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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】光学フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20241210BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20241210BHJP
   C08L 31/06 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G02B5/30
C08F220/10
C08L31/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023192679
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2020093921の分割
【原出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2024009060
(43)【公開日】2024-01-19
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小峯 拓也
(72)【発明者】
【氏名】北川 貴裕
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-107281(JP,A)
【文献】特開2019-26678(JP,A)
【文献】特開2008-129465(JP,A)
【文献】特開2015-141347(JP,A)
【文献】特開2008-197638(JP,A)
【文献】国際公開第2019/203596(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 1/00-43/00
C08F220/10
C08L31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負の複屈折を示すエステル系樹脂と正の複屈折を示す分子量が300~1,000である波長分散調整剤を含有し、フィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内方向の屈折率をny、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnzとした場合のそれぞれの関係がnx<ny≦nzであり、式(a)にて示される波長450nmで測定した面内位相差(R450)と波長550nmで測定した面内位相差(R550)の比(R450/R550)が1.00以下であることを特徴とする光学フィルム。
Re=(ny-nx)×d (a)
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み示す。)
【請求項2】
正の複屈折を示す波長分散調整剤が芳香族化合物である請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
正の複屈折を示す波長分散調整剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ポリフェニル系化合物からなる群の少なくとも1種である請求項1または2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
フィルムに含まれる組成物における波長分散調整剤の割合が0.01重量%以上30重量%以下である請求項1乃至3いずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項5】
負の複屈折を示すエステル系樹脂が、下記式(1)で示されるフマル酸エステル残基単位50モル%以上を含む請求項1乃至4いずれか一項に記載の光学フィルム。
【化1】
(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1~12である直鎖状アルキル基、炭素数3~12の分岐状アルキル基、又は炭素数3~6である環状アルキル基からなる群の1種を示す)
【請求項6】
フィルムの厚みが80μm以下、波長589nmで測定したReが120nm以上700nm以下、式(b)にて示される波長589nmで測定した面外位相差(Rth)が-700nm以上-60nm以下であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか一項に記載の光学フィルム。
Rth=〔(nx+ny)/2-nz〕×d (b)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位相差フィルム等に好適に用いることのできる光学フィルムの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、位相差特性、波長依存性に優れる光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話、コンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられている。特に光学フィルムは、正面や斜めから見た場合のコントラスト向上、色調の補償など大きな役割を果たしている。
液晶ディスプレイ関係の光学フィルムで代表的なものとして、位相差フィルムを挙げることができる。位相差フィルムは反射型液晶表示装置、タッチパネルや有機ELの反射防止層として用いられる。
【0003】
従来の位相差フィルムとしては、ポリカーボネートや環状ポリオレフィンが使用されており、これらの高分子はいずれも正の複屈折を有する高分子である。ここで、複屈折の正負は以下に示すように定義される。
延伸等で分子配向した高分子フィルムの光学異方性は、フィルムを延伸した場合のフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnzとした屈折率楕円体で表すことができる。
【0004】
つまり、負の複屈折を有する高分子の一軸延伸では延伸軸方向の屈折率が小さく(進相軸:延伸方向)、正の複屈折を有する高分子の一軸延伸では延伸軸方向と直交する軸方向の屈折率が小さい(進相軸:延伸方向と直交方向)。
また、面内位相差(Re)は、進相軸方向と直交方向の屈折率(ny)-進相軸方向の屈折率(nx)にフィルムの厚みを掛けた値として表される。
【0005】
多くの高分子は正の複屈折性を有する。負の複屈折を有する高分子としてはアクリル樹脂やポリスチレンがあるが、アクリル樹脂は位相差の発現性が小さく、光学補償フィルムとしての特性は十分でない。ポリスチレンは、室温領域での光弾性係数が大きくわずかな応力で位相差が変化するなど位相差の安定性の課題、位相差の波長依存性が大きいといった光学特性上の課題、更に耐熱性が低いといった実用上の課題があり現状用いられていない。
【0006】
位相差の波長依存性とは、位相差が測定波長に依存して変化することを意味し、波長450nmで測定した位相差(R450)と波長550nmで測定した位相差(R550)の比R450/R550として表すことができる。一般に芳香族構造の高分子ではこのR450/R550が大きくなる傾向が強く、低波長領域でのコントラストや視野角特性が低下する。該用途では、特に長波長域ほど面内位相差が大きいR450/R550が1.00以下となる位相差フィルム(以下、「逆波長分散フィルム」という)が求められている。
【0007】
負の複屈折を示す高分子の延伸フィルムはフィルムの厚み方向の屈折率が高く、従来にない光学補償フィルムとなるため、例えばスーパーツイストネマチック型液晶(STN-LCD)や垂直配向型液晶(VA-LCD)、面内配向型液晶(IPS-LCD)、反射型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイなどのディスプレイの視野角特性の補償用の位相差フィルムや偏光板の視野角を補償するための位相差フィルムとして有用であり、負の複屈折を有する位相差フィルムに対して市場の要求が強い。
【0008】
このような要求特性に対し、種々の位相差フィルムが開発されている。
正の複屈折を有する高分子を用いてフィルムの厚み方向の屈折率を高めたフィルムの製造方法が提案されている。ひとつは高分子フィルムの片面または両面に熱収縮性フィルムを接着し、その積層体を加熱延伸処理して、高分子フィルムの厚み方向に収縮力をかける処理方法(例えば特許文献1~3参照)である。また、高分子フィルムに電場を印加しながら面内に一軸延伸する方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。
また、負の光学異方性を有する微粒子と透明性高分子からなる位相差フィルムが提案されている(例えば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許2818983号公報
【文献】特開平05-297223号公報
【文献】特開平05-323120号公報
【文献】特開平06-088909号公報
【文献】特開2005-156862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1~4において提案された方法は、製造工程が非常に複雑になるため生産性に劣るといった課題がある。また位相差の均一性などの制御も従来の延伸による制御に比べると著しく難しくなる。
また、特許文献5で得られる光学補償フィルムは、負の光学異方性を有する微粒子を添加することにより負の複屈折を有する位相差フィルムであり、微粒子の均一分散性、均一配向制御、フィルム透明性等に課題を有する。
【0011】
負の複屈折を有する樹脂を主成分とする逆波長分散性を示すフィルムの実用化例はしられていなかった。そのような位相差膜は、正の複屈折を示すポリカーボネートやポリアリレートの薄層フィルムと組み合わせることで、薄膜でありながら高い面内位相差を発現し、任意の面外位相差に調整することが可能となり、逆波長分散性に優れたフィルムを実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の性質を有するエステル系樹脂と波長分散調整剤を用いた光学フィルムが、上記課題を満足することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、負の複屈折を示すエステル系樹脂と正の複屈折を示す波長分散調整剤を含有し、フィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内方向の屈折率をny、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnzとした場合のそれぞれの関係がnx<ny≦nzであり、下記式(a)にて示される波長450nmで測定した面内位相差(R450)と波長550nmで測定した面内位相差(R550)の比(R450/R550)が1.00以下である光学フィルムに関するものである。
Re=(ny-nx)×d (a)
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み示す。)
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単一成分に近い薄膜で特定の位相差特性および逆波長分散特性を示すことから、液晶ディスプレイ用光学フィルムや反射防止用フィルムとして有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一態様である光学フィルム(以下、「本発明の光学フィルム」という。)について詳細に説明する。
【0016】
本発明の光学フィルムは、負の複屈折を示すエステル系樹脂と正の複屈折を示す波長分散調整剤を含有し、フィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内方向の屈折率をny、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnzとした場合のそれぞれの関係がnx<ny≦nzであり、下記式(a)にて示される波長450nmで測定した面内位相差(R450)と波長550nmで測定した面内位相差(R550)の比(R450/R550)が1.00以下であることを特徴とする光学フィルム(以下「フィルム(A)」とも記載する)である。
Re=(ny-nx)×d (a)
(式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、フィルム面外の垂直方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み示す。)
【0017】
屈折率 nx、ny、nzの関係がnx<ny≦nzとなるようなフィルムは、例えば負の複屈折性を持つポリマーを一軸延伸することにより得ることができる。ここで複屈折の正負は以下に示すように定義される。
【0018】
負の複屈折とは延伸方向が進相軸方向となるものであり、正の複屈折とは延伸方向の垂直方向が進相軸方向となるものである。
つまり、一軸延伸すると延伸軸と直交する軸方向の屈折率が小さく(進相軸:延伸方向の垂直方向)なるものを正の複屈折を示す樹脂、一軸延伸すると延伸軸方向の屈折率が小さく(進相軸:延伸方向)なるものを負の複屈折を示す樹脂という。
【0019】
正の複屈折を示す樹脂及び負の複屈折を示す樹脂は、延伸することによって、延伸方向と直交する軸方向で屈折率差が生じるため、面内位相差(Re)が発現する。Reは下記式(a)で表される。また正の複屈折を示す樹脂は、延伸方向と直交する厚さ方向の屈折率が小さくなるため、面外位相差(Rth)が正に大きくなる。一方、負の複屈折を示す樹脂は、延伸方向と直交する厚さ方向の屈折率が大きくなるため、面外位相差(Rth)が負に大きくなる。Rthは下記式(b)で表される。
Re=(ny-nx)×d (a)
Rth=〔(nx+ny)/2-nz〕×d (b)
(式(a)、(b)中、dはフィルムの厚みを示す。)
【0020】
本発明の光学フィルムは、負の複屈折を持つエステル樹脂に、正の複屈折を持つ波長分散調整剤を含有する組成物を含むことを特徴とする。組成物を構成する材の負と正の複屈折の組み合わせにより、波長分散を制御する事が可能となる。該組成物の構成により、波長450nmで測定した面内位相差(R450)と波長550nmで測定した面内位相差(R550)の R450/R550 で表される波長分散特性(以下、「波長分散特性」という。)が1.00以下の優れた逆波長分散特性を発現する事が可能となる。
【0021】
逆波長分散特性を発現するためには、一般的に負と正の複屈折の組み合わせが必要となる。そのため、正の複屈折を持つ樹脂の波長分散を、逆波長分散に制御する際には、負の複屈折を有する波長分散調整剤が必要となるが、延伸方向と直交する軸方向に屈折率が大きくなる負の複屈折を発現することは容易ではなく、配向性が低下する添加剤などの低分子量成分では更に困難となる。
一方、本発明の光学フィルムの構成では、負の複屈折を持つ樹脂の波長分散を、正の複屈折を有する波長分散制御剤を用いて調整する。延伸方向に屈折率が大きい正の複屈折は、添加剤などの低分子量でも発現可能かつ大きな波長分散特性を発現しやすい。そのため、負の複屈折を持つ樹脂の波長分散を、正の複屈折を有する波長分散制御剤を用いて調整することで、逆波長分散特性発現が可能となる。
【0022】
本発明の光学フィルムの波長分散特性は、1.00以下であり、好ましくはRe(450)/Re(550)≦0.99であり、さらに好ましくはRe(450)/Re(550)≦0.98である。ここで、波長分散特性Re(450)/Re(550)は、一般的な全自動複屈折計を用い、測定波長450nmの条件で測定された値Re(450)と、測定波長550nmの条件で測定された値Re(550)の比を計算した値である。
【0023】
正の複屈折を示す波長分散調整剤とは、正の複屈折を有し、負の複屈折を示すエステル系樹脂より波長分散特性が大きい添加剤である。正の波長分散特性が大きく、波長分散調整機能が優れるため、芳香族化合物であることが好ましい。好ましい例としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ポリフェニル系化合物等が挙げられる。波長分散調整剤としては、特に正の波長分散が大きい点からトリアジン系化合物またはポリフェニル系化合物の少なくともいずれかが好ましい。
【0024】
波長分散調整剤は、樹脂との相溶性、面内位相差及び波長分散調整の観点から、分子量が100~30,000であることが好ましく、300~10,000であることがさらに好ましく、300~1,000であることが特に好ましい。ここで分子量とは、波長分散調整剤が化学構造から計算できる低分子化合物であればその分子量を示し、繰り返し単位を有する高分子化合物であれば標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。
【0025】
本発明の光学フィルムに含まれる組成物における波長分散調整剤の割合は、機械的性質向上、面内位相差及び波長分散調整の観点から、0.01~30重量%であり、好ましくは0.1~15重量%であり、さらに好ましくは0.3~10重量%である。
【0026】
本発明に用いる波長分散調整剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-t-オクチルフェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール等のベンゾトリアゾール系化合物;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2′-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2′-ジヒドロキシ-4,4′-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物。2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,6-ジフェニル-4-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系化合物。2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ-t-ペンチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系化合物。N,N,N’,N’-テトラフェニルベンジジン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(o-トリル)ベンジジン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(m-トリル)ベンジジン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(p-トリル)ベンジジン、N,N’-ビス(4-ホルミルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン、N,N’-ジ(4-ビフェニリル)-N,N’-ジフェニルベンジジン、N,N’-ビス(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン、4-シアノ-4’’-プロピル-p-テルフェニル、4-シアノ-4’’-ペンチル-p-テルフェニル、4-アミノ-p-テルフェニル、4,4’’-ジアミノ-p-テルフェニル、4,4’’’-ジヒドロキシ-p-クォーターフェニル等のポリフェニル系化合物が挙げられる。
【0027】
負の複屈折性を持つエステル樹脂としては耐熱性や透明性などの点から好ましい例として、フマル酸エステル系樹脂が挙げられる。
フマル酸エステル系樹脂としては、フマル酸エステルの重合体が挙げられ、その中でも下記式(1)に示されるフマル酸ジエステル残基単位を含むことが好ましい。
【0028】
【化1】
【0029】
(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1~12である直鎖状アルキル基、炭素数3~12の分岐状アルキル基、又は炭素数3~6である環状アルキル基からなる群の1種を示す)
【0030】
フマル酸エステル系樹脂が式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位を含む場合、該残基単位を50モル%以上含有することが好ましい。
【0031】
式(1)中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1~12である直鎖状アルキル基、炭素数3~12の分岐状アルキル基、又は炭素数3~6環状アルキル基である。該アルキル基は、フッ素原子,塩素原子などのハロゲン基;エーテル基;エステル基若しくはアミノ基で置換されていてもよい。
具体的なR、Rはとして、例えば、エチル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、s-ペンチル基、t-ペンチル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、その中でも耐熱性、機械特性に優れた位相差フィルムとなることからエチル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基からなる群の一種であることが好ましく、特に耐熱性、機械特性のバランスに優れた位相差フィルムとなることからイソプロピル基が好ましい。
【0032】
ここで、式(1)で示されるフマル酸ジエステル残基単位としては、具体的にはフマル酸ジイソプロピル残基、フマル酸ジ-s-ブチル残基、フマル酸ジ-t-ブチル残基、フマル酸ジ-s-ペンチル残基、フマル酸ジ-t-ペンチル残基、フマル酸ジ-s-ヘキシル残基、フマル酸ジ-t-ヘキシル残基、フマル酸ジシクロプロピル残基、フマル酸ジシクロペンチル残基、フマル酸ジシクロヘキシル残基等が挙げられ、フマル酸ジイソプロピル残基、フマル酸ジ-s-ブチル残基、フマル酸ジ-t-ブチル残基、フマル酸ジシクロペンチル残基、フマル酸ジシクロヘキシル残基等が好ましく、特にフマル酸ジイソプロピル残基が好ましい。
【0033】
フマル酸ジエステル系樹脂は、式(1)で示される残基単位を一成分含んでいてもよく、また、2種類以上の式(1)で示される残基単位を含む、すなわち二成分以上含んでいてもよい。
【0034】
本発明に用いるフマル酸エステル系樹脂として式(1)に示されるフマル酸ジエステル残基単位を50モル%以上、フマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体からなる残基単位を50モル%以下含む樹脂であることが好ましい。ここで、フマル酸ジエステル類と共重合可能な単量体からなる残基単位としては、例えばスチレン残基、α-メチルスチレン残基等のスチレン類残基;アクリル酸残基;アクリル酸メチル残基、アクリル酸エチル残基、アクリル酸ブチル残基等のアクリル酸エステル類残基;メタクリル酸残基;メタクリル酸メチル残基、メタクリル酸エチル残基、メタクリル酸ブチル残基等のメタクリル酸エステル類残基;酢酸ビニル残基、プロピオン酸ビニル残基等のビニルエステル類残基;アクリロニトリル残基;メタクリロニトリル残基;エチレン残基、プロピレン残基等のオレフィン類残基;等の1種又は2種以上を挙げることができる。その中でも、一般式(1)に示されるフマル酸ジエステル残基単位が70モル%以上であることが好ましく、特に耐熱性及び機械特性に優れた位相差フィルムとなることからフマル酸ジエステル残基単位が80モル%以上であることが好ましく、さらに90モル%以上であることが好ましい。
【0035】
エステル系樹脂は、特に機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れたものとなることから、ゲル・パ-ミエイション・クロマトグラフィ-(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10~5×10のものであることが好ましく、5×10~3×10であることがさらに好ましい。
【0036】
エステル系樹脂の製造方法としては、該共重合体が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、ラジカル重合を行うことにより製造することができる。
ラジカル重合の方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等のいずれもが採用可能である。
【0037】
本発明の光学フィルムの厚みは、光学部材の薄膜化への適合性の観点から、厚みが0.1μm以上79.9μm以下であることが好ましく、0.1μm以上34.9μm以下がさらに好ましく、0.1μm以上19.9μm以下がもっとも好ましい。
【0038】
本発明の光学フィルムの589nmで測定されたReは、光学特性に優れた位相差フィルムとなることから、好ましくは120nm以上700nm以下、さらに好ましくは130nm以上500nm以下、特に好ましくは130nm以上350nm以下である。
本発明の光学フィルムの589nmで測定されたRthは、視野角特性に優れた位相差フィルムとなることから、好ましくは-700nm以上-60nm以下、さらに好ましくは-350nm以上-65nm以下、特に好ましくは-200nm以上-65nm以下である。
【0039】
以下、本発明の一態様である積層フィルム(以下、「本発明の積層フィルム」という。)について詳細に説明する。
【0040】
本発明の光学フィルム(以下、「フィルム(A)」という。)は、正の複屈折を示すフィルム(以下、「フィルム(B)」という)と積層することで、優れた視野角特性と逆波長分散特性を発現する。
【0041】
フィルム(A)のRthが負の値を持ち、フィルム(B)のRthが正の値を持つために、積層時のRthを任意の値へと調整する事が可能となる。更に、フィルム(B)が正の波長分散特性を持つことで、フィルム(A)とフィルム(B)の積層時の波長分散特性をより大きな逆波長分散特性へと調整する事が可能となる。
【0042】
通常のRe(450)/Re(550)>1.00の負の複屈折を有する材料と異なり、本発明のフィルム(A)は逆波長分散特性を有しているため、フィルム(B)との積層時に、より薄膜で大きな逆波長分散特性を発現することが可能となる。
本発明の積層フィルムの波長分散特性は、フィルム(A)とフィルム(B)の波長分散特性とReを調整することにより、制御可能である。色ずれ抑制のため、好ましくは0.80≦Re(450)/Re(550)≦0.90であり、さらに好ましくは0.81≦Re(450)/Re(550)≦0.87であり、特に好ましくは0.82≦Re(450)/Re(550)≦0.86である。
【0043】
本発明の積層フィルム厚みは、光学部材の薄膜化への適合性の観点から、80μm以下であることが好ましく、0.2μm以上50μm以下がさらに好ましく、0.2μm以上40μm以下がもっとも好ましい。
【0044】
本発明の積層フィルムのReは、フィルム(A)とフィルム(B)のReを調整することにより、制御可能である。本発明の積層フィルムを位相差フィルムとして使用した際により光学特性に優れることから、好ましくは120nm以上300nm以下、さらに好ましくは130nm以上300nm以下、特に好ましくは130nm以上280nm以下である。
本発明の積層フィルムのRthは、フィルム(A)とフィルム(B)のRthを調整することにより、制御可能である。本発明の積層フィルムを位相差フィルムとして使用した際により視野角補償性能に優れることから、好ましくは-300nm以上10nm以下、さらに好ましくは-100nm以上10nm以下、特に好ましくは-10nm以上10nm以下である。
【0045】
フィルム(B)の厚みは、光学部材の薄膜化への適合性の観点から、厚みが0.1μm以上79.9μm以下であることが好ましく、0.1μm以上19.9μm以下がさらに好ましく、0.1μm以上9.9μm以下がもっとも好ましい。
【0046】
フィルム(B)のReは、フィルム(A)とフィルム(B)の積層時により薄膜で光学特性に優れた位相差フィルムとなることから、好ましくは20nm以上400nm以下、さらに好ましくは20nm以上250nm以下、特に好ましくは20nm以上200nm以下である。
フィルム(B)のRthは、フィルム(A)とフィルム(B)の積層時により薄膜で視野角特性に優れた位相差フィルムとなることから、好ましくはRthが10nm以上800nm以下、さらに好ましくはRthが10nm以上200nm以下、特に好ましくは10nm以上100nm以下である。
【0047】
フィルム(B)の波長分散特性は、正の波長分散が大きい程、フィルム(A)とフィルム(B)の積層時により薄膜で優れた逆波長分散特性を発現できることから、好ましくは1.07≦Re(450)/Re(550)、さらに好ましくは1.09≦Re(450)/Re(550)であり、特に好ましくは1.10≦Re(450)/Re(550)である。
【0048】
このようなフィルム(B)は、例えば正の複屈折性を持つポリマーを一軸延伸することにより得ることができる。該正の複屈折性を持つポリマーとしては、正の複屈折性を有するポリマーであれば特に制限はなく、耐熱性や透明性などの点から好ましい例としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、環状オレフィン樹脂、セルロース樹脂、N-置換マレイミド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特にフィルム(A)との積層時に逆波長分散性を有する位相差フィルムが得られることから、ポリカーボネート樹脂 、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂等の正の波長分散の大きなフィルムが好ましい
フィルム(A)の進相軸とフィルム(B)の進相軸のなす角度は、目的に応じて設定可能であり、その中でも積層時により薄膜で優れた逆波長分散特性を発現し、生産性が高くなることから、90度±20度以下であることが好ましく、さらに90度±5度以下であることが好ましく、特に90度±2度以下であることが好ましい。
【0049】
本発明の光学フィルムは、フィルム(A)の進相軸とフィルム(B)の進相軸のなす角度が90度、つまりフィルム(A)とフィルム(B)の延伸方向が一致した状態で積層することで、優れた波長分散特性と視野角特性を発現する。そのため、2枚のフィルムを異なる角度を為す方向にカットし、貼り合せる必要性がなく、生産性の高い位相差フィルムとなる。
【0050】
フィルム(A)およびフィルム(B)は、熱安定性を向上させるために酸化防止剤を含有していても良い。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
フィルム(A)およびフィルム(B)は、耐候性を高めるためヒンダ-ドアミン系光安定剤や紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾ-ル、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエ-ト等が挙げられる。
【0051】
フィルム(A)およびフィルム(B)は、発明の主旨を超えない範囲で、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等を含有していてもよい。
【0052】
本発明のフィルム(A)およびフィルム(B)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、原料の樹脂を溶液キャスト法、溶融キャスト法等の方法により、長尺状のフィルム化し、該フィルムを一軸又は二軸以上に延伸することにより製造することができる。
【0053】
以下に該長尺状のフィルムの製造方法を説明する。
フィルムの製造方法としては、如何なる方法を用いてもよいが、溶液キャスト法により製造することが好ましい。ここで、溶液キャスト法とは、樹脂溶液(一般にはド-プと称する。)を支持基材上に流延した後、加熱することにより溶媒を蒸発させてフィルムを得る方法である。塗工方法は特に制限されず、通常の方法を採用できる。例えば、Tダイ法、ドクタ-ブレ-ド法、バ-コ-タ-法、スロットダイ法、リップコ-タ-法、リバースグラビアコート法、マイクログラビア法、スピンコート法、刷毛塗り法、ロールコート法、フレキソ印刷法などがあげられる。また、用いられる支持基材としては、特に制限はないが、例えばポリエステルやポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロースやポリビニルアルコール、ポリイミドやポリアリレート、ポリスルホンやポリエーテルスルホン、エポキシ系樹脂等からなる高分子基材、ガラス板や石英基板などのガラス基材、アルミやステンレスやフェロタイプ等の金属基材、セラミックス基板などの無機基材等が挙げられる。上記基材として好ましくは、高分子基材または金属基材である。
【0054】
溶液キャストに用いる溶剤としては、樹脂等を溶解できる溶剤であればいかなる溶剤であっても構わないが、製膜工程にて、残溶剤が残りにくい様、溶剤の沸点は200℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。
【0055】
該溶剤としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、メシチレン、ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ピロリドン、N-メチル-2
-ピロリドンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;t-ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;二硫化炭素、エチルセロソルブ、ブチルセルソルブなどを単独または混合した溶媒が挙げられる。
【0056】
フィルムを製造する際の樹脂溶液の粘度は、各成分の分子量、濃度、溶媒の種類で調整可能である。樹脂溶液の粘度としては特に制限はないが、フィルム塗工性をより容易にするため、好ましくは100~30000cps、さらに好ましくは300~20000cps、特に好ましくは300~15000cpsである。
【0057】
塗工溶液の乾燥工程における乾燥方法は特に制限されず、通常の加熱手段を採用できる。例えば、熱風器、加熱ロール、遠赤外線ヒーター等があげられる。
フィルムの製造方法では、乾燥温度が1段のみの条件でも構わないし、外観保持や乾燥時間短縮のため、1段階目に低温で乾燥し、2段階目以降に高温で乾燥するような多段階乾燥でも構わない。
【0058】
本発明において、ドープに対する原料樹脂の濃度は、溶解、製膜が可能な限り特に限定されない。樹脂組成物の溶解を実施する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように実施してもよく、また予め低濃度溶液として作製した後に濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め樹脂組成物の高濃度の樹脂溶液とした後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度の樹脂溶液としてもよい。
また、溶融キャスト法は、樹脂を押出機内で溶融し、Tダイのスリットからフィルム状に押出した後、ロールやエアーなどで冷却しつつ引き取る成形法である。
【0059】
フィルムに対して一軸又は二軸に延伸することにより位相差が制御され、本発明の積層フィルムを構成するフィルム(A)またはフィルム(B)とすることが可能である。一軸延伸方法としては、例えば自由幅一軸延伸、テンターにより延伸する方法、ロール間で延伸する方法などが挙げられ、ニ軸延伸方法としては、例えばテンターにより延伸する方法、チューブ状に膨らませて延伸する方法などがある。延伸方向は、フィルム幅方向や斜め方向に延伸するのが良い。
【0060】
延伸する際の温度は、厚みむらが発生し難く、機械的特性、光学的特性に優れる位相差フィルムとなることから、好ましくは100℃以上300℃以下、特に好ましくは110℃以上250℃以下である。
【0061】
フィルムの延伸の倍率(以下、「延伸倍率」という。)は、得られるフィルムが良好な位相差特性を発現することから、好ましくは1.05倍以上4.0倍以下、特に好ましくは1.1倍以上3.5倍以下である。
このように、延伸温度及び延伸倍率を調整することで、得られる延伸フィルムの面内位相差を制御することができる。
【0062】
延伸工程における樹脂フィルムの搬送速度は、機械精度、安定性等から好ましくは0.5m/分以上30m/分以下の範囲を例示することができ、より好ましくは1m/分以上20m/分以下の範囲を挙げることができる。
【0063】
本発明の製造方法においては、延伸工程により得られたフィルムに対して収縮処理を行う収縮工程を有してもよい。具体的には、延伸加工された樹脂フィルムを延伸方向と反対向きに収縮させる。これにより、延伸加工された樹脂伸フィルム内に溜まった残留応力を緩和させることができ、得られるフィルムは、長期間の経過を経てもなお、高い位相差を発現する。
【0064】
延伸工程に供する樹脂組成物フィルムの厚みは、延伸処理のし易さおよび光学部材の薄膜化への適合性の観点から、5~200μmが好ましく、5~150μmがさらに好ましく、5~100μmが特に好ましい。
【0065】
フィルム(A)およびフィルム(B)は、画像表示装置の光量低下を避けるため、フィルム形状における透過率が好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。ここで光線透過率は全光線透過率を表し、JIS K 7361-1(1997版)に準拠し、白色光源を備えた透過率測定可能な装置を用い、波長380nmから780nmで測定した値である。ここで全光線透過率とは、本発明の光学フィルムに含有される組成物を、厚さ50μmのフィルムに成形して測定した際の値である。
【0066】
フィルム(A)およびフィルム(B)のヘーズは、好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。前記範囲にヘーズを制御することにより、位相差フィルムとして表示装置に組み込んだ際に高コントラストの画像が得られる。ここでヘーズは、JIS-K 7136(2000年版)に準拠し、白色光源備えた一般的なヘーズメーターを用い、波長380nmから780nmで測定した値である。
【0067】
フィルム(A)およびフィルム(B)は、必要に応じて他樹脂を含むフィルムと更に積層することができる。他樹脂としては、例えば、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、マレイミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド等が挙げられる。また、液晶層やハードコート層、ガスバリア層、屈折率を制御した層(低反射層)を積層することも可能である。
フィルム(A)およびフィルム(B)は、液晶表示装置用、有機EL表示装置用等の用途に用いられる偏光板において、好適に用いられる。また、該偏光板は画像表示装置として好適に用いられる。
【実施例
【0068】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例により示す諸物性は、以下の方法により測定した。
【0069】
<重合体の解析>
重合体の構造解析は核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名:JNM-GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H-NMR)スペクトル分析より求めた。
<数平均分子量の測定>
ゲル・パ-ミエイション・クロマトグラフィ-(GPC)装置(東ソ-製、商品名:C0-8011(カラムGMHHR-Hを装着))を用い、テトラヒドロフラン、またはジメチルホルムアミドを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。
【0070】
<位相差特性の測定>
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器製、商品名:KOBRA-21ADH)を用いて波長589nmの光を用いて光学フィルムの位相差特性を測定した。
<波長分散特性の測定>
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器製、商品名:KOBRA-21ADH、光源:ハロゲンランプ(12V100W))を用い、波長450nmの光による位相差Re(450)と波長550nmの光による位相差Re(550)の比として光学フィルムの波長分散特性を測定した。
【0071】
合成例1
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた1リットル反応器に、蒸留水600g、分散剤であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH-50)3.4g、フマル酸ジイソプロピル387.5g、3-エチル-3-オキセタニルメチルアクリレート12.5g(フマル酸ジイソプロピル100重量部に対し、3.2重量部)及び油溶性ラジカル開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート8.3gを入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、400rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することによりラジカル懸濁重合を行なった。重合反応の終了後、反応器より内容物を回収し、重合物をろ別し、蒸留水で2回洗浄およびメタノールで2回洗浄後、80℃で減圧乾燥した(収率:73%)。
得られたフマル酸エステル系重合体の数平均分子量は147,000であった。H-NMR測定により、ポリマー粒子はフマル酸ジイソプロピル残基単位/3-エチル-3-オキセタニルメチルアクリレート残基単位=96.1/3.9(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル・3-エチル-3-オキセタニルメチルアクリレート共重合体であることを確認した。
【0072】
合成例2
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた1リットル反応器に、蒸留水600g、分散剤であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH-50)3.4g、フマル酸ジイソプロピル400.0g及び油溶性ラジカル開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート8.3gを入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、400rpmで攪拌しながら50℃で24時間保持することによりラジカル懸濁重合を行なった。重合反応の終了後、反応器より内容物を回収し、重合物をろ別し、蒸留水で2回洗浄およびメタノールで2回洗浄後、80℃で減圧乾燥した(収率:77%)。得られたフマル酸ジイソプロピル重合体の数平均分子量は129,000であった。
【0073】
合成例3
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた1リットル反応器に、蒸留水600g、分散剤であるヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH-50)3.4g、フマル酸ジイソプロピル350.9g、フマル酸ジエチル49.1g(フマル酸ジイソプロピル100重量部に対し、14.0重量部)及び油溶性ラジカル開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート8.3gを入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、400rpmで攪拌しながら50℃で28時間保持することによりラジカル懸濁重合を行なった。重合反応の終了後、反応器より内容物を回収し、重合物をろ別し、蒸留水で2回洗浄およびメタノールで2回洗浄後、80℃で減圧乾燥した(収率:75%)。
【0074】
得られたフマル酸エステル系重合体の数平均分子量は138,000であった。H-NMR測定により、ポリマー粒子はフマル酸ジイソプロピル残基単位/フマル酸ジエチル残基単位=86.7/13.3(モル%)であるフマル酸ジイソプロピル・フマル酸ジエチル共重合体であることを確認した。
【0075】
フィルム作製例1(正の複屈折を示すフィルム(B))
ポリカーボネート樹脂(帝人製)20.0gを塩化メチレン溶液に溶解させて20重量%の樹脂溶液とした。該溶液をコーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度50℃、80℃、155℃の3段乾燥した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、膜厚8μmのフィルム(樹脂組成物)を得た。得られたフィルムを、バッチ式のフィルム二軸延伸装置を用いて、144℃1.75倍に縦一軸延伸した。得られたフィルムは、膜厚5μm、面内位相差Re=192nm、面外位相差Rth=101nm、R450/R550=1.07であった。
【0076】
フィルム作製例2(正の複屈折を示すフィルム(B))
延伸用原反フィルム(樹脂組成物)の膜厚を12μm、延伸方法を固定幅延伸に変更したこと以外はフィルム作製例1と同様の方法で、フィルムを作製した。得られたフィルムは、膜厚8μm、面内位相差Re=198nm、面外位相差Rth=190nm、R450/R550=1.07であった。
【0077】
フィルム作製例3(正の複屈折を示すフィルム(B))
延伸用原反フィルム(樹脂組成物)の膜厚を28μmに変更したこと以外はフィルム作製例2と同様の方法で、フィルムを作製した。得られたフィルムは、膜厚17μm、面内位相差Re=339nm、面外位相差Rth=300nm、R450/R550=1.07であった。
【0078】
フィルム作製例4(正の複屈折を示すフィルム(B))
ポリアリレート樹脂(ユニチカ製)15.0gを塩化メチレン溶液に溶解させて15重量%の樹脂溶液とした。該溶液をコーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度50℃、80℃、155℃の3段乾燥した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、膜厚13μmのフィルム(樹脂組成物)を得た。得られたフィルムを、バッチ式のフィルム二軸延伸装置を用いて、206℃1.75倍に縦一軸延伸した。得られたフィルムは、膜厚10μm、面内位相差Re=170nm、面外位相差Rth=72nm、R450/R550=1.10であった。
【0079】
フィルム作製例5(正の複屈折を示すフィルム(B))
延伸用原反フィルム(樹脂組成物)の膜厚を25μm、延伸方法を固定幅延伸に変更したこと以外はフィルム作製例4と同様の方法で、フィルムを作製した。得られたフィルムは、膜厚15μm、面内位相差Re=167nm、面外位相差Rth=160nm、R450/R550=1.10であった。
【0080】
フィルム作製例6(正の複屈折を示すフィルム(B))
延伸用原反フィルム(樹脂組成物)の膜厚を17μmに変更したこと以外はフィルム作製例2と同様の方法で、フィルムを作製した。得られたフィルムは、膜厚10μm、面内位相差Re=228nm、面外位相差Rth=201nm、R450/R550=1.07であった。
【0081】
フィルム作製例7(正の複屈折を示すフィルム(B))
延伸用原反フィルム(樹脂組成物)の膜厚を10μmに変更したこと以外はフィルム作製例1と同様の方法で、フィルムを作製した。得られたフィルムは、膜厚7μm、面内位相差Re=244nm、面外位相差Rth=132nm、R450/R550=1.07であった。
【0082】
実施例1
合成例1により得られたフマル酸エステル系樹脂19.4g、2,6-ジフェニル-4-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(分子量:426)0.6gをトルエン/メチルエチルケトン=9/1(重量比)溶液に溶解させて20重量%の樹脂溶液とした。該溶液をコーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度80℃、130℃の2段乾燥した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、膜厚49μmの延伸用原反フィルム(樹脂組成物)を得た。得られたフィルムを、バッチ式のフィルム二軸延伸装置を用いて、140℃2.0倍に縦一軸延伸した。得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0083】
実施例2
延伸用原反フィルム(樹脂組成物)の膜厚を91μm、延伸倍率を2.25倍に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、フィルムを作製した。得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0084】
実施例3
延伸用原反フィルム(樹脂組成物)の膜厚を45μmに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、フィルムを作製した。得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0085】
実施例4
合成例2により得られたフマル酸エステル系樹脂19.2g、N,N’―ジフェニル―N,N’―ジ(m-トリル)ベンジジン(分子量:517)0.8gをトルエン/メチルエチルケトン=9/1(重量比)溶液に溶解させて20重量%の樹脂溶液とした。該溶液をコーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度80℃、130℃の2段乾燥した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、膜厚51μmの延伸用原反フィルム(樹脂組成物)を得た。得られたフィルムを、バッチ式のフィルム二軸延伸装置を用いて、140℃2.25倍に縦一軸延伸した。得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0086】
実施例5
合成例3により得られたフマル酸エステル系樹脂19.2g、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(分子量:510)0.8gをトルエン/メチルエチルケトン=9/1(重量比)溶液に溶解させて20重量%の樹脂溶液とした。該溶液をコーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度80℃、130℃の2段乾燥した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、膜厚54μmの延伸用原反フィルム(樹脂組成物)を得た。得られたフィルムを、バッチ式のフィルム二軸延伸装置を用いて、140℃1.4倍に縦一軸延伸した。得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0087】
実施例6
延伸用原反フィルム(樹脂組成物)の膜厚を21μm、延伸倍率を1.4倍に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で、フィルムを作製した。得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0088】
実施例7
延伸用原反フィルム(樹脂組成物)の膜厚を22μm、延伸倍率を1.4倍に変更したこと以外は実施例4と同様の方法で、フィルムを作製した。得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0089】
実施例8
実施例1とフィルム作製例1の2枚のフィルムを、延伸軸が一致(2枚のフィルムの進
相軸を90度直交)するように貼合した。
得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0090】
実施例9
実施例1とフィルム作製例2の2枚のフィルムを、延伸軸が一致(2枚のフィルムの進相軸を90度直交)するように貼合した。
得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0091】
実施例10
実施例2とフィルム作製例3の2枚のフィルムを、延伸軸が一致(2枚のフィルムの進相軸を90度直交)するように貼合した。
得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0092】
実施例11
実施例3とフィルム作製例4の2枚のフィルムを、延伸軸が一致(2枚のフィルムの進相軸を90度直交)するように貼合した。
得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0093】
実施例12
実施例3とフィルム作製例5の2枚のフィルムを、延伸軸が一致(2枚のフィルムの進相軸を90度直交)するように貼合した。
得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0094】
実施例13
実施例4とフィルム作製例6の2枚のフィルムを、延伸軸が一致(2枚のフィルムの進相軸を90度直交)するように貼合した。
得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0095】
実施例14
実施例5とフィルム作製例7の2枚のフィルムを、延伸軸が一致(2枚のフィルムの進相軸を90度直交)するように貼合した。
得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。得られたフィルムは、視野角特性、逆波長分散特性に優れており、光学フィルムとして好適であった。
【0096】
比較例1
合成例1により得られたフマル酸エステル系樹脂19.6gを、波長分散調整剤を加えずにトルエン/メチルエチルケトン=9/1(重量比)溶液に溶解させて20重量%の樹脂溶液とした。該溶液をコーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度80℃、130℃の2段乾燥した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、膜厚84μmの延伸用原反フィルム(樹脂組成物)を得た。得られたフィルムを、バッチ式のフィルム二軸延伸装置を用いて、140℃1.2倍に縦一軸延伸した。得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムは、逆波長分散特性を示しておらず、光学フィルムとして不適であった。
【0097】
比較例2
合成例1により得られたフマル酸エステル系樹脂19.6g、可塑剤のアジピン酸ジイソデシル(分子量:427)0.4gを、トルエン/メチルエチルケトン=9/1(重量比)溶液に溶解させて20重量%の樹脂溶液にしたこと、延伸用原反フィルム(樹脂組成物)の膜厚を82μmに変更したこと以外は比較例1と同様の方法で、フィルムを作製した。得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表1に合わせて示す。得られたフィルムは、逆波長分散特性を示しておらず、光学フィルムとして不適であった。
【0098】
比較例3
比較例1とフィルム作製例1の2枚のフィルムを、延伸軸が一致(2枚のフィルムの進相軸を90度直交)するように貼合した。
得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。得られたフィルムは、厚膜かつ逆波長分散特性が不十分で、光学フィルムとして不適であった。
【0099】
比較例4
比較例2とフィルム作製例4の2枚のフィルムを、延伸軸が一致(2枚のフィルムの進相軸を90度直交)するように貼合した。
得られた光学フィルムの膜厚、位相差特性、波長分散特性を測定した。その結果を表2に合わせて示す。得られたフィルムは、厚膜かつ逆波長分散特性が不十分で、光学フィルムとして不適であった。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】