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特許7604633ウエハ容器およびそのためのサイズ適合システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】ウエハ容器およびそのためのサイズ適合システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20241216BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/30 500
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023520077
(86)(22)【出願日】2021-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 US2021053382
(87)【国際公開番号】W WO2022072929
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/086,960
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムソリブ, モハマド ゼッド. エー.
(72)【発明者】
【氏名】チュア, ギャン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】リム, シン ジー.
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0077628(KR,A)
【文献】特開平07-315477(JP,A)
【文献】特表2011-527525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0090630(US,A1)
【文献】特表2018-512340(JP,A)
【文献】特開平10-144755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の側壁、1つの閉鎖端、1つの開放端、ならびに前記1つまたは複数の側壁および前記閉鎖端によって画定される1つの内部空間を含む、ポッドと、
前記ポッドの前記開放端を閉じるように構成されている扉と、
頂壁を含むウエハカセットと、
ベースプレートと、
付勢部材と、を備え、
前記開放端が前記扉によって閉じられるとき、前記ベースプレートは前記扉と前記ウエハカセットとの間に位置付けられ、前記付勢部材は、前記ウエハカセットの前記頂壁と前記ポッドの前記閉鎖端との間で圧縮され、前記ウエハカセットおよび前記ベースプレートを前記扉に押し付け
前記ベースプレートは、頂部と、前記頂部から延在する突起と、を含み、前記ウエハカセットの基部はスロットを含み、
前記開放端が前記扉によって閉じられるとき、前記ベースプレートの前記突起は前記スロットの中へと延びて、前記ウエハカセットと前記ベースプレートを連結し、
前記ベースプレートはノッチを有する底部を含み、前記扉は、内向き表面と、前記内向き表面から延在する突起と、を含み、
前記開放端が前記扉によって閉じられるとき、前記扉の前記突起は前記ノッチの中へと延びて、前記ベースプレートと前記扉を連結し、
前記扉の前記突起と前記ベースプレートの前記突起は同じ形状を有する、
ウエハ容器。
【請求項2】
前記付勢部材は、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、第1の弾性屈曲部と、第2の弾性屈曲部と、を含み、前記第1の端部は、前記第1の弾性屈曲部および前記第2の弾性屈曲部を介して前記第2の端部に接続されている、請求項1に記載のウエハ容器。
【請求項3】
前記ポッドの前記閉鎖端は、内向き表面と、前記閉鎖端の前記内向き表面から離れる方に延在するチャネルと、を含み、
前記付勢部材は前記付勢部材の長さに沿って延びるリブを含み、前記付勢部材は、前記付勢部材の前記リブを前記閉鎖端の前記チャネル内へと摺動させることによって前記ポッドに取り付けられるように構成されている、請求項1に記載のウエハ容器。
【請求項4】
閉じられたポッドの内部空間内にウエハカセットを固定するためのサイズ適合システムを有するウエハ容器であって、前記内部空間は、1つまたは複数の側壁、1つの閉鎖端、および前記閉じられたポッドの扉で閉じられた1つの開放端によって画定され、前記サイズ適合システムは、
頂部および底部を有しており、前記ウエハカセットと前記扉との間の前記内部空間内に配設されるように構成されているベースプレートであって、
前記ベースプレートの頂部から延在する突起であり、前記ベースプレートを前記ウエハカセットに連結するべく前記ウエハカセットのスロット内へと延びるように構成されている、突起、および、
前記ベースプレートの底部にあるノッチであり、前記ベースプレートと前記扉を連結するべく前記扉の突起を受けるように構成されている、ノッチ
のうちの少なくとも一方を含む、ベースプレートと、
前記内部空間内に前記ウエハカセットと前記ポッドの閉鎖端との間で圧縮されて配設されるように構成されている付勢部材であって、圧縮されている前記付勢部材は前記ウエハカセットおよび前記ベースプレートを前記扉に押し付ける、付勢部材と
を含み、
前記扉の前記突起と前記ベースプレートの前記突起は同じ形状を有する、
サイズ適合システムを有するウエハ容器。
【請求項5】
前記付勢部材は、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、第1の弾性屈曲部と、第2の弾性屈曲部と、を含み、前記第1の端部は、前記第1の弾性屈曲部および前記第2の弾性屈曲部を介して前記第2の端部に接続されている、請求項4に記載のサイズ適合システムを有するウエハ容器。
【請求項6】
前記ポッドの前記閉鎖端は、内向き表面と、前記閉鎖端の前記内向き表面から離れる方に延在するチャネルと、を含み、
前記付勢部材は前記付勢部材の長さに沿って延びるリブを含み、前記付勢部材は、前記付勢部材の前記リブを前記閉鎖端の前記チャネル内へと摺動させることによって前記ポッドに取り付けられるように構成されている、
請求項4に記載のサイズ適合システムを有するウエハ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、ウエハ容器内でのウエハカセットの固定に関する。より詳細には、本開示は、ウエハ容器のポッド内でのウエハカセットの固定に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ容器は、外側ポッドと一緒に収容されているウエハカセットを含み得る。ウエハカセットは、移動時、または落下、衝突などの衝撃を受けたとき、ポッドの残りの部分に対して移動する場合がある。ウエハカセットの移動は、ポッド、カセット、もしくはウエハの損傷につながる、または望ましくない粒子の発生につながる可能性がある。ウエハ容器は、特定のサイズのウエハカセットを収容するように構成され得る。各ポッドは、あるサイズのウエハカセットを保持するように特に構成された(例えば、サイズ決定された、位置決めされた、等)特徴を有し得る。例えば、「200mm」ウエハ容器は、「200mm」ウエハカセット(すなわち、200mm幅のウエハを保持するようなサイズのウエハカセット)を確実に収容するように構成されたポッドを含み得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は一般に、ウエハ容器のポッド内でのウエハカセットの固定に関する。
【0004】
扉とウエハカセットとの間でベースプレートを使用し、ウエハカセットとポッドの閉鎖端との間に1つまたは複数の付勢部材を使用することで、ウエハ容器は、ベースプレートおよび1つまたは複数の付勢部材が閉じられたポッドに対するウエハカセットの移動を制限することによって、その閉じられたポッド内でより小さいサイズのウエハ容器を確実に保持するように適合され得る。
【0005】
ある実施形態では、ウエハ容器は、ポッドと、扉と、ウエハカセットと、ベースプレートと、付勢部材と、を含む。ポッドは、1つまたは複数の側壁と、1つの閉鎖端と、1つの開放端と、1つまたは複数の側壁および1つの閉鎖端によって画定される1つの内部空間と、を含む。ウエハカセットは頂壁を含む。扉はポッドの開放端を閉じるように構成される。ポッドの開放端が扉によって閉じられるとき、ベースプレートは扉とウエハカセットとの間に位置付けられ、付勢部材は、ウエハカセットの頂壁とポッドの閉鎖端との間で圧縮され、ウエハカセットおよびベースプレートを扉に押し付ける。
【0006】
ある実施形態では、開放端が扉によって閉じられるとき、付勢部材はウエハカセットをベースプレートに押し付ける。
【0007】
ある実施形態では、付勢部材は、第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部と、第1の弾性屈曲部と、第2の弾性屈曲部と、を含む。第1の端部は、第1の弾性屈曲部および第2の弾性屈曲部を介して第2の端部に接続される。
【0008】
ある実施形態では、開口部が扉によって閉じられるとき、付勢部材の第1の端部はポッドに接触し、付勢部材の第2の端部はウエハカセットに接触する。
【0009】
ある実施形態では、付勢部材の圧縮によって、第1の弾性屈曲部の屈曲角度が小さくなり、第2の弾性屈曲部の屈曲角度が大きくなる。
【0010】
ある実施形態では、開口部が扉によって閉じられるとき、付勢部材はウエハカセットの頂壁からポッドの閉鎖端まで延在する。
【0011】
ある実施形態では、ポッドの閉鎖端は、内向き表面と、閉鎖端の内向き表面から離れる方に延在するチャネルと、を含み、付勢部材は付勢部材の長さに沿って延在するリブを含む。付勢部材は、付勢部材のリブが閉鎖端のチャネル内に配設されることによってポッドに取り付けられる。
【0012】
ある実施形態では、ベースプレートは、頂部と、頂部から延在する突起と、を含み、ウエハカセットの基部はスロットを含む。開口部が扉によって閉じられるとき、突起はスロットの中へと延びて、ウエハカセットとベースプレートを連結する。
【0013】
ある実施形態では、ベースプレートはノッチを有する底部を含み、扉は、内向き表面と、内向き表面から延在する突起と、を含む。開口部が扉によって閉じられるとき、突起はノッチの中へと延びて、ベースプレートと扉を連結する。
【0014】
ある実施形態では、扉の突起とベースプレートの突起は同じ形状を有する。
【0015】
ある実施形態では、サイズ適合システムは、閉じられたポッドの内部空間内にウエハカセットを固定するように構成される。内部空間は、1つまたは複数の側壁と、1つの閉鎖端と、閉じられたポッドの扉で閉じられる1つの開放端と、によって画定される。サイズ適合システムは、ウエハカセットと扉との間の内部空間内に配設されるように構成されているベースプレートと、内部空間内にウエハカセットとポッドの閉鎖端との間で圧縮されて配設されるように構成されている付勢部材と、を含む。圧縮された付勢部材は、ウエハカセットおよびベースプレートを扉に押し付けるように構成される。
【0016】
ベースプレートは、頂部と、底部と、ベースプレートの頂部から延在する突起およびベースプレートの底部にあるノッチの少なくとも一方と、を有する。突起は、ベースプレートをウエハカセットに連結するべく、ウエハカセットのスロット内へと延びるように構成されている。ノッチは、ベースプレートと扉を連結するべく扉の突起を受けるように構成されている。
【0017】
ある実施形態では、ベースプレートはノッチを含む。
【0018】
ある実施形態では、ベースプレートは突起とノッチとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ウエハ容器の実施形態の分解図である。
図2】ウエハ容器用のベースプレートの実施形態の上面斜視図である。
図3】ある実施形態に係る、図2のベースプレートの底面斜視図である。
図4】ある実施形態に係る、図2のベースプレートの一部の拡大図である。
図5A】ウエハ容器用の付勢部材の実施形態の正面斜視図である。
図5B】ある実施形態に係る、図5Aにおける付勢部材の側面図である。
図6】ウエハ容器用のウエハカセットの実施形態の底面図である。
図7】ウエハ容器用のポッドの実施形態の底面図である。
図8】ある実施形態に係る、図1のウエハ容器の断面図である。
図9A】ある実施形態に係る、図8に示されているような連結されたベースプレートおよびウエハカセットの断面図である。
図9B】ある実施形態に係る、図8に示されているような連結されたベースプレートおよびウエハカセットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
同様の数字は同様の特徴を表す。
【0021】
詳細な説明
本開示は一般に、ウエハ容器のウエハポッド内にウエハカセットを固定することに関する。ウエハ容器は半導体製造中などに基板を運ぶために使用される。例えば、ウエハの形態の基板を加工して半導体デバイスを形成することができる。より具体的には、本開示は、ベースプレートと、ウエハポッド内にウエハカセットを固定するための付勢部材と、を有するシステムに関する。いくつかの実施形態では、組み立てられたときのウエハ容器は、ベースプレートと、より小さいウエハカセットをより大きいウエハポッドと固定するための付勢部材と、を含む。
【0022】
図1は、ウエハ容器1の実施形態の分解図である。ウエハ容器1は、ポッド10と、扉30と、ウエハカセット40と、ベースプレート60と、付勢部材80A、80Bと、を含む。組み立てられると、ウエハカセット40は、ポッド10および扉30によって画定される内部空間12内に収容される。
【0023】
ある実施形態では、サイズ適合システムは、ベースプレート60と、1つまたは複数の付勢部材80A、80Bと、を含む。サイズ適合システムは、ポッド10内にウエハカセット40を固定するように構成される。ベースプレート60は、ポッド10に対するウエハカセット40の水平移動を制限するように構成され、一方、1つまたは複数の付勢部材80A、80Bは、ポッド10に対するウエハカセット40の垂直移動を制限するように構成される。サイズ適合システムは、より小さいウエハカセット(例えばウエハカセット40)がポッド内で安全かつ確実に搬送されるようポッド(例えば、ポッド10)を適合させるために使用され得る。例えば、ポッドは、第1のサイズのウエハカセットを安全かつ確実に搬送するように構成されてもよく、サイズ適合システムは、第2のより小さいサイズのウエハカセット(例えば、第2のウエハカセットは第1のウエハカセットよりも小さいサイズを有する)が安全かつ確実に搬送されるよう、ポッドを適合させるために使用され得る。
【0024】
ウエハ容器1は、1つまたは複数のウエハを保持するのに適した任意のそのような容器、例えば、標準的機械的インターフェース(SMIF)のポッドであり得る。ウエハ容器1は、例えば、半導体ウエハの処理、搬送、および/または保管中に、1つまたは複数のウエハ(図示せず)を保持するために使用され得る。
【0025】
ウエハカセット40は、半導体ウエハなどの1つまたは複数のウエハ(図示せず)が収納されるように構成された内部空間を有する容器である。1つまたは複数のウエハは各々、ウエハカセット40の壁から延在する1つまたは複数のウエハ支持部内に保持することができる。例えば、ウエハカセット40は、対応するウエハを支持するように各々構成されている、複数の棚42を含み得る。ある実施形態では、ポッド40は、第1のサイズのウエハ(例えば200mmウエハ、等)を保持するように構成された棚を有する第1のウエハカセット(図示せず)を保持するように構成され、ウエハカセット40は、より小さいサイズのウエハ(例えば150mmウエハ、等)を保持するように構成される。
【0026】
ポッド10は、1つまたは複数の側壁14と、1つの閉鎖端16と、閉鎖端16の反対側の1つの開放端18(図1ではよく見えていない)と、を含む。1つまたは複数の側壁14は、切れ目のない壁を形成する任意の数および配置の側壁とすることができ、それら1つまたは複数の側壁14は、開放端18が扉30によって閉じられるときに、閉鎖端16と共に内部空間12を画定できるようになっている。ある実施形態では、一続きの湾曲した壁である1つの側壁14が存在する。ある実施形態では、1つまたは複数の側壁14は4つの側壁であり、長方形または正方形の形状を形成する。扉30が取り付けられこれにより開放端18が閉じられると、ポッド10および扉30は、ウエハカセット40、ベースプレート60、および付勢部材80A、80Bが収納されるように構成された、内部空間12を画定する。
【0027】
扉30はポッド10の開放端18を閉じるように構成される。扉30は、ポッド10の1つまたは複数の側壁14によって画定されるものと概ね同様の形状を有し得る。扉30は、扉30をポッド10に接合してウエハ容器1を密閉(例えば、内部空間12を密閉)するための、1つまたは複数の係合機構を含み得る。扉30は、その長さ方向および幅方向によって定められる平面を有し得る。組み立てられたウエハ容器1の内部構成について、以下で更に詳細に検討する。
【0028】
扉30は内向き表面32を含む。扉30の内向き表面32は、ポッド10が扉30で閉じられるとき、ウエハ容器1の内部空間12の方に面する。内向き表面32は、ポッド10の閉鎖端16の方に面することができる。扉30は、扉30の内向き表面32から延在する突起34-1を含む。ポッド10が扉30で閉じられるとき、突起34-1、34-2は、内向き表面32から内部空間12内へと延びる。例えば、突起34-1、34-2は、内向き表面32から上向きの方向に延在する(例えば、ポッド10の閉鎖端16に向かって垂直方向Dに延在する)ことができる。
【0029】
ある実施形態では、突起34-1、34-2は、ウエハカセット40よりも大きいサイズのウエハカセット(図示せず)と直接係合するように構成される。例えば、上記したより大きいサイズのウエハカセットは、ウエハカセット40よりも大きい幅を有するウエハを運ぶために、ウエハカセット40よりも大きい幅を有し得る(例えば、より大きいサイズのウエハカセットは200mmウエハを運ぶためのサイズであるが、ウエハカセット40は、150mmウエハ、100mmウエハ、等のより小さいウエハを運ぶためのサイズである)。ウエハ容器1が組み立てられると、ベースプレート60は、扉30の少なくとも1つの突起34-1を介して扉30と連結される。ある実施形態では、扉30は、突起34-1、34-2のうちの1つまたは複数を含み得る。扉30とベースプレート60の連結について、以下で更に詳細に検討する。
【0030】
ウエハカセット40は、頂壁44と、頂壁44の反対側の基部48と、を含む。頂壁44および基部48は、ウエハカセット40の頂部および底部をそれぞれ画定し得る。頂壁44は上側表面46を含む。ウエハ容器1が組み立てられると、ウエハカセット40の頂壁44の上側表面46は、ポッド10の閉鎖端16の方に面する。例えば、頂壁44の上側表面46は垂直方向Dに向けられる。
【0031】
図2はある実施形態に係る、ベースプレート60の上面斜視図である。ベースプレート60は、頂部62と、頂部62の反対側の底部68(図1ではよく見えていない)と、を含む。ベースプレート60は、ベースプレート60の頂部62から延在する突起64-1、64-2を含む。突起64-1、64-2の各々は、ベースプレート60の頂部62から上向きに(例えば垂直方向Dに)延在する。ある実施形態では、扉30の突起34-1のうちの1つまたは複数は、ベースプレート60の突起64-1のうちの1つまたは複数と同じ形状を有する(例えば図1を参照)。ある実施形態では、ベースプレート60は、1つまたは複数の突起64-1、64-2を含み得る。
【0032】
図2に示すように、ベースプレート60の頂部62はまた、ウエハカセット40を支持するための1つまたは複数のパッド66も含み得る。パッド66はベースプレート60の上側表面に付着され得る。ウエハ容器1が組み立てられると、ウエハカセット40の基部48は、ベースプレートの頂部62の1つまたは複数のパッド66上に定置される。例えば、パッド66は、ベースプレート60(突起64-1、64-2を除く)の最上部の支持表面を提供し得る。パッド66は、ウエハカセット40およびその中の任意のウエハの容器に加わる下向きの力を低減するようなクッションを提供し得る。
【0033】
図3はベースプレート60の底部68の斜視図である。ベースプレート60は、ベースプレート60の底部68に形成された1つまたは複数のコネクタ70を含む。1つまたは複数のコネクタ70は、扉30の1つまたは複数の突起34-1と係合して、扉30とベースプレート60を連結するように構成される。ある実施形態では、各コネクタ70は、対応する扉30の突起34-1と係合するように構成される。
【0034】
図4図3のコネクタ70のうちの1つの拡大図である。ベースプレート60の底部68はノッチ72を含む。ノッチ72はコネクタ70に形成される。ノッチ72は、扉30とベースプレート60を連結するための突起34-1を受け入れるように各々構成される。コネクタ70とその対応する突起34-1の係合は、この突起34-1が上記コネクタ70のノッチ72のうちの少なくとも1つの中に延びることによって行われる。ウエハ容器1が組み立てられると、上記対応する突起34-1は少なくとも1つのノッチ72内へと延び、突起34-1を上記少なくとも1つのノッチ72と連結する。図4に示すように、本実施形態のコネクタ70は、対応する突起34-1と係合するための6つのノッチ72を含む。ある実施形態では、コネクタ70は1つまたは複数のノッチ72を含み得る。ある実施形態では、コネクタ70は単一のノッチ72を含み得る。ある実施形態では、コネクタ70は、(例えば、水平方向Dおよび直交する水平方向Dのいずれに沿う移動も制限するための)互いに垂直に配置される2つのノッチ72を含み得る。
【0035】
ウエハ容器1が組み立てられると、扉30とベースプレート60は、1つまたは複数のコネクタ70が突起34-1のうちの1つまたは複数にそれぞれ係合することにより、1つに連結される。特に、扉30およびベースプレート60は、少なくとも1つのコネクタ70がその対応する扉30の突起34-1と係合することによって、横方向において連結される。扉30とベースプレート60との間の横方向における連結は、扉30とベースプレート60との間の摺動移動を制限する連結である。例えば、コネクタ70によって提供される横方向の連結は、少なくとも1つの水平方向における(例えば、水平方向Dの方向における、水平方向Dの方向における、等)、扉30とベースプレート60との間の移動を制限する。ある実施形態では、コネクタ70は、水平方向Dおよび第2の水平方向Dの各々に沿った、扉30とベースプレート60との間の移動を制限するように構成される。ある実施形態では、コネクタ70のうちの少なくとも1つは、水平方向Dおよび第2の水平方向Dの各々に沿った扉30とベースプレート60との間の移動を制限するよう、その対応する扉30の突起34-1と係合するように構成される。
【0036】
図4に示すように、ノッチ72は、ノッチ72の長さにわたって次第に減少する幅を有し得る。例えば、ノッチ72の幅は、その開口部から次第に狭くなる。ベースプレート60が扉30に押し付けられると、突起34-1はその対応するコネクタ70の少なくとも1つのノッチ72内に押し入れられる。ノッチ72の形状は、ベースプレート60が扉30に押し付けられると突起34-1が上記少なくとも1つのノッチ72に押し込まれるように構成される。1つまたは複数の突起34-1をそれらの対応する1つまたは複数のノッチ72に押し込むことにより、ベースプレート60を扉30上に有利に保持し、ベースプレート60が扉30から意図せず取り外されること(例えば連結解除、等)を防ぐことができる。例えば、このことにより、ウエハカセット40をベースプレート60から持ち上げるときに、ベースプレート60が誤ってウエハカセット40と一緒に取り外されることを防止できる。
【0037】
突起34-1の位置は、扉30の実施形態が異なれば異なる場合がある。例えば、図2に示すような後方にある突起34-1の対は第1の位置にある。別の実施形態では、後方にある突起34-1の対は、突起がより広く離間している第2の位置を有し得る(例えば、図2における後方にある突起34-1の対は、水平方向Dにおいてより広く離間している)。
【0038】
図3および図4に示すように、コネクタ70の対(例えば、後方にあるコネクタ70の対)は、第1の開口部74および第2の開口部76を各々含み得る。開口部74、76の各々は、少なくとも1つのノッチ72を有して形成されている。コネクタ70の各開口部74、76は2つ以上のノッチ72を含むことができ、ノッチ70のうちの少なくとも1つは、開口部74、76によって共有され得る。
【0039】
第1の開口部74の対は、第2の開口部76の対よりも互いに近接して位置決めされている(例えば、水平方向Dにおける2つの第1の開口部74の間の距離は、水平方向Dにおける2つの第2の開口部76の間の距離よりも小さい)。第1の開口部74は、それらが第1の位置にある後方の突起のセット(例えば、図2で位置決めされているような突起34-1)を有する扉と係合するように位置決めされる。第2の開口部76は、それらが第2の位置にある後方の突起の対を有する扉(例えば、図2に示すよりも水平方向Dに広く離間させた突起34-1を有する扉の実施形態)と係合するように位置決めされる。開口部74、76の2つの対によって、ベースプレート60を、扉30の2つの異なる実施形態(例えば、狭い間隔の突起を有する第1の扉の実施形態、より広い間隔の突起を有する第2の扉の実施形態)と共に使用することが可能になる。
【0040】
図5Aは付勢部材80Aの実施形態の正面斜視図である。図5Bは付勢部材80Aの側面図である。付勢部材80Aは、第1の端部82Aと、第2の端部84Aと、第1の弾性屈曲部86Aと、第2の弾性屈曲部88Aと、を含む。第2の端部84Aは、付勢部材80Aの長さLに沿った第1の端部82Aの反対側にある。付勢部材80Aの長さLは、その第1の端部82Aからその第2の端部84Aまで延びている。ポッド10に取り付けられると、付勢部材80Aの長さLは垂直方向Dに沿って延びる。
【0041】
第1の端部82Aは、第1の弾性屈曲部86Aおよび第2の弾性屈曲部88Aを介して第2の端部84Aに接続される。例えば、第1の端部82Aは、連続した第1の弾性屈曲部86Aおよび第2の弾性屈曲部88Aを介して第2の端部84Aに接続される。第1の弾性屈曲部86Aは、第1の端部82Aと第2の弾性屈曲部88Aとの間にある。第2の弾性屈曲部88Aは、第1の弾性屈曲部86Aと第2の端部84Aとの間にある。
【0042】
第1の弾性屈曲部86Aは屈曲角αを有し、第2の弾性屈曲部88Aは屈曲角αを有する。付勢部材80Aは、その第2の端部84Aが上向きに押し上げられると圧縮されるように構成される。例えば、付勢部材80Aは、垂直方向Dにおいてその第2の端部84Aに加わる力Fによって圧縮されるように構成される。付勢部材80Aの長さLは圧縮されるにつれ短くなる。圧縮により第1の弾性屈曲部86Aの屈曲角度αが小さくなり、第2の弾性屈曲部88Aの屈曲角度αが大きくなる。ある実施形態では、付勢部材80Aは、その第1の弾性屈曲部86Aを畳み、その第2の弾性屈曲部88Aを延ばすことによって圧縮を行う。付勢部材80Aは復元力のある可撓性ポリマーで製作される。付勢部材80Aのポリマーは、弾性屈曲部86A、88Aの屈曲を許容すると同時に、付勢部材80Aがもはや圧縮されていない状態ではないときに弾性屈曲部86A、88Aをそれぞれの元の形状(例えば、元の屈曲角度α、元の屈曲角度α、等)に戻す復元性を有するように構成される。付勢部材は、例えばポリカーボネートで製作されてもよいが、これに限定されない。ある実施形態では、付勢部材80A全体が単一の材料から形成(例えば成形)され得る。
【0043】
付勢部材80Aは、圧縮されると下向きに押圧を行うように構成されている。例えば、圧縮された付勢部材80Aの第2の端部84Aは、垂直方向下向きの方向Dの力Fを加える。垂直方向下向きの方向Dは、垂直方向上向きの方向Dとは逆方向である。例えば、下向きの力Fは、緊張した弾性屈曲部86A、88Aがそれらの圧縮されていない形状に戻ろうとすることによって生じる。
【0044】
付勢部材80Aは、付勢部材80Aの長さLに沿って延在する少なくとも1つの剛性支持部92Aを含む。少なくとも1つの剛性支持部92Aは、第1の端部82Aと第1の弾性屈曲部86Aとの間に設けることができる。付勢部材80Aの、第1の端部82Aから第1の弾性屈曲部86Aまで延びる部分は、少なくとも1つの剛性支持部92Aを含み、剛性を有するように構成される。例えば、付勢部材80Aの上記の部分は、剛性構造を有し、付勢部材80Aが圧縮されているときに屈曲しないように構成される。ある実施形態では、付勢部材90Aは単一の材料から製作されても(例えば、単一の材料から成形されても)よく、1つまたは複数の剛性支持部92Aは付勢部材90Aの当該部分に剛性をもたらし得る。
【0045】
付勢部材80Aはリブ90Aの対も含む。リブ90Aは付勢部材80Aの両側にあり、付勢部材80Aの長さLに沿って延在する。リブ90Aは、付勢部材80Aの第1の端部82Aに設けることができる。リブ90Aは、付勢部材80Aの第1の端部82Aと第1の弾性屈曲部86Aとの間に位置付けられる。リブ90Aは、ポッド10の(図7および図8に示す)対応するチャネル22A内へと摺動するように各々構成される。付勢部材80Aは、リブ90Aの各々がポッド10の対応するチャネル22A内に配設されることによって、ポッド10に取り付けることができる。付勢部材80Aの取り付けについて、以下で更に詳細に検討する。
【0046】
図6はウエハカセット40の底面図である。ウエハカセット40の基部48は、下側表面50と、スロット52-1、52-2と、を含む。スロット52-1、52-2はウエハカセット40の底部に形成されている。スロット52-1、52-2は1つまたは複数の側壁によって形成されている。本実施形態では、ウエハカセット40は、2つの第1のスロット52-1と、2つの第2のスロット52-1と、を含む。各第1のスロット52-1は、ベースプレート48の下側表面50から延在する複数の側壁54-1によって画定される。図6に示すように、各スロット52-1は開放側56-1も含み得る。例えば、水平面に沿って、各第1のスロット52-1は、複数の側壁54-1と開放側56-1とによって囲まれている。
【0047】
各第2のスロット52-2は、複数の側壁54-2によって画定される。図6に示すように、各スロット52-2は開放側56-2も含み得る。例えば、水平面に沿って、各第1のスロット52-2は、複数の側壁54-2と開放側56-2とによって囲まれている。基部48は、2つの第2のスロット52-2の各々の側壁54-2のうちの少なくとも1つを提供する突出部58を含み得る(例えば、突出部58は、第2のスロット52-2の第1のものの側壁54-2と、第2のスロット52-2の第2のものの側壁54-2と、を提供する)。ある実施形態では、突出部58は、スロット52-2同士の間で垂直に延在する壁であってもよい。第1のスロット52-1および第2のスロット52-2は、垂直方向において(例えば、図6の紙面に進入する方向に沿って、図1の垂直方向Dに沿って)重なっていてもよい。
【0048】
図7はポッド10の底面図である。ポッド10は、1つの閉鎖端16と、1つの開放端18と、1つまたは複数の側壁14とを含む。ポッド10はまた、付勢部材80A、80Bをポッド10に取り付けるためのチャネル22A、22Bも含み得る。ポッド10の閉鎖端16は、内向き表面20と、チャネル22A、22Bと、を含む。内向き表面20は、ウエハ容器1の内側空間12に面している。チャネル22A、22Bの各々は、閉鎖端16の内向き表面20から延在する。例えば、各チャネル22A、22Bは、閉鎖端16の内向き表面20から、ポッド10の開放端18に向かって垂直方向Dに延在し得る(例えば図8を参照)。
【0049】
ポッド10は、第1の付勢部材80A用のチャネル22Aの対と、第2の付勢部材80A用のチャネル22Bの対と、を含み得る。例えば、付勢部材80Aの各リブ90Aは、チャネル22Aのうちの対応する1つの中に配設される。付勢部材80Aは、その第1の端部82Aを2つのチャネル22Aの間に摺動させることによって、ポッド10に取り付けることができる。付勢部材80Aの第1の端部82Aにある各リブ90Aは、対応するチャネル22A内へと摺動する。付勢部材80Aの第1の端部82Aは、その対応するチャネル22Aの対の間に配設される。付勢部材80Aは、付勢部材80Aとポッド10を連結するための、ポッド10のその対応するスロット22A内に配設される少なくとも1つのリブ90Aを有する。ある実施形態では、付勢部材80Aは、2つのチャネル22Aの間に圧入されることにより、チャネル22A内に保持される。
【0050】
チャネル22Aによって提供される取り付けは、付勢部材80Aの第1の端部82Aとポッド10の閉鎖端16との間の摺動移動を制限するように構成され得る。例えば、チャネル22A、22Bによって提供される取り付けは、付勢部材80Aの第1の端部82Aとポッド10の閉鎖端16との間の、(例えば、水平方向Dへの、第2の水平方向Dへの、等の)水平移動を制限し得る。チャネル22Aとそれらの対応する付勢部材80Aとの間の取り付けはまた、付勢部材80Aがもはや圧縮されていないとき(例えば、ウエハ容器1からウエハカセット40を取り出すためにポッド10が開かれるとき、等)、付勢部材80Aをポッド10上に保持するようにも構成され得る。
【0051】
図8はウエハ容器1の底面図である。図8の断面は、(ウエハ容器1が組み立てられたときの)図1の線IIX-IIXに沿ったものである。組み立てられると、ポッド10の開放端18は扉30で閉じられ、ウエハカセット40、ベースプレート60、および付勢部材80A、80Bは、内部空間12内に収容される。扉30は、ポッド10の開放端18を封止し、内部空間12を密閉することができる。ウエハカセット40は、ベースプレート60および扉30の上に積み重ねられ、ベースプレート60と、圧縮された1つまたは複数の付勢部材80A、80Bとの間に位置付けられる。ベースプレート60は扉30上に積み重ねられ、扉30とウエハカセット40との間に位置付けられる。ウエハカセット40の基部48はベースプレート60の頂部62に接触し、ベースプレート60の底部68は扉30の内向き表面32に接触する。例えば、ベースプレート60の底部68の外壁は、扉30の内向き表面32に接触し得る。
【0052】
ウエハ容器1が組み立てられると、突起64-1、64-2は各々がポッド10の閉鎖端16に向かって延びる。各突起64-1、64-2は、ウエハカセット40の基部48にあるスロット52-1、52-2(図6および図8に示す)のうちの1つの中へと延びるように構成される。突起64-1、64-2と対応するスロット52-1、52-2との係合により、ベースプレート60とウエハカセット40とが連結される。特に、対応するスロット52-1、52-2内へと延びる突起64-1、64-2は、ウエハカセット40とベースプレート60を横方向において連結する。ウエハカセット40とベースプレート60との間の横方向における連結は、ウエハカセット40とベースプレート60との間の摺動移動を制限する連結である。例えば、突起64-1、64-2によって提供される横方向における連結により、ウエハカセット40とベースプレート60との間の少なくとも1つの水平方向への(例えば、水平方向Dへの、水平方向Dに垂直な水平方向Dへの、等の)移動が制限される。ある実施形態では、突起64-1、64-2は、水平方向Dおよび第2の水平方向Dの各々に沿った、ウエハカセット40とベースプレート60との間の移動を制限するように構成される。ある実施形態では、突起64-1およびその対応するスロット52-1のうちの1つは、水平方向Dおよび第2の水平方向Dの各々に沿った移動を制限するように構成される。図8に示すように、第1の突起34-1は、第2の突起64-1がその対応するスロット52-1に到達するように、スロット52-2を通って延在し得る。
【0053】
図8に示すように、扉30の突起34-1は、ウエハカセット40のスロット52-1と垂直方向に整列されない(例えば、突起34-1はスロット52-1内に嵌合しない、突起34-1は水平移動を防止するようにスロット52-1の側壁に当接することがない)。例えば、ポッド10は、もともとはウエハカセット40よりも大きいウエハカセットと共に使用されるように設計されている場合がある。大きい方のウエハカセットは、(例えば水平方向Dにおいて)ウエハカセット40よりも大きい幅を有する。ウエハカセット40をより大きいウエハカセットから縮小すると、その結果スロット52-1のうちの少なくとも1つがその対応する突起34-1ともはや整列されなくなる。ベースプレート60および1つまたは複数の付勢部材80A、80Bは、ウエハ容器1の内部空間12内にウエハカセット40を適切に固定するのに適合しない構成を有するポッド10および扉30内に、ウエハカセット40を固定するように構成される。
【0054】
簡潔にするために、以下の説明は第1の付勢部材80Aに向けられる。第2の付勢部材80Bを含むウエハ容器1の実施形態は、第1の付勢部材80Aについて説明したのと同様の構成を有し得ることを諒解されたい。図示した実施形態では、2つの付勢部材80A、80Bは有利には、ウエハカセット40に対して水平面に沿ってより一貫した下向きの圧力を提供し得る。別の実施形態では、ウエハ容器1は、単一の付勢部材80Aを有するように構成され得る。
【0055】
図8に示すように、付勢部材80Aは、ウエハカセット40とポッド10の閉鎖端16との間に位置付けられる。付勢部材80Aは、カセット40の頂壁44の上側表面46から、ポッド10の閉鎖端16の内向き表面20まで延在する。閉じられたポッド10内で、付勢部材80Aは、ウエハカセット40の頂壁44とポッド10の閉鎖端16との間で圧縮される。組み立てられたウエハ容器1内の付勢部材80Aは、ウエハカセット40の頂壁44とポッド10の閉鎖端16との間に圧縮されて配設されるように構成される。
【0056】
ポッド10の開放端18を扉30で閉じることによって、付勢部材80Aが圧縮される。連結されたウエハカセット40およびベースプレート60の(例えば垂直方向Dにおける)高さは、付勢部材80Aの第2の端部84A(非圧縮時)と閉じられた扉30との間の垂直方向の空間より大きい。扉30が図8に示すようなその閉じられた位置に移動されると(例えば、ポッド10の開放端18を封止するべく垂直方向上向きに移動されると)、積み重ねられた扉30、ベースプレート60、およびウエハカセット40は、付勢部材80Aに逆らって上向きに押しやられ、付勢部材80Aを圧縮する。ウエハカセット40の頂壁44は、付勢部材80Aの第2の端部84Aを垂直方向上向きに(例えば垂直方向Dに)押す。第2の端部84Aは、ポッド10の閉鎖端16に近づくように垂直方向上向きに移動し、付勢部材80Aは、ウエハカセット40とポッド10の閉鎖端16との間で圧縮される。
【0057】
付勢部材80Aの第1の端部82Aはポッド10の閉鎖端16に接触し、付勢部材80Aの第2の端部84Aはウエハカセット40の頂壁44に接触する。例えば、第1の端部82Aは閉鎖端16の内向き表面20に接触し、第2の端部84Aはウエハカセット40の頂壁44の上側表面46に接触する。第2の端部84Aは、接触が最小限になるようにウエハカセット40の平坦面に接触する(例えば、ウエハカセット40の上側表面46の平坦な部分に接触する)。
【0058】
圧縮は、付勢部材80Aによって下向きの力(例えば、図5Bの下向きの力F)が加わるようにこれを緊張させる。圧縮された付勢部材80Aは、ウエハカセット40の頂壁44を押し下げる。圧縮された付勢部材80Aは、ウエハカセット40およびベースプレート60を扉30の内向き表面32に押し付ける。圧縮された付勢部材80Aは、ウエハカセット40をベースプレート60の頂部62に押し付け、このことによりベースプレート60が扉30の内向き表面32に押し付けられる。ウエハカセット40およびベースプレート60は、圧縮された付勢部材80Aと扉30との間で、垂直方向に沿って(例えば、垂直方向Dに、垂直方向Dに)圧迫される。
【0059】
圧縮された付勢部材80Aによって加えられる下向きの力によって、ウエハカセット40およびベースプレート60の上向きの移動(例えば、垂直方向上向きの方向Dへの移動)が概ね防止される。圧縮された付勢部材80Aによる下向きの力はまた、カセット40がベースプレート60から連結解除されることを防止するように、および、ベースプレート60が扉30から連結解除されることを防止するように、更に構成される。例えば、下向きの力は、ベースプレート60の突起64-1、64-2をカセット40のそれらの対応するスロット52-1、52-2から引き出すのに十分な大きさの、カセット40の垂直方向上向きの移動を防止するように構成される。例えば、下向きの力は、扉30の突起34-1をベースプレート60のその対応する1つまたは複数のノッチ72から引き出すのに十分な大きさの、扉30に対するカセット40およびベースプレート60の垂直方向上向きの移動を防止するように構成される。
【0060】
上で検討したように、ベースプレート60は、ウエハカセット40および扉30の各々に横方向において連結されている。ベースプレート60は、ウエハカセット40を扉30に横方向において連結する。閉じられた扉30は、ベースプレート60が閉じられた扉30を介してポッド10に対して横方向においてウエハカセット40に連結するように、ポッド10に接合される。ウエハ容器1が組み立てられると、ベースプレート60は、ポッド10に対するウエハカセット40の(例えば、水平方向Dへの、水平方向Dへの、等の)水平移動を、有利に制限できる。
【0061】
図9Aは、図8の連結されたウエハカセット40およびベースプレート60の断面図である。図9Aの断面図は、図8の線IX-IXに沿った水平断面図である。ベースプレート60の突起64-2は、ウエハカセット40の第2のスロット52-2内へと延びる。突起64-2の各々は、ウエハカセット40の第2のスロット52-2の少なくとも1つの側壁54-2に接触するように構成され得る。突起64-2とスロット52-2との間の接触により、ウエハカセット40とベースプレート60との間の(例えば、第1の水平方向Dへの、第2の水平方向Dへの)水平移動が防止される。図9Aに示すように、ウエハカセット40の突出部58は、突起64-2の対の間の空間に収まることができる。突出部58は、この対の突起64-2の各々を直接収縮させることができる。突出部58は対の突起64-2の各々に接触して、少なくとも1つの水平方向への(例えば水平方向Dへの)移動を防止するようになっている。
【0062】
図9Bは、図8の連結されたウエハカセット40およびベースプレート60の断面図である。図9Bの断面図は、図8の線IX-IXに沿った水平断面図である。ベースプレート60の突起64-1は、ウエハカセット40の第1のスロット52-1内へと延びる。突起64-1の各々は、ウエハカセット40の第1のスロット52-1の少なくとも1つの側壁54-1に接触するように構成され得る。突起64-1とスロット52-1との間の接触により、ウエハカセット40とベースプレート60との間の水平移動(例えば、ベースプレート60上でのウエハカセット40の摺動、第1の水平方向Dへの移動、第2の水平方向Dへの移動)が防止される。図9Bに示すように、第2の突起62-1は、ウエハカセット50の第1のスロット52-1内へと延びないように構成される。例えば、図9Aおよび図9Bが示すように、第1の突起64-1は、(例えば、図8に示すような垂直方向Dにおいて)第2の突起64-2よりも大きい高さを有し得る。一般に、圧縮された付勢部材80Aは、ポッド10に対するウエハカセット40の垂直移動を有利に制限することができ、このときベースプレート60は、ポッド10に対するウエハカセット40の水平移動を制限する。付勢部材80Aおよびベースプレート60は、ウエハ容器1内でウエハカセット40を安全かつ確実に搬送できるように、内部空間12内でのウエハカセット40の移動を制限する。
【0063】
態様:
態様1~10のうちのいずれかを、態様11~18のうちのいずれかと組み合わせることができる。
【0064】
態様1.1つまたは複数の側壁、1つの閉鎖端、1つの開放端、ならびに1つまたは複数の側壁および閉鎖端によって画定される1つの内部空間を含む、ポッドと、ポッドの開放端を閉じるように構成されている扉と、頂壁を含むウエハカセットと、ベースプレートと、付勢部材と、を備え、開放端が扉によって閉じられるとき、ベースプレートは扉とウエハカセットとの間に位置付けられ、付勢部材は、ウエハカセットの頂壁とポッドの閉鎖端との間で圧縮され、ウエハカセットおよびベースプレートを扉に押し付ける、ウエハ容器。
【0065】
態様2.開放端が扉によって閉じられるとき、付勢部材はウエハカセットをベースプレートに押し付ける、態様1に記載のウエハ容器。
【0066】
態様3.付勢部材は、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、第1の弾性屈曲部と、第2の弾性屈曲部と、を含み、第1の端部は、第1の弾性屈曲部および第2の弾性屈曲部を介して第2の端部に接続されている、態様1または2に記載のウエハ容器。
【0067】
態様4.開口部が扉によって閉じられるとき、付勢部材の第1の端部はポッドに接触し、付勢部材の第2の端部はウエハカセットに接触する、態様3に記載のウエハ容器。
【0068】
態様5.付勢部材の圧縮によって、第1の弾性屈曲部の屈曲角度が小さくなり、第2の弾性屈曲部の屈曲角度が大きくなる、態様3または4に記載のウエハ容器。
【0069】
態様6.開口部が扉によって閉じられるとき、付勢部材はウエハカセットの頂壁からポッドの閉鎖端まで延在する、態様1から5のいずれか1つに記載のウエハ容器。
【0070】
態様7.ポッドの閉鎖端は、内向き表面と、閉鎖端の内向き表面から離れる方に延在するチャネルと、を含み、付勢部材は付勢部材の長さに沿って延在するリブを含み、付勢部材は、付勢部材のリブが閉鎖端のチャネル内に配設されることによってポッドに取り付けられる、態様1から6のいずれか1つに記載のウエハ容器。
【0071】
態様8.ベースプレートは、頂部と、頂部から延在する突起と、を含み、ウエハカセットの基部はスロットを含み、開口部が扉によって閉じられるとき、突起はスロットの中へと延びて、ウエハカセットとベースプレートを連結する、態様1から7のいずれか1つに記載のウエハ容器。
【0072】
態様9.ベースプレートはノッチを有する底部を含み、扉は、内向き表面と、内向き表面から延在する突起と、を含み、開口部が扉によって閉じられるとき、突起はノッチの中へと延びて、ベースプレートと扉を連結する、態様1から8のいずれか1つに記載のウエハ容器。
【0073】
態様10.ベースプレートは、頂部と、頂部から延在する突起と、を含み、ウエハカセットの基部はスロットを含み、開口部が扉によって閉じられるとき、突起はスロットの中へと延びて、ウエハカセットとベースプレートを連結し、扉の突起とベースプレートの突起は同じ形状を有する、態様9に記載のウエハ容器。
【0074】
態様11.閉じられたポッドの内部空間内にウエハカセットを固定するためのサイズ適合システムであって、内部空間は、1つまたは複数の側壁、1つの閉鎖端、および閉じられたポッドの扉で閉じられた1つの開放端によって画定されており、サイズ適合システムは、頂部および底部を有するベースプレートであり、ベースプレートはウエハカセットと扉との間の内部空間内に配設されるように構成されており、ベースプレートの頂部から延在する突起であり、ベースプレートをウエハカセットに連結するべくウエハカセットのスロット内へと延びるように構成されている、突起、および、ベースプレートの底部にあるノッチであり、ベースプレートと扉を連結するべく扉の突起を受けるように構成されている、ノッチ、のうちの少なくとも一方を含む、ベースプレートと、内部空間内にウエハカセットとポッドの閉鎖端との間で圧縮されて配設されるように構成されている付勢部材であって、圧縮されている付勢部材はウエハカセットおよびベースプレートを扉に押し付ける、付勢部材と、を含む、サイズ適合システム。
【0075】
態様12.付勢部材は、内部空間内にウエハカセットとポッドの閉鎖端との間で圧縮されて配設されるとき、ウエハカセットをベースプレートに押し付けるように構成されている、態様11に記載のサイズ適合システム。
【0076】
態様13.付勢部材は、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、第1の弾性屈曲部と、第2の弾性屈曲部と、を含み、第1の端部は、第1の弾性屈曲部および第2の弾性屈曲部を介して第2の端部に接続されている、態様11または12に記載のサイズ適合システム。
【0077】
態様14.付勢部材は、付勢部材の第1の端部がポッドに接触し、付勢部材の第2の端部がウエハカセットに接触するように。内部空間内にウエハカセットとポッドの閉鎖端との間で圧縮されて配設されるように構成されている、態様13に記載のサイズ適合システム。
【0078】
態様15.付勢部材は、圧縮によって第1の弾性屈曲部の屈曲角度を小さくし、第2の弾性屈曲部の屈曲角度を大きくするように構成されている、態様13または14に記載のサイズ適合システム。
【0079】
態様16.ポッドの閉鎖端は、内向き表面と、閉鎖端の内向き表面から離れる方に延在するチャネルと、を含み、付勢部材は付勢部材の長さに沿って延在するリブを含み、付勢部材は、付勢部材のリブを閉鎖端のチャネル内へと摺動させることによってポッドに取り付けられるように構成されている、態様11から15のいずれか1つに記載のサイズ適合システム。
【0080】
態様17.ベースプレートはノッチを含む、態様11から16のいずれか1つに記載のサイズ適合システム。
【0081】
態様18.ベースプレートは突起とノッチとを含む、態様11から17のいずれか1つに記載のサイズ適合システム。
【0082】
本願において開示される例はあらゆる点において例示的であり限定的ではないものと見なされるべきである。本発明の範囲は前述の説明によってではなくむしろ付属の特許請求の範囲によって示され、そこには特許請求の範囲の等価性の意味および範囲に含まれる全ての変更が包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B