(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】フレキシブルフィルムの接着方法およびそれを実施するための装置
(51)【国際特許分類】
B29C 65/02 20060101AFI20241210BHJP
B29C 65/48 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B29C65/02
B29C65/48
(21)【出願番号】P 2021564725
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2020058459
(87)【国際公開番号】W WO2020221520
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】キンツェルマン,ハンス-ゲオルク
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-236939(JP,A)
【文献】特開平04-151248(JP,A)
【文献】特開2010-247366(JP,A)
【文献】特表2015-530425(JP,A)
【文献】中国実用新案第201849040(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00 - 65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルフィルムをラミネートする方法であって、該方法は:
0)ラミネーションローラーと加熱装置を含む搬送系を提供すること、ここで、ラミネーションローラーはプロセス方向に沿って加熱装置の後ろに配置されている
i)熱可塑性の表面を有する第1フィルム(9)を提供すること
ii)第2フィルム(10)を提供すること
iii)第1フィルムと第2フィルムを圧力により一緒にすること、ここで、第1フィルムの熱可塑性表面を加熱して軟化させた後、第2フィルムと一体化する;
を含み、
第1フィルムの表面の加熱は、加熱可能なローラー(1、2)のアセンブ
リによって行うこと
第1および第2フィルムを接触させるための手段は、ラミネーションローラーを含むこと、および
第2フィルム(10)の表面を接着剤でコーティングすること、ここで、2g/m
2未満の塗工量で接着剤を第2フィルムに塗布する
を特徴とする、方法。
【請求項2】
第1フィルムの熱可塑性表面の加熱は、2~10個の加熱可能なローラー(1、2)のアセンブリによって行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1フィルムの熱可塑性表面の加熱は、2~5個の加熱可能なローラー(1、2)のアセンブリによって行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
加熱可能なローラー(1,2)のそれぞれが、第1フィルムと各ローラーの距離を調節することによって個別に制御可能であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
第1フィルム(9)は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレンコポリマー、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリアミドおよびアイオノマーから選択される材料を含んでなる、または作られていることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
第2フィルム(10)は、金属、金属合金、熱硬化性または熱可塑性プラスチック、有機ポリマー、テキスタイルおよび不織布材料から選択される材料を含んでなるか、または作られていることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
1g/m
2未満の塗工量で接着剤を第2フィルムに塗布することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
0.01~0.7g/m
2の塗工量で接着剤を第2フィルムに塗布することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
a)熱可塑性の表面を有する第1フィルム(9)を供給するための供給装置;
b)第2フィルム(10)を供給するための供給装置、ここで、第2フィルム(10)の表面は接着剤でコーティングされ、接着剤は2g/m
2未満の塗工量で第2フィルムに塗布される;
c)第1フィルム(9)の熱可塑性表面を加熱して、熱可塑性表面を軟化状態にするための加熱装置;
d)第1フィルム(9)と第2フィルム(10)を接触させるためのラミネーションローラー;および
e)接合した第1および第2フィルムを吐出するための出力装置
ここで、
第1フィルムの表面の加熱は加熱可能なローラー(1、2)のアセンブリ
によって行われ、加熱可能なローラー(1,2)のそれぞれが個別に制御可能である、
を含む搬送系を含んでなる装置であって、
加熱可能なローラー(1,2)は、第1フィルムと各ローラーの接触面積を調節することによって個別に制御可能であること、および
ラミネーションローラーはプロセス方向に沿って加熱装置の後ろに配置されていること
を特徴とする、装置。
【請求項10】
ローラー(1,2)は線形および非線形で調節可能であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
各ローラー(1,2)がアクティブに駆動されることを特徴とする、請求項9~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの加熱可能なローラー(1,2)に近接して、少なくとも1つのラミネーションローラーが配置されていることを特徴とする、請求項9~11のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1フィルムの表面を軟化状態に変換してから、その軟化した表面を第2フィルムに接触させることにより、フレキシブルフィルムを接着する方法、本発明の方法を実施するための装置、および本発明の方法または本発明の装置によって得られる複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルフィルムを接着する方法は、当業者には知られており、多種多様な異なる実施形態や接着剤をカバーしている。ほとんどの場合、フィルムを互いに接着するには、フィルムを完全に接着して剥離を避けるために、かなりの量の接着剤が必要となる。しかし、持続可能性や資源保護の観点から、フレキシブルフィルムをラミネートする際に必要な接着剤の量を減らす試みがなされている。
【0003】
US5,250,610には、カルボン酸基を含む高分子量ポリヒドロキシル成分と有機ポリイソシアネートをベースにした水性ポリウレタン分散液を材料またはワークピースの表面に塗布し、前記表面を別の材料またはワークピースの表面と接触させることを含む方法によって製造される複合体が開示されている。特殊な水性ポリウレタン分散液を使用することで、接着剤の量を1.5g/m2にまで減らすことができる。
【0004】
WO97/03821には、触媒によって硬化が促進される流体接着剤を第1の固体フィルムに塗布した後、プラスチック材料で全体または部分的に構成される第2の固体または流体フィルムを接触させ、後者のフィルムには接着剤の硬化を促進する触媒が含まれている積層体を作成する方法が記載されている。接着剤の塗布量は1.5g/m2である。
【0005】
しかし、接着剤の量を減らすと、剥離の危険性のほか、工程中に気泡が混入する危険性も高まる。このようにトラップされた気泡は、特に透明フィルムを使用した場合、得られる複合体に視覚的に認識され、得られる製品の光学的および機械的性能に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、ほとんどの場合、接着剤は基材間の結合として作用するだけでなく、接着される基材の表面の凹凸を補正することもできる。そのため、接着剤の量を減らす場合は、接着前に基材の表面を平滑にする別の方法が必要になる。基材の表面を滑らかにするには、その表面を加熱して凹凸を滑らかにする方法がある。
【0006】
US2015/0140307は、2つの基材を接着する方法を開示しており、この方法は、第1の基材上に接着剤を塗布し、塗布された接着剤を有する第1の基材を熱可塑性プラスチック製の第2の基材と一緒にし、加熱によって第2の基材の表面を軟化状態に変換することを含み、圧力によって、加熱前、加熱中および/または加熱直後に、基材を互いに接着する。接着剤は塗布量2g/m2以下で塗布される。
【0007】
Bob Pasquale氏の記事「Lamination system application and design considerations」では、熱と圧力で2枚以上のウェブを貼り合わせるサーマルボンドラミネーションなど、複数のウェブを貼り合わせるいくつかの異なる方法についてまとめている。この場合、メインのヒートロールについて予熱された一次ウェブと、ラミネーションの前に予熱される可能性のある二次ウェブが、ニップポイントで一次ウェブに導入される。この記事では、ウェブの予熱はできるだけラミネートポイントの近くで行うこと、またラミネート後やメインのヒートロールから出た後、できるだけ早く製品を冷却することの重要性が強調されている。
【0008】
DE102005028661は、厚さの異なる2つの熱可塑性フィルムを熱照射源に導き、2つのフィルムを一緒にする前に軟化または溶融させる、2層フィルムの製造方法について言及しており、軟化または溶融は赤外線照射器を用いて行われる。
【0009】
US2011/0086237は、熱可塑性の第1の材料を第2の材料に接合するための接合装置を開示しており、この装置は、第1の材料の接合面を加熱して接合面を溶融させるためのヒータ配置と、第1および第2の材料を一緒に移動させて接合状態にするための移動手段とを含む。
【0010】
しかし、表面は滑らかになるものの、通常、加熱には加熱された基材の変形、特に延伸が伴うため、得られる複合体にはねじれや歪みが生じる。
【0011】
US6,599,387は、プラスチック部品から平らな複合体を製造する方法に関するもので、その方法は、片側で加熱された2つのプラスチック部品の表面を熱接着するもので、表面は接着側でビカット軟化点より10~100K高い表面温度に加熱され、ただし、プラスチック部品は予熱段階で元の形状を保持し、5~200mm/secの前進速度で、10~500Nの押圧力をロールに作用させて、一対のロール間で押圧する。プラスチック部品の接着面を加熱するには、高周波電磁界や超音波などの間接的な物理的方法と、温風機や赤外線照射機などの直接的な熱照射方法がある。好ましくは、熱応力を避けるために、プラスチック部品をオーブンで予熱する。
【0012】
US2017/0203543は、2つの基材を接着的に結合する方法を提供することによって上記の問題に対処しており、この方法は、(i)少なくとも1つの支持コンベアベルト上の少なくとも1つの熱可塑性プラスチックを含む第1のフィルム状の基材を、第1の基材の表面が軟化状態に変化するように基材を加熱する加熱ゾーンを介して搬送する工程と、(ii)第1の基材を第2の基材と一緒にする工程であって、ここで、第2の基材の表面が0.01~4g/m2のコーティング重量で接着剤によりコーティングされており、加熱中および/または加熱直後に、(iii)2つの基材を圧力によって接着的に結合する工程を含む。
【0013】
加熱された基材フィルムの変形を最小限に抑えるために、支持用のコンベアベルトを使用する先行技術の方法には、コンベアベルトの動作速度に特別な注意を払わなければならないという欠点がある。また、縦方向の変形は抑えられても、横方向の変形の問題は解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許第5,250,610号明細書
【文献】国際公開第97/03821号
【文献】米国特許出願公開第2015/0140307号明細書
【文献】独国特許発明第102005028661号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0086237号明細書
【文献】米国特許第6,599,387号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0203543号明細書
【非特許文献】
【0015】
【文献】Bob Pasquale, "Lamination system application and design considerations"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、ラミネート中にフィルムが変形する危険性がなく、フレキシブルフィルムをラミネートできる方法を提供することである。
【0017】
驚くべきことに、上記の目的は、フィルムの加熱が加熱可能なローラーの集合体(アセンブリ)によって行われる方法によって解決されることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の目的は、したがって、フレキシブルフィルムを接着するための方法であって、この方法は以下を含む。
i)熱可塑性の表面を有する第1フィルムを提供する;
ii)第2フィルムを提供する;
iii)第1フィルムと第2フィルムを、圧力によって一緒にする;
ここで、第1フィルムの熱可塑性表面を加熱して軟化させた後、第2フィルムと一体化する;
第1フィルムの表面の加熱は、加熱可能なローラー(1、2)のアセンブリによって行うことを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による軟化状態とは、基材が元の形状を失うことなく寸法的に安定している状態で、基材の表面を塑性変形させることができる基材の状態をいう。
【0020】
好ましい実施形態では、第2フィルムの表面は接着剤でコーティングされている。
【0021】
フィルムの表面を加熱可能なローラーの集合体で加熱することにより、ラジエーターや熱風による複雑な加熱を避けることができる。さらに、驚くべきことに、フィルムの熱可塑性表面に加熱ローラーを直接接触させることで、加熱効率が格段に向上することを見出した。さらに、熱可塑性フィルムがローラーの表面に直接接触しているためと思われる、表面のさらなる滑らかさが観察された。また、表面を加熱する手段をフィルムの搬送系に含めることで、フィルムの縦方向や横方向の変形の危険性なく、フィルムの搬送速度を上げることができた。
【0022】
好ましい実施形態では、加熱可能なローラーの集合体は、2~10個、特に2~5個の加熱可能なローラーを含み、これらのローラーはプロセス方向に対して水平に連続して配置されているのが好ましい。第1フィルムの熱可塑性表面は、加熱装置によって軟化状態に変換される。ただし、フィルムにダメージを与えないように、表面が加熱されないように注意する必要がある。そのためには、加熱時のエネルギーの投入を、プロセスを中断することなく制御することが望ましい。驚くべきことに、加熱可能なローラーと第1フィルムの間の距離を調節することで、エネルギー入力を制御できることがわかった。好ましい実施形態では、アセンブリの各加熱可能なローラーは、個別に制御可能であり、例えば、1つ以上の加熱可能なローラーを第1フィルムとの接触から取り除くことにより、加熱可能なローラーと第1フィルムの距離を調節できる。この手順では、熱可塑性プラスチックの表面を加熱する際に、個別に簡単に調節できることが意外にもわかった。アセンブリの加熱可能なローラーの温度は、第1フィルムの熱可塑性表面の軟化点に応じて調節してもよい。熱可塑性材料の軟化点は、例えば、熱変形法(ASTM D648)やリングアンドボール法(ISO 4625)など、さまざまな方法で測定できる。一般的に使用されている熱可塑性プラスチックの軟化温度を表にまとめる。好ましい実施形態では、少なくとも1つの加熱可能なローラーは、80~300℃、好ましくは110~200℃の温度を有する。好ましくは、各加熱可能なローラーの温度を個別に制御できる。このようにして、加熱可能なローラーの温度が互いに異なる場合がある。したがって、好ましい実施形態では、加熱可能なローラーのそれぞれは、同じまたは異なる温度を有している。
【0023】
さらに、アセンブリの直径の加熱可能なローラーは、必要に応じて選択できる。好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの加熱可能なローラーは、10~250cm、好ましくは50~100cmの直径を有する。
【0024】
本発明の過程で、驚くべきことに、冷却しなくても加熱されたフィルムの変形を回避できることを見出した。むしろ、加熱可能な各ローラーの温度を個別に調節することでフィルムの温度を制御でき、エネルギーのバランスが改善される。さらに、加熱ローラーの速度を個別に調節することで、追加の制御手段を提供している。好ましい実施形態では、加熱可能なローラーのそれぞれが積極的に駆動される。さらに好ましいのは、加熱可能なローラーのそれぞれが能動的に駆動され、個別に対応する実施形態である。
【0025】
本発明の方法の好ましい実施形態では、第1フィルムは、フィルムの両側に配置された一連のローラーに導かれ、各ローラーは、ローラーの表面をフィルムと接触させるために個別に調節可能である。好ましくは、ローラーのセットは、隣り合うローラーが反対の回転方向を持つように操作される。少なくとも、第1フィルムの熱可塑性表面に対向するローラーは、フィルムの熱可塑性表面を軟化状態に移行させるための加熱可能なローラーである。ローラーを個別に調節することで、ローラーとフィルムの間の接触面積を必要に応じて調整し、熱可塑性表面のエネルギー入力を正確に調節できることを見出した。ローラーは、直線的および/または非直線的に調節可能であることが好ましい。
【0026】
本発明の方法は、例えば食品包装に使用されるようなフレキシブルフィルムを接着するために設計されている。好ましい実施形態では、第1フィルムは、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル、エチレン-アクリルレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体およびエチレン-アクリル酸共重合体などのエチレン共重合体、ポリエステル、ポリラクチド、ポリアミドおよびアイオノマーから選択された材料を含むか、またはそれらで構成される。特に好ましい実施形態では、第1フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらの混合物を含んでなるか、またはそれらで構成される。
【0027】
好ましい実施形態では、第2フィルムは、アルミニウム、鉄、亜鉛などの金属、青銅やアルミニウム合金などの金属合金、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエステル、ポリアミドなどの熱硬化性または熱可塑性プラスチック、セロファンなどの有機ポリマー、紙やダンボール、織物、不織布などから選択された材料を含んでなるか、または構成されている。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、第1フィルムと第2フィルムの間の結合強度をさらに高めるために、第2フィルムの表面が接着剤でコーティングされている。本発明の第1フィルムの加熱により、フィルム同士の接着に必要な接着剤の量を大幅に減らすことができる。好ましい実施形態では、接着剤は、2g/m2未満、好ましくは1g/m2未満、特に0.01~0.7g/m2のコーディング重量で第2フィルムの表面に塗布される。驚くべきことに、接着剤の使用量を減らしたにもかかわらず、製品の剥離は見られなかった。一方、接着されたフィルムは優れた接着強度を示し、様々な用途に適している。本発明の方法では、任意の適切な接着剤を使用できる。しかし、好ましい実施形態では、本発明の方法に採用される接着剤は、溶媒含有、水性または無溶媒の形態の熱可塑性接着剤または架橋性接着剤から選択される。さらに好ましいのは、接着剤が、ポリウレタン、エチレン-酢酸ビニルなどの熱可塑性ポリマー、アクリレート接着剤などの溶剤含有接着剤、1成分または2成分ポリウレタン接着剤、シラン架橋接着剤、1成分ポリウレタン接着剤、無溶剤の1成分または2成分ポリウレタン接着剤などの反応性接着剤、シラン系または放射線架橋系をベースにしたものである実施形態である。
【0029】
本発明の別の目的は、本発明による方法を実施するための装置である。本発明による装置は以下を含んでなる。
a)熱可塑性の表面を有する第1フィルムを供給するための供給装置;
b)第2フィルムを供給するための供給装置
c)第1フィルムの熱可塑性表面を加熱して、熱可塑性表面を軟化状態にするための加熱可能なローラーのアセンブリ;
d)第1フィルムと第2フィルムを接触させる手段、および
e)接合された第1および第2のフィルムを分散させるための出力装置。
【0030】
本発明の装置のセットアップでは、フィルムを搬送する速度を個別に調節できる。好ましい実施形態では、ローラーは積極的に駆動される。
【0031】
驚くべきことに、加熱時のエネルギー投入量を注意深く制御することで、加熱されたフィルムの変形を回避できることがわかった。好ましい実施形態では、本発明の装置に含まれる加熱可能なローラーは、したがって個別に制御可能である。
【0032】
本発明の装置の好ましい実施形態では、装置は、フィルムの両側に配置された一連のローラーからなり、各ローラーは、ローラーの表面をフィルムに接触させるために個別に調節可能である。好ましくは、ローラーのセットは、隣り合うローラーが反対の回転方向になるように操作される。少なくとも、第1フィルムの熱可塑性表面に対向するローラーは、フィルムの熱可塑性表面を軟化状態に移行させるための加熱可能なローラーである。ローラーを個別に調節することで、ローラーとフィルムの間の接触面積を必要に応じて調整でき、熱可塑性表面のエネルギー入力を正確に調節でき、追加の冷却が不要になることを見出した。ローラーは、直線的および/または非直線的に調節可能であることが好ましい。
【0033】
好ましい実施形態では、本発明の装置は、第2フィルムの表面を接着剤でコーティングする手段をさらに含む。
【0034】
本発明の装置は、熱可塑性の表面を有し、その表面が軟化した状態の第1フィルムと、第2フィルムとを接触させる手段を含む。好ましい実施形態では、第1および第2のフィルムを接触させる手段は、第1フィルムの軟化した表面に第2フィルムを押し付けるための少なくとも1つのラミネーションユニットを含む。
【0035】
ラミネートユニットは、プロセス方向に沿って加熱装置の後ろに配置されていることが好ましい。特に好ましい実施形態では、ラミネーションユニットは、少なくとも1つの加熱可能なローラーに近接して配置されている。好ましい実施形態では、第1フィルムと第2フィルムの接触は、少なくとも1つの加熱可能なローラーとラミネーションユニットの間でフィルムを導くことによって実現される。ラミネーションユニットは、加熱可能なラミネーションローラーの形で提供されるのが好ましい。驚くべきことに、2つのローラー(一方は加熱可能なローラー、他方は非加熱可能なローラー)を有するラミネートユニットを採用することで、ラミネートが改善されることを見出した。特に好ましい実施形態では、ラミネーションユニットは、少なくとも2つのローラーを含んでなり、そのうちの1つは好ましくは加熱可能なローラーである。ラミネートユニットの好ましい設計により、ローラーの直接接触によって接着されるフィルムの部位を加熱することにより、第1フィルムの熱可塑性表面を非常に効果的に活性化させることができる。
【0036】
本発明の装置のいずれの構成要素も、迅速かつ効率的な生産を保証する方法で操作できる。好ましい実施形態では、第1フィルムは、第2フィルムの0.5~1.5倍、好ましくは0.9~1.1倍の速度で搬送される。さらに、加熱可能なローラーの速度は、必要に応じて第1および/または第2のフィルムの速度と相対的に適合させることができる。
【0037】
本発明の方法および本発明の装置は、特にフレキシブルフィルムをラミネートするために設計されている。本発明のさらなる目的は、したがって、本発明による方法または本発明による装置によって得られる複合体である。本発明の方法が接着剤を用いて行われる場合、本発明の複合体は、フィルム間の接着剤の薄い層によって特に区別される。接着層は、好ましくは5μm未満、好ましくは2μm未満、特に1μm未満の厚さを有する。
【0038】
本発明は、以下の図を参照してより詳細に説明されるが、これらの図は決して本発明の範囲や精神を限定するものと理解されるべきでない。
本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕フレキシブルフィルムをラミネートする方法であって、該方法は:
i)熱可塑性の表面を有する第1フィルム(9)を提供すること
ii)第2フィルム(10)を提供すること
iii)第1フィルムと第2フィルムを圧力により持ってくること
ここで、第1フィルムの熱可塑性表面を加熱して軟化させた後、第2フィルムと一体化する;
を含み、第1フィルムの表面の加熱は、加熱可能なローラー(1、2)のアセンブリによって行うことを特徴とする、方法。
〔2〕第2フィルム(10)の表面を接着剤でコーティングすることを特徴とする〔1〕に記載の方法。
〔3〕第1フィルムの熱可塑性表面の加熱は、2~10個、好ましくは2~5個の加熱可能なローラー(1、2)のアセンブリによって行うことを特徴とする、〔1〕および〔2〕のいずれかに記載の方法。
〔4〕アセンブリの加熱可能なローラー(1,2)のそれぞれが個別に制御可能であることを特徴とする、前記項のいずれかに記載の方法。
〔5〕第1フィルム(9)は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレンコポリマー、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリアミドおよびアイオノマーから選択される材料を含んでなる、または作られていることを特徴とする、前記項のいずれかに記載の方法。
〔6〕第2フィルム(10)は、金属、金属合金、熱硬化性または熱可塑性プラスチック、有機ポリマー、テキスタイルおよび不織布材料から選択される材料を含んでなるか、または作られていることを特徴とする、前記項のいずれかに記載の方法。
〔7〕2g/m
2
未満、好ましくは1g/m
2
未満、特に0.01~0.7g/m
2
の塗工量で接着剤を第2フィルムに塗布することを特徴とする、〔2〕に記載の方法。
〔8〕〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の方法を実施するための装置。
〔9〕a)熱可塑性の表面を有する第1フィルムを供給するための供給装置;
b)第2フィルムを供給するための供給装置;
c)第1フィルムの熱可塑性表面を加熱して、熱可塑性表面を軟化状態にするための加熱可能なローラーのアセンブリ;
d)第1フィルムと第2フィルムを接触させる手段;および
e)接合した第1および第2フィルムを吐出するための出力装置
を含むことを特徴とする〔8〕に記載の装置。
〔10〕アセンブリの加熱可能なローラー(1,2)のそれぞれが個別に制御可能であることを特徴とする、前記項のいずれかに記載の装置。
〔11〕ローラー(1,2)が個別に調節可能で、好ましくは線形および非線形で調節可能であることを特徴とする、前記項のいずれかに記載の装置。
〔12〕各ローラー(1,2)がアクティブに駆動されることを特徴とする、前記項のいずれかに記載の装置。
〔13〕第1および第2フィルムを接触させるための手段は、好ましくは少なくとも1つの加熱可能なローラー(1,2)に近接して配置された少なくとも1つのラミネーションユニットを含むことを特徴とする、前記項のいずれかに記載の装置。
〔14〕〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の方法または〔8〕~〔13〕のいずれかに記載の装置によって得られた複合体。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、直線的に調節可能な一組のローラーを第1フィルムのどちら側にも配置される本発明の実施形態であって、本発明の装置がアイドル状態にある実施形態を示す。
【
図2】
図2は、直線的に調節可能な一組のローラーを第1フィルムのどちら側にも配置される本発明の実施形態であって、本発明の装置が作業状態にある実施形態を示す。
【
図3】
図3は、一組のローラーが非線形に調整可能である本発明の実施形態であって、本発明の装置がアイドル状態にある実施形態を示す。
【
図4】
図4は、一組のローラーが非線形に調整可能である本発明の実施形態であって、本発明の装置が作業状態にある実施形態を示す。
【0040】
図1および
図2は、直線的に調節可能な一組のローラーを第1フィルムのどちら側にも配置される本発明の実施形態を示している。
図1は、本発明の装置がアイドル状態にある実施形態を示し、
図2は、本発明の装置が作業状態にある実施形態を示す。熱可塑性の表面を持つフィルム(9)を、少なくとも1つのローラーが加熱可能なローラーである一連のローラー(1,2)に通して、フィルムの熱可塑性表面を軟化した状態にする。ローラー(1,2)のフィルムへの接触は、軸(5)に沿ってローラーを調節することで確立される。これにより、フィルムとローラーの接触面積を必要に応じて調整できる。一連のローラーに導かれた後、第1フィルム(9)は、第2フィルム(10)の表面が、軟化状態にある第1フィルム(9)の熱可塑性表面に接触するように、第2フィルム(10)と接触させられる。ラミネートユニット(7)を介して接触を行い、ラミネート製品(11)を得る。
【0041】
図3および
図4は、一組のローラーが非線形に調整可能である本発明の実施形態を示しており、
図3は本発明の装置がアイドル状態にあることを示し、
図4は本発明の装置が作業状態にあることを示している。熱可塑性の表面を持つフィルム(9)を、少なくとも1つのローラーが加熱可能なローラーである一連のローラー(1,2)に通して、フィルムの熱可塑性表面を軟化した状態にする。ローラー(1,2)のフィルムへの接触は、軸(5)に沿ってローラーを調節することで確立される。これにより、フィルムとローラーの間の接触面積を最大化し、高い効率性を実現している。一連のローラーに導かれた後、第1フィルム(9)は、第2フィルム(10)の表面が、軟化状態にある第1フィルム(9)の熱可塑性表面に接触するように、第2フィルム(10)と接触させられる。ラミネートユニット(7)を介して接触を行い、ラミネート製品(11)を得る。
【符号の説明】
【0042】
参照符号の一覧:
1 上部ローラー
2 下部ローラー
3 接触エリア
4 回転方向
5 軸の動き
6 フロントプーリー
7 ラミネーションユニット
8 軸
9 第1フィルム
10 第2フィルム
11 ラミネート