(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20241216BHJP
C23C 16/56 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/56
(21)【出願番号】P 2023041424
(22)【出願日】2023-03-15
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2022074526
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮倉 敬弘
(72)【発明者】
【氏名】森谷 敦
(72)【発明者】
【氏名】女川 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】越 保信
(72)【発明者】
【氏名】平野 晃人
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121620(JP,A)
【文献】特表2016-509364(JP,A)
【文献】特開2020-043262(JP,A)
【文献】特開2017-117977(JP,A)
【文献】特開2020-035862(JP,A)
【文献】特開2003-318110(JP,A)
【文献】特開平08-139015(JP,A)
【文献】特開2017-162851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)基板
上に形成され、底面に単結晶構造を有し、側面が絶縁膜で構成される凹部の表面上に
、成膜温度で第14族元素を含む第1膜を形成する工程と、
b)前記第1膜を前記成膜温度よりも高
く、前記底面の単結晶構造上の前記第1膜は結晶化し、前記側面を構成する前記絶縁膜の表面上の前記第1膜は結晶成長しない第1温度に保持して熱処理し、前記第1膜
の一部を結晶成長させる工程と、
c)
前記b)の後に、前記第1膜を前記第1温度よりも高い第2温度で熱処理し、前記第1膜中の少なくとも一部分の前記第14族元素を前記
底面側に移動させる工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項2】
前記基板の表面には
前記絶縁膜が形成され、前記絶縁膜には
単結晶構造を有する前記基板の表面を
前記底面とする
前記凹部が形成されており、
前記a)では、前記凹部の
前記底面と
前記側面、及び前記絶縁膜の表面に前記第1膜を形成
する請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記c)では、前記凹部の
前記底面から
前記側面の上部まで連続的に結晶を形成する請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記a)では、前記基板に前記第14族元素を含む第1ガスと、第13族元素又は第15族元素を含む第2ガスを供給して、前記第14族元素と、前記第13族元素又は前記第15族元素と、を含む前記第1膜を形成する請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記c)では、前記第2ガスを供給して、前記熱処理を行う請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
d)前記a)の前に、前記基板に前記第14族元素を含む第2膜を形成する工程を有し、前記a)では、前記第2膜上に前記第1膜の少なくとも一部が形成される請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記第2膜は、前記第14族元素として前記第1膜に含まれる第1の第14族元素と、前
記第1の第14族元素とは異なる第14族元素である第2の第14族元素と、を含む請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記基板は
、前記凹部の
前記底面に前記第14族元素を主成分とする
単結晶構造の第1表面を有し、前記凹部の
前記側面には
前記絶縁
膜で構成される第2表面を有し、
前記d)では、前記第1表面に前記第2膜が形成され、前記第2表面
に前記第2膜が形成され
ない請求項6又は7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記第2膜は、
前記底面上に形成される請求項6又は7に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記a)において、前記第1膜は、前記基板の第14族元素を主成分とする表面に形成される請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記a)では、少なくとも一部がアモルファス状態、多結晶状態、またはアモルファスと多結晶との混晶状態の前記第1膜が形成される請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記b)では、前記第1膜
の一部が、エピタキシャル成長する請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記エピタキシャル成長の少なくとも一部は、固相エピタキシャル成長である請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記a)は、前記第1膜
の一部が結晶成長する条件で行われる請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記a)では、前記第1膜の少なくとも前記
底面側が結晶成長
し、
前記第1膜の少なくとも前記絶縁膜の表面側の部分は、アモルファス状態、多結晶状態、または、アモルファスと多結晶との混晶状態となる請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記b)は、前記第1膜中の前記第14族元素
のうち
、前記底面側に移動しない前記第14族元素の量が前記底面側に移動する前記第14族元素の量以上となる条件下で行われる請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項17】
a)基板
上に形成され、底面に単結晶構造を有し、側面が絶縁膜で構成される凹部の表面上に
、に成膜温度で第14族元素を含む第1膜を形成する工程と、
b)前記第1膜を前記成膜温度よりも高
く、前記底面上の単結晶構造上の前記第1膜は結晶化し、前記側面を構成する前記絶縁膜の表面上の前記第1膜は結晶成長しない第1温度に保持して熱処理し、前記第1膜
の一部を結晶成長させる工程と、
c)
前記b)の後に、前記第1膜を前記第1温度よりも高い第2温度で熱処理し、前記第1膜中の少なくとも一部分の前記第14族元素を
前記底面側に移動させる工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
a)基板
上に形成され、底面に単結晶構造を有し、側面が絶縁膜で構成される凹部の表面上に
、成膜温度で第14族元素を含む第1膜を形成させる手順と、
b)前記第1膜を前記成膜温度よりも高
く、前記底面上の単結晶構造上の前記第1膜は結晶化し、前記側面を構成する前記絶縁膜の表面上の前記第1膜は結晶成長しない第1温度に保持して熱処理し、前記第1膜
の一部を結晶成長させる手順と、
c)前記b)の後で、前記第1膜を前記第1温度よりも高い第2温度で熱処理し、前記第1膜中の少なくとも一部分の前記第14族元素を
前記底面側に移動させる手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項19】
基板に第14族元素含有ガスを供給する第1供給系と、
前記基板を加熱する加熱部と、
a)
前記基板
上に形成され、底面に単結晶構造を有し、側面が絶縁膜で構成される凹部の表面上に
、成膜温度で第14族元素を含む第1膜を形成する処理と、b)前記第1膜を前記成膜温度よりも高
く、前記底面上の単結晶構造上の前記第1膜は結晶化し、前記側面を構成する前記絶縁膜の表面上の前記第1膜は結晶成長しない第1温度に保持して熱処理し、前記第1膜
の一部を結晶成長させる処理と、c)
前記b)の後に、前記第1膜を前記第1温度よりも高い第2温度で熱処理し、前記第1膜中の少なくとも一部分の前記第14族元素を
前記底面側に移動させる処理と、を行わせる様に前記第1供給系と前記加熱部とを制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法、半導体装置の製造方法、プログラム及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理が行われることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板上に形成される膜の膜質を向上することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、a)基板に成膜温度で第14族元素を含む第1膜を形成する工程と、b)第1膜を第1温度で熱処理し、結晶成長させる工程と、c)第1膜を第1温度よりも高い第2温度で熱処理し、第1膜中の少なくとも一部分の第14族元素を前記基板側に移動させ結晶化させる工程と、を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板上に形成される膜の膜質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一態様の基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面図で示す図である。
【
図2】本開示の一態様の基板処理装置の縦型処理炉の一部の概略構成図であり、処理炉202部分を
図1のA-A線断面図で示す図である。
【
図3】本開示の一態様の基板処理装置の制御部の概略構成図であり、制御系をブロック図で示す図である。
【
図4】本開示の一態様の基板処理工程のフローチャートの例を示す図である。
【
図5】本開示の一態様の基板処理工程の温度の推移を示す図である。
【
図6】本開示の一態様の基板表面のモデルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~6を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は温度調整器(加熱部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0010】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属材料により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。反応管203はヒータ207と同様に垂直に据え付けられている。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成される。処理容器の筒中空部には処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。この処理室201内でウエハ200に対する処理が行われる。
【0011】
処理室201内には、第1~第5供給部としてのノズル249a~249eが、マニホールド209の側壁を貫通するようにそれぞれ設けられている。ノズル249a~249eには、ガス供給管232a~232eがそれぞれ接続されている。ノズル249a~249eはそれぞれ異なるノズルであり、ノズル249b,249dのそれぞれは、ノズル249cに隣接して設けられている。ノズル249a,249eのそれぞれは、ノズル249b,ノズル249dの249cと隣接する側とは反対側に隣接して設けられている。
【0012】
ガス供給管232a~232eには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a~241eおよび開閉弁であるバルブ243a~243eがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a~232eのバルブ243a~243eよりも下流側には、ガス供給管232f~232jがそれぞれ接続されている。ガス供給管232f~232jには、ガス流の上流側から順に、MFC241f~241jおよびバルブ243f~243jがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a~232eは、例えば、SUS等の金属材料により構成されている。
【0013】
図2に示すように、ノズル249a~249eは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている(
図1参照)。すなわち、ノズル249a~249eは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。平面視において、ノズル249cは、処理室201内に搬入されるウエハ200の中心を挟んで後述する排気口231aと一直線上に対向するように配置されている。ノズル249b,249dは、ノズル249cと排気口231aの中心とを通る直線Lを、反応管203の内壁(ウエハ200の外周部)に沿って両側から挟み込むように配置されている。また、ノズル249a,249eのそれぞれは、ノズル249b,ノズル249dの249cと隣接する側とは反対側に、直線Lを、反応管203の内壁に沿って両側から挟み込むように配置されている。直線Lは、ノズル249cとウエハ200の中心とを通る直線でもある。すなわち、ノズル249dは、直線Lを挟んでノズル249bと反対側に設けられているということもできる。また、ノズル249eは、直線Lを挟んでノズル249aと反対側に設けられているということもできる。ノズル249b,249dは、直線Lを対称軸として線対称に配置されている。また、ノズル249a,249eは、直線Lを対称軸として線対称に配置されている。ノズル249a~249eの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a~250eがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a~250eは、それぞれが、平面視において排気口231aと対向(対面)するように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a~250eは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている(
図1参照)。
【0014】
ガス供給管232aからは、処理ガスとして、第14族元素含有ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0015】
ガス供給管232bからは、ドーパントガスとして、第13族元素または第15族元素を含有するドーパントガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0016】
ガス供給管232cからは、還元ガスが、MFC241c、バルブ243c、ノズル249cを介して処理室201内へ供給される。
【0017】
ガス供給管232dからは、処理ガスとして、第1ハロシラン系ガスが、MFC241d、バルブ243d、ノズル249dを介して処理室201内へ供給される。
【0018】
ガス供給管232eからは、処理ガスとして、第2ハロシラン系ガス(シラン系ガス)が、MFC241e、バルブ243e、ノズル249eを介して処理室201内へ供給される。
【0019】
ガス供給管232f~232jからは、不活性ガスが、それぞれMFC241f~241j、バルブ243f~243j、ガス供給管232a~232e、ノズル249a~249eを介して処理室201内へ供給される。不活性ガスは、パージガス、キャリアガス、希釈ガス等として作用する。
【0020】
主に、ガス供給管232a,232d,232e、MFC241a,241d,241e、バルブ243a,243d,243eにより、処理ガス供給系が構成される。ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bを処理ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cにより、還元ガス供給系が構成される。また、主に、ガス供給管232f~232j、MFC241f~241j、バルブ243f~243jにより、不活性ガス供給系が構成される。なお、本開示では、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aを含むガス供給系を、第1供給系とも称する。ガス供給管232f、MFC241f、バルブ243fを第1供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bを含むガス供給系を、第2供給系とも称する。ガス供給管232g、MFC241g、バルブ243gを第2供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cを含むガス供給系を、第3供給系とも称する。ガス供給管232h、MFC241h、バルブ243hを第3供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管232d、MFC241d、バルブ243dを含むガス供給系を、第4供給系とも称する。ガス供給管232i、MFC241i、バルブ243iを第4供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管232e、MFC241e、バルブ243eを含むガス供給系を、第5供給系とも称する。ガス供給管232j、MFC241j、バルブ243jを第5供給系に含めて考えてもよい。
【0021】
上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a~243jやMFC241a~241j等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a~232jのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a~232j内への各種ガスの供給動作、すなわち、バルブ243a~243jの開閉動作やMFC241a~241jによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a~232j等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
【0022】
図1に示すように、反応管203の側壁下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口231aが設けられている。
図2に示すように、排気口231aは、平面視において、ウエハ200を挟んでノズル249a~249e(ガス供給孔250a~250e)と対向(対面)する位置に設けられている。排気口231aは、反応管203の側壁の下部より上部に沿って、すなわち、ウエハ配列領域に沿って設けられていてもよい。排気口231aには排気管231が接続されている。
図1に示すように、排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0023】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。マニホールド209の下方には、シールキャップ219を降下させボート217を処理室201内から搬出した状態で、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sは、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0024】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が多段に支持されている。
【0025】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0026】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0027】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本開示においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0028】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241j、バルブ243a~243j、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s等に接続されている。
【0029】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241jによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a~243jの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0030】
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ、SSD等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本開示において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0031】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理シーケンス例について、主に、
図4,
図5,
図6を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0032】
本実施形態による基板処理工程(半導体装置の製造工程)では、(a)基板としてのウエハ200に第14族元素を含む第1膜を形成する工程(ステップA)と、(b)第1膜を第1温度で熱処理して、結晶成長させる工程(ステップB)と、(c)第1膜を第1温度よりも高い第2温度で熱処理して第1膜中の少なくとも一部分の第14族元素をウエハ200側に移動させる工程(ステップC)と、を有する。
【0033】
なお、基板処理工程は、更に、以下工程を有しても良い。(d):(a)の前に、第14族元素を含む第2膜を形成する工程(ステップD)、(e):(a)の前に、第14族元素を含む第3膜を形成する工程(ステップE)。
【0034】
上述のそれぞれの工程で形成される膜は
図6の符号の以下に対応する。
第1膜200e、第2膜200c、第3膜200d、結晶成長させた第1膜200f、第14族元素をウエハ200側へ移動させた後の第1膜200g。
【0035】
本開示において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本開示において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本開示において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本開示において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0036】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、
図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0037】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の成膜温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。処理室201内の排気、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0038】
(第1膜の形成工程:ステップA)
このステップでは、処理室201内のウエハ200に対して、ノズル249aより第14族元素含有ガスを供給し、ノズル249b~249eのそれぞれより不活性ガスを供給する。
【0039】
具体的には、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へ第14族元素含有ガスを流す。第14族元素含有ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。また、このとき、バルブ243g~243jを開き、ノズル249b~249eのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給しても良い。
【0040】
後述する処理条件下でノズル249aよりウエハ200に対して第14族元素含有ガスを供給することにより、ウエハ200の表面上、すなわち、ウエハ200上に、第14族元素を主元素として含む第1膜200eを形成することができる。ここで、ウエハ200が、第14族元素を主成分とする材料で構成されている場合、第1膜200eは、第14族元素を主成分とする表面に形成されることになる。
【0041】
ステップAにおける処理条件としては、第14族元素含有ガス供給流量:100~3000sccm、不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):10~5000sccm、処理温度(成膜温度):300~600℃、好ましくは400℃~550℃、処理圧力:1~1000Paが例示される。ここに示した処理条件は、処理室201内において、第14族元素含有ガスが単独で存在した場合に第14族元素含有ガスが熱分解する条件、すなわち、CVD反応が生じる条件である。すなわち、ここに示した処理条件は、ウエハ200上への第14族元素の吸着(堆積)にセルフリミットがかからない条件、つまり、ウエハ200上への第14族元素の吸着がノンセルフリミットとなる条件である。
【0042】
ここで、本開示における「1~1000Pa」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「1~1000Pa」とは「1Pa以上1000Pa以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。なお、処理温度とはウエハ200の温度のことを意味し、処理圧力とは処理室201内の圧力のことを意味する。また、ガス供給流量:0sccmとは、そのガスを供給しないケースを意味する。これらは、以下の説明においても同様である。
【0043】
第14族元素含有ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH4、略称:MS)ガス、ジシラン(Si2H6、略称:DS)ガス、トリシラン(Si3H8)ガス、テトラシラン(Si4H10)ガス、ペンタシラン(Si5H12)ガス、ヘキサシラン(Si6H14)ガス等の水素化ケイ素ガス、ゲルマン(GeH4)ガス、ジゲルマン(Ge2H6)ガス、トリゲルマン(Ge3H8)ガス、テトラゲルマン(Ge4H10)ガス、ペンタゲルマン(Ge5H12)ガス、ヘキサゲルマン(Ge6H14)ガス等の水素化ゲルマニウムガスを用いることができる。この様に、第14族元素含有ガスとして、第14族元素と水素元素とを含むガスを用いることができる。第14族元素含有ガスとしては、例えば、モノシラン(SiH4、略称:MS)ガス、ジシラン(Si2H6、略称:DS)ガス、トリシラン(Si3H8)ガス、ゲルマン(GeH4)ガス、ジゲルマン(Ge2H6)ガス、またはトリゲルマン(Ge3H8)ガスのいずれかであることが好ましい。これらは比較的容易に反応(分解)するため、成膜速度を向上させることができる。なお、第14族元素含有ガスとしては、これらのガスの少なくとも1つ以上が用いられる。また、Siを含むガスと、Geを含むガスの両方を用いても良い。両方を用いることにより、第1膜として、SiとGeを含む膜を形成することができる。
【0044】
なお、ステップAでは、第1膜の少なくとも一部が結晶成長する条件で行われても良い。例えば、以下の条件がある。ウエハ200の表面に結晶性の良い構成(単結晶構造)が存在する状態での成膜。第14族元素含有ガスとして、Siを含むガスとGeを含むガスとを用いて、第1膜としてSiとGeを含む膜を形成する。これらの少なくとも1つ以上を行うことにより、ステップAで、第1膜の少なくとも一部を結晶成長させることができる。第1膜の少なくとも一部(第1膜の特に凹部200Aの底部、第1膜のウエハ200側)が結晶成長する条件でステップAを行うことにより、後のステップB等で生じる結晶成長を促進させることができる。更には、凹部200Aの底部に露出した結晶の方位と同様の結晶を得ることが可能になる。
【0045】
なお、本開示において、ステップAや後述のステップB等で生じる、結晶成長とは、アモルファス状態から、多結晶状態、もしくは単結晶状態に結晶成長すること、多結晶の結晶粒のサイズが増大すること、エピタキシャル成長、種結晶に基づく固相エピタキシャル成長、等を意味する。また、本開示のステップA、後述のステップD、ステップE等の膜を形成する間に生じるエピタキシャル成長を、気相エピタキシャル成長とも呼ぶ。また、種結晶は、単一の結晶であることが好ましいが、複数存在していても良い。また、単結晶構造とは、単結晶膜、単結晶基板、等がある。なお、本開示において、単結晶基板とは、例えば、半導体デバイスの製造に用いられる基板を意味する。また、単結晶膜とは、単結晶基板上に結晶成長した膜を意味する。なお、単結晶膜は、単結晶基板の様な単結晶で無くても良い。第1膜の材質と、第1膜の下地となる、単結晶構造の材質とは、一致していることが好ましいが、一致していなくても良い。即ち、第1膜のエピタキシャル成長は、第1膜と下地の材料により、ホモエピタキシャル成長やヘテロエピタキシャル成長となる。
【0046】
また、ステップAでは、ウエハ200が、
図6に示す様にウエハ200の表面200aと絶縁膜200bを有する場合に、第1膜は、表面200a側は結晶成長し、絶縁膜200b側はアモルファス状態と多結晶の状態の少なくともいずれかを含む膜が形成される。なお、第1膜の絶縁膜200b側は、アモルファスと多結晶との混晶状態の膜も形成され得る。また、第1膜の絶縁膜200b側は、アモルファスの層と、多結晶の層の積層膜が形成され得る。なお、結晶状態(アモルファス状態と多結晶状態の存在具合や、層の形成具合)は、処理条件により、調整することができる。なお、ウエハ200が
図6に示す様に凹部200Aを有する基板であって、凹部200Aの側壁(側面)が絶縁膜200bで構成され、凹部200Aの底側が、単結晶構造を有する場合、凹部200A内に形成される第1膜は、凹部200Aの底側からはエピタキシャル成長し、凹部200Aの側壁側からは、アモルファス、多結晶、アモルファスと多結晶の混晶が成長する。それ故、それぞれの成長が合わさる場所、例えば、凹部200Aの中心側では、アモルファス、多結晶、単結晶の混晶の状態の膜が生じる場合がある。凹部200Aの底側からエピタキシャル成長が生じることにより、気相エピタキシャル成長と比較して、凹部200Aの底側の単結晶構造の方位面と同様の結晶を成長させることが可能になる。凹部200Aの側壁(絶縁膜)の表面側の部分が結晶成長せずに、アモルファス状態、多結晶状態、アモルファスと多結晶との混晶状態となることにより、第1膜の凹部200Aの中心側は凹部200Aの底部に露出した結晶の結晶方位と同様の方位の結晶とすることが可能になる。
【0047】
なお、ステップAでは、第14族元素含有ガスの供給に加えて、第13族元素または第15族元素を含有するガス(ドーパントガスとも呼ぶ)を供給しても良い。このドーパントガスは、第14族元素含有ガスと同時に供給しても良いし、非同時に供給しても良い。ここで、非同時とは、順番に供給することや、交互に供給することを意味する。
【0048】
不活性ガスとしては、例えば、N2ガス、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。この点は、後述する昇温ステップや膜形成ステップ等においても同様である。
【0049】
(ドーパントガスの供給)
ドーパントガスは、ノズル249bより供給される。具体的には、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内へドーパントガスを流す。ドーパントガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。また、このとき、バルブ243f,243h~243jを開き、ノズル249a,249c~249eのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給しても良い。
【0050】
ドーパントガスを供給することにより、ウエハ200上に、第13族元素または第15族元素を含む第1膜を形成することができる。
【0051】
ドーパントガスを供給する際の処理条件としては、ドーパントガス供給流量:10~400sccm、不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):10~5000sccm、処理温度(成膜温度):300~600℃、好ましくは400℃~550℃、処理圧力:0.1~1000Paが例示される。
【0052】
ここで、ドーパントガスは、第13族元素または第15族元素を含むガスである。第13族としては、例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)ある。第15族元素は、例えば、リン(P)、ヒ素(As)である。第13族元素を含むガスは、具体的には、モノボラン(BH3)ガス、ジボラン(B2H6)ガス、トリボラン(B3H8)ガスの様な、ボラン系ガス(水素化ホウ素系ガスとも呼ぶ)を用いることができる。また、第13族元素を含むガスは、トリクロロボラン(BCl3)ガス、の様なハロゲン化ホウ素ガスを用いることができる。また、第13族元素を含むガスは、塩化アルミニウム(AlCl3)ガス、塩化ガリウム(GaCl3)ガス、塩化インジウム(InCl3)ガスの様なハロゲン化物を用いることができる。また、第15族元素を含有するドーパントガスとしては、例えば、フォスフィン(PH3)ガス、ジフォスフィン(P2H6)ガス、等のフォスファン系ガスや、三塩化リン(PCl3)ガスの様なハロゲン化リンガス等を用いることができる。
【0053】
(結晶成長工程:ステップB)
続いて、第1膜200eを第1温度で熱処理し、第1膜200eを結晶成長させる工程が行われる。
【0054】
ステップAが終了した後、処理室201内の温度を、上述の成膜温度よりも高い第1温度へ変更させるように、ヒータ207への出力を調整する。本ステップを行う際、バルブ243f~243jを開き、ノズル249a~249eを介して処理室201内へ不活性ガスを供給し、処理室201内をパージする。処理室201内の温度が第1温度に到達することにより、第1膜が熱処理(アニール)され、結晶化が進む。これにより、結晶成長させた第1膜200fが形成される。ここで、第1膜200eの下地に、単結晶に近い構成を有している場合であって、例えば、以下の処理条件で処理することにより、第1膜200eは、下地の結晶に応じて、固相エピタキシャル成長する。なお、固相エピタキシャル成長は、第1膜200eの少なくとも下地側で生じる。また、ここでは、第1膜200eに含まれる第14族元素の大部分はウエハ200側へは移動していない。
【0055】
ステップBの処理条件としては、不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):10~5000sccm、処理温度(第1温度):500℃以上、処理圧力:0.1Pa~大気圧が例示される。
【0056】
なお、第1温度は、後述の第2温度よりも低い温度である。
【0057】
また、ここで、ウエハ200に、還元ガスを供給しても良い。還元ガスとしては、例えば、水素を含むガスが用いられる。具体的には、水素(H2)ガス、重水素(D2)ガス、活性化した水素ガス、の少なくとも1つ以上がある。還元ガスとしては、好ましくは、このように水素単体で構成されるガスを用いる。
【0058】
還元ガスの供給は、具体的には、バルブ243cを開き、ガス供給管232c内へ還元ガスを流す。還元ガスは、MFC241cにより流量調整され、ノズル249cを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。また、このとき、バルブ243f,243g,243i,243jを開き、ノズル249a,249b,249d,249eのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給しても良い。
【0059】
なお、ステップBでは、第1温度に保持して熱処理しても良い(
図5のグラフの点線参照)。また、第1温度に保持しなくても良い。第1温度に昇温する昇温レート等を調整して、成膜温度から第2温度への昇温過程で通過する第1温度で第1膜200eの少なくとも一部を結晶成長させることができる。ここで、結晶成長の際には、第14族元素のマイグレーションは、殆ど生じない。
【0060】
(マイグレーション工程:ステップC)
ステップBの後、ステップCが行われる。ステップCでは、処理室201内の温度を、上述の第1温度よりも高い第2温度へ変更させるように、ヒータ207への出力を調整する。本ステップを行う際、バルブ243f~243jを開き、ノズル249a~249eを介して処理室201内へ不活性ガスを供給し、処理室201内をパージする。処理室201内の温度が第2温度に到達することにより、第1膜200eに含まれる第14族元素がウエハ200側に移動する。なお、ここで、元素の移動とは、言い換えると、流動,マイグレーションとも呼ぶ。なお、第14族元素の移動は、第1膜200eの膜厚が平坦化する方向に生じる。ウエハ200に複数の凹部200Aが形成され、第1膜200eが凹部200Aの表面に形成されている場合には、凹部200Aの上側から底側に向かって第14族元素が移動する。これにより、
図6のステップCの後に示す様に、凹部200A内を、第14族元素を含む第1膜200gで埋めることができる。ここで、ステップCでは、凹部200A内の底側から上側まで連続的な膜を形成する。ステップCの前にステップBが行われていることにより、アイランド状の結晶成長を抑制できる。
【0061】
また、ここで、ウエハ200に、還元ガスを供給しても良い。還元ガスは上述と同様である。また、ウエハ200にドーパントガスを供給しても良い。ドーパントガスは、上述と同様のガスを用いることができる。
【0062】
ステップCの処理条件としては、不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):10~5000sccm、処理温度(第2温度):600℃以上、好ましくは第1温度よりも高い温度、処理圧力:0.1Pa~10000Paが例示される。
【0063】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ステップCが終了した後、ノズル249a~249cのそれぞれからパージガスとしてのN2ガスを処理室201内へ供給し、排気口231aより排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。また、ヒータ207への出力が調整され、ウエハ200の温度を下げる降温処理が行われる。ウエハ200の温度は、処理室201から取り出し可能な温度に調整される。
【0064】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、マニホールド209の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0065】
この様にして、基板処理工程が行われる。続いて、上述の基板処理工程に付加的に行われるステップDおよびステップEについて、説明する。
【0066】
(第2膜の形成工程:ステップD)
ステップDは、ウエハ200の表面200aに、第14族元素を含む第2膜200cを形成する工程である。ステップDは、ステップAの前に行われる。即ち、第2膜200cの形成は、第1膜200eの形成前に行われる。第2膜200cに含まれる第14族元素は、例えば、Si、Ge、SiとGeを含む膜のいずれかである。第2膜200cの形成は、上述の様に第14族元素含有ガスを供給することにより行われる。好ましくは、第2膜200cは、2種類の第14族元素を含む膜である。即ち、SiとGeとを含む膜である。
【0067】
ステップDにおける処理条件としては、第14族元素含有ガス供給流量:100~3000sccm、不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):10~5000sccm、処理温度(成膜温度):300~600℃、好ましくは400℃~550℃、処理圧力:1~1000Paが例示される。
【0068】
なお、第2膜200cの形成は、表面に結晶性の良い構造を有するウエハ200に対して行うことが好ましい。結晶性の良い構造に第2膜200cを形成することにより、第2膜200cの少なくとも結晶性の良い構造の表面側でエピタキシャル成長を促進することができる。ここで、結晶性の良い構造とは、例えば、単結晶構造である。単結晶構造とは、単結晶に近い膜、単結晶基板、等を意味する。好ましくは、第2膜200cと同じ元素を含む。具体的には、第14族元素を主成分とする膜や、第14族元素を主成分とするウエハ200である。ウエハ200に複数の凹部200Aが形成されている場合には、結晶性の良い構造は、凹部200Aの底側に設けられていることが好ましい。また、この凹部200Aの側壁側は、結晶性の良い構造で無く、
図6に示す様に絶縁膜200bで形成されていることが好ましい。この様に、ウエハ200の表面に二種類の物質があることにより、選択的に第2膜を形成することができる。例えば、結晶性の良い構造の上に第2膜を形成し、絶縁膜200bの表面には、第2膜200cを形成させない様にすることができる。選択的な成膜は、第2膜200cを形成するガスを供給する前に、吸着阻害ガスを供給することにより行われる。ここで、吸着阻害ガスとして、絶縁膜200bの表面に選択的に吸着するガスを用いることにより、絶縁膜200bの表面にのみ吸着阻害ガスを吸着させることができる。例えば、ハロゲンを含むガスを供給することにより、絶縁膜200bの表面にのみハロゲンを吸着させることができる。このハロゲンにより、第2膜200cを形成する際に用いるガスの吸着を抑制させることができる。
【0069】
なお、ステップDが行われている場合、第1膜200eは、第14族元素を主成分とする表面としての第2膜200cの表面に形成される。
【0070】
(第3膜の形成工程:ステップE)
続いて、ステップEについて説明する。ステップEは、ウエハ200上に第14族元素を含む第3膜200dを形成する工程である。ステップEは、ステップAの前に行われる。なお、ステップEを行う前に、ステップDを行っても良いし、行わなくても良い。第3膜200dに含まれる第14族元素は、例えば、Si、Ge、SiとGeを含む膜のいずれかである。第3膜200dの形成は、2種類の第14族元素含有ガスと用いて行われる。2種類の第14族元素含有ガスの内の一つは、第1ハロシラン系ガスであり、他方は、第2ハロシラン系ガスである。この2種類のガスは、例えば、順番に所定回数供給される。本開示では、この第3膜200dの形成シーケンスを、便宜上、以下の様に示すこともある。以下の変形例等の説明においても、同様の表記を用いる。なお、ステップEを行う際に、事前にステップDが行われている場合は、ステップDの温度から、ステップEの処理温度に調整が行われる。温度調整はヒータ207への出力を調整することにより行われる。
【0071】
(第1ハロシラン系ガス→第2ハロシラン系ガス)×n(nは1以上の整数)
(第1ハロシラン系ガス→シラン系ガス)×n(nは1以上の整数)
【0072】
(第1ハロシラン系ガスの供給:ステップE1)
このステップでは、処理室201内のウエハ200に対して、ノズル249dより第1ハロシラン系ガスを供給し、ノズル249a~249c,249eのそれぞれより不活性ガスを供給する。
【0073】
具体的には、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内へ第1ハロシラン系ガスを流す。第1ハロシラン系ガスは、MFC241dにより流量調整され、ノズル249dを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200に対して第1ハロシラン系ガスが供給される。また、このとき、バルブ243f~243h,243jを開き、ノズル249a~249c,249eのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。
【0074】
後述する処理条件下でウエハ200に対して第1ハロシラン系ガスを供給することにより、第1ハロシラン系ガスの持つトリートメント作用(エッチング作用)により、ウエハ200の表面から自然酸化膜や不純物等を除去することができ、この面を清浄化させることが可能となる。
【0075】
ウエハ200の表面が清浄化された後、バルブ243dを閉じ、処理室201内へのハロシラン系ガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243f~243jを開き、ノズル249a~249eを介して処理室201内へ不活性ガスを供給する。ノズル249a~249eより供給される不活性ガスは、パージガスとして作用し、これにより、処理室201内がパージされる(パージステップ)。
【0076】
第1ハロシラン系ガスとしては、例えば、ジクロロシラン(SiH2Cl2、略称:DCS)ガス、モノクロロシラン(SiH3Cl、略称:MCS)ガス、テトラクロロシラン(SiCl4、略称:STC)ガス、トリクロロシラン(SiHCl3、略称:TCS)ガス、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、略称:HCDS)ガス、オクタクロロトリシラン(Si3Cl8、略称:OCTS)ガス等のクロロシラン系ガスを用いることができる。また、第1ハロシラン系ガスとしては、例えば、テトラフルオロシラン(SiF4)ガス、テトラブロモシラン(SiBr4)ガス、テトラヨードシラン(SiI4)ガス等を用いることができる。すなわち、第1ハロシラン系ガスとしては、例えば、クロロシラン系ガスの他、フルオロシラン系ガス、ブロモシラン系ガス、ヨードシラン系ガス等のハロシラン系ガスを用いることができる。
【0077】
[ステップE2]
ステップE1が終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、清浄化されたウエハ200の表面に対して、ノズル249eより第2ハロシラン系ガス(シラン系ガス)を供給し、ノズル249a~249dのそれぞれより不活性ガスを供給しても良い。
【0078】
具体的には、バルブ243eを開き、ガス供給管232e内へ第2ハロシラン系ガスを流す。第2ハロシラン系ガスは、MFC241eにより流量調整され、ノズル249eを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200に対して第2ハロシラン系ガスが供給される。また、このとき、バルブ243f~243iを開き、ノズル249a~249dのそれぞれを介して処理室201内へ不活性ガスを供給しても良い。
【0079】
後述する処理条件下でウエハ200に対して第2ハロシラン系ガスを供給することにより、ステップE1で清浄化されたウエハ200の表面に、第2ハロシラン系ガスに含まれるSi元素を吸着させ、シード(核)を形成することが可能となる。後述する処理条件下では、ウエハ200の表面に形成される核の結晶構造は、核が形成される表面状態により、異なる。例えば、ウエハ200の表面200a上は、単結晶、多結晶、アモルファス(非晶質)の少なくともいずれかを含む状態となり、絶縁膜200b上は、アモルファスとなる。なお、ウエハ200の表面200aが単結晶構造である場合、核の結晶構造は、単結晶を含む膜になり得る。すなわち、ステップEでは、表面200aの上で第3膜200dがエピタキシャル成長し得る。なお、ステップEが行われる前に、ステップDが行われた場合は、ウエハ200は、第2膜200cを有する状態となる。それ故、ステップEは、第2膜200cを有するウエハ200に対して、行われることとなる。この場合、ステップDで、第2膜200cがエピタキシャル成長している場合、第2膜200cの上で第3の膜がエピタキシャル成長し得る。なお、ウエハ200に絶縁膜200bが形成されている場合は、第3膜の絶縁膜200b側は、アモルファス状態、多結晶状態、アモルファスと多結晶との混晶状態になる。
【0080】
ウエハ200の表面に核が形成された後、バルブ243eを閉じ、処理室201内への第2ハロシラン系ガスの供給を停止する。そして、ステップE1のパージステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。
【0081】
第2ハロシラン系ガスとして、第1ハロシラン系ガスについて上述したハロシラン系ガスを用いることができる。好ましくは、第2ハロシラン系ガスは、第1ハロシラン系ガスとは異なるガスを用いる。なお、第2ハロシラン系ガスに変えて、シラン系ガスを用いても良い。なお、シラン系ガスとは、例えば、モノシラン(SiH4、略称:MS)ガス、ジシラン(Si2H6、略称:DS)ガス、トリシラン(Si3H8)ガス、テトラシラン(Si4H10)ガス、ペンタシラン(Si5H12)ガス、ヘキサシラン(Si6H14)ガス等の水素化ケイ素ガスがある。
【0082】
ステップE1における処理条件としては、第1ハロシラン系ガス供給流量:100~1000sccm、不活性ガス供給流量(ガス供給管毎):10~5000sccm、処理温度:300~500℃、好ましくは、成膜温度よりも低い温度処理圧力:2~1000Paが例示される。
【0083】
ステップE2における処理条件としては、
第2ハロシラン系ガスまたはシラン系ガス供給流量:50~1000sccmが例示される。他の処理条件は、ステップE1における処理条件と同様な処理条件とする。
【0084】
このステップE1とステップE2を行うことにより、ウエハ200上に、第3膜200dを形成することができる。ウエハ200上に、凹部200Aが設けられている場合には、凹部200Aの表面に第3膜200dが形成される。なお、ここで、第3膜200dは、シード層とも呼ぶ。上述の処理条件下でウエハ200に対してステップE1を行うことで、ウエハ200の表面が清浄化される。このような清浄化されたウエハ200に対して、ステップE2を行うことで、第2ハロシラン系ガス(シラン系ガス)に含まれるSi元素をウエハ200の表面に吸着させ、シード(核)形成することが可能となる。また、このような処理条件下では、ウエハ200の表面に形成されるシード層は、ウエハの表面200a上は、単結晶またはアモルファスとなり、絶縁膜200b上はアモルファスとなる。
【0085】
なお、ステップE1とステップE2は所定回数(少なくとも1回以上)行うことが好ましい。複数回行うことで、ウエハ200の表面に均一に第3膜(シード層)200dを形成することができる。特に、ウエハ200の表面に複数の凹凸が有る場合には、凹部200Aの表面に均一に第3膜200dを形成することができる。また、ステップE1の後とステップE2の後のそれぞれで、ウエハ200が存在する空間(処理室201)内を排気とパージのいずれか又は両方を行っても良い。なお、ここで、凹部200Aの表面とは、絶縁膜200bの表面と、ウエハ200の表面200aまたは第2膜200cの表面のいずれか又は両方を意味する。
【0086】
また、ステップEを行った場合、ステップEの後に行われるステップAの成膜温度への温度調整が行われる。温度調整は、ヒータ207への出力を調整することにより行われる。
【0087】
また、ステップEを行った場合、第1膜200eは、第14族元素を主成分とする表面としての第3膜200dの表面に形成されることとなる。
【0088】
(3)本態様による効果
本態様によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0089】
(a)ステップAの後にステップBを行うことにより、第1膜200eの少なくとも一部を結晶成長させることができる。
【0090】
(b)ステップBの後に、ステップCを行うことにより、第1膜200eの結晶成長が、アイランド状に複数の結晶が成長することを抑制でき、連続的な結晶成長させることができる。
【0091】
なお、以下の場合には、アイランド状に結晶成長してしまい、連続的な結晶成長を行うことができなくなる。
例えば、ステップBとステップCとを並行して行う場合、すなわち、結晶成長と第14族元素の移動(マイグレーション)を並行して行う場合。
また例えば、ステップCの後にステップBを行う場合、すなわち、マイグレーションの後に結晶成長を行う場合。
【0092】
(c)ウエハ200に凹部200Aが形成されている場合であって、ステップBの後に、ステップCを行うことにより、凹部200A内に形成された第1膜200eの結晶成長が、アイランド状に複数の結晶が成長することを抑制でき、連続的な結晶成長させることができる。なお、ステップBの際には、凹部200A内に形成された第1膜200eに含まれる第14族元素の大部分は、マイグレーションしていないため、凹部200A内の底側から上側まで連続的な膜を保持したまま、第1膜200eの少なくとも一部を結晶成長させることができる。更に、凹部200A内を第14族元素含有膜で埋めることができる。また、凹部200A内にボイド(シーム)が形成されることを抑制することができる。
【0093】
なお、以下の場合には、アイランド状に結晶成長してしまい、連続的な結晶成長を行うことができなくなる。更には、凹部200A内にボイド(シーム)が形成されてしまう。
例えば、ステップBとステップCとを並行して行う場合、すなわち、結晶成長と第14族元素の移動(マイグレーション)を並行して行う場合。
また例えば、ステップCの後にステップBを行う場合、すなわち、マイグレーションの後に結晶成長を行う場合。
【0094】
(d)ステップBをステップCの第2温度への昇温中に行うことにより、基板処理時間の短縮させることができる。即ち、処理スループットを向上させることができる。
【0095】
(e)ステップCにおいて、還元ガスを供給することにより、第14族元素の移動を促進することができる。
【0096】
(f)ステップAで、ドープされた第1膜200eを形成し、ステップCでドーパントガスを供給することにより、第1膜200eにドープされた元素が、第1膜200eから脱離することを抑制できる。
【0097】
(g)ステップDで、第2膜200cを形成することにより、ステップBで、第1膜200eの結晶成長を促進することができる。また、アイランド状の結晶成長を抑制することができる。即ち、第2膜200cは種結晶として作用する。
【0098】
(h)ステップDで、2種類の第14族元素を含む第2膜200cを形成することにより、ステップBの熱処理温度を低温化させることができる。また、ステップAで結晶成長を促進できる。
【0099】
(i)ステップDで、SiとGeを含む第2膜200cを形成することにより、ステップBの熱処理温度を低温化させることができる。また、ステップAで結晶成長を促進できる。
【0100】
(j)ステップDで、第2膜200cをウエハ200表面の凹部200Aの底側に選択的に形成することにより、ステップA~Cで、凹部200A内に優先的に第14族元素を含む膜を形成することができる。即ち、凹部200A内の埋め込み特性を向上させることができる。
【0101】
(k)ステップEで、ウエハ200上に、第3膜200dとしてのシード層を形成することにより、ウエハ200上に形成される第1膜200eの表面粗さを小さくすることができる。
【0102】
(l)ウエハ200に凹部200Aが形成されている場合であって、ステップEで、ウエハ上に第3膜200dとしてのシード層を形成することにより、ウエハ200上に形成される第1膜200eの表面粗さを小さくすることができる。更に、凹部200A内の埋め込み特性を向上させることができる。
【0103】
(m)第1膜が形成される下地として単結晶構造がある場合、結晶成長が更に促進され、エピタキシャル成長とすることができる。
【0104】
なお、上記実施形態では、第14族元素がシリコンである場合について説明したが、これに限定されるものでは無い。第14族元素がゲルマニウムである場合にも本開示の技術を適用することができる。この場合であっても、本開示に記載の効果の少なくとも1つを得ることができる。また、第14族元素がシリコンとゲルマニウムの両方の場合にも本開示の技術を適用することができる。この場合であっても、本開示に記載の効果の少なくとも1つを得ることができる。
【0105】
また、上述の実施の形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本開示はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて成膜する場合にも、好適に適用できる。
【0106】
これらの各種薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理の内容に応じて、複数のプロセスレシピの中から、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体(外部記憶装置123)を介して、基板処理装置が備える記憶装置121c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のプロセスレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0107】
また、本開示は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本開示に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本開示に係るプロセスレシピに変更したりすることも可能である。
【0108】
また、本開示は、例えば、3次元構造を持つNAND型フラッシュメモリやDRAM、LOGIC、等の製造プロセスに用いることができる。
【0109】
以上、本開示の種々の典型的な実施形態を説明してきたが、本開示はそれらの実施形態に限定されず、適宜組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0110】
202 処理炉(基板処理装置)、121 コントローラ(制御部)、200 ウエハ(基板)、200A 凹部、200b 絶縁膜(絶縁体)、200c 第2膜、200e 第1膜、203 反応管(処理容器)、207 ヒータ(加熱部)、232a ガス供給管(第1供給系)、241a MFC(第1供給系)、243a バルブ(第1供給系)