(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】テープ剥離装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241210BHJP
B65H 19/20 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B65H19/20
(21)【出願番号】P 2020201893
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦重
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-077545(JP,A)
【文献】特開2017-220506(JP,A)
【文献】特開2018-127324(JP,A)
【文献】特開2005-272125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0069112(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B65H 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に保護テープを貼着したウェーハの下面を保持する保持面を有する保持テーブルと、帯状の剥離テープをロール状に巻いたロールテープを回転可能に支持するロール支持部と、該ロールテープの外周から引き出された該剥離テープを把持する把持部と、該把持部が把持する該剥離テープを該保護テープの外周部分に貼着する貼着部と、を備え、該保護テープの外周部分に貼着した該剥離テープを把持する該把持部をウェーハから離間する方向に移動させ該保護テープを剥離するテープ剥離装置であって、
該ロール支持部を少なくとも2つ備え、
各々の該ロール支持部に支持された各々の該ロールテープの残量が少なくなったことを各々検知する少なくとも2つの検知部と、
一方の該ロールテープを支持する一方の該ロール支持部と該把持部との間の一方の該剥離テープに他方の該ロールテープから引き出した他方の該剥離テープの先端側を重ねて貼着してつなぎ合わせる接続部と、該接続部によってつなぎ合わせた部分より一方の該ロール支持部側で一方の該剥離テープを切断するカッターと、装置制御を行う制御部と、をさらに備え、
該接続部は、一方の該ロール支持部が支持する一方の該ロールテープの外周から引き出された一方の該剥離テープを保持する第1保持部と、他方の該ロール支持部が支持する他方の該ロールテープの外周から引き出された他方の該剥離テープを保持する第2保持部と、該第1保持部、又は該第2保持部の少なくとも一方を加熱する加熱手段と、該第1保持部、又は該第2保持部の少なくとも一方を他方に接近、および他方から離反する方向に移動させる移動機構と、を備え、
該制御部は、
一方の該検知部によって一方の該ロールテープの残量が少ないことを検知したら、一方の該剥離テープに他方の該剥離テープを重ねて該接続部によって貼着しつなぎ合わせることと、該つなぎ合わせた部分より一方の該ロール支持部側の一方の該剥離テープを該カッターによって切断することと、を制御し、該把持部が把持する該剥離テープを一方の該剥離テープから他方の該剥離テープに切り替えることを可能に
し、
一方の該剥離テープと他方の該剥離テープとをつなぎ合わせた後、つなぎ合わされた剥離テープの該把持部に把持されている先端から該つなぎ合わせた部分までを廃棄して、該つなぎ合わせた部分が該貼着部によって該保護テープの外周部分に貼着されることが無いようにするテープ剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハから保護テープを剥離するテープ剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されているテープ剥離装置は、剥離テープをウェーハの一方の面の全面を保護するために貼着している保護テープ(BGテープ)の表面の外周部分に貼着させ、剥離テープの端を把持してウェーハから離間する方向に引っ張ることによって、ウェーハから保護テープを剥離している。
【0003】
このような剥離テープは、例えば、熱によって粘着力を発現して保護テープに貼着可能なヒートシールである。ヒートシールは帯状で、ロール状に巻かれたロールテープの外周から引き出して、保護テープに押し付け熱を付与することによって貼着し、その貼着した箇所よりもロールテープ側で切断されて短くされて使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなテープ剥離装置においては、ロールテープが無くなると、作業者がロールテープの補充作業を行っており、作業者の負担が増えるとともに、テープ剥離装置を停止させる時間が長くなるという問題がある。
したがって、テープ剥離装置においては、ロールテープの補充作業における作業者の負担を減らし、かつ、テープ剥離装置のロールテープ補充による停止時間を無くすようにするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、上面に保護テープを貼着したウェーハの下面を保持する保持面を有する保持テーブルと、帯状の剥離テープをロール状に巻いたロールテープを回転可能に支持するロール支持部と、該ロールテープの外周から引き出された該剥離テープを把持する把持部と、該把持部が把持する該剥離テープを該保護テープの外周部分に貼着する貼着部と、を備え、該保護テープの外周部分に貼着した該剥離テープを把持する該把持部をウェーハから離間する方向に移動させ該保護テープを剥離するテープ剥離装置であって、該ロール支持部を少なくとも2つ備え、各々の該ロール支持部に支持された各々の該ロールテープの残量が少なくなったことを各々検知する少なくとも2つの検知部と、一方の該ロールテープを支持する一方の該ロール支持部と該把持部との間の一方の該剥離テープに他方の該ロールテープから引き出した他方の該剥離テープの先端側を重ねて貼着してつなぎ合わせる接続部と、該接続部によってつなぎ合わせた部分より一方の該ロール支持部側で一方の該剥離テープを切断するカッターと、装置制御を行う制御部と、をさらに備え、該接続部は、一方の該ロール支持部が支持する一方の該ロールテープの外周から引き出された一方の該剥離テープを保持する第1保持部と、他方の該ロール支持部が支持する他方の該ロールテープの外周から引き出された他方の該剥離テープを保持する第2保持部と、該第1保持部、又は該第2保持部の少なくとも一方を加熱する加熱手段と、該第1保持部、又は該第2保持部の少なくとも一方を他方に接近、および他方から離反する方向に移動させる移動機構と、を備え、該制御部は、一方の該検知部によって一方の該ロールテープの残量が少ないことを検知したら、一方の該剥離テープに他方の該剥離テープを重ねて該接続部によって貼着しつなぎ合わせることと、つなぎ合わせた部分より一方の該ロール支持部側の一方の該剥離テープを該カッターによって切断することと、を制御し、該把持部が把持する該剥離テープを一方の該剥離テープから他方の該剥離テープに切り替えることを可能にし、一方の該剥離テープと他方の該剥離テープとをつなぎ合わせた後、つなぎ合わされた剥離テープの該把持部に把持されている先端から該つなぎ合わせた部分までを廃棄して、該つなぎ合わせた部分が該貼着部によって該保護テープの外周部分に貼着されることが無いようにするテープ剥離装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るテープ剥離装置は、上面に保護テープを貼着したウェーハの下面を保持する保持面を有する保持テーブルと、帯状の剥離テープをロール状に巻いたロールテープを回転可能に支持するロール支持部と、ロールテープの外周から引き出された剥離テープを把持する把持部と、把持部が把持する剥離テープを保護テープの外周部分に貼着する貼着部と、を備え、該ロール支持部を少なくとも2つ備え、各々のロール支持部に支持された各々のロールテープの残量が少なくなったことを各々検知する少なくとも2つの検知部と、一方のロールテープを支持する一方のロール支持部と把持部との間の一方の剥離テープに他方のロールテープから引き出した他方の剥離テープの先端側を重ねて貼着してつなぎ合わせる接続部と、接続部によってつなぎ合わせた部分より一方のロール支持部側で一方の剥離テープを切断するカッターと、装置制御を行う制御部と、をさらに備えることで、制御部によって、一方の検知部によって一方のロールテープの残量が少ないことを検知したら、一方の剥離テープに他方の剥離テープを接続部によってつなぎ合わせることと、該つなぎ合わせた部分より一方のロール支持部側の一方の剥離テープをカッターによって切断することと、を制御し、把持部が把持する剥離テープを一方の剥離テープから新しく使用する他方の剥離テープに切り替えて、貼着部と把持部とによって他方の剥離テープを保護テープに貼着可能にする。即ち、本発明に係るテープ剥離装置は、作業者による剥離テープの補充作業を待つことなく、剥離テープを用いてウェーハから保護テープを剥離するという動作を継続的に実施することが可能となる。
【0010】
本発明に係るテープ剥離装置は、接続部は、一方のロール支持部が支持する一方のロールテープの外周から引き出された一方の剥離テープを保持する第1保持部と、他方のロール支持部が支持する他方のロールテープの外周から引き出された他方の剥離テープを保持する第2保持部と、該第1保持部、又は該第2保持部の少なくとも一方を加熱する加熱手段と、該第1保持部、又は該第2保持部の少なくとも一方を他方に接近、および他方から離反する方向に移動させる移動機構と、を備えることで、一方の剥離テープと他方の剥離テープとを剥がれないように適切につなぎ合わせることが可能となる。
【0011】
本発明に係るテープ剥離装置は、一方の剥離テープと他方の剥離テープとをつなぎ合わせた後、つなぎ合わされた剥離テープの把持部に把持されている先端からつなぎ合わせた部分までを廃棄して、つなぎ合わせた部分が貼着部によって保護テープの外周部分に貼着されることが無いようにすることで、つなぎ合わせた部分が保護テープに貼着されて厚みが増すことによって保護テープの剥離が失敗してしまうという事態を発生させないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】第1検知部が第1ロールテープの残量が少なくなったことを検知する状態を説明する側面図である。
【
図4】接続部によって第2剥離テープの先端側に第1剥離テープを重ねて貼着してつなぎ合わせている状態を説明する側面図である。
【
図5】接続部によってつなぎ合わせた部分を吸引保持する第1保持部を上昇させて、つなぎ合わせた部分に冷却のためのエアを吹き付けられるようにする状態を説明する側面図である。
【
図6】接続部によってつなぎ合わせた部分よりも一方の第1ロール支持部側の一方の第1剥離テープを第1カッターによって切断している状態を説明する側面図である。
【
図7】一方の第1剥離テープと他方の第2剥離テープとをつなぎ合わせて、把持部と貼着部とによって切り替え後の第2剥離テープを保護テープに貼着することが可能となった状態を説明する側面図である。
【
図8】第2検知部が第2ロールテープの残量が少なくなったことを検知する状態を説明する側面図である。
【
図9】接続部によって第1剥離テープの先端側に第2剥離テープを重ねて貼着してつなぎ合わせている状態を説明する側面図である。
【
図10】接続部によってつなぎ合わせた部分を吸引保持する第1保持部を上昇させて、つなぎ合わせた部分に冷却のためのエアを吹き付けられるようにする状態を説明する側面図である。
【
図11】接続部によってつなぎ合わせた部分よりも一方の第2ロール支持部側の一方の第2剥離テープを第2カッターによって切断している状態を説明する側面図である。
【
図12】一方の第2剥離テープと他方の第1剥離テープとをつなぎ合わせて、把持部と貼着部とによって切り替え後の第1剥離テープを保護テープに貼着することが可能となった状態を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すウェーハ90は、例えば、シリコンを母材とする外形が円形の半導体ウェーハであり、その上面900は、直交差する複数の分割予定ラインで格子状に区画されており、格子状に区画された各領域にはIC等のデバイスがそれぞれ形成されている。
ウェーハ90の上面900全面を覆うように貼着されている保護テープ91は、本実施形態においては、例えば、樹脂(例えば、ポリオレフィン系樹脂等)からなる基材層と基材層下の粘着層(糊層)とを備えている。
なお、ウェーハ90はシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、セラミックス、樹脂、窒化ガリウム又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、保護テープ91も上記例に限定されるものではない。
【0014】
例えば、
図1、2に示すように、ウェーハ90は上面900の反対面である下面901にウェーハ90よりも大径の支持テープ93が貼着されていてもよい。そして、支持テープ93の糊層の外周部がリングフレーム94にも貼着されていることで、ウェーハ90は、支持テープ93を介してリングフレーム94に支持され、リングフレーム94によるハンドリングが可能なワークセットとなっていてもよい。
【0015】
図1、
図2に示す本発明に係るテープ剥離装置1は、帯状の第1剥離テープ83、又は帯状の第2剥離テープ84を用いて、ウェーハ90の
図1における上面900に貼着されている保護テープ91を剥離するテープ剥離装置の一例であり、上面900に保護テープ91を貼着したウェーハ90の下面901側を保持する保持面302を有する保持テーブル30と、帯状の第1剥離テープ83をロール状に巻いた第1ロールテープ85を回転可能に支持する第1ロール支持部113、及び帯状の第2剥離テープ84をロール状に巻いた第2ロールテープ86を回転可能に支持する第2ロール支持部114と、第1ロールテープ85(第2ロールテープ86)の外周から引き出された第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)を把持する把持部60と、把持部60が把持する第1剥離テープ83、又は第2剥離テープ84を保護テープ91の外周部分に貼着する貼着部66と、を備えている。
【0016】
第1剥離テープ83は、例えば、熱を加えつつ保護テープ91の外周部分に接着される接着剤層と基材とからなる2層構造のヒートシールである。基材の材質は、例えばポリエチレンテレフタレート等の樹脂からなる。ホットメルトと呼ばれ加熱されることで粘着力を発現する接着剤層は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で構成されている。第1剥離テープ83の保護テープ91に対する粘着力は、保護テープ91のウェーハ90に対する粘着力よりも強く設定されている。該第1剥離テープ83は、内側(引き出された状態における下面側)に接着剤層が位置する状態で、円筒855に巻回されて第1ロールテープ85となっている。
【0017】
なお、第1剥離テープ83は、ヒートシールに限定されない。また、第1剥離テープ83は、例えば、一層のポリオレフィン系の樹脂テープであり、ウェーハ90を貼着させる糊層を別途備えないものであってもよい。この場合、室温では第1剥離テープ83は、保護テープ91に貼着できないが、ポリオレフィン系の樹脂テープは熱可塑性を有するため、所定の圧力で押圧しながらウェーハ90と接合させた状態で融点近傍の温度まで加熱すると、部分的に溶融してウェーハ90に接着できる。
上記のように説明した第1剥離テープ83と第2剥離テープ84とは同一物であり、第2剥離テープ84は円筒866に巻回されて第2ロールテープ86となっている。
【0018】
本発明に係るテープ剥離装置1は、ロール支持部を少なくとも2つ備えている。即ち、例えば、帯状の第1剥離テープ83をロール状に巻いた第1ロールテープ85を回転可能に支持する第1ロール支持部113、及び帯状の第1剥離テープ83と同一物である第2剥離テープ84をロール状に巻いた第2ロールテープ86を回転可能に支持する第2ロール支持部114と、を備えており、第1ロール支持部113の下方に第2ロール支持部114が配置されている。
【0019】
第1ロール支持部113及び第2ロール支持部114は、例えば
図1に示す基台10上に立設された図示しないコラムの前面に、図示しない回転手段によってそれぞれY軸方向の回転軸を軸にモータ等によって回転可能な状態で配設されており、それぞれが第1ロールテープ85の円筒855に挿入されるシャフト、第2ロールテープ86の円筒866に挿入されるシャフトとして働く。
【0020】
例えば、
図2に示すように、第1ロール支持部113(第2ロール支持部114)に支持された第1ロールテープ85(第2ロールテープ86)の円筒855(円筒866)の外側面接線よりも少しだけ下方となる位置には、第1ロール支持部113(第2ロール支持部114)が支持している第1ロールテープ85(第2ロールテープ86)の残量を検出する第1検知部115(第2検知部116)が配設されている。第1検知部115(第2検知部116)は、例えば、受光部と投光部とからなる透過型の光センサ等であり、受光部と投光部とがX軸方向において第1ロールテープ85(第2ロールテープ86)を挟むように配設されている。例えば第1ロールテープ85が減っていくことで、第1ロールテープ85の直径が小さくなっていき、投光部が照射した検知光の受光部における受光量が第1ロールテープ85により遮られずに増加することで、第1検知部115は第1ロールテープ85の残量が所定量以下まで少なくなったことを検知する。
【0021】
第1ロール支持部113(第2ロール支持部114)から見てテープ送り出し方向となる-X方向側の近傍となる位置には、一対のガイドローラ144(一対のガイドローラ147)がそれぞれ配設されており、第1ロールテープ85(第2ロールテープ86)から引き出された第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)を挟み込んだ状態で、
図1、
図2に示す接続部7に向かってテンションをかけつつガイドして送り出すことができる。なお、
図1においては一対のガイドローラ144(一対のガイドローラ147)は省略して示している。
【0022】
テープ剥離装置1は、一方の第1ロールテープ85を支持する一方の第1ロール支持部113と把持部60との間の一方の第1剥離テープ83に他方の第2ロールテープ86から引き出した他方の第2剥離テープ84の先端側を重ねて貼着してつなぎ合わせる接続部7を備えている。
【0023】
図2に示すように、本実施形態における接続部7は、一方の第1ロール支持部113が支持する一方の第1ロールテープ85の外周から引き出された一方の第1剥離テープ83を保持する第1保持部71と、他方の第2ロール支持部114が支持する他方の第2ロールテープ86の外周から引き出された他方の第2剥離テープ84を保持する第2保持部72と、第1保持部71、又は第2保持部72の少なくとも一方を加熱する加熱手段77と、第1保持部71、又は第2保持部72の少なくとも一方を他方に接近、および他方から離反するZ軸方向に移動させる移動機構78と、を備える。
【0024】
第2保持部72は、第1保持部71の下方に第1保持部71とZ軸方向において対向するように配設されている。
図2に示すように第1保持部71(第2保持部72)は、例えば、ポーラス部材等からなり第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)を吸着する吸着部710(吸着部720)と、吸着部710(吸着部720)を支持する枠体711(枠体721)とを備える。吸着部710(吸着部720)は、エジェクター機構又は真空発生装置等の吸引源79に連通し、吸引源79が吸引することで生み出された吸引力が、吸着部710(吸着部720)の平坦な露出面である保持面712(保持面722)に伝達されることで、第1保持部71は保持面712(保持面722)上で第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)を吸引保持することができる。
第1保持部71(第2保持部72)は、第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)の幅(Y軸方向長さ)全長にわたって第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)を吸引保持することができる。
【0025】
本実施形態においては、第1保持部71のみが、加熱手段77によって所定の温度に加熱可能となっているが、第2保持部72のみ、又は第1保持部71及び第2保持部72の両方が加熱可能となっていてもよい。
図2に示す加熱手段77は、例えば、第1保持部71の枠体711に内蔵されており、図示しない電源から所定の電圧が印加され発熱体に電流が流れることで赤外線を放射し発熱する赤外線ヒータであり、セラミックヒータ又はハロゲンヒータ等であってもよく、第1保持部71の保持面712と第1剥離テープ83との接触部を短時間で均等に加熱できる。例えば第1保持部71の温度は、図示しない温度センサによって計測可能となっている。
【0026】
本実施形態においては、第1保持部71のみが、移動機構78によって第2保持部72に対して相対的にZ軸方向に移動可能となっているが、第2保持部72のみ、又は第1保持部71及び第2保持部72の両方がZ軸方向に移動可能となっていてもよい。移動機構78は、例えば、電動スライダー等であり、第1保持部71の枠体711をZ軸方向に移動可能に支持している。
【0027】
例えば、第1保持部71(第2保持部72)の枠体711(枠体721)の第1ロール支持部113(第2ロール支持部114)側の側面には、第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)を切断する第1カッター17(第2カッター18)が、電動スライダー等の第1カッター上下動手段177(第2カッター上下動手段188)によって上下動可能に配設されている。第1カッター17の刃先は-Z方向に向けられており、第2カッター18の刃先は+Z方向に向けられている。なお、第1カッター17(第2カッター18)は、第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)の幅方向(Y軸方向)に移動しながら、切断を行ってもよい。
【0028】
本実施形態においては、例えば、
図1、
図2に示すように、第2保持部72の近傍には、コンプレッサー等のエア源130に連通するエアノズル136が配設されている。エアノズル136の噴射口は、第1保持部71と第2保持部72との間に向けられており、該間に位置付けられた第1剥離テープ83と第2剥離テープ84との熱接着によりつなぎ合わせた部分を噴射口から噴射したエアによって所定の温度まで冷やすことができる。なお、該つなぎ合わせた部分の冷却は、エア冷却に限定されるものではなく、例えば、第1保持部71に内蔵した加熱手段77をペルチェ素子等にして、加熱手段77が第1保持部71の冷却を介してなしえてもよい。
【0029】
図1、2に示す例では、接続部7と把持部60との間には、例えば第1剥離テープ83を所望の高さ位置まで下降させた後に把持部60側に送り出すガイドローラユニット64が配設されている。さらに、本実施形態においては、例えば切断カッター684の+X方向側の近傍となる位置には、Z軸方向において対向し第1剥離テープ83の先端を-X方向側の把持部60に向かってに水平に送り出す一対の送り出しローラ687(
図2のみ図示)が配設されている。
【0030】
ガイドローラユニット64及び一対の送り出しローラ687から送りされてきた例えば第1剥離テープ83の先端は、例えばX軸方向における所定のテープ把持位置において把持部60に把持される。
【0031】
図1に示すようにテープ剥離装置1は、X軸方向に延在する直方体状の基台10を有しており、基台10の上には、保持テーブル30及びテーブル移動手段13が配設されている。
【0032】
図1、2に示す把持部60の移動経路下方に配設され、上面900に保護テープ91を貼着したウェーハ90の下面901を保持する保持面302を有する保持テーブル30は、平面視円形状に形成されており、例えば、ポーラス部材等からなる平坦な上面を保持面302として備えており、保持面302は、エジェクター機構又は真空発生装置等の図示しない吸引源に連通し、吸引源によって生み出された吸引力が伝達される。
【0033】
例えば、テープ剥離装置1は、ウェーハ90がリングフレーム94によってハンドリング可能に支持されている場合に、リングフレーム94を例えば挟持固定する
図2に示すリングフレーム保持部31を備えていてもよい。
図2に示すリングフレーム保持部31は、平面視円環状であり、その平坦な上面に載置されたリングフレーム94を回動可能なクランプ318と共に挟持固定できる。クランプ318は、例えば、リングフレーム保持部31の周方向に90度間隔を空けて4つ配設されている。
例えば、リングフレーム保持部31及びクランプ318は、アクチュエータ33によって上下動可能となっている。なお、リングフレーム保持部31等は、
図1には図示していない。
【0034】
保持テーブル30をX軸方向に往復移動可能とするテーブル移動手段13は、X軸方向の軸心を有するボールネジ137と、ボールネジ137と平行に配設された一対のガイドレール131と、ボールネジ137の一端に連結しボールネジ137を回動させるモータ132と、内部のナットがボールネジ137に螺合し底部がガイドレール131に摺接する可動板133とを備えており、モータ132がボールネジ137を回動させることに伴い、可動板133がガイドレール131にガイドされてX軸方向に直動し、可動板133上にテーブルベース35を介して配設された保持テーブル30をX軸方向に往復移動させることができる。
【0035】
例えば、把持部60の移動経路の-X方向端側の下方の位置には、例えば第1剥離テープ83と共にウェーハ90から剥離した保護テープ91を廃棄する図示しないゴミ箱が配置されている。
【0036】
図1に示す保持テーブル30の移動経路上方に配設された把持部60は、例えば基台10上に立設された図示しないコラムの前面の上部側の領域に配設されたX軸移動手段15によって、貼着部66と一体となってX軸方向に往復移動可能となっている。
【0037】
X軸移動手段15は、X軸方向の軸心を有するボールネジ150と、ボールネジ150と平行に配設された一対のガイドレール151と、ボールネジ150に連結しボールネジ150を回動させるモータ152と、内部のナットがボールネジ150に螺合し側部がガイドレール151に摺接する可動ブロック153とを備え、モータ152がボールネジ150を回動させると、これに伴い可動ブロック153がガイドレール151にガイドされてX軸方向に往復移動し、可動ブロック153に取り付けられた把持部60及び貼着部66もX軸方向に往復移動する。
【0038】
テープ把持位置において例えば第1剥離テープ83を把持し第1剥離テープ83を引き出した状態の把持部60の近傍には、
図1、2に示すように+X方向側から順番に剥離テープ切断手段68と、貼着部66と、把持部60とが位置する。
【0039】
図1に示すように、剥離テープ切断手段68は、第1剥離テープ83又は第2剥離テープ84の接着剤層側(下面側)が載置される載置面及び載置面を例えば第1剥離テープ83の幅方向(Y軸方向)に横断する逃げ溝681を備える載置台682と、逃げ溝681の延在方向に沿って逃げ溝681内を進行させる切断カッター684と、切断カッター684を逃げ溝681の延在方向(Y軸方向)に移動させるアクチュエータ等の切断カッター移動手段686と、を備えている。
【0040】
貼着部66は、例えば、所定の金属等からなり外形が略直方体状に形成されており、Y軸方向に直線的に第1剥離テープ83や第2剥離テープ84の幅以上の長さで延在しており、アクチュエータ等によってZ軸方向に昇降可能となっている。貼着部66が下降することで、その下面から例えば第1剥離テープ83に所定の押圧力を加えつつ保護テープ91に貼着することができる。
貼着部66の内部又は
図2に示すように貼着部66の両脇には、例えば第1剥離テープ83の粘着剤層の粘着力を発現させるための加熱を行う赤外線ヒータ669等が配設されている。また、赤外線ヒータ669等によって加熱される貼着部66の温度は、図示しない温度センサによって計測可能となっている。
【0041】
把持部60は、例えば、側面視略コの字状の固定台602と、固定台602のコの字状の内部空間に配設され固定台602の内部下面に対して接近又は離間可能な昇降爪603とを備えている。
図1に示すように、可動ブロック153の下面にはZ軸方向に進退可能なロッドを備えるアクチュエータ605が配設されており、ロッドの下端に取り付けられた昇降爪603をアクチュエータ605によって固定台602に対して接近させることにより、帯状の第1剥離テープ83の先端をその間に把持させることができる。
【0042】
例えば、
図1に示すように、テープ剥離装置1は、装置全体の制御を行う制御部5を備えている。CPU及びメモリ等の記憶媒体等で構成される制御部5は、テープ剥離装置1の各構成要素である接続部7の第1カッター上下動手段177や第2カッター上下動手段188、第1保持部71を上下動させる移動機構78、保持テーブル30を移動させるテーブル移動手段13、把持部60を移動させるX軸移動手段15に電気的に接続されている。制御部5による制御の下で、例えば第1カッター17や第1保持部71の上下動動作、保持テーブル30や把持部60のX軸方向における移動動作が実施され、また、制御部5に第1検知部115(第2検知部116)から検出信号が送られてくる。
【0043】
以下に、
図1に示すテープ剥離装置1の動作例について説明する。
図2に示すウェーハ90が保持テーブル30に互いの中心を略合わせて載置されるとともに、図示しない吸引源が作動し、保持テーブル30の保持面302でウェーハ90が保護テープ91を上側にして吸引保持される。また、ウェーハ90を支持するリングフレーム94がリングフレーム保持部31によって固定される。
【0044】
(1)第1剥離テープから第2剥離テープに切り替えて、第2剥離テープを用いてウェーハに貼着されている保護テープを剥離する場合
まず、
図3に示すように、第1ロール支持部113に支持されている第1ロールテープ85がほとんど空になった状態であり、そのため、使用する剥離テープを第1剥離テープ83から第2ロール支持部114に支持されている第2ロールテープ86の第2剥離テープ84に切り替えて、ウェーハ90の貼着されている保護テープ91を剥離する場合について説明する。
【0045】
なお、予め、図示しない回転手段により、第1ロール支持部113により支持されている第1ロールテープ85を正転方向(例えば、紙面手前から見て時計回り方向)に回転させながら、帯状となった第1剥離テープ83が一対のガイドローラ144やガイドローラユニット64の間に通され、把持部60側に-X方向に送り出された状態になっており、第1剥離テープ83の先端は
図1に示す把持部60によって把持された状態になっている。
また、第2ロール支持部114によって支持されている第2ロールテープ86の第2剥離テープ84が一対のガイドローラ147の間を通されて、その先端が第2保持部72によって吸引保持された状態になっている。
【0046】
投光部が照射した検知光の受光部における受光量が第1ロールテープ85により遮られずに増加することで、第1検知部115は第1ロールテープ85の残量が空に近い所定量以下まで少なくなったことを検知する。そして、第1検知部115は、検知信号を制御部5に送信する。制御部5は、第1剥離テープ83の残量が少なくなったため、第1剥離テープ83から新たな第2剥離テープ84に切り替えて、第2剥離テープ84を用いてウェーハ90に貼着されている保護テープ91の剥離を行っていくと認識する。
【0047】
図4に示すように、制御部5による接続部7の移動機構78の制御の下で、移動機構78が、第1保持部71を降下させる。そして、第1保持部71が保持面712で第1剥離テープ83を下方に押していき、第1剥離テープ83が第2保持部72で吸引保持されている第2剥離テープ84に接触して、第1剥離テープ83及び第2剥離テープ84が第1保持部71と第2保持部72とによって上下両側から押し挟まれた状態になる。
【0048】
この状態で、第1保持部71内のヒータである加熱手段77に所定の電圧が印加されて電流が流れて加熱手段77が発熱し、第1保持部71を加熱して、第1剥離テープ83と第2剥離テープ84とが重ねられたつなぎ合わせた部分845に熱が加えられると共に、適宜の押圧力が加えられる。なお、加熱手段77による第1保持部71を介したつなぎ合わせた部分845の加熱中においては、第1保持部71の温度が、図示しない温度センサによって測定され、予め設定された第1剥離テープ83と第2剥離テープ84との接着における好適な熱接着温度に達する。
なお、ヒータは、第1保持部71の内部に配設してもよいし、第1保持部71の横に隙間を設けて配設させ、第1保持部71の外から加熱してもよい。
【0049】
所定時間つなぎ合わせた部分845の加熱を行って、第1剥離テープ83の接着剤層の粘着性を最適な状態で発現させて、一方の第1剥離テープ83の先端側の接着剤層を、他方の第2剥離テープ84の基材層に貼着する。
【0050】
図5に示すように、例えば、第2保持部72による第2剥離テープ84の吸引保持を解除して、移動機構78によってつなぎ合わせた部分845を吸引保持した第1保持部71を上昇させる。その後、エアノズル136の噴射口からエアを第1保持部71と第2保持部72との間に露出したつなぎ合わせた部分845に向けて噴射させて、つなぎ合わせた部分845を所定の温度まで冷やして接着が剥がれてしまうことが無いようにする。
【0051】
次いで、
図6に示すように、制御部5による接続部7の第1カッター上下動手段177の制御の下で、第1カッター上下動手段177が第1カッター17を降下させ、接続部7によってつなぎ合わせた部分845よりも一方の第1ロール支持部113側の一方の第1剥離テープ83を第1カッター17によって切断する。
【0052】
図7に示すように、図示しない回転手段により、第1ロール支持部113により支持されている第1ロールテープ85を逆転方向(例えば、紙面手前から見て反時計回り方向)に回転させながら切断された第1剥離テープ83の自由端が、第1ロールテープ85に巻き取られる。その後、不要になった使用済みの第1ロールテープ85は、例えば作業者によって第1ロール支持部113から外されて、新たな第1ロールテープ85が第1ロール支持部113に取り付けされる。この間、テープ剥離装置1を停止させる必要はない。
【0053】
一方、つなぎ合わせた部分845の第1保持部71による吸引保持が解除されて、把持部60に把持され使用される剥離テープの第1剥離テープ83から第2剥離テープ84への切り替えが完了する。
【0054】
本実施形態のテープ剥離装置1は、一方の第1剥離テープ83と他方の第2剥離テープ84とをつなぎ合わせた後、つなぎ合わされた第1剥離テープ83の把持部60に把持されている先端から第2剥離テープ84とのつなぎ合わせた部分845までを廃棄して、つなぎ合わせた部分845が貼着部66によって保護テープ91の上面の外周部分に貼着されることが無いようにする。
【0055】
具体的には、
図7に示す第2ロール支持部114が所定の回転速度で第2ロールテープ86を回転させつつ、回転自在の一対のガイドローラ147やガイドローラユニット64が、把持部60と第2ロールテープ86との間の第2剥離テープ84にテンションをかけつつ-X方向に送り出し、さらに、
図1に示すX軸移動手段15が把持部60を-X方向へと移動させていき、第2ロールテープ86から第2剥離テープ84を-X方向へと引き出していく。そして、例えば
図7に示すつなぎ合わせた部分845が
図2に示す第2保持部72、ガイドローラユニット64、及び一対の送り出しローラ687を通過してから、切断カッター684がつなぎ合わせた部分845よりも後方の位置(+X方向側の位置)で第2剥離テープ84を切断する。その結果、例えば一対の送り出しローラ687によって第2剥離テープ84の先端が挟持された状態になるとともに、把持部60がつなぎ合わせた部分845を有し切断された第2剥離テープ84が後端となるつなぎ合わされた第1剥離テープ83を把持した状態になる。
【0056】
つなぎ合わせた部分845を備える第1剥離テープ83を把持した把持部60が、把持部60の移動経路の-X方向端側の下方に位置する図示しないゴミ箱の上方まで移動して、第1剥離テープ83の把持を解除して、図示しないゴミ箱に不要であるつなぎ合わせた部分845を備える第1剥離テープ83を落下させて廃棄する。
なお、上記のようにつなぎ合わせた部分845を含めた剥離テープを廃棄しないで、つなぎ合わせた部分(第1剥離テープ83と第2剥離テープ84とが重なった部分)を保護テープ91に貼着しないようにして利用してもよい。
【0057】
その後、X軸移動手段15によって把持部60が+X方向に移動して、一対の送り出しローラ687によって送り出し可能に挟持されている第2剥離テープ84の先端が、固定台602の内部下面上に所定長さ載るように、把持部60と第2剥離テープ84とのX軸方向における位置合わせが行われる。そして、把持部60の昇降爪603が下降することで、第2剥離テープ84の先端を昇降爪603と固定台602との間で把持する。
【0058】
第2ロール支持部114が所定の回転速度で第2ロールテープ86を回転させつつ、回転自在の一対のガイドローラ147、ガイドローラユニット64、及び一対の送り出しローラ687が、把持部60と第2ロールテープ86との間の第2剥離テープ84にテンションをかけつつ-X方向に送り出していく。また、第2剥離テープ84を引き出す把持部60が、
図2に示すテープ貼着位置P2まで移動した後、X軸方向における移動が一度停止される。また、
図1、
図2に示すウェーハ90を保持した保持テーブル30が+X方向に移動して、例えば、ウェーハ90に貼着された保護テープ91の+X方向側の外周部分の上方に+X方向側から順番に、切断カッター684と、貼着部66及び赤外線ヒータ669と、第2剥離テープ84の先端を把持した把持部60とが位置付けられた状態になる。
【0059】
赤外線ヒータ669に所定の電圧が印加されて電流が流れて赤外線ヒータ669が発熱し、貼着部66が、赤外線ヒータ669によって接触又は非接触で加熱される。赤外線ヒータ669による貼着部66の加熱中においては、貼着部66に内蔵されている図示しない温度センサが貼着部66の温度を計測する。貼着部66の温度が、予め設定された保護テープ91に対する第2剥離テープ84の好適な熱接着温度に達する。また、制御部5の制御の下で、アクチュエータによって貼着部66が下降していく。
【0060】
図1、2示す貼着部66を下降させ、貼着部66が保護テープ91の+X方向側の外周部分の上方において延在する
図7に示すように把持部60によって引き出し可能となった第2剥離テープ84を下方に押し動かし、第2剥離テープ84の接着剤層を保護テープ91の上面の外周部分に接触させ、押し付けていく。予め好適な熱接着温度まで加熱されている貼着部66により、第2剥離テープ84の接着剤層の粘着性を最適な状態で発現させて、第2剥離テープ84の先端側の接着剤層を、保持テーブル30に保持されたウェーハ90の保護テープ91の上面の外周部分に貼着する。
【0061】
次いで、
図1、
図2に示す切断カッター684が下降して、切断カッター684の刃先が載置台682に載置された第2剥離テープ84に切り込み、第2剥離テープ84を切断し帯状にする。第2剥離テープ84を切断した後、切断カッター684及び貼着部66は、+Z方向に上昇して第2剥離テープ84から退避する。
【0062】
次に、
図1、2に示すテーブル移動手段13が保持テーブル30を+X方向に移動させていくとともに、X軸移動手段15が、保護テープ91の上面の+X方向側の外周部分に貼着された第2剥離テープ84の先端を把持した把持部60を-X方向へと移動させていく。そして、第2剥離テープ84及び保護テープ91に付与される張力と、加熱された第2剥離テープ84の接着剤層の保護テープ91に対する粘着力とがウェーハ90の上面900に貼着される保護テープ91の貼着力より大きいことにより、ウェーハ90の上面900から保護テープ91をウェーハ90の+X方向側の外周部分から中心に向けて剥離していく。なお、保持テーブル30、又は把持部60のどちらか一方を固定して、保持テーブル30、又は把持部60をX軸方向に移動させることで、ウェーハ90から保護テープ91を剥離していってもよい。
【0063】
ウェーハ90の上面全面から保護テープ91が剥離された後、剥離した保護テープ91及び第2剥離テープ84を把持した把持部60が図示しないゴミ箱の上方まで移動して、第2剥離テープ84の把持を解除して、図示しないゴミ箱に剥離した保護テープ91ごと落下させる。
【0064】
図示しない搬送手段が保護テープ91が剥離されたウェーハ90を保持テーブル30上から搬出するとともに、保護テープ91が上面900に貼着された新たなウェーハ90を保持テーブル30上に載置し、上記と同様の第2剥離テープ84を用いた工程を繰り返して、ウェーハ90の上面900から保護テープ91を剥離していくことで、テープ剥離動作が滞りなく行われていき、複数枚のウェーハ90の各保護テープ91を次々に剥離していくことができる。
【0065】
複数枚のウェーハ90の各保護テープ91を次々に剥離した後、第2ロール支持部114に支持されている第2ロールテープ86がほとんど空の状態となり、そのため、使用する剥離テープを第2剥離テープ84から第1ロール支持部113に支持されている
図8に示す新たな第1ロールテープ85の第1剥離テープ83に切り替えてウェーハ90の貼着されている保護テープ91を剥離していく必要がある。
【0066】
(2)第2剥離テープから第1剥離テープに切り替えて、第1剥離テープを用いてウェーハに貼着されている保護テープを剥離する場合
図8に示す投光部が照射した検知光の受光部における受光量が第2ロールテープ86により遮られずに増加することで、第2検知部116は第2ロールテープ86の残量がほとんど空に近い所定量以下まで少なくなったことを検知する。そして、第2検知部116は、検知信号を制御部5に送信する。制御部5は、第2剥離テープ84の残量が少なくなったため、第2剥離テープ84から新たな第1剥離テープ83に切り替えて、第1剥離テープ83を用いてウェーハ90に貼着されている保護テープ91の剥離を行っていくと認識する。
【0067】
図9に示すように、制御部5による接続部7の移動機構78の制御の下で、移動機構78が、第1剥離テープ83の先端を吸引保持している第1保持部71を降下させる。そして、第1保持部71が保持面712で第1剥離テープ83を下方に押していき、第1剥離テープ83が把持部60で先端が把持されている第2剥離テープ84に接触して、第1剥離テープ83及び第2剥離テープ84が第1保持部71と第2保持部72とによって上下両側から押し挟まれた状態になる。
【0068】
加熱手段77が発熱し、第1保持部71を加熱して、第1剥離テープ83と第2剥離テープ84とが重ねられたつなぎ合わせた部分837が好適な接着温度まで加熱されると共に、適宜の押圧力が加えられる。
所定時間つなぎ合わせた部分837の加熱を行って、第1剥離テープ83の接着剤層の粘着性を最適な状態で発現させて、一方の第2剥離テープ84の先端側の基材層を、他方の第1剥離テープ83の接着剤層に貼着する。
【0069】
例えば、
図10に示すように、制御部5の移動機構78の制御によって、つなぎ合わせた部分837を吸引保持した第1保持部71を上昇させる。その後、エアノズル136の噴射口からエアを第1保持部71と第2保持部72との間に露出したつなぎ合わせた部分837に向けて噴射させて、つなぎ合わせた部分837を所定の温度まで冷やして接着が剥がれてしまうことが無いようにする。
【0070】
次いで、
図11に示すように、制御部5による接続部7の第2カッター上下動手段188の制御の下で、第2カッター上下動手段188が第2カッター18を上昇させ、接続部7によってつなぎ合わせた部分837よりも一方の第2ロール支持部114側の一方の第2剥離テープ84を第2カッター18によって切断する。
【0071】
図示しない回転手段により、
図12に示す第2ロール支持部114により支持されている第2ロールテープ86を逆転方向(例えば、紙面手前から見て反時計回り方向)に回転させながら切断された第2剥離テープ84の自由端が、第2ロールテープ86に巻き取られる。その後、不要になった使用済みの第2ロールテープ86は、作業者によって第2ロール支持部114から外されて、新たな第2ロールテープ86が第2ロール支持部114に取り付けされる。この間に、テープ剥離装置1を停止させる必要はない。
【0072】
一方、つなぎ合わせた部分837の第1保持部71による吸引保持が解除されて、把持部60に把持され使用される剥離テープの第2剥離テープ84から第1剥離テープ83への切り替えが完了する。
【0073】
本実施形態のテープ剥離装置1は、一方の第2剥離テープ84と他方の第1剥離テープ83とをつなぎ合わせた後、つなぎ合わされた第2剥離テープ84の把持部60に把持されている先端から第1剥離テープ83とのつなぎ合わせた部分837までを廃棄して、つなぎ合わせた部分837が
図2に示す貼着部66によって保護テープ91の上面の外周部分に貼着されることが無いようにする。
【0074】
具体的には、
図12に示す第1ロール支持部113が所定の回転速度で第1ロールテープ85を回転させつつ、回転自在の一対のガイドローラ144やガイドローラユニット64が、把持部60と第1ロールテープ85との間の第1剥離テープ83にテンションをかけつつ-X方向に送り出し、さらに、
図1に示すX軸移動手段15が把持部60を-X方向へと移動させていき、第1ロールテープ85から第1剥離テープ83を-X方向へと引き出していく。そして、例えば
図12に示すつなぎ合わせた部分837が
図2に示す第2保持部72、ガイドローラユニット64、及び一対の送り出しローラ687を通過してから、切断カッター684がつなぎ合わせた部分837よりも後方の位置で第1剥離テープ83を切断する。その結果、例えば一対の送り出しローラ687によって第1剥離テープ83の先端が挟持された状態になるとともに、把持部60がつなぎ合わせた部分837を有し切断された第1剥離テープ83が後端となるつなぎ合わされた不要な第2剥離テープ84を把持した状態になる。
【0075】
つなぎ合わせた部分837を備える第2剥離テープ84を把持した把持部60が、把持部60の移動経路の-X方向端側の下方に位置する図示しないゴミ箱の上方まで移動して、第2剥離テープ84の把持を解除して、図示しないゴミ箱に不要であるつなぎ合わせた部分837を備える第2剥離テープ84を落下させて廃棄する。
【0076】
その後の、新たな第1剥離テープ83の把持部60による把持、及び第1剥離テープ83のウェーハ90に貼着された保護テープ91への貼着は、先に説明した第2剥離テープ84の場合と略同様に行われ、先に説明した第2剥離テープ84を介した把持部60による保護テープ91の剥離と略同様に、第1剥離テープ83を介した把持部60による保護テープ91の剥離が実施されていく。
【0077】
上記のように本発明に係るテープ剥離装置1は、上面900に保護テープ91を貼着したウェーハ90の下面901を保持する保持面302を有する保持テーブル30と、帯状の第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)をロール状に巻いた第1ロールテープ85(第2ロールテープ86)を回転可能に支持する第1ロール支持部113(第2ロール支持部114)と、第1ロールテープ85(第2ロールテープ86)の外周から引き出された第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)を把持する把持部60と、把持部60が把持する第1剥離テープ83(第2剥離テープ84)を保護テープ91の上面の外周部分に貼着する貼着部66と、を備え、第1ロール支持部113(第2ロール支持部114)に支持された第1ロールテープ85(第2ロールテープ86)の残量が少なくなったことを検知する第1検知部115(第2検知部116)と、一方の第2ロールテープ86を支持する一方の第2ロール支持部114と把持部60との間の一方の第2剥離テープ84に他方の第1ロールテープ85から引き出した他方の第1剥離テープ83の先端側を重ねて貼着してつなぎ合わせる接続部7と、接続部7によってつなぎ合わせた部分837より一方の第2ロール支持部114側で一方の第2剥離テープ84を切断する第2カッター18と、装置制御を行う制御部5と、をさらに備えることで、制御部5によって、一方の第2検知部116によって一方の第2ロールテープ86の残量が少ないことを検知したら、一方の第2剥離テープ84に他方の第1剥離テープ83を接続部7によってつなぎ合わせることと、つなぎ合わせた部分837より一方の第2ロール支持部114側の一方の第2剥離テープ84を第2カッター18によって切断することと、を制御し、一方の第2剥離テープ84と他方の第1剥離テープ83とをつなぎ合わせて把持部60が把持し使用する剥離テープを一方の第2剥離テープ84から新たな他方の第1剥離テープ83に切り替えて、貼着部66と把持部60とによって他方の第1剥離テープ83を保護テープ91に貼着可能にする。即ち、本発明に係るテープ剥離装置1は、作業者による例えば第1剥離テープ83の補充作業を待つことなく、第2剥離テープ84を用いてウェーハ90から保護テープ91を剥離するという動作を継続的に実施することが可能となる。
【0078】
本発明に係るテープ剥離装置1は、接続部7は、一方の第2ロール支持部114が支持する一方の第2ロールテープ86の外周から引き出された一方の第2剥離テープ84を保持する第2保持部72と、他方の第1ロール支持部113が支持する他方の第1ロールテープ85の外周から引き出された他方の第1剥離テープ83を保持する第1保持部71と、第1保持部71、又は第2保持部72の少なくとも一方(本実施形態においては、第1保持部71)を加熱する加熱手段77と、第1保持部71、又は第2保持部72の少なくとも一方(本実施形態においては、第1保持部71)を他方に接近、および他方から離反する方向に移動させる移動機構78と、を備えることで、一方の第2剥離テープ84と他方の第1剥離テープ83とを剥がれないように適切につなぎ合わせることが可能となる。
【0079】
本発明に係るテープ剥離装置1は、一方の第2剥離テープ84と他方の第1剥離テープ83とをつなぎ合わせた後、つなぎ合わされた剥離テープの把持部60に把持されている先端からつなぎ合わせた部分837までを廃棄して、つなぎ合わせた部分837が貼着部66によって保護テープ91の上面の外周部分に貼着されることが無いようにすることで、つなぎ合わせた部分837が保護テープ91に貼着されて厚みが増して保護テープ91の剥離が失敗してしまうという事態を発生させないようにすることが可能となる。
【0080】
なお、本発明に係るテープ剥離装置1は上記実施形態に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されているテープ剥離装置1の各構成の形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0081】
90:ウェーハ 900:ウェーハの上面 901:ウェーハの下面 91:保護テープ
1:テープ剥離装置
113:第1ロール支持部
85:第1ロールテープ 83:第1剥離テープ 855:円筒 144:一対のガイドローラ 115:第1検知部 17:第1カッター 177:第1カッター上下動手段
7:接続部 71:第1保持部 710:吸着部 712:保持面 711:枠体 79:吸引源 78:移動機構 72:第2保持部 722:保持面
114:第2ロール支持部
86:第2ロールテープ 84:第2剥離テープ 866:円筒 147:一対のガイドローラ 116:第2検知部 18:第2カッター 188:第2カッター上下動手段
15:X軸移動手段 150:ボールネジ 152:モータ
60:把持部 602:固定台 603:昇降爪 605:アクチュエータ
66:貼着部 669:赤外線ヒータ
68:剥離テープ切断手段 681:逃げ溝 682:載置台
684:切断カッター 686:切断カッター移動手段 687:一対の送り出しローラ
30:保持テーブル 302:保持面 35:テーブルベース
31:リングフレーム保持部 318:クランプ 33:アクチュエータ
13:テーブル移動手段
5:制御部