(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】排ガス燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23J 3/00 20060101AFI20241211BHJP
F23G 7/06 20060101ALI20241211BHJP
F23G 5/44 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
F23J3/00 101Z
F23G7/06 D
F23G7/06 101Z
F23G5/44 F
(21)【出願番号】P 2022003930
(22)【出願日】2022-01-13
【審査請求日】2023-04-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 信昭
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 和信
(72)【発明者】
【氏名】関田 誠
(72)【発明者】
【氏名】大石 祐輔
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-270831(JP,A)
【文献】特開2001-280629(JP,A)
【文献】特開2002-228135(JP,A)
【文献】特開平10-054534(JP,A)
【文献】特表2007-519878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 3/00
F23G 7/06
F23G 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼分解処理により排ガスを無害化する排ガス燃焼装置であって、
燃料ガスを支燃性流体と混合し火炎を形成する燃焼ノズル部と、
当該燃焼ノズル部と同一軸線上にあって、当該燃焼ノズル部の内側に配置され、排ガスが導入される処理ガスノズルと、
一端に前記燃焼ノズル部及び前記処理ガスノズルが接続され、他端に排気口が設けられ、内部で前記燃焼ノズル部で形成される火炎により排ガスを燃焼分解する内筒と当該内筒の外側に配置される外筒とからなる二重筒構造の燃焼筒とから構成され、
前記内筒が、内壁と外壁とから構成され、前記内筒の外壁には、その周囲に、空気取入口が複数設けられており、当該空気取入口から前記内壁に沿って、外部から空気が導入され
、
前記外壁の1か所以上に設けた粉体除去用ガス導入口から、粉体除去用ガスを前記内壁に向けて前記内筒の内部に噴出させることにより、前記内筒の内部に付着、堆積した粉体を除去
する排ガス燃焼装置において、
前記燃焼筒が水平方向に延びるものであり、
前記外壁が拡径する円錐台形状を有する単一の部材から構成されており、
前記内壁は、前記外壁の内側表面に多段に複数設けられ、前記内筒の内部を指向するように斜め向きに形成されており、
粉体除去用ガスが、前記粉体除去用ガス導入口から、隣接する前記内壁の間を通過して前記内筒の内部へと噴出されることを特徴とする排ガス燃焼装置。
【請求項2】
燃焼分解処理により排ガスを無害化する排ガス燃焼装置であって、
燃料ガスを支燃性流体と混合し火炎を形成する燃焼ノズル部と、
当該燃焼ノズル部と同一軸線上にあって、当該燃焼ノズル部の内側に配置され、排ガスが導入される処理ガスノズルと、
一端に前記燃焼ノズル部及び前記処理ガスノズルが接続され、他端に排気口が設けられ、内部で前記燃焼ノズル部で形成される火炎により排ガスを燃焼分解する内筒と当該内筒の外側に配置される外筒とからなる二重筒構造の燃焼筒とから構成され、
前記内筒が、内壁と外壁とから構成され、前記内筒の外壁には、その周囲に、空気取入口が複数設けられており、当該空気取入口から前記内壁に沿って、外部から空気が導入され、
前記外壁の1か所以上に設けた粉体除去用ガス導入口から、粉体除去用ガスを前記内壁に向けて前記内筒の内部に噴出させることにより、前記内筒の内部に付着、堆積した粉体を除去する排ガス燃焼装置において、
前記燃焼筒が鉛直方向に延びるものであり、
前記外壁が拡径する円錐台形状を有する単一の部材から構成されており、
前記内壁は、前記外壁の内側表面に多段に複数設けられ、前記内筒の内部を指向するように斜め向きに形成されており、
粉体除去用ガスが、前記粉体除去用ガス導入口から、隣接する前記内壁の間を通過して前記内筒の内部へと噴出されることを特徴とす
る排ガス燃焼装置。
【請求項3】
前記粉体除去用ガス導入口が、前記内筒の軸方向の同一断面において、円周方向に等間隔で複数設けられていることを特徴とする請求項
1又は2記載の排ガス燃焼装置。
【請求項4】
前記粉体除去用ガスの噴出が、定期的かつ短時間での間欠方式で行われることを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項記載の排ガス燃焼装置。
【請求項5】
前記粉体除去用ガスの噴出時における前記内筒の内部へのガス噴出量は、内外の圧力差で前記空気取入口より前記内筒の内部に吸引される空気の量の3~10倍とすることを特徴とする請求項
4記載の排ガス燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス燃焼装置に関し、詳しくは、半導体、液晶、太陽光発電パネルなどの電子デバイス製造装置から排出される可燃性ガス、毒性ガス、地球温暖化ガス等の有害成分を含む排ガスの燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、液晶、太陽光発電パネルなどの電子デバイス製造装置で使用される材料ガスには可燃性成分や毒性成分、地球温暖化成分等の有害成分を有するものが多く、電子デバイスの量産工場では、排気経路中に燃焼式、電気ヒーター式、電気プラズマ式等の加熱源を備えた加熱分解式の排ガス処理装置を設け、上記の有害成分を安定化、無害化(除害)した後に排出している。
【0003】
但し、前記材料ガスの中には、成膜プロセス等で使用されるモノシランなど、加熱分解処理により粉体が発生するものがあり、発生した粉体は燃焼部や燃焼室の反応チャンバ内に付着、堆積する。前記粉体が付着、堆積すると、燃焼効率の低下、有害成分の分解効率の低下、背圧上昇による装置停止等の不具合が発生するため、定期的に製造装置及び除害装置を停止させて開放清掃を実施する必要がある。
【0004】
上記の理由から、装置停止を伴う清掃作業の頻度を少なくする目的で、燃焼部や燃焼室への粉体の付着、堆積を防止、軽減させる方法が各種検討されてきた。
【0005】
例えば、特許文献1においては、
図7に示されるように、排ガスの燃焼筒が、燃焼室が形成される内筒21と当該内筒21の外側を囲む外筒22とからなる二重筒構造であって、水平方向に延びる排ガス燃焼装置が示されている。当該排ガス燃焼装置において、前記内筒21は、径の異なる複数の円筒状部材を前後に組み合わせて多段形状に形成されており、当該円筒状部材において、前記内筒21の外郭をなす部分と前記内筒21の内部に延びる部分が、それぞれ前記内筒21の外壁24と内壁25を構成している。また、前記円筒状部材が前後で重なっている部分には、外壁24の周囲に、空気取入口26が複数設けられている。前記外筒22に設けられた空気導入口27を通じて外部から当該外筒22の内部に取り入れられた空気を、前記空気取入口26から前記内筒21の内部に導入することで、前記内筒21の内部に空気の流れを形成し、当該空気の流れにより、内筒21の内部への粉体の付着、堆積を防止するようになっている。このとき、燃焼筒の上流側は、排ガスの燃焼が行われつつ空気取入口26から空気が取り入れられる燃焼領域H、燃焼筒の下流側は、排ガスの燃焼が行われずに空気取入口26から空気が取り入れられることで排ガスが冷却される冷却領域Cとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、大型液晶製造プロセスのように大量のモノシランを使用する場合や成膜時間が長時間に及ぶ場合など、加熱分解によって粉体を発生するガスの使用量が多い場合には、粉体の生成量が増大するため、特許文献1に示されるような空気の流れのみでは粉体の付着や堆積を完全に防止することは困難であり、装置内部の定期的な清掃が必要となる。清掃の方法は様々であるが、一般的には、装置の停止時間をできる限り少なくするため、排ガス燃焼装置を停止、開放することなく機械的に粉体を除去する方法が採用されている。
【0008】
例えば、
図8に示されるように、燃焼筒の外部から、燃焼筒の軸方向に棒状かつ先端部に突起を有する粉体除去機構を導入し、当該粉体除去機構の先端部で内筒の内壁面に付着した粉体を掻き取る方法がある。しかし、そのような機械的に粉体を除去する方法の場合、燃焼筒内の高温部分に機械式の粉体除去機構を導入する必要があるため、機構部材の劣化が発生しやすく、定期的な部材の交換が必要となるほか、掻き取り操作が手動方式であると清掃頻度が増加しただけ作業員コストが増加するといった問題がある。
【0009】
以上の点に鑑みて、本発明は、有害成分の加熱分解により発生する粉体が多いプロセス条件においても、装置を停止することなく運転可能な排ガス燃焼装置、具体的には、燃焼筒内部に付着、堆積した粉体を定期的に自動で除去することにより、装置を停止することなく粉体の付着や堆積を防止する機能を有する排ガス燃焼装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の発明は、燃焼分解処理により排ガスを無害化する排ガス燃焼装置であって、燃料ガスを支燃性流体と混合し火炎を形成する燃焼ノズル部と、当該燃焼ノズル部と同一軸線上にあって、当該燃焼ノズル部の内側に配置され、排ガスが導入される処理ガスノズルと、一端に前記燃焼ノズル部及び前記処理ガスノズルが接続され、他端に排気口が設けられ、内部で前記燃焼ノズル部で形成される火炎により排ガスを燃焼分解する内筒と当該内筒の外側に配置される外筒とからなる二重筒構造の燃焼筒とから構成され、前記内筒が、内壁と外壁とから構成され、前記内筒の外壁には、その周囲に、空気取入口が複数設けられており、当該空気取入口から前記内壁に沿って、外部から空気が導入され、前記外壁の1か所以上に設けた粉体除去用ガス導入口から、粉体除去用ガスを前記内壁に向けて前記内筒の内部に噴出させることにより、前記内筒の内部に付着、堆積した粉体を除去する排ガス燃焼装置において、前記燃焼筒が水平方向に延びるものであり、前記外壁が拡径する円錐台形状を有する単一の部材から構成されており、前記内壁は、前記外壁の内側表面に多段に複数設けられ、前記内筒の内部を指向するように斜め向きに形成されており、粉体除去用ガスが、前記粉体除去用ガス導入口から、隣接する前記内壁の間を通過して前記内筒の内部へと噴出されることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第2の発明は、燃焼分解処理により排ガスを無害化する排ガス燃焼装置であって、燃料ガスを支燃性流体と混合し火炎を形成する燃焼ノズル部と、当該燃焼ノズル部と同一軸線上にあって、当該燃焼ノズル部の内側に配置され、排ガスが導入される処理ガスノズルと、一端に前記燃焼ノズル部及び前記処理ガスノズルが接続され、他端に排気口が設けられ、内部で前記燃焼ノズル部で形成される火炎により排ガスを燃焼分解する内筒と当該内筒の外側に配置される外筒とからなる二重筒構造の燃焼筒とから構成され、前記内筒が、内壁と外壁とから構成され、前記内筒の外壁には、その周囲に、空気取入口が複数設けられており、当該空気取入口から前記内壁に沿って、外部から空気が導入され、前記外壁の1か所以上に設けた粉体除去用ガス導入口から、粉体除去用ガスを前記内壁に向けて前記内筒の内部に噴出させることにより、前記内筒の内部に付着、堆積した粉体を除去する排ガス燃焼装置において、前記燃焼筒が鉛直方向に延びるものであり、前記外壁が拡径する円錐台形状を有する単一の部材から構成されており、前記内壁は、前記外壁の内側表面に多段に複数設けられ、前記内筒の内部を指向するように斜め向きに形成されており、粉体除去用ガスが、前記粉体除去用ガス導入口から、隣接する前記内壁の間を通過して前記内筒の内部へと噴出されることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第3の発明は、前記粉体除去用ガス導入口が、前記内筒の軸方向の同一断面において、円周方向に等間隔で複数設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第4の発明は、前記粉体除去用ガスの噴出が、定期的かつ短時間での間欠方式で行われることを特徴とするものである。また、本発明の第5の発明は、前記粉体除去用ガスの噴出時における前記内筒の内部へのガス噴出量は、内外の圧力差で前記空気取入口より前記内筒の内部に吸引される空気の量の3~10倍とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、粉体除去用ガスの噴出によって燃焼筒内部に付着、堆積した粉体を除去することにより、燃焼分解処理によって発生する粉体が多いような場合であっても、装置を停止せずに粉体の付着や堆積が効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)の排ガス燃焼装置を示す図である。
【
図2】上記第1実施形態における詳細を示す部分拡大図である。
【
図4】本発明の別の実施形態(第2実施形態)の排ガス燃焼装置を示す図である。
【
図5】上記第2実施形態における詳細を示す部分拡大図である。
【
図6】本発明のさらに別の実施形態(第3実施形態)の排ガス燃焼装置を示す図である。
【
図8】従来の排ガス燃焼装置の別の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明を適用した一実施形態(第1実施形態)である排ガス燃焼装置を示している。当該第1実施形態に示す排ガス燃焼装置1は、上記
図5に示される従来技術の排ガス燃焼装置と同様に水平方向に延びるものであり、燃焼ノズル部11、処理ガスノズル12及び燃焼筒13を備える。
【0019】
本実施形態において、水平方向とは
図1中の矢印ab方向であり、鉛直方向とは
図1中の矢印cd方向である。また、外側とは
図1中の軸線Xから離れる矢印e方向、内側とは
図1中の軸線Xに近づく矢印f方向である。
【0020】
燃焼ノズル部11は、燃料ガスを支燃性流体と混合して、排ガスを燃焼するための火炎を形成する環状の部材であり、燃料ガスノズル14及び支燃性流体ノズル15が同軸状に設けられて構成されている。
【0021】
処理ガスノズル12は、排ガスを供給するための管状の部材であり、前記燃焼ノズル部11の内側に、前記燃焼ノズル部11と同一軸線上に形成されている。当該処理ガスノズル12から排ガスが供給されると、前記燃焼ノズル部11において形成された火炎によって当該排ガスが燃焼分解処理される。
【0022】
燃焼筒13は、燃焼分解処理により排ガスを無害化する燃焼部を構成する筒状部材であり、内筒21と外筒22とからなる二重筒構造を有している。当該燃焼筒13は、上流部と下流部で、排ガスの燃焼分解処理が行われる燃焼領域Hと燃焼分解処理後の排ガスを空気によって冷却する冷却領域Cとに分けられている。
【0023】
前記内筒21は、燃焼筒13の内側部分において燃焼室を構成するものであり、一端に前記燃焼ノズル部11及び前記処理ガスノズル12が接続されており、他端に排気口23が設けられている。当該内筒21は、
図5に示される従来技術の排ガス燃焼装置と同様に、径の異なる複数の円筒状部材及び円錐台筒状部材を組み合わせて多段形状に形成されており、当該円筒状部材において、前記内筒21の外郭をなす部分と前記内筒21の内部に延びる部分とが、それぞれ前記内筒21の外壁24と内壁25を構成している。また、燃焼領域Hにおける外壁24の周囲には、空気取入口26が複数設けられている。後述するように、当該空気取入口26から前記内壁25に沿って、外部から空気が導入される。
【0024】
前記外筒22は、前記内筒21の外側を覆って燃焼筒13の外側部分を構成するものであり、前記内筒21と同軸状に設けられている。また、当該外筒22には、外部からの空気導入口27が設けられている。当該空気導入口27から導入された空気は、内外の圧力差によって吸引されて、前記内筒21の空気取入口26を通過し、当該内筒21の内部に空気の流れを形成する。当該空気の流れが形成されることで、燃焼領域Hにおいて、内筒21の内部で燃焼分解処理によって生じた粉体が付着、堆積するのを防止する。
【0025】
しかし、燃焼分解処理を行う排ガスの量が多い時などには、前記内筒21の内面に、上記空気の流れだけでは防止できない量の粉体が堆積することがある。そのような粉体の堆積を除去するために、本発明の排ガス燃焼装置では、粉体除去用ガスが導入されるようになっている。当該粉体除去用ガスを導入するために、外部のガス源(図示せず)から、外筒22に設けられた貫通口28、内筒21の外壁24に設けられた粉体除去用ガス導入口29を介して、内筒21の内部へと通じる導入経路が設けられている。当該導入経路に沿って導入された粉体除去用ガスは、
図2のように、前記内壁25の外側表面に向かって内筒21の内部へと勢いよく噴出される。この際に、前記内壁25がガイドの役割を果たすことで、粉体除去用ガスは内筒21の内部で勢いよく流れ、堆積された粉体を風圧によって剥離、除去することができる。
【0026】
図3のように、粉体除去用ガスは、前記内壁25の外側表面に向かって内筒21の内部へと噴出される。粉体除去用ガスは、前記内壁25の外側表面に衝突し、前記内壁25の周方向にも拡散する。これにより、粉体除去用ガス導入口29から離れた位置に堆積された粉体も剥離、除去することができるため、粉体除去用ガス導入口29の数を増やすことなく広範囲の粉体を除去することができる。
【0027】
また、
図3からも明らかなように、粉体除去用ガスは、前記内壁25に衝突して前記内壁25に沿って流れることから、燃料ガス及び支燃性流体に向かって直接噴出されることがない。これにより、粉体除去用ガスと燃料ガス及び支燃性流体との混合を抑制できるため、火炎の状態に影響を与えることなく、火炎が形成される付近の粉体も除去することができる。
【0028】
なお、前記粉体除去用ガス導入口29は、内筒21の軸方向の同一断面において、円周方向に等間隔で4つ設けられており、内壁25の内部全体から粉体が効率良く除去されるようになっている。なお、前記粉体除去用ガス導入口29の数は、円周方向に4つとは限らず、内筒の口径に応じて適宜設ければよく、例えば、1~4か所に設けることができる。
【0029】
図4は、本発明を適用した別の実施形態(第2実施形態)である排ガス燃焼装置を示している。当該第2実施形態に示す排ガス燃焼装置2は、前記第1実施形態の排ガス燃焼装置1とほぼ同様の構成を有するものであり、第1実施形態と同様に堆積された粉体を風圧によって剥離、除去することができるものであるが、燃焼領域Hにおける内筒の構成が異なる点で相違する。なお、以下の説明において、第1実施形態に示した装置の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0030】
第2実施形態における内筒30は、燃焼領域Hにおいて、外壁31が拡径する円錐台形状を有する単一の部材からなり、当該外壁31の内側表面に複数の内壁32が斜めに多段に設けられている。詳細には、
図5に示されるように、前記内壁32は、前記外壁31と平行の第1部材33と、当該第1部材33から延伸する第2部材34とから構成されており、前記外壁31と前記第1部材33が接合され、前記第2部材34が前記第1部材33から屈曲して、前記内筒30の内部を指向するように斜め向きに形成されている。当該第2実施形態において、粉体除去用ガスは、前記外壁31に設けられた粉体除去用ガス導入口35から、第2部材34の外側表面に向かって勢いよく噴出される。噴出された粉体除去用ガスは、第2部材34の外側表面に衝突し、隣接する内壁32にガイドされて、当該隣接する内壁32の間を通過して内筒30の内部へ勢いよく噴出される。また、噴出された粉体除去用ガスは、第2部材34の外側表面に衝突し、第2部材34の周方向にも拡散する。
【0031】
図6は、本発明を適用したさらに別の実施形態(第3実施形態)である排ガス燃焼装置を示している。当該第3実施形態に示す排ガス燃焼装置3は、前記第2実施形態の排ガス燃焼装置2とほぼ同様の構成を有するものであり、各実施形態と同様に堆積された粉体を風圧によって剥離、除去することができるものであるが、燃焼筒が水平方向ではなく鉛直方向に延びるものであり、冷却領域Cを有さず燃焼領域Hのみを有する点で、前記排ガス燃焼装置2と相違する。
【0032】
当該第3実施形態において、燃焼ノズル部11及び処理ガスノズル12は装置上部に設けられ、排ガスが上から下に流れる途中で燃焼分解処理が行われる。燃焼分解処理後の排ガスは、排気口23を通過した後、装置の下流側に設けられている冷却領域(図示せず)において冷却される。燃焼分解処理によって生成した粉体は内筒30の内部に付着、堆積するが、前記第2実施形態の排ガス燃焼装置2と同様に、外壁31に設けられた粉体除去用ガス導入口35から2枚の内壁32の間を通過して噴出される粉体除去用ガスによって除去される。この際、装置自体が鉛直方向に延びているために、粉体除去用ガスによって除去された粉体は落下し、再度内筒30の内部に付着することはない。
【0033】
なお、粉体除去用ガスは、粉体を内筒の内面から風圧により剥離除去できればどのような種類のものでもよく、好適には窒素ガスやドライエアー等が用いられる。その供給圧力は例えば0.2~0.5MPa程度である。また、粉体除去用ガスの噴出は、例えば1日1回といった定期的かつ短時間での間欠方式で行うものとし、当該噴出時における内筒の内部へのガス噴出量は、通常の排ガス燃焼時において内外の圧力差で自然に内筒の内部に吸引される空気の量の3~10倍程度とするのが好ましい。
【0034】
また、上記第1実施形態において、粉体除去用ガス導入口29が、内筒21の外壁24に3か所設けられ、当該内筒21の同一断面の円周方向に等間隔で4つ設けられるものとして示したが、必ずしもこの態様に限らず、粉体除去用ガスの導入量を調節する目的において、必要に応じて適宜数を調整して設けることができる。
【符号の説明】
【0035】
1~3・・・排ガス燃焼装置、11・・・燃焼ノズル部、12・・・処理ガスノズル、13・・・燃焼筒、14・・・燃料ガスノズル、15・・・支燃性流体ノズル、21・・・内筒、22・・・外筒、23・・・排気口、24・・・外壁、25・・・内壁、26・・・空気取入口、27・・・空気導入口、28・・・貫通口、29・・・粉体除去用ガス導入口、30・・・内筒、31・・・内壁、32・・・外壁、33・・・第1部材、34・・・第2部材、35・・・粉体除去用ガス導入口、H・・・燃焼領域、C・・・冷却領域