(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信システム管理方法、無線通信装置、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
H04W 64/00 20090101AFI20241210BHJP
G01S 5/16 20060101ALI20241210BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H04W64/00
G01S5/16
G01R33/02
(21)【出願番号】P 2023539398
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2021028649
(87)【国際公開番号】W WO2023012874
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大宮 陸
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 匡史
(72)【発明者】
【氏名】小川 智明
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 泰司
【審査官】本橋 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-135511(JP,A)
【文献】特開2018-112538(JP,A)
【文献】国際公開第2016/080470(WO,A1)
【文献】特開2018-032901(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013861(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
G01S 5/16
G01R 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と、
前記端末装置に対する無線通信に利用される無線通信装置を制御する制御装置と
を備え、
前記無線通信装置は、電磁石を備え、
前記端末装置は、磁気センサを備え、
前記制御装置は、
前記電磁石のオンオフを切り替え、
前記電磁石がオフのときに前記磁気センサによって検出される第1磁界の情報を前記端末装置から取得し、
前記電磁石がオンのときに前記磁気センサによって検出される第2磁界の情報を前記端末装置から取得し、
前記第1磁界と前記第2磁界との差に基づいて、前記無線通信装置から前記端末装置への方向を推定する
無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムであって、
前記制御装置は、前記電磁石をオフした後、第1フィードバック要求を前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記第1フィードバック要求に応答して、前記磁気センサによって検出される前記第1磁界を示す第1フィードバック情報を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記電磁石をオンした後、第2フィードバック要求を前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記第2フィードバック要求に応答して、前記磁気センサによって検出される前記第2磁界を示す第2フィードバック情報を前記制御装置に送信する
無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無線通信システムであって、
前記無線通信装置は、動的反射板である
無線通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の無線通信システムであって、
前記制御装置は、前記動的反射板から前記端末装置への前記方向に基づいて、前記動的反射板による電波の反射方向を制御する
無線通信システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の無線通信システムであって、
前記電磁石は、前記電磁石のN極とS極を結ぶ方向が前記動的反射板の反射面と直交するように設置される
無線通信システム。
【請求項6】
端末装置と、前記端末装置に対する無線通信に利用される無線通信装置と、を含む無線通信システムを管理する無線通信システム管理方法であって、
前記無線通信装置が備える電磁石のオンオフを切り替える処理と、
前記電磁石がオフのときに、前記端末装置が備える磁気センサによって検出される第1磁界の情報を取得する処理と、
前記電磁石がオンのときに、前記磁気センサによって検出される第2磁界の情報を取得する処理と、
前記第1磁界と前記第2磁界との差に基づいて、前記無線通信装置から前記端末装置への方向を推定する処理と
を含む
無線通信システム管理方法。
【請求項7】
端末装置に対する無線通信に利用される無線通信装置であって、
制御装置と、
電磁石と
を備え、
前記制御装置は、
前記電磁石のオンオフを切り替え、
前記電磁石がオフのときに、前記端末装置が備える磁気センサによって検出される第1磁界の情報を前記端末装置から取得し、
前記電磁石がオンのときに、前記磁気センサによって検出される第2磁界の情報を前記端末装置から取得し、
前記第1磁界と前記第2磁界との差に基づいて、前記無線通信装置から前記端末装置への方向を推定する
無線通信装置。
【請求項8】
端末装置に対する無線通信に利用される無線通信装置を制御する制御装置であって、
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記無線通信装置が備える電磁石のオンオフを切り替え、
前記電磁石がオフのときに、前記端末装置が備える磁気センサによって検出される第1磁界の情報を前記端末装置から取得し、
前記電磁石がオンのときに、前記磁気センサによって検出される第2磁界の情報を前記端末装置から取得し、
前記第1磁界と前記第2磁界との差に基づいて、前記無線通信装置から前記端末装置への方向を推定する
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置から端末装置への方向を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
端末装置と無線通信装置を含む無線通信システムにおいて、無線通信装置から端末装置への方向(以下、「端末方向」と呼ぶ)を認識することは有用である。
【0003】
無線通信装置の一例として、動的反射板(RIS: Reconfigurable Intelligent Surface)について考える。動的反射板は、多数の反射素子から構成され、反射方向等の反射特性を動的に制御可能である。そのような動的反射板を利用することによって、障害物を迂回する伝搬パスを形成したり、単一の端末装置に対して複数の伝搬パスを形成したりすることが可能となる。これにより、通信品質や空間多重数といった通信性能を向上させることが可能となる。動的反射板を活用して端末装置に対する無線通信を適切に行うためには、端末方向を認識して、動的反射板による電波の反射方向を適切に制御することが必要である。
【0004】
非特許文献1は、無線LAN端末の位置を推定する方式を開示している。当該方式によれば、端末が分散アンテナを用いたアクセスポイントに帰属すると、アクセスポイントが当該端末の位置を推定する。
【0005】
非特許文献2は、地磁気センサを開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】細田,他,“分散アンテナを用いたアクセスポイントによる無線LAN端末位置推定方式”,情報処理学会論文誌, Vol.61, No.1, pp.3-15 (Jan. 2020)
【文献】地磁気センサ,Tech Web(https://techweb.rohm.co.jp/iot/knowledge/iot05/s-iot05/01-s-iot05/5055)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の1つの目的は、無線通信装置から端末装置への方向を簡易に推定することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点は、無線通信システムに関連する。
無線通信システムは、
端末装置と、
端末装置に対する無線通信に利用される無線通信装置を制御する制御装置と
を備える。
無線通信装置は、電磁石を備える。
端末装置は、磁気センサを備える。
制御装置は、電磁石のオンオフを切り替える。
制御装置は、電磁石がオフのときに磁気センサによって検出される第1磁界の情報を端末装置から取得する。
制御装置は、電磁石がオンのときに磁気センサによって検出される第2磁界の情報を端末装置から取得する。
制御装置は、第1磁界と第2磁界との差に基づいて、無線通信装置から端末装置への方向を推定する。
【0009】
第2の観点は、無線通信システムを管理する無線通信システム管理方法に関連する。無線通信システムは、端末装置と、端末装置に対する無線通信に利用される無線通信装置とを含む。
無線通信システム管理方法は、
無線通信装置が備える電磁石のオンオフを切り替える処理と、
電磁石がオフのときに、端末装置が備える磁気センサによって検出される第1磁界の情報を取得する処理と、
電磁石がオンのときに、磁気センサによって検出される第2磁界の情報を取得する処理と、
第1磁界と第2磁界との差に基づいて、無線通信装置から端末装置への方向を推定する処理と
を含む。
【0010】
第3の観点は、端末装置に対する無線通信に利用される無線通信装置に関連する。
無線通信装置は、制御装置と、電磁石とを備える。
制御装置は、電磁石のオンオフを切り替える。
制御装置は、電磁石がオフのときに、端末装置が備える磁気センサによって検出される第1磁界の情報を端末装置から取得する。
制御装置は、電磁石がオンのときに、磁気センサによって検出される第2磁界の情報を端末装置から取得する。
制御装置は、第1磁界と第2磁界との差に基づいて、無線通信装置から端末装置への方向を推定する。
【0011】
第4の観点は、端末装置に対する無線通信に利用される無線通信装置を制御する制御装置に関連する。
制御装置は、1又は複数のプロセッサを備える。
1又は複数のプロセッサは、無線通信装置が備える電磁石のオンオフを切り替える。
1又は複数のプロセッサは、電磁石がオフのときに、端末装置が備える磁気センサによって検出される第1磁界の情報を端末装置から取得する。
1又は複数のプロセッサは、電磁石がオンのときに、磁気センサによって検出される第2磁界の情報を端末装置から取得する。
1又は複数のプロセッサは、第1磁界と第2磁界との差に基づいて、無線通信装置から端末装置への方向を推定する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、無線通信装置の電磁石と端末装置の磁気センサを利用することによって、無線通信装置から端末装置への方向を簡易に推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施の形態に係る無線通信システムの例を示す概念図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係る端末方向推定処理を説明するための概念図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る端末方向推定処理に関連する処理を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の実施の形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】本開示の実施の形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】本開示の実施の形態に係る制御装置による処理例を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施の形態の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0015】
1.無線通信システム
図1は、本実施の形態に係る無線通信システム1の例を示す概念図である。無線通信システム1は、無線通信装置10と端末装置20を含んでいる。端末装置20としては、スマートフォン、PC、等が例示される。
【0016】
無線通信装置10は、端末装置20に対する無線通信に利用される。無線通信装置10としては、基地局、アクセスポイント、中継器、等が例示される。基地局やアクセスポイントは、ビームフォーミングを行ってもよい。中継器は、他の無線通信装置10と端末装置20との間の信号通信を中継する。中継器としては、ビーム制御が可能なリピータ(スマートリピータ)、電波を反射する動的反射板(RIS: Reconfigurable Intelligent Surface)、等が例示される。
【0017】
動的反射板は、多数の反射素子から構成され、反射方向等の反射特性を動的に制御可能である。例えば、動的反射板は、メタサーフェス反射板である。そのような動的反射板を利用することによって、障害物を迂回する伝搬パスを形成したり、単一の端末装置20に対して複数の伝搬パスを形成したりすることが可能となる。これにより、通信品質や空間多重数といった通信性能を向上させることが可能となる。
【0018】
無線通信装置10と端末装置20を含む無線通信システム1において、無線通信装置10から端末装置20への方向(以下、「端末方向D」と呼ぶ)を認識することは有用である。例えば、動的反射板を活用して端末装置20に対する無線通信を適切に行うためには、端末方向Dを認識して、動的反射板による電波の反射方向を適切に制御することが必要である。また、端末方向Dは、無線通信装置10におけるビームフォーミングにも有用である。
【0019】
以下、無線通信装置10から端末装置20への端末方向Dを推定する「端末方向推定処理」について説明する。
【0020】
2.端末方向推定処理
図2は、本実施の形態に係る端末方向推定処理を説明するための概念図である。
【0021】
本実施の形態に係る無線通信装置10は、制御装置100と電磁石110を備えている。制御装置100は、無線通信装置10を制御する。また、制御装置100は、電磁石110のON/OFF(オンオフ)を切り替える。電磁石110は、制御装置100によってONされると磁界を発生させる。更に、制御装置100は、端末装置20と通信可能である。変形例として、制御装置100は、無線通信装置10の外部に設けられ、無線通信装置10や電磁石110を外部から制御してもよい。
【0022】
一方、本実施の形態に係る端末装置20は、磁界を検出する磁気センサ210を備えている。磁界は、所定の座標系(x,y,z)において定義される。例えば、x軸は緯線に平行であり、y軸は経線に平行であり、z軸は鉛直軸である。磁気センサ210によって検出される磁界は、x成分、y成分、及びz成分を有する。
【0023】
図3は、端末方向推定処理に関連する処理を示すフローチャートである。
【0024】
ステップS110において、制御装置100は、無線通信装置10の電磁石110をOFFする。このとき端末装置20の磁気センサ210によって検出される磁界を、以下、「第1磁界H1(x1,y1,z1)」と呼ぶ。第1磁界H1は、端末装置20の位置における地磁気に相当する。制御装置100は、検出された第1磁界H1の情報を端末装置20から取得する。
【0025】
ステップS120において、制御装置100は、無線通信装置10の電磁石110をONする。電磁石110は、周囲に磁界を発生させる。端末装置20の位置における電磁石110に起因する磁界を、以下、「電磁石起因磁界He」と呼ぶ。また、このとき端末装置20の磁気センサ210によって検出される磁界を、以下、「第2磁界H2(x2,y2,z2)」と呼ぶ。第2磁界H2は、第1磁界H1と電磁石起因磁界Heとのベクトル和で与えられる(H2=H1+He)。制御装置100は、検出された第2磁界H2の情報を端末装置20から取得する。
【0026】
尚、端末装置20の位置において地磁気よりも強い電磁石起因磁界Heが発生するように電磁石110の電流が制御されると好ましい。
【0027】
尚、ステップS110とステップS120の順番は逆であってもよい。
【0028】
ステップS130において、制御装置100は、第1磁界H1と第2磁界H2との対比に基づいて、端末方向Dを推定する。上述の通り、第2磁界H2は、第1磁界H1と電磁石起因磁界Heとのベクトル和で与えられる(H2=H1+He)。従って、端末装置20の位置における電磁石起因磁界Heは、第2磁界H2と第1磁界H1との差により与えられる(He=H2-H1)。制御装置100は、第2磁界H2と第1磁界H1との差である電磁石起因磁界Heに基づいて、端末方向Dを推定する。
【0029】
例えば、
図2に示されるように電磁石110の設置方向(N極とS極を結ぶ方向)と端末方向Dとのなす角度が比較的小さい場合、端末装置20の位置における電磁石起因磁界Heの向きと端末方向Dは平行に近くなる。例えば、無線通信装置10は動的反射板であり、電磁石110はその設置方向が動的反射板の反射面と実質的に直交するように設置される。この場合、動的反射板によって反射される電波を受け取る端末装置20への端末方向Dと、電磁石110の設置方向とのなす角度は、比較的小さくなる。従って、端末装置20の位置における電磁石起因磁界Heの向きと端末方向Dは平行に近くなる。例えば、制御装置100は、近似的に、端末方向Dは電磁石起因磁界Heの向きと平行であると推定する。この場合、端末方向Dの方位角φ及び天頂角θは、それぞれ、次の式(1)、(2)によって表される。
【0030】
【0031】
【0032】
ステップS140において、制御装置100は、推定した端末方向Dに基づいて無線通信装置10を制御する。例えば、無線通信装置10が動的反射板である場合、制御装置100は、推定した端末方向Dに基づいて、動的反射板による電波の反射方向を制御する。つまり、制御装置100は、動的反射板に入射する電波が端末方向Dに反射されるように反射方向を制御する。他の例として、制御装置100は、推定した端末方向Dに基づいて、無線通信装置10におけるビームフォーミングを制御してもよい。
【0033】
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、無線通信装置10の電磁石110と端末装置20の磁気センサ210を利用することによって、無線通信装置10から端末装置20への端末方向Dを簡易に推定することが可能となる。
【0034】
本実施の形態は、端末方向Dの推定や無線通信装置10の制御を含む無線通信システム管理方法を提供していると言える。
【0035】
3.構成例及び処理例
3-1.無線通信装置の構成例
図4は、無線通信装置10の構成例を示すブロック図である。無線通信装置10は、制御装置100、電磁石部120、及び無線通信部130を含んでいる。
【0036】
制御装置100は、無線通信装置10の制御を行う。例えば、制御装置100は、1又は複数のプロセッサ101(以下、単に「プロセッサ101」と呼ぶ)及び1又は複数の記憶装置102(以下、単に「記憶装置102」と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ101は、各種情報処理を行う。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。記憶装置102は、プロセッサ101による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置102としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。プロセッサ101が、コンピュータプログラムである制御プログラムを実行することにより、制御装置100の機能が実現される。制御プログラムは、記憶装置102に格納される。制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。制御プログラムは、ネットワーク経由で提供されてもよい。更に他の例として、制御装置100は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0037】
電磁石部120は、電磁石110、電磁石110に電流を供給する電流供給ユニット、電流供給をON/OFFするスイッチ、等を含んでいる。電磁石部120における電流供給、すなわち、電磁石110のON/OFFは、制御装置100(プロセッサ101)によって制御される。
【0038】
無線通信部130は、端末装置20と無線通信を行う。例えば、無線通信部130は、アンテナや送受信回路を含んでいる。他の例として、無線通信部130は、複数の反射素子を含んでいてもよい。無線通信部130は、制御装置100(プロセッサ101)によって制御される。例えば、制御装置100は、端末方向Dに基づいて電波反射方向を制御する。
【0039】
3-2.端末装置の構成例
図5は、端末装置20の構成例を示すブロック図である。端末装置20は、制御装置200、磁気センサ210、及び無線通信部230を含んでいる。
【0040】
制御装置200は、端末装置20の制御を行う。例えば、制御装置200は、1又は複数のプロセッサ201(以下、単に「プロセッサ201」と呼ぶ)及び1又は複数の記憶装置202(以下、単に「記憶装置202」と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ201は、各種情報処理を行う。プロセッサ201は、例えば、CPUを含んでいる。記憶装置202は、プロセッサ201による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置202としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、等が例示される。プロセッサ201が、コンピュータプログラムである制御プログラムを実行することにより、制御装置200の機能が実現される。制御プログラムは、記憶装置202に格納される。制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。
【0041】
磁気センサ210は、磁界を検出する。磁気センサ210としては、ホールセンサ、MR(Magneto Resistance)センサ、MI(Magneto Impedance)センサ、等が例示される(非特許文献2参照)。
【0042】
無線通信部230は、無線通信装置10(制御装置100)と無線通信を行う。例えば、無線通信部230は、アンテナや送受信回路を含んでいる。無線通信部230は、制御装置200(プロセッサ201)によって制御される。
【0043】
3-3.処理フロー例
図6は、制御装置100(プロセッサ101)による処理例を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS111において、制御装置100は、電磁石110をOFFする。
【0045】
ステップS111の後のステップS112において、制御装置100は、無線通信部130を介して、第1フィードバック要求REQ1を端末装置20に送信する。
【0046】
端末装置20の制御装置200は、無線通信部230を介して、第1フィードバック要求REQ1を受信する。このとき磁気センサ210によって検出される磁界は第1磁界H1である。第1フィードバック要求REQ1に応答して、制御装置200は、第1磁界H1を示す第1フィードバック情報FB1を無線通信部230を介して制御装置100に送信する。
【0047】
ステップS113において、制御装置100は、無線通信部130を介して、端末装置20から第1フィードバック情報FB1を受信する。
【0048】
ステップS114において、制御装置100は、受信した第1フィードバック情報FB1を記憶装置102に格納する。
【0049】
尚、上記のステップS111~S114は、
図3で示されたステップS110に相当する。
【0050】
ステップS121において、制御装置100は、電磁石110をONする。
【0051】
ステップS121の後のステップS122において、制御装置100は、無線通信部130を介して、第2フィードバック要求REQ2を端末装置20に送信する。
【0052】
端末装置20の制御装置200は、無線通信部230を介して、第2フィードバック要求REQ2を受信する。このとき磁気センサ210によって検出される磁界は第2磁界H2である。第2フィードバック要求REQ2に応答して、制御装置200は、第2磁界H2を示す第2フィードバック情報FB2を無線通信部230を介して制御装置100に送信する。
【0053】
ステップS123において、制御装置100は、無線通信部130を介して、端末装置20から第2フィードバック情報FB2を受信する。
【0054】
ステップS124において、制御装置100は、受信した第2フィードバック情報FB2を記憶装置102に格納する。
【0055】
ステップS125において、制御装置100は、電磁石110をOFFする。
【0056】
尚、上記のステップS121~S125は、
図3で示されたステップS120に相当する。
【0057】
ステップS130において、制御装置100は、記憶装置102に格納されている第1フィードバック情報FB1と第2フィードバック情報FB2との対比に基づいて、端末方向Dを推定する。より詳細には、制御装置100は、第2フィードバック情報FB2で示される第2磁界H2と第1フィードバック情報FB1で示される第1磁界H1との差に基づいて、端末方向Dを推定する。推定された端末方向Dの情報は、記憶装置102に格納され、無線通信装置10の制御に利用される。
【0058】
3-4.変形例
図7は、変形例を示すブロック図である。変形例では、制御装置100は、無線通信装置10の外部に設けられ、無線通信装置10や電磁石110を外部から制御する。
【0059】
制御装置100は、プロセッサ101、記憶装置102、通信装置103、及び制御インタフェース104を含んでいる。
【0060】
通信装置103は、端末装置20と通信を行う。プロセッサ101は、通信装置103を介して、フィードバック要求REQ1、REQ2を端末装置20に送信する。また、プロセッサ101は、通信装置103を介して、フィードバック情報FB1、FB2を端末装置20から受信する。
【0061】
制御インタフェース104は、無線通信装置10を制御するためのインタフェースである。プロセッサ101は、制御インタフェース104を介して、無線通信装置10を制御するための制御情報を無線通信装置10に送信する。例えば、制御情報は、電磁石110のON/OFFを指示する情報を含む。そのような制御情報を無線通信装置10に送信することによって、プロセッサ101は電磁石110のON/OFFを切り替えることができる。他の例として、制御情報は、プロセッサ101によって推定される端末方向Dを含んでいてもよい。
【0062】
無線通信装置10は、電磁石部120、無線通信部130、制御インタフェース140、及び制御部150を含んでいる。
【0063】
制御部150は、制御インタフェース140を介して、制御装置100から制御情報を受け取る。制御部150は、制御情報に従って、電磁石110のON/OFFを切り替える。また、制御部150は、無線通信部130を制御する。例えば、制御部150は、端末方向Dに基づいて電波反射方向を制御する。
【符号の説明】
【0064】
1 無線通信システム
10 無線通信装置
20 端末装置
100 制御装置
101 プロセッサ
102 記憶装置
110 電磁石
210 磁気センサ
H1 第1磁界
H2 第2磁界
He 電磁石起因磁界
FB1 第1フィードバック情報
FB2 第2フィードバック情報
REQ1 第1フィードバック要求
REQ2 第2フィードバック要求