部材1432とが並ぶ方向(例えば、ヘッド座標系におけるZ軸方向であり、一例として重力方向)に沿って、弾性力を、支持部材1431及び1432の少なくとも一方に付与してもよい。つまり、ダンパ部材1434は、アーム駆動系142(特に、先端アーム部材1425)と加工ヘッド13とが並ぶ方向に沿って、弾性力を、支持部材1431及び1432の少なくとも一方を介してアーム駆動系142及び加工ヘッド13の少なくとも一方に付与してもよい。尚、ダンパ部材1434は、弾性部材と称されてもよい。
【0124】
ダンパ部材1434は、エアスプリング1433と同様に、弾性力を利用して、支持部材1432の重量を支持してもよい。ダンパ部材1434は、エアスプリング1433と同様に、弾性力を利用して、アーム駆動系142と加工ヘッド13との間で微動駆動系143を介して伝達される振動を低減してもよい。ダンパ部材1434は、弾性力を利用して、エアスプリング1433の振動を減衰振動に変換してもよい。つまり、ダンパ部材1434は、弾性力を利用して、アーム駆動系142と加工ヘッド13との間で微動駆動系143を介して伝達される振動を減衰振動に変換してもよい。
【0125】
ダンパ部材1434は、弾性力を付与可能である限りはどのような部材であってもよい。例えば、ダンパ部材1434は、圧縮バネコイルを含んでいてもよい。例えば、ダンパ部材1434は、板バネを含んでいてもよい。
【0126】
駆動部材1435は、制御装置3の制御下で、駆動力を発生可能である。駆動部材1435は、発生させた駆動力を支持部材1431及び1432の少なくとも一方に付与可能である。駆動部材1435は、発生させた駆動力を、支持部材1431及び1432の少なくとも一方を介して、アーム駆動系142及び加工ヘッド13の少なくとも一方に付与可能である。駆動部材1435は、駆動力を発生可能である限りは、どのような構造を有していてもよい。例えば、駆動部材1435は、電気的に駆動力を発生可能な構造を有していてもよい。例えば、駆動部材1435は、磁気的に駆動力を発生可能な構造を有していてもよい。一例として、図7は、駆動部材1435が、電気的に駆動力を発生可能なボイスコイルモータ(VCM:Voice Coil Motor)である例を示している。尚、ボイスコイルモータがリニアモータの一種であるため、駆動部材1435はボイスコイルモータと異なるリニアモータであってもよい。駆動部材1435は、直線状の軸に沿った駆動力を発生させる装置であってもよい。
【0127】
尚、駆動部材1435は、駆動部材1435のうちの支持部材1431に取り付けられる部材と、駆動部材1435のうちの支持部材1432に取り付けられる部材とが物理的に接触しない構造を有していてもよい。例えば、駆動部材1435がボイスコイルモータである場合には、駆動部材1435のうちの支持部材1431に取り付けられる部材(例えば、コイル及び磁極のいずれか一方を含む部材)と、駆動部材1435のうちの支持部材1432に取り付けられる部材(例えば、コイル及び磁極のいずれか他方を含む部材)とが物理的に接触することはない。
【0128】
駆動部材1435は、制御装置3の制御下で、駆動力を利用して、支持部材1431及び1432の少なくとも一方を移動させてもよい。駆動部材1435は、制御装置3の制御下で、駆動力を利用して支持部材1431及び1432の少なくとも一方を移動させることで、アーム駆動系142及び加工ヘッド13の少なくとも一方を移動させてもよい。この場合、駆動部材1435は、駆動力を利用してアーム駆動系142及び加工ヘッド13の少なくとも一方を移動させることで、アーム駆動系142と加工ヘッド13との相対位置を変更してもよい。
【0129】
駆動部材1435は、制御装置3の制御下で、微動駆動系143が備える位置計測装置1437の計測結果に基づいて、アーム駆動系142と加工ヘッド13との相対位置を変更してもよい。位置計測装置1437は、アーム駆動系142と加工ヘッド13との相対位置を計測する。例えば、位置計測装置1437は、支持部材1431に取り付けられた検出部14371と、支持部材1432に取り付けられたスケール部14372とを含むエンコーダであってもよい。位置計測装置1437の計測結果は、支持部材1431と支持部材1432との相対位置に関する情報を含む。支持部材1431にアーム駆動系142が取り付けられ且つ支持部材1432に加工ヘッド13が取り付けられているため、支持部材1431と支持部材1432との相対位置に関する情報は、アーム駆動系142と加工ヘッド13との相対位置に関する情報を含む。従って、制御装置3は、アーム駆動系142と加工ヘッド13との相対位置を適切に特定することができる。その結果、制御装置3は、位置計測装置1437の計測結果に基づいて、アーム駆動系142と加工ヘッド13との相対位置を適切に変更することができる。
【0130】
駆動部材1435は、制御装置3の制御下で、アーム駆動系142と加工ヘッド13との相対位置を変更する(典型的には、アーム駆動系142に対して加工ヘッド13を移動させる)ことで、ワークWに対して加工ヘッド13を移動させてもよい(つまり、駆動させてもよい)。駆動部材1435は、加工ヘッド13とワークWとの相対的な位置関係が変更されるように、加工ヘッド13を移動させてもよい(つまり、駆動させてもよい)。
【0131】
駆動部材1435は、制御装置3の制御下で、駆動力を利用してアーム駆動系142と加工ヘッド13との相対位置を変更することで、アーム駆動系142と加工ヘッド13との間で微動駆動系143を介して伝達される振動を低減してもよい。つまり、駆動部材1435は、駆動力を利用して、アーム駆動系142と加工ヘッド13との間で微動駆動系143を介して伝達される振動を減衰してもよい。具体的には、駆動部材1435は、駆動力を利用して、アーム駆動系142から微動駆動系143を介して加工ヘッド13へと向かう(つまり、伝達される)振動を低減(減衰)してもよい。
【0132】
駆動部材1435は、駆動力を利用してアーム駆動系142と加工ヘッド13との相対位置を変更することで、エアスプリング1433の振動を減衰振動に変換してもよい。つまり、駆動部材1435は、駆動力を利用して、アーム駆動系142と加工ヘッド13との間で微動駆動系143を介して伝達される振動を減衰振動に変換してもよい。この場合、駆動部材1435は、駆動力を利用して、アーム駆動系142から加工ヘッド13に向かう振動に起因したアーム駆動系142と加工ヘッド13との相対的な変位量を低減していると言える。具体的には、駆動部材1435は、駆動力を利用して、アーム駆動系142から加工ヘッド13に向かう振動に起因した、アーム駆動系142のうち微動駆動系143が接続されている部分(つまり、先端アーム部材1425)と加工ヘッド13のうち微動駆動系143が接続されている部分との相対的な変位量を低減していると言える。尚、駆動部材1435がエアスプリング1433の振動を減衰振動に変換可能である場合には、微動駆動系143は、ダンパ部材1434を備えていなくてもよい。但し、駆動部材1435がエアスプリング1433の振動を減衰振動に変換可能でない場合であっても、微動駆動系143は、ダンパ部材1434を備えていなくてもよい。また、エアスプリング1433の数と、ダンパ部材1434の数と、駆動部材1435の数とは、互いに等しくなくてもよい。
【0133】
駆動部材1435は、エアスプリング1433及び/又はダンパ部材1434が弾性力を付与する方向の成分を含む方向に沿って作用する駆動力を付与してもよい。図6に示す例で言えば、エアスプリング1433及び/又はダンパ部材1434がヘッド座標系のZ軸方向に沿った弾性力を付与しているため、駆動部材1435は、Z軸方向の成分を含む方向に沿って作用する駆動力を付与してもよい。エアスプリング1433及び/又はダンパ部材1434が弾性力を付与する方向の成分を含む方向に沿って作用する駆動力を駆動部材1435が発生する場合には、駆動部材1435は、この駆動力を利用して、エアスプリング1433の振動を減衰振動に変換することができる。エアスプリング1433の振動を減衰振動にする際には、駆動部材1435は、駆動力を利用して、エアスプリング1433の共振周波数を変更してもよい。典型的には、駆動部材1435は、駆動力を利用して、エアスプリング1433の共振周波数を高くしてもよい。
【0134】
エアスプリング1433等の弾性部材と駆動部材1435とを用いて能動的に振動を低減する装置は、能動型防振装置と称されてもよい。このため、微動駆動系143は、能動型防振装置と称されてもよい。能動型防振装置は、能動型振動分離システム(AVIS:Active Vibration Isolation System)と称されてもよい。
【0135】
後に詳述するように、制御装置3は、撮像装置15による計測結果に基づいて、微動駆動系143を制御してもよい。つまり、制御装置3は、撮像装置15が計測したワークWの位置に基づいて、加工ヘッド13を移動させるように微動駆動系143を制御してもよい。例えば、上述したように、撮像装置15は、X軸方向、Y軸方向及びθZ方向の少なくとも一つにおける加工ヘッド13の位置を計測可能である。この場合、制御装置3は、撮像装置15による計測結果に基づいて、X軸方向、Y軸方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って加工ヘッド13を移動させるように微動駆動系143を制御してもよい。例えば、上述したように、撮像装置15は、Z軸方向、θX方向及びθY方向の少なくとも一つにおける加工ヘッド13の位置を計測可能である。この場合、制御装置3は、撮像装置15による計測結果に基づいて、Z軸方向、θX方向及びθY方向の少なくとも一つに沿って加工ヘッド13を移動させるように微動駆動系143を制御してもよい。但し、制御装置3は、加工ヘッド13による計測結果及び計測装置2による計測結果の少なくとも一方に基づいて、微動駆動系143を制御してもよい。
【0136】
(1-4)計測装置2の構造
続いて、計測装置2の構造について説明する。計測装置2は、例えば、米国特許出願公開第2012/188557号明細書に記載されたレーザーレーダーシステムを含む計測装置(例えば、周波数変調した計測光を利用した計測装置)であってもよい。以下、米国特許出願公開第2012/188557号明細書に記載されたレーザーレーダーシステムを含む計測装置2の一例について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は、計測装置2の外観を示す正面図である。図9は、計測装置2の構造を示すブロック図である。
【0137】
図8に示すように、計測装置2は、架台210と、ハウジング220とを備えている。架台210は、ハウジング220を支持する台である。架台210は、例えば、加工装置1及びワークWが配置される支持面SSに配置されてもよい。架台210は、不図示の支持部材を介して支持面SSに配置されてもよいし、支持面SSに直接配置されてもよい。ハウジング220は、図9に示す光学アセンブリ230が収容される部材である。ハウジング220は、所定の回転軸廻りに回転可能であってもよい。図8に示す例では、ハウジング220は、X軸に沿った回転軸及びZ軸に沿った回転軸廻りに回転可能である。
【0138】
図9に示すように、光学アセンブリ230は、計測光源231と、ポインティングビーム源232と、ビームスプリッタ233と、ビームスプリッタ234と、ビームスプリッタ235と、ミラー236と、光学回路237と、検出器238とを備える。
【0139】
計測光源231は、計測光ML3を生成する。計測光源231が生成した計測光ML3の一部は、ビームスプリッタ234及び235並びにミラー236を介して、ハウジング220に形成された射出口221から射出される。射出口221から射出された計測光ML3は、リフレクタ136(或いは、リフレクタW136、以下同じ)に入射する。上述したようにハウジング220が回転軸廻りに回転すると、計測装置2からの計測光ML3の射出方向が変わる。このため、制御装置3は、所望の位置に配置されているリフレクタ136に計測光ML3が入射するように、ハウジング220を回転させてもよい。リフレクタ136は、リフレクタ136に入射した計測光ML3の少なくとも一部を反射する。リフレクタ136が反射した計測光ML3の少なくとも一部(以降、“戻り光ML4”と称する)は、射出口221を介して光学アセンブリ230に入射する。光学アセンブリ230に入射した戻り光ML4は、ミラー236及びビームスプリッタ235を介して、検出器238に入射する。一方で、計測光源231が生成した計測光ML3の他の一部は、ビームスプリッタ234及び米国特許出願公開第2012/188557号明細書(或いは、米国特許第4733606号等)に記載された光学回路237を介して、検出器238に入射する。制御装置3は、検出器238による計測光ML3及び戻り光ML4の検出結果に基づいて、加工ヘッド13の位置を算出する。例えば、制御装置3は、米国特許出願公開第2012/188557号明細書(或いは、米国特許第4733606号等)に記載された光ヘテロダイン式検出を用いて、検出器238による計測光ML3及び戻り光ML4の検出結果に基づいて、加工ヘッド13の位置を算出する。
【0140】
ポインティングビーム源232は、ポインティングビームBを生成する。ポインティングビームBは、計測光ML3が向けられるリフレクタ136上の位置を識別するために用いられる。ポインティングビームBは、可視光を含んでいてもよい。ポインティングビーム源232が生成したポインティングビームBは、ビームスプリッタ233、234及び235並びにミラー236を介して、ハウジング220に形成された射出口221から射出される。射出口221から射出されたポインティングビームBは、リフレクタ136に入射する。但し、光学アセンブリ230は、ポインティングビームBをリフレクタ136に照射しなくてもよい。
【0141】
尚、計測装置2は、米国特許出願公開第2012/188557号明細書に記載されたレーザーレーダーシステムを含む計測装置に限定されない。例えば、計測装置2は、米国特許第7800758号に記載されたレーザ座標計測装置を含む計測装置(例えば、強度変調した計測光を利用した計測装置)であってもよい。例えば、計測装置2は、米国特許第6847436号に記載された絶対距離計を含む計測装置(例えば、強度変調した計測光を利用した計測装置)であってもよい。
【0142】
或いは、計測装置2は、図9に示す光学アセンブリ230に代えて、上述した計測光ML2を用いてワークWの位置を計測する方法と同様の方法を用いて加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置を計測可能な光学アセンブリ230’を備えていてもよい。光学アセンブリ230’の一例が図10に示されている。図10に示すように、光学アセンブリ230’は、計測光源12’#1と、計測光源12’#2と、ミラー1320’と、ビームスプリッタ1321’と、ビームスプリッタ1322’と、検出器1323’と、ビームスプリッタ1324’と、ミラー1325’と、検出器1326’と、ミラー1327’と、ガルバノミラー1328’と、ガルバノミラー1341’と、fθレンズ1342’とを備えている。計測光源12’#1と、計測光源12’#2と、ミラー1320’と、ビームスプリッタ1321’と、ビームスプリッタ1322’と、検出器1323’と、ビームスプリッタ1324’と、ミラー1325’と、検出器1326’と、ミラー1327’と、ガルバノミラー1328’と、ガルバノミラー1341’と、fθレンズ1342’とは、上述した、計測光源12#1と、計測光源12#2と、ミラー1320と、ビームスプリッタ1321と、ビームスプリッタ1322と、検出器1323と、ビームスプリッタ1324と、ミラー1325と、検出器1326と、ミラー1327と、ガルバノミラー1328と、ガルバノミラー1341と、fθレンズ1342と同様であってもよい。つまり、光学アセンブリ230’は、計測光源12’#1からの計測光ML3#1と計測光源12’#2からの計測光ML3#2との干渉光を、検出器1323’及び1326’を用いて検出することで、加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置を計測してもよい。尚、上述したようにハウジング220が回転することで計測光ML3#1及び#2の照射位置が変更可能であるため、光学アセンブリ230’は、ガルバノミラー1328及び1341を備えていなくてもよい。
【0143】
(1-5)加工動作
続いて、ワークWを加工するために加工システムSYSaが行う加工動作について説明する。
【0144】
(1-5-1)加工動作の対象となるワークWの具体例
初めに、図11を参照しながら、加工動作の対象となるワークWの一具体例について説明する。
【0145】
図11に示すように、加工装置1は、加工装置1よりも大きなワークWを加工してもよい。図11に示す例では、加工装置1は、航空機の少なくとも一部に相当するワークWを加工している。この場合、加工装置1は、航空機の少なくとも一部に上述したリブレット構造を形成するように、航空機の少なくとも一部を加工してもよい。例えば、加工装置1は、航空機の機体、主翼、水平尾翼及び/又は垂直尾翼のうちの少なくとも一部に上述したリブレット構造を形成するように、航空機の少なくとも一部を加工してもよい。但し、加工装置1は、加工装置1よりも小さなワークWを加工してもよい。加工装置1は、加工装置1と同じ大きさのワークWを加工してもよい。また、加工装置1は、加工装置1が備えるヘッド駆動系14の移動ストロークよりも大きなサイズを持つワークWを加工してもよい。加工装置1は、加工装置1が備えるヘッド駆動系14を用いて加工ヘッド13を動かすことなく加工光ELを照射可能な範囲(例えば、後述するショット領域SA)よりも大きなサイズを持つワークWを加工してもよい。
【0146】
上述したように、リブレット構造は、ワークWの表面の流体に対する抵抗(特に、摩擦抵抗及び乱流摩擦抵抗の少なくとも一方)を低減可能な構造である。このため、加工装置1は、流体に対する抵抗を低減することが望まれる物体の少なくとも一部に相当するワークWを加工してもよい。例えば、加工装置1は、少なくとも一部が流体(例えば、気体及び液体の少なくとも一方)内を進むように移動可能な物体(つまり、移動体)の少なくとも一部に相当するワークWを加工してもよい。移動体の一例として、ヘリコプタ及びドローンの少なくとも一つがあげられる。この場合、例えば、加工装置1は、ヘリコプタ及びドローンの少なくとも一つの機体及び/回転翼の少なくとも一部を加工してもよい。移動体の他の例として、鉄道車両、リニアモーターカー、自動車、自転車、船及びロケットがあげられる。この場合、鉄道車両の車体、リニアモーターカーの車体、自動車の車体、自転車のフレーム、船の船体及び/又はロケットの機体の少なくとも一部を加工してもよい。移動体の他の一例として、タービン、ファン及び風車の少なくとも一方があげられる。このとき、加工部位は回転部分(移動部分)には限定されず、流体と接触する固定部分であってもよい。或いは、加工装置1は、流れる流体に少なくとも一部が接する物体に相当するワークWを加工してもよい。流れる流体に少なくとも一部が接する物体の一例として、内部の管路を流体が流れる配管があげられる。この場合、加工装置1は、管路に面する配管の内壁の少なくとも一部を加工してもよい。
【0147】
(1-5-2)加工動作の流れ
続いて、図12を参照しながら、加工動作の流れの一例について説明する。図12は、加工動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0148】
図12に示すように、制御装置3は、レシピ情報を取得する(ステップS10)。レシピ情報は、ワークWを加工するために加工システムSYSaが利用する情報である。このため、レシピ情報は、ワークWの加工に関する様々な情報を含んでいてもよい。例えば、レシピ情報は、加工対象となっているワークWに関するワーク情報を含んでいてもよい。ワーク情報は、ワークWの形状に関する情報、ワークWのサイズに関する情報及びワークWの位置に関する情報のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。レシピ情報は、ワーク情報に加えて又は代えて、ワークWの各部分に行うべき加工の内容に関する加工内容情報を含んでいてもよい。例えば、加工内容情報は、ワークWの各部分に形成するべきリブレット構造の特性(例えば、リブレット構造を構成する溝の幅、深さ、延びる向き及びピッチの少なくとも一つ)に関する情報を含んでいてもよい。このリブレット構造の特性を、リブレット構造のモルフォロジー(morphology)と称してもよい。
【0149】
レシピ情報は、ワークWの表面に設定されるショット領域SAに関するショット領域情報を含んでいてもよい。ショット領域SAを示す斜視図である図13に示すように、ワークW上には、複数のショット領域SAが設定されてもよい。特に、上述したように加工装置1が加工装置1よりも大きなワークWを加工する場合には、ワークW上に複数のショット領域SAが設定される可能性が高い。各ショット領域SAは、加工ヘッド13とワークWとの位置関係を固定した状態で(つまり、変更することなく)加工装置1による加工が行われる領域(言い換えれば、範囲)を示していてもよい。上述したようにワークWが加工光ELによって加工されるため、加工装置1による加工が行われる領域は、加工ヘッド13が加工光ELを照射可能な領域に相当する。更に、加工ヘッド13とワークWとの位置関係を固定した状態では、ワークW上での加工光ELの照射位置は、ガルバノミラー1341によって変更される。このため、典型的には、ショット領域SAは、図13に示すように、加工ヘッド13とワークWとの位置関係を固定した状態でガルバノミラー1341によって偏向される加工光ELの走査範囲と一致する又は当該走査範囲よりも狭い領域になるように設定されてもよい。
【0150】
ショット領域情報は、ワークW上での各ショット領域SAの位置に関する情報を含んでいてもよい。ショット領域情報は、ワークW上での各ショット領域SAのサイズに関する情報を含んでいてもよい。ショット領域情報は、ワークW上での各ショット領域SAの大きさに関する情報を含んでいてもよい。尚、制御装置3がワークWの表面に複数のショット領域SAを設定してもよい。この場合、レシピ情報にショット領域情報が含まれていなくてもよい。
【0151】
ワークWの表面に複数のショット領域SAが設定される場合には、加工装置1は、複数のショット領域SAを順に加工する。具体的には、加工装置1は、一のショット領域SAに対して加工ヘッド13が加工光ELを照射可能となる位置に向けて、加工ヘッド13を移動させる。その後、加工装置1は、一のショット領域SAに対して加工光ELを照射することで、一のショット領域SAを加工する。一のショット領域SAの加工を完了した後に、加工装置1は、一のショット領域SAとは異なる他のショット領域SAに対して加工ヘッド13が加工光ELを照射可能となる位置に向けて、加工ヘッド13を移動させる。その後、加工装置1は、他のショット領域SAに対して加工光ELを照射することで、他のショット領域SAを加工する。以降、加工装置1は、複数のショット領域SAの加工が完了するまで、同様の動作を繰り返す。
【0152】
このため、制御装置3は、レシピ情報に基づいて、加工装置1が加工するべき一のショット領域SAのワークW上での位置(典型的には、基準座標系における位置)を特定する(ステップS11)。以下の説明では、説明の便宜上、ステップS11で特定された一のショット領域SAを、加工対象ショット領域PSAと称する。尚、制御装置3がワークWの表面に複数のショット領域SAを設定した場合には、制御装置3は、制御装置3が設定した複数のショット領域SAのうちの一つを、加工対象ショット領域PSAに設定してもよい。
【0153】
その後、制御装置3は、計測装置2による計測結果に基づいて、加工ヘッド13の位置を特定する(ステップS12)。また、制御装置3は、必要に応じて、ワークWの位置を特定してもよい。尚、計測装置2は、図2に示す加工動作が行われている期間中は、加工ヘッド13の位置を計測し続けていてもよい。但し、計測装置2は、計測装置2による計測結果が必要となるタイミングで、加工ヘッド13の位置を計測してもよい。計測装置2は、加工ヘッド13の位置を周期的に計測してもよい。計測装置2は、加工ヘッド13の位置をランダムなタイミングで計測してもよい。
【0154】
その後、制御装置3は、ステップS11で特定した加工対象ショット領域PSAの位置と、ステップS12で特定した加工ヘッド13の位置とに基づいて、加工対象ショット領域PSAに対して加工ヘッド13が加工光ELを照射可能となる位置に向けて、加工ヘッド13を移動させる(ステップS13)。具体的には、制御装置3は、自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方を制御することで、加工対象ショット領域PSAに対して加工ヘッド13が加工光ELを照射可能となる位置に向けて、加工ヘッド13を移動させる。つまり、制御装置3は、自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方を制御することで、加工対象ショット領域PSAに向けて加工ヘッド13を移動させる。その結果、加工ヘッド13は、図14に示すように加工ヘッド13が加工対象ショット領域PSAに対して加工光ELを照射することができない位置から、図15に示すように加工ヘッド13が加工対象ショット領域PSAに対して加工光ELを照射することが可能な位置へと移動する。
【0155】
加工ヘッド13に撮像装置15が取り付けられているため、加工ヘッド13が移動すると、撮像装置15もまた移動する。この場合、加工ヘッド13が加工対象ショット領域PSAに対して加工光ELを照射することが可能な位置に加工ヘッド13が位置している状態で、撮像装置15は、加工対象ショット領域PSAを撮像可能となっていてもよい。このため、撮像装置15は、加工ヘッド13が加工対象ショット領域PSAに対して加工光ELを照射することが可能な位置に加工ヘッド13が位置している状態で、撮像装置15が加工対象ショット領域PSAを撮像可能となるように、加工ヘッド13に対して位置合わせされていてもよい。
【0156】
上述したようにアーム駆動系142による加工ヘッド13の移動精度が自走駆動系141よる加工ヘッド13の移動精度よりも高い場合には、制御装置3は、自走駆動系141を用いて加工ヘッド13を相対的に粗い精度で移動させた後に、アーム駆動系142を用いて加工ヘッド13を相対的に細かい精度で移動させてもよい。つまり、制御装置3は、自走駆動系141を用いて加工対象ショット領域PSAに対して加工ヘッド13を相対的に粗い精度で位置合わせした後に、アーム駆動系142を用いて加工対象ショット領域PSAに対して加工ヘッド13を相対的に細かい精度で位置合わせしてもよい。
【0157】
制御装置3は、加工ヘッド13が移動している間にワークWに対して加工装置1(特に、加工ヘッド13及びヘッド駆動系14)が干渉しないように、自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方を制御してもよい。つまり、制御装置3は、加工ヘッド13が移動している間にワークWに加工装置1(特に、加工ヘッド13及びヘッド駆動系14)が接触又は衝突しないように、自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方を制御してもよい。この場合、自走駆動系141は、ワークWに干渉することなく移動可能な駆動系であるとみなしてもよい。
【0158】
一方で、自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方が加工ヘッド13を移動させている期間中は、微動駆動系143は、加工ヘッド13を移動させなくてもよい。自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方が加工ヘッド13を移動させている期間中は、加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射しなくてもよい。このため、自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方が加工ヘッド13を移動させている期間中は、加工光ELを偏向するガルバノミラー1341は、駆動しなくてもよい。つまり、ガルバノミラー1341は、ヘッド座標系におけるXY平面に沿った面内において加工光ELの集光位置を変更しなくてもよい。ガルバノミラー1341は、ワークW上での加工光ELの照射位置を変更しなくてもよい。
【0159】
加工対象ショット領域PSAに対して加工ヘッド13が加工光ELを照射可能な位置に加工ヘッド13が移動した後、制御装置3は、撮像装置15による計測結果に基づいて微動駆動系143を制御する(ステップS14)。このため、加工対象ショット領域PSAに対して加工ヘッド13が加工光ELを照射可能な位置に加工ヘッド13が移動した後に、撮像装置15は、ワークW(特に、加工対象ショット領域PSA)の撮像を開始してもよい。つまり、加工装置1は、加工対象ショット領域PSAに対して加工ヘッド13が加工光ELを照射可能な位置に加工ヘッド13が移動した後に、撮像装置15を用いてワークWの位置を計測し始めてもよい。但し、加工装置1が微動駆動系143を備えていない場合には、加工システムSYSaは、ステップS14における動作を行わなくてもよい。
【0160】
制御装置3は、撮像装置15による計測結果から加工対象ショット領域PSAを認識し、認識した加工対象ショット領域PSAと加工ヘッド13(特に、fθレンズ1342)との相対的な位置関係が固定されるように、撮像装置15による計測結果に基づいて微動駆動系143を制御してもよい。つまり、制御装置3は、認識した加工対象ショット領域PSAに対して加工ヘッド13(特に、fθレンズ1342)が静止するように、撮像装置15による計測結果に基づいて微動駆動系143を制御してもよい。この場合、仮に加工ヘッド13に対してワークWが移動したとしても、微動駆動系143は、ワークWの移動に合わせて加工ヘッド13を移動させる。例えば、加工ヘッド13に対してワークWが一の方向に向かって一の移動量だけ移動したとしても、微動駆動系143は、ワークWの移動に合わせて加工ヘッド13を一の方向に向かって一の移動量だけ移動させる。その結果、加工対象ショット領域PSAと加工ヘッド13(特に、fθレンズ1342)との相対的な位置関係が変わることはなくなる。このため、制御装置3は、加工対象ショット領域PSA内の所望位置に加工光ELが照射されるようにガルバノミラー1341を制御する際に、加工ヘッド13に対するワークWの移動を考慮しなくともよくなる。つまり、制御装置3は、加工ヘッド13に対するワークWの移動を考慮することなく、加工対象ショット領域PSA内の所望位置に加工光ELを照射するようにガルバノミラー1341を制御することができる。加工対象ショット領域PSAと加工ヘッド13(特に、fθレンズ1342)との相対的な位置関係が変わらないことから、制御装置3は、認識した加工対象ショット領域PSAと加工ヘッド13(特に、fθレンズ1342)との相対的な位置関係を変更しない制御を行っているとも言える。
【0161】
上述したように撮像装置15がワークWに形成されたワークマーカWMを撮像する場合には、ワークマーカWMは、各ショット領域SAに形成されていてもよい。例えば、複数のショット領域SAに形成されたワークマーカWMを示す図16に示すように、各ショット領域SAには、他のショット領域SA内においてワークマーカWMが形成されている位置と同じ位置にワークマーカWMが形成されていてもよい。複数のワークマーカWMを含むマーカ群WMGが形成される場合には、各ショット領域SAには、他のショット領域SA内においてマーカ群WMGが形成されている位置と同じ位置にマーカ群WMGが形成されていてもよい。この場合、制御装置3は、加工対象ショット領域PSAに形成されているワークマーカWMの位置に基づいて、加工対象ショット領域PSAの位置を算出してもよい。或いは、制御装置3は、加工対象ショット領域PSAと所定の位置関係を有する他のショット領域SAに形成されているワークマーカWMの位置に基づいて、加工対象ショット領域PSAの位置を算出してもよい。
【0162】
ワークマーカWMは、加工装置1がワークWを加工する前に、ワークW上に予め形成されていてもよい。或いは、ワークマーカWMは、加工装置1が形成してもよい。例えば、加工装置1は、加工対象ショット領域PSAに設定された第1のショット領域SAを加工し始める前に、第1のショット領域SA(或いは、第1のショット領域SAに対して所定の位置関係を有する位置)に加工光ELを照射することで、ワークマーカWMを形成してもよい。この場合、撮像装置15は、加工装置1が第1のショット領域SAを加工している期間中に、第1のショット領域SA(或いは、第1のショット領域SAに対して所定の位置関係を有する位置)に形成されたワークマーカWMを撮像してもよい。制御装置3は、第1のショット領域SAに形成されたワークマーカWMの位置に基づいて、第1のショット領域SAの位置を算出してもよい。或いは、加工装置1は、加工対象ショット領域PSAに設定された第1のショット領域SAを加工する期間の少なくとも一部において、第1のショット領域SAの次に加工される第2のショット領域SA(或いは、第2のショット領域SAに対して所定の位置関係を有する位置であり、例えば、第1のショット領域SA)に加工光ELを照射することで、ワークマーカWMを形成してもよい。この場合、撮像装置15は、加工装置1が第2のショット領域SAを加工している期間中に、第2のショット領域SA(或いは、第2のショット領域SAに対して所定の位置関係を有する位置であり、例えば、第1のショット領域SA)に形成されたワークマーカWMを撮像してもよい。制御装置3は、第2のショット領域SA(或いは、第2のショット領域SAに対して所定の位置関係を有する位置であり、例えば、第1のショット領域SA)に形成されたワークマーカWMの位置に基づいて、第1のショット領域SAの位置を算出してもよい。
【0163】
制御装置3が撮像装置15による計測結果に基づいて微動駆動系143を制御している期間中は、微動駆動系143によって加工ヘッド13が加工対象ショット領域PSAに対して高精度に位置合わせされる。このため、制御装置3が撮像装置15による計測結果に基づいて微動駆動系143を制御している期間中は、移動精度が微動駆動系143よりも低い自走駆動系141及びアーム駆動系142は、加工ヘッド13を移動させなくてもよい。
【0164】
尚、ステップS13において自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方が加工ヘッド13を移動させている間に、制御装置3は、撮像装置15による計測結果に基づいて微動駆動系143を制御してもよい。つまり、ステップS13において自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方が加工ヘッド13を移動させている間に、撮像装置15は、ワークW(特に、加工対象ショット領域PSA)の撮像を開始してもよい。加工装置1は、ステップS13において自走駆動系141及びアーム駆動系142の少なくとも一方が加工ヘッド13を移動させている間に、撮像装置15を用いてワークWの位置を計測し始めてもよい。
【0165】
撮像装置15による計測結果に基づいて微動駆動系143が制御されている期間中に、加工装置1は、加工対象ショット領域PSAの加工を開始する。具体的には、加工装置1は、レシピ情報に基づいて加工対象ショット領域PSAの加工内容を特定し、特定した加工内容に応じた加工が加工対象ショット領域PSAに対して行われるように、加工対象ショット領域PSAに対して加工光ELを照射する(ステップS15)。例えば、加工装置1は、レシピ情報に基づくリブレット構造が加工対象ショット領域PSAに形成されるように、ガルバノミラー1341を用いて加工対象ショット領域PSA内の所望位置に加工光ELを照射してもよい。
【0166】
加工対象ショット領域PSAが加工されている期間中は、制御装置3は、加工ヘッド13による計測結果とレシピ情報とに基づいて、ガルバノミラー1341を制御する(ステップS16)。つまり、制御装置3は、撮像装置15による計測結果に基づいて微動駆動系143を制御しながら、加工ヘッド13による計測結果に基づいて、ガルバノミラー1341を制御する。具体的には、加工ヘッド13に対してワークWが移動したことに起因して微動駆動系143がワークWの移動に合わせて加工ヘッド13を移動させている間又は移動させた後に、制御装置3は、加工ヘッド13による計測結果に基づいて、ガルバノミラー1341を制御する。但し、加工装置1がガルバノミラー1341を備えていない場合には、加工システムSYSaは、ステップS16における動作を行わなくてもよい。
【0167】
具体的には、制御装置3は、ワークWの表面上での計測光ML2の照射位置を加工光ELの照射位置とは独立して変更可能なガルバノミラー1328を制御することで、加工対象ショット領域PSA上の複数個所に計測光ML2を照射してもよい。その結果、制御装置3は、加工対象ショット領域PSAの形状(ワークWの表面のうち加工対象ショット領域PSAが設定されている面部分の形状)を特定することができる。尚、制御装置3は、第1のショット領域SAが加工対象ショット領域PSAに設定されている期間よりも前に(例えば、第2のショット領域SAが加工対象ショット領域PSAに設定されている間に)、次に加工対象ショット領域PSAに設定される第2のショット領域SA上の複数個所に計測光ML2を照射してもよい。つまり、制御装置3は、第1のショット領域SAが加工対象ショット領域PSAに設定される前に、次に加工対象ショット領域PSAに設定される第1のショット領域SAの形状を予め特定しておいてもよい。
【0168】
その後、制御装置3は、特定した加工対象ショット領域PSAの形状に基づいて、特定した形状を有する加工対象ショット領域PSA内の所望位置に加工光ELが照射されるように、ガルバノミラー1341を制御してもよい。一例として、表面の形状が平面となっている加工対象ショット領域PSAに加工光ELを照射するときのガルバノミラー1341の動作と、表面の形状が曲面となっている加工対象ショット領域PSAに加工光ELを照射するときのガルバノミラー1341の動作とが同じである場合には、表面の形状が平面となっている加工対象ショット領域PSAの表面に照射された加工光ELの特性は、表面の形状が曲面となっている加工対象ショット領域PSAの表面に照射された加工光ELの特性とは異なるものになる可能性がある。例えば、表面の形状が平面となっている加工対象ショット領域PSAの表面に照射された加工光ELのフルエンスが、表面の形状が曲面となっている加工対象ショット領域PSAの表面に照射された加工光ELのフルエンスと異なるものになる可能性がある。そこで、制御装置3は、加工対象ショット領域PSAの表面の形状の違いに関わらずに、レシピ情報が示す加工内容に基づいて加工対象ショット領域PSAを加工することができるように、ガルバノミラー1341を制御することで加工対象ショット領域PSAにおける加工光ELの照射態様を制御してもよい。例えば、制御装置3は、加工対象ショット領域PSAの表面の形状の違いに関わらずに、レシピ情報が示す加工内容に基づいて加工対象ショット領域PSAが加工されるように、ガルバノミラー1341を制御してもよい。例えば、制御装置3は、ガルバノミラー1341を制御することで、ヘッド座標系のX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方における加工光ELの集光位置の移動方向、移動量及び移動速度の少なくとも一つを制御してもよい。
【0169】
ガルバノミラー1341は、ヘッド座標系のX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に沿って加工光ELの集光位置を移動させることに加えて、ヘッド座標系のZ軸方向(つまり、加工光ELの進行方向)に沿って加工光ELの集光位置を移動可能な光学系であってもよい。ヘッド座標系のZ軸方向に沿った加工光ELの集光位置は、焦点位置と称されてもよい。このため、ガルバノミラー1341は、焦点位置変更装置と称されてもよい。つまり、ガルバノミラー1341は、ヘッド座標系のZ軸方向に沿って加工光ELの集光位置とワークWの表面との相対的な位置関係を変更可能な光学系であってもよい。この場合、制御装置3は、加工対象ショット領域PSAの表面の形状の違いに関わらずに、レシピ情報が示す加工内容に基づいて加工対象ショット領域PSAが加工されるように、ガルバノミラー1341を制御してもよい。例えば、制御装置3は、ガルバノミラー1341を制御することで、ヘッド座標系のZ軸方向における加工光ELの集光位置の移動方向、移動量及び移動速度の少なくとも一つを制御してもよい。制御装置3は、加工対象ショット領域PSAの表面の形状の違いに関わらずに、加工対象ショット領域PSAの表面又はその近傍に加工光ELの集光位置が設定されるように、ガルバノミラー1341を制御してもよい。
【0170】
尚、上述した集光位置調整光学系1313は、ヘッド座標系のZ軸方向(つまり、加工光ELの進行方向)に沿って加工光ELの集光位置(焦点位置)を移動可能な光学系である。このため、制御装置3は、加工ヘッド13による計測光ML2を用いた計測結果に基づいて、ガルバノミラー1341に加えて又は代えて、集光位置調整光学系1313を制御してもよい。
【0171】
加工対象ショット領域PSAの加工を開始した後には、制御装置3は、加工対象ショット領域PSAの加工が完了したか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17における判定の結果、加工対象ショット領域PSAの加工が未だ完了していないと判定された場合には(ステップS17:No)、加工システムSYSaは、ステップS14からステップS17までの動作を繰り返す。つまり、加工システムSYSaは、加工対象ショット領域PSAの加工を継続する。
【0172】
他方で、ステップS17における判定の結果、加工対象ショット領域PSAの加工が完了したと判定された場合には(ステップS17:Yes)、制御装置3は、他のショット領域SAを新たに加工するか否かを判定する(ステップS18)。つまり、制御装置3は、他のショット領域SAを新たな加工対象ショット領域PSAに設定した上で、当該新たな加工対象ショット領域PSAの加工を開始するか否かを判定する(ステップS18)。例えば、ワークW上に設定されている複数のショット領域SAのうちの少なくとも一つの加工が未だ完了していない場合には、制御装置3は、未だ加工されていない少なくとも一つのショット領域SAを新たに加工すると判定してもよい。例えば、ワークW上に設定されている複数のショット領域SAの全ての加工が完了した場合には、制御装置3は、他のショット領域SAを新たに加工しなくてもよいと判定してもよい。
【0173】
ステップS18における判定の結果、他のショット領域SAを新たに加工すると判定された場合には(ステップS18:Yes)、加工システムSYSaは、ステップS11からステップS18までの動作を繰り返す。つまり、加工システムSYSaは、他のショット領域SAを新たな加工対象ショット領域PSAに設定した上で、当該新たな加工対象ショット領域PSAを加工する。他方で、ステップS18における判定の結果、他のショット領域SAを新たに加工しないと判定された場合には(ステップS18:No)、加工システムSYSaは、図12に示す加工動作を終了してもよい。
【0174】
(1-6)加工システムSYSaの技術的効果
以上説明した加工システムSYSaは、加工光ELを用いてワークWを適切に加工することができる。更に、加工システムSYSaは、撮像装置15、加工ヘッド13及び計測装置2のうちの少なくとも一つを用いて、ワークWの位置を計測することができる。更に、加工システムSYSaは、計測装置2を用いて、加工ヘッド13の位置を計測することができる。このため、加工システムSYSaは、加工ヘッド13とワークWとの相対的な位置関係を高精度に特定することができ、ワークWに対して加工ヘッド13を高精度に位置合わせすることができる。その結果、加工システムSYSaは、ワークWを高精度に加工することができる。
【0175】
加えて、加工システムSYSaは、計測方法が異なる三つの計測装置として機能可能な撮像装置15、加工ヘッド13及び計測装置2のうちの少なくとも一つを用いて、ワークW及び加工ヘッド13の少なくとも一つの位置を計測することができる。このため、加工システムSYSaは、第1の計測方法を用いた計測装置では計測することが難しい物体の位置を、第1の計測方法とは異なる第2の計測方法を用いた計測装置で計測することができる。このため、加工システムSYSaは、計測方法が異なる複数の計測装置を備えていない比較例の加工システムと比較して、ワークW及び加工ヘッド13の少なくとも一つの位置を高精度に計測することができる。
【0176】
(2)第2実施形態に係る加工システムSYSb
続いて、図17を参照しながら、第2実施形態に係る加工システムSYS(以降、第2実施形態に係る加工システムSYSを、“加工システムSYSb”と称する)について説明する。図17は、第2実施形態に係る加工システムSYSbのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0177】
図17に示すように、第2実施形態に係る加工システムSYSbは、上述した第1実施形態に係る加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて加工装置1bを備えているという点で異なる。加工システムSYSbのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置1bは、加工装置1と比較して、撮像装置15に加えて又は代えて、距離計15bを備えているという点で異なる。加工装置1bのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同一であってもよい。
【0178】
距離計15bは、レーザ光等の測定光をワークWに対して照射すると共に、ワークWからの測定光を検出することでワークWの位置を計測するという点で、ワークWを撮像することでワークWの位置を計測する撮像装置15とは異なる。この場合、距離計15bは、加工ヘッド13が備える各光学系(特に、少なくともfθレンズ1342)を介することなく、測定光をワークWに照射する。更に、距離計15bは、加工ヘッド13が備える各光学系(特に、少なくともfθレンズ1342)を介することなく、ワークWからの測定光を検出する。このため、距離計15bは、加工ヘッド13が備える各光学系(特に、少なくともfθレンズ1342)を介することなく、ワークWの位置を計測する計測装置として機能してもよい。距離計15bのその他の特徴は、撮像装置15のその他の特徴と同一であってもよい。
【0179】
距離計15bは、上述した計測光ML2を射出する加工ヘッド13と同様に、測定光の照射方向(例えば、ヘッド座標系のZ軸方向)におけるワークWの位置(特に、測定光が照射された被照射部の位置)を計測する計測装置として機能してもよい。更に、距離計15bは、ワークWの複数個所に測定光を照射してもよい。この場合、距離計15bは、上述した計測光ML2を射出する加工ヘッド13と同様に、ワークWの形状を計測する計測装置として機能してもよい。
【0180】
距離計15bによる計測結果は、撮像装置15による計測結果と同様の用途で用いられてもよい。例えば、制御装置3は、距離計15bによる計測結果に基づいて微動駆動系143を制御してもよい(図12のステップS14参照)。
【0181】
距離計15bは、撮像装置15と同様に加工ヘッド13に配置されている(つまり、取り付けられている又は固定されている)。つまり、距離計15bの配置態様は、撮像装置15の配置態様と同一であってもよい。このため、加工ヘッド13の移動に伴って、距離計15bもまた移動する。
【0182】
尚、距離計15bの一例として、例えば、TOF(Time Of Flight)センサがあげられる。また、加工システムSYSbが撮像装置15に加えて距離計15bを備える場合、加工システムSYSbは、RGB-Dセンサ(つまり、深度を計測可能なセンサ)を用いて、加工ヘッド13の位置を計測してもよい。
【0183】
このような第2実施形態に係る加工システムSYSbは、上述した第1実施形態に係る加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
【0184】
(3)第3実施形態に係る加工システムSYSc
続いて、図18を参照しながら、第3実施形態に係る加工システムSYS(以降、第3実施形態に係る加工システムSYSを、“加工システムSYSc”と称する)について説明する。図18は、第3実施形態に係る加工システムSYScのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0185】
図18に示すように、第3実施形態に係る加工システムSYScは、上述した第1実施形態に係る加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて加工装置1cを備えているという点で異なる。更に、加工システムSYScは、加工システムSYSaと比較して、計測装置2を備えていなくてもよいという点で異なる。但し、加工システムSYScは、計測装置2を備えていてもよい。加工システムSYScのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置1cは、加工装置1と比較して、衛星測位装置16cを備えているという点で異なる。加工装置1cのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同一であってもよい。
【0186】
衛星測位装置16cは、加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置を計測可能であるという点で、上述した計測装置2と同じである。但し、衛星測位装置16cによる加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置の計測方法は、計測装置2による加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置の計測方法とは異なる。具体的には、衛星測位装置16cは、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを用いて、加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置を計測する。このため、衛星測位装置16cは、加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方に対して固定された位置(つまり、加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方との位置関係が変わらない位置)に配置され且つ衛星測位システムを構成する人工衛星からの信号を受信可能な受信装置を含んでいてもよい。受信装置による受信結果(つまり、衛星測位装置16cによる計測結果)は、制御装置3に出力される。制御装置3は、受信装置による受信結果に基づいて、受信装置が配置された加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置を算出する。尚、加工システムSYScは、衛星測位装置16cに加えて又は代えて、ローカル測位装置を備えていてもよい。つまり、加工システムSYScは、衛星測位装置16cに加えて又は代えて、ローカル測位装置を用いて、加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置を計測してもよい。
【0187】
このような第3実施形態に係る加工システムSYScは、上述した第1実施形態に係る加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
【0188】
尚、上述した第2実施形態に係る加工システムSYSbが、第3実施形態に係る加工システムSYScに特有の構成要件を備えていてもよい。第3実施形態に係る加工システムSYScに特有の構成要件は、衛星測位装置16cに関する構成要件を含んでいてもよい。
【0189】
(4)第4実施形態に係る加工システムSYSd
続いて、図19を参照しながら、第4実施形態に係る加工システムSYS(以降、第4実施形態に係る加工システムSYSを、“加工システムSYSd”と称する)について説明する。図19は、第4実施形態に係る加工システムSYSdのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0190】
図19に示すように、第4実施形態に係る加工システムSYSdは、上述した第1実施形態に係る加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて加工装置1dを備えているという点で異なる。更に、加工システムSYSdは、加工システムSYSaと比較して、計測装置2を備えていなくてもよいという点で異なる。但し、加工システムSYSdは、計測装置2を備えていてもよい。加工システムSYSdのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置1dは、加工装置1と比較して、ジャイロセンサ16dを備えているという点で異なる。加工装置1dのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同一であってもよい。
【0191】
ジャイロセンサ16dは、加工ヘッド13の角速度を検出可能な角速度検出装置である。このため、ジャイロセンサ16dは、加工ヘッド13に配置されていてもよい。ジャイロセンサ16dが検出した加工ヘッド13の角速度は、制御装置3に出力される。制御装置3は、加工ヘッド13の角速度に基づいて、加工ヘッド13の位置を算出してもよい。例えば、制御装置3は、加工ヘッド13の角速度を積分することで加工ヘッド13の移動量を算出し、加工ヘッド13の移動量に基づいて加工ヘッド13の位置を算出してもよい。より具体的には、このため、ジャイロセンサ16dは、加工ヘッド13の位置を計測可能な計測装置として機能しているとみなしてもよい。
【0192】
加工システムSYSdは、加工ヘッド13の角速度を検出可能なジャイロセンサ16dに加えて又は代えて、ワークWの角速度を検出可能なジャイロセンサ16dを備えていてもよい。ワークWの角速度を検出可能なジャイロセンサ16dは、ワークWに配置されていてもよい。ジャイロセンサ16dが検出したワークWの角速度は、制御装置3に出力される。制御装置3は、ワークWの角速度に基づいて、ワークWの位置を算出してもよい。例えば、制御装置3は、ワークWの角速度を積分することでワークWの移動量を算出し、ワークWの移動量に基づいてワークWの位置を算出してもよい。このため、ジャイロセンサ16dは、ワークWの位置を計測可能な計測装置として機能しているとみなしてもよい。
【0193】
このような第4実施形態に係る加工システムSYSdは、上述した第1実施形態に係る加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
【0194】
尚、上述した第2実施形態に係る加工システムSYSbから第3実施形態に係る加工システムSYScの少なくとも一つが、第4実施形態に係る加工システムSYSdに特有の構成要件を備えていてもよい。第4実施形態に係る加工システムSYSdに特有の構成要件は、ジャイロセンサ16dに関する構成要件を含んでいてもよい。
【0195】
(5)第5実施形態に係る加工システムSYSe
続いて、図20及び図21を参照しながら、第5実施形態に係る加工システムSYS(以降、第5実施形態に係る加工システムSYSを、“加工システムSYSe”と称する)について説明する。図20は、第5実施形態に係る加工システムSYSeのシステム構成を示すシステム構成図である。図21は、第5実施形態に係る加工システムSYSeの加工装置1eの外観を示す正面図である。
【0196】
図20及び図21に示すように、第5実施形態に係る加工システムSYSeは、上述した第1実施形態に係る加工システムSYSaと比較して、加工装置1に代えて加工装置1eを備えているという点で異なる。加工システムSYSeのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置1eは、加工装置1と比較して、ヘッド駆動系14に代えてヘッド駆動系14eを備えているという点で異なる。加工装置1eのその他の特徴は、加工装置1のその他の特徴と同一であってもよい。ヘッド駆動系14eは、ヘッド駆動系14と比較して、自走駆動系141に加えて又は代えて、飛行駆動系141eを備えているという点で異なる。ヘッド駆動系14eのその他の特徴は、ヘッド駆動系14のその他の特徴と同一であってもよい。
【0197】
飛行駆動系141eは、支持面SSから離れた位置を飛行可能であるという点で、支持面SS上を自走可能な自走駆動系141とは異なる。つまり、飛行駆動系141eは、支持面SSから離れた位置を飛行することで加工ヘッド13を移動させるという点で、支持面SS上を自走することで加工ヘッド13を移動させる自走駆動系141とは異なる。尚、支持面SSから離れた位置は、支持面SSが存在する位置とは異なる位置及び支持面SSとの間に空間が存在する位置の少なくとも一方を意味していてもよい。また、飛行駆動系141eが飛行する状態は、飛行駆動系141eが空中を飛ぶ状態を意味していてもよい。飛行駆動系141eのその他の特徴は、自走駆動系141のその他の特徴と同一であってもよい。
【0198】
このような第5実施形態に係る加工システムSYSeは、上述した第1実施形態に係る加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
【0199】
尚、上述した第2実施形態に係る加工システムSYSbから第4実施形態に係る加工システムSYSdの少なくとも一つが、第5実施形態に係る加工システムSYSeに特有の構成要件を備えていてもよい。第5実施形態に係る加工システムSYSeに特有の構成要件は、飛行駆動系141eに関する構成要件を含んでいてもよい。
【0200】
(6)第6実施形態に係る加工システムSYSf
続いて、図22を参照しながら、第6実施形態に係る加工システムSYS(以降、第6実施形態に係る加工システムSYSを、“加工システムSYSf”と称する)について説明する。図22は、第6実施形態に係る加工システムSYSfのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0201】
図22に示すように、第6実施形態に係る加工システムSYSfは、上述した第1実施形態に係る加工システムSYSaと比較して、複数の加工装置1を備えているという点で異なる。図22に示す例では、加工システムSYSfは、n(但し、nは2以上の整数)個の加工装置1(具体的には、加工装置1#1から加工装置1#n)を備えている。加工システムSYSfのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。
【0202】
複数の加工装置1のそれぞれは、上述した加工装置1に相当する。このため、各加工装置1#k(但し、kは1以上且つn以下の整数を示す変数)は、加工光源11と、計測光源12と、加工ヘッド13と、ヘッド駆動系14(つまり、自走駆動系141、アーム駆動系142及び微動駆動系143)と、撮像装置15とを備えている。尚、以下では、説明の便宜上、加工装置1#kが備える構成要件及び加工装置1#kに固有の構成要件のそれぞれの参照符号の末尾に「#k」というラベルを付する。
【0203】
複数の加工装置1は、それぞれ、異なる複数の加工空間PSPに配置される。具体的には、複数の加工装置1の配置位置を示す平面図である図23に示すように、加工装置1#1は、加工空間PSP#1に配置され、加工装置1#2は、加工空間PSP#2に配置され、・・・、加工装置1#nは、加工空間PSP#nに配置されてもよい。ヘッド駆動系14#kは、加工空間PSP#k内において加工ヘッド13#kを移動させてもよい。一方で、ヘッド駆動系14#kは、加工空間PSP#kの外部に加工ヘッド13#kがはみ出ない(更には、加工装置1#kがはみ出ない)ように、加工ヘッド13#kを移動させてもよい。加工装置1#kは、ワークWのうち加工空間PSP#kに含まれる部分を加工する。つまり、加工装置1#kは、ワークWの表面のうち加工空間PSP#kに含まれる領域に加工光ELを照射することで当該領域を加工する。具体的には、図23に示すように、加工装置1#1は、ワークWの表面のうち加工空間PSP#1に含まれる領域WP#1を加工し、加工装置1#2は、ワークWの表面のうち加工空間PSP#2に含まれる領域WP#2を加工し、・・・、加工装置1#nは、ワークWの表面のうち加工空間PSP#nに含まれる領域WP#nを加工する。
【0204】
加工空間#kは、加工空間#kとは異なる加工空間PSP#m(但し、mは1以上且つn以下であって且つ変数kとは異なる整数を示す変数)と重複していなくてもよい。或いは、加工空間#kは、加工空間PSP#mと少なくとも部分的に重複していてもよい。図23に示す例では、加工空間PSP#1が加工空間PSP#2と部分的に重複している。
【0205】
計測装置2は、複数の加工装置1がそれぞれ備える複数の加工ヘッド13の位置を計測する。つまり、計測装置2は、(i)加工装置1#1に計測光ML3を照射することで加工装置1#1の加工ヘッド13#1の位置を計測し、(ii)加工装置1#2に計測光ML3を照射することで加工装置1#2の加工ヘッド13#2の位置を計測し、・・・、(n)加工装置1#nに計測光ML3を照射することで加工装置1#nの加工ヘッド13#nの位置を計測する。このため、計測装置2の計測空間MSPには、複数の加工空間PSP#1からPSP#nが含まれていてもよい。尚、計測空間MSPは、その内部に存在する物体の位置を計測装置2が計測することが可能な空間を意味していてもよい。
【0206】
制御装置3は、複数の加工装置1のそれぞれを制御する。制御装置3は、加工装置1#kを制御するために、少なくとも、撮像装置15#kによるワークWの位置の計測結果と、加工ヘッド13#kによるワークWの位置の計測結果と、計測装置2による加工ヘッド13#kの位置の計測結果とを用いてもよい。例えば、制御装置3は、図12のステップS13において、計測装置2による加工ヘッド13#kの位置の計測結果に基づいて、加工装置1#kが加工するべき加工対象ショット領域PSA(以降、加工対象ショット領域PSA#kと称する)に向けて加工ヘッド13#kが移動するように、自走駆動系141#1及びアーム駆動系142#kを制御してもよい。この際、制御装置3は、加工装置1#kが他の加工装置1#mと衝突しないように、ヘッド駆動系14#k(特に、自走駆動系141#k及びアーム駆動系142#k)及びヘッド駆動系14#m(特に、自走駆動系141#m及びアーム駆動系142#m)を制御してもよい。特に、加工空間PSP#kと加工空間PSP#mとが少なくとも部分的に重複している場合には、制御装置3は、加工装置1#kが他の加工装置1#mと衝突しないように、ヘッド駆動系14#k及び14#mを制御してもよい。例えば、制御装置3は、図12のステップS14において、撮像装置15#kによる計測結果に基づいて、加工対象ショット領域PSA#kと加工ヘッド13#k(特に、fθレンズ1342#k)との相対的な位置関係が固定されるように、微動駆動系143#kを制御してもよい。例えば、制御装置3は、図12のステップS16において、加工ヘッド13#kによる計測結果に基づいて、ガルバノミラー1341#kを制御してもよい。
【0207】
制御装置3は、複数の加工装置1が同時にワークWを加工するように、複数の加工装置1を制御してもよい。制御装置3は、複数の加工装置1のうちの少なくとも二つが同時にワークWを加工するように、複数の加工装置1を制御してもよい。制御装置3は、複数の加工装置1のうちの少なくとも一つがワークWを加工する一方で、複数の加工装置1のうちの少なくとも他の一つがワークWを加工しないように、複数の加工装置1を制御してもよい。
【0208】
このような第6実施形態に係る加工システムSYSfは、上述した第1実施形態に係る加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。特に、少なくとも二つの加工装置1がワークWを同時に加工する場合には、ワークWの加工に関するスループットが向上する。
【0209】
尚、上述した第2実施形態に係る加工システムSYSbから第5実施形態に係る加工システムSYSeの少なくとも一つが、第6実施形態に係る加工システムSYSfに特有の構成要件を備えていてもよい。第6実施形態に係る加工システムSYSfに特有の構成要件は、複数の加工装置1に関する構成要件を含んでいてもよい。
【0210】
(7)第7実施形態に係る加工システムSYSg
続いて、図24を参照しながら、第7実施形態に係る加工システムSYS(以降、第7実施形態に係る加工システムSYSを、“加工システムSYSg”と称する)について説明する。図24は、第7実施形態に係る加工システムSYSgのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0211】
図24に示すように、第7実施形態に係る加工システムSYSgは、上述した第6実施形態に係る加工システムSYSfと比較して、複数の計測装置2を備えているという点で異なる。図24に示す例では、加工システムSYSgは、二つの計測装置2(具体的には、計測装置2#1及び計測装置2#2)を備えている。但し、加工システムSYSgは、三つ以上の計測装置2を備えていてもよい。加工システムSYSfのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。
【0212】
各計測装置2は、各計測装置2の計測空間MSP内に存在する少なくとも一つの加工ヘッド13の位置を計測する。例えば、複数の加工装置1の配置位置を示す平面図である図25に示すように、計測装置2#1は、計測装置2#1の計測空間MSP#1内に存在する少なくとも一つの加工ヘッド13の位置を計測する。一方で、計測装置2#2は、計測装置2#2の計測空間MSP#2内に存在する少なくとも一つの加工ヘッド13の位置を計測する。図25に示す例では、計測空間MSP#1内には、n1(但し、n1は1以上の整数)個の加工装置1(具体的には、加工装置1#1-1から加工装置1#1-n1)が存在する。このため、計測装置2#1は、加工装置1#1-1から加工装置1#1-n1がそれぞれ備える加工ヘッド13#1-1から加工ヘッド13#1-n1のそれぞれの位置を計測する。また、図25に示す例では、計測空間MSP#2内には、n2(但し、n2は1以上の整数)個の加工装置1(具体的には、加工装置1#2-1から加工装置1#2-n2)が存在する。このため、計測装置2#2は、加工装置1#2-1から加工装置1#2-n2がそれぞれ備える加工ヘッド13#2-1から加工ヘッド13#2-n2のそれぞれの位置を計測する。
【0213】
一の計測空間MSPは、一の計測空間MSPとは異なる他の計測空間MSPと重複していなくてもよい。或いは、一の計測空間MSPは、他の計測空間MSPと少なくとも部分的に重複していてもよい。図25に示す例では、計測空間MSP#1が計測空間MSP#2と部分的に重複している。
【0214】
加工装置1#1-1から加工装置1#1-n1は、それぞれ、計測空間MSP#1に含まれる異なる複数の加工空間PSPに配置される。具体的には、図25に示すように、加工装置1#1-1は、加工空間PSP#1-1に配置され、加工装置1#1-2は、加工空間PSP#1-2に配置され、・・・、加工装置1#1-n1は、加工空間PSP#1-n1に配置されてもよい。この場合、加工装置1#1-1は、ワークWの表面のうち加工空間PSP#1-1に含まれる領域WP#1-1を加工し、加工装置1#1-2は、ワークWの表面のうち加工空間PSP#1-2に含まれる領域WP#1-2を加工し、・・・、加工装置1#1-n1は、ワークWの表面のうち加工空間PSP#1-n1に含まれる領域WP#1-n1を加工する。
【0215】
同様に、加工装置1#2-1から加工装置1#2-n2は、それぞれ、計測空間MSP#2に含まれる異なる複数の加工空間PSPに配置される。具体的には、図25に示すように、加工装置1#2-1は、加工空間PSP#2-1に配置され、加工装置1#2-2は、加工空間PSP#2-2に配置され、・・・、加工装置1#2-n2は、加工空間PSP#2-n2に配置されてもよい。この場合、加工装置1#2-1は、ワークWの表面のうち加工空間PSP#2-1に含まれる領域WP#2-1を加工し、加工装置1#2-2は、ワークWの表面のうち加工空間PSP#2-2に含まれる領域WP#2-2を加工し、・・・、加工装置1#2-n2は、ワークWの表面のうち加工空間PSP#2-n2に含まれる領域WP#2-n2を加工する。
【0216】
制御装置3は、複数の加工装置1のそれぞれを制御する。制御装置3は、加工装置1#1-k1(但し、k1は1以上且つn1以下の整数を示す変数)を制御するために、少なくとも、加工装置1#1-k1の撮像装置15#1-k1によるワークWの位置の計測結果と、加工装置1#1-k1の加工ヘッド13#1-k1によるワークWの位置の計測結果と、計測装置2#1による加工装置1#1-k1の加工ヘッド13#1-k1の位置の計測結果とを用いてもよい。一方で、制御装置3は、加工装置1#2-k2(但し、k2は1以上且つn2以下の整数を示す変数)を制御するために、少なくとも、加工装置1#2-k2の撮像装置15#2-k2によるワークWの位置の計測結果と、加工装置1#2-k2の加工ヘッド13#2-k2によるワークWの位置の計測結果と、計測装置2#2による加工装置1#2-k2の加工ヘッド13#2-k2の位置の計測結果とを用いてもよい。尚、第7実施形態において制御装置3が複数の加工装置1を制御する方法は、第6実施形態における方法と同一であってもよいため、その詳細な説明は省略する。但し、第7実施形態では、制御装置3は、図12のステップS13において加工ヘッド13を移動させる際に、加工装置1#1-k1が加工装置1#2-k2と衝突しないように、計測装置2#1及び2#2による計測結果に基づいて、加工装置1#1-k1のヘッド駆動系14#1-k1及び加工装置1#2-k2のヘッド駆動系14#2-k2を制御してもよい。
【0217】
このような第7実施形態に係る加工システムSYSgは、上述した第6実施形態に係る加工システムSYSfが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
【0218】
尚、第6実施形態に係る加工システムSYSf及び第7実施形態に係る加工システムSYSgでは、加工装置1の数よりも計測装置2の数の方が少なくなっている。しかしながら、加工装置1の数よりも計測装置2の数の方が多くてもよい。また、加工装置1の数と計測装置2の数とが同数であってもよい。
【0219】
尚、上述した第2実施形態に係る加工システムSYSbから第5実施形態に係る加工システムSYSeの少なくとも一つが、第7実施形態に係る加工システムSYSgに特有の構成要件を備えていてもよい。第7実施形態に係る加工システムSYSgに特有の構成要件は、複数の計測装置2に関する構成要件を含んでいてもよい。
【0220】
(8)変形例
上述した説明では、加工システムSYSは、撮像装置15を用いてワークWの位置を計測し、計測光学系132を介した計測光ML2を用いてワークWの位置を計測し、計測装置2を用いて加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置を計測している。しかしながら、加工システムSYSは、撮像装置15を用いてワークWの位置を計測しなくてもよい。この場合、加工システムSYSは、撮像装置15を備えていなくてもよい。加工システムSYSaは、図12のステップS14における動作を行わなくてもよい。また、加工システムSYSは、計測光学系132を介した計測光ML2を用いてワークWの位置を計測しなくてもよい。この場合、加工システムSYSは、ワークWに計測光ML2を照射するために必要な構成要素(具体的には、計測光源12及び計測光学系132)を備えていなくてもよい。加工システムSYSaは、図12のステップS16における動作を行わなくてもよい。加工システムSYSは、計測装置2を用いて加工ヘッド13及びワークWの少なくとも一方の位置を計測しなくてもよい。この場合、加工システムSYSは、計測装置2を備えていなくてもよい。
【0221】
上述した説明では、加工システムSYSは、加工光ELを射出可能な加工ヘッド13を備えている。しかしながら、加工システムSYSは、加工光ELを射出可能な加工ヘッド13に加えて又は代えて、ワークWに対して任意の動作を行うことが可能な任意のエンドエフェクタ136hを備える加工ヘッド13hを備えていてもよい。エンドエフェクタ136hを備える加工ヘッド13hの一例を示す図26に示されている。図26に示す例では、エンドエフェクタ136hがヘッド筐体135に取り付けられている。このようなエンドエフェクタ136hを備える加工システムSYSは、ロボットシステムと称されてもよい。加工ヘッド13hは、加工光ELに関する構成要素(具体的には、加工光学系131)を備えていなくてもよいという点で、加工ヘッド13とは異なっていてもよい。更には、加工ヘッド13hが加工光ELに関する構成要素を備えていない場合には、加工ヘッド13hは、加工光ELと計測光ML2とを合成させなくともよいがゆえに、合成光学系133を備えていなくてもよい。但し、加工ヘッド13hは、加工光ELに関する構成要素及び合成光学系133を備えていてもよい。
【0222】
上述した説明では、加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射することで、ワークWを加工している。しかしながら、加工装置1は、光とは異なる任意のエネルギビーム(このエネルギビームを、“加工ビーム”と称してもよい)をワークWに照射して、ワークWを加工してもよい。この場合、加工装置1は、加工光源11に加えて又は代えて、任意のエネルギビームを生成可能なビーム源を備えていてもよい。任意のエネルギビームの一例として、電子ビーム及びイオンビーム等の荷電粒子ビームがあげられる。任意のエネルギビームの他の一例として、電磁波があげられる。
【0223】
或いは、加工装置1は、工具を用いてワークWをしてもよい。つまり、加工装置1は、ワークWを機械加工してもよい。この場合、加工ヘッド13は、各光学系に加えて又は代えて、工具を備えていてもよい。但し、加工装置1が機械加工を行う場合であっても、加工ヘッド13が計測光ML2を用いてワークWの位置を計測する場合には、加工ヘッド13は、ワークWに計測光ML2を照射するために必要な光学系(具体的には、計測光学系132及び対物光学系134)を備えていてもよい。
【0224】
加工装置1は、排気装置を備えていてもよい。排気装置は、ワークWが配置されている加工空間内の気体を排気可能であってもよい。特に、排気装置は、加工空間内の気体を排気することで、加工光ELの照射によって発生した不要物質を、加工空間から加工空間の外部に吸引可能であってもよい。特に、この不要物質が加工光ELの光路上に存在する場合、当該不要物質が、ワークWに対する加工光ELの照射に影響を与える可能性がある。このため、排気装置は特に、加工ヘッド13の最終光学要素であるfθレンズ1342とワークWとの間の加工光ELの光路を含む空間から、当該空間内の気体とともに不要物質を吸引してもよい。尚、不要物質の一例として、ワークWの蒸気(つまり、ワークWの蒸気が凝集してできた微細な粒子を含む気体であり、いわゆるヒューム)があげられる。
【0225】
加工装置1は、気体供給装置を備えていてもよい。気体供給装置は、ワークWが配置されている加工空間に気体を供給してもよい。特に、気体供給装置は、加工空間に気体を供給することで、加工光ELの照射によって発生した不要物質が、加工空間に位置する加工ヘッド13(特に、加工ヘッド13の最終光学要素であるfθレンズ1342)に付着することを防止してもよい。気体供給装置は、加工空間に気体を供給することで、加工ヘッド13(特に、加工ヘッド13の最終光学要素であるfθレンズ1342)に付着している不要物質を吹き飛ばしてもよい(つまり、除去してもよい)。
【0226】
上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の要件のうちの一部が用いられなくてもよい。上述の各実施形態の要件は、適宜他の実施形態の要件と置き換えることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した装置等に関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0227】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う加工システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0228】
1 加工装置
13 加工ヘッド
131 加工光学系
132 計測光学系
134 対物光学系
14 ヘッド駆動系
141 自走駆動系
142 アーム駆動系
143 微動駆動系
15 撮像装置
2 計測装置
3 制御装置
EL 加工光
ML1、ML2、ML3 計測光
SYS 加工システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図19
図20
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図26