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特許7604447光学ガラス材料としての四ホウ酸ストロンチウム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】光学ガラス材料としての四ホウ酸ストロンチウム
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/14 20060101AFI20241216BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20241216BHJP
   H01J 65/04 20060101ALI20241216BHJP
   H01J 61/30 20060101ALI20241216BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
C03C3/14
G01N21/956 A
H01J65/04 Z
H01J61/30 A
G02B1/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022500638
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 US2020041091
(87)【国際公開番号】W WO2021007263
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】62/871,887
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/921,738
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユン-ホ アレックス
(72)【発明者】
【氏名】リ インイン
(72)【発明者】
【氏名】ロギノバ エレナ
(72)【発明者】
【氏名】フィールデン ジョン
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2001/060753(WO,A1)
【文献】特開昭62-087433(JP,A)
【文献】特表2005-528758(JP,A)
【文献】特表2005-535085(JP,A)
【文献】特開2007-101401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
G01N 21/956
H01J 65/04
H01J 61/30
G02B 1/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を支持するステージと、
光源と、
前記光源からの光を前記試料に向けるように構成された1つ以上の線形光学部品であって、前記1つ以上の線形光学部品の少なくとも一部が四ホウ酸ストロンチウムから形成されている、1つ以上の線形光学部品と、
を備え
前記1つ以上の線形光学部品が、ミラー、レンズ、レンズアレイ、プリズム、ビームスプリッタ、ウィンドウまたはランプセルのうちの少なくとも1つを含み、
前記1つ以上の線形光学部品のうちの少なくとも1つが、前記1つ以上の線形光学部品のうちの前記少なくとも1つに入射する光の偏光の方向に対して実質的にブリュースター角で動作するように構成されて反射防止コーティングを用いない
ことを特徴とする光学システム。
【請求項2】
請求項1に記載の光学システムであって、前記四ホウ酸ストロンチウムがガラス相を含むことを特徴とする光学システム。
【請求項3】
請求項1に記載の光学システムであって、前記光源が、波長が130nm~400nmの範囲内の光を放出するように構成されていることを特徴とする光学システム。
【請求項4】
請求項1に記載の光学システムであって、前記光源が、ウィンドウまたはランプセルのうちの少なくとも1つを備える広帯域紫外線ランプであり、前記ウィンドウまたは前記ランプセルのうちの前記少なくとも1つの少なくとも一部が、四ホウ酸ストロンチウムから形成されていることを特徴とする光学システム。
【請求項5】
請求項4に記載の光学システムであって、前記広帯域紫外線ランプが、130nm~400nmの範囲内の波長を放出するように構成されていることを特徴とする光学システム。
【請求項6】
請求項1に記載の光学システムであって、前記光学システムが、半導体特性評価システムとして構成されていることを特徴とする光学システム。
【請求項7】
請求項6に記載の光学システムであって、半導体検査システムまたは半導体計測システムのうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする光学システム。
【請求項8】
請求項6に記載の光学システムであって、
センサであり、四ホウ酸ストロンチウムから形成された前記1つ以上の線形光学部品が、前記試料から反射または散乱された光を前記センサに向けるように構成されている、センサ
を備えることを特徴とする光学システム。
【請求項9】
請求項1に記載の光学システムであって、リソグラフィシステムを含むことを特徴とする光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に光学ガラス材料に関する。詳細には、本開示は、フォトマスク、レチクル、および半導体ウエハを検査ならびに/または測定するために使用されるものを含む、半導体製造における計測および検査システムでの使用に適したミラー、レンズ、プリズム、ビームスプリッタ、ウィンドウおよびランプセルなどの線形光学部品のための光学ガラス材料である四ホウ酸ストロンチウム(SrB)に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2019年7月9日に出願され、ユン-ホー・アレックス・チュアン(Yung-Ho Alex Chuang)、インイング・シャオ・リー(Yinying Xiao-Li)、エレナ・ロギノバ(Elena Loginova)、およびジョン・フィルデン(John Fielden)を発明者とする「STRONTIUM TETRABORATE AS OPTICAL MATERIAL」と題する米国仮特許出願第62/871887号の優先権を主張し、その全体を本願に引用して援用する。
【0003】
集積回路産業は、サイズが数十ナノメートル(nm)以下となる場合がある一層小さくなる欠陥および粒子を検出するために、ますます高い感度を有する検査ツールを必要としている。これらの検査ツールは、フォトマスク、レチクル、またはウエハの面積の大部分、あるいは100%さえも短時間で検査するために、高速で動作しなければならない。例えば、検査時間は、生産中の検査については1時間以下であることがあり、R&Dまたはトラブルシューティングについてはせいぜい数時間であることがある。そのような迅速な検査を行うために、検査ツールは、関心のある欠陥または粒子の寸法よりも大きなピクセルまたはスポットサイズを使用して、欠陥または粒子によって引き起こされる信号のわずかな変化を検出する。信号の小さな変化を検出するには、高い光レベルと低いノイズレベルが必要である。高速検査は、紫外(UV)光で動作する検査ツールを使用して生産において最も一般的に行われている。R&Dにおける検査は、UV光または電子を用いて行われることがある。
【0004】
集積回路(IC)産業はまた、半導体ウエハ上の数ナノメートル以下の小さな特徴の寸法を正確に測定するための高精度計測ツールを必要とする。ウエハ上のパターニングされた構造の幅、ウエハ上に形成された膜の厚さ、およびウエハのある層上のパターニングされた構造とウエハの別の層上のパターニングされた構造とのオーバレイなどのウエハの様々な特性を測定するために、半導体製造プロセスの様々な時点でウエハに対して計測プロセスが実行される。これらの測定は、半導体ダイの製造におけるプロセス制御および/または歩留り効率を促進するために使用される。計測は、UV光または電子を用いて行われることがある。
【0005】
より高い集積度、より低い電力消費およびより低いコストで集積回路を製造することを目的とする半導体産業は、UV光学系の主要なけん引役の1つである。エキシマレーザおよび周波数逓倍固体レーザなどの強力なUV光源の開発は、UV光子用途の分野における研究開発の取組みの成長につながった。
【0006】
光学ガラスは、とりわけ、カメラ、望遠鏡、顕微鏡、双眼鏡、仮想現実システム、半導体システムなどの多くの用途で使用されている。光学ガラスは、半導体検査および計測学において広く普及している。それらの光学ガラスは、ほとんどの検査および計測システムにおいて、ミラー、レンズ、プリズム、ビームスプリッタ、ウィンドウおよびランプセルなどの光学部品に見出される。
【0007】
約200nm~280nmの深紫外線(DUV)、および約100nm~200nmの真空紫外線(VUV)のスペクトル範囲の光学ガラスは、難易度が高い。DUVおよびVUVレーザは、数ミリワット(mW)から10ワット(W)以上の高出力レベル、および高光子エネルギー(例えば、193nmで6.5eV、266nmで4.66eV)を有することがある。パルスレーザは、パルス長が短く(例えば、ns以下)、繰り返しレートが高い(例えば、数十kHz以上)ことがある。光学ガラスは、DUV/VUV波長域において透明であることに加えて、高い光損傷しきい値、高い硬度および優れた安定性でこれらの極端な条件に耐える必要がある。
【0008】
DUVおよびVUV波長に適した当技術分野で知られているいくつかのガラス材料がある。それらの中で、最も広く一般的に使用されているものは、Suprasil、Spectrosil、Lithosilなどの商品名で知られている溶融シリカである。溶融シリカは、石英から作られ、優れた熱寸法安定性および耐久性を示すため、安価に製造できることから広く使用されている。しかしながら、溶融シリカは、波長が190nmまでしか動作することができず、ほとんどのグレードは、200nm付近かそれ以上でUVがカットオフされる。溶融シリカで作られた光学部品は、100mmサイズ以上のUVグレードのブランクを見つけることが困難であるため、それよりも小さいことが多い。溶融シリカはまた、240nm付近に吸収ディップを有し、そのため、この領域で動作する光源には適切な選択肢ではない。加えて、溶融シリカガラスの内部構造は、強いUV光に長時間の曝されると破壊される可能性がある。
【0009】
フッ化カルシウム(CaF)は、もう1つの一般的なUVガラス材料である。CaFは、130nmからほぼ10μmまで透明であり、UVにおいて低い屈折率(n約1.46)を有する。ほとんどのフッ化物は、吸湿性であり、すなわち、大気から水を吸収する。その結果、UV性能は、大気に曝されると時間の経過とともに低下する。水は、UV光を吸収し、吸収は、応力および潜在的な形状変化につながる体積変化を引き起こす。さらに、強力なUV放射は、水および酸素とフッ化カルシウムとの反応を促進する可能性がある。CaF材料は、柔らかく脆いため、研磨中に簡単に欠ける。高い曲率と良好な表面粗さを一緒に達成することは困難である。CaFではまた、ラッピングプロセスからの粒子が捕捉されて表面に再結合し、散乱サイトを増加させ、全体的な性能を低下させる可能性があるため、ラッピング間に大規模な洗浄が必要である。
【0010】
フッ化マグネシウム(MgF)は、CaFと同様の透過窓を有する。MgFは、UV光学系のための最も一般的なコーティング材料でもある。CaFとは異なり、MgFの性能は、水によって影響を受けない。しかしながら、MgFは、光損傷しきい値が低い(約0.1GW/cm)。また、MgFはイオン性であるため、高電圧に耐えることができない。加えて、MgFは複屈折性であり、特定の用途には適切でないことがある。MgFが紫外線放射に曝されると、吸収により透過率が低下し、時間の経過とともに透過率が悪化する。
【0011】
上記のすべての材料の損傷しきい値は、材料中の不純物または欠陥によって低下する。これらの不純物および欠陥は、DUVおよび/またはVUV放射を吸収する色中心を生成する可能性がある。色中心は、VUVまたはDUV放射に曝されると成長し、UV波長の透過率を時間の経過とともに低下させる可能性がある。
【0012】
VUVおよびDUV照明下で安定なガラス材料を製造することに数十年にわたって大きな関心が寄せられてきたが、DUVおよびVUV波長域における光学ガラス材料の選択肢はわずかしかない。高速検査および計測学の現在の用途では、光学ガラスは、高い光損傷しきい値、かなりの硬度、および良好な安定性を有する必要がある。このようなガラスは、酸化を低減するために、水および酸素の拡散に対する透過性が低いことがさらに望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許出願公開第2006/0103315号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、上述した制限の一部またはすべてを克服する光学ガラス材料が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の1つ以上の実施形態による四ホウ酸ストロンチウム(SrB)を含む線形光学部品が開示される。
【0016】
本開示の1つ以上の実施形態による光学システムが開示される。例示的な一実施形態では、光学システムは、1つ以上の線形光学部品を含み、1つ以上の線形光学部品の少なくとも一部は、四ホウ酸ストロンチウムから形成される。
【0017】
本開示の1つ以上の追加および/または代替の実施形態による光学システムが開示される。例示的な一実施形態では、光学システムは、試料を支持するためのステージを含む。別の例示的な実施形態では、光学システムは、照明源を含む。別の例示的な実施形態では、光学システムは、照明源からの照明を試料に向けるように構成された1つ以上の線形光学部品を含み、1つ以上の線形光学部品の少なくとも一部は、四ホウ酸ストロンチウムから形成される。
【0018】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を必ずしも限定するものではないことを理解されたい。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、一般的な説明とともに本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の多数の利点は、添付の図面を参照することによって、当業者によってより良く理解され得る。
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、特性評価システムのブロック図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、1つ以上の光学部品用の光学ガラス材料としてSrBを組み込んだ紫外線ランプを示す図である。
図3】SrBの典型的な透過曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、特定の実施形態およびその特定の特徴に関して特に示され、説明されている。本明細書に記載される実施形態は、限定ではなく例示であると見なされる。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更および修正が行われ得ることが当業者には容易に明らかになるはずである。ここで、添付の図面に示されている、開示された主題を詳細に参照する。
【0021】
本開示の実施形態は、半導体検査および/または計測システムの1つ以上の線形光学部品内に四ホウ酸ストロンチウム(SrB)を光学ガラス材料として組み込むことを対象とする。例えば、本開示の実施形態は、限定されることなく、ミラー、レンズ、レンズアレイ、プリズム、ビームスプリッタ、ウィンドウおよびランプセルなどの検査および計測システムに見出される線形光学部品に光学ガラス材料としてSrBを組み込む。
【0022】
SrBは、独特の光学的および機械的特性を示すことに留意されたい。SrBの透明範囲は、波長130~3200nmである。Y.S.オゼレドチク(Y.S.Oseledchik)、A.L.プロスビルニン(A.L.Prosvirnin)、A.I.ピサレフスキー(A.I.Pisarevskiy)、V.V.スタシェンコ(V.V.Starshenko)、V.V.オサドチュク(V.V.Osadchuk)、S.P.ベロクリス(S.P.Belokrys)、N.V.スビタンコ(N.V.Svitanko)、A.S.コロル(A.S.Korol)、S.A.クリクノフ(S.A.Krikunov)、およびA.F.セレビッチ(A.F.Selevich)、「New nonlinear optical crystals:strontium and lead tetraborates」、Opt.Mater.4、669(1995)を参照されたく、その全体を本願に引用して援用する。この広い透過窓により、SrBは、特にDUVおよびVUV波長域用の光学ガラス材料の良好な候補となる。SrBを最適条件で成長させた場合、透過率は、200nmより長い波長に対して80%超、130nm~200nmに対して50%超に達する可能性がある。SrBの屈折率は、CaFなどの他のガラス材料と比べて高い。例えば、266nmでの屈折率は、x方向に1.7883、y方向に1.7909、z方向に1.7936である。これらの屈折率間の差は比較的小さいため、結晶SrBから作製された部品では複屈折効果が小さいことに留意されたい。SrBは、吸湿性がなく、ホウ酸塩は、酸化物であるため、DUVまたはVUV放射への曝露中に酸素または水が存在しても、さらなる酸化に耐性がある。光損傷しきい値は、他のガラス材料と比較して非常に高い(14.7GW/cm)。SrBの表面レーザ誘起損傷しきい値は、約16J/cmであり、これは溶融シリカおよびフッ化カルシウムのそれよりもはるかに高い。SrBの微小硬度も高い(x方向に1750kg/mm、y方向に1460kg/mm、z方向に1350kg/mm)。高い光損傷しきい値および微小硬度により、SrBガラスは、DUVおよびVUV放射に曝された際の極端な条件に耐えることができる。DUVおよびVUVレーザは、数ミリワット(mW)から数ワット(W)以上の高出力レベル、および高い光子エネルギー(例えば、193nmで6.5eVおよび266nmで4.66eV)を有することができる。パルスレーザは、短いパルス長(ns以下)および高い繰り返し率(数十kHz以上)を有することができる。
【0023】
本開示の実施形態によると、本明細書に開示されるSrBで作製された1つ以上の線形光学部品を検査および計測システムに組み込むことができる。半導体検査ツールは、フォトマスク、レチクル、またはウエハの面積の大部分、さらには100%を短時間で検査するために、高速で動作しなければならない。例えば、検査時間は、生産中の検査については1時間以下であることがあり、R&Dまたはトラブルシューティングについてはせいぜい数時間であることがある。そのような迅速な検査を行うために、検査ツールは、関心のある欠陥または粒子の寸法よりも大きなピクセルまたはスポットサイズを使用して、欠陥または粒子によって引き起こされる信号のわずかな変化のみを検出する。高速検査は、紫外(UV)光で動作する検査ツールを使用して生産において最も一般的に行われている。半導体ウエハ上の数ナノメートル以下までの小さな特徴の寸法を正確に測定するためには、高精度の計測ツールが必要である。ウエハ上のパターニングされた構造の幅、ウエハ上に形成された膜の厚さ、およびウエハのある層上のパターニングされた構造とウエハの別の層上のパターニングされた構造とのオーバーレイオフセットなどのウエハの様々な特性を測定するために、半導体製造プロセスの様々な時点でウエハに対して計測プロセスが実行される。これらの測定は、半導体ダイの製造におけるプロセス制御および/または歩留り効率を促進にするために使用される。高速検査および計測には、高い光レベルおよび安定した信号が必要である。光学部品は、検査および計測システムの構成要素である。分解しない、または既存のガラス材料よりもゆっくりと分解する光学ガラス材料により、より安定した信号を得ることができ、信号の小さな変化を検出することが容易になる。そのようなガラス材料はまた、光学部品の交換頻度を減らすことで、検査または計測ツールの運用コストを下げることができる。
【0024】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による、特性評価システム100の簡略化された概略図を示す。一実施形態において、特性評価システム100(または「ツール」)は、特性評価サブシステム101およびコントローラ114を含む。特性評価システム100は、検査システムまたは計測システムとして構成することができる。例えば、特性評価システム100は、光学ベースの検査システム(または「ツール」)、レビューシステム(または「ツール」)、あるいは画像ベースの計測システム(または「ツール」)とすることができる。この点に関して、特性評価サブシステム101は、限定されることなく、試料108を検査または測定するように構成された検査サブシステムまたは計測サブシステムとすることができる。特性評価システム100の特性評価サブシステム101は、コントローラ114に通信可能に結合することができる。コントローラ114は、試料108上または試料108内の構造を特性評価(例えば、検査もしくは測定)するために、および/または、特性評価システム100の1つ以上の部分を制御するために、特性評価サブシステムの検出器アセンブリ104から測定データを受信することができる。
【0025】
試料108は、限定されることなく、ウエハ、レチクル、フォトマスクなどの、当技術分野で知られている任意の試料を含むことができる。一実施形態において、試料108の移動を容易にするために、試料108をステージアセンブリ112上に配置することができる。ステージアセンブリ112は、限定されることなく、X-Yステージ、R-θステージなどを含む、当技術分野で知られている任意のステージアセンブリを含むことができる。別の実施形態では、ステージアセンブリ112は、検査中に試料108の高さを調整して、試料108上の焦点を維持することができる。さらに別の実施形態では、特性評価サブシステム101を検査中に上下に移動させて、試料108上の焦点を維持することができる。
【0026】
別の実施形態では、特性評価システム100は、照明ビーム111を生成するように構成された照明源102を含む。照明源102は、照明ビーム111を生成するのに適した当技術分野で知られている任意の照明源を含むことができる。例えば、照明源102は、近赤外(NIR)放射線、可視放射線、紫外(UV)放射線、近UV(NUV)、深UV(DUV)放射線、真空UV(VUV)放射線などを放出することができる。例えば、照明源102は、1つ以上のレーザを含むことができる。別の例では、照明源102は、広帯域照明源を含むことができる。
【0027】
別の実施形態では、特性評価システム100は、照明源102からの照明を試料108に向けるように構成された照明アーム107を含む。照明アーム107は、当技術分野で知られている任意の数およびタイプの光学部品を含むことができる。一実施形態では、照明アーム107は、1つ以上の光学素子103を含む。これに関して、照明アーム107は、照明源102からの照明を試料108の表面上に集束させるように構成することができる。本明細書では、1つ以上の光学素子103は、限定されることなく、1つ以上のレンズ(例えば、対物レンズ105)、1つ以上のミラー、1つ以上の偏光子、1つ以上のプリズム、1つ以上のビームスプリッタなどを含む、当技術分野で知られている任意の光学素子を含むことができることに留意されたい。
【0028】
別の実施形態では、収集アーム109は、試料108から反射、散乱、回折、および/または放出された照明を収集するように構成される。別の実施形態では、収集アーム109は、試料108からの照明を検出器アセンブリ104のセンサ106に方向付け、および/または集束させることができる。本明細書では、センサ106および検出器アセンブリ104は、当技術分野で知られている任意のセンサおよび検出器アセンブリ104を含むことができることに留意されたい。検出器アセンブリ104は、当技術分野で知られている任意のセンサおよび検出器アセンブリを含むことができることに留意されたい。センサは、電荷結合素子(CCD検出器)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器、時間遅延積分(TDI)検出器、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)、ラインセンサ、電子衝撃ラインセンサなどを含むことができるが、これらに限定されない。
【0029】
別の実施形態では、検出器アセンブリ104は、コントローラ114の1つ以上のプロセッサ116に通信可能に結合される。1つ以上のプロセッサ116は、メモリ118に通信可能に結合されてもよい。1つ以上のプロセッサ116は、検出器アセンブリ104の1つ以上のセンサ106から測定データを取得するために、および/または、特性評価システム100の1つ以上の部分を制御するために、メモリ118に記憶されたプログラム命令のセットを実行するように構成される。
【0030】
一実施形態では、特性評価システム100は、試料108上の線を照明し、1つ以上の暗視野および/または明視野収集チャネルにおいて散乱および/または反射照明を収集する。本実施形態では、検出器アセンブリ104は、ラインセンサまたは電子衝撃ラインセンサを含むことができる。
【0031】
一実施形態では、照明源102は、連続光源である。例えば、照明源102は、アークランプ、レーザ励起プラズマ光源、または連続波(CW)レーザを含むことができるが、これらに限定されない。別の実施形態では、照明源102は、パルス光源である。例えば、照明源102は、モードロックレーザ、Qスイッチレーザ、またはモードロックもしくはQスイッチレーザによってポンピングされるプラズマ光源を含むことができるが、これらに限定されない。照明源102に含まれ得る適切な光源の例は、カーク(Kirk)らの「Methods and systems for providing illumination of a specimen for a process performed on the specimen」と題する米国特許第7705331号、ベゼル(Bezel)らの「System and method for transverse pumping of laser-sustained plasma」と題する米国特許第9723703号、およびチュアン(Chuang)らの「High brightness laser-sustained plasma broadband source」と題する米国特許第9865447号に記載されており、これらをそれぞれ本願に引用して援用する。
【0032】
一実施形態において、1つ以上の光学素子103は、照明チューブレンズ133を含む。照明チューブレンズ133は、照明瞳開孔131を対物レンズ105内の瞳に結像するように構成することができる。例えば、照明チューブレンズ133は、照明瞳開孔131と対物レンズ105内の瞳とが互いに共役であるように構成することができる。一実施形態では、照明瞳開孔131は、異なる開孔を照明瞳開孔131の位置に切り替えることによって構成可能であってもよい。別の実施形態では、照明瞳開孔131は、照明瞳開孔131の開口部の直径または形状を調整することによって構成可能であってもよい。この点に関して、試料108は、コントローラ114の制御下で実行される特性評価(例えば、測定または検査)に応じて、異なる角度範囲で照明されてもよい。
【0033】
一実施形態において、1つ以上の光学素子103は、集光チューブレンズ123を含む。例えば、集光チューブレンズ123は、対物レンズ105内の瞳を集光瞳開孔121に結像するように構成することができる。例えば、集光チューブレンズ123は、集光瞳開孔121と対物レンズ105内の瞳とが互いに共役であるように構成することができる。一実施形態において、集光瞳開孔121は、異なる開孔を集光瞳開孔121の位置に切り替えることによって構成可能であってもよい。別の実施形態では、集光瞳開孔121は、集光瞳開孔121の開口部の直径または形状を調整することによって構成可能であってもよい。これに関して、試料108から反射または散乱された異なる角度範囲の照明を、コントローラ114の制御下で検出器アセンブリ104に向けることができる。
【0034】
別の実施形態では、照明瞳開孔131および/または集光瞳開孔121は、プログラム可能な開孔を含むことができる。プログラム可能な開孔は、2016年2月9日に発行されたブルンナー(Brunner)の「2D programmable aperture mechanism」という名称の米国特許第9255887号、および2017年5月9日に発行されたブルンナー(Brunner)の「Flexible optical aperture mechanisms」という名称の米国特許第9645287号に一般的に説明されており、これらは両方とも、その全体を本願に引用して援用する。検査のための開孔構成を選択する方法は、2017年7月18日に発行されたコルチン(Kolchin)らの「Determining a configuration for an optical element positioned in a collection aperture during wafer inspection」と題する米国特許第9709510号、および2017年8月8日に発行されたコルチン(Kolchin)らの「Apparatus and methods for finding a best aperture and mode to enhance defect detection」と題する米国特許第9726617号に一般的に記載されており、これらは両方とも、その全体を本願に引用して援用する。
【0035】
一実施形態において、光学系103および/または照明源102の1つ以上の線形光学部品は、SrBから形成される。本明細書における線形光学部品は、ミラー、レンズ、レンズアレイ、プリズム、ビームスプリッタ、ウィンドウおよび/またはランプセルを含むことができる。システム100の全体的な光スループットは、1つ以上の線形光学部品用の光学ガラス材料としてSrBを適切に使用することによって改善することができる。SrBを使用することによって、主要な線形光学部品の寿命も改善されることがある。線形光学部品は、単一のSrB結晶から、またはSrBガラスから作製することができる。SrB線状光学部品のガラスバージョンは、対応する単結晶形態のSrB光学部品よりも弱い(損傷しきい値がより低く、微小硬度がより低い)可能性があることに留意されたい。それにもかかわらず、SrBガラスは多くの用途に対して十分に堅牢である。さらに、SrBガラスは複屈折を持たないという追加の利点を有することに留意されたい。したがって、SrBガラスは、複屈折が不要な設定(例えば、高開口数レンズ)で実装することができる。複屈折効果が、小さい(例えば、低開口数レンズ)または望ましい(例えば、偏光ビームスプリッタ)場合、単結晶SrBが実装されてもよく、ガラスよりも損傷に対する耐性が高いという利点を有する。
【0036】
一実施形態において、照明ビーム111は、例えば、レーザによって生成される光のように偏光される。本実施形態では、光学系103および照明源102の1つ以上の線形光学部品のうちの少なくとも1つは、照明ビーム111の偏光方向に対して実質的にブリュースター角で動作するように構成される。例えば、1つ以上の線形光学部品は、ブリュースター角波面処理光学系、ブリュースター角レンズ、ブリュースター角二波長波長板、およびブリュースター角入力面を有する高調波分離光学系のうちの1つを含むことができる。SrBの屈折率は、ほとんどの他の光学材料よりも高いため、特にDUVおよびVUV波長では、SrBの反射防止コーティングとして使用するのに適した材料がない場合がある。ブリュースター角で動作するように構成された光学系の利点は、反射防止コーティングを使用せずに反射率が低くなることである。さらに、反射防止コーティングは、高いUV強度下で動作させると、損傷を受けやすい傾向がある。反射防止コーティングを回避することで、SrBから作製された光学部品は、SrBの高い損傷しきい値から完全に恩恵を受けることができる。表面の反射率は、ブリュースター角に近い角度では低いことに留意されたい。ブリュースター角から表面の向きが数度(約2°以下など)ずれると、反射率は非常に低くなる。SrB結晶のブリュースター角は、可視およびUV波長の広い範囲にわたって約60.5±1°である。このため、SrBから作製されたブリュースター角光学系は、偏光広帯域光ならびにレーザ光で使用することができる。ブリュースター角で動作するように構成された光学系のさらなる詳細は、すべて「High Damage Threshold Frequency Conversion System」と題され、すべてアームストロング(Armstrong)に付与された米国特許第8711470号、第9152008号、および第9753352号に見出すことができ、その全体を本願に引用して援用する。
【0037】
特性評価システムは、2018年2月13日に発行されたバゼパランビル(Vazhaeparambil)らの「TDI Sensor in a Darkfield System」と題する米国特許第9891177号、2018年3月8日に発行されたロマノフスキー(Romanovsky)らの「Wafer Inspection」と題する米国特許第9279774号、2011年6月7日に発行されたアームストロング(Armstrong)らの「Split Field Inspection System Using Small Catadioptric Objectives」と題する米国特許第7957066号、2010年10月19日に発行されたチュアン(Chuang)らの「Beam Delivery System for Laser Dark-Field Illumination in a Catadioptric Optical System」と題する米国特許第7817260号、1999年12月7日に発行されたシェーファー(Shafer)らの「Ultra-Broadband UV Microscope Imaging System with Wide Range Zoom Capability」という名称の米国特許第5999310号、2009年4月28日に発行されたレオン(Leong)らの「Surface Inspection System Using Laser Line Illumination with Two Dimensional Imaging」と題する米国特許第7525649号、2015年7月14日に発行されたカンデル(Kandel)らの「Metrology Systems and Methods」と題する米国特許第9080971号、2009年1月6日に発行されたチュアン(Chuang)らの「Broad Band Objective Having Improved Lateral Color Performance」と題する米国特許第7474461号、2016年10月18日に発行されたツァン(Zhuang)らの「Optical Metrology With Reduced Sensitivity To Grating Anomalies」と題する米国特許第9470639号、2016年1月5日に発行されたワン(Wang)らの「Dynamically Adjustable Semiconductor Metrology System」と題する米国特許第9228943号、1997年3月4日に発行されたピウォンカ-コルル(Piwonka-Corle)らの「Focused Beam Spectroscopic Ellipsometry Method and System」と題する米国特許第5608526号、および2001年10月2日に発行されたローゼンクヴェイグ(Rosencwaig)らの「Apparatus for Analyzing Multi-Layer Thin Film Stacks on Semiconductors」と題する米国特許第6297880号に一般的に記載されており、その全体を本願に引用して援用する。
【0038】
本開示の範囲は、特性評価システム100に限定されないことに留意されたい。むしろ、本開示のSrB光学系を組み込むシステムは、リソグラフィシステム/ツールを含む当技術分野で知られている任意の他の光学システムを含むことができる。
【0039】
本明細書では、システム100の1つ以上の構成要素は、当技術分野で知られている任意のやり方でシステム100の様々な他の構成要素に通信可能に結合されてもよいことに留意されたい。例えば、1つ以上のプロセッサ116は、有線接続(例えば、銅線、光ファイバケーブルなど)または無線接続(例えば、RF結合、IR結合、WiMAX、Bluetooth、3G、4G、4GLTE、5Gなど)を介して互いにおよび他の構成要素に通信可能に結合されてもよい。
【0040】
1つ以上のプロセッサ116は、当技術分野で知られている任意の1つ以上の処理要素を含むことができる。この意味で、1つ以上のプロセッサ116は、ソフトウェアアルゴリズムおよび/または命令を実行するように構成された任意のマイクロプロセッサタイプのデバイスを含むことができる。1つ以上のプロセッサ116は、本開示全体にわたって説明されるように、システム100を動作させるように構成されたプログラムを実行するように構成されたデスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、または他のコンピュータシステム(例えば、ネットワークコンピュータ)から構成されてもよい。本開示全体にわたって説明されるステップは、単一のコンピュータシステム、または代替として複数のコンピュータシステムによって実行されてもよいことを認識されたい。さらに、本開示全体にわたって説明されるステップは、1つ以上のプロセッサ116のうちのいずれか1つ以上で実行されてもよいことを認識されたい。一般に、「プロセッサ」という用語は、メモリ118からのプログラム命令を実行する1つ以上の処理要素を有する任意のデバイスを包含するように広く定義することができる。さらに、システム100の異なるサブシステム(例えば、照明源102、検出器アセンブリ104、コントローラ114など)は、本開示全体にわたって説明されるステップの少なくとも一部を実行するのに適したプロセッサまたは論理要素を含むことができる。したがって、上記の説明は、本開示に対する限定として解釈されるべきではなく、単なる例示として解釈されるべきである。
【0041】
メモリ118は、関連付けられた1つ以上のプロセッサ116によって実行可能なプログラム命令、ならびに計測サブシステムおよび/または検査サブシステムから受け取ったデータを記憶するのに適した、当技術分野で知られている任意の記憶媒体を含むことができる。例えば、メモリ118は、非一過性のメモリ媒体を含むことができる。例えば、メモリ118は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気または光学メモリデバイス(例えば、ディスク)、磁気テープ、ソリッドステートドライブなどを含むことができるが、これらに限定されない。メモリ118は、1つ以上のプロセッサ116とともに共通のコントローラハウジング内に収容されてもよいことにさらに留意されたい。代替の実施形態では、メモリ118は、プロセッサ116、コントローラ114などの物理的な位置に対して遠隔に配置されてもよい。別の実施形態では、メモリ118は、本開示全体にわたって説明される様々なステップを1つ以上のプロセッサ116に実行させるためのプログラム命令を維持する。
【0042】
図2は、本開示の1つ以上の実施形態による、1つ以上の光学部品用の光学ガラス材料としてSrBを組み込んだ紫外線ランプの簡略化された概略図を示す。紫外線ランプ200は、レーザ駆動光源であってもよい。本例では、レーザ211がレーザビーム212を放出し、このレーザビームがミラー213によって方向付けられ、レンズ214およびレンズ225によって集束され、ランプセル201内にプラズマ202を生成する。プラズマ202は、DUV波長および/またはVUV波長を含む広範囲の波長にわたって広帯域紫外光205を放出する。広帯域紫外光205をランプセル201から透過させることができるようにすることができるように、1つ以上のウィンドウ203がランプセル201の壁に配置されてもよい。一実施形態において、ランプセル201は、SrBで作られてもよい。本実施形態では、SrBを使用して、プラズマ202を生成するためのガスを含む透明なバルブを形成することができる。別の実施形態では、1つ以上のウィンドウ203は、SrBから形成されてもよい。さらに別の実施形態では、ランプセル201および1つ以上のウィンドウ203の両方がSrBで作られてもよい。紫外線ランプ200の全体的な光スループットは、1つ以上の光学部品用の光学ガラス材料としてSrBを適切に使用することによって改善することができる。紫外線ランプ200および主要な光学部品の寿命も、SrBを使用することによって改善することができる。前述の光学部品のいずれも、SrB結晶またはガラスを用いて作製されてもよく、本開示の範囲は、SrBベースのウィンドウまたはプラズマセルに全く限定されない。むしろ、本明細書で以前に論じたように、本開示の任意の数の線形光学部品は、SrBから形成されてもよく、限定されることなく、半導体検査または計測を含むことができる任意の光学的状況で実装されてもよい。
【0043】
SrBは、P2nmの斜方晶系で結晶化し、単位格子寸法がa=4.237Å、b=4.431Å、およびc=10.706Åである(A.ペルロフ(A.Perloff)およびS.ブロック(S.Block)、「The crystal structure of the strontium and lead tetraborates, SrO.2B and PbO.2B」、Acta Cryst.20, 274-279(1966))。すべてのホウ素原子は、四面体に配位しており、酸素原子は、3つの四面体(tetrahedra)に共通である。四面体の3次元ネットワークにもかかわらず、ホウ酸塩ネットワークは、単位格子のc方向の結合が比較的少ないため、層状の構造として見える。
【0044】
図3は、SrBの典型的な透過曲線300を示す(Y.S.オゼレドチク(Y.S.Oseledchik)、A.L.プロスビルニン(A.L.Prosvirnin)、A.I.ピサレフスキー(A.I.Pisarevskiy)、V.V.スタシェンコ(V.V.Starshenko)、V.V.オサドク(V.V.Osadchuk)、S.P.ベロクリス(S.P.Belokrys)、N.V.スビタンコ(N.V.Svitanko)、A.S.コロル(A.S.Korol)、S.A.クリクノフ(S.A.Krikunov)、およびA.F.セレビッチ(A.F.Selevich)、「New nonlinear optical crystals:strontium and lead tetraborates」、Opt.Mater.4、669(1995))。透過曲線300に示されるように、SrBの透過範囲は、非常に広く、すなわち約130nm~約3200nmであり、これはVUV、DUV、可視および近赤外(IR)波長域をカバーする。VUVおよびDUV範囲は、半導体検査および計測にとって特に重要である。また、透過率が高いことも注目される。例えば、透過率は、約250nm~約2500nmで80%を超える。この高い透過率により、SrBは、特にUV波長域用の光学ガラス材料の良好な候補となる。SrBを最適条件で成長させた場合、より良好な透過曲線を得ることができ、透過率は、200nmよりも長い波長に対して80%超、130nm~200nmに対して50%超に達することができる。四ホウ酸ストロンチウムガラスの誘電特性および光学特性は、M.V.シャンカール(M.V.Shankar)およびK.B.R.ヴァルマ(K.B.R.Varma)の「Dielectric and Optical Properties of Strontium Tetraborate Glass」、Journal of Materials Science Letters 15(1996)858-860に記載されており、その全体を本願に引用して援用する。
【0045】
記載された実施形態に対する様々な変形は、当業者には明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の実施形態に適用することができる。本明細書に開示される光学ガラス材料は、半導体検査および計測システムにおいて特に有用であると予想されるが、これらのガラス材料は、VUVおよびDUV放射が存在する他の用途、ならびにIR光源またはカメラシステムなどの高強度の可視またはIR放射が存在する他の用途にも有用であり得ると想定される。
【0046】
本明細書に記載されたガラス材料および方法は、図示および記載された特定の実施形態に限定されることは意図されておらず、本明細書に開示された原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【0047】
当業者は、本明細書に記載された構成要素、動作、デバイス、オブジェクト、およびそれらに付随する議論が、概念的明瞭さのために例として使用されており、様々な構成の変形が企図されることを認識するであろう。そのため、本明細書で使用される場合、記載された特定の例および付随する議論は、それらのより一般的なクラスを代表するものであることが意図されている。一般に、任意の特定の例の使用は、そのクラスを代表することが意図され、特定の構成要素、動作、デバイス、およびオブジェクトを含まないことが、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0048】
前述の説明は、当業者が、特定の用途およびその要件の文脈において提供されるような本発明を作成および使用することができるように提示されている。本明細書で使用される場合、「頂部」、「底部」、「の上」、「の下」、「上部」、「上向き」、「下部」、「下に」、および「下向き」などの方向を示す用語は、説明のために相対的な位置を示すことが意図されており、絶対的な基準系を指定することは意図されていない。記載された実施形態に対する様々な変形は、当業者には明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の実施形態に適用することができる。したがって、本発明は、図示および説明された特定の実施形態に限定されることは意図されておらず、本明細書で開示された原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0049】
本明細書における実質的に任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途に適切であるように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の置換は、明確にするために本明細書では明示的に記載されていない。
【0050】
本明細書に記載される主題は、時として、他の構成要素内に含まれる、または他の構成要素と接続された異なる構成要素を示す。そのように示されるアーキテクチャは、単に例示であり、実際には、同じ機能を達成する多くの他のアーキテクチャを実装することができることを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能を達成するための構成要素の任意の配置は、所望の機能が達成されるように効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能を達成するために本明細書において組み合わされた任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間の構成要素とは無関係に、所望の機能が達成されるように互いに「関連付けられている」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「接続」または「結合」されていると見なすこともでき、そのように関連付けることができる任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「結合可能である」と見なすこともできる。結合可能な特定の例としては、物理的に嵌合可能なおよび/または物理的に相互作用する構成要素、ならびに/あるいは、無線で相互作用可能なおよび/または無線で相互作用する構成要素、ならびに/あるいは、論理的に相互作用するおよび/または論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は、一般に「オープン」な用語として意図されている(例えば、用語「含んでいる」は、「含んでいるがこれに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む」は、「含むがこれに限定されない」などと解釈されるべきである)ことが当業者によって理解されるであろう。導入された請求項の記載(introduced claim recitation)の特定の数が意図されている場合、そのような意図は請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲では、請求項の記載を導入するために、「少なくとも1つ」および「1つ以上」という導入句の使用が含まれていることがある。しかしながら、そのような句の使用は、たとえ同じ請求項が「1つ以上」または「少なくとも1つ」という導入句および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのような導入された請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、そのような記載を1つだけ含む発明に限定することを意味すると解釈されるべきではなく(例えば、「a」および/または「an」は、典型的には、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、同じことが、請求項の記載を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、導入された請求項の記載の特定の数が明示的に記載されている場合であっても、当業者は、そのような記載が、典型的には、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語を伴わない「2つの記載」というただそれだけの記載は、典型的には、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣用句が使用される場合、概して、そのような構成は、当業者が慣用句を理解するであろうという意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBをともに、AおよびCをともに、BおよびCをともに、ならびに/またはA、B、およびCをともになどを有するシステムを含むが、これらに限定されない)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣用句が使用される場合、概して、そのような構成は、当業者が慣用句を理解するであろうという意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBをともに、AおよびCをともに、BおよびCをともに、ならびに/またはA、B、およびCをともになどを有するシステムを含むが、これらに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接語および/または句は、本明細書、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいても、その用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解される。
図1
図2
図3