(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】化合物、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、カラーフィルタ、およびCMOSイメージセンサー
(51)【国際特許分類】
C09B 11/28 20060101AFI20241211BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20241211BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241211BHJP
C08F 220/06 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
C09B11/28 E CSP
G03F7/004 505
G02B5/20 101
C08F220/06
(21)【出願番号】P 2023517889
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2022005900
(87)【国際公開番号】W WO2022240012
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0060894
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0035509
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クォン,チャン-ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,スンデ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ベク ソン
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0061038(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0023949(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0072709(US,A1)
【文献】特開2009-169407(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0034309(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 11/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
上記化学式1中、
R
1
およびR
2
のうちの一つは下記化学式2で表され、R
1
およびR
2
のうちの他の一つは、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
R
3
は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
R
4
およびR
5
のうちの一つは下記化学式2で表され、R
4
およびR
5
のうちの他の一つは、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
R
6
は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
L
1は、置換もしくは非置換の炭素数3~10のアルキレン基であり、
【化2】
上記化学式2中、
L
2は、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキレン基である。
【請求項2】
前記R
3
は、非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記R
1は前記化学式2で表され、
R
2
は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
R
3
は、非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記R
6
は、非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記R
4は前記化学式2で表され、
R
5
は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
R
6
は、非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-5のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載の化合物。
【化3】
【請求項7】
前記化合物は赤色染料である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1~
7のうちのいずれか一項の化合物を含む感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記化合物は、前記感光性樹脂組成物を構成する固形分総量に対して7重量%~16重量%で含まれる、請求項
8に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶媒をさらに含む、請求項
8に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記感光性樹脂組成物は顔料をさらに含む、請求項
8に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項
8に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記感光性樹脂組成物はCMOSイメージセンサー用である、請求項
8に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項
8の感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜。
【請求項15】
請求項
14の感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ。
【請求項16】
請求項
15のカラーフィルタを含むCMOSイメージセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、化合物、これを含む感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ、および前記カラーフィルタを含むCMOSイメージセンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置の一つである液晶ディスプレイ装置は軽量化、薄型化、低価、低消費電力駆動化、および優れた集積回路との接合性などの長所を有していて、ノートパソコン、モニター、およびTV画像用にその使用範囲が拡大されている。このような液晶ディスプレイ装置は、ブラックマトリクス、カラーフィルタ、およびITO画素電極が形成された下部基板と、液晶層、薄膜トランジスタ、蓄電キャパシタ層から構成された能動回路部とITO画素電極が形成された上部基板を含んで構成される。カラーフィルタは、画素の間の境界部を遮光するために透明基板上に定められたパターンで形成されたブラックマトリクス層およびそれぞれの画素を形成するために複数の色、通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色を定められた順に配列した画素部が順次に積層された構造をとっている。
【0003】
カラーフィルタを実現する方法の一つである顔料分散法は、黒色マトリックスが提供された透明な基質の上に着色剤を含有する光重合性組成物をコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後、非露光部位を溶剤で除去して熱硬化させる一連の過程を繰り返すことによって着色薄膜が形成される方法である。顔料分散法によるカラーフィルタ製造に使用される感光性樹脂組成物は、一般に、アルカリ可溶性樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、エポキシ樹脂、溶剤と、その他の添加剤などからなる。前記の特徴を有する顔料分散法は、携帯電話機、ノートパソコン、モニター、TVなどのLCDを製造することに活発に応用されている。しかし、最近では様々な長所を有する顔料分散法を用いたカラーフィルタ用感光性樹脂組成物においても優れたパターン特性だけでなくさらに向上した性能が要求されている。特に高い色再現率と共に高輝度および高明暗比の特性が要求されるイメージセンサーに適用可能な着色剤に対する要求が次第に高まっているのが実情である。
【0004】
イメージセンサーは携帯電話カメラやDSC(digital still camera)などのディスプレイ装置で映像を生成する映像撮像素子部品を称するものであって、その製作工程と応用方式によって大きく、固体撮像素子(charge coupled device、CCD)イメージセンサーと、相補性金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)イメージセンサーに分類することができる。
【0005】
固体撮像素子に使用されるカラーフィルタ用感光性樹脂膜は1.5μm以下の膜の厚さが要求されるため、感光性樹脂組成物中に多量の色素を添加しなければならず、これにより感度が低下して基板との密着が不充分になるか、十分な硬化が得られないか、露光部でも染料が溶出して色が落ちてしまうなどパターン形成性が顕著に低下するなどの問題がある。
【0006】
よって、輝度と耐化学性などの信頼性を満足させながら同時に高色実現が可能な、イメージセンサーに適用可能なカラーフィルタ用感光性樹脂組成物を開発しようとする努力が続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態は、輝度、明暗比、および信頼性が改善されたカラーフィルタを実現することができる化合物を提供するためのものである。
【0008】
他の一実施形態は、前記化合物を含む感光性樹脂組成物を提供するためのものである。
【0009】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供するためのものである。
【0010】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供するためのものである。
【0011】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むCMOSイメージセンサーを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0013】
【0014】
上記化学式1中、
R1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
R1~R3のうちの一つは下記化学式2で表され、残り二つはこれと異なり、
R4~R6のうちの一つは下記化学式2で表され、残り二つはこれと異なり、
L1は、置換もしくは非置換の炭素数3~10のアルキレン基であり、
【0015】
【0016】
上記化学式2中、
L2は、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキレン基である。
【0017】
前記化学式1中、R1~R3のうちの一つは前記化学式2で表され、残り二つは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0018】
前記化学式1中、R1は前記化学式2で表され、R2およびR3はそれぞれ独立して非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0019】
前記化学式1中、R3は前記化学式2で表され、R1およびR2はそれぞれ独立して非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0020】
前記化学式1中、R4~R6のうちの一つは前記化学式2で表され、残り二つは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0021】
前記化学式1中、R4は前記化学式2で表され、R5およびR6はそれぞれ独立して非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0022】
前記化学式1中、R6は前記化学式2で表され、R4およびR5はそれぞれ独立して非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0023】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-5のうちのいずれか一つで表すことができる。
【0024】
【0025】
前記化合物は、赤色染料であってもよい。
【0026】
他の一実施形態は、前記化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0027】
前記化合物は、前記感光性樹脂組成物を構成する固形分総量に対して7重量%~16重量%で含まれてもよい。
【0028】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶媒をさらに含むことができる。
【0029】
前記感光性樹脂組成物は、顔料をさらに含むことができる。
【0030】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0031】
前記感光性樹脂組成物は、CMOSイメージセンサー用であってもよい。
【0032】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜を提供する。
【0033】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0034】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むCMOSイメージセンサーを提供する。
【0035】
その他本発明の側面の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0036】
一実施形態による化合物は優れた赤色分光特性を有して、赤色カラーフィルタ用感光性樹脂組成物製造時染料として使用することができ、前記染料を含む感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜、これを含むカラーフィルタ、およびCMOSイメージセンサーは明度、明暗比、耐久性に優れた、高い信頼性を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0038】
本明細書で特別な言及がない限り、“置換”乃至“置換された”とは、本発明の官能基中の一つ以上の水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(NH2、NH(R200)またはN(R201)(R202)であり、ここでR200、R201、およびR202は同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式有機基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されたことを意味する。
【0039】
本明細書で特別な言及がない限り、“アルキル基”とは炭素数1~20のアルキル基を意味し、具体的には炭素数1~15のアルキル基を意味し、“シクロアルキル基”とは炭素数3~20のシクロアルキル基を意味し、具体的には炭素数3~18のシクロアルキル基を意味し、“アルコキシ基”とは炭素数1~20のアルコキシ基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルコキシ基を意味し、“アリール基”とは炭素数6~20のアリール基を意味し、具体的には炭素数6~18のアリール基を意味し、“アルケニル基”とは炭素数2~20のアルケニル基を意味し、具体的には炭素数2~18のアルケニル基を意味し、“アルキレン基”とは炭素数1~20のアルキレン基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルキレン基を意味し、“アリーレン基”とは炭素数6~20のアリーレン基を意味し、具体的には炭素数6~16のアリーレン基を意味する。
【0040】
本明細書で特別な言及がない限り、“(メタ)アクリレート”は“アクリレート”と“メタクリレート”の両方とも可能であるのを意味し、“(メタ)アクリル酸”は“アクリル酸”と“メタクリル酸”の両方とも可能であるのを意味する。
【0041】
本明細書で別途の定義がない限り、“組み合わせ”とは、混合または共重合を意味する。また、“共重合”とはブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、“共重合体”とはブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0042】
本明細書内化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は前記位置に水素原子が結合されているのを意味する。
【0043】
また、本明細書で別途の定義がない限り、“*”は同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0044】
一実施形態は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0045】
【0046】
上記化学式1中、
R1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
R1~R3のうちの一つは下記化学式2で表され、残り二つはこれと異なり、
R4~R6のうちの一つは下記化学式2で表され、残り二つはこれと異なり、
L1は、置換もしくは非置換の炭素数3~10のアルキレン基であり、
【0047】
【0048】
上記化学式2中、
L2は、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキレン基である。
【0049】
着色剤として顔料を使用した感光性樹脂組成物から製造されたカラーフィルタでは、顔料粒子大きさから始まる輝度と明暗比の限界が存在するため、輝度と明暗比改善に対する必要性が持続的に提起されており、これを達成するために顔料の代わりに粒子を成さない染料を導入して染料に適した感光性樹脂組成物を製造して輝度と明暗比が改善されたカラーフィルタを実現しようとする努力が続いており、このような努力によって顔料の代わりに染料を主要着色剤として使用した感光性樹脂組成物の場合、輝度や明暗比改善にはある程度効果を示してきた。
【0050】
一方、最近は、従来のLCDのようなディスプレイ装置以外に固体撮像素子イメージセンサーや相補性金属酸化物半導体イメージセンサーなどにも適用可能な感光性樹脂組成物に対する要求が急増しており、従来の染料を主要着色剤として使用した感光性樹脂組成物の場合、前記イメージセンサーに適用時高色実現が不可能であって、高鮮明カラーフィルタの製造が非常に難しいという問題が新しく台頭している。前記のように高色実現が不可能なのは固体撮像素子イメージセンサーなどに装着されるカラーフィルタのパターン大きさが従来のLCD用カラーフィルタパターン大きさの1/100倍~1/200倍程度に非常に小さいためであると考えられる。
【0051】
よって、本発明の発明者らは長い間の研究の末に、キサンテン系化合物の構造を前記化学式1のように変形することによって、従来のLCD用カラーフィルタパターン大きさより100倍~200倍小さい大きさを有するパターンにも容易に適用が可能であって、解像度を増加させ、残渣を減少させて、従来の感光性樹脂組成物と比較して現像性に優れたカラーフィルタ用感光性樹脂組成物に使用される染料化合物を開発するに至った。
【0052】
例えば、前記化学式1で表される化合物は置換もしくは非置換の炭素数3~10のアルキレン基に連結されたダイマー構造であり、また前記化学式2で表される置換基を前記ダイマー構造の両側に一つずつのみ有しているため、他の構造のキサンテン系化合物と比較して有機溶媒に対する溶解度が優れるだけでなく、これを着色剤として含む感光性樹脂組成物の輝度および耐化学性も優れるという点から、大きな差がある。即ち、一実施形態による化合物は、キサンテン系化合物の構造を特定に制御することによって、従来のキサンテン系化合物に対比して優れた赤色分光特性と高いモル吸光係数を有し、輝度、明暗比などの色特性と耐化学性がより向上した感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0053】
例えば、前記化学式1中、L1は置換もしくは非置換の炭素数3~10のアルキレン基、例えば置換もしくは非置換の炭素数3~8のアルキレン基、例えば置換もしくは非置換の炭素数3~6のアルキレン基であってもよい。前記L1がアルキレンであるとしてもその長さを制御することが色特性および耐化学性側面から重要である。例えば、前記L1が置換もしくは非置換のエチレン基(炭素数2)である場合、ダイマー構造を成す連結基の長さが過度に短くて色特性(特に、輝度)および耐化学性が劣等なことがあり、前記L1が置換もしくは非置換の炭素数11のアルキレン基である場合、同様にダイマー構造を成す連結基の長さが過度に長くて耐化学性が劣等でありながら、色特性も優れないことがある。
【0054】
例えば、前記化学式1中、R1~R3のうちの一つは前記化学式2で表され、残り二つは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。この場合、前記化学式1で表される化合物がカラーフィルタ用感光性樹脂組成物内着色剤として使用することに無理がないだけでなく、高色再現イメージセンサーへの実現が容易である。
【0055】
例えば、前記化学式1中、R1は前記化学式2で表され、R2およびR3はそれぞれ独立して非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。例えば、前記化学式1中、R3は前記化学式2で表され、R1およびR2はそれぞれ独立して非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。前記化学式1中、R1~R3の定義が前記のようである場合、赤色画素実現に容易であり、有機溶媒に対する溶解度をさらに向上させることができ、輝度向上および工程特性の確保側面からも有利である。
【0056】
例えば、前記化学式1中、R4~R6のうちの一つは前記化学式2で表され、残り二つは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。例えば、前記化学式1中、R4は前記化学式2で表され、R5およびR6はそれぞれ独立して非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。例えば、前記化学式1中、R6は前記化学式2で表され、R4およびR5はそれぞれ独立して非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。前記化学式1中、R4~R6の定義が前記のようである場合、赤色画素実現に容易であり、有機溶媒に対する溶解度をさらに向上させることができ、輝度向上および工程特性の確保側面からも有利である。
【0057】
何よりも同一系列のキサンテン系化合物であるとしても、前記化学式1で表される構造を有しない場合、そのようなキサンテン系化合物を着色剤として含む感光性樹脂組成物は輝度および耐化学性が大きく低下するか高色実現が不可能である。即ち、一実施形態によるキサンテン系化合物は前記化学式1で表される構造を有するという点から、従来のキサンテン系化合物とは構造的および分光学的な側面から差がある。
【0058】
例えば、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-5のうちのいずれか一つで表すことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0059】
【0060】
例えば、前記化学式1で表される化合物は、少量でもより鮮明な色の発現が可能であって、着色剤として使用時輝度や明暗比などの色特性に優れたディスプレイ素子の製造が可能である。例えば、前記化合物は着色剤、例えば染料、例えば赤色染料であってもよい。
【0061】
一般に、染料は、カラーフィルタ内に使用される構成成分のうちの最も高価の構成成分である。したがって、所望の効果、例えば高輝度や高明暗比などを達成するためには高価の染料をさらに多く使用しなければならないため生産単価が上昇するしかなかった。しかし、一実施形態による化合物をカラーフィルタ内染料として使用する場合、少量でも高輝度、高明暗比などの優れた色特性を達成することができて生産単価の節減が可能である。
【0062】
他の一実施形態によれば、前記一実施形態による化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0063】
例えば、前記感光性樹脂組成物は、前記一実施形態による化合物、バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶媒を含むことができる。
【0064】
一実施形態による化合物は、感光性樹脂組成物内で着色剤、例えば染料、例えば赤色染料としての役割を果たして、優れた色特性を発現することができる。
【0065】
一実施形態による化合物は、前記感光性樹脂組成物を構成する固形分総量に対して5重量%~20重量%、例えば6重量%~19重量%、例えば7重量%~18重量%、例えば7重量%~17重量%、例えば7重量%~16重量%で含まれてもよい。前記範囲で一実施形態による化合物が含まれる場合、色再現率および明暗比に優れるようになる。
【0066】
前記感光性樹脂組成物は、顔料、例えば黄色顔料、赤色顔料またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0067】
前記黄色顔料はカラーインデックス(Color Index)内でC.I.顔料黄色138、C.I.顔料黄色139、C.I.顔料黄色150などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0068】
前記赤色顔料は、ペリレン系顔料、アントラキノン(anthraquinone)系顔料、アゾ系顔料、ジアゾ系顔料、キナクリドン(quinacridone)系顔料、アントラセン(anthracene)系顔料などが挙げられる。前記赤色系顔料の具体的な例としては、ペリレン顔料、キナクリドン(quinacridone)顔料、ナフトール(naphthol)AS、シコミン顔料、アントラキノン(anthraquinone)(sudan I、II、III、R)、ビスアゾ(vis azo)、ベンゾピランなどを使用することができる。
【0069】
前記顔料は、顔料分散液の形態で前記感光性樹脂組成物に含まれてもよい。
【0070】
前記顔料分散液は、固形分の顔料、溶剤、および前記溶剤内に前記顔料を均一に分散させるための分散剤を含むことができる。
【0071】
前記固形分の顔料は、顔料分散液総量に対して1重量%~20重量%、例えば8重量%~20重量%、例えば8重量%~15重量%、例えば10重量%~20重量%、例えば10重量%~15重量%で含まれてもよい。
【0072】
前記分散剤としては、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、陽イオン性分散剤などを使用することができる。前記分散剤の具体的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0073】
前記分散剤の市販される製品を例として挙げれば、BYK社のDISPERBYK-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など;EFKAケミカル社のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など;Zeneka社のSolsperse 5000、Solsperse 12000、Solsperse 13240、Solsperse 13940、Solsperse 17000、Solsperse 20000、Solsperse 24000GR、Solsperse 27000、Solsperse 28000など;またはAjinomoto社のPB711、PB821などがある。
【0074】
前記分散剤は、顔料分散液総量に対して1重量%~20重量%で含まれてもよい。分散剤が前記範囲内に含まれる場合、適切な粘度を維持することができて感光性樹脂組成物の分散性に優れ、これによって製品適用時光学的、物理的、および化学的品質を維持することができる。
【0075】
前記顔料分散液を形成する溶剤としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができる。
【0076】
前記顔料分散液は、前記感光性樹脂組成物総量に対して10重量%~20重量%、例えば12重量%~18重量%で含まれてもよい。前記顔料分散液が前記範囲内に含まれる場合、工程マージン確保に有利であり、色再現率および明暗比に優れるようになる。
【0077】
前記バインダー樹脂は、アクリル系樹脂であってもよい。
【0078】
前記アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0079】
前記第1エチレン性不飽和単量体は一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0080】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、前記アクリル系バインダー樹脂総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれてもよい。
【0081】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0082】
前記アクリル系バインダー樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0083】
例えば、前記バインダー樹脂は、前記アクリル系樹脂と共にエポキシ系樹脂をさらに含むことができる。
【0084】
前記バインダー樹脂の重量平均分子量は3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、前記感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ、粘度が適切であり、カラーフィルタ製造時基板との密着性に優れる。
【0085】
前記バインダー樹脂の酸価は、15mgKOH/g~60mgKOH/g、例えば20mgKOH/g~50mgKOH/gであってもよい。前記バインダー樹脂の酸価が前記範囲内である場合、ピクセルパターンの解像度に優れる。
【0086】
前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~20重量%、例えば1重量%~15重量%、例えば1重量%~10重量%で含まれてもよい。前記バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、カラーフィルタ製造時現像性に優れ架橋性が改善されて優れた表面平滑度を得ることができる。
【0087】
前記光重合性化合物は、少なくとも一つのエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0088】
前記光重合性化合物は、前記エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こして耐熱性、耐光性、および耐化学性に優れたパターンを形成することができる。
【0089】
前記光重合性化合物の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0090】
前記光重合性化合物の市販される製品を例として挙げれば次の通りである。前記(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社のアロニックスM-101(登録商標)、同M-111(登録商標)、同M-114(登録商標)など;日本化薬株式会社のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成株式会社のアロニックスM-210(登録商標)、同M-240(登録商標)、同M-6200(登録商標)など;日本化薬株式会社のKAYARAD HDDA(登録商標)、同HX-220(登録商標)、同R-604(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335HP(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成株式会社のアロニックスM-309(登録商標)、同M-400(登録商標)、同M-405(登録商標)、同M-450(登録商標)、同M-710(登録商標)、同M-8030(登録商標)、同M-8060(登録商標)など;日本化薬株式会社のKAYARAD TMPTA(登録商標)、同DPCA-20(登録商標)、同-30(登録商標)、同-60(登録商標)、同-120(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社のV-295(登録商標)、同-300(登録商標)、同-360(登録商標)、同-GPT(登録商標)、同-3PA(登録商標)、同-400(登録商標)などが挙げられる。前記製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0091】
前記光重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0092】
前記光重合性化合物は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~15重量%、例えば1重量%~10重量%で含まれてもよい。前記光重合性化合物が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時硬化が十分に起こって信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れる。
【0093】
前記光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤であって、例えばアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0094】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0095】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0096】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0097】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0098】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0099】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、および1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0100】
前記光重合開始剤は、前記化合物以外にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0101】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起状態となったのち、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用されてもよい。
【0102】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0103】
前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して0.01重量%~10重量%、例えば0.1重量%~5重量%で含まれてもよい。光重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時硬化が十分に起こって優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性、および耐化学性に優れ、解像度および密着性も優れ、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0104】
前記溶媒は、一実施形態による化合物、顔料、バインダー樹脂、光重合性化合物、および光重合開始剤との相溶性を有するが反応しない物質を使用することができる。
【0105】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類;2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0106】
これらのうち、相溶性および反応性を考慮して、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;および/またはシクロヘキサノンなどのケトン類を使用することができる。
【0107】
前記溶媒は、前記感光性樹脂組成物総量に対して残部量、例えば30重量%~80重量%で含まれてもよい。溶媒が前記範囲内に含まれる場合、前記感光性樹脂組成物が適切な粘度を有することによってカラーフィルタ製造時工程性に優れる 。
【0108】
他の一実施形態による感光性樹脂組成物は、塗布時染みや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;シラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;ラジカル重合開始剤;またはこれらの組み合わせなどのその他の添加剤をさらに含むことができる。
【0109】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、βエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる
前記フッ素系界面活性剤の例としては、BM Chemie社のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業株式会社のメガファックF 142D(登録商標)、同F 172(登録商標)、同F 173(登録商標)、同F 183(登録商標)など;住友スリーエム株式会社のフロラードFC-135(登録商標)、同FC-170C(登録商標)、同FC-430(登録商標)、同FC-431(登録商標)など;旭硝子株式会社のサーフロンS-112(登録商標)、同S-113(登録商標)、同S-131(登録商標)、同S-141(登録商標)、同S-145(登録商標)など;東レシリコン株式会社のSH-28PA(登録商標)、同-190(登録商標)、同-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)などの市販品が挙げられる。
【0110】
前記添加剤の含量は、所望の物性によって容易に調節することができる。
【0111】
例えば、前記感光性樹脂組成物は、CMOSイメージセンサー用であってもよい。
【0112】
また他の一実施形態によれば、前記一実施形態による感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0113】
また他の一実施形態によれば、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0114】
前記カラーフィルタ内パターン形成工程は、次の通りである。
【0115】
前記感光性樹脂組成物を支持基板上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェットプリンティングなどで塗布する工程;前記塗布された感光性樹脂組成物を乾燥して感光性樹脂組成物膜を形成する工程;前記感光性樹脂組成物膜を露光する工程;前記露光された感光性樹脂組成物膜をアルカリ水溶液で現像して感光性樹脂膜を製造する工程;および前記感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含む。前記工程上の条件などについては当該分野で広く知られている事項であるので、本明細書で詳しい説明は省略する。
【0116】
また他の一実施形態によれば、前記カラーフィルタを含むCMOSイメージセンサーを提供する。
【0117】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明が下記実施例に限定されるのではない。
【実施例】
【0118】
(化合物の合成)
(中間体1の合成)
【0119】
【0120】
化合物A(CAS No.77545-45-0)32gを反応器に投入し2-プロパノール300gで溶解させる。2,6-ジメチルアニリン19.1gを投入した後、80℃で8時間攪拌した。反応物を冷却し2Lの水を投入して沈殿物を生成させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し水で追加洗浄した。ろ過物を乾燥して中間体1を31g(80%収率)得た。
【0121】
(中間体2の合成)
【0122】
【0123】
中間体1 10gを反応器に投入しジメチルホルムアミド30gとN,N’-Diethyl-1,6-diaminohexane1.65gを投入した後、120℃で8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して中間体2を8.69g(81%収率)得た。
【0124】
合成例1:化学式1-1で表される化合物の合成
中間体2 3.0gを反応器に投入しジメチルホルムアミド5gとN-(3-Bromopropyl)phthalimide 1.8g、K2CO3 0.9g、KI 0.11gを投入した後、95℃で加熱しながら8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して最終的に下記化学式1-1で表される化合物を3g(72%収率)得た。
【0125】
【0126】
合成例2:化学式1-2で表される化合物の合成
前記合成例1のN-(3-Bromopropyl)phthalimide 1.8gの代わりにN-(4-Bromobutyl)phthalimide 1.9gを使用したこと以外は同様な方法で下記化学式1-2で表される化合物を得る。
【0127】
【0128】
合成例3:化学式1-3で表される化合物の合成
前記合成例1のN-(3-Bromopropyl)phthalimide 1.8gの代わりにN-(2-Bromoethyl)phthalimide 1.7gを使用したこと以外は同様な方法で下記化学式1-3で表される化合物を得る。
【0129】
【0130】
合成例4:化学式1-4で表される化合物の合成
化合物A(CAS No.77545-45-0)32gを反応器に投入し2-プロパノール300gで溶解させる。o-Toluidine 16.9gを投入した後、80℃で8時間攪拌した。反応物を冷却し2Lの水を投入して沈殿物を生成させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し水で追加洗浄した。ろ過物を乾燥して中間体3を31g(80%収率)得た。
【0131】
【0132】
中間体3 10gを反応器に投入しジメチルホルムアミド30gとN,N’-Diethyl-1,6-diaminohexane 1.70gを投入した後、120℃で8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して中間体4を8.95g(81%収率)得た。
【0133】
【0134】
中間体4 3.0gを反応器に投入しジメチルホルムアミド5gとN-(3-Bromopropyl)phthalimide 1.7g、K2CO3 0.9g、KI 0.11gを投入した後、95℃で加熱しながら8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して最終的に下記化学式1-4で表される化合物を2.98g(72%収率)得た。
【0135】
【0136】
合成例5:化学式1-5で表される化合物の合成
中間体1 10gを反応器に投入しジメチルホルムアミド30gとN,N’-Dimethyl-1,3-propanediamine 0.98gを投入した後、120℃で8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して中間体5を7.72g(75%収率)得た。
【0137】
【0138】
中間体5 3.0gを反応器に投入しジメチルホルムアミド5gとN-(3-Bromopropyl)phthalimide 1.8g、K2CO3 0.9g、KI 0.11gを投入した後、95℃で加熱しながら8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して最終的に下記化学式1-5で表される化合物を2.07g(50%収率)得た。
【0139】
【0140】
比較合成例1:化学式C-1で表される化合物の合成
【0141】
【0142】
化合物A(CAS No.77545-45-0)32gを反応器に投入しN-Methylpyrrolidone(NMP)300gで溶解させる。4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)8.03gを投入した後、150℃で4時間攪拌した。反応物を冷却し2Lの水を投入して沈殿物を生成させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し水で追加洗浄した。ろ過物を乾燥して中間体6を16.29g(52%収率)得た。
【0143】
【0144】
中間体6 10gを反応器に投入しN-Methylpyrrolidone(NMP)30gと2,6-ジメチルアニリン2.93gを投入した後、150℃で5時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して中間体7を5.03g(43%収率)得た。
【0145】
中間体7 3.0gを反応器に投入しジメチルホルムアミド5gと1-Iodopropane 2.11g、K2CO3 1.71gを投入した後、95℃で加熱しながら12時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して最終的に下記化学式C-1で表される化合物を0.97g(30%収率)得た。
【0146】
【0147】
比較合成例2:化学式C-2で表される化合物の合成
中間体7 3.0gを反応器に投入しジメチルホルムアミド5gとN-(3-Bromopropyl)phthalimide 3.32g、K2CO3 1.71g、KI 0.21gを投入した後、95℃で加熱しながら8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して最終的に下記化学式C-2で表される化合物を2.04g(42%収率)得た。
【0148】
【0149】
比較合成例3:化学式C-3で表される化合物の合成
【0150】
【0151】
中間体110gを反応器に投入しジメチルホルムアミド30gとN,N’-Dimethylethylenediamine 0.85gを投入した後、120℃で8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して中間体8を6.5g(64%収率)得た
中間体8 3.0gを反応器に投入しジメチルホルムアミド5gとN-(3-Bromopropyl)phthalimide 1.94g、K2CO3 1.0g、KI 0.12gを投入した後、95℃で加熱しながら8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して最終的に下記化学式C-3で表される化合物を1.73g(42%収率)得た。
【0152】
【0153】
比較合成例4:化学式C-4で表される化合物の合成
【0154】
【0155】
中間体1 10gを反応器に投入しジメチルホルムアミド30gとN,N’-Dimethylundecanediamine 2.33gを投入した後、120℃で8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して中間体9を9.61g(84%収率)得た。
【0156】
中間体9 3.0gを反応器に投入しジメチルホルムアミド5gとN-(3-Bromopropyl)phthalimide 1.72g、K2CO3 0.89g、KI 0.11gを投入した後、95℃で加熱しながら8時間攪拌する。反応物にジクロロメタン100gを投入し水洗する。得られた有機層はシリカろ過後、減圧蒸留した。蒸留された混合物をジクロロメタン10gで溶解させた後、ノルマルヘキサン100gに滴加して沈殿させた。得られた沈殿物を吸入ろ過し追加洗浄した。ろ過物を乾燥して最終的に下記化学式C-4で表される化合物を3.00g(75%収率)得た。
【0157】
【0158】
比較合成例5:化学式C-5で表される化合物の合成
合成例1でN-(3-Bromopropyl)phthalimideの代わりにN-(1-Bromomethyl)phthalimideを使用したことを除いては、合成例1と同一に行って下記化学式C-5で表される化合物を3.00g(75%収率)得た。
【0159】
【0160】
(評価)
評価1:溶解度測定
前記合成例1~合成例5および比較合成例1~比較合成例5による化合物0.5gに、希釈溶剤(PGMEA)をそれぞれ添加し、当該溶液をミックスローター(iuchi株式会社、MIXROTAR VMR-5)で25℃rpmで1時間攪拌した後、それぞれの化合物の溶解度確認結果を下記表1に示した。
【0161】
溶解度評価基準
希釈溶剤総量に対して化合物(溶質)が10重量%以上溶解:○
希釈溶剤総量に対して化合物(溶質)が10重量%未満溶解:X
【0162】
【0163】
上記表1から、一実施形態による化合物の合成例1~合成例5の化合物は比較合成例1~比較合成例5の化合物より有機溶媒に対する溶解度に優れ、感光性樹脂組成物などに使用時、優れた色特性を示すことができるのを確認することができる。
【0164】
(感光性樹脂組成物の合成)
実施例1~実施例5および比較例1~比較例5
下記言及された構成成分を下記表2に示した組成で混合して実施例1~実施例5および比較例1~比較例5による感光性樹脂組成物を製造した。
【0165】
具体的に、溶媒に光重合開始剤を溶かした後、2時間常温で攪拌した後、ここにバインダー樹脂および光重合性単量体を添加して2時間常温で攪拌した。その次に、得られた前記反応物に着色剤として前記合成例で製造された化合物(染料)および顔料(顔料分散液形態)を入れて1時間常温で攪拌(染料の場合、固形分総量に対して10重量%で添加)した。その次に酸化防止剤およびレベリング剤を入れ、前記生成物を3回ろ過して不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0166】
【0167】
評価2:色座標、輝度および耐化学性
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に1μm~3μmの厚さで前記実施例1~実施例5および比較例1~比較例5で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。続いて、塗膜に365nmの周波長を有する高圧水銀ランプを使用して露光した。その後、200℃の熱風循環式乾燥炉内で5分間乾燥させてサンプルを得た。画素層は分光光度計(MCPD3000、Otsuka electronic社)を用いてC光源基準色純度を評価し、CIE色座標基準で輝度および明暗比を計算して、下記表3に記載した。
【0168】
また、前記露光および乾燥させて得られたサンプル(フォトレジスト膜)の初期厚さを測定した後、NMP溶媒に25℃、10分間静置させた後、超純水で30秒間洗浄した後、圧縮空気で吹いて乾燥した。その後、前記分光光度計を用いてdel(E*)値を測定して耐化学性を確認し、その結果を下記表3に示した。
【0169】
耐化学性評価基準
del(E*)が3未満:○
del(E*)が3以上:X
【0170】
【0171】
上記表3から、一実施形態による化合物を染料として含む実施例1~実施例5の感光性樹脂組成物が前記化合物を含まない比較例1~比較例5の感光性樹脂組成物と比較して、輝度、明暗比、および耐化学性に優れ、イメージセンサーなどに容易に適用されて色特性に優れた高鮮明ディスプレイ装置の製造が可能であるのを確認することができる。
【0172】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。