(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】注射デバイスから送達される薬剤の用量を検出する装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61M5/168 500
(21)【出願番号】P 2021561656
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2020060720
(87)【国際公開番号】W WO2020212499
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-02-22
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-526424(JP,A)
【文献】特表2016-514603(JP,A)
【文献】特表2018-505006(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03088026(EP,A1)
【文献】特表2017-536936(JP,A)
【文献】特表2017-535360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセサリ(100)および注射デバイス(200)を含む装置であって:
アクセサリ(100)は、該アクセサリ(100)を注射デバイス(200)に取り付けるように構成されたアタッチメント部分(110)と、光学センサ装置(130)を収納する本体とを有し;
注射デバイス(200)は、カートリッジアセンブリ(220)と、ハウジング(210)とを含み、
該ハウジングは、
部材(260)を含む用量投薬機構
、用量設定機
構、用量投薬機構の部材(260)と位置合わせされた窓(270)を含み、
該部材(260)は、用量設定機構の動きに応じて動き、そして、部材(260)の位置は、用量設定機構によってダイヤル設定される用量を決定するのに使用され、
アタッチメント部分(110)は、用量設定機構によってダイヤル設定される用量を決定するために用量設定機構の動きに応じて動く部材(260)の位置を光学センサ装置(130)が検出することを可能にするように光学センサ装置(130)を注射デバイス(200)における窓(270)に位置合わせさせるように構成される、前記装置。
【請求項2】
光学センサ装置(130)は、部材(260)のイメージを取り込むように構成されたセンサアレイを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
センサアレイは、一次元アレイである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
アクセサリは、注射が開始する前に部材(260)の第1のイメージをセンサアレイに取り込ませるように構成される、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
アクセサリは、センサアレイに、注射が完了したことが検出された後に部材(260)の第2のイメージも取り込ませるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
アクセサリは、第1および第2のイメージの両方を使用して部材(260)の変位を計算するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
アクセサリは、第1および第2のイメージにおけるエッジの位置を検出することによって、および第1のイメージと第2のイメージの間のエッジの位置を比較することによって部材(260)の変位を計算するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
アクセサリ(100)は、通信モジュール(170)、たとえば無線通信モジュールを含み、該通信モジュール(170)を使用して光学センサ装置(130)によって取得されるイメージを処理のための外部デバイスに送るように構成される、請求項2~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
部材(260)は、用量設定機構の駆動部材(234)に螺合されたラストドーズナット(260)であり、該ラストドーズナット(260)は、ねじ係合によっておよび用量設定機構の動作に応じて駆動部材(234)に沿って進むように配置される、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
注射デバイス(200)は、アタッチメント部分を受ける受け部を含み、該受け部は、キャップが機能可能に設けられるとき、注射デバイスのキャップによって覆われていない、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
アクセサリ(100)であって:
用量設定機構を有する注射デバイス(200)にアクセサリ(100)を取り付けるように構成されたアタッチメント部分(110)と;
光学センサ装置(130)を収納する本体とを含み、
ここで、アタッチメント部分(110)は、光学センサ装置(130)を注射デバイス(200)における窓(270)に位置合わせさせるように構成され、
該窓は
、該用量設定機構の動きに応じて動く部材(260)と位置合わせされ
、そして、
光学センサ装置(130)は、用量設定機構によってダイヤル設定される用量を決定するために部材(260)の位置を検出するように構成される、前記アクセサリ。
【請求項12】
アクセサリは、光学センサ装置(130)によって取得されるイメージを画像処理のための遠隔デバイスに送る通信モジュール(170)を含む、請求項11に記載のアクセサリ(100)。
【請求項13】
注射デバイス(200)であって:
カートリッジアセンブリ(220)と;
用量投薬機構および用量設定機構を含むハウジング(210)とを含み、
ここで、用量投薬機構は、用量設定機構の動きに応じて動
くラストドーズナット(260)を含み、
ラストドーズナット(260)の位置は該用量設定機構によってダイヤル設定される用量を決定するのに使用され、
ハウジングは、ラストドーズナット(260)と位置合わせされた窓(270)を含む、前記注射デバイス。
【請求項14】
注射デバイスは、機能可能に連結されるときに、カートリッジアセンブリの部材を覆うキャップ(203)を含み、注射デバイスは、アクセサリのアタッチメント部分を受ける受け部を含み、キャップが機能可能に連結されるときに、受け部は、キャップによって覆われていない、請求項13に記載の注射デバイス(200)。
【請求項15】
カートリッジアセンブリ(220)は、薬剤を含むカートリッジ(224)を含む、請求項13または14に記載の注射デバイス(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、注射デバイスから異なる投与量が送達されることを可能にする用量設定機構を有する、注射デバイスから送達される薬剤の用量を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の注射による定期的な治療を必要とする様々な疾病が存在する。典型的には、医師は、患者が従うべき注射のタイミングおよび投与量を管理する投与計画を策定する。したがって、注射のタイミングおよび/または投与量は、患者間および注射間で変わりうる。しばしば、投与管理計画の一部として、使用者は、たとえば治療の有効性を監視するために、または次の注射のためのパラメータの計算中のフィードバックとして、注射のパラメータを記録することが必要とされる。これは、マニュアルデータログをとり続けることによって実現することができる。
【0003】
注射は、注射デバイスを用いることにより医療関係者または患者自身によって行うことができる。典型的には、注射デバイス(すなわち、医薬品容器から薬剤を送達できるデバイス)は、薬剤容器とニードルを通じて薬剤を駆動する用量投薬機構とに連結されたシリンジを有する。薬剤チャンバは再利用可能とすることができ、用量投薬機構はリセットされるように設計され、空の薬剤カートリッジが新しいものによって置き換えらえることを可能にする。あるいは、注射デバイスは廃棄可能とすることができ、充填済み薬剤容器の内容物が空になったとき、注射デバイスは処分される。いくつかの例では、注射デバイスは、使用者が投薬予定の薬剤の量を設定または「ダイヤルで合わせる(dial in)」ことを可能にする用量設定機構を含む。
【0004】
一例として、1型および2型糖尿病は、投与計画によるインスリン用量の注射、たとえば日1回または数回の注射によって患者自身により治療される。特許文献1は、典型的にはペンと呼ばれる適切な注射デバイスを開示し、本明細書におけるペンの言及は、注射デバイスと置き換え可能である。廃棄可能なペンは各使用前にペンに取り付けられる一方向ニードルのセットを備えることが知られている。そして、投与計画によって注射および処方されるインスリンの用量は、たとえば、用量ノブを必要とされる容量へ回すことによって用量設定機構を介して手動で選択することができる。次いで、ニードルを適当な皮膚部分に挿入し、用量投薬機構の注射ボタンを押すことによって、この用量が注射される。投与計画の管理の一部として、使用者は、注射のパラメータを記録する。そのようなパラメータは、たとえば、注射の日付および時間、血糖の結果、医薬品および用量、ならびに/または食事および運動の情報のうちの1つまたはそれ以上である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の様々な態様によれば、注射デバイスのためのアクセサリであって、注射デバイスの用量投薬機構の部材の変位を光学的に監視するアクセサリが提供される。用量投薬機構の部材の変位を監視することによって、アクセサリは、駆動機構から直接引き出され、薬剤カートリッジにおける(ストッパまたはプラグとも呼ばれる)栓の変位からではない送達された薬剤の量を検出することができる。これは、注射デバイスの構成要素の力による曲げのため、ならびに駆動機構およびカートリッジにおける構成要素のサイズおよび形状の(許容される公差内の)変動のため、ストッパの動きによって送達されるときに示される用量と駆動機構の動きによって送達されるときに示される用量の間にいくらかの不一致がある場合があるという事実を利用する。ストッパの変位が送達された薬剤の量を検出するために使用されるシステムの場合、決定された薬剤量は、使用者が送達のためにデバイスに設定する量に一致しない場合があり、使用者は、使用者が投薬していたと思っていた用量と使用者が知らされた送達された用量との間の食い違いを心配する場合があり、またはこの食い違いによって警告される場合さえある。たとえば、使用者は、意図された用量が正確に設定されなかったことを心配する場合がある。使用者は、それらが過剰の薬剤を投薬したと誤って信じる可能性がある。使用者は、過少の薬剤を投薬したと誤って信じ、補充用量を投薬することを間違って決定する可能性がある。
【0007】
例示的な実施形態では、アクセサリは、光学センサ装置を収納する本体を含む。本体は、本体における窓を通して光景を見るように光学センサ装置を収納し、使用時に光学センサ装置はアクセサリが取り付けられる注射デバイスの部材に面するようになっている。光学センサ装置は、注射デバイスの一部に面しており、用量投薬機構の部材を見ることができる。用量投薬機構が栓に作用するように薬剤チャンバに隣接して設けられるとき、用量投薬機構の部材の変位は、薬剤チャンバを通して見ることなく、注射デバイスにおける窓を通してみることができる。すなわち、用量投薬機構の一部における窓を通して変位を見ることによって、光学特性は、より容易に制御することができる。
【0008】
好ましくは、本体は、光学センサ装置のセンシング面が監視されている用量投薬機構の部材の変位の動きにほぼ平行に配置されるように光学センサ装置を収納する。したがって、光学センサ装置は、動きに対して直角に部材を見る。
【0009】
いくつかの例では、光学センサ装置は、イメージセンサを含む。ここで、イメージセンサは、イメージを取り込むように配置される。イメージセンサは、光検出器と、イメージセンサの適切な光学特性を提供する、たとえば、当技術分野で知られているように、適切な視野、焦点距離、収差制御などを提供するレンズアセンブリとを含むことができる。例示的な実施形態では、光学センサ装置は、用量投薬機構のラストドーズナット(LDN:Last Dose Nut)の動きの範囲に対応する視野を有する。好都合には、アクセサリは、注射デバイスの用量投薬機構の部材、たとえばLDNの変位を監視するように特に適用されるので、光学センサ装置の視野は、光学センサ装置が典型的にはより大きい範囲の動きを有する注射デバイスの他の部材、たとえば、薬剤チャンバのストッパの動きを監視していた場合とは対照的に減少可能である。
【0010】
いくつかの例では、光学センサ装置は、照光ユニットのような光エミッタを含む。照光ユニットは、光学センサ装置の照光条件を改善するように特定される。ここで、照光ユニットは、注射デバイスの一部、好ましくは、光学センサ装置の少なくとも稼働中の視野に対応する一部を照明するように配置される。すなわち、好ましくは、照光ユニットは、監視されている注射デバイスの用量投薬機構の部材の変位の動きの範囲を実質的に照明するように配置される。例示的な実施形態では、用量投薬機構の変位監視は、ラストドーズナット(LDN)の変位の動きを監視しており、適切には、光エミッタは、LDNの動きの範囲に対応する光学センサ装置の一部を照明する。栓の動きを監視することと比較して減少している光学センサ装置の視野と同様に、照光ユニットに対する要求が減じられる。
【0011】
アクセサリは、それぞれの用量投薬機構の部材の変位を測定するように適用される。例示的な実施形態では、測定値は、注射後の用量投薬機構を記録する第2のイメージに対する、注射前、すなわち、用量投薬機構が動作して注射を行う前の用量投薬機構を記録する第1のイメージの比較から計算される。例示的な実施形態では、イメージは、別の部材に対しての用量投薬機構の上記部材の動きを記録する。上記部材は、用量設定機構の動作に応じて移動するように配置されるのに適している。たとえば、上記部材は、用量設定機構が起動されるときに用量投薬機構の別の部材に対して回転することができる。これらのような例では、部材は、協働するねじ山を含むことができ、上記相対回転により、部材の1つが対応するねじ山に沿って進む。用量投薬機構が起動されるとき、監視されている用量投薬機構の上記部材と他の部材の間に相対的な動きがない。例示的な一実施形態では、監視されている上記部材は充填レベルインジケータであり、他の部材はスリーブである。
【0012】
例示的な実施形態およびさらなる態様によれば、したがって、アクセサリ、注射デバイス、および画像処理のためのプロセッサを含む装置が提供される。プロセッサは、アクセサリと一体とする、たとえば本体に収容されることができ、またはプロセッサは、アクセサリから遠く離れていることができる。プロセッサがアクセサリに対して遠く離れている例示的な実施形態では、アクセサリは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートウォッチ、または他の独立したデバイス(たとえば、ラップトップまたはPC)のような遠隔デバイスにイメージを送る通信モジュールを含む。いくつかの例示的な実施形態では、アクセサリは、様々なイメージ取得工程を完了するように光学センサ装置を制御するコントローラを含む。コントローラは、取得したイメージを画像処理のための遠隔デバイスへ送信する通信モジュールを制御することもできる。したがって、主な電子的処理は、遠隔デバイスによって、そのときアクセサリ上に複製されている必要はない遠隔デバイスのエレクトロニクスを利用して完了される。電源は、必要に応じて、光学センサ装置、コントローラ、または通信モジュールに電力を供給する。いくつかの例では、電源は、アクセサリの本体に収納される。
【0013】
例示的な実施形態では、プロセッサは、用量投薬機構の部材の変位を計算する画像処理工程を完了する。部材は、用量設定機構の動作に応じて用量投薬機構の軸部に沿って動くように構成されている。たとえば、部材は、対応するねじ山を介して軸部に係合され、部材は、用量設定機構の回転によってねじ山に沿って進む。用量投薬機構が起動されるとき、部材は、軸部に対して動かないように構成される。例示的な実施形態では、測定値は、駆動スリーブ(DS:Drive Sleeve)に沿ったラストドーズナット(LDN)の変位である。ここで、注射デバイスは、用量設定機構の動きに対応する駆動スリーブに沿ってLDNを動かすように構成されている。典型的には、LDNは、カートリッジ内の薬剤の残りの容積を超える用量が用量設定機構にダイヤル設定できないために、DSに沿って規制された動きを有し、最大投薬容積(たとえば、空のカートリッジ)に対応するエンド止め具に到達する。用量投薬機構が起動され、用量が注射された後、LDNは、さらなる用量が用量設定機構によって設定される前のDSに対しての位置に留まる。プロセッサは、LDNと各イメージの基準との間の変位を計算することができる。変位は、イメージ間のLDNの位置の差として計算される。ここで、プロセッサは、用量投薬機構が投薬するように設定される薬剤の用量容積を計算することができる。計算は、DSのねじピッチおよび直径の特徴、または用量投薬機構の関連した特徴のようなさらなるファクタを含むことができる。
【0014】
好ましくは、プロセッサは、基準に対して用量投薬機構の部材の変位を計算する。基準は、窓に形成されたゲージ、または注射デバイスの本体もしくは他の構成要素にある特徴的なマークとすることができる。しかしながら、基準は、用量投薬機構の別の部材のマークまたはエッジであってもよい。たとえば、例示的な実施形態では、投薬機構は軸に螺合されるナットを含み、監視されている部材はナットであり、軸の一部が基準である。一実施形態では、ナットはラストドーズナットであり、軸は駆動スリーブである。プロセッサは、基準エッジおよび監視されている部材のエッジの一方または両方を特定するためにエッジ認識アルゴリズムを処理に適用することができる。さらにまたは代替的に、監視されている部材または基準の一方または両方は、光学センサ装置の視認用部分において、(たとえば、材料選択によりまたは治療により)他方の部材に対して高精細度の色を備えることができる。
【0015】
好ましくは、プロセッサは、イメージ中の画素数を評価することによって変位を計算する。すなわち、第1のイメージにおけるLDNと基準の間の画素数を注射後の第2のイメージにおけるLDNと基準の間の画素数と比較することによる。画素数は、部材と基準の間の直線で数えられる。ここで、直線は、注射デバイスの軸方向に沿っていることができる。
【0016】
例示的な実施形態では、プロセッサは、変位を計算する。プロセッサは、変位をダイヤル設定された用量の測定値に変換することができる。プロセッサは、ダイヤル設定された用量の測定値をアクセサリへ送信させることができる。ここで、アクセサリは、ダイヤル設定された用量の測定値を受信する通信モジュールを含む。コントローラは通信モジュールを制御し、コントローラは、受信したダイヤル設定された用量をディスプレイへ送るように通信モジュールを制御することができる。ここで、ディスプレイは、アクセサリの本体に収納されている。ディスプレイは、使用者に面するように配置され、光学センサ装置の反対にあることができる。電源は、ディスプレイ、コントローラ、および通信モジュールに電力を供給するために設けられる。ディスプレイは、通信モジュールによって受信される他の情報、たとえば、次の注射の時間または用量を表示することもできる。さらにまたは代替的に、プロセッサは、電子ログブックに収納するためにダイヤル設定された用量の測定値を送信することができる。たとえば、プロセッサは、電子ログブックプログラムなどと通信することができるか、またはプロセッサは、統合された電子ログブックプログラムの一部としてイメージを処理することができる。
【0017】
いくつかの例示的な実施形態では、アクセサリは、1つまたはそれ以上のスイッチを含む。スイッチは、イメージを記録するとき、および通信モジュールを介して遠隔デバイスにイメージを送信するときに開始するためにコントローラと交信することができる。スイッチは、注射が行われる前後にイベントを示すために手動で動作される。代替的に、1つまたはそれ以上のスイッチは、注射プロセスにおけるイベントの1つまたはそれ以上を示すために自動で起動される。たとえば、スイッチは、注射デバイスからのキャップの除去、または用量投薬機構もしくは用量設定機構の動作を示すために自動で起動される。
【0018】
コントローラを含む例示的な実施形態では、コントローラは、光学センサ装置から受信される1つまたはそれ以上のイメージを記憶するメモリを含むことができる。
【0019】
通信モジュールを含む例示的な実施形態では、通信モジュールは、無線通信モジュールとすることができる。好ましくは、無線通信モジュールは、近距離通信モジュールである。動作方法は、単方向のまたは双方向の通信方式を確立するために、通信モジュールを遠隔デバイスとペアにするペアリング工程を使用者が完了することを含むことができる。
【0020】
例示的な実施形態では、アクセサリは、アタッチメント部分を含む。アタッチメント部分は、注射デバイスへのアクセサリの取り付けを可能にする。ここで、アタッチメント部分は、少なくとも1つの方向のアクセサリと注射デバイスの間の相対的な動きを規制する。好都合には、規制された動きにより、アクセサリが注射デバイスに物理的に取り付けられ、注射デバイスに保持されることを可能にし、一方、必要とされる位置における光学センサ装置の位置決めも容易にする。アタッチメント部分は、アクセサリから分離されるか、またはアタッチメント部分の本体に一体であることができる。したがって、いくつかの例では、アタッチメント部分は、注射デバイスに対して取り付け可能および取り外し可能であり、これにより、アタッチメント部分が複数の注射デバイス上で使用可能になる。これは、アクセサリのリソースを複数のデバイスにわたって再利用することができるので、複数の注射デバイスが廃棄可能な注射デバイスであるときに特に役立つ。いくつかの例では、アタッチメント部分は注射デバイスの一体部材として形成され、アクセサリの本体は注射デバイスの本体とすることができる。一体配置は、再利用可能な注射デバイスに役立つ可能性がある。
【0021】
軸方向は、注射デバイスの軸に沿った方向、たとえば、シリンジの軸と同軸の方向、または薬剤チャンバの栓の動きの方向である。アタッチメント部分は、本明細書では係合の動きと呼ばれる、軸方向のアクセサリとそれぞれの注射デバイスの間の相対的な動きによるアタッチメントによって注射デバイスを係合するように配置することができる。係合の動きは、近位遠位方向または逆の遠位近位方向に軸方向とすることができる。ここで、近位遠位方向は、用量投薬機構からカートリッジに向かっており、遠位近位方向は、反対であり、カートリッジから用量投薬機構に向かっている。例示的な実施形態では、アタッチメント部分は、係合の動きとは反対の方向のアクセサリと注射デバイスの間の相対的な動きを規制する。例示的な実施形態では、アタッチメント部分と注射デバイスの間の当接は、動きの規制をもたらす。
【0022】
軸方向の一方の直線的な係合の動きを含む実施形態では、アタッチメント部分および注射デバイスは、テーパ部分で係合するように配置することができる。ここで、それぞれの部材の少なくとも1つは、部材が摩擦によって協働で係合されるようにテーパにされている。一実施形態では、アタッチメント部分は、テーパにされている。ここで、アタッチメント部分のテーパ部分は、ペンの周りに間隔をおいて配置された向かい合った点を形成する第1のエリアと、ペンの周りに間隔をおいて配置された向かい合った点を有する第2のエリアとを含み、第1のエリアの点間の距離は、第2のエリアの点間の距離よりも小さい。したがって、規制された動きは、係合の動きによって加えられる力によって発生する摩擦によって提供される。さらにまたは代替的に、注射デバイスは、アクセサリを受けるように適用される連結エリアでテーパである。
【0023】
直線的な係合の動きを含むさらなるまたは代替の実施形態では、アタッチメント部分および注射デバイスは、正の位置を提供するように配置することができる。たとえば、注射デバイスまたはアタッチメント部分の一方は、弾力のある部分を含み、他方の部材は、この上を通るように配置される。ここで、弾力のある部分は、部材間の分離距離に対する局所的な規制をもたらす。係合の動きによって、およびそれぞれの部材が弾力のある部分の上を動くように、2つの部材を一緒に押すことで、アクセサリのアタッチメントが完了したというフィードバックを使用者に提供する正の位置をもたらす。それは、係合解除の動きの方向であり、逆のアクセサリの除去に対する当初の抵抗ももたらす。
【0024】
いくつかの実施形態では、アタッチメント部分は、注射デバイスにアクセサリを位置決めするために位置決め装置を含むことができる。位置決め装置は、アクセサリおよび注射ペンを軸方向に対して回転位置合わせで位置合わせするように回転キーを提供することができ、キーは、軸方向に沿った直線的な係合の動きを介して取り付けられるときに、注射デバイスに対するアクセサリの回転運動を防ぐことができる。ここで、アタッチメント部分および注射デバイスは、協働する位置合わせ機能を有するように配置される。協働する位置合わせ機能は、軸方向に対して非対称断面を含むことができるか、またはそれぞれの部材に突出部および凹部を含むことができる。位置決め装置は、光学センサ装置および監視されている用量投薬機構の部材の位置合わせを助ける。
【0025】
係合の動きは、さらなるまたは代替の方向のアクセサリと注射デバイスの間の相対的な動きを含むことができる。たとえば、係合の動きは、軸方向を中心とした回転運動を含むことができる。したがって、アタッチメント部分は、ねじれの動きによって注射デバイスを係合することができ、アタッチメント部分および注射デバイスは、それぞれの協働する機能を含む。ここで、協働する機能は、係合の動きの間、協働するようにされ、アタッチメント部分は、遠位近位および近位遠位の軸方向両方の相対的な動きを規制する。協働する機能は、一方向の回転運動を規制するように係合することもできる。たとえば、アタッチメント部分および注射デバイスは、協働するねじ山、または協働するバヨネット機能などを含むことができる。
【0026】
半径方向は、注射デバイスの軸に沿った方向、たとえばシリンジの軸と同軸の方向、または(軸方向を横断する)薬剤チャンバの栓の動きの方向を横断する方向である。アタッチメント部分は、本明細書では係合の動きと呼ばれる、半径方向のアクセサリとそれぞれの注射デバイスの間の相対的な動きによるアタッチメントによって注射デバイスを係合するように配置することができる。たとえば、アタッチメント部分および注射デバイスは、プッシュボタンフィットとして働く協働する凹部と突出部のペアを含むことができる。または、代替的に、アタッチメント部分は、注射デバイスを部分的に囲むように配置され、アタッチメント部分は、弾力があり、注射デバイスの周りのクリップとして働く。ここで、さらなる位置合わせ機能は、光学センサ装置および監視されている部材の回転位置合わせを助けるように設けることができる。
【0027】
例示的な実施形態では、アタッチメント部分は、注射デバイスの中点で注射デバイスと係合する。したがって、取り付けられるとき、注射デバイスは、アクセサリ本体のいずれかの側から延びる。これにより、アクセサリの除去を必要とすることなく、キャップが配置されるとともに、注射デバイスから除去されることが可能になる。したがって、アクセサリは、注射デバイスの動作中に、注射デバイスに取り付けられたままとすることができる。
【0028】
アクセサリの本体は、アタッチメント部分および機能的部分を含むことができる。ここで、機能的部分は、光学センサ装置、および場合によるディスプレイを収納する。機能的部分は、注射デバイスの軸方向にアタッチメント部分から離れるように延びることができる。機能的部分は、ラジアル面の周りの注射デバイスの表面の一部を単に覆うことができる。したがって、アクセサリは、注射デバイスの周りに固定された情報ラベルの全体を覆わずに取り付けことができる。
【0029】
例示的な一実施形態では、アタッチメント部分は、リングを含む。リングは、注射デバイスをフィットし、また囲むように適用される。
【0030】
例示的な実施形態では、アクセサリは、ペン型デバイスである注射デバイスに取り付けるように適用される。ペンは、薬剤チャンバと、用量投薬機構と、用量設定機構とを含む。いくつかの例では、用量投薬機構および用量設定機構は、ハウジング内に組み立てられる。ここで、ハウジングは、薬剤チャンバを取り付けるために連結を行うことができるか、または薬剤チャンバは、ハウジング内に組み立てることもできる。窓は、ハウジングに形成される。窓は、用量投薬機構に対して、および監視されている用量投薬機構の部材を露出するように位置する。窓は、光学センサ装置がそれぞれの部材を監視することができるように光学的に透過可能である。いくつかの実施形態では、窓は、ハウジングを通って形成された凹部である。ここで、窓は、開いたままとすることができ、または光学的に透過可能な部材によって閉じることができる。代替的に、ハウジングの少なくとも1つのエリアが、光学的に透過可能であるように形成され、たとえば、ハウジングは、光学的に透過可能な材料から形成される。いくつかの例示的な実施形態では、ハウジングは、情報ラベルによって覆われる。情報ラベルは、窓を露出するために着脱セクションを含むことができる。たとえば、ラベルは、ミシン目によって画成されたエリアを備えて形成することができ、使用者は、アクセサリを取り付ける前に、ミシン目によって画成されたエリアを除去することができる。
【0031】
例示的な実施形態では、注射デバイスはハウジングを含み、ハウジングはアクセサリのアタッチメント部分を受ける受け部を提供する。受け部は、アタッチメント部分と協働して注射デバイスにアクセサリを位置決めおよび固定する。窓は、アタッチメント部分に隣接して位置することができ、またはアタッチメント部分から間隔をおいて配置することができる。アタッチメント部分は、窓に対するアクセサリの位置合わせを助けるためにアクセサリの位置決め装置に対応するように位置決め装置を含むことができる。いくつかの例では、受け部は、薬剤チャンバに隣接して設けることができるか、またはハウジングと薬剤チャンバの間の連結とすることができる。
【0032】
例示的な一態様によれば、したがって、アクセサリおよび注射デバイスを含む装置が提供される。アクセサリは、光学センサ装置を収納する本体を含む。本体は、アクセサリを注射デバイスに取り付けるためのアタッチメント部分を画成する。注射デバイスは、ハウジングに組み立てられるカートリッジアセンブリを含む。ハウジングは、用量投薬機構および用量設定機構を含む。用量投薬機構は、用量設定機構の動きに応じて基準に対して動く部材を含む。ハウジングは、用量投薬機構の上記部材と位置合わせされた窓を含む。ここで、アタッチメント部分は、光学センサ装置を窓に位置合わせさせるように特に適用される。アクセサリおよび注射デバイスは、部材のキットとして、または互いに使用するために個々に提供することもできる。
【0033】
さらなる態様によれば、投与計画を管理する方法が提供される。この方法は、注射デバイスの部材の変位を光学的に監視し、投与管理計画の一部として結果について電子的にログをとることを含む。方法は、先の態様の装置を形成するように先の態様のアクセサリを注射デバイスに取り付けることをさらに含む。
【0034】
方法は、アクセサリのアタッチメント部分を注射デバイスの受け部に機能可能に連結することを含むことができる。アタッチメント部分および受け部を機能可能に連結する工程は、注射デバイスに対してアタッチメント部分を動かすことを含む。アクセサリを機能可能に連結する工程は、光学センサ装置が監視されている用量投薬機構の部材の動きを見ることができるように光学センサ装置を注射デバイスにおける視認用窓に位置合わせさせる。アタッチメント部分を機能可能に連結する工程は、注射デバイスの軸を中心として光学センサ装置および窓を回転可能に位置合わせするために、アクセサリ上のキーを注射デバイス上のキーに位置合わせおよび係合することを含むことができる。
【0035】
いくつかの例では、方法は、注射の前後に注射デバイスのキャップを除去する工程および置き換える工程を含む。そのような例では、アタッチメント部分の配置は、アクセサリが注射デバイスに取り付けられたままである間にキャップを除去および置き換えるのを容易にする。
【0036】
アクセサリを注射デバイスに取り付ける前に、方法は、注射デバイスのハウジングを覆っている情報ラベルのエリアを除去することを含むことができる。ラベル除去工程は、ラベルの一部を除去することを含むことができる。たとえば、それは、窓を見せるためにラベルに設けられたミシン目によってはぎ取ることによる。
【0037】
方法は、アクセサリを遠隔デバイスとペアにするペアリング工程を含むことができる。たとえば、それは、アクセサリ内の通信モジュールを遠隔デバイス内の対応するモジュールとペアにすることである。ペアリングは、アクセサリのスイッチなどを操作することによって起動することができる。
【0038】
例示的な方法では、注射前のイメージ取得工程は、用量投薬機構の部材の位置のイメージを取り込むように光学センサ装置を動作させることを含む。そして、注射後のイメージ取得工程は、用量投薬機構の部材の位置の第2のイメージを取り込むように光学センサ装置を動作させることを含む。いくつかの例では、イメージは、基準に対しての部材の位置を取り込む。注射前のイメージ取得工程および注射後のイメージ取得工程は、アクセサリのスイッチを操作することによって起動することができる。スイッチは、別のイベントになると、手動または自動で動作することができる。イメージ取得工程は、見る部分を照明するように照光ユニットを動作させることを含むこともできる。取得工程は、通信モジュールにイメージを遠隔デバイスへ送信させることを含むことができる。イメージは、注射の完了後、または注射全体にわたる各段階で送信されることができる。
【0039】
例示的な実施形態では、方法は、イメージを後処理して用量投薬機構の部材の変位を計算することを含む。この後処理は、遠隔デバイスのプロセッサによって完了することができる。この処理は、注射前のイメージにおける基準と部材の間の画素数を計算する工程と、注射後のイメージにおける基準と部材の間の画素数を計算する工程とを含むことができる。処理工程は、部材の変位を決定するためにイメージ間の画素数の差を比較することを含むことができる。画素数は、注射デバイスの軸に沿ったラインを画成するとともに、基準および部材のエッジ中心点からのラインを画成することができる。処理工程は、変位をダイヤル設定された用量の測定値に変換することも含むことができる。
【0040】
好ましくは、工程を処理するプロセッサは、遠隔デバイスの一部である。ここで、例示的な実施形態は、注射前および注射後のイメージをプロセッサに送信する工程を含み、この送信は、アクセサリの通信モジュールによって完了することができる。ここで、通信モジュールは、送信を受けるために遠隔デバイスとペアにすることもできる。たとえば、アクセサリは、ディスプレイを含むことができ、方法は、遠隔デバイスから受信した情報を表示するようにディスプレイを動作させるようにアクセサリを制御することを含む。
【0041】
例示的な実施形態では、方法は、ダイヤル設定された用量の測定値を記録するための電子ログブックの一部として用量ダイヤル設定計算のログをとる工程を含む。電子ログブックは、イメージの1つまたはその他のプロセッサによる受信の時間に基づいて注射の時間のような注射の詳細のログをとることもできる。
【0042】
例示的な実施形態によれば、方法は、次の注射のダイヤル設定された用量の測定値のログをとる工程を繰り返すことを含む。方法は、第1の注射デバイスからアクセサリを除去し、アクセサリを第2の注射デバイスに再び取り付けることをさらに含む。たとえば、第1の注射デバイスが空であるとき、アクセサリは、除去され、薬剤が中に残っている第2の交換注射デバイス上に置き換えられる。
【0043】
例示的な実施形態によれば、したがって、添付の特許請求の範囲に記載されるように、注射デバイスのための改善されたアクセサリ、このアクセサリおよび1つまたはそれ以上の注射デバイスを含む装置、および投与計画を管理する方法が提供される。本開示の他の構成は、本出願における説明およびその他の箇所から明らかになる。用量投薬機構の部材の動きを監視するためにアクセサリを用いることによって、ダイヤル設定された用量の測定値は、用量管理方法の一部として電子的に記録することができる。また、アクセサリは、注射デバイスを、注射デバイスへの限られた変化を用いてダイヤル設定された用量の測定値を電子的に取り込むことができるように変換することができる。用量投薬機構の部材を監視することによって、制御された視認特性を提供することが可能である。さらに、用量投薬機構のLDNを監視することによって、光学センサ装置の視野は、薬剤チャンバ内の栓のストローク長よりも小さくなる。
【0044】
例示的な実施形態は、添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図2】
図1の注射デバイスの分解組立部材図である。
【
図3】
図2に示された組み立てられた注射デバイスのグリップ端を通る部分断面図である。
【
図6】注射デバイスのためのアクセサリの斜視図である。
【
図7】注射ペンおよびそこに取り付けられたアクセサリを含む装置の斜視図である。
【
図8】部材を切り欠いた細部を示す
図5の部分斜視図である。
【
図9】
図1~
図3に示された注射デバイスの駆動スリーブに沿ったラストドーズナットの動きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に、本開示の実施形態の参照が詳細になされ、その例は添付図面に示されており、同じ参照番号は、全体を通して同じ要素を指す。
【0047】
図1は、例示的な実施形態と共に使用するのに適切な注射デバイス200の分解組立図である。図示の注射デバイスは、しばしば、注射ペンまたはペンと呼ばれる。ペンの様々な設計が知られている一方、簡単な説明が本明細書で提供され、ペンの特定の構成は以下の詳細な説明から変えるおよび変更することができることを理解されたい。
【0048】
注射デバイス200は、遠位端および近位端を有する。「遠位」という用語は、注射の部位に比較的近い位置を指し、「近位」という用語は、注射部位から比較的さらに離れている位置を指す。
【0049】
注射デバイス200は、グリップアセンブリ202と、キャップ203と、ニードルアセンブリ204とを含む。グリップアセンブリは、ハウジング210およびカートリッジアセンブリ220から形成される。カートリッジアセンブリ220は、薬剤を含むカートリッジ224を含むためのカートリッジホルダ222を含む。図示されるように、ハウジング210は、ほぼ円筒形であり、近位端から遠位端へその長手方向軸に沿ってほぼ一定の直径を有する。長手方向軸は、近位端から遠位端へ延びる近位遠位方向、および逆の遠位近位方向を有する。ラベル211は、ハウジング210上に設けられる。ラベルは、薬剤を特定する情報を含む注射デバイス200内に含まれる薬剤についての情報を含む。薬剤を特定する情報は、テキストの形態とすることができる。薬剤を特定する情報は、色の形態とすることもできる。薬剤を特定する情報は、バーコード、QRコードなどに符号化することもできる。薬剤を特定する情報は、黒および白のパターン、色のパターン、または濃淡の形態とすることもできる。
【0050】
カートリッジアセンブリ220は、グリップアセンブリ202を形成するようにハウジング210に組み立てられる。いくつかの例では、カートリッジアセンブリ220の近位端は連結部材を含み、ハウジング210の遠位端は、2つの部材を連結するように互いに協働して係合する対応する連結部材を含む。図示されるように、カートリッジホルダ222は、カートリッジ224を受け入れる中空を有するほぼ円筒形である。カートリッジは、使用中にカートリッジから薬剤を排出するようにカートリッジ224内で前進できるストッパ228を含む。ここで、ニードルアセンブリ204は、注射中に薬剤用の導管として働くようにグリップアセンブリと協働することを理解されたい。
【0051】
カートリッジホルダ222は、その側面に丸窓226を有する。丸窓226は、カートリッジ224がカートリッジホルダ222に含まれるとき、使用者は、丸窓226を通してカートリッジ224を見ることができる。
図1は、丸窓226を通して見えるカートリッジ224のストッパ228を示す。
図1は、1つの丸窓226を有するカートリッジホルダ222を示すが、代わりに、カートリッジホルダ222は、2つ以上の窓107を有することができる。たとえば、カートリッジホルダ222は、カートリッジホルダ222の1つ側面に位置する第1の丸窓226と、反対のいくつかの場合には、カートリッジホルダ222の第2の側面に位置する第2の丸窓とを有することができる。したがって、カートリッジホルダ222内のカートリッジ224の第1の側面は、第1の丸窓226を通して見ることができる一方、カートリッジ224の第2の異なる側面は、第2の丸窓を通して見ることができる。他の丸窓の構成が使用される場合がある。
【0052】
ニードル206、内側ニードルキャップ207、および外側ニードルキャップ208を含むニードルアセンブリが示されている。ニードルアセンブリ204のニードル206は、ニードル106がカートリッジ224内の薬剤と流体連通するようにカートリッジホルダ104に固着することができる。ニードルは、内側ニードルキャップ207および外側ニードルキャップ208によって保護される。
【0053】
除去可能なキャップ203は、カートリッジアセンブリに取り付けられる。キャップ203は、グリップアセンブリに取り付けられるときに、カートリッジホルダ222、およびしたがってカートリッジ224を少なくとも部分的に覆う。キャップ203は、ニードル106、内側ニードルキャップ108、または外側ニードルキャップ110の1つまたはそれ以上が存在している場合も、または存在していない場合も、それが少なくとも部分的にカートリッジホルダ222を覆うようにグリップアセンブリに取り付けられることもできる。
【0054】
カートリッジホルダ222は、たとえば、カートリッジホルダ222の近位端に隣接して、およびハウジング210のアタッチメントに隣接して、外面にキャップ保持機能223を有することができる。したがって、キャップ203は、嵌められるときにカートリッジアセンブリをほぼ覆うことができる。キャップ保持機能223は、グリップアセンブリに取り付けられるときに、キャップ203を所定の場所に保持するようにキャップ203の内面で対応する結合機能と係合する。キャップ保持機能223は、リッジ、溝、バンプ、ロック、および/またはピップの1つまたはそれ以上を含むことができる。いくつかの例では、キャップ保持機能は、注射デバイス200のハウジング210に位置する。
【0055】
図2に示されるように、ハウジング210は、用量投薬機構、および用量選択機構を収納する。用量設定機構は、注射される予定の用量を選択するために使用され、用量投薬機構は、用量を注射するために起動される。この例では、用量投薬機構は、カートリッジ224の遠位端に向かってストッパを駆動するように起動される。注射デバイス200は、どちらかのカートリッジが空になるまで、または注射デバイス200の有効期限(たとえば、第1の使用後28日)に到達するまで、いくつかの注射プロセスのために使用することができる。注射デバイス200は、使い捨てまたは再利用可能とすることができる。
【0056】
ストッパ228をカートリッジ224の中に駆動するために、用量投薬機構は、ピストンロッド232、駆動スリーブ234、およびトリガボタン236を含み、これらは、圧力板237をストッパ228に対しておよびカートリッジ224の中に駆動するように共に働く。薬物送達デバイス200から注射される予定の薬剤または薬物用量は、ねじ山付インサート243によって用量ダイヤルスリーブ244に連結されている投与量ノブ242を回すことによって選択され、投与量ノブ242による用量ダイヤルスリーブ244の回転により、選択された用量をハウジング210における投与量窓212内に表示させ、クリッカ250にばねクラッチ252を介して駆動スリーブ234と相互作用させる。共に、投与量ノブ203、用量ダイヤルスリーブ230、およびクリッカ250は、用量設定機構である。用量ダイヤルスリーブ244は、クリッカ250の周りに配置され、クリッカ250は、用量ダイヤルスリーブ244の回転を用いて触覚および可聴フィードバックを生成するフィードバック機構251を含む。クリッカ250は、金属クラッチばね252を用いて駆動スリーブ234に連結されている。
【0057】
ラストドーズナット260(LDN)は、駆動スリーブ234に設けられる。ラストドーズナット260は、カートリッジ224内に残っている全薬剤をトラックするように用量投薬動作ごとに進む。トリガボタン236は、薬物送達デバイス100の用量投薬動作を起動するように押し下げられる。駆動スリーブ234は、駆動スリーブから突出するフランジ262および264を含む。たとえば、フランジは、ラジアルフランジとすることができる。LDN260は、ねじ山付部材であり、いくつかの例では、半割りナットでありうる。駆動スリーブは、典型的には2つのフランジ間で延びるねじ山付ボルトセクションを含む。駆動スリーブが用量設定機構の対応する回転によって回転させられるとき、LDN260は、それぞれのねじ山の協働によって駆動スリーブに沿って動かされる。LDNは、LDNがフランジに当接するとともにカートリッジが満杯であるときにLDNの開始位置を示す最小フランジであるフランジ162から動くように配置することができる。LDNは、各用量が注射されるときにLDNに沿って反復的に動く。LDNは、LDNが動くのを防ぎ、その結果として用量ダイヤル設定機構がカートリッジに残っている用量を超える用量にダイヤル設定するのを防ぐ最大フランジである他のフランジに当接する。
【0058】
上述したように、用量設定機構は、投与量ノブ242、用量ダイヤルスリーブ244、およびクリッカ250として示されているが、当業者は、任意の個数の異なる用量設定機構は、薬物送達デバイスの用量を設定するための当技術分野の手段であり、本開示の態様は、そのような他の用量設定機構に適合することを理解するであろう。同様に、用量投薬機構は、ピストンロッド232、駆動スリーブ234、トリガボタン236を含むものとして図示されているが、当業者は、いくつかの異なる用量投薬機構(たとえば、駆動機構)が薬物送達デバイスの用量を送達または投薬するために当技術分野で知られており、本開示の態様は、そのような他の用量投薬機構に適合することを理解するであろう。
【0059】
薬物送達デバイス200の動作を続けると、投与量ノブ236を回すことにより、機械的クリック音を引き起こし、クリッカ250に対して用量ダイヤルスリーブ244を回転させることにより音響フィードバックを使用者に提供する。投与量ディスプレイ212に表示される数字は、ハウジング210内に含まれるとともに金属ばねクラッチ252を介して駆動スリーブ234と機械的に相互作用する用量ダイヤルスリーブ244上に印刷されている。注射ボタン236が押されるとき、ディスプレイ212に表示される薬物用量は、薬物送達デバイス100から放出される。用量設定操作中、駆動スリーブ234は、遠位近位方向に外向きに渦巻である用量ダイヤルスリーブ244と共にらせん状に回転する。注射ボタン236が押されると、駆動スリーブ234は解除され、遠位に進み、これによりピストンロッド232の回転を引き起こす。ピストンロッド232の回転は、カートリッジ224のストッパ228に対して圧力板237を駆動し、これによりストッパ228をカートリッジ224の中に駆動してカートリッジ224から薬剤を排出する。代表的な薬物送達デバイスのより詳細な説明は、2011年5月3日に発行された米国特許第7,935,088(B2)号に記載されている。
【0060】
図3は、用量設定操作の端部における用量投薬動作前の薬物送達デバイス100を示しており、用量ダイヤルスリーブ244および駆動スリーブ234は、用量を設定するために、ハウジング210およびピストンロッド232のねじ山付端部233に対してらせん状に回転されている。ラストドーズナット260は、初期位置から薬物送達デバイス100に残っている用量を示す位置へ駆動スリーブ234に沿って進んで示されている。注射ボタン236の用量投薬をしたとき、駆動スリーブ234はハウジング210の中に進み、支承ナット214がピストンロッド232の回転を引き起こす。支承ナット214は、ハウジング210の内側に固定されており、ピストンロッド232とねじ係合している。ピストンロッド232が回転すると、支承ナット214は動くことができないため、ピストンロッド232が(ハウジング210に対して)前方へねじ回される。ピストンロッド232の回転は、ピストンロッド232および圧力板237を近位遠位方向に近位に駆動して、ストッパ228をカートリッジ224の中に駆動する。投薬されると、駆動スリーブは、ダイヤル設定されていない用量の位置にある。
【0061】
注射デバイス100から放出される予定の薬剤用量は、投与量ノブ242を回すことによって選択することができ、次いで、選択された用量が、投与量窓212を介して、たとえば国際単位(IU)の倍数単位で表示される。投与量窓212に表示される選択された用量の一例は、
図1に示されるように、「30」IUでありうる。選択された用量は、たとえば、電子ディスプレイを用いて、同様に別に表示することもできることに留意されたい。
【0062】
投与量ノブ242を回すと、機械的なクリック音が生じて、使用者に音響フィードバックを提供する。投与量窓212に表示される数字は、ハウジング210内に含まれるスリーブ244上に印刷される。ニードル206が患者の皮膚の一部に刺され、次いで注射ボタン236が押されると、ディスプレイ窓212に表示される薬剤用量が、注射デバイス100から放出される。注射デバイス100のニードル206が、注射ボタン236が押された後にある時間にわたって皮膚部分に留まるとき、高い割合の用量が、患者の身体に実際に注射される。薬剤用量の放出は、機械的なクリック音も引き起こし、しかしながら、これは、投与量ノブを用いるときに生成される音とは異なる。
【0063】
ペン注射デバイスが、本開示に簡単に説明されているが、当技術分野で知られているように、他の注射デバイスが予見される。
【0064】
例示的な実施形態では、
図4を参照すると、窓270が、ハウジング210に設けられている。窓はハウジング210の遠位端に形成されている。窓は、用量投薬機構の部材を収容するハウジングの一部に対応する部分に形成されており、その動きが監視される。窓は、ハウジング210およびカートリッジアセンブリ220を連結する連結部に隣接しているものとして示されている。窓270は、窓がハウジング210によって境界付けられるようにハウジングの近位端から間隔をおいて配置することができ、または窓は、窓の一方の側が開いているように近位端と一致して配置することができる。
【0065】
窓270は、監視されている用量投薬機構の部材の変位を監視するために、光学センサ装置が窓270を通して見ることができるように光学的に透過可能であるように配置されている。したがって、窓270は、ハウジングを通る開いたアパーチャとすることができる。代替的に、窓270は、光学的に透過可能な部材で充填されているハウジングを通るアパーチャとすることができる。たとえば、鏡板で充填されているアパーチャである。窓は、監視されている部材の動きの範囲に対応するようなサイズで作製される。ハウジングが円筒形である実施形態では、窓は、ハウジング210の周面の部材の周りに広がることができる。たとえば、窓270は、周面の弧で対することができる。弧は、10°を超えるか、または20°を超えるか、または30°を超えるか、または45°を超える角度に対することができる。弧は、120°未満、または110°未満、または00°未満、または90°未満の角度で対することができる。ハウジング210の軸方向でLDNの変位を監視するとき、窓270は、駆動スリーブ234がダイヤル設定されていない用量の位置にあるときに、駆動スリーブ234の最小フランジ262および最大フランジ264の位置の間で実質的に広がることができる。
【0066】
代替の一実施形態では、窓270は、光学的に透過可能な材料からハウジング210またはハウジングの近位端を形成することによって作成される。ここで、窓270は、ハウジング210の全周面の周りに広がる。窓は、監視されている部材の動きの少なくとも対応する範囲内で軸方向に広がる。すなわち、LDN260の動きを監視するとき、最小および最大フランジ262、264の間である。
【0067】
図4には、ハウジングに固着されたラベル211が、窓270に形成されていないものとして示されている。
図5を参照すると、ラベルは、変位をデジタルで監視するために、アクセサリを取り付ける前に窓および除去される窓を覆うラベルのエリアを覆うようにハウジングに固着することができる。ここで、ラベルは、ミシン目を備え、これに沿ってラベルは、窓のエリアから除去されるようにちぎるまたは切断するまたは折ることができる。
【0068】
図6を参照すると、アクセサリ100が示されている。アクセサリは、注射デバイス200に取り付けられるように適用される。アクセサリ100は、アタッチメント部分110および機能的部分120を画成する本体を含む。
【0069】
アタッチメント部分は、アクセサリが注射デバイス200に取り付けられることを可能にするように配置される。アタッチメント部分110は、注射デバイス200の周りで位置決めするように適用されるカラーとして
図6に示されている。カラーは、内径を有する実質的に閉じられたリングである。ここで、カラーは、カートリッジアセンブリの遠位端にフィットするように適切な内径を有するようなサイズに作製されている。それは、カートリッジの遠位端のサイズよりも大きい。したがって、アクセサリ100は、注射ペンの長手方向軸に沿っておよび遠位近位方向にアクセサリおよび注射デバイスの相対的な横の動きによって注射デバイス200に取り付けることができる。アクセサリは、摩擦によって、または代替的にアクセサリもしくは注射ペンに対するそれぞれの部材のクリップ止めもしくは弾力のある変形によって注射デバイスに係合する。
【0070】
図7には、アタッチメント100が、注射デバイス200に取り付けられて示されている。アタッチメント部分110は、注射デバイスの受け部と係合して示されている。受け部は、カートリッジアセンブリとハウジング210の間の連結部に隣接しているものとして示されている。受け部は、カートリッジの一部、たとえば、近位端における近位部分、またはハウジングの一部、たとえば、遠位端における遠位部分とすることができる。例示的な実施形態では、受け部は、キャップ203が取り付けられるとき、キャップ203によって覆われていない。
図6および
図7には、アタッチメント部分と受け部の間で摩擦フィットにより注射デバイスと係合されているアクセサリが示されている。たとえば、アタッチメント部分の内側および受け部の外側の適切なサイジングおよびテーパリングによる。
【0071】
機能的部分は、アタッチメント部分から離れるようにおよび意図される注射ペンの軸に沿って広がる。機能的部分120は、光学センサ装置130を収納する。光学センサ装置130は、用量投薬機構の部材の変位を監視する電子デバイスである。たとえば、注射プロセスの2つ以上の段階における部材の位置のデジタル画像を記録することによる。ここで、光学センサ装置は、イメージ取得プロセスの一部として、当技術分野で知られているように、光学イメージをデジタル信号に変換するイメージセンサ132、たとえば、CCDまたはCMOS検出器のような光検出器のアレイを含む。光検出器のアレイは、一次元アレイ、たとえば、長手方向軸に沿ったアレイとすることができ、またはアレイは、周方向と長手方向軸の両方における二次元アレイとすることができる。照光ユニット134は、イメージ取得のために一貫した照光特性をもたらす光学センサ装置130の一部として、たとえば、LEDアレイのようなおよび当技術分野で知られているような1つまたはそれ以上の発光素子として設けることができる。
【0072】
光学センサ装置130は、機能的部分120に取り付けられるときに、注射デバイスの窓270に面するように機能的部分120に配置される。アタッチメント部分は、注射デバイスを囲むように機能的部分から離れるように広がり、光学センサ装置は、同じ方向に向けられるように配置される。たとえば、アタッチメント部分110が機能的部分120の下側から広がる場合、光学センサ装置は、機能的部分の下側に配置される。ここで、機能的部分の下側は、アパーチャを含むことができ光学センサ装置130はアパーチャを通って向けられる。アパーチャは、開いているか、または光学的に透過可能な材料で充填させことができる。
【0073】
場合によるディスプレイ140は、たとえば、機能的部分の上側(または使用者が面する側)でアクセサリの本体に収納される。ディスプレイ140は、電子インクディスプレイモジュールとすることができ、これは、表示を変化させるのに電力を必要とするが、電力なしでしばらく(文字などの)イメージを表示することができる。
図10に関連して説明されるように、本体は、コントローラ、電源、通信モジュール、およびメモリのようなさらなる電子モジュールを収納することができる。本体は、イメージ取得機能および処理機能のうちの1つまたはそれ以上を制御するように手動で動作することができる1つまたはそれ以上のスイッチを提供することもできる。
【0074】
図8を参照すると、アクセサリ100は、注射デバイスの窓270と位置合わせされ、これは、それに応じて、監視されている用量投薬機構の部材と位置合わせされる。本明細書に説明されるように、監視されている用量投薬機構の部材は、用量設定機構によってダイヤル設定された用量を示すように別の部材に対して動く部材である。例示的な実施形態では、監視されている部材はLDN260であり、その相対的な動きはスリーブ234に沿っている。上で説明されたように、LDN260は、用量設定機構に用量がダイヤル設定されると、最小フランジ262と最大フランジ264の間で動く。たとえばトリガ236を押すことによって、用量投薬機構がトリガされるとき、LDNは、スリーブに沿って動かない。むしろ、LDNは、投薬中スリーブに対して静止したままである。したがって、部材は、用量設定中にスリーブに沿って動き、そして、ストッパを薬剤カートリッジの中に駆動するためにスリーブが並進運動するときにスリーブと並進運動する。したがって、部材は、最大フランジに向かう段階で動き、各段階は、投薬動作を表す。最大フランジ264に到達すると、LDNは、さらなる用量が用量設定機構にダイヤル設定されるのを防ぐ。最大フランジは、LDNが、カートリッジ内の最大薬剤を示すスリーブに沿って動いたことを示す(すなわち、カートリッジは空であるか、または用量が投薬された場合に空である)。LDNは、薬剤カートリッジ内に残っている薬剤のレベルを示し、またはそれは、用量設定機構によって設定された用量でダイヤル設定されたものが注射された場合、LDNは、充填レベルインジケータとも呼ぶことができるからである。
【0075】
説明された実施形態では、スリーブは、用量が用量設定機構にダイヤル設定されるときに、遠位近位方向に軸方向に動くが、注射後、スリーブは、ハウジング内の同じ位置に戻る。したがって、窓は、スリーブが非用量ダイヤル設定位置にあるときに記録されるこの位置およびそれぞれのイメージと位置合わせされるように配置される。ダイヤル設定された用量の測定値は、スリーブに沿ったLDNの変位として計算することができる。上述したように、部材は、用量設定機構の動作によってスリーブに沿って動いた。典型的には、LDN部材は、スリーブに対して回転し、動きは、部材とスリーブの間の協働するねじ山によって駆動される。用量設定機構の動作によって部材がスリーブに沿って動いたので、注射前のイメージは、LDNの変位を計算するために、注射後のイメージと比較することができる。
図9に示されるように、イメージごとのLDN260の位置は、基準から計算することができる。基準は、スリーブのマークまたはエッジのような注射デバイスに形成されたゲージとすることができる。たとえば、基準は、最小または最大フランジ262、264のエッジとすることができる。
【0076】
図9に示されるように、上側のイメージは注射前のイメージを表し、下側のイメージは注射後のイメージを表し、ダイヤル設定された用量の測定値は、注射後のLDN260と基準の間の距離を注射前のその同じ測定値から離して取ることによって、LDN260の変位を特定することによって計算される。画像処理工程は測定値を計算する。たとえば、画像処理工程は、イメージごとに基準とLDN260の間の画素数を参照することによって変位を計算する。ここで、エッジ検出アルゴリズムは、それぞれのエッジを決定するように適用することができる。エッジが検出される構成要素は、エッジ検出を支援するために他の構成要素と異なるように色付けすることができる。たとえば、LDN260およびフランジは、他の構成要素と比較して暗い色とすることができ、その逆もある。ある構成要素の色とそれに隣接し、また(センサに対して)その背後の構成要素の色との間に十分高いコントラストがある限り、エッジを確実に検出することができ、その位置を確実に測定することができる。
【0077】
光学センサ装置130と窓270を位置合わせするようにアクセサリおよび注射デバイスの正しい位置合わせを得るために、詳細には、それぞれのアクセサリおよび注射デバイスの回転位置合わせを確実にするために、協働する位置決め装置を設けることができる。
【0078】
図10に示されるように、コントローラ150は、イメージセンサ130のイメージ取得工程を制御する。メモリ160は、必要に応じて設けることができる。コントローラは、イメージを表示するように場合によるディスプレイを位置合わせする。アクセサリは画像処理工程を完了する処理モジュールを含むことができるが、好ましくは、アクセサリは、取得したイメージを画像処理のための遠隔デバイスへ送るための通信モジュールを含む。ここで、通信モジュールは、Bluetooth、Wi-Fi、IRDA、NFCモジュール、または他の短距離もしくは中距離通信モジュールのような任意の適切な無線通信モジュールとすることができる。スイッチ180は、手動で動作されるように、およびコントローラを制御するように、アクセサリのハウジングに設けることができる。たとえば、スイッチ180は、通信モジュール170を介して遠隔デバイスとの接続を確立するようにコントローラを制御するために使用することができる。スイッチは、イメージセンサを介して注射前または注射後のイメージを取得するようにコントローラを制御することもできる。スイッチが代替の機能を有する場合、スイッチは、その同じスイッチであっても、それぞれが独自の機能を有する複数のスイッチであってもよいことを理解されたい。また、スイッチの1つまたはそれ以上を自動で動作することもできる。たとえば、スイッチは、キャップの配置もしくは注射デバイスからの除去、または用量投薬機構の投薬用量、または用量設定機構の動作を検出するように配置することができる。ここで、スイッチは、適切または必要な場合、注射デバイスに設けることもでき、アタッチメント部分および受け部は、2つの部材を電気的に接続するための電気接触を提供することもできる。
【0079】
電源190は、それぞれの部材に電力を供給するためにアクセサリに設けられている。
【0080】
図11を参照すると、投与計画を管理する方法が示されている。この方法は、工程S100において、注射前のイメージを取得することを含む。注射前のイメージは、工程S200において注射工程が完了する前のLDN260の位置を記録する。注射前のイメージを取得することは、スイッチ180の動作によってトリガすることができるか、または代替的に、先の注射の注射後のイメージが、メモリから使用されるか、または呼び出される。
【0081】
工程S200は、注射工程を完了することを含む。注射工程は、用量設定機構を用い、注射される予定の用量をダイヤル設定し、薬剤を投薬するように用量投薬機構を起動することを含む。
【0082】
工程S300において、注射後のイメージが取得される。再び、注射後の方法が、イメージセンサ130によって取得され、コントローラは、スイッチの動作によってイメージを取得するようにトリガされる。
【0083】
工程S400において、注射後のイメージおよび場合により注射前のイメージが、画像処理のための遠隔デバイスへ送信される。画像処理工程S500において、遠隔デバイスは、イメージを処理し、ダイヤル設定された用量の測定値を計算する。ここで、ダイヤル設定された用量の測定値は、LDN260の変位、ならびにねじピッチおよび直径のような用量投薬機構の他のパラメータを含む計算とすることができる。画像処理工程は、ダイヤル設定された用量の測定値を計算した後、遠隔デバイスは、計算された測定値をディスプレイ140によって表示されるように通信モジュールへ戻すように送信することができる。
【0084】
代替的に、工程S400は、省略することができ、S500は、アクセサリによって実行することができる。これらの実施形態では、計算された用量が、別のデバイスへ送信されても送信されなくてもよい。
【0085】
使用者は、マニュアルログブックにおいてディスプレイ140に表示された計算された測定値を使用することができる。しかしながら、例示的な実施形態では、遠隔デバイスは、計算されたダイヤル設定された用量の測定値、および場合により他の注射パラメータを電子的にログをとるためのソフトウェアアプリケーションプログラムを含む。たとえば、投与量管理は、コンピュータなどによって実施される。たとえば、スマートフォンまたはタブレットなどのアプリケーションとしてであり、アプリケーションは、注射の時間および投与量を監視し、使用者に注射の時間および投与量を警告する。アプリケーションは、たとえば、注射の時間および日付を自動でログをとるために、注射パラメータを入力および記録するために使用することもできる。
【0086】
上記によれば、アクセサリ100は、注射デバイス200に取り付けることができ、そうする際、アクセサリにおける光学センサ装置130は、注射デバイスにおける窓270と位置合わせされる。これは、アタッチメント部分110に受け部を係合させ、場合によりアクセサリ上の部材について、注射デバイスの部材と合わせることを含むことができる。注射は、LDN260の変位を光学的に監視するように制御された注射デバイス200およびアクセサリ100によって完了される。注射前および注射後のイメージを処理してダイヤル設定された用量の測定値を計算し、この測定値は、用量管理計画に使用される。電子的にログをとり、または電子的ロギングのための測定値を表示することによって、用量管理計画は、たとえば、ダイヤル設定された用量の測定値の記録精度または自動化を改善することにより、改善することができる。
【0087】
アクセサリは、注射デバイスに取り付け可能および取り外し可能であると本明細書に記載されている。これは、廃棄可能な注射デバイスにとって特に役立ち、たとえば、光学センサ装置のリソースは、複数の注射デバイス間で再利用することができる。しかしながら、アクセサリは、注射デバイスの一体部材として形成することができるということも考えられる。いくつかの例では、注射デバイスは、再利用可能な注射デバイスである。一体に形成されるとき、アクセサリは、注射デバイスに恒久的に取り付けられるように構成することができ、または、たとえば、アクセサリの本体は、注射デバイスの共通の本体とすることができる。
【0088】
特許請求の範囲は、本出願では構成の特定の組合せにまとめられてきたが、本開示の範囲は、本明細書に明示的にまたは暗黙的に開示された任意の新規な構成または任意の新規な構成の組合せ、あるいは任意のその一般化をも、それがいずれかの請求項に現在特許請求されているものと同じ開示に関するものであろうとなかろうと、および本開示がするのと同じ技術的課題の一部または全部を緩和するものであろうとなかろうと、含むことを理解されたい。本明細書により、出願人は、新規の請求項は、本出願またはそこから得られる任意のさらなる応用の実行中にそのような構成および/または構成の組合せに示されることを知らせる。
【0089】
いくつかの実施形態を図示および説明したが、本開示の原理に反することなく、変更がこれらの実施形態においてなされることが当業者により理解されるであろう。この範囲は、特許請求の範囲によって定められる。
【0090】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0091】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0092】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0093】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0094】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0095】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0096】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0097】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0098】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0099】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0100】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0101】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0102】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0103】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0104】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0105】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0106】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0107】
本明細書に記載されたAPI、公式、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または除去)が、本開示の完全な範囲から逸脱することなくなされ、これはそのような修正およびそのいずれかおよび全部の均等物を包含するということを、当業者は理解するであろう。