(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20241211BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2023512567
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(86)【国際出願番号】 JP2021014745
(87)【国際公開番号】W WO2022215188
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100129230
【氏名又は名称】工藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】大谷 未稚
(72)【発明者】
【氏名】小俣 真吾
(72)【発明者】
【氏名】可児島 建
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-191075(JP,A)
【文献】特開2017-142640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務要件に基づいてプロセスとオブジェクトとをモデリングしたビジネスアーキテクチャモデルからアプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを生成する情報処理装置であって、
業界標準APIの
API名とAPI概要、並びに前記業界標準APIが利用するリソース名とリソース概要を保持する記憶部と、
前記ビジネスアーキテクチャモデルに含まれるプロセスのそれぞれについて、前記プロセスの
プロセス名とプロセス概要と前記プロセスが利用するオブジェクトの
オブジェクト名とオブジェクト概要を前記ビジネスアーキテクチャモデルから抽出し
、前記プロセス名と前記API名との間の類似度、前記プロセス概要とAPI概要との間の類似度、前記オブジェクト名と前記リソース名との間の類似度、前記オブジェクト概要と前記リソース概要との間の類似度、および前記プロセスと前記オブジェクトとの間の利用関係と前記業界標準APIの操作との間の関係に基づいて前記業界標準APIのそれぞれに対する推奨度を算出し、前記推奨度が最大の業界標準APIの
API名に基づいたAA要素を構築して前記プロセスに結び付け、前記推奨度が最大の業界標準APIの利用するリソースの
リソース名に基づいたDA要素を構築して前記オブジェクトに結び付けて前記アプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを生成する生成部を備える
情報処理装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の情報処理装置であって、
現状のアプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを入力し、現状のアプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルに含まれる現状のAA要素と現状のDA要素を前記ビジネスアーキテクチャモデルに含まれるプロセスとオブジェクトに結び付ける現状モデル登録部と、
前記生成部の生成したアプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルに含まれる前記現状のDA要素と前記業界標準APIの利用するリソースとを整合させる整合部を備える
情報処理装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の情報処理装置であって、
前記整合部は、前記現状のDA要素に結び付けられた前記オブジェクトを利用する前記プロセスを抽出し、当該プロセスに結び付けられたAA要素のうち前記業界標準APIに基づいて構築された前記AA要素を抽出し、抽出した前記AA要素に対応する前記業界標準APIの利用するリソースと前記現状のDA要素とを整合させる
情報処理装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の情報処理装置であって、
前記整合部は、前記現状のDA要素を前記業界標準APIの利用するリソースから構築した新たなDA要素に置き換えて、前記新たなDA要素の有する情報と前記現状のDA要素の有する情報との間の対応情報を前記新たなDA要素に付与する
情報処理装置。
【請求項5】
業務要件に基づいてプロセスとオブジェクトとをモデリングしたビジネスアーキテクチャモデルからアプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを生成する情報処理方法であって、
コンピュータが、
業界標準APIの
API名とAPI概要、並びに前記業界標準APIが利用するリソース名とリソース概要を保持し、
前記ビジネスアーキテクチャモデルに含まれるプロセスのそれぞれについて、前記プロセスの
プロセス名とプロセス概要と前記プロセスが利用するオブジェクトの
オブジェクト名とオブジェクト概要を前記ビジネスアーキテクチャモデルから抽出し
、
前記プロセス名と前記API名との間の類似度、前記プロセス概要とAPI概要との間の類似度、前記オブジェクト名と前記リソース名との間の類似度、前記オブジェクト概要と前記リソース概要との間の類似度、および前記プロセスと前記オブジェクトとの間の利用関係と前記業界標準APIの操作との間の関係に基づいて前記業界標準APIのそれぞれに対する推奨度を算出し、
前記推奨度が最大の業界標準APIの
API名に基づいたAA要素を構築して前記プロセスに結び付け、前記推奨度が最大の業界標準APIの利用するリソースの
リソース名に基づいたDA要素を構築して前記オブジェクトに結び付けて前記アプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを生成する
情報処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし
4のいずれかに記載の情報処理装置の各部としてコンピュータを動作させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネスアーキテクチャ、データアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、およびテクノロジアーキテクチャという階層構造を用い、エンタープライズアーキテクチャを策定するためのフレームワークが知られている(非特許文献1)。非特許文献1のフレームワークでは、ビジネスアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャとデータアーキテクチャ、テクノロジアーキテクチャの順に各アーキテクチャモデルを構築する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“Welcome to the TOGAF Standard,Version 9.2”、The Open Group、インターネット〈 URL:https://pubs.opengroup.org/architecture/togaf9-doc/arch/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1のフレームワークでは、アプリケーションアーキテクチャとデータアーキテクチャの構築において、できる限り業界標準および現状の要素を活用することが推奨されている。しかしながら、膨大な量の業界標準の情報からアプリケーションアーキテクチャとデータアーキテクチャの構築に活用できる情報の調査は負担が大きいという問題があった。また、現状の要素と業界標準とを組み合わせて活用する場合、データの定義が合わない部分が発生する可能性が高いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、エンタープライズアーキテクチャの策定に際して業界標準および現状の要素をより容易に活用できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の情報処理装置は、業務要件に基づいてプロセスとオブジェクトとをモデリングしたビジネスアーキテクチャモデルからアプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを生成する情報処理装置であって、業界標準APIのAPI名とAPI概要、並びに前記業界標準APIが利用するリソース名とリソース概要を保持する記憶部と、前記ビジネスアーキテクチャモデルに含まれるプロセスのそれぞれについて、前記プロセスのプロセス名とプロセス概要と前記プロセスが利用するオブジェクトのオブジェクト名とオブジェクト概要を前記ビジネスアーキテクチャモデルから抽出し、前記プロセス名と前記API名との間の類似度、前記プロセス概要とAPI概要との間の類似度、前記オブジェクト名と前記リソース名との間の類似度、前記オブジェクト概要と前記リソース概要との間の類似度、および前記プロセスと前記オブジェクトとの間の利用関係と前記業界標準APIの操作との間の関係に基づいて前記業界標準APIのそれぞれに対する推奨度を算出し、前記推奨度が最大の業界標準APIのAPI名に基づいたAA要素を構築して前記プロセスに結び付け、前記推奨度が最大の業界標準APIの利用するリソースのリソース名に基づいたDA要素を構築して前記オブジェクトに結び付けて前記アプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを生成する生成部を備える。
【0007】
本発明の一態様の情報処理方法は、業務要件に基づいてプロセスとオブジェクトとをモデリングしたビジネスアーキテクチャモデルからアプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを生成する情報処理方法であって、コンピュータが、業界標準APIのAPI名とAPI概要、並びに前記業界標準APIが利用するリソース名とリソース概要を保持し、前記ビジネスアーキテクチャモデルに含まれるプロセスのそれぞれについて、前記プロセスのプロセス名とプロセス概要と前記プロセスが利用するオブジェクトのオブジェクト名とオブジェクト概要を前記ビジネスアーキテクチャモデルから抽出し、前記プロセス名と前記API名との間の類似度、前記プロセス概要とAPI概要との間の類似度、前記オブジェクト名と前記リソース名との間の類似度、前記オブジェクト概要と前記リソース概要との間の類似度、および前記プロセスと前記オブジェクトとの間の利用関係と前記業界標準APIの操作との間の関係に基づいて前記業界標準APIのそれぞれに対する推奨度を算出し、前記推奨度が最大の業界標準APIのAPI名に基づいたAA要素を構築して前記プロセスに結び付け、前記推奨度が最大の業界標準APIの利用するリソースのリソース名に基づいたDA要素を構築して前記オブジェクトに結び付けて前記アプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを生成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エンタープライズアーキテクチャの策定に際して業界標準および現状の要素をより容易に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態の情報処理装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、情報処理装置が保持する業界標準APIの情報の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置が保持する業界標準APIが利用するリソースの情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、ビジネスアーキテクチャモデルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、アプリケーションアーキテクチャモデルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、情報処理装置が生成したアプリケーションアーキテクチャモデルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、アプリケーションアーキテクチャモデルを生成する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、ビジネスアーキテクチャモデルからビジネスプロセスとビジネスオブジェクトを抽出した一例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8のビジネスプロセスとビジネスオブジェクトにアプリケーションファンクションとデータオブジェクトを結び付けた一例を示す図である。
【
図10】
図10は、データオブジェクトの整合を取る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、データオブジェクトとリソース、サブリソースとの間で類似度を算出する一例のイメージを示す図である。
【
図12】
図12は、推奨APIのリソースに基づいて構築したデータオブジェクトに現状のデータオブジェクトの情報を付与した一例を示す図である。
【
図13】
図13は、現状のデータオブジェクトを推奨APIのリソースに基づいて構築したデータオブジェクトで置き換えた一例を示す図である。
【
図14】
図14は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の情報処理装置1の構成の一例を示す機能ブロック図である。本実施形態の情報処理装置1は、業界標準のアプリケーションプログラミングインターフェース(API)の情報を保持し、業務要件に基づいてプロセスとオブジェクトとをモデリングしたビジネスアーキテクチャモデル(以下、「BA」と称する)を入力すると、業界標準APIを基に、BAに結び付けるアプリケーションアーキテクチャ(以下、「AA」と称する)要素およびデータアーキテクチャ(以下、「DA」と称する)要素を構築し、アプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデル(以下、「AA/DA」と称する)を生成する装置である。情報処理装置1は、AA要素とDA要素を構築する際に利用する業界標準APIを特定する際、BAに含まれるビジネスプロセスとビジネスオブジェクトの情報を抽出し、抽出した情報と各APIの情報の類似度に基づいて各APIの推奨度を算出する。情報処理装置1は、推奨度の最も高いAPIに基づいてAA要素とDA要素を構築する。
【0012】
また、情報処理装置1は、現状(As-Is)のAA/DAにおいて、理想(To-Be)のBAに対するAA/DAの要素として活用するAA要素とDA要素を入力してもよい。つまり、現状のシステムから流用する機能を入力してもよい。このとき、情報処理装置1は、推奨APIのリソースから構築するDA要素とAs-Isから活用するDA要素の整合を取るための情報を付与してもよい。
【0013】
図1に示す情報処理装置1は、API情報登録部11、BA登録部12、AA/DA登録部13、ポリシー登録部14、API情報記憶部15、BA記憶部16、AA/DA記憶部17、ポリシー記憶部18、推奨AA/DA算出部19、推奨API算出部20、整合部21、および出力部22を備える。
【0014】
API情報登録部11は、業界標準APIの情報を入力してAPI情報記憶部15に登録する。業界標準APIとは、標準化団体などによって定められた標準仕様であり、装置またはサービスなどを利用するためのインターフェースの仕様である。業界標準APIの例としては、例えば、TeleManagement Forum(TMF) Open APIs、3rd Generation Partnership Project(3GPP) API、およびMetro Ethernet Forum(MEF) APIsがある。なお、API情報記憶部15が記憶するAPIはこれらに限られない。上記以外の業界の標準APIを登録してもよい。
【0015】
図2と
図3にAPI情報記憶部15が記憶する情報の一例を示す。
図2は、業界標準APIの情報の一例である。
図2の例では、APIのそれぞれについて、API ID、業界標準名、API名、API概要、オペレーション、リソースID、およびリソース概要を含むAPIレコードがAPI情報記憶部15に登録されている。API IDは情報処理装置1においてAPIを特定するための識別子である。業界標準名はAPIを定めた業界標準の名称である。API名はAPIの名称である。API概要はAPIの機能などの説明である。オペレーションはリソースに対する操作(get,post,patch,またはdelete)である。リソースIDはAPIが利用するリソースを特定する識別子である。リソース概要はAPIが利用するリソースの説明である。
【0016】
図3は、業界標準APIが利用するリソースの情報の一例である。
図3の例では、リソースに含まれるフィールドのそれぞれについて、リソースID、リソース名、フィールド名、型、フィールド概要、およびサブリソースIDを含むリソースレコードがAPI情報記憶部15に登録されている。リソースIDは情報処理装置1においてリソースを特定するための識別子であり、APIレコードのリソースIDに対応する。リソース名はリソースの名称である。フィールド名はリソースに含まれるフィールドの名称である。型はフィールドのデータ型を示す。フィールド概要はフィールドの説明である。サブリソースIDは当該フィールドに紐付けられたリソースを示すリソースIDである。
【0017】
BA登録部12は、アーキテクトが作成したTo-BeのBAを入力してBA記憶部16に登録する。アーキテクトは、例えば、ツールを利用してBAを作成し、作成したBAをBA登録部12に入力する。後述の推奨AA/DA算出部19と推奨API算出部20で生成部を構成し、BA登録部12が入力したTo-BeのBAに対応するTo-BeのAA/DAを生成する。
【0018】
図4にTo-Beのビジネスアーキテクチャモデルの一例を示す。
図4の例では、5つのビジネスプロセス110A~110Eと3つのビジネスオブジェクト120A~120CでBAが構成されている。ビジネスプロセスは、目指すビジョンを実現するための手順である。ビジネスオブジェクトは、ビジネスプロセスが利用する情報である。ビジネスプロセスによるビジネスオブジェクトの利用方向(読み込みまたは書き込み)は矢印で示されている。例えば、
図4のBAでは、ビジネスプロセス110Aはビジネスオブジェクト120Aを生成し、ビジネスプロセス110Bはビジネスオブジェクト120Aを利用する。
【0019】
AA/DA登録部13は、As-IsのAA/DAのうちTo-Beに活用するAA要素とDA要素を入力してAA/DA記憶部17に登録するとともに、To-Beに活用するAA要素とDA要素をTo-BeのBAに結び付ける。To-BeのBAは、BA記憶部16に記憶されている。As-IsのAA/DAは、現状のシステムをモデリングしたものである。例えば、アーキテクトは、現状のシステムでTo-Beにおいても活用するアプリケーションなどに対応するAA要素とDA要素をTo-Beに活用するAA要素とDA要素として登録し、To-BeのBAに結び付ける。
【0020】
図5にAs-Isのアプリケーションアーキテクチャモデルの例を示す。
図5の例では、To-Beに活用するアプリケーションファンクション210Aと3つのデータオブジェクト220A~220Cを図示している。アプリケーションファンクション210AがAA要素であり、データオブジェクト220A~220CがDA要素である。
図5では、As-IsのBAも示している。
【0021】
ポリシー登録部14は、As-IsのDA要素と推奨APIのリソースから構築したDA要素のどちらを重視するかを示すポリシーを入力してポリシー記憶部18に登録する。このポリシーは、後述の整合部21がAs-IsのDA要素の整合を取る際に参照される。
【0022】
推奨AA/DA算出部19は、To-BeのBAに含まれるビジネスプロセスとビジネスオブジェクトに結び付けるAA要素とDA要素を推奨API算出部20の求めた推奨APIに基づいて構築し、AA/DAを生成する。より具体的には、推奨AA/DA算出部19は、To-BeのBAに含まれるビジネスプロセスのそれぞれについて、ビジネスプロセスの情報と当該ビジネスプロセスが利用するビジネスオブジェクトの情報をBAから抽出して推奨API算出部20へ送信する。推奨AA/DA算出部19が推奨API算出部20へ送信する情報は、例えば、ビジネスプロセス名、ビジネスプロセス概要、ビジネスオブジェクト名、ビジネスオブジェクト概要、およびビジネスオブジェクトの利用方向(読み込みまたは書き込み)である。推奨AA/DA算出部19は、推奨API算出部20から返却された推奨APIのAPIレコードの情報に基づき、業界標準名とAPI名を付与したアプリケーションファンクションを構築してビジネスプロセスに結び付け、業界標準名とリソース名を付与したデータオブジェクトを構築してビジネスオブジェクトに結び付ける。
【0023】
図6にTo-Beのビジネスアーキテクチャモデルとアプリケーションアーキテクチャモデルの例を示す。
図6に示すアプリケーションアーキテクチャモデルが推奨AA/DA算出部19の生成するAA/DAである。
図6の例では、ビジネスプロセス110A~110Eに結び付けたアプリケーションファンクション210A~210Eと、ビジネスオブジェクト120A~120Cに結び付けたデータオブジェクト220A~220Dを図示している。枠230で囲われたアプリケーションファンクション210Aと3つのデータオブジェクト220A~220Cは、As-Isから活用するAA要素とDA要素である。枠240で囲われた4つのアプリケーションファンクション210B~210Eとデータオブジェクト220Dは、推奨AA/DA算出部19が推奨APIに基づいて構築したAA要素とDA要素である。
【0024】
なお、BAのビジネスプロセスのうちAs-IsのAA要素が結び付けられたビジネスプロセスは推奨AA/DA算出部19の処理の対象外とする。
図6の例では、As-Isのアプリケーションファンクション210Aが結び付けられたビジネスプロセス110Aが処理の対象外である。
【0025】
推奨API算出部20は、推奨AA/DA算出部19から受信した情報とAPI情報記憶部15の保持する業界標準APIの情報から各APIの推奨度を算出し、推奨度の最も高い推奨APIを推奨AA/DA算出部19に返却する。
【0026】
推奨API算出部20は、例えば、API情報記憶部15の保持するAPIレコードのそれぞれについて、ビジネスプロセス名とAPI名、ビジネスプロセス概要とAPI概要、ビジネスオブジェクト名とリソース名、およびビジネスオブジェクト概要とリソース概要との間の類似度を自然言語処理における2つの文章間の類似度算出手法により算出する。なお、文章のベクトル化にはTF-IDFなどを用いることができる。類似度の算出にはcos類似度法などを用いることができる。
【0027】
また、推奨API算出部20は、ビジネスプロセスのビジネスオブジェクトの利用について、利用方向とAPIレコードのオペレーションとの関係(類似度)を数値化する。例えば、推奨API算出部20は、利用方向が読み込みであってオペレーションがgetであれば1、利用方向が書き込みであってオペレーションがpost,patch,deleteであれば1、それ以外の組み合わせは0とする。
【0028】
推奨API算出部20は、以上で求めた類似度から推奨度を算出し、推奨APIを求める。例えば、推奨API算出部20は、類似度と利用方向を示す数値とを掛け合わせた数値を推奨度として算出する。
【0029】
整合部21は、推奨AA/DA算出部19と推奨API算出部20によって生成されたAA/DAに含まれるAs-IsのDA要素について、ポリシー記憶部18に記憶したポリシーに基づき、推奨APIのリソースから構築するDA要素との間で整合を取る。As-IsのDA要素を重視する場合、整合部21は、AA/DAに含まれるAs-IsのDA要素を推奨APIのリソースから構築したDA要素にするとともに、当該DA要素のフィールドのうちAs-IsのDA要素に含まれるフィールドで置き換える情報を付与する。推奨APIを重視する場合、整合部21は、AA/DAに含まれるAs-IsのDA要素を推奨APIのリソースから構築したDA要素に置き換える。
【0030】
出力部22は、推奨AA/DA算出部19と推奨API算出部20の生成したAA/DAをアーキテクトの利用するツールで読み込める形式で出力する。このツールは、アーキテクトがBAを作成したツールと同じものでよく、ツール上でBAとAA/DAが結び付けられた状態を確認できる。アーキテクトは、情報処理装置1の生成したAA/DAを確認し、修正等を行う。整合部21でAs-IsのDA要素に対する処理が行われた場合、出力部22は、整合部21の処理したDA要素を含むAA/DAを出力する。
【0031】
なお、As-IsのAA/DAを利用しない場合、情報処理装置1は、AA/DA登録部13、ポリシー登録部14、AA/DA記憶部17、ポリシー記憶部18、および整合部21を備えなくてもよい。
【0032】
次に、
図7のフローチャートを参照し、推奨AA/DA算出部19と推奨API算出部20によるAA/DAの生成処理について説明する。To-BeのBAはBA記憶部16が保持しているものとする。以下の処理は、BAに含まれる各ビジネスプロセスに対して実行される。As-Isのアプリケーションファンクションが結び付けられたビジネスプロセスは対象外とする。例えば、
図6に示した例では、ビジネスプロセス110Aを除く、4つのビジネスプロセス110B~110Eに対して実行される。
【0033】
ステップS11にて、推奨AA/DA算出部19は、BA記憶部16から処理対象のビジネスプロセスの情報を抽出する。ビジネスプロセスの情報を抽出する際、推奨AA/DA算出部19は、ビジネスプロセスが利用するビジネスオブジェクトの情報と利用方向も抽出する。
図8の例では、推奨AA/DA算出部19は、ビジネスプロセス110として「警報情報受付」を抽出し、ビジネスプロセス110が利用するビジネスオブジェクト120として「警報情報」を抽出する。また、推奨AA/DA算出部19は、ビジネスプロセス110がビジネスオブジェクト120を読み込むという情報(利用方向)も抽出する。
【0034】
ステップS12にて、推奨API算出部20は、API情報記憶部15の保持するAPIレコードのそれぞれについて、ステップS11で抽出した情報とAPIレコードの情報に基づいて推奨度を算出し、最も高い推奨度のAPIレコードを推奨AA/DA算出部19に返却する。
【0035】
ステップS13にて、推奨AA/DA算出部19は、推奨API算出部20から受信したAPIレコードの情報からAA要素とDA要素を構築してBAに結び付ける。
図9の例では、推奨AA/DA算出部19は、推奨APIレコードから業界標準名、API名、およびリソース名を取得し、業界標準名とAPI名を含む「TMF_XX_API」の文字列を付与したアプリケーションファンクション210を構築してビジネスプロセス110に結び付け、業界標準名とリソース名を含む「TMF_XX Resource」の文字列を付与したデータオブジェクト220を構築してビジネスオブジェクト120に結び付けた。アーキテクトは、アプリケーションファンクション210とデータオブジェクト220に付与された文字列からどのAPIを用いればよいかを判断できる。アプリケーションファンクション210とデータオブジェクト220は推奨APIレコードの情報を含んでもよいし、リソースレコードの情報を含んでもよい。
【0036】
次に、
図10のフローチャートを参照し、整合部21によるAs-Isのデータオブジェクトの整合処理について説明する。以下の処理は、推奨AA/DA算出部19の生成したAA/DAに含まれるAs-Isのデータオブジェクトの全てに対して実行される。例えば、
図6に示した例では、枠230内の3つのデータオブジェクト220A,220B,220Cに対して実行される。
【0037】
ステップS21にて、整合部21は、As-Isのデータオブジェクトに結び付けられたビジネスオブジェクトを利用するビジネスプロセスを抽出する。例えば、
図6のデータオブジェクト220Aについては、データオブジェクト220Aに結び付けられたビジネスオブジェクト120Aを利用する2つのビジネスプロセス110A,110Bが抽出される。
【0038】
ステップS22にて、整合部21は、ステップS21で抽出したビジネスプロセスに推奨AA/DA算出部19が結び付けたアプリケーションファンクションの推奨APIを抽出する。例えば、
図6に示した例では、ビジネスプロセス110Bに結び付けられたアプリケーションファンクション210Bの推奨APIが抽出される。推奨APIは、アプリケーションファンクション210Bに付与された業界標準名とAPI名から抽出できる。なお、ビジネスプロセス110Aに結び付けられたアプリケーションファンクション210AはAs-Isのアプリケーションファンクションであり推奨AA/DA算出部19が構築したものではない。
【0039】
ステップS23にて、整合部21は、推奨APIのAPIレコードを参照してリソースを抽出する。具体的には、整合部21は、APIレコードのリソースIDに対応するリソースレコードを抽出する。リソースレコードにサブリソースIDが指定されている場合、整合部21は、再帰的に、そのリソースIDのリソースレコードも抽出する。例えば、
図2に示したAPI ID=1のAPIレコードはリソースID=1が指定されているので、整合部21は、
図3に示したリソースID=1のリソースレコードを抽出し、さらにサブリソースID=5のリソースレコードも抽出する。
【0040】
ステップS24にて、整合部21は、As-IsのデータオブジェクトとステップS23で抽出した各リソース、各サブリソースとの間で類似度を算出し、類似度が最大となったリソースまたはサブリソースをAs-Isのデータオブジェクトの整合対象とする。
図11にAs-Isのデータオブジェクト220とリソース310、サブリソース320との間で類似度を算出するイメージを示す。整合部21は、データオブジェクト220の各フィールドとリソース310およびサブリソース320の各フィールドとを比較し、リソース310およびサブリソース320のそれぞれについて類似度を算出する。例えば、整合部21は、フィールドの型、フィールドの名前の類似度などからリソース310とサブリソース320の類似度を算出する。類似度が最大のリソース310またはサブリソース320をデータオブジェクト220の整合対象とする。
【0041】
ステップS25にて、整合部21は、ポリシー記憶部18に登録されているポリシーを参照し、As-Isを重視するか、推奨APIのリソースを重視するかを判定する。
【0042】
As-Isを重視する場合、整合部21は、ステップS24で求めた整合対象のリソースまたはサブリソースで新たなデータオブジェクトを構築し、新たなデータオブジェクトのフィールドをAs-Isのデータオブジェクトのフィールドで置き換える対応情報を付与する。
図12の例では、ビジネスオブジェクト120にサブリソース320から構築したデータオブジェクトを結び付け、サブリソース320のフィールドのうちAs-Isのデータオブジェクト220のフィールドで置き換える情報を付与している。
【0043】
推奨APIのリソースを重視する場合、整合部21は、ステップS24で求めた整合対象のリソースまたはサブリソースに基づいて構築した新たなデータオブジェクトでAs-Isのデータオブジェクトを置き換える。
図13の例では、ビジネスオブジェクト120にサブリソース320から構築したデータオブジェクトを結び付けた。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置1は、業界標準APIの情報を保持するAPI情報記憶部15を備える。推奨AA/DA算出部19は、ビジネスアーキテクチャモデルに含まれるビジネスプロセスのそれぞれについて、ビジネスプロセスの情報とビジネスプロセスが利用するビジネスオブジェクトの情報をビジネスアーキテクチャモデルから抽出する。推奨API算出部20は、業界標準APIのそれぞれについてビジネスプロセスに対する推奨度を算出する。推奨AA/DA算出部19は、推奨度が最大の業界標準APIの名称に基づいたアプリケーションファンクションを構築してビジネスプロセスに結び付け、推奨度が最大の業界標準APIの利用するリソースの名称に基づいたデータオブジェクトを構築してビジネスオブジェクトに結び付けてアプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを生成する。これにより、業界標準APIを活用したアプリケーションアーキテクチャモデルとデータアーキテクチャモデルを生成できる。
【0045】
上記説明した情報処理装置1には、例えば、
図14に示すような、中央演算処理装置(CPU)901と、メモリ902と、ストレージ903と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906とを備える汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、情報処理装置1が実現される。このプログラムは磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【符号の説明】
【0046】
1 情報処理装置
11 API情報登録部
12 BA登録部
13 AA/DA登録部
14 ポリシー登録部
15 API情報記憶部
16 BA記憶部
17 AA/DA記憶部
18 ポリシー記憶部
19 推奨AA/DA算出部
20 推奨API算出部
21 整合部
22 出力部