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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】印刷基板
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/00 20060101AFI20241210BHJP
   C09D 11/02 20140101ALI20241210BHJP
   B41M 1/12 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41M3/00 Z
C09D11/02
B41M1/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023500419
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 KR2021010755
(87)【国際公開番号】W WO2022035264
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0102746
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ソン・アン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒュク・ユ
(72)【発明者】
【氏名】テ・ヨン・キム
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/018202(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/013986(WO,A1)
【文献】特開2007-261135(JP,A)
【文献】特開2017-091741(JP,A)
【文献】特開2011-252063(JP,A)
【文献】特開2018-184553(JP,A)
【文献】特開昭59-182868(JP,A)
【文献】特開2004-083719(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0047773(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000942(US,A1)
【文献】特開2015-166447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/00
C09D 11/02
B41M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板;および前記基板上に形成された印刷パターンを有し、
前記印刷パターンは、一つ以上の印刷ラインを含み、
前記印刷ラインは高分子バインダー、着色剤、およびフッ素系界面活性剤を含み、
前記着色剤は黒色の顔料および/または染料であり、
前記印刷ラインは、厚さ均一性が0.6μm以下であり、エッジトップ偏差が0.55μm以下であり、
印刷ラインには、高分子バインダーが50~95重量%の割合で含まれ、着色剤が前記高分子バインダー100重量部対比20~90重量部で含まれ、フッ素系界面活性剤が前記高分子バインダー100重量部対比0.35~2.5重量部で含まれる、印刷基板。
【請求項2】
印刷ラインは厚さが0.5μm~10μmの範囲内である、請求項1に記載の印刷基板。
【請求項3】
印刷ラインは直進度が50μm以下である、請求項1に記載の印刷基板。
【請求項4】
印刷パターンはベゼルパターンである、請求項1に記載の印刷基板。
【請求項5】
高分子バインダー、着色剤、およびフッ素系界面活性剤を含み、
前記着色剤は黒色の顔料および/または染料であり、
前記高分子バインダーは20~40重量%の割合で含まれ、
前記着色剤が前記高分子バインダー100重量部対比20~90重量部で含まれ、
前記フッ素系界面活性剤は前記高分子バインダー100重量部対比0.35~2.5重量部で含まれる、スクリーン印刷用インク。
【請求項6】
高分子バインダーは、ポリエステル、ウレタン変性ポリエステル、エポキシ変性ポリエステル、アクリル変性ポリエステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ゴム、メラミン樹脂、尿素樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ロジン樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂およびアルキド樹脂からなる群から選択された一つ以上である、請求項5に記載のスクリーン印刷用インク。
【請求項7】
フッ素系界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である、請求項5に記載のスクリーン印刷用インク。
【請求項8】
高分子バインダー100重量部対比20~90重量部の顔料または染料を追加で含む、請求項5に記載のスクリーン印刷用インク。
【請求項9】
高分子バインダー100重量部対比100~300重量部の下記の化学式1の化合物を追加で含む、請求項5に記載のスクリーン印刷用インク:
【化1】
化学式1でRは水素原子、アルキル基またはアルキルカルボニル基であり、Lはアルキレン基であり、Rはアルキル基または水素原子であり、nは1~10の範囲内の数である。
【請求項10】
化学式1の化合物の比率が70重量%未満である、請求項9に記載のスクリーン印刷用インク。
【請求項11】
スクリーン印刷版を通じて請求項5に記載されたスクリーン印刷用インクを被印刷基板に転写する段階を含む、スクリーン印刷方法。
【請求項12】
印刷速度を20~200mm/secに制御する、請求項11に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項13】
印刷速度を下記の数式1のS値が25~110の範囲内となるように制御する、請求項11に記載のスクリーン印刷方法:
[数式1]
S=R×W
数式1でRは前記印刷速度であり、Wはインク内の高分子バインダー100重量部対比界面活性剤の重量部である。
【請求項14】
被印刷基板にベゼルパターンを形成する、請求項11に記載のスクリーン印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年8月14日付で提出された大韓民国特許出願第10-2020-0102746号に基づいて優先権を主張し、該当大韓民国特許出願文献に開示された内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、印刷基板、スクリーン印刷用インクおよびスクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0003】
スクリーン印刷は、スクリーンマスク(印刷版)にインクを塗布し、スクイージーで押し出すことによって印刷パターンを被印刷基材に転写する印刷方法である。
【0004】
スクリーン印刷過程ではインクを被印刷基材に転写した後に乾燥および/または硬化工程が遂行され得る。被印刷基材に転写した後に前記乾燥および/または硬化工程が完了する前まではインクがある程度流動性を有している状態であるので、インクの滲み現象が発生し得る。このようなインクの滲みは印刷パターンの厚さ均一性と直進性を低下させ、エッジトップ(edge top)不良を誘発し得る。
【0005】
前記で厚さ均一性は、印刷パターンを側面から観察した時に、厚さがどれほど均一に形成されているかを示すものであり、直進性は印刷パターンを上部から観察した時に、縁がどれほどまっすぐに形成されているかを示すものである。
【0006】
また、エッジトップ不良は、印刷パターンを側面から観察した時にパターンの縁がショルダー(shoulder)状に突出する不良をいう。このようなエッジトップ不良は、転写したインクが乾燥および/または硬化する時に転写パターンの縁と中央部分での溶媒の蒸発速度の差が発生し、その結果インクの固形分が溶媒の蒸発速度が速い領域に移動し、表面張力の偏差が誘発されて発生するものと推定される。
【0007】
安定したスクリーン印刷のためには、前記のような問題点を解決しなければならない。
【0008】
特にスクリーン印刷がベゼル(bezel)パターンのように相対的に狭い幅と低い高さを有する印刷パターンの形成に利用される時には、前記のような不良はより高い水準に精密に制御される必要がある。
【0009】
また、ベゼルパターンのようなスクリーン印刷パターンが使用過程で反復的なフォールディングに露出される被印刷基板(例えば、フォールダブル携帯電話のカバー基板など)に形成される場合には、前記印刷パターンが繰り返されるフォールディング下でも損傷せずに安定的に維持されることが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願は、印刷基板、スクリーン印刷用インクおよびスクリーン印刷方法を提供する。本出願は厚さ均一性と直進性が優秀であり、エッジトップ不良がなく、反復的にフォールディングされる基板上に形成されて反復的なフォールディングに露出される場合にも損傷しない印刷パターンを有する印刷基板および前記印刷パターンを形成できるインクおよび印刷方法を提供することができる。
【0011】
また、本出願では印刷パターンが相対的に狭い幅および/または高さを有するように形成される場合にも前記長所を示すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一つの例示で本出願は、印刷基板に関する。
【0013】
前記印刷基板は、例えば、基板;および前記基板上に形成された印刷パターンを含むことができる。
【0014】
本出願で前記印刷パターンと基板の具体的な種類は特に制限されない。本出願によると、前記印刷パターンを優秀な厚さ均一性と直進性を有し、エッジトップ不良がないように形成することができる。また、前記印刷パターンが反復的なフォールディングなどに露出される場合、および/または前記印刷パターンが相対的に狭い幅および/または低い高さを有するように形成される場合にも前記優秀な厚さ均一性と直進性が維持され、エッジトップ不良が発生しない。
【0015】
したがって、前記印刷パターンと基板は前記のような特性が要求されるすべての種類の印刷パターンおよび基板であり得る。
【0016】
一つの例示で前記印刷パターンはベゼルパターンであり得る。図1は、本出願の一例示に係るベゼルパターン(B)の形態である。
【0017】
前記印刷基板で基板の種類は特に制限されず、目的に応じて選択され得る。例えば、前記印刷基板は一例としてタッチパネル用カバー積層体であり得るが、このような場合に前記基板としてはタッチパネル用カバー積層体の製造に適用される一般的な基板が適用され得る。
【0018】
また、前記印刷基板がタッチパネル用カバー積層体である場合に前記印刷基板は、前記印刷パターン上に配置された粘着剤層または接着剤層と前記粘着剤層または接着剤層によって付着されたカバー基板を追加で含むことができる。
【0019】
図2は、そのような構造の例示として基板400、印刷パターン(例えば、ベゼルパターン)300、前記粘着剤層または接着剤層200およびカバー基板100を含む場合を示す。
【0020】
前記積層体で基板、粘着剤層、接着剤層および/またはカバー基板などの種類は特に制限されず、公知の素材が適用され得る。
【0021】
前記印刷パターンは一つ以上の印刷ラインを含むことができる。印刷ラインは、前記印刷パターンを構成する単位印刷層である。
【0022】
例えば、図1の印刷パターン(ベゼルパターンB)は、略I地点から略II地点までの印刷ライン、略II地点から略III地点までの印刷ライン、略III地点から略IV地点までの印刷ラインおよび概略IV地点から略I地点までの印刷ラインを含む。
【0023】
このような印刷ラインは略直線形態を有することができる。この時、直線形態は完全な直線形態であってもよく、概略的に直線形態であってもよい。例えば、前記印刷ラインが後述する直進度を有するのであれば、完全な直線形態でなくても本出願で直線形態の印刷ラインと呼ばれ得る。
【0024】
前記印刷ラインおよび/または印刷パターンは優秀な厚さ均一性を有することができる。
【0025】
例えば、前記印刷ラインおよび/または印刷パターンは、厚さ均一性(thickness uniformity)が0.6μm以下であり得る。前記厚さ均一性は、後述する実施例に記載された方式で測定した前記印刷ラインおよび/または印刷パターンの中央厚さ領域の最大厚さと最小厚さの差である。前記厚さ均一性は他の例示で0.59μm以下、0.58μm以下、0.57μm以下、0.56μm以下、0.55μm以下、0.54μm以下、0.53μm以下、0.52μm以下、0.51μm以下、0.5μm以下、0.49μm以下、0.48μm以下、0.47μm以下、0.46μm以下、0.45μm以下、0.44μm以下または0.43μm以下程度であり得る。前記厚さ均一性はその数値が低いほど印刷ラインおよび印刷パターンの厚さ均一性が優秀であることを意味するので、その下限は特に制限されない。例えば、前記厚さ均一性は、他の例示で0μm以上、0.1μm以上、0.2μm以上、0.3μm以上または0.4μm以上程度であってもよい。
【0026】
前記印刷ラインおよび/または印刷パターンはエッジトップ不良を含まないことができる。
【0027】
例えば、前記印刷ラインおよび/または印刷パターンは、エッジトップ偏差(edge top deviation)が0.55μm以下であり得る。前記エッジトップ偏差は後述する実施例に記載された方式で測定した前記印刷ラインまたは印刷パターンの平均厚さと該当平均厚さを有する印刷ラインまたは印刷パターンの縁部位の厚さの差の絶対値である。前記エッジトップ偏差は、他の例示で0.54μm以下、0.53μm以下、0.52μm以下、0.51μm以下、0.50μm以下、0.49μm以下、0.48μm以下、0.47μm以下、0.46μm以下、0.45μm以下、0.44μm以下、0.43μm以下、0.42μm以下、0.41μm以下、0.40μm以下、0.39μm以下または0.38μm以下程度であってもよい。前記エッジトップ偏差はその数値が低いほど印刷ラインおよび印刷パターンにegde top不良がないことを意味するので、その下限は特に制限されない。例えば、前記エッジトップ偏差は、他の例示で0μm以上、0.1μm以上、0.2μm以上または0.3μm以上程度であってもよい。
【0028】
前記印刷ラインおよび/または印刷パターンが直線形態である場合、該当印刷ラインおよび/または印刷パターンは優秀な直進度を有することができる。例えば、前記印刷ラインおよび/または印刷パターンは、直進度が50μm以下であり得る。前記直進度は、光学顕微鏡(Optical microscope)で測定したイメージを分析して指定した中心線を基準として印刷領域の外部に最も遠く離れた印刷領域(black)までの距離を(+)にし、前記中心線を基準として印刷領域の部に最も遠く離れた未印刷領域(white)までの距離を(-)にした後に、印刷領域縁領域の外部および内部の両部分の(+)および(-)の平均数値を使って求めることができ、具体的な方式は実施例に記載する。前記直進度は他の例示で48μm以下、46μm以下、44μm以下、42μm以下、40μm以下、38μm以下、36μm以下、34μm以下、32μm以下、30μm以下、28μm以下または26μm以下程度であってもよい。前記直進度の数値はその数値が低いほど優秀な直進度を示すものであり、したがってその下限は特に制限されない。一例として、前記直進度は5μm以上、10μm以上、15μm以上または20μm以上程度であってもよい。
【0029】
前記のような印刷パターンまたは印刷ラインの幅(例えば、ベゼルパターンである場合に図1のW)は0.1mm~10mmの範囲内であり得る。前記幅は他の例示で0.5mm以上、1mm以上または1.5mm以上の範囲内および/または9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下または3mm以下の範囲内で追加的に調節され得る。
【0030】
前記のような印刷パターンまたは印刷ラインの高さ(例えば、ベゼルパターンの高さ)は、0.5μm~10μmの範囲内であり得る。前記高さは他の例示で1μm以上、1.5μm以上、2μm以上または3.5μm以上の範囲内および/または9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下または5μm以下の範囲内で追加的に調節されてもよい。
【0031】
本出願では前記範囲内で印刷パターンまたは印刷ラインの幅および/または高さが相対的に狭い幅および/または低い高さで形成される場合にも、目的とする特性(優秀な直進性と厚さ均一性、エッジトップ不良が存在しない、優秀な接着性と耐久性)を有する印刷パターンおよび/または印刷ラインを形成することができる。
【0032】
前記のような印刷パターンおよび/または印刷ラインは後述するインクを適用し、追加で後述する印刷方式を適用することによって形成することができる。
【0033】
例えば、後述するインクを使って形成した前記印刷パターンおよび/または印刷ラインは、前記インクの成分のうち少なくとも一部を含むことができる。
【0034】
例えば、前記印刷パターンおよび/または印刷ラインは、少なくとも高分子バインダーおよびフッ素系界面活性剤を少なくとも含むことができる。
【0035】
前記高分子バインダーおよびフッ素系界面活性剤の具体的な種類は後述するインクについての説明部分で記述する。
【0036】
前記印刷パターンおよび/または印刷ライン内での前記高分子バインダーおよびフッ素系界面活性剤の含量も後述するインク内の含量と略同様である。
【0037】
例えば、前記印刷パターンおよび/または印刷ライン内で前記フッ素系界面活性剤は、前記高分子バインダー100重量部対比0.25~2.5重量部で含まれ得、この比率は他の例示で0.26重量部以上、0.27重量部以上、0.28重量部以上、0.29重量部以上、0.3重量部以上、0.35重量部以上、0.4重量部以上、0.45重量部以上、0.5重量部以上、0.55重量部以上、0.6重量部以上、0.65重量部以上、0.7重量部以上、0.75重量部以上、0.8重量部以上、0.85重量部以上、0.9重量部以上、0.95重量部以上、1重量部以上、1.2重量部以上、1.4重量部以上、1.6重量部以上、1.8重量部以上または2重量部以上の範囲内および/または2.4重量部以下、2.3重量部以下、2.2重量部以下、2.1重量部以下、2重量部以下、1.8重量部以下、1.6重量部以下、1.4重量部以下、1.2重量部以下、1重量部以下、0.95重量部以下、0.9重量部以下、0.85重量部以下、0.8重量部以下、0.75重量部以下、0.7重量部以下、0.65重量部以下、0.6重量部以下、0.55重量部以下、0.5重量部以下、0.45重量部以下、0.4重量部以下、0.35重量部以下または0.3重量部以下の範囲内で追加的に調節され得る。
【0038】
前記印刷パターンおよび/または印刷ラインは、後述するインクが含んでいる成分を同一に含むことができ、その比率もインクに対する説明項目で言及された範囲内で調節され得る。
【0039】
例えば、前記印刷パターンおよび/または印刷ラインは、追加成分として、光学密度を付与するための着色剤などを含むことができる。この時、適用される着色剤の具体的な種類は下記のインク項目で記述するものと同一である。このような着色剤は、前記高分子バインダー100重量部対比20~90重量部の割合で適用され得るが、これは目的とする光学密度を考慮して調節され得る。目的とする物性を適切に確保するために前記比率は例えば、25重量部以上、30重量部以上、35重量部以上、40重量部以上、45重量部以上、50重量部以上、55重量部以上、60重量部以上、65重量部以上、70重量部以上、75重量部以上または80重量部以上の範囲内および/または85重量部以下、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下、45重量部以下または40重量部以下の範囲内で追加的に調節され得る。
【0040】
前記印刷パターンおよび/または印刷ラインは、追加成分として後述するインクに含まれる溶媒成分を含むことができる。このような溶媒成分は、通常印刷過程の中で揮発などによって除去されるが、前記印刷パターンおよび/または印刷ラインに微量で存在している可能性もある。
【0041】
したがって、前記印刷パターンおよび/または印刷ラインは、下記のインク項目で説明する化学式1の化合物を含むことができる。
【0042】
印刷パターンおよび/または印刷ラインは、インクによって形成されるが、形成過程で前記インクに含まれた溶媒成分(例えば、前記化学式1の化合物)が蒸発などによって除去された状態であり得るため、前記高分子バインダーの前記印刷パターンおよび/または印刷ライン内での比率は前記インク内での比率とは異なり得る。
【0043】
例えば、印刷パターンおよび/または印刷ライン内で前記高分子バインダーの比率は、約50~95重量%の範囲内であり得る。前記比率は他の例示で約55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上または90重量%以上の範囲内および/または90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下または55重量%以下の範囲内で追加的に調節され得る。
【0044】
以下では、前記印刷パターンおよび/または印刷ラインの形成に適用されるインクについて記述する。前記インクはスクリーン印刷用インクであり得る。したがって、前記インクはスクリーン印刷工程に適用され得る。
【0045】
本出願のインクは少なくとも高分子バインダーおよびフッ素系界面活性剤を含む。本出願のインクは乾燥によって硬化するタイプのインク(以下、乾燥硬化型または熱硬化型と呼ばれ得る。)であり得る。前記で乾燥によって硬化するタイプのインクの範疇には、紫外線などのようなエネルギー線の照射によって硬化する類型のインクは含まれない。
【0046】
本出願で適用され得る前記高分子バインダーの種類は特に制限されない。業界ではスクリーン印刷用インクに適用されて適切な粘度特性などと被印刷基板に対する適正な接着性と耐久性を示すことができる高分子バインダーが多様に公知になっており、本出願ではこのような公知の高分子バインダーがすべて使われ得る。
【0047】
このような高分子バインダーとしては、ポリエステル、ウレタン変性ポリエステル、エポキシ変性ポリエステル、アクリル変性ポリエステルなどのポリエステルまたは各種変性ポリエステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、塩化ゴム、メラミン樹脂、尿素樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等の変性セルロース樹脂類、ロジン樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂および/またはアルキド樹脂などが例示され得る。
【0048】
このような公知のバインダーのうち、本出願でフッ素系界面活性剤と組み合わせられて目的とする特性をより効果的に達成できるものは、ポリエステル、ウレタン変性ポリエステル、エポキシ変性ポリエステル、アクリル変性ポリエステルなどのポリエステルまたは各種変性ポリエステルのようなポリエステル系列のバインダーであるが、本出願で適用され得るバインダーはこれに制限されるものではない。
【0049】
前記高分子バインダーはインク内で約20~40重量%の割合で含まれていてもよい。前記比率は他の例示で、約21重量%以上、約22重量%以上、約23重量%以上、約24重量%以上または約25重量%以上であるか、約39重量%以下、約38重量%以下、約37重量%以下、約36重量%以下または約35重量%以下程度であってもよい。このような比率下で高分子バインダーを含むインクに後述するフッ素系界面活性剤が適正割合で組み合わせられると、インクの流動特性(粘度、揺変性など)が適切に調節され、インクの乾燥および/または硬化過程で固形分の移動および表面張力が適正水準で制御され、厚さ均一性と直進性が優秀であり、エッジトップ不良がなく、繰り返されるフォールディングにも損傷がない印刷パターンおよび/または印刷ラインが形成され得る。
【0050】
インクはフッ素系界面活性剤を追加で含む。このようなフッ素系界面活性剤は、適正割合で含まれる場合にインクの流動特性(粘度、揺変性など)を適切に調節し、インクの乾燥および/または硬化過程で固形分の移動および表面張力を制御して、厚さ均一性と直進性が優秀であり、エッジトップ不良がなく、繰り返されるフォールディングにも損傷がない印刷パターンが形成されるようにすることができる。
【0051】
フッ素系界面活性剤の種類には特に制限はなく、例えば、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキル燐酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルエチレンオキシド誘導体、またフルオロアルキルアンモニウム塩類などとして公知になっているフッ素系界面活性剤を使うことができる。フッ素系界面活性剤としては、イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤などが適用され得、好ましくは非イオン性界面活性剤が適用され得る。このような界面活性剤は、DIC社製のF-251、F-444、F-477、F-510、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-567、F-568、F-569、F-570またはF-571などとして公知になっている。
【0052】
このようなフッ素系界面活性剤は前記高分子バインダー100重量部対比0.25~2.5重量部でインクに含まれ得る。このような比率下でインクの流動特性(粘度、揺変性など)が適切に調節され、インクの乾燥および/または硬化過程で固形分の移動および表面張力が適正水準で制御され、厚さ均一性と直進性が優秀であり、エッジトップ不良がなく、繰り返されるフォールディングにも損傷がない印刷パターンおよび/または印刷ラインが形成され得る。
【0053】
前記界面活性剤の比率は他の例示で0.26重量部以上、0.27重量部以上、0.28重量部以上、0.29重量部以上、0.3重量部以上、0.35重量部以上、0.4重量部以上、0.45重量部以上、0.5重量部以上、0.55重量部以上、0.6重量部以上、0.65重量部以上、0.7重量部以上、0.75重量部以上、0.8重量部以上、0.85重量部以上、0.9重量部以上、0.95重量部以上、1重量部以上、1.2重量部以上、1.4重量部以上、1.6重量部以上、1.8重量部以上または2重量部以上であるか、2.4重量部以下、2.3重量部以下、2.2重量部以下、2.1重量部以下、2重量部以下、1.8重量部以下、1.6重量部以下、1.4重量部以下、1.2重量部以下、1重量部以下、0.95重量部以下、0.9重量部以下、0.85重量部以下、0.8重量部以下、0.75重量部以下、0.7重量部以下、0.65重量部以下、0.6重量部以下、0.55重量部以下、0.5重量部以下、0.45重量部以下、0.4重量部以下、0.35重量部以下または0.3重量部以下程度であってもよい。
【0054】
本出願のインクは前記成分に追加で他の成分を含むことができる。例えば、前記インクは前記高分子バインダーや界面活性剤などを分散させる溶媒成分を含むことができる。
【0055】
溶媒成分としては特に制限なくインクに適用される公知の溶媒成分が適用され得る。
【0056】
一例として、本出願において適合な流動特性(粘度、揺変性など)が確保され、インクの乾燥および/または硬化過程での蒸発速度が適正水準で制御され、固形分の移動および表面張力が適正水準で制御され得るように、前記溶媒成分としては下記の化学式1の化合物が適用され得る。
【0057】
【化1】
【0058】
化学式1でRは水素原子、アルキル基またはアルキルカルボニル基であり、Lはアルキレン基であり、Rはアルキル基または水素原子であり、nは1~10の範囲内の数である。
【0059】
化学式1でRは、他の例示で水素原子;炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基;または炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基を有するアルキルカルボニル基であり得る。前記でアルキル基は直鎖状、分枝鎖状または環状であり得、任意に一つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0060】
化学式1でLは、他の例示で炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキレン基であり得る。前記アルキレン基は直鎖状、分枝鎖状または環状であり得、任意に一つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0061】
化学式1でRは、他の例示で水素原子;または炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基であり得る。前記アルキル基は直鎖状、分枝鎖状または環状であり得、任意に一つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0062】
化学式1でnは他の例示で9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下または2以下であり得る。
【0063】
このような構造の化合物は前記高分子およびフッ素系界面活性剤と組み合わせられて目的とするインクの特性がより効果的に確保されるようにすることができる。
【0064】
前記のような化学式1の化合物は、前記高分子バインダー100重量部対比100~300重量部の割合でインクに含まれ得る。前記比率は他の例示で110重量部以上、120重量部以上、130重量部以上、140重量部以上、150重量部以上、160重量部以上、170重量部以上、180重量部以上、190重量部以上、200重量部以上、210重量部以上、220重量部以上、230重量部以上または240重量部以上であるか、290重量部以下、280重量部以下、270重量部以下、260重量部以下、250重量部以下、240重量部以下、230重量部以下、220重量部以下、210重量部以下、200重量部以下、190重量部以下、180重量部以下、170重量部以下、160重量部以下、150重量部以下、140重量部以下、130重量部以下、120重量部以下または110重量部以下程度であってもよい。
【0065】
適正な物性の確保のためにインク内での前記化学式1の化合物の比率は70重量%未満で調節され得る。この比率は他の例示で69重量%以下、68重量%以下、67重量%以下、66重量%以下、65重量%以下、64重量%以下、63重量%以下、62重量%以下、61重量%以下または60重量%以下であるか、30重量%以上、31重量%以上、32重量%以上、33重量%以上、34重量%以上、35重量%以上、36重量%以上、37重量%以上、38重量%以上、39重量%以上、40重量%以上、41重量%以上、42重量%以上、43重量%以上、44重量%以上、45重量%以上、46重量%以上、47重量%以上、48重量%以上、49重量%以上または50重量%以上程度であってもよい。
【0066】
インクは追加成分として着色剤などを含むことができる。
【0067】
着色剤は、インクに目的とする光学密度を付与するために使われ、例えば、前記高分子バインダー100重量部対比20~90重量部の割合で適用され得るが、これは目的とする光学密度を考慮して調節され得る。目的とする物性を適切に確保するために前記比率は例えば、25重量部以上、30重量部以上、35重量部以上、40重量部以上、45重量部以上、50重量部以上、55重量部以上、60重量部以上、65重量部以上、70重量部以上、75重量部以上または80重量部以上の範囲内および/または85重量部以下、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下、45重量部以下または40重量部以下の範囲内で追加的に調節され得る。
【0068】
着色剤としては、1種以上の顔料、染料またはこれらの混合物を使うことができ、必要による色を発現できるのであればその種類は特に限定しない。
【0069】
一例として、前記着色剤としては黒色の顔料および/または染料を使うことができ、例えば、カーボンブラック、黒鉛、金属酸化物および/または有機ブラック顔料などを使うことができる。
【0070】
カーボンブラックの例としては、シースト5HIISAF-HS、シーストKH、シースト3HHAF-HS、シーストNH、シースト3M、シースト300HAFLS、シースト116HMMAF-HS、シースト116MAF、シーストFMFEF-HS、シーストSOFEF、シーストVGPF、シーストSVHSRF-HSおよびシーストSSRF(東海カーボン(株));ダイヤグラムブラックII、ダイヤグラムブラックN339、ダイヤグラムブラックSH、ダイヤグラムブラックH、ダイヤグラムLH、ダイヤグラムHA、ダイヤグラムSF、ダイヤグラムN550M、ダイヤグラムM、ダイヤグラムE、ダイヤグラムG、ダイヤグラムR、ダイヤグラムN760M、ダイヤグラムLR、#2700、#2600、#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#900、MCF88、#52、#50、#47、#45、#45L、#25、#CF9、#95、#3030、#3050、MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA40、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30BおよびOIL31B(三菱化学(株));PRINTEX-U、PRINTEX-V、PRINTEX140U、PRINTEX-140V、PRINTEX-95、PRINTEX-85、PRINTEX-75、PRINTEX-55、PRINTEX-45、PRINTEX-300、PRINTEX35、PRINTEX-25、PRINTEX-200、PRINTEX-40、PRINTEX-30、PRINTEX-3、PRINTEX-A、SPECIAL BLACK-550、SPECIAL BLACK-350、SPECIAL BLACK-250、SPECIAL BLACK-100およびLAMP BLACK-101(デグサ(株));RAVEN-1100ULTRA、RAVEN1080ULTRA、RAVEN-1060ULTRA、RAVEN-1040、RAVEN-1035、RAVEN-1020、RAVEN-1000、RAVEN-890H、RAVEN-890、RAVEN-880ULTRA、RAVEN-860ULTRA、RAVEN-850、RAVEN-820、RAVEN-790ULTRA、RAVEN-780ULTRA、RAVEN-760ULTRA、RAVEN-520、RAVEN-500、RAVEN-460、RAVEN-450、RAVEN-430ULTRA、RAVEN-420、RAVEN-410、RAVEN-2500ULTRA、RAVEN-2000、RAVEN-1500、RAVEN-1255、RAVEN-1250、RAVEN-1200、RAVEN-1190ULTRA、およびRAVEN-1170(コロンビアカーボン(株))またはこれらの混合物などが例示され得、前記有機ブラック顔料としてアニリンブラック、ラクタムブラックまたはペリレンブラック系列などが例示され得るが、これで限定するものではない。
【0071】
インクは前述した成分の他にも、目的物性を損傷させない範囲内で、消泡剤や希釈剤などのようにインクに適用される公知の添加剤を適正量追加で含むことができる。
【0072】
本出願はまた、前記インクを使った印刷方法に関し、前記印刷方法はスクリーン印刷方法であり得る。
【0073】
前記スクリーン印刷方法は前記本出願のインクを適用する限り、具体的な進行方式は特に制限されず、公知のスクリーン印刷方式を適用することができる。
【0074】
スクリーン印刷方式は通常メッシュ形態で製作された印刷パターンが形成されている印刷版上にインクを塗布し、前記印刷版を被印刷基板上に位置させた後にスクイージーなどでインクを押し出す方式で遂行される。
【0075】
したがって、一例として、前記スクリーン印刷方法は、スクリーン印刷版を通じて前記スクリーン印刷用インクを被印刷基板に転写する段階を含むことができる。
【0076】
前記過程で転写はスクイージー(squeegee)を使って印刷版上のインクを押し出す方式で遂行できる。
【0077】
この過程での具体的な条件は特に制限されない。
【0078】
一例として、適切な印刷のために、前記過程では、例えば、スクイージー角度は約50度~180度の範囲内で制御され得る。前記角度は他の例示で約55度以上、60度以上、65度以上、70度以上、75度以上または80度以上の範囲内および/または175度以下、170度以下、165度以下、160度以下、155度以下、150度以下、145度以下、140度以下、135度以下、130度以下、125度以下、120度以下、115度以下、110度以下、105度以下、100度以下、95度以下、90度以下、85度以下または80度以下の範囲内で調節され得る。
【0079】
また、前記スクリーン印刷で印刷速度は約20~200mm/secの範囲内で制御され得る。前記速度は他の例示で約30mm/sec以上、40mm/sec以上、50mm/sec以上、60mm/sec以上、70mm/sec以上、80mm/sec以上、90mm/sec以上または100mm/sec以上の範囲内および/または190mm/sec以下、180mm/sec以下、170mm/sec以下、160mm/sec以下、150mm/sec以下、140mm/sec以下、130mm/sec以下、120mm/sec以下、110mm/sec以下、100mm/sec以下、90mm/sec以下、80mm/sec以下、70mm/sec以下、60mm/sec以下、50mm/sec以下または40mm/sec以下の範囲内で追加的に調節されてもよい。
【0080】
目的とする印刷パターンの形成のために、前記印刷速度はインク内の前記界面活性剤の量により制御され得る。例えば、インク内の前記界面活性剤の量が多くなるほど印刷速度を遅く制御してもよい。
【0081】
例えば、前記印刷速度は下記の数式1のS値(単位:重量部mm/sec)が25~110の範囲内となるように制御され得る。
[数式1]
S=R×W
【0082】
数式1でRは前記印刷速度(単位:mm/sec)であり、Wは前記インク内で前記高分子バインダー100重量部対比前記界面活性剤の重量部である。
【0083】
前記S値は他の例示で26以上、27以上、28以上または29以上の範囲内および/または109以下、108以下、107以下、106以下、105以下、104以下、103以下、102以下、101以下、100以下、99以下、98以下、97以下、96以下、95以下、94以下、93以下、92以下、91以下、90以下、89以下、88以下、87以下、86以下、85以下、84以下、83以下、82以下、81以下または80以下の範囲内で追加的に制御されてもよい。
【0084】
前記印刷方法では前記転写工程後に転写したインクを乾燥する過程を追加で遂行することができ、この過程でインクは硬化され得る。
【0085】
このような乾燥の条件は特に制限されず、使われたインクの組成を通じて制御され得る。例えば、前記乾燥は60℃~200℃の範囲内の温度で約5分~2時間の範囲内の時間の間遂行され得る。
【0086】
スクリーン印刷が2色以上遂行される場合には前記乾燥は印刷後追加印刷が進行される前に遂行され、最終印刷後にもう一度遂行されてもよく、2色以上の印刷後に最終段階で一度に遂行されてもよい。
【0087】
スクリーン印刷は1色印刷で遂行されるか、2色以上の多段で遂行されてもよい。本出願では、このように2色以上印刷が遂行されて形成されたパターンの場合にもエッジトップ不良がなく、厚さ均一性および直進性が優秀な印刷パターンを形成することができる。また、前記のような過程を経て形成された印刷パターンは基板に対して優秀な接着性と耐久性を示し、繰り返されるフォールディングに適用される基板上でも前記特性を示すことができる。
【0088】
前記スクリーン印刷方法は一つの例示でベゼル(bezel)形成方法であり得、この場合、前記転写によってベゼルパターンを形成することができる。この場合にもベゼル形成方法の具体的な段階および条件は前記スクリーン印刷方法と同じである。
【発明の効果】
【0089】
本出願は、厚さ均一性と直進性が優秀であり、エッジトップ不良がなく、反復的なフォールディングに露出される場合にも損傷しない印刷パターンおよび/または印刷ラインを含む印刷基板を提供することができ、前記印刷パターンおよび/または印刷ラインを形成できるインクおよびそれを使った印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1】例示的なベゼルパターンを示す図面である。
図2】一例示に係る印刷基板の積層構造を示す図面である。
図3】印刷パターンの厚さを測定する方式に対する模式図である。
図4】厚さプロファイルの例示を示す図面である。
図5】フォールディングテストで折りたたまれる部分を示す図面である。
図6】フォールディングテスト後に印刷パターンに対する光学顕微鏡イメージである。
【発明を実施するための形態】
【0091】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲は下記の実施例によって制限されるものではない。
【0092】
1.印刷厚さおよびエッジトップの測定方法
スクリーン印刷された印刷パターンの厚さはAlphastep Profiler(KLA Tencor D-300)を使って評価した(条件:Contact force 5μg、Scan speed:100μm/sec)。印刷パターン厚さの歪曲が発生しないように図3に示された通り、スクリーン印刷パターン300を含む高分子フィルム400を、OCA20を使ってガラス10に積層した後、前記厚さを印刷パターンの長さ方向に評価した。
【0093】
前記方式で印刷パターンの厚さを測定すると、図4に示されたような厚さデータを得ることができる(図4でx軸は厚さの測定位置であり、y軸は厚さ)。そのデータで左右のサイドを除いた中央厚さ領域2000の平均値を印刷厚さとして指定したし、前記中央厚さ領域2000での最大値と最小値の差を通じて厚さ均一性(最大厚さと最小厚さの差)を確認した。
【0094】
また、エッジトップ不良発生の有無は、前記厚さ形状データの左右のサイドの高さのうちさらに高い高さ(図4での1000の高さ)と前記印刷厚さである平均値との差の絶対値(エッジトップ偏差)を確認して評価した。
【0095】
前記中央厚さ領域2000の平均値、厚さ均一性およびエッジトップ偏差は、図1のようなベゼル形態で印刷された印刷パターンの4個の印刷ライン(図1のIからIIまでの印刷ライン、IIからIIIまでの印刷ライン、IIIからIVまでの印刷ラインおよびIVからIまでの印刷ライン)に対してそれぞれ評価した。結果は中央厚さ領域2000の平均値は、前記4個の印刷ラインに対する結果の平均値を記載したし、厚さ均一性とエッジトップ偏差は、実施例の場合、前記4個の印刷ラインに対する結果のうち最も悪い結果を記載したし、比較例の場合最も良い結果を記載した。
【0096】
2.直進度評価
印刷パターンの直進度は光学顕微鏡(Optical microscope)で測定したイメージを分析して定量化した。まず前記イメージの印刷パターン領域をBlackにし、他の領域(背景領域)をWhiteでbinary image化し、Black:White 1:1である水平線を中心線に指定する。引き続き、前記中心線を基準として印刷領域の外部に最も遠く離れた印刷領域(black)までの距離を(+)にし、前記中心線を基準として印刷領域の部に最も遠く離れた未印刷領域(white)までの距離を(-)にした後、印刷領域縁領域の外部および内部の両部分の(+)および(-)の平均数値を直進度として記録した。
【0097】
前記直進度は、図1のようなベゼル形態で印刷された印刷パターンの4個の印刷ライン(図1のIからIIまでの印刷ライン、IIからIIIまでの印刷ライン、IIIからIVまでの印刷ラインおよびIVからIまでの印刷ライン)に対してそれぞれ評価し、実施例の場合、前記4個の印刷ラインに対する結果のうち最も悪い結果を記載したし、比較例の場合最も良い結果を記載した。
【0098】
3.光学密度の評価
光学密度は公知の光学密度測定機(X-rite社製341C)を使って評価した。
【0099】
4.フォールディング特性
フォールディング特性は、図5のようにベゼル印刷パターンが印刷された高分子フィルムを図5にFで表示された領域が折りたたまれるように200,000回フォールディングした後に肉眼および光学顕微鏡でクラックの発生有無を確認して評価した。前記フォールディングは2.5Rの曲率で1Hzの速度(秒当たり1回)折りたたまれるように遂行した。
【0100】
実施例1.
スクリーン印刷用インクは、ポリエステル樹脂バインダーを含むインクであるFR260C-1(Asahi chemical社製)とフッ素系界面活性剤であるF-571(DIC社製)を混合して製造した。
【0101】
前記FR260C-1インクは、ポリエステルバインダーを25~35重量%で含み、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(diethylene glycol monoethyl ether acetate)を50~60重量%で含み、カーボン粉末(carbon powder)(CAS No.1333-86-4)を10~20重量%含み、消泡剤(anti-foaming agent)を2重量%以下で含み、その他の添加剤を2重量%以下で含むインクであり、前記F-571はフッ素系非イオン性界面活性剤である。
【0102】
前記FR260C-1(Asahi chemical社製)インクとフッ素系界面活性剤(F-571(DIC社製))を100:0.5の重量比率(FR260C-1:F-571)で混合してインクを製造した。前記FR260C-1にポリエステルバインダーが25~35重量%で含まれているので、前記バインダー100重量部対比前記界面活性剤の重量比率は約1.43~2重量部程度である。
【0103】
前記製造されたインクを使ってスクリーン印刷を通じて高分子フィルムであるf-PETフィルム(New polyester film、MCC(Mitsubishi chemical)社製、厚さ:50μm)上にベゼルを印刷した。ベゼル印刷パターンは図1に示されたように印刷した。
【0104】
スクリーン印刷版としては、Poly catex 460メッシュ(mesh)のスクリーン印刷版を使った。前記スクリーン印刷版には図1に示されたようなベゼルパターンが被印刷フィルムである前記高分子フィルムに転写できるようにパターンを形成したし、このとき、ベゼルの印刷幅(図1のW)は約2mm程度となるようにした。前記印刷版を前記被印刷高分子フィルム上に位置させ、前記製造されたインクを印刷版上に塗布した後に圧力を印加してインクを前記高分子フィルム上に転写した。この過程でスクイージー(squeegee)角度は約80度に調整したし、スクイージーが接触する印刷版と基材である高分子フィルムの間隔は3mm程度にしたし、印刷速度は約40mm/secに制御した。前記のような印刷後、印刷パターンを100℃で14分程度維持して乾燥させた(1色印刷)。この後、乾燥された印刷パターン上に同一に追加印刷をし、再び100℃で14分程度維持した(2色印刷)。前記2色印刷後に印刷厚さは約3.7μm程度となるようにした。その後、厚さ25μm程度の公知のOCA(Optical Clear Adhesive)を使ってカバーウインドウ(Cover Window)(厚さ:約70μm)をラミネートして図2に示された通り、カバーウインドウ100、OCA200、ベゼル印刷パターン300および高分子フィルム400を含む積層体を製造した。
【0105】
実施例2.
スクリーン印刷用インク製造時にFR260C-1(Asahi chemical社製)インクとフッ素系界面活性剤(F-571)の重量比率を100:0.1(FR260C-1:F-571)にしてインクを製造した。前記FR260C-1にポリエステルバインダーが25~35重量%で含まれているので、前記バインダー100重量部対比前記界面活性剤の重量比率は約0.29~0.4重量部程度である。
【0106】
その後、実施例1と同一の方式でスクリーン印刷を遂行し、図2に示された構造を製造したし、ただし、この時印刷速度は約100mm/sec程度に調節したし、印刷厚さは約4.7μm水準となるようにした。
【0107】
比較例1.
フッ素系界面活性剤を混合せず、FR260C-1(Asahi chemical社製)インクのみを使って実施例1と同一にスクリーン印刷を遂行し、図2のような構造を製造した。
【0108】
比較例2.
FR260C-1(Asahi chemical社製)インクとフッ素系界面活性剤(F-571)を100:0.01(FR260C-1:F-571)の重量割合で混合して製造したインクを使ったことを除いては、実施例1と同一の方式でスクリーン印刷を遂行し、図2の構造を製造した。前記FR260C-1にポリエステルバインダーが25~35重量%で含まれているので、前記バインダー100重量部対比前記界面活性剤の重量比率は約0.029~0.04重量部程度である。
【0109】
比較例3.
FR260C-1(Asahi chemical社製)インクとフッ素系界面活性剤(F-571)を100:0.05(FR260C-1:F-571)の重量割合で混合して製造したインクを使ったことを除いては、実施例1と同一の方式でスクリーン印刷を遂行し、図2の構造を製造した。前記FR260C-1にポリエステルバインダーが25~35重量%で含まれているので、前記バインダー100重量部対比前記界面活性剤の重量比率は約0.14~0.2重量部程度である。
【0110】
比較例4.
FR260C-1(Asahi chemical社製)インクとフッ素系界面活性剤(F-571)を100:1(FR260C-1:F-571)の重量割合で混合して製造したインクを使ったことを除いては、実施例1と同一の方式でスクリーン印刷を遂行し、図2の構造を製造した。前記FR260C-1にポリエステルバインダーが25~35重量%で含まれているので、前記バインダー100重量部対比前記界面活性剤の重量比率は約2.9~4重量部程度である。
【0111】
比較例5.
フッ素系界面活性剤を混合せず、FR260C-1(Asahi chemical社製)インクのみを使って実施例2と同一にスクリーン印刷を遂行し、図2のような構造を製造した。
【0112】
比較例6.
FR260C-1(Asahi chemical社製)インクとフッ素系界面活性剤(F-571)を100:0.01(FR260C-1:F-571)の重量割合で混合して製造したインクを使ったことを除いては実施例2と同一の方式でスクリーン印刷を遂行し、図2の構造を製造した。前記FR260C-1にポリエステルバインダーが25~35重量%で含まれているので、前記バインダー100重量部対比前記界面活性剤の重量比率は約0.029~0.04重量部程度である。
【0113】
比較例7.
FR260C-1(Asahi chemical社製)インクとフッ素系界面活性剤(F-571)を100:0.05(FR260C-1:F-571)の重量割合で混合して製造したインクを使ったことを除いては実施例2と同一の方式でスクリーン印刷を遂行し、図2の構造を製造した。前記FR260C-1にポリエステルバインダーが25~35重量%で含まれているので、前記バインダー100重量部対比前記界面活性剤の重量比率は約0.14~0.2重量部程度である。
【0114】
比較例8.
FR260C-1(Asahi chemical社製)インクとフッ素系界面活性剤(F-571)を100:1(FR260C-1:F-571)の重量割合で混合して製造したインクを使ったことを除いては実施例2と同一の方式でスクリーン印刷を遂行し、図2の構造を製造した。前記FR260C-1にポリエステルバインダーが25~35重量%で含まれているので、前記バインダー100重量部対比前記界面活性剤の重量比率は約2.9~4重量部程度である。
【0115】
前記実施例および比較例の結果を下記の表1~3に整理して記載した。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
【0119】
表1~3に整理された通り、実施例の場合、ベゼルパターンが厚さ均一性を有しつつ、エッジトップ不良もなく、直進性が優秀に安定的に印刷されたが、比較例の場合、厚さ均一性、エッジトップ特性および直進性がすべて確保されていないか、そのうち少なくとも一つ以上が不良であった。
【0120】
試験例1.フォールディング耐久性評価
実施例1によってスクリーン印刷されたベゼル印刷パターンを有する高分子フィルムをフォールディングテストに適用した。図6は前記フォールディングテスト後の印刷パターンに対する光学顕微鏡写真であり、それからフォールディング後にも印刷パターンは損傷なしに安定的に維持されることを確認することができる。図6で、符号3000は印刷パターンが存在する印刷領域であり、符号4000は印刷パターンが存在しない未印刷領域である。
【符号の説明】
【0121】
100:カバー基板
200:粘着剤層または接着剤層
300:印刷パターン
400:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6