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  • 特許-試験測定装置及び無線バス信号捕捉方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】試験測定装置及び無線バス信号捕捉方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 13/20 20060101AFI20241216BHJP
   G01R 23/16 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G01R13/20 N
G01R23/16 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020006244
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2020118685
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】62/794,528
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/733,613
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ディー・アリー
(72)【発明者】
【氏名】ギャリー・ジェイ・ワルド
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-042462(JP,A)
【文献】特表2005-501267(JP,A)
【文献】特開2012-073240(JP,A)
【文献】特表2014-520260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 13/20
G01R 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の無線変調方式に基づいて変調されたバス信号を受けて、同相及び直交ベースバンド成分波形データを出力するよう構成されるデジタル・ダウン・コンバータと、
上記同相及び直交ベースバンド成分波形データを受けて、時間対無線周波数トレース、時間対同相トレース又は時間対直交トレースを含む1つ以上のトレースを生成するよう構成されるトレース生成部と、
1つ以上の上記トレース及び上記無線変調方式に基づいて上記バス信号をデコード・データにデコードするよう構成されるデコーダと、
上記デコード・データに基づいてデコードされた上記バス信号を捕捉するよう構成される捕捉装置と
を具え
上記デコーダが、上記1つ以上のトレースに基づいて上記バス信号をデコードするのに、少なくとも1つのしきい値を決定し、上記1つ以上のトレースを少なくとも1つの上記しきい値に対して比較することによって、上記バス信号をバイナリ信号にデコードするよう構成される試験測定装置。
【請求項2】
上記捕捉装置が、デコードされた上記バス信号を受けて、デコードされた上記バス信号中のトリガ・イベントを検索し、デコードされた上記バス信号中に上記トリガ・イベントが生じていない場合には、上記バス信号を破棄して新しいバス信号を捕捉し、デコードされた上記バス信号中に上記トリガ・イベントが生じている場合には、上記バス信号を捕捉するよう構成される1つ以上のプロセッサを有する請求項1の試験測定装置。
【請求項3】
任意の無線変調方式に基づいて変調されたバス信号をデコードする方法であって、
上記変調バス信号を同相及び直交ベースバンド成分波形データにダウン・コンバートする処理と、
上記同相及び直交ベースバンド成分波形データに基づいて少なくとも1つの時間領域トレースを生成する処理と、
少なくとも1つの上記時間領域トレースに基づいて上記バス信号をデコード・データにデコードする処理と、
デコードされた上記バス信号中のイベントを検出する処理と、
上記イベントが検出された場合にデコードされた上記バス信号の少なくとも一部分を捕捉する処理と
を具え
上記バス信号をデコードする処理が、少なくとも1つのしきい値を決定する処理と、少なくとも1つの上記時間領域トレースを少なくとも1つの上記しきい値と比較することによって、上記バス信号をバイナリ信号にデコードする処理とを有する変調バス信号デコード方法。
【請求項4】
少なくとも1つの上記しきい値は、上記無線変調方式に基づいて決定される請求項の変調バス信号デコード方法。
【請求項5】
試験測定装置の1つ以上のプロセッサで実行されたときに、上記試験測定装置に、請求項3又は4の方法を実行させるコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス信号を捕捉する試験測定装置及び方法に関し、特に、任意の無線変調方式で変調された変調バス信号をデコードし、デコードされた変調バス信号にトリガをかける試験測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オシロスコープのような伝統的な試験測定装置では、ユーザがシリアル・バス信号をデコードすることが可能である。これは、シリアル・バス信号と、このシリアル・バス信号をデコードするのに必要な他の信号をプロービングすることで行うことができる。補助的な情報、例えば、取り込まれるシリアル・バス信号について、それがどの形式のバスであるか、各チャンネルが何をプロビングしているかといった情報も、種々のセットアップ情報と共にオシロスコープに与えられる。
【0003】
セットアップ情報が与えられれば、従来のオシロスコープは、バスが伝送している実際のパケットやデータのコンテンツをデコードでき、デコードされたバスを表示する形でユーザにそのデータを提供できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-7959号公報
【文献】特許第4943274号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】トランジスタ技術SPECIAL編集部編、「ディジタル・オシロスコープ活用ノート」、「5-2 トリガ回路のしくみ」、第85~87頁、図2(回路ブロック図)、トランジスタ技術SPECIAL for フレッシャーズ No.99、CQ出版株式会社、2007年7月1日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、こうした形式の機能は、有線でシリアル及びパラレル・バスが接続される場合にのみ利用可能で、任意の無線変調方式で変調された信号については、無線変調方式が複雑であるために、従来のオシロスコープでは、こうした機能を利用できなかった。
【0007】
本発明の実施形態は、従来技術のこれらやその他の課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による試験測定装置には、任意の無線変調方式で変調されたバス信号を受けて同相及び直交ベースバンド成分波形データを出力するよう構成されるデジタル・ダウン・コンバータがある。トレース生成部は、同相及び直交ベースバンド成分波形データを受けて、少なくとも1つの時間対無線周波数(RF)トレースを生成する。デコーダは、少なくとも1つの時間対無線周波数トレースを受けて、少なくとも1つの時間対無線周波数トレースと無線変調方式に基づいて、バス信号をデコードする。捕捉装置は、デコードされたバス信号(例えば、バイナリ信号)中にトリガ・イベントを見つけると、デコードされたバス信号の少なくとも一部分を捕捉するようにする。
【0009】
本発明の実施形態の態様、特徴及び効果は、添付の図面を参照し、以下の実施形態の説明を読むことで明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の例示的な実施形態による試験測定装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の別の例示的な実施形態による試験測定装置のブロック図である。
図3図3は、本発明の例示的な実施形態による任意の無線変調方式に基づいて変調された変調バス信号をデコードする処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態による例示的な試験測定装置のブロック図である。この試験測定装置には、1つ以上の信号を受ける1つ以上の入力部100があっても良い。1つ以上の入力部100の少なくとも1つは、バス信号のような、無線変調方式が適用された信号を受ける。1つ以上の入力部100は、信号を受けるのに、有線入力又は無線入力のどちらを通しても良い。
【0012】
試験測定装置には、入力バス信号をデジタル・バス信号に変換する1つ以上のアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)102があっても良い。このデジタル・バス信号は、デジタル・ダウン・コンバータ(DDC)104によって、同相(I:in-phase)及び直交(Q:quadrature-phase:直交位相)バースバンド成分データにダウン・コンバートされても良い。
【0013】
更に、トレース生成部106は、同相(I)及び直交(Q)ベースバンド成分の情報を受けて、1つ以上の時間領域(time-domain)トレースを生成しても良く、これは、バス信号の特定の特性が時間に対してどのように変化するかを示すことができる。この時間領域トレースとしては、1つ以上の時間対周波数トレースや、時間対同相ベースバンド成分データ、時間対直交ベースバンド成分データであっても良い。実施形態によっては、高速フーリエ変換を同相及び直交ベースバンド成分に対して実行して、時間領域データのスペクトラム表示を生成しても良い。
【0014】
時間対無線周波数トレースとしては、例えば、時間対振幅トレース、時間対周波数トレース、又は、時間対位相トレースがあっても良い。更に、時間対振幅トレースとしては、線形時間対パワー(電力)トレース、対数(Log:ログ)時間対パワー・トレース、又は、線形時間対振幅トレースがあっても良い。トレース生成部106は、同相(I)ベースバンド成分トレース及び直交(Q)ベースバンド成分トレースを生成しても良い。
【0015】
時間対無線周波数(RF)トレースは、以下のいくつかの数式を用いて生成され、ここで、Iはダウン・コンバータ104によって求められる同相ベースバンド波形データであり、Qはダウン・コンバータ104によって求められる直交ベースバンド波形データである。
【0016】
I=A・cos(φ) (1)
【0017】
Q=A・sin(φ) (2)
【0018】
ピーク振幅A=(I2+Q2)1/2 (3)
【0019】
位相角度φ=tan-1(Q/I) (4)
【0020】
周波数=(位相n+1-位相)/(360*1/SR) (5)
【0021】
数式5のSRは、入力されるバス信号の間引き処理後のサンプル・レートである。
【0022】
トレース生成部106で生成される1つ以上の時間領域トレースは、デコーダ108でシリアル・バス信号をデコードするのに利用できる。デコーダ108は、また、ユーザ入力部110からの入力を受けても良い。ユーザ入力部110は、ユーザによるシステムへの情報入力を可能にする任意のコンポーネントであっても良く、例えば、限定するものではないが、キーボード、マウス、ジョイスティックその他の接続されたコンポーネントであっても良い。ユーザ入力部110からの入力は、有線でも良いし、無線でも良い。ユーザ入力部110からの入力には、位相シフト・キーイング、周波数シフト・キーイング、周波数変調などの無線変調方式についての情報が含まれていても良い。しかし、無線変調方式の情報は、変調バス信号自身が含む情報から試験測定装置が自動的に取得するようにしても良い。
【0023】
デコーダ108は、トレース生成部106で生成された1つ以上のトレースと、ユーザからの入力情報に基づいて、シリアル・バス信号を、デコード・データ(即ち、デコードされたデータ)にデコードできる。このデコード・データは、例えば、バイナリ信号であっても良い。ユーザ入力部110で受けた無線変調方式の情報に基づいて、デコーダ108は、バイナリ信号を求める1つ以上のしきい値を設定できる。実施形態によっては、1つ以上のしきい値が、無線変調方式によって決定されるのではなくて、ユーザ入力部110を通して、ユーザによって設定される。
【0024】
例えば、時間対周波数トレースを用いて、しきい値が、ある特定の周波数に設定されても良い。この場合、時間対周波数トレース中のしきい値の周波数より上の全ての周波数が、1のバイナリ値としてデコードされ、しきい値の周波数より下の全ての周波数が、0のバイナリ値としてデコードされる。しかし、しきい値は、周波数だけに限定されず、無線変調方式に依存した信号の位相、振幅などに加えて、ユーザによって指定されたしきい値に基づいて設定されて良い。
【0025】
実施形態によっては、2つ以上のしきい値が設定されても良い。例えば、もし3つのしきい値がされると、第1しきい値より下の値は、00にデコードされても良く、第1しきい値と第2しきい値の間の値は、01にデコードされても良く、第2しきい値と第3しきい値の間の値は、10にデコードされても良く、第3しきい値より上の値は、11にデコードされても良い。本発明の実施形態は、単一のしきい値に限定されず、ユーザの入力に応じて必要となる任意の個数のしきい値を用いることができる。
【0026】
トリガ回路112は、特定のバイナリ・パターンを見つけるために、デコード・データを検索(調査、サーチ)し、特定のバイナリ・パターンを検出したときに、そのバイナリ・パターンを含むデコード・データの部分(例えば、その特定バイナリ・パターンとその前後の部分)を捕捉するように試験測定装置にトリガをかける(非特許文献1参照)。トリガ・イベントとして利用する特定のバイナリ・パターンは、ユーザ入力部110を通して、ユーザが選択するようにしても良い。特定バイナリ・パターンを含むデコード・データがトリガ動作によって捕捉されたら、試験測定装置が、更なる測定や分析を行ったり、データを表示部114上に表示するなど、捕捉されたデコード・データを更に処理しても良いし、トリガ回路112が、そのデコード・データを蓄積するようにメモリ116に命令を出しても良い。
【0027】
図2に示す本発明の別の例示的な実施形態による試験測定装置には、図1と同様に、1つ以上の入力部200があり、任意の無線変調方式に基づいて変調された変調バス信号を受ける。この変調バス信号は、アナログ・デジタル・コンバータ(ADC)202によってデジタル化されても良い。トリガ回路204は、例えば、ハードウェア・トリガ回路であっても良く、これは、入力信号のエッジ又はクロック信号のエッジでトリガをかけることができるよう構成されていても良い。この場合、変調バス信号を捕捉するのに、トリガ回路204がエッジ・トリガを利用しても良い。実施形態によっては、トリガ回路204が無線周波数信号を検出するとトリガをかけるようにしても良い。
【0028】
図1に関して説明したのと同様に、上述のデジタル化された信号は、デジタル・ダウン・コンバータ(DDC)206において、その同相(I)及び直交(Q)ベースバンド成分データへとダウン・コンバートされても良い。
【0029】
トレース生成部208は、トレース生成部106と類似しており、上述の如く、同相及び直交ベースバンド成分波形データを受けて、1つ以上の時間領域トレースを生成できる。1つ以上の時間領域トレースは、トレース生成部106に関して上述したように、バス信号の特定の特性が、時間に対してどのように変化するかを示すことができる。
【0030】
トレース生成部208で生成された1つ以上の時間領域トレースは、デコーダ210でシリアル・バス信号をデコードするのに利用できる。デコーダ210は、ユーザ入力部110と同様のユーザ入力部212からの入力を受けることができる。
【0031】
上述と同様に、デコーダ210は、次いで、トレース生成部208で生成された1つ以上のトレースと、ユーザからの入力情報に基づいて、変調シリアル・バス信号を、デコード・データにデコードできる。このデコード・データは、例えば、バイナリ信号であっても良い。このデコード・データは、検索部(searcher:サーチャ又はサーチ部)214に送られても良く、検索部214は、特定のバイナリ・パターンを見つけるためにデコード・データを検索(サーチ)する。上述のように、特定のバイナリ・パターンは、ユーザ入力部212からユーザが与えるようにしても良い。もし特定のバイナリ・パターンが捕捉された波形データ中に見つかると、検索部214は、その特定バイナリ・パターンを含む波形データの部分を受けて、次いで、メモリ216中に蓄積したり、表示部218で表示したり、又は、1つ以上のプロセッサのような他のコンポーネントにおいて更なる処理を行うために、その波形データを転送する。しかし、もし特定のバイナリ・パターンが捕捉された波形データ中に見つからないと、検索部14は、そのトリガによって捕捉された波形データを破棄し、メモリ216への蓄積を行わない。
【0032】
実施形態によっては、ダウン・コンバータ206、トレース生成部208、デコーダ210及び検索部214の夫々が、1つ以上のプロセッサ(図示せず)に含まれていても良い。1つ以上のプロセッサは、ダウン・コンバータ206、トレース生成部208、デコーダ210及び検索部214に関して上述した機能を実行するための命令を、例えば、メモリ216に記憶しておいて、実行するようにしても良い。
【0033】
図3は、図1及び2に示す実施形態のいずれかを用いて、ある無線変調方式に基づいて変調されたバス信号をデコードするためのフローチャートを示す。
【0034】
最初に、工程300では、デジタル化された変調バス信号が、同相(I)及び直交(Q)ベースバンド成分波形データにダウン・コンバートされる。工程302では、同相及び直交ベースバンド成分波形データを用いて、1つ以上の時間領域トレースが生成されても良い。例えば、上述のように、1つ以上の時間領域トレースとしては、1つ以上の時間対無線周波数トレースがあり、これは、例えば、時間対周波数トレース、時間対位相トレース、又は、時間対振幅トレースであっても良い。時間領域トレースとしては、更に、時間対同相ベースバンド成分情報トレース及び時間対直交ベースバンド成分情報トレースがあっても良い。
【0035】
入力されるか又は取得した無線変調方式の情報を用いて、工程304では、工程302で生成された時間領域トレースに基づいて、変調バス信号をデコードする。例えば、1つ以上のしきい値を時間領域トレースに関して設定して、バス信号をバイナリ信号にデコードしても良い。時間対無線周波数トレースについては、しきい値が、周波数しきい値、位相しきい値又は振幅しきい値であっても良く、これらがトレースと比較されて、バス信号をバイナリ成分にデコードするための判定に利用されても良い。
【0036】
バス信号がデコードされると、工程306では、トリガ回路112又は検索部214のような捕捉装置が、デコードされた信号中にトリガ・イベントがあるか否かを決定する。例えば、トリガ回路112又は検索部214は、デコードされた信号中に特定のビット・ストリームが存在するか否かを決定する。もしトリガ・イベントが存在すると、図1及び2に示して上述したように、デコードされたバス信号が捕捉されて、次いで、メモリに蓄積されるか、表示されるか、又は、試験測定装置によって更に処理される。図2の実施形態では、もし検索部214がトリガ・イベントを特定できなかった場合には、検索部214が、トリガに応じて捕捉され、デコードされたバス信号のデータを破棄するようにしても良い。
【0037】
上述した実施形態の夫々では、バス信号のデコード処理は、周期的に、又は、基本的には連続する形式で続けるようにしても良い。即ち、バス信号の多くの部分が捕捉されてデコードされるようにしても良いし、又は、バス信号を受けたときに、トリガ・イベントに関してバス信号を断続的に(頻繁に、間断なく)デコードし、分析するようにしても良い。
【0038】
本発明の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本発明の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本発明の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0039】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含むことができる。
【0040】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Versatile Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は排除される。
【0041】
通信媒体は、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含むことができる。
【0042】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0043】
実施例1は、試験測定装置であって、任意の無線変調方式に基づいて変調された変調バス信号を受けて、同相及び直交ベースバンド成分波形データを出力するよう構成されるデジタル・ダウン・コンバータと、上記同相及び直交ベースバンド成分波形データを受けて、時間対無線周波数トレース、時間対同相トレース又は時間対直交トレースを含む1つ以上のトレースを生成するよう構成されるトレース生成部と、1つ以上の上記トレース及び上記無線変調方式に基づいて上記変調バス信号をデコードするよう構成されるデコーダと、デコードされた上記変調バス信号を捕捉するよう構成される捕捉装置とを具えている。
【0044】
実施例2は、実施例1の試験測定装置であって、このとき、上記デコーダが、上記1つ以上のトレースに基づいて上記変調バス信号をデコードするために、少なくとも1つのしきい値を決定し、上記1つ以上のトレースを少なくとも1つの上記しきい値に対して比較することによって、上記変調バス信号をバイナリ信号にデコードするよう構成される。
【0045】
実施例3は、実施例2の試験測定装置であって、少なくとも1つの上記しきい値を受けるよう構成されるユーザ入力部を更に具えている。このユーザ入力部は、更に、上記無線変調方式の情報をユーザから受けるよう構成されていても良い。
【0046】
実施例4は、実施例3の試験測定装置であって、このとき、少なくとも1つの上記しきい値は、上記無線変調方式に基づいて決定される。
【0047】
実施例5は、実施例1~4のいずれかの試験測定装置であって、このとき、上記捕捉装置は、デコードされた上記変調バス信号を受けて、デコードされた上記変調バス信号中のトリガ・イベントを検索し、デコードされた上記変調バス信号中に上記トリガ・イベントが生じていない場合には、上記変調バス信号のデータを破棄して新しい変調バス信号を捕捉し、デコードされた上記変調バス信号中に上記トリガ・イベントが生じている場合には、上記変調バス信号を捕捉するよう構成される1つ以上のプロセッサを有している。
【0048】
実施例6は、実施例1~5のいずれかの試験測定装置であって、このとき、上記時間対無線周波数トレースには、時間対振幅トレース、時間対周波数トレース及び時間対位相トレースの中の少なくとも1つが含まれる。
【0049】
実施例7は、実施例6の試験測定装置であって、このとき、上記時間対振幅トレースには、線形時間対パワー(電力)トレース、対数(Log:ログ)時間対パワー・トレース及び線形時間対振幅トレースの中の少なくとも1つが含まれる。
【0050】
実施例8は、実施例1~7のいずれかの試験測定装置であって、このとき、上記捕捉装置は、更に、デコードされた上記変調バス信号中にイベントが存在しているか否か検出し、上記イベントが検出された場合には、上記変調バス信号を捕捉するよう構成されている。
【0051】
実施例9は、任意の無線変調方式に基づいて変調された変調バス信号をデコードする方法であって、上記変調バス信号を同相及び直交ベースバンド成分波形データにダウン・コンバートする処理と、上記同相及び直交ベースバンド成分波形データに基づいて少なくとも1つの時間領域トレースを生成する処理と、少なくとも1つの上記時間領域トレースに基づいて上記変調バス信号をデコード・データにデコードする処理と、デコードされた上記変調バス信号中のイベントを検出する処理と、上記イベントが検出された場合にデコードされた上記変調バス信号の少なくとも一部分を捕捉する処理とを具えている。
【0052】
実施例10は、実施例9の方法であって、上記変調バス信号をデコードする処理が、少なくとも1つのしきい値を決定する処理と、少なくとも1つの上記時間領域トレースを少なくとも1つの上記しきい値と比較することによって、上記変調バス信号をバイナリ信号にデコードする処理とを有している。
【0053】
実施例11は、実施例9の方法であって、上記無線変調方式についての情報をユーザ入力部から受ける処理を更に具えている。
【0054】
実施例12は、実施例10の方法であって、少なくとも1つの上記しきい値をユーザ入力部から受ける処理を更に具えている。
【0055】
実施例13は、実施例12の方法であって、このとき、少なくとも1つの上記しきい値は、上記無線変調方式に基づいて決定される。
【0056】
実施例14は、実施例9~13のいずれかの方法であって、もし上記イベントが検出されなければ、デコードされた上記変調バス信号の一部分を破棄する処理と、新しいバス信号を捕捉する処理を更に具えている。
【0057】
実施例15は、実施例9~14のいずれかの方法であって、このとき、少なくとも1つの上記時間領域トレースとしては、時間対無線周波数トレースが含まれ、この時間対無線周波数トレースとしては、時間対振幅トレース、時間対周波数トレース及び時間対位相トレースが含まれる。
【0058】
実施例16は、実施例15の方法であって、このとき、上記時間対振幅トレースには、線形時間対パワー・トレース、対数時間対パワー・トレース及び線形時間対振幅トレースの中の少なくとも1つが含まれる。
【0059】
実施例17は、コンピュータ・プログラムであって、試験測定装置の1つ以上のプロセッサで実行されたときに、上記試験測定装置に、任意の無線変調方式に基づいて変調された変調バス信号を同相及び直交ベースバンド成分波形データにダウン・コンバートする処理と、上記同相及び直交ベースバンド成分波形データに基づいて少なくとも1つのトレースを生成する処理と、少なくとも1つの上記トレース及び上記無線変調方式に基づいて上記変調バス信号をデコード・データにデコードする処理と、デコードされた上記変調バス信号中にイベントがあるか否か決定する処理と、上記イベントが検出された場合にはデコードされた上記変調バス信号を蓄積し、上記イベントが検出されなかった場合にはデコードされた上記変調バス信号を破棄する処理とを行わせる命令を有している。
【0060】
実施例18は、実施例17のコンピュータ・プログラムであって、このとき、上記変調バス信号をデコードする処理が、少なくとも1つのしきい値を決定する処理と、少なくとも1つの上記トレースを少なくとも1つの上記しきい値と比較することによって、上記変調バス信号をバイナリ信号にデコードする処理とを有している。
【0061】
実施例19は、実施例17又は18のコンピュータ・プログラムであって、このとき、少なくとも1つの上記トレースには、時間対振幅トレース、時間対周波数トレース、時間対位相トレース、時間対同相ベースバンド成分トレース及び時間対直交ベースバンド成分トレースの中の少なくとも1つが含まれている。
【0062】
実施例20は、実施例19のコンピュータ・プログラムであって、このとき、上記時間対振幅トレースには、線形時間対パワー・トレース、対数時間対パワー・トレース及び線形時間対振幅トレースの中の少なくとも1つが含まれている。
【0063】
開示された主題の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0064】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例の状況において開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例の状況においても利用できる。
【0065】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0066】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除いて限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0067】
100 入力部
102 アナログ・デジタル・コンバータ
104 デジタル・ダウン・コンバータ
106 トレース生成部
108 デコーダ
110 ユーザ入力部
112 トリガ回路
114 表示部
116 メモリ
200 入力部
202 アナログ・デジタル・コンバータ
204 トリガ回路
206 デジタル・ダウン・コンバータ
208 トレース生成部
210 デコーダ
212 ユーザ入力部
214 検索部
216 メモリ
218 表示部
図1
図2
図3