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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法、及び通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/243 20220101AFI20241210BHJP
【FI】
H04L45/243
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023536292
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 JP2021027327
(87)【国際公開番号】W WO2023002602
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大坂 一夫
(72)【発明者】
【氏名】宮城 利文
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-296293(JP,A)
【文献】特開2020-194991(JP,A)
【文献】国際公開第2019/229980(WO,A1)
【文献】特開2013-197603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信装置と第2通信装置が有線伝送路及び無線伝送路を介して相互に通信を行う通信システムにおいて、
前記第1通信装置は、
前記有線伝送路を介して前記第2通信装置へ信号を送信する有線信号送信部と、
前記無線伝送路を介して前記第2通信装置へ信号を送信する無線信号送信部と、
前記第2通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記無線伝送路を介して受信する無線信号受信部と、
前記無線伝送路に障害が生じた場合に、前記第2通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記有線伝送路を介して受信する有線信号受信部と、
前記無線信号受信部又は前記有線信号受信部が通知を受信した場合に、当該通知に応じて前記第2通信装置を制御する制御信号を、前記無線信号送信部及び前記有線信号送信部の少なくともいずれかが送信するように制御する制御部と
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記無線伝送路は、
複数の無線回線を収容し、
前記有線信号受信部は、
前記無線回線ごとに通知を受信すること
を特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
第1通信装置と第2通信装置が有線伝送路及び無線伝送路を介して相互に通信を行う通信方法において、
前記無線伝送路に障害が生じた場合に、前記第2通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記第1通信装置が前記有線伝送路を介して前記第2通信装置から受信するステップと、
前記第1通信装置が通知を受信した場合に、当該通知に応じて前記第2通信装置を制御する制御信号を、前記第1通信装置が前記有線伝送路を介して前記第2通信装置へ送信するように制御するステップと
を含み、
前記無線伝送路は、
複数の無線回線を収容し、
前記第1通信装置は、
前記無線回線ごとに通知を受信すること
を特徴とする通信方法。
【請求項4】
有線伝送路及び無線伝送路を介して他の通信装置と相互に通信を行う通信装置において、
前記有線伝送路を介して前記他の通信装置へ信号を送信する有線信号送信部と、
前記無線伝送路を介して前記他の通信装置へ信号を送信する無線信号送信部と、
前記他の通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記無線伝送路を介して受信する無線信号受信部と、
前記無線伝送路に障害が生じた場合に、前記他の通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記有線伝送路を介して受信する有線信号受信部と、
前記無線信号受信部又は前記有線信号受信部が通知を受信した場合に、当該通知に応じて前記他の通信装置を制御する制御信号を、前記無線信号送信部及び前記有線信号送信部の少なくともいずれかが送信するように制御する制御部と
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項5】
前記無線伝送路は、
複数の無線回線を収容し、
前記有線信号受信部は、
前記無線回線ごとに通知を受信すること
を特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
有線伝送路及び無線伝送路を介して他の通信装置と相互に通信を行う通信装置において、
前記無線伝送路に障害が生じた場合に、当該通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記有線伝送路を介して前記他の通信装置へ送信する有線信号送信部と、
前記有線信号送信部が前記他の通信装置へ通知を送信した場合に、当該通信装置を制御する制御信号を、前記他の通信装置から前記有線伝送路を介して受信する有線信号受信部と
を有し、
前記無線伝送路は、
複数の無線回線を収容し、
前記有線信号送信部は、
前記無線回線ごとに通知を送信すること
を特徴とする通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信方法、及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムにおいては、例えば現用の中継無線装置が故障した場合や、現用の周波数チャネルに干渉が発生して回線断となった場合に、冗長系の周波数チャネル(予備システム)へ切替える技術が知られている。
【0003】
また、携帯電話の無線設備などには、異常を検知した場合に、異常に応じてアラーム(警報:通知)を伝送させることにより、当該無線設備を監視可能にするものがある(例えば非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】株式会社NTTドコモ、他5社、「携帯電話及びBWA向け無線基地局の運用保守について」、総務省、高度化された陸上無線システムに対する定期検査のあり方に関する検討会(第3回)、資料3-3、令和2年7月9日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載された技術は、無線局の設備に異常が発生した場合に、故障を検知して監視制御局へ警報を転送するものであるが、無線伝送路が遮断されてしまうと、警報や制御信号を転送できないという課題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであり、通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を伝送する無線伝送路に障害が生じても、異常又は状態変化が生じた通信装置を効率的に制御することを可能にする通信システム、通信方法、及び通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる通信システムは、第1通信装置と第2通信装置が有線伝送路及び無線伝送路を介して相互に通信を行う通信システムにおいて、前記第1通信装置が、前記有線伝送路を介して前記第2通信装置へ信号を送信する有線信号送信部と、前記無線伝送路を介して前記第2通信装置へ信号を送信する無線信号送信部と、前記第2通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記無線伝送路を介して受信する無線信号受信部と、前記無線伝送路に障害が生じた場合に、前記第2通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記有線伝送路を介して受信する有線信号受信部と、前記無線信号受信部又は前記有線信号受信部が通知を受信した場合に、当該通知に応じて前記第2通信装置を制御する制御信号を、前記無線信号送信部及び前記有線信号送信部の少なくともいずれかが送信するように制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様にかかる通信方法は、第1通信装置と第2通信装置が有線伝送路及び無線伝送路を介して相互に通信を行う通信方法において、前記無線伝送路に障害が生じた場合に、前記第2通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記第1通信装置が前記有線伝送路を介して前記第2通信装置から受信するステップと、前記第1通信装置が通知を受信した場合に、当該通知に応じて前記第2通信装置を制御する制御信号を、前記第1通信装置が前記有線伝送路を介して前記第2通信装置へ送信するように制御するステップとを含み、前記無線伝送路は、複数の無線回線を収容し、前記第1通信装置は、前記無線回線ごとに通知を受信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様にかかる通信装置は、有線伝送路及び無線伝送路を介して他の通信装置と相互に通信を行う通信装置において、前記有線伝送路を介して前記他の通信装置へ信号を送信する有線信号送信部と、前記無線伝送路を介して前記他の通信装置へ信号を送信する無線信号送信部と、前記他の通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記無線伝送路を介して受信する無線信号受信部と、前記無線伝送路に障害が生じた場合に、前記他の通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記有線伝送路を介して受信する有線信号受信部と、前記無線信号受信部又は前記有線信号受信部が通知を受信した場合に、当該通知に応じて前記他の通信装置を制御する制御信号を、前記無線信号送信部及び前記有線信号送信部の少なくともいずれかが送信するように制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様にかかる通信装置は、有線伝送路及び無線伝送路を介して他の通信装置と相互に通信を行う通信装置において、前記無線伝送路に障害が生じた場合に、当該通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、前記有線伝送路を介して前記他の通信装置へ送信する有線信号送信部と、前記有線信号送信部が前記他の通信装置へ通知を送信した場合に、当該通信装置を制御する制御信号を、前記他の通信装置から前記有線伝送路を介して受信する有線信号受信部とを有し、前記無線伝送路は、複数の無線回線を収容し、前記有線信号送信部は、前記無線回線ごとに通知を送信することを特徴とする。

【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を伝送する無線伝送路に障害が生じても、異常又は状態変化が生じた通信装置を効率的に制御することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態にかかる通信システムの構成例を示す図である。
図2】一実施形態にかかる通信装置である第1通信装置が有する機能を例示する機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を用いて通信システムの一実施形態について説明する。図1は、一実施形態にかかる通信システム1の構成例を示す図である。図1に示すように、通信システム1は、例えば第1通信装置2-1と第2通信装置2-2が有線伝送路3及び無線伝送路4を介して相互に通信を行うように構成されている。
【0014】
第1通信装置2-1及び第2通信装置2-2それぞれは、送信装置としての機能、及び受信装置としての機能を備え、双方向通信を行うことを可能にされている。また、第1通信装置2-1及び第2通信装置2-2は、それぞれ中継無線装置としても動作可能である。ここでは、第1通信装置2-1がユーザ信号を送信し、第2通信装置2-2がユーザ信号を受信する場合を例に説明する。
【0015】
有線伝送路3は、第1通信装置2-1と第2通信装置2-2との間を例えば光ケーブルなどによって接続することにより構成され、双方向通信を可能にしている有線区間である。ここでは、有線伝送路3は、通信装置10-1,10-2が信号を中継する場合を例としている。また、通信装置10-1と通信装置10-2との間は、例えば海底光ケーブルなどで接続されている。
【0016】
無線伝送路4は、例えば複数の周波数チャネルによる複数の無線回線を収容し、第1通信装置2-1と第2通信装置2-2との間で双方向通信を可能にしている無線区間である。例えば、無線伝送路4は、有線伝送路3のバックアップ回線として活用される。
【0017】
監視制御装置100は、例えば通信装置10-1を介して第1通信装置2-1及び第2通信装置2-2の異常又は状態変化などを監視可能にされている。なお、監視制御装置100は、通信装置10-1と一体に構成されてもよいし、通信装置10-1及び第1通信装置2-1と一体に構成されてもよい。
【0018】
図2は、一実施形態にかかる通信装置である第1通信装置2-1が有する機能を例示する機能ブロック図である。なお、第2通信装置2-2も、図2に示した第1通信装置2-1と同一の機能を有することとする。
【0019】
図2に示すように、第1通信装置2-1は、例えば送信部5及び受信部6を有する。図2においては、第1通信装置2-1は、送信部5及び受信部6が重複する機能を備える場合を例に示されているが、送信部5及び受信部6に共通する機能がそれぞれ1つにされて共用するように構成されてもよい。
【0020】
送信部5は、例えばインターフェース(I/F)部50、優先処理部51、フレーム処理部52、切替部53、それぞれ周波数チャネルに対応する2つの変調部54、無線信号送信部55、制御部56、及び有線信号通信部57を有する。
【0021】
I/F部50は、ユーザ信号を取得して優先処理部51へ出力するユーザインターフェースである。
【0022】
優先処理部51は、I/F部50が出力したユーザ信号それぞれの優先度を識別する処理を行い、処理したユーザ信号をフレーム処理部52に対して出力する。例えば、優先処理部51は、IEEE802.11eに規定されたQoS(quality of services)制御と同様にユーザ信号それぞれの優先度を処理する。
【0023】
フレーム処理部52は、優先処理部51が出力したユーザ信号に対し、バッファリング等を行って所定のフレームを生成し、生成したフレームを切替部53に対して出力する。
【0024】
切替部53は、無線信号送信部55がユーザ信号を送信する例えば現用系(0系)の周波数チャネルに異常が生じた場合に、異常が生じた現用系の周波数チャネルを冗長系(1系)の周波数チャネルに切り替える処理を行う。そして、切替部53は、処理したユーザ信号を2つの変調部54に対して周波数チャネルごとにそれぞれ出力する。また、切替部53は、現用系の周波数チャネルに異常が生じた場合に、制御部56に対して警報を出力する機能を備えている。
【0025】
変調部54それぞれは、切替部53が出力したユーザ信号を周波数チャネルごとに変調し、変調したユーザ信号を無線信号送信部55に対して出力する。また、変調部54は、BER(Bit Error Rate)測定機能を備えていてもよい。また、変調部54それぞれは、現用系の周波数チャネルに異常が生じた場合に、制御部56に対して警報を出力する機能を備えている。
【0026】
無線信号送信部55は、それぞれ周波数チャネルに対応する2つのRF(radio frequency)部550及びアンテナ552を有し、無線伝送路4を介して他の通信装置へ信号を送信する。RF部550それぞれは、送信アンプ及びフィルタ等を備え、変調部54が変調したユーザ信号を、アンテナ552を介して周波数チャネルごとにそれぞれ送信する。また、RF部550それぞれは、現用系の周波数チャネルに異常が生じた場合に、制御部56に対して警報を出力する機能を備えている。
【0027】
制御部56は、現用系の周波数チャネルに異常が生じているか否かを監視するとともに、送信部5を構成する各部を制御する。例えば、制御部56は、送信部5と受信部6における送受信の同時切替制御や、現用系の周波数チャネルにおける異常などを検出し、切替部53が現用系の周波数チャネルを冗長系の周波数チャネルに切り替えるように制御を行う。また、制御部56は、優先処理部51がユーザ信号の優先度を処理するように制御を行う。
【0028】
さらに、制御部56は、後述する無線信号受信部60又は有線信号受信部572(後述)が所定の通知を受信した場合に、当該通知に応じて他の通信装置を制御する制御信号を、無線信号送信部55及び有線信号送信部570(後述)の少なくともいずれかが送信するように制御する。
【0029】
有線信号通信部57は、有線伝送路3(図1参照)を介して信号を送受信する有線信号送信部570及び有線信号受信部572を備えた有線通信インターフェースであり、制御部56の制御に応じて信号を送受信する。
【0030】
有線信号送信部570は、有線伝送路3を介して他の通信装置へ信号を送信する。また、有線信号送信部570は、無線伝送路4における無線回線ごとに、有線伝送路3を介して所定の通知を送信する。例えば、有線信号送信部570は、無線伝送路4に障害が生じた場合に、当該通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、有線伝送路3の空き容量を活用して他の通信装置へ送信する。
【0031】
有線信号受信部572は、例えば無線伝送路4に障害が生じた場合に、他の通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、有線伝送路3を介して受信する。例えば、有線信号受信部572は、無線伝送路4における無線回線ごとに、有線伝送路3を介して所定の通知を受信する。
【0032】
なお、有線信号受信部572が受信する通知は、例えば警報(装置警報、通信警報)やイベント情報などが、回路基板などの部位ごとに名称を分けて送信されている。
【0033】
また、有線信号受信部572は、例えば有線信号送信部570が他の通信装置へ所定の通知を送信した場合に、当該通信装置を制御する制御信号を、他の通信装置から有線伝送路3を介して受信する。
【0034】
受信部6は、例えば無線信号受信部60、周波数チャネルそれぞれに対応する2つの復調部61、切替部62、フレーム処理部63、優先処理部64、インターフェース(I/F)部65、制御部66、及び有線信号通信部67を有する。
【0035】
無線信号受信部60は、それぞれ周波数チャネルに対応する2つのアンテナ600及びRF部602を有し、無線伝送路4を介して信号を受信する。アンテナ600は、周波数チャネルごとにユーザ信号を受信する。RF部602は、受信アンプ及びAGC(automatic gain control)等を備え、アンテナ600を介して周波数チャネルごとにユーザ信号を受信信号として検出し、検出したユーザ信号を復調部61に対して出力する。
【0036】
また、無線信号受信部60は、他の通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、無線伝送路4を介して受信する。また、RF部602それぞれは、検出した信号を制御部66に対して出力する。また、RF部602それぞれは、現用系の周波数チャネルに異常が生じた場合に、制御部66に対して警報を出力する機能を備えている。
【0037】
復調部61それぞれは、無線信号受信部60が受信したユーザ信号を周波数チャネルごとに復調し、復調したユーザ信号を切替部62に対して出力する。また、復調部61は、BER測定機能を備えていてもよい。また、復調部61それぞれは、現用系の周波数チャネルに異常が生じた場合に、制御部66に対して警報を出力する機能を備えている。
【0038】
切替部62は、復調部61それぞれが復調したユーザ信号を送信する現用系の周波数チャネルに異常が生じた場合に、異常が生じた現用系の周波数チャネルを冗長系の周波数チャネルに切り替える処理を行う。そして、切替部62は、処理したユーザ信号をフレーム処理部63に対して周波数チャネルごとにそれぞれ出力する。また、切替部62は、現用系の周波数チャネルに異常が生じた場合に、制御部66に対して警報を出力する機能を備えている。
【0039】
フレーム処理部63は、切替部62が出力したユーザ信号に対し、バッファリング等を行って所定のフレームを生成し、生成したフレームを優先処理部64に対して出力する。
【0040】
優先処理部64は、フレーム処理部63が出力したユーザ信号の優先度を識別する処理を行い、処理したユーザ信号をI/F部65に対して出力する。例えば、優先処理部64は、IEEE802.11eに規定されたQoS制御と同様にユーザ信号それぞれの優先度を処理する。
【0041】
I/F部65は、優先処理部64が出力したユーザ信号を取得して、後段へそれぞれ出力するユーザインターフェースである。
【0042】
制御部66は、現用系の周波数チャネルに異常が生じているか否かを監視するとともに、受信部6を構成する各部を制御する。例えば、制御部66は、受信部6と送信部5における送受信の同時切替制御や、現用系の周波数チャネルにおける異常などを検出し、切替部62が現用系の周波数チャネルを冗長系の周波数チャネルに切り替えるように制御を行う。また、制御部66は、優先処理部64がユーザ信号の優先度を処理するように制御を行う。
【0043】
さらに、制御部66は、無線信号受信部60又は有線信号受信部672(後述)が所定の通知を受信した場合に、当該通知に応じて他の通信装置を制御する制御信号を、無線信号送信部55及び有線信号送信部670(後述)の少なくともいずれかが送信するように制御する。
【0044】
有線信号通信部67は、有線伝送路3(図1参照)を介して信号を送受信する有線信号送信部670及び有線信号受信部672を備えた有線通信インターフェースであり、制御部66の制御に応じて信号を送受信する。
【0045】
例えば、有線信号送信部670は、有線伝送路3を介して他の通信装置へ信号を送信する。また、有線信号送信部670は、無線伝送路4における無線回線ごとに、有線伝送路3を介して所定の通知を送信する。例えば、有線信号送信部670は、無線伝送路4に障害が生じた場合に、当該通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、有線伝送路3の空き容量を活用して他の通信装置へ送信する。
【0046】
有線信号受信部672は、例えば無線伝送路4に障害が生じた場合に、他の通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、有線伝送路3を介して受信する。例えば、有線信号受信部672は、無線伝送路4における無線回線ごとに、有線伝送路3を介して所定の通知を受信する。
【0047】
なお、有線信号受信部672が受信する通知は、例えば警報(装置警報、通信警報)やイベント情報などが、回路基板などの部位ごとに名称を分けて送信されている。
【0048】
また、有線信号受信部672は、例えば有線信号送信部670が他の通信装置へ所定の通知を送信した場合に、当該通信装置を制御する制御信号を、他の通信装置から有線伝送路3を介して受信する。
【0049】
なお、上述した送信部5及び受信部6それぞれが有する各機能は、それぞれ一部又は全部がPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアによって構成されてもよいし、CPU等のプロセッサが実行するプログラムとして構成されてもよい。
【0050】
例えば、一実施形態にかかる送信部5及び受信部6は、コンピュータとプログラムを用いて実現することができ、プログラムを記憶媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0051】
次に、通信システム1(図1)の具体的な動作例について説明する。例えば、第1通信装置2-1がユーザ信号を送信し、第2通信装置2-2がユーザ信号を受信する。
【0052】
ここで、無線伝送路4に障害が生じた場合には、第2通信装置2-2の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、第1通信装置2-1が有線伝送路3を介して第2通信装置2-2から受信する。
【0053】
第1通信装置2-1が受信する通知は、例えば通信警報などであり、無線回線ごとのビットエラーレート劣化や同期はずれなど、無線伝送路4に収容されている回線ごとに第2通信装置2-2から送信された情報である。また、第1通信装置2-1が受信する通知は、例えばイベント情報などであり、当該通信装置内の0系/1系の系切替結果やCPUスタートなど、運用状態の変化を示す情報であってもよい。
【0054】
第1通信装置2-1は、通知を受信すると、当該通知に応じて第2通信装置2-2を制御する制御信号を、有線伝送路3を介して第2通信装置2-2へ送信するように制御を行う。
【0055】
このように、一実施形態にかかる通信システム1は、無線伝送路4に障害が生じた場合に、例えば、第1通信装置2-1は、第2通信装置2-2の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を、有線伝送路3を介して受信し、当該通知に応じて第2通信装置2-2を制御する。
【0056】
つまり、通信システム1は、無線伝送路4に並設される有線伝送路3を介して、警報や制御信号を転送する。よって、通信システム1は、第1通信装置2-1又は第2通信装置2-2が対向する通信装置の警報やイベント情報を詳細に把握できるため、無線伝送路4で障害が発生した場合に、原因を的確に切り分けて、通信を復旧するために必要な方法を正確に判定することができる。
【0057】
例えば、第1通信装置2-1が有人局であり、第2通信装置2-2が無人局である場合に、無線伝送路4を利用する第2通信装置2-2の一部が故障したときに、第2通信装置2-2は、有線伝送路3を介して第1通信装置2-1へ故障個所を装置警報として通知する。その後、第1通信装置2-1は、有線伝送路3を介して第2通信装置2-2を制御することにより、第2通信装置2-2の故障装置を予備装置に切替えることが可能である。
【0058】
また、第2通信装置2-2のCPUが異常状態となった場合に、第1通信装置2-1が遠隔リセット制御を行うことも可能である。また、第1通信装置2-1は、第2通信装置2-2の送信機出力信号を擬似負荷又はアンテナへ遠隔操作で切替える制御も可能である。
【0059】
このように、通信システム1は、通信装置の一部に生じた異常又は状態変化を示す通知を伝送する無線伝送路に障害が生じても、異常又は状態変化が生じた通信装置を効率的に制御することを可能にし、効率的に通信を回復させることができ、品質の高い無線通信を行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
1・・・通信システム、2-1・・・第1通信装置、2-2・・・第2通信装置、3・・・有線伝送路、4・・・無線伝送路、5・・・送信部、6・・・受信部、10-1・・・通信装置、10-2・・・通信装置、50・・・I/F部、51・・・優先処理部、52・・・フレーム処理部、53・・・切替部、54・・・変調部、55・・・無線信号送信部、56・・・制御部、57・・・有線信号通信部、60・・・無線信号受信部、61・・・復調部、62・・・切替部、63・・・フレーム処理部、64・・・優先処理部、65・・・I/F部、66・・・制御部、67・・・有線信号通信部、100・・・監視制御装置、550・・・RF部、552・・・アンテナ、570・・・有線信号送信部、572・・・有線信号受信部、600・・・アンテナ、602・・・RF部、670・・・有線信号送信部、672・・・有線信号受信部
図1
図2