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特許7604502化学機械研磨における温度制御のための流体噴出中の気体の取り込み
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】化学機械研磨における温度制御のための流体噴出中の気体の取り込み
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/015 20120101AFI20241216BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241216BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B24B37/015
H01L21/304 622R
B24B55/02 B
H01L21/304 621D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022544272
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 US2021039449
(87)【国際公開番号】W WO2022006012
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】63/046,414
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/932,615
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クマール, スラジット
(72)【発明者】
【氏名】チェン, フイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, チー チュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ショウ-サン
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-030181(JP,A)
【文献】特開平09-150080(JP,A)
【文献】特開2016-033239(JP,A)
【文献】特開2009-082824(JP,A)
【文献】特開2013-099814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
B24B 55/02
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨システムであって、
研磨面を有する研磨パッドを支持するためのプラテン、並びに
パッド冷却アセンブリであって、
貫通するアパーチャを有する支持プレートと該支持プレートを覆うハウジングとを備えた、前記プラテンにわたって延在するアームと、
前記アームによって懸架され、冷却剤流体の供給源に連結されたノズルであって、前記供給源から前記研磨パッドの前記研磨面に冷却剤流体を噴霧するように位置付けされたノズルと、
前記ノズル及び通路に隣接する前記アーム内の開口であって、前記通路が前記開口から前記アーム内に延在し、前記開口は、前記ノズルからの冷却剤流体の流れが前記開口からの空気を取り込むように、前記ノズルに十分に近接して位置付けされている、開口と、
を含むパッド冷却アセンブリ
を備えており、
前記ノズルが、前記アパーチャを通して冷却剤流体を噴霧するように方向付けられ、前記通路は、前記アパーチャの少なくとも1つの側壁から前記支持プレートを通って側方に延在し、前記開口が前記通路によって設けられている、
化学機械研磨システム。
【請求項2】
前記開口が、前記通路の内表面と前記ノズルとの間の空隙によって設けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ノズルの底部が、前記支持プレートの上方に位置付けされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ノズルの一部が、前記アパーチャ内に延在する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記支持プレートの上部の一部が覆われていない、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ハウジングの内部を外部雰囲気に接続するための、前記ハウジングを通る通路を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
複数のノズルが、前記アームによって懸架されているノズルであり、前記複数のノズルが、前記ハウジングの共通チャンバ内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記アパーチャの複数の異なる側壁から前記支持プレートを通って側方に延在する複数の通路を備え、前記開口が、前記複数の通路によって設けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ノズルが、収縮-拡散ノズルを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
冷却剤源に連結され、前記冷却剤源に、前記冷却剤流体を前記ノズルへ50から100標準リットル/分の速度で供給させるように構成されたコントローラを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の化学機械研磨システムのための温度制御の方法であって、
支持アーム上でノズルを支持することと、
冷却剤源から前記ノズルを通して冷却剤流体を供給することと、
前記ノズルからの冷却剤流体の流れにおいて、前記支持アームにおける開口から空気を取り込み、前記冷却剤流体と、取り込まれた空気との混合物を研磨パッド上に向けることと
を含む方法。
【請求項12】
前記ノズルを通して前記冷却剤流体を流すことが、前記冷却剤流体の温度を低下させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記冷却剤流体が気体である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
空気を冷やすことによって、液体窒素を蒸発させることによって、液体エタノールを蒸発させることによって、液状イソプロピルアルコールを蒸発させることによって、及び/又はドライアイスを昇華させることによって、前記冷却剤流体を形成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記流体が液体である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記流体が、液体窒素、液状水、液体エタノール、及び/又は液状イソプロピルアルコールを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
0℃未満の温度で、前記冷却剤流体と、取り込まれた空気との混合物を前記研磨パッド上に供給することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
-70から-50℃の間の温度で、前記冷却剤流体と、取り込まれた空気との混合物を前記研磨パッド上に供給することを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨(CMP)中の温度制御に関し、より具体的には、CMP中の研磨パッドの冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、半導体ウエハ上に導電層、半導電層、又は絶縁層を連続して堆積させることによって、基板上に形成される。種々の製造プロセスでは、基板上の層の平坦化が必要とされる。例えば、ある製造工程には、非平坦表面の上に充填層を堆積させ、その充填層を、パターニングされた層の上面が露出するまで研磨することが伴う。別の例として、パターニングされた導電層の上に層を堆積させ、平坦化して、後続のフォトリソグラフィステップを可能にすることができる。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、認められた平坦化方法のうちの1つである。この平坦化方法では、通常、キャリアヘッド上に基板を設置することが必要になる。基板の露出表面は、通常、回転式研磨パッドに対して配置される。キャリアヘッドは、基板に対して制御可能な荷重を加え、基板を研磨パッドに押し付ける。通常、研磨粒子を含む研磨スラリが、研磨パッドの表面に供給される。
【0004】
研磨処理における除去速度は、温度に対して敏感であり得る。研磨中に温度を制御するために、様々な技法が提案されている。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、化学機械研磨システムは、研磨面を有する研磨パッドを支持するためのプラテン、及びパッド冷却アセンブリを含む。パッド冷却アセンブリは、プラテンにわたって延在するアームと、アームによって懸架され、冷却剤流体の供給源に連結されたノズルであって、供給源から研磨パッドの研磨面に冷却剤流体を噴霧するように位置付けされたノズルと、ノズルに隣接する、アームにおける開口、及び開口からアーム内に延在する通路であって、開口は、ノズルからの冷却剤流体の流れが開口からの空気を取り込むように、ノズルに十分に近接して位置付けされている、開口及び通路とを有する。
【0006】
別の態様では、化学機械研磨システムのための温度制御の方法は、支持アーム上でノズルを支持することと、冷却剤源からノズルを通して冷却剤流体を研磨パッド上に供給することと、ノズルからの冷却剤流体の流れにおいて、支持アームにおける開口から空気を取り込むこととを含む。
【0007】
可能性のある利点には、以下のうちの1つ又は複数が含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0008】
研磨パッドの温度は、単に冷却剤を研磨パッドに向けるよりも効率的に低下させることができ、より多くのエネルギーを必要とすることはない。研磨パッドの温度、ひいては研磨処理温度は、ウエハ間で制御してより均一にすることができ、結果的にウエハ間の不均一(WIWNU:wafer-to-wafer non-uniformity)が減少する。研磨パッド表面の温度は、金属洗浄、過剰研磨、又は研磨動作の調整工程のうちの1つ又は複数の間に低下させることができる。これにより、ディッシング及び腐食が減少し、かつ/又はパッドの凹凸の均一性が改善される。したがって、研磨の均一性が改善され、パッドの寿命が延びる。
【0009】
1つ又は複数の実装形態の詳細は、添付図面及び以下の記載において明記される。その他の態様、特徴、及び利点は、これらの記載及び図面から、並びに特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】研磨装置の研磨ステーションの一例の概略断面図である。
図1B】化学機械研磨装置の例示的な研磨ステーションの概略上面図である。
図2】冷却剤供給アームの概略断面図である。
図3A】冷却剤供給アームの別の実装形態の概略断面図である。
図3B】冷却剤供給アームの別の実装形態の概略上面図である。
図4A】冷却剤供給アームのさらなる実装形態の概略断面図である。
図4B】冷却剤供給アームのさらなる実装形態の概略上面図である。
図5】冷却剤供給システムの概略図である。
図6図2の化学機械研磨システムの温度を制御する方法の一例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
化学機械研磨は、基板、研磨液、及び研磨パッドの間の界面における機械的研磨とケミカルエッチングとの組み合わせによって作用する。研磨プロセスの間、基板の表面と研磨パッドとの間の摩擦により、かなりの量の熱が発生する。さらに、幾つかのプロセスは、インシトゥパッド調整工程を含む。このインシトゥパッド調整工程では、コンディショニングディスク(例えば、研磨ダイヤモンド粒子でコーティングされたディスク)が、回転する研磨パッドに押し付けられ、研磨パッド表面を調整し、整える。調整プロセスの研磨により熱が発生することもある。例えば、2psiの公称ダウンフォース圧力及び8000Å/分の除去速度における典型的な1分間の銅CMPプロセスでは、ポリウレタン研磨パッドの表面温度が約30℃上昇し得る。
【0012】
例えば、CMPプロセスにおける化学反応関連変数(例えば、関与する反応の開始及び速度としての変数)、及び機械関連変数(例えば、研磨パッドの表面摩擦係数及び粘弾性)の両方は、温度に対する依存性が高い。結果として、研磨パッドの表面温度の変動により、除去速度、研磨均一性、腐食、ディッシング、及び残留物の変化がもたらされ得る。研磨中の研磨パッドの表面の温度をより厳密に制御することによって、温度の変動を低減させることができ、例えば、ウエハ内不均一性又はウエハ間不均一性を基準として測定される研磨性能を改善することができる。
【0013】
化学機械研磨プロセスの温度を制御するために提案されている1つの技法は、冷却剤、例えば、冷水を研磨パッド上に噴霧することである。冷却剤の温度を下げるために電力が必要とされ、熱が熱源から供給ポートへ移動するとき、熱は冷却剤に伝達され得る。しかしながら、研磨パッド上に冷却剤を噴霧するノズルを開口の近傍に位置付けすることにより、幾らかの空気を冷却剤の流れに取り込んで、気体冷却効果を実現し、ひいては冷却システムの冷却能力を拡大することができる。これにより、研磨パッドの冷却効率を改善することができる。特に、冷却剤を噴霧するノズルがアームの支持プレートによって支持されている場合、取り込まれる空気は、支持プレートの上方、例えばアームの上方から流れることがある。この空気は、研磨パッドに隣接しかつ研磨パッドから放射される熱を吸収した可能性のある空気よりも冷たいはずである。
【0014】
図1A及び図1Bは、化学機械研磨システムの研磨ステーション20の一例を示す。研磨ステーション20は、研磨パッド30が置かれる回転可能な円盤形状のプラテン24を含む。プラテン24は、軸25の周りを回転するように動作可能である(図1Bの矢印A参照)。例えば、モータ22は、プラテン24を回転させるために駆動シャフト28を回すことができる。研磨パッド30は、外側研磨層34及びより柔らかいバッキング層32を備えた2層式研磨パッドであり得る。
【0015】
研磨ステーション20は、研磨スラリなどの研磨液38を研磨パッド30上に供給するために、例えば、スラリ供給アーム39の端部に供給ポートを含み得る。研磨ステーション20は、研磨パッド30の表面粗さを維持するための、コンディショニングディスクを備えたパッドコンディショナをさらに含み得る。
【0016】
キャリアヘッド70は、基板10を研磨パッド30に対して保持するように動作可能である。キャリアヘッド70は、支持構造体72(例えば、カルーセル又はトラック)から懸架され、駆動シャフト74によってキャリアヘッド回転モータ76に接続され、これにより、キャリアヘッド70は軸71の周りで回転することができる。あるいは、キャリアヘッド70は、トラックに沿った移動によって、又はカルーセル自体の回転振動によって、例えば、カルーセル上のスライダ上で、側方に振動することができる。
【0017】
キャリアヘッド70は、基板10の裏側に接触する基板装着面を有する可撓性膜80、及び基板10の種々のゾーン(例えば、種々の径方向ゾーン)に種々の圧力を加える複数の加圧可能チャンバ82を含み得る。キャリアヘッド70は、基板を保持する保持リング84を含み得る。幾つかの実装形態では、保持リング84は、研磨パッドに接触する下方プラスチック部分86、及びより硬い材料(例えば、金属)の上方部分88を含み得る。
【0018】
プラテンは、動作中、その中心軸25の周りを回転し、キャリアヘッドは、その中心軸71の周りを回転し(図1Bの矢印B参照)、研磨パッド30の上面にわたって側方に移動する(図1Bの矢印C参照)。
【0019】
幾つかの実装形態では、研磨ステーション20は、研磨ステーション内の温度、又は研磨ステーションの構成要素若しくは研磨ステーション内の構成要素の温度(例えば、研磨パッド30及び/又は研磨パッド上のスラリ38の温度)をモニタリングするための温度センサ64を含む。例えば、温度センサ64は、研磨パッド30の上方に位置付けされ、かつ研磨パッド30及び/又は研磨パッド上のスラリ38の温度を測定するように構成された赤外線(IR)センサ(例えば、IRカメラ)であってもよい。特に、温度センサ64は、径方向の温度プロファイルを生成するために、研磨パッド30の半径に沿った複数のポイントで温度を測定するように構成され得る。例えば、IRカメラは、研磨パッド30の半径に跨がる視野を有し得る。
【0020】
幾つかの実装形態では、温度センサは、非接触型センサではなく接触型センサである。例えば、温度センサ64は、プラテン24の上又はその中に位置付けされた熱電対又はIR温度計であってもよい。さらに、温度センサ64は、研磨パッドと直接接触することができる。
【0021】
幾つかの実装形態では、研磨パッド30の半径に沿った複数のポイントにおいて温度を提供するために、研磨パッド30にわたって種々の径方向位置に複数の温度センサを離間させてもよい。この技法は、IRカメラの代わりに、又はIRカメラに加えて使用することができる。
【0022】
図1Aでは、温度センサ64は、研磨パッド30の、及び/又はパッド30上のスラリ38の温度をモニタリングするよう位置付けされているように示されているが、基板10の温度を測定するためにキャリアヘッド70の内部に位置付けされてもよい。温度センサ64は、基板10の半導体ウエハと直接接触してもよい(すなわち、接触型センサであってもよい)。幾つかの実装形態では、例えば、研磨ステーションの種々の構成要素又は研磨ステーション内の種々の構成要素の温度を測定するために、複数の温度センサが研磨ステーション22内に含まれる。
【0023】
研磨システム20は、研磨パッド30及び/又は研磨パッド上のスラリ38の温度を制御するための温度制御システム100をさらに含む。温度制御システム100は、冷却システム102を含み得る。冷却システム102は、研磨パッド30の研磨面36(又は研磨パッド上に既に存在する研磨液)に冷却剤を供給することによって動作する。
【0024】
冷却剤は、気体(例えば、空気)、及び/又は液体(例えば、水)であってもよい。冷却剤の気体状成分は、存在する場合、空気、又は研磨処理に対して不活性な別の気体(窒素、二酸化炭素、アルゴン、若しくは別の希ガスなど)、又はこれらの混合物であってもよい。冷却剤の液状成分は、存在する場合、水、又は別の液体(エタノール若しくはイソプロピルアルコールなど)、又はこれらの混合物であってもよい。液状成分は、研磨処理に対して不活性であり得る。冷却剤は、室温であってもよく、又は室温未満、すなわち20℃未満まで冷やされてもよい。例えば、冷却剤は、5から15℃であってもよい。幾つかの実施態様では、冷却剤は、0℃以下である。
【0025】
幾つかの実装形態では、冷却剤は実質的に純気体である。幾つかの実装形態では、冷却剤は、気体及び液体のスプレー、例えば、空気などの気体担体中の水などの液体のエアロゾル化スプレーである。幾つかの実装形態では、冷却システムは、室温未満に冷やされた水のエアロゾル化スプレーを発生させるノズルを有し得る。
【0026】
幾つかの実装形態では、冷却剤は、気体及び/又は液体と混合された固体物質の粒子を含む。この固体物質は、冷却された物質、例えば、氷、ドライアイス、又は凍結されたエタノール若しくはイソプロピルアルコールであってもよい。幾つかの実装形態では、冷却剤は、気体(例えば、空気)、及び固体粒子(例えば、氷粒子)のスプレーであるが、実質的に液相を含まない。この個体物質は、水に溶けたときに化学反応によって熱を吸収する物質であってもよい。
【0027】
冷却剤は、冷却剤供給アームにおいて、任意選択的にノズルに形成された1つ又は複数のアパーチャ(例えば、孔又はスロット)を通って供給され得る。アパーチャは、冷却剤源に接続されたマニホールドによって設けられ得る。
【0028】
図1A及び図1Bに示すように、例示的な加熱システム102は、研磨パッド30の端部から、研磨パッドの中心まで、又は少なくともその近く(例えば、研磨パッドの全半径の5%以内)まで、プラテン24及び研磨パッド30にわたって延在するアーム110を含む。アーム110はベース112によって支持することができ、ベース112は、プラテン24と同じフレーム40上で支持され得る。ベース112は、1つ又は複数のアクチュエータ、例えば、アーム110を上昇又は下降させるための線形アクチュエータ、及び/又は、プラテン24の上でアーム110を側方に揺動させるための回転式アクチュエータを含み得る。アーム110は、研磨ヘッド70、パッドコンディショニングディスク92、及びスラリディスペンサ39などの他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように位置付けされる。
【0029】
例示的な冷却システム102は、アーム110上に懸架された複数のノズル120を含む。各ノズル120は、液状冷却剤(例えば、水)を研磨パッド30上に噴霧するように構成されている。冷却剤源とノズルとの間の流体接続は、アームの外側(例えば、アームの上部)及び/又はアームの内側に、配管やパイプ等によって設けることができる。ノズル120が間隙126によって研磨パッド30から分離されるように、アーム110をベース112によって支持することができる。
【0030】
各ノズル120は、例えば、コントローラ12を使用して、各ノズル120を通る流体の流れを開始及び停止するように構成され得る。各ノズル120は、エアロゾル化水をスプレー122状に研磨パッド30に向けて誘導するように構成され得る。
【0031】
冷却システム102は、液体、気体、又は液体と気体との組み合わせであり得る冷却剤の供給源を含み得る。供給源は、液体冷却剤のための供給源130及び/又は気体冷却剤のための供給源132を含み得る(図1B参照)。供給源130からの液体及び供給源132からの気体は、ノズル120を通して誘導されてスプレー122を形成する前に、アーム110内又はアーム上の混合チャンバ内で混合され得る。冷却剤は、供給されたときに室温未満(例えば、-100から20℃、例えば、0℃未満)であり得る。
【0032】
冷却システム102で使用される冷却剤は、例えば、冷水、液体窒素、液体エタノール若しくはイソプロピルアルコール、液体窒素、エタノール若しくはイソプロピルアルコールのうちの1つ又は複数の蒸発によって形成された気体、又はドライアイスを含み得る。幾つかの実装形態では、水滴を気体の流れに加えてもよい。水を冷却して、氷滴を形成することができる。この氷滴は、その融解潜熱によって研磨パッドを効率的に冷却する。さらに、氷又は水滴は、研磨パッド30が冷却された気体によって冷却されているときに、研磨パッドが乾燥するのを防ぐことができる。水の代わりに、エタノール又はイソプロピルアルコールを気体流に注入して、凍結粒子を形成することができる。
【0033】
気体源132からの気体(例えば、圧縮気体)は、渦管50に接続することができる。渦管50は、圧縮気体を低温流と高温流とに分離し、低温流をノズル120へ誘導し、研磨パッド30に向けることができる幾つかの実装形態では、ノズル120は、圧縮気体の低温流を研磨パッド30上に誘導する渦管の下端部である。
【0034】
幾つかの実装形態では、処理パラメータ(例えば、流量、圧力、温度、及び/又は液体と気体との混合比)は、(例えば、コントローラ12によって)ノズルごとに独立して制御することが可能である。例えば、各ノズル120の冷却剤は、スプレーの温度を個別に制御するために、個別に制御可能な冷却器を通って流れることができる。別の例として、別のポンプの対(片方は気体用で片方は液体用)を各ノズルに接続して、ノズルごとに気体及び液体の流量、圧力、及び混合比を個別に制御することができる。
【0035】
様々なノズルは、研磨パッド30上の種々の径方向ゾーン124に噴霧することができる。互いに隣接する径方向ゾーン124は、重なり合う場合がある。幾つかの実装形態では、ノズル120は、細長い領域128に沿って、研磨パッド30に衝突するスプレーを発生させる。例えば、ノズルは、概して平面的な三角状の体積にスプレーを生成するように構成され得る。
【0036】
細長い領域128のうちの1つ又は複数、例えば、細長い領域128の全部が、領域128を通って延びる半径に対して平行な長手方向軸を有し得る(領域128a参照)。あるいは、ノズル120は、円錐状スプレーを発生させる。
【0037】
図1Aはスプレー自体が重なり合っていることを示しているが、ノズル120は、細長い領域が重なり合わないように配向することができる。例えば、少なくとも幾つかのノズル120(例えば、全てのノズル120)は、細長い領域128が、細長い領域を通過する半径に対して斜角になるように配向することができる(領域128b参照)。
【0038】
少なくとも幾つかのノズル120は、当該ノズルからのスプレーの中心軸(矢印A参照)が、研磨面36に対して斜角になるように配向することができる。特に、スプレー122は、プラテン24の回転によって生じる衝突の領域において研磨パッド30の運動方向(矢印A参照)とは反対の方向の水平成分を有するように、ノズル120から方向付けることができる。
【0039】
図1A及び図1Bは、ノズル120が均一な間隔で離隔しているように示しているが、これは必須ではない。ノズル120は、径方向、角度方向、又はその両方に不均一に分散していてもよい。例えば、ノズル120は、研磨パッド30の端部に向かって径方向に沿ってより密にクラスタ化していてもよい。さらに、図1A及び1Bは9つのノズルを示しているが、より多数又はより少数のノズル、例えば、3~20個のノズルがあってもよい。
【0040】
冷却システム102を使用して、研磨面36の温度を下げることができる。例えば、研磨面36の温度は、スプレー122を介した液体冷却剤130からの液体、スプレー122を介した気体冷却剤132からの気体、渦管50からの低温流52(図5参照)、又はこれらの組み合わせを使用して下げることができる。幾つかの実施形態では、研磨面36の温度は、20℃以下に低下させることができる。金属洗浄、過剰研磨、又は調整工程のうちの1つ又は複数の間のより低い温度は、研磨液38の選択性を低下させることによって、CMP中の軟質金属のディッシング及び腐食を低減することができる。
【0041】
幾つかの実装形態では、温度センサが、研磨パッド30上の研磨パッド30又は研磨液38の温度を測定し、コントローラ12が、閉ループ制御アルゴリズムを実行して、研磨パッド30上の研磨パッド30又は研磨液38を所望の温度に維持するように、研磨液38の流量に対する冷却剤の流量を制御する。
【0042】
CMP中のより低い温度を使用して、腐食を低減することができる。ガルバニック反応は温度依存性であるため、例えば、金属洗浄、過剰研磨、又は調整工程のうちの1つ又は複数の間のより低い温度は、様々な構成要素におけるガルバニック腐食を低減することができる。さらに、CMP中、研磨処理において不活性気体を使用することができる。特に、酸素を欠く(又は通常の雰囲気よりも酸素が少ない)気体を使用して、局所的な不活性環境内で酸素を減少させる局所的な不活性環境を作り出すことができ、結果的に腐食が低減される。このような気体の例としては、例えば液体窒素又はドライアイスから蒸発した窒素及び二酸化炭素が挙げられる。
【0043】
例えば、調整工程のために研磨表面36の温度を下げることにより、研磨パッド30の貯蔵弾性率を増加させ、研磨パッド30の粘弾性を減少させることができる。増加した貯蔵弾性率の及び減少した粘弾性の減少は、パッドコンディショニングディスク92に対するより低いダウンフォース及び/又はパッドコンディショニングディスク92による積極性が弱まった調整と相まって、より均一なパッドの凹凸をもたらすことができる。均一なパッド凹凸の利点は、後続の研磨動作中の基板10上のスクラッチを低減するとともに、研磨パッド30の寿命を延ばすことである。
【0044】
図5に示すように、各ノズル120は、、収縮-拡散(CD)ノズルであり得る。収縮-拡散(CD)ノズルは、ラバールノズル(de Laval nozzle)又は超音速ノズルであると説明することもできる。各ノズル120は、気体(例えば、気体源132からの気体)が亜音速でノズル120に入る収縮セクション202(例えば、入力ポート)を有する。ポンプ222は、気体を、気体源132から、ディスペンサ210を通して、CDノズル120内に誘導することができる。例えば、収縮セクション202に入る気体は、室温(例えば、20から30℃)、又は室温未満であってよく、ノズルにつき0から1000リットル/分(例えば、ノズルにつき500リットル/分)の速度で入ることができる。収縮セクション202から、気体は、ノズル120の断面積が最小であるチョークポイント、すなわち喉部204に入る。気体の速度は、気体が収縮セクション202から喉部204を通って拡散セクション206(例えば、出力ポート)に流れるにつれて増加する。喉部204は、喉部204を通って流れる気体の速度を増加させるので、気体が拡散セクション206に入って出るとき、気体の速度は超音速まで増加する。例えば、拡散セクション206から出る気体は、室温未満の温度、例えば、-100から20℃、-90から0℃、-80から-25℃、又は-70から-50℃であり得る。
【0045】
冷却システム102で使用される気体は、例えば、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、又は蒸気エタノール若しくはイソプロピルアルコールなどの蒸発気体を含み得る。気体は、CDノズル120に供給される前であっても冷却することができる。例えば、冷却された気体は、冷たい空気(例えば、熱交換器を通過させることによって冷却された空気)、冷たい窒素気体(例えば、液体窒素から蒸発したもの)、又は冷たい二酸化炭素気体(例えば、ドライアイスの昇華からのもの)であり得る。
【0046】
CDノズル120を使用して、研磨パッド30を冷却することができる。例えば、拡散セクション206は、冷却された気体を研磨パッド30上に直接供給することができる。例えば、拡散セクション206からの出口は、研磨表面36から約1から10cmに位置することができ、ノズル120は、気体流が研磨表面に衝突するように配向することができる。
【0047】
幾つかの実装形態では、液体冷却剤の供給源130は、ディスペンサ210を通して、液体(例えば、水)を供給することができる。ディスペンサ210は、ノズル120を通る気体流に水を注入するように位置付けされたインジェクタであり得る。例えば、インジェクタ210は、収縮セクション202内に、(図5に示すように)喉部204内に、拡散セクション206内に、又は拡散セクション206の直接後ろに水滴を注入するように位置付けされ得る。
【0048】
気体流(例えば、ノズル120内)への液体冷却剤の流量は、バルブ212によって制御することができる。ディスペンサ210は、例えば、0から300ミリリットル/分(例えば、3から50ミリリットル/分)の速度で、水滴208を供給することができる。液体流量は、気体流量の約0.001%から1%(例えば、0.01から0.1%)であり得る。気体がCDノズル120を通って流れるにつれて、水滴208は、CDノズル120を通って流れる気体が冷却されるにつれて、気体によって冷却され得る。幾つかの実装形態では、水滴208は、冷却されて氷滴を形成する。氷滴は、サイズが均一(例えば、直径がおおよそ10μm)であり得る。
【0049】
幾つかの実装形態では、水滴208は、さらに研磨パッド30上に直接供給される。この水滴208は、冷却された気体とともに研磨パッド30をさらに冷却することができる。さらに、氷又は水滴は、研磨パッド30が冷却された気体によって冷却されているときに、研磨パッドの乾燥を防ぐことができる。幾つかの実装形態では、冷却されたガスは、水滴208を凍結させて氷滴を形成する。この氷滴は、冷却されたガスとともに、研磨パッド30を冷却することができる。氷滴が熱を吸収し、水に溶けるにつれて、融解潜熱が研磨パッド30を冷却することができるので、氷滴は研磨パッド30を効率的に冷却することができる。さらに、氷滴を使用して、研磨パッド30を研磨かつ洗浄することができる。
【0050】
幾つかの実装形態では、冷却剤は、実質的に液体のみ(例えば、気体と混合されていない)であり得る。
【0051】
図2を参照すると、アーム110は支持プレート138を含み、ノズル120は支持プレート138の上方で懸架されている。各ノズル120は、支持プレート138を通る対応する通路114の上方に位置付けされ得る。幾つかの実装形態では、個々の通路ではなく、支持プレート138に沿って延在するスロットがあり、ノズル120はスロットの上方に位置付けされる。
【0052】
幾つかの実装形態では、ノズル120がアーム110内で懸架されている。例えば、支持プレート138は、チャンバ135を形成するように、カバー134によって覆うことができ、ノズル120は、チャンバ135内でカバー134の天井135から懸架することができる。全てのノズル120を共通チャンバ135内に収容することができる(図1A参照)。しかしながら、カバーは任意であり、支持プレート138の上面は、ノズル120が同様に覆われていない状態で、環境に対して概ね開かれていてもよい。この場合、ノズル120は、支持プレート138から延びる支柱又はフレームワークによって懸架され得る。
【0053】
図1A及び図2は支持プレート138の上面の上方全体に位置付けされたノズル120を示しているが、これは必須ではない。例えば、各ノズル120は、支持プレート138内の対応する通路114内に部分的に延びてもよい。しかしながら、ノズル120の底部は、支持プレート138の底面よりも下方に突出しない。
【0054】
ノズル120は、間隙126によって研磨パッド30から分離される。ノズル120は、取り込まれた気体を伴う液体冷却剤を、支持プレート138内の通路114を通して、研磨パッド30上に噴霧する。各ノズル120は、別個の通路114を有し得る。通路114は(アームの上面図において)円形として示されているが、通路は他の断面形状(例えば、長方形や楕円形等)を有し得る。
【0055】
通路114の内表面118とノズル120の外表面との間の空間が空隙116を設ける。空隙は、約5から10mmの幅であり得る。空隙116は、矢印140によって示される追加の空気が冷却液流体流142に取り込まれることを可能にする開口として機能する。冷却液流体流142に取り込まれた空気は、研磨パッド30の上面36のスラリ38に向けられるガスと冷却液流の総混合物を増加させることができ、ひいては、スラリ38及び研磨パッド30からの熱伝達を増加させる。図示のように、取り込まれる空気は、支持プレート138の上方から流れる。気体流量を単に増加させるだけで、さらに熱伝達を改善することができる。しかしながら、いかなる特定の理論に限定されるものではないが、支持プレート138の上方からの空気は、研磨パッドの真上の空気よりも冷たい場合がある。研磨パッドの真上の空気は、熱伝達をさらに改善するように、研磨パッドから熱を吸収した可能性がある。
【0056】
図3A及び図3Bを参照すると、幾つかの実装形態では、ノズル120は、ハウジング136内においてアーム110上で懸架される。アーム110は、以下に述べる場合を除き、上述のように構成することができる。全てのノズル120は、単一のハウジング136の共通チャンバの内部に位置付けすることができる。あるいは、図3Bに示されるように、ノズル120のうちの少なくとも1つ(例えば、すべてノズル120)は、ハウジング136によって設けられたチャンバ内に単一のノズル120があるように、専用のハウジング136を有し得る。各ノズルは、例えば、ハウジング136の天井154から、支持プレート138の上方で懸架される。
【0057】
支持プレート138の上面146は、アパーチャ144を有し得る。アパーチャ144は、支持プレート138の本体に形成された空気プレナム148に接続する。特に、プレナム148は、通路114の3つの側面を囲み、それらに接続することができる。したがって、通路114は、プレナム148に対する3つの側面150に開口を有して空気流140を可能にし、1つの側部152が閉じられている。
【0058】
ノズル120は、支持プレート138内の通路114を通して液体冷却剤を噴霧する。ハウジング136を通る空気流は概して遮断されるが、空気はアパーチャ144を通してプレナムに入ることができる。したがって、プレナム148は、空気が通路114に流入してノズル120からのスプレーに取り込まれることを可能にする開口を設ける。したがって、この構成は、研磨パッド30上のスラリ38に向けられるガスと冷却剤流の総混合物も増加させることができ、ひいては、スラリ38及び研磨パッド30からの熱伝達を増加させる。アパーチャ144が支持プレート138の上面にあるので、取り込まれる空気は支持プレート138の上方から流れる。しかしながら、この構成は、図2の構成と比較すると、それほど効率的ではない場合がある。
【0059】
図4A及び図4Bは、図3A及び図3Bに示される構成に類似する構成を示すが、通路114は、プレナム148対する1つの側面150のみで開いている。この場合も、プレナム148は、空気が通路114に流入してノズル120からのスプレーに取り込まれることを可能にする開口を設け、その結果、研磨パッド30上のスラリ38へのガスと冷却剤流の総量が増加する。しかしながら、この構成は、図3A及び図3Bの構成と比較すると、それほど効率的ではない場合がある。
【0060】
研磨システム20は、加熱システム(例えば、加熱された流体(例えば、蒸気)を研磨パッド上に供給するための、アパーチャを有するアーム)、高圧リンスシステム(例えば、リンス液を研磨パッド上に噴霧するノズルを有するアーム)、及び研磨パッド30にわたって研磨液38を均一に分配するワイパーブレード又はワイパー体を含み得る。
【0061】
上述の研磨装置及び方法は、様々な研磨システムにおいて適用することができる。研磨パッドとキャリアヘッドのいずれか又は両方が、研磨面と基板との間に相対的運動を発生させるよう動くことができる。例えば、プラテンは、回転するのではなく軌道周回することができる。研磨パッドは、プラテンに固定された円形の(又は他の何らかの形状の)パッドであり得る。研磨層は、標準の(例えば、充填材を有する若しくは有さないポリウレタン)研磨材料、軟性材料、又は固定研磨材料であってもよい。
【0062】
相対的な位置付けという表現は、システム内又は基板の相対的な位置付けを指すために使用され、研磨面及び基板は、研磨動作中、垂直配向又は何らかの他の配向で保持され得ることを理解されたい。
【0063】
研磨システム20は、様々な構成要素(例えば、温度制御システム100)の動作を制御するコントローラ12をさらに含み得る。コントローラ12は、研磨パッドの径方向ゾーンごとに温度センサ64から温度測定値を受信するように構成されている。コントローラ12は、測定された温度プロファイルを所望の温度プロファイルと比較し、各ノズル又は開口について、制御機構(例えば、アクチュエータ、電源、ポンプ、バルブ等)へのフィードバック信号を生成することができる。フィードバック信号は、制御機構に、冷却又は加熱の量を調整させ、その結果、研磨パッド及び/又はスラリが所望の温度プロファイルに達するように(又は少なくともそれに近づくように)、例えば、内部フィードバックアルゴリズムに基づいて、コントローラ12によって計算される。
【0064】
コントローラ12の機能的動作は、1つ又は複数のコンピュータプログラム製品(すなわち、データ処理装置(例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータ)によって実行するための、又はその動作を制御するための、非一過性の機械可読記憶媒体に有形で具現化された1つ又は複数のコンピュータプログラム)を使用して実施することが可能である。
【0065】
図6は、図2の化学機械研磨システムの温度を制御する方法600の一例のフロー図である。ノズルは、支持アーム上で支持される(602)。冷却剤流体は、冷却剤源からノズルに供給される(604)。冷却剤流体は、液体(例えば、液体水)、液体エタノール、及び/又は液体イソプロピルアルコールであり得る。冷却剤流体は、例えば、空気を冷やすことによって、液体窒素を蒸発させることによって、液体エタノールを蒸発させることによって、液体イソプロピルアルコールを蒸発させることによって、及び/又はドライアイスを昇華させることによって形成される気体であり得る。冷却剤流体は、ノズルを通して冷却剤流体を流すことによって冷却される(606)。冷却剤流体の温度を低下させるために、冷却剤流体はノズルを通して流される。支持アームにおける開口からの空気は、ノズルからの冷却された冷却剤流体の流れに取り込まれ、冷却された冷却剤流体と取り込まれた気体の混合物が形成される(608)。冷却された冷却剤流体と取り込まれた気体の混合物は、研磨パッド上に誘導される(610)。冷却剤流体と取り込まれた気体の混合物は、0℃未満の温度で研磨パッド上に供給される。冷却剤流体と取り込まれた気体の混合物は、-70から-50℃の温度で研磨パッド上に供給され得る。
【0066】
本発明の幾つかの実施形態が説明された。しかしながら、本発明の本質及び範囲から逸脱しない限り、様々な修正が行われうることを理解されたい。
【0067】
例えば、上記の説明は研磨パッドに冷却剤を供給することに焦点を当てているが、他の構成要素の温度を制御するために、冷却剤をそれらの構成要素に供給することが可能である。例えば、基板を移送ステーション(例えば、ロードカップ)内に位置付けしている間、冷却剤を基板上に噴霧することができる。別の例として、ロードカップ自体に冷却剤を噴霧することができる。さらに別の例として、コンディショニングディスクに冷却剤を噴霧することができる。
【0068】
図1Bはアーム110を線形として示しているが、アームは弓形であってもよい。さらに、共通アームによって支持された単一のアセンブリ内に様々なサブシステムが含まれ得る。例えば、アセンブリは、冷却モジュールを含んでもよく、並びにリンスモジュール、加熱モジュール、スラリ供給モジュール、及び任意選択的にワイパーモジュールのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0069】
したがって、他の実施形態も下記の特許請求の範囲内にある。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
化学機械研磨システムであって、
研磨面を有する研磨パッドを支持するためのプラテン、並びに
パッド冷却アセンブリであって、
前記プラテンにわたって延在するアームと、
前記アームによって懸架され、冷却剤流体の供給源に連結されたノズルであって、前記供給源から前記研磨パッドの前記研磨面に冷却剤流体を噴霧するように位置付けされたノズルと、
前記ノズルに隣接する、前記アームにおける開口、及び前記開口から前記アーム内に延在する通路であって、前記開口は、前記ノズルからの冷却剤流体の流れが前記開口からの空気を取り込むように、前記ノズルに十分に近接して位置付けされている、開口及び通路と、
を含むパッド冷却アセンブリ
を備えている化学機械研磨システム。
(態様2)
前記アームが、支持プレートを備え、前記支持プレートは、それを貫通するアパーチャを有し、前記ノズルが、前記アパーチャを通して冷却剤流体を噴霧するように方向付けられる、態様1に記載のシステム。
(態様3)
前記開口が、前記アパーチャの内表面と前記ノズルとの間の間隙によって設けられている、態様2に記載のシステム。
(態様4)
前記ノズルの底部が、前記支持プレートの上方に位置付けされている、態様3に記載のシステム。
(態様5)
前記ノズルの一部が、前記アパーチャ内に延在する、態様3に記載のシステム。
(態様6)
前記支持プレートの上部が覆われていない、態様2に記載のシステム。
(態様7)
前記アームが、前記支持プレートを覆うハウジングを備えている、態様2に記載のシステム。
(態様8)
前記ハウジングの内部を外部雰囲気に接続するための、前記ハウジングを通る通路を備えている、態様7に記載のシステム。
(態様9)
複数のノズルが、前記アームによって懸架されているノズルであり、前記複数のノズルが、前記ハウジングの共通チャンバ内にある、態様7に記載のシステム。
(態様10)
前記アパーチャの少なくとも1つの側壁から前記支持プレートを通って側方に延在する通路を備え、前記開口が前記通路によって設けられている、態様7に記載のシステム。
(態様11)
前記アパーチャの複数の異なる側壁から前記支持プレートを通って側方に延在する複数の通路を備え、前記開口が、前記複数の通路によって設けられている、態様7に記載のシステム。
(態様12)
前記ノズルが、収縮-拡散ノズルを備えている、態様1に記載のシステム。
(態様13)
冷却剤源に連結され、前記冷却剤源に、前記冷却剤流体を前記ノズルへ50から100標準リットル/分の速度で供給させるように構成されたコントローラを備えている、態様1に記載のシステム。
(態様14)
化学機械研磨システムのための温度制御の方法であって、
支持アーム上でノズルを支持することと、
冷却剤源から前記ノズルを通して冷却剤流体を供給することと、
前記ノズルからの冷却剤流体の流れにおいて、前記支持アームにおける開口から空気を取り込み、前記冷却剤流体と、取り込まれた空気との混合物を研磨パッド上に向けることと
を含む方法。
(態様15)
前記ノズルを通して前記冷却剤流体を流すことが、前記冷却剤流体の温度を低下させる、態様14に記載の方法。
(態様16)
前記冷却剤流体が気体である、態様14に記載の方法。
(態様17)
空気を冷やすことによって、液体窒素を蒸発させることによって、液体エタノールを蒸発させることによって、液状イソプロピルアルコールを蒸発させることによって、及び/又はドライアイスを昇華させることによって、前記冷却剤流体を形成することを含む、態様16に記載の方法。
(態様18)
前記流体が液体である、態様14に記載の方法。
(態様19)
前記流体が、液体窒素、液状水、液体エタノール、及び/又は液状イソプロピルアルコールを含む、態様18に記載の方法。
(態様20)
0℃未満の温度で、前記冷却剤流体と、取り込まれた空気との混合物を前記研磨パッド上に供給することを含む、態様14に記載の方法。
(態様21)
-70から-50℃の間の温度で、前記冷却剤流体と、取り込まれた空気との混合物を前記研磨パッド上に供給することを含む、態様20に記載の方法。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6