(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】摩耗補償閉じ込めリング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
(21)【出願番号】P 2022576793
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 US2020058394
(87)【国際公開番号】W WO2022093280
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メース・アダム・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】メマラン・シャーリアー
(72)【発明者】
【氏名】チャラタン・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・シウォン
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-038987(JP,A)
【文献】特開平11-317397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0051792(US,A1)
【文献】特表2013-503496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
C23C 16/505
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じ込めリングであって、
前記閉じ込めリングの内側下半径と外側半径との間に延在する下側水平区画であって、前記下側水平区画は、前記内側下半径で垂直下向きに延在する延長区画を含み、前記下側水平区画はさらに、複数のスロットを有し、各スロットは、内径から外径まで前記下側水平区画に沿って径方向に延在し、前記内径での少なくとも1つのスロットの内側スロット半径は、前記外径での前記少なくとも1つのスロットの外側スロット半径よりも短
く、前記少なくとも1つのスロットの前記内側スロット半径と前記外側スロット半径との差がスロットテーパを画定し、それによって前記少なくとも1つのスロットは、前記外径から前記内径に向かって先細りになり、前記スロットテーパに影響を及ぼす前記内側スロット半径と前記外側スロット半径は、前記少なくとも1つのスロットの対応する内径および外径で摩耗率の逆数になるようにサイズ決定される、下側水平区画と、
前記閉じ込めリングの内側上半径と前記外側半径との間に延在する上側水平区画と、
前記閉じ込めリングの前記外側半径で前記下側水平区画から前記上側水平区画に一体に続く垂直区画と
を有する、閉じ込めリング。
【請求項2】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、前記内側上半径は、前記内側下半径よりも大きい、閉じ込めリング。
【請求項3】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、前記内側上半径に近い前記上側水平区画の上面に段部が画定され、前記段部は、前記上面から下向きにまた前記閉じ込めリングの前記内側上半径に向かって延在する、閉じ込めリング。
【請求項4】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、前記内径は、前記内側下半径によって画定された内側リングの直径よりも大きく、前記外径は、前記閉じ込めリングの前記外側半径によって画定された外側リングの直径よりも小さい、閉じ込めリング。
【請求項5】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、各スロットの長さは、約1.85インチ(約4.70cm)~約4.35インチ(約11.05cm)になるように画定される、閉じ込めリング。
【請求項6】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、前記上側水平区画の上面は、複数の孔を有し、前記複数の孔の各孔は、前記閉じ込めリングをプラズマ処理チャンバの上側電極に固定するファスナ手段の一部を受け入れるように構成される、閉じ込めリング。
【請求項7】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、前記下側水平区画の前記延長区画は、プラズマ処理チャンバの下側電極の上面に画定された高周波ガスケット上に載るように構成される、閉じ込めリング。
【請求項8】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、前記下側水平区画、前記垂直区画および前記上側水平区画は、プラズマ処理チャンバで発生したプラズマを閉じ込めるように構成されたC型構造を画定する、閉じ込めリング。
【請求項9】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、前記内側スロット半径と前記外側スロット半径との比率は、約1:1.1~約1:1.5である、閉じ込めリング。
【請求項10】
プラズマをプラズマ処理チャンバ内に閉じ込める装置であって、前記プラズマ処理チャンバは、基板を支持するための下側電極および前記下側電極よりも上に配置された上側電極を含み、前記装置は、
閉じ込めリングであって、
前記閉じ込めリングの内側下半径と外側半径との間に延在する下側水平区画であって、前記下側水平区画は、前記内側下半径で垂直下向きに延在する延長区画を含み、前記下側水平区画は、複数のスロットを有し、各スロットは、内径から外径まで前記下側水平区画に沿って径方向に延在し、前記内径での少なくとも1つのスロットの内側スロット半径は、前記外径での前記少なくとも1つのスロットの外側スロット半径よりも短
く、前記少なくとも1つのスロットの前記内側スロット半径と前記外側スロット半径との差がスロットテーパを画定し、それによって前記少なくとも1つのスロットは、前記外径から前記内径に向かって先細りになり、前記スロットテーパに影響を及ぼす前記内側スロット半径と前記外側スロット半径は、前記少なくとも1つのスロットの対応する内径および外径で摩耗率の逆数になるようにサイズ決定される、下側水平区画と、
前記閉じ込めリングの内側上半径と外側半径との間に延在する上側水平区画と、
前記閉じ込めリングの前記外側半径で前記下側水平区画から前記上側水平区画に一体に続く垂直区画と
を有し
前記下側水平区画の前記延長区画は、前記下側電極に画定された接地リングを取り囲むように構成される、
閉じ込めリングを含む、装置。
【請求項11】
請求項1
0に記載の装置であって、前記閉じ込めリングの前記下側水平区画、前記垂直区画および前記上側水平区画は、前記プラズマ処理チャンバで発生したプラズマを、前記プラズマ処理チャンバの前記上側電極と前記下側電極との間に画定されたプラズマ領域に閉じ込めるためにC型構造を画定する、装置。
【請求項12】
請求項1
0に記載の装置であって、前記内側上半径は、前記閉じ込めリングの前記内側下半径よりも大きい、装置。
【請求項13】
請求項1
0に記載の装置であって、前記上側水平区画の前記内側上半径に近い上面に段部が画定され、前記段部は、前記上面から前記閉じ込めリングの前記内側上半径に向かって下向きまた外向きに延在する、装置。
【請求項14】
請求項1
0に記載の装置であって、前記上側水平区画の上面は、複数の孔を有し、前記複数の孔の各孔は、ファスナ手段の一部を受け入れるように構成され、前記ファスナ手段は、前記閉じ込めリングを前記上側電極の延長部に結合するように構成され、前記上側電極の前記延長部は、電気的に接地される、装置。
【請求項15】
請求項1
0に記載の装置であって、前記下側水平区画の前記延長区画は、前記下側電極に画定された接地リングに隣接して配置された外側リングの上面に配置された高周波ガスケット上に載るように構成される、装置。
【請求項16】
請求項1
0に記載の装置であって、前記下側水平区画、前記上側水平区画および前記垂直区画によって画定された前記閉じ込めリングは、シリコン、またはポリシリコン、または炭化ケイ素、または炭化ホウ素、またはセラミック、またはアルミニウムのうちの1つから作製された連続構造である、装置。
【請求項17】
請求項1
0に記載の装置であって、前記閉じ込めリングの前記垂直区画の高さは、前記プラズマ処理チャンバがプラズマ処理を行っているときに前記プラズマ処理チャンバの前記上側電極と前記下側電極との間に画定された分離距離によって決まる、装置。
【請求項18】
請求項1
0に記載の装置であって、前記閉じ込めリングの前記下側水平区画、前記上側水平区画および前記垂直区画は、前記下側電極と上側電極との間で径方向外向きに広がる閉じ込めチャンバ空間の一部を形成して、前記閉じ込めリングが前記プラズマ処理チャンバに設置されたときに拡張したプラズマ処理領域を画定する、装置。
【請求項19】
請求項1
0に記載の装置であって、前記延長区画は、前記閉じ込めリングの前記下側水平区画、前記垂直区画および前記上側水平区画と一体であり、前記延長区画は、前記下側水平区画の下面の下に延在するように構成される、装置。
【請求項20】
請求項1
0に記載の装置であって、前記複数のスロットの各々は、前記プラズマ処理チャンバが動作しているとき、前記閉じ込めリングによって形成された閉じ込め空間からガスが出る経路を画定する、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理モジュールで使用する閉じ込めリングに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理では、基板は、集積回路を画定するフィーチャを形成するために様々な動作を受ける。例えば、堆積動作の場合、基板は処理チャンバの中に受け入れられ、形成されるフィーチャの種類に応じて特定の種類の反応性ガスがチャンバに供給され、プラズマを発生させるために高周波電力が印加される。基板は、静電チャックなどの下側電極に画定された基板支持体上に受け入れられる。特定の種類の反応性ガスを処理チャンバに供給するために、シャワーヘッドなどの上側電極が使用される。高周波電力が対応する整合ネットワークを介して反応性ガスに印加され、基板の表面上にイオンを選択的に堆積させて微細なフィーチャを形成するために使用されるプラズマを発生させる。反応性ガスは、粒子やガスなどの副生成物を生成するが、この副生成物は、基板の表面に形成された微細なフィーチャの完全性を維持するためにプラズマチャンバから速やかに除去する必要がある。
【0003】
発生したプラズマを処理領域内に閉じ込めるために、一連の閉じ込めリングが処理領域を取り囲むように画定される。さらに、歩留まりを改善し、プラズマの大部分が処理のために受け入れた基板の上にあるようにするために、プラズマ領域を取り囲んでいる閉じ込めリングは、基板の上の領域だけでなく、処理のために受け入れたときに基板を取り囲むように配置されたエッジリングの上の領域、およびエッジリングに隣接して配置された外側閉じ込めリングの上の領域もカバーするように、処理領域を拡張するように設計されてよい。一連の閉じ込めリングは、プラズマをプロセス領域内に閉じ込める働きをするだけでなく、チャンバ壁を含む処理チャンバの内部構造を保護する働きもする。
【0004】
プラズマ処理の過程では、プラズマ内に生成された副生成物および中性ガス種は、微細なフィーチャの完全性を維持できるように速やかに除去される。副生成物および中性ガス種を効率的に除去するために、一連の閉じ込めリングは、下面に沿って均一に画定された複数のスロットを含んでいてよい。現在、これらのスロットには、スロットが常に反応性プラズマに曝露されていること、および中性ガス種のガスが常に流れていることが原因で、摩耗の問題がある。スロットの摩耗は、スロットの長さに沿って不均一である。スロットの摩耗が不均一なため、プラズマが閉じ込められなくなる。プラズマが閉じ込められていないと、処理領域の外側のチャンバ部分で火花が発生し、閉じ込められていないプラズマに曝露されたチャンバの部品が損傷を受けるおそれがある。さらにスロットの摩耗が不均一であるために、スロットの他の部分に十分な使用寿命が残っている場合でも、閉じ込めリングを交換する必要がある。
【0005】
本発明の実施形態が生じるのはこのような背景である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の様々な実施形態は、プラズマをプラズマ領域内に閉じ込めるためにプラズマ処理チャンバで使用する閉じ込めリングの設計を規定するものである。この設計は、先細りスロットの形状を用いて閉じ込めリングの底部にスロットを画定することを含む。スロットは、プラズマをプラズマ領域に効率的に閉じ込めながら、プラズマ領域内で発生した副生成物および中性ガス種を除去するために使用される。スロットは、常にプラズマに曝露されているため、摩耗する。摩耗が臨界寸法に達すると、プラズマ閉じ込め不良が起こらないように閉じ込めリングを交換する必要がある。スロット間のスペースは限られているため、閉じ込めリングの使用寿命を最大にするにはスロットの周囲の面積を効率的に管理する必要がある。ただし、スロットの内径付近のプラズマの体積は、外径とは対照的に変化するため、内径のスロットの領域は、外径の領域よりも摩耗する。そのため、不均一な摩耗を防止し、内径のスロットの領域が外径よりも早く臨界寸法に達するために閉じ込めリングを交換しなければならなくなるのを避けるために、先細りスロット形状を用いてスロットを画定する。先細りスロット形状により、内径で細い端部を画定し、外径で広い端部を画定することによって、スロットの周囲の面積を効率的に利用する。スロットがプラズマに曝露されることによって摩耗すると、細い端部は、広い方の端部とほぼ同時に臨界寸法に近づき、寿命の終わりにはスロットの幅全体が全長にわたって臨界閉じ込め寸法に達する。先細りスロット形状により、スロットの周囲の面積を特に外径で効率的に使用できるため、プラズマ領域内で効率的なプラズマ閉じ込めを維持しながら、閉じ込めリングの使用寿命が延びる。したがって、プラズマ処理チャンバで閉じ込めリングを使用できる処理サイクルの数が増えるにつれて、消耗する閉じ込めリングにかかるコストは下がる。
【0007】
1つの実施形態では、閉じ込めリングを開示する。閉じ込めリングは、下側水平区画、上側水平区画、および垂直区画を有する。下側水平区画は、閉じ込めリングの内側下半径と外側半径との間に延在する。下側水平区画は、内側下半径で垂直下向きに延在する延長区画を含む。下側水平区画には複数のスロットが画定される。複数のスロットの各スロットは、内径から外径まで下側水平区画に沿って径方向に延在する。各スロットは、内径に内側スロット半径を有し、内側スロット半径は、外径の外側スロット半径よりも短く、内径が細い端部になり、外径が広い端部になる。上側水平区画は、閉じ込めリングの内側上半径と外側半径との間に延在する。垂直区画は、下側水平区画から上側水平区画に一体に続くように閉じ込めリングの外側半径で下側水平区画と上側水平区画との間に配置される。
【0008】
1つの実施形態では、各スロットの内側スロット半径と外側スロット半径との差がスロットテーパを画定し、それによって各スロットは、外径から内径に向かって先細りになる。スロットテーパに影響を及ぼす内側スロット半径と外側スロット半径は、スロットの対応する内径および外径で摩耗率の逆数になるようにサイズ決定される。
【0009】
1つの実施形態では、内側上半径は、閉じ込めリングの内側下半径よりも大きい。
【0010】
1つの実施形態では、内側上半径に近い上側水平延長部の上面に段部が画定される。段部は、上面から閉じ込めリングの内側上半径に向かって下向きに延在する。
【0011】
1つの実施形態では、スロットの内径は、内側下半径によって画定された内側リングの直径よりも大きく、スロットの外径は、閉じ込めリングの外側半径によって画定された外側リングの直径よりも小さい。
【0012】
1つの実施形態では、上側水平区画の上面は、複数の孔を有する。複数の孔の各孔は、閉じ込めリングをプラズマ処理チャンバの上側電極に固定するファスナ手段の一部を受け入れるように構成される。
【0013】
1つの実施形態では、下側水平区画の延長区画は、プラズマ処理チャンバの下側電極の上面に画定された高周波ガスケット上に載るように構成される。
【0014】
1つの実施形態では、下側水平区画、上側水平区画および垂直区画は、プラズマ処理チャンバで発生したプラズマを閉じ込めるように構成されたC型構造を画定する。
【0015】
1つの実施形態では、内側スロット半径と外側スロット半径との比率は、約1:1.1~約1:1.5である。
【0016】
1つの実施形態では、プラズマをプラズマ処理チャンバ内に閉じ込める装置を開示する。プラズマ処理チャンバは、基板を支持するための下側電極と、下側電極よりも上に配置された上側電極とを含む。本装置は、閉じ込めリングを備えている。閉じ込めリングは、下側水平区画、上側水平区画および垂直区画を有する。下側水平区画は、閉じ込めリングの内側下半径と外側半径との間に延在する。下側水平区画は、内側下半径で垂直下向きに延在する延長区画を有する。下側水平区画には複数のスロットが画定される。複数のスロットの各スロットは、下側水平区画に沿って内径から外径まで径方向に延在する。各スロットは、内径に内側スロット半径を有し、内側スロット半径は、外径の外側スロット半径よりも短い。上側水平区画は、閉じ込めリングの内側上半径と外側半径との間に延在する。垂直区画は、下側水平区画から上側水平区画に一体に続くように外側半径で下側水平区画と上側水平区画との間に配置される。下側水平区画の延長区画は、下側電極に画定された接地リングを取り囲むように構成される。
【0017】
1つの実施形態では、閉じ込めリングの下側水平区画、垂直区画および上側水平区画は、プラズマ処理チャンバ内に画定されたプラズマ領域にプラズマを閉じ込めるように構成されるC型構造を画定する。
【0018】
1つの実施形態では、閉じ込めリングの下側水平区画の延長区画は、下側電極に画定された接地リングに隣接して配置された外側リングの上面に配置された高周波ガスケット上に載るように構成される。
【0019】
1つの実施形態では、閉じ込めリングの垂直区画の高さは、プラズマ処理チャンバがプラズマ処理を行っているときにプラズマ処理チャンバの上側電極と下側電極との間に画定された分離距離によって決まる。
【0020】
1つの実施形態では、閉じ込めリングの下側水平区画、垂直区画および上側水平区画は、下側電極と上側電極との間で径方向外向きに広がる閉じ込めチャンバ空間の一部を形成して、閉じ込めリングがプラズマ処理チャンバに設置されたときに拡張したプラズマ処理領域を画定する。
【0021】
1つの実施形態では、延長区画は、閉じ込めリングの下側水平区画、垂直区画および上側水平区画と一体である。延長区画は、下側水平区画の下面の下に垂直方向に延在するように構成される。
【0022】
1つの実施形態では、複数のスロットの各々は、プラズマ処理チャンバが動作しているとき、閉じ込めリングによって形成された閉じ込め空間からガスが出る経路を画定するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による一連の摩耗補償閉じ込めリングを使用している処理チャンバの簡易ブロック図である。
【0024】
【
図2】1つの実施形態による摩耗補償閉じ込めリングの垂直断面図である。
【0025】
【
図3A】1つの実施形態による、本発明の先細りスロットを有する閉じ込めリングの拡大断面図である。
【0026】
【
図3B】1つの実施形態に従って示している、本発明の摩耗補償閉じ込めリングの先細りスロットの摩耗輪郭(すなわち摩耗輪郭の始まりと終わり)の拡大図である。
【0027】
【
図3C】1つの実施形態による、使用寿命の異なる段階での摩耗補償閉じ込めリングの長さに沿った異なる区画での摩耗量のグラフ表示である。
【
図3D】1つの実施形態による、使用寿命の異なる段階での摩耗補償閉じ込めリングの長さに沿った異なる区画での摩耗量のグラフ表示である。
【
図3E】1つの実施形態による、使用寿命の異なる段階での摩耗補償閉じ込めリングの長さに沿った異なる区画での摩耗量のグラフ表示である。
【0028】
【
図4】1つの実施形態による摩耗補償閉じ込めリングの上面斜視図である。
【0029】
【
図5】1つの実施形態による摩耗補償閉じ込めリングの下面斜視図である。
【0030】
【
図6】1つの実施形態による摩耗補償閉じ込めリングの側面図である。
【0031】
【
図7】1つの実施形態による摩耗補償閉じ込めリングの上面図である。
【0032】
【
図8】1つの実施形態による摩耗補償閉じ込めリングの下面図である。
【0033】
【
図9A】1つの実施形態による
図8の摩耗補償閉じ込めリングの下面図の一部の拡大図である。
【0034】
【
図9B】1つの実施形態による摩耗補償閉じ込めリングの先細りスロットの拡大図である。
【0035】
【
図10】1つの実施形態による
図7の摩耗補償閉じ込めリングの2つの先細りスロット機構の間の断面を表す断面7-7の拡大断面図である。
【0036】
【
図11】1つの実施形態による
図7の先細りスロット機構の間の断面を表す断面8-8の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
プラズマ閉じ込めの改善を継続しながら閉じ込めリングの使用寿命を改善するために、プラズマ処理チャンバで使用する閉じ込めリングの特徴を本明細書では様々な実施形態で説明する。いくつかの実施形態では、閉じ込めリングは、閉じ込めリングの下区画に画定されたスロットに対して先細りスロット形状を用いることを含む。先細りスロットにより、細い側に沿ってある程度の空き領域が生じることがある。細い側に沿った空き領域を補うために、スロットの総数を増やしてよい。スロット数を増加する量には、先細りスロットの内径に沿って予想される摩耗量を考慮に入れる。いくつかの実施形態では、スロットは、外径の広い側から内径の細い側まで延在するスロットテーパを有する。外径の広い側は外側のスロット半径が長く、内径の細い側は内側のスロット半径が短い。スロットテーパを画定する内径の内側スロット半径および外径の外側スロット半径は、対応する内径および外径での摩耗率の逆数になるようにサイズ決定される。スロットテーパのサイズを摩耗率の逆数に合わせることにより、閉じ込めリングの使用寿命の改善を実現する。使用寿命が終わると、内径の小さい内側スロット半径は、内径での高い摩耗率を補い、スロットの長さに沿ってまっすぐなスロット輪郭になる。内側スロット半径と外側スロット半径との差により、各スロットがスロットの長さ全体に沿って同時に閉じ込めの限界に達する。内径のスロットを細くすると、プラズマ漏れが起こり得る臨界寸法に達する前に、より多くの摩耗が生じる可能性がある。さらに、先細りのスロット形状により、使用寿命を延ばす(すなわち閉じ込めリングを使用できる処理サイクル数を増やす)ことによって、消耗する閉じ込めリングの交換頻度が減る。
【0038】
図1は、1つの実施形態で、摩耗を補う閉じ込めリングを使用してよい例示的なプラズマ処理チャンバ100の簡易ブロック図を示している。プラズマ処理チャンバ100は、1つの実施形態では、容量結合プラズマ(CCP)処理チャンバ(または以下、単に「プラズマ処理チャンバ」という)であってよく、高周波(RF)電力をプラズマ処理チャンバ100に供給するための下側電極104、および処理ガスを供給してプラズマ処理チャンバ100内にプラズマを発生させるための上側電極102を含む。下側電極104は、対応する整合ネットワーク107を介してRF電源106に接続されていてよく、RF電源106の第1の端部は整合ネットワーク107に接続され、RF電源106の第2の端部は電気的に接地される。RF電源106は、1つ以上のRF発電機(図示せず)を含んでいてよい。
【0039】
1つの実施形態では、下側電極104は、処理用の基板(図示せず)を受け取るためにESCの最上部に画定された基板支持体110を有する静電チャック(ESC)を含む。基板支持体110は、エッジリング112に取り囲まれている。エッジリング112の深さは、基板が基板支持体110の上に受け取られたときにエッジリング112の上面が基板の上面と同一平面にあるような深さである。したがって、エッジリング112は、基板が処理のために受け取られたときに、プラズマの処理領域を基板のエッジから、エッジリング112の外側エッジを覆うように画定されている拡張処理領域(プラズマ領域108と表示)まで拡張するように構成される。エッジリング112の外側エッジに隣接して外側閉じ込めリング114が配置される。外側閉じ込めリング114は、拡張されたプラズマ処理領域108を、エッジリング112の外側エッジを超えてさらに拡張するために使用されてよい。1つの実施形態では、エッジリング112の第1(内側)の部分がESCの上に配置され、第2(中央)の部分が高周波(RF)導電部材120の上に配置され、第3(外側)の部分が下側電極104に画定された石英部材122の上に配置される。RF電源106は、整合ネットワーク107を介してESCの下部に接続され、RF電力を処理チャンバ100に供給する。接地リング118は、外側閉じ込めリング114の外側エッジの一部の下に配置され、下側電極104を取り囲むように構成される。外側リング124は、下側電極104の接地リング118の一部を取り囲むように配置される。RFガスケット116は、外側リング124の上面に配置される。外側リング124は、石英部材、またはプラズマ処理チャンバ100で使用するのに適しているその他の任意の絶縁材料で作製されてよい。
【0040】
1つの実施形態では、上側電極102は、1つ以上の処理ガス源(図示せず)に接続している1つ以上の入口(図示せず)、および下側電極104に対面している上側電極102の下面に分布している複数の出口を有するシャワーヘッドであってよい。複数の出口は、1つ以上の処理ガス源から、上側電極102と下側電極104との間に画定されたプラズマ処理領域(または単に「プラズマ領域」という)108へ処理ガスを供給するように構成される。上側電極102は、複数の電極で構成されてよい。
図1は、1つのこのような実施形態を示し、上側電極102は、中央に配置された内側電極102aと、内側電極102aに隣接して配置され内側電極を取り囲んでいる外側電極102bとを含む。上側電極102は、この実施形態では、電気的に接地されて、プラズマ処理チャンバ100に供給されるRF電力に接地への戻り経路となる。上側電極102は、外側電極102bの外側エッジに隣接して画定されたシャワーヘッド延長部102cを有する。シャワーヘッド延長部102cは、上側電極102を閉じ込めリング構造140に結合するために使用される複数のファスナ手段102dを有する。
【0041】
閉じ込めリング構造(または以下、単に「閉じ込めリング」という)140は、上側電極102と下側電極104との間に配置される。閉じ込めリング140は、チャンバで発生したプラズマを十分に閉じ込める閉じ込めチャンバ空間を画定する。閉じ込めチャンバ空間は、プラズマ領域108を画定する。閉じ込めリング140は、C型構造で、C型の開口部が、処理チャンバ100の上側電極102と下側電極104との間に画定されたプラズマ領域108の内側に対面している。閉じ込めリング140は、プラズマ処理チャンバ100の拡張プラズマ領域108内にプラズマを閉じ込めるために使用される。閉じ込めリング140は、上部でシャワーヘッド102のシャワーヘッド延長部102cに結合され、下部で下側電極104の外側リング124に結合されるように構成される。外側リング124の上面に設けられたRFガスケット116は、上側電極102と下側電極104との間を結合するように構成される。閉じ込めリング140は、上側電極102の一部であり、上側電極102が下げられると、閉じ込めリング140の下部延長部は、外側リング上に載り、RFガスケット116は、上側電極と下側電極との間の結合が気密になるようにする。1つの実施形態では、閉じ込めリング140は、閉じ込めリング140の下部延長部と下側電極104の外側閉じ込めリング114との間に間隙が存在するように配置される。
【0042】
図2は、1つの実施形態で、プラズマ処理チャンバで使用される摩耗補償閉じ込めリング(「閉じ込めリング」ともいう)140の拡大断面図を示している。記載したように、閉じ込めリング140は、C型構造であり、上側水平区画141、垂直区画142、下側水平区画143および延長区画144を有する。上側水平区画141は、閉じ込めリングの内側上半径「r1」と外側半径「r3」との間に延在する。閉じ込めリング140は、上側水平区画の上面および延長区画144の下面から高さ「D1」だけ延在する。上側水平区画141は、高さ「D2」(すなわち上側水平区画141の上面から下面までの距離)にわたって延在する。上側水平区画141は、上面に画定された複数のファスナ孔(または単に「孔」という)146を有し、ファスナ孔146は、円形の向きで均一に分布し、上側電極102のシャワーヘッド延長部102cに配置された対応するファスナ手段102dと同列になるように画定される。
【0043】
1つの実施形態では、ファスナ孔146は、上側水平区画141の上面から深さ「D4」にわたって延在する。1つの実施形態では、約0.03ミルx45度の面取りがファスナ孔146の角に追加される。この実施形態では、面取りは、上面から約0.03ミルの深さで、ねじ山(図示せず)の短径よりも半径が約0.03ミル大きい。面取りの深さおよび半径の寸法を定義する際の用語「約」の使用は、±15%のばらつきを含み得ることに注意されたい。1つの実施形態では、短径は、処理チャンバ100に実装されたねじ山の規格に基づいている。段部147が、内側上半径r1に近接する上側水平区画141の上面に画定され、閉じ込めリング140の内側上半径r1に向かって下方および外側に延在する。1つの実施形態では、段部147は、上側水平区画141の上面から高さD3にわたって延在する。外側電極102bの下面の一部は、閉じ込めリング140の上側水平区画141に画定された段部147と嵌合する相補型延長部103を含む。段部147および相補型延長部103は、閉じ込めリング140を上側電極102に確実に嵌合させるために設けられるとしてよい。
【0044】
垂直区画142は、閉じ込めリング140の外側半径r3で画定され、下側水平区画143から上側水平区画141まで一体に続くように構成される。垂直区画142は、プラズマ処理チャンバ100に画定されたプラズマ領域108を覆うように画定された高さ「D5」まで延在する。したがって、垂直区画142の高さD5は、上側電極102の下面と下側電極104の上面との間の分離距離に等しくなるように画定される。
【0045】
下側水平区画143は、閉じ込めリング140の内側下半径「r2」と外側半径r3との間に延在する。1つの実施形態では、閉じ込めリング140の内側下半径r2は、閉じ込めリング140の内側上半径r1より小さい。1つの実施形態では、延長区画144を除く下側水平区画143は、深さ「D7」(すなわち延長区画144を除く下側水平区画143の上面と下面との間の距離)にわたって延在する。1つの実施形態では、閉じ込めリング140は、上側水平区画141の上面から延長区画144を除く下側水平区画143の下面までの高さ「D6」にわたって延在する。下側水平区画143は、内側下半径r2で画定された延長区画144を有する。延長区画144は、下側水平区画143の内側下半径r2から垂直に下に延在し、下側水平区画143と一体に続いている。延長区画144は、下側水平区画143の下面から高さ「D8」にわたって延在し、下側電極104に画定された外側リング124の上面に画定されたRFガスケット116上に載るように構成される。下側電極104の外側リング124は、少なくともESC、基板支持体110、エッジリング112、外側閉じ込めリング114、接地リング118、RF伝導部材120、および石英部材122を含む下側電極104の領域を取り囲むように構成される。上側電極102が下げられると、RFガスケット116は、下側電極104と上側電極102との間に緊密な結合を実現する。
【0046】
1つの実施形態では、上側水平区画141の上面から延長区画144の下面までの閉じ込めリング140の高さ「D1」は、約1.5インチ~約2.75インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、高さD1は約2.4インチである。別の例示的な実施形態では、高さD1は約2.4インチである。1つの実施形態では、上側水平区画141の高さ「D2」は、約250ミル(1000分の1インチ)~約400ミルになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、高さD2は約310ミルである。1つの実施形態では、段部147の高さ「D3」は、約150ミル~約180ミルになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、高さD3は約165ミルである。1つの実施形態では、ファスナ孔146は、約200ミル~約300ミルの深さ「D4」まで延在する。1つの例示的な実施形態では、高さD4は約200ミルである。1つの実施形態では、垂直区画142の高さ「D5」は、約0.75インチ~約2.35インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、高さD5は約1.6インチである。別の例示的な実施形態では、高さD5は約1.6インチである。1つの実施形態では、上側水平区画141の上面から延長区画144を除く下側水平区画143の下面までの閉じ込めリング140の高さ「D6」は、約1.25インチ~約2.5インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、高さD6は、約2.2インチになるように画定される。1つの実施形態では、延長区画144を除く下側水平区画143の深さ「D7」は、約300ミル~約600ミルになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、高さD7は、約490ミルになるように画定される。1つの実施形態では、延長区画144の高さ「D8」は、約100ミル~約400ミルになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、高さD8は、約200ミルになるように画定される。本明細書に記載している閉じ込めリング140の様々な構成要素の高さおよび深さの寸法を画定する際の用語「約」の使用は、関連する値の±15%のばらつきを含み得ることに注意されたい。
【0047】
当然ながら、閉じ込めリング140の様々な構成要素に与えられる寸法は、単なる例として挙げるものであり、限定的または網羅的と見なされるべきではない。寸法のばらつきは、プラズマ処理チャンバ100の内部寸法、実施されているプロセスの種類、プラズマを発生させるために使用されている処理ガスの種類、生成され除去する必要のある副生成物および中性ガス種の種類などに基づいて想定することができる。1つの実施形態では、閉じ込めリングは、シリコン製である。他の実施形態では、閉じ込めリングは、ポリシリコン、または炭化ケイ素、または炭化ホウ素、またはセラミック、またはアルミニウム、またはプラズマ領域108の処理条件に耐え得る他の任意の材料で作製されてよい。
【0048】
1つの実施形態では、内側の角および外側の角など、閉じ込めリング140の様々な角は、丸みがあるように構成される。1つの実施形態では、様々な角は、閉じ込めリング構造140の完全性を維持するため、かつプラズマによって生成した副生成物に含まれる粒子状物質の堆積を防止するために丸みがある。さらに、角は、欠けるのを防止するために丸みがあるとしてよい。
図2は、1つの実施形態で、閉じ込めリング140で想定できる様々な丸みの角を示している。丸みのある角は、曲率半径によって画定される。1つの実施形態では、それぞれの丸みのある角は、曲率半径が異なる。代替の実施形態では、丸みのある角はすべて曲率半径が同じであってよい。さらに別の実施形態では、丸みのある角のいくつかは曲率半径が同じであってよく、それ以外の角は曲率半径が異なっていてよい。様々な角に対して画定される曲率半径は、それぞれの角がプラズマに曝露される可能性のあるレベルに基づいていてよく、場合によっては、プラズマ処理チャンバ100を取り囲んでいる表面の形状に基づいていてよい。
【0049】
図2は、1つの実施形態で、閉じ込めリング140の様々な角の曲率半径の例示的な寸法を示している。この実施形態では、段部147の上外側の角の曲率半径CR1は、約10ミル~約40ミルであってよい。1つの例示的な実施形態では、曲率半径CR1は約25ミルである。段部147の内側角の曲率半径CR2は、約5ミル~約40ミルになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、曲率半径CR2は、約25ミルになるように画定される。上側水平区画141の上面の上部内側角の曲率半径CR3は、約10ミル~約40ミルであってよい。1つの例示的な実施形態では、曲率半径CR3は、約25ミルである。上側水平区画141の上部外側角の曲率半径CR4は、約10ミル~約40ミルである。1つの例示的な実施形態では、曲率半径CR4は約25ミルである。下側水平区画143の下部外側角の曲率半径CR5は、約10ミル~約40ミルである。1つの例示的な実施形態では、曲率半径CR5は約25ミルである。
【0050】
下側水平区画143の上部内側角の曲率半径CR6は、約50ミル~約250ミルになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、曲率半径CR6は約150ミルである。上側水平区画141の下面に沿った内側角CR6’の寸法は、曲率半径CR6とほぼ同じになるように画定されてよい。下側水平区画143と延長区画144との間の内側下角の曲率半径CR7は、約10ミル~約40ミルになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、曲率半径CR7は約25ミルである。延長区画144の下部外側角の曲率半径CR8は、約10ミル~約40ミルになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、曲率半径CR8は約25ミルである。下側水平区画143の上部外側角の曲率半径CR9は、約10ミル~約125ミルになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、曲率半径CR9は約25ミルになるように画定される。上側水平区画141の下部外側角の曲率半径CR10は、約10ミル~約40ミルになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、曲率半径CR10は約30ミルである。本明細書に記載している閉じ込めリング140の様々な角の曲率半径の寸法を画定する際の用語「約」の使用は、関連する値の±15%のばらつきを含み得ることに注意されたい。
【0051】
当然ながら、閉じ込めリング140の様々な曲率半径に関する前述の寸法は、例として挙げるものであり、限定的または網羅的と見なされるべきではない。閉じ込めリング140の形状、閉じ込めリング140を取り囲んでいるプラズマ処理チャンバ100の他の構成要素の形状、様々な角がプラズマに曝露されるレベル、そして副生成物が閉じ込めリング140の様々な角に対して有する作用の量に応じて、他の曲率半径の寸法も検討できる。1つの実施形態では、上側水平区画141の上面に画定されたファスナ孔146の幅は、約35ミル~約60ミルになるように画定されてよい。1つの実施形態では、ファスナ孔は、ねじ山の短径を収容するために約30ミルx45’の上部外径を有していてよい。
【0052】
下側水平区画143は、複数のスロット145を有し、各スロット145は、内径「ID1」と外径「OD1」との間に径方向に延在する。下側水平区画143に画定されたスロット145の内径ID1は、閉じ込めリング140の(内側下半径r2で画定された)内側リングの直径IRD1よりも長い。下側水平区画143に画定されたスロット145の外径OD1は、スロット145の内径ID1よりも長いが、閉じ込めリング140の外側リングの直径「ORD1」よりも短い。スロット145は、下側水平区画143の幅「l1」(すなわちl1=ORD1-IRD1)よりも短い長さ「l2」(すなわちl2=OD1-ID1)にわたって画定される。さらに、各々のスロット145は、スロットテーパを含めるように先細りスロットの形状を使用して画定される。スロットテーパは、スロット145の内径ID1で細い内側スロット半径「ISR」を画定し、スロット145の外径OD1で広い外側スロット半径「OSR」を画定することによって形成される。1つの実施形態では、内径ID1で細い内側スロット半径ISRを補償するために、副生成物および中性ガス種を除去するのに十分なスロット面積ができるようにスロット145の長さl2を長くする。
【0053】
外側スロット半径OSRおよび内側スロット半径ISRを変化させることにより、各スロットは、内径ID1(145a)で細くなり、外径OD1(145b)で広くなる。各スロット145の内側スロット半径ISRおよび外側スロット半径OSRは、スロット145の対応する内径および外径(ID1、OD1)での摩耗率の逆数になるようにサイズ決定される。さらに、内側スロット半径ISRおよび外側スロット半径OSRのサイズは、プラズマ領域108から副生成物および中性ガス種を除去できるように決定される。このように半径を変化させることにより、スロット145の外径OD1でのスロット摩耗輪郭とほぼ同時に内径ID1でのスロットの摩耗輪郭が臨界寸法の限界に達することが可能になり、それによって閉じ込めリング140の使用寿命が延びる。
【0054】
図3Aは、閉じ込めリング140の一部の拡大図であり、1つの実施形態による本発明のスロット145の先細りスロットの輪郭を示している。
図3に示したスロット145は、縮尺通りではなく、プラズマ処理チャンバ100での閉じ込めリングの使用寿命の初めに(すなわち閉じ込めリングがプラズマ処理に曝露される前に)内側スロット半径ISRが外側スロット半径OSRよりもどれだけ短いかを示すために誇張されている。したがって、複数のスロット145の各々は、外径OD1(145b)で外側スロット半径OSRが長く、内径ID1(145a)で内側スロット半径ISRが短いことによって画定されるスロットテーパを有する。外側スロット半径OSRおよび内側スロット半径ISRを変化させることにより、各スロット145は、内径ID1(145a)で細くなり、外径OD1(145b)で広くなる。各スロットの内側スロット半径ISRおよび外側スロット半径OSRは、下側水平区画143に画定されたスロット145の対応する内径および外径(ID1、OD1)での摩耗率の逆数になるようにサイズ決定される。さらに、内側スロット半径ISRおよび外側スロット半径OSRのサイズは、プラズマをプラズマ領域108に閉じ込めながら副生成物および中性ガス種がプラズマ領域108から確実に逃げられるように決定される。スロット半径が変化することにより、内径ID1でのスロットの摩耗が、外径OD1でのスロットの摩耗とほぼ同時に臨界寸法に達することが可能になり、それによって、閉じ込めリング140の使用寿命が改善される。
【0055】
図3Bは、1つの実施形態での本発明の先細りスロット145の摩耗輪郭を示している。閉じ込めリング140に画定された先細りスロット145の最初のスロット輪郭は、黒線で示され、先細りスロット145が臨界寸法の限界に達する前に摩耗する可能性のある摩耗輪郭は、赤線で示されている。内径ID1の細いスロット輪郭は、外径OD1の広い方のスロット輪郭よりも余分な摩耗面積を提供し、閉じ込めリング140の摩耗輪郭が臨界寸法の限界に達して閉じ込めリング140を交換しなければならなくなる前に、閉じ込めリング140がプラズマ処理チャンバ内で追加の処理動作を受けられるようにする。
【0056】
閉じ込めリング140の使用寿命が延びることは、外径OD1(145b)よりも内径ID1(145a)に追加の摩耗面積ができるということに起因し得る。内径ID1での摩耗が外径OD1よりも多いため、先細りスロット輪郭を設けることで、細い端部がプラズマ閉じ込め不良の臨界寸法の限界に達する前に、閉じ込めリングがより多くの処理動作を受けることができ、細い端部で追加の摩耗面積を利用できる。さらに、スロットの広い方の端部では摩耗が少ないため、外径は、細い端部よりもゆっくりと臨界寸法の限界に達し、それによってスロットの広い端部が臨界寸法の限界に達する前に、細い端部と同じ量の処理動作に耐えることができる。
【0057】
外径OD1の広い方のスロット寸法と内径ID1の細いスロット寸法とで画定されるスロットテーパは、摩耗率の逆数になるようにサイズ決定される。スロットテーパを摩耗率に応じてサイズ決定することにより、内径ID1での高い摩耗率は、外径OD1での低い摩耗率によって補償され、それによって使用寿命が終わる頃にはほぼまっすぐなスロット輪郭になる。スロットの長さ全体に沿ったスロット幅は、ほぼ同時に閉じ込め限界(すなわち臨界寸法)に達する。先細りの形状により、外径の面積をより効果的に利用できる。内径でスロットの寸法の縮小による下側水平区画の空き領域を補償するために、追加のスロットを画定してよい。追加スロットの数は、各スロットが臨界寸法に達するために細い端部および広い端部で必要とされる摩耗スペースの量を計算に入れて決定されてよい。先細りスロットの形状により、閉じ込め不良の限界に達する前にスロットが耐え得る摩耗量が増し、その結果、使用寿命が長くなり、消耗品のコストが改善される。
【0058】
図3C~
図3Eは、1つの実施形態で、閉じ込めリング140の使用寿命の様々な段階で、本発明の先細りスロット145の様々な部分で摩耗輪郭が変化する範囲のグラフ表示を示している。グラフは、曝露時間とスロット幅との関係を図示したものである。1つの実施形態では、閉じ込めリングの使用寿命の始め(すなわち閉じ込めリングがプラズマに曝露されていない時点)の摩耗に対する開始スロット幅は、線305で描かれている。閉じ込めリング140は先細りスロットの形状になっているため、線305は、スロット145の開始スロット幅、およびスロット145の長さに沿った対応する部分の最初のスロット幅の線305に対する位置を表している。先細りスロットの様々な部分に対する臨界寸法の限界(すなわち摩耗の限界に達する最後のスロット幅)は、線306で表されている。線306は、プラズマ閉じ込め不良段階に達する前のスロット145の様々な部分でのスロットの摩耗に対する臨界寸法の限界を表している。
【0059】
図3Cは、例えば閉じ込めリング140が新たに設置され、処理サイクルが実施されていないとき(すなわち曝露時間がt0)のいくつかの実施形態による閉じ込めリング140の使用寿命の開始段階を示している。グラフは、異なる色の点で表したスロットの様々な区画を示し、異なる色の点は、スロット145の外径OD1区画を表す青色の点、スロット145の中央区画を表す緑色の点、およびスロット145の内径ID1区画を表す赤色の点を含む。使用寿命の開始時、スロット145の各区画の点は、線305に対してそれぞれの開始スロット幅にあるように示され、赤色の点は線305に近接する内径ID1に対応し、青い点は線305に対する距離に示された外径OD1に対応し、緑色の点は赤色の点と青色の点との間に示された中央区画に対応する。理解できるとおり、内径ID1でのスロット摩耗の面積の量は、外径OD1でのスロット摩耗に利用可能な面積の量よりも多い。
【0060】
内側スロット半径が短いことにより内径ID1で利用可能となる余分な面積は、内径ID1でのスロット摩耗が臨界寸法の限界に達する前に内径ID1でより多くのスロット摩耗を発生させる。同じように、外側スロット半径が長いことにより外径OD1で利用可能となる面積が小さいことで、外径でのスロット摩耗が臨界寸法の限界に達する前に外径OD1でのスロット摩耗が少なくなる。これは
図3Cに示されており、内径ID1の区画の赤色の点は線305に近接して位置するように示され、外径OD1の区画の青色の点は線305からいくらかの距離に位置することが示され、線305からの距離は、スロットテーパを表している外側スロット半径と内側スロット半径との差に相当し、中央区画の緑色の点は、赤色の点と青色の点との間に位置するように示されている。さらに、
図3Cは、閉じ込めリングの異なる区画に関して投影されたスロット摩耗の例示的な勾配を示しており、赤色の線の勾配は内径ID1のスロット摩耗に対応し、青色の線の勾配は外径OD1のスロット摩耗に対応し、緑色の線の勾配はスロット145の中央区画のスロット摩耗に対応する。勾配は、スロット145の様々な部分が多数の処理サイクルに曝露されたときにスロット145の様々な部分が摩耗する速度を示すために提供される。
【0061】
図3Dは、いくつかの実施形態によるプラズマ処理チャンバ内で処理サイクルが「m」回完了した後の各スロット145のスロット摩耗の摩耗輪郭のグラフ表示を示し、mは整数である。様々な部分からの点は、
図3Cに示した最初のスロット幅から
図3Dに示した対応する位置までスロット摩耗のそれぞれの勾配に沿って移動したことが示されている。内径ID1のスロット摩耗は、赤色の線の勾配で示したように傾斜が急であることが示され、内径ID1でのスロットの摩耗が大きいことを示唆している。同じように、外径OD1でのスロット摩耗は、青色の線の勾配で示したように傾斜が緩やかであることが示され、外径OD1でのスロット摩耗が少ないことを示唆しており、中央区画でのスロット摩耗は、緑色の線の勾配と赤色の線の勾配との間にある傾斜であることが示されている。勾配の傾斜は、スロットが処理サイクルに曝露される回数が多くなるほどスロット145のスロット摩耗が着実に増大することを示唆していることが示されている。
【0062】
図3Eは、いくつかの実装形態による「n」回の処理サイクル後の各スロット145でのスロット摩耗の摩耗輪郭のグラフ表示を示しており、nはmより大きい整数である。グラフは、緑色および青色の点で表示されたスロット145の部分とほぼ同時に、臨界寸法の限界を表している線306に接近する赤色の点で表示した内径ID1でのスロット摩耗を示している。したがって、線306は、閉じ込めリング140の使用寿命の終わり、すなわち、プラズマ閉じ込め不良の事象が発生する可能性が高く、閉じ込めリングを交換すべき段階を表しているとしてよい。
図3C~
図3Eからわかるように、スロット145の長さに沿った様々な部分での摩耗は、スロット145の細い端部の摩耗面積が大きくなり、広い方の端部の摩耗面積が小さくなるのとほぼ同時に臨界寸法の限界に近づく。スロット145が先細りの形状になっているため、外径OD1の周囲のスロット摩耗面積は、効果的に使用され、内径ID1に設けられた余分な面積により、閉じ込めリング140を交換しなければならなくなる前に、閉じ込めリングはより多くの摩耗に耐えることができる。このように、先細りスロットの形状は、閉じ込めリングを交換しなければならなくなる前により多くの処理サイクルを受けられるようにすることによって、閉じ込めリングの使用寿命を延ばすものである。
【0063】
図4は、プラズマをプラズマ領域108に閉じ込めるためにプラズマ処理チャンバ100内で使用する閉じ込めリング140の上面斜視図を示している。閉じ込めリング140は、基板支持体110、エッジリング112および外側閉じ込めリング114の上に広がるプラズマ領域108にプラズマを閉じ込めるためにプラズマ領域108の周に沿って配置されるように構成されたC型構造である。閉じ込めリング140は、交換可能な消耗部品である。閉じ込めリングの上面は、円形の向きに均一に配置された複数のファスナ孔146を有し、ファスナ孔146は、上側電極102のシャワーヘッド延長部102cに画定されたファスナ手段102dと同列になってファスナ手段を受け入れるように構成される。
【0064】
図5は、プラズマをプラズマ領域108に閉じ込めるためにプラズマ処理チャンバ100で使用する閉じ込めリング140の下面斜視図を示している。この下面図は、下側水平区画143に沿って画定された先細りの輪郭を有する複数のスロット145を示している。下側水平区画143にあるスロット145の数およびサイズは、プラズマ領域108から副生成物および中性ガス種を最適な形で除去できるように決定される。
【0065】
図6は、閉じ込めリング140の側面図を示している。この側面図は、上側水平区画141と下側水平区画143との間に広がる垂直区画142を示している。また、この側面図は、閉じ込めリング140の内側下半径r2から垂直下向きに広がる延長区画144も示している。
【0066】
図7は、プラズマ処理チャンバ内で使用する閉じ込めリング140の上面図を示している。閉じ込めリング140は、上側電極102と下側電極104との間に配置され、C型構造をしている。C型構造は、プラズマをプラズマ領域108に閉じ込め、プラズマ領域は、基板支持体110、エッジリング112、および外側閉じ込めリング114の上の領域を覆うように広がっている。上側水平区画141の上面に画定された複数のファスナ孔146は、上側電極102のシャワーヘッド延長部102cの下側表面に画定されたファスナ手段102dを受け入れるように構成される。
【0067】
図8は、プラズマ処理チャンバ100で使用する閉じ込めリング140の下面図であり、閉じ込めリング140の下面の詳細を示している。閉じ込めリング140の下面は、下側水平区画143に沿って分布する先細り形状の複数のスロットを有する。スロットは、閉じ込めリング140の下側水平区画143の上面と下面との間に延在し、処理領域108の閉じ込め空間から副生成物および中性ガス種を除去するための経路となる。スロット145は、内径ID1と外径OD1との間に径方向に延在する。下側水平区画143の幅は「l1」で、各スロット145の長さ「l2」は、下側水平区画143の幅l1よりも短く、下側水平区画143の幅l1は、閉じ込めリング140内側下半径r2(すなわち内側リングの直径IRD1を画定するのに用いられる)と外側半径r3(すなわち外側リングの直径ORD1を画定するのに用いられる)との間に広がる。さらに、下側水平区画143に画定されたスロット145の内径ID1は、閉じ込めリング140の内側リングの直径IRD1よりも大きい。下側水平区画143のスロット145の外径OD1は、スロット145の内径ID1および閉じ込めリング140の内側リングの直径IRD1よりも大きいが、閉じ込めリング140外側リングの直径ORD1よりも小さい。下側水平区画143の幅l1は、上側水平区画141の幅よりも大きく、上側水平区画141の幅は、閉じ込めリング140の内側上半径r1と外側半径r3との間に広がる。
【0068】
1つの実施形態では、下側水平区画143の幅l1は、約2.25インチ~約4.75インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、下側水平区画143の幅l1は、約2.81インチである。1つの実施形態では、スロット145の径方向長さl2は、約1.85インチ~約4.35インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、スロット145の径方向長さl2は、約2.2インチになるように画定される。1つの実施形態では、閉じ込めリング140の上側水平区画141の内側上半径r1は、約8.25インチ~約9.0インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、閉じ込めリング140の上側水平区画141の内側上半径r1は、約8.4インチになるように画定される。1つの実施形態では、閉じ込めリング140の内側下半径r2は、約7.25インチ~約8.5インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、閉じ込めリング140の下側水平区画143の内側下半径r2は、約7.44インチになるように画定される。1つの実施形態では、閉じ込めリング140内側リングの直径IRD1(すなわち2x内側下半径r2)は、約14.5インチ~約17.0インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、内側リングの直径IRD1は、約14.9インチになるように画定される。1つの実施形態では、閉じ込めリング140の外側半径r3は、約8インチ~約12インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、閉じ込めリング140外側半径r3は、約10.25インチになるように画定される。1つの実施形態では、閉じ込めリング140外側リングの直径ORD1(すなわち2x外側半径r3)は、約16.0インチ~約24.0インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、外側リングの直径ORD1は、約20.5インチになるように画定される。
【0069】
1つの実施形態では、スロット145の細い端部の内側スロット半径ISRは、約0.02インチ~約0.06インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、スロット145のISRは、約0.04インチになるように画定される。1つの実施形態では、スロット145の広い方の端部の外側スロット半径OSRは、約0.03インチ~約0.09インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、スロット145の広い方の端部のOSRは、約0.046インチになるように画定される。いくつかの実施形態では、OSRは、ISRよりも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%大きくてよい。いくつかの実施形態では、OSRは、ISRよりも約20%大きい。1つの実施形態では、閉じ込めリング140の下側水平区画143に画定されたスロット145の内径ID1は、約15インチ~約16.75インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、内径ID1は、約15.4インチである。1つの実施形態では、閉じ込めリング140の下側水平区画143に画定されたスロット145の外径OD1は、約18.6インチ~約23.6インチになるように画定される。1つの例示的な実施形態では、外径OD1は、約20.0インチである。別の例示的な実施形態では、外径OD1は、約19.95インチである。当然ながら、閉じ込めリング140の様々な構成要素に関する前述の寸法は、一例として挙げたものであり、プラズマ処理チャンバの形状、チャンバで実施されるプラズマ処理、上側電極と下側電極との間の分離距離などに応じて変化してよい。さらに、本明細書に記載した閉じ込めリングの異なる区画の様々な直径および半径を定義する際の「約」という用語の使用は、関連する値の±15%のばらつきを含み得ることに注意されたい。
【0070】
図9Aは、本発明の先細り形状が画定された複数のスロット145を有する閉じ込めリング140の下側水平区画143の下面の一部の拡大図を示している。各スロット145の先細りの輪郭は、内径ID1 145aの細い方の内側スロット半径ISRおよび外径OD1 145bの広い方の外側スロット半径OSRを有する。1つの実施形態では、スロット145の内側スロット半径ISRと外側スロット半径OSRとの比率は、約1:1.1~約1:1.5になるように規定される。1つの実施形態では、隣接する任意の対のスロット145の間を隔てている角度は、約360°/270°~約360°/285°になるように規定される。1つの例示的な実施形態では隣接する任意の対のスロット145の間を隔てている角度は、約360°/279°になるように規定される。
【0071】
図9Bは、本発明の先細りの輪郭を有するスロット145の拡大図を示している。スロット145の両端は、丸みのある輪郭を有する。スロット145の丸みのある輪郭の端部は、スロット145の内径ID1 145aに細い方の内側スロット半径ISRを示し、外径OD1 145bに広い方の外側スロット半径OSRを示している。内側スロット半径ISRと外側スロット半径OSRとの差は、各スロット145のスロットテーパを画定する。スロットテーパは、閉じ込めリング140の下側水平区画143の内径および外径(ID1、OD1)での摩耗率の逆数として規定される。
図9Bに示した1つの例示的な実施形態では、内側スロット半径ISRと外側スロット半径OSRとの比率は、約1:1.2となるように示されている。
図9Bに提示した比率は、単なる1つの例であり、これ以外の比率も検討できる。
【0072】
図10は、
図9Aに示した閉じ込めリング140の断面7-7の断面図を示している。閉じ込めリング140の断面7-7の断面図は、2つの先細りスロット145の間にある閉じ込めリング140の断面の図である。閉じ込めリング140の断面7-7の断面図は、上側水平区画141、垂直区画142、下側水平区画143、および内側下半径に下側水平区画143から垂直下向きに画定された延長区画144を示している。上側水平区画141の内径は、外側電極102bの相補型延長部103を受け入れるように構成された段部147を有する。延長区画144は、下側水平区画143の内側下半径から垂直下向きに延在するように示されている。上側水平区画141の上面にはファスナ孔146が画定されている。
【0073】
図11は、
図9Aに示した閉じ込めリング140の断面8-8の断面図を示している。閉じ込めリング140の断面8-8の断面図は、スロット145が画定されている閉じ込めリング140の断面の図である。上側水平区画141の上面にあるファスナ孔146は、シャワーヘッド延長部120c(図示せず)に含まれているファスナ手段を受け入れるように画定される。下側水平区画143は、外径OD1 145bから内径ID1 145aまで先細り状に下がる先細りの輪郭を有するスロット145を示している。先細りスロット145は、外径OD1(145b)で画定された外側スロット半径OSRと内径ID1(145a)の内側スロット半径ISRとで画定される。
【0074】
閉じ込めリング140の下側水平区画にスロットを画定するために先細りスロット形状を用いるという本明細書で考察した様々な実施形態では、プラズマをプラズマ領域108内に効率的に閉じ込めることを維持しながら閉じ込めリング140の使用寿命を改善することが示されている。したがって、消耗する閉じ込めリングにかかるコストは、プラズマ処理チャンバで閉じ込めリングを使用できる処理サイクル数が増すにつれて低下する。先細りスロット形状により、外径での面積をより効果的に使用することが可能になる。これにより、長さ全体に沿ったスロット幅が、多かれ少なかれ、寿命の終わりに臨界閉じ込め寸法に達する。先細りスロットは、閉じ込め不良の限界に達する前にスロットが耐え得る摩耗の量を拡大し、その結果、寿命が長くなり、消耗品のコストが改善される。本開示は以下の適用例を含む。
[適用例1]
閉じ込めリングであって、
前記閉じ込めリングの内側下半径と外側半径との間に延在する下側水平区画であって、前記下側水平区画は、前記内側下半径で垂直下向きに延在する延長区画を含み、前記下側水平区画はさらに、複数のスロットを有し、各スロットは、内径から外径まで前記下側水平区画に沿って径方向に延在し、前記内径での各スロットの内側スロット半径は、前記外径での各スロットの外側スロット半径よりも短い、下側水平区画と、
前記閉じ込めリングの内側上半径と前記外側半径との間に延在する上側水平区画と、
前記閉じ込めリングの前記外側半径で前記下側水平区画から前記上側水平区画に一体に続く垂直区画と
を有する、閉じ込めリング。
[適用例2]
適用例1に記載の閉じ込めリングであって、各スロットの前記内側スロット半径と前記外側スロット半径との差がスロットテーパを画定し、それによって各スロットは、前記外径から前記内径に向かって先細りになり、前記スロットテーパに影響を及ぼす前記内側スロット半径と前記外側スロット半径は、前記スロットの対応する内径および外径で摩耗率の逆数になるようにサイズ決定される、閉じ込めリング。
[適用例3]
適用例1に記載の閉じ込めリングであって、前記内側上半径は、前記内側下半径よりも大きい、閉じ込めリング。
[適用例4]
適用例1に記載の閉じ込めリングであって、前記内側上半径に近い前記上側水平延長部の上面に段部が画定され、前記段部は、前記上面から下向きにまた前記閉じ込めリングの前記内側上半径に向かって延在する、閉じ込めリング。
[適用例5]
適用例1に記載の閉じ込めリングであって、前記内径は、前記内側下半径によって画定された内側リングの直径よりも大きく、前記外径は、前記閉じ込めリングの前記外側半径によって画定された外側リングの直径よりも小さい、閉じ込めリング。
[適用例6]
適用例1に記載の閉じ込めリングであって、各スロットの長さは、約1.85インチ(約4.70cm)~約4.35インチ(約11.05cm)になるように画定される、閉じ込めリング。
[適用例7]
適用例1に記載の閉じ込めリングであって、前記上側水平区画の上面は、複数の孔を有し、前記複数の孔の各孔は、前記閉じ込めリングをプラズマ処理チャンバの上側電極に固定するファスナ手段の一部を受け入れるように構成される、閉じ込めリング。
[適用例8]
適用例1に記載の閉じ込めリングであって、前記下側水平区画の前記延長区画は、プラズマ処理チャンバの下側電極の上面に画定された高周波ガスケット上に載るように構成される、閉じ込めリング。
[適用例9]
適用例1に記載の閉じ込めリングであって、前記下側水平区画、前記垂直区画および前記上側水平区画は、プラズマ処理チャンバで発生したプラズマを閉じ込めるように構成されたC型構造を画定する、閉じ込めリング。
[適用例10]
適用例1に記載の閉じ込めリングであって、前記内側スロット半径と前記外側スロット半径との比率は、約1:1.1~約1:1.5である、閉じ込めリング。
[適用例11]
プラズマをプラズマ処理チャンバ内に閉じ込める装置であって、前記プラズマ処理チャンバは、基板を支持するための下側電極および前記下側電極よりも上に配置された上側電極を含み、前記装置は、
閉じ込めリングであって、
前記閉じ込めリングの内側下半径と外側半径との間に延在する下側水平区画であって、前記下側水平区画は、前記内側下半径で垂直下向きに延在する延長区画を含み、前記下側水平区画は、複数のスロットを有し、各スロットは、内径から外径まで前記下側水平区画に沿って径方向に延在し、前記内径での各スロットの内側スロット半径は、前記外径での各スロットの外側スロット半径よりも短い、下側水平区画と、
前記閉じ込めリングの内側上半径と外側半径との間に延在する上側水平区画と、
前記閉じ込めリングの前記外側半径で前記下側水平区画から前記上側水平区画に一体に続く垂直区画と
を有し
前記下側水平区画の前記延長区画は、前記下側電極に画定された接地リングを取り囲むように構成される、
閉じ込めリングを含む、装置。
[適用例12]
適用例11に記載の装置であって、前記閉じ込めリングの前記下側水平区画、前記垂直区画および前記上側水平区画は、前記プラズマ処理チャンバで発生したプラズマを、前記プラズマ処理チャンバの前記上側電極と前記下側電極との間に画定されたプラズマ領域に閉じ込めるためにC型構造を画定する、装置。
[適用例13]
適用例11に記載の装置であって、前記内側上半径は、前記閉じ込めリングの前記内側下半径よりも大きい、装置。
[適用例14]
適用例11に記載の装置であって、前記上側水平区画の前記内側上半径に近い上面に段部が画定され、前記段部は、前記上面から前記閉じ込めリングの前記内側上半径に向かって下向きまた外向きに延在する、装置。
[適用例15]
適用例11に記載の装置であって、前記上側水平区画の上面は、複数の孔を有し、前記複数の孔の各孔は、ファスナ手段の一部を受け入れるように構成され、前記ファスナ手段は、前記閉じ込めリングを前記上側電極の延長部に結合するように構成され、前記上側電極の前記延長部は、電気的に接地される、装置。
[適用例16]
適用例11に記載の装置であって、前記下側水平区画の前記延長区画は、前記下側電極に画定された接地リングに隣接して配置された外側リングの上面に配置された高周波ガスケット上に載るように構成される、装置。
[適用例17]
適用例11に記載の装置であって、前記下側水平区画、前記上側水平区画および前記垂直区画によって画定された前記閉じ込めリングは、シリコン、またはポリシリコン、または炭化ケイ素、または炭化ホウ素、またはセラミック、またはアルミニウムのうちの1つから作製された連続構造である、装置。
[適用例18]
適用例11に記載の装置であって、前記閉じ込めリングの前記垂直区画の高さは、前記プラズマ処理チャンバがプラズマ処理を行っているときに前記プラズマ処理チャンバの前記上側電極と前記下側電極との間に画定された分離距離によって決まる、装置。
[適用例19]
適用例11に記載の装置であって、前記閉じ込めリングの前記下側水平区画、前記上側水平区画および前記垂直区画は、前記下側電極と上側電極との間で径方向外向きに広がる閉じ込めチャンバ空間の一部を形成して、前記閉じ込めリングが前記プラズマ処理チャンバに設置されたときに拡張したプラズマ処理領域を画定する、装置。
[適用例20]
適用例11に記載の装置であって、前記延長区画は、前記閉じ込めリングの前記下側水平区画、前記垂直区画および前記上側水平区画と一体であり、前記延長区画は、前記下側水平区画の下面の下に延在するように構成される、装置。
[適用例21]
適用例11に記載の装置であって、前記複数のスロットの各々は、前記プラズマ処理チャンバが動作しているとき、前記閉じ込めリングによって形成された閉じ込め空間からガスが出る経路を画定する、装置。