(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】クロマティックレンジセンサ光学プローブと座標測定機とのカップリング構造
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
G01B11/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020195772
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-11-15
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ウィリアム セスコ
(72)【発明者】
【氏名】アイゼア フェアクセン
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-014604(JP,A)
【文献】特開2011-164182(JP,A)
【文献】特開2013-246173(JP,A)
【文献】特開2008-241712(JP,A)
【文献】特開2011-039026(JP,A)
【文献】特開2007-333798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
21/00-21/32
G02B 6/00- 6/54
G01C 3/00- 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標測定機(CMM)と、クロマティックレンジセンサ(CRS)光学プローブとを備え、
前記CMMは、
光生成回路構成と、
波長検出回路構成と、
座標測定機(CMM)制御回路構成と、
自動交換ジョイント接続機構付きのプローブヘッドと、
前記プローブヘッドに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングの第1カップリング要素と、を有し、
前記CRS光学プローブは、
少なくとも共焦点アパーチャと色分散光学系とを含む共焦点系の光路を有して構成されて、波長の異なる光をワーク被測定面の近傍の測定軸に沿った異なる距離において合焦させるように構成された光学ペンと、
当該CRS光学プローブに取り付けられた前記自由空間型光ファイバカップリングの第2カップリング要素と、
前記自動交換ジョイント接続機構を介して前記CMMに取り付け可能な自動交換ジョイント要素と、を有し、
前記自由空間型光ファイバカップリングの前記第1および第2カップリング要素のうちの一方は、1組の
光学レンズを有する自由空間レンズシステムを含み、
前記自由空間型光ファイバカップリングの前記第1および第2カップリング要素のうちの他方は、前記1組の
光学レンズによって自由空間に伝送された合焦光を受光するように構成され
、
前記自由空間型光ファイバカップリングは、前記第1および前記第2カップリング要素の連結状態で、前記第1カップリング要素の光ファイバの端部と、前記第2カップリング要素の光ファイバの端部との間に空間を有し、前記空間をここでは前記自由空間型光ファイバカップリング内の自由空間と呼び、前記自由空間に設けられた前記1組の光学レンズによって一方の前記光ファイバからの光が他方の前記光ファイバに伝送される、ように構成された光ファイバカップリングであり、
前記1組の光学レンズは、一方の前記光ファイバからの光をコリメートし、当該コリメートされた光を合焦して他方の前記光ファイバの中に入れるように構成されている、ことを特徴とするシステム装置。
【請求項2】
請求項1記載のシステム装置において、前記第1カップリング要素は、第1キネマティックカップリングを含み、前記第2カップリング要素は、前記第1キネマティックカップリングと噛み合うように構成された第2キネマティックカップリングを含むことを特徴とするシステム装置。
【請求項3】
請求項2記載のシステム装置において、前記第1カップリング要素は、前記レンズシステムを含み、前記第1カップリング要素の端面、並びに、前記第1および第2キネマティックカップリングのキネマティックカップリング面のうちの少なくとも一つの面は、前記レンズシステムと前記第2カップリング要素の光ファイバとの間に位置することを特徴とするシステム装置。
【請求項4】
請求項2記載のシステム装置において、前記第2カップリング要素は、光ファイバを保護するように構成されたガラス窓を含むことを特徴とするシステム装置。
【請求項5】
請求項4記載のシステム装置において、前記ガラス窓は、反射防止膜を含むことを特徴とするシステム装置。
【請求項6】
請求項1記載のシステム装置において、前記第1カップリング要素および第2カップリング要素は、ファイバフェルールコネクタを含むことを特徴とするシステム装置。
【請求項7】
請求項6記載のシステム装置において、前記ファイバフェルールコネクタは、斜面状に研磨されたコネクタであることを特徴とするシステム装置。
【請求項8】
請求項1記載のシステム装置において、前記レンズシステムは、収差補正レンズシステムを含むことを特徴とするシステム装置。
【請求項9】
請求項1記載のシステム装置において、前記第1カップリング要素は前記レンズシステムを含み、前記レンズシステムは、第1光ファイバケーブルの光ファイバを保護するように構成されていることを特徴とするシステム装置。
【請求項10】
第1光ファイバケーブルの光ファイバを経由して座標測定機(CMM)の光源・波長検出部に連結するように構成された第1光ファイバコネクタを有するとともに、前記CMMのプローブヘッドに取り付けられるように構成された第1カップリング要素と、
第2光ファイバケーブルの光ファイバを経由してクロマティックレンジセンサ(CRS)光学プローブの光学ペンに連結するように構成された第2光ファイバコネクタを有するとともに、前記CRS光学プローブに取り付けられるように構成された第2カップリング要素と、を備えた自由空間型光ファイバカップリングであって、
前記第1および第2カップリング要素は、互いに着脱可能に連結するように構成され、
前記自由空間型光ファイバカップリングは、前記第1および前記第2カップリング要素の連結状態で、前記第1カップリング要素の光ファイバの端部と、前記第2カップリング要素の光ファイバの端部との間に空間を有し、前記空間をここでは前記自由空間型光ファイバカップリング内の自由空間と呼び、前記自由空間に設けられた1組の光学レンズによって一方の前記光ファイバからの光が他方の前記光ファイバに伝送される、ように構成された光ファイバカップリングであり、
前記第1および第2カップリング要素のうちの一方は、
一方の前記光ファイバ
からの光をコリメートし、当該コリメートされた光を合焦して
他方の前記光ファイバの中に入れるように構成された
前記1組の光学レンズを有するレンズシステムを含む、ことを特徴とする自由空間型光ファイバカップリング。
【請求項11】
請求項
10記載の自由空間型光ファイバカップリングにおいて、前記第1カップリング要素は、第1キネマティックカップリングを含み、前記第2カップリング要素は、前記第1キネマティックカップリングと噛み合うように構成された第2キネマティックカップリングを含むことを特徴とする自由空間型光ファイバカップリング。
【請求項12】
請求項
11記載の自由空間型光ファイバカップリングにおいて、前記第1カップリング要素は、前記1組の光学レンズを含み、前記第1カップリング要素の端面、並びに、前記第1および第2キネマティックカップリングのキネマティックカップリング面のうちの少なくとも一つの面は、合焦レンズと前記第2光ファイバケーブルの前記光ファイバとの間に位置することを特徴とする自由空間型光ファイバカップリング。
【請求項13】
請求項
10記載の自由空間型光ファイバカップリングにおいて、前記第1光ファイバコネクタおよび前記第2光ファイバコネクタは、ファイバフェルールコネクタであることを特徴とする自由空間型光ファイバカップリング。
【請求項14】
請求項
10記載の自由空間型光ファイバカップリングにおいて、
前記第1光ファイバコネクタは、前記レンズシステムの軸に対して或る角度を成すように前記第1光ファイバケーブルの前記光ファイバを固定するように構成されていることを特徴とする自由空間型光ファイバカップリング。
【請求項15】
請求項
14記載の自由空間型光ファイバカップリングにおいて、前記角度が4度であることを特徴とする自由空間型光ファイバカップリング。
【請求項16】
請求項
10記載の自由空間型光ファイバカップリングにおいて、
前記第1カップリング要素は、前記1組の光学レンズを含み、前記第2カップリング要素は、前記第2光ファイバケーブルの前記光ファイバを保護するように構成されたガラス窓を含むことを特徴とする自由空間型光ファイバカップリング。
【請求項17】
請求項
10記載の自由空間型光ファイバカップリングにおいて、前記1組の
光学レンズは、収差補正レンズシステムを含むことを特徴とする自由空間型光ファイバカップリング。
【請求項18】
請求項
10記載の自由空間型光ファイバカップリングにおいて、
前記第1カップリング要素は、前記1組の
光学レンズを含み、当該1組の
光学レンズは、前記第1光ファイバケーブルの前記光ファイバを保護するように構成されていることを特徴とする自由空間型光ファイバカップリング。
【請求項19】
請求項
10記載の自由空間型光ファイバカップリングにおいて、前記1組の
光学レンズは、前記第2光ファイバケーブルの前記光ファイバが受光した反射光をコリメートし、前記コリメートされた反射光を合焦して前記第1光ファイバケーブルの前記光ファイバの中に入れるように構成されていることを特徴とする自由空間型光ファイバカップリング。
【請求項20】
クロマティックレンジセンサ(CRS)光学プローブの自動交換ジョイント要素を座標測定機(CMM)の自動交換ジョイント接続機構に取り付ける取付工程、および、前記CMMに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングの第1カップリング要素を前記CRS光学プローブに取り付けられた前記自由空間型光ファイバカップリングの第2カップリング要素に接続する接続工程を有し、前記自由空間型光ファイバカップリングの前記カップリング要素の内の1つは1組の光学レンズを含んでいて、
当該1組の光学レンズを構成する各レンズは接続の前後において分離されず、これによって、前記CMMが前記CRS光学プローブに自動的にカップリングする自動カップリング工程と、
前記CMMを使って光を発生させる発光工程と、
前記1組の光学レンズが、前記CMMによる発生光をコリメートし、当該コリメート光を合焦して前記自由空間型光ファイバカップリングの前記第2カップリング要素の光ファイバの中に入れることによって、前記自由空間型光ファイバカップリングを介して前記CRS光学プローブまで前記発生光を伝送する発生光の伝送工程と、および、
前記1組の光学レンズが、反射光をコリメートして、当該反射光を合焦して前記自由空間型光ファイバカップリングの前記第1カップリング要素の光ファイバの中に入れることによって、前記自由空間型光ファイバカップリングを介して前記CRS光学プローブから前記CMMまで前記反射光を伝送する反射光の伝送工程と、
を含
み、
前記自由空間型光ファイバカップリングは、前記第1および前記第2カップリング要素の連結状態で、前記第1カップリング要素の光ファイバの端部と、前記第2カップリング要素の光ファイバの端部との間に空間を有し、前記空間をここでは前記自由空間型光ファイバカップリング内の自由空間と呼び、前記自由空間に設けられた前記1組の光学レンズによって一方の前記光ファイバからの光が他方の前記光ファイバに伝送される、ように構成された光ファイバカップリングであることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項
20記載の方法は、さらに、前記CMMに伝送された前記反射光に基づいて測定データを生成する測定データ生成工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項
21記載の方法において、前記自由空間型光ファイバカップリングの前記第1カップリング要素は、前記1組の光学レンズを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広く精密測定装置に関し、特に、ワークの測定値を決定するために使用する座標測定機用のクロマティックレンジセンサ光学プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種類の三次元座標測定機は、ワーク表面をプローブでスキャンし、スキャン後に、ワークの三次元プロフィルを算出する。ある種類の走査プローブは、ワーク表面に沿った様々なポイントに対して、プローブを機械的に接触させることによって、ワークを直接測定する。多くの場合、機械的接触はボールによる。
【0003】
他の三次元座標測定機は、ワーク表面と非接触でワークを測定する光プローブを利用する。ある光プローブ(例えば、三角測距プローブ)は、ワーク表面のポイント測定に光を利用する。そして、光プローブは、ワーク表面の二次元(2D)断面の画像処理用のビデオカメラ(例えば、ステレオビジョンシステム、または、構造化された光システム)を併せ持っている。あるシステムは、ワークの幾何学的部分の座標を画像処理ソフトウェアで決定している。
【0004】
また、光学測定検出器と機械的測定検出器の両方を使用する「複合型の」三次元座標測定機も知られている。そのような測定機の1つが、特許文献1に記載されており、その測定機は2個のスピンドルを持っている。一方のスピンドルは、機械式接触プローブを運ぶためのものであり、他方のスピンドルは、ビデオカメラを保持する。このビデオカメラが有するビームパスは、レーザプローブがZ軸の測定を行うために同時にビームを反射させる、すなわちビデオカメラの光軸に沿って同時にビームを反射させるのに使われる。
【0005】
特許文献2には、光学式三次元座標測定機が記載されており、その測定機の光学的接触プローブは、標準的プローブの接触子の遠方端を第1ターゲットに設定している。標準的なプローブがビデオカメラに取り付けられ、ビデオカメラがそのカメラ上のターゲットをイメージングする。X-Y座標系でのターゲットの移動および位置は、その測定機のコンピュータ画像処理装置に表示される。第2ターゲットは、プローブの近接端に取り付けられており、Z座標の移動および位置を表示する。第2ターゲットは、光検出器を覆い隠す可能性があるが、X-Y平面に平行な光ビームによって、そのカメラ上に合焦される。ここで、X-Y平面に平行、かつ互いに直交するビームに照射される2つの第2ターゲットを設けることができる。そして、スタープローブ(star probes)を使用するとき、Z軸周りの回転は、コンピュータによって計算される。また、複数のプローブ、プローブホルダー、および、カメラへの選択的な取付用の複数レンズをそれぞれ保持するための自動交換ラックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第4,908,951号公報
【文献】米国特許第5,825,666号公報
【文献】米国特許第7,876,456号公報
【文献】米国特許第7,990,522号公報
【文献】米国特許公開20120050723号公報
【文献】米国特許第8,817,240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
種々の「プローブヘッド」に含まれている自動交換ジョイント接続機構(単に、自動ジョイントとも呼ぶ)において、測定プローブが頻繁に互換性を持って三次元座標測定機に取り付けられる。現在のところ、レニショー(商標)のプローブヘッドは、この産業界で特定のアプリケーションとして最も一般的に使用されている。これらのプローブヘッドは、英国グロスターシアにあるレニショーメトロロジーリミテッド(Renishaw Metrology Limited)によって製造されている。
【0008】
レニショータイプのプローブヘッドシステムは、この産業界で最も一般的に使用されているが、ある特定の技術については、これをレニショータイプのシステムに組み入れることが容易ではないことが分かってきた。その上、既存のレニショータイプのプローブヘッドシステムを、これよりも高度な性能を備えたシステムにアップグレードする試みは、多大な費用、及び/又は、不便さを伴ってしまう。例えば、レニショータイプのプローブヘッドシステムに適合しているはずの特定の技術が、本来の望ましい特徴、望ましいレベルの制御性、及び/又は、処理能力を欠くことがある。それは、レニショータイプのプローブヘッドシステムに接続(インターフェース)できる他のタイプのプローブを用いた容易な交換又は自動交換の機能を優先させたためである。発明者らは、レニショータイプのプローブヘッドシステム又は同様のシステムの使用に関する特定の問題は、その自動交換ジョイントにおいて、測定機とプローブ間での既存のデータ及び制御信号の接続用の信号線の本数が限定されていることや、光ファイバや光学経路による接続を用いていないことが原因だと考えた。このことは、プローブヘッドシステム用として、取り付けられ、及び/又は、交換されるプローブに対して、新たな技術及び/又は特徴を付加することを事実上困難にする「ボトルネック」になっている。特に、レニショータイプのプローブヘッドシステム又は同様のものを使用しても、既存のクロマティックレンジセンサを自動的に取り付け、及び/又は、交換することができない。幾つかの既存のクロマティックレンジセンサの構成には、レニショータイプのプローブヘッドシステムが含んでいるデータ及び制御信号の接続機構との互換性がない。
【0009】
光ファイバ接続機構とのカップリング(連結)及びデカップリング(分離)に関する問題として(例えば、上述のシステム装置で)、公知の接触型ファイバカップラが、ファイバ端面の汚れが原因となって、繰り返される係合サイクルで破損しがちであることが挙げられる。幾つかの実施例において、光ファイバ間の典型的な係合サイクルは、清浄な条件下で500~1000サイクルと評価される。しかし、ファイバ・コア(例えば50マイクロメートルのファイバ・コア)上の少量の埃または汚れによって、スループットの損失が大きくなってしまう。
【0010】
これらの問題点を改善することができるクロマティックレンジセンサ光学プローブと座標測定機とのカップリング構造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る自由空間型光ファイバカップリングは、互いに着脱可能に連結するように構成された第1カップリング要素と第2カップリング要素とを備える。第1カップリング要素は、第1光ファイバケーブルの光ファイバを経由して座標測定機(CMM)の光源・波長検出部に連結するように構成された第1光ファイバコネクタを有するとともに、前記CMMのプローブヘッドに取り付けられるように構成されている。第2カップリング要素は、第2光ファイバケーブルの光ファイバを経由してクロマティックレンジセンサ(CRS)光学プローブの光学ペンに連結するように構成された第2光ファイバコネクタを有するとともに、前記CRS光学プローブに取り付けられるように構成されている。第1および第2カップリング要素のうちの一方は、前記第1光ファイバケーブルの前記光ファイバが受光した光をコリメートし、当該コリメートされた光を合焦して前記第2光ファイバケーブルの前記光ファイバの中に入れるように構成された1組の光学レンズを含んでいる。1組のレンズは、前記第2光ファイバケーブルの前記光ファイバが受光した反射光をコリメートし、前記コリメートされた反射光を合焦して前記第1光ファイバケーブルの前記光ファイバの中に入れるように構成されている。
【0012】
また、クロマティックレンジセンサ(CRS)光学プローブは、光学ペンと、当該光学ペンに連結された光ファイバケーブルとを含んでいる。光学ペンは、少なくとも共焦点アパーチャと色分散光学系とを含む共焦点系の光路を有し、波長の異なる光をワーク被測定面の近傍の測定軸に沿った異なる距離において合焦させるように構成されている。CRS光学プローブは、自由空間型光ファイバカップリングのカップリング要素を有し、当該カップリング要素は、光ファイバケーブルと連結していて、当該CRS光学プローブに取り付けられている。当該カップリング要素は、合焦レンズによって自由空間に伝送された合焦光を受光するように構成されている。その合焦レンズとは、前記CMMのプローブヘッドに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングにおける他方のカップリング要素に設けられている合焦レンズである。CRS光学プローブは、また、自動交換ジョイント接続機構を介して前記CMMに取り付け可能な自動交換ジョイント要素を有している。
【0013】
また、CMMは、光生成回路構成、波長検出回路構成、CMM制御回路構成、光生成回路構成と波長検出回路構成に連結された光ファイバケーブル、及び、プローブヘッドを備えている。プローブヘッドは、CRS光学プローブの自動交換要素と連結するように構成された自動交換ジョイント接続機構を有している。また、CMMは、前記プローブヘッドに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングのカップリング要素を有している。当該カップリング要素は、光ファイバケーブルに連結されて、1組のレンズを有する自由空間レンズシステムを有し、そのレンズシステムは、前記光ファイバケーブルの受光光をコリメートし、当該コリメート光を合焦して、前記CRS光学プローブにおける他方のカップリング要素の光ファイバケーブルの光ファイバの中に入れるように構成されている。
【0014】
本発明に係るシステム装置は、CMMとCRS光学プローブとを含んでいる。CMMは、光生成回路構成、波長検出回路構成、CMM制御回路構成、自動交換ジョイント接続機構付きのプローブヘッド、および、前記プローブヘッドに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングの第1カップリング要素を含んでいる。CRS光学プローブは、少なくとも共焦点アパーチャと色分散光学系とを含む共焦点系の光路を有する光学ペンを含み、当該光学ペンは、波長の異なる光をワーク被測定面の近傍の測定軸に沿った異なる距離において合焦させるように構成されている。また、CRS光学プローブは、当該CRS光学プローブに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングの第2カップリング要素と、前記自動交換ジョイント接続機構を介して前記CMMに取り付け可能な自動交換ジョイント要素と、を含んでいる。また、自由空間型光ファイバカップリングの前記第1および第2カップリング要素のうちの一方は、1組のレンズを有する自由空間レンズシステムを含み、自由空間型光ファイバカップリングの前記第1および第2カップリング要素のうちの他方は、前記1組のレンズによって自由空間に伝送された合焦光を受光するように構成されている。
【0015】
本発明に係る方法は、CMMがCRS光学プローブに自動的にカップリングする自動カップリング工程を含んでいる。その自動カップリング工程は、CRS光学プローブの自動交換ジョイント要素をCMMの自動交換ジョイント接続機構に取り付ける取付工程と、CMMに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングの第1カップリング要素をCRS光学プローブに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングの第2カップリング要素に接続する接続工程と、を含んでいる。自由空間型光ファイバカップリングのカップリング要素の内の1つは、1組の光学レンズを含んでいる。CMMを使って光を発生させる。発生光が、自由空間型光ファイバカップリングを介してCRS光学プローブまで伝送される。ここで、1組の光学レンズが、CMMによる発生光をコリメートし、当該光を合焦して自由空間型光ファイバカップリングの第2カップリング要素の光ファイバの中に入れる。CRS光学プローブからの反射光は、自由空間型光ファイバカップリングを介してCMMに伝送される。ここで、1組の光学レンズが、反射光をコリメートして、当該反射光を合焦して自由空間型光ファイバカップリングの第1カップリング要素の光ファイバの中に入れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る光学ペンを有する代表的なCRSシステム装置のブロック図である。
【
図2】座標測定機、光学ペンを含むCRS光学プローブ、コントローラ及びユーザインタフェースを備えた座標測定システム装置のブロック図である。
【
図3A】
図2のCRS光学プローブであって、第1実施形態に係るCRS光学プローブの内部構造を示すブロック図である。
【
図3B】
図2のCRS光学プローブであって、第1実施形態に係るCRS光学プローブの内部構造を示すブロック図である。
【
図4A】
図3A,3Bの交換マウントおよび交換可能光学機構を含む、光学ペンの構造を示すブロック図である。
【
図4B】
図3A,3Bの交換マウントおよび交換可能光学機構を含む、光学ペンの構造を示すブロック図である。
【
図5】
図2のプローブコントローラの構造を示すブロック図である。
【
図6】
図2のプローブデータケーブルの断面図である。
【
図7】
図6の自動ジョイント接続機構の接続ピンおよびケーブルを使った一実施形態の接続及び/又は信号方式の一覧表である。
【
図8】座標測定機と、光学ペンを有するCRS光学プローブと、コントローラと、ユーザインタフェースと、を含む他の座標測定システム装置のブロック図である。
【
図9】
図8のCRS光学プローブの第1実施形態の構成の概略図である。
【
図10】
図8のシステム装置の実施形態の光学的接続経路を示すブロック図。
【
図11】
図8のシステム装置の典型的な自由空間型ファイバカップリングの構成を示す概略図である。
【
図12A】
図8の自由空間型ファイバカップリングの典型的なキネマティックマウントの詳細図である。
【
図12B】
図8の自由空間型ファイバカップリングの典型的なキネマティックマウントの詳細図である。
【
図13】自由空間型ファイバカップリングのレンズシステムの実行可能な構成図。
【
図14】
図8の自由空間型ファイバカップリングのレンズシステムの典型的な構成図である。
【
図15】
図8の自由空間型ファイバカップリングのレンズシステムの典型的な構成図である。
【
図16】
図8の自由空間型ファイバカップリングの典型的なアライメント機構を示す図である。
【
図17】一実施形態に係るCMM上での自動交換可能なCRS光学プローブシステム装置を提供し、動作させるための手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、座標測定機(CMM)用として望ましい動作原理を備えた代表的なクロマティックレンジセンサ(CRS)システム100の基本構成を示すブロック図である。このCRSシステム100は、特許文献3および特許文献4に記載のセンサに類似する。
図1に示すCRSシステム100は、光学要素120および電装部160を含み、1回で1点を測定するクロマティックポイントセンサのシステムである。以降、
図1の光学要素を光学ペン120とも呼ぶ。しかしながら、様々な実施形態では、クロマティックラインセンサなどの代替型クロマティックレンジシステムは、ここに開示された機器構成および動作方法に従って動作するように構成されることが好ましい。
【0018】
光学ペン120は、光ファイバコネクタ109と、筐体131(例えばアセンブリ中空管)と、色分散光学系(色分散光学構成)150とを含む。光ファイバコネクタ109は、筐体131の端部に取り付けられている。様々な実施例では、光ファイバコネクタ109の向きが、筐体131に対して直角であってもよい。光ファイバコネクタ109は、内蔵された入出力光ファイバケーブル112を通じて、入出力用光ファイバ(詳細には示していない)を保持している。入出力用光ファイバは、ファイバアパーチャ195を通して光源からの測定光を出力し、そのファイバアパーチャ195を通して反射された測定信号光を受け取る。
【0019】
測定動作中、ファイバ端部からファイバアパーチャ(開口部)195を通って放射された広周波数帯域の測定光(例えば白色光)は、色分散光学系150により合焦される。この色分散光学系150は、軸上色分散を促す単レンズまたは複合レンズを含む。軸上色分散とは、共焦型のクロマティックポイントセンサ装置で周知のように、光軸OAに沿った焦点が、測定光の波長に応じて異なった距離に生じる現象をいう。光源光は、光学ペン120からZ軸方向にあるワーク表面190上に合焦する波長光を含むような測定光196を形成する。ワーク表面190からの反射光は、再び、色分散光学系150によってファイバアパーチャ195上で合焦する。測定可能な測定光および反射光は、限定光線LR1,LR2によって、その境界が限られている。軸上色分散により、ある波長光のみが、光学ペン120からワーク表面190までの測定距離に一致する前方の焦点距離FFを示す。ワーク表面190で最も良く合焦する測定光の波長が、ファイバアパーチャ195で最も良く合焦する反射光の波長と一致するように、光学ペン120が構成される。アパーチャ195が反射光を空間的にフィルターするので、最も良く合焦した波長光が、アパーチャ195を通って光ファイバケーブル112の芯部へ入るようになる。以下の詳述するように、光ファイバケーブル112は反射光を波長検出器162に伝送する。この波長検出器162は、ワーク表面190までの測定距離に対応する主強度の波長を決定するために用いられる。
【0020】
また
図1は、破線で示された任意の反射素子155を示す。特許文献5に記載の反射素子を、本発明の測定光SBの光路上に配置してもよい。そのような実施例では、測定軸MAを光軸OAと同軸にするよりも、むしろ、測定アプリケーションの必要に応じて、反射素子が、測定光196’を異なる方向(例えば、光軸に直交する方向)へ測定軸MA’に沿って進行させた方がよい。そのような直交方向への測定軸の変換は、以下に詳述するように
図2および
図4Aの実施形態で用いている。
【0021】
電装部160は、ファイバカップラ(連結器)161、波長検出器162、光源164、信号演算器166および記憶部168を含む。様々な実施形態では、波長検出器162は、分光計または分光器アレンジメントを含み、その中の分散光学系(例えば回折格子)が、光ファイバケーブル112経由の反射光を受光し、結果得られるスペクトル強度プロフィルを検出器アレイ163へ伝送するようになっている。波長検出器162は、関連する信号処理機能(例えば、いくつかの実施形態で信号演算器166が提供する機能)、すなわち、プロフィルデータから検出器関連の誤差成分を取り除いたり、補償したりする機能を備えていてもよい。このように、波長検出器162および信号演算器166の態様を統合してもよく、及び/又は区別をなくしてもよい。
【0022】
白色光光源164は、信号演算器166によって制御されており、光学カップラ161(例えば、2×1光学カップラ)によって光ファイバケーブル112に接続されている。上述したように、光が光学ペン120を通過するときに、光学ペン120が軸上色収差を生成する。これは、光の波長に応じてその焦点長さが変化するためである。光ファイバを逆方向に通過する際に、最も効率よく伝達される光の波長は、Z軸方向においてワーク表面190上に合焦した波長である。その後、波長依存の反射光の強度は、再びファイバカップラ161を通過して、光の約50%が波長検出器162に向けられるようになっている。この波長検出器162は、検出器アレイ163の測定軸に沿ったピクセルアレイ上に分布するスペクトル強度プロフィルを受け取り、対応するプロフィルデータを提供するように動作する。手短に言えば、例えばピーク位置座標のような、プロフィルデータのサブピクセル分解能距離指示座標が、信号演算器166により計算される。そして、波長ピークに対応する距離指示座標(DIC)により、距離の校正用ルックアップテーブルを介して表面190までの測定距離が決まる。校正用ルックアップテーブルは記憶部168に記憶されている。距離指示座標(DIC)は、例えば、プロフィルデータのピーク領域に含まれるプロフィルデータの重心を決定する方法などの様々な方法で決定されるようになっている。
【0023】
一般的に、光学ペン120には、Z軸方向における最小の測距距離ZMINと最大の測距距離ZMAXによって規定された測定範囲Rがある。いくつかの周知光学ペンの例における測定範囲Rは、公称スタンドオフ(nominal standoff)またはペン端からの動作可能距離のおよそ1/10であること(例えば、数十ミクロンから数ミリメートルまでの範囲)が好ましい。
図1は、反射素子155を使用する場合に、その反射素子155(例えば、x軸)の配置によって規定される測定軸MA’に沿って測定範囲R’が定まることを示す。この場合、測定範囲R’は、X軸方向における最小の測距距離XMINと最大の測距距離XMAXによって規定される。
【0024】
電装部160は、通常、光学ペン120から分離して設けられている。カスタム設計されたブラケットを使用して、CMMに、
図1の光学ペン120に類似の光学ペンを取り付けて、また、光ファイバケーブル112に類似の光ファイバを、CMM装置の外部の仮設経路に沿って、電装部160に類似の遠隔の電装部に向けて配線することが知られている。自動交換可能なCRS光学プローブシステム装置を実現する望ましい構成の組合せが未だ提供されていなかったため、このような不十分で不便な方法が長年行なわれてきた。その結果、CMM’によるCRSシステムの使用が制限されてきた。
【0025】
図2,3A,3Bに基づいて説明すると、技術的、経済的に魅力的な自動交換型のCRS光学プローブシステム装置を可能とする望ましい構成の組合せを提供するためには、電装部160の一部分を、自動ジョイントコネクタを通してCMMに取り付けられるCRSプローブアセンブリ中に含めることが望ましい。例えば、本発明の一態様として、光源・波長検出器部160A(例えば、波長検出器162と光源164)の構成をCRS光学プローブアセンブリの中に含めるとよい。測定信号処理制御回路160B中のある構成成分のグループ(例えば、信号演算器166と記憶部168)を、必要であれば(例えば、プローブの軽量化とサイズのコンパクト化を維持するため)、CRS光学プローブアセンブリの外部に離設するとよい。
【0026】
図2は、三次元座標測定システム装置200と、自動的に接続・交換可能なCRS光学プローブシステム215のブロック図である。すなわち、CRS光学プローブシステム215を他のタイプのCMMプローブへ自動交換することができる。ここでは、CRS光学プローブシステムを単にCRS光学プローブと呼ぶ。別途明細書中に言及のない場合、複数の図面において同様の接尾文字を持っている符号(例えば、符号1XXと同じ接尾文字XXを持っている符号2XX)は、基本的に類似の構成とする。そして、類似する構成1XXの記載に基づいて構成2XXへ変更することは、一般に、周知技術から容易に類推される。しかし、そのような類推にもかかわらず、異なる実施形態においては様々な構成の異なった態様が当然存在するのは明らかであるから、本発明の構成が周知技術の1つに限定して解釈されるべきではない。
【0027】
三次元座標測定システム装置200は、三次元座標測定機(CMM)のコントローラ202、コンピュータ・ユーザインタフェース206、プローブ信号処理制御回路207、および、三次元座標測定機(CMM)210を備えている。CMMコントローラ202は、プローブヘッド制御装置203、位置ラッチ204、および、モーション制御装置205を含んでいる。CRS光学プローブ215は、自動交換ジョイント要素236を含み、プローブ自動ジョイント接続機構230(自動交換ジョイント接続機構とも呼ぶ。)の係合ジョイント要素を介して、CMM210に接続される。
【0028】
CMM210は、データ転送回線201(例えばバス)を通して、他の構成部分のすべてと信号授受を行う。データ転送回線201は、コネクタ208(例えば、「マイクロD」型コネクタ)によって、CRS光学プローブ215への入力信号および出力信号を流すプローブヘッドケーブル211につながっている。CRS光学プローブ215は、例えば、
図1で構成部分160Bについて説明したように、測定信号処理制御部260Bを含んだプローブ信号処理制御回路207に制御され、この制御回路207との間でデータ交換を行っているが、CMM210の制御はCMMコントローラ202が行っている。ユーザは、コンピュータ・ユーザインタフェース206を通して、全ての構成部分を制御できる。
【0029】
上述の
図3A,3Bに基づいて説明すると、CRS光学プローブ215はプローブ電装部275を含み、このプローブ電装部275は、光源・波長検出器部260A(例えば、
図1で構成部分160Aについて説明したように、光源および波長検出器を含む)、および、被測定面290に測定光296を照射する光学ペン220を含んでいる。特定の一態様としては、被測定面290をネジ穴の内面とした。そのような表面を周知のCMMプローブ(例えば、接触プローブ)を使って完全に、かつ信頼性よく測定することは、困難であるか、または不可能である。本発明のCRS光学プローブによれば、測定の完全性、正確性および汎用性が向上されたことにより、そのような表面を走査して測定できる。
【0030】
図5に基づいて説明すると、一実施形態として、光学ペン220、及び/又は、交換可能光学機構280に関するデータ(例えば、識別データ、校正データ、補償データなど)は、CRS光学プローブ215の外部(例えば、プローブ信号処理制御回路207)に格納することが好ましい。代替の態様として、そのようなデータの一部をCRS光学プローブ215中に格納、または、他のコードデータとして格納してもよい。
【0031】
図3A、3Bは、CMM210とCRS光学プローブ215’の構成図であり、
図2のCRS光学プローブ215の構成を具体的に示したものである。
図3Aは正面図であり、
図3BはCMM210とCRS光学プローブ215を異なった角度から見た図である。
図3Aと3Bで示されるように、CMM210はプローブヘッド213を含む。このプローブヘッド213は、プローブヘッドケーブル211を通してプローブ信号を送受信する。プローブヘッド213はCMMの主軸(クイル)217に固定されている。プローブ自動ジョイント接続機構230を利用して、プローブ215’がプローブヘッド213に接続される。
図6参考。
【0032】
プローブヘッド213は、一実施形態においては、水平面上を360度回転するとともに、適当なタイプのU字型ジョイントを含んでいる。プローブ自動ジョイント接続機構230は、プローブヘッド213にCRS光学プローブ215’を機械的に強固に締め付けて固定する電気機械型の接続機構になっており、プローブヘッド213からプローブを外して他のプローブを取り付けることができるように構成されている。一実施形態では、プローブ自動ジョイント接続機構230は、第1及び第2自動交換ジョイント要素234,236を有して構成され、この第1自動交換ジョイント要素234がプローブヘッド213に取り付けられ、第2自動交換ジョイント要素236がCRS光学プローブ215’に取り付けられている。一実施形態では、プローブ自動ジョイント接続機構230には、対になる電気的接点または電気的接続部235が形成されており、プローブを取り付ければ、自動的に電気的接点が繋がり電気的接続がなされるように構成されている。複数の実施形態では、この接続方法のために、CRSシステムに比較的多くの信号ノイズが発生してしまう。以下に詳述するが、その信号ノイズの影響を回避できる点で、比較的ノイズの多い環境でも有効に機能する本発明の機器構成およびその動作手順の利用が非常に有利であることが分かるであろう。
【0033】
CRS光学プローブ215’は、自動ジョイント接続機構230を通じて電源と制御信号を受ける。自動ジョイント接続機構230を通じてCRS光学プローブ215’に送られた信号は、後述の
図6に詳述するように電気的接続部235を通過する。
図3A、3Bに示すように、CRS光学プローブ215’は、プローブアセンブリ216と、このプローブアセンブリ216に取り付けられた自動交換ジョイント要素236とを含む。自動交換ジョイント要素236は、プローブ自動ジョイント接続機構230を利用してプローブをCMMに自動接続するためのものである。また、プローブ215’に防護カバーまたはプローブ筐体269(図には模式的に示した。)も含めた方がよい。プローブアセンブリ216は、光学ペン220と、光源264及び波長検出器262を有するプローブ電装部275とを含む。これらは、プローブアセンブリ216のもつ様々な構造部材によって全て支持されている。
【0034】
図3Aと3Bに示す実施形態では、自動交換ジョイント要素236に固定されたベース部材218から構造部材が延設されている。光学ペン220(または、光学ペン120に類似する光学要素)は、光ファイバコネクタ209と、アパーチャ295及び色分散光学系250を有する共焦点系の光路とを含んで構成され、測定光296を出力する。複数の実施形態では、光学ペン220は、色分散光学系250の交換を可能にするために、繰返し高速交換可能な交換マウント285を有すると良い。電動の光源264(例えば、広帯域スペクトルLED光源)へは、自動交換ジョイント要素を通じた電力を供給し、プローブ電装部275のプローブ電源・信号制御回路部276に含まれている周知回路(例えば、市販のクロマティック測距システムに使用の回路など)に連動させるとよい。複数の実施形態では、プローブ電装部275はシリアル変換器277Sを含み、このシリアル変換器277Sは、様々なデータ信号をシリアル化(直列化)して、自動ジョイント接続機構230における比較的少ない本数のワイヤを通じて、パラレル変換器(例えば、プローブ信号処理制御回路207に含める。)に伝達する。
【0035】
図3Aで示された実施形態では、シリアル変換器277Sは、プローブ電源・信号制御回路部276に含まれている。しかし、他の形態で、送信すべきシリアル化データの多くがCRS波長検出器262にて生成される測定スペクトルプロフィルデータである場合は、シリアル変換器277SをCRS波長検出器262に含めた方がよい。一般的には、シリアル変換器277Sは、プローブ電装部275の望ましい位置、すなわち、十分に低いノイズレベルとクロストーク特性を提供可能な位置に配置された方がよい。
【0036】
光源264は、CRS光学プローブアセンブリ216で必要な光を発生させる。その光は、光ファイバ212を通して光学ペン220に送られる波長域の入力スペクトルプロフィルを持っている。CRS波長検出器262には、分光器アレンジメント262’および検出器アレイ263に連動する周知回路(例えば、市販のクロマティック測距システムに使用される回路など)を含めてもよい。なお、検出器アレイ263は、CRS波長検出器262の検出軸に沿って分布された複数画素から構成され、これら複数画素へは、被測定面を反射して共焦点系の光路に戻った反射光のそれぞれの波長光が照射されて、CRS波長検出器262が出力スペクトルプロフィルデータを提供できるようになっている。
【0037】
以上のように、測定光を発生し、かつ、ワークからの反射光を処理する機能をCRS光学プローブアセンブリ216自体が発揮できるようにした本発明の構成によって、CRS光学プローブアセンブリ216の自己収容動作および自動交換動作が可能になった。結局、そのようなCRS光学プローブシステム装置は、CRS光学プローブアセンブリから自動ジョイントコネクタを通って外部素子までの光ファイバ接続も、自動ジョイントコネクタに平行して設けられるようなどんな他の仮設経路に沿った光ファイバ接続をも必要とせず、又は、含んでいない。言い換えると、そのようなCRS光学プローブアセンブリは、このCRS光学プローブアセンブリから外部に延びる光ファイバに接続されていないし、又は、そのような光ファイバを含んでいない。
【0038】
様々な実施形態では、プローブヘッド213から見てCRS光学プローブアセンブリ216の遠方端部に光学ペン220を取り付けることによって、CRS光学プローブアセンブリ216が構成される。
図3Aと3Bの実施形態では、CRS光学プローブ215’は、ベース部材218と、このベース部材218に連結された波長検出器取付部材219Aと、前記ベース部材218に連結された光学ペン取付部材219Bとを含む。光学ペン取付部材219Bは、波長検出器262を保持しないで、光学ペン220を保持している。これにより、光学ペン220から撓みや振動に関連する熱と質量を隔離することができる。複数の実施形態では、取付部材219A,219Bの一方又は両方が、ベース部材218からCRS光学プローブアセンブリ216の遠方端部に向けて延びる中空管(例えば、炭素繊維管)を含んでいるとよい。
【0039】
一実施形態では、光学ペン220の質量中心は、CRS光学プローブ215’の残りの質量中心CMPAとプローブ自動ジョイント接続機構230の中心軸CAJとによって定義された1本の軸上又はその付近に配置されている。その構成を利用してCRS光学プローブ215’を移動させれば、プローブヘッド213の円滑動作(例えば、不要な追加トルク、振動、たわみなどの回避)が可能になる。また、本発明の一態様として、光学ペン220の中心軸CAOP(例えば、測定用の基準軸)が自動交換ジョイント接続機構230の中心軸CAJと同軸になるように、光学ペン220がプローブ自動ジョイント接続機構230に相対して取り付けられている。また、そのような構成において、CMMがその軸周りにプローブ自動ジョイント接続機構230を回転させると、X-Y平面内の測定基準軸が横移動することなく、光学ペン220をその軸周りに回転させることができる。そのような構成であれば、例えば、機械的安定性の向上、CMMによる位置決めに対する光学ペン220の測定位置計算の簡素化などといった利点をもたらす。
【0040】
図4A,4Bは、上述の
図3A,3Bの光学ペン220の構成を具体的に示した図であり、これを用いて代表的な交換マウント285を含んだ実施形態を説明する。
図4Aと4Bで示された実施形態では、光学ペン220はベース部材282と交換可能光学機構280を含む。交換可能光学機構280は、前板286、中空管231および色分散光学系250を含む。光学ペンのベース部材282は、交換マウント285の第1係合片側部材285Aになる面を含んだベース筐体282Aを備えている。
【0041】
また、この表面に対応して、前板286は、交換マウント285の第2係合片側部材285Bになる面を含んでいる。一実施形態として、第1及び第2係合片側部材285A,285Bの一方又は両方に取り付けた永久磁石285Cによって形成された保持力アレンジメントで、第2係合片側部材285Bが、第1係合片側部材285Aに対して強制的に取り付けられる。より一般的には、保持力アレンジメントは、バネで付勢された機械的ツメ部などの公知機構を用いればよい。そのような構成によれば、第2係合片側部材285Bを、プログラム制御(例えば、コンピュータ・ユーザインタフェース206による制御)によって、第1係合片側部材285Aと自動的に接続したり、第1係合片側部材285Aから自動的に切り離したりすることができる。例えば、一実施形態では、光学ペン220にプログラム制御で誘導されるカラー232などを設けるとよい。これにより、CMMの移動可能範囲内のプローブ・ラック上に設けられた係合フォークの腕に光学ペン220を挿入できる。次に、CMMはCRS光学プローブ215’を移動して、係合フォークの腕がカラー232を引っ掛けて、プローブ・ラックに交換可能光学機構280を引っ掛けた状態にして、交換マウント285の2つの片側部材285A,285Bを分離できる。また、逆の動作を行なえば、交換可能光学機構280を再びベース部材282に取り付けることもできる。さらに、そのような構成によれば、ワークとの側部衝突の場合には、交換可能光学機構280がベース部材282から分離するから、交換可能光学機構280の破損を防ぐことができる。
【0042】
一実施形態では、交換マウント285は、第1の片側部材285Aに対して第1三角形パターン(例えば、正三角形)で固定された3つの球体又はボール285Dを含んでいるとよい。また、第2の片側部材285Bに対して同じ係合パターンで形成された3方向の放射状V溝285Eを含んでいるとよい。交換マウント285をこのように構成すれば、交換可能光学機構280からの横向きの測定光296について、その測定光の向きが軸回りに120度間隔の3つの方向の中から選択された向きになるように、交換可能光学機構280を取り付けることができる。上記の実施形態は代表的な構成ではあるが、本発明がこれに制限されるわけではない。他にも様々な周知の交換マウントの構成を採用してもよく、適切な取付・取外の反復特性を具備する交換マウントを提供できるだろう。
【0043】
交換可能光学機構280は、色分散光学系250(例えば、
図1の色分散光学系150に類似するもの)を含んでいる。一実施形態では、ベース部材282は、ファイバコネクタ261を通して、LED光源264および分光器アレンジメント262’に接続される光ファイバ212の端部を含んでいる。通常は、共焦点アパーチャ295を囲んだ状態で配置された交換マウント285の第1の片側部材285Aに相対する位置に固定された共焦点アパーチャ295付近に、光ファイバの端部が配置されている。複数の実施形態では、光ファイバの端部によって共焦点アパーチャ295が形成される。複数の実施形態では、共焦点アパーチャ295として、(例えば、光ファイバを支えるホルダーかコネクタ上で)光ファイバ端部に近接した位置に接着された薄いアパーチャ、または、光ファイバ端部に隣接した、薄いアパーチャを採用できる。
図4Aで示された実施形態では、ベース部材282は、光ファイバ保持部材(例えば、この実施形態のコネクタ209につながった光ファイバコネクタなど)を有する光ファイバ端部位置決め機構283を含む。そして、光ファイバ保持部材は、交換マウント285の第1の片側部材285Aに近接した位置にあるベース部材282に固定(例えば、接着)されている。
【0044】
本実施形態では、光ファイバ端部位置決め機構283は、光ファイバ(例えば、コネクタ209を通る光ファイバ)を保持する光ファイバ保持部材を有する。この光ファイバ保持部材は、交換マウント285の第1の片側部材285Aに相対する位置で光ファイバ端部と共焦点アパーチャ295とを固定する。しかしながら、他の実施形態では、共焦点アパーチャ295がベース部材282に固定され、これとは別々に、必要に応じた適当な光ファイバ端部位置決め機構283によって、光ファイバの端部が共焦点アパーチャ295に近接した位置に固定されるとよい。
【0045】
交換可能光学機構280は、共焦点アパーチャ295から測定光を受け、共焦点アパーチャ295へワークを反射した測定光を返す。そして、測定軸に沿ったそれぞれの測定距離での測定光の軸上色分散光を供給する。また、一実施形態では、色分散光学系250が、光学ペン220の軸に直交する方向(例えば、中空管231の中心軸を横切る方向など)に測定光を照射するための反射素子294を含む。
【0046】
図5は、
図2に示したコンピュータ・ユーザインタフェース206とプローブ信号処理制御回路207のブロック図である。
図5に示すように、プローブ信号処理制御回路207は、パラレル変換器277D、位置ラッチ515、CRSプローブID520および光学ペンID525を含む。プローブ信号処理制御回路207の各構成は、データ転送線201で互いに接続し、またコンピュータ・ユーザインタフェース206とも接続している。パラレル変換器277Dは、
図3Aのシリアル変換器277Sに連動して様々なデータ信号をシリアル化して、比較的わずかな数のワイヤからなる自動ジョイント接続機構230を通じてそれを伝達する。
【0047】
シリアル変換器277Sとパラレル変換器277Dは、複数の実施形態において使用する低電圧差動信号(LVDS)の利用に関連する。
図7参照。簡潔に言うと、シリアル変換器とパラレル変換器との同期を確実に実行するために、同期信号がシリアル変換器とパラレル変換器の間に提供されている。関連のデータ信号が信号線に供給された後、同期信号をオンした位置において、パラレル変換器の動作が完了するまで、対応する信号線にクロック信号(例えば、前のクロック信号と正反対のクロック信号など)が送られる。
【0048】
位置ラッチ515は、後述する
図7に示すXYZラッチ信号に関連する。簡潔に言うと、XYZラッチ信号は、CRS光学プローブの測定位置決め動作をCMMコントローラ202の測定位置決め動作に同期させるために供給される(例えば、
図2で説明したように)。一実施形態では、位置ラッチ515は、CMM210の座標位置が適切に同期するのを確実にするためにCMMコントローラ202の位置ラッチ204と交信する。言い換えれば、派生的な測定の全てについてその測定精度を確実に得るために、位置ラッチ515と位置ラッチ204を結合する。これにより、CMM機械座標(特定の測定中に、CRS光学プローブの位置を反映する)が、CRS光学プローブ測定(CRS光学プローブ位置に関連する測定)に適切に結合されるようになる。
【0049】
CRSプローブID520は、CRS光学プローブ215’を識別するために利用される。例えば、CRS光学プローブ215’に含まれていた識別素子から得られた識別信号を読み取って処理することによって識別する。また、光学ペンID525は、交換可能光学機構280を識別するために利用される。例えば、交換可能光学機構280に含まれていた識別素子から得られた識別信号を読み取って処理することによって識別する。CRS光学プローブ215’と交換可能光学機構280の適切な識別によって、CRS光学プローブ215’と交換可能光学機構280からの正確な動作およびその結果である正確な測定値を確認するために、適切な機器構成と校正データを利用することが可能になった。
【0050】
図6は、
図2のプローブヘッドケーブル211の断面図である。
図6で示されるように、プローブヘッドケーブル211は、保護管605と、シールテープ層610と、外側の電気的絶縁層615と、中心導体「1」及び内部絶縁層625を含む同軸ケーブル620と、を有する。追加導体2~14は、同軸ケーブル620を囲むように配置されている。これらの配置は、従来のレニショー(商標)の配置に従って、
図7に詳細に示すようになっている。
【0051】
図7は、
図6のプローブヘッドケーブル211、及び/又は、
図3Aと
図3Bに示された自動ジョイント接続機構230を使用できる1つの代表的な接続一覧表、及び/又は、信号一覧表を示したテーブル700である。「ワイヤ番号」の欄の接続番号は、別の説明がない限り、自動ジョイントピン(例えば、ある標準的なレニショー(商標)の自動ジョイント接続機器)に接続されるケーブル211のワイヤ番号を示す。
【0052】
テーブル700に示すように、本実施形態では、電源および信号の接地接続、低電圧差動信号(LVDS)シリアル変換器信号(SERDES+、SERDES-およびSERDES Lock/Sync)、分光器/検出器リセット用のCRS信号、CRS制御クロック信号、および、CRSデータ信号(例えば、I2Cクロック信号およびI2Cデータ信号)が様々なワイヤおよび接続された自動ジョイントピンに供給される。ある標準的な自動ジョイント、及び/又は、CMMコントローラの設計要求(例えば、あらゆる単一導体につないでも300mA以上は流れないなどの条件)を満たすために、多くのワイヤが、CRS-CMMプローブへの電源供給と併用されることになってもよい。例えば、それぞれ12V、300mAの2本のワイヤを使用すると、標準的な自動ジョイント、及び/又は、CMMコントローラの仕様内で、7.2ワットのデリバリング性能が得られる。
【0053】
一般に、様々な信号が、適当なワイヤ、及び/又は、自動ジョイントピンに送られる。シリアル変換器信号SERDES+,SERDES-は、パラレル変換器(直並列変換器)277Dおよびシリアル変換器277Sを接続する信号線/ピンを流れる。実験用、及び/又は、分析用として用いる際には、信頼できる信号伝送を提供する接続機構を選択し、及び/又は、これを確かめる必要がある。様々な実施形態では、
図7に示すように、内部シールドと外部シールドがCRS接地につなげられて、ワイヤ(COAX/1)がCRS検出器信号(すなわち、出力スペクトルプロフィルデータ又は測定信号であり、分光器のピクセル値信号を含むもの)を運ぶのに使用されることが、特に有利になる。CRSシステムでは、分光器信号が最小量の変形または追加ノイズを受けることが、比較的重要である。ケーブル211のCOAX部(すなわち、No.1ワイヤ)を利用することによって、信号劣化は最小量に抑えられ、その結果、分光器信号の送信用として信頼性のある接続機構を提供できる。
【0054】
LVDSシリアル変換器信号SERDES+、SERDES-に関して、これらの信号は、接地された3番目のワイヤ、および、その2本のワイヤを流れる。また、SERDES Lock/Sync信号は、追加ワイヤを流れる。シリアル化シーケンスに関して、一実施形態では、位置D0が検出器ピクセルクロック用である。位置D1は、スペクトルプロフィル測定データのプロフィル開始信号用である。位置D2は、分光器の準備完了信号用である。位置D3は、XYZラッチ信号用であり、例えば、
図5の位置ラッチ515に関して説明したように指定される。位置D4は、検出器温度アラーム用である。位置D5は、分光器温度アラーム用である。位置D6~D9は、未指定であり、この実施形態では明確に割り当てられていない。
【0055】
ある一態様として、LVDSシリアル変換速度に関して、最も速く利用可能なディジタル信号(例えば、数MHzの検出器ピクセルクロック信号)を利用してもよい。シリアル変換器は、比較的高速(例えば、検出器ピクセルクロックの2倍のレート)でディジタル信号を抽出できる。一実施形態では、LVDSシリアル変換器は、サンプリングサイクル毎に最大10のディジタル信号を抽出できる。次に、シリアル変換器は、非常に高速のレート(例えば、検出器ピクセルクロックの2倍のレート「10のディジタル信号+2つの同期ビット」)で結合した信号を送信できる。複数の実施形態で、そのレートは100MHz以上のビットレートになる。
【0056】
低電圧差動信号(LVDS)シリアル変換器の利用は、ポート数が限られている場合に特に有利になる。それは、限られたポート数のコネクタとして、標準的な自動ジョイントコネクタを採用できるからである。言い換えれば、標準的な自動ジョイントコネクタは、限られたポート数(例えば、13本のピン)しか提供できない。これに対して、標準的なCRSシステムは、コントローラと分光器を接続する際などには、かなり多くの導体(例えば、24個の導体)を利用する可能性がある。重要でない信号を避けることによって、導体の数を部分的に抑えることができる。しかしながら、残りの信号に関しては、
図7に説明されているように、LVDSシリアル変換器のテクニックによって、2本の信号線だけの使用でコントローラへより多くの信号を提供することができる。
【0057】
そのようなLVDSシリアル変換のテクニックは、自動交換ジョイント要素の2本の接続/導体だけを使用して、少なくとも3以上の異なった信号を供給できる。また、他の実施形態では、自動交換ジョイント要素の2本の導体だけを使用して、最大10のディジタル信号又はディジタル形式の情報を供給できる。差動信号がコモンモードノイズを無視するので、信号はロバストになる。そのテクニックは小出力(例えば、ある実施形態では、1Vオフセットを伴った+/-500mVで信号)で送ることができる。このことは、CMMプローブを適用する際に重要になる。高速を達成することができる(例えば、100MHzからGHzへの動作速度の飛躍)。信号は、比較的長いワイヤを流れる。適切な端部を備えていれば、例えば、数メートルのワイヤを利用できる。一実施形態では、LVDSシリアル化のテクニックにおいては、米国テキサス州ダラスのテキサス・インスツルメンツ社製のSN65LV1023型シリアル変換器とSN67LV1224型パラレル変換器を使用することができる。上記の信号通信プロトコル、又はプロトコルを示す他の周知のLVDSを使用できる。
【0058】
図8~17に詳細に示すように、技術的、経済的に魅力的な別の自動交換型CRS光学プローブシステム装置を実現する望ましい構成の組合せを提供するため、上述の光源・波長検出器部160A(例えば、波長検出器162と光源164を含む)の構成を自動ジョイントコネクタでCMMに係合されるCRS光学プローブアセンブリに含める代わりに、自動接続可能な自由空間型ファイバカップリング870を採用した。これによって、CRS光学プローブアセンブリ816で用いる光が、当該ファイバカップリング870に対し一定関係で取付けられた光学要素を経由して、当該ファイバカップリング870内の自由空間に伝播される。
【0059】
例えば、或る実施例では、光源・波長検出器部160A(例えば、波長検出器162と光源164を含む)の構成グループを、CRS光学プローブアセンブリから除き、代わりにCRS光学プローブアセンブリの外部に離設してもよい(例えば、軽量プローブ、プローブバランス及びコンパクトなプローブサイズを維持するため)。或る実施例では、光源・波長検出器部160Aの構成グループを、測定信号処理制御回路160Bと一緒に配置してもよい。或る実施例では、光源・波長検出器部160Aの構成グループを、CMMコントローラ(
図2のCMMコントローラ202参照)に配置してもよい。
【0060】
物理接触型ファイバカプラは、ファイバ表面の汚れを原因として、係合サイクルを繰り返した場合に破損しやすい。たとえ少量の埃でも、スループットの大損失に繋がる。従って、物理接触型ファイバカプラは、限られた回数しか動作サイクルを提供できない。一実施例では、自動接続可能な自由空間型ファイバカップリングを使用することによって、自動係合サイクルの回数が多く、汚れ(コンタミネーション)のリスクを軽減させたい場合に適した自動交換可能なCRS光学プローブシステム装置を提供する。
【0061】
図8は、座標測定システム装置800、および、自動接続と自動交換とが可能なCRS光学プローブシステム装置815を示す図である。すなわち、CRS光学プローブシステム装置815が、他のタイプのCMMプローブに自動的に交換される。この座標測定システム装置800は、CMMコントローラ802、コンピュータ・ユーザインタフェース806、プローブ信号処理制御回路807、および、三次元座標測定機(CMM)810を備え、コントローラ802は、プローブヘッド制御装置803、位置ラッチ804、および、モーション制御装置805を含んでいる。CRS光学プローブ815は、プローブアセンブリ816と自動交換ジョイント要素836を含み、プローブ自動ジョイント接続機構830(自動交換ジョイント接続機構とも呼ぶ。)の係合ジョイント要素、及び、自由空間型ファイバカップリング870の両方を介して、CMM810に接続される。
【0062】
CMM810は、データ転送回線801(例えばバス)を通して、他の構成部分と通信を行う。データ転送回線801は、コネクタ808(例えば、「マイクロD」型コネクタ)を介して、プローブヘッドケーブル811に接続され、CRS光学プローブ815との間で信号の授受を行なう。様々な実施例において、データ転送回線801は、コネクタ808’によってケーブル811’(例えば、以下の
図9に詳述するように)にも接続されており、CRS光学プローブ815との間での電源及び/又は通信の授受が追加的に又は代替的に行なわれる。CMM810の制御はCMMコントローラ802が行なっており、一方、CRS光学プローブ815は、プローブ信号処理制御回路807に制御され、また、この制御回路807との間でデータ交換を行っている(例えば、一実施形態では、プローブ信号処理制御回路が、上述の
図1の構成部分160A,160Bのように、光源・波長検出器部860Aと検出器測定信号処理制御部860Bを含んでいる)。ユーザは、全構成をコンピュータ・ユーザインタフェース806で制御してもよい。幾つかの実施形態では、光源・波長検出器部860A及び検出器測定信号処理制御部860Bが、プローブ信号処理制御回路807にではなく、
図8で破線の四角で表すように、CMMコントローラ802に含められてもよい。
【0063】
上述の通り、また
図9に詳細を示すように、CRS光学プローブ815は、自由空間ファイバカップリング870と、被測定面890に測定光896を照射する光学ペン820とを含む。特定の実施例では、
図2において説明したようなネジ穴の内面を被測定面890とした。
【0064】
図9は、
図8のCMM810及びCRS光学プローブ815の内のいくつかの構成要素の概略図である。同図に示すように、CMM810は、プローブヘッド813(
図9にはコネクタ部のみを示す)を含む。プローブヘッド813は、プローブヘッドケーブル811を通してプローブ信号を送受信し、
図2のプローブヘッド213と同様に構成される。プローブヘッド813は、プローブ自動ジョイント接続機構830において、プローブ815に接続される。プローブヘッドケーブル811は、上記の
図2,3A,3B,3A及び6のプローブヘッドケーブル211と同様に構成される。
【0065】
プローブヘッド813は、一実施形態においては、水平面内で360度回転するとともに、適当なタイプのU字型ジョイントを含んでいる。プローブ自動ジョイント接続機構830は、プローブヘッド813にCRS光学プローブ815を機械的に強固に締め付けて固定する電気機械型の接続機構になっており、プローブヘッド813からプローブを外して他のプローブを取り付けることができるように構成されている。一実施形態では、プローブ自動ジョイント接続機構830は、第1及び第2自動交換ジョイント要素834,836を有して構成され、この第1自動交換ジョイント要素834がプローブヘッド813に取り付けられ、第2自動交換ジョイント要素836がCRS光学プローブ815に取り付けられている。一実施形態では、プローブ自動ジョイント接続機構830には、対になる電気的接点または電気的接続部835が形成されており、プローブを取り付ければ、自動的に電気的接点同士が繋がり電気的接続がなされるように構成されている。
【0066】
加えて様々な実施例では、電動式自動接続機構830’が、CRS光学プローブ815との間での電源及び/又は通信の提供にも利用され、或いは、代替的に利用されている。この電動式自動接続機構830’が、CRS光学プローブ815をケーブル811’に連結する電気機械型の接続機構であってもよく、ケーブル811’からプローブを外して他のプローブを取り付けることができるように構成されている。電動式自動接続機構830’は、第1及び第2自動交換ジョイント要素834’,836’を含んでいてもよく、この場合は、第1自動交換ジョイント要素834’がプローブヘッド813に取り付けられ、第2自動交換ジョイント要素836’がCRS光学プローブ815に取り付けられる。一実施形態では、電動式自動接続機構830’には、対になる電気的接点または電気的接続部が形成されており、プローブを取り付ければ、自動的に電気的接点同士が繋がり電気的接続がなされるように構成されている。様々な実施例では、この接続機構が共に保持されるように、電動式自動接続機構830をキネマティックカップリング(運動学的連結器)にしてもよく、及び/又は、電動式自動接続機構830の第1及び第2自動交換ジョイント要素834’,836’の一方又は両方に磁石を含めてもよい。
【0067】
CRS光学プローブ815は、自動ジョイント接続機構830及び/又は電動式自動接続機構830’を通じて電源と制御信号を受ける。自動ジョイント接続機構830及び/又は電動式自動接続機構830’を通じてCRS光学プローブ815に送られた信号は、図
3A、図3Bに示すような1以上の接続機構235又は他のタイプの接続機構を介して渡すことができる。CRS光学プローブ815は、光学ペン820を含むペンアセンブリ(プローブアセンブリ)を備えている。
【0068】
様々な実施例において、電動式自動接続機構830’の利用の1つの格別な利点は、上述の問題に関連するもので、標準的な自動ジョイント接続機構830では、利用できる有線の接続線数が限られており、CRS光学プローブ815にはより多くの接続線が望まれ/利用できるとよい(例えば、電動式自動接続機構830’によって提供されるように)という問題に関する。様々な実施例では、標準的な電源及び/又は通信信号に加えて、CRS光学プローブ815が追加的な特徴/能力を備えている場合もある。そのため要求される追加の電源及び/又は通信信号が、電動式自動接続機構830’を通じて提供される。例えば、一実施例のCRS光学プローブ815が回転機構(例えば、
図8に示すように、光学ペン820の光学要素の回転、及び、これに応じた測定光の方向の回転に利用されるもの)を含む場合があり、電動式自動接続機構830’を、その回転機構への電源供給および/又は制御のための電源および/又は通信信号の提供に利用することができる。回転機構を含むCRS光学プローブ815の一例が、特許文献6(米国特許第8,817,240号公報)に記載されている。特許文献6が開示し説明しているように、一実施形態のCRS光学プローブ815は、光学要素を回転させる回転機構を含んでいてもよく、様々な実施例に係る回転機構は、その回転動作に必要な軸受、ギア及び/又はモータといった構成を含んでいてもよい。回転構成(例えば、モータ、回転エンコーダ等を含む)を光学ペン820の光学要素の回転駆動制御に利用する実施例では、その回転構成用の電源及び/又は制御信号を、電動式自動接続機構830’を通して提供することができる。
【0069】
図8に示すように、システム装置800は、自由空間型ファイバカップリング870を含む。この自由空間型ファイバカップリング870は、キネマティックカップリングであるとよい。
図9に示すように、自由空間型ファイバカップリング870の第1カップリング要素871は、第1クランプ873によってプローブヘッド813に固定されており、
自由空間型ファイバカップリング870の第2カップリング要素872は、第2クランプ874によってCRS光学プローブ815に固定されている。第1及び第2クランプ873,874の一方又は両方を、フローティングクランプ(浮動式クランプ)又はフレキシブルブラケットにして、例えば、自動カップリング動作中に第1カップリング要素871及び第2カップリング要素872の少なくとも一方に、ある程度の動きの自由度を与えてもよい。このようなクランプが、自動カップリング動作中における、自由空間型ファイバカップリング870の第1及び第2カップリング要素871,872の互いの位置合せ、及び、スナップ係合動作を容易にする。
【0070】
自動カップリング動作中に、電動式自動接続機構830’の第1及び第2自動交換ジョイント要素834’,836’が同じように位置決めされて連結することができ、また、プローブ自動ジョイント接続機構830の第1及び第2自動交換ジョイント要素834,836が同じように位置決めされて連結することができることが理解される。自動分離/切断工程中に、CRS光学プローブ815がプローブヘッド813から離れるようにするために、それぞれの要素は、引き離されて/分離されるように構成されてもよい。一度分離された後、続く自動連結工程の一部において、CRS光学プローブ815(又は、別のCRS光学プローブ)がプローブヘッド813に連結されるようにしてもよく、または、別のプローブヘッドに連結されるようにしてもよい。
【0071】
様々な実施例において、プローブ自動ジョイント接続機構830、電動式自動接続機構830’及び/又は自由空間型ファイバカップリング870のそれぞれは、互いにほぼ正確に位置決めされたカップリング面を有し、それぞれに長所がある(例えば、連結/分離の全体的メカニズムの簡素化/改良によって、連結/分離の工程を容易化することに関連するもの等)。様々な実施例では、CRS光学プローブ815の第2自動交換ジョイント要素836’及び/又は他の要素が、プローブヘッド813の自動連結/分離工程の一部としてCRS光学プローブ815と係合して移動するための移動機構(例えば、先端に係合要素及び/又は把持要素を有するロボットアーム)による把持、あるいは接触及び移動を容易にするための構成(例えば、凸部、凹部等、例えば側面にこれらの溝を設ける)を有するとよい。
【0072】
自由空間型ファイバカップリング870の第1カップリング要素871は、光源・波長検出器部860A(
図8参照)と連結する第1光ファイバケーブル812’に接続されている。第2カップリング要素872は、光学ペン820と連結する第2光ファイバケーブル812’’に接続されている。自由空間型ファイバカップリング870は、FC/APC(斜面状に研磨されたコネクタ、例えば、ファイバを8度又は9度の角度で研磨する)ファイバフェルールコネクタを含み、そのコネクタには、後方反射の低減を容易にする斜面付き接続機構(例えば4度の角度)が設けられているとよい。
【0073】
光学ペン820(光学ペン120に類似する)は、ファイバコネクタ809と、アパーチャ895および色分散光学系850を有する共焦点系の光路とを含み、測定光896を出力するように構成されてもよい。ある実施形態に係る光学ペン820は、
図4A,4Bでより詳細に説明記載したように、色分散光学系850の交換を可能にする繰返し高速交換可能な交換マウント885を含んでいる。
【0074】
図10は、
図8のシステム装置800に係る一実施形態の光学的接続経路のブロック図である。光学ペン820は、光ファイバコネクタ809と、交換可能な光学機構880とを含む。様々な実施例において、光ファイバコネクタ809は、筐体831の端部に取付け可能に構成されてもよい。また、これらに代わる実施例として、光ファイバコネクタ809が固定されたマウントに取り付けられ、光学機構880が回転機構に取付けられてもよい(例えば、特許文献6の実施形態の構成と同様に、交換可能光学機構が回転機構によって回転する、又は、他の構成のように、光学機構を回転させる回転機構を光学機構が備えている)。光ファイバコネクタ809は、内蔵された光ファイバケーブル812’’を通じて、入出力用光ファイバの1番目の端部(詳細は不図示)を保持している。入出力用光ファイバは、ファイバアパーチャを通して、光源光を出力し、反射光を受け取る。光源光および反射光は、
図1でより詳細に説明したように、測定値の取得に使用される。
【0075】
光ファイバケーブル812’’の2番目の端部は、自由空間型ファイバカップリング870の第2カップリング要素872の光ファイバコネクタ809’’に保持されている。光ファイバケーブル812’の1番目の端部は、自由空間型ファイバカップリング870の第1カップリング要素871の光ファイバコネクタ809’に保持されている。光源光および反射光は、自由空間型ファイバカップリング870内の自由空間に伝送される。光ファイバケーブル812’の2番目の端部は、波長検出器862、光源864、信号演算器866及び記憶部868を含んでいる電装部860のファイバカプラ861に連結されている。様々な実施例において、光ファイバカプラ861、波長検出器862及び光源864は、光源・波長検出器部860Aの一部として含まれるとよい。また、信号演算器866及び記憶部868は、検出器測定信号処理制御部860Bの一部として含まれるとよい(
図1から8の構成例と同様)。様々な実施例において、波長検出器862は、分光計または分光器アレンジメントを含み、その中の分散光学系(例えば回折格子)が、光ファイバケーブル812’経由の反射光を受光し、結果得られるスペクトル強度プロフィルを例えば検出器アレイ(
図1の検出器アレイ163参照)へ伝送する。波長検出器862は、関連する信号処理機能(例えば、ある実施形態での信号演算器866が提供する機能)、すなわち、プロフィルデータから検出器関連の誤差成分を取り除いたり補償したりする機能を備えていてもよい。このように、波長検出器862および信号演算器866の態様を統合してもよく、及び/又は区別をなくしてもよい。
【0076】
白色光光源864は、信号演算器866によって制御されており、光ファイバカップラ861(例えば、2×1光学カップラ)によって光ファイバケーブル812’に接続されている。上述したように、光が自由空間型ファイバカップリング870と光学ペン820を通過するときに、光学ペン820によって軸上色収差が付与されて、光の波長に応じて焦点距離が変化する。光ファイバを通って最も効率よく戻ってくる光の波長は、Z位置にある表面890上で合焦する波長である(
図1および
図8参照)。その後、波長依存性の反射強度光は、再び自由空間型ファイバカップリング870と光ファイバカップラ861を通過して、その光の一部が波長検出器862に向けられ(この構成では、例えば光の約25%が1×2光学カプラに向かう)、この波長検出器862は、検出器アレイ(
図1の検出器アレイ163参照)の測定軸に沿ってピクセルアレイ上に分布されたスペクトル強度プロフィルを受光し、対応するプロフィルデータを提供するように動作する。上記の特許文献の詳細な記載及び
図1での説明を参照できる。
【0077】
図11は、
図8の自由空間型ファイバカップリング870の内のいくつかの構成を概略的に示した図である。光ファイバケーブル812’’の2番目の端部は、自由空間型ファイバカップリング870の第2カップリング要素872の光ファイバコネクタ809’’に保持される。光ファイバケーブル812’の1番目の端部は、自由空間型ファイバカップリング870の第1カップリング要素871の光ファイバコネクタ809’に保持される。自由空間型ファイバカップリング870は、キネマティックマウント879のキネマティックカップリング面878において連結および分離をする。
【0078】
光源側の第1カップリング要素871は、色収差補正レンズを含んだレンズシステム850’を有して、可視光スペクトルを伝送することができる。図示のように、レンズシステム850’は、コリメートレンズ852’と合焦レンズ853’を含む。コリメートレンズ852’は、光ファイバコネクタ809’に固定された光ファイバケーブル812’のファイバ出力を集めて、これをコリメートして(平行光にして)合焦レンズ853’に導光する。合焦レンズ853’は、コリメート光を合焦して光ファイバコネクタ809’’に固定された光ファイバケーブル812’’の光ファイバに入れる。レンズシステム850’は、例えば、ファイバ・コアの汚れや埃を防止することで、光ファイバケーブル812’のファイバを保護している。センサ側の第2カップリング要素872は、光ファイバケーブル812’’のファイバを保護する保護ガラス窓858’を有する。合焦レンズ853’によって伝送された光は、保護ガラス窓858’を通って、光ファイバケーブル812’’に入る。当業者であれば、レンズが、第1の方向に進む光に対してはコリメートレンズとして作用し、第2の方向に進む光に対しては合焦レンズとして作用することを認識できるだろう。例えば、反射光は、光ファイバケーブル812’’の光ファイバを通って、保護ガラス窓858’から合焦レンズを経由して戻り、ここで、合焦レンズは、反射光に対してはコリメートレンズとして作用し、反射光を平行光にしてコリメートレンズ852’に入れる。コリメートレンズ852’は、反射光に対しては合焦レンズとして作用し、反射光を合焦して光ファイバケーブル812’のファイバに入れるように作用する。
【0079】
光ファイバコネクタ809’,809’’は、図示のように、FC/APCファイバフェルールコネクタであり、レンズシステム850’の軸に対して角度857’を成すように構成され、例えば4度の角度で光ファイバケーブル812’,812’’のファイバを固定することができる。この構成によりシステム装置800の後方反射の低減が容易になる。
【0080】
図11の構成例では、キネマティックマウント879のキネマティックカップリング面878は、凡そ合焦レンズ853’の位置、又は、合焦レンズ853’と光ファイバケーブル812’’のファイバとの間に位置している。加えて、第1カップリング要素871及び/又はレンズシステム850’の端面878’を、合焦レンズ853’と光ファイバケーブル812’’のファイバとの間に配置してもよい(例えば、端面878’を、キネマティック面878と平行にして、また、第1カップリング要素871及び/又はレンズシステム850’の端部又は端面の位置に合わせてもよい)。以下により詳しく説明するように、カップリング面878及び/又は端面878’を、合焦レンズ853’と光ファイバケーブル812’’のファイバとの間に位置決めすることによって、傾きに対して感度が低く、かつ、Z位置(軸方向)の依存性が低い、という特性のキネマティックカップリングを構成することができる。
【0081】
図11に示すように、レンズシステム850’は、光源又はCMM(CMM810参照)側の第1カップリング要素871の中に配置される。デカップリング(分離)面878は、合焦レンズ853’の位置に設けられる。又は、デカップリング面878は、合焦レンズ853’と、センサ又はCRS光学プローブ(CRS光学プローブ815参照)側のファイバケーブル812’’と、の間に配置される。このような構成によって、1つのCMM810に多くの異なったCRS光学プローブ815を使用する場合においても、必要なレンズシステムは1つだけでよく、コスト軽減が容易になる。しかし、当業者であれば、ある実施形態において、レンズシステム850’を、上記に代えて、センサ又はCRS光学プローブ815側の第2カップリング要素872の中に配置して、デカップリング面878及び/又は端面878’が、レンズシステム850’と、光源又はCMM810側のファイバケーブル812’との間に配置されるようにしてもよいことを容易に認識するだろう。より一般的に言うと、その構成を反転させてもよい(例えば、
図8及び
図9の実施例は、
図10、
図11及び
図16に示す向きの構成を含むものの代表と言えるし、或いは、
図8及び
図9の実施例は、レンズシステム850’及びこれに属する構成が光ファイバケーブル812’’側にあるような逆向きの構成を含んでいてもよい)。
【0082】
図12A,12Bは、典型的なキネマティックマウント879の詳細図である。
図12Aは、キネマティックマウント879のセンサ側のカップリング879’’を示し、
図12Bは、キネマティックマウント879の光源側のカップリング879’を示す。図示のように、センサ側のカップリング879’’は、3つのボールベアリング891を有し、光源側のカップリング879’において対応する3つのV型溝892と噛み合う。光源側のカップリング879’には、対応する3つの磁石が、それぞれのV型溝892の近く、かつ半径方向内側に配置されており、ボールベアリング891を有するセンサ側のカップリング879’’の表面との磁気的カップリング(すなわち、キネマティックカップリングの一部として)に作用する(すなわち、図示された構成中のそれぞれのボールベアリング891からちょうど半径方向内側の位置の表面と磁気的にカップリングする)。ボールベアリング891及びV型溝892は、キネマティックマウント879が連結する際に、光源側のカップリング879’とセンサ側のカップリング879’’とが正しく位置決めされるように配置されている(例えば、ボールベアリング891とV型溝892との隙間を不均一にすることで、使用できるカップリング位置を1つに限定できる)。様々な実施例として、他のタイプのキネマティックマウント(例えば円錐形マウント)も採用できる。
【0083】
図13は、(例えば、従来のシステム構成の代表として)ファイバカップリング1370のレンズシステム1350の実行可能な1つの構成を示す。
図13において、キネマティックマウント1379のカップリング面1378は、コリメートレンズ1352と合焦レンズ1353の間に配置される(カップリング面の両側にレンズとファイバがあるようなファイバカップリング構成において、従来のカップリング面の代表的な配置を示す)。
図13の構成では、光軸の傾きに対するスループット感度が高くなってしまっている。
【0084】
図14,15は、
図8の自由空間型ファイバカップリング870のレンズシステム850’の典型的な構成を示す。
図14では、キネマティックマウント879のカップリング面878は、合焦レンズ853’と光ファイバケーブル812’’のファイバとの間に配置されている。様々な実施例において、カップリング面878の位置とは、第1カップリング要素871の端面878’及び/又はレンズシステム850’の端面878’(例えば
図11)の位置を表す。従って、そのような構成は、カップリング面878及び/又は端面878’側(例えば、光ファイバケーブル812’のファイバ側)に両レンズ852’,853’を有するが、カップリング面878及び/又は端面878’の反対側(例えば、光ファイバケーブル812’’のファイバ側)にはレンズを有していない。
【0085】
そのような構成は、
図13の構成と比べて、光軸の傾きに対してより低く/改善されたスループット感度を有する。また、Z位置依存性に対する低いスループット感度を有する。また、断面方向のXY位置の許容誤差に対して適度な感度を有する。傾きに対する感度の低減とファイバ断面のXY位置に対する感度との間にはトレードオフの関係があり、
図13の構成と比べると、結果として
図14の構成全体のスループット性能が改善される。
図15の構成は、合焦レンズ853’と光ファイバケーブル812’’のファイバとの間に配置された保護ガラス(保護ガラス窓858’)を含んでいるという点で
図14と異なっている。この保護ガラス窓858’に反射防止膜を設けてもよい。
【0086】
図16は、
図8のシステム装置の典型的な自由空間型ファイバカップリングについて、そのキネマティックマウントのアライメント(位置合わせ)機構を示している。図示のように、1以上の止めネジ899を調整することで、レンズ852’,853’に対する光ファイバケーブル812’,812’’のファイバのアライメントが行われるようになっている。その他のアライメント機構も採用できる。アライメントが設定されると、そのキネマティックマウントは、自由空間型ファイバカップリング870における高度の反復性と自動化性を備えたカップリング機構になる。
【0087】
図17のフローチャートは、本実施形態に係る自動交換型CRS光学プローブの提供および動作のためのルーチン1700を示す。ブロック1710では、CRS光学プローブを含むシステム装置が提供され、このCRS光学プローブはプログラム制御下でCMMへ自動的に接続されるように構成されている。CRS光学プローブは、自動交換ジョイント要素およびCRS光学プローブアセンブリを含む。自動交換ジョイント要素は、標準的な自動交換ジョイント接続機構を介してCMMに取り付けられる。CRS光学プローブアセンブリは、その自動交換ジョイント要素に取り付けられて、CMMへの自動接続が可能になっている。このシステム装置は、自由空間型ファイバカップリングを含んでいて、CRS光学プローブアセンブリで用いられ光の光路を提供する。CRS光学プローブアセンブリは、光学ペンを含んでいる。前述の通り、様々な実施形態では、光学ペンは、色分散光学系を含んで形成される共焦点系の光路を有し、波長の異なる光をワーク被測定面の近傍の測定軸に沿った異なる距離において合焦させるように構成されている。自由空間型ファイバカップリングによって伝送された光は、光学ペンに送られる波長域の入力スペクトルプロフィルを持っている。
【0088】
ブロック1720では、CRS光学プローブが、自動交換ジョイント要素を介し、および、自由空間型ファイバカップリングを介して、CMMに接続される。CRSプローブアセンブリに、自動交換ジョイント接続機構を介して所定の電源および制御信号が提供されるようにしてもよい。また、測定光は、自由空間型ファイバカップリングを介してCRSプローブアセンブリに提供される。
【0089】
ブロック1730では、CMMを使って、光学ペンをワーク表面に対して測定動作可能な位置に配置し、CRS光学プローブの測定動作が実行される。ここで、測定動作に使用する光は、自由空間型ファイバカップリングを介して送出され、また送り戻される。
【0090】
以上説明した様々な実施形態の他にも、ここに開示された発明の構成および動作手順に基づく、多くの変形例がある。例えば、上述の実施形態では、制御信号及びデータ信号が、プローブ自動ジョイント接続機構230/830及び/又は電動式自動接続機構830’を流れる信号形式で出力されることを強調したが、信号の一部又は全部を無線で伝えて、プローブ自動ジョイント接続機構230/830及び/又は電動式自動接続機構830’を迂回するようにしてもよい。このように本発明の趣旨およびその範囲から逸脱しない範囲で様々な変形例が可能となる。
【0091】
また、自由空間型光ファイバカップリングは、第1カップリング要素および第2カップリング要素を有し、互いに着脱可能に連結するように構成されていてもよい。第1カップリング要素は、第1光ファイバケーブルの光ファイバを経由して座標測定機(CMM)の光源・波長検出部に連結するように構成された第1光ファイバコネクタを有していてもよく、また、CMMのプローブヘッドに取り付けられるように構成されてもよい。第2カップリング要素は、第2光ファイバケーブルの光ファイバを経由してクロマティックレンジセンサ(CRS)光学プローブの光学ペンに連結するように構成された第2光ファイバコネクタを有していてもよく、また、CRS光学プローブに取り付けられるように構成されてもよい。第1および第2カップリング要素のうちの一方は、1組の光学レンズを含み、この1組の光学レンズは、第1光ファイバケーブルの光ファイバが受光した光をコリメートし、当該コリメートされた光を合焦して第2光ファイバケーブルの光ファイバの中に入れるように構成されてもよい。さらに、この1組のレンズは、第2光ファイバケーブルの光ファイバが受光した反射光をコリメートし、当該コリメートされた反射光を合焦して第1光ファイバケーブルの光ファイバの中に入れるように構成されてもよい。
【0092】
また、第1カップリング要素は、第1キネマティックカップリングを含み、第2カップリング要素は、第1キネマティックカップリングと噛合うように構成された第2キネマティックカップリングを含んでいてもよい。さらに、第1カップリング要素は、1組の光学レンズを含み、第1および第2キネマティックカップリングのキネマティックカップリング面は、合焦レンズと第2光ファイバケーブルの光ファイバとの間に位置していてもよい。
【0093】
また、第1光ファイバコネクタおよび第2光ファイバコネクタは、ファイバフェルールコネクタであってもよい。また、第1光ファイバコネクタおよび第2光ファイバコネクタは、斜面状に研磨されたコネクタであってもよい。また、第1光ファイバコネクタは、レンズシステムの軸に対して或る角度を成すように第1光ファイバケーブルの光ファイバを固定するように構成されていてもよい。その角度を例えば4度にするとよい。
【0094】
また、第1カップリング要素は、1組の光学レンズを含み、第2カップリング要素は、第2光ファイバケーブルの光ファイバを保護するように構成されたガラス窓を含んでいてもよい。そのガラス窓が反射防止膜を有していてもよい。
【0095】
また、1組のレンズは、収差補正レンズシステムを含んでいてもよい。また、1組のレンズは、第1光ファイバケーブルの光ファイバを保護するように構成されていてもよい。
【0096】
また、クロマティックレンジセンサ(CRS)光学プローブは、光学ペンと、当該光学ペンと連結した光ファイバケーブルとを有してもよい。光学ペンは、少なくとも共焦点アパーチャおよび色分散光学系を含む共焦点系の光路を有し、波長の異なる光をワーク被測定面の近傍の測定軸に沿った異なる距離において合焦させるように構成されていてもよい。CRS光学プローブは、光ファイバケーブルに連結され、かつ当該CRS光学プローブに取り付けられている自由空間型光ファイバカップリングのカップリング要素を有していてもよい。そのカップリング要素は、これに対応する座標測定機(CMM)のプローブヘッドに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングのカップリング要素の合焦レンズによって、自由空間に伝送された合焦光を受光するように構成されていてもよい。また、CRS光学プローブは、自動交換ジョイント接続機構を介してCMMに取付可能な自動交換ジョイント要素を有していてもよい。
【0097】
また、CRS光学プローブのカップリング要素は、自動交換ジョイント要素に取り付けられてもよい。
【0098】
また、CRS光学プローブのカップリング要素及びこれに対応するカップリング要素を、互いに係合するキネマティックカップリングで構成してもよい。また、CRS光学プローブのカップリング要素に、光ファイバケーブルの光ファイバを保護するように構成されたガラス窓を含めてもよい。そのガラス窓に反射防止膜を設けてもよい。
【0099】
また、CRS光学プローブは、色分散光学系を有する交換可能な光学要素を含んでいてもよい。
【0100】
また、CMMは、光生成回路構成、波長検出回路構成、CMM制御回路構成、光生成回路構成と波長検出回路構成に連結された光ファイバケーブル、及び、CRS光学プローブの自動交換要素に連結されるように構成された自動交換ジョイント接続機構を有するプローブヘッド、を備えているとよい。CMMは、プローブヘッドに取付けられた自由空間型ファイバカップリングのカップリング要素を含んでいてもよい。カップリング要素は、光ファイバケーブルに連結され、1組のレンズを含む自由空間レンズシステムを有する。このレンズシステムは、光ファイバケーブルによって受光された光をコリメートし、コリメートされた光を合焦し、CRS光学プローブの対応するカップリング要素の光ファイバケーブルのファイバの中に入れるように構成されていている。
【0101】
自由空間型ファイバカップリングのカップリング要素を、互いに係合するキネマティックカップリングで構成してもよい。自由空間型ファイバカップリングのキネマティックカップリング面の位置を、レンズシステムの側面であって、光ファイバケーブルとの連結側とは反対側の側面の位置にしてもよい。レンズシステムを、収差補正レンズシステムで構成してもよい。
【0102】
また、システム装置は、CMMとCRS光学プローブとを備えていてもよい。CMMは、光生成回路構成と、波長検出回路構成と、CMM制御回路構成と、自動交換ジョイント接続機構を有するプローブヘッドと、当該プローブヘッドに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングの第1カップリング要素と、を備えているとよい。CRS光学プローブは、少なくとも共焦点アパーチャおよび色分散光学系を含む共焦点系の光路を有している光学ペンを含んでいてもよい。この光学ペンは、波長の異なる光をワーク被測定面の近傍の測定軸に沿った異なる距離において合焦させるように構成されている。また、CRS光学プローブは、CRS光学プローブに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングの第2カップリング要素と、自動交換ジョイント接続機構を介してCMMに取り付けられる自動交換ジョイント要素と、を含んでいてもよい。また、自由空間型光ファイバカップリングの第1及び第2カップリング要素の一方は、1組のレンズを有する自由空間レンズシステムを含み、また、第1及び第2カップリング要素の他方は、その1組のレンズによって自由空間に伝送された合焦光を受光するように設けられてもよい。
【0103】
第1カップリング要素は、第1キネマティックカップリングを含み、第2カップリング要素は、第1キネマティックカップリングと噛み合う第2キネマティックカップリングを含んでいてもよい。第1カップリング要素は、第1及び第2キネマティックカップリングのキネマティックカップリング面とともにレンズシステムを含み、当該キネマティックカップリング面が、レンズシステムと第2カップリング要素の光ファイバとの間に配置されていてもよい。
【0104】
第1カップリング要素及び第2カップリング要素をファイバフェルールコネクタで構成してもよい。第2カップリング要素は、光ファイバを保護するように構成されたガラス窓を含んでいてもよい。レンズシステムは、収差補正レンズシステムを含んでいてもよい。
【0105】
幾つかの実施例に係る方法は、CMMがCRS光学プローブに自動的にカップリングする自動カップリング工程を含んでいる。その自動カップリング工程は、CRS光学プローブの自動交換ジョイント要素をCMMの自動交換ジョイント接続機構に取り付ける取付工程と、CMMに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングの第1カップリング要素をCRS光学プローブに取り付けられた自由空間型光ファイバカップリングの第2カップリング要素に接続する接続工程と、を含んでいる。自由空間型光ファイバカップリングのカップリング要素の内の1つは、1組の光学レンズを含んでいる。CMMを使って光を発生させる。発生光が、自由空間型光ファイバカップリングを介してCRS光学プローブまで伝送される。1組の光学レンズが、CMMによる発生光をコリメートし、当該コリメート光を合焦して自由空間型光ファイバカップリングの第2カップリング要素の光ファイバの中に入れる。CRS光学プローブからの反射光が、自由空間型光ファイバカップリングを介してCMMまで伝送される。1組の光学レンズが、反射光をコリメートして、当該反射光を合焦して自由空間型光ファイバカップリングの第1カップリング要素の光ファイバの中に入れる。ここで、CMMに伝送された反射光に基づいて測定データが生成されるようにしてもよい。また、自由空間型光ファイバカップリングの第1カップリング要素が1組の光学レンズを含んでいてもよい。
【0106】
本発明には以上説明した様々な実施例形態の他にも、ここに開示された発明の構成および動作手順に基づく、多くの変形例がある。例えば、ここに開示されたCMMは、どのようなタイプの従来型CMMであってもよく、及び/又は、座標値の決定に光学プローブを利用するどのような他のタイプの機器であってもよい(例えば、光学プローブを利用するロボットプラットフォーム等)。他の例として、ここに開示されたCRS光学プローブに加えて、他のタイプの光学プローブをここに開示されたシステム装置及び構成に利用することもできる(例えば、他の非接触式の白色光光学プローブを利用する場合も、同様に、ここに開示された自由空間型光ファイバカップリングを介して光をその光学プローブに伝送することができること等)。