(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】健康行動支援装置、健康行動支援方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20241211BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20241211BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H50/30
(21)【出願番号】P 2023146986
(22)【出願日】2023-09-11
(62)【分割の表示】P 2022513028の分割
【原出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茂垣 武文
(72)【発明者】
【氏名】永田 健悟
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 等
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0138447(US,A1)
【文献】特開2020-027550(JP,A)
【文献】特開2017-040981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G16Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの遺伝子情報に基づいて前記ユーザの健康を向上させるために推奨される行動である健康行動を前記ユーザに設定する推奨行動設定部と、
前記ユーザが使用する電子機器で実行可能なアプリケーションプログラムであって、前記ユーザによる前記健康行動の実施を支援するためのアプリケーションプログラムを、前記ユーザに設定された健康行動に応じて選定するアプリ選定部と、
を備え
、
前記推奨行動設定部は、健康行動と行動分類との対応情報を保持するデータベースから、前記ユーザに設定した健康行動に対応する行動分類を特定し、
前記アプリ選定部は、特定された前記行動分類をもとに、行動分類と健康アプリの対応情報を保持するデータベースから、前記ユーザに設定された前記健康行動に対応する健康アプリを選定する、
健康行動支援装置。
【請求項2】
前記ユーザによる前記アプリケーションプログラムの活用度を判定するアプリ活用度判定部と、
前記アプリケーションプログラムの活用度に応じて、前記健康行動に関するアドバイスを通知する、又は前記ユーザに実施した健康行動に応じた報酬を与える行動内容判定部と、
をさらに備える、
請求項1に記載の健康行動支援装置。
【請求項3】
コンピュータが、
ユーザの遺伝子情報に基づいて前記ユーザの健康を向上させるために推奨される行動である健康行動を前記ユーザに設定する推奨行動設定ステップと、
前記ユーザが使用する電子機器で実行可能なアプリケーションプログラムであって、前記ユーザによる前記健康行動の実施を支援するためのアプリケーションプログラムを、前記ユーザに設定された健康行動に応じて
選定するアプリ
選定ステップと、
を
実行する
健康行動支援方法であって、
前記推奨行動設定ステップにおいて、健康行動と行動分類との対応情報を保持するデータベースから、前記ユーザに設定した健康行動に対応する行動分類を特定し、
前記アプリ選定ステップにおいて、特定された前記行動分類をもとに、行動分類と健康アプリの対応情報を保持するデータベースから、前記ユーザに設定された前記健康行動に対応する健康アプリを選定する、
健康行動支援方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の健康行動支援装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の健康管理を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、関連法規に基づき、いわゆる健康診断や人間ドックといった定期健診が企業の従業員に対して行われている。定期健診を受ける従業員(以下「受診者」という。)が受ける検査項目は、受診者が希望する検査項目の追加が認められる場合もあるが、基本的には、受診者を雇用する企業が定める共通の検査項目であることが多い。そのため、従来の定期健診では、企業の労務環境に起因して、その企業の従業員が共通的にかかりやすい疾患や、かかりやすさに個人差のある疾患について、必ずしも適切な検査項目が設定されない場合があった(例えば、非特許文献1参照)。また、健康を向上させるために推奨される行動(以下「推奨行動」という。)をユーザに提案し、ユーザが提案された行動を実現したことに対して一定のインセンティブを与えることで、ユーザの健康を促進するサービス(以下「健康サービス」という。)を提供することが行われている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】https://www.neckenpo.or.jp/member/hoken/fushime_ningen_dok.php, 「人間ドック補助(節目健診)」,NECけんぽ 日本電気健康保険組合
【文献】https://health.dmkt-sp.jp/,dヘルスケア,NTT DOCOMO
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の定期健診や健康サービスでは、検査項目や推奨行動が受診者やユーザの特性に応じて設定されない場合があった。そのため、従来の定期健診や健康サービスは受診者やユーザの健康改善に十分に貢献できていない可能性があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、より個人の特性に応じた健康管理を実現することができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ユーザの遺伝子情報に基づいて前記ユーザの健康を向上させるために推奨される行動である健康行動を前記ユーザに設定する推奨行動設定部と、前記ユーザが使用する電子機器で実行可能なアプリケーションプログラムであって、前記ユーザによる前記健康行動の実施を支援するためのアプリケーションプログラムを、前記ユーザに設定された健康行動に応じて選定するアプリ選定部と、を備える健康行動支援装置である。
【0007】
本発明の一態様は、ユーザの遺伝子情報に基づいて前記ユーザの健康を向上させるために推奨される行動である健康行動を前記ユーザに設定する推奨行動設定ステップと、前記ユーザが使用する電子機器で実行可能なアプリケーションプログラムであって、前記ユーザによる前記健康行動の実施を支援するためのアプリケーションプログラムであるミッション管理アプリを、前記ユーザに設定された健康行動に応じて決定するアプリ決定ステップと、を有する健康行動支援方法である。
【0008】
本発明の一態様は、上記の健康行動支援装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、より個人の特性に応じた健康管理を実現することができる技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態における臨床検査項目決定装置の機能構成の具体例を示す図である。
【
図2】第1実施形態における遺伝モデルの生成方法の具体例を示す図である。
【
図3】食道がんの発症に関する、アルコール脱水素酵素(ADH)のSNP1と、アセトアルデヒド脱水素酵素ALDH2のSNP2と、飲酒又は喫煙の生活習慣との関係を示す図である。
【
図4】第1実施形態における非遺伝モデルの生成方法の具体例を示す図である。
【
図5】第1実施形態における体質の推定方法の具体例を示す図である。
【
図6】第1実施形態における検査項目の決定方法を説明する第1の図である。
【
図7】第1実施形態における検査項目の決定方法を説明する第2の図である。
【
図8】第1実施形態における検査項目の決定方法を説明する第3の図である。
【
図9】第2実施形態における健康行動支援装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。
【
図10】第2実施形態におけるミッションの設定方法の具体例を示す図である。
【
図11】第2実施形態における健康アプリの選定方法の具体例を示す図である。
【
図12】第2実施形態におけるアプリ活用度の判定方法の具体例を示すフローチャートである。
【
図13】第2実施形態における行動内容の判定方法の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における臨床検査項目決定装置の機能構成の具体例を示す図である。臨床検査項目決定装置1は、ユーザの体質又は所属組織に基づいて、当該ユーザに実施する臨床検査の項目(以下「検査項目」という。)の決定を支援する装置である。臨床検査項目決定装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。臨床検査項目決定装置1は、プログラムの実行によってデータベース11、遺伝モデル生成部12、非遺伝モデル生成部13、体質推定部14および検査項目決定部15を備える装置として機能する。なお、臨床検査項目決定装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0012】
データベース11は、各ユーザの検査項目を決定するのに必要な各種情報を記憶するデータベースである。データベース11は、他の機能部の要求に応じて、各種データの登録、登録済みデータの削除、要求されたデータの提供を行う。
【0013】
遺伝モデル生成部12は、各ユーザの遺伝モデルを生成する機能を有する。遺伝モデルは、ユーザが疾病を発症する可能性(生涯累積罹患リスクを意図するが、簡便のため、以下「発症率」という。)をユーザの遺伝子的性質による要因(以下「遺伝的要因」という。)に基づいて推定するためのモデルである。具体的には、遺伝モデル生成部12は、ユーザの遺伝子情報を入力として、各疾病の発症率の推定値を出力する推定モデルを遺伝モデルとして生成する。なお、遺伝モデル生成部12により推定される発症率は、基本的には、ユーザの遺伝的要因に基づいて推定されるものであり、ユーザの非遺伝的要因による影響は考慮されていないものとする。
【0014】
また、発症率の推定には、ユーザが定期健診などで過去に受けた臨床検査の結果を示す情報や生活習慣の情報(以下「健診履歴等情報」という)がさらに用いられてもよい。この場合、遺伝モデル生成部12は、遺伝子情報に加えて健診履歴等情報を入力とする遺伝モデルを生成してもよい。所定の遺伝子を持つユーザが所定の生活習慣(喫煙等)がある場合に、発症率が極めて高くなる場合がある。このような遺伝子情報と健診履歴等情報の組み合わせを考慮することにより発症率の精度を高めることができる。
【0015】
また、遺伝モデル生成部12は、遺伝モデルとは別に、健診履歴の情報を入力として発症率を出力する推定モデル(以下「健診履歴モデル」という。)を生成してもよい。なお、遺伝モデルとは別に健診履歴モデルが生成される場合、両モデルによって推定された発症率に基づいて各疾病の発症率が決定されてもよい。例えば、各疾病の発症率は、遺伝モデルに基づいて推定された発症率と、健診履歴モデルに基づいて推定された発症率との重み付け和として決定されてもよい。遺伝子による発症率と健診履歴等情報による発症率の相関の度合いが明確でない場合であっても発症率の推定精度を高めることができる。
【0016】
非遺伝モデル生成部13は、ユーザの非遺伝モデルを生成する機能を有する。非遺伝モデルは、ユーザの遺伝的要因以外の要因(以下「非遺伝的要因」という。)による疾病の発症率を推定するためのモデルである。例えば、非遺伝的要因には、ユーザの身体的特徴、生活習慣、年齢、健診結果等が含まれる。なお、ここでいう生活習慣には、飲酒や喫煙といった個々人の生活習慣が含まれる。
【0017】
また、疾病の発症率は前述したようなユーザ個人の身体的特徴や生活習慣に加え、ユーザが会社等の所属組織で行う活動において受ける身体的負荷や行動の制約等によって変化する場合がある。例えば、デスクワークを中心とする組織であれば、ユーザの運動量が一般的な平均値を下回る可能性が高く、運動不足に起因する生活習慣病にかかりやすいと想定される。このため、非遺伝的要因としての生活習慣には、所属組織におけるユーザの活動に基づく要因が含まれてもよい。
【0018】
例えば、上記の運動不足に起因する生活習慣病に関しては、ユーザごとに測定された運動量の指標値を非遺伝的要因に含めてもよい。また、ユーザごとに運動量の指標値を測定することが難しい場合には、その運動量に相関する情報を非遺伝的要因に含めてもよい。例えば、ユーザの運動量が職種によって異なると考えられる場合には、各ユーザの職種を非遺伝的要因に含めてもよい。また例えば、ユーザの運動量が所属組織によって異なると考えられる場合には、各ユーザの所属組織を非遺伝的要因に含めても良い。このように、非遺伝的要因には、疾病の発症率に相関すると考えられる任意の直接的要因又は間接的要因を含めることができる。
【0019】
なお、非遺伝モデルは必ずしも1つの推定モデルとして構成される必要はなく、異なる非遺伝的要因又はその組み合わせに基づく複数の推定モデルの推定結果に基づいて最終的な発症率を推定するように構成されてもよい。また、非遺伝的要因は、単年のデータに基づいて設定されてもよいし、複数年のデータに基づいて設定されてもよい。複数年のデータに基づく非遺伝的要因を入力とすることにより、非遺伝的要因の経年変化を考慮した非遺伝モデルを生成することができる。
【0020】
体質推定部14は、ユーザの遺伝モデル及び/または非遺伝モデルに基づいて当該ユーザの体質を推定する機能を有する。なお、ここでいうユーザの体質とは、当該ユーザの遺伝的要因及び/または非遺伝的要因から推定された疾病の発症率のことである。なお、疾病リスクにはユーザの遺伝的な性質とユーザの非遺伝的要因が相互に影響を及ぼす場合がある。例えば、所定の遺伝子多型を有するユーザが喫煙を行った場合に肺がんを発症しやすいなどである。このような場合、後述するように2つのモデルで推定した疾病リスクの重みづけ和をとってもよいし、ユーザの遺伝的性質とユーザの非遺伝的性質の両方に基づいて1つのモデルを構成してもよい。
【0021】
検査項目決定部15は、ユーザに実施する検査項目を決定する機能を有する。具体的には、検査項目決定部15は、ユーザが所属する会社等の組織(第1の組織)において発症率が高い疾病の検査項目、又は、前記組織及びそれと類似する属性を有する組織(第2の組織)において共通して発症率が高い疾病の検査項目(以下「共通検査項目」という。)と、ユーザごとに個別の検査項目(以下「個別検査項目」という。)とを決定する。検査項目決定部15は、ユーザの所属する組織において、その組織の構成員が各種疾病を発症する確率に基づいて共通検査項目を決定し、体質推定部14によって推定されたユーザの体質に基づいて個別検査項目を決定する。
【0022】
このような構成を備えることにより、第1実施形態の臨床検査項目決定装置1は、ユーザが所属する組織とユーザの体質に応じて、ユーザが発症する可能性が高い疾病の検出に寄与する検査項目をユーザの検査項目に含めることができる。以下、遺伝モデル及び非遺伝モデルの生成方法、ユーザの体質を推定する方法、ユーザの検査項目を決定する方法について詳細に説明する。
【0023】
図2は、第1実施形態における遺伝モデルの生成方法の具体例を示す図である。遺伝モデルの生成には、ケース・コントロール関連分析等を用いることができる。ケース・コントロール関連分析では、疾病とSNP(single-nucleotide polymorphisms)の関連について、疾患を持つ群と持たない群とで、遺伝子多型の頻度に差があるかどうかを統計的に比較し、得られたP値(偶然にそのようなことが起こる確率)が低いほど、関連が強いと考えられる(例えば参考文献1を参照)。
【0024】
また、ある病気についてあるSNPが関連しているということがGWAS(Genome-Wide Association Study:全ゲノム関連研究)を用いた研究により分かることが知られている。具体的には、そのSNPのリスクアレル(R)とノンリスクアレル(N)に関する情報として、ノンリスクホモ(NN)に対するリスクヘテロ(RN)のオッズ比r1と、ノンリスクホモ(NN)に対するリスクホモ(RR)のオッズ比r2とが得られる(例えば参考文献3を参照)。
【0025】
図2は、GWASにおける症例(ケース)と対照(コントロール)における各遺伝子型の標本数をまとめた表である。「対照」は発症していない群のサンプル数を示し、「症例」は発症した群のサンプル数を示す。この場合、上記のオッズ比r1およびr2は次の式(1)により得られる。
【0026】
【0027】
ここで、当該SNPの各遺伝子型(NN,RN,RR)について、リスクアレルRが現れる頻度をp(すなわちノンリスクアレルNが現れる頻度は1-p)、全体の発症率をq、それぞれの遺伝子型における発症率をd1,d2,d3をとして、これらの関係式を解くことにより、各遺伝子型の発症率d1~d3を得る。この場合、SNP単体についての全体の発症率qは次の式(2)によって表され、当該SNP単体についてどの遺伝子型であるかにより発症率を特定することができる。
【0028】
【0029】
また、複数のSNPが関連する場合は、それぞれのSNPの遺伝子型の発症率の乗算モデル等を用いることにより、総合的な発症率Pを例えば式(3)によって表すことができる。
【0030】
【0031】
なお、上記の生成方法に用いられる各ユーザの遺伝子情報は、ユーザ情報の1つとして予めデータベース11に登録されているものとする。また、遺伝モデルの作成は上記の方法に限定されない。例えば、遺伝モデルは、ポリジェニックリスクスコア(例えば参考文献2を参照)等を用いて作成されてもよい。
【0032】
また、上述のとおり、遺伝モデル生成部12により推定される疾病リスクは、基本的には、ユーザの非遺伝的要因による影響は考慮されていない。これは、ユーザの非遺伝的要因による疾病の発症率への影響は、後述する非遺伝モデルによって加味されるためである。しかしながら、SNPに基づく疾病リスクの推定結果は、ユーザの非遺伝的要因との組み合わせで大きく変動することが知られている(例えば参考文献4を参照)。例えば、
図3は、食道がんの発症に関する、アルコール脱水素酵素(ADH)のSNP1と、アセトアルデヒド脱水素酵素ALDH2のSNP2と、飲酒又は喫煙の生活習慣との関係を示す図である。
図3からも分かるように、飲酒又は喫煙の生活習慣を持つユーザの疾病リスクは、SNPに基づいて推定された疾病リスクよりも非常に大きくなることが分かる。そのため、遺伝モデル生成部12は、より正確な疾病リスクを推定するために、SNPとユーザの非遺伝的要因との組み合わせで疾病リスクを推定するように構成されてもよい。
【0033】
遺伝モデル生成部12は、このような手法に基づいて作成した疾病と遺伝子情報の相関性を示す情報を遺伝モデルとしてデータベースに登録する。ここまでで、遺伝子情報と疾病リスクの関係をモデル化することができたといえる。このように得られた遺伝モデルに、疾病リスクを推定する対象のユーザの遺伝子情報を入力することで、当該ユーザの疾病リスクを推定することができる。遺伝モデルの構築と、遺伝モデルを用いた推定は分離して行われてもよい。
【0034】
図4は、第1実施形態における非遺伝モデルの生成方法の具体例を示す図である。例えば、第1実施形態における非遺伝モデル生成部13は、機械学習の手法を用いてユーザの体質を推定するための非遺伝モデルを生成する。例えば
図4(A)は、機械学習による学習モデルの一例としてニューラルネットワークを用いた場合の学習方法を示す。疾病の有無や兆候は健診の結果に表れていることが多く、疾病が発症する傾向はその人の非遺伝的要因により大きく左右される。そこで、非遺伝モデル生成部13は、人の非遺伝的要因(パラメータ1~N)と、各疾病の発症率(Y1~YM)との関係性を学習する。
【0035】
具体的には、非遺伝的要因(説明変数)を示す情報と、その非遺伝的要因を有する集団における各疾病の発症率(目的変数)を示す情報とを対応づけたものを1組のサンプルデータとして、そのサンプルデータを非遺伝的要因の分類ごとに取得したサンプルデータの集合を学習データとして用意する。非遺伝モデル生成部13は、このように用意された学習データをニューラルネットワークの学習モデルに適用することで、説明変数と目的変数との関係性を記述するニューラルネットワークを学習済みモデルとして生成する。非遺伝モデル生成部13は、このように生成した学習済みモデルを体質推定部14に出力する。このように生成された非遺伝モデル(学習済みモデル)に対してユーザの非遺伝情報を入力することで、当該ユーザについて各疾病の発症率を推定することができる。なお、機械学習の手法は上記のニューラルネットワークに限定されない。例えば、機械学習の手法には、GP(Genetic Programming:遺伝的プログラミング)など他の学習モデルが用いられてもよいし、多変量分析などの統計的分析手法が用いられてもよい。
【0036】
ここで、非遺伝情報に含まれ得る健診結果には、血液検査の結果や尿検査の結果、X線検査の結果、心電図の測定結果など、身体検査で測定することができる任意の検査結果を含めることができる。また、非遺伝情報に含まれ得る身体的特徴には、身長や体重、BMI(Body Mass Index)の値、腹囲、血圧、性別等を含めることができる。また、非遺伝情報に含まれ得る生活習慣には、喫煙歴や喫煙量、飲酒暦、飲酒量、平均的な起床時間、平均的な就寝時間、食事の時間帯、一日の運動時間、勤務状況を示す各種情報を含めることができる。また、勤務状況を示す情報には、平均的な勤務開始時刻や平均的な勤務終了時刻、平均的な残業時間、休日出勤の日数、勤務におけるデスクワークの割合、業務の種別、所属する組織や当該組織の特性等、勤務の性質や量を示す任意の情報を含めることができる。
【0037】
図5は、第1実施形態における体質の推定方法の具体例を示す図である。具体的には、体質推定部14は、遺伝モデル生成部12により生成された遺伝モデルと、非遺伝モデル生成部13により生成された非遺伝モデルとのそれぞれで得られた疾病の発症率を重み付け和をとることにより、ユーザの各疾病についての発症率を推定する。ここで、遺伝モデルに基づく疾病の発症率は、ユーザの遺伝子情報と遺伝モデル(遺伝子情報と発症率の相関性を示す)を対比することによって得られる。ユーザの遺伝子情報に疾病との相関性が高い遺伝子多型が含まれている場合、当該疾病について高い発症率が推定される。一方、非遺伝モデルに基づく疾病の発症率は、学習済みモデルにユーザの非遺伝的要因を示すパラメータを入力することによって得られる。例えば、疾病の発症率は、次の式(4)で計算される。
【0038】
【0039】
ここで、αは、遺伝モデルと非遺伝モデルの影響を重み付けするための係数である(0≦α≦1)。αの値は、任意の判断基準に基づいて決定されてよい。例えばαの値は固定値として決定されてもよいし、次のような考え方に基づいて可変値として決定されてもよい。例えば遺伝的要因は変化しにくいと考えられるため、ユーザの年齢に関係なく体質推定のベースとなると考えられる。一方、非遺伝的要因はタイミングや時間の経過によって変化しやすいと考えられるため、遺伝的要因に基づく体質推定のベースに対してタイミングに応じた要因を加味するものと考えられる。例えば、非遺伝的要因の一例として飲酒や喫煙の常習化が挙げられるが、これらの生活習慣は年齢が高くなるほど疾病の発症率を高める傾向にある。この場合、年齢が高くなるほど、非遺伝的要因による発症率への影響が大きくなるように、年齢が高くなるほどαの値を小さくすることが考えられる。
【0040】
一方で、子どもの頃は親の生活習慣の影響を受けやすいが、大人になると各自がそれぞれの性質に合った環境を選択することにより、遺伝子的性質による発症率への影響が増幅される傾向にあると仮定することもできる。この場合、年齢が高くなるほどαの値を大きくすることが考えられる。また、疾病によっては、その発症率が非遺伝的要因の影響を受ける度合いが異なる場合がある。この場合、αの値を疾病ごとに定めてもよい。このように、αの値は、年齢や疾病の種類に応じて変化する関数によって表されても良い(例えば参考文献5を参照)。体質推定部14は、このようにして発症率が求められた各疾病のうち、発症率が閾値を超えている疾病の検査項目を個別検査項目として決定することができる。
【0041】
なお、発症率は、式(4)以外の関係式によって表されてもよい。例えば、発症率は式(4)のような線形式ではなく、非線形式によって表されてもよい。また、例えば、発症率は、式(4)のように、遺伝的要因に基づいて推定された発症率と非遺伝的要因に基づいて推定された発症率とに基づいて最終的な発症率を決定するのではなく、遺伝的要因及び非遺伝的要因の影響を同時に考慮して最終的な発症率を直接的に推定する関係式によって求められてもよい。
【0042】
また、例えば、発症率は、遺伝的要因に基づいて推定された発症率を非遺伝的要因に関するケース・コントロール研究の結果に基づいて補正することによって求められてもよい。例えば、特定の遺伝的要因によって通常の6倍程度の発症率が想定される疾病について、その特定の遺伝的要因に、所定量以上の飲酒および喫煙という特定の生活習慣が非遺伝的要因として加わることで、発症率が190倍になるという実験データが得られたとする。このような場合、体質推定部14は、上記特定の遺伝的要因を有するユーザの発症率を、当該ユーザの非遺伝的要因が実験データに該当するか否かに応じて補正するように構成されてもよい。
【0043】
図6~
図8は、第1実施形態における検査項目の決定方法を説明する図である。
図6~
図8のうち
図6及び
図7は共通検査項目の決定方法の具体例を示す図である。まず、検査項目決定部15は、データベース11から組織情報及び母集団情報を取得する。上述のとおり、組織情報はユーザの所属する組織における各疾病の発症率を示す情報である。また、母集団情報はユーザの所属する母集団における各疾病の発症率を示す情報である。組織情報および母集団情報は、このような組織および母集団に対する疫学的調査の結果を示す情報として予めデータベース11に登録されているものとする。
【0044】
また、ここでいう母集団とは、ユーザが所属する組織よりも規模の大きな集団である。例えば、母集団情報は、ユーザが居住する地域(国、県、市区町村など)における各疾病の発症率を示す情報である。検査項目決定部15は、組織情報及び母集団情報に基づいて、当該組織における発症率が、当該母集団における一般的な発症率よりも高い疾病を抽出し、抽出した疾病の検出に有効な検査項目を当該ユーザの共通検査項目として決定する。
【0045】
例えば、検査項目決定部15は、次の式(5)により、当該組織における各疾病のかかりやすさの指標値を算出し、その指標値が所定の閾値を超える疾病を抽出する。又は、検査項目決定部15は、上記指標値の高いものから順に所定数の疾病を選択してもよい。
【0046】
【0047】
なお、指標値には母集団における発症率に対する、所属組織における発症率の標準偏差等が用いられても良い。また、各疾病に対する有効な検査項目を示す情報は予めデータベース11に登録されているものとする。
【0048】
なお、検査項目決定部15は、共通検査項目の決定において医療費を考慮するように構成されてもよい。例えば、各疾病の発症率が
図7(A)のように設定されており、各疾病の治療に要する費用(医療費)が
図7(B)のように設定されているとする。この場合、検査項目決定部15は、次の式(6)に示すように発症率と医療費の重み付け和を指標値として算出してもよい。なお、式(6)は対象の疾病が「歯肉炎・歯周疾患」である場合における指標値の計算式の例である。
【0049】
【0050】
ここで
図7(B)に示す「医療費」は、発症率との重み付け和をとるために正規化された値であるものとする。例えば、「医療費」の値は、各疾病の医療費を全疾病の医療費のうちの最大の医療費で割った値である。また、式(6)におけるβ及びγは、発症率と医療費の重みを調整するための係数である。β及びγは、発症率と医療費のどちらにどの程度の重きを置くかによって任意に決定されてよい。
【0051】
また、検査項目決定部15は、以下のような疾病については、母集団との比較を行うことなく、その検査項目を共通検査項目に含めてもよい。
・ユーザの所属組織に対して過去に発行されたレセプトに含まれる疾病、又はそれらの疾病のうち罹患者数が多い疾病。このような疾病を共通検査項目に含めることにより、所属組織において発症しやすい疾病の検査項目を優先的に設定することができる。
【0052】
・厚生労働省の疫学調査結果および当該組織の平均年齢に基づいて発症率が高いと推定される疾病。これは、組織全体での各疾病の発症率が組織の高齢化とともに高まっていく傾向にあるからである。例えば、検査項目決定部15は、組織の平均年齢を指標として、それが疫学調査の結果に基づく閾値を超えた場合に、当該疫学調査の対象である疾病の検査項目を共通検査項目に含めてもよい。
【0053】
・組織の構成員の遺伝モデルまたは非遺伝モデルから推定された発症率の統計値に基づいて発症する可能性が高いと判定された疾病。このように、主に個別検査項目を決定するために用いられるデータを、共通検査項目の決定に用いても良い。特に、非遺伝的要素は、所属組織の構成員で類似する可能性が高いと考えられる。
【0054】
図8は、第1実施形態における個別検査項目の決定方法の具体例を示す図である。一般に疾病は、年齢によって発症の可能性が異なるものがある(例えば参考文献6を参照)。そのため、ユーザの年齢に応じて、その年齢における発症の可能性が高い疾病についての検査を行い、発症の可能性が低い疾病については検査を行わずに、検査費用の増大を抑えることが望ましい。そこで、まず、検査項目決定部15は、体質推定部14によって比較的高い発症率が推定された各疾病について、疫学調査の結果に基づいて、疾病が発症しやすくなる年齢(以下「発症年齢」という。)を取得する。
【0055】
図8は、この年齢の特定において用いられる疫学調査の結果を示す図である(例えば参考文献7を参照)。具体的には、
図8は口頭がん・咽頭がんの加齢による発症率の推移の調査結果を示す図である。
図8を見ても分かるように、口頭がん・咽頭がんについては、男性では45歳付近から急激に発症率が高くなり、女性では30歳付近から徐々に発症率が高くなっていくことが分かる。データベース11には、このような各疾病についての疫学調査の結果が予め登録されているものとする。この場合、検査項目決定部15は、対象の疾病を指定してデータベース11から当該疾病の調査結果を取得し、その調査結果により示される発症率曲線の勾配が所定の閾値を超えた年齢を発症年齢として特定することができる。
【0056】
なお、データベース11には、疫学調査の結果に基づいて特定された各疾病の発症年齢を示す情報が予め登録されていてもよい。この場合、検査項目決定部15は、対象の疾病を指定することにより、データベース11から当該疾病の発症年齢を取得することができる。
【0057】
検査項目決定部15は、このように取得した各疾病の発症年齢に基づき、ユーザの年齢が発症年齢を超えている疾病については、当該疾病の検出に有効な検査項目を個別検査項目として抽出する。例えば、
図8の例では、検査項目決定部15は、男性のユーザの年齢が50歳である場合には口頭がん・咽頭がんの検査項目を個別検査項目に含め、年齢が40歳である場合には当該検査項目を個別検査項目から除外する。
【0058】
なお、検査項目決定部15は、体質推定部14が発症率を推定した疾病のうち、比較的高い発症率が推定された疾病については、ユーザの年齢によらずに、当該疾病の検査項目を個別検査項目に含めてもよい。この場合、年齢による疾病の選別を行わない場合の基準として、発症率の閾値を予め定めておけばよい。検査項目決定部15は、このように決定した共通検査項目及び個別検査項目を当該ユーザの検査項目として出力する。
【0059】
このように構成された第1実施形態の臨床検査項目決定装置1は、ユーザが所属する組織に基づく疾病の発症の可能性と、ユーザの遺伝的要因若しくは/及び非遺伝的要因に基づく疾病の発症の可能性との両面から、ユーザに対して行う臨床検査の項目を決定することができる。このように決定された検査項目がユーザ又はユーザの所属組織に提案されることにより、より個人の特性に応じた健康管理を促進することが可能となる。なお、ユーザが所属する組織、ユーザの遺伝的要因、ユーザの非遺伝的要因、それぞれに基づく疾病の発症率を単独で用いて臨床検査の項目を決定してもよいし、2つ、若しくは全てを組合わせて臨床検査の項目を決定してもよい。
【0060】
以下、第1実施形態で紹介した各参考文献の所在を記載する。
参考文献1:http://www.riken.jp/pr/press/2010/20100212/,「糖尿病腎症に関連する遺伝子「ACACB」を発見」.
参考文献2:https://www.rgare.com/docs/default-source/subsite-materials/japan-reflections/reflections-vol-45.pdf,「多遺伝子リスクスコアPRS:何千もの遺伝子変異を統合して疾患を予測する」.
参考文献3:https://mycode.jp/benefits/basis.html,「科学的根拠の質」.
参考文献4:https://biobankjp.org/cohort_1st/public/tsushin07/biobank_tsushin07
_02.html,「お酒とタバコと食道がんの関係に迫る」.
参考文献5:https://dot.asahi.com/aera/2019072400072.html?page=1,「数学は87%、IQは66%、収入は59%が遺伝の影響!驚きの最新研究結果とは」.
参考文献6:https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html,「最新がん統計」.
参考文献7:国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」,Cancer Information Services, National Cancer Center, Japan.
【0061】
なお、本実施形態では、ユーザの体質と所属組織の両方に基づいて当該ユーザの検査項目を判定する構成について説明したが、実施形態の臨床検査項目決定装置1は、体質及び所属組織のいずれか一方に基づいて検査項目を判定するように構成されてもよい。
【0062】
また、臨床検査項目決定装置1は、所定の検査項目の中から個別検査項目を判定する個別検査項目判定部と、所定の検査項目の中から共通検査項目を判定する共通検査項目判定部とを備えるように構成されてもよい。この場合、検査項目決定部15は、個別検査項目判定部によって判定された個別検査項目と、共通検査項目判定部によって判定された共通検査項目とに基づいて各ユーザの検査項目を決定するように構成されてもよい。
【0063】
また、第1の実施形態における臨床検査項目決定装置1は、発症率と疫学調査の結果の両方で高い発症の可能性が推定された疾病について、その検査項目を個別検査項目として選択した。これはすなわち、発症率の観点と疫学調査の結果の観点とのAND条件で高い発症の可能性を推定する方法といえる。これに対して、臨床検査項目決定装置1は、発症率と疫学調査の結果とのそれぞれで高い発症の可能性が推定された疾病について、その検査項目を個別検査項目として選択するように構成されてもよい。具体的には、臨床検査項目決定装置1は、まず最初に、疫学調査の結果に基づいてユーザの年齢が発症年齢を超えている疾病を選択し、これらの検査項目を個別検査項目として選択する。また、これに加えて、臨床検査項目決定装置1は、ユーザの遺伝子情報に基づいて発症率の高い疾病を選択し、これらの検査項目を個別検査項目として選択する。このようにすることで、臨床検査項目決定装置1は、発症率の観点と疫学調査の結果の観点とのOR条件でより多くの検査項目を選択することが可能となり、年齢相応の検査項目と個人差のある検査項目とを網羅して漏れのない検査を行うことが可能となる。
【0064】
臨床検査項目決定装置1は、検査項目の選択肢の1つにリキッドバイオプシーを有してもよい。リキッドバイオプシーは、一度に複数のがんの診断が可能であるとして近年注目されている検査方法である。ただし、リキッドバイオプシーは、その手法によって検出できるがんの種類が異なる。そのため、臨床検査項目決定装置1は、高い発症率が推定されたがんに対応するリキッドバイオプシーを検査項目として選択するように構成されてもよい。これにより、がんを効率的かつ効果的に検査できる方法を決定することができる。
【0065】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態における健康行動支援装置2の機能構成の具体例を示すブロック図である。第1実施形態の臨床検査項目決定装置1がユーザに対して実施する臨床検査の項目を決定する機能を有したのに対し、第2実施形態の健康行動支援装置2は、ユーザが健康を促進するために行う行動(以下「健康行動」という。)を支援する機能を有する点で第1実施形態の臨床検査項目決定装置1と異なる。健康行動支援装置2は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。健康行動支援装置2は、プログラムの実行によってデータベース21、ミッション設定部22、ミッション管理アプリ選定部23、アプリ活用度判定部24および行動内容判定部25を備える装置として機能する。健康行動支援装置2は、各ユーザが使用するユーザ端末3と通信可能に接続される。ここでユーザ端末3は、後述する健康アプリを実行可能な電子機器である。例えば、ユーザ端末3は、スマートフォンや携帯電話、タブレット、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。
【0066】
なお、健康行動支援装置2の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0067】
データベース21は、各ユーザの健康行動のサポートに必要な各種情報を記憶するデータベースである。データベース21は、他の機能部からの要求に応じて、各種データの登録、登録済みデータの削除、要求されたデータの提供を行う。
【0068】
ミッション設定部22(推奨行動設定部)は、各ユーザに対してそれぞれの遺伝的体質に応じて推奨される健康行動を設定する機能を有する。以下、各ユーザに対して設定された健康行動を「ミッション」という。各ユーザは、自身に設定されたミッションに応じたアプリケーションプログラム(以下「健康アプリ」という。)をユーザ端末3にインストールし、その健康アプリによってミッションを管理する。健康アプリは、ミッションを達成したユーザに対して、そのミッションに応じた一定のインセンティブを付与するものであってもよい。
【0069】
ミッション管理アプリ選定部23は、ミッション設定部22によりミッションが設定された各ユーザに対して、設定されたミッションの管理を支援する健康アプリ(以下「ミッション管理アプリ」という。)を選定する。ミッション管理アプリ選定部23は、ミッション管理アプリとして選定した健康アプリをユーザ端末3にインストールさせる。なお、ミッション管理アプリ選定部23は、ミッション管理アプリとして選定した健康アプリをユーザ端末3に通知するに留め、その健康アプリをインストールするか否かをユーザの判断に任せてもよい。
【0070】
アプリ活用度判定部24は、各ユーザ端末3にミッション管理アプリとしてインストールされた健康アプリの活用度を判定する機能を有する。ミッション管理アプリの活用度は、設定されたミッションに対するユーザの活動度を図る指標となる。アプリ活用度判定部24は、ユーザ端末3に対して、判定されたアプリ活用度に応じた通知を行うことにより、ユーザが設定されたミッションに対して健康行動を実行するモチベーションを向上させる役割を担う。
【0071】
行動内容判定部25は、ユーザが実際に行った健康行動の内容を判定する機能を有する。具体的には、行動内容判定部25は、各ユーザ端末3から各ユーザが行った健康行動に関する情報(以下「行動情報」という。)を健康アプリから取得し、取得した行動情報に基づいて、行われた健康行動の妥当性を判定する。行動内容判定部25は、ユーザ端末3に対して、そのユーザが行った健康行動の妥当性に応じた通知を行う。これにより、行動内容判定部25は、ユーザが行う健康行動の質を向上させるとともに、ユーザがより質の高い健康行動を実行するモチベーションを向上させる役割を担う。
【0072】
図10は、第2実施形態におけるミッションの設定方法の具体例を示す図である。まず、ミッション設定部22は、データベース21からユーザの遺伝子情報を取得し、取得した遺伝子情報に基づいてユーザが持つ遺伝子を特定する。ミッション設定部22は、特定した遺伝子によって示唆される体質を有するユーザのユーザの健康を促進するためのミッションを選択し、選択したミッションをミッション管理アプリ選定部23に通知する。なお、各ユーザの遺伝子情報は予めデータベース21に登録されているものとする。
【0073】
なお、問診票等の情報が事前に取得されている場合、ミッション設定部22は、選択したミッションをそれらの情報に基づいてフィルタリングするように構成されてもよい。例えば、ミッションとして設定しようとしている健康行動がユーザによりすでに実施されている可能性がある。このような場合、問診票等の情報により、ユーザがすでに実施している健康行動を把握することができれば、そのようなユーザに対して不要な健康行動をミッションとして設定することを回避することができる。例えば、肺がんのリスクを有するものの喫煙歴の無いユーザに対して「喫煙を控える」という健康行動を設定しないようにすることができる。このようなフィルタリングは、多くの健康行動がミッションとして推奨されるユーザが、推奨された健康行動をより容易に把握することを可能にするという効果を奏する。
【0074】
具体的には、
図10に示す遺伝体質情報を予めデータベース21に登録しておく。遺伝体質情報は、特定の遺伝子多型により示唆される体質と、その体質に対して実行されることが望ましい健康行動との対応関係を示す情報である。例えば、
図10の例の遺伝体質情報は、β3ARの遺伝子多型を有する人は糖質代謝の機能が弱い傾向にあるため、糖質代謝を促進するビタミンB1を積極的に摂取することが望ましいことを表している。ミッション設定部22は、取得した遺伝子情報からユーザが遺伝体質情報に含まれるいずれかの遺伝子多型を有している場合、当該遺伝子多型に対応づけられた健康行動を当該ユーザのミッションとして設定する。また、ミッション設定部22は、後段の健康アプリの設定のために、設定したミッションとともに、その行動分類をミッション管理アプリ選定部23に通知する。
【0075】
なお、遺伝子多型により示唆される体質は
図10に例示するものに限定されない。遺伝体質情報は、遺伝子多型と体質の関係に関する研究結果等を参考に随時更新されることが望ましい。例えば、将来的に、労働負荷に対する耐性や睡眠の質、着用する衣服との親和性等の生活に関する体質と遺伝子多型との関係性が研究により明らかになった場合、これらの体質に対して健康を促進する健康行動が遺伝体質情報に追加されるとよい。
【0076】
図11は、第2実施形態における健康アプリの選定方法の具体例を示す図である。まず、ミッション管理アプリ選定部23は、データベース21から行動分類と健康アプリとの対応関係を示す対応情報を取得し、取得した対応情報に基づいて、ミッション設定部22から通知された行動分類に対応する健康アプリをミッション管理アプリとして選定する。ミッション管理アプリ選定部23は、選定したミッション管理アプリをユーザ端末3にインストールさせる。なお、対応情報は、予めデータベース21に登録されているものとする。以下、ミッション管理アプリとして選定される健康アプリの具体例として、
図11に例示する食事管理アプリと運動補助アプリとについて説明する。
【0077】
(1)食事管理アプリ
上述の通り、遺伝子多型“β3AR”を有する人は、糖質代謝の機能が弱い傾向にある。このような体質は、内臓脂肪がつきやすいというリスクを持つ体質である(例えば参考文献7を参照)。したがって、このような体質を有する人には、糖質代謝をサポートするビタミンB1を標準よりも多めにとる健康行動をミッションとして設定する。そこで、このようなミッションに対するミッション管理アプリとしては、ビタミンB1の摂取量を評価できる機能を有する食事管理アプリを選定する。例えば、食事管理アプリは、ユーザが食する料理が撮像された画像データを解析し、当該料理に含まれるビタミンB1の量を推定し、その推定値を健康行動支援装置2に送信する機能を有する。なお、食事管理アプリは、画像データの解析機能を有するサーバに画像データを送信し、当該サーバから画像データの解析結果を取得するように構成されてもよい。
【0078】
(2)運動補助アプリ
遺伝子多型“PPARGC1A”のS/S型を有する人は、運動によるミトコンドリアの増加量が少なく、運動によるエネルギー産生の機能が弱い傾向にある。このような体質は、持久力を要するようなエネルギー消費量の多い運動に向かない体質である(例えば参考文献8参照)。したがって、このような体質を有する人には、例えばウォーキング程度の軽めの運動を長く行う健康行動をミッションとして設定する。そこで、このようなミッションに対するミッション管理アプリとしては、ウォーキングの時間を評価できる機能を有する運動補助アプリを選定する。例えば、運動補助アプリは、ユーザが装着する活動量計から活動量の測定情報を取得し、取得した測定情報を健康行動支援装置2に送信する機能を有する。
【0079】
なお、ミッションとなりうる健康行動は
図10に例示したものに限定されない。以下、
図10に例示したもの以外でミッションとなりうる健康行動を、運動、体重、飲酒、喫煙、睡眠、生活リズム、食事、アルコール以外の飲み物(例えば、コーヒー、お茶)の観点でいくつか列挙する。
【0080】
[運動」
・1日1時間以上歩く
・週7時間以上歩く
[体重]
・体重を増やしすぎない
・やせすぎない
[飲酒]
・大酒を控える
・ビールを控える
・ワインを控える
[コーヒー]
・毎日コーヒーを飲む
・コーヒーを飲み過ぎない
[お茶]
・緑茶を飲みすぎない
・緑茶を飲む
・温かいお茶を控える
[たばこ]
・タバコを吸わない
・起床後すぐのタバコを我慢
[睡眠]
・睡眠時間を短くしすぎない
・睡眠時間を長くしすぎない
[生活リズム]
・長く働きすぎない
・夜勤を避ける
・シフトワークを避ける
[食事]
・オレンジを食べ過ぎない
・カルシウムとビタミンDをとる
・トマトを多く食べる
・ナッツ、魚、果菜を食べる
・ビタミンCを多くとる
・脂質を控える
・食物中のマグネシウムをとる
・大豆や牛乳を控えめにする
・大豆をよく食べる
・炭水化物を控えめにする
・肉をよく食べる
・乳製品をよくとる
【0081】
図12は、第2実施形態におけるアプリ活用度の判定方法の具体例を示すフローチャートである。まず、アプリ活用度判定部24は、ユーザに対して選定されたミッション管理アプリの推奨頻度情報をユーザ端末3にインストールされたミッション管理アプリから取得する(ステップS101)。推奨頻度情報は、各健康アプリについて推奨される使用頻度(以下「推奨使用頻度」という。)を示す情報である。推奨使用頻度は、所定の単位期間(例えば1日や1週間)におけるミッション管理アプリの使用回数や使用時間である。例えば、使用回数は、ミッション管理アプリが起動された回数とすることができる。使用回数は、ミッション管理アプリにおいて所定の機能が使用された回数であってもよい。また、例えば使用時間は、ミッション管理アプリが起動されている時間とすることができる。使用時間は、ミッション管理アプリがフォアグラウンドで動作している時間であってもよい。このような推奨使用頻度は、ミッションの達成のためにユーザが行う健康活動を適切に管理することできるような使用頻度に予め設定されている。
【0082】
なお、ここでは推奨頻度情報は各健康アプリに保持されるものとするが、使用頻度情報はデータベース21に予め登録されていてもよい。推奨使用頻度は、健康アプリごとに設定されるものであってもよいし、健康アプリとミッションの組み合わせごとに設定されるものであってもよい。
【0083】
続いて、アプリ活用度判定部24は、ユーザがミッション管理アプリを使用した履歴を示す使用履歴情報をユーザ端末3から取得する(ステップS102)。アプリ活用度判定部24は、取得した使用履歴情報に基づいて、ユーザが実際にミッション管理アプリを使用した頻度(以下「実使用頻度」という。)を取得し(ステップS103)、実使用頻度が推奨使用頻度以上であるか否かを判定する(ステップS104)。ここで実使用頻度と推奨使用頻度とを比較するため、使用履歴情報には所定の単位期間におけるミッション管理アプリの実使用回数、又は実使用回数を把握することができる情報が含まれていればよい。
【0084】
ステップS104において、実使用頻度が推奨使用頻度未満であった場合(ステップS104-NO)、アプリ活用度判定部24は、ミッション管理アプリの更なる使用を促す通知をユーザ端末3に送信する(ステップS105)。なお、アプリ活用度判定部24は、当該通知をユーザ端末3に送信する代わりに、健康アプリ上での表示によって通知してもよいし、電子メールの送信によって通知してもよい。また、健康行動支援装置2がウェブ経由で提供するユーザインタフェースの一例として、ユーザごとのポータルサイトを提供する場合、アプリ活用度判定部24は、各ユーザがポータルサイトにログインすることによって生成される画面上に上記通知を表示させてもよい。
【0085】
また、この場合、アプリ活用度判定部24は、実使用頻度が推奨使用頻度にどれだけ足りていないかを示す情報を通知してもよい。一方、ステップS104において、実使用頻度が推奨使用頻度以上であった場合(ステップS104-YES)、アプリ活用度判定部24は、ミッションを着実に実行していることに対する報酬としてユーザに一定のポイントを付与する(ステップS106)。
【0086】
例えば、食事管理アプリによってユーザの食事に関するミッションを管理する場合、朝、昼、晩の3食に対応させて「3回/1日」を推奨使用頻度とすることが考えられる。この場合、食事管理アプリの実使用頻度が3回以上/1日であれば、アプリ活用度判定部24はユーザにポイントを付与するとともに、『ポイントを獲得しました!』等のメッセージをユーザ端末3に送信する。一方、食事管理アプリの実使用頻度が0~2回/1日であれば、アプリ活用度判定部24は食事管理アプリのさらなる使用を促す通知として、例えば『アプリにデータを入力しましょう!』といったメッセージをユーザ端末3に送信する。
【0087】
図13は、第2実施形態における行動内容の判定方法の具体例を示すフローチャートである。ここでは、行動内容の判定方法の一例として食事管理アプリに関する方法を説明する。この例では、ユーザは自身が食した料理を撮像した画像データ(以下「食事画像データ」という。)を行動情報として予め食事管理アプリに登録しているものとする。この場合、まず行動内容判定部25は、ユーザ端末3からユーザが登録した食事画像データを取得する(ステップS201)。行動内容判定部25は、取得した食事画像データを分析することにより、ユーザが摂取したカロリー量及び栄養素量を推定する(ステップS202)。このような食事画像の分析には、例えば参考文献9に記載された技術を用いることができる。
【0088】
続いて、行動内容判定部25は、当該ユーザに設定されたミッションに関する情報(以下「ミッション情報」という。)を取得する(ステップS203)。ミッション情報は、当該ユーザに対してミッションが設定された際に、ミッション設定部22によってユーザ端末3の食事管理アプリ又はデータベース21に登録されるものとする。具体的には、ミッション情報には、ミッションとして設定された健康行動と、当該健康行動に関する目標値が含まれる。
【0089】
例えば、
図10の例において、遺伝子多型“β3AR”を有するユーザに対してビタミンB1の積極的な摂取がミッションとして設定された場合、当該健康行動と、その健康行動において目標とする栄養素(ここではビタミンB1)及びカロリーの摂取量の範囲(以下「目標範囲」という。)が含まれる。なお、目標範囲は予め
図10に例示した遺伝体質情報に関連付けて定義されていてもよいし、ユーザの他の体質との組み合わせでユーザごとにカスタマイズされてもよい。行動内容判定部25は、取得したミッション情報に基づいて、当該ユーザに設定されたミッションを識別する(ステップS204)とともに、当該ミッションに設定されたカロリー及び栄養素の摂取量の目標値を特定する(ステップS205)。
【0090】
続いて、行動内容判定部25は、ユーザが摂取したカロリー及び栄養素の摂取量(以下単に「摂取量」という。)が目標範囲の下限未満であるか否かを判定する(ステップS206)。ここで摂取量はステップS202における食事画像データの分析によって得られたものである。ステップS206において、摂取量が目標範囲の下限値未満であった場合(ステップS206-YES)、行動内容判定部25は、カロリー及び栄養素の摂取量が不足していること(アドバイスの一例)をユーザ端末3に通知する(ステップS207)。
【0091】
一方、ステップS206において、摂取量が目標値以上であった場合(ステップS206-NO)、行動内容判定部25は、摂取量が目標範囲の上限値以下であるか否かを判定する(ステップS208)。ステップS208において、摂取量が目標範囲の上限値以下であった場合(ステップS208-YES)、行動内容判定部25は、ミッションを着実に実行していることに対する報酬としてユーザに一定のポイントを付与する(ステップS209)。一方、ステップS208において、摂取量が目標範囲の上限値を超えていた場合(ステップS208-NO)、行動内容判定部25は、カロリー及び栄養素の摂取量が過多であること(アドバイスの一例)をユーザ端末3に通知する(ステップS210)。
【0092】
なお、ここでは、カロリー及び栄養素の両方が目標範囲内であるか否かによってポイントを付与するか否かを判定する場合について説明したが、ポイントを付与するか否かはカロリーと栄養素とで別々に判定されてもよい。
【0093】
このように構成された第2実施形態の健康行動支援装置2によれば、より個人の特性に応じた健康管理を促進することが可能となる。具体的には、ユーザに対して健康促進のための健康行動を提案することは従来より行われていたが、従来の方法では、提案される健康行動がユーザの個々の性質を反映したものではなく、一律に設定されたものであった。このため、提案される健康行動が必ずしも個々のユーザにとって効果的なものではない可能性があった。
【0094】
これに対して第2実施形態の健康行動支援装置2は、ユーザの健康促進に推奨される健康行動(ミッション)をユーザの遺伝的体質に応じて設定するとともに、設定されたミッションに対するユーザの行動状況を定量的にモニタリングすることができる。また、第2実施形態の健康行動支援装置2は、ミッションに対するユーザの行動状況に応じてユーザに報酬を与えたり、ユーザに行動の変容を促すことができる。このため、ユーザは、自身体質に応じて効率的かつ効果的に健康を促進又は維持することが可能となる。また、遺伝的体質は必ずしもユーザによって自覚されるものとは限らないため、遺伝的性質に基づいて決定されたミッションを実行することにより、ユーザは自身で自覚していない体質による健康リスクをも低減することが可能となる。
【0095】
以下、第2実施形態で紹介した各参考文献の所在を記載する。
参考文献7:https://with-aging.com/column/2258/
参考文献8:https://med.fjtex.co.jp/products/gene/exercise/
参考文献9:https://www.asken.jp/
【0096】
なお、第1実施形態および第2実施形態では、健康行動支援装置2が1台の装置として構成される例を示したが、健康行動支援装置2は、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、健康行動支援装置2が備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。例えば、データベース11、遺伝モデル生成部12、非遺伝モデル生成部13、体質推定部14、検査項目決定部15はそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。また、例えば、データベース21、ミッション設定部22、ミッション管理アプリ選定部23、アプリ活用度判定部24、行動内容判定部25はそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。このような構成をとることにより、健康行動支援装置2をいわゆるクラウドシステムとして構成することも可能である。
【0097】
たとえば、クラウドサーバ上のミッション設定部が各ユーザにミッションを設定し、これに応じて選定されたミッション管理アプリが、ユーザ端末にインストールされ、クラウドサーバとデータ連携する構成が一例として考えられる。また、この場合、ミッション管理アプリがクラウドサーバ上のアプリ活用度判定部や行動内容判定部からアプリの活用度や行動内容の評価結果を示す情報等を取得し、ユーザに通知する構成が一例として考えられる。
【0098】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、構成員の健康を管理又は支援する会社等の組織や、受診者の健康を管理又は支援する各種の医療機関、自身の健康を管理又は促進しようとする各個人に対して、その健康の管理、支援又は促進をサポートする手段を提供することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…臨床検査項目決定装置、 11…データベース、 12…遺伝モデル生成部、 13…非遺伝モデル生成部、 14…体質推定部、 15…検査項目決定部、 2…健康行動支援装置、 21…データベース、 22…ミッション設定部、 23…ミッション管理アプリ選定部、 24…アプリ活用度判定部、 25…行動内容判定部、 3…ユーザ端末