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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20241210BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20241210BHJP
   C08F 8/14 20060101ALI20241210BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
C08J3/24 Z
C08F8/14
C08F220/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022565675
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 KR2022000719
(87)【国際公開番号】W WO2022154566
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0005519
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0004887
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヒュンキ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジェ・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヒュク・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】テビン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・フン・パク
(72)【発明者】
【氏名】クァンイン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ソン・キム
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-124901(JP,A)
【文献】国際公開第2011/040530(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/095806(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/014550(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/158976(WO,A1)
【文献】特開2007-291351(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0075195(KR,A)
【文献】特開2006-299234(JP,A)
【文献】特開平04-120111(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0012124(KR,A)
【文献】特開平07-062119(JP,A)
【文献】特開昭64-062317(JP,A)
【文献】国際公開第2009/011717(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0013992(US,A1)
【文献】特表2024-501988(JP,A)
【文献】特表2024-504326(JP,A)
【文献】特表2021-517606(JP,A)
【文献】特表2021-505716(JP,A)
【文献】特表2020-504191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00-19/44
C08F2/00-2/60
6/00-283/00
283/02-289/00
291/00-297/08
301/00
C08J3/00-3/28
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和された酸性基を有するアクリル酸系単量体、内部架橋剤および熱重合開始剤を含む単量体組成物を用意する段階(段階1);
前記単量体組成物を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階(段階2);
前記含水ゲル重合体を還元剤と混合後に細切する段階(段階3);
前記段階3で細切された含水ゲル重合体を乾燥および粉砕して、ベース樹脂を製造する段階(段階4);および
表面架橋剤の存在下、前記ベース樹脂の表面を追加架橋して、前記ベース樹脂の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階(段階5)を含み、
前記熱重合開始剤は、過硫酸塩系化合物、アゾ系化合物、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる群より選択される1種以上を含み、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して0.05~0.25重量部使用され、
前記還元剤は、スルホキシル酸塩およびメタ重亜硫酸塩から構成される群より選択される1種以上であり、前記熱重合開始剤100重量部に対して10重量部~100重量部使用される、
高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記還元剤は、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(HOCHSONa)、またはメタ重亜硫酸ナトリウム(Na)である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記還元剤は、溶媒に溶解した溶液状態で混合される、
請求項1または2に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記熱重合開始剤は、過硫酸塩系化合物を含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記単量体組成物は、光重合開始剤をさらに含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記単量体組成物の架橋重合時に発泡剤を追加的に使用する、
請求項1からのいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記高吸水性樹脂は、EDANA法NWSP210.0.R2の方法により測定された残留単量体の含有量が500ppm以下であり、EDANA法WSP270.2の方法により測定された水可溶成分の含有量が10重量%未満である、
請求項1からのいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記高吸水性樹脂は、下記数式1で計算されるIdeal Hydrogel Index(IHI)が20以上である、
請求項1からのいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法:
[数式1]
Ideal Hydrogel Index(IHI)=(CRC+8.7)/[ln{E/C+(RM/500)}]
上記数式1中、
CRCは、EDANA法NWSP241.0.R2の方法により測定された遠心分離保水能であり、
E/Cは、EDANA法WSP270.2の方法により測定された水可溶成分の含有量であり、
RMは、EDANA法NWSP210.0.R2の方法により測定された前記高吸水性樹脂に残っている残留単量体の含有量を意味する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年1月14日付の韓国特許出願第10-2021-0005519号および2022年1月12日付の韓国特許出願第10-2022-0004887号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関する。より具体的には、含水ゲル重合体の細切前に熱重合開始剤と酸化/還元反応が可能な還元剤を投入して、残留単量体の含有量を最小化しながら水可溶成分の含有量が減少した高吸水性樹脂を製造できる高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百から1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であって、開発企業ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などそれぞれ異なる名前で名付けられている。このような高吸水性樹脂は生理用品として実用化され始め、現在は、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、およびシップ用などの材料に幅広く使用されている。
【0004】
このような高吸水性樹脂は、主におむつや、生理用ナプキンなどの衛生材分野で幅広く使用されている。前記衛生材内で、前記高吸水性樹脂はパルプ内に拡散した状態で含まれることが一般的である。しかし、最近では、より薄い厚さのおむつなどの衛生材を提供するための努力が続いており、その一環としてパルプの含有量が減少したり、ひいてはパルプが全く使用されない、いわゆるパルプレス(pulpless)おむつなどの開発が積極的に進められている。
【0005】
また、衛生材の用途に幅広く使用されるためには、水分などに対する高い吸収力を示す必要があり、外部の圧力にも吸収された水分が抜けてはならず、これに加えて、水を吸収して体積膨張(膨潤)した状態でも形態をよく維持して優れた通液性(permeability)を示す必要がある。
【0006】
そして、おむつや生理用ナプキンなどの衛生材には使用者の体重によって圧力が加えられる。特に、おむつや生理用ナプキンなどの衛生材に適用される高吸水性樹脂が液体を吸収した後、これに使用者の体重による圧力が加えられると、高吸水性樹脂に吸収された一部の液体が再び滲み出る再湿潤(rewet)現象と、尿が漏れる漏れ(leakage)現象が発生しうる。
【0007】
特に、高吸水性樹脂中には重合されたものの、架橋できないまま短い鎖を有している水可溶成分が存在する場合、再湿潤現象をさらにもたらす。そして、高吸水性樹脂中に重合されずに残っている残留単量体の含有量が高い場合、衛生上の問題がある。
【0008】
したがって、高吸水性樹脂中の水可溶成分および残留単量体の含有量を同時に減少させようとする多様な試みが進められている。しかし、まだこれに対する具体的な方策が提示されていないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、含水ゲル重合体の細切段階で硫黄含有陰イオンを含む還元剤を添加して、細切中に追加的な重合反応を起こして高吸水性樹脂中に残っている残留単量体の含有量を最小化し、乾燥中に発生する水可溶成分の含有量を低減できる高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、
酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和された酸性基を有するアクリル酸系単量体、内部架橋剤および熱重合開始剤を含む単量体組成物を用意する段階(段階1);
前記単量体組成物を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階(段階2);
前記含水ゲル重合体を還元剤と混合後に細切する段階(段階3);
前記段階2で細切された含水ゲル重合体を乾燥および粉砕して、ベース樹脂を製造する段階(段階4);および
表面架橋剤の存在下、前記ベース樹脂の表面を追加架橋して、前記ベース樹脂の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階(段階5)を含み、
前記還元剤は、スルホキシル酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩およびメタ重亜硫酸塩から構成される群より選択される1種以上であり、前記熱重合開始剤100重量部に対して10重量部以上使用される、
高吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の高吸水性樹脂の製造方法によれば、含水ゲル重合体の細切段階で硫黄含有陰イオンを含む特定構造の還元剤を添加して高吸水性樹脂を製造する場合、細切中、還元剤と熱重合開始剤との酸化/還元反応による追加のラジカル開始反応によって残っている単量体が重合されて高吸水性樹脂中に残っている単量体の含有量が減少できる。また、細切中、追加の重合反応により細切された含水ゲル重合体の乾燥時にもたらしうる水可溶成分も減少できる。これによって、残留単量体の含有量および水可溶成分が同時に減少した高吸水性樹脂の製造が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0013】
本発明は多様な変更が加えられて様々な形態を有し得るが、特定の実施例を例示して下記に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0014】
また、本明細書に使用される専門用語は単に特定の実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。そして、ここで使用される単数形態は、文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。
【0015】
本発明の明細書に使用される用語「重合体」、または「高分子」は、水溶性エチレン系不飽和単量体であるアクリル酸系単量体が重合された状態のものを意味し、すべての水分の含有量範囲または粒径範囲を包括することができる。前記重合体中、重合後乾燥前の状態のもので、含水率(水分の含有量)が約40重量%以上の重合体を含水ゲル重合体と称することができ、このような含水ゲル重合体が粉砕および乾燥した粒子を架橋重合体と称することができる。
【0016】
また、用語「高吸水性樹脂粒子」は、酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体が重合され、内部架橋剤によって架橋された架橋重合体を含む、粒子状の物質を指す。
【0017】
さらに、用語「高吸水性樹脂」は、文脈により、酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体が重合された架橋重合体、または前記架橋重合体が粉砕された高吸水性樹脂粒子からなる粉末(powder)状のベース樹脂を意味するか、または前記架橋重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば、表面架橋、微粉再造粒、乾燥、粉砕、分級などを経て製品化に適した状態にしたものをすべて包括するものとして使用される。したがって、用語「高吸水性樹脂」はつまり、複数の高吸水性樹脂粒子を含むと解釈される。
【0018】
高吸水性樹脂が衛生材として幅広く使用されるためには、高吸水性樹脂の吸水性能に優れていなければならないだけでなく、高吸水性樹脂中に重合に参加できずに残っている残留単量体(residual monomer;RM)、および重合に参加はしたものの、主鎖(main chain)に結合できないまま短い鎖を有する水可溶成分(Extractable contents;E/C)が減少しなければならない。しかし、残留単量体の含有量と水可溶成分を同時に減少させることは容易ではないが、その理由は、ベース樹脂(base resin)を製造するにあたり、残留単量体の含有量を減少させるために重合開始剤を多く入れる場合、水可溶成分が増加し、水可溶成分を減少させるために重合開始剤の含有量を減少させる場合には、残留単量体の含有量が増加するからである。
【0019】
そこで、本発明者らは、含水ゲル重合体の製造後、乾燥工程の前に熱重合開始剤と酸化/還元反応が可能な還元剤を添加する場合、重合工程で反応せずに残存する熱重合開始剤との反応により起こった追加のラジカル開始反応によって高吸水性樹脂の吸水速度および吸水性能の低下なく残留単量体の含有量と水可溶成分を同時に減少させることができることを確認して、本発明を完成した。これは、残存する熱重合開始剤と前記還元剤との酸化還元反応により熱重合開始剤が還元されて追加のラジカル開始反応が誘導され、これによって重合に参加できずに残っていた残留単量体が重合され、架橋重合体を構成する主鎖(main chain)に結合できない成分も主鎖に結合できるためと判断される。また、残っている熱重合開始剤は、高温乾燥時に主鎖を破壊する副作用があるが、残存する熱重合開始剤を低温で消尽させることによって、高温乾燥で起こる前記副作用を防止することができる。
【0020】
このように製造された高吸水性樹脂は、吸水性能、残留単量体の含有量および水可溶成分の含有量の間のバランスを示す下記数式1で計算されるIdeal Hydrogel Index(IHI)が20以上を満足する。これによって、前記高吸水性樹脂は、吸水性能は維持されながらも再湿潤現象が抑制され、衛生上適さない水可溶成分が低下する特性を有し、衛生材により好適に用いられる。
【0021】
[数式1]
Ideal Hydrogel Index(IHI)=(CRC+8.7)/[ln{E/C+(RM/500)}]
【0022】
上記数式1中、
CRCは、EDANA法NWSP241.0.R2の方法により測定された遠心分離保水能であり、
E/Cは、EDANA法WSP270.2の方法により測定された前記高吸水性樹脂に含まれている水可溶成分の含有量であり、
RMは、EDANA法NWSP210.0.R2の方法により測定された前記高吸水性樹脂に残っている残留単量体の含有量を意味する。
【0023】
以下、発明の具体的な実施形態により高吸水性樹脂の製造方法について、各段階別により詳しく説明する。
【0024】
(段階1)
一実施形態による製造方法において、段階1は、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたアクリル酸系単量体、内部架橋剤および熱重合開始剤を含む単量体組成物を用意する段階である。
【0025】
前記アクリル酸系単量体は、下記の化学式1で表される化合物である:
【0026】
[化学式1]
-COOM
【0027】
前記化学式1において、
は、不飽和結合を含む炭素数2~5のアルキル基であり、
は、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0028】
好ましくは、前記アクリル酸系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選択される1種以上を含む。
【0029】
ここで、前記アクリル酸系単量体は、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたものであってもよい。好ましくは、前記単量体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのアルカリ物質で部分的に中和させたものが使用できる。この時、前記アクリル酸系単量体の中和度は、40~95モル%、または40~80モル%、または45~75モル%であってもよい。前記中和度の範囲は、最終物性に応じて調節可能である。しかし、前記中和度が過度に高ければ、中和された単量体が析出して重合が円滑に行われにくく、逆に、中和度が過度に低ければ、高分子の吸水力が大きく低下するだけでなく、取り扱いにくい弾性ゴムのような性質を示しうる。
【0030】
前記アクリル酸系単量体の濃度は、前記高吸水性樹脂の原料物質および溶媒を含む単量体組成物に対して約20~約60重量%、好ましくは約40~約50重量%になり、重合時間および反応条件などを考慮して適切な濃度になりうる。ただし、前記単量体の濃度が過度に低くなると、高吸水性樹脂の収率が低く、経済性に問題が生じることがあり、逆に、濃度が過度に高くなると、単量体の一部が析出したり、重合された含水ゲル重合体の粉砕時に粉砕効率が低くなるなど工程上問題が生じることがあり、高吸水性樹脂の物性が低下しうる。
【0031】
また、本明細書で使用する用語「内部架橋剤」は、後述する高吸水性樹脂粒子の表面を架橋させるための表面架橋剤と区別するために使用する用語で、上述した水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合を架橋させて重合させる役割を果たす。前記段階での架橋は表面または内部の区別なく進められるが、後述する高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終的に製造された高吸水性樹脂の粒子表面は表面架橋剤によって架橋された構造からなり、内部は前記内部架橋剤によって架橋された構造からなる。
【0032】
前記内部架橋剤としては、前記アクリル酸系不飽和単量体の重合時に架橋結合の導入を可能にするものであれば、いかなる化合物も使用可能である。具体的には、前記内部架橋剤としては、前記アクリル酸系不飽和単量体の水溶性置換基と反応可能な官能基を1個以上有しかつ、エチレン性不飽和基を1個以上有する架橋剤;あるいは前記単量体の水溶性置換基および/または単量体の加水分解によって形成された水溶性置換基と反応可能な官能基を2個以上有する架橋剤を使用することができる。
【0033】
非制限的な例として、前記内部架橋剤は、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどのアクリレート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどのエポキシ系化合物;トリアリールアミン;プロピレングリコール;グリセリン;またはエチレンカーボネートなどの多官能性架橋剤が単独使用または2以上併用されてもよいが、これらに制限されるわけではない。
【0034】
前記単量体組成物において、このような内部架橋剤は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して0.01~5重量部使用できる。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、0.05重量部以上、0.1重量部、または0.15重量部以上かつ、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、または0.7重量部以下使用できる。 前記内部架橋剤の含有量が過度に低い場合、架橋が十分に起こらず適正水準以上の強度の実現が難しく、前記内部架橋剤の含有量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなって、所望の保水能の実現が難しいことがある。
【0035】
また、前記単量体組成物は、前記単量体の重合反応を開始するための重合開始剤をさらに含み、このような重合開始剤としては、高吸水性樹脂の製造に一般に使用されるものであれば特に限定されない。
【0036】
具体的には、前記重合開始剤は、熱重合または光重合で行われるが、ただし、光重合方法によっても、紫外線照射などの照射によって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行によりある程度の熱が発生するので、光重合開始剤および熱重合開始剤を共に使用することができる。
【0037】
一実施形態において、前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系化合物、アゾ系化合物、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤の群より選択される1種以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系化合物の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH)などがあり、アゾ(Azo)系化合物の例としては、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロライド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノバレリン酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などがある。より多様な熱重合開始剤については、Odian著の「Principle of Polymerization(Wiley、1981)」p.203によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0038】
より具体的には、前記熱重合開始剤は、前記過硫酸塩系化合物を含むことができる。例えば、前記熱重合開始剤として過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;SPS;Na)を使用することができる。
【0039】
前記熱重合開始剤は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して0.05~0.25重量部使用できる。前記熱重合開始剤の含有量が0.05未満で使用されると、重合速度が遅くなり、還元剤との反応による追加のラジカル開始反応を十分に起こすことができず、残留単量体の含有量が減少しにくく、前記熱重合開始剤の含有量が0.25重量部を超える場合、水可溶成分の含有量が増加して高吸水性樹脂の再湿潤現象が引き起こされる恐れがある。
【0040】
また、前記単量体組成物は、光重合開始剤をさらに含むことができる。前記光重合開始剤は、紫外線などの光によってラジカルを形成できる化合物であれば、その構成の限定なく使用可能である。
【0041】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群より選択される1つ以上を使用することができる。一方、アシルホスフィンの具体例として、商用のlucirin TPO、つまり、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(diphenyl(2,4,6-trimethylbenzoyl)phosphine oxide)を使用することができる。より多様な光開始剤については、Reinhold Schwalm著の「UV Coatings:Basics,Recent Developments and New Application(Elsevier 2007年)」p.115によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0042】
前記光重合開始剤は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して0.001~0.010重量部使用できる。このような光重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなり、光重合開始剤の濃度が過度に高ければ、高吸水性樹脂の分子量が小さくて物性が不均一になりうる。
【0043】
前記単量体組成物は、必要に応じて、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0044】
そして、前記単量体を含む単量体組成物は、例えば、水などの溶媒に溶解した溶液状態であってもよく、このような溶液状態の単量体組成物中の固形分含有量、つまり、単量体、内部架橋剤および重合開始剤の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節可能である。例えば、前記単量体組成物中の固形分含有量は、10~80重量%、または15~60重量%、または30~50重量%であってもよい。
【0045】
前記単量体組成物がこのような範囲の固形分含有量を有する場合、高濃度水溶液の重合反応に現れるゲル効果現象を利用して重合後に未反応単量体を除去する必要がないようにしながらも、後述する重合体の粉砕時に粉砕効率を調節するために有利であり得る。
【0046】
この時、使用可能な溶媒は、上述した成分を溶解できればその構成の限定なく使用可能であり、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N-ジメチルアセトアミドなどから選択された1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
(段階2)
次に、前記単量体組成物を架橋重合して含水ゲル重合体を製造する段階が行われる。
前記単量体組成物の重合は、通常使用される重合方法であれば、特に構成の限定がない。
【0048】
具体的には、重合方法は、重合エネルギー源により大きく熱重合および光重合に分けられ、通常熱重合を進行させる場合、ニーダー(kneader)などの撹拌軸を有する反応器で行われ、光重合を進行させる場合、移動可能なコンベヤベルトを備えた反応器で行われるが、上述した重合方法は一例であり、本発明は上述した重合方法に限定されない。
【0049】
一例として、上述のように撹拌軸を備えたニーダー(kneader)などの反応器に、熱風を供給したり、反応器を加熱して熱重合をして得られた含水ゲル重合体は、反応器に備えられた撹拌軸の形態により、反応器の排出口に排出される含水ゲル重合体は、数センチメートル~数ミリメートルの形態であってもよい。具体的には、得られる含水ゲル重合体の大きさは、注入される単量体組成物の濃度および注入速度などにより多様に現れるが、通常、重量平均粒径が2~50mmの含水ゲル重合体が得られる。
【0050】
また、上述のように移動可能なコンベヤベルトを備えた反応器で光重合を進行させる場合、通常得られる含水ゲル重合体の形態は、ベルトの幅を有するシート状の含水ゲル重合体であってもよい。この時、重合体シートの厚さは、注入される単量体組成物の濃度および注入速度により異なるが、通常、約0.5~約5cmの厚さを有するシート状の重合体が得られるように単量体組成物を供給することが好ましい。シート状の重合体の厚さが過度に薄い程度に単量体組成物を供給する場合、生産効率が低くて好ましくなく、シート状の重合体の厚さが5cmを超える場合には、過度に厚い厚さによって、重合反応が全厚さにわたって均等に起こらないことがある。
【0051】
一方、高吸水性樹脂の吸水速度向上のために、前記単量体組成物の架橋重合時に高吸水性樹脂中に気孔構造を導入できる発泡剤を追加的に使用することができる。このような発泡剤としては、当業界にて知られた重合段階で気泡を発生させる化合物であれば制限なく使用可能であるが、例えば、炭酸塩系発泡剤またはカプセル化された発泡剤を使用することができる。
【0052】
前記炭酸塩系発泡剤としては、一例として、ナトリウムバイカーボネート(sodium bicarbonate)、ナトリウムカーボネート(sodium carbonate)、カリウムバイカーボネート(potassium bicarbonate)、カリウムカーボネート(potassium carbonate)、カルシウムバイカーボネート(calcium bicarbonate)、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、マグネシウムバイカーボネート(magnesium bicarbonate)およびマグネシウムカーボネート(magnesium carbonate)から構成される群より選択される1種以上が使用できる。
【0053】
具体的には、前記炭酸塩系発泡剤は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して0.005~1重量部使用できる。前記発泡剤の含有量が0.005重量部未満の場合には、発泡剤としての役割がわずかであり、前記発泡剤の含有量が1重量部を超える場合には、架橋重合体中の気孔が過度に多くて、製造される高吸水性樹脂のゲル強度が低下し、密度が小さくなって、流通と保管に問題を生じることがある。
【0054】
また、前記カプセル化された発泡剤としては、コア-シェル構造を有する熱膨張性マイクロカプセル発泡剤を使用することができる。より具体的には、前記カプセル化された発泡剤は、炭化水素を含むコアと、前記コア上に形成された熱可塑性樹脂からなるシェルとを含むコア-シェル構造を有する。具体的には、前記コアを構成する炭化水素は、低い沸点を有する液体炭化水素で熱によって気化されやすくなる。したがって、前記カプセル化された発泡剤に熱が加えられる場合、シェルをなす熱可塑性樹脂が軟化すると同時に、コアの液体炭化水素が気化されて、カプセル内部の圧力が増加するに伴って膨張し、これによって既存の大きさより増加した大きさの気泡が形成される。
【0055】
前記カプセル化された発泡剤のコアを構成する炭化水素は、n-プロパン、n-ブタン、iso-ブタン、シクロブタン、n-ペンタン、iso-ペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、iso-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、iso-ヘプタン、シクロヘプタン、n-オクタン、iso-オクタンおよびシクロオクタンから構成された群より選択された1種以上であってもよい。なかでも、炭素数3~5の炭化水素(n-プロパン、n-ブタン、iso-ブタン、シクロブタン、n-ペンタン、iso-ペンタン、シクロペンタン)が上述した大きさの気孔を形成するのに適し、iso-ブタンが最も適する。
【0056】
そして、前記カプセル化された発泡剤のシェルを構成する熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリレート系化合物、(メタ)アクリロニトリル系化合物、芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル化合物、ハロゲン化ビニル化合物から構成された群より選択された1種以上の単量体から形成されるポリマーであってもよい。なかでも、(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリロニトリルの共重合体が上述した大きさの気孔を形成するのに最も適する。
【0057】
また、このようなカプセル化された発泡剤は、炭化水素を含むコアと、前記コアを囲み、熱可塑性樹脂で形成されるシェルとを含む構造を有し、膨張前の平均直径が5~30μmであり、空気中での最大膨張比率が5~15倍であってもよい。
【0058】
前記カプセル化された発泡剤は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して0.005~1重量部使用できる。前記発泡剤の含有量が0.005重量部未満の場合には、発泡剤としての役割がわずかであり、前記発泡剤の含有量が1重量部を超える場合には、架橋重合体中の気孔が過度に多くて、製造される高吸水性樹脂のゲル強度が低下し、密度が小さくなって、流通と保管に問題を生じることがある。
【0059】
また、前記段階2で、前記炭酸塩系発泡剤と共に、通常、気泡安定剤として使用される界面活性剤をさらに添加することができる。このような界面活性剤の例としては、アルキルスルフェート系化合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系化合物などが挙げられる。前記アルキルスルフェート系化合物の例としては、ナトリウムドデシルスルフェート(sodium dodecyl sulfate)、アンモニウムラウリルスルフェート(ammonium lauryl sulfate)、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート(sodium lauryl ether sulfate)、またはナトリウムミレススルフェート(sodium myreth sulfate)などが挙げられ、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル系化合物の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどが挙げられる。この時、前記アルキルスルフェート系化合物は、陰イオン性界面活性剤であり、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル系化合物は、非イオン性界面活性剤に相当する。
【0060】
このような方法で得られた含水ゲル重合体の通常の含水率は、約40~約80重量%であってもよい。一方、本明細書全体において、「含水率」は、全体重合体の重量に対して占める水分の含有量で、重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱により重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値で定義する。この時、乾燥条件は、常温から約180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式により、総乾燥時間は温度上昇段階の5分を含む20分に設定して、含水率を測定する。
【0061】
(段階3)
次に、前記含水ゲル重合体を還元剤と混合後に細切する段階が行われる。前記段階で、前記還元剤は熱重合開始剤と酸化還元反応をして、前記熱重合開始剤を還元させ、還元された熱重合開始剤は、段階2での1次ラジカル開始反応に続き、追加のラジカル開始反応を誘導する。これによって、前記重合体が細切されながら、前記段階2で重合反応に参加できなかった残留単量体が重合される。
【0062】
この時、使用される還元剤としては、前述した熱重合開始剤と効果的に酸化還元反応が可能な、前記スルホキシル酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩およびメタ重亜硫酸塩から構成される群より選択される1種以上の硫黄含有化合物が使用される。
【0063】
より具体的には、前記スルホキシル酸塩(sulfoxylates)は、金属陽イオンとスルホキシル酸イオン(SO )からなる化合物で、前記スルホキシル酸塩の例としては、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(sodium formaldehyde sulfoxylate;Rongalite;HOCHSONa)、スルホキシル酸コバルト(II)(CoSO)、またはスルホキシル酸亜鉛(ZnSO)などが挙げられる。
【0064】
また、前記亜硫酸塩(sulfites)は、金属陽イオンと亜硫酸イオン(SO )からなる化合物で、前記亜硫酸塩の例としては、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、亜硫酸カリウム(KSO)、または亜硫酸カルシウム(CaSO)などが挙げられる。
【0065】
さらに、亜硫酸水素塩(bisulfites)は、金属陽イオンと重亜硫酸イオン(HSO )からなる化合物で、前記亜硫酸水素塩の例としては、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)、亜硫酸水素カリウム(KHSO)、または亜硫酸水素カルシウム(Ca(HSO)などが挙げられる。
【0066】
また、メタ重亜硫酸塩(metabisulfites)は、金属陽イオンとメタ重亜硫酸イオン(S )からなる化合物で、前記メタ重亜硫酸塩の例としては、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na)、メタ重亜硫酸カリウム(K)、またはメタ重亜硫酸カルシウム(CaS)などが挙げられる。
【0067】
例えば、前記還元剤は、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(HOCHSONa)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、またはメタ重亜硫酸ナトリウム(Na)であってもよい。これらの化合物が残留単量体の含有量低減効率の面でより有利であり得る。
【0068】
また、前記還元剤は、前記熱重合開始剤100重量部に対して10重量部以上使用される。前記還元剤が前記熱重合開始剤100重量部に対して10重量部未満で使用される場合、前記熱重合開始剤と効果的に酸化還元反応を進行させることができず、高吸水性樹脂中の残留単量体の含有量および水可溶成分の含有量を同時に減少させにくくなる。
【0069】
より具体的には、前記還元剤は、前記熱重合開始剤100重量部に対して10重量部~100重量部使用できる。前記還元剤を過度に多く使用する場合、多くの還元剤が反応せずに残りうるので、高い温度で乾燥および表面処理を進行させた後に臭いがすることがある。例えば、前記還元剤は、前記熱重合開始剤100重量部に対して10重量部以上、15重量部以上、または20重量部以上かつ、80重量部以下、70重量部以下、60重量部以下、または50重量部以下使用できる。
【0070】
また、前記還元剤は、重合段階の後に残っている熱重合開始剤の含有量および費用的な面を考慮する時、前記熱重合開始剤1モルに対して0.1モル~1モル使用できる。より具体的には、前記還元剤は、前記熱重合開始剤1モルに対して0.15モル以上、0.2モル以上、0.25モル以上、または0.3モル以上かつ、0.8モル以下、0.7モル以下、0.65モル以下、または0.6モル以下使用できる。
【0071】
さらに、前記還元剤は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して0.01~0.1重量部使用できる。より具体的には、前記還元剤は、前記アクリル酸系単量体100重量部に対して0.015重量部以上、0.02重量部以上、0.025重量部以上、または0.03重量部以上かつ、0.09重量部以下、0.08重量部以下、0.07重量部以下、または0.06重量部以下使用できる。
【0072】
このような還元剤を含水ゲル重合体に混合する方法は、前記含水ゲル重合体にこれらを均等に混合できる方法であれば特に限定されず、適切に採用して使用可能である。具体的には、前記還元剤を乾式で混合するか、溶媒に溶解させた後に溶液状態で混合するか、または前記還元剤を溶融させた後に混合することができる。
【0073】
このうち、例えば、前記還元剤は、溶媒に溶解した溶液状態で混合される。この時、溶媒としては、前記還元剤で金属陽イオンと硫黄含有陰イオンとが結合した塩化合物が使用されるという点、および乾燥過程の容易性と溶媒回収システムの費用を考えた時、水が最も適切である。また、前記溶液の混合は、前記還元剤と含水ゲル重合体とを反応槽に入れて混合するか、ミキサに含水ゲル重合体を入れて溶液を噴射する方法、連続的に運転されるミキサに含水ゲル重合体と溶液とを連続的に供給して混合する方法などを用いて行われる。
【0074】
前記含水ゲル重合体と還元剤とを混合した後に、このような混合物を細切して、細切された含水ゲル重合体を製造することができる。
【0075】
前記細切は、具体的には、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、シュレッド破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパ(chopper)および円板式切断機(Disc cutter)からなる粉砕機器の群より選択されるいずれか1つを含むことができるが、上述した例に限定されない。
【0076】
より具体的には、前記含水ゲル重合体の細切は、チョッパ、例えば、ミートチョッパ(meat chopper)によって行われる。この時、細切段階は、前記重合体の粒径が約1mm~約10mmとなるように行われる。粒径1mm未満に粉砕することは、前記含水ゲル重合体の高い含水率によって技術的に容易でなく、また、粉砕された粒子間で互いに凝集する現象が現れることもある。一方、粒径10mm超に粉砕する場合、後に行われる乾燥段階の効率増大効果がわずかである。
【0077】
このために、前記ミートチョッパは、1つ以上の多孔板を含む細切モジュールを含み、前記多孔板(2つ以上の場合、2つ以上の多孔板それぞれ)は、含水ゲル重合体が通過できる一定の大きさを有する多数の細切孔を具備しているものであってもよい。また、前記多孔板の細切孔のホールサイズ(hole size)は、1mm~16mmであってもよい。言い換えれば、前記細切は、前記含水ゲル重合体が多孔板の細切孔を通過しながら粉砕できるように押し出す方式によって行われると見られる。この時、前記含水ゲル状重合体を押し出すために押出機が用いられるが、例えば、単一または多重スクリュー型押出機が用いられる。
【0078】
(段階4)
次に、前記段階3で細切された含水ゲル重合体を乾燥および粉砕して粉末状のベース樹脂を形成する段階が行われる。
【0079】
前記乾燥段階の乾燥温度は、約150~約250℃であってもよい。乾燥温度が150℃未満の場合、乾燥時間が過度に長くなり、最終的に形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがあり、乾燥温度が250℃を超える場合、過度に重合体表面のみ乾燥して、後に行われる粉砕工程で微粉が発生することもあり、最終的に形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがある。したがって、好ましくは、前記乾燥は、約150~約200℃の温度で、さらに好ましくは、約170~約200℃の温度で行われる。
【0080】
一方、乾燥時間の場合には、工程効率などを考慮して、約20~約90分間行われるが、これに限定されない。
【0081】
前記乾燥段階の乾燥方法は、含水ゲル重合体の乾燥工程で通常用いられるものであれば、その構成の限定なく選択使用可能である。具体的には、熱風供給、赤外線照射、極超短波照射、または紫外線照射などの方法で乾燥段階を進行させることができる。このような乾燥段階進行後の重合体の含水率は、約5~約10重量%であってもよい。
【0082】
次に、このような乾燥段階を経て得られた乾燥した重合体を粉砕する段階を行う。この時、粉砕は、粒径が約150~約850μmの粒子を含む粉末状となるように行われる。このような粒径に粉砕するために用いられる粉砕機は、具体的には、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを用いることができるが、上述した例に本発明が限定されるものではない。
【0083】
そして、このような粉砕段階の後、最終的に製品化される高吸水性樹脂粉末の物性を管理するために、粉砕後に得られるベース樹脂を粒径に応じて分級する。好ましくは、粒径が約150~約850μmの重合体を分級して、このような粒径を有するベース樹脂に対してのみ表面架橋反応段階を経ることができる。この時、粒径は、欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP220.3方法により測定される。
【0084】
また、前記ベース樹脂は、下記式1で計算されるIdeal Hydrogel Index(IHI)が19超過であってもよい:
【0085】
[数1]
Ideal Hydrogel Index(IHI)=(CRC+8.7)/[ln{E/C+(RM/500)}]
【0086】
上記数式1中、
CRCは、EDANA法NWSP241.0.R2の方法により測定された遠心分離保水能であり、
E/Cは、EDANA法WSP270.2の方法により測定された水可溶成分の含有量であり、
RMは、EDANA法NWSP210.0.R2の方法により測定された前記高吸水性樹脂に残っている残留単量体の含有量を意味する。
【0087】
具体的には、前記ベース樹脂は、上記式1で計算されるIdeal Hydrogel Index(IHI)が19.3以上、19.5以上、または19.7以上かつ、23以下、22.5以下、22以下、または21.5以下であってもよい。
【0088】
(段階5)
次に、表面架橋剤の存在下、前記ベース樹脂の表面を追加架橋して、前記ベース樹脂の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階が行われる。前記段階により、前記ベース樹脂の表面の少なくとも一部に、より具体的には、ベース樹脂粒子それぞれの表面の少なくとも一部に表面架橋層が形成された高吸水性樹脂が製造される。
【0089】
前記表面架橋は、粒子内部の架橋結合密度に関連して、高吸水性高分子粒子の表面付近の架橋結合密度を増加させる段階である。一般に、表面架橋剤は高吸水性樹脂粒子の表面に塗布される。したがって、この反応は高吸水性樹脂粒子の表面上で起こり、これは粒子の内部には実質的に影響を及ぼすことなく、粒子の表面上での架橋結合性は改善させる。したがって、表面架橋結合した高吸水性樹脂粒子は、内部でより表面付近でより高い架橋結合度を有する。
【0090】
前記表面架橋剤としては、既存から高吸水性樹脂の製造に使用されていた表面架橋剤を特別な制限なくすべて使用可能である。例えば、前記表面架橋剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群より選択された1種以上のポリオール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびグリセロールカーボネートからなる群より選択された1種以上のカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;オキサゾリジノンなどのオキサゾリン化合物;ポリアミン化合物;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;環状ウレア化合物;ポリカルボン酸系共重合体などを含むことができる。
【0091】
一実施形態によれば、前記表面架橋剤は、前記内部架橋剤と同一のものを使用することができる。例えば、前記表面架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテルを含むことができる。前記エチレングリコールジグリシジルエーテルは、水溶性が高く、2個のエポキシ基を有していて、比較的低い温度でも簡単に表面反応が行われる。
【0092】
一例として、前記表面架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテルおよびプロピレングリコールを含むことができる。さらに、前記表面架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールおよびポリカルボン酸系共重合体を含むことができる。
【0093】
前記表面架橋剤の含有量は、具体的には、追加される表面架橋剤の種類や反応条件により適切に選択可能であるが、ベース樹脂100重量部に対して、約0.001~約5重量部、好ましくは約0.01~約3重量部、さらに好ましくは約0.05~約2重量部を使用することができる。表面架橋剤の含有量が過度に少なければ、表面架橋反応がほとんど起こらず、ベース樹脂100重量部に対して、5重量部を超える場合、過度な表面架橋反応の進行により保水能などの吸水特性の低下が現れることがある。
【0094】
前記表面架橋剤をベース樹脂に混合する方法についてはその構成の限定はない。表面架橋剤とベース樹脂粉末とを反応槽に入れて混合するか、ベース樹脂粉末に表面架橋剤を噴射する方法、連続的に運転されるミキサにベース樹脂と表面架橋剤とを連続的に供給して混合する方法などを使用することができる。
【0095】
前記表面架橋剤の添加時、水を共に混合して表面架橋溶液の形態で添加することができる。水を添加する場合、表面架橋剤が重合体に均等に分散できるという利点がある。この時、追加される水の含有量は、表面架橋剤の均一な分散を誘導し、重合体粉末のかたまり現象を防止すると同時に、表面架橋剤の表面浸透深さを最適化するための目的で、前記ベース樹脂100重量部に対して、約1~約10重量部の比率で添加されることが好ましい。
【0096】
表面架橋反応のための昇温手段は特に限定されない。熱媒体を供給するか、熱源を直接供給して加熱することができる。この時、使用可能な熱媒体の種類としては、スチーム、熱風、熱い油などの昇温した流体などを使用することができるが、本発明がこれらに限定されるものではなく、また、供給される熱媒体の温度は、熱媒体の手段、昇温速度および昇温目標温度を考慮して適切に選択可能である。一方、直接供給される熱源としては、電気による加熱、ガスによる加熱方法が挙げられるが、上述した例に本発明が限定されるものではない。
【0097】
前記のように前記ベース樹脂の表面に表面架橋層を形成した後に、追加的に無機物をさらに混合することができる。
【0098】
前記無機物は、例えば、シリカ(silica)、クレー(clay)、アルミナ、シリカ-アルミナ複合材、およびチタニアからなる群より選択された1種以上を使用することができ、好ましくは、シリカを使用することができる。
【0099】
このような無機物は、前記高吸水性樹脂100重量部に対して0.01重量部以上、または0.05重量部以上、または0.1重量部以上かつ、5重量部以下、または3重量部以下、または1重量部以下の含有量で使用できる。
【0100】
一方、最終的に製品化される高吸水性樹脂の物性を管理するために、表面架橋反応段階の後に得られる高吸水性樹脂を粒径に応じて分級する段階を追加的にさらに行うことができる。好ましくは、粒径が約150~約850μmの重合体を分級して、このような粒径を有する高吸水性樹脂のみ最終製品にすることができる。
【0101】
このような製造方法によって得られた高吸水性樹脂は、EDANA法NWSP210.0.R2の方法により測定された残留単量体の含有量が500ppm以下であり、EDANA法WSP270.2の方法により測定された水可溶成分の含有量が10重量%未満であってもよい。好ましくは、前記高吸水性樹脂は、EDANA法NWSP210.0.R2の方法により測定された残留単量体の含有量が400ppm以下であり、EDANA法WSP270.2の方法により測定された水可溶成分の含有量が7重量%以下であってもよい。
【0102】
また、前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP241.3の方法により測定した遠心分離保水能(CRC)が30~35g/gであってもよい。
【0103】
さらに、前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP242.3の方法により測定した0.7psiの加圧吸水能(AUP)が18~25g/gであってもよい。
【0104】
また、前記高吸水性樹脂は、下記数式1で計算されるIdeal Hydrogel Index(IHI)が20以上であってもよい:
【0105】
[数式1]
Ideal Hydrogel Index(IHI)=(CRC+8.7)/[ln{E/C+(RM/500)}]
【0106】
上記数式1中、
CRCは、EDANA法NWSP241.0.R2の方法により測定された遠心分離保水能であり、
E/Cは、EDANA法WSP270.2の方法により測定された水可溶成分の含有量であり、
RMは、EDANA法NWSP210.0.R2の方法により測定された前記高吸水性樹脂に残っている残留単量体の含有量を意味する。
【0107】
より具体的には、前記製造方法により製造される高吸水性樹脂は、EDANA法NWSP210.0.R2の方法により測定された残留単量体の含有量が500ppm以下、450ppm以下、400ppm以下、390ppm以下、または380ppm以下であってもよい。さらに、前記残留単量体の含有量は、その値が小さいほど優れ、下限は理論上0ppmであるが、一例として、100ppm以上、150ppm以上、または200ppm以上であってもよい。
【0108】
また、前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP270.2の方法により測定された水可溶成分の含有量が10重量%未満、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6.5重量%以下、または6.3重量%以下であってもよい。さらに、前記水可溶成分の含有量は、その値が小さいほど優れ、下限は理論上0重量%であるが、一例として、3重量%以上、4重量%以上、または5重量%以上であってもよい。
【0109】
これに加えて、前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP241.3の方法により測定した遠心分離保水能(CRC)が30g/g以上、または31g/g以上かつ、35g/g以下、または33g/g以下であってもよい。
【0110】
また、前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP242.3の方法により測定した0.7psiの加圧吸水能(AUP)が18g/g以上、20g/g以上、または21g/g以上かつ、25g/g以下、または24g/g以下であってもよい。
【0111】
さらに、前記高吸水性樹脂は、上記数式1で計算されるIdeal Hydrogel Index(IHI)が20以上、20.5以上、または21以上であってもよい。また、前記IHI値の上限は、一例として、25以下、24以下、または23以下であってもよい。
【0112】
本発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の詳細な説明が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0113】
<実施例>
カプセル化された発泡剤の用意
実施例に使用されるカプセル化された発泡剤として、コアはiso-ブタンであり、シェルはアクリレートおよびアクリロニトリルの共重合体からなる、Matsumoto社製のF-36Dを用意した。この時、F-36Dの発泡開始温度(Tstart)は70℃~80℃であり、発泡最大温度(Tmax)は110℃~120℃である。
【0114】
それぞれのカプセル化された発泡剤の直径は光学顕微鏡により平均フェレ(Feret)径で測定された。そして、カプセル化された発泡剤の直径の平均値を求めてカプセル化された発泡剤の平均直径で規定した。
【0115】
また、前記カプセル化された発泡剤の膨張特性を確認するために、ガラスペトリ皿上に前記用意されたカプセル化された発泡剤0.2gを塗布した後、150℃に予熱されたホットプレート(Hot Plate)上に10分間放置した。カプセル化された発泡剤は熱によって徐々に膨張するが、これを光学顕微鏡で観察して、カプセル化された発泡剤の空気中での最大膨張比率および最大膨張の大きさを測定した。
【0116】
カプセル化された発泡剤に熱を加えた後、多く膨張した粒子の順に上位10重量%の直径を測定して最大膨張の大きさと規定し、カプセル化された発泡剤に熱を加える前に測定された平均直径(D0)に対する熱を加えた後、多く膨張した粒子の上位10重量%の平均直径(DM)の比率(DM/D0)を求めて最大膨張比率と規定した。
【0117】
用意されたカプセル化された発泡剤の膨張前の平均直径は13μmであり、空気中の最大膨張比率は約9倍であり、最大膨張の大きさは約80~150μmであった。
【0118】
実施例1
(段階1)撹拌機、温度計を装着した3Lガラス容器に、アクリル酸100g、内部架橋剤のPEGDA400(ポリエチレングリコールジアクリレート、Mw=400)0.001g、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EJ1030s)0.17g、光重合開始剤ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(I-819)0.008gおよび熱重合開始剤の過硫酸ナトリウム(SPS)0.12gを添加して溶解させた後、22%水酸化ナトリウム溶液188gを添加して単量体組成物を製造した(中和度:75モル%;固形分含有量:41重量%)。
【0119】
(段階2)前記単量体組成物に28%のナトリウムドデシルスルフェート(sodium dodecyl sulfate;SDS)水溶液0.02gおよびカプセル化された発泡剤F-36D0.18gを添加した。以後、前記単量体組成物を幅10cm、長さ2mのベルトが50cm/minの速度で回転するコンベヤベルト上に500~2000mL/minの速度で供給した。そして、前記単量体組成物の供給と同時に、10mW/cmの強度を有する紫外線を照射して60秒間重合反応を進行させて、含水率が55重量%のシート状の含水ゲル重合体を得た。
【0120】
(段階3)次に、前記アクリル酸単量体100重量部に対して0.032重量部のメタ重亜硫酸ナトリウム(sodium metabisulfite;SMBS;Na、プフン産業社製造)を54gの水に溶かした後、約5cm×5cmの大きさに切断した含水ゲル重合体に、製造したメタ重亜硫酸ナトリウム水溶液を噴射した。そして、これをミートチョッパ(meat chopper)に投入後、細切して、1mm~10mmの大きさを有する含水ゲル粒子粉(crumb)を得た。
【0121】
(段階4)以後、前記粉(crumb)を上下に風量遷移可能なオーブンで乾燥させた。185℃以上のホットエア(hot air)を15分間下方から上方に、再び15分間上方から下方に流れるようにして均一に乾燥させ、乾燥後、乾燥体の含水量は2%以下となるようにした。乾燥後、粉砕機で粉砕した後、分級して、150~850μmの大きさを選別してベース樹脂を用意した。
【0122】
(段階5)前記ベース樹脂100gを基準として、水4g、プロピレングリコール1.0g、エチレングリコールジグリシジルエーテル(Ethylene Glycol Diglycidyl Ether)0.08g、ポリカルボン酸系共重合体(メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートおよびメタクリル酸の共重合体、Mw=40,000)0.05gを混合した表面架橋溶液を製造した。前記得られたベース樹脂100gに、前記表面架橋溶液を噴射して混合し、これを撹拌機と二重ジャケットからなる容器に入れて、140℃で35分間表面架橋反応を進行させた。以後、表面処理された粉末をASTM規格の標準網篩で分級して、150~850μmの粒子サイズを有する高吸水性樹脂粉末を得た。以後、得られた樹脂粉末100重量部に対して、ヒュームドシリカ(AEROSIL(登録商標) 200)0.1gを追加混合した。
【0123】
実施例2
実施例1の段階3において、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS;Na)を、前記アクリル酸単量体100重量部に対して0.040重量部用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂を製造した。
【0124】
実施例3
実施例1の段階3において、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS;Na)を、前記アクリル酸単量体100重量部に対して0.048重量部用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂を製造した。
【0125】
実施例4
実施例1の段階3において、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS;Na)を、前記アクリル酸単量体100重量部に対して0.056重量部用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂を製造した。
【0126】
比較例1
実施例1の単量体組成物に過硫酸ナトリウム(SPS)0.05gを用い、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EJ1030s)0.2gを用い、実施例1の段階3において、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS;Na)を用いないことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂を製造した。
【0127】
比較例2
実施例1の単量体組成物に過硫酸ナトリウム(SPS)0.024gを用い、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EJ1030s)0.2gを用い、実施例1の段階3において、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS;Na)を用いないことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂を製造した。
【0128】
比較例3
実施例1の単量体組成物に過硫酸ナトリウム(SPS)0.04gを用い、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EJ1030s)0.2gを用い、実施例1の段階3において、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS;Na)を用いないことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂を製造した。
【0129】
実施例5
(段階1)撹拌機、温度計を装着した3Lガラス容器に、アクリル酸100g、内部架橋剤のPEGDA400(ポリエチレングリコールジアクリレート、Mw=400)0.5g、アリルメタクリレート(allyl methacrylate;AMA)0.005g、光重合開始剤のジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(I-819)0.008gおよび熱重合開始剤の過硫酸ナトリウム(SPS)0.12gを添加して溶解させた後、22%水酸化ナトリウム溶液188gを添加して、単量体組成物を製造した(中和度:75モル%;固形分含有量:41重量%)。
【0130】
(段階2)前記単量体組成物に28%のナトリウムドデシルスルフェート(sodium dodecyl sulfate;SDS)水溶液0.02gおよびナトリウムバイカーボネート0.12gを添加した。以後、前記単量体組成物を幅10cm、長さ2mのベルトが50cm/minの速度で回転するコンベヤベルト上に500~2000mL/minの速度で供給した。そして、前記単量体組成物の供給と同時に、10mW/cmの強度を有する紫外線を照射して60秒間重合反応を進行させて、含水率が55重量%のシート状の含水ゲル重合体を得た。
【0131】
(段階3)次に、前記アクリル酸単量体100重量部に対して0.040重量部のメタ重亜硫酸ナトリウム(sodium metabisulfite;SMBS;Na、プフン産業社製造)を54gの水に溶かした後、約5cm×5cmの大きさに切断した含水ゲル重合体に製造したメタ重亜硫酸ナトリウム水溶液を噴射した。そして、これをミートチョッパ(meat chopper)に投入後、細切して1mm~10mmの大きさを有する含水ゲル粒子粉(crumb)を得た。
【0132】
(段階4)以後、前記粉(crumb)を上下に風量遷移可能なオーブンで乾燥させた。185℃以上のホットエア(hot air)を15分間下方から上方に、再び15分間上方から下方に流れるようにして均一に乾燥させ、乾燥後、乾燥体の含水量は2%以下となるようにした。乾燥後、粉砕機で粉砕した後、分級して、150~850μmの大きさを選別してベース樹脂を用意した。
【0133】
(段階5)前記ベース樹脂100gを基準として、水4g、プロピレングリコール1.0g、エチレングリコールジグリシジルエーテル(Ethylene Glycol Diglycidyl Ether)0.08g、ポリカルボン酸系共重合体(メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートおよびメタクリル酸の共重合体、Mw=40,000)0.05gを混合した表面架橋溶液を製造した。前記得られたベース樹脂粉末100gに、前記表面架橋溶液を噴射して混合し、これを撹拌機と二重ジャケットからなる容器に入れて、140℃で35分間表面架橋反応を進行させた。以後、表面処理された粉末をASTM規格の標準網篩で分級して、150~850μmの粒子サイズを有する高吸水性樹脂粉末を得た。以後、得られた樹脂粉末100重量部対比、ヒュームドシリカ(AEROSIL(登録商標) 200)0.1gを追加混合した。
【0134】
比較例4
実施例5の単量体組成物において、過硫酸ナトリウム(SPS)を0.24g、PEGDA400を0.55g、アリルメタクリレート(allyl methacrylate;AMA)を0.0055g用い、実施例5の段階3において、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS;Na)を用いないことを除けば、実施例5と同様の方法を用いて高吸水性樹脂を製造した。
【0135】
比較例5
実施例1の段階3において、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS;Na)を、前記アクリル酸単量体100重量部に対して0.006重量部用いたことを除けば、実施例1と同様の方法を用いて高吸水性樹脂を製造した。
【0136】
実験例:高吸水性樹脂の物性の測定
前記実施例および比較例で製造したベース樹脂および高吸水性樹脂それぞれに対して、次のような方法で物性を評価して、下記表1および2にそれぞれ示した。異なって表記しない限り、下記の物性評価はすべての過程を恒温恒湿室(23±0.5℃、相対湿度45±0.5%)で行い、測定誤差を防止するために、3回の測定平均値を測定データとした。また、下記の物性評価で使用した生理食塩水または塩水は0.9重量%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を意味する。
【0137】
(1)遠心分離保水能(CRC:Centrifuge Retention Capacity)
各樹脂の無荷重下吸水倍率による保水能をEDANA WSP241.3により測定した。
【0138】
具体的には、高吸水性樹脂W(g)(約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した後、常温で生理食塩水(0.9重量%)に浸水させた。30分経過後、遠心分離機を用いて250Gの条件下で前記封筒から3分間水気を切り、封筒の質量W(g)を測定した。また、樹脂を用いずに同一の操作をした後に、その時の質量W(g)を測定した。得られた各質量を用いて、次のような数式2によりCRC(g/g)を算出した。
【0139】
[数式2]
CRC(g/g)={[W(g)-W(g)]/W(g)}-1
【0140】
(2)加圧吸水能(AUP:Absorbtion Under Pressure)
各樹脂の0.7psiの加圧吸水能を、EDANA法WSP242.3により測定した。
【0141】
具体的には、内径60mmのプラスチックの円筒底にステンレス製400meshの金網を装着させた。常温および湿度50%の条件下、金網上に高吸水性樹脂W(g)(0.90g)を均一に散布し、その上に0.7psiの荷重を均一にさらに付与できるピストンは外径60mmより若干小さくて円筒の内壁と隙がなく、上下の動きが妨げられないようにした。この時、前記装置の重量W(g)を測定した。
【0142】
直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mmおよび厚さ5mmのガラスフィルタを置き、0.9重量%塩化ナトリウムから構成された生理食塩水をガラスフィルタの上面と同一レベルとなるようにした。その上に直径90mmのろ過紙1枚を載せた。ろ過紙上に前記測定装置を載せ、液を荷重下で1時間吸収させた。1時間後に測定装置を持ち上げて、その重量W(g)を測定した。
【0143】
得られた各質量を用いて、次の数式3により加圧吸水能(g/g)を算出した。
【0144】
[数式3]
AUP(g/g)=[W(g)-W(g)]/W(g)
【0145】
(3)吸水速度(Vortex time)
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂の吸水速度(vortex time)を下記のような方法で測定した。
【0146】
(i)まず、底が平らな100mLのビーカーに、100mLのマスシリンダ(Mass Cylinder)を用いて50mLの0.9%塩水を入れた。
【0147】
(ii)次に、前記ビーカーがマグネチック撹拌機の中央にくるように置いた後、前記ビーカー内にマグネチックバー(直径8mm、長さ30mm)を入れた。
【0148】
(iii)以後、前記マグネチックバーが600rpmで撹拌するように撹拌機を作動させ、撹拌によってできた渦流(vortex)の最下部が前記マグネチックバーの上に当たるようにした。
【0149】
(iv)ビーカー内の塩水の温度が24.0℃になったことを確認した後、2±0.01gの高吸水性樹脂試料を投入しながら、同時にストップウォッチを作動させ、渦流が消えながら液表面が完全水平になるまでの時間を秒単位で測定し、これを吸水速度とした。
【0150】
(4)1分水道水吸水能
実施例および比較例の高吸水性樹脂の1分水道水吸水能を下記のような方法で測定した。
【0151】
(i)まず、横15cm、縦30cmのティーバッグに1gの高吸水性樹脂を入れて、前記ティーバッグを水道水(tap water)2Lに浸漬させた後、1分間膨潤させた。
【0152】
(ii)以後、膨潤した高吸水性樹脂の入っているティーバッグを水道水の外部に持ち上げて1分経過した後、水道水が抜けたティーバッグと高吸水性樹脂の重量を共に測定した後、空いているティーバッグの重量を差し引いた値を1分水道水吸水能とした。
【0153】
この時、水道水はOrion Star A222(会社:Thermo Scientific)を用いて測定した時、電気伝導度が170~180μS/cmのものを使用した。
【0154】
(5)水可溶成分(Extractable contents、16hr E/C)
実施例および比較例の高吸水性樹脂の水可溶成分の含有量を欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association)規格EDANA法WSP270.2に記載の方法通りに測定した。
【0155】
具体的には、高吸水性樹脂1.0gを、200g0.9重量%のNaCl溶液に入れて、500rpmで撹拌しながら16時間ふやかした後、フィルタペーパーで水溶液をろ過した。前記ろ過した溶液を0.1N苛性ソーダ溶液でpH10.0で1次滴定した後、0.1N塩化水素溶液でpH2.7で逆滴定を行って、中和時に必要な量から架橋化されていない高分子物質を水可溶成分として計算して測定した。
【0156】
(6)残留単量体(RM)
実施例および比較例の高吸水性樹脂の残留単量体の含有量を欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association)規格EDANA法NWSP210.0.R2(15)「Polyacrylate Superabsorbent Powders-Determination of the Amount of Residual Acrylate Monomers」に記載の方法通りに測定した。
【0157】
(7)Ideal Hydrogel Index(IHI)
先に求めた各高吸水性樹脂のCRC、E/CおよびRM値に基づき、上記数式1によってIHI値を計算した。
【0158】
(8)通液性(Permeability)
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂の通液性を下記のような方法で測定した。
【0159】
具体的には、クロマトグラフィー管(F20mm)にピストンを入れた状態で、液量20mLおよび40mLの液面に線表示した。この時、使用されたクロマトグラフィー管としては、直径20mmのガラス(glass)フィルタ(Glass Fritted Filter Disc、P3:16~40μm)および下部バルブ(コック)を備えた長さ250mmおよび直径22mmを有するものを用い、ピストンとしては、単位面積あたり0.3psiの圧力を加えられるように65gの重量を有するものを用いた。
【0160】
この後、ピストンを除去し、クロマトグラフィー管の下部ガラス(glass)フィルタと下部バルブとの間に気泡が生じないように逆に水を投入して約10mLを満たし、0.9重量%の塩水で2~3回洗浄し、40mL以上まで塩水を満たした。次に、クロマトグラフィー管にピストンを入れて、下部バルブを開けて、液面が40mLから20mLの表示線まで減少する時間(B)を記録した。
【0161】
次に、クロマトグラフィー管に塩水を10mL残し、分級(30#~50#)された高吸水性樹脂試料0.2±0.0005gを入れて、塩水を加えて塩水の体積が50mLとなるようにした後、30分間放置した。その後、クロマトグラフィー管内にピストンを入れて1分間放置後、クロマトグラフィー管の下部バルブを開けて、液面が40mLから20mLの表示線まで減少する時間(T1)を記録して、下記数式4によりT1-Bの時間(単位:秒)を計算した。
【0162】
[数式4]
通液性(sec)=T1-B
【0163】
上記数式4中、
T1は、クロマトグラフィー管内に分級(30#~50#)された高吸水性樹脂試料0.2±0.0005gを入れて、塩水を加えて塩水の体積が50mLとなるようにした後、30分間放置後、液面の高さが40mLから20mLまで減少するのにかかる時間であり、
Bは、塩水が満たされたクロマトグラフィー管において液面の高さが40mLから20mLまで減少するのにかかる時間である。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
前記表1および2に示されているように、含水ゲル重合体の乾燥前に熱重合開始剤と酸化/還元反応が可能な還元剤を、熱重合開始剤の含有量に対して一定の含有量以上投入した実施例1~4の高吸水性樹脂は、このような還元剤を使用せずに同等水準の吸水性能を示す比較例2の高吸水性樹脂、および前記還元剤を熱重合開始剤の含有量に対して過度に少なく使用した比較例5の高吸水性樹脂に比べて、同等水準の吸水速度、通液性を示しながらも、含まれている残留単量体の含有量および水可溶成分の含有量が同時に減少することが分かる。また、実施例により製造された高吸水性樹脂はすべてIdeal Hydrogel Index(IHI)が20以上の値を有することが確認される。
【0167】
特に、比較例1~3で製造されたベース樹脂の物性をみると、熱重合開始剤の含有量が増加する時、残留単量体の含有量は減少するのに対し、水可溶性成分が顕著に増加し、熱重合開始剤の含有量が減少する時、水可溶性成分の含有量は減少するのに対し、残留単量体の含有量が顕著に増加する傾向を示すことが分かる。しかし、還元剤を用いた実施例1~4で製造されたベース樹脂の場合、熱重合開始剤の含有量を調節しなくても、還元剤の含有量を増加させることによって、製造された高吸水性樹脂中の残留単量体の含有量および水可溶成分の含有量をすべて減少させることができることを確認できる。
【0168】
また、実施例5のベース樹脂は、実施例1~4の高吸水性樹脂とは内部架橋剤の種類および含有量を異ならせて製造されたものであるが、実施例5も、実施例5で還元剤を使用せずに製造された比較例4のベース樹脂に比べて、減少した残留単量体の含有量および水可溶成分の含有量を有することが分かる。
【0169】
これによって、使用される内部架橋剤の種類に関係なく、含水ゲル重合体の乾燥前の細切工程で熱重合開始剤と酸化還元反応が可能な還元剤を使用する場合、吸水性能、吸水速度、通液性などの諸物性の低下なく残留単量体の含有量および水可溶成分の含有量が同時に減少した高吸水性樹脂の製造が可能であることが分かる。