(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】デバイスパッケージへの機械的ストレスによるデジタルマイクロミラーデバイスの光波位相干渉の改善
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2023516676
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 US2021049849
(87)【国際公開番号】W WO2022060635
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, ティモシー エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】リアー, ロバート ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ホルムグレン, ダグラス イー.
(72)【発明者】
【氏名】キドロン, アサフ
(72)【発明者】
【氏名】スウェーラ, ナイジェル
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-117629(JP,A)
【文献】特開2015-204320(JP,A)
【文献】特開2007-328065(JP,A)
【文献】特表2007-529784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0179217(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0020882(US,A1)
【文献】特開2010-175583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/027、21/30
G03B 21/00-21/10、21/12-21/13
21/134-21/30、33/00-33/16
G02B 7/00、7/18-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウント装置であって、
一対の接触パッドを含む取付フレームと、
取付フレーム上面と接触するように動作可能なインターポーザと、
インターポーザ上面と接触するように動作可能なプリント基板(PCB)と、
PCB上面と接触するように動作可能な力分散板と、
前記力分散板と接触するように動作可能なヒートシンクと、
複数の貫通孔を通して配置され、前記取付フレーム、前記インターポーザ、前記PCB、前記力分散板、及び前記ヒートシンクを共に結合させるように動作可能な締結具であって、前記複数の貫通孔は、前記取付フレーム、前記インターポーザ、前記PCB、前記力分散板、及び前記ヒートシンクを貫通して配置される、締結具と
を備え、
前記取付フレームは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を保持するように動作可能であり、前記一対の接触パッドは、前記DMDに圧力を加えるように前記DMDのDMD外面と接触するように動作可能である、マウント装置。
【請求項2】
前記締結具は、
複数のワッシャと、
複数の変形ブッシュと、
複数のバネと、
複数のネジと
を含む、請求項1に記載のマウント装置。
【請求項3】
前記複数の変形ブッシュの各々は、前記複数の貫通孔のうちの1つに位置決めされるように動作可能である、請求項2に記載のマウント装置。
【請求項4】
前記複数のバネは、前記複数の変形ブッシュと前記ヒートシンクに形成されたリップとの間に位置決めされるように動作可能である、請求項3に記載のマウント装置。
【請求項5】
前記複数のネジの各々は、前記複数の変形ブッシュの各々のキャビティを貫通して配置されるように動作可能であり、前記複数のネジは、前記取付フレームのネジ山を通してねじ込まれる、請求項4に記載のマウント装置。
【請求項6】
前記インターポーザは、複数の第2のコンタクトを含み、前記複数の第2のコンタクトは、前記DMDの複数の第1のコンタクトと接触するように動作可能である、請求項
1に記載のマウント装置。
【請求項7】
前記取付フレームのフレーム底面に結合されるように動作可能な一対の結合マウントを更に備える、請求項1に記載のマウント装置。
【請求項8】
画像投射システムであって、
ビームを生成するように動作可能な光源と、
デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)であって、前記光源は、前記ビームを前記DMDに方向づけするように動作可能である、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)と、
前記DMDを保持するように動作可能なマウント装置であって、
デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を保持するように動作可能な取付フレームであって、前記DMD
に圧力を加えるように前記DMDのDMD外面と接触する一対の接触パッドを含む、取付フレームと、
取付フレーム上面及びDMD上面と接触するインターポーザと、
インターポーザ上面と接触するプリント基板(PCB)と、
PCB上面と接触する力分散板と、
前記力分散板と接触するヒートシンクと、
複数の貫通孔を通して配置され、前記取付フレーム、前記インターポーザ、前記PCB、前記力分散板、及び前記ヒートシンクを共に結合させるように動作可能な締結具であって、前記複数の貫通孔は、前記取付フレーム、前記インターポーザ、前記PCB、前記力分散板、及び前記ヒートシンクを貫通して配置される、締結具と
を含むマウント装置と、
前記DMDの下方に配置された投射レンズであって、前記DMDから反射された複数の書き込みビームを投射するように動作可能な投射レンズと
を備える、画像投射システム。
【請求項9】
前記締結具は、
複数のワッシャと、
複数の変形ブッシュと、
複数のバネと、
複数のネジと
を含む、請求項
8に記載の画像投射システム。
【請求項10】
前記複数の変形ブッシュの各々は、前記複数の貫通孔のうちの1つに位置決めされる、請求項
9に記載の画像投射システム。
【請求項11】
前記複数のバネは、前記複数の変形ブッシュと前記ヒートシンクに形成されたリップとの間に位置決めされる、請求項
10に記載の画像投射システム。
【請求項12】
前記複数のネジの各々は、前記複数の変形ブッシュの各々のキャビティを貫通して配置され、前記複数のネジは、前記取付フレームのネジ山を通してねじ込まれる、請求項
11に記載の画像投射システム。
【請求項13】
前記取付フレームのフレーム底面に結合された一対の結合マウントを更に備える、請求項
8に記載の画像投射システム。
【請求項14】
デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を取付フレームに位置決めすることであって、前記取付フレームは、前記DMD
に圧力を加えるように前記DMDのDMD外面と接触するための一対の接触パッドを含む、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を取付フレームに位置決めすることと、
インターポーザ、プリント基板(PCB)、力分散板、及びヒートシンクを、前記DMDのDMD上面の上に積み重ねて位置決めすることと、
前記取付フレーム、前記インターポーザ、前記PCB、前記力分散板、及び前記ヒートシンクを共に結合させてマウント装置を形成するために、複数の貫通孔を通して締結具を設置することであって、前記締結具は、前記取付フレームに配置されたネジ山及び前記複数の貫通孔を通してねじ込まれる複数のネジを含む、複数の貫通孔を通して締結具を設置することと、
前記DMDの平坦度を調整することであって、前記DMD上の前記一対の接触パッドの力を増加又は減少させるために、前記複数のネジにトルクをかける又は前記複数のネジを緩めることを含む、前記DMDの平坦度を調整することと、
前記マウント装置及び前記DMDをアニールすることと
を含む方法。
【請求項15】
前記取付フレームの前記ネジ山において前記複数のネジにトルクをかけることにより、前記DMDの平坦度が高まる、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記DMDの平坦度を調整することは、前記DMDの平坦度を決定するために干渉計を用いることと、前記干渉計によって決定された前記DMDの平坦度に基づいてトルクをかける又は緩めることを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記マウント装置及び前記DMDのアニール後に、前記DMDの平坦度を調整することを繰り返すことを更に含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項18】
前記マウント装置及び前記DMDをアニールすることは
、少なくとも60時間アニールすることを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項19】
前記マウント装置及び前記DMDをアニールすることは
、55℃及
び65℃の温度でアニールすることを含む、請求項
14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、1又は複数の基板を処理するための方法及び装置に関し、より具体的には、デジタルリソグラフィシステムのデジタルマイクロミラーデバイス用のマウント装置及びデジタルマイクロミラーデバイスの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]空間的に変化する変調を光ビームに課すために、しばしば空間光変調器が使用される。デジタルリソグラフィを含む様々な用途において、空間光変調器の一例であるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)が反射型デジタル光スイッチとして使用される。デジタルリソグラフィでは、DMDは一般に、メモリ、光源、光学系等の他の画像処理部品と組み合わされ、フォトレジストに画像を投射し、それによりフォトレジストを露光して印刷するために使用される。
【0003】
[0003]DMDは、一般に、長方形のアレイに配置された数十万から数百万の微小ミラー(「マイクロミラー」)を含む。各マイクロミラーは、印刷される画像の単一ピクセルに対応し、ヒンジを中心として様々な角度で傾斜させることができる。マイクロミラーの傾斜角度によって、マイクロミラーは「オン」又は「オフ」状態になる。オン状態では、光はDMDからレンズに反射され、最終的にピクセルがフォトレジスト上に投射される。オフ状態では、光は光ダンプ等の他の場所に方向づけされ、投射されたピクセルは暗くなる。
【0004】
[0004]DMDは、一般に、凸状の円筒形状を有する。DMDの湾曲によって、DMD全体の位相干渉角が変化し、位相角誤差が生じる。DMDの湾曲の結果としての位相干渉の不均一性は、基板にスキャンムラ等を生じさせて、印刷性能に悪影響を及ぼす。
【0005】
[0005]したがって、当技術分野では、デジタルリソグラフィシステムのデジタルマイクロミラーデバイス用の改良されたマウント装置及びデジタルマイクロミラーデバイスの取付方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実施形態では、マウント装置が提供される。マウント装置は、一対の接触パッドを含む取付フレームを含む。マウント装置は更に、取付フレーム上面及びDMD上面と接触するように動作可能なインターポーザを含む。マウント装置は更に、インターポーザ上面と接触するように動作可能なプリント基板(PCB)を含む。マウント装置は更に、PCB上面と接触するように動作可能な力分散板を含む。マウント装置は更に、力分散板と接触するように動作可能なヒートシンクを含む。マウント装置は更に、複数の貫通孔を通して配置された締結具を含む。締結具は、取付フレーム、インターポーザ、PCB、力分散板、及びヒートシンクを共に結合させるように動作可能である。複数の貫通孔は、取付フレーム、インターポーザ、PCB、力分散板、及びヒートシンクを貫通して配置されるように動作可能である。
【0007】
[0007]別の実施形態では、画像投射システムが提供される。画像投射システムは、ビームを生成するように動作可能な光源と、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)とを含む。光源は、ビームをDMDに方向づけするように動作可能である。画像投射システムは更に、DMDを保持するように動作可能なマウント装置を含む。マウント装置は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を保持するように動作可能な取付フレームを含む。取付フレームは、DMDのDMD外面と接触する一対の接触パッドを含む。マウント装置は更に、取付フレーム上面及びDMD上面と接触するインターポーザと、インターポーザ上面と接触するプリント基板(PCB)とを含む。マウント装置は更に、PCB上面と接触する力分散板と、力分散板と接触するヒートシンクとを含む。マウント装置は更に、複数の貫通孔を通して配置された締結具を含む。締結具は、取付フレーム、インターポーザ、PCB、力分散板、及びヒートシンクを共に結合させるように動作可能である。複数の貫通孔は、取付フレーム、インターポーザ、PCB、力分散板、及びヒートシンクを貫通して配置される。画像投射システムは更に、DMDの下方に配置された投射レンズを含む。投射レンズは、DMDから反射された複数の書き込みビームを投射するように動作可能である。
【0008】
[0008]更に別の実施形態では、方法が提供される。本方法は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を取付フレームに位置決めすることを含む。取付フレームは、DMDと接触するための一対の接触パッドを含む。本方法は更に、インターポーザ、プリント基板(PCB)、力分散板、及びヒートシンクを、DMDのDMD上面の上に積み重ねて位置決めすることを含む。本方法は更に、取付フレーム、インターポーザ、PCB、力分散板、及びヒートシンクを共に結合させてマウント装置を形成するために、複数の貫通孔を通して締結具を設置することを含む。締結具は、複数の貫通孔及び取付フレームに配置されたネジ山を通してねじ込まれる複数のネジを含む。本方法は更に、DMDの平坦度を調整することを含む。DMDの平坦度を調整することは、DMD上の一対の接触パッドの力を増加又は減少させるために、複数のネジにトルクをかける又は複数のネジを緩めることを含む。本方法は更に、マウント装置及びDMDをアニールすることを含む。
【0009】
[0009]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は例示的な実施形態を単に示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書に開示される実施形態に係るデジタルリソグラフィシステムの斜視図である。
【
図2】本明細書に記載の実施形態に係る
図1の複数の画像投射システムのうちの1つの画像投射システムの概略斜視図である。
【
図3A】本明細書に記載の実施形態に係るデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)用のマウント装置の概略断面図である。
【
図3B】本明細書に記載の実施形態に係るデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)用のマウント装置の概略分解図である。
【
図4】本明細書に記載の実施形態に係るデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のマウント装置への取付方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0015]理解を容易にするために、可能な限り、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0012】
[0016]本開示の実施形態は、概して、1又は複数の基板を処理するための方法及び装置に関し、より具体的には、デジタルリソグラフィシステムのデジタルマイクロミラーデバイス用のマウント装置及びデジタルマイクロミラーデバイスの取付方法である。マウント装置は、一対の接触パッドを有する取付フレームを含む。マウント装置は更に、取付フレー上面及びDMD上面と接触するように動作可能なインターポーザを含む。マウント装置は更に、インターポーザ上面と接触するように動作可能なプリント基板(PCB)を含む。マウント装置は更に、PCB上面と接触するように動作可能な力分散板を含む。マウント装置は更に、力分散板と接触するように動作可能なヒートシンクを含む。マウント装置は更に、複数の貫通孔を通して配置された締結具を含む。締結具は、取付フレーム、インターポーザ、PCB、力分散板、及びヒートシンクを共に結合させるように動作可能である。複数の貫通孔は、取付フレーム、インターポーザ、PCB、力分散板、及びヒートシンクを貫通して配置されるように動作可能である。
【0013】
[0017]
図1は、本明細書に記載の実施形態から利益を得ることができるデジタルリソグラフィシステム100の斜視図である。デジタルリソグラフィシステム100は、ステージ114と、処理装置104とを含む。ステージ114は、スラブ102に配置された一対のトラック116によって支持される。基板120は、ステージ114によって支持される。ステージ114は、
図1に示す座標系で示すように、一対のトラック116に沿ってX方向に移動する。また、ステージ114は、基板120を処理及び/又は割出しするためにY方向に移動する。ステージ114は、独立して作動することができ、基板120を一方向にスキャンし、他方向に進むことができる。ステージ114の位置の情報をコントローラ122に提供するために、エンコーダ118がステージ114に結合される。
【0014】
[0018]コントローラ122は、概して、本明細書に記載の処理技法の制御及び自動化を容易にするように設計される。コントローラ122は、処理装置104、ステージ114、及びエンコーダ118に結合され得る、又はそれらと通信し得る。処理装置104及びエンコーダ118は、基板処理及び基板のアライメントに関する情報をコントローラ122に提供し得る。例えば、処理装置104は、基板処理が完了したことをコントローラ122に通知するための情報をコントローラ122に提供し得る。コントローラ122によって読み取り可能な、撮像プログラムと称され得るプログラム(又はコンピュータ命令)は、基板にどのタスクが実行可能であるかを決定する。プログラムは、マスクパターンデータと、処理時間及び基板位置を監視及び制御するためのコードとを含む。マスクパターンデータは、電磁波を用いてフォトレジストに書き込まれるパターンに対応する。
【0015】
[0019]基板120は、フラットパネルディスプレイの一部として使用される任意の適切な材料、例えばガラスを含む。基板120は、その上に形成された例えば基板のパターンエッチングによってパターニングされる膜層と、パターニングされる膜層に形成され、電磁放射線、例えば紫外線又は深紫外線「光」に対して感度のあるフォトレジスト層とを有する。ポジ型フォトレジストは、電磁放射線を用いてフォトレジストにパターンが書き込まれた後に、放射線に暴露されると、フォトレジストに塗布されたフォトレジスト現像液にそれぞれ可溶であるフォトレジストの部分を含む。ネガ型フォトレジストは、電磁放射線を用いてフォトレジストにパターンが書き込まれた後に、放射線に曝露されると、フォトレジストに塗布されたフォトレジスト現像液に対してそれぞれ不溶性となるフォトレジストの部分を含む。フォトレジストの化学組成によって、フォトレジストがポジ型フォトレジストである又はネガ型フォトレジストであるかが決定する。フォトレジストを電磁放射線に曝露した後に、レジストを現像して、下の膜層上にパターニングされたフォトレジストを残す。次に、パターニングされたフォトレジストを用いて、フォトレジストの開口部を通して下の薄膜をパターンエッチングし、ディスプレイパネルの電子回路の一部を形成する。
【0016】
[0020]処理装置104は、支持体108と、処理ユニット106とを含む。支持体108は、スラブ102に配置され、2つ以上のブリッジ124を支持する一対のライザ128を含む。一対のライザ128及びブリッジ124は、一対のトラック116及び1又は複数のステージ114が処理ユニット106の下を通過するための開口部112を形成する。処理ユニット106は、支持体108によって支持される。処理ユニット106は、複数の画像投射システム(IPS)110を含む。複数のIPS110は、ケース111に配置される。複数のIPS110は、1又は複数のブリッジ124によって支持される。複数の画像投射システム110は各々、DMD210(
図2に示す)を保持するように動作可能なマウント装置220(
図3A及び
図3Bに示し、説明する)を含む。
【0017】
[0021]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、処理ユニット106は、84個ものIPS110を含む。各IPS110は、空間光変調器を含む。空間光変調器は、マイクロLED、OLED、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶ディスプレイ(LCD)、及び垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)を含むが、これらに限定されない。各IPS110の部品は、使用される空間光変調器によって異なる。
【0018】
[0022]
図2は、
図1の複数の画像投射システム110のうちの1つの画像投射システム110の概略斜視図である。画像投射システム110は、光源202、開孔204、レンズ206、ミラー208、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)210、光ダンプ212、カメラ214、及び投射レンズ216を含み得る。光源202は、発光ダイオード(LED)又はレーザであってよく、光源202は、所定の波長を有する光を生成することが可能であってよい。一実施形態では、所定の波長は、青色又は近紫外線(UV)範囲、例えば、約450nm未満である。ミラー208は、球面ミラーであってよい。投射レンズ216は、任意の所望の倍率の画像拡大又は画像縮小対物レンズであってよい。DMD210は、複数のミラーを含んでいてよく、ミラーの数は、投射画像の解像度に対応し得る。一実施形態では、DMD210は、高精細度テレビ又は他のフラットパネルディスプレイのピクセル数を表す1920×1080のミラーを含む。画像投射システム110は、DMD210を保持するように動作可能な(
図3A及び
図3Bに示し、説明する)マウント装置220を含む。
【0019】
[0023]動作中、光源202によって、所定の波長、例えば青色から紫外域の波長を有するビーム203が生成される。ビーム203は、ミラー208によってDMD210に反射する。DMD210は、個別に制御され得る複数のミラーを含み、DMD210の複数のミラーの各ミラーは、コントローラ(図示せず)によってDMD210に提供されるマスクデータに基づいて、「オン」位置又は「オフ」位置にあってよい。ビーム203がDMD210のミラーに到達すると、「オン」位置にあるミラーは、ビーム203を投射レンズ216に反射させる、すなわち、複数の書き込みビーム215を形成する。投射レンズ216は次に、書き込みビーム215を基板120の表面(
図1に示す)に投射する。「オフ」位置にあるミラーは、ビーム203を基板120の表面ではなく、光ダンプ212に反射させる。
【0020】
[0024]
図3Aは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)210用のマウント装置220の概略断面図である。
図3Bは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)210用のマウント装置220の概略分解図である。上述したように、マウント装置220は、
図2に示す画像投射システム110内にDMD210を保持するように動作可能である。マウント装置220を用いることにより、
図3A及び
図3Bに示すように、DMD210が凸状状態から平坦化された状態に移行することができる。凸状の円筒形状により、印刷プロセス中に基板120上にスキャンムラが生じ得る。マウント装置220を用いてDMD210に機械的ストレスを与えることにより、位相干渉の均一性を向上させてスキャンムラを低減させることができる。DMD210に機械的ストレスを与えることで、DMD210の平坦度が向上する。DMD210に機械的ストレスを与えることで、DMD210の2つの対向するエッジの平均傾斜の差が算出される。DMD210の平坦度を確保するために、DMD210の2つの対向するエッジ間の平均傾斜の差の最小値が監視される。機械的ストレスは、マウント装置220にDMD210を保持することによって達成される。マウント装置220は、取付フレーム302、インターポーザ304、プリント基板(PCB)306、力分散板308、ヒートシンク310、締結具312、及び一対の結合マウント314を含む。
【0021】
[0025]DMD210は、DMD外面324、DMD上面316及びDMD底面318を含む。DMD210は、取付フレーム302に位置決めされ、取付フレーム302によって支持される。取付フレーム302は、フレーム上面303とフレーム底面305とを含む。取付フレーム302は、それを貫通して配置されたフレーム開口部320を有する。DMD210のDMD底面318は、フレーム開口部320に位置決めされる。取付フレーム302は更に、一対の接触パッド322を含む。一対の接触パッド322は、フレーム開口部320に隣接して、フレーム開口部320の反対側に配置される。一対の接触パッド322は、DMD210のDMD外面324と接触する。一対の接触パッド322は、DMD210に圧力を加えるように動作可能である。取付フレーム302は、複数の貫通孔326を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、取付フレーム302は、ステンレス鋼、チタン、鋼、又はメッキ鋼材である。例えば、取付フレーム302は、303ステンレス鋼材料である。
【0022】
[0026]DMD210は更に、DMD上面316に複数の第1のコンタクト328を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1のコンタクト328は、金コンタクトである。インターポーザ304は、インターポーザ上面330及びインターポーザ底面332を含む。インターポーザ304は、複数の第2のコンタクト334を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第2のコンタクト334は、金コンタクトである。インターポーザ底面332は、DMD上面316及びフレーム上面303と接触するように位置決めされる。複数の第1のコンタクト328は、複数の第2のコンタクト334と接触する。複数の第2のコンタクト334と接触する複数の第1のコンタクト328は、導電接続されている。電気信号は、複数の第2のコンタクト334と接触している複数の第1のコンタクト328を介して、インターポーザ304及びPCB306上まで通過するように動作可能である。インターポーザ304は、それを貫通して配置されたインターポーザ開口部336を有する。インターポーザ304は、複数の貫通孔326を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、インターポーザ304は、ポリマー材料である。例えば、インターポーザ304は、液晶ポリマー材料である。
【0023】
[0027]PCB306は、PCB上面338及びPCB底面340を含む。PCB306は、それを貫通して配置されたPCB開口部342を有する。PCB底面340は、インターポーザ上面330と接触する。PCB306は、複数の第2のコンタクト334と接触している複数の第1のコンタクト328を介して、DMD210から電気信号を受信し得る、又はDMD210に電気信号を提供し得る。PCB306は、複数の貫通孔326を含む。
【0024】
[0028]力分散板308は、力分散板上面344及び力分散板底面346を含む。力分散板308は、それを貫通して配置された力分散板開口部348を有する。力分散板底面346は、PCB上面338と接触する。力分散板308は、PCB306を保護するために力を分散させる。力分散板308は、マウント装置220を補強するように動作可能である。力分散板308は、複数の貫通孔326を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、力分散板308は、ステンレス鋼、チタン、鋼、又はメッキ鋼材である。例えば、力分散板308は、303ステンレス鋼材料である。
【0025】
[0029]ヒートシンク310は、ヒートシンク上面350及びヒートシンク底面352を含む。ヒートシンク底面352は、力分散板上面344と接触する。ヒートシンク310は、冷却管354を含む。冷却管354は、冷却インターフェース356を通してヒートシンク上面350に結合される。冷却管354は、冷却インターフェース356を介して冷却流体を流すように動作可能である。例えば、冷却管354は、冷却インターフェース356を通して水を流すことができる。冷却管354は、DMD210から過剰な熱を除去するように動作可能である。インターポーザ開口部336、PCB開口部342、及び力分散板開口部348は、DMD210が冷却されるように、ヒートシンク310がDMD210と接触することを可能にする。ヒートシンク310は、複数の貫通孔326を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、ヒートシンク310は、導電性材料である。例えば、ヒートシンク310は、銅、メッキ銅、アルミニウム、又はメッキアルミニウム材である。
【0026】
[0030]締結具312は、複数のワッシャ358と、複数の変形ブッシュ360と、複数のバネ362と、複数のネジ364とを含む。複数の変形ブッシュ360の各々は、複数の貫通孔326の各々に位置決めされる。複数の変形ブッシュ360は、力分散板308と接触するように、複数の貫通孔326に配置される。複数のバネ362の各々は、複数の変形ブッシュ360と、ヒートシンク310に形成されたリップ366との間に配置される。複数のワッシャ358は、複数の変形ブッシュ360の各々のキャビティ368に配置される。複数のネジ364は、各キャビティ368を通し、複数の貫通孔326を通して位置決めされる。複数のネジ364は、ネジ山370を通ってねじ込まれるように動作可能である。ネジ山370は、取付フレーム302の複数の貫通孔326に沿って配置される。複数のネジ364は、DMD210を平坦化する必要な圧力を加えるためにトルクをかけられるように動作可能である。
【0027】
[0031]一対の結合マウント314がフレーム底面305に結合される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、一対の結合マウント314は、複数のネジ364を用いてフレーム底面305に結合される。一対の結合マウント314は、マウント装置220を複数の画像投射システム(IPS)110(
図2に示す)の部品に結合させるように動作可能である。
【0028】
[0032]
図4は、マウント装置220へのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)210の取付方法400のフロー図である。マウント装置220及びDMD210は、複数の画像投射システム(IPS)110の各々に配置される。DMD210のピークから谷までの湾曲によって、DMD210全体の位相干渉角が変化する。位相干渉角の変化は、印刷プロセス中の基板120上のスキャンムラにつながる。本明細書に記載の方法400は、DMD210の平坦度を高めることによって、DMD210全体の位相干渉角の均一性を改善する。
【0029】
[0033]工程401において、DMD210が、取付フレーム302に位置決めされる。取付フレームは、DMD210と接触して位置決めされた一対の接触パッド322を含む。工程402において、インターポーザ304、プリント基板(PCB)306、力分散板308、及びヒートシンク310が、DMD210のDMD上面316の上に積み重ねられる。
【0030】
[0034]工程403において、締結具312が設置される。締結具312は、取付フレーム302、インターポーザ304、プリント基板(PCB)306、力分散板308、及びヒートシンク310を共に結合させる。締結具312は、一対の接触パッド322がDMD210に対して押圧されるような力を提供する。締結具312の複数のネジ364は、複数の貫通孔326を通って配置される。複数の貫通孔326は、取付フレーム302、インターポーザ304、プリント基板(PCB)306、力分散板308、及びヒートシンク310を貫通して配置される。力は、取付フレーム302のネジ山370を通って複数のネジ364をねじ込むことによって加えられる。力によりDMD210が平坦化され、位相干渉角の均一性が改善する。例えば、位相干渉角の均一性は、約75%から約85%改善される。例えば、位相干渉の均一性は、約5°と約6°との間から約1°まで改善され得る。
【0031】
[0035]工程404において、DMD210の平坦度が調整される。DMD210の平坦度は、複数のネジ364にトルクをかける又は緩めることによって調整され得る。複数のネジ364のトルクを調整することで、第1の力経路及び第2の力経路でDMD210の平坦度を調整する。第1の力経路及び第2の力経路は、一対の接触パッド322の各々に方向づけされる。第1の力経路は、取付フレーム302がDMD210の方へ引っ張られ、DMD210がインターポーザ304に引っ張られ、インターポーザ304がPCB306及び力分散板308に引っ張られるように、複数のネジ364にトルクをかけることによって達成される。複数のネジ364の各々は、複数の変形ブッシュ360のキャビティ368を通って配置される。複数の変形ブッシュ360は、一対の接触パッド322に向かう圧縮力をもたらすトルク力によって引っ張られる。第2の力経路は、複数の変形ブッシュ360が、複数の変形ブッシュ360の各々を囲む複数のバネ362を圧縮することによって達成される。複数のバネ362の圧縮は、ヒートシンク310を一対の接触パッド322に向かって押し付ける。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1の力経路及び第2の力経路は、異なる量の力をDMD210に加える。例えば、第1の力経路は約600Nの力を加えることができ、第2の力経路は約55Nの力を加えることができる。
【0032】
[0036]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、方法400の間にDMD210の平坦度を決定及び監視するために、干渉計が用いられる。DMD210の平坦度は、複数のネジ364にトルクをかけることによって高めることができる。平坦度は、複数のネジ364を緩めることによって低下させることができる。このように、DMD210の平坦度は、複数のネジ364にトルクをかける又は複数のネジ364を緩めることによって調整され得る。複数のネジ364は、約0.1Nmから約0.6Nmのトルクを提供し得る。
【0033】
[0037]工程405において、マウント装置220及びDMD210がアニールされる。マウント装置220及びDMD210は、約55℃及び約65℃の温度でアニールされる。マウント装置220及びDMD210は、少なくとも60時間アニールされる。アニールプロセスにより、マウント装置220の機械的クリープが加速する。例えば、インターポーザ304の機械的クリープが加速する。常温で発生し得る機械的クリープは、アニールプロセスが実行された後では無視できる。したがって、マウント装置220及びDMD210のアニール後に、マウント装置220の機械的安定性が改善する。
【0034】
[0038]オプションの工程406において、工程404及び405が繰り返され得る。DMD210の平坦度は、所望の平坦度が達成されたことを確認するために、干渉計を用いて測定され得る。工程405により、DMD210の平坦度が変化する場合があるため、複数のネジ364を用いた平坦度の調整が必要となり得る。マウント装置220及びDMD210は、再びアニールされ得る。DMD210の所望の平坦度が達成されるまで、工程406が繰り返され得る。
【0035】
[0039]まとめると、デジタルリソグラフィシステムのデジタルマイクロミラーデバイス用のマウント装置及びデジタルマイクロミラーデバイスの取付方法が、本明細書に記載される。本明細書に記載のマウント装置は、DMD等の空間光変調器を保持する。マウント装置は、取付フレーム、インターポーザ、プリント基板(PCB)、力分散板、ヒートシンク、締結具、及び一対の結合マウントを含む。マウント装置は、一対の接触パッドがDMDと接触するような力を加えることによって、DMDの平坦化を可能にする。DMDがマウント装置に保持されることの利点は、位相干渉の均一性の向上、ひいては印刷性能の向上を含む。
【0036】
[0040]前述の内容は本開示の実施形態を対象としているが、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考案することが可能である。