IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241211BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G03G21/00 318
G03G21/00 370
G03G15/20 555
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021034375
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134894
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 直洋
(72)【発明者】
【氏名】足立 知哉
(72)【発明者】
【氏名】古市 祐介
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-083969(JP,A)
【文献】特開2021-033254(JP,A)
【文献】特開平07-311526(JP,A)
【文献】特開2010-102027(JP,A)
【文献】特開2002-162885(JP,A)
【文献】特開2007-086591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0021198(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
15/20
21/00
21/04
21/10-21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体に摺擦するブレードと、
搬送される記録媒体を加熱する加熱装置とを備え、
前記加熱装置は、発熱体を有する加熱部材を有している
画像形成装置において、
前記加熱部材は前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に伸びており、
前記ブレードと前記回転体との摺擦部は前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に伸びており、
前記摺擦部の両端部と、前記加熱部材の両端部は直接、又は間接的に対向しており、
前記加熱部材は、前記発熱体ごとに区画された複数のブロックが前記搬送方向に直交する方向に並べて配置される発熱領域を有し、
前記発熱領域内の前記搬送方向に直交する方向における一端側に位置する前記ブロックが、中央部に位置する前記ブロックよりも発熱量が高くなり、
前記一端側に位置する前記ブロックに、直接、又は間接的に対向する前記摺擦部における前記ブレードと前記回転体との摩擦力が、前記中央部に位置する前記ブロックに、直接、又は間接的に対向する前記摺擦部における前記ブレードと前記回転体との摩擦力よりも低いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
回転体に摺擦するブレードと、
搬送される記録媒体を加熱する加熱装置とを備え、
前記加熱装置は、発熱体を有する加熱部材を有している
画像形成装置において、
前記加熱部材は前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に伸びており、
前記ブレードと前記回転体との摺擦部は前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に伸びており、
前記摺擦部と、前記加熱部材は直接、又は間接的に対向しており、
前記加熱部材は、前記発熱体ごとに区画された複数のブロックが前記搬送方向に直交する方向に並べて配置される発熱領域を有し、
前記発熱領域内の前記搬送方向に直交する方向における一端側に位置する前記ブロックが、中央部に位置する前記ブロックよりも、電流の二乗の合計値が大きくなり、
前記一端側に位置する前記ブロックに、直接、又は間接的に対向する前記摺擦部における前記ブレードと前記回転体との摩擦力が、前記中央部に位置する前記ブロックに、直接、又は間接的に対向する前記摺擦部における前記ブレードと前記回転体との摩擦力よりも低いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記発熱領域内の前記搬送方向に直交する方向における両端側に位置する前記ブロックが、中央部に位置する前記ブロックよりも発熱量が高くなり、
前記両端側に位置する前記ブロックに、直接、又は間接的に対向する前記摺擦部における前記ブレードと前記回転体との摩擦力が、前記中央部に位置する前記ブロックに、直接、又は間接的に対向する前記摺擦部における前記ブレードと前記回転体との摩擦力よりも低い請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記発熱領域内の前記搬送方向に直交する方向における両端側に位置する前記ブロックが、中央部に位置する前記ブロックよりも、電流の二乗の合計値が大きくなり、
前記両端側に位置する前記ブロックに、直接、又は間接的に対向する前記摺擦部における前記ブレードと前記回転体との摩擦力が、前記中央部に位置する前記ブロックに、直接、又は間接的に対向する前記摺擦部における前記ブレードと前記回転体との摩擦力よりも低い請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ブレードと前記回転体との摩擦力が低い部分は、前記ブレードと前記回転体との摩擦力が高い部分に比べて、前記ブレードと前記回転体とのの接触圧が小さい請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ブレードと前記回転体との摩擦力が低い部分は、前記ブレードと前記回転体との摩擦力が高い部分に比べて、前記ブレードがブレード保持部材から前記回転体側へ突出する部分の長さが長い請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ブレードと前記回転体との摩擦力が低い部分は、前記ブレードと前記回転体との摩擦力が高い部分に比べて、前記ブレード保持部材の前記ブレードを保持する部分の長さが短いことにより、前記ブレードがブレード保持部材から前記回転体側へ突出する部分の長さが長い請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ブレードと前記回転体との摩擦力が低い部分は、前記ブレードと前記回転体との摩擦力が高い部分に比べて、前記ブレードの厚さが薄い請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ブレードと前記回転体との摩擦力が低い部分は、前記ブレードと前記回転体との摩擦力が高い部分に比べて、前記回転体に対する前記ブレードの反発弾性が低い請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ブレードと前記回転体との摩擦力が低い部分は、前記ブレードと前記回転体との摩擦力が高い部分に比べて、前記回転体に対する前記ブレードの潤滑性が高い請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの画像形成装置として、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
一般的に、電子写真方式の画像形成装置には、トナー画像を用紙に定着させる定着装置が搭載されている。定着装置は、用紙を加熱するヒータなどの加熱部材を備えており、用紙が定着装置を通過する際に、加熱部材によって用紙が加熱されることにより、用紙上のトナーが溶融し用紙に定着される。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2016-62024号公報)には、定着装置が備える加熱部材として、板状の基材(基板)に、発熱体や電極部(電気接点)、及びこれらを電気的に接続する導電部(導体パターン)などが設けられたヒータが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような導電部が基材に設けられている加熱部材においては、発熱体を発熱させる際、導電部への通電により導電部においても発熱が生じる。従って、導電部の発熱分布にばらつきがあると、それが原因で加熱部材の温度分布にもばらつきが発生する。
【0006】
また、上記のような加熱部材の温度分布のばらつきの影響は、加熱部材を備える定着装置に留まらず、その周辺の装置を含む画像形成装置の各種装置にも及ぶ。例えば、加熱部材の温度分布の影響が、画像を形成する作像ユニットに及ぶと、感光体の表面をクリーニングするクリーニングブレードにおいても、温度分布のばらつきが発生する。
【0007】
ここで、クリーニング部材が良好なクリーニング機能を発揮するには、感光体に対するクリーニング部材の接触状態(摩擦力、反発弾性、又は接触圧など)が適正な状態であることが求められる。しかしながら、クリーニングブレードの温度分布にばらつきが発生すると、クリーニングブレードの特に温度の高い箇所においては、熱の影響により適正な接触状態を維持できなくなる虞がある。また、斯かる問題は、感光体の表面をクリーニングするクリーニングブレードに限らず、その他の回転体に対して摺擦するブレードにおいても同様に生じる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、回転体に摺擦するブレードと、搬送される記録媒体を加熱する加熱装置とを備え、前記加熱装置は、発熱体を有する加熱部材を有している
画像形成装置において、前記加熱部材は前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に伸びており、前記ブレードと前記回転体との摺擦部は前記記録媒体の搬送方向に直交する方向に伸びており、前記摺擦部の両端部と、前記加熱部材の両端部は直接、又は間接的に対向しており、前記加熱部材は、前記発熱体ごとに区画された複数のブロックが前記搬送方向に直交する方向に並べて配置される発熱領域を有し、前記発熱領域内の前記搬送方向に直交する方向における一端側に位置する前記ブロックが、中央部に位置する前記ブロックよりも発熱量が高くなり、前記一端側に位置する前記ブロックに、直接、又は間接的に対向する前記摺擦部における前記ブレードと前記回転体との摩擦力が、前記中央部に位置する前記ブロックに、直接、又は間接的に対向する前記摺擦部における前記ブレードと前記回転体との摩擦力よりも低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転体に対するブレードの接触状態を適正な状態で維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2】本実施形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
図3】本実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
図4】前記定着装置の斜視図である。
図5】前記定着装置の分解斜視図である。
図6】前記定着装置が備える加熱ユニットの斜視図である。
図7】前記加熱ユニットの分解斜視図である。
図8】本実施形態に係るヒータの平面図である。
図9】前記ヒータの分解斜視図である。
図10】前記ヒータにコネクタが接続された状態を示す斜視図である。
図11】前記ヒータへの電力供給構造を示す図である。
図12】前記ヒータに生じる温度分布のばらつきを示す図である。
図13】前記ヒータに生じる温度分布のばらつきを示す図である。
図14】クリーニング性が低下する原理を説明するための図である。
図15】クリーニングブレードの温度分布のばらつきを説明するための図である。
図16】クリーニングブレードの温度分布のばらつきを説明するための図である。
図17】クリーニングブレードの自由長を異ならせる例を示す図である。
図18】ブレード保持部材の変形例を示す図である。
図19】ブレード保持部材の他の変形例を示す図である。
図20】クリーニングブレードの厚さを異ならせる例を示す図である。
図21】クリーニングブレードの材質を異ならせる例を示す図である。
図22】クリーニングブレードの厚さ方向の一部の材質を異ならせる例を示す図である。
図23】感光体に対するクリーニングブレードの潤滑性を異ならせる例を示す図である。
図24】中間転写ベルト用のクリーニングブレードと、定着装置が備えるヒータとの位置関係を示す図である。
図25】二次転写ベルト用のクリーニングブレードを備える例を示す図である。
図26】意図しない分流が生じ得るヒータの他の例を示す図である。
図27図26に示すヒータに生じる温度分布のばらつきを示す図である。
図28図26に示すヒータに生じる温度分布のばらつきを示す図である。
図29】小型化されたヒータを示す図である。
図30】小型化されたヒータの他の例を示す図である。
図31】本発明を適用可能な他の定着装置の概略構成図である。
図32】本発明を適用可能な別の定着装置の概略構成図である。
図33】本発明を適用可能なさらに別の定着装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付す。このため、一度説明した構成要素については、その説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0013】
図1に示す画像形成装置100は、画像形成手段としての画像形成部200及び転写部300と、定着部400と、記録媒体供給部500と、記録媒体排出部600を備えている。
【0014】
画像形成部200には、4つのプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkと、露光装置6が設けられている。各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、画像形成装置本体に対して着脱可能な作像ユニットである。各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色のトナー(現像剤)を収容している以外、基本的に同じ構成である。具体的に、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、感光体2と、帯電部材3と、現像装置4と、クリーニング装置5と、潤滑剤供給装置7を備えている。
【0015】
感光体2は、表面に画像を担持する像担持体である。本実施形態においては、感光体2として、ドラム状の感光体(感光体ドラム)が用いられている。また、感光体2として、ベルト状の感光体(感光体ベルト)を用いることも可能である。
【0016】
帯電部材3は、感光体2の表面を帯電させる部材である。本実施形態においては、帯電部材3として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材が用いられている。ただし、帯電部材3は、接触式のものに限らず、コロナ帯電などの非接触式のものでもよい。
【0017】
現像装置4は、感光体2の表面に現像剤としてのトナーを供給する装置である。例えば、現像装置4は、感光体2に接触する現像ローラなどの現像剤供給部材を有している。現像剤供給部材が回転することにより、現像剤供給部材上に担持された現像剤(トナー)が感光体2の表面に供給される。
【0018】
クリーニング装置5は、クリーニング対象物である感光体2の表面をクリーニングする装置である。図2に示すように、クリーニング装置5は、クリーニングブレード77と、ブレード保持部材78と、ブレード付勢部材としてのバネ79を有している。クリーニングブレード77は、ウレタンゴムなどの弾性材料によって形成された略板状の部材であって、ブレード保持部材78によって片持ち保持されている。また、クリーニングブレード77は、ブレード保持部材78がバネ79によって付勢されることにより、感光体2の表面に接触した状態で保持される。この状態で感光体2が回転すると、回転する感光体2に対してクリーニングブレード77が摺擦することにより、感光体2上の残留トナーなどの異物がクリーニングブレード77によって除去される。
【0019】
潤滑剤供給装置7は、感光体2の表面に潤滑剤を供給する装置である。図2に示す例においては、潤滑剤供給装置7が、潤滑剤80と、潤滑剤供給部材としてのブラシローラ81と、潤滑剤付勢部材としてのバネ82と、薄層化部材としての塗布ブレード83と、ブレード付勢部材としてのバネ84を有している。潤滑剤80はバネ82によってブラシローラ81へ付勢されている。この状態で、ブラシローラ81が回転することにより、潤滑剤80がブラシローラ81によって掻き取られて感光体2の表面に供給される。また、塗布ブレード83は、バネ79によって感光体2の表面に接触した状態で保持されている。このため、感光体2の表面に潤滑剤が供給されると、潤滑剤は、感光体2と塗布ブレード83との接触部を通過する際に均一な厚さに薄層化され、感光体2の表面に塗布される。
【0020】
図1に示すように、転写部300には、用紙などの記録媒体に画像を転写する転写装置8が設けられている。画像が転写される記録媒体は、普通紙、厚紙、薄紙、コート紙、ラベル紙、又は封筒などの紙製のシートのほか、OHPなどの樹脂製のシートであってもよい。転写装置8は、中間転写ベルト11と、一次転写ローラ12と、二次転写ローラ13と、ベルトクリーニング装置10を有している。中間転写ベルト11は、無端状のベルト部材であり、複数のローラによって張架されている。一次転写ローラ12は、各感光体2に対応して複数(感光体2の数と同数)設けられている。各一次転写ローラ12が中間転写ベルト11を介して感光体2に接触しているにより、中間転写ベルト11と各感光体2との間に、中間転写ベルト11と各感光体2とが接触する一次転写ニップが形成されている。一方、二次転写ローラ13は、中間転写ベルト11を介して中間転写ベルト11を張架する複数のローラの1つに接触している。これにより、中間転写ベルト11との間には、二次転写ニップが形成されている。ベルトクリーニング装置10は、中間転写ベルト11の表面に接触するクリーニングブレード69を有している。
【0021】
定着部400には、用紙に画像を定着させる定着装置9が設けられている。定着装置9の詳しい構成については後述する。
【0022】
記録媒体供給部500には、記録媒体としての用紙Pを収容する給紙カセット14と、給紙カセット14から用紙Pを送り出す給紙ローラ15とが設けられている。
【0023】
記録媒体排出部600には、用紙を画像形成装置外に排出する一対の排紙ローラ17と、排紙ローラ17によって排出された用紙を載置する排紙トレイ18とが設けられている。
【0024】
次に、図1を参照しつつ本実施形態に係る画像形成装置100の印刷動作について説明する。
【0025】
画像形成装置100において印刷動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkの感光体2及び中間転写ベルト11が回転を開始する。また、給紙ローラ15が、回転を開始し、給紙カセット14から用紙Pを送り出す。送り出された用紙Pは、一対のタイミングローラ16に接触して一旦停止される。
【0026】
各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkにおいては、まず、帯電部材3が、感光体2の表面を均一な高電位に帯電する。次いで、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント画像情報に基づいて、露光装置6が、各感光体2の表面(帯電面)に露光する。これにより、露光された部分の電位が低下して各感光体2の表面に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して現像装置4がトナーを供給し、各感光体2上にトナー画像が形成される。なお、本実施形態に係る画像形成装置100は、全てのプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkを使用してフルカラーの画像を形成する場合のほか、いずれか一つのプロセスユニットを使用して単色画像を形成することも可能である。また、いずれか2つ又は3つのプロセスユニットを用いて2色又は3色の画像を形成してもよい。
【0027】
各感光体2上に形成されたトナー画像は、各感光体2の回転に伴って一次転写ニップ(一次転写ローラ12の位置)に達すると、回転する中間転写ベルト11上に順次重なり合うように転写される。その後、次の画像形成に備え、各感光体2の表面がクリーニング装置5によってクリーニングされ、さらに、潤滑剤供給装置7によって各感光体2の表面に潤滑剤が供給される。
【0028】
中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト11の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ13の位置)へ搬送され、タイミングローラ16によって搬送されてきた用紙P上に転写される。その後、次の画像形成に備えて、中間転写ベルト11の表面は、ベルトクリーニング装置10によってクリーニングされる。
【0029】
画像が転写された用紙Pは、定着装置9へ搬送され、定着装置9によってトナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、排紙ローラ17によって排紙トレイ18へ排出され、一連の印刷動作が終了する。
【0030】
続いて、本実施形態に係る定着装置9の構成について説明する。
【0031】
図3に示すように、本実施形態に係る定着装置9は、定着ベルト20と、加圧ローラ21と、ヒータ22と、ヒータホルダ23と、ステー24と、温度センサ19を備えている。
【0032】
定着ベルト20は、用紙Pの未定着トナー担持面側(画像形成面側)に配置され、未定着トナーを用紙Pに定着させる定着部材として機能する回転体(第1回転体)である。定着ベルト20は、例えば、ポリイミドから成る基材を有する。基材の材料は、ポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂、ニッケル、又はSUSなどの金属材料であってもよい。また、耐久性を高めると共に離型性を確保するため、基材の外周面に、PFA又はPTFEなどのフッ素樹脂から成る離型層が設けられてもよい。さらに、基材と離型層との間に、ゴムなどから成る弾性層が設けられてもよい。また、基材の内周面に、ポリイミド又はPTFEなどから成る摺動層が設けられてもよい。
【0033】
加圧ローラ21は、定着ベルト20とは別の回転体(第2回転体)であって、定着ベルト20の外周面に対向するように配置された対向部材である。加圧ローラ21は、金属製の芯金と、芯金の外周面に設けられたシリコーンゴムなどから成る弾性層と、弾性層の外周面に設けられたフッ素樹脂などから成る離型層を有している。
【0034】
定着ベルト20と加圧ローラ21は、バネなどの付勢部材によって互いに加圧(圧接)されている。これにより、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nが形成されている。また、加圧ローラ21には、画像形成装置本体に設けられた駆動源から駆動力が伝達される。このため、加圧ローラ21が回転駆動すると、その駆動力がニップ部Nにおいて定着ベルト20に伝達され、定着ベルト20が従動回転する。そして、図3に示すように、未定着画像を担持する用紙Pが、回転する定着ベルト20と加圧ローラ21との間(ニップ部N)に進入すると、定着ベルト20と加圧ローラ21によって用紙Pが搬送されながら加熱及び加圧される。これにより、用紙P上の未定着画像が用紙Pに定着される。
【0035】
ヒータ22は、定着ベルト20を加熱する加熱部材である。本実施形態では、ヒータ22が、板状の基材50と、基材50上に設けられた第1絶縁層51と、第1絶縁層51上に設けられた導体層52と、導体層52を被覆する第2絶縁層53を有している。また、導体層52には、通電により発熱する抵抗発熱体60が含まれている。
【0036】
本実施形態においては、抵抗発熱体60が、基材50のニップ部N側に配置されているため、抵抗発熱体60の熱が基材50を介さずに定着ベルト20に伝わり、定着ベルト20を効率良く加熱できる。また、抵抗発熱体60が、基材50のニップ部N側とは反対側に配置されてもよい。ただし、その場合は、抵抗発熱体60の熱が基材50を介して定着ベルト20に伝わるため、基材50は窒化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料により形成されることが好ましい。
【0037】
また、本実施形態においては、ヒータ22が定着ベルト20の内周面に直接接触するように配置されているため、ヒータ22の熱が定着ベルト20へ効率良く伝わる。なお、ヒータ22は、定着ベルト20に対して直接接触する場合に限らず、定着ベルト20に対して非接触又は低摩擦シートなどを介して間接的に接触してもよい。また、定着ベルト20に対するヒータ22の接触箇所として、定着ベルト20の外周面を選択することも可能である。ただし、その場合、ヒータ22と定着ベルト20との接触によって定着ベルト20の外周面に傷が生じ、これに起因して定着品質が低下する虞がある。そのため、ヒータ22の接触箇所は、定着ベルト20の外周面よりも内周面であることが好ましい。
【0038】
ヒータホルダ23は、定着ベルト20の内側に配置されて、ヒータ22を保持する加熱部材保持体である。ヒータホルダ23は、ヒータ22の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料によって形成されることが好ましい。特に、ヒータホルダ23が、LCP又はPEEKなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂によって形成される場合は、ヒータホルダ23の耐熱性を確保しつつ、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱が抑制されるので、定着ベルト20を効率良く加熱できる。
【0039】
ステー24は、定着ベルト20の内側に配置されて、ヒータ22及びヒータホルダ23を補強する補強部材である。ステー24がヒータホルダ23のニップ部N側の面とは反対の面を支持することにより、加圧ローラ21の加圧力によるヒータホルダ23の撓みが抑制される。これにより、定着ベルト20と加圧ローラ21との間に均一な幅のニップ部Nが形成される。ステー24は、その剛性を確保するため、SUS又はSECCなどの鉄系金属材料によって形成されることが好ましい。
【0040】
温度センサ19は、ヒータ22の温度を検知する温度検知部材である。温度センサ19としては、サーモパイル、サーモスタット、サーミスタ、又はNCセンサなどの公知の温度センサを適用可能である。また、温度センサ19は、ヒータ22に対して接触するように配置される接触型の温度センサでもよいし、ヒータ22に対して間隔をあけて対向するように配置される非接触型の温度センサでもよい。本実施形態においては、温度センサ19がヒータ22のニップN側とは反対側の面に接触するように配置されている。
【0041】
図4は、本実施形態に係る定着装置の斜視図、図5は、その分解斜視図である。
【0042】
図4及び図5に示すように、定着装置9の装置フレーム40は、第1装置フレーム25と、第2装置フレーム26を備えている。第1装置フレーム25は、一対の側壁部28と、前壁部27を有している。一方、第2装置フレーム26は、後壁部29を有している。一対の側壁部28は、ベルト長手方向(定着ベルト20の長手方向)の一端部側と他端部側とに配置されている。両側壁部28によって、定着ベルト20及び加圧ローラ21などの両端部側が支持される。各側壁部28には、複数の係合突起28aが設けられている。各係合突起28aが後壁部29に設けられた係合孔29aに係合することにより、第1装置フレーム25と第2装置フレーム26とが組み付けられる。
【0043】
また、各側壁部28には、加圧ローラ21の回転軸などを挿通させるための挿通溝28bが設けられている。挿通溝28bは、後壁部29側において開口する。挿通溝28bの後壁部29側とは反対側は、開口しない突き当て部である。この突き当て部側の端部には、加圧ローラ21の回転軸を支持する軸受30が設けられている。加圧ローラ21の回転軸の両端部がそれぞれ軸受30に装着されることにより、加圧ローラ21が両側壁部28によって回転可能に支持される。
【0044】
また、加圧ローラ21の回転軸の一端部側には、駆動伝達部材としての駆動伝達ギヤ31が設けられている。駆動伝達ギヤ31は、加圧ローラ21が両側壁部28に支持された状態で、側壁部28よりも外側に露出する。これにより、定着装置9が画像形成装置本体に搭載されると、駆動伝達ギヤ31が画像形成装置本体に設けられているギヤと連結し、駆動源から加圧ローラ21へ駆動力が伝達可能となる。なお、加圧ローラ21に駆動力を伝達する駆動伝達部材は、駆動伝達ギヤ31に限らず、駆動伝達ベルトを張架するプーリでもよいし、カップリング機構などであってもよい。
【0045】
定着ベルト20の長手方向の両端には、定着ベルト20やステー24などを支持する一対の支持部材32が設けられている。一対の支持部材32は、定着ベルト20と、ヒータホルダ23と、ステー24などを支持する。各支持部材32には、ガイド溝32aが設けられている。このガイド溝32aを側壁部28の挿通溝28bの縁に沿って移動させ、支持部材32を挿通溝28b内に進入させることにより、支持部材32が側壁部28に対して組み付けられる。
【0046】
また、各支持部材32と後壁部29との間には、付勢部材としての一対のバネ33が設けられている。各バネ33がステー24及び支持部材32を加圧ローラ21側に付勢することにより、定着ベルト20が加圧ローラ21に押し当てられる。これにより、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部が形成される。
【0047】
また、図5に示すように、第2装置フレーム26を構成する後壁部29の長手方向の一端部側には、孔部29bが設けられている。孔部29bは、画像形成装置本体に対する定着装置本体の位置決めを行う位置決め部である。一方、画像形成装置本体には、位置決め部としての突起101が設けられている。この突起101が、定着装置9の孔部29bに対して挿入されることにより、突起101と孔部29bが嵌合する。これにより、画像形成装置本体に対する定着装置本体のベルト長手方向の位置決めがなされる。なお、後壁部29の孔部29bが設けられた端部側とは反対の端部側には、位置決め部は設けられていない。このため、温度変化に伴って定着装置本体がベルト長手方向へ伸縮しても、定着装置本体の伸縮は拘束されず、定着装置本体に歪が生じるのが抑制される。
【0048】
図6は、本実施形態に係る定着装置が備える加熱ユニットの斜視図、図7は、その加熱ユニットの分解斜視図である。
【0049】
図6及び図7に示すように、ヒータホルダ23の定着ベルト側の面(図6及び図7における手前側の面)には、ヒータ22を収容するための矩形の収容凹部23aが設けられている。収容凹部23aは、ヒータ22とほぼ同じ形状及びサイズに形成されている。ただし、収容凹部23aの長手方向寸法L2はヒータ22の長手方向寸法L1よりも若干長く設定されている。このように、収容凹部23aがヒータ22よりも若干長く形成されているため、熱膨張によりヒータ22がその長手方向に伸びても、ヒータ22と収容凹部23aとが干渉しない。また、ヒータ22がこの収容凹部23a内に収容された状態で、ヒータ22は給電部材としての後述のコネクタによってヒータホルダ23と一緒に挟まれるように保持される。
【0050】
一対の支持部材32は、C字状のベルト支持部32bと、フランジ状のベルト規制部32cと、支持凹部32dを有している。各ベルト支持部32bは、定着ベルト20の長手方向両端の内側に挿入される。これにより、定着ベルト20は、各ベルト支持部32bによって、いわゆるフリーベルト方式で(少なくとも非回転時においては定着ベルト20に張力が付与されない状態で)支持される。一方、各ベルト規制部32cは、定着ベルト20の内側には挿入されず、定着ベルト20の長手方向端部に対向するように配置される。これにより、定着ベルト20が長手方向の一方へ移動したとしても、定着ベルト20の長手方向端部がベルト規制部32cに接触することにより、定着ベルト20の移動(片寄り)が規制される。各支持凹部32dには、ヒータホルダ23及びステー24のそれぞれの長手方向の両端近傍部分が挿入される。これにより、ヒータホルダ23及びステー24は、一対の支持部材32によって支持される。
【0051】
図6及び図7に示すように、ヒータホルダ23の長手方向一端部側には、位置決め部としての位置決め凹部23eが設けられている。この位置決め凹部23eに対して、図6及び図7の左側に示される支持部材32の嵌合部32eが嵌合することにより、ヒータホルダ23と支持部材32とのベルト長手方向の位置決めがなされる。一方、図6及び図7の右側に示される支持部材32には、嵌合部32eは設けられていない。従って、図の右側では、ヒータホルダ23に対する支持部材32のベルト長手方向の位置決めはされない。このように、支持部材32に対するヒータホルダ23の位置決めがベルト長手方向の片側だけで行われるため、温度変化に伴うヒータホルダ23のベルト長手方向の伸縮が許容される。
【0052】
また、図7に示すように、ステー24の長手方向の両端部側には、段差部24aが設けられている。各段差部24aは支持部材32に突き当たることにより支持部材32に対するステー24の長手方向の移動を規制する。ただし、これら段差部24aのうち少なくとも一方は、支持部材32に対して隙間(ガタ)を介して配置される。このように、少なくとも一方の段差部24aが支持部材32に対して隙間を介して配置されることにより、温度変化に伴うステー24のベルト長手方向の伸縮が許容される。
【0053】
図8は、本実施形態に係るヒータの平面図、図9は、当該ヒータの分解斜視図である。
【0054】
図8及び図9に示すように、ヒータ22は、板状の基材50を有している。基材50の上には、第1絶縁層51と、導体層52と、第2絶縁層53が積層されている。基材50は、定着ベルト20の長手方向又は加圧ローラ21の回転軸方向である図8中の矢印Z方向へ長手状に伸びるように配置される。
【0055】
基材50は、例えば、ステンレス(SUS)、鉄、又はアルミニウムなどの金属材料によって形成される。また、基材50の材料は、金属材料に限らず、セラミック、又はガラスなどであってもよい。基材50がセラミックなどの絶縁材料によって形成される場合は、基材50と導体層52との間の第1絶縁層51を省略できる。一方、金属材料は、急速加熱に対する耐久性に優れ、加工もしやすいため、ヒータの低コスト化を図るのに好適である。金属材料の中でも、特にアルミニウム又は銅は、熱伝導性が高く、温度ムラが発生しにくい点で好ましい。また、ステンレスは、アルミニウム又は銅と比べて基材50を安価に製造できる。
【0056】
第1絶縁層51及び第2絶縁層53は、例えば、耐熱性ガラス、セラミック又はポリイミドなどの絶縁性を有する材料によって形成される。
【0057】
導体層52は、複数の抵抗発熱体60のほか、複数の電極部61と、複数の給電線(導電部)62を有している。複数の抵抗発熱体60は、基材50上に設けられたフック数の給電線62を介して3つの電極部61のいずれか2つに対して電気的に並列接続されている。
【0058】
抵抗発熱体60は、例えば、銀パラジウム(AgPd)及びガラス粉末などを調合したペーストを基材50上にスクリーン印刷し、その後、当該基材50を焼成することによって形成される。抵抗発熱体60の材料としては、前述の材料以外に、銀合金(AgPt)又は酸化ルテニウム(RuO)などの抵抗材料が用いることができる。
【0059】
電極部61及び給電線62は、抵抗発熱体60よりも小さい抵抗値の導体によって形成される。具体的に、電極部61及給電線62は、銀(Ag)又は銀パラジウム(AgPd)などの材料を基材50上にスクリーン印刷することによって形成される。
【0060】
また、図8に示すように、各抵抗発熱体60の全体及び各給電線62の少なくとも一部は、第2絶縁層53によって覆われ、絶縁性が確保されている。一方、各電極部61は、コネクタが接続される部分であるため、第2絶縁層53によってほとんど覆われておらず露出している。
【0061】
図10は、本実施形態に係るヒータにコネクタが接続された状態を示す斜視図である。
【0062】
図10に示すように、コネクタ70は、樹脂製のハウジング71と、複数のコンタクト端子72を有している。各コンタクト端子72は、板バネなどの導電性を有する弾性部材である。各コンタクト端子72は、ハウジング71に設けられている。また、各コンタクト端子72には、それぞれ給電用のハーネス73が接続されている。
【0063】
図10に示すように、コネクタ70は、ヒータ22及びヒータホルダ23を一緒に挟むようにして取り付けられる。これにより、ヒータ22及びヒータホルダ23は、コネクタ70によって保持される。また、図10に示す各電極部61とは反対側にある電極部61に対しても同様にコネクタが接続される。各コンタクト端子72の先端(接触部72a)が、対応する電極部61に弾性的に接触(圧接)することにより、各コンタクト端子72と各電極部61とが電気的に接続される。これにより、画像形成装置本体に設けられた電源から各抵抗発熱体60へ給電可能な状態となる。また、この状態において、コネクタ70を介して各抵抗発熱体60へ電力が供給されると、各抵抗発熱体60が発熱する。
【0064】
図11に示すように、本実施形態においては、基材50の長手方向(矢印Z方向)に並ぶ複数の抵抗発熱体60のうち、両端以外の各抵抗発熱体60で構成される第1発熱部(第1抵抗発熱体群)60Aと、両端の各抵抗発熱体60で構成される第2発熱部(第2抵抗発熱体群)60Bは、それぞれ独立して発熱可能である。具体的に、第1発熱部60Aを構成する両端以外の各抵抗発熱体60は、それぞれ基材50の長手方向の一端部側に設けられた第1電極部61Aに対し第1給電線62Aを介して接続されている。また、第1発熱部60Aを構成する各抵抗発熱体60は、第1電極部61A側とは反対の端部側に設けられた第2電極部61Bに対し第2給電線62Bを介して接続されている。一方、第2発熱部60Bを構成する両端の各抵抗発熱体60は、基材50の長手方向の一端部側に設けられた(第1電極部61Aとは別の)第3電極部61Cに対し第3給電線62C又は第4給電線62Dを介して接続されている。また、これら両端の各抵抗発熱体60は、両端以外の各抵抗発熱体60と同様に、第2電極部61Bに対し第2給電線62を介して接続されている。
【0065】
また、それぞれの電極部61A~61Cに対して、前述のコネクタ70が接続されることにより、電源64から各抵抗発熱体60へ給電可能な状態となる。第1電極部61Aと電源64との間、及び、第3電極部61Cと電源64との間には、それぞれ切換部としてのスイッチ65A,65Bが設けられている。これらのスイッチ65A,65Cの切り換えのタイミング、すなわちヒータ22への電力供給のタイミングは、制御回路66によって制御される。例えば、制御回路66は、画像形成装置内に設けられた通紙センサなどの各種センサの検知結果に基づいて、各スイッチ65A,65Cの切り換えタイミングを制御する。
【0066】
第1電極部61A及び第2電極部61Bに電圧が印加され、両電極部61A,61B間に電位差が生じると、両端以外の各抵抗発熱体60に電流が流れ、第1発熱部60Aのみが発熱する。一方、第2電極部61B及び第3電極部61Cに電圧が印加され、両電極部61C,61B間に電位差が生じた場合は、両端の各抵抗発熱体60に電流が流れ、第2発熱部60Bのみが発熱する。また、全ての電極部61A~61Cに電圧が印加された場合は、第1発熱部60A及び第2発熱部60Bの両方の(全ての)抵抗発熱体60が発熱する。例えば、A4サイズ(通紙幅:210mm)以下の比較的小さいサイズの用紙が通紙される場合は、第1発熱部60Aのみを発熱さる。また、A3サイズ(通紙幅:297mm)以上の比較的大きいサイズの用紙が通紙される場合は、第1発熱部60Aに加え第2発熱部60Bも発熱させる。これにより、用紙幅に応じた発熱領域が得られる。
【0067】
一般的に、上記のような基板上に抵抗発熱体を有するヒータにおいては、抵抗発熱体が発熱する際、電流が給電線へ流れることにより給電線においてもわずかながら発熱が生じる。従って、給電線の発熱分布によっては、ヒータの温度分布にばらつきが生じる虞がある。特に、画像形成装置の高速化に伴って発熱量を増大させるために、抵抗発熱体へ流れる電流を大きくすると、給電線において生じる発熱量も大きくなるため、給電線における発熱の影響が無視できなくなる。
【0068】
ここで、図12及び図13に示す例を参考に、本実施形態に係るヒータにおいて生じる温度分布のばらつき(温度分布偏差)について説明する。
【0069】
図12は、全ての抵抗発熱体60に対して20%ずつ電流が流れた場合に、抵抗発熱体60ごとに区画された各ブロック内で発生する各給電線62A,62B,62Dの発熱量とその合計値を示す図である。図12の表に示す発熱量は、下記式(1)に示される発熱量(W)と電流(I)との関係に基づき、各給電線に流れる電流(I)の二乗として算出されたものである。よって、算出された発熱量の数値は、あくまで簡易的に算出された値であり、実際の発熱量とは異なる。なお、本実施形態においては、各給電線62A,62B,62Dの、ヒータ22の短手方向(図12における矢印Y方向)に伸びる長さは、ヒータ22の長手方向(図12における矢印Z方向)に伸びる長さに比べて短く、短手方向に伸びる部分において生じる発熱量は少ない。このため、図12の表においては、各給電線62A,62B,62Dの短手方向に伸びる部分の発熱量を無視し、各給電線62A,62B,62Dの長手方向に伸びる部分の発熱量のみを算出している。また、上記ヒータ22の短手方向とは、基材50の抵抗発熱体60が設けられている面に沿って長手方向(矢印Z方向)と交差する方向(矢印Y方向)を意味する。
【0070】
【数1】
【0071】
発熱量の算出方法について、図12における第1ブロック及び第2ブロックを例に説明する。例えば、図12中の第1ブロックにおいては、第1給電線62Aに流れる電流が100%、第4給電線62Dに流れる電流が20%である。従って、第1ブロックにおける合計発熱量は、各給電線62A,62Dに流れる電流の二乗値を合計して算出される10400(10000+400)となる。また、図12中の第2ブロックにおいては、第1給電線62Aに流れる電流が80%、第2の給電線62Bに流れる電流が20%、第4給電線62Dに流れる電流が20%である。従って、第2ブロックにおける合計発熱量は、各給電線62A,62B,62Dに流れる電流の二乗値を合計して算出される7200(6400+400+400)となる。また、他のブロックにおいても、同様にして発熱量が算出される。
【0072】
そして、各ブロックの合計発熱量を縦軸に表したものが、図12中のグラフである。このグラフからわかるように、本実施形態に係るヒータ22においては、各給電線の合計発熱量が、両端側のブロック(第1ブロック及び第7ブロック)において大きく、反対に中央側のブロック(第3ブロック及び第4ブロック)においては小さくなる。このように、給電線の発熱分布にはヒータ22の長手方向に渡ってばらつきがあるため、ヒータ22全体の温度分布にもばらつきが発生する。
【0073】
また、このような給電線の発熱に起因する温度のばらつきは、全ての抵抗発熱体が発熱する場合(図12に示す例)だけに限らず、一部の抵抗発熱体が発熱する場合でも発生し得る。特に、ヒータの小型化又は画像形成装置の高速化に伴って、給電線に意図しない分流が生じた場合は、温度のばらつきが顕著となる虞がある。意図しない分流は、ヒータの小型化に対応して給電線の幅をヒータの短手方向に小さくした結果、給電線の抵抗値が大きくなった場合に発生しやすい。また、意図しない分流は、画像形成装置の高速化に対応して抵抗発熱体の発熱量を増加させるべく、抵抗発熱体の抵抗値を小さくした場合も発生しやすくなる。すなわち、給電線の抵抗値が大きくなる、又は、抵抗発熱体の抵抗値が小さくなる、あるいは、その両方によって、給電線の抵抗値と抵抗発熱体の抵抗値が相対的に接近した場合は、これまで電流が流れなかった経路にも電流が流れ、意図しない分流が発生し得る。
【0074】
例えば、図13に示す例のように、意図しない分流は、両端以外の各抵抗発熱体60に電流を流した場合に発生し得る。具体的に、この例においては、両端以外の各抵抗発熱体60に電流が20%ずつ流れている。しかしながら、図の左から2番目の抵抗発熱体60においては、通過した電流の一部(5%)が、その先の第2給電線62Bの分岐部Xにおいて、第2電極部61B側とは反対側(図の左方向)に流れることにより、分流が発生している。また、分かれた一部の電流は、図13における左端の抵抗発熱体60を通過し、さらに、第3給電線62C、第3電極部61C、第4給電線62Dを介して右端の抵抗発熱体60を通過した後、第2給電線62Bに合流する。なお、ここでは、電流が一方向に流れる様子を示しているが、ヒータ22に流れる電流は直流に限らず交流であってもよい。
【0075】
図13中の表及びグラフに、意図しない分流が発生した場合のブロックごとの各給電線62A,62B,62Dにおいて生じる発熱量及びその合計値を示す。なお、発熱量の算出方法は、図12に示す例において説明した前述の方法と同様である。また、上記図12に示す例と同様の理由により、図13に示す例においても、各給電線62A,62B,62Dの短手方向(矢印Y方向)に伸びる部分の発熱量は省略している。
【0076】
図13中の表及びグラフに示すように、この場合も、給電線の合計発熱量が、両端側のブロック(第2ブロック及び第6ブロック)においては大きく、反対に中央部のブロック(第4ブロック)においては小さくなり、給電線の温度分布にばらつきが発生する。なお、図13に示す例の場合は、図12に示す例とは反対に、グラフの右側のブロックよりも左側のブロックの温度が高くなっている。
【0077】
以上のように、本実施形態に係るヒータにおいては、ブロックごとの給電線の発熱量のばらつきに起因して、ヒータ全体においても長手方向に渡って温度分布のばらつきが発生する。また、このようなヒータの温度分布のばらつきの影響は、定着装置に留まらず、画像形成装置内に搭載される他の装置にも及ぶ。
【0078】
具体的に、本実施形態に係る画像形成装置においては、図1に示すように、定着装置9の近くにプロセスユニット1Yが配置されているため、ヒータにおける温度分布のばらつきの影響は、このプロセスユニット1Yにも及ぶ。また、定着装置9に近いプロセスユニット1Yの熱は、回転する中間転写ベルト11によって、他のプロセスユニット1M,1C,1Bkにも伝達されるため、他のプロセスユニット1M,1C,1Bkにおいてもヒータの温度分布のばらつきの影響が少なからず及ぶ。
【0079】
その結果、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkが有するクリーニングブレード77の温度分布にもばらつきが発生し、クリーニングブレード77の特に温度の高い箇所においては、クリーニング性が低下する虞がある。以下、クリーニングブレード77のクリーニング性が低下する原理について説明する。
【0080】
図14に示すように、一般的に、クリーニングブレード77は、感光体2の回転方向(表面移動方向)Aに対してカウンタ方向で感光体2に接触するように配置されている。カウンタ方向とは、ブレード保持部材78によって片持ち保持されるクリーニングブレード77の先端側(自由端側)が、後端側(支持端側)よりも感光体2の回転方向上流側に位置するような向きを意味する。感光体2が回転すると、クリーニングブレード77は感光体2の表面に対して摺擦する。このため、クリーニングブレード77の先端(摺擦部77a)においては感光体2の回転方向Aの力が作用するが、通常、クリーニングブレード77はカウンタ方向を向いた状態で保持される。
【0081】
しかしながら、クリーニングブレード77が上述のヒータの温度分布の影響を受けて温度分布のばらつきが発生すると、クリーニングブレード77の温度が高い部分において、感光体2に対するクリーニングブレード77の反発弾性が高くなる。また、反発弾性が高くなることにより、感光体2に対するクリーニングブレード77の摩擦力が高くなる。そして、クリーニングブレード77の摩擦力が高くなると、図14中の点線で示すように、感光体2の回転方向Aの力によってクリーニングブレード77の先端が反転する、いわゆる捲れが発生する。
【0082】
このように、クリーニングブレード77の温度が高い部分においては、ヒータの温度分布の影響を受けて捲れが発生する虞がある。また、クリーニングブレード77の捲れが発生することにより、感光体2に対するクリーニングブレード77の接触状態が適正な状態で維持されなくなることにより、クリーニングブレード77のクリーニング性が低下する。
【0083】
そこで、本実施形態においては、クリーニングブレード77の捲れを抑制し、感光体2に対するクリーニングブレード77の接触状態を適正な状態で維持できるように、以下のような対策を講じている。
【0084】
まず、図15に基づき、本実施形態に係るクリーニングブレードの温度分布について説明する。
【0085】
図15に示すように、クリーニングブレード77は、図の矢印Z方向である感光体2の長手方向又は回転軸方向に連続して長手状に配置されている。このため、クリーニングブレード77と感光体2との摺擦部77aも、矢印Z方向に伸びている。また、クリーニングブレード77は、ヒータ22と同じ方向の長手方向を有している。言い換えれば、クリーニングブレード77とヒータ22は、いずれも用紙幅方向(矢印Z方向)に伸びている。なお、ここでいう「用紙幅方向(記録媒体幅方向)」とは、用紙面と平行で用紙搬送方向(記録媒体搬送方向)Bに直交する方向を意味する。また、前記「用紙面」とは、用紙の互いに交差する3方向の各面のうち、最も面積の広い面を意味する。
【0086】
このように、クリーニングブレード77とヒータ22は、いずれも同じ方向(用紙搬送方向に直交する方向)Zに長手状に伸びているため、ヒータ22の長手方向に渡る温度分布の影響は、クリーニングブレード77の長手方向の温度分布に影響する。また、クリーニングブレード77と感光体2との摺擦部77aと、ヒータ22の各抵抗発熱体60が配置された発熱領域Hは、いずれも最大用紙幅、又は、最大画像形成領域幅を含む範囲に渡って配置されており、ほぼ同じ長さ(用紙搬送方向に直交する方向の長さ)に設定されている。また、摺擦部77aとヒータ22との間には、現像装置4などが設けられている。このため、摺擦部77aの長手方向両端部と、ヒータ22の長手方向両端部は、間接的に対向している。ここで、ヒータ22の温度分布は、ヒータ22の近くに存在する中間転写ベルト11及び現像装置4などに影響を及ぼし、その影響はクリーニングブレード77にも及ぶ。クリーニングブレード77はヒータ22の温度分布の影響を受けることにより、摺擦部77aの長手方向(用紙搬送方向に直交する方向)Zの中央部よりも端側において温度が高くなる。
【0087】
図15中のグラフは、ヒータ22が有する全ての抵抗発熱体60が発熱した場合の温度分布を示している。この場合、各抵抗発熱体60が配置された発熱領域Hのうち、長手方向両端e1,e2側の第1ブロック及び第7ブロックにおけるヒータ22の温度が高くなる。このため、クリーニングブレード77においては、ヒータ22の発熱領域Hの長手方向両端e1,e2側に対向する部分a1,a2の温度が、ヒータ22の発熱領域Hの長手方向中央部cに対向する部分a5の温度に比べて高くなる。
【0088】
また、図16に示すグラフは、ヒータ22の両端以外の抵抗発熱体60(第1発熱部のみ)が発熱した場合の温度分布を示している。この場合、ヒータ22の発熱領域Hのうち、長手方向両端e1,e2側の第2ブロック及び第6ブロックにおけるヒータ22の温度が高くなる。従って、この場合も、クリーニングブレード77において、ヒータ22の発熱領域Hの長手方向両端e1,e2側に対向する部分a3、a4の温度が、ヒータ22の発熱領域Hの長手方向中央部cに対向する部分a5に比べて高くなる。
【0089】
このように、本実施形態に係るクリーニングブレード77においては、図15に示す発熱態様の場合も、図16に示す発熱態様の場合も、長手方向の両端側の温度が中央部の温度よりも高くなる傾向にある。そのため、本実施形態に係るクリーニングブレード77においては、クリーニングブレード77の捲れを抑制するために、摺擦部77aの長手方向の中央部よりも両端側において感光体2に対するクリーニングブレード77の摩擦力を低くしている。なお、上記では、ヒータ22とまさに対向する摺擦部77aにおける摩擦力を設定しているが、ヒータ22の発熱量が高い側(温度が高くなる側、上記実施形態においてはヒータ22の両端側)の摺擦部77aにおける摩擦力を低くする構成でよい。また、上記では、ヒータ22の両端側の発熱量が高くなる構成で説明したが、ヒータ22のいずれかの端側の発熱量が高くなる場合は、摺擦部77aにおいてもヒータ22の発熱量が高くなる側と同じ側の摩擦力を低くする構成でよい。
【0090】
ところで、感光体に対するクリーニングブレードの摩擦力は、一般的に、感光体が回転し始める瞬間に生じる静止摩擦力(最大静止摩擦力)と、その後、感光体が回転している状態で生じる動摩擦力がある。一方、クリーニングブレードの捲れは、感光体が回転し始める瞬間と、その後、感光体が回転している状態での、いずれの場合でも生じる虞がある。それぞれの場合において、クリーニングブレードの捲れを確実に抑制するには、静止摩擦力と動摩擦力のいずれも低くすることが好ましい。しかしながら、本発明においては、感光体が回転し始めるときに生じる捲れと、感光体が回転している状態で生じる捲れの、少なくとも一方を抑制できればよいので、本明細書中における摩擦力とは、静止摩擦力と動摩擦力の少なくとも一方を意味する。
【0091】
このように、本実施形態に係るクリーニングブレード77と感光体2との摺擦部77aにおいては、ヒータ22の温度が高くなる側と同じ側の長手方向両端側におけるクリーニングブレード77と感光体2との摩擦力が低いことにより、クリーニングブレード77がヒータ22の温度分布の影響を受けても、感光体2の回転に伴うクリーニングブレード77の捲れを効果的に抑制できる。これにより、感光体2に対するクリーニングブレード77の接触状態を適正な状態で維持でき、良好なクリーニング性を確保することが可能である。
【0092】
また、良好なクリーニング性がより確実に得られるようにするには、図15に示す発熱態様の場合と、図16に示す発熱態様の場合の、いずれの場合においても、クリーニングブレード77の捲れが生じないようにすることが好ましい。そのため、本実施形態においては、それぞれの発熱態様において温度が高くなる第1ブロック、第7ブロック、及び、第2ブロック、第6ブロックに対向するクリーニングブレード77の各部分a1,a2,a3,a4の摩擦力を、中央部の部分a5の摩擦力よりも低くしている。
【0093】
ただし、クリーニングブレード77において摩擦力を低くする部分及びその範囲は、適宜変更可能である。例えば、特に温度分布のばらつきが顕著になる発熱態様(図15に示す例の場合)における捲れを抑制できればよいのであれば、第1ブロック及び第7ブロックに対向するクリーニングブレード77の部分a1,a2のみ、そのほかの部分に比べて摩擦力を低くしてもよい。また、摩擦力の設定は、抵抗発熱体60が配置されるブロックごとでなくてもよい。例えば、1つのブロック内において、摩擦力が連続的又は段階的に変化するようにしてもよい。
【0094】
また、クリーニングブレード77における捲れの虞がある部分の特定、すなわち、ヒータ22における温度が高い部分の特定は、ヒータ22の長手方向(用紙幅方向)における各部分の発熱量を比較することにより決定すればよい。なお、ここでいう「ヒータ22の長手方向における各部分の発熱量」には、抵抗発熱体60の発熱量のほか、給電線62の発熱量も含まれる。
【0095】
また、上記式(1)により表されるように、発熱量(W)は電流(I)の二乗に比例するので、各給電線に流れる電流の二乗の合計値を用いて、ヒータ22の発熱量の大小関係を特定してもよい。ただし、ここでいう「給電線62に流れる電流」は、ヒータ22の発熱量の大小関係を特定するために用いられる電流であるので、図16に示す例のように、発熱しない両端の抵抗発熱体60が配置される領域において各給電線62A,62B,62Dに流れる電流は、前記「給電線62に流れる電流」には含まれない。すなわち、ヒータ22の発熱量の大小関係を特定するために用いられる「給電線62に流れる電流」は、発熱する抵抗発熱体60が配置される領域おいて給電線62に流れる電流を意味する。なお、図16に示す例においては、意図しない分流によって両端の各抵抗発熱体60にも僅かに通電しているため(図13参照)、厳密には両端の各抵抗発熱体60が発熱し得る環境にある。しかしながら、上記「発熱する抵抗発熱体60」とは、あくまでも通常の通電により発熱する抵抗発熱体60をいう。従って、意図しない分流によって僅かに発熱し得る抵抗発熱体60は、発熱量の大小関係を特定するための領域としては考慮されない。
【0096】
具体的に、感光体2に対するクリーニングブレード77の摩擦力を低くする方法としては、次のような方法がある。
【0097】
まず、摩擦力について説明すると、下記式(2)に示すように、感光体に対するクリーニングブレードの摩擦力(F)は、感光体とクリーニングブレードの摩擦係数(μ)と、感光体に対するクリーニングブレードの接触圧(N)との乗算によって求められる。
【0098】
【数2】
【0099】
従って、上記式(2)によれば、感光体に対するクリーニングブレードの接触圧(N)を小さくすることにより、クリーニングブレードの摩擦力(F)を低くすることが可能である。また、クリーニングブレードの接触圧は、クリーニングブレード77がブレード保持部材78から感光体2側へ突出する部分の長さJ(図14参照:以下、「自由長」という。)に応じて変化する。すなわち、クリーニングブレード77の自由長Jが長いほど、クリーニングブレード77は撓みやすいので、感光体2に対するクリーニングブレード77の接触圧は小さくなる。
【0100】
従って、図17に示す例のように、クリーニングブレード77の自由長を、長手方向(矢印Z方向)の中央部よりも両端側において長くすることにより(J1<J2)、捲れが生じやすい両端側における摩擦力を低くすることができる。
【0101】
また、図17に示す例においては、ブレード保持部材78のクリーニングブレード77を保持する部分の長さR1,R2が、長手方向の中央部から両端側へ向かって連続的に変化している。すなわち、この場合、ブレード保持部材78のクリーニングブレード77を保持する部分の長さを、長手方向の中央部よりも両端側において短くすることにより(R1>R2)、クリーニングブレード77の自由長を中央部よりも両端側において長くしている。
【0102】
また、ブレード保持部材78の形状は適宜変更可能である。例えば、図18又は図19に示すような例を採用してもよい。図18又は図19に示す例においては、ブレード保持部材78のクリーニングブレード77を保持する部分の長さが、特に捲れが発生しやすい長手方向の両端及びその近傍において短くなっている(R1>R2)。この場合、ブレード保持部材78の長手方向の両端及びその近傍部分のみを短くなるように加工し、それ以外の部分は加工しなくてもよいので、ブレード保持部材78の加工コストを低減できる。また、長手方向の両端及びその近傍におけるブレード保持部材78の先端形状は、図18に示す例のような長手方向に対して傾斜する形状でもよいし、図19に示す例のような長手方向に対して直交する段差状であってもよい。
【0103】
また、摩擦力を低くする別の方法として、図20に示すように、クリーニングブレード77の厚さを長手方向(矢印Z方向)に渡って異ならせる方法を採用してもよい。ここで、クリーニングブレード77の「厚さ」とは、クリーニングブレード77の長手方向(矢印Z方向)及びクリーニングブレード77がブレード保持部材78から突出する長さ方向(矢印V方向)の両方向に対して交差する方向(矢印U方向)の寸法を意味する。クリーニングブレード77の厚さが薄くなると、クリーニングブレード77が撓みやすくなるので、感光体2に対するクリーニングブレード77の接触圧を小さくでき、ひいては摩擦力を低くできる。
【0104】
従って、図20に示すように、クリーニングブレード77の厚さを、長手方向の中央部よりも両端側において薄くすることにより(T1>T2)、捲れが生じやすい両端側におけるクリーニングブレード77の摩擦力を低くすることができる。また、上述のクリーニングブレード77の自由長と同様、クリーニングブレード77の厚さも、長手方向の中央部から両端部側に向かって連続的に薄くなる場合のほか、特に捲れが発生しやすい長手方向の両端部及びその近傍においてのみ薄くなる場合であってもよい。
【0105】
また、別の方法として、クリーニングブレード77の材質を異ならせてもよい。すなわち、クリーニングブレード77の材質に、反発弾性が低い材質を用いることにより、感光体2に対するクリーニングブレード77の接触圧が小さくなるので、摩擦力を低くできる。
【0106】
例えば、図21に示す例においては、クリーニングブレード77の長手方向の両端側の部分(図の斜線部分)を、それ以外の部分(中央部を含む部分)に比べて反発弾性が低い材質としている。この場合、捲れが生じやすい両端側におけるクリーニングブレード77の摩擦力が低くなるので、両端側における捲れを抑制できる。
【0107】
また、材質を異ならせる部分は、上記図21に示す例のように、クリーニングブレード77の厚さ方向Uの全体に渡る部分に限らず、図22に示す例のように、厚さ方向Uの一部分(図の斜線部分)であってもよい。また、厚さ方向Uの一部分においてクリーニングブレード77の材質を異ならせる場合は、特に感光体2に対するクリーニングブレード77の接触部側の部分を、低反発弾性の材質で形成することが好ましい。
【0108】
さらに、別の方法として、クリーニングブレード77の捲れが生じやすい両端側において、感光体2に対するクリーニングブレード77の潤滑性を高めるようにしてもよい。例えば、図23に示すように、捲れの虞があるクリーニングブレード77の両端側の領域b1,b2において感光体2に供給される潤滑剤を、それ以外の領域(中央部を含むの領域)おいて供給される潤滑剤よりも潤滑性の高いものとする。これにより、クリーニングブレード77の長手方向の両端側において摩擦力が低くなり、捲れが抑制される。また、潤滑性を高めたいクリーニングブレード77の領域にのみ、感光体2に潤滑剤が供給されるようにしてもよい。
【0109】
潤滑剤としては、例えば、脂肪酸金属塩(フッ素系樹脂、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどのラメラ結晶構造を持つ脂肪酸金属塩、あるいは、ラウロイルリジン、モノセチルリン酸エステルナトリウム亜鉛塩、ラウロイルタウリンカルシウムなど)を含む固形潤滑剤を用いることができる。また、それ以外に、シリコーンオイル、フッ素系オイル、又は天然ワックスなどの液状の潤滑剤を用いてもよい。
【0110】
また、上述のクリーニングブレード77の摩擦力を低くするための各種方法は、併用してもよい。例えば、クリーニングブレード77の長手方向の両端側において、自由長を長くすると共に、厚さを薄くすることにより、摩擦力をより効果的に低くすることが可能である。
【0111】
また、上述の例では、クリーニングブレード77の両端側における摩擦力を、中央部の摩擦力に比べて低くするようにしているが、クリーニングブレード77の一端側における摩擦力のみを低くするようにしてもよい。例えば、図15に示す例のように、ヒータ22の第7ブロックが最も温度が高くなる場合は、この第7ブロックに対向するクリーニングブレード77の一端側の部分のみ、その他の部分に比べて摩擦力を低くしてもよい。
【0112】
すなわち、本発明においては、クリーニングブレード77と感光体2との摺擦部77aのうち、ヒータ22の発熱量が最も大きい領域に対向する部分において、ヒータ22の発熱量が最も小さい領域に対向する部分よりも、感光体2に対するクリーニングブレード77の摩擦力が低ければよい。また、ヒータ22の発熱量に代えて給電線62に流れる電流を用いて言えば、本発明においては、クリーニングブレード77と感光体2との摺擦部77aのうち、給電線62に流れる電流が最も大きい領域に対向する部分において、給電線62に流れる電流が最も小さい領域に対向する部分よりも、感光体2に対するクリーニングブレード77の摩擦力が低ければよい。
【0113】
また、本発明は、感光体2の表面をクリーニングするクリーニングブレード77に限らず、感光体2以外の回転体に対して摺擦するブレードにも適用可能である。例えば、本発明は、図1に示す中間転写ベルト11の表面をクリーニングするクリーニングブレード69にも適用可能である。
【0114】
図24は、中間転写ベルト11の表面をクリーニングするクリーニングブレード69と、定着装置が備えるヒータ22との位置関係を示す図である。
【0115】
図24に示すように、中間転写ベルト用のクリーニングブレード69も、ヒータ22と同じ方向(用紙搬送方向に直交する方向)Zに長手状に伸びているため、ヒータ22の長手方向に渡る温度分布の影響が、クリーニングブレード69の長手方向の温度分布に影響する。また、クリーニングブレード69と中間転写ベルト11との摺擦部69aと、ヒータ22の各抵抗発熱体60が配置された発熱領域Hは、いずれも最大用紙幅、又は、最大画像形成領域幅を含む範囲に渡って配置されており、ほぼ同じ長さ(用紙搬送方向に直交する方向の長さ)に設定されている。また、摺擦部69aとヒータ22との間には、ベルトクリーニング装置10の枠体などが設けられている。このため、中間転写ベルト用のクリーニングブレード69の摺擦部69aにおける長手方向両端部も、ヒータ22の長手方向両端部に対して、間接的に対向している。
【0116】
ここで、ヒータ22は、上述の実施形態と同様に、発熱領域Hの長手方向の中央部cよりも両端e1,e2側において温度が高くなる。従って、中間転写ベルト用のクリーニングブレード69においても、ヒータ22の温度分布の影響を受けることにより、長手方向(用紙搬送方向に直交する方向)Zの中央部よりも両端側において温度が高くなる。なお、中間転写ベルト用のクリーニングブレード69の方が、ヒータ22に近い分、前述の感光体用のクリーニングブレード77よりもヒータ22の熱の影響は受けやすい。
【0117】
このように、中間転写ベルト用のクリーニングブレード69においても、長手方向の両端側の温度が中央部よりも高くなるため、両端部側においてクリーニングブレード69の捲れが発生する虞がある。そのため、中間転写ベルト用のクリーニングブレード69に対しても本発明を適用することが好ましい。すなわち、クリーニングブレード69と中間転写ベルト11との摺擦部69aにおいて、ヒータ22の温度が高くなる側と同じ側である長手方向両端側におけるクリーニングブレード69と中間転写ベルト11との摩擦力を、長手方向中央部におけるクリーニングブレード69と中間転写ベルト11との摩擦力よりも低くすることが好ましい。これにより、中間転写ベルト用のクリーニングブレード69においても、中間転写ベルト11の回転に伴う捲れを効果的に抑制できる。また、クリーニングブレード69と中間転写ベルト11との摩擦力を低くするための具体的な構成としては、上述の実施形態における各構成を適用可能である。なお、上記では、ヒータ22とまさに対向する摺擦部69aにおける摩擦力を設定しているが、ヒータ22の発熱量が高い側(温度が高くなる側、上記実施形態においてはヒータ22の両端側)の摺擦部69aにおける摩擦力を低くする構成でよい。また、上記ではヒータ22の両端側の発熱量が高くなる構成で説明したが、ヒータ22のいずれかの端側の発熱量が高くなる場合は、摺擦部69aにおいてもヒータ22の発熱量が高くなる側と同じ側の摩擦力を低くする構成でよい。
【0118】
さらに、本発明は、感光体用のクリーニングブレード77、中間転写ベルト用のクリーニングブレード69のほか、図25に示す例のような、転写部材としての二次転写ベルト39の表面をクリーニングするクリーニングブレード38にも適用可能である。
【0119】
上述のように、本発明によれば、加熱部材の温度分布にばらつきがあっても、そのばらつきに起因するブレードの捲れを抑制できるので、本発明は、特に温度分布のばらつきが生じやすい加熱部材を備える画像形成装置に好適である。
【0120】
温度分布のばらつきが生じやすい加熱部材としては、上述の意図しない分流が生じ得るヒータ22があるが、本発明に係る画像形成装置が備えるヒータの構成は、上述の構成に限らない。例えば、図26に示すようなヒータ22を備える画像形成装置にも、本発明を適用可能である。
【0121】
図26に示すヒータ22は、図11に示す上述のヒータ22とは異なり、全ての電極部61A,61B,61Cが、ヒータ22の長手方向の一端側(図26における左端側)に配置されている。すなわち、図26に示すヒータ22と、図11に示すヒータ22は、第2電極部61Bの配置が図の左右方向において互いに逆になっている。このため、図26に示すヒータ22においては、各抵抗発熱体60と第2電極部61Bとが、第2給電線62Bのほかに、第2給電線62Bの端から長手方向(矢印Z方向)に折り返すように設けられた第5給電線62Eを介して接続されている。
【0122】
ただし、図26に示すヒータ22は、図11に示すヒータ22と以下の点において導電経路のレイアウトが共通しているため、両端以外の抵抗発熱体60(第1発熱部60A)に給電した際、同様に意図しない分流が発生する。すなわち、図26に示すヒータ22と、図11に示すヒータ22は、それぞれに共通する導電経路として、第1導電経路K1と、第2導電経路K2と、第3導電経路K3を有している。具体的に、第1導電経路K1は、両端以外の各抵抗発熱体60(第1発熱部60A)と第1電極部61Aとを接続する導電経路である。第2導電経路K2は、両端以外の各抵抗発熱体60からヒータ22の長手方向のうちの第1方向S1側(図11又は図26におけるの右方向)に伸び第2電極部61Bに対して直接的または間接的に接続される導電経路である。また、第3導電経路K3は、第2導電経路K2から分岐して第1方向S1とは反対の第2方向S2側(図11又は図26における左方向)に伸び、第1導電経路K1を介さずに第2導電経路K2に接続される導電経路である。
【0123】
図27は、図26に示すヒータ22において、両端以外の抵抗発熱体60が発熱する場合のブロックごとの各給電線62A,62B,62D,62Eの発熱量とその合計値を示す図である。図27中の表及びグラフに示すように、この場合も、給電線の合計発熱量が、両端側のブロック(第2ブロック及び第6ブロック)において大きく、反対に中央部のブロック(第4ブロック)において小さくなる。このため、ヒータ22の長手方向の中央部よりも両端側において温度が高くなる。
【0124】
また、図28は、図26に示すヒータ22において、全ての抵抗発熱体60が発熱する場合のブロックごとの各給電線62A,62B,62D,62Eの発熱量とその合計値を示す図である。この場合も、各給電線の合計発熱量が、両端側のブロック(第1ブロック及び第7ブロック)において大きく、反対に中央部のブロック(第4ブロック)においては小さくなるため、ヒータ22の長手方向の中央部よりも両端側において温度が高くなる。
【0125】
このように、図26に示すヒータ22においても、その長手方向の中央部よりも両端側において温度が高くなる温度分布のばらつきがあるため、本発明を適用することにより、その温度分布に起因するブレードの捲れを効果的に抑制することが可能となる。
【0126】
また、本発明によれば、加熱部材の温度分布のばらつきに起因するブレードの課題(捲れ)を改善できるため、温度分布のばらつきが発生しやすい小型のヒータ、又は高速化のために発熱量を増大させたヒータを用いた構成にも対応可能である。
【0127】
具体的に、本発明は、次のような小型のヒータを備える画像形成装置に適用された場合に大きな効果を期待できる。
【0128】
下記表1に、ヒータを短手方向に小型化した場合のヒータに生じる温度分布のばらつきを調べた試験結果を示す。具体的に、本試験においては、図29に示す基材50の短手方向寸法Qに対する各抵抗発熱体60の短手方向寸法Rの比(R/Q)を異ならせた複数種類のヒータを用意し、各ヒータの発熱領域の長手方向中央と端の温度差を測定した。また、本試験において、各ヒータの表面温度測定は、フリアシステムズ社製の赤外線サーモグラフィ(FLIR T620)を用いて行った。なお、短手方向寸法比(R/Q)が80%以上である場合は、基材50の短手方向寸法に対する各抵抗発熱体60の短手方向寸法の割合が大きくなり過ぎ、給電線の設置スペースを確保することが現実的に困難であるため、測定を保留した。
【0129】
【表1】
【0130】
表1に示すように、短手方向寸法比(R/Q)が大きくなるほど、発熱領域の長手方向中央と端の温度差が大きくなる。このため、短手方向寸法比(R/Q)が大きいヒータ、すなわち短手方向に小型化されたヒータにおいては、長手方向両端における温度のばらつきも顕著となる虞がある。特に、短手方向寸法比(R/Q)が25%以上又は40%以上となるヒータにおいては、発熱領域における長手方向中央と端の温度差が大きくなる(5℃以上になる)ため、長手方向両端における温度のばらつきも顕著となる虞がある。従って、本発明は、特にこのような短手方向寸法比(R/Q)が25%以上80%未満又は40%以上80%未満となるヒータを備える画像形成装置に適用された場合に、大きな効果を期待できる。
【0131】
また、定着装置が備えるヒータは、図29に示すようなブロック状(四角形状)の抵抗発熱体60を有するヒータ22に限らず、図30に示すような、直線を折り返したような形状の抵抗発熱体60を有するヒータ22であってもよい。なお、図30に示すヒータ22の場合、上記抵抗発熱体60の短手方向寸法Rは、折り返されるように形成された抵抗発熱体の1つの線状の部分の太さではなく、抵抗発熱体60全体の短手方向寸法を意味する。また、基材50は、その長手方向の位置によって短手方向寸法Qが変化する形状であってもよい。ただし、その場合は、各抵抗発熱体60が配置されている長手方向範囲内(発熱領域内)の基材50の最小の短手方向寸法を、上記基材50の短手方向寸法Qとする。
【0132】
また、本発明に係る実施形態において、ヒータの長手方向に渡る温度のばらつきを抑制するために、PTC特性を有する抵抗発熱体を用いてもよい。PTC特性とは、温度が高くなると抵抗値が高くなる(一定電圧をかけた場合に、ヒータ出力が下がる)特性である。発熱部がPTC特性を有することにより、ヒータが低温の場合は高出力によってヒータが高速で立ち上がり、ヒータが高温の場合は低出力によりヒータの過昇温を抑制できる。例えば、PTC特性のTCR係数が300~4000ppm/度程度であれば、ヒータに必要な抵抗値を確保しながら、低コスト化を図れる。より好ましくは、TCR係数が500~2000ppm/度であるのがよい。
【0133】
抵抗温度係数(TCR)は、下記式(3)を用いて算出できる。式(3)において、T0は基準温度、T1は任意温度、R0は基準温度T0での抵抗値、R1は任意温度T1での抵抗値である。例えば、図11に示す上述のヒータ22において、第1電極部61Aと第2電極部61Bとの間の抵抗値が、25℃(基準温度T0)のときに10Ω(抵抗値R0)であり、125℃(任意温度T1)のときに12Ω(抵抗値R1)であった場合は、式(3)から抵抗温度係数は2000ppm/℃となる。
【0134】
【数3】
【0135】
また、本発明は、図3に示すような上述の定着装置に限らず、図31図33に示すような定着装置を備える画像形成装置にも適用可能である。
【0136】
図31に示す定着装置9は、上述の定着装置とは異なり、用紙Pを通過させる定着用のニップ部N1と、ヒータ22によって定着ベルト20を加熱する加熱用のニップ部N2が、それぞれ別の位置に設定されている。具体的には、定着ベルト20の回転方向における互いに180°反対側に配置されたヒータ22及びニップ形成部材90に対して、それぞれ異なる加圧ローラ91,92が押し当てられることにより、定着用のニップ部N1と加熱用のニップ部N2とが形成されている。
【0137】
図32に示す定着装置9は、図31に示す定着装置において、ヒータ22側の加圧ローラ92が省略され、さらに、ヒータ22が定着ベルト20の曲率に合わせて円弧状に形成された例である。それ以外は、図31に示す構成と同じである。この場合、ヒータ22が円弧状に形成されていることにより、定着ベルト20とヒータ22とのベルト回転方向の接触長さを確保し、定着ベルト20を効率良く加熱できる。
【0138】
最後に、図33に示す定着装置9は、ローラ93の両側にそれぞれベルト94,95が配置された例である。この場合も、図31に示す例と同様、定着用のニップ部N1と、加熱用のニップ部N2が、それぞれ別の位置に設定されている。すなわち、図の右側において、ニップ形成部材90が一方のベルト94を介してローラ93に押し当てられ、図の左側において、ヒータ22が他方のベルト95を介してローラ93に押し当てられることにより、各ニップ部N1,N2が形成されている。
【0139】
このような、図31図33に示すような定着装置を備える画像形成装置においても、本発明を適用することにより、加熱部材の温度分布のばらつきに起因するブレードの捲れを抑制できるようになり、画質の向上を図って小型化や高速度化に対応できるようになる。本発明における直接的に対向とは、摺擦部と加熱部材との間に遮る部材が存在せず対向している状態を示し、間接的に対向とは、摺擦部と加熱部材との間に別の部材などが介在している状態を示す。いずれの状態でも問題なく本発明を適用可能である。
【0140】
また、本発明は、加熱装置の一例である定着装置を備える画像形成装置に適用される場合に限らない。本発明は、画像定着以外の目的で記録媒体を加熱する加熱装置を備える画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0141】
2 感光体(回転体)
9 定着装置(加熱装置)
22 ヒータ(加熱部材)
50 基材
60 抵抗発熱体
61 電極部
62 給電線(導電部)
77 クリーニングブレード(ブレード)
77a 摺擦部
100 画像形成装置
P 用紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0142】
【文献】特開2016-62024号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33