(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】光学積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20241216BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20241216BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
(21)【出願番号】P 2021003363
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩二
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徹
【審査官】南川 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-224423(JP,A)
【文献】特開2009-258661(JP,A)
【文献】特開2016-224392(JP,A)
【文献】特開2010-079239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 7/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸湿性フィルムと液晶硬化層とを含む位相差積層体を加湿する工程と、
偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に積層された樹脂フィルムとを有する偏光板に、粘着剤層を介して前記位相差積層体を貼合した積層体を得る工程と、
をこの順に含
み、
前記吸湿性フィルムを剥離する工程をさらに含む、光学積層体の製造方法。
【請求項2】
前記吸湿性フィルムは、セルロース系樹脂を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記偏光板は、前記偏光フィルムの一方の面に前記樹脂フィルムが積層されており、
前記積層体を得る工程において、前記偏光フィルムの他方の面に前記位相差積層体が積層される、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記積層体を得る工程の後に、前記積層体を巻き取る工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記吸湿性フィルムを剥離する工程は、前記巻き取る工程の後に実施される、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記加湿する工程において、前記吸湿性フィルムの含水率が温度20℃以上80℃以下、相対湿度45%以上の環境下での平衡水分率に達するまで加湿する、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置に使用される偏光板としては従来、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムにトリアセチルセルロース(TAC)からなる保護フィルムを接着剤により貼合したものが一般的に用いられている。近年では、薄膜化、耐久性、コスト、生産性等の観点から、TAC以外の樹脂からなる保護フィルムも使用されるようになっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
偏光板の一方の面には、位相差層及び粘着剤層が積層されることがある。このような偏光板を含む光学積層体には薄型化が求められているが、薄い光学積層体、特に長尺状の光学積層体から切り出すことによって得ることができる光学積層体の枚葉体は、弓なりに反る変形を生じやすい。本明細書では、この変形を「カール」ともいう。
【0005】
カールを抑制するためには、従来、光学積層体をプロテクトフィルムとセパレートフィルムで挟んで切り出した枚葉体を調湿室で加湿する方法が行われている。偏光板を加湿することで、光学積層体のカールを調整することができる。しかしながら、プロテクトフィルム及びセパレートフィルムとしては、透湿性の低いフィルムが用いられることが多く、偏光板を加湿するために長時間を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、光学積層体のカール調整を効率的に行うことができる光学積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に例示する光学積層体の製造方法を提供する。
[1] 吸湿性フィルムと液晶硬化層とを含む位相差積層体を加湿する工程と、
偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に積層された樹脂フィルムとを有する偏光板に、粘着剤層を介して前記位相差積層体を貼合した積層体を得る工程と、
をこの順に含む、光学積層体の製造方法。
[2] 前記吸湿性フィルムは、セルロース系樹脂を含む、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記偏光板は、前記偏光フィルムの一方の面に前記樹脂フィルムが積層されており、
前記積層体を得る工程において、前記偏光フィルムの他方の面に前記位相差積層体が積層される、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記積層体を得る工程の後に、前記積層体を巻き取る工程を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記巻き取る工程の後に、前記吸湿性フィルムを剥離する工程をさらに含む、[4]に記載の製造方法。
[6] 前記加湿する工程において、前記吸湿性フィルムの含水率が温度20℃以上80℃以下、相対湿度45%以上の環境下での平衡水分率に達するまで加湿する、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光学積層体の製造方法において、効率的に光学積層体のカールを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る光学積層体の製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る光学積層体の製造方法は、
吸湿性フィルムと液晶硬化層とを含む位相差積層体を加湿する工程と、
偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に積層された樹脂フィルムとを有する偏光板に、粘着剤層を介して前記位相差積層体を貼合した積層体を得る工程と、
をこの順に含む。
【0011】
吸湿性フィルムと液晶硬化層とを含む位相差積層体を予め加湿し、粘着剤層を介して偏光板に貼合すれば、吸湿性フィルムの水分が偏光板に移動し、短時間で偏光板を加湿することができる。粘着剤層及び液晶硬化層は、吸湿性フィルムから偏光板への水分の移動を妨げにくい。従来は、プロテクトフィルム、偏光板、液晶硬化層及びセパレートフィルムが積層された後に、光学積層体を3~7日間加湿環境下に置くことで偏光板を加湿していた。本発明に係る方法によれば、プロテクトフィルム及びセパレートフィルムに挟まれた光学積層体を長期間かけて調湿する必要がない。例えば偏光板に液晶硬化層を貼合してから液晶硬化層上にセパレートフィルムを貼合させるまでの数時間から数日程度の従来の保管期間で、偏光板への充分な加湿を実現できる。セパレートフィルムを貼合する工程で吸湿性フィルムを剥離したとしても、従来の方法でプロテクトフィルム及びセパレートフィルムに挟まれた光学積層体を加湿するよりも、偏光板への加湿量(偏光板の水分率)を高めることができる。
【0012】
偏光板の加湿により、光学積層体のカールを調整することができる。プロテクトフィルムが積層された光学積層体であっても、枚葉体にするとカールが生じやすい。光学積層体のカールには、「正カール」及び「逆カール」の2種類がある。光学積層体において、「正カール」とはプロテクトフィルム側の面を凹とするカールであり、「逆カール」とはプロテクトフィルム側の面を凸とするカールである。逆カールが生じていると、光学積層体の枚葉体をその粘着剤層を介して液晶セル、有機EL素子等の画像表示素子に貼合する際、貼合ミスを生じたり、粘着剤層と画像表示素子との界面に気泡が混入したりする不具合を起こしやすくなる。
【0013】
光学積層体のカールは、上述の「正カール」及び「逆カール」という分類とは別に、「MDカール」及び「TDカール」という2種類に分類することができる。「MDカール」とは、光学積層体の枚葉体が切り出される長尺状光学積層体のMD方向と平行な方向の応力(収縮力、膨張力等)に起因して生じるカールである。「TDカール」とは、光学積層体の枚葉体が切り出される長尺状光学積層体のTD方向と平行な方向の応力(収縮力、膨張力等)に起因して生じるカールである。MD方向とは、フィルムの機械流れ方向、すなわちフィルムの長手方向を意味し、TD方向とは、MD方向に直交する方向を意味する。
【0014】
偏光フィルム、特にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸してなる偏光フィルムは、吸湿すると膨張する性質を有し、特にTD方向に膨張しやすい。偏光フィルムの加湿により、光学積層体のTDカールを調整することができる。正カール/逆カールは、光学積層体内での偏光フィルムの位置を変更することにより調整できる。
【0015】
TDカールは、具体的には、後述する実施例の項の記載に従って測定用サンプル(枚葉体)を長尺状の光学積層体から切り出し、該測定用サンプルを凹側の面を上にして水平な台の上に置いたとき、測定用サンプルの2つの対角線のうち、測定用サンプルの偏光板の吸収軸方向との角度が大きい方の対角線上の2つの角が持ち上がるようなカール(吸収軸方向のカール)としてその大きさを測定することができる。長尺状のプロテクトフィルム付偏光板において偏光板の吸収軸方向とプロテクトフィルムのMD方向とが平行であるとき、MDカールは、測定用サンプルの2つの対角線のうち、長尺状光学積層体のMD方向との角度が大きい方の対角線上の2つの角が持ち上がるようなカールとして測定することができる。
【0016】
<光学積層体>
本発明に係る光学積層体は、偏光板(直線偏光板)と、1層以上の液晶硬化層と、粘着剤層とを含む。1層以上の液晶硬化層を含む光学積層体は、カールが発生しやすくなるが、本発明によれば、短時間でカールを所望の値に調整することができるため、効率的に光学積層体を製造することができる。光学積層体は、例えばプロテクトフィルム、偏光板、粘着剤層、液晶硬化層及び吸湿性フィルムをこの順に備える。光学積層体の他の一例は、プロテクトフィルム、偏光板、粘着剤層、液晶硬化層、粘着剤層及びセパレートフィルムをこの順に含む。
【0017】
光学積層体は、長尺物であってもよいし枚葉体であってもよい。本明細書において「枚葉体」とは、より大きいサイズのフィルム(例えば、長尺状(帯状)のフィルム)から切り出されたより小さいサイズのフィルムをいう。
【0018】
長尺状である光学積層体の長さは、例えば100m以上20000m以下であり、好ましくは1000m以上10000m以下である。長尺状である光学積層体の幅は、例えば0.5m以上3m以下であり、好ましくは1m以上2.5m以下である。
【0019】
枚葉体である光学積層体のサイズ、形状及び切り出し角度は特に制限されない。光学積層体の枚葉体は、好ましくは方形形状であり、より好ましくは長辺と短辺とを有する方形形状である。この方形形状は好ましくは長方形である。枚葉体の形状が長方形である場合において、長辺の長さは、例えば50mm~300mmであり、好ましくは70mm~150mmである。短辺の長さは、例えば30mm~200mmであり、好ましくは40mm~100mmである。
【0020】
特に制限されるものではないが、枚葉体の形状が長方形である場合、これをプロテクトフィルム側からみたとき、その長辺及び短辺に対して偏光板の吸収軸方向が45度の角度をなしていてもよい。枚葉体の形状が長方形である場合、これをプロテクトフィルム側からみたとき、その長辺に対して偏光板の吸収軸方向が平行であってもよく、又は90度の角度をなしていてもよい。
【0021】
光学積層体の枚葉体をその粘着剤層を介して液晶セル、有機EL素子等の画像表示素子に貼合する場合、枚葉体は、好ましくは後述する実施例の項の記載に従って測定される逆カールを有しておらず、より好ましくは正カール量が20mm以下であるか、又はカールを有さずフラットな状態であり、さらに好ましくは正カール量が10mm以下であるか、又はカールを有さずフラットな状態であり、特に好ましくは正カール量が5mm以下であるか、カールを有さずフラットな状態である。光学積層体は、セパレートフィルムを有する構成又は有しない構成においてカールの状態が上記のとおりであることが好ましく、少なくともセパレートフィルムを有しない構成においてカールの状態が上記のとおりであることがより好ましい。
【0022】
<位相差積層体を加湿する工程>
以下、
図1を参照して光学積層体の製造方法を詳細に説明する。本工程では、加湿によって位相差積層体17の水分率を上昇させる。位相差積層体17は、吸湿性フィルム14,16と液晶硬化層15とを含む。空気中の水分を吸収しやすい吸湿性フィルム14,16は、短時間でその水分率を上昇させることができる。
【0023】
加湿は、相対湿度が調整された環境下に位相差積層体17を置くことによって行えばよく、例えば相対湿度が調節された調湿室に位相差積層体17を導入すればよい。長尺状の位相差積層体17を調湿室に導入し、ガイドロールに沿って搬送させながら加湿してもよい。
【0024】
加湿は、温度20℃以上80℃以下において、相対湿度が45%以上の環境下で行えばよく、好ましくは相対湿度55%以上、より好ましくは相対湿度60%以上の環境下で行うことで、位相差積層体17を効率的に加湿することができる。相対湿度は、通常99%以下であり、好ましくは95%以下である。
【0025】
加湿時間は、位相差積層体17に含まれる吸湿性フィルム14,16が充分に加湿される程度であれば特に限定されないが、例えば5秒以上120分以下であり、好ましくは3分以上60分以下であり、より好ましくは30分以上60分以下である。加湿時間とは、調湿室内での位相差積層体17の滞留時間であってよく、長尺状の位相差積層体17の搬送時間であってもよい。加湿する工程において、吸湿性フィルム14,16が平衡水分率に達するまで加湿してもよい。
【0026】
加湿する工程後に、位相差積層体17に含まれる吸湿性フィルム14,16は、好ましくは積層体103の製造後に保管される通常の環境下(温度23℃程度、相対湿度55%程度)における平衡水分率よりも高い水分率に調整される。例えば吸湿性フィルム14,16がトリアセチルセルロースフィルムである場合、加湿する工程後の水分率は、好ましくは1質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上4.5質量%以下であり、2質量%以上4質量%以下であってよい。水分率は、平衡水分率と同様に乾燥重量法によって測定され、具体的には、下記式:
水分率(質量%)={(乾燥処理前の位相差積層体質量-乾燥処理後の位相差積層体質量)/乾燥処理前の位相差積層体質量}×100
に従って求められる。乾燥とはフィルムを105℃で2時間乾燥させる処理をいう。
【0027】
加湿する工程において、その水分率が、温度23℃、相対湿度55%での平衡水分率よりも高くなるように位相差積層体17に含まれる吸湿性フィルム14,16を加湿することにより、後述する工程において偏光板11を効率的に加湿することができる。加湿された吸湿性フィルム14,16は、後述する工程で偏光板11と位相差積層体17とを貼合するまで、加湿処理後の水分率を保持又はおよそ保持していることが望ましい。
【0028】
加湿する工程において、例えば長尺上の位相差積層体17のフィルム原反を調湿室に導入し、ガイドロールに沿って搬送させながら加湿する場合、フィルムの繰り出し速度は、フィルムの搬送安定性を確認しながら設定速度に向けて徐々に速度を上げていく。このような場合、繰り出し始めのフィルムが調湿室に滞留する時間は、設定速度に到達した後のフィルムよりも相対的に長くなり、フィルムのMD方向において、調湿室の滞留時間にバラつきが生じる。このバラつきに起因して、加湿後のフィルムはMD方向に水分率のバラつきが発生し、結果として、MD方向において、カールの分布(MD方向において部分的にカールが発生している部分と発生していない部分ができる)が発生することがある。
【0029】
本発明の一実施形態として、位相差積層体17を加湿する工程において、位相差積層体17に含まれる吸湿性フィルム14,16を積層体103の製造後の保管環境や後述する積層体を切り出す工程の環境等の平衡水分率に達するまで加湿することで、位相差積層体17のMD方向の水分率のバラつきが抑制され、結果としてMD方向におけるカール分布も抑制することができる。位相差積層体17は、吸湿性フィルム14,16の含水率が好ましくは温度20℃以上80℃以下において、相対湿度45%以上、より好ましくは相対湿度55%以上、さらに好ましくは相対湿度60%以上の環境下での平衡水分率に達するまで加湿される。
【0030】
(吸湿性フィルム)
吸湿性フィルム14,16としては、高い吸湿性を有するフィルムであれば特に限定されないが、例えばセルロース系樹脂を含むフィルムが挙げられる。セルロース系樹脂とは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等の原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部または全部がアセチル基、プロピオニル基及び/又はブチリル基で置換された、セルロース有機酸エステル又はセルロース混合有機酸エステルをいう。セルロース系樹脂とは、例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、及びそれらの混合エステル等からなるものが挙げられる。吸湿性フィルム14,16としては、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートを含むことが好ましい。吸湿性フィルム14及び16は同じフィルムであってもよいし、異なっていてもよい。吸湿性フィルム14,16は、好ましくはセルロース系樹脂からなるフィルムであり、より好ましくはトリアセチルセルロースを含むフィルムである。
【0031】
吸湿性フィルム14,16の厚みは、通常5μm以上100μm以下である。水分を保持しやすく、偏光板11の加湿をより効率的に行う観点からは、吸湿性フィルム14,16の厚みは大きい方が好ましい。
【0032】
吸湿性フィルム14,16は、液晶硬化層15の形成後に積層されてもよいし、液晶硬化層15を形成するための基材フィルムとして使用されてもよい。位相差積層体17は、吸湿性フィルム14又は16を液晶硬化層15の片面に有してもよく、両面に有してもよい。吸湿性フィルム14,16は、好ましくは液晶硬化層15から剥離可能なフィルムである。
【0033】
(液晶硬化層)
液晶硬化層15は、液晶化合物の硬化物で構成される位相差層(液晶硬化型位相差層)である。光学積層体は、直線偏光板及び位相差層を備える円偏光板(楕円偏光板を含む。)であってよい。液晶化合物としては、重合性基を有する重合性液晶化合物を用いることが好ましい。重合性液晶化合物の重合反応は、熱重合開始剤を用いる熱重合反応であってもよいが、光重合開始剤を用いる光重合反応であることが好ましい。液晶硬化型位相差層は、公知の液晶化合物を用いて形成することができる。液晶化合物の種類は特に限定されず、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0034】
位相差層に含まれる液晶化合物の配向方向は、基材フィルムと塗布層との間に形成される配向膜によって調整してもよく、偏光照射を行うことにより重合性液晶化合物を光配向させて、重合性液晶化合物の配向性を発現又は向上させることによって調整することもできる。
【0035】
液晶化合物を含む組成物が塗布される基材フィルムは、上記吸湿性フィルム14又は16であってよい。液晶硬化層15は、配向膜を有する形態で偏光板11に積層されてもよい。
【0036】
位相差層である液晶硬化層15は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。それぞれの位相差層は、同じ方向の遅相軸を有していてもよいし、互いに異なる方向の遅相軸を有していてもよい。位相差層は、λ/4層を含み、さらにλ/2層及びポジティブC層の少なくともいずれかを含んでいてもよい。位相差層がλ/2層を含む場合、直線偏光板側から順にλ/2層及びλ/4層を積層する。位相差層がポジティブC層を含む場合、直線偏光板側から順にλ/4層及びポジティブC層を積層してもよく、直線偏光板側から順にポジティブC層及びλ/4層を積層してもよい。液晶硬化層15の厚みは、例えば0.1μm以上10μm以下であり、好ましくは0.5μm以上8μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上4μm以下である。偏光板11をより効率的に加湿する観点からは、液晶硬化層15は薄いことが好ましい。
【0037】
<偏光板に位相差積層体が貼合された積層体を得る工程>
本工程では、偏光板11に粘着剤層12を介して位相差積層体17を貼合する。偏光板11にプロテクトフィルム10が積層されている場合(積層体101)、プロテクトフィルム10が積層されている側とは反対側の偏光板11の面に粘着剤層12及び位相差積層体17を積層する。
【0038】
得られる積層体103は、好ましくは長尺状である。長尺状の積層体103の長さは、例えば100m以上20000m以下であり、好ましくは1000m以上10000m以下である。長尺状である積層体103の幅は、例えば0.5m以上3m以下であり、好ましくは1m以上2.5m以下である。
【0039】
偏光板11と位相差積層体17との貼合は、例えば、長尺状の偏光板11を連続的に搬送させるとともに、長尺状の位相差積層体17を連続的に搬送させ、偏光板11と位相差積層体17とを重ねて一対の貼合ロール間に通して挟み込むことにより、両フィルムが貼合された積層体103を製造することができる。
【0040】
粘着剤層12は、位相差積層体17が積層される前に偏光板11の表面に積層されていてもよい。偏光板11と位相差積層体17との積層に先立ち、少なくともいずれか一方の貼合面にプラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理等の表面活性化処理を行ってもよい。偏光板11の粘着剤層12側にはセパレートフィルム13が積層されていてもよい(積層体102)。この場合、通常、位相差積層体17を積層する際には、セパレートフィルム13は剥離除去される。
【0041】
位相差積層体17は、液晶硬化層15の両面に吸湿性フィルム14及び16を有している場合、片面の吸湿性フィルム14を剥離し、液晶硬化層15側が偏光板11に積層されるように貼合することが好ましい。位相差積層体17が液晶硬化層15の片面に吸湿性フィルム16を有し、他方の面に基材層を有する場合、基材層を剥離し、液晶硬化層15と吸湿性フィルム16とを含む積層体を、液晶硬化層15側が偏光板11に積層されるように貼合することが好ましい。
【0042】
偏光板11が、偏光フィルムの一方の面に樹脂フィルムが積層されている片面保護偏光板であるとき、偏光板11をより効率的に加湿するために、偏光フィルムの他方の面(樹脂フィルムが積層されていない側)に位相差積層体17が積層されることが好ましい。
【0043】
(偏光板)
偏光板11は、偏光フィルムを含む直線偏光板であり、偏光フィルムの片面又は両面には樹脂フィルムが積層されている。偏光フィルムの一方の面のみに樹脂フィルムを有する偏光板11は、偏光板11の薄膜化に有利である。
【0044】
偏光板11の厚みは、通常5μm以上150μm以下であり、偏光板11の薄膜化の観点から、好ましくは80μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下、50μm以下又は40μm以下である。偏光板11の厚みが小さいほど、光学積層体はカールを生じやすくなるが、本発明によれば、偏光板11の厚みが小さい場合でも、光学積層体のカールを効率的に調整することができる。偏光板11の厚みは、20μm以上、25μm以上又は30μm以上であってもよい。
【0045】
(偏光フィルム)
偏光フィルムは、吸収軸に平行な振動面をもつ直線偏光を吸収し、吸収軸に直交する(透過軸と平行な)振動面をもつ直線偏光を透過する性質を有する。偏光フィルムの一例は、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させた偏光フィルムである。このような偏光フィルムは、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程;ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液等の架橋液で処理する工程;及び、架橋液による処理後に水洗する工程を含む方法によって製造できる。
【0046】
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体の例は、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、及びアンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等を含む。
【0047】
本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルから選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」等においても同様である。
【0048】
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85モル%以上100モル%以下であり、98モル%以上が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール又はポリビニルアセタール等を用いることもできる。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、通常1000以上10000以下であり、1500以上5000以下が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度及び平均重合度は、JIS K 6726に準拠して求めることができる。
【0049】
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が採用される。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚みは特に制限されないが、例えば10μm以上150μm以下程度であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは35μm以下である。
【0050】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、架橋処理の前又は架橋処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
【0051】
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤や水を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3倍以上8倍以下である。
【0052】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、該フィルムを二色性色素が含有された水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
【0053】
二色性色素による染色後の架橋処理としては通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、このホウ酸含有水溶液は、ヨウ化カリウムを含有することが好ましい。
【0054】
架橋処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば架橋処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は通常、1℃以上40℃以下程度である。
【0055】
水洗後に乾燥処理を施して、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機による乾燥、熱ロールに接触させることによる乾燥、遠赤外線ヒーターによる乾燥などであることができる。乾燥処理の温度は、通常30℃以上100℃以下程度であり、50℃以上90℃以下が好ましい。
【0056】
乾燥処理によって、偏光フィルムの水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常5質量%以上20質量%以下であり、8質量%以上15質量%以下であることが好ましい。水分率が5質量%を下回ると、偏光フィルムの可撓性が失われ、偏光フィルムがその乾燥後に損傷したり、破断したりする場合がある。水分率が20質量%を上回ると、偏光フィルムの熱安定性に劣る場合がある。ここでいう水分率は、乾燥重量法によって測定され、その測定方法は、上述のとおりである。
【0057】
偏光フィルムの厚みは、通常2μm以上40μm以下程度である。偏光板11の薄膜化の観点から、偏光フィルムの厚みは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。偏光フィルムが厚いほど、光学積層体はカールを生じやすくなるが、本発明によれば、偏光フィルムの厚みが、例えば10μm以上、さらには15μm以上、特には20μm以上であっても、効率的に光学積層体のカールを調整することができる。
【0058】
(樹脂フィルム)
樹脂フィルムは、透光性を有する熱可塑性樹脂、好ましくは光学的に透明な熱可塑性樹脂で構成されるフィルムである。樹脂フィルムとして、例えばシクロポリオレフィン系樹脂フィルム;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等の樹脂からなるセルロース系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム;ポリカーボネート系樹脂フィルム;(メタ)アクリル系樹脂フィルム;ポリプロピレン系樹脂フィルム等、当分野において公知のフィルムを挙げることができる。樹脂フィルムは、好ましくはセルロース系樹脂フィルムであり、より好ましくはトリアセチルセルロースを含む樹脂フィルムである。
【0059】
樹脂フィルムの厚みは、光学積層体の薄型化の観点から、通常100μm以下であり、好ましくは80μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下であり、なおさらに好ましくは30μm以下である。樹脂フィルムの厚みは、通常5μm以上であり、好ましくは10μm以上である。樹脂フィルムの厚みが小さいほど、光学積層体はカールを生じやすくなるが、本発明によれば、樹脂フィルムの厚みが例えば40μm以下、さらには30μm以下と薄くても、カールを効率的に調整することができる。
【0060】
樹脂フィルムは、偏光フィルムを保護する保護フィルムであることができる。樹脂フィルムは位相差フィルム、輝度向上フィルムのような光学機能を併せもっていてもよい。例えば、上記材料からなる熱可塑性樹脂フィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)することにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。樹脂フィルムは、その表面にハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を有していてもよい。
【0061】
樹脂フィルムは、接着剤層又は粘着剤層を介して偏光フィルムに貼合することができる。樹脂フィルムは、好ましくは接着剤層を介して偏光フィルムに貼合される。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤又は活性エネルギー線硬化性接着剤である。
【0062】
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、又はそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、アルデヒド化合物(グリオキザール等)、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、多価金属塩等の架橋剤を含むことができる。
【0063】
水系接着剤を使用する場合は、偏光フィルムと樹脂フィルムとを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するための乾燥工程を実施することが好ましい。乾燥工程後、例えば20℃以上45℃以下の温度で養生する養生工程を設けてもよい。
【0064】
活性エネルギー線硬化性接着剤とは、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する接着剤であり、好ましくは紫外線硬化性接着剤である。
【0065】
硬化性化合物は、カチオン重合性の硬化性化合物やラジカル重合性の硬化性化合物であることができる。カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物(分子内に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、オキセタン系化合物(分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有する化合物)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。カチオン重合性の硬化性化合物とラジカル重合性の硬化性化合物とを併用してもよい。活性エネルギー線硬化性接着剤は通常、硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤及び/又はラジカル重合開始剤をさらに含む。
【0066】
偏光フィルムと樹脂フィルムとを貼合するにあたっては、接着性を高めるために、これらの少なくともいずれか一方の貼合面に表面活性化処理を施してもよい。表面活性化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、放電処理(グロー放電処理等)、火炎処理、オゾン処理、UVオゾン処理、電離活性線処理(紫外線処理、電子線処理等)のような乾式処理;水やアセトン等の溶媒を用いた超音波処理、ケン化処理、アンカーコート処理のような湿式処理を挙げることができる。これらの表面活性化処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上を組み合わせてもよい。
【0067】
偏光フィルムの両面に樹脂フィルムが貼合される場合において、これらの樹脂フィルムを貼合するための接着剤は、同種の接着剤であってもよいし異種の接着剤であってもよい。
【0068】
(粘着剤層)
粘着剤層12は、偏光板11と位相差積層体17とを貼合する。粘着剤層12は、(メタ)アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型であってもよい。
【0069】
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸化合物、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル化合物、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート化合物、グリシジル(メタ)アクリレート化合物等の、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
【0070】
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成する2価以上の金属イオン;カルボキシル基との間でアミド結合を形成するポリアミン化合物;カルボキシル基との間でエステル結合を形成するポリエポキシ化合物又はポリオール;カルボキシル基との間でアミド結合を形成するポリイソシアネート化合物が例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0071】
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、紫外線や電子線のような活性エネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、活性エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルム等の被着体に密着させることができ、活性エネルギー線の照射によって硬化して密着力の調整ができる性質を有する。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、紫外線硬化型であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、ベースポリマー、架橋剤に加えて、活性エネルギー線重合性化合物をさらに含有する。必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤等を含有させてもよい。
【0072】
粘着剤組成物は、光散乱性を付与するための微粒子、ビーズ(樹脂ビーズ、ガラスビーズ等)、ガラス繊維、ベースポリマー以外の樹脂、帯電防止剤、粘着性付与剤、充填剤(金属粉やその他の無機粉末等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤等の添加剤を含むことができる。
【0073】
粘着剤層12は、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤に粘着剤組成物を溶解又は分散させて粘着剤液を調製し、これを偏光板11に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。離型処理が施されたセパレートフィルム13上に粘着剤層12をシート状に形成しておき、それを偏光板11の対象面に移着してもよい。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いた場合は、形成された粘着剤層12に、活性エネルギー線を照射することにより所望の硬化度を有する硬化物とすることができる。
【0074】
粘着剤層12の厚みは、通常1μm以上40μm以下であるが、光学積層体の薄膜化等の観点から、好ましくは2μm以上30μm以下である。
【0075】
(セパレートフィルム)
セパレートフィルム13は、粘着剤層12を画像表示素子や他の光学部材に貼合するまでその表面を保護するために仮着されるフィルムである。セパレートフィルム13は通常、片面にシリコーン系、フッ素系等の離型剤などによる離型処理が施された熱可塑性樹脂フィルムで構成され、その離型処理面が粘着剤層12に貼り合わされる。
【0076】
セパレートフィルム13を構成する熱可塑性樹脂は、例えばポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂等であることができる。セパレートフィルム13の厚みは、例えば10μm以上50μm以下である。
【0077】
(プロテクトフィルム)
偏光板11には、プロテクトフィルム10が積層されていてもよい。プロテクトフィルム10は、偏光板11表面を保護するための剥離可能なフィルムである。光学積層体の市場流通時には、プロテクトフィルム10が貼着されていることが多い。プロテクトフィルム10は、液晶硬化層15及び粘着剤層12が積層される側とは反対側の偏光板11の表面に貼合される。プロテクトフィルム10は、例えば粘着剤層と、粘着剤層を介して積層される基材フィルムとからなる。プロテクトフィルム10は、通常、例えば画像表示素子等に光学積層体が貼合された後に、粘着剤層ごと剥離除去される。
【0078】
プロテクトフィルム10の基材フィルムは、熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂などで構成することができる。基材フィルムは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。プロテクトフィルム10の粘着剤層は、(メタ)アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等で構成することができる。プロテクトフィルム10は、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂等の自己粘着性を有する樹脂フィルムであってもよい。この場合、プロテクトフィルム10は、粘着剤層を有しない。
【0079】
プロテクトフィルム10の厚みは、例えば5μm以上150μm以下であることができ、好ましくは10μm以上100μm以下であり、より好ましくは20μm以上75μm以下であり、さらに好ましくは25μm以上70μm以下(例えば60μm以下、さらには55μm以下)である。プロテクトフィルム10の厚みが5μm未満の場合には、偏光板11の保護が不十分になることがあり、また取扱性の面でも不利である。プロテクトフィルム10の厚みが150μmを超えることは、光学積層体の薄膜化や、プロテクトフィルム10のリワーク性の面で不利である。
【0080】
<積層体を巻き取る工程>
偏光板11と位相差積層体17との積層体103が長尺状であるとき、積層体103は、巻取ロールに順次巻き取られてもよいし、巻き取られずにセパレートフィルム19を積層する工程または吸湿性フィルム16を剥離する後述の工程を行ってもよい。通常、長尺状の光学積層体を製造する際には、積層工程ごとに長尺物を巻き取る。巻き取った積層体103を次の工程に用いるまでに、位相差積層体17の水分は充分に偏光板11に移動する。例えば、プロテクトフィルム10、偏光板11、粘着剤層12、液晶硬化層15及び吸湿性フィルム16をこの順に含む積層体103を巻き取ってロール形態とした場合、吸湿性フィルム16は空気に触れる面積が減少するため、偏光板11への水分の移動をより速やかに行うことができる。
【0081】
偏光板11と位相差積層体17との積層体103を得た後、積層体103を乾燥させる工程を行わずに積層体103を巻き取ることが好ましい。
【0082】
<吸湿性フィルムを剥離する工程>
偏光板11に位相差積層体17を積層した後、好ましくは液晶硬化層15を残して吸湿性フィルム16は積層体103から剥離除去される。吸湿性フィルム16は、偏光板11に位相差積層体17を積層した後、そのまま剥離してもよいし、一度ロールに巻き取って(上述の巻き取る工程)、その後の工程で巻き出しながら剥離してもよい。
【0083】
吸湿性フィルム16が除去された光学積層体は、さらに粘着剤層18を介してセパレートフィルム19が貼合されてもよい(積層体104)。セパレートフィルム19及び粘着剤層18は、上述のセパレートフィルム13及び粘着剤層12をそれぞれ用いればよい。
【0084】
<積層体を切り出す工程>
上述の方法で得られる積層体が長尺状である場合には、長尺状の積層体から枚葉体を切り出すことが好ましい。切り出し(裁断)は、裁断用カッター等の従来公知の裁断手段を用いて行うことができる。枚葉体のサイズ、形状及び切り出し角度については、上記<光学積層体>の記載が引用される。
【0085】
切り出した直後の枚葉体は、逆カール量が10mm以下であって、より好ましくは逆カール量が5mm以下であるか、カールを有さずフラットな状態であるか、又は正カールの状態である。このように調整することで、後述するカールを最終調整する工程が不要であるか、又はカールを最終調整する工程に要する時間を短くすることができる。
【0086】
<カールを最終調整する工程>
上述の方法で得られる枚葉体に逆カールが発生している場合は、適宜、加湿による調整を行う。加湿は相対湿度が調整された環境下に枚葉体を置くことによって行えばよく、例えば相対湿度が調節された調湿室に枚葉体を保管すればよい。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の「%」及び「部」は、特記しない限り、質量%及び質量部である。
【0088】
〔カールの測定方法〕
積層体104から、長辺が155mm、短辺が78mmのひし形形状であり、その対角線がMD方向及びTD方向のそれぞれに平行となるように切り出した切出し片からセパレートフィルム19を剥離したものを試験片とした。この試験片を十分に除電した後、試験片の凹面を上にして基準面(水平な台)上に置き、試験片の4つの角のそれぞれについて基準面からの高さを測定した。プロテクトフィルム側が上側となるように試験片を基準面に置いたときに試験片の角が浮き上がる場合、このカールを正カールとし、基準面からの角の高さを正の数値で表した。一方、プロテクトフィルム側が下側となるように試験片を基準面に置いたときに試験片の角が浮き上がる場合、このカールを逆カールとし、基準面からの角の高さを負の数値で表した。
【0089】
MD方向に平行な対角線上にある2つの角の基準面からの高さを平均した値を、実測MDカール値とした。TD方向に平行な対角線上にある2つの角の基準面からの高さを平均した値を、実測TDカール値とした。MDカール値及びTDカール値が正又は0であれば逆カールが抑制されていることを示し、その値が負である場合はその絶対値が大きいほど逆カールが進行していることを示す。
【0090】
〔光学積層体の水分率測定方法〕
積層体104から、長辺が155mm、短辺が78mmのひし形形状であり、その対角線がMD方向及びTD方向のそれぞれに平行となるように切り出した切出し片からセパレートフィルム19を剥離したものを試験片とした。試験片を105℃で2時間乾燥させ、乾燥後の質量を乾燥前の質量と比較し、光学積層体の水分率を求めた。
水分率(質量%)={(乾燥処理前の光学積層体質量-乾燥処理後の光学積層体質量)/乾燥処理前の光学積層体質量}×100
【0091】
〔粘着剤層の準備〕
粘着剤層を次の方法により製造した。撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸n-ブチル97.0部、アクリル酸1.0部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.5部、酢酸エチル200部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.08部を仕込み、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。撹拌しながら反応溶液を60℃に昇温して6時間反応させた後、室温まで冷却した。得られた溶液の一部の重量平均分子量を測定したところ、180万の(メタ)アクリル酸エステル重合体が得られたことを確認した。
【0092】
得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100部(固形分換算値;以下同じ)と、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名「コロネートL」)0.30部と、シランカップリング剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM403」)0.30部とを混合し、十分に撹拌した。これを酢酸エチルで希釈して粘着剤組成物の塗工溶液を得た。
【0093】
剥離層をなす第1セパレートフィルム(リンテック株式会社製:SP-PLR382190)の離型処理面(剥離面)に、乾燥後の厚さが25μmとなるように粘着剤組成物の塗工溶液をアプリケーターにより塗工し、100℃で1分間乾燥して粘着剤層を形成した。粘着剤層の第1セパレートフィルムが貼合された面とは反対面に、第2セパレートフィルム(リンテック社製:SP-PLR381031)を貼合し、両面セパレートフィルム付き粘着剤層を得た。
【0094】
〔プロテクトフィルム付き偏光板(101)の準備〕
厚み20μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約5倍に一軸延伸した。緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向した厚み7μmの偏光フィルムを得た。
【0095】
この偏光フィルムの片側に、エポキシ系接着剤を塗工し、保護層として、厚み13μmの透明のノルボルネン系樹脂フィルムを貼り合せた。エポキシ系接着剤は、水100部に対し、カルボキシ基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ、商品名「KL-318」)を3部溶解し、その水溶液に水溶性エポキシ樹脂であるポリアミドエポキシ系添加剤(田岡化学工業株式会社、商品名「スミレーズレジン650(30)」、固形分濃度30%の水溶液)を1.5部添加した接着剤を用いた。このようにして、偏光フィルムの片面に樹脂フィルムが積層された偏光板を得た。
【0096】
樹脂フィルムの偏光フィルムとは反対側の表面に、厚み38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に15μmのアクリル系粘着剤層が形成されたプロテクトフィルムを貼合し、厚み73μmのプロテクトフィルム付き偏光板101を得た。
【0097】
〔位相差積層体の準備〕
(第1液晶硬化層の製造)
厚み50μmのシクロオレフィン系ポリマー(COP)フィルムを、コロナ処理装置(AGF-B10、春日電機株式会社製)を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回処理した。コロナ処理を施した表面に、下記配向層形成用組成物(1)をバーコーター塗布し、80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP-7、ウシオ電機株式会社製)を用いて、100mJ/cm2の積算光量で偏光UV露光を実施して、配向層を得た。得られた配向層の厚みをレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ、100nmであった。
【0098】
続いて、配向層上に下記液晶層形成用組成物(A-1)を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm2)することにより、位相差層としての第1液晶硬化層を形成して、基材層付き第1液晶硬化層を得た。第1液晶硬化層の厚みは2μmであった。
【0099】
(配向層形成用組成物(1)の調製)
下記の溶剤に配向性材料を混合し、温度80℃で1時間攪拌して配向層形成用組成物(1)を得た。
・配向性材料(5部):
【化1】
・溶剤(95部):シクロペンタノン
【0100】
(液晶層形成用組成物(A-1)の調製)
下記の溶剤に重合性液晶化合物及び重合開始剤を混合し、80℃で1時間攪拌して液晶層形成用組成物(A-1)を得た。重合性液晶化合物A1及び重合性液晶化合物A2は、特開2010-31223号公報に記載の方法で合成した。
・重合性液晶化合物A1(80部):
【化2】
・重合性液晶化合物A2(20部):
【化3】
・重合開始剤(6部):
2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(チバスペシャルティケミカルズ社製、「イルガキュア369」)
・溶剤(400部):シクロペンタノン
【0101】
(第2液晶硬化層の製造)
基材として吸湿性フィルムである厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを、コロナ処理装置(AGF-B10、春日電機株式会社製)を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回処理した。コロナ処理を施した表面に、下記配向層形成用組成物(2)をバーコーター塗布し、90℃で1分間乾燥し、配向層を得た。得られた配向層の厚みをレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ、34nmであった。
【0102】
続いて、配向層上に下記液晶層形成用組成物(B-1)を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm2)することにより、位相差層としての第2液晶硬化層を形成して、吸湿性フィルム付き第2液晶硬化層を得た。第2液晶硬化層の厚みは1μmであった。
【0103】
(配向層形成用組成物(2)の調製)
配向性ポリマーであるサンエバーSE-610(日産化学工業株式会社製)に2-ブトキシエタノールを加えて配向層形成用組成物(2)を得た。得られた配向層形成用組成物(2)は、当該組成物の全量に対する固形分の含有割合が1%であり、当該組成物の全量に対する溶剤の含有割合が99%であった。サンエバーSE-610の固形分量は、納品仕様書に記載された濃度から換算した。
【0104】
(液晶層形成用組成物(B-1)の調製)
下記の溶剤に重合性液晶化合物、重合開始剤及び反応添加剤を混合し、80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却して液晶層形成用組成物(B-1)を得た。
・重合性液晶化合物LC242(BASF社製)(19.2%):
【化4】
・重合開始剤(0.5%):
イルガキュア(登録商標)907(BASFジャパン社製)
・反応添加剤(1.1%):
Laromer(登録商標)LR-9000(BASFジャパン社製)
・溶剤(79.1%):プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート
【0105】
(接着剤組成物の調製)
下記に示すカチオン硬化性成分a1~a3及びカチオン重合開始剤を混合した。下記に示すカチオン重合開始剤及び増感剤をさらに混合した後、脱泡して、光硬化型の接着剤組成物を調製した。なお、下記の配合量は固形分量に基づく。
・カチオン硬化性成分a1(70部):
3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:CEL2021P、株式会社ダイセル製)
・カチオン硬化性成分a2(20部):
ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名:EX-211、ナガセケムテックス株式会社製)
・カチオン硬化性成分a3(10部):
2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(商品名:EX-121、ナガセケムテックス株式会社製)
・カチオン重合開始剤(2.25部):
商品名:CPI-100(サンアプロ株式会社製)の50%プロピレンカーボネート溶液
・増感剤(2部):
1,4-ジエトキシナフタレン
【0106】
(位相差積層体の製造)
吸湿性フィルム付き第2液晶硬化層の第2液晶硬化層側の表面にコロナ処理(800W、10m/min)を施した。このコロナ処理面に、接着剤層の厚みが1μmとなるように塗工機を用いて接着剤組成物を塗工した。次に、基材層付き第1液晶硬化層の第1液晶硬化層側に上記と同じ条件でコロナ処理を施し、吸湿性フィルム付き第2液晶硬化層上に形成した接着剤組成物の塗工層と貼合した。第2液晶硬化層側から紫外線照射装置により紫外線を照射して接着剤組成物を硬化させて、片面に吸湿性フィルム16が積層された位相差積層体17を得た。照射条件は、UVA域では照射強度が390mW/cm2、積算光量が420mJ/cm2となるように、UVB域では400mW/cm2、積算光量が400mJ/cm2となるようにした。
【0107】
[実施例1]
上記で準備した位相差積層体17、プロテクトフィルム付き偏光板101及び両面セパレートフィルム付き粘着剤層を用いて光学積層体を得た。具体的には次のように行った。
【0108】
プロテクトフィルム付き偏光板101のプロテクトフィルム10側とは反対側の面にコロナ処理(800W、10m/min)を施した。また、上記で準備した両面セパレートフィルム付き粘着剤層から第2セパレートフィルムを剥離した。偏光板11のコロナ処理面と粘着剤層の第2セパレートフィルムの剥離面とを貼合し、第1セパレートフィルム13付き偏光板102を得た。
【0109】
位相差積層体17を温度23℃、湿度55%の環境下で40分間放置した後、位相差積層体17のCOPフィルムを剥離して露出した面(第1液晶硬化層側の面)と、第1セパレートフィルム13付き偏光板102から第1セパレートフィルム13を剥離して露出した粘着剤層12とを貼合し、偏光板11と液晶硬化層15とが粘着剤層12を介して積層された積層体103を得た。その後、アルミ防湿袋で積層体103を梱包し、温度23℃、湿度55%の環境下で24h保管した。
【0110】
24h後、積層体103からTACフィルム(吸湿性フィルム16)を剥離して露出した面(液晶硬化層15の第2液晶硬化層側の面)と、両面セパレートフィルム付き粘着剤層から第2セパレートフィルムを剥離して露出した粘着剤層とを貼合し、粘着剤層18及び第1セパレートフィルム19を有する積層体104を得た。積層体104を所定サイズの長方形の枚葉体に切り出して、光学積層体Aを得た。得られた光学積層体Aについてカールの測定を行って、光学積層体AのTDカール値を算出した。また、光学積層体Aについて乾燥重量法によって水分率を測定した。その結果を表1に示す。
【0111】
[実施例2]
位相差積層体17を温度23度、湿度55%の環境下で5分間放置した以外は、実施例1と同じ方法で光学積層体Bを得た。得られた光学積層体Bについてカールの測定を行って、光学積層体BのTDカール値を算出した。また、光学積層体Bについて乾燥重量法によって水分率を測定した。その結果を表1に示す。
【0112】
[比較例1]
位相差積層体17に加湿を実施することなく、実施例1と同じ方法で光学積層体Cを得た。得られた光学積層体Cについてカールの測定を行って、光学積層体CのTDカール値を算出した。また、光学積層体Cについて乾燥重量法によって水分率を測定した。その結果を表1に示す。
【0113】
【0114】
表1では、実施例1及び2で得た光学積層体A及び光学積層体Bの水分率は、比較例1で得た光学積層体Cに比較して高いことが示されている。吸湿性フィルムから偏光板に効率よく水分が移行されたことで偏光板が十分に加湿され、結果として、逆カールが抑制されていると推定される。
【符号の説明】
【0115】
10 プロテクトフィルム、11 偏光板、12,18 粘着剤層、13,19 セパレートフィルム、14,16 吸湿性フィルム、15 液晶硬化層、17 位相差積層体。